JP2021071372A - 凍結検体薄切装置 - Google Patents
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Abstract
Description
そして、切片搬送部におけるフィルム状のコンベア部材のうち、ブレード部における刃先の近傍に位置する近傍部が、ヒータ部により加熱されていることで、検体切片がコンベア部材の近傍部に接触した際に、接触部分が融解される。これにより、検体切片のうち、融解された部分がコンベア部材の表面に付着することで、検体切片を検体から分離して凍結した状態で搬送することができる。
以上のように、本発明の凍結検体薄切装置では、コンベア部材の表面を過度に濡らすことなく、コンベア部材に検体切片を付着させて移動することができる。
図1は、本発明の凍結検体処理装置1の全体斜視図である。
図1に示すように、凍結検体処理装置1は、凍結された生物試料が埋包された検体50から、検体切片51(図3参照)を切り出す凍結検体薄切装置10と、凍結検体薄切装置10が切り出した検体切片51をスライドガラス等の標本プレート23に取り出す検体切片取出装置20と、を備えている。
例えば、一般的なOCT(ティッシュテック)の組成の場合には、ポリビニールアルコール10.24%、ポリエチレングリコール4.26%、水を主成分とする不活性物質85.50%となる。
まず、凍結検体薄切装置10の構成について説明する。なお、本実施形態において、前工程側を上流側といい、後工程側を下流側という。
凍結検体薄切装置10は、検体搬送部11と、ブレード部12と、切片搬送部14と、ヒータ部15と、を備えている。
この説明において、ステージが往復運動可能な一方向を前後方向といい、上方から見た平面視で前後方向と直交する方向を左右方向という。
図1に示すように、ブレード部12の上方には、ブレード部12により薄切切片を切り出す際に生じる切り屑を回収する吸気ノズル19が設けられている。
切片搬送部14は、コンベア部材13の一部が、ブレード部12における刃先の近傍を通過する際に、ブレード部12により切り出された検体切片51を、コンベア部材13の表面に付着させることにより、検体切片51を前記検体50から分離して搬送する。
一対のローラ部材14A、14Bは、コンベア部材13における上流側の端部に配置され、コンベア部材13を供給する第1ローラ部材14Aと、コンベア部材13における下流側の端部に配置され、コンベア部材13を回収する第2ローラ部材14Bと、を備えている。
モータ部14Cは、第1ローラ部材14Aおよび第2ローラ部材14Bの回転速度や回転方向を制御することにより、コンベア部材13の進行を制御する。
すなわち、第1ローラ部材14Aおよび第2ローラ部材14Bは、それぞれ独立して回転することができる。なお、モータ部14Cは、第2ローラ部材14Bにのみ設けられ、第1ローラ部材14Aの回転が、第2ローラ部材14Bの回転に従属してもよい。
なお、図2に示す平面図では、説明の便宜のため、切片搬送部14については、左右方向から見た正面視を表現している。
そして、コンベア部材13は、ブレード部12の刃先の近傍に位置する近傍部13A(図4参照)で、コンベア部材13の延びる方向が上下方向に変更されている(M2)。言い換えれば、コンベア部材13の延びる方向が変化する変曲点が、ブレード部12の近傍を通過するように構成されている。コンベア部材13は、間隔をあけて配置された複数のローラRにより支持されている。
このように、ブレード部12の刃先が上流側を向いているので、上流側から下流側に向けて、検体搬送部11により検体50が搬送される過程において、ブレード部12と検体50とが干渉すると、図5に示すように、検体50の一部が切除され、検体切片51が切り出される。
ここで、カール部52とは、検体50がブレード部12と交差して、検体50の一部が検体切片51として切り出される過程において、検体50から剥離しながら検体50から分離して次第に検体切片51となる部分を指している。
ヒータ部15は、パルス電流により制御され、断続的に加熱されている。ヒータ部15は、ヒータ部15と接触しながら通過するコンベア部材13を加熱する。
図18に示すように、瞬時に高いパルス電流を流すことにより、コンベア部材13における加熱部分70を局所的に設けることができる。これにより、加熱部分を複数作ることができる。
適切な温度条件を得るには、コンベア部材13の厚さと熱伝導率を適切にし、パルス電流のピーク電流と保持時間を調整する。電流を大きくし、ヒータ部15によるコンベア部材13の保持時間を短くすると、検体切片51における加熱部分70の前後方向の幅が狭くなり、ヒータ部15によるコンベア部材13の保持時間を長くすると、検体切片51における加熱部分70の前後方向の幅が長くなる。
すなわち、ヒータ部15は、検体切片51におけるコンベア部材13と接触する部分のみを加熱部分70として融解してコンベア部材13の表面に付着させ、検体切片51に含まれる生物試料53の部分は融解させない。生物試料53が融解し、再凝固すると、氷晶が大きくなり、細胞を壊すためである。
これにより、1箇所だけをコンベア部材13の表面に付着させた場合のように、コンベア部材13により搬送する途中で、検体切片51が垂れ下がったりするのを防ぐことができる。
図1の構成例では、コンベア部材13における区間M3において、検体切片51は、コンベア部材13の下側に付着した状態で、検体切片取出装置20まで搬送される。
図5(a)に示すように、検体50からの検体切片51の切り出し量が増えると、カール部52がコンベア部材13に付着し、コンベア部材13が上方に向けて進行するに従って、検体切片51となる部分が上方に引っ張られる。この際、カール部52の表面は融解し、コンベア部材13の表面に付着している。
次に、凍結検体薄切装置10の第1変形例について図6を用いて説明する。図6は、第1変形例に係る凍結検体薄切装置10において、ブレード部12により切り出した検体切片51が、コンベア部材13に付着する様子を示す図である。
なお、この図において、コンベア部材13が2つ描かれているのは、コンベア部材13の撓んだ状態を表現しており、下側に図示したコンベア部材13が、撓んだ状態を示している。また、この図では、説明の便宜のために、一対のローラ部材14A、14Bの配置や、その間の各種の支持部材の図示を簡略化している。
これにより、コンベア部材13のテンションを調整して、コンベア部材13にたわみを生じさせ、近傍部13Aにおいて検体切片51に生成したカール部52と接触しやすくすることができる。
次に、凍結検体薄切装置10の第2変形例について図7を用いて説明する。図7は、第2変形例に係る凍結検体薄切装置10において、ブレード部12により切り出した検体切片51が、コンベア部材13に付着する様子を示す図である。なお、この図において、コンベア部材13が2つ描かれているのは、コンベア部材13の撓んだ状態を表現している。
テンション調整部材16は、コンベア部材13と接触可能に設けられ、コンベア部材13と接触することで、コンベア部材13のテンションを調整する。図示の例では、テンション調整部材16は、左右方向に延びる回転軸を有するローラ部材である。
そして、前後方向のうち、コンベア部材13の下流側に移動することで、テンション調整部材16は、コンベア部材13から離間する。これによりコンベア部材13にたわみを生じさせ、近傍部13Aにおいて検体切片51に生成したカール部52と接触しやすくすることができる。
次に、凍結検体薄切装置10の第3変形例について図8を用いて説明する。図8は、第3変形例に係る凍結検体薄切装置10において、ブレード部12により切り出した検体切片51が、コンベア部材13に付着する様子を示す図である。
本変形例に係る凍結検体薄切装置10は、検体50の一部であるカール部52に向けて送風するエアーノズル17を備えている。
エアーノズル17は、カール部52に送風することで、カール部52を前後方向における上流側に伸ばしてコンベア部材13と接触させる。
次に、凍結検体薄切装置10の第4変形例について図9を用いて説明する。図9は、第1変形例に係る凍結検体薄切装置10において、ブレード部12により切り出した検体切片51が、コンベア部材13に付着する様子を示す図である。
本変形例に係る凍結検体薄切装置10では、コンベア部材13の前進に伴って、コンベア部材13とヒータ部15とが擦りあう過程において、コンベア部材13が帯電する。すなわち、ヒータ部15は、コンベア部材13を帯電させる帯電部として機能する。
ここで、コンベア部材13は、ヒータ部15との摩擦により発生する静電気により帯電する。したがって、本変形例の場合、コンベア部材13およびヒータ部15は、表面に帯電性を有する部材により構成される必要がある。
次に、凍結検体薄切装置10の第5変形例について図10を用いて説明する。図10は、第1変形例に係る凍結検体薄切装置10において、ブレード部12により切り出した検体切片51が、コンベア部材13に付着する様子を示す図である。
本変形例に係る凍結検体薄切装置10は、前述したテンション調整部材16を備えている。そして、テンション調整部材16が前後方向に動くことにより、コンベア部材13を撓ませるとともに、ヒータ部15からコンベア部材13の近傍部13Aを離間させることで、近傍部13Aの表面と、ヒータ部15の表面と、の間で局所的な電子の移動が起こり、近傍部13Aを帯電させる。すなわち、テンション調整部材16は、コンベア部材13を帯電させる帯電部として機能する。したがって、本変形例の場合、コンベア部材13およびヒータ部15は、表面に帯電性を有する部材により構成される必要がある。
次に、凍結検体薄切装置10の第6変形例について図11を用いて説明する。図11は、第1変形例に係る凍結検体薄切装置10において、ブレード部12により切り出した検体切片51が、コンベア部材13に付着する様子を示す図である。
本変形例に係る凍結検体薄切装置10では、帯電部として、コンベア部材13のうち、ヒータ部(支持部)15との接触部分よりも上流側に位置する部分を、直流コロナ放電により帯電させる放電部材18を備えている。コンベア部材13を挟んで放電部材18の反対側には、対極18Aが設けられている。
放電部材18は、負極コロナ放電により、コンベア部材13を負に帯電させる。したがって、本変形例の場合、コンベア部材13は、表面に帯電性を有する部材により構成される必要がある。
図12に示すように、検体切片取出装置20は、切片搬送部14に設けられ、切片搬送部14から検体切片51を標本プレート23に取り出す装置である。
検体切片取出装置20は、コンベア部材13を表裏面と直交する上下方向(直交方向)の両側から挟み込んで、検体切片51をコンベア部材13から取り出して、標本プレート23に移動させる一対の取出部を備えている。なお、このように、検体切片51をコンベア部材13から標本プレート23に移動させる処理を、本技術分野の用語として、転写と呼ぶことがある。
第1取出部材21は、コンベア部材13における検体切片51が付着した側に位置している。第1取出部材21は、検体切片51が固定される標本プレート23を支持している。すなわち、第1取出部材21の上面に載置されている。第1取出部材21は、標本プレート23を介して検体切片51を加熱する。
第2取出部材22は、コンベア部材13と接触することでコンベア部材13を冷却する。すなわち、冷凍チャンバー100内において、固体である第2取出部材22がコンベア部材13の表面に接触することで、気体が接触している状態よりもコンベア部材13の熱を奪うことができる。このため、第2取出部材22は、熱伝導性のよい材料であることが好ましい。
上下方向に第2取出部材22を挟むコンベア部材13と反対側に位置する部分には、コンベア部材13を吸引する吸引部材24が設けられている。吸引部材24は、第2取出部材22の通気口22Aを介して、コンベア部材13を上方に向けて吸引する。
図13は、凍結検体薄切装置10におけるブレード部12周辺の拡大図である。図14は、凍結検体薄切装置10における放電部材18の周辺の拡大図である。図15は、ブレード部12により、検体50から検体切片51を切り出す状態を示す図である。図16は、検体切片取出装置20の斜視図である。なお、図16では、吸引部材24の図示を省略している。
ここで、図14に示すように、帯電部としての放電部材18がヒータ部15(支持部)とは別に設けられている場合には、放電部材18と上下方向に重なる位置において、放電部材18が検体50を帯電してもよい。なお、検体50への帯電は省力してもよい。
またこの際、コンベア部材13を同時に検体50とは逆の極性に帯電させてもよい。コンベア部材13を帯電させる際には、帯電される部分を限定して、間欠的に設けることができる。
そして、図15に示すように、検体切片51がブレード部12と接触すると、ブレード部12により検体切片51が薄く切り出される。この際、検体切片51から切り出された部分がカール部52として成長してゆき、カール部52がコンベア部材13に接触すると、コンベア部材13に付着する。
そして、図16に示すように、前後方向の位置が検体切片取出装置20と重なった際に、コンベア部材13が停止するとともに、一対の取出部材が、検体切片51をコンベア部材13とともに上下方向に挟み込む。この際、検体切片51の下方に位置する第1取出部材21の上面には、標本プレート23が配置されている。
仮に検体切片51とコンベア部材13とが凍結した状態で付着していたとしても、その付着力は、標本プレート23と検体切片51との間に生じる表面張力よりも弱いので、検体切片51がコンベア部材13からはがれやすくなる。
そして、検体50を検体搬送部11のベルトコンベアによりブレード部12よりも上流側に移動させて、再度下流側に移動させることで、更に検体切片51と取り出す。この一連の動作を繰り返し行って、所望する数量の検体切片51を標本プレート23に取り出した標本サンプルを複数枚取り出すことができる。
そして、切片搬送部14におけるフィルム状のコンベア部材13のうち、ブレード部12における刃先の近傍に位置する近傍部13Aが、ヒータ部15により加熱されていることで、検体切片51がコンベア部材13の近傍部13Aに接触した際に、接触部分が融解される。
以上のように、本発明の凍結検体薄切装置10では、コンベア部材13の表面を過度に濡らすことなく、コンベア部材13に検体切片51を付着させて移動することができる。
10 凍結検体薄切装置
11 検体搬送部
12 ブレード部
13 コンベア部材
14 切片搬送部
15 ヒータ部(支持部)
16 テンション調整部材
17 エアーノズル
18 放電部材
19 吸気ノズル
20 検体切片取出装置
21 第1取出部材
22 第2取出部材
23 標本プレート
24 吸引部材
50 検体
51 検体切片
52 カール部
Claims (6)
- 凍結された生物試料の検体を、凍結した状態で搬送する検体搬送部と、
前記検体搬送部による前記検体の搬送に伴って、前記検体と交差して前記検体の一部から検体切片を切り出すブレード部と、
合成樹脂材料により形成されたフィルム状のコンベア部材を有し、前記コンベア部材の一部が、前記ブレード部における刃先の近傍を通過する際に、前記検体切片を前記コンベア部材の表面に付着させることにより、前記検体切片を前記検体から分離して、凍結した状態で搬送する切片搬送部と、
前記コンベア部材のうち、前記ブレード部における刃先の近傍に位置する近傍部を加熱するヒータ部と、を備え、冷凍チャンバー内に配置されて用いられる凍結検体薄切装置。 - 前記ヒータ部は、前記コンベア部材における前記近傍部を加熱するとともに、前記近傍部が、前記ブレード部における刃先の近傍に常に位置するように支持していることを特徴とする請求項1に記載の凍結検体薄切装置。
- 前記ヒータ部は、パルス電流により制御され、断続的に加熱されていることを特徴とする請求項2に記載の凍結検体薄切装置。
- コンベア部材と接触可能に設けられ、前記コンベア部材と接触することで、前記コンベア部材のテンションを調整するテンション調整部材を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の凍結検体薄切装置。
- 前記検体の一部に向けて送風するエアーノズルを備え、
前記エアーノズルは、前記検体が前記ブレード部と交差して、前記検体の一部が前記検体切片として切り出される過程において、前記検体から剥離しながら前記検体から分離して次第に前記検体切片となるカール部に送風することで、前記カール部を伸ばして前記コンベア部材と接触させることを特徴とする請求項1又は2に記載の凍結検体薄切装置。 - 前記切片搬送部は、前記コンベア部材の両端に設けられ、前記コンベア部材の進行を制御する一対のローラ部材と、
前記ローラ部材の回転を制御するモータ部と、を備え、
前記モータ部は、前記コンベア部材のテンションを調整しながら、前記コンベア部材の進行を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の凍結検体薄切装置。
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