JP2021067741A - プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

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Yuichi Fujino
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匠 古川
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Yuichi Kikuchi
裕一 菊池
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一浩 山内
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Abstract

【課題】クリーニング部材の耐久性を維持しつつ、帯電ローラ等の帯電部材の放電により発生する画像流れを抑制することが可能な技術を提供する。【解決手段】像担持体4と、像担持体4に接触して像担持体4の表面をクリーニングするクリーニング部材と、像担持体4に接触する導電性部材であって、所定の電圧が印加されることで像担持体4の表面との間で放電を生じさせる導電性部材と、を備えるプロセスカートリッジCにおいて、クリーニング部材は、硬度が65度以上、85度以下であり、導電性部材は、振幅が1Vの交流電圧を周波数を変化させながら導電性部材に印加することによって測定したインピーダンス特性を、周波数を横軸、インピーダンスを縦軸として両対数プロットしたときの、1.0×105Hz〜1.0×106Hzの周波数における傾きが、−0.8以上、−0.3以下であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式或いは静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
電子写真方式では、潜感光体としての光導電性物質を利用した感光体上を所要の極性・電位に一様に帯電した後、画像パターン露光を施して電気的潜像を形成、これをトナー像として現像、顕像化し、紙などの転写媒体に転写・定着する方法が一般的である。
従来、摩耗や傷の発生に対して優れた耐久性を有し、高品位の画質を保つことのできる電子写真感光体を用いた画像形成方法が提案されている。このような摩耗や傷に対して優れた耐久性を有する感光体を用いた場合、例えば、感光体表面がクリーニングブレードによって削られ難くなるために、帯電プロセスで発生した放電生成物が、感光体表面に付着、或いは、蓄積することがある。その結果、画像形成の繰り返しによりクリーニングに不具合が発生する場合があった。
特に塑性変形が小さいがトータル変形量の大きい、すなわち、ゴムに近い弾性挙動をもつ感光体の場合は、繰り返しの使用によって、クリーニングブレードとの摩擦が著しく大きくなる。その結果、クリーニングブレードや感光体の破壊につながりやすく、耐久寿命が短くなる場合がある。さらに高温環境下においてはクリーニングブレードの温度特性によりブレード硬度が柔軟化し、クリーニングブレードめくれといった重大な問題が発生する場合がある。
これに対して、クリーニングブレードのゴム硬度を大きくすることにより、クリーニングブレードの破壊・めくれを防止する方法もある。この場合、クリーニングブレード自身の滑り性を向上させることにもなりクリーニングブレードの破壊・めくれを防ぐことができる。例えば、イソシアネートの含侵処理により、クリーニングブレードの表面に硬化層を形成し、クリーニングブレード表面の摩擦係数を低下させ、硬度を向上させることが行われている。
しかしながら、クリーニングブレードの硬度を上げた場合、クリーニングブレード自体の粘弾性が低下し、クリーニングブレードと感光体間の摩擦係数が低下する。この場合、感光体表面に付着したトナーや放電生成物を除去するクリーニング能力が低下する場合がある。このようにクリーニング能力の低下により、感光体表面が清掃され難くなり、特に高湿環境下において、「画像流れ」と呼ばれる静電潜像のボケが生じやすくなる。
この画像流れは、以下のように発生すると考えられている。まず、主として帯電部材と感光体の間で生じる放電によってオゾンやNOxなどの放電生成物が発生し、感光体の表面に付着する。感光体の表面は、摩擦係数が低い上に硬く、削れ難いため、表面に付着した放電生成物が除去され難い。そして、感光体の表面に付着した放電生成物が高湿環境下で吸湿し、感光体の表面が低抵抗化する。結果、感光体の電荷保持能力が低下することで静電潜像のボケを発生させる。以上が、画像流れの発生プロセスである。
このような画像流れなどの放電生成物に起因する画像不良を防止する方法として、特許文献1では感光体周囲にヒータを配置し、ヒータにより感光体の表面を加熱することで感光体の表面に付着した放電生成物の吸湿を防ぐ方法が提案されている。
特許文献2では、感光体の表面を研磨するための研磨粒子を現像手段内の現像剤中に添加する方法が提案されている。この方法では、現像手段から感光体を経由して、感光体に当接しているクリーニング部材に研磨粒子を貯めることによって、研磨粒子により感光体の表面を摺擦し、放電生成物を除去している。
特許第3577452号公報 特開2000−47545号公報
しかしながら、特許文献1のように感光体周囲にヒータを配置した場合、画像形成装置の大型化、消費電力の増加につながる。また、特許文献2のように研磨粒子を感光体に供給すると、放電生成物とともに感光体表面も研磨するため、長寿命化に必要な高耐傷性及び高耐摩耗性が維持できなくなる等の課題があった。
本発明の目的は、クリーニング部材の耐久性を維持しつつ、帯電ローラ等の帯電部材の放電により発生する画像流れを抑制することが可能な技術を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明のプロセスカートリッジは、
画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
像担持体と、
前記像担持体に接触して前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニング部材と、
前記像担持体に接触する導電性部材であって、所定の電圧が印加されることで前記像担持体の表面との間で放電を生じさせる導電性部材と、
を備えるプロセスカートリッジにおいて、
前記クリーニング部材は、硬度が65度以上、85度以下であり、
前記導電性部材は、
振幅が1Vの交流電圧を周波数を変化させながら前記導電性部材に印加することによって測定したインピーダンス特性を、周波数を横軸、インピーダンスを縦軸として両対数プロットしたときの、1.0×10Hz〜1.0×10Hzの周波数における傾きが、−0.8以上、−0.3以下であることを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、
装置本体と、
前記装置本体に着脱可能な、本発明のプロセスカートリッジと、
を備えることを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、
記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録材に転写される現像剤像を担持するための像担持体と、
前記像担持体に接触して前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニング部材と、
前記像担持体に接触する導電性部材であって、所定の電圧が印加されることで前記像担持体の表面との間で放電を生じさせる導電性部材と、
を備える画像形成装置において、
前記クリーニング部材は、硬度が65度以上、85度以下であり、
前記導電性部材は、
振幅が1Vの交流電圧を周波数を変化させながら前記導電性部材に印加することによって測定したインピーダンス特性を、周波数を横軸、インピーダンスを縦軸として両対数プロットしたときの、1.0×10Hz〜1.0×10Hzの周波数における傾きが、−0.8以上、−0.3以下であることを特徴とする。
本発明によれば、クリーニング部材の耐久性を維持しつつ、帯電部材の放電により発生する画像流れを抑制することができる。
本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略断面図 本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの概略断面図 インピーダンス特性の説明図 インピーダンスの挙動の説明図 帯電ローラの長手方向に対して垂直な模式的断面図 帯電ローラに測定電極を形成した状態の概要図 測定電極の模式的断面図 インピーダンス測定系の概要図 海島構造の模式図 包絡周囲長の説明図 断面切り出し方向の説明図 本発明の実施形態において得られた両対数プロット 比較例の帯電状態の説明図 比較例のクリーニング状態の説明図 本発明の実施形態の帯電状態の説明図 本発明の実施形態のクリーニング状態の説明図 放電の抜けのイメージ図 インピーダンスの周波数特性を測定した一例を示す図 本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御ブロック図
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲(○○を下限値、××を上限値とする数値範囲)を意味する。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
[実施形態1]
(画像形成装置の説明)
図1は、本発明の実施形態1に係る電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置)100の概略構成を示す模式的断面図であり、プロセスカートリッジが装着された状態の各構成について簡略的に示している。図1は、画像形成装置が水平な設置面に載置される通常の設置状態における画像形成装置の構成を示しており、紙面左右方向が水平方向、紙面上下方向が装置上下方向にそれぞれ対応する。
画像形成装置100は、光学手段(露光手段)としての露光装置12から画像情報に基づいた情報光を帯電ローラ2により帯電された感光ドラム4表面へ照射し、感光ドラム4に静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像剤G(以下、「トナーG」という)で現像されトナー像(現像剤像)として顕像化される。トナー像の形成と同期して、記録材K(例えば、記録紙、OHPシート、布等)を、不図示のカセットからピックアップローラ及びこれに圧接する圧接部材で一枚ずつ分離給送する。
給送された記録材Kは、不図示の搬送ガイドに沿って感光ドラム4と転写手段(転写部材)としての転写ローラ11とが対向する転写部に搬送される。転写部に搬送された記録材Kは、電圧印加された転写ローラ11により感光ドラム4上に形成されたトナー像が転写され、搬送ガイドに沿って定着装置13へと搬送される。
定着装置13は、駆動ローラと、ヒータとを内蔵すると共に支持体によって回転可能に支持された筒状シートで構成された定着回転体とからなり、通過する記録材Kに熱及び圧力を印加して転写されたトナー像を定着する。不図示の排出ローラによりトナー像が定着
された記録材Kを搬送し、反転搬送経路を通して排出部へと排出するよう構成されている。
(プロセスカートリッジの説明)
図2を参照して、次に本実施形態におけるプロセスカートリッジの構成について説明する。プロセスカートリッジCは、ドラムユニットU1と現像ユニットU2から構成されており、画像形成装置100の装置本体に対して着脱可能に構成されている。ドラムユニットU1と現像ユニットU2は、それぞれ個別に、あるいは両者一体で、装置本体に対して着脱可能に構成される。ここで、装置本体とは、画像形成装置100の構成部分のうちプロセスカートリッジCを除いた構成部分のことを指す。
ドラムユニットU1は、像担持体としての感光ドラム4を回転可能に支持し、帯電部材としての帯電ローラ2と、クリーニング部材としてのクリーニングブレード6と、が組み込まれたドラム枠体から構成されている。
ドラムユニットU1は、感光層を有するΦ24mmの感光ドラム4を370mm/secで回転駆動する。帯電部材としては、導電性の外表面を有する円柱状の支持体と、該支持体の外表面上に設けられた導電層を有する導電性部材であって、本実施形態ではローラ形状の帯電ローラ2を用いる。感光ドラム4に当接された帯電ローラ2は、円筒状の導電性の支持体52の外表面上(外周面上)を規定の抵抗層(導電層)53で覆ったローラである(図5)。帯電ローラ2は、芯金(=支持体)の径をφ6mm、導電層の径をφ8.5mmとし、導電性支持体の両端部をバネ加圧されることで、感光ドラム4に所定の押圧力で圧接され、感光ドラム4の回転に伴って(追従して)従動回転を行う。本実施形態に係る画像形成装置は、帯電ローラ2に帯電バイアスを印加する帯電高圧電源を有している。帯電バイアスを帯電ローラ2の芯金に印加して、感光ドラム4の表面電位と帯電ローラ2の電位の電位差が、放電開始電圧以上となると放電が開始され感光ドラム4の表面が一様に帯電される。それにより暗部電位(VD)を形成する。具体的には、帯電バイアスとして−1050V印加し、このときの暗部電位VDは−500V(VD基準値)とした。この帯電した感光ドラム4に対して露光装置12からの画像情報に基づいた情報光が露光開口を介して露光され、感光ドラム4の表面はキャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失することによって明部電位(Vl)が形成される。このときの明部電位は−100Vとした。このように感光ドラム4上に暗部電位VDと明部電位VLによって形成された像である静電潜像を形成し、トナーGにより現像することで静電潜像を可視像化する。
尚、本実施形態において、帯電ローラ2に導電性部材を用いたが、転写ローラ11や感光ドラム4に当接して放電するその他の部材を導電性部材としてもよい。
以降、本実施形態における導電性部材の説明を帯電ローラ2で行う。
そして転写ローラ11にトナーの正規極性と逆極性の電圧を印加して感光ドラム4上のトナー像を記録材Kに転写される。かかる転写後は、ドラム枠体に固定されたクリーニング部材としてのクリーニングブレード6によって感光ドラム4に残留したトナーGは除去され、感光ドラム4の表面は再び帯電ローラ2によって帯電されて上記工程を繰り返す。
現像ユニットU2は、現像剤担持体としての現像スリーブ7や、規制部材としての規制ブレード9を備えた現像室と、トナーGを収容したトナー収容室とから構成される。
トナーGは、絶縁性一成分磁性現像剤である体積平均粒径で約8.0μmのネガトナー(正規帯電極性が負極性)の磁性トナーで、トナー収容室に400g収容した。トナー収容室内には攪拌部材10が配置されている。攪拌部材10は、嵌合孔を有した材質ポリエチレンテフタレートのシートを、取り付け軸上に設けたダボと嵌合し、ダボの先端を熱溶着によって拡大することで、シートを取り付け軸上に固定される。このように形成された攪拌部材10を、トナー収容室を構成する枠体で回転可能に支持し、駆動手段によって回
転させることで、トナー収容室内のトナーGを現像室へと搬送させる。
現像室には、回転自在に設置された現像スリーブ7が設けられている。現像スリーブ7は、非磁性のアルミスリーブの表面に導電性粒子を含有する樹脂層でコートした表面粗さRa=1.0μmを用い、スリーブ径はΦ16.0mmとした。画像形成時においては350mm/secにて回転して感光ドラム4の対向部にトナーGを搬送できる。
現像スリーブ7は中空形状をしており、中には多極構造の磁界発生手段を有した非回転のマグネットローラ8が内包されている。マグネットローラ径はΦ14mmで構成され、磁力によりトナーGを現像スリーブ7の外周面に引きつける役割を担う。
現像スリーブ7上方の容器の位置には、トナー量規制部材として規制ブレード9が固定されている。この規制ブレード9は、現像スリーブ7上に垂下し、所定の圧力で弾性的に当接することによって、現像スリーブ7上に担持したトナーGを規制して薄層に塗布すると同時に、摩擦帯電によりトナーGに電荷付与を行っている。この規制ブレード9はゴム硬度JISAで40°のシリコーンゴムで形成されている。この規制ブレード9の現像スリーブ7に当接したときの当接圧Pr[Pr:現像スリーブ長手方向の単位長さ(1cm)あたりの当接加重(gf)]は約25g/cmとした。
現像スリーブ7と感光ドラム4間には、不図示の間隔保持部材によって間隙を有しており、本実施形態においてその間隙は200μmに設定した。現像スリーブ7には電源が接続され(図19)、電源は感光ドラム4表面上の静電潜像をトナーGにより反転現像して可視化するべく、電圧を現像スリーブ7に印加して現像部の感光ドラム4と現像スリーブ7との間に所定の電界を形成する。本実施形態においては、現像スリーブ7に現像DCバイアス−350V、現像ACバイアス1200Vpp、周波数1500Hz、矩形波の波形の電圧を印加した。かかる電圧を現像スリーブ7に印加することによって、感光ドラム4と現像スリーブ7の間隙をトナーGが飛翔することが可能となる。それによって、ネガ帯電したトナーGを感光ドラム4上の潜像部(明部電位部)に電気的に吸着させることで、トナー像として現像し、画像形成を行う。
感光ドラム4、現像スリーブ7、撹拌部材10、転写ローラ11や、記録材Kを搬送するための不図示の搬送ローラ、定着装置13の加圧ローラ等は、装置本体に設けられた各種モータ(動力源)から伝達される駆動力によりそれぞれ回転する。
また、装置本体には、帯電ローラ2、現像スリーブ7、転写ローラ11等のそれぞれに所定の電圧を印加するための、電源が取り付けられている。
図19に示す制御ブロック図は、本実施例に係る画像形成装置の制御構成の一例を概略的に示している。制御部101は、CPUやメモリ等を有し、ホストコンピュータ等の外部装置から送信される画像情報及びプリント指示を受信し、画像形成装置100の画像形成動作を制御する。すなわち、ここで説明する画像形成動作の各種動作は、制御部101によって制御される。
<感光ドラムの詳細>
本実施形態における感光ドラム4は、円筒状で導電性を有する支持体と、支持体の下引き層と、下引き層上に形成される感光層(電荷発生層、電荷輸送層)からなる。
(支持体)
本実施形態における感光ドラム4の支持体52は、導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状支持体であることが好ましい。
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。
(下引き層)
本実施形態において、支持体の外周面上に、下引き層を設ける。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷注入阻止機能を付与することができる。
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上40μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
下引き層は、上述の各材料及び溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。
(電荷発生層)
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。電荷発生物質としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
電荷発生層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。本実施形態では23μmとした。
電荷輸送層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
尚、本実施形態では、電荷発生層と電荷輸送層とを有する積層型感光体を使用したが、電荷発生物質と電荷輸送物質を共に含有する単層型感光体を使用してもよい。単層型感光体は、電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂及び溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂としては、積層型感光体における材料の例示と同様である。
<画像流れに関する説明>
画像流れは、放電生成物の生成量が増えることで悪化し、反対に放電生成物の除去されることによって良化する。以上より、画像流れの良化条件は、(放電生成物の除去量)−(放電生成物の生成量)>0であると考えられる。よって、課題を解決するアプローチとして、(1)ドラム面上の放電生成物の発生量を抑制する。(2)ドラム面上の放電生成物の除去量を増やす。が考えられる。本実施形態は、感光ドラム4面上の放電生成物を除去しやすくし、放電生成物の除去量を増やすものである。
放電生成物の生成量は、帯電ローラ2/転写ローラ11から感光ドラム4への放電量に関連した量であり、帯電バイアス、転写バイアス、露光量、ドラム膜厚などに相関するパラメータとなっている。また、放電生成物の除去量は、感光ドラム4に対する機械的接触に関連した量であり、クリーニングブレード6の当接条件、ドラム硬度、トナー外添剤(
研磨粉)などに相関するパラメータとなっている。
本実施形態は、高硬度のクリーニングブレード6を用いてクリーニングブレード6の粘弾性が低下し、クリーニング能力が低下した場合であっても、帯電ローラ2が均一な微細放電を行うことで、放電生成物の感光ドラム4への付着強度を低下させ、放電生成物を除去しやすくし、画像流れを良化する。
<クリーニングブレードの詳細>
クリーニング装置は、感光ドラム4の表面に当接して感光ドラム4上の残留トナーを除去するクリーニング部材としてクリーニングブレード6を備えている。
本実施形態のクリーニングブレード6は、板金からなる支持部材の先端部に一体的に保持されるJIS A硬度が72゜のポリウレタンゴムからなる。クリーニングブレード6の支持部材は、クリーニングブレード6が設けられた端部とは反対側の端部が、ドラムユニットU1の枠体に固定されている。クリーニングブレード6の支持部材は、枠体に固定された固定端である一端から、クリーニングブレード6が設けられた他端側が、感光ドラム4の表面に向かって延びるように設けられている。本実施形態のクリーニングブレード6は、感光ドラム4の表面に対し、その回転方向と逆方向から(つまりカウンター方向に)、当接圧が35N/mになるように、侵入量δが1.3mm、設定角θが22°の条件で当接するように構成されている。
感光ドラム4表面に付着した放電生成物を効果的に除去するために、クリーニングブレード6が感光ドラム4に効果的に当接した状態が必要となる。本実施形態では、所望の当接状態を確保するために、クリーニングブレード6の硬度を以下のように設定することが最も効果的であった。
本実施形態のクリーニングブレード6は、JIS−A硬度が65度以上、85度以下に構成される。クリーニングブレード6のJIS−A硬度は、JIS K6253に規定される硬さ試験法に準拠して、タイプAデュロメータを用いて温度25℃で測定される値をいう。硬度を65度以上にすることで、感光ドラム4表面の放電生成物を除去できる。硬度を85度以下にすることで、クリーニングブレード6と感光ドラム4間のトルクを下げることができ、クリーニングブレード6のめくれを抑制できる。さらに好ましくは、硬度が68度以上、75度以下である。上記の範囲に制御することにより、放電生成物を確実に除去し、かつ、感光ドラム4の耐久による摩耗量を抑制できるため、感光ドラム4の長寿命化に必要な高耐傷性及び高耐摩耗性が維持できる。
一方で放電生成物を除去するための所望の当接状態は、感光ドラム4やクリーニングブレード6の材料に応じて適宜選択されるものではあるが、以下に示す当接圧、侵入量、設定角など硬度以外の設計値を変更して所望の当接状態を確保することも考えられる。
侵入量δとは、クリーニングブレード6が変形せず、そのまま感光ドラム4へ侵入したと仮想したときの、クリーニングブレード6の先端面の感光ドラム4表面からの侵入長さである。
設定角θは、クリーニングブレード6と感光ドラム4表面とが交わる点の接線とクリーニングブレード6の軸線とがなす角度である。
放電生成物を効果的に除去するためには、侵入量は0.5mm以上1.8mm以下の範囲が好ましい。侵入量が上記範囲よりも低いと、トナーすり抜けが発生することがあり、上記範囲よりも高いと、感光ドラム4を回転駆動するための負荷が大きくなりすぎるためである。さらに好ましくは、感光ドラム4とクリーニングブレード6が当接する長さ(当接距離)を確保するために侵入量1.0mm以上1.8mm以下が望ましい。
また、放電生成物を効果的に除去するためには、設定角は、20度以上32度以下の範囲が好ましい。設定角が上記範囲よりも低いと、トナーすり抜けが発生することがあり、
上記範囲よりも高いと、ブレードめくれやスリップ音が発生することがあるためである。さらに好ましくは、感光ドラム4とクリーニングブレード6が当接する圧(当接圧)とめくれマージンを両立させるために20度以上25度以下が望ましい。
また、放電生成物を効果的に除去するためには、クリーニングブレード6の当接圧は、30N/m以上80N/m以下の範囲が好ましい。当接圧が上記範囲よりも小さいと、良好なクリーニング性能が得られないことがあり、上記範囲よりも大きいと感光ドラム4を回転駆動するための負荷が大きくなりすぎることがあるためである。さらに好ましくは、感光ドラム4とクリーニングブレード6が当接する圧(当接圧)を高めるために40N/m以上80N/m以下が望ましい。
クリーニングブレード6の材料としては、例えばポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロピレンゴム、ブタジエンゴム等を用いることができる。なかでも、回転する感光ドラム4に当接できる適度な強度と柔軟性が得られる点で、ポリウレタンが好ましい。
クリーニングブレード6は、クリーニングブレード6全体のJIS−A硬度が上記範囲内にあってもよいが、感光ドラム4と当接する部分に、局所的に、JIS−A硬度が上記範囲内である硬化層を備える構成であってもよい。当接部分のみを高硬度の硬化層とすることにより、クリーニングブレード6が感光ドラム4に当接したときに適度に撓める程度の柔軟性が得られるように、クリーニングブレード6本体の硬度を調整しやすくなる。
硬化層は、クリーニングブレード6の表面に設けられた層であってもよいが、耐久性を高める観点から、クリーニングブレード6本体の一部が加工処理された層であることが好ましい。
クリーニングブレード6の基材としてポリウレタンを使用する場合、クリーニングブレード6の感光ドラム4との当接部分をイソシアネート化合物に一定時間含浸し、クリーニングブレード6の本体が含有するポリウレタンをイソシアネート化合物と反応させることにより、その反応部分を硬化層として形成することができる。
<帯電ローラの詳細>
通常、帯電ローラ2と、感光ドラム4の当接部近傍における微小空隙において、電界の強さと、微小空隙の距離の関係がパッシェンの法則を満たす領域において放電が発生する。
電子写真感光体を回転させながら放電を発生させる帯電プロセスにおいては、帯電ローラ表面の一点を経時で追跡した際に、放電の開始地点から終了地点までに、放電が持続的に発生するのではなく、複数回の放電が繰り返し発生することが分かっている。
従来の帯電ローラにおいては、支持体の該表面からその外周を覆う導電層53の外表面に至る、電荷を輸送できる導電パスが形成されていると考えられる。そのため、1回の放電で、導電層内に蓄積されている電荷の大半が感光体やトナーの如き被帯電体に向けて放出される。ここで、本発明者らは、従来の帯電ローラの一例として、以下で説明する比較例1に係る帯電ローラの放電状態を、オシロスコープで詳細に測定、解析した。その結果、比較例1に係る帯電ローラでは、プロセススピードが速くなるにつれて、本来放電が生じなければいけないタイミングで放電されない、いわゆる放電の抜けが生じていることが確認された。
図17に放電の抜けが発生している状態のイメージ図を示す。図17(a)は、放電の抜けがなく、放電の総量が充足されている状態、図17(b)は、放電の抜けが生じて放電の総量が不足している状態、をそれぞれ示している。
放電の抜けが生じる理由としては、帯電ローラ2の支持体52を覆う導電層53からの放電で導電層53内に蓄積された電荷の大半が消費された後、次の放電のための導電層5
3への電荷の蓄積が間に合わないためであると考えられる。ここで、本発明者らは、導電層53内に多量の電荷を蓄積でき、かつ、1回の放電によっても蓄積された電荷が一度に消費されないようにすれば、放電の抜けを解消し得るものと考察した。このような考察に基づきさらなる検討を重ねた結果、本実施形態に係る構成を備えた帯電ローラ2は、上記の要求によく応え得ることを見出した。
<インピーダンスの傾き>
本実施形態における帯電ローラ2は、所定のインピーダンス特性を有することを特徴とする。帯電ローラ2に、振幅が1Vの交流電圧を、周波数1.0×10−2Hz〜1.0×10Hzの間で変化させながら印加することによってインピーダンスを測定する。その測定結果を、交流電圧の周波数を横軸、取得されるインピーダンスを縦軸に両対数プロットしたときの傾きが、周波数1.0×10Hz〜1.0×10Hzの範囲において、−0.8以上、−0.3以下である。
従来の帯電ローラ2をインピーダンス測定すると、1.0×10Hz〜1.0×10Hzの間で、必ず傾きが−1となる。
ここで、傾きとは、図3に示すように、帯電ローラ2のインピーダンス特性を周波数に対して両対数プロットした際の、横軸に対する傾きのことである。従来は、実線で示すように、傾きが−1であり、対して本実施形態では、破線で示すように、傾きが1.0×10Hz〜1.0×10Hzの間で−0.8以上、−0.3以下である。
帯電ローラ2の等価回路は、電気抵抗Rと静電容量Cの並列回路で表され、インピーダンスの絶対値|Z|は、下記式(1)で表現することができる。このとき、式(1)内のfは印加交流電圧の周波数を示す。
Figure 2021067741
高周波数側で、インピーダンスの傾き−1の直線になるのは、高周波の電圧に対して電荷の動きが追随できず、停滞するため、電気抵抗値Rが大きく増大した、いわば絶縁の静電容量を計測している状態であると推測できる。電荷が停滞した状態を想定すると、式(1)の中で、式(1)でRを無限大に近似した状態とすることができる。このとき、分母の要素を抜き取った式(2)において、R−2が(2πfC)に対して非常に小さい値をとる近似が可能になる。したがって、式(1)はR−2を除去した式(3)のような近似を施した式変形が可能となる。最後に、式(3)に対して両辺対数をとる式変形を行うと、式(4)となり、logfの傾きが−1になる。
−2+(2πfC) 式(2)
Figure 2021067741
Figure 2021067741
上記式(1)〜(4)の意味を、図4を用いて説明する。図4において、縦軸は、インピーダンスの絶対値の対数、横軸は、測定振動電圧の周波数の対数を示す。図4は、式(1)で表現されるインピーダンスの挙動を示している。まず、上記で説明してきたように、式(1)を満たすインピーダンスは、周波数が大きくなると、ある周波数でその絶対値が低下してくる。そして低下する挙動は、図4のような両対数プロットにおいては、式(4)で示したように、傾きが帯電ローラの電気抵抗値や静電容量などに依存せずに、―1の傾きの直線となる。
絶縁性の導電性部材のインピーダンス特性を測定すると、傾きが−1の直線となることから、導電性部材のインピーダンス測定において、傾きが−1になる状態は、高周波数側で電荷の動きが停滞している特性が現れていると推測される。高周波数側での電荷の動きが停滞すると、放電のための電荷の供給が放電の周波数に追随できなくなる。その結果、放電のできないタイミングが生じ、放電の抜けが生じていると推測される。
一方、インピーダンスの傾きが、1.0×10Hz〜1.0×10Hzの高周波数領域において、−0.8以上、−0.3以下である帯電ローラ2は、高周波数側で電荷の供給が停滞し難い。その結果、インピーダンスが一定値をとる低周波数域から高周波数域までの周波数の放電、特に電荷の停滞が生じやすい高周波数側の放電に対して、電荷の供給を可能にする。電荷の供給が潤沢に実現できるために、放電の抜けを抑制し、放電の総量を向上させることができる。当該高周波数領域の範囲は、帯電ローラ2から発生する放電の周波数のうちで、最も周波数が大きい領域の放電であるため、放電の抜けが発生しやすい領域であると考えられる。このような周波数領域において傾きが−1よりも大きい上記の範囲の値を示すことで、当該周波数領域より低い高周波数領域においても−1よりも大きい傾きを得て、放電抜けの発生を抑制し、放電の総量を向上させることができる。
帯電ローラ2と感光ドラム4を組合せた場合を用いて、具体的に放電の周波数を予測すると、次のような範囲となると発明者らは考えている。
感光ドラム4への放電が行われる放電領域は、感光ドラム4や帯電ローラ2の直径等に依る。感光ドラム4の周面の円周方向の幅(感光ドラム4の回転方向に感光ドラム4の周面に沿って測った幅)として、一般的に0.5mm〜1mm程度である。電子写真装置のプロセススピードが最大で100〜500mm/sec(感光ドラム4の表面速度)とすると、感光ドラムの表面が放電領域を通過する時間は、10−3sec〜10−2sec以上である。また、放電を詳細に観察すると、単発の放電による放電領域の長さ(感光ドラム4周面の領域)は0.01mm〜0.1mmであるため、帯電ローラの表面の同一点が放電領域を通過する間に、そのため、帯電ローラ2の同一点が放電領域を通過する間に、少なくとも数十回程度の放電が発生していることが推測される。従って、帯電ローラ2が発生させる放電の周波数は、数Hz〜1.0×10Hzの範囲であることが推測される。より高速プロセスになるにしたがって、放電の周波数をより高くして放電の回数を増大させる必要があるため、上記範囲の中でも特に、1.0×10Hz〜1.0×10Hzの如き高周波数領域における放電および導電機構の制御が重要である。
以上のように、放電の回数を増大させるためには、高周波数領域におけるインピーダンスの傾きを−1から逸脱させることが有効である。これにより、放電とその次の放電のための電荷の供給を迅速に行う特性を良く達成させ得る。インピーダンスの傾きが−1から逸脱することは、帯電ローラ2内の電荷の供給が停滞していないことを意味するため、かかる帯電ローラは、放電の抜けを抑制する方向の特性を得られる。
<低周波側のインピーダンス>
低周波数側のインピーダンスは、電荷の停滞が発生し難いという特性を表しているものである。
これは、低周波数側のインピーダンスの傾きが−1ではない領域であることからもわかる。そして、式(1)において、周波数をゼロに近似すると、電気抵抗値Rに近似できることから、電気抵抗値Rは、電荷が単一方向に移動する際の能力を表すことが分かる。
従って、低周波数の電圧を印加しながらの測定では、電圧の振動に電荷の動きが追随できた状態での電荷の移動量を模擬していると想定できる。
低周波数における電荷の移動量は、帯電ローラ2から測定電極との間での電荷の移動しやすさの指標であり、更に、帯電ローラ2の表面から感光ドラム4に対して、放電によって電荷を移動させられる電荷量の指標とすることができる。
また、インピーダンスの測定に用いられる交流電圧は振幅が1Vである。この測定用の
振動電圧は、実際に電子写真方式の画像形成装置100の中で帯電ローラ2に印加される電圧が数100V〜数1000Vであるのに対し大幅に低い。従って、帯電ローラの表面からの放電の出やすさをより高次元で評価できると考えている。
また、放電の出やすさを適切な範囲に制御可能である。インピーダンスが1.0×10Ωより低くなると、一つの放電の量が大きくなりすぎて、次の放電のための電荷の供給が追随できなくなり、放電の抜けが発生する方向に働く。一方で、インピーダンスが1.0×10Ωを超えると、放電の出やすさが低下する。
すなわち、周波数が1.0×10−2Hz〜1.0×10Hzにおけるインピーダンスは、1.0×10Ω〜1.0×10Ωであると好適である。
なお、図4で説明したように、低周波数の領域においては、インピーダンスの絶対値は一定値をとり、1.0×10−2Hz〜1.0×10Hzにおけるインピーダンスは、例えば1Hzの周波数におけるインピーダンスの値で代用することができる。
<インピーダンスの測定方法>
インピーダンスの測定に際し、帯電ローラ2と測定電極との間の接触抵抗の影響を排除するために、低抵抗な薄膜を帯電ローラ2の表面に堆積させ、当該薄膜を電極として使用し、一方で導電性の支持体52を接地電極として2端子でインピーダンスを測定する。
当該薄膜の形成方法としては、金属蒸着、スパッタリング、金属ペーストの塗布、金属テープを貼付するなどの金属膜の形成方法を挙げることができる。これらの中でも、導電性部材との接触抵抗の低減という観点で、白金やパラジウムのような金属薄膜を蒸着によって電極として形成する方法が好ましい。
帯電ローラ2の表面に金属薄膜を形成する場合、その簡便さおよび薄膜の均一性を考慮すると、真空蒸着装置に対して帯電ローラを把持できる機構を付与し、断面が円柱状の帯電ローラ2に対しては、さらに回転機構を付与した、真空蒸着装置を使用することが好ましい。断面が円形状などの曲面で構成される、例えば円柱状の帯電ローラ2に対しては、上記の測定電極としての金属薄膜と、インピーダンスの測定装置との接続が困難になるため、次のような方法を用いることが好ましい。具体的には、帯電ローラ2の長手方向に、10mm〜20mm程度の幅の金属薄膜電極を形成したのち、金属シートを隙間なく巻き付け、当該金属シートと、測定装置から出ている測定電極と接続して測定すればよい。これにより、帯電ローラ2の導電層からの電気信号を好適に測定装置に取得でき、インピーダンス測定を実施することができる。金属シートとしては、インピーダンスを測定するに際して、測定装置の接続ケーブルの金属部と同等の電気抵抗値である金属シートであればよく、例えば、アルミホイルや金属テープ等を用いることができる。
インピーダンスの測定装置は、インピーダンスアナライザ、ネットワークアナライザ、スペクトルアナライザ等、1.0×10Hzまでの周波数領域におけるインピーダンスを測定できる装置であればよい。これらの中でも帯電ローラの電気抵抗域から、インピーダンスアナライザによって測定することが好ましい。
インピーダンスの測定条件に関して述べる。インピーダンス測定装置を使用し、1.0×10−2Hz〜1.0×10Hzの周波数領域におけるインピーダンスを測定する。測定は、温度23℃湿度50%RHの環境下で行なう。測定ばらつきを低減するために、周波数1桁あたり5点以上の測定点を設けることが好ましい。また、交流電圧の振幅は1Vである。
測定電圧に関しては、電子写真画像形成装置内の帯電ローラ2に印加される分担電圧を考慮して直流電圧を印加しながら測定してもよい。具体的には、10V以下の直流電圧を振動電圧と重畳印加しながらの測定によって電荷の輸送と蓄積の特性を定量化するために好適である。
図18に、インピーダンスの測定結果の一例を示す。実線は本実施形態の帯電ローラ2のインピーダンスの測定結果を示し、破線は従来の帯電ローラのインピーダンスの測定結果を示している。この両対数プロットで得られたグラフの、1.0×10〜1.0×10Hzの周波数領域におけるインピーダンスの絶対値の傾きが従来の帯電ローラでは−1なのに対し、本発明の帯電ローラ2では−0.5程度になっていることが読み取れる。
<インピーダンスの傾きの算出方法>
上記の条件で測定した測定結果に対し、表計算ソフト(例えば、「ウインドウズエクセル」(商品名、マイクロソフト社製)を使用して、インピーダンスの絶対値を、測定周波数に対して両対数グラフでプロットする。この両対数プロットで得られたグラフの、1.0×10Hz〜1.0×10Hzの周波数領域におけるインピーダンスの絶対値の傾きを、1.0×10Hz〜1.0×10Hzの周波数領域の測定点を利用して求めればよい。具体的には、当該周波数範囲のグラフのプロットに対し、一次関数の近似直線を最小二乗法で算出し、その傾きを算出すればよい。
次いで、当該両対数グラフ内の1.0×10−2Hz〜1.0×10Hzの周波数領域での測定点の算術平均値を算出し、得られた値を低周波数側のインピーンダンスとすればよい。円柱状の帯電ローラ2におけるインピーダンスの傾きの測定では、軸方向としての長手方向を5等分した際のそれぞれの領域内の任意の場所で測定を5か所行い、5か所の傾きの測定値の算術平均を算出すればよい。
図5を参照して、本実施態様に係る帯電ローラ2について、ローラ形状を有する帯電ローラ2を例に、説明する。図5は、帯電ローラ2の軸方向である長手方向に対して垂直な模式的断面図である。帯電ローラ2は、円柱状の導電性の支持体52、支持体52の外周、すなわち外表面に形成された導電層53を有している。
また、本実施形態における測定は、前処理として、帯電ローラ2に対し、回転しながら真空白金蒸着をすることよって、測定電極を作成した。このとき、マスキングテープを使用して、長手方向の幅1.5cmの帯状で、周方向に均一な電極を作成した。当該電極を形成することによって、帯電ローラ2の表面粗さによって、測定電極と帯電ローラ2の接触抵抗の影響を極力排除することができる。次に、当該電極に、アルミシートを隙間なく巻きつけ、帯電ローラ2側の測定電極を形成した。
図6に帯電ローラ2に測定電極を形成した状態の概要図を示す。図6の中で、52が導電性の支持体、53が後述するマトリックスドメイン構造を有する導電層、60が測定電極である白金蒸着層、61がアルミシートである。
図7に帯電ローラ2に測定電極を形成した状態の模式的断面図を示す。図7のように、導電性の支持体52と、測定電極である白金蒸着層60と、によって、マトリックスドメイン構造を有する導電層53を挟む状態にすることが重要である。
そして、当該アルミシート61を、インピーダンス測定装置70(ソーラトロン1260、およびソーラトロン1296 ソーラトロン社製)側の測定電極に接続した。
図8に、本測定系の概要図を示す。導電性の支持体52と、アルミシート61を測定のための2つの電極にすることで、インピーダンス測定を行なった。
インピーダンスの測定に際し、後述する帯電ローラ2を温度23℃、湿度50%RH環境に48時間放置し、導電性部材内の水分量を飽和させた。
インピーダンスの測定は、温度23℃、湿度50%RH環境において、振幅が1Vppの交流電圧、周波数1.0×10−2Hz〜1.0×10Hzで測定(周波数が1桁変化する際に、5点ずつ測定)し、インピーダンスの絶対値を得た。次いで、測定結果をエクセル(登録商標)などの表計算ソフトを用いて、当該インピーダンスの絶対値と、周波数を両対数プロットした。両対数プロットにより得られたグラフから、(a)1.0×10Hz〜1.0×10Hzにおける傾き、および(b)1.0×10−2Hz〜1.
0×10Hzにおけるインピーダンスの絶対値のそれぞれの算術平均値を算出した。測定位置に関して、後述する帯電ローラ2(長手方向の長さ:230mm)の導電層を長手方向に5個の領域に5等分し、それぞれの領域内から任意に1点ずつ、合計5点に測定電極を形成し、上記測定及び算術平均値の算出を行った。
<マトリックスドメイン構成の形成方法>
本実施形態の帯電ローラ2の一様態としては、マトリックスドメイン構造(海島構造)を有する導電層を有する帯電ローラ2が例示される。マトリックスドメイン構造とは、マトリックス54(海相を形成する)および、マトリックス54中に分散、散在した複数個のドメイン55(島相を形成する)を有する構造とする。
本発明の効果を発現するために重要な役割を果たすマトリックスドメイン構造を形成するための具体的達成手段について説明する。
本実施形態に係る導電相としてのドメイン55と絶縁相としてのマトリックス54の構成は、本発明の効果を阻害しない範囲で、導電の材料と、絶縁の材料を、相分離または分散させる手法によって得ることができる。その中でも、導電層53として、他の部材に当接させてその機能を安定的に発現させるために、絶縁の特性を持つ第一のゴムを含むマトリックス54と、導電性の特性をもつ第二のゴム55の相分離によって、マトリックスドメイン型の相分離構造を有することが必須である。
ここで、本明細書において「導電相」と「導電層」は、それぞれ別のものを示す。導電“相”とは、相分離したマトリックスドメイン構造のドメインを形成する“相”を示し、一方、導電“層”とはドメイン55とマトリックス54を含めたマトリックスドメイン構造を有する材料でできた“層”を示す。
このようなマトリックスドメイン型の相分離構造を形成する方法としては、非相溶の二種類のゴム材料を混練させることで、相分離構造を形成できる。
相溶/非相溶を表現するパラメータとして、SP値がある。SP値は、分子の凝集エネルギー密度の平方根であり、分子同士の凝集する力(分子間力)の大小を表す。従って、二者間のSP値差を適正化することで、混和(相溶)状態を制御し、相分離構造の制御を可能とする。ゴムのSP値は、材料の選択や極性基を含むセグメントの共重合比の選択などで、調整することで制御できる。
本実施形態においては、マトリックスドメイン構造を形成するために、2種類のゴム材料のSP値差が、5.0以下の材料であることが好ましい。SP値を2.0以下にすることがより好ましく、より小さいサイズのドメイン55を有するマトリックスドメイン構造を形成することができる。
本発明者らは、単発の放電の電荷量を増大させるために、導電層53を移動する電荷の経路を限定して、体積分率の少ないドメイン55にのみ、電荷を輸送させることによって、上記のインピーダンスの特性を実現できることを見出した。
周波数が1.0×10−2Hz〜1.0×10Hzにおけるインピーダンスを制御するためには、次のような制御が必要である。
まず、マトリックス54ではなく、ドメイン55にのみ、電荷を輸送させ、さらに、ドメイン55間の電界集中を抑制して、マトリックス54に局所的に電荷が流れようとすることを抑制するために、マトリックス54の体積抵抗率、ドメイン55の体積抵抗率、ドメイン55間の距離、ドメイン55の配置の均一性、およびドメイン55の形状の制御さらに、ドメイン55の体積抵抗率の均一性、電子導電剤の量の均一性、ドメイン55のサイズ、ドメイン55のサイズの均一性、ドメイン55の体積分率などを制御することが、ドメイン55に電荷の輸送を限定させるための制御因子である。
<導電層>
本発明の実施形態における帯電ローラ2(帯電部材)としては、例えば、導電層53が、以下の構成要素(i)〜構成要素(iii)を満たすことが好ましい。ここまで、本発明の導電性部材に関しては帯電ローラ2を一例として説明しているが、前にも述べたように、導電性部材は帯電ローラ2に限られない。すなわち、感光ドラム4の表面との間で放電を発生させることができる部材に対して、本発明は好適に適用することができる。例えば、帯電ローラ2とは別の導電性ローラを設け、その構成を本実施形態の帯電ローラ2と同様に構成してもよい。あるいは、転写ローラ11に本発明を適用し、感光ドラム4との間で放電量のムラの少ない放電を発生させるように構成してもよい。転写ローラ11として本発明を適用する場合、感光ドラム4表面で放電量のムラの少ない放電(放電量の均一化)を、画像形成中に転写と同時に行うようにしても良い。また、上記放電量のムラの少ない放電(放電量の均一化)を、転写ローラ11と帯電ローラ2の両方を用いて行っても、どちらか一方を用いて行っても良い。
構成要素(i):該マトリックスの体積抵抗率が、1.0×1012Ω・cmより大きく1.0×1017Ω・cm以下であること。
構成要素(ii):該ドメインの体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上、1.0×10Ω・cm以下であること。
構成要素(iii):該ドメインの隣接壁面間距離が、0.2μm以上、2.0μm以下の範囲内であること。
図9に、帯電ローラ2の長手方向に対して垂直な方向の導電層53の部分断面図を示す。導電層53は、マトリックス54とドメイン55とを有するマトリックスドメイン構造を有する。そして、ドメイン55は、電子導電剤としての導電性粒子56を含む。
構成要素(i)〜(iii)を満たす導電層53を備えた帯電ローラ2は、感光ドラム4との間にバイアスを印加したときに各々のドメイン55に十分な電荷を蓄積でき、また、ドメイン55間での同時的な電荷の授受を抑制できる。これにより一回の放電で、導電層53内に蓄積された電荷の大半が放出されることを防ぐことができる。その結果、導電層53内には、次の放電のための電荷が未だ蓄積されている状態とすることができるため、短いサイクルで安定して放電を生じさせることが可能となる。本開示に係る帯電ローラ2によって達成されるこのような放電状態を、以降、「微細放電」とも呼ぶ。
微細放電を発生可能な本実施形態の帯電ローラ2の場合、放電により感光ドラム4を一様に帯電することで得られる暗部電位(VD)は、従来の帯電ローラと同等である。しかしながら、上述の通り、一回一回の放電量を小さく、かつ、多量にすることでVDを形成させるため、VDのミクロな均一性が従来の帯電ローラと比較し、飛躍的に向上する。放電によって生成する放電生成物の発生量は、放電量と相関する。本実施形態に係る帯電ローラ2を用いた場合、感光ドラム4表面に付着する放電生成物量のムラが抑制され、放電生成物が過度に付着することを防止し得るため、放電生成物をクリーニングブレード6により容易に除去できることが、発明者らの検討によりわかった。
以下、上記(i)〜(iii)の構成要素について説明する。
<構成要素(i)>
・マトリックスの体積抵抗率;
マトリックス54の体積抵抗率を、1.0×1012Ω・cmよりも大きくすることで、電荷が、ドメイン55を迂回してマトリックス54中を移動することを抑制できる。また、一回の放電で蓄積された電荷の大半が消費されることを抑制できる。また、ドメイン55に蓄積された電荷が、マトリックス54に漏洩することによって、あたかも導電層53内を連通する導電経路が形成されているかの如き状態となることを防止できる。
また、マトリックス54の体積抵抗率の上限としては、特に限定されないが、目安としては、1.0×1017Ω・cm以下であることが好ましい。上述した微細放電の様態を
達成するために、導電層53中を、ドメイン55を介して電荷を移動させるためには、電荷が十分に蓄積された領域(ドメイン55)が、電気的に絶縁性の領域(マトリックス54)で分断されている構成が有効であると本発明者らは考えている。そして、マトリックス54の体積抵抗率を上記したような高抵抗領域の範囲とすることで、各ドメイン55との界面において十分な電荷を留めることができ、また、ドメイン55からの電荷漏洩を抑制できる。
また、放電が微細でかつ必要十分な放電量を達成するためには、すなわち、上記低周波側でのインピーダンスの傾きが−1ではなくなる条件を満たす導電層53とするためには、電荷の移動経路が、ドメイン55を介在した経路に限定することが極めて有効である。ドメイン55からのマトリックス54への電荷の漏洩を抑制し、電荷の輸送経路を複数のドメイン55を介した経路に限定することにより、ドメイン55に存在する電荷の密度を向上させることができるため、各ドメイン55における電荷の充填量をより増大させることができる。これにより、放電の起点である導電相としてのドメイン55の表面において、放電に関与できる電荷の総数を向上させることができ、結果、帯電ローラ2の表面からの放電の出やすさを向上させることができると考えられる。
・マトリックスの体積抵抗率の測定方法;
マトリックス54の体積抵抗率は、導電層53を薄片化し、微小探針によって計測することができる。薄片化する手段としては、例えば、鋭利なカミソリや、ミクロトーム、収束イオンビーム法(FIB)などがあげられる。
薄片の作製に関しては、ドメイン55の影響を排除し、マトリックス54のみの体積抵抗率を計測する必要があるため、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などであらかじめ計測したドメイン55間距離よりも小さい膜厚の薄片を作成する必要がある。したがって、薄片化の手段としては、ミクロトームのような非常に薄いサンプルを作成できる手段が好ましい。
体積抵抗率の測定は、まず、当該薄片の片面を接地した後に、薄片中のマトリックス54とドメイン55の場所を特定する。これらの場所の特定は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)、原子間力顕微鏡(AFM)、などで、マトリックス54とドメイン55の体積抵抗率あるいは硬度の分布を計測できる手段によって行うことができる。次いで、当該マトリックス54に探針を接触させ、50VのDC電圧を5秒間印加しての接地電流値の5秒間の算術平均値を測定し、電圧で除することで電気抵抗値を算出する。そして、薄片の膜厚を用いて、体積抵抗率に変換すればよい。このとき、薄片のSPMやAFMのような形状測定も可能な手段であれば、当該薄片の膜厚が計測でき、体積抵抗率が測定可能であるため、好適である。
円柱状の帯電ローラ2の導電層53におけるマトリックス54の体積抵抗率の測定は、導電層53を周方向に4分割、長手方向に5分割した領域のそれぞれから各1つずつ薄片サンプルを切り出し、上記の測定値を得た後に、合計20サンプルの体積抵抗率の算術平均値を算出することによって行なうことができる。図11(a)は、5分割した領域の1つにおいて薄片サンプルを切り出した様子を示している。
<構成要素(ii)>
・ドメインの体積抵抗率;
個々のドメイン55の体積抵抗率は、該マトリックス54の体積抵抗率よりも小さい。これにより、マトリックス54で目的としない電荷の移動を抑制しつつ、電荷の輸送経路を複数のドメイン55を介する経路に限定しやすくなるため好ましい。
また、該ドメイン55の体積抵抗率は、該マトリックス54の体積抵抗率よりも5桁以上大きいことが好ましい。
より具体的には、ドメイン55の体積抵抗率は1.0×10Ωcm以上1.0×10Ωcm以下にすることが好ましい。ドメイン55の体積抵抗率をより低い状態にするこ
とで、マトリックス54で目的としない電荷の移動を抑制しつつ、電荷の輸送経路を、より効果的に複数のドメイン55を介する経路に限定することができる。
更に、ドメイン55の体積抵抗率は、1.0×10Ωcm以下であることがより好ましい。ドメイン55の体積抵抗率を当該範囲まで下げることで、ドメイン55内で移動する電荷の量を飛躍的に向上できる。そのため、効果的に電荷の輸送経路をドメイン55経由に限定することができる。
ドメイン55の体積抵抗率は、ドメイン55のゴム成分に対し、導電剤を使用することによって、その導電性を所定の値にすることで調整する。
ドメイン55用のゴム材料としては、マトリックス54用としてのゴム成分を含むゴム組成物を用いることができるが、マトリックスドメイン構造を形成するためにマトリックス54を形成するゴム材料との溶解度パラメータ(SP値)の差が、0.4(J/cm0.5以上、5.0(J/cm0.5以下、特には、0.4(J/cm0.5以上2.2(J/cm0.5以下にすることがより好ましい。
ドメイン55の体積抵抗率は、電子導電剤の種類、およびその添加量を適宜選択することによって調整することができる。ドメイン55の体積抵抗率を1.0×10Ωcm以上1.0×10Ωcm以下に制御するために使用する導電剤としては、分散する量によって高抵抗から低抵抗まで体積抵抗率を大きく変化させることができる電子導電剤が好ましい。
ドメイン55に配合される電子導電剤については、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン、酸化錫等の酸化物;Cu、Ag等の金属;酸化物または金属が表面に被覆され導電化された粒子等を例として挙げられる。また、必要に応じて、これらの導電剤の2種類以上を適宜量配合して使用しても良い。
以上の様な電子導電剤のうち、ゴムとの親和性が大きく、電子導電剤間の距離の制御が容易な、導電性のカーボンブラックを使用することが好ましい。ドメイン55に配合されるカーボンブラックの種類については、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。
中でも、高い導電性をドメイン55に付与し得る、DBP吸油量が40cm/100g以上170cm/100g以下である導電性カーボンブラックを好適に用いることができる。
導電性のカーボンブラック等の電子導電剤は、ドメイン55に含まれるゴム成分の100質量部に対して、20質量部以上150質量部以下でドメイン55に配合されることが好ましい。特に好ましい配合割合は、50質量部以上100質量部以下である。これらの割合での導電剤の配合は、一般的な電子写真用の帯電ローラ2と比較して、導電剤が多量に配合されていることが好ましい。これにより、ドメイン55の体積抵抗率を1.0×10Ωcm以上1.0×10Ω・cm以下の範囲に容易に制御することができる。
また、必要に応じて、ゴムの配合剤として一般に用いられている充填剤、加工助剤、架橋助剤、架橋促進剤、老化防止剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、軟化剤、分散剤、着色剤等を、本発明に係る効果を阻害しない範囲でドメイン用のゴム組成物に添加してもよい。
・ドメインの体積抵抗率の測定方法;
ドメイン55の体積抵抗率の測定は、上記のマトリックス54の体積抵抗率の測定方法に対して、測定箇所をドメイン55に相当する場所に変更し、電流値の測定の際の印加電圧を1Vに変更した以外は同様の方法で実施すればよい。
ここで、ドメイン55の体積抵抗率は、均一であることが好ましい。ドメイン55の体積抵抗率の均一性を向上させるためには、各ドメイン55内の電子導電剤の量を均一化することが好ましい。これにより、帯電ローラ2の外表面からの、被帯電体への放電をより
安定化させることができる。
具体的には、導電層53の厚み方向の断面に現れるドメイン55の各々の断面積に対して、ドメイン55の各々が含む電子導電剤からなる部分、例えば導電性粒子の断面積の合計の、ドメイン55の断面積に対する割合の標準偏差をσr、平均値をμrとしたとき、変動係数σr/μrが、0以上、0.4以下であることが好ましい。
σr/μrが、0以上、0.4以下であるために、各ドメイン55中に含まれる導電剤の数または量のばらつきを低減することができる。かかる指標に基づくドメイン55の体積抵抗率の均一性が付与されることで、導電層53内の電界集中を抑制でき、局所的に電界が印加されるマトリックス54の存在を低減できる。これにより、マトリックス54での導電を極力低減することができる。
より好ましいσr/μrは、0以上0.25以下であり、導電層53内の電界集中を更に効果的に抑制することができ、1.0×10−2Hz〜1.0×10Hzにおけるインピーダンスを1.0×10Ω以下に更に低減することが可能となる。
ドメイン55の体積抵抗率の均一性を向上させるためには、後述するドメイン形成用ゴム混合物(CMB)の調製工程において、第二のゴムに対するカーボンブラックの配合量を多くすることが好ましい。
・ドメインの体積抵抗率の均一性の測定方法;
ドメイン55の体積抵抗率の均一性は、ドメイン55内の電子導電剤の量によって支配されるため、各ドメイン55内の電子導電剤の量のばらつきを測定することで、評価することができる。
まず、前述のマトリックス54の体積抵抗率の測定における方法と同様の方法で切片を作製する。次いで、凍結割断法、クロスポリッシャー法、収束イオンビーム法(FIB)等の手段で破断面を形成する。破断面の平滑性と、観察のための前処理を考慮すると、FIB法が好ましい。また、マトリックスドメイン構造の観察を好適に実施するために、染色処理、蒸着処理など、導電相としてのドメイン55と絶縁相としてのマトリックス54とのコントラストが好適に得られる前処理を施してもよい。
破断面の形成、前処理を行った切片を、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察して、マトリックスドメイン構造の存在を確認する。これらの中でも、ドメイン55の面積の定量化の正確性から、SEMで1000倍〜100000倍で観察を行うことが好ましい。
ドメイン55の体積抵抗率の均一性の測定は、マトリックスドメイン構造が現れている破断面の撮影画像を定量化することによって行なうことが好ましい。SEMでの観察により得られた破断面画像に対し、画像処理ソフト(例えば、「ImageProPlus」、Media Cybernetics社製)を使用して、8ビットのグレースケール化を行い、256諧調のモノクロ画像を得る。次いで、破断面内のドメイン55が白くなるように、画像の白黒を反転処理し、2値化を実施する。次いで、当該2値化画像に対し、画像処理ソフト内のカウント機能により、ドメイン55の断面積Sおよび、それぞれのドメイン55内の導電剤からなる部分の断面積Scを算出する。そして、電子導電剤のドメイン55内の面積割合Sc/Sの標準偏差σrおよび平均値μrを算出し、ドメイン55の体積抵抗率の均一性の指標としてσr/μrを算出すればよい。
円柱形状の帯電ローラ2の場合では、導電層53の長手方向の長さをL、導電層53の厚さをTとしたとき、導電層53の長手方向の中央、及び導電層53の両端から中央に向かってL/4の3か所における、図11(b)に示されるような導電層53の厚さ方向の断面を取得する。得られた断面の各々について、導電層53の外表面から支持体52方向への深さ0.1T〜0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所において、15μm四方の観察領域を取得する。当該観察領域を上記の方法によって2値化、定量化することでドメイン55の体積抵抗率の均一性の指標としてのσr/μrを算出し、合計9点の観察領域か
らの測定値の算術平均をドメインサイズの均一性の指標として定量化すればよい。
<構成要素(iii)>
・ドメイン間の隣接壁面間距離(以降、「ドメイン間距離」ともいう)
ドメイン55間距離は、0.2μm以上、2.0μm以下であることが好ましい。
ドメイン55間での電荷の授受を行わせるうえで、導電層53中のドメイン55間距離は2.0μm以下、特には、1.0μm以下とすることが好ましい。また、ドメイン55同士を絶縁領域(マトリックス54)で電気的に確実に分断し、電荷をドメイン55に蓄積しやすくなるため、ドメイン55間距離を、0.2μm以上、特には、0.3μm以上とすることが好ましい。
・ドメイン間距離の測定方法;
ドメイン55間距離の測定方法は、次のように実施すればよい。
まず、前述のマトリックス54の体積抵抗率の測定における方法と同様の方法で切片を作製する。次いで、凍結割断法、クロスポリッシャー法、収束イオンビーム法(FIB)等の手段で破断面を形成する。破断面の平滑性と、観察のための前処理を考慮すると、FIB法が好ましい。また、マトリックスドメイン構造の観察を好適に実施するために、染色処理、蒸着処理など、導電相と絶縁相とのコントラストが好適に得られる前処理を施してもよい。
破断面の形成、前処理を行った切片を、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察して、マトリックスドメイン構造の存在を確認する。これらの中でも、ドメインの面積の定量化の正確性から、SEMで1000倍〜100000倍で観察を行うことが好ましい。
ドメイン55間距離の測定は、マトリックスドメイン構造が現れている破断面の撮影画像を定量化することによって行なうことが好ましい。SEMでの観察により得られた破断面画像に対し、画像処理ソフト(例えば、「Luzex」(商品名、ニレコ社製))を使用して、8ビットのグレースケール化を行い、256諧調のモノクロ画像を得る。次いで、破断面内のドメイン55が白くなるように、画像の白黒を反転処理し、2値化を実施する。次いで、画像内のドメインサイズ群の壁面間距離を算出する。このときの壁面間距離は、近接したドメイン55間の最短距離である。
円柱形状の帯電ローラ2の場合では、導電層53の長手方向の中央、及び導電層53の両端から中央に向かってL/4の3か所における、図11(b)に示されるような導電層53の厚さ方向の断面を取得する。得られた断面の各々について、導電層53の外表面から支持体52方向への深さ0.1T〜0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所に50μm四方の観察領域を置き、この全9個の観察領域の各々で観察される各ドメイン55間距離を測定すればよい。切片は、電荷の移動方向である支持体52から導電層53外表面を含む面を観察することが必要であることから、図11(b)に示すように、支持体52の中心軸を起点とする法線を含む断面を観察することができる方向で切り出す。
・ドメイン間距離の均一性;
上記構成要素(iii)に関して、ドメイン55間距離の分布は均一であることが、より好ましい。例えば、導電層53内で局所的にドメイン55間距離が長い箇所が一部にできることで、電荷の供給が周囲比べて滞る箇所が生じた場合などに、放電の出やすさが抑制される現象が発生することがある。ドメイン55間の距離の分布が均一であることで、そのような現象の発生を低減することができる。
電荷が輸送される断面、すなわち、図11(b)に示されるような導電層53の厚さ方向の断面において、導電層53の外表面から支持体52方向への深さ0.1T〜0.9T
までの厚み領域の任意の3か所における、50μm四方の観察領域を取得した際に、当該観察領域内のドメイン55間距離の算術平均値Dmおよびドメイン55間距離のばらつきσmを用いて変動係数σm/Dmが0以上0.4以下であることが好ましい。
・ドメイン間距離の均一性の測定方法;
ドメイン55間距離の均一性の測定は、先に説明したドメイン55間距離の測定と同様に、破断面の直接観察で得られる画像を定量化することによって行なうことができる。
上記ドメイン55間距離の測定で得られる、破断面の2値化画像に対し、LUZEX(株式会社ニレコ社製)のような画像処理ソフトを用いて、画像内のドメインサイズ群のドメイン間距離の平均値Dmおよび、Dmの標準偏差σmを算出し、ドメイン間距離の均一性の指標としてσm/Dmを算出すればよい。
円柱形状の帯電ローラ2の場合では、導電層53の長手方向の中央、及び導電層53の両端から中央に向かってL/4の3か所における、図11(b)に示されるような導電層53の厚さ方向の断面を取得する。得られた断面の各々について、導電層53の外表面から支持体52方向への深さ0.1T〜0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所において、50μm四方の観察領域を取得する。当該観察領域を上記の方法によって2値化、定量化することでドメイン55間距離のσm/Dmを算出し、合計9点の観察領域からの測定値の算術平均をドメイン55間距離の均一性の指標として定量化すればよい。
本実施態様に用いた帯電ローラ2は、例えば、下記工程(i)〜(iv)を含む方法を経て形成することができる。
工程(i):カーボンブラックおよび第二のゴムを含む、ドメイン形成用ゴム混合物(以降、「CMB」とも称する)を調製する工程;
工程(ii):第一のゴムを含むマトリックス形成用ゴム混合物(以降、「MRC」とも称する)を調製する工程;
工程(iii):CMBとMRCとを混練して、マトリックスドメイン構造を有するゴム混合物を調製する工程;
工程(iv):工程(iii)で調製したゴム混合物の層を、導電性支持体52上に直接または他の層を介して形成し、該ゴム組成物の層を硬化させて、本実施態様に係る導電層53を形成する工程。
そして、構成要素(i)〜構成要素(iii)は、例えば、上記各工程に用いる材料の選択、製造条件の調整により制御することができる。以下説明する。
まず、構成要素(i)に関して、マトリックス54の体積抵抗率は、MRCの組成によって定まる。
MRCに用いる第一のゴムとしては、導電性の低い、天然ゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴムの如きゴムの少なくとも1種を用いる。また、MRCには、マトリックスの体積抵抗率を上記範囲内にすることができることを前提として、必要に応じて、充填剤、加工助剤、架橋剤、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、老化防止剤、軟化剤、分散剤、着色剤を添加してもよい。一方、MRCには、マトリックスの体積抵抗率を上記範囲内とするために、カーボンブラックの如き電子導電剤は含有させないことが好ましい。
また、構成要素(ii)に関しては、CMB中の電子導電剤の量によって調整し得る。例えば、電子導電剤として、DBP吸油量が、40cm/100g以上、170cm/100g以下である導電性カーボンブラックを用いる場合を例に挙げると、CMBの全
質量を基準として、40質量%以上、200質量%以下の導電性カーボンブラックを含むようにCMBを調製することで構成要素(ii)を達成し得る。
さらに、構成要素(iii)に関しては、下記(a)〜(d)の4つを制御することが有効である。
(a)CMB、及びMRCの各々の界面張力σの差;
(b)CMBの粘度(ηd)、及びMRCの粘度(ηm)の比(ηm/ηd);
(c)工程(iii)における、CMBとMRCとの混練時のせん断速度(γ)、及びせん断時のエネルギー量(EDK);
(d)工程(iii)における、CMBのMRCに対する体積分率。
(a)CMBとMRCとの界面張力差
一般的に二種の非相溶のゴムを混合した場合、相分離する。これは、異種高分子間の相互作用よりも、同一高分子間の相互作用が強いため、同一高分子同士で凝集し、自由エネルギーを低下させ安定化しようとするためである。相分離構造の界面は異種高分子と接触するため、同一分子同士の相互作用で安定化されている内部より、自由エネルギーが高くなる。その結果、界面の自由エネルギーを低減させるために、異種高分子と接触する面積を小さくしようとする界面張力が発生する。この界面張力が小さい場合、エントロピーを増大させるために異種高分子でもより均一に混合しようとする方向に向かう。均一に混合した状態とは溶解であり、溶解度の目安となるSP値(溶解度パラメーター)と界面張力は相関する傾向にある。
つまり、CMBとMRCとの界面張力差は、各々が含むゴムのSP値差と相関すると考えられる。MRC中の第1のゴムと、CMB中の第2のゴムとしては、溶解度パラメータの絶対値の差が、0.4(J/cm0.5以上、5.0(J/cm0.5以下、特には、0.4(J/cm0.5以上2.2(J/cm0.5以下となるようなゴムを選択することが好ましい。この範囲であれば安定した相分離構造を形成でき、また、CMBのドメイン径Dを小さくすることができる。ここで、CMBに用い得る第二のゴムの具体例としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、クルルプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム(U)が挙げられる。これらの少なくとも1種を用いることができる。
導電層53の厚みは、目的とする帯電ローラ2の機能及び効果が得られるものであれば特に限定されない。導電層53の厚みは、1.0mm以上4.5mm以下とすることが好ましい。
<SP値の測定方法>
SP値は、SP値が既知の材料を用いて、検量線を作成することで、精度良く算出することが可能である。この既知のSP値は、材料メーカーのカタログ値を用いることもできる。例えば、NBR及びSBRは、分子量に依存せず、アクリロニトリルおよびスチレンの含有比率でSP値がほぼ決定される。従って、マトリックス54およびドメイン55を構成するゴムを、熱分解ガスクロマトグラフィー(Py−GC)及び固体NMR等の分析手法を用いて、アクリロニトリルまたはスチレンの含有比率を解析することで、SP値が既知の材料から得た検量線から、SP値を算出することができる。また、イソプレンゴムは、1,2−ポリイソプレン、1,3−ポリイソプレン、3,4−ポリイソプレン、およびcis−1,4−ポリイソプレン、trans−1,4−ポリイソプレンなどの、異性体構造でSP値が決定される。従って、SBRおよびNBRと同様にPy−GC及び固体NMR等で異性体含有比率を解析し、SP値が既知の材料から、SP値を算出することができる。
(b)CMBとMRCとの粘度比
CMBとMRCとの粘度比(ηd/ηm)は、1に近い程、ドメイン55の最大フェレ径Dmaxを小さくできる。具体的には、粘度比は1.0以上2.0以下であることが好ましい。CMBとMRCの粘度比は、CMB及びMRCに使用する原料ゴムのムーニー粘度の選択や、充填剤の種類や量の配合によって調整が可能である。また、相分離構造の形成を妨げない程度に、パラフィンオイルなどの可塑剤を添加することでも可能である。また混練時の温度を調整することで、粘度比の調整を行うことができる。なおドメイン形成用ゴム混合物やマトリックス形成用ゴム混合物の粘度は、JIS K6300−1:2013に基づきムーニー粘度ML(1+4)を混練時のゴム温度で測定することで得られる。
(c)MRCとCMBとの混練時のせん断速度、及びせん断時のエネルギー量
MRCとCMBとの混練時のせん断速度は速いほど、また、せん断時のエネルギー量は大きいほど、ドメイン間距離を小さくすることができる。
せん断速度は、混練機のブレードやスクリューといった撹拌部材の内径を大きくし、撹拌部材の端面から混練機内壁までの間隙を小さくすることや、回転数を大きくすることで上げることができる。またせん断時のエネルギーを上げるには、撹拌部材の回転数を上げることや、CMB中の第一のゴムとMRC中の第二のゴムの粘度を上げることで達成できる。
(d)MRCに対するCMBの体積分率
MRCに対するCMBの体積分率は、マトリックス形成用ゴム混合物に対するドメイン形成用ゴム混合物の衝突合体確率と相関する。具体的には、マトリックス形成用ゴム混合物に対するドメイン形成用ゴム混合物の体積分率を低減させると、ドメイン形成用ゴム混合物とマトリックス形成用ゴム混合物の衝突合体確率が低下する。つまり必要な導電性を得られる範囲において、マトリックス54中におけるドメイン55の体積分率を減らすことでドメイン間距離を小さくすることができる。そして、CMBのMRCに対する体積分率は、15%以上、40%以下とすることが好ましい。
また、本実施態様に係る帯電ローラ2は、下記構成要素(iv)および構成要素(v)を満たすことが好ましい。具体的には、先ず、導電層53の長手方向の中央、及び導電層53の両端から中央に向かってL/4の3か所における、導電層53の厚さ方向の断面をとる。そして、各断面の各々について、導電層53の外表面から深さ0.1T〜0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所に15μm四方の観察領域を置いたときに、全9個の該観察領域の各々においてドメインを観察する。観察されるドメイン55のうちの80個数%以上が、下記構成要素(iv)および構成要素(v)を満たすことが好ましい。
<構成要素(iv)>
ドメイン55の断面積に対する該ドメイン55が含む該導電性粒子の断面積の割合が、20%以上であること。
<構成要素(v)>
ドメイン55の周囲長をA、該ドメイン55の包絡周囲長をBとしたとき、A/Bが、1.00以上、1.10以下であること。
上記構成要素(iv)及び構成要素(v)は、ドメイン55の形状に係る規定ということができる。「ドメインの形状」とは、導電層53の厚さ方向の断面に現れたドメイン55の断面形状として定義される。円柱形状の帯電ローラ2の場合では、導電層53の長手方向の中央、及び導電層53の両端から中央に向かってL/4の3か所における、図11(b)に示されるような導電層53の厚さ方向の断面を取得する。得られた断面の各々に
ついて、導電層53の外表面から支持体52方向への深さ0.1T〜0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所に15μm四方の観察領域を置く。ドメイン55形状は、この全9個の観察領域の各々で観察される各ドメイン55の形状で定義される。
ドメイン55の形状はその周面に凹凸がない形状であることが好ましい。形状に関する凹凸構造の数を低減することによって、ドメイン55間の電界の不均一性を低減でき、つまり、電界集中が生じる箇所を少なくして、マトリックス54で必要以上の電荷輸送が起きる現象を低減できる。
本発明者は、1個のドメイン55に含まれる導電性粒子の量が、当該ドメイン55の外形形状に影響を与えているとの知見を得た。すなわち、1個のドメイン55の導電性粒子の充填量が増えるにつれて、該ドメイン55の外形形状がより球体に近くなるとの知見を得た。球体に近いドメイン55の数が多いほど、ドメイン55間での電子の授受の集中点を少なくすることができる。
そして、本発明者らの検討によれば、その理由は明らかでないが、1つのドメイン55の断面の面積を基準として、当該断面において観察される導電性粒子の断面積の総和の割合が20%以上であるドメイン55は、より、球体に近い形状を取り得る。その結果、ドメイン55間での電子の授受の集中を有意に緩和し得る外形形状を取り得るため好ましい。具体的には、ドメイン55の断面積に対する該ドメイン55が含む該導電性粒子の断面積の割合が、20%以上であることが好ましい。
ドメイン55の周面の凹凸がない形状に関しては、下記式(5)を満たすことが好ましいことを本発明者らは見出した。
1.00≦A/B≦1.10 (5)
(A:ドメイン55の周囲長、B:ドメイン55の包絡周囲長)
式(5)は、ドメイン55の周囲長Aと、ドメイン55の包絡周囲長Bとの比を示している。ここで、包絡周囲長とは、図10に示されるように、観察領域で観察されるドメイン55の凸部を結んだときの周囲長である。
ドメイン55の周囲長と、ドメイン55の包絡周囲長との比は1が最小値であり、1である状態は、ドメイン55が真円或いは楕円等の断面形状に凹部がない形状であることを示す。これらの比が1.1を超えると、ドメイン55に大きな凸凹形状が存在することとなり、すなわち、電界の異方性が発現する。
<ドメインの形状に関する各パラメータの測定方法>
まず、前述のマトリックス54の体積抵抗率の測定における方法と同様の方法で切片を作製する。ただし、下記のように、帯電ローラ2の長手方向に対して垂直な断面によって、切片を作成し、当該切片の破断面におけるドメイン55の形状を評価する必要がある。この理由を下記に述べる。
図11では、帯電ローラ2を、3軸、具体的にはX、Y、Z軸の3次元としてその形状を示した図を示す。図11においてX軸は帯電ローラ2の長手方向(軸方向)と平行な方向、Y軸、Z軸は帯電ローラ2の軸方向と垂直な方向を示す。
図11(a)は、帯電ローラ2の導電層53に対して、XZ平面82と平行な断面82aで導電層53の一部を切り出すイメージ図を示す。XZ平面は、帯電ローラ2の軸を中心として、360°回転することができる。帯電ローラ2が感光ドラム4に対して当接されて回転し、感光ドラム4との隙間を通過する際に放電することを考慮すると、当該XZ平面82と平行な断面82aは、あるタイミングに同時に放電が起きる面を示しているこ
とになる。一定量の断面82aに相当する面が通過することによって、感光ドラム4の表面電位が形成される。
したがって、帯電ローラ2内の電界集中と相関する、ドメイン55の形状の評価のためには、断面82aのようなある一瞬において同時に放電が発生する断面の解析ではなく、一定量の断面82aを含むドメイン55形状の評価ができる帯電ローラ2の軸方向と垂直なYZ平面83と平行な断面での評価が必要である。この評価に、導電層53の長手方向の中央での断面83bと、及び該導電層53の両端から中央に向かってL/4の2か所の断面(83a及び83c)の計3か所を選択する。
また、当該断面83a〜83cの観察位置に関しては、各切片のそれぞれ外表面から深さ0.1T以上0.9T以下までの厚み領域の任意の3か所で15μm四方の観察領域を置いたときの、合計9か所の観察領域で測定を行えばよい。
破断面の形成は、凍結割断法、クロスポリッシャー法、収束イオンビーム法(FIB)等の手段で破断面を形成することができる。破断面の平滑性と、観察のための前処理を考慮すると、FIB法が好ましい。また、マトリックスドメイン構造の観察を好適に実施するために、染色処理、蒸着処理など、導電相と絶縁相とのコントラストが好適に得られる前処理を施してもよい。
破断面の形成、前処理を行った切片に対して、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)によってマトリックスドメイン構造を観察することができる。これらの中でも、ドメイン55の面積の定量化の正確性から、SEMで1000倍〜100000倍で観察を行うことが好ましい。
ドメイン55の周囲長、包絡周囲長、及びドメイン55個数の測定は、上記で撮影画像を定量化することによって行なうことができる。SEMでの観察により得られた破断面画像に対し、ImageProPlus(Media Cybernetics社製)のような画像処理を使用して、それぞれの観察位置で得られる9枚の画像から、それぞれ15μm四方の解析領域抽出し、8ビットのグレースケール化を行い、256諧調のモノクロ画像を得る。次いで、破断面内のドメイン55が白くなるように、画像の白黒を反転処理し、2値化して解析用の2値化画像を得ることができる。
<<ドメイン内の導電性粒子の断面積割合μrの測定方法>>
ドメイン55内の導電性粒子の断面積割合の測定は、上記の2値化画像を定量化することによって行なうことができる。2値化画像に対し、画像処理ソフトImageProPlus(Media Cybernetics社製)内のカウント機能により、ドメイン55の断面積Sおよび、それぞれのドメイン55内の導電剤からなる部分の断面積の総和Scを算出する。そして、Sc/Sの算術平均値μr(%)を算出すればよい。
円柱形状の帯電ローラ2の場合では、導電層53の長手方向の中央、及び導電層53の両端から中央に向かってL/4の3か所における、図11(b)に示されるような導電層53の厚さ方向の断面を取得する。得られた断面の各々について、導電層53の外表面から支持体52方向への深さ0.1T〜0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所の15μm四方の領域において、上記の測定を行い、合計9点の領域からの測定値の算術平均から算出すればよい。
<<ドメインの周囲長A、包絡周囲長Bの測定方法>>
ドメイン55の周囲長、包絡周囲長、及びドメイン55個数の測定は、上記の2値化画像を定量することで行うことができる。2値化画像に対し、画像処理ソフトImageProPlus(Media Cybernetics社製)のカウント機能を用いて、画
像内のドメインサイズ群のそれぞれのドメイン55の周囲長A、ドメイン55の包絡周囲長B、を算出し、ドメイン55の周囲長比A/Bの算術平均値を算出すればよい。
円柱形状の帯電ローラ2の場合では、導電層の長手方向の中央、及び導電層の両端から中央に向かってL/4の3か所における、図11(b)に示されるような導電層53の厚さ方向の断面を取得する。得られた断面の各々について、導電層53の外表面から支持体方向への深さ0.1T〜0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所の15μm四方の領域において、上記の測定を行い、合計9点の領域からの測定値の算術平均から算出すればよい。
<<ドメインの形状指数の測定方法>>
ドメイン55の形状指数は、μr(%)が20%以上であり、かつ、ドメイン55の周囲長比A/Bが上記式(5)を満たすドメイン55群の、ドメイン55総数に対する個数パーセントを算出すればよい。上記2値化画像に対して、画像処理ソフトImageProPlus(Media Cybernetics社製)のカウント機能を用いて、ドメイン55群の2値化画像内の個数を算出し、さらに、μr≧20および上記式(5)を満たすドメイン55の個数パーセントを求めればよい。
円柱形状の帯電ローラ2の場合では、導電層の長手方向の中央、及び導電層の両端から中央に向かってL/4の3か所における、図11(b)に示されるような導電層の厚さ方向の断面を取得する。得られた断面の各々について、導電層53の外表面から支持体方向への深さ0.1T〜0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所の15μm四方の領域において、上記の測定を行い、合計9点の領域からの測定値の算術平均から算出すればよい。
構成要素(iv)で規定したように、ドメイン55中に導電性粒子を高密度に充填することで、ドメイン55の外形形状を球体に近づけることができると共に、構成要素(v)に規定したように凹凸が小さいものとすることができる。
構成要素(iv)で規定したような、導電性粒子が高密度に充填されたドメイン55を得るために、導電性粒子として、DBP吸油量が40cm/100g以上80cm/100g以下であるカーボンブラックを特に好適に用い得る。DBP吸油量(cm/100g)とは、100gのカーボンブラックが吸着し得るジブチルフタレート(DBP)の体積であり、日本工業規格(JIS) K 6217−4:2017(ゴム用カーボンブラック−基本特性−第4部:オイル吸収量の求め方(圧縮試料を含む))に従って測定される。一般に、カーボンブラックは、平均粒径10nm以上50nm以下の一次粒子がアグリゲートした房状の高次構造を有している。この房状の高次構造はストラクチャーと呼ばれ、その程度はDBP吸油量(cm/100g)で定量化される。
一般的に、ストラクチャーが発達したカーボンブラックは、ゴムに対し補強性が高く、ゴムへのカーボンブラックの取り込みが悪くなり、また、混練時のシェアトルクが非常に高くなる。そのため、ドメイン55中に充填量を多くすることが困難である。
一方、DBP吸油量が上記範囲内にある導電性カーボンブラックは、ストラクチャー構造が未発達のため、カーボンブラックの凝集が少なく、ゴムへの分散性が良好である。そのため、ドメイン55中への充填量を多くでき、その結果として、ドメイン55の外形形状を、より球体に近いものを得られやすい。
さらに、ストラクチャーが発達したカーボンブラックは、カーボンブラック同士が凝集し易く、また、凝集体は、大きな凸凹構造を有する塊となりやすい。このような凝集体がドメイン55に含まれると、構成要素(v)に係るドメイン55が得られ難い。凝集体の形成はドメイン55の形状にまで影響を与え凹凸構造を形成する場合がある。一方、DB
P吸油量が、上記した範囲内にある導電性カーボンブラックは、凝集体を形成し難いため、構成要素(v)に係るドメイン55を作成するうえで有効である。
<ドメインサイズ>
本実施態様に係るドメイン55は、先に挙げた構成要素(iv)および構成要素(v)を満たしているドメイン55の各々に含まれるドメイン55の最大フェレ径(以降、単に「ドメイン径」ともいう)Dmaxの平均Dを0.1μm以上、5.0μm以下とすることが好ましい。
ドメイン径Dmaxの平均値Dを、0.1μm以上とすることで、導電層53において、電荷の移動する経路を効果的に限定することができる。また、ドメイン径Dmaxの平均値Dを5.0μm以下にすることで、ドメイン55の全体積に対する表面積の割合、すなわち、比表面積を指数関数的に大きくすることができ、ドメイン55からの電荷の放出効率を飛躍的に向上させ得る。ドメイン径Dmaxの平均値Dは、上記の理由から、2.0μm以下、更には、1.0μm以下とすることが好ましい。
なお、ドメイン55間での電界集中を軽減する上では、ドメイン55の外形形状をより球体に近づけることが好ましい。そのためには、ドメイン径Dmaxを、前記した範囲内でより小さくすることが好ましい。その方法としては、例えば、工程(iv)において、MRCとCMBとを混練して、MRCとCMBとを相分離させて、MRCのマトリックス54中にCMBのドメイン55を形成されたゴム混合物を調製する工程において、CMBのドメイン径Dmaxを小さくするように制御する方法が挙げられる。CMBのドメイン径Dmaxを小さくすることでCMBの比表面積が増大し、マトリックス54との界面が増加するため、CMBのドメイン55の界面には張力を小さくしようとする張力が作用する。その結果、CMBのドメイン55は、その外形形状が、より球体に近づく。
ここで、非相溶のポリマー2種を溶融混練させたときに形成されるマトリックスドメイン構造におけるドメイン径Dmaxを決定する要素に関して、Taylorの式(式(6))、Wuの経験式(式(7)、(8))、及びTokitaの式(式(9))が知られている。
・Taylorの式
Dmax=[C・σ/ηm・γ]・f(ηm/ηd) (6)
・Wuの経験式
γ・Dmax・ηm/σ=4(ηd/ηm)0.84・ηd/ηm>1 (7)
γ・Dmax・ηm/σ=4(ηd/ηm)−0.84・ηd/ηm<1 (8)
・Tokitaの式
Dmax=12・P・σ・φ/(π・η・γ)・(1+4・P・φ・EDK/(π・η・γ)) (9)
式(6)〜(9)において、Dmaxは、CMBのドメイン55の最大フェレ径、Cは、定数、σは、界面張力、ηmは、マトリックス54の粘度、ηdは、ドメイン55の粘度、γは、せん断速度、ηは、混合系の粘度、Pは、衝突合体確率、φは、ドメイン体積、EDKは、ドメイン切断エネルギーを表す。
上記構成要素(iii)に関連して、ドメイン間距離の均一化を図るためには、上記式(6)〜(9)に従って、ドメインサイズを小さくすることが有効である。さらに、マトリックスドメイン構造が混錬工程において、ドメイン55の原料ゴムが分裂し、徐々にその粒系が小さくなっていく過程において、混錬工程をどこで止めたかによっても支配される。したがって、そのドメイン間距離の均一性は、混錬過程における混錬時間およびその混錬の強度の指数となる混錬回転数によって制御可能であり、混錬時間が長いほど、混錬回転数が大きいほどドメイン間距離の均一性を向上させることができる。
・ドメインサイズの均一性;
ドメインサイズは均一であるほど、つまり、粒度分布が狭い方が好ましい。導電層53内の電荷が通るドメイン55のサイズの分布を均一とすることで、マトリックスドメイン構造内での電荷の集中を抑制し、帯電ローラ2の全面にわたって放電の出やすさを効果的に増大することができる。電荷が輸送される断面、すなわち、図5に示されるような導電層53の厚さ方向の断面において、導電層53の外表面から支持体52方向への深さ0.1T〜0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所における、50μm四方の観察領域を取得した際に、ドメインサイズの標準偏差σdおよびドメインサイズの平均値Dの比σd/D(変動係数σd/D)が0以上0.4以下であることが好ましい。
ドメインサイズの均一性を向上させるためには、前述のドメイン間距離の均一性を向上させる手法と等しく、式(6)〜(9)に従い、ドメインサイズを小さくすればドメインサイズの均一性も向上する。さらに、マトリックスドメイン構造が混錬工程において、ドメイン55の原料ゴムが分裂し、徐々にその粒系が小さくなっていく過程において、混錬工程をどこで止めたかによっても支配される。したがって、そのドメインサイズの均一性は、混錬過程における混錬時間およびその混錬の強度の指数となる混錬回転数によって制御可能であり、混錬時間が長いほど、混錬回転数が大きいほどドメインサイズの均一性を向上させることができる。
・ドメインサイズの均一性の測定方法;
ドメインの均一性の測定は、先に説明したドメイン間距離の均一性の測定と同様の方法で得られる、破断面の直接観察で得られる画像を定量化することによって行なうことができる。
具体的には、先に説明したドメイン55間距離の測定で得られる、ドメイン55とマトリックス54を有する2値化画像に対し、画像処理ソフトImageProPlus(Media Cybernetics社製)内のカウント機能により、ドメイン55サイズ群の標準偏差σdと平均値Dとの比σd/Dを算出すればよい。
円柱状の帯電ローラ2の場合は、支持体52の中心軸を起点とする法線上の、ドメイン間距離のσd/Dを算出することによって、ドメインサイズの均一性の指標を定量化できる。
円柱形状の帯電ローラ2の場合では、導電層の長手方向の中央、及び導電層の両端から中央に向かってL/4の3か所における、図11(b)に示されるような導電層の厚さ方向の断面を取得する。得られた断面の各々について、導電層53の外表面から支持体方向への深さ0.1T〜0.9Tまでの厚み領域の任意の3か所において、50μm四方の観察領域を取得する。当該観察領域を上記の方法によって2値化、定量化することでドメイン間距離のσd/Dを算出し、合計9点の観察領域からの測定値の算術平均をドメインサイズの均一性の指標として定量化すればよい。
<マトリックスドメイン構造の確認方法>
導電層53中のマトリックスドメイン構造の存在は、導電層53から薄片を作製して、薄片に形成した破断面の詳細観察により確認することができる。
薄片化する手段としては、例えば、鋭利なカミソリや、ミクロトーム、FIBなどがあげられる。また、マトリックスドメイン構造のより正確な観察を実施するために、染色処理、蒸着処理など、導電相としてのドメイン55と絶縁相としてのマトリックス54とのコントラストが好適に得られる前処理を観察用の薄片に施してもよい。
破断面の形成、及び必要に応じて前処理を行った薄片に対して、レーザ顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)によって破断面を観察してマトリックスドメイン構造の存在を確認することができる。簡易的、かつ正確に海島構造を確認で
きる手法として、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することが好ましい。
上記のような手法で導電層53の薄片を取得し、当該薄片の表面を1000倍〜10000倍で観察して得られる画像を取得した後、ImageProPlus(Media Cybernetics社製)のような画像処理を使用して、8ビットのグレースケール化を行い、256諧調のモノクロ画像を得る。次いで、破断面内のドメイン55が白くなるように、画像の白黒を反転処理し、2値化をして解析画像を取得する。ドメイン55およびマトリックス54を2値化によって区別する状態に画像処理した当該解析画像によって、マトリックスドメイン構造の有無を判断すればよい。
当該解析画像に、図9のように、複数のドメイン55がマトリックス54中に孤立した状態で存在する構造が含まれている場合に、導電層53中でのマトリックスドメイン構造の存在を確認することができる。ドメイン55の孤立状態は、各ドメイン55が他のドメイン55と連結していない状態で配置され、かつ、マトリックス54は画像内で連通し、ドメイン55がマトリックス54によって分断されている状態であればよい。具体的には、当該解析画像内の50μm四方内を解析領域としたとき、当該解析領域の枠線と接点を持たないドメイン群の総数に対して、上記のように孤立状態で存在するドメイン55の個数が、80個数パーセント以上存在する状態を、海島構造を有する状態とする。
上記のような確認を、導電層53を長手方向に均等に5等分し、周方向に均等に4等分し、それぞれの領域から任意に1点ずつ、合計20点から当該切片を作製して上記測定を行えばよい。
<実施例/比較例>
本実施形態に用いた帯電ローラ2の製造方法について説明する。
(1.導電層形成用未加硫ゴム混合物の製造)
[1−1.ドメイン形成用未加硫ゴム混合物(CMB)の調製]
表1に示す各材料を、表1に示す配合量で、6リットル加圧ニーダー(商品名:TD6−15MDX、トーシン社製)を用いて混合してCMBを得た。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、20分間とした。
(表1)
Figure 2021067741
[1−2.マトリックス形成用ゴム混合物(MRC)の調製]
表2に示す各材料を、表2に示す配合量で、6リットル加圧ニーダー((商品名:TD6−15MDX、トーシン社製)を用いて混合してMRCを得た。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、16分間とした。
(表2)
Figure 2021067741
[1−3.導電層形成用未加硫ゴム混合物の調製]
上記で得たCMB及びMRCを、表3に示す配合量で、6リットル加圧ニーダー(商品名:TD6−15MDX、トーシン社製)を用いて混合した。混合条件は、充填率70vol%、ブレード回転数30rpm、16分間とした。
(表3)
Figure 2021067741
次いで、CMB及びMRCの混合物100質量部に対して、表4に示す加硫剤及び加硫促進剤を、表4に示す配合量加え、ロール径12インチ(0.30m)のオープンロールを用いて混合し、導電層成形用ゴム混合物を調製した。混合条件は、前ロール回転数10rpm、後ロール回転数8rpmで、ロール間隙2mmとして合計20回左右の切り返しを行った後、ロール間隙を0.5mmとして10回薄通しを行った。
(表4)
Figure 2021067741
(2.帯電ローラ2の作製)
[2−1.導電性の外表面を有する支持体の用意]
導電性の外表面を有する支持体52として、ステンレス鋼(SUS)の表面に無電解ニッケルメッキ処理を施した全長252mm、外径6mmの丸棒を用意した。
[2−2.導電層の成形]
支持体52の供給機構、及び未加硫ゴムローラの排出機構を有するクロスヘッド押出機の先端に、内径8.5mmのダイスを取付け、押出機とクロスヘッドの温度を80℃に、支持体の搬送速度を60mm/secに調整した。この条件で、押出機から、導電層形成
用ゴム混合物を供給して、クロスヘッド内にて支持体52の外周部を、該導電層形成用ゴム混合物で被覆し、未加硫ゴムローラを得た。
次に、160℃の熱風加硫炉中に前記未加硫ゴムローラを投入し、60分間加熱することで導電層形成用ゴム混合物を加硫し、支持体52の外周部に導電層53が形成されたローラを得た。その後、導電層53の両端部を各10mm切除して、導電層53部の長手方向の長さを232mmとした。
最後に、導電層53の表面を回転砥石で研磨した。これによって、中央部から両端部側へ各90mmの位置における各直径が7.44mm、中央部直径が7.5mmのクラウン形状である帯電ローラ2を得た。
このように得られた、本実施形態で用いる帯電ローラ2のマトリックスドメイン構造は図9のような構造をしている。
本実施形態の帯電ローラ2の具体例である実施例1〜3として用いた帯電ローラ2は、マトリックスドメイン構造を有する(表5:帯電ローラa、帯電ローラb、帯電ローラc)。
実施例3として用いた帯電ローラ2は、マトリックス54のゴム組成物としてタフデン2100R(SBR)を用い、ドメイン55のゴム組成物として230SL(NBR)を用いた。ドメイン55の体積抵抗率は69.9Ω・cm、平均ドメインサイズ4.4μm、マトリックス54の体積抵抗率5.9×1012Ω・cm、平均ドメイン間距離0.3μm、ドメイン間距離の分布σm/Dmが0.22、ドメイン55形状が円形であった。このマトリックスドメイン構造をもったゴムを上記帯電ローラ2に被覆するように成形させゴムローラを形成した。ゴムローラの抵抗は8.8×10Ωで周波数1.0×10Hz〜1.0×10Hzにおけるインピーダンスの傾きは−0.63であった(表5:帯電ローラc)。
図12に、本実施例における帯電ローラ2において得られた両対数プロットを示す。
また、比較例1として用いた帯電ローラは、実施例とは異なり、マトリックスドメイン構造を持たない、導電層がゴム組成物に導電剤であるカーボンブラックが分散しており、単一の導電パスをもつ構成となっている。ゴム組成物としてNBRを用い、ゴムローラの抵抗は6.22×10Ωで周波数1.0×10Hz〜1.0×10Hzにおけるインピーダンスの傾きは−1.00であった(表5:帯電ローラd)。
比較例2として用いた帯電ローラは、マトリックスドメイン構造を有する帯電ローラではあるが、本実施形態の帯電ローラ2のようなインピーダンス特性を有していない(表5:帯電ローラe)。
その他、実施例1〜3、比較例1〜2として、表5に示すようなインピーダンスの傾きの異なる帯電ローラa〜eと硬度の異なるクリーニングブレード6の組み合わせを準備した。
(表5)
Figure 2021067741
(実験)
実施例1〜3、比較例1〜2の画像流れの発生を確認するため、1%印字率で一日10000枚連続通紙後に一日機内で放置し、放置後画像流れの発生の有無を比較した。画像流れサンプルは、ハーフトーン画像を1枚印字し評価した。評価は以下の通りである。
〇:発生なし
画像全域で潜像なまりによる白抜けや画像境界部の輪郭ボケなし
×:発生
画像の一部もしくは全域で潜像なまりによる白抜けや画像境界部の輪郭ボケ発生
通紙及びサンプルは、32℃/80%RHの環境で行った。全通紙量は50000枚まで行った。また、感光ドラム4の表面移動速度を370mm/s、現像スリーブ7の表面移動速度を350mm/sとし、感光ドラム4の表面電位V=−500V、現像スリーブ7への印加電圧を現像DCバイアス=−350V、現像ACバイアス=1200Vpp、周波数を1500Hzの矩形波とした。
(効果の確認)
実験結果を表6に示す。
(表6)
Figure 2021067741
表6に示すように、実施例1〜3では画像流れは実験を通して良好であった。これに対して、比較例1〜2では、30000枚までは良好なものの、40000枚で画像流れが発生している。以下、比較例1〜2で画像流れが悪化した理由と実施例1〜3で画像流れが良化した理由について、それぞれ説明する。
(比較例1〜2の放電生成物の生成)
まず、比較例1〜2で画像流れが悪化した理由について説明する。
以下、比較例の帯電状態(以下、放電状態ともいう)を説明する。
図13(a)は、比較例の構成の帯電部分における模式的断面図である。この断面図において、感光ドラム104は矢印方向に回転しており、この感光ドラム104に従動して、帯電ローラ102は回転している。また、帯電バイアス(電圧)印加手段により帯電ローラ102の支持体に放電閾値を超えた高電圧が印加された結果、感光ドラム104に対して帯電を行っている。
図13(b)は、比較例における、感光ドラム104の外周面上で生じる帯電による帯電状態を模式図で示したものであり、帯電ローラ102と感光ドラム104の接触ニップを挟んだ円筒状の感光ドラム104の表面(図13(a)の領域B)を平面として展開したものである。この模式図において、感光ドラム104の表面が、感光ドラム104の回転に伴って帯電ローラ102の接触ニップ上流(図13中の破線部)に近づくと感光ドラム104の表面が放電を受け、接触ニップ通過後も放電の影響を受けたままであることを表している。また、放電量が多い部分(過放電となる部分)を、濃い色で塗った丸形状部(●部分)で表し、放電量が少ない部分を、薄い色の部分として表している。また、このような放電量の多い部分には、放電生成物が多く生成し、感光ドラム104の表面に強く付着している。
(比較例1〜2の放電生成物の除去)
図14(b)は、比較例における、感光ドラム104の外周面上のクリーニング状態であり、クリーニングブレード106と感光ドラム104の接触ニップを挟んだ円筒状の感光ドラム104の表面(図14(a)の領域C)を平面として展開した模式図である。ここで放電量の多い部分は、放電生成物が強く付着した部分(濃い色で塗った丸形状部(●部分))として表現され、放電量の少ない部分は、放電生成物が弱く付着した部分(薄い色の部分)として表現されている。
この模式図において、感光ドラム104の表面が、感光ドラム104の回転に伴ってクリーニングブレード106の接触ニップ(図14中の破線部)を通過すると放電量が少ない部分(薄い色の部分)の放電生成物は除去される。しかしながら、放電量が多い部分(濃い色で塗った丸形状部(●部分))においては、放電生成物が感光ドラム104の表面に強く付着していることから、高硬度のクリーニングブレード106による機械的な接触によって除去し難くなる。このため、感光ドラム104の表面上の放電生成物を完全に除去することはできず、放電生成物が感光ドラム104の表面に残留してしまう。この感光ドラム104の表面上に残留した放電生成物が、高湿環境において水分を吸着し、画像流れを悪化させる。
以上の理由から、比較例1は帯電ローラ102による放電が微細放電となっていないため、クリーニングブレード106の機械的な接触によって放電生成物を除去し難くなり、画像流れを悪化させている。また、比較例2は、帯電ローラ102による放電が微細放電となっておらず、かつ、比較例1よりもクリーニングブレード106の硬度が92度と高いため、クリーニングブレード106自体の粘弾性が低下し、クリーニングブレード106と感光ドラム104間の摩擦係数が低下している。このため、感光ドラム104の表面に付着した放電生成物を機械的な接触によって除去し難くなり、画像流れを悪化させる。
(実施例1〜3の放電生成物の生成)
次に、実施例1〜3で画像流れが良化した理由について説明する。
実施例1〜3では、帯電ローラ2の放電を微細放電とすることにより、感光ドラム4の外周面から放電生成物を除去しやすくし、画像流れを抑制する。感光ドラム4の外周面に
付着した放電生成物を除去しやすくするためには、放電をできるだけ細かく継続させる必要がある。ここで放電を細かく継続させるために帯電ローラ2のインピーダンス特性を用いている。
図15(b)は、感光ドラム4の表面上に形成された実施例1〜3の帯電状態を模式図で示したものであり、帯電ローラ2と感光ドラム4の接触ニップを挟んだ円筒状の感光ドラム4の表面(図15(a)の領域B)を平面として展開したものである。図15(b)では、一つ一つの放電が小さく均一(微細放電)であるため、放電量が多い部分(濃い●部分)がなく、全体を放電量が少ない部分(薄い色の部分)として表している。この放電を細かく継続させるために帯電ローラ2のインピーダンス特性を用いている。また、このような放電量の少ない部分は、放電生成物の生成が少なく、感光ドラム4の表面に対する放電生成物の付着力も弱いことが考えられる。
(実施例1〜3の放電生成物の除去)
図16(b)は、本発明の実施例における、感光ドラム4の外周面上のクリーニング状態であり、クリーニングブレード6と感光ドラム4の接触ニップを挟んだ円筒状の感光ドラム4の表面(図16(a)の領域C)を平面として展開した模式図である。ここで放電量の少ない部分は放電生成物が弱く付着した部分(薄い色の部分)として表現されている。
この模式図において、感光ドラム4の表面が、感光ドラム4の回転に伴ってクリーニングブレード6の接触ニップ(図16中の破線部)を通過すると感光ドラム4の表面上に存在する放電生成物は除去される。これは、感光ドラム4の表面上の放電の一つ一つが均一で小さい(微細放電である)ため、感光ドラム4の表面上の一回の放電に対する放電生成物の生成量が少なく、感光ドラム4の表面に対する放電生成物の付着力も弱いことから、高硬度のクリーニングブレード6による機械的な接触によって除去可能である。このため、クリーニングブレード6との接触ニップを通過した後の感光ドラム4の表面上には、放電生成物の残留は見られず、高湿環境に放置しても、画像流れは悪化しない。
以上の理由から、実施例1〜3は、帯電ローラ2による放電が微細放電であることから、感光ドラム4の表面に対する放電生成物の付着力も弱くなる。このことから、放電生成物をクリーニングブレード6による機械的な接触によって除去可能となり、画像流れが悪化しない。
また、実施例1〜2は実施例3よりもクリーニングブレード6の硬度が下がっているため、クリーニングブレード6と感光ドラム4間の摩擦係数が上昇している。このため、感光ドラム4の表面に付着した放電生成物を機械的な接触によってより除去しやすくなり、実施例1〜2は実施例3よりも画像流れが悪化し難い。
しかし、繰り返しの使用によって、クリーニングブレード6と感光ドラム4間の摩擦係数が上昇する構成の場合、クリーニングブレード6や感光ドラム4の破壊につながる可能性があり、耐久寿命が短くなる場合がある。さらに高温環境下においてはクリーニングブレードの温度特性によりブレード硬度が柔軟化し、クリーニングブレードめくれといった重大な問題が発生する場合があるため、クリーニングブレード6の硬度は上記記載の範囲に適宜設定されるべきである。
本発明の実施形態1の構成においては、帯電ローラ2の放電を一つ一つの放電が小さく均一(微細放電)にすることで、クリーニングブレード6の硬度を高めた構成であっても画像流れを長期にわたって抑制することが可能となった。
[実施形態2]
本発明の実施形態2について説明する。実施形態2において、実施形態1と共通する構成については、同じ符号を付し、再度の詳細な説明は省略する。実施形態2において、ここで特に説明しない事項については、実施形態1と同様である。
実施形態2における感光ドラム4は、円筒状で導電性を有する金属支持体と、支持体の下引き層としての導電層と、下引き層上に形成される感光層(電荷発生層、電荷輸送層)と、感光層上に形成される保護層からなっている。
(保護層)
実施形態2における感光ドラムは、耐摩耗性改善のため、最表層に耐摩耗性の保護層を設けている。保護層を設けることで、耐久性を向上することができる。
保護層は、導電性粒子及び/又は電荷輸送物質と、樹脂とを含有することが好ましい。導電性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物の粒子が挙げられ、電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。また、樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
また、保護層は、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として形成してもよい。その際の反応としては、熱重合反応、光重合反応、放射線重合反応などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーとして、電荷輸送能を有する材料を用いてもよい。保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤、などの添加剤を含有してもよい。
保護層は、上述の各材料及び溶剤を含有する保護層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。
保護層の平均膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることが好ましい。実施形態2では、保護層の平均膜厚を3μmとした。
その他、実施例4〜6、比較例3〜4として、表7に示すような実施例1と同様のインピーダンスの傾きの異なる帯電ローラa〜eと硬度の異なるクリーニングブレード6の組み合わせを準備した。
(表7)
Figure 2021067741
(実験)
実施例4〜6、比較例3〜4の画像流れの発生を確認するため、1%印字率で一日10000枚連続通紙後に一日機内で放置し、放置後画像流れの発生の有無を比較した。画像流れサンプルは、ハーフトーン画像を1枚印字し評価した。評価は以下の通りである。
〇:発生なし
画像全域で潜像なまりによる白抜けや画像境界部の輪郭ボケなし
×:発生
画像の一部もしくは全域で潜像なまりによる白抜けや画像境界部の輪郭ボケ発生
通紙及びサンプルは、32℃/80%RHの環境で行った。全通紙量は50000枚まで行った。また、感光ドラムの表面移動速度を370mm/s、現像スリーブ7の移動表面速度を350mm/sとし、感光ドラムの表面電位VD=−500V、現像スリーブ7への印加電圧を現像DCバイアス=−350V、現像ACバイアス=1200Vpp、周波数1500Hzの矩形波とした。
(効果の確認)
実験結果を表8に示す。
(表8)
Figure 2021067741
表8に示すように、実施例4〜6では画像流れは実験を通して良好であった。これに対して、比較例3〜4では、20000枚までは良好なものの、30000枚で画像流れが発生している。ここで比較例3〜4で画像流れが悪化した理由と実施例4〜6で画像流れが良化した理由については、実施形態1で説明したものと同様であるため、省略する。
但し、実施形態1における比較例1〜2よりも、実施形態2における比較例3〜4の方が、画像流れのレベルが悪化している。このことに関しては、感光ドラムの最表層に耐摩耗性の保護層を設けたため、実施形態1で示した場合よりも感光ドラムがリフレッシュし難くなり、放電生成物をさらに除去し難い状況になったためと考えられる。
本実施形態2の構成においては、帯電ローラ2の放電を一つ一つの放電が小さく均一(微細放電)にすることで、クリーニングブレード6の硬度を高め、かつ、最表層に保護層を設けた構成であっても画像流れを長期にわたって抑制することが可能となった。
2…帯電ローラ、4…感光ドラム、6…クリーニングブレード、52…支持体、53…導電層、54…マトリックス、55…ドメイン、100…画像形成装置、G…トナー、K…記録材

Claims (30)

  1. 画像形成装置の装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
    像担持体と、
    前記像担持体に接触して前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニング部材と、
    前記像担持体に接触する導電性部材であって、所定の電圧が印加されることで前記像担持体の表面との間で放電を生じさせる導電性部材と、
    を備えるプロセスカートリッジにおいて、
    前記クリーニング部材は、硬度が65度以上、85度以下であり、
    前記導電性部材は、
    振幅が1Vの交流電圧を周波数を変化させながら前記導電性部材に印加することによって測定したインピーダンス特性を、周波数を横軸、インピーダンスを縦軸として両対数プロットしたときの、1.0×10Hz〜1.0×10Hzの周波数における傾きが、−0.8以上、−0.3以下である
    ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
  2. 前記導電性部材は、
    前記インピーダンス特性を前記両対数プロットしたときの、周波数が1.0×10−2Hz〜1.0×10Hzにおけるインピーダンスが、1.0×10Ω〜1.0×10Ωであることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
  3. 前記導電性部材は、導電性の支持体と、前記支持体の外表面上に設けられた導電層と、を有し、
    前記インピーダンス特性は、前記導電層の外表面に金属膜を設け、温度23℃湿度50%RHの環境下で、前記支持体の外表面と、前記金属膜と、の間に、振幅が1Vの交流電圧を、周波数1.0×10−2Hz〜1.0×10Hzの間で変化させながら印加することによって測定されることを特徴とする請求項1または2に記載のプロセスカートリッジ。
  4. 前記導電性部材は、前記像担持体に静電潜像が形成される前に前記像担持体の表面を帯電させる帯電部材であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
  5. 前記導電性部材は、導電性の支持体と、前記支持体の外表面上に設けられた導電層と、を有し、
    前記導電層は、海相を形成するマトリックス中に島相を形成する複数のドメインが散在した海島構造を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
  6. 前記海島構造において、前記マトリックスは、絶縁相を形成し、前記ドメインは導電相を形成することを特徴とする請求項5に記載のプロセスカートリッジ。
  7. 前記マトリックスの体積抵抗率が、1.0×1012Ω・cmより大きく、1.0×1017Ω・cm以下であることを特徴とする請求項5または6に記載のプロセスカートリッジ。
  8. 前記ドメインの体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上、1.0×10Ω・cm以下であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
  9. 前記複数のドメインのドメイン間距離の算術平均値Dmが、0.2μm以上、2.0μm以下であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
  10. 前記ドメインには、導電性粒子が充填されていることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
  11. 前記導電性部材は、前記支持体が円柱状の支持体であり、該円柱状の支持体の外周面に前記導電層を有することを特徴とする請求項5乃至10のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
  12. 前記導電性部材は、前記像担持体に接触するように設けられるとともに、回転する前記像担持体に追従して回転するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
  13. 前記像担持体は、最表層に耐摩耗性の保護層を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
  14. 前記保護層は、アクリル樹脂から構成されることを特徴とする請求項13に記載のプロセスカートリッジ。
  15. 装置本体と、
    前記装置本体に着脱可能な、請求項1乃至14のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジと、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  16. 記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
    前記記録材に転写される現像剤像を担持するための像担持体と、
    前記像担持体に接触して前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニング部材と、
    前記像担持体に接触する導電性部材であって、所定の電圧が印加されることで前記像担持体の表面との間で放電を生じさせる導電性部材と、
    を備える画像形成装置において、
    前記クリーニング部材は、硬度が65度以上、85度以下であり、
    前記導電性部材は、
    振幅が1Vの交流電圧を周波数を変化させながら前記導電性部材に印加することによって測定したインピーダンス特性を、周波数を横軸、インピーダンスを縦軸として両対数プロットしたときの、1.0×10Hz〜1.0×10Hzの周波数における傾きが、−0.8以上、−0.3以下である
    ことを特徴とする画像形成装置。
  17. 前記導電性部材は、
    前記インピーダンス特性を前記両対数プロットしたときの、周波数が1.0×10−2Hz〜1.0×10Hzにおけるインピーダンスが、1.0×10Ω〜1.0×10Ωであることを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
  18. 前記導電性部材は、導電性の支持体と、前記支持体の外表面上に設けられた導電層と、を有し、
    前記インピーダンス特性は、前記導電層の外表面に金属膜を設け、温度23℃湿度50%RHの環境下で、前記支持体の外表面と、前記金属膜と、の間に、振幅が1Vの交流電圧を、周波数1.0×10−2Hz〜1.0×10Hzの間で変化させながら印加する
    ことによって測定されることを特徴とする請求項16または17に記載の画像形成装置。
  19. 前記導電性部材は、前記像担持体に静電潜像が形成される前に前記像担持体の表面を帯電させる帯電部材であることを特徴とする請求項16乃至18のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  20. 前記導電性部材は、前記像担持体に接触するように設けられるとともに、回転する前記像担持体に追従して回転するように構成されていることを特徴とする請求項16乃至19のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  21. 前記導電性部材は、前記像担持体に担持された前記現像剤像を前記記録材に転写するための転写部材であることを特徴とする請求項16乃至18のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  22. 前記導電性部材は、導電性の支持体と、前記支持体の外表面上に設けられた導電層と、を有し、
    前記導電層は、海相を形成するマトリックス中に島相を形成する複数のドメインが散在した海島構造を有することを特徴とする請求項16乃至21のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  23. 前記海島構造において、前記マトリックスは、絶縁相を形成し、前記ドメインは導電相を形成することを特徴とする請求項22に記載の画像形成装置。
  24. 前記マトリックスの体積抵抗率が、1.0×1012Ω・cmより大きく、1.0×1017Ω・cm以下であることを特徴とする請求項22または23に記載の画像形成装置。
  25. 前記ドメインの体積抵抗率が、1.0×10Ω・cm以上、1.0×10Ω・cm以下であることを特徴とする請求項22乃至24のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  26. 前記複数のドメインのドメイン間距離の算術平均値Dmが、0.2μm以上、2.0μm以下であることを特徴とする請求項22乃至25のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  27. 前記ドメインには、導電性粒子が充填されていることを特徴とする請求項22乃至26のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  28. 前記導電性部材は、前記支持体が円柱状の支持体であり、該円柱状の支持体の外周面に前記導電層を有することを特徴とする請求項22乃至27のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  29. 前記像担持体は、最表層に耐摩耗性の保護層を有することを特徴とする請求項16乃至28のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  30. 前記保護層は、アクリル樹脂から構成されることを特徴とする請求項29に記載の画像形成装置。
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