JP2021068751A - 電子ビーム照射装置および電子ビーム照射方法 - Google Patents

電子ビーム照射装置および電子ビーム照射方法 Download PDF

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【目的】描画開始後に電流密度を測定せずに電流密度を所定の値に維持することが可能な電子ビーム照射装置及び方法を提供する。【構成】本発明の一態様の電子ビーム照射装置は、放出源の出力を制御するパラメータの目標値を入力し、目標値に基づいて放出源の出力を制御する制御部232と、過去に測定された結果から得られる経過時間に応じた電流密度の変化量の情報を記憶する記憶装置144と、電流密度の変化量の情報を用いて、電子ビームの電流密度を推定する電流密度推定部66と、電子ビームの電流密度の推定毎に、電子ビームの電流密度が所定の値になるように、推定された電子ビームの電流密度を補正するための目標値を演算するとともに、放出源制御部に出力する目標値演算部72と、を備えたことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電子ビーム照射装置および電子ビーム照射方法に係り、例えば、電子ビーム描画におけるビーム照射手法に関する。
半導体デバイスの微細化の進展を担うリソグラフィ技術は半導体製造プロセスのなかでも唯一パターンを生成する極めて重要なプロセスである。近年、LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスに要求される回路線幅は年々微細化されてきている。ここで、電子線(電子ビーム)描画技術は本質的に優れた解像性を有しており、マスク基板やウェハ等へ電子線を使って描画することが行われている。
電子ビーム描画装置のスループットを向上させるためには、ビームの総電流量の増大が不可欠となっている。そして、その大電流を実現させるためには、電子銃のカソード温度を高温に設定する必要が生じる。しかし、カソードを高温に設定するとカソード材料の蒸発速度が大きくなるために、描画中にカソード先端形状が変化してしまう。そして、近年の高電流化に伴い、カソードの消耗速度(経時変化)が速くなり、かかる描画中の電流密度変化が問題となる傾向にある。
一方、従来の電子ビーム描画装置では、カソードから放出される電子によって流れるエミッション電流が常に一定になるように電子銃を制御していた。かかる場合、エミッション電流の目標値になるようにバイアス電圧を変更する。このように、常に最初に設定したエミッション電流になるように電子銃を制御していた。このような制御方法のまま大電流条件下で描画をおこなってしまうと、いくらエミッション電流を一定に維持してもカソード先端形状の変化によって電流密度が変化してしまうといった問題があった。そのため、大電流条件下では、描画中にビーム電流密度が変化し、その結果、入射ドーズ量が予定されたドーズ量からずれてしまい、描画されているパターンの描画精度が劣化してしまうといった問題があった。
そこで、定期的に電流密度を測定して、測定の都度、測定された電流密度の変化分を補正するようにバイアス電圧を変更する手法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。その他、電子ビームの電流量を測定することによって間接的に電流密度を測定して、補正する手法がある。しかしながら、いずれの手法においても、電流密度の補正のたびに、実際に電子ビームを照射して測定する必要がある。
特開2009−010078号公報
そこで、本発明の一態様は、描画開始後に電流密度を測定せずに電流密度を略一定に維持することが可能な描画装置及び方法を提供する。また、本発明の他の態様は、描画開始後に電流密度を測定せずに電流密度の変化に伴うドーズ量誤差を補正することが可能な電子ビーム照射装置及び電子ビーム照射方法を提供する。
本発明の一態様の電子ビーム照射装置は、
電子ビームを放出する放出源と、
放出源の出力を制御するパラメータの目標値を入力し、目標値に基づいて放出源の出力を制御する放出源制御部と、
過去に測定された結果から得られる経過時間に応じた電流密度の変化量の情報を記憶する記憶装置と、
電流密度の変化量の情報を用いて、電子ビームの電流密度を推定する電流密度推定部と、
電子ビームの電流密度の推定毎に、電子ビームの電流密度が所定の値になるように、推定された電子ビームの電流密度を補正するための目標値を演算するとともに、放出源制御部に出力する目標値演算部と、
を備えたことを特徴とする。
本発明の他の態様の電子ビーム照射装置は、
電子ビームを放出する放出源と、
過去に測定された結果から得られる経過時間に応じた電流密度の変化量の情報を記憶する記憶装置と、
電流密度の変化量の情報を用いて、電子ビームの電流密度を推定する電流密度推定部と、
推定された電流密度の値を用いて、電流密度の変化に起因して生じる入射ドーズ量のずれを補正するための試料に照射する前記電子ビームの照射時間を演算する照射時間演算部と、
を備えたことを特徴とする。
また、試料上の描画領域が分割された短冊状の複数のストライプ領域の少なくとも1つのストライプ領域と、試料上の描画領域がストライプ領域よりも小さいサイズで分割された複数のブロック領域の少なくとも1つのブロック領域と、のうちの一方の電子ビームの照射が終了する毎に、電子ビームの電流密度は推定されると好適である。
本発明の一態様の電子ビーム照射方法は、
放出源から電子ビームを放出し、試料を電子ビームで照射する工程と、
放出源に流れるエミッション電流の目標値と放出源のバイアス電圧の目標値とのうちの一方を入力し、一方の値に基づいて放出源のバイアス電圧を可変に制御する工程と、
過去に測定された結果から得られる電流密度の変化量の情報を用いて、複数回電子ビームの電流密度を推定する工程と、
電子ビームの電流密度の推定毎に、電子ビームの電流密度が所定の値になるように、推定された電子ビームの電流密度を補正するためのエミッション電流の目標値とバイアス電圧の目標値とのうちの前記一方を演算し、演算の都度、エミッション電流の目標値とバイアス電圧の目標値とのうちの前記一方を出力する工程と、
を備えたことを特徴とする。
本発明の一態様の電子ビーム照射方法は、
放出源から電子ビームを放出し、試料を電子ビームで照射する工程と、
過去に測定された結果から得られる電流密度の変化量の情報を用いて、複数回電子ビームの電流密度を推定する工程と、
推定された最新の電流密度の値を用いて、電流密度の変化に起因して生じる入射ドーズ量のずれを補正するように試料を照射する電子ビームの照射時間を演算する工程と、
を備えたことを特徴とする。
本発明の一態様によれば、描画開始後に電流密度を測定せずに電流密度を略一定に維持できる。また、本発明の他の態様によれば、描画開始後に電流密度を測定せずに電流密度の変化に伴うドーズ量誤差を補正できる。
実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。 実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板の構成を示す概念図である。 実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ機構の構成を示す断面図である。 実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ機構のメンブレン領域内の構成の一部を示す上面概念図である。 実施の形態1の個別ブランキング機構の一例を示す図である。 実施の形態1における描画動作の一例を説明するための概念図である。 実施の形態1におけるマルチビームの照射領域と描画対象画素との一例を示す図である。 実施の形態1におけるマルチビームの描画方法の一例を説明するための図である。 実施の形態1における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。 実施の形態1におけるビームアレイ領域を説明するための図である。 実施の形態1における個別ブランキング制御回路の内部構成を示す概念図である。 実施の形態1における高精度描画モードでのデータ転送の仕方を説明するための図である。 実施の形態1における各ビームの位置ずれ量が定義された位置ずれマップの一例を説明するための図である。 実施の形態1におけるマルチビームの電流密度分布の一例を説明するための図である。
以下、実施の形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも構わない。また、以下、マルチビームを照射する構成を説明するが、これに限るものではない。シングルビームを照射する構成であっても構わない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。図1において、描画装置100は、描画機構150(マルチビーム照射機構)と制御系回路160を備えている。描画装置100は、マルチ荷電粒子ビーム描画装置の一例である。また、描画装置100は、電子ビーム照射装置の一例である。描画機構150は、電子鏡筒102と描画室103を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、ブランキングアパーチャアレイ機構204、縮小レンズ205、制限アパーチャ基板206、対物レンズ207、及び偏向器208,209が配置されている。描画室103内には、XYステージ105が配置される。XYステージ105上には、描画時(露光時)には描画対象基板となるマスク等の試料101が配置される。試料101には、半導体装置を製造する際の露光用マスク、或いは、半導体装置が製造される半導体基板(シリコンウェハ)等が含まれる。また、試料101には、レジストが塗布された、まだ何も描画されていないマスクブランクスが含まれる。XYステージ105上には、さらに、XYステージ105の位置測定用のミラー210が配置される。照明レンズ202、縮小レンズ205、及び対物レンズ207には、電磁レンズが用いられる。各電磁レンズは、マルチビーム(電子ビーム)を屈折させる。また、XYステージ105には、電子ビーム200(マルチビーム20)の電流を測定するためのビーム吸収電極(ファラデーカップ106)が配置されている。
電子銃201は、カソード222(エミッタ)、ウェネルト電極224及びアノード226を有している。また、アノード226は、接地(地絡)されている。
制御系回路160は、制御計算機110、メモリ112、偏向制御回路130、デジタル・アナログ変換(DAC)アンプユニット132,134、ステージ制御機構138、ステージ位置測定器139、電子銃電源230、及び磁気ディスク装置等の記憶装置140,142,144を有している。制御計算機110、メモリ112、偏向制御回路130、ステージ制御機構138、ステージ位置測定器139、電子銃電源230、及び記憶装置140,142,144は、図示しないバスを介して互いに接続されている。記憶装置140(記憶部)には、描画データが描画装置100の外部から入力され、格納されている。偏向制御回路130には、DACアンプユニット132,134及びブランキングアパーチャアレイ機構204が図示しないバスを介して接続されている。ステージ位置検出器139は、レーザ光をXYステージ105上のミラー210に照射し、XYステージ105上のミラー210からの反射光を受光することによって、レーザ干渉法の原理でXYステージ105の位置を測長する。偏向器208は、少なくとも4極の電極群により構成され、電極毎に配置されるDACアンプ134を介して偏向制御回路130によって制御される。偏向器209は、少なくとも4極の電極群により構成され、電極毎に配置されるDACアンプ132を介して偏向制御回路130によって制御される。
制御計算機110内には、照射時間データ生成部60、配列加工部62、経過時間演算部64、電流密度推定部66、目標値制御部70、転送処理部76、及び描画制御部78が配置されている。照射時間データ生成部60、配列加工部62、経過時間演算部64、電流密度推定部66、目標値制御部70、転送処理部76、及び描画制御部78といった各「〜部」は、処理回路を有する。かかる処理回路は、例えば、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置を含む。各「〜部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いても良いし、或いは異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。照射時間データ生成部60、配列加工部62、経過時間演算部64、電流密度推定部66、目標値制御部70、転送処理部76、及び描画制御部78に入出力される情報および演算中の情報はメモリ112にその都度格納される。
また、電子銃電源230内では、カソード222の両極に電流源231により所定の加熱電流を流している。そして、カソード222の両極の中間電圧とウェネルト電極224間には所定のバイアス電圧(ウェネルト電圧)が可変電圧源234によって印加される。また、カソード222の両極の中間電圧には、可変電圧源234と並列に所定の直流電源が配置され、直流電源の他方は電流計238を介して接地されている。また、可変電圧源234と並列に電圧計236が配置される。目標値制御部70による制御の基、電子銃電源230内では、制御部232が電圧計236で検出しながら可変電圧源234から印加されるバイアス電圧(ウェネルト電圧)を可変制御している。エミッション電流の値は電流計238で検出することができる。
上述した例では、制御部232がバイアス電圧を制御するように構成しているが、これに限るものではない。制御部232がエミッション電流、或いは加熱電流(加熱温度)を制御するように構成しても構わない。
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。
図2は、実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板の構成を示す概念図である。図2において、成形アパーチャアレイ基板203には、p×q列(p,q≧2)の穴22が所定の配列ピッチでマトリクス状に形成されている。
図3は、実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ機構の構成を示す断面図である。
図4は、実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ機構のメンブレン領域内の構成の一部を示す上面概念図である。なお、図3と図4において、制御電極24と対向電極26と制御回路41とパッド43の位置関係は一致させて記載していない。ブランキングアパーチャアレイ機構204は、図3に示すように、支持台33上にシリコン等からなる半導体基板42が配置される。基板42は、中央部のメンブレン領域30と周囲の外周領域44と別れる。メンブレン領域30には、図2に示した成形アパーチャアレイ基板203の各穴22に対応する位置にマルチビームのそれぞれのビームの通過用の通過孔25(開口部)が開口される。そして、通過孔25を挟んで対向する位置にブランキング偏向用の制御電極24と対向電極26がそれぞれ配置される。また、基板42内部であって各通過孔25の近傍には、制御電極24に偏向電圧を印加する制御回路41が配置される。各ビーム用の対向電極26は、グランド接続される。
図5は、実施の形態1の個別ブランキング機構の一例を示す図である。図5において、制御回路41内のアンプ46の一例として、CMOS(Complementary MOS)インバータ回路が配置される。CMOSインバータ回路の入力(IN)にL電位が印加される状態では、対応ビーム20を偏向し、制限アパーチャ基板206で遮蔽することでビームOFFになるように制御する。一方、CMOSインバータ回路の入力(IN)にH電位が印加される状態(アクティブ状態)では、対応ビーム20を偏向せずビームONになるように制御する。制御電極24と対向電極26の組は、それぞれ対応するスイッチング回路となるCMOSインバータ回路によって切り替えられる電位によってマルチビーム20の対応ビームをそれぞれ個別にブランキング偏向する。
次に、描画機構150の動作の具体例について説明する。電子銃201内のカソード222とアノード226間への加速電圧の印加と共に、ウェネルト電極224へのバイアス電圧の印加と加熱電流による所定の温度のカソード222の加熱によって、カソード222から放出された電子群が加速させられ、電子ビーム200となって電子銃201から放出される。
電子銃201(放出源)から放出された電子ビーム200は、照明レンズ202によりほぼ垂直に成形アパーチャアレイ基板203全体を照明する。成形アパーチャアレイ基板203には、矩形の複数の穴22(開口部)が形成され、電子ビーム200は、すべての複数の穴22が含まれる領域を照明する。複数の穴22の位置に照射された電子ビーム200の各一部が、かかる成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22をそれぞれ通過することによって、例えば矩形形状の複数の電子ビーム(マルチビーム20)が形成される。かかるマルチビーム20は、ブランキングアパーチャアレイ機構204のそれぞれ対応するブランカー(制御電極24と対向電極26の組)(第1の偏向器:個別ブランキング機構47)内を通過する。かかるブランカーは、それぞれ、少なくとも個別に通過する電子ビーム20を設定された描画時間(照射時間)ビームがON状態になるようにブランキング制御する。
ブランキングアパーチャアレイ機構204を通過したマルチビーム20は、縮小レンズ205によって、縮小され、制限アパーチャ基板206に進む。ここで、ビームONに制御されて制限アパーチャ基板206を通過したマルチビーム20は、対物レンズ207により焦点が合わされ、偏向器208及び偏向器209によって一括偏向され、各ビームの試料101上のそれぞれの照射位置に照射される。
図6は、実施の形態1における描画動作の一例を説明するための概念図である。図6に示すように、試料101の描画領域35は、例えば、y方向に向かって所定の幅で短冊状の複数のストライプ領域32に仮想分割される。そして、XYステージ105を例えば−x方向に移動させることにより、照射領域34を相対的にx方向へと送るように描画を進めていく。XYステージ105は例えば等速で連続移動させる。第1番目のストライプ領域32の描画終了後、第2番目のストライプ領域32では、XYステージ105を例えばx方向に移動させることにより、−x方向に向かって同様に描画を行う。このように交互に向きを変えながら描画することで描画時間を短縮できる。但し、各ストライプ領域32を描画する際、同じ方向に向かって描画を進めるようにしても構わない。
図7は、実施の形態1におけるマルチビームの照射領域と描画対象画素との一例を示す図である。図7において、ストライプ領域32は、例えば、マルチビームのビームサイズでメッシュ状の複数のメッシュ領域に分割される。かかる各メッシュ領域が、描画対象画素36(単位照射領域、或いは描画位置)となる。描画対象画素36のサイズは、ビームサイズに限定されるものではなく、ビームサイズとは関係なく任意の大きさで構成されるものでも構わない。例えば、ビームサイズの1/n(nは1以上の整数)のサイズで構成されても構わない。図7の例では、試料101の描画領域が、例えばy方向に、1回のマルチビーム20の照射で照射可能な照射領域34(描画フィールド)のサイズと実質同じ幅サイズで複数のストライプ領域32に分割された場合を示している。なお、ストライプ領域32の幅は、これに限るものではない。照射領域34のn倍(nは1以上の整数)のサイズであると好適である。図7の例では、512×512列のマルチビームの場合を示している。そして、照射領域34内に、1回のマルチビーム20のショットで照射可能な複数の画素28(ビームの描画位置)が示されている。言い換えれば、隣り合う画素28間のピッチがマルチビームの各ビーム間のピッチとなる。図7の例では、隣り合う4つの画素28で囲まれると共に、4つの画素28のうちの1つの画素28を含む正方形の領域で1つのサブ照射領域29を構成する。図7の例では、各サブ照射領域29は、4×4画素で構成される場合を示している。
図8は、実施の形態1におけるマルチビームの描画方法の一例を説明するための図である。図8では、図7で示したサブ照射領域29の一部を示している。図8の例では、例えば、XYステージ105が8ビームピッチ分の距離を移動する間に4つの画素を描画(露光)する場合を示している。図8の例では、ビーム(1)によって、時刻t=0からt=Tまでの間に注目サブ照射領域29の例えば最下段右から1番目の画素に1ショット目のビームの照射が行われる。時刻t=Tからt=2Tまでの間に注目サブ照射領域29の例えば下から2段目かつ右から1番目の画素に2ショット目のビームの照射が行われる。時刻t=2Tからt=3Tまでの間に注目サブ照射領域29の例えば下から3段目かつ右から1番目の画素に3ショット目のビームの照射が行われる。時刻t=3Tからt=4Tまでの間に注目サブ照射領域29の例えば下から4段目かつ右から1番目の画素に4ショット目のビームの照射が行われる。そして、トラッキングリセットすることによって、トラッキング位置をトラッキング制御が開始されたトラッキング開始位置に戻す。その他のビームについてもそれぞれの対応するサブ照射領域29に対して同様に描画が行われる。なお、右から1番目の画素列の描画は終了しているので、トラッキングリセットした後に、2回目のトラッキングサイクルでは、右から2番目の画素にビームの描画位置を合わせる(シフトする)ように偏向する。同様に、3回目のトラッキングサイクルでは、右から3番目の画素にビームの描画位置を合わせるように偏向する。同様に、4回目のトラッキングサイクルでは、右から4番目の画素にビームの描画位置を合わせるように偏向する。
ここで、近年の高電流化に伴い、カソード222の消耗速度(経時変化)が速くなり、かかる描画中の電流密度変化が問題となる傾向にある。描画中にビーム電流密度が変化すると、試料101への入射ドーズ量が予定されたドーズ量からずれてしまい、描画されているパターンの描画精度が劣化してしまうといった問題がある。よって、実施の形態1では、電流密度が所定の値になるように調整する。その際、1枚の試料101に対して、描画処理を開始後、描画処理が終了するまでの間に、複数回、電流密度を実際に測定して、その都度ずれ分を補正するといった手法もある。しかし、実際に測定する手法では、その動作に時間にかかると共に、動作の手間がかかる。そこで、実施の形態1では、描画処理を開始後、描画処理が終了するまでの間に、電流密度の測定無しに、電流密度を推定する。そして、推定された電流密度を元に、電流密度が所定の値になるように調整する。
図9は、実施の形態1における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。図9において、実施の形態1における描画方法は、電流密度J傾き情報入力工程(S102)と、描画開始前電流密度J0測定工程(S106)と、照射時間演算工程(S108)と、描画工程(S110)と、電流密度J推定工程(S112)と、電流密度J調整工程(S116)と、判定工程(S120)と、いう一連の工程を実施する。
電流密度J傾き情報入力工程(S102)として、外部から、過去に測定された結果から得られる経過時間に応じた電流密度の変化量の情報(J傾き情報)を入力し、記憶装置144に記憶する。
図10は、実施の形態1におけるJ傾きを説明するための図である。図10において、縦軸に電流密度Jを示し、横軸に時間tを示している。図10において、今回の描画処理よりも過去に行った少なくとも2回の電流密度の測定結果から、経過時間Δtに対する電流密度変化量ΔJの値ΔJ/Δtを求めることができる。例えば、前回の描画処理の開始前(測定1)と描画処理の後(測定2)において、同じバイアス電圧(或いは同じエミッション電流)、及び同じ加熱温度の条件で電子銃201から電子ビームを放出した場合の電流密度を測定してプロットすることで求めることができる。J傾きの値ΔJ/Δtは、電流密度(測定2)から電流密度(測定1)を差し引いた値(電流密度変化量ΔJ)を測定1から測定2までの経過時間Δtで割ることで求めることができる。或いは、例えば、同じバイアス電圧(或いは同じエミッション電流)、及び同じ加熱温度の条件で電子銃201から電子ビームを例えば1〜2時間放出し続け、電流密度の変化量を測定し、測定された電流密度の変化量を放出時間で割った値を用いても好適である。かかる経過時間に対する電流密度変化量の値ΔJ/ΔtをJ傾きKjtとして、J傾きKjtの値(情報)を描画装置100は入力し、記憶装置144に格納しておけばよい。かかる経過時間に対する電流密度変化量の値ΔJ/Δtの値(J傾き)は、数か月単位でゆっくりと変化する。よって、例えば、数か月よりも短い期間、例えば、1枚の試料101を描画するための期間においては、同じJ傾きを使用できる。
描画開始前電流密度J0測定工程(S106)として、描画処理を開始する前に、描画制御部78による制御の下、電子ビーム200の描画開始前電流密度J0を測定する。その手法として、穴22の開口サイズが定まっている成形アパーチャ基板203を通過したマルチビーム20全体をファラデーカップ106で受けて電流量を測定する。そして、検出された電流量を全穴22の合計面積で割れば、電子ビーム200の電流密度Jを測定できる。或いは、マルチビーム20のうち、ブランキングアパーチャアレイ機構204により一部のビームを偏向してビームOFFにすることで測定対象となるビーム数を限定する。そして、限定されたビーム群をファラデーカップ106で受けて電流量を測定する。そして、検出された電流量を限定されたビーム用の穴22の合計面積で割れば、電子ビーム200の電流密度Jを測定できる。
照射時間演算工程(S108)として、照射時間データ生成部60は、記憶装置140から描画データを読み出し、画素(描画対象画素)36毎に、当該画素36に照射するための照射量D(入射ドーズ量)を演算する。照射量Dは、例えば、予め設定された基準照射量Dbaseに、画素36内のパターンの面積密度ρ’と、近接効果を補正するための近接効果補正照射係数Dpと、を乗じた値として求めることができる。画素36内のパターンの面積密度ρ’は、描画データに定義されるパターンデータに基づいて演算できる。近接効果補正照射係数Dpの補正モデル及びその計算手法は従来のシングルビーム描画方式で使用されている手法と同様で構わない。その他、各ビームの位置ずれ等を補正するための補正係数を乗じても好適である。
次に、照射時間データ生成部60は、画素36毎に、当該画素36に演算された照射量Dを入射させるための電子ビームの照射時間tを演算する。照射時間tは、照射量Dを電流密度Jで割ることで演算できる。ここでは、電流密度Jとして、開始前電流密度J0の値を用いればよい。演算された画素36毎の照射時間データは、記憶装置142に格納される。照射時間データは、ストライプ領域32毎に演算されると好適である。言い換えれば、例えば、第n番目のストライプ領域32を描画している間に、まだ描画していない第n+1番目(或いは第n+2番目)のストライプ領域32について照射時間データを演算するといったリアルタイム方式で行うと好適である。
なお、ブランキングアパーチャアレイ機構204内の各ビーム用の制御回路41が、各ビームの照射時間を例えばカウンタ回路により制御する場合、各画素36の照射時間tをクロック周期で割ったカウント値を照射時間データとして、記憶装置142に格納しておくと好適である。
そして、配列加工部62は、ショット順、かつビームの転送順に各画素36の照射時間データを並び変える。そして、転送処理部76は、並び変えられた照射時間データを偏向制御回路130に転送する。
描画工程(S110)として、偏向制御回路130により制御されたブランキングアパーチャアレイ機構204、及び偏向器208,209を用いて、描画機構150は、マルチビーム20を用いて、試料101に電子ビームを照射することによって、パターンを描画する。描画機構150の動作、及び描画の仕方は、上述した通りである。
電流密度J推定工程(S112)として、電流密度推定部66は、電子ビームを用いて試料に電子ビーム照射が行なわれている間に、電流密度の変化量の情報を用いて、電子ビームの電流密度を推定する。具体的には、電流密度推定部66は、マルチビーム20(電子ビーム)を用いた試料101への複数回の電子ビーム照射が行なわれている間に、J傾きKjtの値(電流密度Jの変化量の情報)を用いて、電流密度を測定することなく複数回電子ビームの電流密度を推定する。具体的には、以下のように動作する。電流密度推定部66は、まず、描画開始前電流密度J0の測定時刻から現在までの経過時間Δtを演算する。そして、電流密度推定部66は、記憶装置144からJ傾きKjtの値を読み出し、以下の式(1)に示すように、J傾きKjtに、描画開始前電流密度J0の測定時刻から現在までの経過時間Δtを乗じた値を描画開始前電流密度J0に加算することで、現在の電流密度Jを推定する。
(1) J=J0+Kjt×Δt
例えば、少なくとも1つのストライプ領域32と、図6に示すように、試料上の描画領域がストライプ領域よりも小さいサイズで分割された複数のブロック領域31の少なくとも1つのブロック領域31と、のうちの一方の電子ビームの照射(描画)が終了する毎に、電子ビームの電流密度Jは推定されると好適である。例えば、1〜5ストライプ領域32の描画毎に、電流密度Jは推定される。
なお、ここでは、描画開始前電流密度J0の測定時刻から現在までの経過時間Δtを乗じた電流密度変化量ΔJに描画開始前電流密度J0に加算するまでの演算を行っているが、これに限るものではない。電流密度J推定工程(S112)として、電流密度推定部66は、描画開始前電流密度J0の測定時刻から現在までの経過時間Δtを乗じた電流密度変化量ΔJを求めるだけであっても良い。言い換えれば、電流密度変化量ΔJの推定を行うだけに留めても構わない。
電流密度J調整工程(S116)として、目標値制御部70(目標値演算部)は、電子ビームの電流密度の推定毎に、電子ビームの電流密度が所定の値になるように、推定された電子ビームの電流密度を補正するための目標値を演算するとともに、放出源制御部に出力する。具体的には、目標値制御部70は、電子ビームの電流密度Jの推定毎に、電子ビームの電流密度Jが所定の値になるように、推定された電子ビームの電流密度Jを補正するためのバイアス電圧の目標値を演算し、演算の都度、バイアス電圧の目標値を制御部232(放出源制御部)に出力する。
図11は、実施の形態1における電流密度とバイアス電圧との関係の一例を示す図である。図11において、縦軸に電流密度Jを示し、横軸にバイアス電圧Biを示す。予め、実験或いはシミュレーション等により、電流密度とバイアス電圧との関係を求めておく。そして、Bi1からBi2へとバイアス電圧を変化させた場合のJ1からJ2への電流密度の変化量ΔJをBi1からBi2へのバイアス電圧の変化量ΔBiで割った感度Kjb(=ΔJ/ΔBi)を求めておく。かかる感度Kjbのパラメータ値は、予め、外部から描画装置100内に入力し、記憶装置144に格納しておく。そして、目標値制御部70は、次の式(2)に定義されるように、描画開始前電流密度J0から推定された電流密度Jへの電流密度変化量ΔJを感度Kjbで割ることで、電流密度Jを補正するためのバイアス電圧の目標値へのバイアス電圧の変化量ΔBiを演算する。
(2) ΔBi=ΔJ/Kjb
=ΔJ/(ΔJ/ΔBi)
そして、目標値制御部70は、現在のバイアス電圧Biの目標値からバイアス電圧の変化量ΔBiだけバイアス電圧Biを変化させる目標値を演算する。そして、制御部232に目標値を出力する。
電子銃電源230内では、制御部232(放出源制御部)が放出源の出力を制御するパラメータのうちいずれかの目標値を入力し、目標値に基づいて放出源の出力を制御する。ここでは、制御部232が目標値制御部70から出力された目標値(放出源のバイアス電圧の目標値)を入力し、目標値に基づいて電子銃201のウェネルト電極224に印加するバイアス電圧を可変に制御する。これにより、電流密度が、推定された電流密度の値から元の描画開始前電流密度J0に戻るように補正される。
上述した例では、目標値制御部70がバイアス電圧の変化量ΔBiだけバイアス電圧Biを変化させる目標値を演算しているが、これに限るものではない。目標値制御部70は、電子銃の出力を制御するパラメータのうちエミッション電流の目標値を演算し、演算の都度、エミッション電流の目標値を制御部232に出力してもよい。例えば、Ie1からIe2へとエミッション電流を変化させた場合のJ1からJ2への電流密度の変化量ΔJをIe1からIe2へのエミッション電流の変化量ΔIeで割った感度Kji(=ΔJ/ΔIe)を求めておく。そして、目標値制御部70が、エミッション電流の変化量ΔIeだけエミッション電流Ieを変化させる目標値を演算し、制御部232に出力しても良い。かかる場合、制御部232(放出源制御部)が目標値制御部70から出力された目標値(放出源のエミッション電流の目標値)を入力し、エミッション電流の目標値に近づくように電子銃201のウェネルト電極224に印加するバイアス電圧を可変に制御する。これにより、電流密度が、推定された電流密度の値から元の描画開始前電流密度J0に戻るように補正される。
或いは、目標値制御部70は、電子銃の出力を制御するパラメータのうち加熱電流(加熱温度)の目標値を演算し、演算の都度、加熱電流(加熱温度)の目標値を制御部232に出力してもよい。例えば、T1からT2へと加熱電流(加熱温度)を変化させた場合のJ1からJ2への電流密度の変化量ΔJをT1からT2への加熱電流(加熱温度)の変化量ΔTで割った感度Kjt(=ΔJ/ΔT)を求めておく。そして、目標値制御部70が、加熱電流(加熱温度)の変化量ΔTだけ加熱電流(加熱温度)Tを変化させる目標値を演算し、制御部232に出力しても良い。かかる場合、制御部232(放出源制御部)が目標値制御部70から出力された目標値(放出源の加熱電流(加熱温度)の目標値)を入力し、加熱電流(加熱温度)の目標値に近づくように電子銃201のカソード222の両極に流す電流源231からの加熱電流を制御する。これにより、電流密度が、推定された電流密度の値から元の描画開始前電流密度J0に戻るように補正される。但し、温度が安定するまでには時間がかかってしまうので、バイアス電圧或いはエミッション電流を目標値に近づけるように制御する方が、より好適である。
判定工程(S120)として、描画制御部78は、描画処理が終了しているかどうかを判定する。まだ、描画処理が終了していない場合、描画工程(S110)に戻り、描画処理が終了していると判定されるまで、描画工程(S110)から電流密度J調整工程(S116)までの各工程を繰り返す。
図12は、実施の形態1における電流密度補正のタイムチャート図である。図12において、縦軸に電流密度Jを示し、横軸に補正タイミングを示す。図12に示すように、電流密度は、実際に測定された描画開始前電流密度J0の測定時から徐々に変化していく。実施の形態1では、例えば、K個のストライプ領域32の描画終了毎に、描画開始前電流密度J0の測定時からの経過時間Δtを使って、その時々の電流密度Jを推定し、バイアス電圧等の可変制御により電流密度Jが所定の値に維持されるように補正する。これにより、描画開始から描画終了までの期間中は、電流密度等の測定をすることなく、電流密度Jを推定し、補正できる。
ここで、上述した例では、描画開始から描画終了までの期間中は、電流密度等の測定をしない場合を説明したが、これに限るものではない。例えば、描画開始後にN回(例えば2回)電流密度等の測定を行い、それ以降は、かかる電流密度ドリフトの測定結果から得られるJ傾きを使って、電流密度Jを推定し、補正してもよい。
以上のように、実施の形態1によれば、描画開始後に電流密度を測定せずに電流密度を所定の値に維持できる。
実施の形態2.
実施の形態1では、電流密度を所定の値に維持する構成について説明したが、入射ドーズ量を維持する手法はこれに限るものではない。実施の形態2では、電流密度ドリフトを受け入れ、変化する電流密度を使って、入射ドーズ量を維持する構成について説明する。
図13は、実施の形態2における描画装置の構成を示す概念図である。図13において、制御計算機110内の目標値制御部70の代わりに、電流密度J更新部72を配置した点以外は、図1と同様である。以下、特に説明する点以外の内容は、実施の形態1と同様である。
照射時間データ生成部60、配列加工部62、経過時間演算部64、電流密度推定部66、電流密度J更新部72、転送処理部76、及び描画制御部78といった各「〜部」は、処理回路を有する。かかる処理回路は、例えば、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置を含む。各「〜部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いても良いし、或いは異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。照射時間データ生成部60、配列加工部62、経過時間演算部64、電流密度推定部66、電流密度J更新部72、転送処理部76、及び描画制御部78に入出力される情報および演算中の情報はメモリ112にその都度格納される。
電子銃電源230内では、予め設定された目標値に基づいて、制御部232が電圧計236で検出しながら可変電圧源234から印加されるバイアス電圧(ウェネルト電圧)を可変制御する。
図14は、実施の形態2における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。図14において、実施の形態1における描画方法は、電流密度J傾き情報入力工程(S102)と、描画開始前電流密度J0測定工程(S106)と、照射時間演算工程(S108)と、描画工程(S110)と、電流密度J推定工程(S112)と、電流密度J更新工程(S118)と、判定工程(S120)と、いう一連の工程を実施する。
電流密度J傾き情報入力工程(S102)と、描画開始前電流密度J0測定工程(S106)と、の内容は、実施の形態1と同様である。
照射時間演算工程(S108)の内容は、実施の形態1と同様である。但し、後述するように、電流密度は変化すると共に、元の電流密度から変化後の推定電流密度へと更新されていくので、各画素の照射時間を演算する場合、最新の推定電流密度Jを用いて演算する。照射時間tは、各画素のための照射量D(入射ドーズ量)を電流密度Jで割ることで演算できるので、照射量Dを最新の推定電流密度Jで割ることで、所望の照射量Dを各画素に入射できる。
描画工程(S110)と、電流密度J推定工程(S112)と、の内容は、実施の形態1と同様である。よって、電流密度推定部66は、電子ビームを用いた試料101への複数回の電子ビーム照射が行なわれている間に、電流密度の変化量の情報(J傾きの値)を用いて、電流密度を測定することなく複数回電子ビームの電流密度を推定する。例えば、K個のストライプ領域32の描画終了毎に、描画開始前電流密度J0の測定時からの経過時間Δtを使って、その時々の電流密度Jを推定する(図12の点線)。或いは、例えば、K個のブロック領域31の描画終了毎に、描画開始前電流密度J0の測定時からの経過時間Δtを使って、その時々の電流密度Jを推定する。
電流密度J更新工程(S118)として、電流密度J更新部72は、電子ビームの電流密度Jの推定毎に、電子ビームの電流密度Jを更新する。
判定工程(S120)として、描画制御部78は、描画処理が終了しているかどうかを判定する。まだ、描画処理が終了していない場合、照射時間演算工程(S108)に戻り、描画処理が終了していると判定されるまで、照射時間演算工程(S108)から電流密度J調整工程(S116)までの各工程を繰り返す。
よって、実施の形態2では、照射時間演算工程(S108)で演算される照射時間が最新の電流密度Jで演算されることになる。言い換えれば、照射時間演算工程(S108)において、照射時間データ生成部60(照射時間演算部)は、推定された電流密度の値を用いて、電流密度の変化に起因して生じる入射ドーズ量のずれを補正するための試料101に照射する電子ビームの照射時間tを演算する。推定された最新の電流密度の値を用いる。例えば、上述したように、第n番目のストライプ領域32を描画している間に、まだ描画していない第n+1番目(或いは第n+2番目)のストライプ領域32について照射時間データを演算する。これにより、第n番目のストライプ領域32の描画終了後、電子ビームの電流密度Jが更新された場合、第n+2番目(或いは第n+3番目)のストライプ領域32についての照射時間データは、更新後の電流密度Jを用いて演算できる。或いは、例えば、K個のブロック領域31の描画終了毎に、電流密度Jを推定する場合、第n番目のストライプ領域32の描画中でも、電子ビームの電流密度Jが更新された場合、第n+1番目(或いは第n+2番目)のストライプ領域32の電流密度Jの更新後に演算される領域についての照射時間データは、更新後の電流密度Jを用いて演算できる。
或いは、照射時間演算工程(S108)では、描画開始前電流密度J0を用いて照射時間を演算しておき、照射時間転送時に、別途、電流密度Jの変化割合で照射時間を割ることで照射時間を補正しても好適である。
以上のように、実施の形態2によれば、描画開始後に電流密度を測定せずに電流密度の変化に伴うドーズ量誤差を補正できる。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。本実施形態において、電子ビーム照射装置、電子ビーム照射方法としてマルチ電子ビーム描画装置、マルチ電子ビーム照射方法を例に挙げて説明したが、電子ビームを照射する装置、方法であれば適用可能である。例えば、放出部は熱電子放出を利用した電子銃である必要はなく、例えば、フォトカソードを用いたものでもよい。その場合、放出源の出力を制御するパラメータはレーザ強度である。
また、例えば、シングルビームを用いたものでもよく、また描画装置のみならず、電子線検査装置などにも適用することができる。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、描画装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての電子ビーム照射装置および電子ビーム照射方法は、本発明の範囲に包含される。
20 マルチビーム
22 穴
24,26 電極
25 通過孔
28,36 画素
29 サブ照射領域
30 メンブレン領域
31 ブロック領域
32 ストライプ領域
33 支持台
34 照射領域
35 描画領域
40 メンブレン領域
41 制御回路
42 基板
43 パッド
44 外周領域
47 個別ブランキング機構
60 照射時間データ生成部
62 配列加工部
64 経過時間演算部
66 電流密度推定部
70 目標値制御部
72 電流密度更新部
76 転送処理部
78 描画制御部
100 描画装置
101 試料
102 電子鏡筒
103 描画室
105 XYステージ
110 制御計算機
112 メモリ
130 偏向制御回路
132,134 DACアンプユニット
138 ステージ制御機構
139 ステージ位置測定器
140,142,144 記憶装置
150 描画機構
160 制御系回路
200 電子ビーム
201 電子銃
202 照明レンズ
203 成形アパーチャアレイ基板
204 ブランキングアパーチャアレイ機構
205 縮小レンズ
206 制限アパーチャ基板
207 対物レンズ
208,209 偏向器
210 ミラー
212 偏向器
222 カソード
224 ウェネルト電極
226 アノード
230 電子銃電源
231 電流源
232 制御部
234 可変電圧源
236 電圧計
238 電流計

Claims (5)

  1. 電子ビームを放出する放出源と、
    前記放出源の出力を制御するパラメータの目標値を入力し、前記目標値に基づいて前記放出源の出力を制御する放出源制御部と、
    過去に測定された結果から得られる経過時間に応じた電流密度の変化量の情報を記憶する記憶装置と、
    前記電流密度の変化量の情報を用いて、前記電子ビームの電流密度を推定する電流密度推定部と、
    前記電子ビームの電流密度の推定毎に、前記電子ビームの電流密度が所定の値になるように、推定された前記電子ビームの電流密度を補正するための前記目標値を演算するとともに、前記放出源制御部に出力する目標値演算部と、
    を備えたことを特徴とする電子ビーム照射装置。
  2. 電子ビームを放出する放出源と、
    過去に測定された結果から得られる経過時間に応じた電流密度の変化量の情報を記憶する記憶装置と、
    前記電流密度の変化量の情報を用いて、前記電子ビームの電流密度を推定する電流密度推定部と、
    推定された電流密度の値を用いて、電流密度の変化に起因して生じる入射ドーズ量のずれを補正するための前記試料に照射する前記電子ビームの照射時間を演算する照射時間演算部と、
    を備えたことを特徴とする電子ビーム照射装置。
  3. 前記試料上の描画領域が分割された短冊状の複数のストライプ領域の少なくとも1つのストライプ領域と、前記試料上の描画領域が前記ストライプ領域よりも小さいサイズで分割された複数のブロック領域の少なくとも1つのブロック領域と、のうちの一方の電子ビームの照射が終了する毎に、前記電子ビームの電流密度は推定されることを特徴とする請求項1又は2記載の電子ビーム照射装置。
  4. 放出源から電子ビームを放出し、試料を電子ビームで照射する工程と、
    前記放出源に流れるエミッション電流の目標値と前記放出源のバイアス電圧の目標値とのうちの一方を入力し、前記一方の値に基づいて前記放出源のバイアス電圧を可変に制御する工程と、
    過去に測定された結果から得られる電流密度の変化量の情報を用いて、複数回前記電子ビームの電流密度を推定する工程と、
    前記電子ビームの電流密度の推定毎に、前記電子ビームの電流密度が所定の値になるように、推定された前記電子ビームの電流密度を補正するための前記エミッション電流の目標値と前記バイアス電圧の目標値とのうちの前記一方を演算し、演算の都度、前記エミッション電流の目標値と前記バイアス電圧の目標値とのうちの前記一方を出力する工程と、
    を備えたことを特徴とする電子ビーム照射方法。
  5. 放出源から電子ビームを放出し、試料を電子ビームで照射する工程と、
    過去に測定された結果から得られる電流密度の変化量の情報を用いて、複数回前記電子ビームの電流密度を推定する工程と、
    推定された最新の電流密度の値を用いて、電流密度の変化に起因して生じる入射ドーズ量のずれを補正するように前記試料を照射する電子ビームの照射時間を演算する工程と、
    を備えたことを特徴とする電子ビーム照射方法。
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