JP2021074727A - スポット溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高板厚比の板組みに対して良好な品質の溶接部をスポット溶接で形成するための技術を提供する。【解決手段】このスポット溶接方法は、複数の金属板2〜5を重ね合わせた板組み1であって、複数の金属板2〜5のうち相対的に薄肉の薄肉金属板2が厚み方向一端側又は両端側に配置される板組み1を準備する板組準備工程S1と、板組み1に対して一対の電極11,12で加圧通電することにより、板組み1の内部に溶接部6を形成する溶接工程とを備える。溶接工程S2で、一対の電極11,12のうち一方の電極11と、一方の電極11に近い側の厚み方向一端側の薄肉金属板2との間に、厚み方向一端側の薄肉金属板2から一方の電極11,12側への伝熱を抑制する伝熱抑制板13を配設した状態で、板組み1に対して一対の電極11,12による加圧通電を行う。【選択図】図3

Description

本発明は、スポット溶接方法に関し、特に高板厚比の板組みに対して良好な品質の溶接部をスポット溶接で形成するための技術に関する。
周知のように、スポット溶接は、2枚以上の金属板(多くの場合は鋼板)を一対の電極で挟んで加圧した状態で、一対の電極間に高電流を付与することで、金属板を抵抗発熱により部分的に溶融させ、溶融部を拡大させることで、所望の範囲及び大きさの溶接部(通常、ナゲットと呼ばれる)を金属板間に跨って形成する接合方法である。
このスポット溶接を、2〜3枚の金属板を重ね合わせた板組みに適用する場合の具体的な技術(溶接条件など)についてはある程度確立されている。その一方で、4枚以上の金属板を重ね合わせた板組みにスポット溶接を施す場合、あるいは、板組みの板厚比(通常、板組みを構成する全ての金属板の厚み寸法の総和を、板組みの厚み方向一端側に位置する最も薄肉の金属板の厚み寸法で除した値で表される)が大きい場合には、所要の強度を示し得る良好な品質の溶接部を形成することが困難であった。
そこで、例えば、スポット溶接時の加圧力や通電量(電流値)、通電時間などを適宜設定することにより、板厚比の大きい板組みを溶接する方法が提案されている(例えば特許文献1や特許文献2を参照)。
特開平10−249537号公報 特開2010−240740号公報
ところで、この種のスポット溶接においては、電極間に形成される溶接部が厚み方向一端側の金属板とその内側で隣接する金属板との境界を越えて成長するまで、加圧通電を継続する必要がある。電極は、通常、溶接対象となる鋼板等の金属板よりも熱伝導率に優れた材質(例えば銅合金)で形成される。また、電極の内部に流通させた冷却液により通電時に電極は冷却される。これにより、電極に接触する厚み方向一端側の金属板から電極への伝熱により当該金属板が冷却され、厚み方向一端側の金属板のうち電極との接触位置から所定の深さまでの領域において温度が上がりにくい状況が生じる。そのため、板組みの板厚比が大きい場合、特に厚み方向一端側の金属板が最も薄肉である場合には、特許文献1等に記載のように加圧力や通電量などの溶接条件を調整したとしても、溶接部を薄肉金属板に到達する大きさにまで成長させることは依然として非常に困難であった。
近年、自動車の製造に際して、衝突安全性と軽量化による燃費の向上を目的として、ハイテン材(高張力鋼材)、超ハイテン材(超高張力鋼材)の使用比率を高める試みや、これらハイテン材と軟鋼板(汎用鋼板)とを組み合わせた板組みに対する溶接技術の確立が新たに求められている。また、昨今の車両に対する操作安定性、乗り心地、及び車体剛性等の向上に対する要求の高まりに応じて、非常に板厚比の大きな(例えば5以上の)板組みに対する溶接のニーズが高まっている。以上の理由から、上述した類の板組みに対して良好な品質の溶接部(ナゲット)を形成するに際し、従来公知の溶接技術に代わる新たな溶接技術がより一層強く求められている。
以上の事情に鑑み、本明細書では、高板厚比でかつ少なくとも厚み方向一端側に薄肉の金属板が位置する板組みに対して、良好な品質の溶接部を形成可能とすることを、解決すべき技術課題とする。
前記課題の解決は、本発明に係るスポット溶接方法によって達成される。すなわち、この溶接方法は、複数の金属板を重ね合わせた板組みであって、複数の金属板のうち相対的に薄肉の薄肉金属板が厚み方向一端側又は両端側に配置される板組みを準備する板組み準備工程と、板組みに対して一対の電極で加圧通電することにより、板組みの内部に溶接部を形成する溶接工程とを備えたスポット溶接方法において、溶接工程で、一対の電極のうち少なくとも一方の電極と、一方の電極に近い側の厚み方向一端側の薄肉金属板との間に、厚み方向一端側の薄肉金属板から一方の電極側への伝熱を抑制する伝熱抑制板を配設した状態で、板組みに対して一対の電極による加圧通電を行う点をもって特徴付けられる。なお、ここでいう「薄肉金属板」とは、その厚み寸法が板組みを構成する全ての金属板の厚み寸法の平均値よりも小さい金属板を意味する。また、ここでいう「厚肉金属板」とは、その厚み寸法が板組みを構成する全ての金属板の厚み寸法の平均値よりも大きい金属板を意味する。
このように、本発明に係るスポット溶接方法では、複数の金属板を重ね合わせた板組みであって、複数の金属板のうち相対的に薄肉の金属板が厚み方向一端側又は両端側に配置される板組みを溶接対象とする場合に、少なくとも一方の電極とこの電極に近い側の厚み方向一端側の薄肉金属板との間に、上記薄肉金属板から一方の電極への伝熱を抑制する伝熱抑制板を配設した状態で、板組みに対して一対の電極による加圧通電を行うようにした。このように伝熱抑制板を設けることにより、加圧通電時、厚み方向一端側の薄肉金属板に生じた熱が一方の電極側に逃げる事態を抑制又は可及的に防止することができる。そのため、従来に比べて厚み方向一端側の薄肉金属板の温度を容易に上昇させて、当該薄肉金属板に対する溶け込み(溶融部の厚み方向への拡大)を促進することができる。従って、厚み方向一端側の薄肉金属板を含む全ての金属板に跨る十分な大きさの溶接部を比較的容易に形成することが可能となる。また、伝熱抑制板が一方の電極と厚み方向一端側の薄肉金属板との間に介在することで、加圧通電時に厚み方向一端側の薄肉金属板とこの金属板の内側に位置する金属板との接触面積を減少させることができるので、両金属板間の電流密度を高め易くなる。従って、これによっても溶接部の成長を促進して、全ての金属板に跨る十分な大きさの溶接部を比較的容易に形成することが可能となる。
また、本発明に係るスポット溶接方法によれば、少なくとも厚み方向一端側の薄肉金属板とこの金属板に近い側の電極(一方の電極)との間に伝熱抑制板を配設するだけで、例えば既存の溶接設備と溶接条件(加圧通電条件など)を用いることによって、上記薄肉金属板に至る十分な大きさの溶接部を形成することが可能となる。そのため、実質的に伝熱抑制板を用意するためのコストアップのみで足り、大幅なコストアップを招くことなく高板厚比に係る板組みに対して十分な大きさの溶接部を形成することが可能となる。
また、本発明に係るスポット溶接方法において、溶接工程で板組みに溶接部を形成した後、伝熱抑制板を板組みから取り除く除去工程をさらに備えてもよい。
このように、溶接工程後に伝熱抑制板を板組みから取り除くことによって、溶接工程の実施により伝熱抑制板が厚み方向一端側の薄肉金属板に固定されたか否かによらず、伝熱抑制板を確実に上記薄肉金属板から分離して、所定構造の板組みからなる板状部品を得ることが可能となる。もちろん、伝熱抑制板が上記薄肉金属板に固定されている状態であっても、板状部品の性能、評価に実質的な影響を与えないのであれば、この除去工程を省略することも可能である。
また、本発明に係るスポット溶接方法において、伝熱抑制板の厚み寸法を0.7mm以下に設定してもよい。
本発明者らが、伝熱抑制板の厚み寸法と溶接部の大きさ(溶け込みの範囲)との関係を検証した結果、伝熱抑制板の厚み寸法が0.8mm以上では、伝熱抑制板と厚み方向一端側の薄肉金属板との境界を越えて伝熱抑制板にまで溶け込みが進行するおそれがあることが判明した。以上の結果より、伝熱抑制板の厚み寸法を0.8mm未満に設定することで、好ましくは0.7mm以下に設定することによって、伝熱抑制板への溶け込みを防止して、安定かつ十分な溶接部の形成を図ることが可能となる。
以上のように、本発明によれば、高板厚比でかつ少なくとも厚み方向一端側に薄肉の金属板が位置する板組みに対して、良好な品質の溶接部を形成することが可能となる。また、既存の溶接設備と溶接条件を用いて上述した溶接部を形成することができるので、大幅なコストアップを招くことなく、良好な品質の溶接部を形成することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るスポット溶接方法の流れを示すフローチャートである。 図1に示す準備工程で準備する板組みの断面図である。 (a)〜(c)は何れも、本発明に係る溶接工程の概要を説明するための断面図である。 (a)〜(c)は何れも、従来技術に係る溶接工程の概要を説明するための断面図である。 本発明の他の実施形態に係るスポット溶接方法の概要を説明するための断面図である。 本発明の他の実施形態に係るスポット溶接方法の概要を説明するための断面図である。 本発明の他の実施形態に係るスポット溶接方法の概要を説明するための断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係るスポット溶接方法の内容を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスポット溶接方法の流れを示すフローチャートである。図1に示すように、本発明に係るスポット溶接方法は、溶接対象となる板組みを準備する準備工程S1と、準備した板組みに対してスポット溶接を施す溶接工程S2と、溶接が施された板組みから伝熱抑制板を取り除く除去工程S3とを具備する。以下、各工程を順に説明する。
(S1)準備工程
この工程S1では、スポット溶接の対象となる板組みを準備する。図2は、溶接対象となる板組み1の一例に係る断面図を示している。図2に示すように、この板組み1は、複数の金属板2〜5を重ね合わせてなる。このうち、板組み1の厚み方向両端側に位置する金属板2,5はそれぞれ、板組み1の厚み方向中央側に位置する金属板3,4に比べて薄肉であり、本実施形態では、4枚の金属板2〜5が、第一の薄肉金属板2、第一の厚肉金属板3、第二の厚肉金属板4、第二の薄肉金属板5の順に配置される。ここで、第一の薄肉金属板3と第二の薄肉金属板5との厚み寸法関係は上述の関係を満たす限りにおいて任意であり、本実施形態では、図2に示すように、第一の薄肉金属板2の厚み寸法t1が、第二の薄肉金属板5の厚み寸法t4よりも小さい。すなわち、第一の薄肉金属板2の厚み寸法t1が、板組み1を構成する全ての金属板2〜5の中で最も小さい。また、第一の厚肉金属板3と第二の厚肉金属板4との厚み寸法関係についても上述の関係を満たす限りにおいて任意であり、本実施形態では、図2に示すように、第一の厚肉金属板3の厚み寸法t2が、第二の厚肉金属板4の厚み寸法t3と等しい。この場合、上述した金属板2〜5の厚み寸法の大小関係は、t1<t4<t2=t3である。また、上記板組み1の板厚比(ここでは板組み1の総板厚T/第一の薄肉金属板2の厚み寸法t1)は4以上、あるいは5以上である。
また、各薄肉金属板2,5としては、例えば引張強度300MPa以下の軟鋼板が使用でき、具体的には、溶融亜鉛メッキ鋼板が使用できる。また、各厚肉金属板3,4としては、例えば引張強度490MPa以上の高張力鋼板(いわゆるハイテン材)、あるいは引張強度980MPa以上の超高張力鋼板(いわゆる超ハイテン材)が使用できる。本実施形態では、各厚肉金属板3,4は、ともに同一の材料からなる高張力鋼板であり、具体的には冷間圧延鋼板からなる超高張力鋼板が使用できる。もちろん、各薄肉金属板2,5は互いに異なる材質の金属板であってもよい。同様に、各厚肉金属板3,4は互いに異なる材質の金属板であってもよい。
上述した構成の板組み1は、溶接することにより、例えば自動車の車体を構成する板状部品としての鋼板部品となる。その場合、各薄肉金属板2,5は、外板パネルあるいは内板パネル(サイドアウタパネル、サイドインナパネル、フロアパネル等)として機能し、各厚肉金属板3,4は、骨格フレーム(サイドメンバ、リーンフォースメント等)として機能する。
(S2)溶接工程
溶接工程S2では、上述のように準備された板組み1に対して所定の条件で加圧通電を行うことにより、板組み1内部に所定の溶接部を形成する。図3は、溶接工程S2の概要を示す断面図である。図3に示すように、この溶接工程S2では、板組み1の厚み方向両側に一対の電極11,12を配設すると共に、板組み1の厚み方向一端側に位置する第一の薄肉金属板2と、一対の電極11,12のうち第一の薄肉金属板2に近い側の一方の電極11との間に、伝熱抑制板13を配設する。この伝熱抑制板13は、例えば各電極11,12よりも熱伝導率の低い材料で形成されるもので、例えば鋼板など各金属板2〜5と同種の材料で、言い換えると熱伝導率が同一の又は近い値を示す材料で形成される。一例として、伝熱抑制板13は、各薄肉金属板2,5と同じ軟鋼板で形成することができる。
また、伝熱抑制板13の厚み寸法t5は、原則として任意であるが、加圧通電時における伝熱抑制板13への溶け込みを防止する観点から0.8mm未満がよく、確実に防止する観点からは0.7mm以下がさらによい。一方で、後述するように、伝熱抑制板13と接触する第一の薄肉金属板2とその内側に位置する第一の厚肉金属板3との接触面積A1を確保する観点からは、伝熱抑制板13の厚み寸法t5は、0.4mm以上がよく、0.5mm以上がさらによい。
このように、板組み1の厚み方向一端側の薄肉金属板2に接触させるようにして伝熱抑制板13を配設した状態で、これら伝熱抑制板13と板組み1とを一対の電極11,12で挟持加圧した状態で、一対の電極11,12間に通電する。
この際、適用される加圧通電パターンとしては、公知の加圧通電パターンを適用することができる。また、加圧パターンと通電パターンは同期させて設定することができ、あるいは別個に設定することができる。例えば、加圧パターンに関し、通電期間中、加圧力を一定の値に保持してもよいし、所定のパターンで変動させてもよい。また、加圧力の変動パターンに関しても任意であり、例えば加圧力を下げることなく段階的に所定の値にまで上昇させてもよく、あるいは、上昇と低下を繰り返しながら加圧力を所定の値にまで上昇させてもよい。また、加圧力を所定の値にまで上昇させ、一定時間保持した後、段階的に加圧力を低下させてもよい。同様に、通電パターンに関し、加圧期間中、通電量としての電流値を一定の値に保持してもよいし、所定のパターンで変動させてもよい。また、電流値の変動パターンに関しても任意であり、例えば電流値を下げることなく段階的に所定の値にまで上昇させてもよく、あるいは上昇と低下を繰り返しながら電流値を所定の値にまで上昇させてもよい。また、電流値を所定の値にまで上昇させ、一定時間保持した後、段階的に電流値を低下させてもよい。
このように、所定のパターンで板組み1に対して加圧通電した際、板組み1の厚み方向両端側に位置する第一及び第二の薄肉金属板2,5は、加圧により例えば図3(b)のように変形することで、板組み1の厚み方向中央側に位置する各厚肉金属板3,4と接触する。そして、各金属板2〜5間の接触部における電流密度が高まることで、発熱を生じる。ここで、例えば伝熱抑制板13を配置せずにその他は本実施形態と同じ条件で加圧通電した場合(図4(a)を参照)、第一の薄肉金属板2は一対の電極11,12のうち第一の薄肉金属板2に近い側の一方の電極11と直に接触する。電極11,12は、通常、溶接対象となる金属板2〜5よりも熱伝導率に優れた材料(例えば銅合金)で形成される。また、電極11,12の内部に流通させた冷却液により通電時に電極11,12は冷却される。そのため、電極11に接触する厚み方向一端側の金属板2は、容易に電極11への伝熱(放熱)を生じ、温度が上がりにくい状況となる。その結果、板組み1内部に形成される溶接部6’の厚み方向への成長が不十分となり、溶接部6’が第一の薄肉金属板2にまで形成されない結果を招くおそれが高まる(図4(c)を参照)。
これに対して、本発明に係るスポット溶接方法によれば、一方の電極11と第一の薄肉金属板2との間に配設した伝熱抑制板13により、加圧通電時、厚み方向一端側に位置する第一の薄肉金属板2に生じた熱が一方の電極11側に逃げる事態を抑制又は可及的に防止することができる。そのため、従来に比べて第一の薄肉金属板2の温度を容易に上昇させて、第一の薄肉金属板2に対する溶け込み(溶融部の厚み方向への拡大)を促進することができる。従って、図3(c)に示すように、第一の薄肉金属板2を含む全ての金属板2〜5に跨る十分な大きさの溶接部6を比較的容易に形成することが可能となる。
また、所定のパターンで板組み1に対して加圧通電した際、板組み1の厚み方向両端側に位置する第一及び第二の薄肉金属板2,5は、加圧及び発熱により軟化して例えば図3(b)のように変形することで、板組み1の中央側に位置する各厚肉金属板3,4と面接触を生じる。また、この際、第一の薄肉金属板2に隣接して伝熱抑制板13を配設した状態で加圧通電することにより、伝熱抑制板13を第一の薄肉金属板2と一体的に変形させることができる。これにより、第一の薄肉金属板2とこの内側に隣接する第一の厚肉金属板3との接触面積A1を、伝熱抑制板13を配置しない条件で加圧通電した場合における第一の薄肉金属板2と第一の厚肉金属板3との接触面積A2(図4(b)を参照)よりも減少させることができる。このような接触形態とすることで、特に加圧通電の早期に第一の薄肉金属板2と第一の厚肉金属板3とを比較的小さな面積で面接触させることができ、これら金属板2,3間の接触部における電流密度を高め易くなる。従って、これによっても、溶接部6の厚み方向への成長を促進して、全ての金属板2〜5に跨る十分な大きさの溶接部6を比較的容易に形成することが可能となる。
特に、本実施形態のように、伝熱抑制板13の厚み寸法t5を、0.8mm未満に、好ましくは0.7mm以下に設定することによって、伝熱抑制板13への溶け込みを防止して、安定かつ十分な溶接部6の形成を図ることが可能となる。
(S3)除去工程
除去工程S3では、溶接工程S2でスポット溶接を施した板組み1から伝熱抑制板13を取り除く。この際、伝熱抑制板13が実質的に第一の薄肉金属板2に固定されていない場合、作業者の手により伝熱抑制板13を第一の薄肉金属板2上から取り除く。また、伝熱抑制板13が一対の電極11,12による加圧通電箇所において第一の薄肉金属板2に多少なりとも固定(密着又は部分的な溶融により一体化)されている場合、タガネ等の器具を用いて固定されている部分を破壊することにより、伝熱抑制板13を第一の薄肉金属板2から取り除く。これにより、所定構造の板組み1からなる板状部品としての鋼板部品が得られる。なお、器具等を用いて伝熱抑制板13を板組み1(第一の薄肉金属板2)から取り除いた場合、第一の薄肉金属板2の表面に、伝熱抑制板13の除去痕が残ることも考えられるが、当該表面が車体の表面を構成する場合には、溶接後に塗装が施されるため、視認性(意匠性)を害するおそれはない。また、当該表面が車体の表面を構成しない場合、そもそも車体の視認性には影響を及ぼさないため、特に問題はない。
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明に係るスポット溶接方法は、その趣旨を逸脱しない範囲において、上記以外の構成を採ることも可能である。
例えば伝熱抑制板13の形状に関し、上記実施形態では、溶接箇所(加圧通電箇所)における断面形状が、第一の薄肉金属板2と同じである場合を例示したが(図3を参照)、もちろん、これには限られない。伝熱抑制板13は、鋼板部品となる板組み1の各金属板2〜5とは求められる役割、機能が異なることから、例えば図5に示すように、伝熱抑制板14を、一方の電極11と当接する複数の当接部15と、これら複数の当接部15を連結する連結部16とを一体的に有する構成としてもよい。言い換えると、伝熱抑制板14のうち第一の薄肉金属板2から一方の電極11側への伝熱を抑制する必要がある領域のみに、第一の薄肉金属板2と一方の電極11とに接触する部分を設けてもよい。この場合、伝熱抑制板13の平面形状(伝熱抑制板13をその厚み方向から見た時の形状)は、少なくとも連結部16に対応する部分において、第一の薄肉金属板2の平面形状と異なる。もちろん、複数箇所にスポット溶接を施す際に第一の薄肉金属板2が所望の変形を生じるように、各当接部15を所定の大きさ及び形状に設定することは必要である。
また、伝熱抑制板13,14の平面形状以外の事項(材質、厚み寸法、表面処理など)についても、特に上記実施形態に記載の事項には限定されない。第一の薄肉金属板2から一方の電極11への伝熱を抑制可能な限りにおいて、伝熱抑制板13,14は任意の構成をとることが可能である。
また、以上の説明では、板組み1の厚み方向両端側に位置する2枚の薄肉金属板2,5のうち厚み寸法が小さい側の薄肉金属板(第一の薄肉金属板2)に伝熱抑制板13(14)を直に接触させて一対の電極11,12により加圧通電を施した場合を例示したが、もちろんこれには限られない。例えば図示は省略するが、各金属板2〜5の三次元形状、他のスポット溶接打点との位置関係など、溶接環境によっては、厚み寸法が大きい側の薄肉金属板(図3でいえば第二の薄肉金属板5)に伝熱抑制板13(14)を直に接触させて、言い換えると、第二の薄肉金属板5と他方の電極12との間に伝熱抑制板13(14)を介在させた状態で、一対の電極11,12により加圧通電を施してもよい。
また、以上の説明では、板組み1の厚み方向一端側に位置する第一の薄肉金属板2と、この薄肉金属板2に近い側の一方の電極11との間に伝熱抑制板13(14)を配設した場合を例示したが(図3を参照)、もちろんこれ以外の配置態様をとることも可能である。例えば図7に示すように、一対の電極11,12のうち一方の電極11と、一方の電極11に近い側の厚み方向一端側の第一の薄肉金属板2との間に伝熱抑制板13を配設すると共に、他方の電極12と、他方の電極12に近い側の厚み方向他端側の第二の薄肉金属板5との間に伝熱抑制板17を配設してもよい。
また、以上の説明では、厚み方向中央側に二枚の厚肉金属板3,4を配置し、厚み方向両端側に二枚の薄肉金属板2,5を配置してなる板組み1(図2)に対して本発明を適用する場合を例示したが、もちろんこれ以外の構成をなす板組み1に対して本発明を適用することも可能である。例えば図6に示すように、二枚の厚肉金属板3,4の厚み方向一方側のみに薄肉金属板(第一の薄肉金属板2)を配置してなる板組み1に対して本発明を適用することもできる。この場合、伝熱抑制板13は、第一の薄肉金属板2と一方の電極11との間に配設される。このように、板組み1を構成する金属板の枚数は任意である。3枚であってもよいし、5枚以上であってもよい。
また、以上の説明では、第一及び第二の薄肉金属板2,5を軟鋼板とし、第一及び第二の厚肉金属板3,4を高張力鋼板又は超高張力鋼板とした場合を例示したが、もちろんこれ以外の組み合わせに係る板組み1に本発明を適用することも可能である。すなわち、全ての金属板2〜5を軟鋼板としてもよく、又は、全ての金属板2〜5を高張力鋼板或いは超高張力鋼板としてもよい。また、第一及び第二の薄肉金属板2,5の一方を軟鋼板、他方を高張力鋼板或いは超高張力鋼板としてもよい。同様に、第一及び第二の厚肉金属板3,4の一方を軟鋼板、他方を高張力鋼板或いは超高張力鋼板としてもよい。もちろん、鋼板以外の金属板を少なくとも1枚以上含む板組み1に対して本発明を適用することも可能である。
また、以上の説明では、自動車の車体を構成する鋼板部品となる板組み1に対して本発明を適用した場合を例示したが、もちろん、これ以外の板組み1に対して本発明を適用してもよい。すなわち、鋼板部品以外の板状部品となる板組み1に対して本発明を適用してもよい。また、自動車の車体以外の製品を構成する鋼板部品(板状部品)となる板組み1に対して本発明を適用してもよい。
1 板組み
2,5 薄肉金属板
3,4 厚肉金属板
5 薄肉金属板
6 溶接部
11,12 電極
13,14,17 伝熱抑制板
15 当接部
16 連結部
A1,A2 接触面積
S1 準備工程
S2 溶接工程
S3 除去工程

Claims (1)

  1. 複数の金属板を重ね合わせた板組みであって、前記複数の金属板のうち相対的に薄肉の薄肉金属板が厚み方向一端側又は両端側に配置される板組みを準備する板組準備工程と、
    前記板組みに対して一対の電極で加圧通電することにより、前記板組みの内部に溶接部を形成する溶接工程とを備えたスポット溶接方法において、
    前記溶接工程で、前記一対の電極のうち少なくとも一方の電極と、前記一方の電極に近い側の前記厚み方向一端側の薄肉金属板との間に、前記厚み方向一端側の薄肉金属板から前記一方の電極側への伝熱を抑制する伝熱抑制板を配設した状態で、前記板組みに対して前記一対の電極による加圧通電を行うことを特徴とするスポット溶接方法。
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