JP2021069989A - 複合半透膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】実用に耐える透水性と除去性を有し、酸とアルカリに繰り返し接触後も高い塩除去性を有する複合半透膜を提供する。【解決手段】本発明の複合半透膜は、多孔性支持層と、前記多孔性支持層上に設けられた分離機能層を有する複合半透膜であって、前記分離機能層が架橋芳香族ポリアミドを含有し、かつ前記ポリアミドが特定の部分構造を有する。【選択図】なし
Description
本発明は、液状混合物の選択的分離に有用な半透膜に関し、特に実用性のある透過性と選択分離性を有し、耐久性の高い複合半透膜に関する。
液状混合物の膜分離に使用される膜には、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜などがあり、これらの膜は、例えば塩分、有害物を含んだ水などから飲料水を得る場合や、工業用超純水の製造、排水処理、有価物の回収などに用いられている。
現在市販されている逆浸透膜およびナノろ過膜の大部分は複合半透膜であり、中でも、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応によって得られる架橋芳香族ポリアミドからなる分離機能層を微多孔性支持膜上に被覆して得られる複合半透膜(特許文献1)は、透水性や塩、および中性分子の選択分離性が高い分離膜として広く用いられている。
しかし、原水中に含まれる低分子の中性分子を除去するにおいては、その透水性や選択分離性は十分ではなかった。本発明の目的は、透水性と塩除去性に優れる複合半透膜を提供することにある。
本発明の複合半透膜は、多孔性支持層と、前記多孔性支持層上に設けられた分離機能層を有する複合半透膜であって、前記分離機能層が架橋芳香族ポリアミドを含有し、かつ前記ポリアミドが(1)で表される部分構造を有する。
(Ar1〜3は置換基を有していてもよい炭素数5〜14の芳香族環であり、R1、R2、R3、R4は水素原子または炭素原子1〜2の脂肪族鎖であり、Xは少なくとも1つの正荷電基と少なくとも1つの負荷電基を有する原子団であり、かつXに含まれる炭素数が10以下である。)
本発明によって、高い透水性と中性分子除去性を示す複合半透膜が得られる。
1.複合半透膜
本発明に係る複合半透膜は、支持膜と、支持膜上に形成される分離機能層とを備える。複合半透膜は逆浸透膜またはナノろ過膜としての分離性能を備える。前記分離機能層は実質的に分離性能を有するものであり、支持膜は水を透過するものの実質的にイオン等の分離性能を有さず、分離機能層に強度を与えることができる。
本発明に係る複合半透膜は、支持膜と、支持膜上に形成される分離機能層とを備える。複合半透膜は逆浸透膜またはナノろ過膜としての分離性能を備える。前記分離機能層は実質的に分離性能を有するものであり、支持膜は水を透過するものの実質的にイオン等の分離性能を有さず、分離機能層に強度を与えることができる。
(1)支持膜
本実施形態では、支持膜は、基材および多孔性支持層を備える。ただし、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、支持膜は、基材を持たず、多孔性支持層のみで構成されていてもよい。
本実施形態では、支持膜は、基材および多孔性支持層を備える。ただし、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、支持膜は、基材を持たず、多孔性支持層のみで構成されていてもよい。
(1−1)基材
基材としては、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、及びこれらの混合物又は共重合体等が挙げられる。中でも、機械的、熱的に安定性の高いポリエステル系重合体の布帛が特に好ましい。布帛の形態としては、長繊維不織布や短繊維不織布、さらには織編物を好ましく用いることができる。
基材としては、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、及びこれらの混合物又は共重合体等が挙げられる。中でも、機械的、熱的に安定性の高いポリエステル系重合体の布帛が特に好ましい。布帛の形態としては、長繊維不織布や短繊維不織布、さらには織編物を好ましく用いることができる。
(1−2)多孔性支持層
本発明において多孔性支持層は、イオン等の分離性能を実質的に有さず、分離性能を実質的に有する分離機能層に強度を与えるためのものである。多孔性支持層の孔のサイズや分布は特に限定されない。例えば、均一で微細な孔、又は分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面まで徐々に大きな微細孔をもち、かつ、分離機能層が形成される側の表面で微細孔の大きさが0.1nm以上100nm以下であるような多孔性支持層が好ましい。支持層に使用する材料やその形状は特に限定されない。
本発明において多孔性支持層は、イオン等の分離性能を実質的に有さず、分離性能を実質的に有する分離機能層に強度を与えるためのものである。多孔性支持層の孔のサイズや分布は特に限定されない。例えば、均一で微細な孔、又は分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面まで徐々に大きな微細孔をもち、かつ、分離機能層が形成される側の表面で微細孔の大きさが0.1nm以上100nm以下であるような多孔性支持層が好ましい。支持層に使用する材料やその形状は特に限定されない。
多孔性支持層の素材には、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース系ポリマー、ビニルポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、及びポリフェニレンオキシド等のホモポリマー又はコポリマーを、単独で又は混合して使用することができる。ここでセルロース系ポリマーとしては酢酸セルロース、硝酸セルロースなど、ビニルポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリルなどが使用できる。
中でもポリスルホン、ポリアミド、ポリエステル、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホンなどのホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。より好ましくは酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、またはポリフェニレンスルホンが挙げられる。さらに、これらの素材の中では化学的、機械的、熱的に安定性が高く、成型が容易であることからポリスルホンが一般的に使用できる。
ポリスルホンは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)でN−メチルピロリドンを溶媒に、ポリスチレンを標準物質として測定した場合の質量平均分子量(Mw)が、10000以上200000以下であることが好ましく、より好ましくは15000以上100000以下である。
ポリスルホンのMwが10000以上であることで、多孔性支持層として好ましい機械的強度および耐熱性を得ることができる。また、Mwが200000以下であることで、溶液の粘度が適切な範囲となり、良好な成形性を実現することができる。
例えば、ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(以降、DMFと記載)溶液を、密に織ったポリエステル布又は不織布の上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数10nm以下の微細な孔を有する多孔性支持層を得ることができる。
基材と多孔性支持層の厚みは、複合半透膜の強度及びそれをエレメントにしたときの充填密度に影響を与える。十分な機械的強度及び充填密度を得るためには、基材と多孔性支持層の厚みの合計が、30μm以上300μm以下であることが好ましく、100μm以上220μm以下であるとより好ましい。また、多孔性支持層の厚みは、20μm以上100μm以下であることが好ましい。なお、本書において、特に付記しない限り、厚みとは、平均値を意味する。ここで平均値とは相加平均値を表す。すなわち、基材と多孔性支持層の厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向(膜の面方向)に20μm間隔で測定した、20点の厚みの平均値を算出することで求められる。
(2)分離機能層
(2−1)分離機能層の化学構造
分離機能層は、架橋芳香族ポリアミドを含有する。特に、分離機能層は、架橋芳香族ポリアミドを主成分として含有することが好ましい。主成分とは分離機能層の成分のうち、50重量%以上を占める成分を指す。分離機能層は、架橋芳香族ポリアミドを50重量%以上含むことにより、高い除去性能を発現することができる。
(2−1)分離機能層の化学構造
分離機能層は、架橋芳香族ポリアミドを含有する。特に、分離機能層は、架橋芳香族ポリアミドを主成分として含有することが好ましい。主成分とは分離機能層の成分のうち、50重量%以上を占める成分を指す。分離機能層は、架橋芳香族ポリアミドを50重量%以上含むことにより、高い除去性能を発現することができる。
本発明における芳香族ポリアミドは、その末端アミノ基を介したアミド結合によって上記(1)であらわされる部分構造を有する。
上記式(1)中、Ar1〜3は置換基を有していてもよい炭素数5〜14の芳香族環であり、R1〜R3は水素原子または炭素原子1〜10の脂肪族鎖であり、Xは少なくとも1つの正荷電基と少なくとも1つの負荷電基を有する原子団であり、かつXに含まれ炭素数が20以下である。
式(1)における繰り返し単位(括弧内の構造)は、多官能芳香族アミンと多官能芳香族酸クロリドとの重合物であることが好ましい。
式(1)における末端Xは、少なくとも1つの正荷電基と少なくとも1つの負荷電基を有する。Xが存在することで分離膜の荷電性を高まり、溶質中に含まれるイソプロピルアルコールなどの中性分子とポリアミド主鎖に含まれる疎水性部位との相互作用が弱まるため、膜の中性分子除去性が高まる。
部分構造(1)におけるXの有する炭素数は20以下であることが好ましく、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下である。炭素数が20以下であることで、親水性基に対する疎水性部位の割合が小さくなるため、膜の透水性は大きくなる。
部分構造(1)におけるXの有する炭素数は20以下であることが好ましく、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下である。炭素数が20以下であることで、親水性基に対する疎水性部位の割合が小さくなるため、膜の透水性は大きくなる。
Xの有する正荷電基と負荷電基の間に存在する炭素数は適宜選択することができるが、中性分子除去性の観点から1〜2であることが好ましい。アニオン性基近傍にカチオン性基を固定化することで、中性分子とポリアミド主鎖に含まれる疎水性部位との相互作用を抑制し、除去性が向上する。
Xが有する正荷電基として、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオンが挙げられる。膜の細孔を狭めない点で分子サイズが小さいアンモニウムカチオンがより好ましい。Xは2つ以上の正荷電基を含有し得るが、中でも1個〜2個の正荷電基を含有することが好ましい。
Xは、負荷電基として、カルボアニオン、スルホアニオン、及びホスホアニオン、のうちから選ばれる少なくとも1種の官能基を有することが好ましい。Xは、2つ以上の負荷電基を含有し得るが、中でも1個〜2個の負荷電基を含有することが好ましい。
また、分離機能層における半脂肪族アミド基とカルボキシ基のモル比(半脂肪族アミド基/アミノ基)×102をxとしたとき、5.0≦xであるときに、高い中性分子除去性を有することを見出した。芳香環に直接結合したアミノ基は、カルボキシル基のような解離性基と異なり、pHが7付近の中性領域において、荷電性を有さないため、中性分子と親和しやすく、膜の中性分子除去性が低下する。5.0≦xであることで、(1)であらわされる部分構造を十分に有するため、除去性が担保される。
Xの主鎖部分は環式であっても鎖式であってもよく、また、飽和結合のみで形成されても不飽和結合が含まれていてもよく、得たい性能により適宜選択することができる。
ポリアミドは一般式(4)で表される部分構造を有することが好ましい。
(Ar1〜3は置換基を有していてもよい炭素数5〜14の芳香族環であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7は水素原子または炭素原子1〜2の脂肪族鎖であり、Yは少なくとも1つの正荷電基である。)
これらのポリアミド中の官能基量は、例えば、13C固体NMR測定で求めることができる。具体的には、複合半透膜から基材を剥離し、分離機能層と多孔性支持層を得た後、多孔性支持層を溶解・除去し、分離機能層を得る。得られた分離機能層をDD/MAS−13C固体NMR測定を行い、各官能基が結合している炭素原子のピークの積分値を算出する。この積分値から各官能基量を同定できる。13C固体NMRで測定される官能基としては、具体的には、カルボキシ基、アミノ基、芳香族アミド基、半脂肪族アミド基、及びX内の脂肪族鎖部が想定される。なお、半脂肪族アミド基とはアミド基の両隣の原子団がそれぞれ脂肪族鎖及び芳香族鎖であるアミド基を意味する。
これらのポリアミド中の官能基量は、例えば、13C固体NMR測定で求めることができる。具体的には、複合半透膜から基材を剥離し、分離機能層と多孔性支持層を得た後、多孔性支持層を溶解・除去し、分離機能層を得る。得られた分離機能層をDD/MAS−13C固体NMR測定を行い、各官能基が結合している炭素原子のピークの積分値を算出する。この積分値から各官能基量を同定できる。13C固体NMRで測定される官能基としては、具体的には、カルボキシ基、アミノ基、芳香族アミド基、半脂肪族アミド基、及びX内の脂肪族鎖部が想定される。なお、半脂肪族アミド基とはアミド基の両隣の原子団がそれぞれ脂肪族鎖及び芳香族鎖であるアミド基を意味する。
2.複合半透膜の製造方法
(1)分離機能層の形成方法
上記の分離機能層は、多官能芳香族アミン、多官能芳香族酸クロリド、脂肪族カルボン酸誘導体を化学反応させることにより得られる。主骨格である架橋芳香族ポリアミドは、多官能芳香族アミンと多官能芳香族酸クロリドの重合反応により構築される。
(1)分離機能層の形成方法
上記の分離機能層は、多官能芳香族アミン、多官能芳香族酸クロリド、脂肪族カルボン酸誘導体を化学反応させることにより得られる。主骨格である架橋芳香族ポリアミドは、多官能芳香族アミンと多官能芳香族酸クロリドの重合反応により構築される。
多官能芳香族アミンとは、一分子中に第一級アミノ基及び第二級アミノ基のうち少なくとも一方のアミノ基を2個以上有し、かつ、アミノ基のうち少なくとも1つは第一級アミノ基である芳香族アミンを意味する。多官能芳香族アミンとしては、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、o−ジアミノピリジン、m−ジアミノピリジン、p−ジアミノピリジン等の2個のアミノ基がオルト位やメタ位、パラ位のいずれかの位置関係で芳香環に結合した多官能芳香族アミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミンなどの多官能芳香族アミンなどが挙げられる。特に、膜の選択分離性や透過性、耐熱性を考慮すると、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、及び1,3,5−トリアミノベンゼンが好適に用いられる。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさから、m−フェニレンジアミンを用いることがより好ましい。これらの多官能芳香族アミンは、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
多官能芳香族酸クロリドとは、一分子中に少なくとも2個のクロロカルボニル基を有する芳香族酸クロリドをいう。例えば、3官能酸クロリドでは、トリメシン酸クロリドなどを挙げることができ、2官能酸クロリドでは、ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、アゾベンゼンジカルボン酸ジクロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ナフタレンジカルボン酸クロリドなどを挙げることができる。膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、一分子中に2〜4個の塩化カルボニル基を有する多官能芳香族酸クロリドであることが好ましい。膜の選択分離性や透過性、耐熱性を考慮すると、トリメシン酸クロリドがより好ましい。これらの多官能芳香族酸クロリドは、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
ここで、多官能芳香族アミンおよび多官能芳香族酸クロリドについて、少なくとも一方が3官能以上の化合物を含んでいることが好ましい。これにより、剛直な分子鎖が得られ、水和イオンやホウ素などの微細な溶質を除去するための良好な孔構造が形成される。
化学反応の方法として、界面重合法が生産性、性能の観点から最も好ましい。以下、界面重合の工程について説明する。
界面重合の工程は、(a)多官能芳香族アミンを含有する水溶液を多孔性支持層上に接触させる工程と、(b)多官能芳香族アミンを含有する水溶液を接触させた多孔性支持層に多官能芳香族酸クロリド溶液を接触させる工程と、(c)接触後の有機溶媒溶液を液切りする工程と、(d)有機溶媒溶液を液切りした複合半透膜を熱水で洗浄する工程、を有する。
なお本欄では、支持膜が基材と多孔性支持層とを備える場合を例に挙げるが、支持膜が別の構成を備える場合は、「多孔性支持層」を「支持膜」と読み替えればよい。
工程(a)において、多官能芳香族アミン水溶液における多官能芳香族アミンの濃度は0.1重量%以上20重量%以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5重量%以上15重量%以下の範囲内である。多官能芳香族アミンの濃度がこの範囲であると十分な溶質除去性能および透水性を得ることができる。
多官能芳香族アミン水溶液の接触は、多孔性支持層上に均一かつ連続的に行うことが好ましい。具体的には、例えば、多官能芳香族アミン水溶液を多孔性支持層にコーティングする方法や、多孔性支持層を多官能芳香族アミン水溶液に浸漬する方法などを挙げることができる。多孔性支持層と多官能芳香族アミン水溶液との接触時間は、1秒以上10分間以下であることが好ましく、10秒以上3分間以下であるとさらに好ましい。
多官能芳香族アミン水溶液を多孔性支持層に接触させた後は、膜上に液滴が残らないように十分に液切りする。十分に液切りすることで、多孔性支持層形成後に液滴残存部分が膜欠点となって除去性能が低下することを防ぐことができる。液切りの方法としては、例えば、特開平2−78428号公報に記載されているように、多官能芳香族アミン水溶液接触後の支持膜を垂直方向に把持して過剰の水溶液を自然流下させる方法や、エアーノズルから窒素などの気流を吹き付け、強制的に液切りする方法などを用いることができる。また、液切り後、膜面を乾燥させて水溶液の水分を一部除去することもできる。
工程(b)において、有機溶媒溶液中の多官能芳香族酸クロリドの濃度は、0.01重量%以上10重量%以下の範囲内であると好ましく、0.02重量%以上2.0重量%以下の範囲内であるとさらに好ましい。0.01重量%以上とすることで十分な反応速度が得られ、また、10重量%以下とすることで副反応の発生を抑制することができるためである。
有機溶媒は、水と非混和性であり、かつ多官能芳香族酸クロリドを溶解し、支持膜を破壊しないものが好ましく、多官能芳香族アミンおよび多官能芳香族酸クロリドに対して不活性であるものであればよい。好ましい例として、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、イソオクタン、イソデカン、イソドデカンなどの炭化水素化合物および混合溶媒が挙げられる。
多官能芳香族酸クロリドの有機溶媒溶液の多官能芳香族アミン水溶液と接触させた多孔性支持層への接触の方法は、多官能芳香族アミン水溶液の多孔性支持層への被覆方法と同様に行えばよい。
工程(c)において、反応後の有機溶媒溶液を液切りする工程により、有機溶媒を除去する。有機溶媒の除去は、例えば、膜を垂直方向に把持して過剰の有機溶媒を自然流下して除去する方法、送風機で風を吹き付けることで有機溶媒を乾燥除去する方法、水とエアーの混合流体で過剰の有機溶媒を除去する方法等を用いることができる。
工程(d)において、有機溶媒を除去した複合半透膜を熱水で洗浄する。熱水の温度としては40℃以上100℃以下、好ましくは60℃以上100℃以下である。
こうして、末端アミノ基を有する架橋芳香族ポリアミド(下記式(6))を含む層が形成される。
(Ar1〜3は置換基を有していてもよい炭素数5〜14の芳香族環であり、R1、R2、R3は水素原子または炭素原子が1〜2の脂肪族鎖である。)
次に、上記(1)であらわされる部分構造を架橋芳香族ポリアミドに付与する。
次に、上記(1)であらわされる部分構造を架橋芳香族ポリアミドに付与する。
部分構造の付与は、少なくとも1つの正荷電基と少なくとも1つの負荷電基を有し、かつアミノ基反応性官能基を有する化合物を、架橋芳香族ポリアミドの末端カルボキシ基と反応させることで行われる。
具体的には、前記分離機能層の形成工程は、架橋芳香族ポリアミドを含む層を下記一般式(5)で表される化合物と接触させる工程を含む。
(R8は、水素原子または炭素原子数が1〜2の脂肪族鎖であり、R9,R10は、炭素原子数が1〜2の脂肪族鎖である。)
アミノ基反応性官能基を有する化合物の例として、例えば、モルホリン−2,6−ジオン、4−メチルモルホリン−2,6−ジオン、4−エチルモルホリン−2,6−ジオン、イミノ二酢酸、メチルイミノ二酢酸、エチルイミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸二無水物、ジエチレントリアミンペンタ酢酸二無水物、N−ベンジルイミノ二酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸等が挙げられる。特に、ポリアミド機能層の細孔内部まで到達しやすく、反応率を高めやすい点で、分子量200以下の化合物がより好ましい。
アミノ基反応性官能基を有する化合物の例として、例えば、モルホリン−2,6−ジオン、4−メチルモルホリン−2,6−ジオン、4−エチルモルホリン−2,6−ジオン、イミノ二酢酸、メチルイミノ二酢酸、エチルイミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸二無水物、ジエチレントリアミンペンタ酢酸二無水物、N−ベンジルイミノ二酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸等が挙げられる。特に、ポリアミド機能層の細孔内部まで到達しやすく、反応率を高めやすい点で、分子量200以下の化合物がより好ましい。
高効率かつ短時間での反応のため、必要に応じ、種々の反応助剤(縮合促進剤)を利用することもできる。縮合促進剤として、硫酸、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(以下、DMT-MMという)、 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、N,N’-カルボニルジイミダゾール、1,1’-カルボニルジ(1,2,4-トリアゾール)、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロりん酸塩、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロりん酸塩、(7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロりん酸塩、クロロトリピロリジノホスホ二ウムヘキサフルオロりん酸塩、ブロモトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロりん酸塩、3-(ジエトキシホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩、O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロほう酸塩、O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩、O-(3,4-ジヒドロ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン-3-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロほう酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-(2-オクトキシ-2-オキソエチル)ジメチルアンモニウム、S-(1-オキシド-2-ピリジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルチウロニウムテトラフルオロほう酸塩、O-[2-オキソ-1(2H)-ピリジル]-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロほう酸塩、{{[(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデン)アミノ]オキシ}-4-モルホリノメチレン}ジメチルアンモニウムヘキサフルオロりん酸塩、2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロりん酸塩、1-(クロロ-1-ピロリジニルメチレン)ピロリジニウムヘキサフルオロりん酸塩、2-フルオロ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロりん酸塩、フルオロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロりん酸塩、などが例として挙げられる。
該化合物を接触させる方法としては、複合半透膜の分離機能層上にコーティングすることで反応させてもよいし、該化合物またはそれを含む溶液に、分離機能層を含む膜を浸漬して反応させてもよい。また、後述する複合半透膜エレメントを作成してから該化合物を含む溶液を通液処理して反応させてもよい。
該化合物を溶液として、またはそのまま複合半透膜に塗布する際の反応時間および温度は、該化合物の種類、塗布方法により適宜調整可能である。該化合物を溶液として塗布する際には、溶液の濃度は10mmol/L以上であることが好ましい。10mmol/L以上であることで、機能層のポリアミド末端のアミノ基と該化合物が十分に反応し、分離機能層の耐酸性及び耐アルカリ性向上効果が得られる。
また、上記架橋ポリアミド中に存在するアミノ基を適宜選択した化学反応による改質処理で変換することによって、新たな官能基を導入し、複合半透膜の性能を向上することができる。 新たな官能基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲノ基、水酸基、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、アルデヒド基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル基、及びアゾ基等が挙げられる。
(2)支持膜の形成方法
本発明に使用する多孔性支持層は、ミリポア社製“ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製“ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるし、以下の工程を含む方法によって形成することもできる。
・多孔性支持層を形成する樹脂を溶媒に溶かすことで、溶液を得る。
・得られた溶液を基材に塗布する。
・上記樹脂の非溶媒を含む凝固液に浸漬する。
本発明に使用する多孔性支持層は、ミリポア社製“ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製“ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるし、以下の工程を含む方法によって形成することもできる。
・多孔性支持層を形成する樹脂を溶媒に溶かすことで、溶液を得る。
・得られた溶液を基材に塗布する。
・上記樹脂の非溶媒を含む凝固液に浸漬する。
3.複合半透膜の利用
複合半透膜は、プラスチックネットなどの供給水流路材と、トリコットなどの透過水流路材と、必要に応じて耐圧性を高めるためのフィルムと共に、多数の孔を穿設した筒状の集水管の周りに巻回され、スパイラル型の複合半透膜エレメントとして好適に用いられる。さらに、このエレメントを直列または並列に接続して圧力容器に収納した複合半透膜モジュールとすることもできる。
複合半透膜は、プラスチックネットなどの供給水流路材と、トリコットなどの透過水流路材と、必要に応じて耐圧性を高めるためのフィルムと共に、多数の孔を穿設した筒状の集水管の周りに巻回され、スパイラル型の複合半透膜エレメントとして好適に用いられる。さらに、このエレメントを直列または並列に接続して圧力容器に収納した複合半透膜モジュールとすることもできる。
また、上記の複合半透膜やそのエレメント、モジュールは、それらに供給水を供給するポンプや、その供給水を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、供給水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
本発明に係る複合半透膜によって処理される供給水としては、海水、かん水、排水等の500mg/L以上100g/L以下のTDS(Total Dissolved Solids:総溶解固形分)を含有する液状混合物が挙げられる。一般に、TDSは総溶解固形分量を指し、「質量÷体積」あるいは「重量比」で表される。定義によれば、0.45ミクロンのフィルターで濾過した溶液を39.5℃以上40.5℃以下の温度で蒸発させ残留物の重さから算出できるが、より簡便には実用塩分(S)から換算する。
流体分離装置の操作圧力は高い方が溶質除去率は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加すること、また、複合半透膜の耐久性を考慮すると、複合半透膜に被処理水を透過する際の操作圧力は、0.5MPa以上、10MPa以下が好ましい。供給水温度は、高くなると溶質除去率が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、5℃以上、45℃以下が好ましい。また、供給水pHが高くなると、海水などの高溶質濃度の供給水の場合、マグネシウムなどのスケールが発生する恐れがあり、また、高pH運転による膜の劣化が懸念されるため、中性領域での運転が好ましい。
以下実施例をもって本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれにより限定されるものではない。
(Xの官能基の同定)
複合半透膜5m2から基材を物理的に剥離させ、多孔性支持層と分離機能層を回収した。25°Cで24時間静置することで乾燥させた後、ジクロロメタンの入ったビーカー内に少量ずつ加えて撹拌し、多孔性支持層を構成するポリマーを溶解させた。ビーカー内の不溶物を濾紙で回収した。この不溶物をジクロロメタンの入ったビーカー内に入れ攪拌し、ビーカー内の不溶物を回収した。この作業をジクロロメタン溶液中に多孔性支持層を形成するポリマーの溶出が検出できなくなるまで繰り返した。回収した分離機能層は真空乾燥機で乾燥させ、残存するジクロロメタンを除去した。得られた分離機能層は凍結粉砕によって粉末状の試料とし、固体NMR法測定に用いられる試料管内に封入して、CP/MAS法、及びDD/MAS法による13C固体NMR測定を行った。13C固体NMR測定には、例えば、Chemagnetics社製CMX−300を用いることができる。測定条件例を以下に示す。
基準物質:ポリジメチルシロキサン(内部基準:1.56ppm)
試料回転数:10.5kHz
パルス繰り返し時間:100s
得られたスペクトルから、各官能基が結合している炭素原子由来のピークごとにピーク分割を行い、分割されたピークの面積から官能基量比を定量した。
複合半透膜5m2から基材を物理的に剥離させ、多孔性支持層と分離機能層を回収した。25°Cで24時間静置することで乾燥させた後、ジクロロメタンの入ったビーカー内に少量ずつ加えて撹拌し、多孔性支持層を構成するポリマーを溶解させた。ビーカー内の不溶物を濾紙で回収した。この不溶物をジクロロメタンの入ったビーカー内に入れ攪拌し、ビーカー内の不溶物を回収した。この作業をジクロロメタン溶液中に多孔性支持層を形成するポリマーの溶出が検出できなくなるまで繰り返した。回収した分離機能層は真空乾燥機で乾燥させ、残存するジクロロメタンを除去した。得られた分離機能層は凍結粉砕によって粉末状の試料とし、固体NMR法測定に用いられる試料管内に封入して、CP/MAS法、及びDD/MAS法による13C固体NMR測定を行った。13C固体NMR測定には、例えば、Chemagnetics社製CMX−300を用いることができる。測定条件例を以下に示す。
基準物質:ポリジメチルシロキサン(内部基準:1.56ppm)
試料回転数:10.5kHz
パルス繰り返し時間:100s
得られたスペクトルから、各官能基が結合している炭素原子由来のピークごとにピーク分割を行い、分割されたピークの面積から官能基量比を定量した。
複合半透膜の各種特性は、複合半透膜に、pH7.0に調整したイソプロピルアルコール水溶液(イソプロピルアルコール濃度50mg/L)を操作圧力1.03MPaで供給して膜ろ過処理を3時間行い、その後の透過水、供給水の水質を測定することにより求めた。
(膜透過流束)
供給水(イソプロピルアルコール水溶液)の膜透過水量を、膜面1平方メートルあたり、1日あたりの透水量(立方メートル)でもって膜透過流束(m3/m2/日)を表した。
供給水(イソプロピルアルコール水溶液)の膜透過水量を、膜面1平方メートルあたり、1日あたりの透水量(立方メートル)でもって膜透過流束(m3/m2/日)を表した。
(溶質除去率)
溶質除去率(%)=100×{1−(透過水中のイソプロピルアルコール濃度/供給水中のイソプロピルアルコール濃度)}
(膜の作製)
(参考例1)
ポリエステル不織布(通気量2.0cc/cm2/sec)上にポリスルホン(PSf)の16.0質量%DMF溶液を25℃の条件下で200μmの厚みでキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって、多孔性支持膜を作製した。
溶質除去率(%)=100×{1−(透過水中のイソプロピルアルコール濃度/供給水中のイソプロピルアルコール濃度)}
(膜の作製)
(参考例1)
ポリエステル不織布(通気量2.0cc/cm2/sec)上にポリスルホン(PSf)の16.0質量%DMF溶液を25℃の条件下で200μmの厚みでキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって、多孔性支持膜を作製した。
(比較例1)
参考例1により得られた多孔性支持膜をm−フェニレンジアミン(m−PDA)の2質量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド(TMC)0.1質量%、アセトン0.1質量%を含む25℃のデカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置したのち、膜を垂直にして余分な溶液を液切りして除去し、架橋芳香族ポリアミド分離機能層を有する複合半透膜を得た。
参考例1により得られた多孔性支持膜をm−フェニレンジアミン(m−PDA)の2質量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド(TMC)0.1質量%、アセトン0.1質量%を含む25℃のデカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置したのち、膜を垂直にして余分な溶液を液切りして除去し、架橋芳香族ポリアミド分離機能層を有する複合半透膜を得た。
(実施例1)
比較例1で得られた複合半透膜を、100mmol/Lの4−メチルモルホリン2−2,6−ジオン含むpH7の水溶液に40℃で24時間接触させ、実施例1の複合半透膜を得た。
比較例1で得られた複合半透膜を、100mmol/Lの4−メチルモルホリン2−2,6−ジオン含むpH7の水溶液に40℃で24時間接触させ、実施例1の複合半透膜を得た。
(実施例2)
比較例1で得られた複合半透膜を、100mmol/Lの4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドと、100mmol/Lのメチルイミノ二酢酸を含むpH7の水溶液に25℃で2時間接触させ、さらに酢酸を100mmol/Lになるよう添加した後20時間接触させ、実施例2の複合半透膜を得た。
比較例1で得られた複合半透膜を、100mmol/Lの4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドと、100mmol/Lのメチルイミノ二酢酸を含むpH7の水溶液に25℃で2時間接触させ、さらに酢酸を100mmol/Lになるよう添加した後20時間接触させ、実施例2の複合半透膜を得た。
(実施例3)
比較例1で得られた複合半透膜を、100mmol/Lのエチレンジアミン四酢酸二無水物メチルイミノ二酢酸を含むpH7の水溶液に40℃で24時間接触させ、実施例2の複合半透膜を得た。
比較例1で得られた複合半透膜を、100mmol/Lのエチレンジアミン四酢酸二無水物メチルイミノ二酢酸を含むpH7の水溶液に40℃で24時間接触させ、実施例2の複合半透膜を得た。
以上の比較例、実施例で得られた複合半透膜の有する半脂肪族アミド基とカルボキシ基のモル比(半脂肪族アミド基/アミノ基)×102をx、イソプロピルアルコール水溶液をろ過した際の膜透過流速(透水性)、およびイソプロパノール除去性(溶質除去性)の評価性能を表1に示す。実施例に示すように、本発明の複合半透膜は、高い透水性能と除去性能を持つことが分かる。
Claims (6)
- 前記分離機能層における半脂肪族アミド基とアミノ基のモル比(半脂肪族アミド基/アミノ基)×102をxとしたとき、5.0≦xである請求項1〜3のいずれかに記載の複合半透膜。
半脂肪族アミド基:アミド基の両隣の原子団がそれぞれ脂肪族鎖及び芳香族鎖であるアミド基
x:半脂肪族アミド基/アミノ基 - 基材と、前記基材上に形成された多孔性支持層と、前記多孔性支持層上に設けられ、架橋芳香族ポリアミドを含有する分離機能層とを備える複合半透膜の製造方法であって、分離機能層の形成工程を含み、前記分離機能層の形成工程は、架橋芳香族ポリアミドを含む層を、分子量200以下であり、かつ1個以上の窒素原子を有するアミン反応性化合物と接触させることを備える複合半透膜の製造方法。
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JP2019198705A JP2021069989A (ja) | 2019-10-31 | 2019-10-31 | 複合半透膜 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023127819A1 (ja) * | 2021-12-28 | 2023-07-06 | 東レ株式会社 | 複合半透膜 |
-
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- 2019-10-31 JP JP2019198705A patent/JP2021069989A/ja active Pending
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