JP2021070738A - 活性エネルギー線硬化型インキ組成物及びその印刷物 - Google Patents

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真平 岡本
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Abstract

【課題】幅広い基材に対して優れた密着性、高い塗膜耐性を有し、かつ、バイオマス由来の(メタ)アクリレート化合物を含む活性エネルギー線硬化型インキ組成物及びその印刷物を提供する。【解決手段】下記一般式で表される(メタ)アクリレート化合物を含む活性エネルギー線硬化型インキ組成物。(Xは、単結合又は2価の有機連結基、R1は、水素原子又はメチル基、nは、0〜3の整数を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、幅広い基材に対して優れた密着性、高い塗膜耐性を有し、かつ、重合性化合物としてバイオマス由来の(メタ)アクリレート化合物を含む活性エネルギー線硬化型インキ組成物及びその印刷物に関する。
近年、大量生産、大量消費、大量廃棄型社会から循環型社会への転換を求める声が高まってきており、印刷インキにおいても化石資源由来成分の低減が望まれている。印刷インキ工業連合会においても、環境負荷低減の活動として、インキグリーンマーク(以下、IGマークと称する)制度を制定し、インキ組成物に含まれる成分のうちのバイオマスに由来する成分の比率を指標とし、その比率に応じて環境対応の度合いをランク付けする活動を行っている。また、一般社団法人日本有機資源協会によるバイオマスマーク制度などもある。これらの制度は、循環型社会の構築を目的として、インキ組成物に含まれる化石資源由来成分からバイオマス由来成分への代替を促進している。バイオマスとは、二酸化炭素と水から光合成された植物、生物等から得られる有機化合物であり、それを利用することにより、再度二酸化炭素と水になる持続的に再生可能な資源のことである。
さらに、バイオマスが注目される中、食料・飼料の高騰に影響を与えているという問題が指摘され、食料と競合しない原料を使用したバイオマス、つまり、非食料バイオマスの要求が高まっている。
上記のような背景から、活性エネルギー線硬化型インキ組成物においても、バイオマス由来成分からなる重合性化合物を使用する検討が行われてきた。
特許文献1(特表2008−515052号公報)には、エポキシ化大豆油アクリレートと、1つ以上のさらなるアクリレートとを含有したエネルギー線硬化型インク組成物が開示されている。しかしながら、エポキシ化大豆油アクリレートは、粘度が非常に高いため多用することができずバイオマス度を高めることが困難であった。また、基材に対する密着性も十分でなく課題があった。さらに、原料として食用である大豆を使用しており、社会の要求を満たしていなかった。
特許文献2(特開2015−193678号公報)には、光重合開始剤、アクリレートモノマー、バインダー樹脂及び植物油変性(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型インキ組成物が開示されている。しかしながら、開示された植物油変性(メタ)アクリレートは、植物油又はその脂肪酸モノエステルと、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物とをディールスアルダー反応させ、その後ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとエステル化反応で得られたもので、バイオマス由来成分比率が低く、粘度も高いため多用することができず、インキ組成物のバイオマス度を高めることが困難であった。また、基材に対する密着性も十分でなく課題があった。さらに、原料として食用である大豆を使用しており、社会の要求を満たしていなかった。
特許文献3(特開2018−115223号公報)には、エチレン性不飽和結合を備えた化合物、及び光重合開始剤、エポキシ化大豆油を含有する活性エネルギー線硬化型オフセット印刷用インキ組成物が開示されている。しかしながら、エポキシ化大豆油は、ラジカル重合しないため、塗膜耐性が悪化するという課題があった。また、硬化性にも課題があった。さらに、原料として食用である大豆を使用しており、社会の要求を満たしていなかった。
特表2008−515052号公報 特開2015−193678号公報 特開2018−115223号公報
本発明が解決しようとする課題は、幅広い基材に対して優れた密着性、高い塗膜耐性を有し、かつ、バイオマス由来の(メタ)アクリレート化合物を含む活性エネルギー線硬化型インキ組成物及びその印刷物を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す活性エネルギー線硬化型インキ組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする、活性エネルギー線硬化型インキ組成物に関する。
一般式(1)
Figure 2021070738
(Xは、単結合又は2価の有機連結基を表す。R1は、水素原子又はメチル基を表す。nは、0〜3の整数を表す。)
また、本発明は、一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物が、カルダノールまたはその誘導体の水酸基と、(メタ)アクリロイル基含有化合物のカルボキシ基とのエステル化合物であることを特徴とする、ことを特徴とする、上記活性エネルギー線硬化型インキ組成物に関する。
また、本発明は、カルダノールが、カシューナッツ由来であることを特徴とする、上記活性エネルギー線硬化型インキ組成物に関する。
また、本発明は、一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物のヨウ素価が、100以上であることを特徴とする、上記活性エネルギー線硬化型インキ組成物に関する。
また、本発明は、一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物を、活性エネルギー線硬化型インキ組成物の全質量に対して3質量%以上含むことを特徴とする、上記活性エネルギー線硬化型インキ組成物に関する。
また、本発明は、基材に上記活性エネルギー線硬化型インキ組成物を印刷した印刷物に関する。
また、本発明は、基材がバイオマス由来のフィルムであることを特徴とする上記印刷物に関する。
本発明によって、幅広い基材に対して優れた密着性、高い塗膜耐性を有し、かつ、バイオマス由来の(メタ)アクリレート化合物を含む性エネルギー線硬化型インキ組成物及びその印刷物を提供することができた。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書で使用される用語について説明する。「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/又はメタアクリロイル(メタクリロイル)を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタアクリレート(メタクリレート)を意味する。「活性エネルギー線」とは、紫外線、電子線等、照射することによって照射されたものに化学反応等の化学的変化を生じさせ得る性質を有するエネルギー線を意味する。
<活性エネルギー線硬化型インキ組成物>
本発明の一実施形態は、活性エネルギー線硬化型インキ組成物に係わる。当該活性エネルギー線硬化型インキ組成物は、重合性化合物として、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする。
一般式(1)
Figure 2021070738
(Xは、単結合又は2価の有機連結基を表す。R1は、水素原子又はメチル基を表す。nは、0〜3の整数を表す。)
以下、本実施形態の活性エネルギー線硬化型インキ組成物(以下、単に「インキ組成物」ともいう)に含まれるか、又は含まれ得る成分を説明する。
[重合性化合物]
(一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物)
本発明における活性エネルギー線硬化型インキ組成物は、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物を含有する。
一般式(1)
Figure 2021070738
式中、Xは、単結合又は2価の有機連結基を表す。2価の有機連結基としては、1〜100の炭素原子、1〜200の水素原子、50以下の酸素原子、10以下の窒素原子から構成される基が好ましく、中でも、1〜10の炭素原子、1〜20水素原子、10以下の酸素原子、5以下の窒素原子から構成される基がより好ましい。
2価の有機連結基の具体例としては、炭素数1〜4のアルキレン基、エーテル基、スルフィド基、エステル基、アミド基、イミド基、オキシム基、ウレタン基等が例示でき、これらの構造単位又はその組み合わせにより構成される基が好適に挙げられる。
式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。反応性及び硬化後の塗膜の柔軟性の観点から、水素原子であることが好ましい。
一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物は、モノマーとの相溶性と反応性の観点から、Xが単結合、エチレンオキサイド基、及びプロピレンオキサイド基のいずれかであることが好ましい。
一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物は、バイオマス由来であるカシューナッツ殻由来のカルダノールまたは前記カルダノールを変性して得られる誘導体と、(メタ)アクリロイル基含有化合物との反応から得られる。カシューナッツ殻由来のカルダノールは、ナッツの部分を収穫した後の廃棄する殻から抽出されるため、非食料バイオマス原料になる。さらに、カルダノールの抽出した後の絞りカスは、肥料に利用することができる。
一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物を得るための反応は、公知の技術を任意に用いることができる。
具体的には、カルダノールまたはその誘導体が有する水酸基とカルボキシ基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物のカルボキシ基とのエステル化反応、カルダノールまたはその誘導体が有する水酸基とエポキシ基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物のエポキシ基との付加反応などが挙げられる。
本発明においては、カルダノールまたはその誘導体が有する水酸基とカルボキシ基を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物のカルボキシ基とのエステル化反応を用いることが好ましい。
一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物のヨウ素価は、100以上であることが好ましく、100〜150であることがより好ましい。ヨウ素価が100〜150であると、硬化性と密着性に特に優れたインキが得られる。
一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の含有量は、インキ組成物の全質量に対して、3〜25質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。上記範囲であると、優れた密着性、高い塗膜耐性を得ることができる。
本発明において、一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(その他の重合性化合物)
本発明において、インキ組成物は、一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物に加えて、その他の重合性化合物を含むことが好ましい。本発明に併用可能なその他の重合性化合物としては、特に制限はなく、公知のもの用いることができ、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物が挙げられる。中でも、硬化性の観点から、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
その他の重合性化合物としてのラジカル重合性化合物(以下、「ラジカル重合性化合物(Z)」と称する。)は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中に、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する化合物であればよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態をもつものが含まれる。ラジカル重合性化合物(Z)は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合性化合物(Z)の例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトニル、スチレン、さらに種々の不和飽ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等が挙げられる。
ラジカル重合性化合物(Z)としては、具体的に、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β−カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(オキシエチル)(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、EO変性(2)ノニルフェノールアクリレート、(2−メチル−2−エチル−1、3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミドなどの1官能のラジカル重合性化合物、
1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(300)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性(2)1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、PO変性(2)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ネオペンチルグリコール変性)トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、EO変性(4)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性(4)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなどの2官能のラジカル重合性化合物、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能のラジカル重合性化合物、
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能のラジカル重合性化合物、
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能のラジカル重合性化合物、
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能のラジカル重合性化合物等が挙げられる。
また、ラジカル重合性化合物(Z)としては、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレートなどのウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレートなどを用いることができる。
さらに、ラジカル重合性化合物(Z)としては、インキ組成物のバイオマス度を上げる観点から、バイオマス由来成分を含むラジカル重合性化合物を用いることが好ましい。例えば、ロジン変性エポキシアクリレート、ロジン変性ポリエステルアクリレート、エポキシ化大豆油アクリレート、アクリレート化亜麻仁油化合物、植物由来のポリオール及び/又は植物由来のジカルボン酸からなるポリエステルアクリレート、植物由来のポリオールと植物由来のイソシアネートからなるウレタンアクリレートなどが挙げられ、エポキシ化大豆油アクリレート、ロジン変性エポキシアクリレートを用いることが好ましい。
ロジン変性エポキシアクリレートとしては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。市販で入手できるものとしては、荒川化学工業株式会社製のビームセット(登録商標)101、ハリマ化成グループ株式会社製のバンビームUV−22A、バンビームUV−22C(いずれも他のラジカル重合性化合物との混合物)などが挙げられる。
ロジン変性エポキシアクリレートの含有量は、インキ組成物の全質量に対して、1〜30質量%であることが好ましい。
エポキシ化大豆油アクリレートとしては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。市販で入手できるものとしては、IGM社製のPHOTOMER3005、ダイセル・オルネクス株式会社製のEBECRYL860などが挙げられる。
エポキシ化大豆油アクリレートの含有量は、インキ組成物の全質量に対して、3〜30質量%であることが好ましい。
ラジカル重合性化合物(Z)を用いる場合、硬化性の観点から2官能以上のアクリレート化合物を含有することが好ましい。
[重合開始剤]
本発明における活性エネルギー線硬化型インキ組成物は、重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤としては、ラジカル重合の重合性開始剤を含有することが好ましく、光重合開始剤を含有することがより好ましい。本発明における重合開始剤は、光の作用、又は増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカルを生成する化合物であり、中でも、露光という手段で重合開始させることができるという観点から光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
本発明において、光ラジカル重合開始剤は、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。具体例としては、ベンゾフェノン系化合物、ジアルコキシアセトフェノン系化合物、α−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物、α−アミノアルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、チオキサントン化合物などが挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−フェニルメタノンなどが挙げられる。
ジアルコキシアセトフェノン系化合物としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ジメトキシアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンなどが挙げられる。
α−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシメトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オンなどが挙げられる。
α−アミノアルキルフェノン系化合物としては、2−メチル−1−[4−(メトキシチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノンなどが挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系化合物としては、ジフェニルアシルフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
チオキサントン系化合物としては、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンなどが挙げられる。
本発明において、重合開始剤の含有量は、インキ組成物の全質量に対して、0.5〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜15質量%である。
[着色剤]
本発明において、インキ組成物は、着色剤を含有することもできる。着色剤としては、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。耐光性の観点から、顔料が好ましい。
本発明に用いることができる顔料としては、特に制限はなく、公知の顔料を用いることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも用いることができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラックなどのカーボンブラック類、酸化鉄、酸化チタンなどが挙げられる
有機顔料としては、β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系、β−オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系、ピラゾロン系等の溶性アゾ顔料; β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系モノアゾ、アセト酢酸アニリド系ジスアゾ、ピラゾロン系などの不溶性アゾ顔料;銅フタロシアニンブルー、ハロゲン化(例えば、塩素化、臭素化など)銅フタロシアニンブルー、スルホン化銅フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;キナクリドン系、ジオキサジン系、スレン系(ピラントロン、アントアントロン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、チオインジゴ系、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系など)、イソインドリノン系、金属錯体系、キノフタロン系、ジケトピロロピロール系等の多環式顔料及び複素環式顔料;などが挙げられる。
更に詳しくは、C.I.カラーインデックスで示すと、黒顔料としては、C.I.Pigment Black 1、6、7、9、10、11、28、26、31などが挙げられる。
白顔料としては、C.I.Pigment White 5、6、7、12、28などが挙げられる。
黄顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、18、24、73、74、75、83、93、95、97、98、100、108、109、110、114、120、128、129、138、139、174、150、151、154、155、167、180、185、213などが挙げられる。
青又はシアン顔料としては、C.I.Pigment Blue 1、2、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62などが挙げられる。
赤又は紅顔料としては、C.I.Pigment RED 1、3、5、19、21、22、31、38、42、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、50、52、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、90、104、108、112、114、122、144、146、148、149、150、166、168、169、170、172、173、176、177、178、184、185、187、193、202、209、214、242、254、255、264、266、269、C.I.Pigment Violet 19などが挙げられる。
緑顔料としては、C.I.Pigment Green 1、2、3、4、7、8、10、15、17、26、36、45、50などが挙げられる。
紫顔料としては、C.I.Pigment Violet 1、2、3、4、5:1、12、13、15、16、17、19、23、25、29、31、32、36、37、39、42などが挙げられる。
オレンジ顔料としては、C.I.Pigment Orange 13、16、20、34、36、38、39、43、51、61、63、64、74などが挙げられる。
本発明において、顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明において、顔料は、印刷紙面上に目的の濃度が再現可能であれば任意の含有量で使用することが可能であり、インキ組成物の全質量に対して5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜25質量%である。
[分散剤]
本発明において、インキ組成物が顔料を含む場合は、顔料分散性をより良好なものにするために、分散剤を含むことが好ましい。分散剤としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミン系ポリマーなどを主成分とする高分子分散剤が挙げられる。
中でも、顔料の分散安定性の観点から、ブロック構造又はくし型構造の塩基性官能基含有の顔料分散剤が好ましい。
市販品として、味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーシリーズ(アジスパーPB821、PB822、PB824など)、ルーブリゾール社製のソルスパーズシリーズ(Solsperse24000、Solsperse32000、Solsperse38500など)、ビックケミー社製のディスパービックシリーズ(BYK−162、BYK−168、BYK−183など)などから入手できる。
分散剤の含有量は、インキ組成物の全質量に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。
[重合開始助剤]
本発明において、インキ組成物は、重合開始助剤を含有することもできる。重合開始助剤を含有することで、硬化性を一層向上することができる。重合開始剤助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、脂肪族アミン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジブチルエタノールアミン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
重合開始助剤の含有量は、インキ組成物の全質量に対して、0.1〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3質量%である。
[不活性樹脂]
本発明において、インキ組成物は、樹脂として不活性樹脂を含有することもできる。不活性性樹脂を含むことで、さらに、基材への密着性、塗膜耐性が向上する。なお、本発明において、「不活性樹脂」とは、反応性基を有しない化合物を意味する。
不活性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性アルキッド樹脂、石油樹脂、尿素樹脂、ブタジエン−アクリルニトリル共重合体のような合成ゴムなどが挙げられる。さらに、これらの樹脂を変性して使用することもできる。具体的には塩素化、臭素化、アミン変性、カルボン酸変性等が例示できる。不活性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
不活性樹脂は密着性と硬化性の観点から、重量平均分子量(以下、Mwとも称する)が、1,000〜100,000であることが好ましく、2,000〜70,000がより好ましい。また、ガラス転移温度(以下、Tgとも称する)が、耐薬品性の観点から、50〜150℃であることが好ましく、60〜120℃がより好ましい。
なお、本発明において、Mwは、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(以下、「GPC」という。)で測定した。GPCの具体的な測定方法は、以下の通りである。東ソー(株)製HLC−8020を用い、検量線は標準ポリスチレンサンプルにより作成した。溶離液はテトラヒドロフランを、カラムにはTSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)3本を用いた。測定は流速0.6ml/分、注入量10μl、カラム温度40℃で行った。
ガラス転移温度は、樹脂を構成する単量体のホモポリマーのガラス転移温度から計算してもよいし、実験的に測定してもよい。単量体のホモポリマーのガラス転移温度から算出する方法としては、例えば、FOXの式から算出される。また、実験的に測定する方法としては、示差走査熱量計を用いてDSC曲線を測定することで得られる。
上記範囲を満たす不活性樹脂としては、荒川化学工業株式会社製のビームセット243NS、ビームセット255、ビームセット261、ビームセット271(いずれも不活性樹脂とラジカル重合性化合物との混合物)等が例示できる。
不活性樹脂の含有量は、硬化性の観点からインキ組成物の全質量に対して、1〜10質量%であることが好ましい。
[その他の成分]
本発明において、インキ組成物は、本発明の効果が低下しない範囲で、体質顔料、ワックス、レベリング剤、帯電防止剤、界面活性剤、消泡剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを必要に応じて添加することができる。
なお、本発明において、インキ組成物は、環境負荷低減の観点から、実質的に有機溶剤を含有しないことが好ましい。実質的に含有せずとは、インキ組成物の全質量に対して、3質量%未満であり、より好ましくは1質量%未満である。
本発明において、活性エネルギー線硬化型インキ組成物のバイオマス度は5%以上であることが好ましい。より好ましくは、10〜20%である。バイオマス度10%以上を達成する手段は、重合性化合物として、一般式(1)で表されるバイオマス由来の(メタ)アクリレートを含むこと以外は、特に限定されるわけでなく、公知の方法を用いることができる。
中でも、大豆油変性エポキシアクリレート、ロジン変性エポキシアクリレートは硬化性、密着性、他のモノマーとの相溶性の観点から好適に使用できる。
なお、本発明において、「バイオマス度」は、下記式から求めることができる。

バイオマス度(%)=バイオマス原料の質量/インキの全質量×100
<印刷物>
本発明における印刷物は、活性エネルギー線硬化型インキ組成物を基材に印刷することによって得られる。基材としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。具体的には、アート紙、コート紙、キャスト紙などの塗工紙や上質紙、中質紙、新聞用紙などの非塗工紙、ユポ紙などの合成紙、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)のようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。中でも、プラスチックフィルムを用いる場合は、印刷物のバイオマス度を高めるために、バイオマス由来成分を含む基材を用いることが好ましい。
バイオマス由来成分を含む基材としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。例えば、トウモロコシなどのデンプンを糖化、発酵することで得られた乳酸を重合したポリ乳酸フィルム、ひまの種から抽出したひまし油をアルカリ熱分解することで得られたセバシン酸とヘキサメチレンジアミンとの重合したナイロンフィルム、サトウキビなどを発酵、蒸留したエタノールから得られるエチレングリコールとジカルボン酸とを重縮合したポリエステルフィルムなどが挙げられる。
市販品として、三菱ケミカル株式会社製のエコロージュ(登録商標)、大日本印刷株式会社製のバイオマテック(登録商標)のPETフィルム、VM−PETフィルム,PEフィルムなどが挙げられる。
本発明における印刷物を印刷する方法としては、オフセット印刷( 湿し水を使用する通常の平版及び湿し水を使用しない水無し平版)、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等が挙げられる。
本発明において、活性エネルギー線硬化型インキ組成物を硬化する方法には、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などを照射することで硬化することができる。中でも、紫外線、電子線が好ましく、より好ましくは紫外線である。紫外線のピーク波長は、200〜600nmであることが好ましく、より好ましくは350〜420nmである。
活性エネルギー線源としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。具体的には、水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハイドライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、紫外線レーザーダイオード(UV−LD)等のLED(発光ダイオード)やガス・固体レーザーなどが挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」をそれぞれ表す。
[カルダノールアクリレートの合成例]
還流管を設置した500mLの側管付き四口フラスコに、カルダノール90.7部(0.30モル)、 アクリル酸32.4部(0.45モル)、トルエン158部(1.71モル)、硫酸4.0部(0.041モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.51部を投入し、空を吹き込みながら反応温度80〜110℃、反応系圧力400〜760mmHgの範囲内で加熱攪拌した。生成する水をディーンスターク管にて系外に除去しながら5時間の脱水エステル化反応を行った。反応終了後、アルカリ水洗、水洗を行い、有機層のトルエンを減圧留去することで、カルダノールアクリレートを得た。得られたカルダノールアクリレートのヨウ素価を測定したところ、140であった。
[エチレンオキサイド変性カルダノールアクリレートの合成例]
攪拌装置を備えた容量1Lのオートクレーブ内に、カルダノール302.5部(1.0 モル)、トルエン127部、水酸化カリウム0.3部を仕込み、90℃まで昇温、攪拌し、スラリー状の液体とした。次いで130℃に加熱し、エチレンオキサイド66部 (1.5モル)を徐々にオートクレーブ内に導入した。エチレンオキサイドの導入とともに、オートクレーブ内温度は上昇した。随時冷却を加え、反応温度は140℃以下に保つようにした。反応後、140℃にて水銀柱10mmHg以下にて減圧することで、過剰のエチレンオキサイド、副生するエチレングリコールの重合体を除去した。その後、酢酸にて中和を実施し、pH6〜7に調整することでカルダノールエチレンオキサイド付加体を得た。
還流管を設置した500mLの側管付き四口フラスコに、得られたカルダノールエチレンオキサイド付加体104部(0.30モル)、 アクリル酸32.4部(0.45モル)、トルエン158部(1.71モル)、硫酸4.0部(0.041モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.51部を投入し、空気を吹き込みながら反応温度80〜110℃、反応系圧力400〜760mmHgの範囲内で加熱攪拌した。生成する水をディーンスターク管にて系外に除去しながら5時間の脱水エステル化反応を行った。反応終了後、アルカリ水洗、水洗を行い、有機層のトルエンを減圧留去することで、エチレンオキサイド変性カルダノールアクリレートを得た。得られたエチレンオキサイド変性カルダノールアクリレートのヨウ素価を測定したところ、120であった。
[活性エネルギー線硬化型インキの製造方法]
実施例1
ピグメントブルー15:3 18.0部、樹脂30.0部、カルダノールアクリレート15部、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート10.0部、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート20.0部、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モロフォリノプロパン−1オン2.0部、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン2.5部、2.4−ジエチルチオキサンテン−9−オン1.5部、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド1.0部を測り取り、攪拌した後、3本ロールミルにて分散し、ろ過を行うことでインキを得た。なお、樹脂としては、荒川化学工業製のビームセット271(樹脂の含有率50%)を使用した。
実施例2〜10、比較例1〜3
表1に記載した原料の種類と量を用いた以外は、実施例1と同様の方法で実施例2〜10、比較例1〜3を得た。なお、数値は特に断りがない限り「質量部」を表し、空欄は配合していないことを表す。また、エポキシ化大豆油アクリレートとしては、IGM製のPHOTOMER3005を使用した。
Figure 2021070738
得られたインキ組成物を、以下の方法により、インキ粘度、TI値(チキソトロピーインデックス値)のレオロジー特性、被膜耐性、密着性の評価を行なった。結果を表2に示す。
(インキ粘度及びTI値)
インキ粘度は東機産業株式会社製E型粘度計「VISCOMETERTV−20」により、50rpm(ずり速度:100s-1)及び100rpm(ずり速度:200s-1)の各回転数にて、温度25℃にて測定した。3以上の評価が実用上好ましい。
なおTI値は、回転50rpmの粘 値を100rpm 粘度値で割ることで得られる。
5・・・粘度が800mPa・s以下、且つTI値が1.05以下
4・・・粘度が800mPa・sより大きく1000mPa・s以下、且つTI値が1.05以下
3・・・粘度が1000mPa・sより大きく1200mPa・s以下、且つTI値が1.05以下
2・・・粘度が1200mPa・sより大きく、且つTI値が1.05以下
1・・・TI値が1.05以上
[被膜耐性評価用試験サンプルの作成方法]
得られたインキ組成物を、RIテスター(テスター産業株式会社製)を用いて、ポリエチレンコート紙に0.25mlの盛り量でベタ画像を印刷した。その後、コンベア速度60m/分、LEDランプ(エアーモーションシステム株式会社製「XP−9」、照射距離10mm、出力70%の条件)でインキ組成物を硬化させ、試験サンプルを作成した。なお、RIテスターとは、紙やフィルムにインキを印刷する試験機であり、インキの転移量や印圧を調整することができる。
[被膜耐性]
ポリエチレンコート紙上に印刷されたインキを綿布で擦過した際に着く傷で評価した。3以上の評価が実用上好ましい。
5・・・傷が全くつかない
4・・・うっすらと傷が見えるレベル
3・・・傷が見えるレベル
2・・・下地がうっすら見えるレベル
1・・・下地がはっきり見えるレベル
[密着性評価用試験サンプルの作成方法]
得られたインキ組成物を、RIテスター(テスター産業株式会社製)を用いて、PETフィルム(テトロンフィルムG2P2 厚さ25μm 帝人フィルムソリューション株式会社)に0.25mlの盛り量でベタ画像を印刷した。その後、コンベア速度60m/分、LEDランプ(エアーモーションシステム株式会社製「XP−9」、照射距離10mm、出力70%の条件)でインキ組成物を硬化させ、試験サンプルを作成した。
[塗膜強度]
PETフィルム上に印刷されたインキに、セロハンテープを付け、剥がした際のインキの剥離具合で評価した。3以上の評価が実用上好ましい。
5・・・剥離無し(100%密着している(剥離なし))
4・・・やや剥離している(80%以上密着している)
3・・・半分程度剥離している(30%以上80%未満密着している)
2・・・部分的に密着している(30%未満密着している)
1・・・まったく密着しない(0%密着している(全て剥離した))
Figure 2021070738
以上より、本願発明の活性エネルギー線硬化型インキ組成物を用いることによって、幅広い基材に対して優れた密着性、高い塗膜耐性を有し、かつ、バイオマス由来の(メタ)アクリレート化合物を含む活性エネルギー線硬化型インキ組成物及びその印刷物を提供できる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする、活性エネルギー線硬化型インキ組成物。
    一般式(1)
    Figure 2021070738


    (Xは、単結合又は2価の有機連結基を表す。R1は、水素原子又はメチル基を表す。nは、0〜3の整数を表す。)
  2. 一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物が、カルダノール
    またはその誘導体の水酸基と、(メタ)アクリロイル基含有化合物のカルボキシ基とのエステル化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型インキ組成物。
  3. カルダノールが、カシューナッツ由来であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型インキ組成物。
  4. 一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物のヨウ素価が、100以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インキ組成物。
  5. 一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物を、活性エネルギー線硬化型インキ組成物の全質量に対して、3質量%以上含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インキ組成物。
  6. 基材に、請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インキ組成物を印刷してなる印刷物。
  7. 基材が、バイオマス由来のフィルムであることを特徴とする、請求項6に記載の印刷物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023048170A1 (ja) * 2021-09-24 2023-03-30 リンテック株式会社 熱硬化性樹脂組成物
WO2023170891A1 (ja) * 2022-03-10 2023-09-14 三菱電機株式会社 絶縁樹脂組成物、硬化物、巻線コイル、および回転機

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