JP2021066432A - 飛行体及び標識表示方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】消費電力を抑えつつ、視認性の高い標識を表示可能な飛行体を提供すること。【解決手段】飛行体1は、飛行するための空気流を発生させる空気流発生装置19と、空気が注入される注入口41を有する膨張部材40と、を備え、空気流発生装置19は、飛行時と異なる方向の空気流を発生させることにより、注入口41から空気を注入し、膨張部材40を膨張させる。【選択図】図2
Description
本発明は、飛行体及び標識表示方法に関する。
従来、飛行体を利用して標識を表示する技術が知られている。この種の技術が記載されているものとして例えば特許文献1がある。特許文献1には、歩行者や車両の交通管制を行うために、ディスプレイに警告のメッセージを表示し、プロジェクタにより道路上に横断歩道や停止標識等を表示する無人航空機について記載されている。
ところで、土砂崩れや冠水等の災害が発生した場合、二次災害の発生を防止するために危険が想定される区間への通行を禁止する交通規制を迅速に行うことが必要となる。迅速に足場の悪い場所へも到達できるという点から、特許文献1のように、ディスプレイに警告のメッセージを表示したり、プロジェクタにより道路上に横断歩道や停止標識等を表示したりしてする飛行体を災害時の交通規制に用いることが考えられる。しかし、ディスプレイやプロジェクタの表示機能は、消費電力が大きく、飛行体の稼動時間の確保の点からも改善の余地があった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、消費電力を抑えつつ、視認性の高い標識を表示可能な飛行体を提供することを目的とする。
本発明の一態様の飛行体は、飛行するための空気流を発生させる空気流発生装置と、注入口を有する膨張部材と、を備え、前記空気流発生装置は、飛行時と異なる方向の空気流を発生させることにより、前記注入口から空気を注入し、前記膨張部材を膨張させることができる。
本発明によれば、消費電力を抑えつつ、視認性の高い標識を表示可能な飛行体を提供できる。
以下、本発明の限定的ではない例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明をする。
本実施形態に係る飛行体は、無人で飛行可能なドローンである。なお、「無人で飛行可能」とは、飛行体に人が搭乗しない状態で飛行できることを意味し、自律飛行可能である場合だけでなく、人によって飛行体が遠隔操縦される場合も含む。
本発明の第1実施形態に係る飛行体1について説明する。図1は膨張部材40が収縮した状態の飛行体1の正面図、図2は膨張部材40が膨張した状態の飛行体1の正面図である。
図1及び図2に示すように、飛行体1は、本体部11と、本体部11から延出するアーム部12と、飛行体1を飛行させるための空気流を発生させる空気流発生装置19と、標識を表示可能な膨張部材40と、膨張部材40を支持する膨張支持部材50と、注入口41を開く開駆動装置60と、空気流発生装置19の向きを変更する角度変更装置30と、を備える。
本体部11は、平面視において飛行体1の中心に位置する。本体部11の下側には、着陸平面に接地する脚部13が配置される。また、本体部11は、後述する飛行体1の各種の制御を行う制御装置100やカメラ102等を備える。
アーム部12は、その一側の端部が本体部11に接続され、他側の端部(以下、先端部)に空気流発生装置19が配置される支持部である。本実施形態では、6本(複数)のアーム部12のそれぞれが、平面視において本体部11から放射状(径方向)に延びている。また、アーム部12は略水平方向に延びている。6本のアーム部12の間隔は、平面視における周方向で等間隔となっている。
空気流発生装置19は、飛行体1が飛行するための空気流を発生させる装置である。空気流発生装置19は、回転翼20と、回転翼駆動部21と、を備える。回転翼駆動部21は、アーム部12の先端部側に配置され、内蔵する正逆回転可能なモータによって回転翼20を回転させる。回転翼20の回転によって所定の方向に流れる空気流が発生する。
膨張部材40は、災害時の交通規制等のために警告の文字や図形等からなるメッセージ等の標識を表示するためのものである。膨張部材40は、平面視においてアーム部12の先端部よりも更に径方向外側であり、かつ、回転翼20が回転しても接触しない位置に配置される。なお、ここでいう「径方向外側」とは、平面視において、飛行体1の本体部11の重心又は中心を起点としたときに本体部11から離れた側である。本実施形態の飛行体1には、全部で2個の膨張部材40が配置され、2個の膨張部材40は本体部11を挟んで互いに対向配置される。本体部11を挟んで一側に配置される膨張部材40は、6本のアーム部12のうちの1本のアーム部12の先端部に対向する位置関係となる。同様に、本体部11を挟んで他側に配置される膨張部材40も、6本のアーム部12のうち、前述のアーム部12とは相反する方向に延びる1本のアーム部12の先端部に対向する位置関係となる。
次に、膨張部材40の構成について説明する。図3は飛行体1の空気流発生装置19及び収縮状態の膨張部材40の周辺の拡大斜視図、図4は空気流発生装置19及び膨張状態の膨張部材40の周辺の拡大斜視図、図5は空気流発生装置19及び収縮状態の膨張部材40の周辺の拡大平面図、図6は空気流発生装置19及び膨張状態の膨張部材40の周辺の拡大平面図である。
本実施形態の膨張部材40は、本体部11側に蛇腹状に折り畳まれた収縮状態(図1に示す状態)と、上下方向及び径方向外側に膨張した膨張状態(図2に示す状態)とに変形可能な布状の部材によって構成される。飛行時には、膨張部材40は、膨張部材40に起因する空気抵抗の発生を抑えるために収縮状態で保持される。後述するように、交通規制が必要な危険エリアに飛行体1が着陸した後、膨張部材40は交通規制の標識を表示するために収縮状態から膨張状態に遷移する。膨張部材40には、膨張状態でメッセージを伝達する文字、図形、色又はこれらの組合せが表示されている。例えば、「通行止め」等の文字が記載される。
膨張部材40は、一端に空気が注入される注入口41を有し、他端(以下、先端部)が閉塞される袋状に構成される。膨張部材40は、注入口41が本体部11側に位置し、先端部が注入口41よりも径方向外側に位置する。図4に示すように、膨張部材40は、膨張状態では、上下方向及び径方向外側に延び、先端部が閉塞した略円筒状に形成される。
注入口41は、膨張状態では、略円形状であり、平面視においてアーム部12の先端部に対向する位置に形成される。収縮状態では、注入口41の縁が直線状に閉じた状態になる。
図7A、図7Bを参照しながら、注入口41の構成について説明する。図7Aは閉じた状態の注入口41を本体部11側から見た図であり、図7Bは開いた状態の注入口41を本体部11側から見た図である。
注入口41の縁には、注入口41の中心を挟んで互いに対向する位置に一対の蝶番部42,43が取り付けられ、一対の蝶番部42,43の間に一対のワイヤ44,45が掛け渡される。
図7A、7Bに示すように、蝶番部42は、一対の蝶番片42a,42bと、その連結部に配置された付勢部材としてのねじりコイルばね42cと、を含んで構成される。蝶番部42は、ねじりコイルばね42cの軸が膨張状態における膨張部材40の長手方向に平行に配置される。ねじりコイルばね42cは、注入口41が開いた状態となるように一対の蝶番片42a,42bを付勢する。
図7A、7Bに示すように、蝶番部43は、一対の蝶番片43a,43bと、その連結部に配置された付勢部材としてのねじりコイルばね43cと、を含んで構成される。蝶番部43は、ねじりコイルばね43cの軸が膨張状態における膨張部材40の長手方向に平行に配置される。ねじりコイルばね43cは、注入口41が開いた状態となるように一対の蝶番片43a,43bを付勢する。
一対のワイヤ44,45は、注入口41の縁に沿って取り付けられる。具体的には、ワイヤ44は、一端が蝶番片42aに取り付けられ、他端が蝶番片43aに取り付けられる。ワイヤ45は、一端が蝶番片42bに取り付けられ、他端が蝶番片43bに取り付けられる。図7Aに示すように、注入口41が閉じた状態では、蝶番部42の蝶番片42a,42bと蝶番部43の蝶番片43a,43bが閉じてワイヤ44,45が互いに近接し、平行に延びている。図7Bに示すように、注入口41が開いた状態では、蝶番部42,43が開き、ワイヤ44が上方に湾曲し、ワイヤ45が下方に湾曲するとともに、蝶番部42,43の間の間隔が短くなる。
次に、膨張部材40を支持する膨張支持部材50について説明する。膨張支持部材50は、平面視においてアーム部12よりも径方向外側で膨張部材40を支持するための一対の棒状部材である。本実施形態では、飛行体1に2個の膨張部材40が配置されるため、全部で4本の膨張支持部材50が配置される。
膨張支持部材50は、平面視において本体部11から径方向に延びている。膨張支持部材50は、その長さがアーム部12よりも長く形成される。膨張支持部材50は、一端(以下、基端部)が本体部11に内蔵された開駆動装置60に接続され、他端(以下、先端部)が膨張部材40の蝶番部42,43に接続される。
本実施形態では、膨張支持部材50は、平面視においてその先端部が膨張部材40に対向するアーム部12の周方向両側に配置される。即ち、平面視において、各膨張支持部材50は、周方向で隣り合うアーム部12の間に位置することになる。
次に、開駆動装置60について説明する。開駆動装置60は、膨張支持部材50を移動させることにより、収縮状態の膨張部材40の注入口41を開く装置である。開駆動装置60は、先端部が膨張部材40と対向するアーム部12に対する一対の膨張支持部材50の角度を変更するモータを備える。本実施形態では、開駆動装置60は、本体部11内部の2箇所に配置され、それぞれ一対の膨張支持部材50の基端部と接続される。
図5及び図6に示すように、開駆動装置60は、一対の膨張支持部材50の先端部を互いに近づける動作を行う。これによって一対の蝶番部42,43が互いに近づけるように力を加える。換言すれば、開駆動装置60は、平面視において一対の膨張支持部材50のなす角度が小さくなるように、一対の膨張支持部材50のそれぞれを駆動する。これによって、ワイヤ44,45がそれぞれ上方及び下方に湾曲して、注入口41が開放される。
本実施形態では、ねじりコイルばね42cの付勢力により、蝶番片42a,42bが互いに離れる方向に付勢されているとともに、ねじりコイルばね43cによって蝶番片43a,43bが互いに離れる方向に付勢されているので、ワイヤ44,45が一側に偏る事態を確実に防止することができる。
次に、膨張部材40を径方向で収縮するための構成について説明する。図3に示すように、膨張部材40には、収縮状態を維持するための部材である線状部材46と係合部材47とが取り付けられる。線状部材46は、一端が膨張部材40の内側の径方向外側の端部に固定される。そして、線状部材46の膨張部材40に接続される側と反対側の端部には円盤状の係合部材47が固定される。この線状部材46の長さは、膨張部材40の閉塞側の端部から注入口41までの長さよりも短く構成される。
図3に示すように、収縮状態において、膨張部材40の外側で注入口41のワイヤ44,45の隙間に係合部材47を係合させることにより、膨張部材40の先端部が注入口41側に引き寄せられた状態で保持される。即ち、膨張部材40の径方向外側の長さは、線状部材46の長さと略等しくなる。これにより、収縮状態での膨張部材40の径方向外側への拡がりを抑制でき、飛行時における空気抵抗の増加を防止できる。
図4に示すように、注入口41を開くと、ワイヤ44,45が互いに上下方向に離れるので、係合部材47がワイヤ44,45の隙間から外れて膨張部材40を径方向で注入口41側に引っ張る力が解除される。なお、係合が外れた係合部材47は膨張部材40の内側にそのまま残った状態となる。
次に、角度変更装置30について説明する。角度変更装置30は、回転翼20の回転軸Aの角度を変更することにより、空気流発生装置19から発生する空気流の方向を変更する装置である。本実施形態では、6個の空気流発生装置19のうち平面視において膨張部材40と対向する位置に配置された2個の空気流発生装置19に接続される。即ち、飛行体1には、全部で2個の角度変更装置30が配置される。
本実施形態の角度変更装置30は、関節機構31と、角度変更用モータ32と、を含む。
関節機構31は、アーム部12の先端部に配置される。空気流発生装置19は、関節機構31を介してアーム部12に対して角度変更可能に支持される。本実施形態の関節機構31は、回転翼駆動部21ごと回転翼20を保持し、可動軸Bを回転中心として回転翼駆動部21を回転させることにより、回転翼20の角度を変更可能に構成される。可動軸Bは、平面視においてアーム部12の延出方向に直交する方向に延びる軸である。
角度変更用モータ32は、アーム部12の先端部に内蔵される。角度変更用モータ32が駆動されることにより、可動軸Bを支点として関節機構31が回転し、回転翼20の回転軸Aの角度が変更される。
飛行体1を飛行させる場合や膨張部材40を膨張させずに飛行体1を待機させる場合等は、アーム部12に対する回転翼20の回転軸Aが、アーム部12の延出方向に対して直交する方向であって上下方向に沿う状態で保持される。これに対して膨張部材40を膨張させる場合は、アーム部12の延出方向と略平行になるように回転軸Aを径方向外側に倒すように角度変更用モータ32を駆動する。即ち、膨張部材40を膨張させる場合は、回転翼20の回転軸Aの向きが、鉛直方向から水平方向に変更される。回転翼20の回転軸Aが水平方向に沿う状態では、回転翼20の回転軸Aが膨張部材40の注入口41に対向する状態となる。
次に、回転翼20の回転方向及び回転軸Aの向きに対する空気流発生装置19から発生する空気流の方向について説明する。図3及び図5に示すように、回転翼20の回転軸Aが鉛直方向に沿う状態では、回転翼駆動部21のモータが正回転すると、回転翼20から下方に向かって流れる空気流が発生する。
ここで、図4及び図6に示すように、角度変更装置30により、回転翼20の回転軸Aを水平方向に傾けた状態における回転翼駆動部21のモータの回転方向と空気流の発生方向との関係について説明する。回転翼駆動部21のモータを正回転させた場合、回転翼20から本体部11側に向かって流れる空気流が発生する。一方、回転翼駆動部21のモータが逆回転すると、図4及び図6の矢印Fに示すように、回転翼20から径方向外側に向かって空気流が発生する。
本実施形態では、開駆動装置60により収縮状態の膨張部材40の注入口41を開いた後に、角度変更装置30により回転翼20の回転軸Aを水平方向に傾けて回転翼駆動部21のモータを逆回転させることで、回転翼20から径方向外側に向かって流れる空気流を発生させる。これによって膨張部材40の内側に空気が流れ込み、膨張部材40が径方向外側に向かって膨張して膨張状態となる。これにより、標識が描かれた膨張部材40を収縮した状態で運び、飛行のために使用する空気流発生装置19の空気流を利用して膨張部材40を大きく拡げることができる。よって、消費電力を抑えつつ、視認性の高い標識を表示できる。
次に、制御装置100について説明する。図8は、飛行体1の制御装置100に関する電気的な構成を示すブロック図である。
制御装置100は、例えばCPU、メモリ等を有し、制御プログラムを実行するコンピュータであり、飛行体1の飛行等の各種の制御処理を実行する。制御装置100には、バッテリ101等の電源装置、カメラ102等の検出部、操作用コントローラやGPS等の外部装置と信号の送受信を行う通信装置103、ジャイロセンサ104、加速度センサ105、高度センサ106等の各種電子機器が電気的に接続される。
図8に示すように、制御装置100は、飛行体1の飛行を制御する飛行制御部110と、開制御部120と、空気流制御部130と、を備える。飛行制御部110は、制御装置100に記憶されるプログラムの一部によって構成される。
飛行制御部110は、カメラ102、通信装置103、ジャイロセンサ104、加速度センサ105、高度センサ106等からの各種情報に基づいて、飛行体1の飛行を制御する。飛行制御部110は、回転翼駆動部21の駆動を制御することにより、回転翼20の回転数等を調整する。
開制御部120は、回転翼駆動部21、飛行制御部110等からの飛行体1が標識を表示すべき位置に着陸したことを示す情報に基づいて、膨張支持部材50の角度を変更する開駆動装置60を駆動して、膨張部材40の注入口41を開放する。
空気流制御部130は、開駆動装置60、開制御部120等からの注入口41が開放されたことを示す情報に基づいて、角度変更用モータ32を駆動して、回転翼20の回転軸Aの角度を変更する。そして、回転翼駆動部21のモータの回転方向を変更することにより、回転翼20の回転方向を逆回転させる空気流を発生させる。
次に、図9を参照しながら、飛行体1を用いた標識表示方法について説明する。図9は、飛行体1を用いた標識表示方法を示すフローチャートである。本実施形態では、地震や暴雨等の災害時における飛行体1による交通規制のための標識表示方法を一例として説明する。
まず、制御装置100がカメラ102や通信装置103等から冠水や土砂崩れ等が発生する可能性の高い危険エリアの座標を取得する(S1)。
飛行制御部110は、取得された座標情報に基づき、回転翼駆動部21のモータの回転を制御して危険エリアまで飛行する(S2)。飛行時の飛行体1の膨張部材40は収縮した状態であるため、飛行時に受ける空気抵抗が抑制される。
危険エリアに到着すると、飛行制御部110は、カメラ102等の情報に基づき平らで安定した着陸地点を探索し、回転翼駆動部21のモータの回転を制御しながら探し出した着陸地点に着陸する(S3)。
飛行体1が着陸すると、開制御部120が開駆動装置60を駆動して、膨張部材40を支持する一対の膨張支持部材50の先端部を互いに接近させる(S4)。具体的には、開駆動装置60の駆動により、一対の膨張支持部材50のそれぞれと膨張部材40との接続部分同士が接近する。即ち、開駆動装置60は、一対の膨張支持部材50のそれぞれと膨張部材40との各接続部分間の距離を短くするように一対の膨張支持部材50を移動させる。これにより、ワイヤ44,45が湾曲して上下方向に離れて、注入口41が開放される。また、ワイヤ44,45が互いに上下方向に離れると、ワイヤ44,45の隙間から係合部材47が外れて膨張部材40を径方向で注入口41側に引っ張る力が解除される。
注入口41が開放されると、空気流制御部130が角度変更用モータ32を駆動して、回転翼20の回転軸Aを鉛直方向から水平方向に傾ける(S5)。
回転軸Aが水平方向に傾けられた状態で、空気流制御部130が回転翼駆動部21のモータを逆回転させて、回転翼20から膨張部材40の注入口41に向かって空気流が発生させる。この空気流により、膨張部材40の注入口41へ空気が送り込まれる(S6)。
注入口41に空気が流入することにより、蛇腹状に折り畳まれた膨張部材40が径方向外側へ膨張する。膨張部材40の膨張状態は交通規制が必要な所定の時間維持される(S7)。
本実施形態によれば、膨張部材40の注入口41が閉じられた状態で飛行し、飛行体1が着陸した状態で、注入口41を開き、空気流発生装置19の空気流により膨張部材40を膨張できる。これにより、飛行時は膨張部材40による飛行の妨げとなる空気抵抗の発生を低減でき、着陸後に飛行のために用いる空気流発生装置19の空気流を利用して標識が描かれた膨張部材40を大きく拡げることができる。また、空中で標識の表示を維持する必要がなく、飛行体1を空中で安定した状態に維持するために必要な電力の消費を避けることができる。よって、迅速に危険エリアに対する交通規制を行えるとともに、消費電力を抑えつつ、視認性の高い標識を表示できる。
次に、本発明の第2実施形態に係る飛行体1Aについて、図10を参照しながら説明する。なお、上記実施形態と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
図10は、飛行体1Aの膨張部材40Aが膨張している状態を示す正面図である。図10に示すように、飛行体1Aは、本体部11と、本体部11から延出するアーム部12と、飛行体1Aを飛行させるための空気流を発生させる空気流発生装置19と、標識を表示可能な膨張部材40Aと、膨張部材40Aを支持する膨張支持部材50Aと、注入口41を開く開駆動装置60と、を備える。
図10に示すように、膨張部材40Aは、空気流発生装置19の上方に配置される。本実施形態の飛行体1Aには、全部で2個の膨張部材40Aが配置され、2個の膨張部材40は平面視において本体部11を挟んで互いに対向配置される。本体部11を挟んで一側に配置される膨張部材40は、6個の空気流発生装置19の回転翼20のうち1個の回転翼20の回転軸Aに対向する位置関係となる。同様に、本体部11を挟んで他側に配置される膨張部材40も、6個の空気流発生装置19の回転翼20のうち前述の回転翼20とは本体部11を挟んで対応配置される回転翼20の回転軸Aに対向する位置関係となる。
本実施形態の膨張部材40Aは、上下方向に蛇腹状に折り畳まれた収縮状態と、上下方向及び径方向に膨張した膨張状態とに変形可能な布状の部材によって構成される。第1実施形態の膨張部材40と同様に、膨張部材40Aは、飛行時には、空気抵抗の発生を抑えるために収縮状態で保持され、交通規制が必要な危険エリアに飛行体1Aが着陸した後、交通規制の標識を表示するために収縮状態から膨張状態に遷移する。
本実施形態の膨張部材40Aは、両端が開放され、下側の端部に空気が注入される注入口41Aを有する筒状に構成される。第1実施形態の膨張部材40は、膨張状態で径方向外側に延び、先端部が閉塞されていたが、本実施形態の膨張部材40Aは、膨張状態で、上方に延び、両端が開放する円筒状に形成される。
注入口41Aは、膨張状態では、略円形状であり、回転翼20の回転軸Aと対向する位置に配置される。収縮状態では、注入口41Aの縁が直線状に閉じた状態になる。また、注入口41Aの縁には、第1実施形態の注入口41と同様に注入口41Aの中心を挟んで互いに対向する位置に一対の蝶番部42,43が取り付けられ、一対の蝶番部42,43の間に一対のワイヤ44,45が掛け渡される。
膨張支持部材50Aは、膨張部材40Aを空気流発生装置19の上方に支持するための一対の棒状部材である。本実施形態では、飛行体1Aに2個の膨張部材40Aが配置されるため、全部で4本の膨張支持部材50が配置される。
膨張支持部材50Aは、一側の端部(以下、基端部)が本体部11に内蔵された開駆動装置60に接続され、他側の端部(以下、先端部)が膨張部材の蝶番部42,43に接続される。膨張支持部材50Aの基端部は、アーム部12よりも上方に配置される。また、膨張支持部材50Aは、回転翼20が回転しても接触しない位置に配置される。
本実施形態では、交通規制が必要な危険エリアに飛行体1Aが着陸した後に、開駆動装置60は、一対の膨張支持部材50Aの先端部を互いに近づける動作を行う。これによって、一対の蝶番部42,43が互いに近づき、ワイヤ44が径方向の本体部11側に湾曲し、ワイヤ45が径方向外側に湾曲して、注入口41Aが回転翼20の上方で開放される。回転翼駆動部21のモータを逆回転させることで、回転翼20から上方に向かう空気流を発生させる。これによって、膨張部材40Aの内側に空気が流れ込み、膨張部材40Aが上方に向かって膨張して膨張状態となる。
本実施形態によれば、膨張した膨張部材40Aにより上方に延びるように標識が表示できるので、遠方からの視認性をより高めることができる。また、回転翼20の上方で膨張部材40Aの注入口41Aが位置するので、回転翼20の回転軸Aの角度を変更せずに膨張部材40Aに空気を流入させることができる。また、膨張部材40Aが膨張している間、空気流発生装置19が回転翼20から上方に向かう空気流を発生させているので、飛行体1Aを地面に押さえつける下方向の力が加わるため、飛行体1Aをより安定した状態に維持できる。
以上の説明から明らかなように、本発明の各実施形態は、以下の各構成により、それぞれ有利な効果を奏する。
本発明の実施形態に係る飛行体(1,1A)は、飛行するための空気流を発生させる空気流発生装置(19)と、開閉可能な注入口(41,41A)を有する膨張部材(40,40A)と、膨張部材(40,40A)の注入口(41,41A)を開く開駆動装置(60)と、を備え、開駆動装置(60)によって注入口(41,41A)を開いた後に、空気流発生装置(19)によって注入口(41,41A)から空気を注入して膨張部材(40,40A)を膨張させることができる。これにより、膨張部材(40,40A)に標識を記載することで、視認性の高い表示が可能となる。これにより、交通規制等が必要な危険エリアまで注入口(41,41A)を開かずに、標識が描かれた膨張部材(40,40A)をコンパクトな状態で運ぶことができる。また、飛行のために使用する空気流発生装置(19)の空気流を利用して膨張部材(40,40A)を大きく拡げることができる。よって、消費電力を抑えつつ、視認性の高い標識の表示が可能となる。
本発明の実施形態に係る飛行体(1,1A)において、空気流発生装置(19)は、本体部(11)から見て飛行時と異なる方向の空気流を発生させることにより、注入口(41,41A)から空気を注入し、膨張部材(40,40A)を膨張させる。これにより、飛行時と異なる方向の空気流によって膨張部材(40,40A)膨張させることができるので、膨張部材(40,40A)の配置を調整できる。
本発明の実施形態に係る飛行体(1,1A)において、空気流発生装置(19,19A)は、回転によって飛行するための空気流を発生させる回転翼(20,20A)を有し、回転翼(20,20A)の回転方向を飛行時の回転方向と異ならせることにより、飛行時と異なる方向の空気流を発生させて膨張部材(40,40A)を膨張させる。これにより、飛行体1の外観を変更せずに空気流の方向を変更できる。
本発明の実施形態に係る飛行体(1)は、回転翼(20)の回転軸(A)の角度を飛行時の回転軸(A)の角度と異ならせた状態で回転翼(20)の回転方向を飛行時の回転方向と異ならせる。これにより、膨張部材(40)の様々な配置パターンを実現できる。
本発明の実施形態に係る飛行体(1,1A)は、飛行体(1,1A)が着陸した状態で開駆動装置(60)によって注入口(41,41A)を開いた後に、空気流発生装置(19)によって注入口(41,41A)から空気を注入して膨張部材(40,40A)を膨張させる制御を行う制御部(100)を更に備える。これにより、自動で膨張部材(40,40A)を膨張させることができるので、着陸後に飛行体(1,1A)を操縦又は指示する必要がなくなる。また、着陸後に膨張部材(40,40A)が膨張するように自動化されているので、飛行中に膨張部材(40,40A)を膨張させることがなく、消費電力をより確実に低減できる。
本発明の実施形態に係る飛行体(1,1A)は、本体部(11)と、本体部(11)から延出し、空気流発生装置(19)を支持するアーム部(12)と、本体部(11)又はアーム部(12)に複数配置され、膨張部材(40,40A)に接続される膨張支持部材(50,50A)を更に備え、開駆動装置(60)は、膨張支持部材(50,50A)を移動させることにより、注入口(41,41A)を開く。これにより、膨張部材(40,40A)を支持する部材を利用して注入口(41,41A)を開くことができるので、部品点数の増加を避けることができる。
本発明の実施形態に係る飛行体(1,1A)において、膨張部材(40)は、一対の膨張支持部材(50,50A)に接続され、開駆動装置(60)は、一対の膨張支持部材(50,50A)のそれぞれと膨張部材(40)との各接続部分間の距離を短くするように一対の膨張支持部材(50,50A)を移動させることにより、注入口(41,41A)を開く。これにより、膨張部材(40)に対して2つの膨張支持部材(50,50A)から力が加わるため、より確実に注入口(41,41A)を開くことができる。
本発明の実施形態に係る飛行体(1)において、膨張部材(40)は、袋状であり、一端に注入口(41)が形成され、他端が閉塞される。これにより、注入口(41)から注入された空気が膨張部材(40)の他端から外部に抜けずに該他端に衝突して膨張部材(40)の内側で拡散されるので、より弱い空気流で効率的に膨張部材(40)を膨張させることができる。
本発明の実施形態に係る飛行体(1)において、膨張部材(40)の内側に接続され、膨張部材(40)の注入口(41)から他端までよりも短い長さの線状部材(46)と、線状部材(46)に固定される係合部材(47)と、を更に備え、係合部材(47)が膨張部材(40)の外側で注入口(41)に係合されることにより、膨張部材(40)の他端側が注入口(41)側に引き寄せられた状態で保持される。これにより、膨張部材(40)の他端側から注入口(41)側の長さを短くでき、よりコンパクトな状態の膨張部材(40)を運搬できる。よって、飛行時における膨張部材(40)に作用する空気抵抗をより低減できる。
本発明の実施形態に係る飛行体(1A)において、膨張部材(40A)は、筒状であり、両端が開放される。これにより、注入口(40A)から注入された空気の流れが妨げられずに膨張部材(40A)から抜けていくので、空気流が膨張部材(40A)に衝突することで生じる飛行体(1A)に加わる力が抑制され、飛行体(1A)に加わる負荷が低減できる。
本発明の実施形態に係る飛行体(1)は、膨張部材(40)は、平面視において飛行体(1)の中心から離れる方向に膨張する。これにより、左右方向に膨張部材(40)を膨張させることができるので、道を遮るように標識を表示でき、より効果的に交通規制を行うことができる。
本発明の実施形態に係る飛行体(1A)は、膨張部材(40A)は、空気流発生装置(19)の上方に位置し、上方に向かって膨張する。これにより、遠方からの識別性の高い標識の表示が可能となる。
本発明の実施形態に係る標識表示方法は、飛行するための空気流を発生させる空気流発生装置(19)及び空気の流入により膨張する膨張部材(40,40A)を備える飛行体(1,1A)を用いて標識を表示する標識表示方法であって、注入口(41,41A)が閉じられた状態の膨張部材(40,40A)を備える飛行体(1,1A)を着陸させるステップと、飛行体(1,1A)が着陸した状態で、注入口(41,41A)を開く開駆動装置(60)を駆動させるステップと、空気流発生装置(19)によって開駆動装置(60)により開いた注入口(41,41A)から空気を注入して膨張部材(40,40A)を膨張させるステップと、を含む。これにより、空中で注入口(41,41A)を開かずに、標識が描かれた膨張部材(40,40A)をコンパクトな状態で交通規制等が必要な危険エリアまで運ぶことができる。よって、飛行体(1)が受ける空気抵抗を抑制しながら、より少ない電力で迅速に危険エリアに到着できる。また、着陸後に飛行のために使用する空気流発生装置(19)の空気流を利用して膨張部材40を大きく拡げることができる。さらに、空中で標識の表示を維持する必要がないので、飛行体(1,1A)を空中で安定した状態に維持するために必要な電力の消費を避けることができる。よって、迅速に危険エリアに対する交通規制を行えるとともに、消費電力を抑えつつ、視認性の高い標識を表示できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上記実施形態では、膨張支持部材50,50Aの基端部が本体部11に接続されているが、膨張支持部材50,50Aの基端部をアーム部12に接続させてもよい。
上記実施形態では、飛行体1,1Aには膨張部材40,40Aが2個配置されているが、膨張部材40,40Aを1個配置しても3個配置してもよく、その数は特に限定されない。
上記実施形態では、モータを駆動することで一対の膨張支持部材50,50Aが互いに接近させて注入口41,41Aを開くが、一対の膨張支持部材50が互いに接近する動きを規制する留め具を設け、留め具を外すことにより注入口41,41Aを開いてもよい。
第1実施形態では、線状部材46及び係合部材47を用いて膨張部材40,40Aの両端部の長さを短い状態に保持しているが、膨張部材40,40Aの両端部を把持するクリップ等を用いて膨張部材40,40Aの両端部の長さを短く状態に保持してもよい。
第1実施形態の飛行体1は、一端に注入口41を有し、先端部が閉塞される袋状の膨張部材40を備えるが、膨張部材40の代わりに両端が開放される筒状の膨張部材40Aを備える構成であってもよい。
第2実施形態の飛行体1Aは、両端が開放される筒状の膨張部材40Aを備えるが、膨張部材40の代わりに先端部が閉塞される袋状の膨張部材40Aを備える構成であってもよい。
また、各実施形態では、無人飛行体を飛行体の例として説明したが、無人飛行体に限定されるわけではない。例えば、無人操縦で人を目的地まで移送する飛行体に本発明を適用することもできる。
1,1A・・・飛行体、19・・・空気流発生装置、40,40A・・・膨張部材、41,41A・・・注入口、60・・・開駆動装置
Claims (14)
- 飛行するための空気流を発生させる空気流発生装置と、
注入口を有する膨張部材と、を備え、
前記空気流発生装置は、飛行時と異なる方向の空気流を発生させることにより、前記注入口から空気を注入し、前記膨張部材を膨張させる飛行体。 - 前記空気流発生装置は、回転によって飛行するための空気流を発生させる回転翼を有し、
前記回転翼の回転方向を飛行時の回転方向と異ならせることにより、飛行時と異なる方向の空気流を発生させて前記膨張部材を膨張させる請求項1に記載の飛行体。 - 前記回転翼の回転軸の角度を飛行時の前記回転軸の角度と異ならせた状態で前記回転翼の回転方向を飛行時の回転方向と異ならせる請求項2に記載の飛行体。
- 前記飛行体が着陸した状態で、前記空気流発生装置を制御して飛行時と異なる方向の空気流を発生させることにより、前記注入口から空気を注入し、前記膨張部材を膨張させる制御部を更に備える請求項1から3の何れかに記載の飛行体。
- 前記空気流発生装置が発生させる空気流の方向を変更する駆動部を更に備える請求項1から3の何れかに記載の飛行体。
- 前記飛行体が着陸した状態で、前記空気流発生装置が飛行時と異なる方向の空気流を発生させることができるように前記駆動部を駆動させる制御を行う制御部を備える請求項5に記載の飛行体。
- 前記制御部は、前記飛行体が着陸した状態で、前記空気流発生装置が飛行時と異なる方向の空気流を発生させることができるように前記駆動部を駆動させる制御を行うとともに、前記空気流発生装置を制御して飛行時と異なる方向の空気流を発生させることにより、前記注入口から空気を注入し、前記膨張部材を膨張させる制御を行う請求項6に記載の飛行体。
- 前記膨張部材は、袋状であり、一端に前記注入口が形成され、他端が閉塞される請求項1から7の何れかに記載の飛行体。
- 前記膨張部材の内側に接続され、前記膨張部材の前記注入口から他端までよりも短い長さの線状部材と、
前記線状部材に固定される係合部材と、を更に備え、
前記係合部材が前記膨張部材の外側で前記注入口に係合されることにより、前記膨張部材の他端側が前記注入口側に引き寄せられた状態で保持される請求項8に記載の飛行体。 - 前記膨張部材は、筒状であり、両端が開放される請求項1から7の何れかに記載の飛行体。
- 前記膨張部材は、平面視において前記飛行体の中心から離れる方向に膨張する請求項1から10の何れかに記載の飛行体。
- 前記膨張部材は、前記空気流発生装置の上方に位置し、上方に向かって膨張する請求項1から10の何れかに記載の飛行体。
- 前記膨張部材は、前記飛行体の中心側に蛇腹状に折り畳まれた収縮状態と、前記飛行体の中心から離れる方向に膨張した膨張状態とに変形可能な布状の部材であり、前記注入口から空気を注入することにより、前記膨張状態に遷移する請求項1から11の何れかに記載の飛行体。
- 飛行するための空気流を発生させる空気流発生装置及び空気の流入により膨張する膨張部材を備える飛行体を用いて標識を表示する標識表示方法であって、
注入口を有する前記膨張部材を備える前記飛行体を着陸させるステップと、
前記飛行体が着陸した状態で、前記空気流発生装置によって飛行時と異なる方向の空気流を発生させることにより、前記注入口から空気を注入し、前記膨張部材を膨張させるステップと、を含む標識表示方法。
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