以下、本発明の実施の形態について説明する。
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであって、これらにより特許請求の範囲に記載の手段を限定することを意図していない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における洗濯乾燥機の一部切欠構成図である。
図1において、水槽1は、筐体2内に複数のサスペンション機構3により弾性的に支持されている。洗濯槽4は、正面側に衣類等の洗濯物を出し入れする投入口5を有し、有底筒状に構成して水槽1内に配設されている。洗濯槽4は、回転軸4aを中心として回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物を収容する。
洗濯槽4の周側壁には、全周に亘って多数の孔6を設け、洗濯槽4の周側壁の内方の複数個所に、洗濯物を4の回転方向へ持ち上げるためのバッフル(図示せず)を備えている。水槽1と洗濯槽4と回転軸4aは、水平に対して角度(例えば、10〜20°)で前上がりに傾けて設けられている。
水槽1の後面側の外部には、洗濯槽4を回転駆動するモータ7が設けてあり、洗濯槽4を正逆回転させるようになっている。モータ7は、ブラシレス直流モータ等で構成され、インバータ制御によって回転速度が自在に変化できるようにしている。
筐体2の前面には、投入口5を開閉する蓋体8が設けられている。蓋体8は、外から洗濯槽4の内部が見えるように透明の窓が設けられている。
蓋体8を閉じると、水槽1の前面開口部に設けられたパッキン9が蓋体8の内面と接触し、水槽1内は水密、気密空間となり、洗濯、すすぎ、脱水、乾燥の各工程を実行する際に、水や空気が外部に漏れないようにしている。
水槽1内の底部の後方に、洗濯水を加熱する洗濯水加熱ヒータ(洗濯水加熱手段)14を設けている。洗濯水加熱ヒータ14は、シーズヒータを略U字状に折り曲げて形成され、回転軸4aが延びている方向へ水槽1の底面に沿うように取り付けられている。
洗濯水加熱ヒータ14と水槽1の底面との間に空間が設けてあり、水槽1内に洗濯水が溜められると、洗濯水加熱ヒータ14は、洗濯水の水面下に位置し、洗濯水に浸かって洗濯水を加熱する。洗濯水加熱ヒータ14で加熱される洗濯水の温度は、水槽1内の底部に
取り付けたサーミスタ等で構成している水温検知手段15で検知する。
水槽1の上方前部の周側壁に排気口17を設け、水槽1の背面部に送風口18を設けている。排気口17と送風口18は、水槽1の外部上方の前面側から後面側に向かって延びている風路19で連通接続している。
風路19には、乾燥用空気とともに風路19を通過するリントを捕捉するフィルタ(図示せず)と、乾燥用空気を水槽1を介して洗濯槽4内に送風する送風機(送風手段)21と、風路19を流れる乾燥用空気を冷却除湿する吸熱器22と、吸熱器22で除湿した乾燥用空気を加熱する放熱器23を設けている。
吸熱器22および放熱器23は、冷媒が流れる管路(図示せず)により圧縮機(図示せず)と連結されている。ヒートポンプ装置41は、冷媒が用いられ、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された高温高圧の冷媒の熱を放熱する放熱器23と、高圧の冷媒の圧力を減圧するためのキャピラリーチューブまたは膨張弁等からなる絞り手段(図示せず)と、減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器22を、冷媒が循環するように管路で連結している。
圧縮機は、圧縮機モータにより駆動され、冷媒は、圧縮機構で加圧されて高温高圧のガス冷媒となり、管路から吐出して放熱器23へと送られる。
放熱器23では、送風機21によって風路19に送風される乾燥用空気により冷却されて凝縮し、低温高圧の液冷媒になる。この液冷媒は絞り手段(図示せず)で減圧され、吸熱器22へ送られる。吸熱器22では、洗濯槽4内で衣類等の洗濯物と接触し、湿った高温の空気により加熱されて蒸発し、低温低圧のガス冷媒となって再び圧縮機25に吸入されて加圧される。
風路19を流れる乾燥用空気の温度を検知する第1温度検知手段(図示せず)および第2温度検知手段(図示せず)を設けている。第1温度検知手段は、送風口18から洗濯槽4内へ流入する乾燥風の温度を検知する。第2温度検知手段は、排気口17から洗濯槽4外へ流出する乾燥風の温度を検知する。第1温度検知手段および第2温度検知手段の出力から、洗濯槽4内の衣類等の洗濯物の乾燥状態を検知する。
筐体2には、槽回転モータ等を制御し、洗い、すすぎ、脱水等の一連の工程を逐次実行する制御手段(図示せず)が配設される。制御手段は、布量判定部(図示せず)と、液剤投入量算出部(図示せず)を有する。布量判定部は、例えば、モータ7を一定回転数で回転させた時のトルク電流値により、10kgまでの洗濯物を10段階程度に分類する機能を提供する。また、布量判定結果に応じて、洗濯で使用する水量を決定する。液剤投入量算出部は、布量判定部により検出した布量から、洗剤投入量および柔軟座投入量を算出する。
制御手段には、記憶部(図示せず)が設けられている。記憶部は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable
Read Only Memory)からなる。記憶部には、洗剤種類に関する情報を記憶する洗剤種類記憶部(図示せず)を含む、洗濯運転に関する各種設定情報が記憶される。
制御手段(図示せず)は、筐体2内の前面上部に設けられ、操作表示部36が筐体2の前面に取り付けられている。操作表示部36には、運転の手動操作を行う操作部と、設定内容および運転状況等を表示する表示部が設けられている。表示部は、報知手段としても
機能する。また、報知手段としてブザー(図示せず)も設けられており、制御手段は、ブザーから警報を発するように制御する。本実施の形態では、ブザーで警報を発したが、スピーカー等で、音声での報知を行ってもよい。このように、視覚や聴覚で報知する。
図2は、本発明の実施の形態における洗濯乾燥機の洗剤自動投入装置の分解斜視図である。
筐体2の水槽1よりも上部には、液剤自動投入装置109が設けられている。
筐体2上部には、開閉可能な蓋(図示せず)が設けられる。蓋を開けて洗剤タンク117(タンク)および柔軟剤タンク126(タンク)を着脱可能に装着できる。
液剤自動投入装置109は、筐体2の水槽1よりも上部に設けられている。液剤自動投入装置109は、給水器110と、ポンプユニット(図示せず)と、三方弁ユニット(図示せず)と、洗剤タンク117および柔軟剤タンク126が装着されるタンク収容ケース114から構成される。
使用者は洗濯を行う前に、予め、洗剤液を洗剤タンク117へ投入するとともに、柔軟剤液を柔軟剤タンク126へ投入しておく。
洗剤タンク117に洗剤液を補充する際は、洗剤タンク117を取り外し、洗剤タンク蓋119を開け、洗剤タンク117内に洗剤液を投入する。
柔軟剤タンク126内に柔軟剤液を補充する際も同様に、柔軟剤タンク126を取り外し、柔軟剤タンク蓋128を開け、柔軟剤タンク126内に柔軟剤液を投入する。
洗濯を行う際、使用者は、蓋体8を開放し、投入口5から洗濯槽4内に洗濯物を投入する。次に、操作表示部36を操作して電源スイッチをONにするとともに、洗い、すすぎ、脱水、乾燥など、各種洗濯コースや洗濯条件を設定する。
図3は、タオル洗濯用コースのフローチャートである。図3に基づいて、以下に、タオル洗濯用コースが選択された場合の動作の概略を説明する。
タオル洗濯用コースでは、コントローラは、布量判定工程、給水工程、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程、乾燥工程を逐次実行するよう制御する。布量判定工程では、布量判定部が、布量検知では、モータ7を一定回転数で正転方向、反転方向に繰り返し回転させた時のトルク電流値を測定することにより、洗濯槽4内の布量を検出する。次に、ポンプユニット(図示せず)を駆動させ、液剤投入量算出部により算出された量の洗剤液を洗剤タンク117から洗濯槽4内へ投入する。その後、給水弁を開け、布量に応じた水量の水道水を洗濯槽4内に給水する給水工程を実行する。
給水工程終了後、モータ7を駆動させ、洗濯槽4を回転させることにより、洗濯槽4内の洗濯物を攪拌させる洗い工程を実行する。
洗い工程においては、洗濯槽4を左右方向に揺動させる。洗濯槽4を所定の速度で揺動させると、タオル等の布製品は、洗濯槽4の内周面に設けられたバッフルによって洗濯槽4の回転方向へ持ち上げられ、洗濯槽4内の上方から落下させることにより、叩き洗いによる洗濯を所定時間行う。
洗い工程終了後、制御手段は、脱水を実行した後、すすぎ工程を実行する。すすぎ工程
では、給水弁を開放させ、所定量の水道水を水槽1内へ供給する。タオル洗濯用コースは、柔軟剤タンク126から水槽1内への柔軟剤液の供給を停止する。
すすぎ工程が終了すると、脱水工程を実行し、洗濯工程が完了する。
洗濯工程が終了すると、パイル起こし工程を実行する。パイル起こし工程については、後述する。
パイル起こし工程が終了すると、乾燥工程を実行する。
乾燥工程は、洗濯槽4を所定の速度で回転させ、洗濯物を洗濯槽4内で撹拌するとともに、送風機21およびヒートポンプ装置41を作動させ、洗濯槽4内への乾燥用空気の送風循環と、圧縮機25による冷媒の圧縮が開始される。
乾燥工程では、第1温度検知手段と第2温度検知手段とにより、風路19を流れる乾燥用空気の温度を検知する。洗濯槽4に流入する乾燥風の温度を第1温度検知手段により検知し、洗濯槽4から流出した乾燥風の温度を第2温度検知手段により検知する。これらの出力から、洗濯槽4内の洗濯物の乾燥度を検知し、所定の乾燥度を検知すると、乾燥工程を終了する。
以下、タオル等の布製品の洗濯を行うための『タオル洗濯用コース』における詳細な運転動作を説明する。
タオル生地は、パイル地、シャーリング地、ワッフル織地、マイクロファイバー、ガーゼ地、無撚糸地、朱子織地を含むものとする。
本実施の形態において、タオル洗濯用コースは、特に、糸がループ状になったパイルを備えたタオルなどの布製品に好適なコースに設定している。
タオル洗濯用コースを利用してタオルなどの布製品の洗濯、乾燥を行うことにより、パイルの倒れや潰れがなく、パイルに十分な空隙が形成されるので、肌ざわりや吸水性が格段に向上する。
なお、本実施の形態では、パイルを持つ布製品としてタオルを例に上げたが、いわゆるタオルに限定されるものではなく、基布(基糸)にループ状、もしくは直線状の糸や織糸などが織り込まれた構造の布製品、例えば靴下や手袋、保温衣類の裏地、タオル地のTシャツ・トレーナー、寝具など同様の構造をもつ様々な衣類や衣料品であっても同様の作用効果を達成できる。
タオル洗濯用コースにより、洗濯時のパイルなどの倒れや潰れを防止して、タオルの風合いを良好な状態に維持し、吸水性の良好な状態に維持する。風合いは、官能評価で、ふわふわ感、柔らかさ、なめらかさ、適度なしっとり感を有するものとする。また、洗濯によって生じたパイルなどの倒れや潰れを矯正することができる。
タオル洗濯用コースの洗濯乾燥容量は、他のコースの定格容量よりも小さく設定している。本実施の形態では、他のコースの洗濯乾燥容量が6kgであるのに対し、タオル洗濯用コースの定格容量を2〜3kgに設定している。
定格容量を2〜3kgに設定することにより、4人家族の一般的なタオル使用枚数に対応できる。タオル洗濯用コースの洗濯乾燥容量は、2kgに設定することが好ましい。
なお、設定した容量よりも多くのタオルが投入された際、布量判定工程においてお知らせすることができれば、投入量過多によってタオルの風合いが損なわれるといった不具合が解消できる。
図4は、日本の家族構成データと、4人家族及び5人家族におけるバスタオルとフェイスタオルの洗濯容量を示す表である。
日本の家族構成データのよると、4人以下の家族が93.2%を占め、タオル洗濯用コースの洗濯乾燥容量を2kgに設定すると、ほぼ大多数の家庭のタオル洗濯に対応でき、タオル洗濯用コースの洗濯乾燥容量を2.5kgに設定することがより好ましい。
これにより、浴比を大きくすることができ、布同士の摩擦や圧縮や重力によってパイルなどに加わる力を抑制できる。パイルなどの倒れや潰れを抑制できるので、肌ざわりが良くなり、吸水性を良くすることができる。
図5は、浴比と風合いの関係を示す表、図6は、容積・体積比と吸水性の関係を示す表である。
タオル洗濯用コースは、浴比(洗濯をするときなどの洗濯物の重量と洗濯液の液量との比)を1:20以上に設定している。浴比は、1:30以上に設定することが好ましい。本実施の形態では、2kgの定額容量に対する浴比を35に設定している。使用者が3kg洗濯しようとした場合の浴比を23に設定している。
適正な浴比を確保することにより、布同士の摩擦や圧縮や重力によってパイルなどに加わる力を確実に防止できる。パイルなどの倒れや潰れを確実に抑制できるので、パイルなどに十分な空隙が形成されて肌ざわりや吸水性が格段に向上する。タオル洗浄の浴比について各種の実験により確認をしたところ、タオルの風合いと相関のある圧縮仕事率は、浴比20程度で良化し、30程度でサチュレートする結果が得られた。
タオル洗濯用コースは、タオルの容積と洗濯槽4の体積の比を35以上に設定している。
タオルの容積と洗濯槽4の体積の比を50以上に設定することが好ましい。本実施の形態では、タオル2kgの容積と洗濯槽4の体積の比を55に設定している。使用者が3kgのタオルを洗濯しようとした場合の比を36に設定している。
乾燥タンブリング時にタオルが広がる十分な空間を確保できるので、パイルなどの倒れや潰れを矯正するとともに、パイルなどに空隙を形成し、パイルなどに十分な空気を含ませることができるので、肌ざわりや吸水性がさらに向上する。
タオル洗濯用コースは、洗濯容量と乾燥容量を同じに設定している。洗濯から乾燥まで一連のコースとして実行することができる。使用者がコースの途中でタオルを取り出す必要がなく利便性が大きく向上する。
タオル洗濯用コースは、タオルなどの布製品のみを洗濯することを取扱説明書、カタログ、Web記事等に表記している。例えば、デニムのような硬い生地の布製品と一緒に洗濯した場合、パイルが倒れたり、潰され、風合い、吸水性が低下する。また、乾きにくい衣類と一緒に乾燥されると、タオルが過乾燥状態になる虞があり、タオルなどの布製品のみにすることで、過乾燥を防止できる。これにより、より仕上がりがよくなり、タオルの肌触りや吸水性を向上させることができる。
タオル洗濯用コースの洗濯水位は、他の洗濯コースで設定される最高水位より高い、もしくは同じに設定している。
これにより、水量が増えるので、洗濯時タオルに作用する叩き洗いによる機械力が小さくなり、パイルの潰れを抑制でき、パイルに十分な空隙が形成されて、肌ざわりや吸水性を向上することができる。
タオル洗濯コースは、ためすすぎが設定されるとともに、すすぎ水位は、複数の自動洗濯コースで設定されうる最高水位より高い、もしくは、同じ水位に設定される。
これにより、水量が増えるので、すすぎ時タオルに作用する叩き洗いによる機械力が小さくなり、パイル潰れを抑制できるとともに、構造が複雑ですすぎにくいタオル地に対するすすぎ性能を向上することができる。また、パイルに十分な空隙が形成されて肌ざわりや吸水性が向上するとともに、洗剤残りによる風合いの悪化や人体への悪影響を防止できる。
水槽1には、洗濯時およびすすぎ時の設定水位を複数の自動洗濯コースで設定されうる最高水位より高い水位で洗濯水を漏水させるオーバーフロー構造を備え、タオル洗濯用コースの洗濯時およびすすぎ時の設定水位は、オーバーフロー構造の溢水水位より低く設定している。
これにより、水量が増えるので、洗濯、すすぎ時にタオルに作用する叩き洗いによる機械力が小さくなり、パイル潰れが抑制できる。また、すすぎ性能を向上でき、洗濯時およびすすぎ時の設定水位をオーバーフロー構造の溢水水位よりも低い水位に設定しているので、溢水を防止できる。
また、パイルに十分な空隙が形成されて肌ざわりや吸水性が向上するとともに、十分にすすぎを実行でき、溢水による水の無駄が排除でき、使用者の利便性を向上できる。
タオル洗濯用コースは、注水すすぎが設定される。
これにより、水量が増えるので、すすぎ時にタオルに作用する叩き洗いによる機械力がさらに小さくなり、パイル潰れがさらに抑制できるとともに、すすぎにくいタオル地に対するすすぎ性能が向上する。また、パイルに十分な空隙が形成され、肌ざわりや吸水性が向上するとともに、洗剤残りによる風合いの悪化や、人体への悪影響を防止できる。
タオル洗濯用コースは、液剤自動投入装置109の動作において、柔軟剤の投入が禁止される。
タオルは直接人体に触れるものであり、柔軟剤の使用が推奨されていない。一般的に、柔軟剤には、衣類に柔軟効果を付与する陽イオン性界面活性剤が使用されており、陽イオン性界面活性剤が吸水性を阻害することが指摘されている。また、使用量過多による黒ずみ、ごわつきの発生やアトピーの原因と言われるなど多くの問題が顕在化している。液剤自動投入装置109によって柔軟剤の投入を禁止することにより、これらの問題発生の可能性を最大限に抑制しつつ、タオル本来の風合いや柔軟性、吸水性を担保できる。
図7は、柔軟剤がタオルの風合いおよび吸水性に及ぼす影響を示す表である。線グラフは、タオルの風合いを示し、棒グラフは、タオルの吸水性を示す。なお、風合いは圧縮仕事量を、吸水性はバイレック法と呼ばれる吸水性試験による水の吸い上げ高さを各々その
物理量として計測した。
図8は、図7の結果をもとに、洗濯コース、乾燥方法、柔軟剤ありなしの条件下でタオルの風合いと吸水性との関係を示したものである。
柔軟剤を使用することにより、風合いは向上するが、残念ながら吸水性は下がる。
また、吊り干しと洗濯乾燥コースを使用した場合とを比較すると、洗濯乾燥コースを使用することで風合いは向上するが、タオル洗濯用コースでは、パイルが十分な空気を含むので、さらに風合いが向上するとともに吸水性もさらに向上することがわかる。
なお、本実施の形態では、液剤自動投入装置109の柔軟剤タンク126に充填されている柔軟剤を登録する機能が備えられており、柔軟剤タンク126に充填されている柔軟剤がタオルの吸水性等に悪影響を及ぼさない柔軟剤である場合には、柔軟剤を自動投入するように設定する構成とすることが好ましい。この構成により、使用者の利便性がさらに向上し、使い勝手の良い機器が提供できる。
タオル洗濯用コースは、液剤自動投入装置109の動作において、柔軟剤の投入が禁止される設定としているが、操作表示部36の操作、もしくは携帯端末の操作により液剤自動投入装置109によって設定変更が可能な構成としてもよく、手動投入が可能な構成としてもよい。
また、タオル洗濯用コースは、液剤自動投入装置109の柔軟剤量を柔軟剤少なめに設定することが可能な構成にしてもよい。
人の肌に直接触れるタオルに対して柔軟剤の使用を推奨されていないが、使用者が操作することにより、液剤自動投入装置109から柔軟剤投入を可能にすることができ、利便性が向上する。使用者の嗜好や柔軟剤の進化に対応することができるとともに、液剤自動投入装置109が持つ利便性を享受でき、使用者にとって使い勝手、利便性が向上する。
タオル洗濯用コースは、液剤自動投入装置109の柔軟剤投入量を標準よりも少ない量に設定してもよい。
柔軟剤の投入量を標準よりも少なく設定することで、投入装置のバラツキ含めて投入量過多になるのを防止できる。タオル洗濯用コースによって得られる風合いや吸水性向上の効果を大幅に損なうことなく、柔軟剤が持つ香り付けや柔軟効果などの効果効用を得ることができる。
なお、ここでいう柔軟剤投入量の標準とは、柔軟剤ごとに洗剤メーカーが定め柔軟剤のパッケージやネットなどの表記しているもので、衣類量もしくは水量ごとに柔軟剤投入量が決められている。
しかしながら、一般ユーザの多くは、多めに投入しているのが実態で、投入量過多が生じていることが多い。調査を行った結果、使用者の半分以上は多めに投入しており、極端な場合、約2.5倍の量を投入していることがわかった。
また、液剤自動投入装置109は、機構的に投入量に必然的なバラツキが生じるため、洗剤メーカーの決めた標準量よりも少なめの設定にすることで、常に標準量を上回らないようにコントロールすることができ、柔軟剤の引き起こす問題を抑制することができる。
タオル洗濯用コースは、液剤自動投入装置109の柔軟剤投入量を標準よりも多い量に
自動設定、或いは手動設定する構成としてもよい。
柔軟剤を多めに入れることで、柔軟剤の香り成分をたくさんタオルに付着させることができる。洗剤メーカーの調査によると、柔軟剤の利用目的は、香り付けと回答する使用者が約3割、また購入時に重視するポイントの2位が香り(50%)との回答結果があり、また、顔や肌に直接触れるタオルだからこそ、しっかり香りをつけたいという使用者の声も聞かれることから、タオル洗濯用コースが選択されると、柔軟剤の量を多めに設定することで、使用者の利便性や洗濯完了時の満足度を大きく向上させることができる。
柔軟剤多めの設定は、使用者が手動で設定することにより、設定の自由度が向上し、使用者の嗜好にあった設定変更を可能にすることができる。
但し、柔軟剤のタオルに対する柔軟剤の使用を推奨されていないため、取説、カタログ、Web、操作表示部36等に、柔軟剤を使いすぎると吸水性が悪くなる恐れがあることを表記することが好ましい。
取扱説明書、カタログ、Web情報等を目にすることで、使用者は、柔軟剤が吸水性を阻害する可能性を含んでいることを認識することができる。使用者がタオルの洗濯に柔軟剤を使用することに問題があるかもしれないことを認識し、自身の判断で設定の変更や、洗濯乾燥の仕上がりを評価するので、誤った操作による仕上がりの悪化やご認識に伴う不満発生などを防止できる。
操作表示部36に表示することで、取扱説明書、カタログ、Web情報等を目にしない使用者であっても、タオル洗濯用コース選択時、操作表示部36に情報が表示されているので、正しく情報を認識することができる。
操作表示部36の表示は、表示状態と非表示状態に切り換えることが可能な構成とすることが可能な構成としてもよい。これにより、使用者の利便性を向上することができる。
タオル洗濯用コースは、液剤自動投入装置109における洗剤投入を禁止するに設定するとともに、操作表示部36に、専用洗剤の利用を推奨する旨を表示する。また、取扱説明書にも同様に記載する。
これにより、専用洗剤を利用することにより、タオルの風合い、吸水性の向上に効果的であることを使用者に認識させることができる。使用者が専用洗剤の存在や効果を認識することで、専用洗剤の利用が促進され、タオルの風合いや吸水性が向上し、使用者の満足度を向上することができる。
なお、液剤自動投入装置109に充填されている洗剤を登録する機能を備える構成としてもよい。使用される洗剤がタオルの洗濯に適したものである場合には、自動投入動作を可能な設定とすることで、使用者の利便性を向上し、使い勝手の良い機器を提供することができる。
タオル洗濯用コースは、天然油脂、もしくは脂肪酸を原料とする洗浄剤(いわゆる石鹸)を推奨することを取扱説明書に表示することが好ましい。
タオルの洗濯には、石鹸の利用がタオルの風合い、吸水性の向上に効果的であることを使用者に認識させることができる。石鹸を利用して洗濯を行うことにより、タオルに適度の油分が残り、風合いや耐久性が大きく向上するため、使用者のタオル洗濯に関する満足度を向上することができる。
タオル洗濯に適した洗剤の一例が石鹸であるが、固形や粉末石鹸の場合には、お湯で溶解させて投入することが必要であるなど、使用者の利便性が損なわれることもあるが、近年一般的となってきた液体石鹸であれば、液剤自動投入装置109を利用して投入することが可能であり、タオルの仕上がり向上が見込める。
タオル洗濯用コースは、液剤自動投入装置109の洗剤投入および柔軟剤投入のいずれも利用できないように設定してもよい。
タオル洗濯用コース以外のコースで利用するいつも使う洗剤の使用を禁止し、手動投入でタオル向け洗剤(石鹸など)の利用を推奨する。
併せて柔軟剤も自動投入されない設定とすることにより、タオルの風合いや吸水性を向上させることができ、使用者の満足度を向上させることができる。
なお、液剤自動投入装置109に充填されている洗剤、柔軟剤を登録する機能が備える構成としてもよい。液剤自動投入装置109に充填されている洗剤、柔軟剤がタオルの吸水性等に悪影響を及ぼさないものである場合には、自動投入動作を行うように設定することで、使用者の利便性はさらに向上し、使い勝手の良い機器を提供することができる。
タオル洗濯用コースは、洗濯工程時の洗濯槽回転数を、自動洗濯コースで設定されうる洗濯槽回転数より低い、もしくは自動選択コースで設定される最も低い洗濯槽回転数と同じに設定している。
図9は、タオル洗濯用コースと、一般的な標準コースとを比較する図であり、図9(a)は、タオル洗濯用コースを示し、図9(b)は、標準コースを示している。図10は、タオル洗濯用コースと、一般的な標準コースとを比較する図であり、図10(a)は、タオル洗濯用コースを示し、図10(b)は、標準コースを示している。
タオル洗濯用コースは、洗濯槽4を35rpmで往復回転させている。標準コースは、洗濯槽4を45rpmで回転させている。
タオル洗濯用コースは、洗濯槽回転数を低く設定することにより、タオルに作用する機械力を小さくでき、パイル潰れを抑制できるとともに、パイルに十分な空隙が形成され、肌ざわりや吸水性を向上することができる。
一般的なフェイスタオルやバスタオルは、洗浄したあとの皮膚を拭き取ることが多いので、拭き取る汚れのレベルは低く、低い機械力でも十分な拭き取り効果を得られることが多い。
そのため、本実施の形態では、被洗濯物が洗濯中に受ける洗濯機械力(MA値)を可能な限り小さくするように、洗濯槽4の回転数は略35rpmとするともに、MA値が小さくなるように他のシーケンスを組み立てている。
これにより、洗濯時の機械力を、十分な洗浄力を得ながらもパイルの潰れを極力抑制することが可能となる。
なお、洗濯槽4の回転数を変化させることにより、機械力、つまり洗浄力を可変できるように構成してもよい。
例えば、新品のタオルは、仕上げ剤が付着していて吸水性が下がっている場合があるので、洗濯槽4の回転数を一時的に上げて仕上げ剤を除去する「新品タオルコース」を設けてもよい。また、洗濯する際に、使い込んだタオルが多い場合には、さらに洗濯槽4の回転数を低下させた「馴染んだタオルコース」を設けることで、常に風合いや吸水性に優れたタオルを使用者に提供することが可能となる。
タオル洗濯用コースは、洗濯工程において、洗濯槽4の回転軸4aを通る鉛直方向の仮想線を0°として、略90°〜100°を最大回動角度として左右方向に往復回動する揺動式洗浄工程とすることが好ましい。
図11は、往復回動角度とタオルの挙動を示す図で、図11(a)は、洗濯槽4を左右方向に90°揺動させた状態を示し、図11(b)は、洗濯槽4を左右方向に96°揺動させた状態を示している。
図11(a)に示すように、洗濯工程時に洗濯槽4が回動する際、収容されたタオルは、洗濯槽の最大回動角90°付近において洗濯槽4内壁から剥がれ落ち、洗濯槽4下部に落下する。その際、タオルは洗濯槽4内壁から崩れるように剥がれ落ち、向きを変えながら、時には裏返りながら洗濯槽底部に落下する。タオルの落下距離は短いので、いわゆるドラム式洗濯機の「たたき洗い」による機械力は小さく抑えられる。また、洗浄ムラが抑制され、洗浄力に優れた洗濯工程が実現できるとともに、機械力は小さく抑えられるので、過度なパイルの倒れや潰れを抑制でき、タオルの肌ざわりが良くなるとともに吸水性が向上する。
例えば、タオルが剥がれ落ちる最大回動角度を90°に設定すると、回動角度90°近辺においては、洗濯槽4の回動が停止するので、タオルを洗濯槽壁面に押し付ける遠心力はゼロとなり加えて洗濯槽4壁面で発生する鉛直上向きの反力もゼロになる
そのため、その瞬間タオルは、バッフル表面で発生する上向きの反力のみで支えられており、微小な時間の経過の後、タオルはバッフル表面を滑り、塊のまま洗濯槽4下部に落下することが目視実験にて確認された。この落下現象により、タオルの位置入替えや裏返すことが可能であるので、洗浄ムラの抑制に対して効果的である。
図11(b)に示すように、さらに最大回動角度を徐々に大きくしていくと、塊のままであったタオルが洗濯槽4底部に落下する際に広がること現象が確認でき、広がる現象は96°近辺でサチュレートすることがわかった。
このことから、洗濯槽4の最大回動角度は90°〜100°程度に設定することが望ましく、95°程度にすれば、機械力の増加を抑えながらも、タオルが広がりながら落下することを実現できる。これにより、さらに洗浄ムラがなく、洗浄力に優れた洗濯工程の実現と、パイルの倒れや潰れを抑制することによるタオルの風合いや吸水性の維持、向上を実現することができる
タオル洗濯用コースは、洗濯工程において、洗濯槽4の回転軸4aを通る鉛直方向の仮想線を0°として、略90°よりも小さい角度を最大回動角度として左右方向に往復回動する揺動式洗浄工程とすることが好ましい。
最大回動角度を90°よりも小さく設定すると、タオルは洗濯槽にはりついたままで、洗濯槽の回動に同期してゆらゆら揺動されるのみとなり、洗濯時に発生する機械力が激減する。これにより、洗濯時に発生する機械力が激減するため、パイルの倒れや潰れにつながる機械力を極限まで下げることが可能となる。汚れの少ないタオルやパイルの倒れや潰れを極力抑えて洗いたい場合などには、最大回動角度を90°よりも小さく設定することが有効となる。
また、決まった周期で洗濯槽4を最大回動角度90°を超える往復回動させる構成とすることもできる。
これにより、上記効果に加え、タオルが広がって落下する現象を引き起こせるので、タオルの位置入替えや裏返すことが可能となり、洗浄ムラや局所的なパイルの潰れを防止できる。
図10(a)に示すように、タオル洗濯用コースは、洗濯工程において、洗濯槽4を360°回動させる回動洗浄工程と、洗濯槽4の回転軸4aを通る鉛直方向の仮想線を0°として、左右方向に往復回動する揺動式洗浄工程とを組み合せることが好ましい。
洗濯槽4を360°回動させる回動洗浄工程により、いわゆる「たたき洗い」による洗浄に十分な機械力および洗剤力をムラなくタオル全体に浸透させるためのタオル撹拌効果が得られるとともに、洗濯槽4を所定の角度で往復回動させる揺動式洗浄工程により、機械力を抑えつつも洗剤力を十分に引き出すための時間が確保できる。
その結果、タオルが洗濯槽回転時の上死点付近から落下することで十分な機械力が得られるとともに、タオルの位置入替えやタオルが広がりながら落下することで生じる裏返しの作用に加え、洗剤が汚れを分解するために必要な時間が確保できることから高い洗浄効果を実現できる。
さらには、洗剤力を引き出すために必要な時間のうち、不要な時間に関しては機械力の少ない揺動式洗浄工程を行うので、過度な機械力がタオルに作用せず、パイルの倒れや潰れを抑制でき、タオルの風合いや吸水性の維持、向上を実現できる。
タオル洗濯用コースは、洗濯工程において、洗濯槽4を動かさない工程とすることが好ましい。
洗濯槽4を動かさないことで、タオルに作用する機械力がなくなり、パイル潰れが防止できる。
洗剤力を引き出すために必要な時間確保のためには、この洗浄工程も有効で、これにより、機械力を大幅に下げることができ、パイルの倒れや潰れ防止につなげることができる。
なお、最大回動角度は一つの値に限定されるものではなく、例えば、使用者によるモード選択、汚れの程度、洗濯槽4の状況を検知するセンサ出力など、様々な条件に応じて可変できる構成としてもよい。これにより、洗浄ムラのない洗浄力に優れた洗濯工程の実現と、パイルの倒れや潰れを抑制することによるタオルの風合いや吸水性の維持、向上が実現できる。
加えて、先述した回動洗浄工程、洗濯槽回転なしを含む各種条件における揺動式洗浄工程は様々な組合せが考えられ、目的に応じて適宜選択することができる。
本実施の形態では、タオル洗濯用コースを実行する洗濯乾燥機は、循環シャワーポンプを作動させて、水槽1内の洗濯水を洗濯槽4に循環して洗濯槽4上部からシャワー状に給水する構成を備えている。
図9(a)、図12に示すように、タオル洗濯用コースは、洗濯工程及びすすぎ工程時
に循環シャワーポンプを稼働し、洗濯槽4上部からシャワー状に給水する。循環シャワーポンプの回転数は、複数の自動洗濯コースで設定されうる最高回転数より高い、もしくは複数の自動選択コースで設定される最高回転数と同じに設定される。さらに、最高回転数で駆動される時間割合が複数の自動洗濯コースの時間割合よりも長く設定される。
洗濯槽4内に存在する水の量が増えるので、タオルが含む水の量およびタオルの周囲に存在する水の量が増加する。タオル同士の摩擦が減り、パイルの倒れや潰れが抑制でき、タオルの風合いや吸水性の維持、向上を実現できる。また、多量の洗濯水がシャワー上に給水されるため、使用者の視覚的な「洗えている感」につながり、安心度が向上する。
タオル洗濯用コースは、図13に示すように、脱水回転数立上げ速度を、複数の自動洗濯コースで設定されうる脱水回転数立上げ速度よりも低い、もしくは複数の自動洗濯コースで設定される最も低い脱水回転数立上げ速度と同じに設定される。
緩やかな脱水立上げを行うことにより、タオルに含まれる大量の水分を徐々に脱水し、起動直後と比較してアンバランスが起きにくい状態へと遷移させる。
タオルは、パイル構造を有するため、洗濯直後は含水量が多く、みかけの比重が非常に高くなる。特に、フェイスタオルは、サイズが小さいので偏りやすく、洗濯槽4内に均一に配置させることが難しい。
このため、比重の高い比較的小さな重量物が脱水槽内に点在することとなり、脱水起動時のアンバランス状態が発生しやすく、脱水異常によるエラー表示やムリな脱水起動による騒音、振動の問題が発生しやすいという問題がある
本実施の形態のタオル洗濯用コースは、時間をかけて緩やかな脱水回転立上げを行うことにより、タオルに含まれる大量の水を徐々に脱水し、みかけの比重が下がるので、起動直後と比べてアンバランスが起きにくい状態へと遷移させることができる。
これにより、偏りやすくアンバランスが生じやすいタオルの脱水におけるエラー表示や騒音、振動発生の問題が発生することを回避できる。
タオル洗濯用コースは、最終脱水回転数を、複数の自動洗濯コースで設定されうる最終脱水回転数よりも低く、もしくは複数の自動洗濯コースで設定される最低の最終脱水回転数と同じに設定される。
最終脱水回転数を低く設定することにより遠心力が緩和され、タオルが洗濯槽4内面に張り付く圧力が低下する。これにより、洗濯槽4内面へのタオルの張付きが抑制でき、加えて剥がれやすくなるので、タオルと洗濯槽4内面が密着することで生じるパイル倒れや潰れを抑制でき、タオルの風合いや吸水性の維持、向上を実現できる。
最終脱水回転数が高く設定されると、脱水時にタオルが洗濯槽4内面に張り付いた状態になる。著しい場合には、タオルが張り付いた状態のままで乾燥工程に移行し、乾燥が進むにつれて、ますますタオルが剥がれにくくなる。さらに、濡れたパイルが押しつぶされたままの状態で強固な水素結合が形成されるので、タオルの風合いが大きく悪化する問題がある。
タオル洗濯用コースは、図3に示すように、脱水から乾燥に至る工程のいずれかにおいて、洗濯槽4を往復回動させる布はがし・ほぐし工程を設けている。
洗濯槽が一方向のみに回転する場合には、タオルは作用する遠心力により洗濯槽4内壁
に押し付けられ、張り付いた状態となる。洗濯槽4を往復回動させることで、洗濯槽4が反転する際、タオルの持っている慣性エネルギーがタオルを洗濯槽4内壁から引き剥がす作用を及ぼし、結果的にタオルは洗濯槽4内壁から剥がれ落ちる。
これにより、タオルの洗濯槽4内面への張付きを抑制でき、加えて剥がれを促進するので、タオルと洗濯槽4内面が密着することで生じるパイル倒れや潰れを抑制でき、タオルの風合いや吸水性の維持、向上を実現できる。
なお、この布はがし・ほぐし工程は、脱水工程中、脱水工程と乾燥工程の間、さらには乾燥工程中のいずれで行ってもよく、その回数も限定されるものではなく、機器の構造に応じて様々な形態が考えられる。
タオル洗濯用コースは、脱水工程と乾燥工程の間に、洗濯槽4内に送風しながら、洗濯槽4を回動、もしくは往復回動させるパイル起こし工程を設けている。
パイル起こし工程により、洗濯工程、脱水工程で発生したパイルの倒れ・潰れを矯正することができる。パイルの倒れや潰れが矯正されることにより、パイルの空隙が確保され、タオルの風合いや吸水性の維持・向上を実現できる。
なお、パイル起こし工程における洗濯槽4の動作は、一方向の回動や往復回動、回動途中の急停止、回動急加速等さまざまな形態が考えられる。機器の構成、構造に応じてこれらを最適に組み合わせることで、パイル起こし工程の作用、効果をより大きくすることが可能である。
図14に示すように、パイル起こし工程による風合い向上の効果は、10分程度で出始め、30分強でサチュレートするという実験結果がでており、本実施の形態においては、パイル起こし工程の時間を30分に設定している。
一般的な家庭用の洗濯乾燥機の構造であれば、パイル起こし工程の効果は似通ったものになることは容易に想像でき、10分から60分の範囲でパイル起こし工程を行うことにより、タオルの風合い向上に効果的になる。
なお、パイル起こし工程においては、乾燥ファンの騒音を防止するため、乾燥ファンの回転数は通常の乾燥工程における回転数と比較して低く設定している。
本実施の形態において、パイル起こし工程は、乾燥工程と比較して、加熱手段による加熱エネルギーを略同じ、もしくは大きく設定している。
加熱しながらパイル起こし工程を行うことで、乾燥時間を短縮できる。パイル起こし工程によりパイルの倒れや潰れを矯正するので、パイルの空隙が確保でき、風合いや吸水性の維持、向上を実現できる。また、加熱しながらパイル起こし工程を行うので、後工程である乾燥工程の時間を短縮することができる。
なお、乾燥工程中にパイル起こし工程を組み込むことも可能で、その場合には一見すると通常の乾燥工程が進んでいるように見えるが、時折先述したような洗濯槽4の動作が行われるため、パイル起こし工程が行われていることがわかる。
この実施の形態であっても、先述同様の作用・効果が得られタオルの風合いや吸水性向上が見込める。
本実施の形態において、パイル起こし工程は、乾燥工程と比較して、加熱手段による加熱エネルギーを小さく設定している。
パイル起こし工程において、加熱をゆっくり行うことにより、水分の蒸発速度を抑え、水素結合によってパイルの倒れや潰れが固着する前にパイルを矯正するよう作用させる。パイルの倒れや潰れを確実に矯正できるので、パイルの空隙確保の確実性も向上し、タオルの風合いや吸水性の維持・向上を実現できる。
本実施の形態では、加熱手段の出力を低く抑えることができる。パイル起こし工程において、全く加熱を行わない形態とすることもできる。不要な加熱を行わないので、消費電力を抑制でき、環境に優しい機器の提供が実現できる。
なお、加熱手段が立ち上がりに時間を要する、例えばヒートポンプのようなものの場合には、パイル起こし工程の後半から加熱を開始すれば、パイル起こし工程の後工程であの乾燥工程を素早く立上げることができ、結果として運転時間を短縮でき、使用者の利便性を向上することができる。
タオル洗濯用コースは、乾燥工程において洗濯槽4内に供給される風量を他の自動洗濯・乾燥コースで供給される風量と異ならせて設定している。
タオルの仕上げに最も大きな影響を及ぼすのは乾燥工程であり、乾燥工程において洗濯槽4内に供給される風量をタオルに最適化する。これにより、パイルを立たせるとともに空隙を形成し、空隙に十分な空気を含ませることができるので、肌ざわりや吸水性が向上する。
タオル洗濯用コースは、乾燥工程において洗濯槽4内に供給される風量を他の自動洗濯・乾燥コースで供給される風量と比較して高く、もしくは他の自動洗濯・乾燥コースで供給される最大の風量と略同じに設定している。
これにより、タオルをほぐし、パイルを立たせるだけでなく、立たせたパイルに効果的に風を送ることにより、パイルに十分な空気を含ませる。立たせたパイルに確実に十分な空気を含ませることができるので、肌ざわりや吸水性が向上する。
タオル洗濯用コースは、乾燥工程において洗濯槽4内に供給される風量を他の自動洗濯・乾燥コースで供給される風量と比較して低く、もしくは他の自動洗濯・乾燥コースで供給される最小の風量と略同じに設定している。
これにより、タオルをほぐし、パイルを立たせるだけでなく、立たせたパイルに効果的に風を送ることにより、パイルに十分な空気を含ませる。ヒータから与えられる熱量を抑制することにより、急激な乾燥を防止することができる。
立たせたパイルに対して確実に十分な空気を含ませることができ、ゆっくり乾燥させることにより、適度な水分を保持することが容易になり、また急速乾燥によるパイルの硬化防止できるので、肌ざわりや吸水性を向上することができる。
図9(a)に示すように、タオル洗濯用コースは、乾燥工程中、もしくは乾燥工程終了後に、加熱エネルギーの供給をせずに送風のみを行うタオル調湿工程を設けている。
乾燥工程終了時に加熱せず送風のみを行うことにより、タオルの温度を下げ、空気中の水分を適度に吸湿させることができる。全工程終了時、タオルは適度な水分を保った状態
になり、しっとりとした風合いのよい仕上がりを提供できる。
なお、タオル調湿工程は、10分程度の運転時間から効果が現出してくるが、外部環境のバラツキ等を考え、本実施の形態においては、運転時間を15分に設定している。
タオル調湿工程は、加熱手段の種類や機器の構成・構造によって最適な値があると思われるが、一般的な家庭用の洗濯乾燥機であれば、ほぼその構成も同様であるため、タオル調湿工程は、15分程度に設定することが有効である。
タオル洗濯用コースは、乾燥工程終了後、所定の周期で所定の時間、洗濯槽4を回動させる動作を所定回数、もしくは所定時間継続させるタオル調湿工程を設けている。
乾燥工程終了時に送風しながら洗濯槽の回動を行うことで、タオルに空気中の水分を適度に吸湿させることができる。乾燥終了後、すぐにとりださなくとも、タオルは適度な水分を保った状態となり、しっとりとした風合いのよい仕上がりを提供できる。
また、所定周期で洗濯槽4が回動し、タオルをばらけさせるので、パイルの倒れや潰れを防止でき、肌ざわりや吸水性に優れた仕上がりを提供できる。
さらに、洗濯乾燥機が周期的に動作するので、使用者の取り出し忘れを抑制でき、風合いの良いタオルを享受できる。
タオル洗濯用コースは、乾燥工程における乾燥終了検知レベルを他の自動洗濯・乾燥コースの乾燥終了検知レベルと異ならせて設定している。
タオル洗濯用コースでは、被洗浄物がタオルに限定されるので、まとめ洗いとは異なる細やかな乾燥終了検知が行われる。過乾燥や生乾きを防止し、タオルが適度な水分を保った状態で乾燥工程を終了するので、しっとりとした風合いのよい仕上がりを提供できる。
タオル洗濯用コースは、乾燥工程における乾燥終了検知レベルを他の自動洗濯・乾燥コースの乾燥終了検知レベルと比較して早いタイミングで乾燥終了検知を行うように設定している。
乾燥終了検知を早く設定することで、他の自動洗濯・乾燥コースと比較して乾燥率を低くできる。過乾燥を防止でき、タオルが適度な水分を保った状態で乾燥工程が終了されるので、しっとりとした風合いのよい仕上がりを提供できる。
タオル洗濯用コースは、乾燥工程における乾燥終了検知レベルを他の自動洗濯・乾燥コースの乾燥終了検知レベルと比較して遅いタイミングで乾燥終了検知を行うように設定している。
乾燥終了検知を遅く設定することで、他の自動洗濯・乾燥コースと比較して乾燥率を高くできる。
なお、乾燥工程が終了したあとは、タオルの風合いや仕上がりの良さを感じてもらうために、できるだけ早く取り出してもらうことが、肝要である。例えば、携帯端末のようなリモート表示・操作部に終了報知をする構成とすることが好ましい。
また、本実施の形態において、報知のタイミングは、完了の15分前および完了時としている。タオル洗濯用コース選択時には、報知方法を変える、あるいは報知タイミングを
変えるなどして、乾燥終了後すぐに取り出すことの重要性を使用者に報知することもタオルの仕上がりの良さを実感してもらうために有効である。
本実施の形態は、洗濯乾燥機を用いて説明したが、乾燥機能を有さない洗濯機であってもよい。乾燥工程を利用せず、天日干しをしてもタオルの風合いや仕上がりの良さを得ることができる。
また、本実施の形態は、ドラム式洗濯機を用いて説明したが、縦型洗濯機にも応用することが可能である。