JP2021073906A - 発泡性アルコール飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄色かつ軽い飲み心地を有する発泡性アルコール飲料において、嗜好性を損なわずに、コクがありながらビールらしさも担保できた発泡性アルコール飲料を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、50〜450ppmのコハク酸及び2〜11ppbのβ−ダマセノンと、ビール酵母発酵液とを含有する、3.0°EBC以下の色度を有する発泡性アルコール飲料に関する。当該発泡性アルコール飲料は、ビール様発泡性飲料であることが好ましく、ビール酵母発酵液が、3.0mg/100ml以下のアミノ態窒素の濃度を有することが好ましく、ホップ又はホップ加工品を含有することが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は発泡性アルコール飲料に関し、特に発泡性醸造酒を含む飲料に関する。
醸造酒の一種であるビールは麦芽、ホップ及び水などを原料として、ビール酵母を使用してこれらを発酵させて得られる飲料である。ビールは、麦芽香気、発酵香気及び酸味、ホップ香気及び苦味、適度なアルコール刺激を有し、嗜好性に優れた飲料である。しかしながら、近年、消費者に「重たさ・満腹感」といったイメージを持たれる傾向にあるビールの香気を好まない消費者も存在し、ビールの中でも香気が少ないものに対する需要が増大する傾向にある。さらに近年、ビールや発泡酒等のビール様発泡性飲料において、利用するシチュエーションや嗜好に応じて消費者が各種選択できるように、様々なバリエーションをそろえることが望まれている。このように、ビールや発泡酒等のビール様発泡性飲料として、又はこれらの代わりとして、より味わいを軽くすっきりさせた発泡性アルコール飲料の種類の選択肢を増やすことが求められている。
また、健康志向の観点から、低カロリーや低糖質のビール様発泡性飲料に対する需要も高まっている。例えば、麦芽等の原料の使用量を抑えることによって、ビール様発泡性飲料のカロリーや糖質含有量を低減させることができる。また、アルコール濃度を低減させたローアルコールビールに対する需要も拡大している。
ここで、麦芽使用比率が低く、場合によっては色度が低い発泡性アルコール飲料において、ビールらしいコクや旨味を担保するために、色々な検討がなされている。例えば、特許文献1には、ビール様発泡性飲料において、高甘味度甘味料としてステビア抽出物やその酵素処理物を用い、かつポリデキストロースを併用することにより、糖質含有量を抑えつつ、ビールらしさと良好な味のまとまりを有する飲料を提供できることが開示されている。また、特許文献2においては、プリン体濃度が非常に低いにもかかわらず、ビールらしさを保持している非発酵ビール様発泡性飲料を提供するために、特定の穀物様香気成分と、特定のホップ様香気成分と、特定の含硫香気成分を含有させることが開示されている。また、特許文献3においては、プリン体濃度が低減されつつも、ビールらしさや味の厚みが実現されたビールテイスト発酵アルコール飲料として、飲料中の分子量20〜100kDa(HPLCゲル濾過法)のペプチド濃度の比率が所定値の範囲内である、ビールテイスト発酵アルコール飲料が開示されている。
また、特許文献4には、麦の使用比率が10%以下であり、飲用アルコールと、酸味料とを含むビールテイスト飲料において、酸味料によって、添加した飲用アルコールのアルコール味が突出して感じられ難くできることが記載されている。特許文献4において、そのような酸味料としては、例えば、乳酸、リン酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸及び酒石酸などが挙げられている。また、特許文献5には、プリン体濃度が非常に低いにもかかわらず「ビールらしさ」を保持している非発酵ビール様発泡性において、添加しうるホップ様香気成分として、β−ダマセノンを含む様々な化合物が挙げられている。また、特許文献6には、特定の(A)天然香料類、(B)エステル類、(C)アルコール類、(D)アルデヒド類、(E)ケトン類、(F)フェノール類、(G)エーテル類、(H)ラクトン類、(I)炭化水素類、(J)含窒素及び/又は含硫黄化合物類、(K)酸類、(L)苦味料、(M)酸味料、(N)甘味料、及び(O)辛味料から選ばれる1種以上を、ビール風味付与剤としてビール風味飲料に配合することによりビール風味飲料の嗜好性を高めることが開示されている。そして、特許文献6には、そのようなビール風味付与剤の選択肢の一つである(E)ケトン類に含まれる多数の例示の中の一つの化合物としてダマセノンが挙げられており、(M)酸味料の多数の例示の中の一つの化合物としてコハク酸が挙げられている。
特開2018−121534号公報 特開2016−182134号公報 特開2018−196336号公報 特開2015−107107号公報 国際公開2014/119064号パンフレット 特開2015−27309号公報
従来の技術では、麦芽使用比率が低く、色度が低いビール様発泡性飲料では、味のコクが足りず、かといって麦芽使用比率を高めると、色が濃くなり原料由来の風味が残ってしまい、香味に違和感が出てしまうことなどの課題があった。また、ビール様発泡性飲料において、酸味料などで香味を調整する場合には、酸味が過度に感じられることや、発酵由来の複雑な香味を再現できていないなどの課題があった。
そこで、本発明は、薄色かつ軽い飲み心地を有する発泡性アルコール飲料において、嗜好性を損なわずに、コクがありながらビールらしさも担保できた発泡性アルコール飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の課題を解決すべく種々の検討を行い、麦芽使用率が低い又は、麦芽を使用しない、色度が薄い発泡性醸造酒、特にビール酵母発酵液(ビールやビール様発泡性飲料を含む)、もしくは当該発泡性醸造酒を一部含んだアルコール飲料において、50〜450ppmのコハク酸及び2〜11ppbのβ−ダマセノンを含有するように調整することで、予想外にも、嗜好性を損なわずにコクがありながらビールらしさも有するように改善できることを発見した。ここで、通常のビールにおいてコハク酸は50ppm程度、β−ダマセノンは1〜2ppb程度含有されている。上記のコハク酸及びβ−ダマセノンの濃度を超えると酸味やイモ焼酎様のフルーティーな香りや甘みが目立ちビールらしさが感じられないとされている。しかしながら、本発明者らは、予想外にもこの2つの成分双方を通常のビールよりも高い一定の範囲内の濃度で含有させることで酸味及び甘味が目立たず、コクがありながらビールらしさも担保できる効果を見出した。
本発明者らは、これらの発見に基づいて、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕50〜450ppmのコハク酸及び2〜11ppbのβ−ダマセノンと、ビール酵母発酵液とを含有する、3.0°EBC以下の色度を有する発泡性アルコール飲料。
〔2〕ビール様発泡性飲料である、前記〔1〕に記載の発泡性アルコール飲料。
〔3〕ビール酵母発酵液が、3.0mg/100ml以下のアミノ態窒素の濃度を有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の発泡性アルコール飲料。
〔4〕ホップ又はホップ加工品を含有する、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の発泡性アルコール飲料。
〔5〕(a)炭素源を含有し、3.0mg/100ml以下のアミノ態窒素の濃度を有する発酵前液を準備する工程;
(b)ビール酵母を用いて発酵前液をアルコール発酵させてビール酵母発酵液を得る工程;及び、
(c)ビール酵母発酵液にβ−ダマセノンを、又は、β−ダマセノンとコハク酸とを添加する工程
を含む、50〜450ppmのコハク酸及び2〜11ppbのβ−ダマセノンと、ビール酵母発酵液とを含有する、発泡性アルコール飲料の製造方法。
なお、これまで、コハク酸及びβ−ダマセノンの特異的な組合せを用いてコク及びビールテイストを付与することについては知られていない。
本発明は、麦芽使用率が低い又は麦芽を使用しない、色度が薄い発泡性醸造酒、特にビール酵母発酵液(ビールやビール様発泡性飲料を含む)、もしくは当該発泡性醸造酒を一部含んだアルコール飲料において、嗜好性を損なわずにコクがありながらビールらしさも有するように改善できる。
<発泡性アルコール飲料>
本発明の発泡性アルコール飲料は、炭酸ガスを含有し、酵母による発酵工程を経て製造される、発泡性醸造酒、特にビール酵母発酵液を含むアルコール飲料を意味する。そして、本発明の発泡性アルコール飲料においては、50〜450ppmのコハク酸を含み、かつ、2〜11ppbのβ−ダマセノンを含むことによって、嗜好性を損なわず、着色を抑えつつ、コクとビールらしさとを併存させることができる。当該コハク酸濃度は、55〜400ppmであることが好ましく、60〜300ppmであることがより好ましい。また、当該β−ダマセノン濃度は、2〜10ppbであることが好ましく、3〜9ppbであることがより好ましい。コハク酸濃度が450ppmを超えると、過度に酸っぱく感じてしまう恐れがある。また、β−ダマセノンの濃度が11ppbを超えると、過度に甘さを感じてしまう恐れがある。一方、コハク酸濃度が50ppm未満であり、かつ/又は、β−ダマセノン濃度が2ppb未満である場合、水っぽく感じてしまう恐れがある。上述したように、一般的な製法により得られるビールには、50ppm程度のコハク酸と、1〜2ppb程度のβ−ダマセノンとが含まれている。本発明においては、従来のビールにおけるコハク酸及びβ−ダマセノンの濃度よりも高い濃度に設定されている。コハク酸及びβ−ダマセノンは、どちらか片方でもが本発明の設定濃度範囲から外れた場合には、好ましいビールらしさやコクを提供することができない。なお、本発明において、「ビールらしさ」とは、アルコール含有量、麦芽及びホップの使用の有無、発酵の有無に関わらず、ビールと同等の又はそれと似た風味・味覚等を指し、例えば「ワインらしさ」などに求められる風味とは異なる種類の風味である。
コハク酸及びβ−ダマセノンは、本発明で用いられる濃度においては、アルコール飲料にした時に限りなく無色となる。
本発明の発泡性アルコール飲料の製造で使用されるビール酵母は、特に種類が限定されるものではなく、上面発酵酵母と下面発酵酵母いずれも使用できる。具体的には、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)やサッカロミセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)などを使用することができる。ビール酵母は大きく分けて上面ビール酵母と下面ビール酵母に分類され、上面ビール酵母は主としてサッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)(S. cerevisiae)に分類され、下面ビール酵母はサッカロミセス・セレビシアエとサッカロミセス・バヤナス(Saccharomyces bayanus)(S. bayanus)との交雑体であってサッカロミセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)(S. pastorianus)に分類される。したがって、例えば、S.pastorianusに天然に存在し得る核酸のみを用いて遺伝的に改変されてILV5遺伝子を高発現するようになったS.pastorianusは「セルフクローニング下面ビール酵母」である。
また、本発明の発泡性アルコール飲料は、色度が3.0°EBC以下、好ましくは、2.0°EBC以下、より好ましくは1.0°EBC以下である。このような色度であることによりすっきりとした見た目となり、かつ、軽い飲み心地や雑味の少なさを想起させることができる。また、本発明の発泡性アルコール飲料においては、色度を3.0°EBC以下とするために、原料として麦芽をほとんど含まない飲料であることが好ましい。ここで、色度は、EBC(European Brewery Convention)のAnalytica−EBC標準法、又はこれに準じた方法により測定できる。EBCとは、ビールの分析での色度の単位であり、ビールの色の濃淡を数値(EBC色度の9つのガラスディスクを持ったコンパレーターにより目視で測定する、若しくは波長430nmでの吸光度を基に算出する。)であらわしたものである。さらに好ましくは、原料として麦芽をほとんど使用しないことで、色度が3.0°EBC以下になるように設定した発泡性アルコール飲料であれば、当該飲料の香味へ寄与する麦芽由来香味が少なくなることから上記β−ダマセノン濃度及びコハク酸濃度による効果をより得られやすい。
本発明の発泡性アルコール飲料は、エタノールを1%(v/v)以上含有しているものを意味し、1〜10%(v/v)であることが好ましく、2〜7%(v/v)であることがより好ましい。また、「発泡性(アルコール)飲料」とは、炭酸ガスを含有する飲料を指し、飲料が含有する炭酸ガスは、発酵時に生成されたものであっても、あとから吹込(カーボネーション)によって追加されたものであってもよい。本発明における発泡性アルコール飲料の炭酸ガスの含有量は特に限定されないが、例えば、1ガスボリューム以上であり、より好ましくは2ガスボリューム以上であることが好ましい。
本発明においては、「ビール様発泡性飲料」とは、製品名称・表示にかかわらず、香味上ビールを想起させる飲料を意味する。つまり、ビールらしさを有する発泡性飲料(ビール様発泡性飲料)とは、発泡性飲料のうち、アルコール含有量、麦芽及びホップの使用の有無、発酵の有無に関わらず、ビールと同等の又はそれと似た香味及びテクスチャーを有し、高い止渇感・ドリンカビリティーを有する飲料を意味する。ビール様発泡性飲料としては、具体的には、ビール、麦芽を原料とする発泡酒、麦芽を使用しない発泡性アルコール飲料、ローアルコール発泡性飲料、ノンアルコールビール等が挙げられる。その他、麦芽や麦芽以外を原料とし、発酵工程を経て製造された飲料を、アルコール含有蒸留液と混和して得られたリキュール類であってもよい。アルコール含有蒸留液とは、蒸留操作により得られたアルコールを含有する溶液であり、例えば、原料用アルコールであってもよく、スピリッツ、ウィスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン、焼酎等の蒸留酒等を用いることができる。
本発明の発泡性アルコール飲料には、さらに必要に応じて、甘味料、酸味料、ビタミン類、アミノ酸、水溶性食物繊維、香料、安定化剤、乳化剤及び消泡剤等の、アルコール飲料の分野で通常用いられている添加剤を用いてもよい。
本発明の発泡性アルコール飲料において、ビール酵母発酵液と蒸留酒とを含む場合、ビール酵母発酵液と蒸留酒との混合割合は、目的とする香味を考慮して適宜調節でき、例えば、アルコール濃度を等しく調整した状態の体積比で、1/9〜9/1、好ましくは2/8〜8/2、より好ましくは4/6〜6/4とすることができる。
但し、上記の蒸留酒や添加剤はビール酵母発酵液の香味及び外観に影響を与えないことが好ましい。
また、本発明の発泡性アルコール飲料は、原料にホップ又はホップ加工品を含んだ状態でビール酵母による発酵工程を経て製造されることが好ましい。原料として用いるホップとしては、生ホップであってもよく、乾燥ホップであってもよく、ホップペレットであってもよい。また、原料として用いるホップ加工品としては、ホップから苦味成分を抽出したホップエキスであってもよい。また、イソ化ホップエキス、テトラハイドロイソフムロン、ヘキサハイドロイソフムロン等のホップ中の苦味成分をイソ化させた成分を含むホップ加工品であってもよい。原料としてホップ又はホップ加工品を用いることにより、イソα酸を含む発泡性飲料を製造できる。また、ホップに含まれるポリフェノールやイソα酸が、泡を取り囲むタンパク質同士を補強することで、気泡の構造が安定し、かつ、ビール独特の風味を提供することができる。本発明の発泡性アルコール飲料においてイソα酸を例えばイソ化ホップとして発酵工程後に別途添加してもよい。本発明の発泡性アルコール飲料において、イソα酸は、例えば5〜40mg/L含まれているのが好ましく、10〜30mg/L含まれているのがより好ましい。
本発明の発泡性アルコール飲料は、苦味価が5〜40BUであることが好ましく、10〜30BUであることがより好ましい。ここで、本発明において、苦味価(BU)とは、イソフムロンを主成分とするホップ由来物質群により与えられる苦味の指標であり、ビール様発泡性飲料をはじめとする飲料の苦味価は、例えばEBC法(ビール酒造組合:BCOJビール分析法、8.15(2004))により測定することができる。具体的には、サンプルに酸を加えた後イソオクタンで抽出し、遠心分離処理後に得られたイソオクタン層の、純粋なイソオクタンを対照に測定した275nmにおける吸光度に定数(50)を乗じた値である。
また、本発明の発泡性アルコール飲料には、適宜、ホップ加工品やイソα酸のほか、ホエイペプチド及び/又はホエイタンパク質、アルギン酸エステル、コラーゲンペプチド、大豆由来食物繊維を含有させてもよく、これにより、当該飲料における泡特性を改善できる。ここでいう泡特性とは、例えば、アルコール飲料をグラスに注いだ際の泡のキメ細かさ、及び泡持ち等をいう。泡持ちとは、液面に形成された泡が消えずに長時間維持されることをいう。
<ビール酵母発酵液>
本発明におけるビール酵母発酵液は、アミノ態窒素の濃度が3.0mg/100ml以下、好ましくは2.0mg/100ml以下であり、より好ましくは1.0mg/100ml以下に制限されることが好ましい。後述するように、当該ビール酵母発酵液は、窒素源がほぼ存在しない原料を発酵させて得られるため、硫黄臭等の不快な香気が抑制され、軽く爽やかな香気を有する。ビール酵母発酵液は、エタノールを1〜10%(v/v)、好ましくは2〜8%(v/v)、より好ましくは4〜6%(v/v)含む。ビール酵母発酵液は、不快な香りを出さずに発酵香気が抑制され、醸造由来の深い味わいや飲み応えを有している。
また、本発明におけるビール酵母発酵液は、それが得られた段階において、コハク酸を50〜150ppm含んでいてもよい。
<製造方法>
本発明の発泡性アルコール飲料を製造するには、下記条件を充足する発酵前液を使用することが好ましい。
≪(a)発酵前液を準備する工程≫
(炭素源)
本発明におけるビール酵母発酵液の製造に使用する発酵前液は、炭素源を含有する。本明細書において炭素源とは、アルコール発酵を行う際に、酵母が摂取する炭水化物をいう。炭素源は、一般に、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトース及びマルトトリオース等の単糖類、二糖類及び三糖類である。好ましい炭素源は、グルコース、マルトース及びスクロースである。より好ましい炭素源はスクロースである。使用する炭素源の種類は単一でも複数でもよい。
発酵前液は、炭素源の他にも炭水化物を含有してよい。発酵前液が含有してよい炭水化物としては、例えば、四糖類以上の多糖類、オリゴ糖、デンプン分解物、及び食物繊維等が挙げられる。これらの炭水化物はアルコール発酵を行う際に酵母に摂取されず、アルコール発酵後にも発酵液中に残存し、発酵液のボディ感及び/又は飲みごたえを増強する。
発酵前液に含まれる炭素源の量は、得られるアルコール飲料のエタノール濃度を考慮して適宜決定される。例えば、発酵前液に含まれる炭素源の量は、2〜20%(w/v)、好ましくは4〜16%(w/v)であり、より好ましくは8〜12%(w/v)に設定する。
(アミノ態窒素)
本発明におけるビール酵母発酵液の製造に使用する発酵前液は、アミノ態窒素の濃度が3.0mg/100ml以下に制限されることが好ましい。発酵前液のアミノ態窒素濃度が3.0〜10mg/100mlの場合、不快な硫黄臭が発生しやすくなる。発酵前液のアミノ態窒素濃度は、好ましくは2.0mg/100ml未満であり、より好ましくは1.0mg/100ml以下である。発酵前液はアミノ態窒素を含有しなくてもよい。
発酵前液に使用しうるアミノ酸は、具体的には、小麦、大麦、トウモロシ、馬鈴薯、米、大豆等のデンプン質原料に含まれるもの、酵母エキス含まれるもの、タンパク質の酵素分解物に含まれるもの等が挙げられる。
発酵前液の原料としては、例えば、水溶性炭水化物の水溶液を用いる。水溶性炭水化物の具体例には、糖類、デンプン分解物、及び食物繊維等が挙げられる。香味を付与又は改善することを目的として、アミノ酸及びタンパク質を実質的に含有しないスパイス類、ハーブ類、及び果物等も原料に使用してよい。
(作業)
飲用水に上記水溶性炭水化物を溶解し、要すれば、アミノ酸含有原料を添加する。その際に、炭素源及びアミノ態窒素の濃度が上記条件を充足するように、使用する原料の種類及び量を調節する。
得られた水溶液は、ビールを製造する際に通常行われる方法及び条件に従って、煮沸する。例えば、水溶液を煮沸釜に移し、ホップを加えて煮沸する。ホップは、煮沸開始から煮沸終了前であればどの段階で混合してもよい。煮沸した水溶液を、ワールプールと呼ばれる沈殿槽に移し、煮沸により生じたホップ粕や不溶物等を除去した後、プレートクーラーにより適切な発酵温度まで冷却する。上記煮沸の操作により、発酵前液が得られる。また、この際、ホップ加工品を適宜添加してもよい。
≪(b)発酵前液をアルコール発酵させてビール酵母発酵液を得る工程≫
発酵前液を、発酵させる。発酵の操作は常法に従って行えばよい。例えば、冷却した糖化液にビール酵母を接種して、発酵タンクに移し、発酵を行う。発酵前液に摂取する酵母の種類は目的とする香味を考慮して選択する。
発酵前液に接種する酵母の量は発酵条件等により調整するが、発酵前液1ml当たり5×106〜50×106個、好ましくは10×106〜45×106個、より好ましくは15×106〜40×106個の範囲から選択される。
発酵温度は発酵条件等により調整するが、0〜25℃、好ましくは5〜20℃、より好ましくは10〜15℃の範囲から選択される。得られるビール酵母発酵液の香気は発酵温度が高いほど増加する。発酵温度が25℃を越えると、使用する酵母の種類に依存して発酵が正常に進行しない場合がある。
発酵期間は発酵条件等により調整するが、1〜20日、好ましくは2〜10日、より好ましくは3〜6日の範囲から選択される。
さらに、熟成工程として、得られた発酵液を、貯酒タンク中で熟成させ、0℃程度の低温条件下で貯蔵し安定化させる。次いで濾過工程として、熟成後の発酵液を濾過することにより酵母等を除去して、ビール酵母発酵液が得られる。発酵前液に含まれるアミノ態窒素は酵母によって資化されるため、ビール酵母発酵液中のアミノ態窒素濃度が発酵前液中のアミノ態窒素濃度を上回ることはない。アミノ態窒素濃度は、例えば、ニンヒドリン法(ビール酒造組合:BCOJビール分析法、8.18(2004))により測定することができる。
また、ビール酵母発酵液は3.0°EBC以下、好ましくは2.0°EBC以下、より好ましくは1.0°EBC以下の色度を有する。色度は、上述したEBC(European BreweryConvention)のAnalytica−EBC標準法、又はこれに準じた方法により測定できる。
≪β−ダマセノン、又は、β−ダマセノンとコハク酸とを添加する工程≫
本発明の発泡性アルコール飲料を製造するためには、上記工程(b)の前に、発酵前液にβ−ダマセノンと、又は、β−ダマセノンとコハク酸とを添加するか、工程(b)の後に、ビール酵母発酵液にβ−ダマセノンと、又は、β−ダマセノンとコハク酸とを添加することが必要である。コハク酸及びβ−ダマセノンの添加量は、上述した発泡性アルコール飲料におけるコハク酸及びβ−ダマセノンの含有量となるように適宜調整できる。発酵前液において、コハク酸及びβ−ダマセノンを含有させていても、コクなどへの効果は得られるが、調整のしやすさの観点から、ビール酵母発酵液にβ−ダマセノン、又は、β−ダマセノンとコハク酸とを添加するのがより好ましい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の各実施例/各比較例で得られた発泡性アルコール飲料(以下、試験品とも呼ぶ)については、下記の方法で各種成分を測定し、官能評価をした。
[測定方法]
コハク酸濃度は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)有機酸分析システム(装置名:Prominence、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
β−ダマセノン濃度は、ジクロロメタン液々抽出を用いたGC/MS分析により測定した。具体的には、まず、容器にサンプルを採取し、硫酸アンモニウムを加え、次に当該容器にジクロロメタンを加えて内部標準物質を添加した後、振とう抽出した。そして、ガス抜きを行った。その後、遠心分離処理を行い、溶媒層を回収し、この回収した溶媒層を、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、窒素パージにて濃縮した後に、GC/MS分析に供した。
リナロール濃度は、GC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析)により定量した。具体的には、香気成分を供試サンプルからC18固相カラムで抽出し、得られた抽出物をGC/MSに供した。定量は内部標準法を用いた。内部標準物質にはBorneolを用い、試料中50ppbになるように添加した。なお、GC/MSにおける分析条件は、以下の通りであった。
キャピラリーカラム:商品名「DB−WAX」(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)、
オーブン温度:40℃(10分)→3℃/分→240℃(20分)、
キャリアガス:He、10psi低圧送気、
トランスファーライン温度:240℃、
MSイオンソース温度:230℃、
MSQポール温度:150℃、
フロント注入口温度:200℃、
定量に用いたイオン:m/z=110(borneol)、m/z=93(linalool)。
ガスボリュームは、Carbo QC(アントンパール社製)を用いて測定した。
アルコール濃度は、アルコライザー(Anton Paar Alcolyzer Plus、DMA4500 Density Meter)によって測定した。
色度は、EBC(European Brewery Convention)のAnalytica−EBC標準法によって測定した。
[官能評価]
≪酸味の強弱≫
各試験品の液温を約8℃にした後、よく訓練されたビール専門パネリスト6名が、「コハク酸600ppm」の対照液と比較した際の酸味の強弱を評価した。そして、パネリスト6名の評点の平均を算出した。評価基準は以下の通り、5段階評価とした。対照の酸味の評点を1とした。酸味は3以上の評点を「可」とした。ここで、酸味評価の際の当該対照液には、後述するベース醸造液にコハク酸濃度が600ppmとなるようにコハク酸を添加して調整した飲料(すなわち、比較例10に相当する試験品)を用いた。
(酸味)
5:非常に弱い
4:弱い
3:強くも弱くもない
2:強い
1:非常に強い
≪甘味の強弱≫
各試験品の液温を約8℃にした後、よく訓練されたビール専門パネリスト6名が、「β−ダマセノン20ppb」の対照液と比較した際の甘味の強弱を評価した。そして、パネリスト6名の評点の平均を算出した。評価基準は以下の通り、5段階評価とした。対照の甘味の評点を1とした。甘味は3以上の評点を「可」とした。ここで、甘味評価の際の当該対照液には、後述するベース醸造液に炭酸ガス含有量2.9ガスボリュームかつアルコール濃度5%(v/v)となるように、炭酸水(2.9ガスボリューム)及び原料用アルコール(第一アルコール株式会社製)を混合し、さらにβ−ダマセノン濃度が20ppbとなるようにβ−ダマセノンを添加して調整した飲料(すなわち、比較例30に相当する試験品)を用いた。
(甘味)
5:非常に弱い
4:弱い
3:強くも弱くもない
2:強い
1:非常に強い
≪コクの強弱≫
各試験品の液温を約8℃にした後、よく訓練されたビール専門パネリスト6名がコクの強弱を評価した。そして、パネリスト6名の評点の平均を算出した。評価基準は以下の通り、5段階評価とした。なお、市販ビール「アサヒスーパードライ」(アサヒビール株式会社製)のコクの評点を5とした。コクの強さは3以上の評点を「可」とした。
(コク)
5:非常に感じる
4:感じる
3:やや感じる
2:ほとんど感じない
1:感じない
≪ビールらしさ≫
各試験品の液温を約8℃にした後、よく訓練されたビール専門パネリスト6名が、ビールらしさの強度を評価した。そして、パネリスト6名の評点の平均を算出した。評価基準は以下の通り、5段階評価とした。なお、市販ビール「アサヒスーパードライ」(アサヒビール株式会社製)のビールらしさの強度を5とした。ビールらしさは3以上の評点を「可」とした。
(ビールらしさ)
5:非常に強い
4:強い
3:強くも弱くもない
2:弱い
1:非常に弱い

各官能評価の結果がすべて「可」となった試験品について、嗜好性を損なわずにコク及びビールらしさを有すると判断し、本実施例とした。
[ベース醸造液の作製]
飲用水にショ糖を添加し、12%(w/w)のエキス(糖分)濃度を有する糖液を作製した。得られた糖液に所定量のホップを添加した後、煮沸した。次いで、糖液を沈降槽に移して沈殿物を分離、除去した後、約8℃に冷却し、得られた液体を発酵前液とした。200L容の発酵槽に当該発酵前液を添加し、30×106個/mlになるように下面発酵ビール酵母を接種し、10℃で7日間、アルコール発酵させた。得られたビール酵母発酵液は16BUの苦味価及び5%(v/v)のアルコール濃度を有していた。また、得られたビール酵母発酵液のアミノ態窒素濃度をニンヒドリン法(ビール酒造組合:BCOJビール分析法、8.18(2004))により測定したところ、0.1mg/100mlであった。また、当該ビール酵母発酵液の色度は、0.3°EBCだった。
この得られたビール酵母発酵液(基準品)を「ベース醸造液」とした。
上述の方法により、ベース醸造液は、アルコール5%(v/v)であり、炭酸ガス含有量が2.9ガスボリュームであり、コハク酸濃度が140ppmであり、β−ダマセノン濃度が0ppb、リナロール濃度が0ppbであることを確認した。また、コハク酸、β−ダマセノン及びリナロールについては、いずれの実施例及び比較例においてベース醸造液の色度に全く影響を及ぼさなかった。また、下記実施例/比較例で使用する炭酸水(2.9ガスボリューム)及び原料用アルコール(第一アルコール株式会社製)は、いずれも色度が0°EBCであり、試験品における色度に影響を及ぼさなかった。
まずは、実施例1〜9及び比較例1〜15において、ベース醸造液をベースにして、β−ダマセノンを添加してβ−ダマセノン濃度を調整し、必要に応じてコハク酸も添加してコハク酸濃度を調整した。
また、比較例A〜Lのように、ホップ様香気であるリナロールをβ−ダマセノンの代わりに使用した場合に同様の結果が示されるかも合わせて検討した。なお、市販されているビールのリナロール濃度は、0〜100ppb程度である。
[実施例1〜3]
ベース醸造液に対して、β−ダマセノンを表1−1に示す各濃度(3ppb、7ppb、10ppb)になるように添加して、各実施例1〜3に係る発泡性アルコール飲料(試験品)を完成させた。結果を表1−1に示す。
[比較例1〜3]
ベース醸造液に対して、β−ダマセノンを表1−1に示す各濃度(0ppb(すなわち無添加)、1ppb、20ppb)になるように添加して、各比較例1〜3に係る試験品を完成させた。結果を表1−1に示す。
[比較例A〜C]
ベース醸造液に対して、リナロールを表1−2に示す各濃度(10ppb、50ppb、100ppb)になるように添加して、各比較例A〜Cに係る発泡性アルコール飲料(試験品)を完成させた。結果を表1−2に示す。
表1−1:実施例1〜3及び比較例1〜3の組成と官能評価結果
Figure 2021073906
表1−2:比較例A〜Cの組成と官能評価結果
Figure 2021073906
[実施例4〜6]
ベース醸造液に対して、β−ダマセノンを表2−1に示す各濃度(3ppb、7ppb、10ppb)になるように添加し、かつ、コハク酸を表2−1に示す濃度(200ppm)になるように添加して、各実施例4〜6に係る試験品を完成させた。結果を表2−1に示す。
[比較例1〜3]
ベース醸造液に対して、β−ダマセノンを表2−1に示す各濃度(0ppb(すなわち無添加)、1ppb、20ppb)になるように添加し、かつ、コハク酸を表2−1に示す濃度(200ppm)になるように添加して、比較例4〜6に係る試験品を完成させた。結果を表2−1に示す。
[比較例D〜F]
ベース醸造液に対して、リナロールを表2−2に示す各濃度(10ppb、50ppb、100ppb)になるように添加し、かつ、かつ、コハク酸を表2−2に示す濃度(200ppm)になるように添加して、各比較例D〜Fに係る発泡性アルコール飲料(試験品)を完成させた。結果を表2−2に示す。
表2−1:実施例4〜6及び比較例4〜6の組成と官能評価結果
Figure 2021073906
表2−2:比較例D〜Fの組成と官能評価結果
Figure 2021073906
[実施例7〜9]
ベース醸造液に対して、β−ダマセノンを表3−1に示す各濃度(3ppb、7ppb、10ppb)になるように添加し、かつ、コハク酸を表3−1に示す濃度(400ppm)になるように添加して、各実施例7〜9に係る試験品を完成させた。結果を表3−1に示す。
[比較例7〜9]
ベース醸造液に対して、β−ダマセノンを表3−1に示す各濃度(0ppb(すなわち無添加)、1ppb、20ppb)になるように添加し、かつ、コハク酸を表3−1に示す濃度(400ppm)になるように添加して、比較例7〜9に係る試験品を完成させた。結果を表3−1に示す。
[比較例G〜I]
ベース醸造液に対して、リナロールを表3−2に示す各濃度(10ppb、50ppb、100ppb)になるように添加し、かつ、コハク酸を表3−2に示す濃度(400ppm)になるように添加して、各比較例G〜Iに係る発泡性アルコール飲料(試験品)を完成させた。結果を表3−2に示す。
表3−1:実施例7〜9及び比較例7〜9の組成と官能評価結果
Figure 2021073906
表3−2:比較例G〜Iの組成と官能評価結果
Figure 2021073906
[比較例10〜15]
ベース醸造液に対して、β−ダマセノンを表4−1に示す各濃度(0ppb(すなわち無添加)、1ppb、3ppb、7ppb、10ppb、20ppb)になるように添加し、かつ、コハク酸を表4−1に示す濃度(600ppm)になるように添加して、比較例10〜15に係る試験品を完成させた。結果を表4−1に示す。
[比較例J〜L]
ベース醸造液に対して、リナロールを表4−2に示す各濃度(10ppb、50ppb、100ppb)になるように添加し、かつ、コハク酸を表4−2に示す濃度(600ppm)になるように添加して、各比較例J〜Lに係る発泡性アルコール飲料(試験品)を完成させた。結果を表4−2に示す。
表4−1:比較例10〜15の組成と官能評価結果
Figure 2021073906
表4−2:比較例J〜Lの組成と官能評価結果
Figure 2021073906
表1−1〜表4−2の結果から、ビール酵母発酵液中のコハク酸及びβ−ダマセノンをそれぞれ特定の濃度範囲内に調整することにより、嗜好性を損なわずに、コク及びビールらしさを有する発泡性アルコール飲料が得られることが分かった。一方、ホップ様香気であるリナロールをβ−ダマセノンの代わりに使用した場合、本発明のような効果が得られなかったことから、β−ダマセノンとコハク酸との組み合わせが特異的に優れていることが示された。
次は、コハク酸の濃度が、ベース醸造液よりも低い場合について確認した。
まずは、実施例10〜12及び比較例16〜30において、ベース醸造液をベースにして、β−ダマセノンを添加してβ−ダマセノン濃度を調整し、必要に応じてコハク酸も添加してコハク酸濃度を調整した。
また、比較例M〜Uでは、ホップ様香気であるリナロールをβ−ダマセノンの代わりに使用した場合に同様の結果が得られるか確認した。なお、市販されているビールのリナロール濃度は、0〜100ppb程度である。
[実施例10〜12]
コハク酸濃度70ppm、炭酸ガス含有量2.9ガスボリュームかつアルコール濃度5%(v/v)となるように、ベース醸造液に対し、炭酸水(2.9ガスボリューム)及び原料用アルコール(第一アルコール株式会社製)を添加した。さらに、β−ダマセノンを表5−1に示す各濃度(3ppb、7ppb、10ppb)になるように添加して、各実施例10〜12に係る試験品を完成させた。結果を表5−1に示す。
[比較例16〜18]
コハク酸濃度70ppm、炭酸ガス含有量2.9ガスボリュームかつアルコール濃度5%(v/v)となるように、ベース醸造液に対し、炭酸水(2.9ガスボリューム)及び原料用アルコール(第一アルコール株式会社製)を添加した。さらに、β−ダマセノンを表5−1に示す各濃度(0ppb(すなわち無添加)、1ppb、20ppb)になるように添加して、各比較例16〜18に係る試験品を完成させた。結果を表5−1に示す。
[比較例M〜O]
コハク酸濃度70ppm、炭酸ガス含有量2.9ガスボリュームかつアルコール濃度5%(v/v)となるように、ベース醸造液に対し、炭酸水(2.9ガスボリューム)及び原料用アルコール(第一アルコール株式会社製)を添加した。さらに、リナロールを表5−2に示す各濃度(10ppb、50ppb、100ppb)になるように添加して、各比較例M〜Oに係る発泡性アルコール飲料(試験品)を完成させた。結果を表5−2に示す。
表5−1:実施例10〜12及び比較例16〜18の組成と官能評価結果
Figure 2021073906
表5−2:比較例M〜Oの組成と官能評価結果
Figure 2021073906
[比較例19〜24]
コハク酸濃度30ppm、炭酸ガス含有量2.9ガスボリュームかつアルコール濃度5%(v/v)となるように、ベース醸造液に対し、炭酸水(2.9ガスボリューム)及び原料用アルコール(第一アルコール株式会社製)を添加した。さらに、β−ダマセノンを表6−1に示す各濃度(0ppb(すなわち無添加)、1ppb、3ppb、7ppb、10ppb、20ppb)になるように添加して、各比較例19〜24に係る試験品を完成させた。結果を表6−1に示す。
[比較例M〜O]
コハク酸濃度30ppm、炭酸ガス含有量2.9ガスボリュームかつアルコール濃度5%(v/v)となるように、ベース醸造液に対し、炭酸水(2.9ガスボリューム)及び原料用アルコール(第一アルコール株式会社製)を添加した。さらに、リナロールを表6−2に示す各濃度(10ppb、50ppb、100ppb)になるように添加して、各比較例P〜Rに係る発泡性アルコール飲料(試験品)を完成させた。結果を表6−2に示す。
表6−1:比較例19〜24の組成と官能評価結果
Figure 2021073906
表6−2:比較例P〜Rの組成と官能評価結果
Figure 2021073906
[比較例25〜30]
炭酸ガス含有量2.9ガスボリュームかつアルコール濃度5%(v/v)となるように、炭酸水(2.9ガスボリューム)及び原料用アルコール(第一アルコール株式会社製)を混合した。さらに、β−ダマセノンを表7−1に示す各濃度(0ppb(すなわち無添加)、1ppb、3ppb、7ppb、10ppb、20ppb)になるように添加して、各比較例25〜30に係る試験品を完成させた。結果を表7−1に示す。
[比較例S〜U]
炭酸ガス含有量2.9ガスボリュームかつアルコール濃度5%(v/v)となるように、炭酸水(2.9ガスボリューム)及び原料用アルコール(第一アルコール株式会社製)を混合した。さらに、リナロールを表7−2に示す各濃度(10ppb、50ppb、100ppb)になるように添加して、各比較例S〜Uに係る試験品を完成させた。結果を表7−2に示す。
表7−1:比較例25〜30の組成と官能評価結果
Figure 2021073906
表7−2:比較例S〜Uの組成と官能評価結果
Figure 2021073906
表5−1〜表7−2の結果から、ベース醸造液を薄めても、ビール酵母発酵液中のコハク酸及びβ−ダマセノンをそれぞれ特定の濃度範囲内に調整することにより、嗜好性を損なわずに、コク及びビールらしさを有する発泡性アルコール飲料が得られることが分かった。一方、ホップ様香気であるリナロールをβ−ダマセノンの代わりに使用した場合、本発明のような効果が得られなかったことから、β−ダマセノンとコハク酸との組み合わせが特異的に優れていることが示された。また、表7−1及び表7−2から、ベース醸造液を含むことで本発明の発泡性アルコール飲料の風味などに大きな影響を及ぼすことも示唆された。

Claims (5)

  1. 50〜450ppmのコハク酸及び2〜11ppbのβ−ダマセノンと、ビール酵母発酵液とを含有する、3.0°EBC以下の色度を有する発泡性アルコール飲料。
  2. ビール様発泡性飲料である、請求項1に記載の発泡性アルコール飲料。
  3. ビール酵母発酵液が、3.0mg/100ml以下のアミノ態窒素の濃度を有する、請求項1又は2に記載の発泡性アルコール飲料。
  4. ホップ又はホップ加工品を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡性アルコール飲料。
  5. (a)炭素源を含有し、3.0mg/100ml以下のアミノ態窒素の濃度を有する発酵前液を準備する工程;
    (b)ビール酵母を用いて発酵前液をアルコール発酵させてビール酵母発酵液を得る工程;及び、
    (c)ビール酵母発酵液にβ−ダマセノンを、又は、β−ダマセノンとコハク酸とを添加する工程
    を含む、50〜450ppmのコハク酸及び2〜11ppbのβ−ダマセノンと、ビール酵母発酵液とを含有する、発泡性アルコール飲料の製造方法。
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