JP2021075447A - ガス製造装置、ガス製造システムおよびガス製造方法 - Google Patents

ガス製造装置、ガス製造システムおよびガス製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】二酸化炭素を含む原料ガスから、連続かつ安定して、一酸化炭素を含む生成ガスを製造することができるガス製造装置およびガス製造システムを提供する。【解決手段】ガス製造装置1は、二酸化炭素を含む原料ガスと、二酸化炭素を還元する金属酸化物を含む還元剤とを接触させて、一酸化炭素を含む生成ガスを製造する装置であり、原料ガスを供給する接続部2と、二酸化炭素との接触により酸化された還元剤を還元する還元ガスを供給する還元ガス供給部3と、接続部2および還元ガス供給部3のそれぞれ接続された複数の反応器4a,4bと、反応器4a,4b内に配置された還元剤とを備え、各反応器4a,4bに供給する原料ガスと還元ガスとを切換可能な反応部4と、反応器4a,4bを通過した後のガス同士を合流させ、混合ガスを生成するガス合流部J4と、反応器4a,4bに供給する前の排ガスを加熱する排ガス加熱部10と、反応器4a,4bに供給する前の還元ガスを加熱する還元ガス加熱部11とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、ガス製造装置、ガス製造システムおよびガス製造方法に関する。
近年、温室効果ガスの一種である二酸化炭素(CO)は、その大気中の濃度が上昇を続けている。大気中の二酸化炭素の濃度の上昇は、地球温暖化を助長する。したがって、大気中に放出される二酸化炭素を回収することは重要であり、さらに回収した二酸化炭素を有価物質に変換して再利用できれば、炭素循環社会を実現することができる。
また、地球規模の施策としても、気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書にもあるように、地球温暖化の原因となる二酸化炭素について、先進国における削減率を、1990年を基準として各国別に定め、共同で約束期間内に削減目標値を達成することが定められている。
その削減目標を達成するため、製鉄所、精錬所または火力発電所から発生した二酸化炭素を含む排気ガスも対象となっており、これらの業界における二酸化炭素の削減に関して、様々な技術改良が行われている。かかる技術の一例としては、CO回収・貯留(CCS)が挙げられる。しかしながら、この技術では、貯留という物理的な限界があり、根本的な解決策とはなっていない。
その他、例えば、特許文献1には、二酸化炭素から有価物質に変換する技術が開示されている。具体的には、ジルコニウムを含む酸化セリウムを用いて、二酸化炭素から一酸化炭素を製造する製造装置が開示されている。
特許5858926号
しかしながら、発明者らの検討によると、特許文献1に記載の発明は、二酸化炭素から一酸化炭素を効果的に変換する金属酸化物を特定する発明である。特許文献1には、一酸化炭素の製造条件や製造装置においても、図にも示されているように概念的または一般的な情報が開示されるのみであり、工業的に一酸化炭素を製造するには、更なる技術改良が必要であることがわかった。
そこで、本発明の目的は、二酸化炭素を含む原料ガスから、連続かつ安定して、一酸化炭素を含む生成ガスを製造することができるガス製造装置(すなわち、工業的に有利な製造装置)、ガス製造システムおよびガス製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
(1) 本発明のガス製造装置は、二酸化炭素を含む原料ガスと、前記二酸化炭素を還元する金属酸化物を含む還元剤とを接触させて、一酸化炭素を含む生成ガスを製造するガス製造装置であって、
前記原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
前記二酸化炭素との接触により酸化された前記還元剤を還元する還元物質を含む還元ガスを供給する還元ガス供給部と、
前記原料ガス供給部および前記還元ガス供給部の少なくとも一方にそれぞれ接続された複数の反応器と、前記反応器内に配置された前記還元剤とを備え、各前記反応器に供給する前記原料ガスと前記還元ガスとを切換可能または前記反応器同士の間で前記還元剤を移動可能な反応部と、
前記反応器を通過した後のガス同士を合流させて、混合ガスを生成するガス合流部と、
前記反応器に供給する前の前記原料ガスを加熱する原料ガス加熱部と、
前記反応器に供給する前の前記還元ガスを加熱する還元ガス加熱部とを有することを特徴とする。
(2) 本発明のガス製造装置では、前記原料ガス加熱部による前記原料ガスの加熱温度をX[℃]とし、前記還元ガス加熱部による前記還元ガスの加熱温度をY[℃]としたとき、|X−Y|は0〜25なる関係を満足することが好ましい。
(3) 本発明のガス製造装置では、前記原料ガス加熱部は、前記混合ガスと、前記反応器に供給する前の前記原料ガスとの間で熱交換する熱交換器を備えることが好ましい。
(4) 本発明のガス製造装置では、前記原料ガスは、炉から排出される排ガスであり、
さらに、前記排ガス中に含まれる前記二酸化炭素の濃度を調整する濃度調整部を有することが好ましい。
(5) 本発明のガス製造装置では、前記濃度調整部は、前記排ガス中に含まれる酸素を除去する酸素除去装置を備えることが好ましい。
(6) 本発明のガス製造装置は、さらに、前記反応器に供給する前の前記原料ガスの圧力を上昇させる圧縮部を有することが好ましい。
(7) 本発明のガス製造装置は、さらに、前記原料ガス供給部と前記反応器との間に設けられ、前記原料ガス中に含まれる微成分を除去する微成分除去部を有することが好ましい。
(8) 本発明のガス製造装置では、前記微成分除去部は、前記微成分であって、前記還元剤との接触により前記還元剤の活性を低下させる成分を捕捉可能な物質を備える保護器を含むことが好ましい。
(9) 本発明のガス製造装置は、さらに、前記還元剤に前記原料ガスまたは前記還元ガスを接触させる際に、前記還元剤の温度を調整する還元剤温調部を有することが好ましい。
(10) 本発明のガス製造装置では、前記還元剤温調部は、前記還元剤に対してマイクロ波を照射する照射装置を備えることが好ましい。
(11) 本発明のガス製造装置では、前記還元剤温調部は、電場を発生させ、前記還元剤に対して前記電場を付与する電場発生装置を備えることが好ましい。
(12) 本発明のガス製造装置は、さらに、前記混合ガスから前記一酸化炭素を精製するガス精製部を有することが好ましい。
(13) 本発明のガス製造装置では、前記還元ガスは、前記還元物質として水素を含み、
前記還元ガス供給部は、水の電気分解により前記水素を発生させる水素発生装置または副生水素を前記水素として発生させる水素発生装置を備えることが好ましい。
(14) 本発明のガス製造装置では、前記金属酸化物は、第3族〜第12族に属する金属元素から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
(15) 本発明のガス製造装置は、さらに、各前記反応器の下流側に接続された精製器を有し、
前記精製器は、精製器本体と、該精製器本体内に配置され、前記還元剤との接触により生成した前記還元物質の酸化物と前記還元物質との分離、および、前記一酸化炭素と前記二酸化炭素との分離のうちの少なくとも一方が可能な分離筒とを備えることが好ましい。
(16) 本発明のガス製造システムは、
二酸化炭素を含む原料ガスを生成する原料ガス生成部と、
本発明のガス製造装置とを備え、
前記ガス製造装置が、前記原料ガス供給部を介して前記原料ガス生成部に接続されていることを特徴とする。
(17) 本発明のガス製造方法は、二酸化炭素を含む原料ガスと、前記二酸化炭素を還元する金属酸化物を含む還元剤とを接触させて、一酸化炭素を含む生成ガスを製造するガス製造方法であって、
前記還元剤を内部に配置した複数の反応器と、前記原料ガスと、前記二酸化炭素との接触により酸化された前記還元剤を還元する還元物質を含む還元ガスとを準備し、
前記原料ガスおよび前記還元ガスを加熱し、
前記原料ガスと前記還元ガスとを供給する前記反応器を切り換えるか、または、前記反応器同士の間で前記還元剤を移動させることにより、各前記反応器内において前記還元剤に前記原料ガスと前記還元ガスとを交互に接触させて、前記二酸化炭素を前記一酸化炭素に変換した後、前記酸化された還元剤を還元し、
前記反応器を通過した後のガス同士を合流させて、混合ガスを生成し、
前記混合ガスをそのまま、または、前記混合ガスから前記一酸化炭素を精製することにより、前記生成ガスとして回収することを特徴とする。
本発明によれば、二酸化炭素を含む原料ガスから、効率よくかつ連続して、一酸化炭素を含む生成ガスを製造することができる。
本発明のガス製造システムの一実施形態を示す概略図である。 図1の反応器の構成を模式的に示す断面図である。 図1の排ガス加熱部の構成を示す概略図である。 還元剤加熱部の構成を示す概略図である。 還元剤加熱部の他の構成を示す概略図である。 還元剤加熱部としての電場発生装置の構成を示す概略図である。 本発明のガス製造装置と炉との接続部付近の構成を示す概略図である。 本発明のガス製造システムの他の実施形態を示す概略図である。 図8の精製器の構成を模式的に示す断面図である。
以下、本発明のガス製造装置、ガス製造システムおよびガス製造方法について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のガス製造システムの一実施形態を示す概略図であり、図2は、図1の反応器の構成を模式的に示す断面図であり、図3は、図1の排ガス加熱部の構成を示す概略図である。
図1に示すガス製造システム100は、二酸化炭素を含む排ガス(原料ガス)を生成する炉(原料ガス生成部)20と、接続部2を介して炉20に接続されたガス製造装置1とを備えている。
なお、本明細書中では、ガスの流れ方向に対して上流側を単に「上流側」、下流側を単に「下流側」とも記載する。
炉20としては、特に限定されないが、例えば、製鉄所、精錬所または火力発電所に付属する炉であり、好ましくは燃焼炉、高炉、転炉等が挙げられる。炉20では、内容物の燃焼、溶融、精錬等の際に、排ガスが生成(発生)する。
ゴミ焼却場にける燃焼炉(焼却炉)の場合、内容物(廃棄物)としては、例えば、プラスチック廃棄物、生ゴミ、都市廃棄物(MSW)、廃棄タイヤ、バイオマス廃棄物、家庭ゴミ(布団、紙類)、建築部材等が挙げられる。なお、これらの廃棄物は、1種を単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
排ガスは、通常、二酸化炭素に加えて、窒素、酸素、一酸化炭素、水蒸気、メタン等の他のガス成分を含む。排ガス中に含まれる二酸化炭素の濃度は、特に限定されないが、生成ガスの製造コスト(一酸化炭素への変換効率)を考慮すると、1体積%以上が好ましく、5体積%以上がより好ましい。
ゴミ焼却場にける燃焼炉からの排ガスの場合、二酸化炭素が5〜15体積%、窒素が60〜70体積%、酸素が5〜10体積%、水蒸気が15〜25体積%で含まれる。
高炉からの排ガス(高炉ガス)は、高炉において銑鉄を製造する際に発生するガスであり、二酸化炭素が10〜15体積%、窒素が55〜60体積%、一酸化炭素が25〜30体積%、水素が1〜5体積%で含まれる。
また、転炉からの排ガス(転炉ガス)は、転炉において鋼を製造する際に発生するガスであり、二酸化炭素が15〜20体積%、一酸化炭素が50〜60体積%、窒素が15〜25体積%、水素が1〜5体積%で含まれる。
なお、原料ガスには、排ガスに限らず、二酸化炭素を100体積%で含む純ガスを使用してもよい。
ただし、原料ガスとして排ガスを使用すれば、従来、大気中に排出していた二酸化炭素を有効利用することができ、環境への負荷を低減することができる。これらの中でも、炭素循環という観点からは、製鉄所または精錬所で発生した二酸化炭素を含む排ガスが好ましい。
また、高炉ガスや転炉ガスは、炉から排出された未処理のガスをそのまま使用してもよく、例えば、一酸化炭素等を除去する処理を施した後の処理済みガスを使用してもよい。未処理の高炉ガスおよび転炉ガスは、それぞれ上述のようなガス組成であり、処理済みガスは、燃焼炉からの排ガスで示したガス組成に近いガス組成となる。本明細書では、以上のようなガス(ガス製造装置1に供給される前のガス)をいずれも排ガスと呼ぶ。
<全体構成>
ガス製造装置1は、炉20から排出され、接続部2を介して供給される排ガス(二酸化炭素を含む原料ガス)と、排ガス中に含まれる二酸化炭素を還元する金属酸化物を含む還元剤とを接触させて、一酸化炭素を含む生成ガス(合成ガス)を製造する。
ガス製造装置1は、主に、接続部2と、還元ガス供給部3と、2つの反応器4a、4bと、接続部2と各反応器4a、4bとを接続するガスラインGL1と、還元ガス供給部3と各反応器4a、4bとを接続するガスラインGL2と、各反応器4a、4bに接続されたガスラインGL4とを有している。
本実施形態では、接続部2が、排ガスを反応器4a、4bに供給する原料ガス供給部を構成している。
なお、必要に応じて、ガスラインGL1、ガスラインGL2およびガスラインGL4の途中の所定の箇所には、ガスを移送するためのポンプを配置してもよい。例えば、後述する圧縮部6で排ガスの圧力を比較的低く調整する場合には、ポンプを配置することにより、ガス製造装置1内でガスを円滑に移送することができる。
ガスラインGL1は、その一端部において接続部2に接続されている。一方、ガスラインGL1は、その他端部において、ガス切換部8および2つのガスラインGL3a、GL3bを介して、それぞれ反応部4が備える反応器4a、4bの入口ポートに接続されている。
かかる構成により、炉20から接続部2を介して供給された排ガスは、ガスラインGL1を通過して、各反応器4a、4bに供給される。
ガス切換部8は、例えば、分岐ガスラインと、この分岐ガスラインの途中に設けられたバルブのような流路開閉機構とを含んで構成することができる。
各反応器4a、4bは、図2に示すように、還元剤4Rをそれぞれ充填した複数の管体41と、複数の管体41を収納したハウジング42とを備える多管式の反応装置(固定層式の反応装置)で構成されている。かかる多管式の反応装置によれば、還元剤4Rと排ガスおよび還元ガスとの接触の機会を十分に確保することができる。その結果、生成ガスの製造効率を高めることができる。
本実施形態の還元剤4Rは、例えば、粒子状(顆粒状)、鱗片状、ペレット状等であることが好ましい。かかる形状の還元剤4Rであれば、管体41への充填効率を高めることができ、管体41内に供給されるガスとの接触面積をより増大させることができる。
還元剤4Rが粒子状である場合、その体積平均粒径は、特に限定されないが、1〜50mmであることが好ましく、3〜30mmであることがより好ましい。この場合、還元剤4Rと排ガス(二酸化炭素)との接触面積をさらに高め、二酸化炭素の一酸化炭素への変換効率をより向上させることができる。同様に、還元物質を含む還元ガスによる還元剤4Rの再生(還元)もより効率よく行うことができる。
粒子状の還元剤4Rは、より球形度が高まることから、転動造粒により製造された成形体であることが好ましい。
また、還元剤4Rは、担体に担持させるようにしてもよい。担体の構成材料としては、排ガス(原料ガス)や反応条件等に応じて変性し難いものであればよく、特に限定されないが、例えば、炭素材料(グラファイト、グラフェン等)、ゼオライト、モンモリロナイト、SiO、ZrO、TiO、V、MgO、アルミナ(Al)、シリカ、および、それら材料の複合酸化物等が挙げられる。これらの中でも、ゼオライト、モンモリロナイト、SiO、ZrO、TiO、V、MgO、アルミナ(Al)、シリカ、および、それら材料の複合酸化物が好ましい。かかる材料で構成される担体は、還元剤4Rの反応に悪影響を及ぼさず、還元剤4Rの担持能に優れる点で好ましい。ここで、担体は、還元剤4Rの反応には関与せず、還元剤4Rを単に支持(保持)する。かかる形態の一例としては、担体の表面の少なくとも一部を還元剤4Rで被覆する構成が挙げられる。
還元剤4Rに含まれる金属酸化物(酸素キャリア)は、二酸化炭素を還元することができれば、特に限定されないが、第3族〜第12族に属する金属元素から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、第4族〜第12属に属する金属元素から選択される少なくとも1種を含有することがより好ましく、チタニウム、バナジウム、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、マンガン、クロミウムおよびセリウム等のうちの少なくとも1種を含有することがさらに好ましく、鉄を含有する金属酸化物または複合酸化物が特に好ましい。これらの金属酸化物は、二酸化炭素の一酸化炭素への変換効率が特に良好なため有用である。
また、各反応器4a、4bにおいて、還元剤4R(金属酸化物)自体で管体(円筒状の成形体)41を作製してもよい。さらに、還元剤4Rで、ブロック状、格子状(例えば、網状、ハニカム状)等の成形体を作製し、ハウジング42内に配置するようにしてもよい。これらの場合、充填剤としての還元剤4Rは省略するようにしてもよいし、併用してもよい。
これらの中では、還元剤4Rで網状体を作製し、ハウジング42内に配置する構成が好ましい。かかる構成の場合、各反応器4a、4b内で排ガスおよび還元ガスの通過抵抗が高まるのを防止しつつ、還元剤4Rと排ガスおよび還元ガスとの接触の機会を十分に確保することもできる。
なお、2つの反応器4a、4bの容積は、互いにほぼ等しく設定され、処理する排ガスの量(炉20のサイズやガス製造装置1のサイズ)に応じて、適宜設定される。
ガスラインGL1の途中には、接続部2側から順に、濃度調整部5と、圧縮部6と、微成分除去部7と、排ガス加熱部(原料ガス加熱部)10とが設けられている。
濃度調整部5は、排ガス中に含まれる二酸化炭素の濃度を高める(換言すれば、二酸化炭素を濃縮する)ように調整する。排ガスは、酸素等の不要ガス成分も含む。濃度調整部5で排ガス中に含まれる二酸化炭素の濃度を高めることにより、排ガス中に含まれる不要ガス成分の濃度を相対的に低くすることができる。このため、還元剤4Rによる二酸化炭素の一酸化炭素への変換効率に、不要ガス成分が悪影響を及ぼすのを防止または抑制することができる。
濃度調整部5は、排ガス中に含まれる酸素を除去する酸素除去装置により構成することが好ましい。これにより、ガス製造装置1に持ち込まれる酸素の量を低減すること(すなわち、排ガス中に含まれる酸素の濃度を低くなるように調整すること)ができる。このため、排ガスのガス組成を爆発範囲から乖離させ、排ガスの引火を未然に防止することができる。なお、ガス製造装置1の中でも、酸素除去装置での電気エネルギーの消費が大きいため、後述するような再生可能エネルギーとしての電力を使用することが有効である。
この場合、排ガス中に含まれる酸素の濃度を、排ガス全体に対して1体積%未満に調整することが好ましく、0.5体積%未満に調整することがより好ましく、0.1体積%未満に調整することがさらに好ましい。これにより、排ガスの引火をより確実に防止することができる。
排ガス中に含まれる酸素を除去する酸素除去装置は、低温分離方式(深冷方式)の分離器、圧力スイング吸着(PSA)方式の分離器、膜分離方式の分離器、温度スイング吸着(TSA)方式の分離器、化学吸収方式の分離器、化学吸着方式の分離器等のうちの1種または2種以上を用いて構成することができる。
なお、濃度調整部5では、排ガス中に二酸化炭素を追加することにより、二酸化炭素が高濃度になるように調整してもよい。
圧縮部6は、反応器4a、4bに供給する前の排ガスの圧力を上昇させる。これにより、反応器4a、4bで一度に処理可能な排ガスの量を増大させることができる。このため、反応器4a、4bにおける二酸化炭素の一酸化炭素への変換効率をより向上させることができる。
かかる圧縮部6は、例えば、遠心式圧縮機、軸流式圧縮機のようなターボ圧縮機、往復動圧縮機(レシプロ圧縮機)、ダイアフラム式圧縮機、シングルスクリュー圧縮機、ツインスクリュー圧縮機、スクロール圧縮機、ロータリー圧縮機、ロータリーピストン型圧縮機、スライドベーン型圧縮機のような容積圧縮機、低圧に対応可能なルーツブロワー(二葉送風機)、遠心式のブロワー等で構成することができる。
これらの中でも、圧縮部6は、ガス製造システム100の大規模化の容易性の観点からは、遠心式圧縮機で構成することが好ましく、ガス製造システム100の製造コストを低減する観点からは、往復動圧縮機で構成することが好ましい。
圧縮部6を通過した後の排ガスの圧力は、特に限定されないが、0〜1MPaGであることが好ましく、0〜0.5MPaGであることがより好ましく、0.01〜0.5MPaGであることがさらに好ましい。この場合、ガス製造装置1の耐圧性を必要以上に高めることなく、反応器4a、4bにおける二酸化炭素の一酸化炭素への変換効率をさらに向上させることができる。
微成分除去部7は、排ガス中に含まれる微成分(微量な不要ガス成分等)を除去する。
かかる微成分除去部7は、例えば、気液分離器、保護器(ガードリアクター)およびスクラバー(吸収塔)のうちの少なくとも1種の処理器で構成することができる。
複数の処理器を使用する場合、それらの配置順序は任意であるが、気液分離器と保護器とを組み合わせて使用する場合、気液分離器を保護器より上流側に配置するのが好ましい。この場合、排ガス中からの微成分の除去効率をより高めることができるとともに、保護器の使用期間(寿命)を延長することができる。
気液分離器は、例えば、圧縮部6で排ガスを圧縮した際に生じる凝縮水(液体)を排ガスから分離する。この場合、凝縮水中には、排ガス中に残存する不要ガス成分等も溶解して除去される。
気液分離器は、例えば、単なる容器、旋回流式分離器、遠心分離器、表面張力式分離器等で構成することができる。これらの中でも、気液分離器は、構成が単純であり、安価であること等から、単なる容器で構成することが好ましい。この場合、容器内の気液界面には、気体の通過は許容するが、液体の通過を阻止するフィルタを配置するようにしてもよい。
また、この場合、容器の底部には、液体ラインを接続し、その途中にバルブを設けるようにしてもよい。かかる構成によれば、容器内に貯留された凝縮水は、バルブを開放することにより、液体ラインを介して、ガス製造装置1外に排出することができる。
なお、液体ラインを後述するタンク30に接続して、排出する凝縮水を再利用するようにしてもよい。
気液分離器で凝縮水が除去された排ガスは、例えば、保護器に供給するように構成することができる。
かかる保護器は、排ガス中に含まれる微成分であって、還元剤4Rとの接触により還元剤4Rの活性を低下させる成分(不活化成分)を捕捉可能な物質を備えていることが好ましい。
かかる構成によれば、排ガスが保護器を通過する際に、保護器内の物質が不活化成分と反応(捕捉)することにより、反応器4a、4b内の還元剤4Rに到達するのを阻止または抑制して保護すること(すなわち、活性の低下を防止すること)ができる。このため、還元剤4Rによる二酸化炭素の一酸化炭素への変換効率が、不活化成分の悪影響により極端に低下するのを防止または抑制することができる。
かかる物質には、還元剤4Rに含まれる組成であって、不活化成分との接触により還元剤4Rの活性を低下させる組成を有する物質、具体的には、還元剤4Rに含まれる金属酸化物と同一または類似の金属酸化物を使用することができる。ここで、類似の金属酸化物とは、それに含まれる金属元素は同一であるが、組成が異なる金属酸化物、またはそれに含まれる金属元素の種類は異なるが、元素周期律表における族が同一である金属酸化物のことを言う。
また、不活化成分としては、硫黄、水銀、硫黄化合物、ハロゲン化合物、有機シリコーン、有機リンおよび有機金属化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましく、硫黄および硫黄化合物から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。かかる不活化成分を予め除去しておけば、還元剤4Rの活性が急激に低下するのを効果的に防止することができる。
なお、上記物質は、還元剤4Rの不活化成分と同一の成分により活性が低下する物質であればよく、酸化鉄、酸化亜鉛のような金属酸化物が上記不活化成分の捕捉能に優れる点で好ましい。
保護器は、ハウジング内に網材を配置し、上記物質の粒子を網材上に載置する構成、ハウジング内に、上記物質で構成されたハニカム状のフィルタ部材や、円筒状または粒子状の成形体を配置する構成等とすることができる。
特に、保護器を圧縮部6(気液分離器)と排ガス加熱部10との間に配置する場合には、上記物質の熱による劣化を防止しつつ、不活化成分の除去効率を向上させることができる。
排ガス加熱部10は、反応器4a、4bに供給する前の排ガスを加熱する。排ガス加熱部10で反応前(還元前)の排ガスを予め加熱しておくことにより、反応器4a、4bにおいて、還元剤4Rによる二酸化炭素の一酸化炭素への変換(還元)反応をより促進することができる。
排ガス加熱部10は、例えば、図3に示すように、電熱器101と、熱交換器(エコノマイザ)102とで構成することができる。
熱交換器102は、反応器4a、4bを通過した後のガス(混合ガス)を排出するガスラインGL4(後述参照)を構成する一部の配管を屈曲させ、ガスラインGL1を構成する配管に接近させて構成されている。かかる構成によれば、反応器4a、4bを通過した後の高温のガス(混合ガス)の熱を利用して、反応器4a、4bに供給する前の排ガスを熱交換により加熱するため、熱の有効利用を図ることができる。
かかる熱交換器102は、例えば、ジャケット式熱交換器、浸漬コイル式熱交換器、二重管式熱交換器、シェル&チューブ式熱交換器、プレート式熱交換器、スパイラル式熱交換器等として構成することができる。
また、排ガス加熱部10では、電熱器101および熱交換器102のいずれか一方を省略してもよい。
排ガス加熱部10では、電熱器101に代えて、燃焼炉等を使用することもできる。ただし、電熱器101を使用すれば、その動力源として、再生可能エネルギーとしての電力(電気エネルギー)を使用できるため、環境への負荷を低減することができる。
再生可能エネルギーとしては、太陽光発電、風カ発電、水力発電、波力発電、潮力発電、バイオマス発電、地熱発電、太陽熱および地中熱から選択される少なくとも1つを利用した電気エネルギーが使用可能である。
また、排ガス加熱部10の上流側(例えば、微成分除去部7の途中である気液分離器と保護器との間)において、ガスラインGL1から排気ガスラインを分岐させ、その端部にガス製造装置1外に設けられたベント部を接続してもよい。
この場合、排気ガスラインの途中には、好ましくはバルブが設けられる。
仮に、ガス製造装置1(ガスラインGL1)内の圧力が必要以上に上昇した場合には、バルブを開放することにより、排気ガスラインを介してベント部から排ガスの一部を排出(放出)することができる。これにより、ガス製造装置1の圧力の上昇による破損を未然に防止することができる。
ガスラインGL2は、その一端部において還元ガス供給部3に接続されている。一方、ガスラインGL2は、ガス切換部8および2つのガスラインGL3a、GL3bを介して、それぞれ反応部4が備える反応器4a、4bの入口ポートに接続されている。
還元ガス供給部3は、二酸化炭素との接触により酸化された還元剤4Rを還元する還元物質を含む還元ガスを供給する。本実施形態の還元ガス供給部3は、水の電気分解により水素を発生させる水素発生装置で構成され、この水素発生装置に水を貯留したガス製造装置1外のタンク(還元ガス原料貯留部)30が接続されている。かかる構成により、水素発生装置(還元ガス供給部3)から供給された水素(還元物質)を含む還元ガスが、ガスラインGL2を通過して、各反応器4a、4bに供給される。
水素発生装置によれば、多量の水素を比較的安価かつ簡便に生成することができる。また、ガス製造装置1内で発生する凝縮水を再利用できるという利点もある。なお、ガス製造装置1の中でも、水素発生装置での電気エネルギーの消費が大きいため、上述したような再生可能エネルギーとしての電力を使用することが有効である。
なお、水素発生装置には、副生水素を発生する装置を使用することもできる。この場合、副生水素を含む還元ガスが各反応器4a、4bに供給される。副生水素を発生する装置としては、例えば、塩化ナトリウム水溶液を電気分解する装置、石油を水蒸気改質する装置、アンモニアを製造する装置等が挙げられる。
また、ガス製造装置1外のコークス炉に接続部を介してガスラインGL2を接続し、コークス炉からの排ガスを還元ガスとして使用するようにしてもよい。この場合、接続部が還元ガス供給部を構成する。コークス炉からの排ガスは、水素およびメタンを主成分とし、水素を50〜60体積%で含むためである。
ガスラインGL2の途中には、還元ガス加熱部11が設けられている。この還元ガス加熱部11は、反応器4a、4bに供給する前の還元ガスを加熱する。還元ガス加熱部11で反応前(酸化前)の還元ガスを予め加熱しておくことにより、反応器4a、4bにおける還元ガスによる還元剤4Rの還元(再生)反応をより促進することができる。
還元ガス加熱部11は、上記排ガス加熱部10と同様にして構成することができる。還元ガス加熱部11は、電熱器のみ、熱交換器のみ、電熱器と熱交換器との組み合わせで構成することが好ましく、熱交換器のみ、電熱器と熱交換器との組み合わせで構成することがより好ましい。
還元ガス加熱部11が熱交換器を備えれば、反応器4a、4bを通過した後の高温のガス(例えば、混合ガス)の熱を利用して、反応器4a、4bに供給する前の還元ガスを熱交換により加熱するため、熱の有効利用を図ることができる。
以上のような構成によれば、ガス切換部8においてガスライン(流路)を切り換えることにより、例えば、酸化前の還元剤4Rが収容された反応器4aに、ガスラインGL3aを介して排ガスを供給し、酸化後の還元剤4Rが収容された反応器4bに、ガスラインGL3bを介して還元ガスを供給することができる。このとき、反応器4aでは下記式1の反応が進行し、反応器4bでは下記式2の反応が進行する。
なお、下記式1および式2では、還元剤4Rに含まれる金属酸化物が酸化鉄(FeOx−1)である場合を一例として示している。
式1: CO + FeOx−1 → CO + FeO
式2: H + FeO → HO + FeOx−1
その後、ガス切換部8においてガスラインを上記と反対に切り換えることにより、反応器4aでは上記式2の反応を進行させ、反応器4bでは上記式1の反応を進行させることができる。
なお、上記式1および式2に示す反応は、いずれも吸熱反応である。このため、ガス製造装置1は、還元剤4Rに排ガスまたは還元ガスを接触させる際(すなわち、排ガスまたは還元ガスと還元剤4Rとの反応の際)に、還元剤4Rを加熱する還元剤加熱部(図1中、図示せず。)をさらに有することが好ましい。
かかる還元剤加熱部を設けることにより、排ガスまたは還元ガスと還元剤4Rとの反応における温度を高温に維持して、二酸化炭素の一酸化炭素への変換効率の低下を好適に防止または抑制するとともに、還元ガスによる還元剤4Rの再生をさらに促進することができる。
ただし、還元剤4Rの種類によっては、上記式1および式2に示す反応が発熱反応となる場合がある。この場合、ガス製造装置1は、還元剤加熱部に代えて、還元剤4Rを冷却する還元剤冷却部を有することが好ましい。かかる還元剤冷却部を設けることにより、排ガスまたは還元ガスと還元剤4Rとの反応の際に、還元剤4Rが劣化するのを好適に阻止して、二酸化炭素の一酸化炭素への変換効率の低下を好適に防止または抑制するとともに、還元ガスによる還元剤4Rの再生をさらに促進することができる。
つまり、ガス製造装置1には、還元剤4Rの種類(発熱反応または吸熱反応)の違いによって、還元剤4Rの温度を調整する還元剤温調部を設けることが好ましい。
なお、還元剤温調部の好適な構成については、後に詳述する。
反応器4a、4bの出口ポートには、それぞれ分岐ガスラインGL4a、GL4bが接続され、これらがガス合流部J4において合流して、ガスラインGL4を構成している。また、分岐ガスラインGL4a、GL4bの途中には、必要に応じて、それぞれバルブ(図示せず。)が設けられる。
例えば、バルブの開度を調整することにより、反応器4a、4bを通過する排ガスおよび還元ガスの通過速度(すなわち、還元剤4Rによる排ガスの処理速度および還元ガスによる還元剤4Rの処理速度)を設定することができる。
本実施形態では、反応器4a、4bおよびガス切換部8により、反応部4が構成されている。
かかる構成により、反応器4a、4bのそれぞれを通過したガス(本実施形態では、主に、一酸化炭素および水蒸気)は、ガス合流部J4において合流することにより混合され、混合ガス(合流ガス)が生成された後、1つのガスラインGL4を通過するようになる。
このため、ガス切換部8の流路切換状態(バルブの開閉状態)を変更して、反応器4a、4bのそれぞれで異なる反応を行えば、混合ガスを連続して製造することができ、最終的には、生成ガスも連続して製造することもできる。また、反応器4a、4bにおいて交互に同一の反応を繰り返し行うため、混合ガス中に含まれる一酸化炭素の濃度を安定化させ、結果として、生成ガス中に含まれる一酸化炭素の濃度を安定化させることもできる。
したがって、上述したガス製造装置1(ガス製造システム100)は、二酸化炭素から一酸化炭素を連続かつ安定して製造することができ、工業的に有利である。
これに対して、ガス合流部J4を設けない場合、供給するガスを切り換える際には、ガス切換部8を遮断する(バルブを一旦閉じる)必要が生じ、各反応器4a、4bをバッチ式とせざるを得ない。このため、一酸化炭素の製造時間が長時間となり、変換効率が悪く、工業的に不利である。
また、各反応器4a、4bから排出されるガスの成分が、供給するガスを切り換える度に異なってしまう。このため、各反応器4a、4bから排出されたガスの後処理工程が複雑になってしまう。
ここで、混合ガス中に含まれる一酸化炭素の濃度は、通常、特定の範囲(混合ガス全体に対して所定の体積%)に調整するのが好ましい。この濃度が低過ぎると、後述するガス精製部9の性能にもよるが、一酸化炭素を高濃度で含む生成ガスを得るのが難しくなる傾向がある。一方、この濃度の上限値を超えて高くしても、最終的に得られる生成ガス中に含まれる一酸化炭素の濃度をさらに高める効果のそれ以上の増大が期待できない。
ガスラインGL4の反応器4a、4bの反対側の端部には、生成ガスをガス製造装置1外に排出する生成ガス排出部40が接続されている。
また、ガスラインGL4の途中には、ガス精製部9が設けられている。
ガス精製部9では、混合ガスから一酸化炭素を精製して、高濃度の一酸化炭素を含む生成ガスを回収する。なお、混合ガス中の一酸化炭素濃度が十分に高い場合には、ガス精製部9を省略してもよい。
かかるガス精製部9は、例えば、冷却器、気液分離器、ガス分離器、分離膜およびスクラバー(吸収塔)のうちの少なくとも1種の処理器で構成することができる。
複数の処理器を使用する場合、それらの配置順序は任意であるが、冷却器と気液分離器とガス分離器とを組み合わせて使用する場合、この順で配置するのが好ましい。この場合、混合ガスからの一酸化炭素の精製効率をより高めることができる。
冷却器は、混合ガスを冷却する。これにより、凝縮水(液体)が生成する。
かかる冷却器は、配管の周囲に冷媒を通過させるためのジャケットを配置したジャケット式の冷却装置、反応器4a、4bと同様の構成(図2参照)とし、管体内に混合ガスを、管体の周囲に冷媒をそれぞれ通過させる多管式の冷却装置、エアフィンクーラー等を含んで構成することができる。
気液分離器は、冷却器で混合ガスを冷却する際に生じる凝縮水を混合ガスから分離する。このとき、凝縮水には、混合ガス中に残存する不要ガス成分(特に、二酸化炭素)を溶解して除去することができるという利点がある。
気液分離器は、微成分除去部7の気液分離器と同様に構成することができ、好ましくは単なる容器で構成することができる。この場合、容器内の気液界面には、気体の通過は許容するが、液体の通過を阻止するフィルタを配置するようにしてもよい。
また、この場合、容器の底部には、液体ラインを接続し、その途中にバルブを設けるようにしてもよい。かかる構成によれば、容器内に貯留された凝縮水は、バルブを開放することにより、液体ラインを介して、ガス製造装置1外に排出(放出)することができる。
さらに、液体ラインの途中のバルブより下流側には、ドレイントラップを設けることが好ましい。これにより、仮に、バルブが誤作動して、液体ラインに一酸化炭素や水素が流出しても、ドレイントラップに貯留され、ガス製造装置1外に排出されるのを未然に防止することができる。このドレイントラップに代えて、あるいは、ドレイントラップとともに、バルブの誤作動検知機能、バルブが誤作動した際の冗長化対策を施してもよい。
なお、液体ラインを上述したタンク30に接続して、排出する凝縮水を再利用するようにしてもよい。
ガス分離器は、例えば、低温分離方式(深冷方式)の分離器、圧力スイング吸着(PSA)方式の分離器、膜分離方式の分離器、温度スイング吸着(TSA)方式の分離器、金属イオン(例えば、銅イオン)と有機配位子(例えば、5−アジドイソフタル酸)とを複合化した多孔性配位高分子(Porous Coordination Polymer:PCP)を用いた分離器、アミン吸収を利用した分離器等のうちの1種または2種以上を用いて構成することができる。
また、ガスラインGL4の気液分離器とガス分離器との間には、バルブを設けるようにしてもよい。この場合、バルブの開度を調整することにより、混合ガスの処理速度(生成ガスの製造速度)を調節することができる。
本実施形態では、気液分離器から排出される混合ガス中に含まれる一酸化炭素の濃度は、混合ガス全体に対して75〜90体積%となっている。
したがって、比較的低い濃度(75〜90体積%)で一酸化炭素を含む生成ガスを利用可能な分野では、混合ガスから一酸化炭素を精製することなく、そのまま次工程に供給することができる。すなわち、ガス分離器を省略することができる。
かかる分野としては、例えば、生成ガスから微生物(例えば、クロストリジウム等)による発酵により有価物質(例えば、エタノール等)を合成する分野、生成ガスを燃料または還元剤として使用して鉄鋼を製造する分野、電気デバイスを製造する分野、一酸化炭素を合成原料とする化学品(ホスゲン、酢酸等)を合成する分野等が挙げられる。
一方、比較的高い濃度(90体積%超)で一酸化炭素を含む生成ガスを利用する必要がある分野では、混合ガスから一酸化炭素を精製して、高濃度で一酸化炭素を含む生成ガスを得る。
かかる分野としては、例えば、生成ガスを還元剤として使用する分野(高炉)、生成ガスを燃料として使用して火力により発電する分野、生成ガスを原料として化学品を製造する分野、生成ガスを燃料として使用する燃料電池の分野等が挙げられる。
次に、ガス製造システム100の使用方法(作用)について説明する。
[1]まず、ガス切換部8においてガスライン(流路)を切り換えることにより、接続部2と反応器4aとを連通し、還元ガス供給部3と反応器4bとを連通する。
[2]次に、この状態で、炉20から接続部2を介して排ガスの供給を開始する。
炉20から供給される排ガスは、通常、50〜300℃の高温であるが、濃度調整部5に至るまでに、30〜50℃にまで冷却される。
[3]次に、排ガスは、酸素除去装置(濃度調整部5)を通過する。これにより、排ガスから酸素が除去され、排ガス中に含まれる二酸化炭素の濃度が上昇する。
[4]次に、排ガスは、圧縮部6を通過する。これにより、排ガスの圧力が上昇する。
[5]次に、排ガスは、微成分除去部7を通過する。これにより、圧縮部6で排ガスを圧縮した際に生じる凝縮水や、還元剤4Rの活性を低下させる不活化成分が排ガスから除去される。
[6]次に、排ガスは、排ガス加熱部10を通過する。これにより、排ガスが加熱される。
[7]次に、排ガスは、反応器4aに供給される。反応器4aでは、還元剤4Rにより排ガス中の二酸化炭素が一酸化炭素に還元される。このとき、還元剤4Rは、酸化される。
上記工程[6]における排ガスの加熱温度は、300〜700℃であることが好ましく、450〜700℃であることがより好ましく、600〜700℃であることがさらに好ましく、650〜700℃であることが特に好ましい。排ガスの加熱温度を上記範囲に設定すれば、例えば、二酸化炭素を一酸化炭素へ変換する際の吸熱反応による還元剤4Rの急激な温度低下を防止または抑制することができるため、反応器4aにおける二酸化炭素の還元反応をより円滑に進行させることができる。
[8]上記工程[2]〜[7]と並行して、タンク30から水(還元ガス原料)を水素発生装置(還元ガス供給部3)に供給し、水から水素を生成する。
[9]次に、水素を含む還元ガスは、還元ガス加熱部11を通過する。これにより、還元ガスが加熱される。
[10]次に、還元ガスは、反応器4bに供給される。反応器4bでは、還元ガス(水素)により酸化状態の還元剤4Rが還元(再生)される。
上記工程[9]における還元ガスの加熱温度は、300〜700℃であることが好ましく、450〜700℃であることがより好ましく、600〜700℃であることがさらに好ましく、650〜700℃であることが特に好ましい。還元ガスの加熱温度を上記範囲に設定すれば、例えば、酸化状態の還元剤4Rを還元(再生)する際の吸熱反応による還元剤4Rの急激な温度低下を防止または抑制することができるため、反応器4bにおける還元剤4Rの還元反応をより円滑に進行させることができる。
ここで、排ガス加熱部10による排ガスの加熱温度をX[℃]とし、還元ガス加熱部11による還元ガスの加熱温度をY[℃]としたとき、|X−Y|(すなわち、XとYとの差の絶対値)は、0〜25なる関係を満足することが好ましく、0〜20なる関係を満足することがより好ましく、0〜15なる関係を満足することがさらに好ましい。換言すれば、排ガスの加熱温度Xと還元ガスの加熱温度Yとは同一であっても、若干異なっていてもよい。上記関係を満足するように、XおよびYを設定すれば、二酸化炭素の一酸化炭素への変換と還元ガスによる還元剤4Rの還元とを良好なバランスで進行させることができる。
なお、排ガスの加熱温度Xと還元ガスの加熱温度Yとを異ならせる場合、還元ガスによる還元剤4Rの還元反応に要する熱量が、還元剤4Rによる二酸化炭素の還元反応に要する熱量よりも大きくなる傾向にあるため、還元ガスの加熱温度Yを排ガスの加熱温度Xより高く設定することが好ましい。
本実施形態において、ガス切換部8においてガスラインの切り換えタイミング(すなわち、反応器4a、4bに供給する排ガスと還元ガスとの切り換えタイミング)は、条件I:反応器4aまたは4bへ所定の量の排ガスを供給したとき、または条件II:二酸化炭素の一酸化炭素への変換効率が所定の値を下回ったときとすることが好ましい。これにより、二酸化炭素の一酸化炭素への変換効率が大きく低下する前に、反応器4a、4bの切り換えを行うため、混合ガス中に含まれる一酸化炭素の濃度を増大させ、かつ安定化させることができる。
なお、条件IIの検出には、反応器4a、4bの入口および出口ポート付近にそれぞれガス濃度センサを配置しておけばよい。このガス濃度センサの検出値に基づいて、二酸化炭素の一酸化炭素への変換効率を計算により求めることができる。
また、混合ガス中に含まれる一酸化炭素の濃度をより安定化させる観点から、反応器4a、4bへの排ガスの供給量と、反応器4a、4bへの還元ガスの供給量とは、できる限り近くなるように設定することが好ましい。具体的には、反応器4a、4bへの排ガスの供給量P[mL/分]とし、反応器4a、4bへの還元ガスの供給量をQ[mL/分]としたとき、P/Qは、0.9〜2なる関係を満足することが好ましく、0.95〜1.5なる関係を満足することがより好ましい。排ガスの供給量Pが多過ぎると、反応器4a、4b内の還元剤4Rの量によっては、一酸化炭素に変換されることなく、反応器4a、4bから排出される二酸化炭素の量が増加する傾向がある。
上記条件Iにおける所定の量は、還元剤4Rに占める質量の割合が最も多い金属元素1モル当たり、二酸化炭素が0.01〜3モルの量であることが好ましく、0.1〜2.5モルの量であることがより好ましい。
また、上記条件IIにおける所定の値は、50〜100%であることが好ましく、60〜100%であることがより好ましく、70〜100%であることがさらに好ましい。なお、所定値の上限は、95%以下であってもよく、90%以下であってもよい。
いずれの場合も、二酸化炭素の一酸化炭素への変換効率が極端に低下する前に、反応器4a、4bの切り換えが可能であり、結果として、一酸化炭素を高濃度で含む混合ガスを安定して得ることができ、よって、一酸化炭素を高濃度で含む生成ガスを製造することもできる。
なお、還元ガス(還元物質)の供給量Qは、還元剤4Rに占める質量の割合が最も多い金属元素1モル当たり、水素が0.1〜3モルの量であることが好ましく、0.15〜2.5モルの量であることがより好ましい。還元ガスの供給量Qを上限値を超えて多くしても、酸化状態の還元剤4Rを還元する効果のそれ以上の増大が期待できない。一方、還元ガスの供給量Qが少な過ぎると、還元ガス中に含まれる水素の量によっては、還元剤4Rの還元が不十分になる場合がある。
また、反応器4a、4bに供給する還元ガスの圧力は、大気圧であってもよく、加圧(排ガスと同程度)であってもよい。
[11]次に、反応器4a、4bを通過したガスは、合流して混合ガスが生成される。この時点で、混合ガスの温度は、通常、600〜650℃である。この時点での混合ガスの温度が上記範囲であれば、反応器4a、4b内の温度が十分に高温に維持されていることを意味し、還元剤4Rによる二酸化炭素の一酸化炭素への変換や、還元ガスによる還元剤4Rの還元が効率よく進行していると判断することができる。
[12]次に、混合ガスは、ガス精製部9に至るまでに、100〜300℃にまで冷却される。
[13]次に、混合ガスは、ガス精製部9を通過する。これにより、例えば、生成された凝縮水および凝縮水に溶解する二酸化炭素等が除去される。その結果、混合ガスから一酸化炭素が精製され、一酸化炭素を高濃度で含む生成ガスが得られる。
なお、得られる生成ガスの温度は、20〜50℃である。
[14]次に、生成ガスは、生成ガス排出部40からガス製造装置1外に排出され、次工程に供される。
<還元剤加熱部(還元剤温調部)の構成>
図4は、還元剤加熱部の構成を示す概略図であり、図5は、還元剤加熱部の他の構成を示す概略図である。
図4に示す還元剤加熱部12は、図2に示す多管式の反応器4a、4bにおいて、複数の管体41とハウジング42とで画成される空間43に供給する媒体と、媒体を空間43に移送する移送装置121と、媒体を加熱する加熱装置122とを備えている。
本構成例の還元剤加熱部12は、反応器4a、4bのそれぞれに接続された循環式の媒体ラインML1を備え、この媒体ラインML1に媒体が充填されている。媒体ラインML1は、途中で分岐した後、各反応器4a、4bに接続され、その後、再度合流して1つになっている。また、1つになった媒体ラインML1の途中には、移送装置121および加熱装置122が配置されている。
かかる構成によれば、加熱装置122で加熱された媒体が、媒体ラインML1を循環する際に、反応器4a、4bの空間43に供給される。これにより、還元剤4Rが管体41を介して間接的に加熱される。また、2つの反応器4a、4bの還元剤4Rの加熱温度をほぼ等しく設定することもできる。
還元剤4Rの加熱温度は、300〜700℃であることが好ましく、650〜700℃であることがより好ましい。加熱温度が高過ぎると、還元剤4Rを構成する金属酸化物の種類にもよるが、還元剤4Rが劣化して活性が低下し易くなる傾向がある。一方、加熱温度が低過ぎると、高濃度で一酸化炭素を含む生成ガスの製造に要する時間が長くなる傾向がある。
媒体としては、気体、液体(粘性液体を含む。)等が挙げられる。
加熱装置122は、電熱器のみで構成することができる他、電熱器と排ガス加熱部10で記載したのと同様の熱交換器とで構成することもできる。
後者の構成によれば、反応器4a、4bを通過した後の高温のガスの熱を利用して、反応器4a、4bに供給する前の媒体を熱交換により加熱するため、熱の有効利用を図ることができる。
なお、媒体として気体を使用する場合、移送装置121は、送風機で構成することができる。また、媒体として液体を使用する場合、移送装置121は、ポンプで構成することができる。
なお、還元剤加熱部12は、媒体(加熱ガス)を用いる構成に代えて、電気ヒーターで構成することもできる。この場合、電気ヒーターによる加熱は、反応器4a、4bのハウジング42に対して行ってよいし、還元剤4Rが充填された管体41に対して別個に行ってもよい。
図5に示す還元剤加熱部12は、非循環式の媒体ラインML2を備えており、媒体として大気(気体)を使用するように構成されている。
本構成例では、媒体ラインML2の大気の供給口側から順に、移送装置121(送風機)と、第1熱交換器123と、電熱器で構成された加熱装置124とが配置され、大気の排出口側に、第2熱交換器125が配置されている。
第1熱交換器123および第2熱交換器125は、それぞれ熱交換器102と同様の構成を有していることが好ましい。
第1熱交換器123は、反応器4a、4bの管体41内を通過した後のガス(例えば、混合ガス)と、反応器4a、4bの空間43に供給する前の大気との間で熱交換する。一方、第2熱交換器125は、反応器4a、4bの空間43を通過した後の大気と、反応器4a、4bに供給する前の排ガスとの間で熱交換する。
反応器4a、4bを通過した後の高温のガスまたは大気(媒体)の熱を利用して、反応器4a、4bに供給する前の大気(媒体)または排ガスを熱交換により加熱するため、熱の有効利用を図ることができる。
なお、第2熱交換器125は、反応器4a、4bに供給する前の排ガスとの間で熱交換する構成に代えて、反応器4a、4bに供給する前の還元ガスとの間で熱交換する構成としてもよく、反応器4a、4bに供給する前の排ガスおよび還元ガスの双方との間で熱交換する構成としてもよい。
また、図5に示す構成例によれば、図4に示す構成例より、移送装置121に接触する媒体の温度が低くなるため、比較的安価な耐熱性の低い移送装置でも使用可能であるという利点がある。
ここで、反応器4a、4b(還元剤4R)を加熱するのに燃焼炉等を用いると、還元剤4Rの加熱温度(反応温度)を維持するのに、燃料を燃焼する必要が生じる。このため、二酸化炭素が発生し、二酸化炭素を大気中に放出せざるを得ないことになる。
これに対して、還元剤加熱部12を図4および図5に示す構成とすることにより、移送装置121および加熱装置122、124の動力源として、上述したような再生可能エネルギーとしての電力(電気エネルギー)を使用できるため、環境への負荷を低減することができる。
また、ガス製造装置1内に存在する可燃ガスへの引火の可能性をより確実に低減することができるという利点もある。
なお、還元剤加熱部は、図4および図5に示す構成に代えて、還元剤4Rに対してマイクロ波を照射する照射装置を備える構成とすることもできる。
マイクロ波の照射により還元剤4Rを加熱する構成によれば、還元剤4Rを比較的短時間で、目的の温度まで加熱することができる。また、還元剤4Rの表面付近のみならず、中心部まで均一に加熱し易い。さらに、還元剤4Rの加熱温度を精密に制御し易い。よって、照射装置を使用すれば、生成ガスの製造効率をより高めることができる。加えて、かかる照射装置は、図4および図5に示す構成と比較して、小型化が可能である。
また、マイクロ波の照射の場合、還元剤4Rの表面付近のみを局所的(優先的)に目的とする温度に上昇させることができる。このため、高温で反応が進行する場合(吸熱反応の場合)には、その効率を高め易い。この場合、還元剤4Rの表面付近のみの温度を上昇させるだけのエネルギーを投入すればよいので、エネルギー効率も向上する。
マイクロ波は、周波数300MHz〜300GHzの電磁波を意味し、周波数300〜3000MHzの極超短波(UHF)、周波数3〜30GHzのセンチメートル波(SHF)、周波数30〜300GHzのミリ波(EHF)、周波数300〜3000GHzのサブミリ波(SHF)に分類される。中でも、マイクロ波としては、極超短波(UHF)が好ましい。極超短波(UHF)を使用することにより、還元剤4Rをより短時間で、目的の温度まで加熱することができる。
なお、マイクロ波の照射を行う場合、電波法に準拠した電波の漏洩対策が適切に講じられる。
また、マイクロ波の照射は、連続的に行ってもよく、間欠的(パルス的)に行ってもよい。
マイクロ波の照射を連続的に行えば、二酸化炭素の一酸化炭素への変換効率および還元ガスによる還元剤4Rの再生(還元)効率がさらに高まることを、本発明者らは知見している。その理由は、必ずしも明確ではないが、反応器4a、4b内に供給される排ガス中に含まれる二酸化炭素、還元ガス中に含まれる水素および還元剤4Rが、連続的に照射されるマイクロ波により活性化されることが要因であると考えられる。
一方、マイクロ波の照射を間欠的に行う場合には、二酸化炭素の一酸化炭素への変換および還元ガスによる還元剤4Rの再生(還元)の際の吸熱反応に必要なエネルギー分だけを補償するように、所定のタイミングでマイクロ波を照射すればよいので、エネルギー効率を高めることができる。
マイクロ波の照射による加熱の場合、排ガスの加熱温度、還元ガスの加熱温度及び還元剤4Rの加熱温度は、それぞれ上述と同じ範囲としてもよく、上述と異なる範囲としてもよい。例えば、上記各加熱温度は、300〜700℃に設定することができる。
なお、照射装置は、反応器4a、4bの内部に配置してもよく、外部に配置してもよい。上述したように、濃度調整部5により、排ガスのガス組成を爆発範囲から乖離させておけば、マイクロ波の照射条件によらず、排ガスに対する着火源となることを好適に防止することができる。
また、照射装置の動力源には、電気エネルギーが使用されるため、この電気エネルギーを再生可能エネルギーに切り換え易いというメリットもある。
さらに、還元剤加熱部は、図6に示すように、電場を発生させ、還元剤4Rに対して電場を付与する電場発生装置129を備える構成とすることもできる。
図6は、還元剤加熱部としての電場発生装置の構成を示す概略図である。
図6に示す電場発生装置129は、高圧電源1291と、受動部品(インピーダンス部品)1292と、電源1291と受動部品1292とを電気的に接続する導線1293および導線1294とを備えている。
高圧電源1291は、直流電源であっても、交流電源であってもよい。
受動部品1292は、高圧電源1291の種類等に応じて、抵抗、コンデンサ等で構成することができる。
なお、導線1293は、接地されていてもよく(図6参照)、接地されていなくてもよい。
導線1293は、複数に分岐した分岐部分を備え、各分岐部分を還元剤4Rに接触させるように管体41を通過させてもよく、各分岐部分を管体41の外周側に巻回してもよい。また、各分岐部分は、その長手方向の途中で分断され、2つの端部にプローブ(電極)を設け、各プローブを所定の距離離間させた状態で、各管体41の内部または外部に配置するようにしてもよい。
かかる構成において、高圧電源1291から、電場を発生させるのに最低限必要な電流または電圧を電気回路に供給すると、管体41内において還元剤4Rの周囲に電場を発生させることができる。この発生した電場により、還元剤4Rを加熱することができる。
また、交流を使用すれば、電流の方向を反転させることができ、交流の条件等によっては、還元剤4Rの表面を正または負に帯電させ、活性化することもできる。
電源1291からの電流値は、特に限定されないが、10mA〜2Aであることが好ましく、100mA〜1Aであることがより好ましい。
また、電源1291からの電圧値も、特に限定されないが、10V〜3kVであることが好ましく、100V〜1kVであることがより好ましい。
電流値および電圧値を上記範囲に設定することにより、目的とする強度を有する電場をより確実かつ短時間で発生させることができる。
また、電場によれば、還元剤4Rの表面付近のみならず、中心部まで均一に加熱し易い。さらに、還元剤4Rの加熱温度を精密に制御し易い。よって、電場発生装置129を使用すれば、生成ガスの製造効率をより高めることができる。加えて、かかる電場発生装置129は、図4および図5に示す構成と比較して、小型化が可能である。
発生させるべき電場の強さは、特に限定されないが、−1〜+1V/μmであることが好ましく、−100〜+100V/nmであることがより好ましい。
なお、電場を発生させる場合、電波法に準拠した電波の漏洩対策が適切に講じられる。
また、電流は、電気回路に連続的に供給してもよく、間欠的(パルス的)に供給してもよい。なお、後者の場合、パルス間隔および1回の通電の時間は、適宜、設定することができる。
電流を連続的に供給すれば、二酸化炭素の一酸化炭素への変換効率および還元ガスによる還元剤4Rの再生(還元)効率がさらに高まることを、本発明者らは知見している。その理由は、必ずしも明確ではないが、反応器4a、4b内に供給される排ガス中に含まれる二酸化炭素、還元ガス中に含まれる水素および還元剤4Rが、連続的に発生する電場により活性化されることが要因であると考えられる。
一方、電流を間欠的に供給する場合には、二酸化炭素の一酸化炭素への変換および還元ガスによる還元剤4Rの再生(還元)の際の吸熱反応に必要なエネルギー分だけを補償するように、所定のタイミングで電場を発生させればよいので、エネルギー効率を高めることができる。
電場による加熱の場合、排ガスの加熱温度、還元ガスの加熱温度及び還元剤4Rの加熱温度は、それぞれ上述と同じ範囲としてもよく、上述と異なる範囲としてもよい。例えば、上記各加熱温度は、100〜700℃に設定することができる。
なお、上述したように、濃度調整部5により、排ガスのガス組成を爆発範囲から乖離させておけば、電場の発生条件によらず、排ガスに対する着火源となることを好適に防止することができる。
また、高圧電源1291として、再生可能エネルギーとしての電力が使用可能であるというメリットもある。
上述したように、還元剤4Rによる反応が発熱反応である場合、還元剤温調部を還元剤冷却部として構成することができる。この場合、例えば、図4および図5に示す構成において、第1熱交換器123および第2熱交換器125を省略し、加熱装置122、124を冷却装置に変更すればよい。冷却装置としては、ジャケット式の冷却装置、多管式の冷却装置等が挙げられる。この場合も、還元剤4Rの冷却温度(温調後の温度)を、上述と同じ範囲とするのが好ましい。
<接続部付近の構成>
図7は、本発明のガス製造装置と炉との接続部(原料ガス供給部)付近の構成を示す概略図である。
図7に示すように、炉20は、排ガスを大気に排出する煙突21を備えている。煙突21の高さ方向の途中には、分岐部22にガスライン23の一端部が接続されている。また、このガスライン23の他端部は、ガス製造装置1の接続部2に接続されている。
図7に示す構成では、接続部2と濃度調整部5との間に、冷却部13が設けられている。そして、この冷却部13は、冷却装置131と、冷却装置131に接続された容器132とを備えている。冷却装置131は、上述したようなジャケット式の冷却装置、多管式の冷却装置等で構成することができる。
炉20から供給される排ガスは、水蒸気の他、酸化ガス成分(SO、HCl等)も含むため、冷却部13での冷却により、酸化ガス成分とともに、水蒸気を凝縮させ、酸化ガス成分が溶解した凝縮水(酸性水溶液)として除去することが好ましい。これにより、ガスラインGL1を構成する配管の腐食を好適に防止することができる。
本構成例では、冷却装置131で排ガスを冷却することにより酸性水溶液が生成され、この酸性水溶液は、容器132に貯留され、排ガスと分離される。また、容器132内の気液界面には、気体の通過は許容するが、液体の通過を阻止するフィルタを配置するようにしてもよい。
かかる構成の場合、分岐部22と冷却装置131との離間距離(図7中、L1)は、特に限定されないが、10m以下が好ましく、1〜5mであることがより好ましい。離間距離L1を上記範囲に設定すれば、ガスラインGL1の目的としない箇所において、酸性ガスが溶解した凝縮水(酸性水溶液)が生成されるのを阻止して、ガスラインGL1を構成する配管の腐食をより確実に防止することができる。
また、ガス製造システム100が例えば寒冷地等に施設される場合、特に、炉20とガス製造装置1との離間距離L2によっては、ガスライン23の途中で凝縮水が生成され、さらに凍結に至ることがある。これが原因で、ガスライン23を構成する配管が破損するおそれがある。
したがって、このようなトラブルを防ぐために、ガスライン23中の排ガスを加熱することが好ましい。加熱温度は、凍結が生じない温度であればよいが、酸露点温度(例えば、120℃)以上であることが好ましく、120〜150℃であることがより好ましい。これにより、ガスライン23を構成する配管が破損するのを防止しつつ、酸性ガスが溶解した凝縮水の生成による配管の腐食も好適に防止することができる。
なお、ガスライン23中の排ガスを加熱するには、例えば、ガスライン23を構成する配管の周囲に電熱線(ヒータ)を巻回して配置すればよい。また、耐腐食目的の場合、ヒーターを用いず、耐腐食性の樹脂材料(例えば、フッ素系樹脂材料)で構成される樹脂ライニング配管等を用いてもよい。
なお、本構成例においては、必要に応じて、容器132を省略してもよい。
なお、上記実施形態では、原料ガスの一例として排ガスを代表に説明したが、上述したように、原料ガスとしては、二酸化炭素を含むガスであれば、特に排ガスに限定されるものではない。したがって、上記実施形態において、排ガスの各種処理条件(圧縮部6による加圧の圧力、反応器4a、4bへ供給する前の加熱温度、反応器4a、4bへの供給量等を含む。)は、その他の原料ガスについても同様に適用することができる。
以上のようなガス製造装置1、ガス製造システム100を使用して、二酸化炭素を含む原料ガスから、一酸化炭素を含む生成ガスを製造することができる。
<ガス製造方法>
本実施形態のガス製造方法は、上記排ガス(原料ガス)と、上記還元剤4Rとを接触させて、一酸化炭素を含む生成ガスを製造する方法であり、I:還元剤4Rを内部に配置した複数の反応器4a、4bと、排ガスと、二酸化炭素との接触により酸化された還元剤4Rを還元する水素(還元物質)を含む還元ガスとを準備し、II:排ガスおよび還元ガスを加熱し、III:排ガスと還元ガスとを供給する反応器4a、4bを切り換えることにより、各反応器4a、4b内において還元剤4Rに排ガスと還元ガスとを交互に接触させて、二酸化炭素を一酸化炭素に変換した後、酸化された還元剤4Rを還元し、IV:反応器4a、4bを通過した後のガス同士を合流させて、混合ガスを生成し、V:混合ガスをそのまま、または、混合ガスから一酸化炭素を精製することにより、生成ガスとして回収する。
<製造物>
上記ガス製造装置1、ガス製造システム100を使用して製造された生成ガスは、通常、一酸化炭素の濃度が60体積%以上、好ましくは75体積%以上、より好ましくは90体積%以上である。
また、上述したような生成ガスは、微生物(例えば、クロストリジウム等)による発酵により有価物質(例えば、エタノール等)を合成する分野、燃料または還元剤として使用して鉄鋼を製造する分野、電気デバイスを製造する分野、一酸化炭素を合成原料とする化学品(ホスゲン、酢酸等)を製造する分野、還元剤として使用する分野(高炉)、燃料として使用して火力により発電する分野、燃料として使用する燃料電池の分野等において使用することができる。
また、上述したガス製造システム100(ガス製造装置1)において、反応器4a、4bを通過したガスは、反応器4a、4bを通過した直後に合流する構成であったが、合流する前に各種処理が施されてもよい。すなわち、分岐ガスラインGL4a、GL4bの途中には、任意の目的で、少なくとも1種の処理器を設けることができる。
次に、かかる構成のガス製造システム100について説明する。
図8は、本発明のガス製造システムの他の実施形態を示す概略図であり、図9は、図8の精製器の構成を模式的に示す断面図である。
以下、図8に示すガス製造システム100について、図1に示すガス製造システム100との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図8に示すガス製造システム100は、さらに、分岐ガスラインGL4a、GL4bの途中に設けられた精製器14a、14bを有している。すなわち、各精製器14a、14bは、対応する反応器4a、4bの下流側に接続され、反応器4a、4b及び精製器14a、14bを順次通過したガスは、ガス合流部J4において合流する。
各精製器14a、14bは、図9に示すように、複数の分離筒141と、複数の分離筒141を収納したハウジング(精製器本体)142とを備える多管式の精製装置で構成されている。かかる多管式の精製装置によれば、反応器4a、4bを通過したガスと分離筒141との接触の機会を十分に確保することができる。
各精製器14a、14bは、還元剤4Rとの接触により生成した水(還元物質の酸化物)と水素(還元物質)との分離、および、一酸化炭素と二酸化炭素との分離のうちの少なくとも一方が可能に構成されていることが好ましい。特に、分離筒141は、その壁部を水(水蒸気)または一酸化炭素を透過させ、水素または二酸化炭素と分離するように構成されることが好ましい。
本実施形態では、分離筒141を透過した水および一酸化炭素は、精製器14a、14bから分岐ガスラインGL4a、GL4bに排出される。一方、分離筒141内を通過した還元ガス(未反応の水素)および排ガス(未反応の二酸化炭素)は、ハウジング142(空間143)に接続されたガスラインGL14a、GL14bに排出される。
これらのガスラインGL14a、GL14bは、それぞれガスラインGL1およびガスラインGL2の途中に接続されてもよい。これにより、未反応の水素および二酸化炭素を再利用することができる。
分岐ガスラインGL4a、GL4bに排出されるガスには、水または一酸化炭素以外の他のガス成分が含まれていてもよいし、ガスラインGL14a、GL14bに排出されるガスにも、水素または二酸化炭素以外の他のガス成分が含まれていてもよい。
なお、一酸化炭素と二酸化炭素との分離、および、水と水素との分離は、それぞれ、凝縮(液化)する温度の違いを利用して、各反応器4a、4bから排出されるガスを冷却することによっても可能である。しかしながら、この場合、反応器4a、4bの下流側で、分離後のガス成分を高温状態で使用する際(例えば、上記熱交換器102で使用する際等)には、再度、加熱する必要があり、熱エネルギーに無駄が生じる。これに対して、精製器14a、14bによれば、高温(例えば、200〜500℃)でガス成分の分離操作を行うことができるので、分離後のガス成分の温度の低下が生じ難いため、生成ガスの製造全体における熱エネルギーの削減に寄与することができる。
なお、精製器14a、14bによる分離後のガス成分の温度の低下をより確実に防止する観点からは、分離筒141を加熱する加熱装置(例えば、上記マイクロ波を照射する照射装置等)を設けるようにしてもよい。
上述したように、各反応器4a、4bからは、比較的高温のガスが排出される。したがって、分離筒141は、耐熱性を備えることが好ましい。これにより、分離筒141の変質および劣化を防止することができる。
かかる分離筒141は、金属、無機酸化物または金属有機構造体(Metal Organic Frameworks:MOF)で構成されていることが好ましい。この場合、分離筒161に優れた耐熱性を付与し易い。ここで、金属としては、例えば、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、クロム、コバルトまたはこれらを含む合金等が挙げられる。無機酸化物としては、例えば、シリカ、ゼオライト等が挙げられる。また、金属有機構造体としては、例えば、硝酸亜鉛水和物とテレフタル酸ジアニオンとの構造体、硝酸銅水和物とトリメシン酸トリアニオンとの構造体等が挙げられる。金属を用いる場合、分離筒141は、好ましくは、空孔率が80%以上の多孔質材料で構成される。
分離筒141は、隣接する空孔同士が連通する連続空孔(筒壁を貫通する細孔)を備える多孔質体で構成されていることが好ましい。かかる構成の分離筒141であれば、水または一酸化炭素の透過率を高めて、水と水素との分離および/または一酸化炭素と二酸化炭素との分離をより円滑かつ確実に行うことができる。
分離筒141の空孔率は、特に限定されないが、5〜95%であることが好ましく、10〜90%であることがより好ましく、20〜60%であることがさらに好ましい。これにより、分離筒141の機械的強度が極端に低下するのを防止しつつ、水または一酸化炭素の透過率を十分に高く維持することができる。
なお、分離筒141の形状は、特に限定されず、円筒状、四角形、六角形のような角筒状等が挙げられる。
ガス合流部J4において合流した後のガスの取扱性を向上させ(引火を未然に防止し)、生成ガスの製造効率を高く維持する観点からは、未反応の水素を除去することが有効である。
すなわち、図9に示すように、反応器4a、4bを通過した水素(H)および水(HO)から、分離筒141を介して水をハウジング142内の空間143に移動させるように構成するのが好ましい。
この場合、分離筒141の平均空孔径は、600pm以下であるのが好ましく、400〜500pmであるのがより好ましい。これにより、水と水素との分離効率をより向上させることができる。
なお、ハウジング142内の空間143は、減圧してもよいし、キャリアガス(スウィープガス)を通過させるようにしてもよい。キャリアガスとしては、例えば、ヘリウム、アルゴンのような不活性ガス等が挙げられる。
また、分離筒141は、親水性を有することが好ましい。分離筒141が親水性を有すれば、水の分離筒141に対する親和性が高まり、水が分離筒141をより円滑に透過し易くなる。
分離筒141に親水性を付与する方法としては、無機酸化物中の金属元素の比率を変更(例えば、Al/Si比を高める等)して分離筒141の極性を向上させる方法、分離筒141を親水性ポリマーで被覆する方法、分離筒141を親水性基(極性基)を有するカップリング剤で処理する方法、分離筒141に対してプラズマ処理、コロナ放電処理等を行う方法等が挙げられる。
さらに、分離筒141の表面電位を調整することにより、水に対する親和性を制御するようにしてもよい。
一方、分離筒141において、一酸化炭素と二酸化炭素との分離を優先させて行う場合、水と水素との分離および一酸化炭素と二酸化炭素との分離の双方を同時に行う場合には、分離筒141の構成材料、空孔率、平均空孔径、親水性または疎水性の程度、表面電位等を適宜組み合わせて設定するようにすればよい。
なお、精製器は、ガスラインGL4の途中であって、ガス合流部J4とガス精製部9との間に設けるようにしてもよい。
また、精製器14a、14bを設ける場合、上記ガス精製部9を省略するようにしてもよい。
以上、本発明のガス製造装置、ガス製造システムおよびガス製造方法について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明のガス製造装置およびガス製造システムは、それぞれ上記実施形態に対して、他の任意の追加の構成を有していてもよく、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていてよく、一部の構成が省略されていてもよい。
また、本発明のガス製造方法は、上記実施形態に対して、任意の目的の工程が追加されていてもよい。
また、反応器4a、4bは、固定層式の反応器に代えて、移動層式の反応器で構成するようにしてもよい。この場合、2つの反応器4a、4bを上部および下部で互いに接続し、反応器4a、4b同士の間で還元剤4Rを移動可能(循環可能)に構成することができる。
この場合、ガスラインGL1を分岐させることなく、反応器4a、4bの一方の入口ポートに接続し、ガスラインGL2も分岐させることなく、反応器4a、4bの他方の入口ポートに接続すればよい。
また、この場合、反応器4a、4bの一方が向流立型の反応器で構成され、他方が並流立型の反応器で構成される。なお、反応器4a、4bの双方を、十字流式の反応器で構成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、還元ガスとして水素を含むガスを代表に説明したが、還元ガスには、還元物質として、水素に代えてまたは水素とともに、炭化水素(例えば、メタン、エタン、アセチレン等)およびアンモニアから選択される少なくとも1種を含むガスを使用することもできる。
また、上記実施形態では、反応器に供給する前の排ガス(原料ガス)、還元ガスまたは加熱用の媒体と、混合ガスとの間で熱交換する構成の熱交換器について説明したが、各反応器から排出され、混合ガスとされる前のガスと熱交換する構成の熱交換器を採用するようにしてもよい。
100…ガス製造システム
1…ガス製造装置
2…接続部
3…還元ガス供給部
4…反応部
4a、4b…反応器
41…管体、42…ハウジング、43…空間、44…隔壁部、4R…還元剤
5…濃度調整部
6…圧縮部
7…微成分除去部
8…ガス切換部
9…ガス精製部
10…排ガス加熱部
101…電熱器、102…熱交換器
11…還元ガス加熱部
12…還元剤加熱部
121…移送装置、122…加熱装置、123…第1熱交換器、124…電熱器、
125…第2熱交換器
129…電場発生装置
1291…高圧電源、1292…受動部品、1293…導線、1294…導線
13…冷却部
131…冷却装置、132…容器
14a、14b…精製器
141…分離筒、142…ハウジング、143…空間
20…炉
21…煙突、22…分岐部、23…ガスライン
30…タンク
40…生成ガス排出部
GL1…ガスライン
GL2…ガスライン
GL3a、GL3b…ガスライン
GL4…ガスライン
GL4a、GL4b…分岐ガスライン、J4…ガス合流部
GL14a、GL14b…ガスライン
L1…離間距離
L2…離間距離

Claims (17)

  1. 二酸化炭素を含む原料ガスと、前記二酸化炭素を還元する金属酸化物を含む還元剤とを接触させて、一酸化炭素を含む生成ガスを製造するガス製造装置であって、
    前記原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
    前記二酸化炭素との接触により酸化された前記還元剤を還元する還元物質を含む還元ガスを供給する還元ガス供給部と、
    前記原料ガス供給部および前記還元ガス供給部の少なくとも一方にそれぞれ接続された複数の反応器と、前記反応器内に配置された前記還元剤とを備え、各前記反応器に供給する前記原料ガスと前記還元ガスとを切換可能または前記反応器同士の間で前記還元剤を移動可能な反応部と、
    前記反応器を通過した後のガス同士を合流させて、混合ガスを生成するガス合流部と、
    前記反応器に供給する前の前記原料ガスを加熱する原料ガス加熱部と、
    前記反応器に供給する前の前記還元ガスを加熱する還元ガス加熱部とを有することを特徴とするガス製造装置。
  2. 前記原料ガス加熱部による前記原料ガスの加熱温度をX[℃]とし、前記還元ガス加熱部による前記還元ガスの加熱温度をY[℃]としたとき、|X−Y|は0〜25なる関係を満足する請求項1に記載のガス製造装置。
  3. 前記原料ガス加熱部は、前記混合ガスと、前記反応器に供給する前の前記原料ガスとの間で熱交換する熱交換器を備える請求項1または2に記載のガス製造装置。
  4. 前記原料ガスは、炉から排出される排ガスであり、
    さらに、前記排ガス中に含まれる前記二酸化炭素の濃度を調整する濃度調整部を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス製造装置。
  5. 前記濃度調整部は、前記排ガス中に含まれる酸素を除去する酸素除去装置を備える請求項4に記載のガス製造装置。
  6. さらに、前記反応器に供給する前の前記原料ガスの圧力を上昇させる圧縮部を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス製造装置。
  7. さらに、前記原料ガス供給部と前記反応器との間に設けられ、前記原料ガス中に含まれる微成分を除去する微成分除去部を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス製造装置。
  8. 前記微成分除去部は、前記微成分であって、前記還元剤との接触により前記還元剤の活性を低下させる成分を捕捉可能な物質を備える保護器を含む請求項7に記載のガス製造装置。
  9. さらに、前記還元剤に前記原料ガスまたは前記還元ガスを接触させる際に、前記還元剤の温度を調整する還元剤温調部を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載のガス製造装置。
  10. 前記還元剤温調部は、前記還元剤に対してマイクロ波を照射する照射装置を備える請求項9に記載のガス製造装置。
  11. 前記還元剤温調部は、電場を発生させ、前記還元剤に対して前記電場を付与する電場発生装置を備える請求項9に記載のガス製造装置。
  12. さらに、前記混合ガスから前記一酸化炭素を精製するガス精製部を有する請求項1〜11のいずれか1項に記載のガス製造装置。
  13. 前記還元ガスは、前記還元物質として水素を含み、
    前記還元ガス供給部は、水の電気分解により前記水素を発生させる水素発生装置または副生水素を前記水素として発生させる水素発生装置を備える請求項1〜12のいずれか1項に記載のガス製造装置。
  14. 前記金属酸化物は、第3族〜第12族に属する金属元素から選択される少なくとも1種を含有する請求項1〜13のいずれか1項に記載のガス製造装置。
  15. さらに、各前記反応器の下流側に接続された精製器を有し、
    前記精製器は、精製器本体と、該精製器本体内に配置され、前記還元剤との接触により生成した前記還元物質の酸化物と前記還元物質との分離、および、前記一酸化炭素と前記二酸化炭素との分離のうちの少なくとも一方が可能な分離筒とを備える請求項1〜14のいずれか1項に記載のガス製造装置。
  16. 二酸化炭素を含む原料ガスを生成する原料ガス生成部と、
    請求項1〜15のいずれか1項に記載のガス製造装置とを備え、
    前記ガス製造装置が、前記原料ガス供給部を介して前記原料ガス生成部に接続されていることを特徴とするガス製造システム。
  17. 二酸化炭素を含む原料ガスと、前記二酸化炭素を還元する金属酸化物を含む還元剤とを接触させて、一酸化炭素を含む生成ガスを製造するガス製造方法であって、
    前記還元剤を内部に配置した複数の反応器と、前記原料ガスと、前記二酸化炭素との接触により酸化された前記還元剤を還元する還元物質を含む還元ガスとを準備し、
    前記原料ガスおよび前記還元ガスを加熱し、
    前記原料ガスと前記還元ガスとを供給する前記反応器を切り換えるか、または、前記反応器同士の間で前記還元剤を移動させることにより、各前記反応器内において前記還元剤に前記原料ガスと前記還元ガスとを交互に接触させて、前記二酸化炭素を前記一酸化炭素に変換した後、前記酸化された還元剤を還元し、
    前記反応器を通過した後のガス同士を合流させて、混合ガスを生成し、
    前記混合ガスをそのまま、または、前記混合ガスから前記一酸化炭素を精製することにより、前記生成ガスとして回収することを特徴とするガス製造方法。
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