JP2021065388A - ランドセル - Google Patents

ランドセル Download PDF

Info

Publication number
JP2021065388A
JP2021065388A JP2019192284A JP2019192284A JP2021065388A JP 2021065388 A JP2021065388 A JP 2021065388A JP 2019192284 A JP2019192284 A JP 2019192284A JP 2019192284 A JP2019192284 A JP 2019192284A JP 2021065388 A JP2021065388 A JP 2021065388A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
school bag
rear surface
cushion portion
bag body
satchel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019192284A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7187419B2 (ja
Inventor
久弥 高嶋
Hisaya Takashima
久弥 高嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitori Holdings Co Ltd
Original Assignee
Nitori Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitori Holdings Co Ltd filed Critical Nitori Holdings Co Ltd
Priority to JP2019192284A priority Critical patent/JP7187419B2/ja
Publication of JP2021065388A publication Critical patent/JP2021065388A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7187419B2 publication Critical patent/JP7187419B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Purses, Travelling Bags, Baskets, Or Suitcases (AREA)

Abstract

【課題】ランドセルを背負った状態における身体的負荷を軽減することが可能なランドセルを提供する。【解決手段】上方に開口した箱状のランドセル本体と、ランドセル本体の後面側に設けられる左右の肩ベルトと、ランドセル本体の後面側上端に繋がって設けられ、ランドセル本体の開口を開閉可能に覆う蓋部材とを備えるランドセルにおいて、ランドセル本体の後面側表面部を、マイクロメートルオーダーの凹凸群が形成された人工皮革により衣料繊維素材に対する高摩擦抵抗の粗面に形成する。【選択図】図6

Description

本発明は、ランドセルに関する。
ランドセルは、上方に開口した箱状のランドセル本体(大マチ)と、ランドセル本体の後面側に設けられる左右の肩ベルトと、ランドセル本体の開口を覆う蓋部材(かぶせ)と、を備えて構成されている。さらに、蓋部材を開けたときに露出するランドセル本体の前面側に、ランドセル本体よりも小容量の収納部(中マチ)と、ファスナー開閉式の前ポケットとが配設されることが一般的である(例えば、特許文献1を参照)。
特許第2781758号
近年、小学校でもA4サイズファイルが使用されるようになり、また学習指導要領改訂に伴う教科書のページ数増加等の影響により、ランドセルに収納される荷物量が増える傾向にある。また、荷物量が増えることにより、ランドセルを背負って通学する小学生にかかる身体的負荷が増大することが懸念されており、このような身体的負荷の軽減を図ることが課題となっている。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ランドセルを背負った状態における身体的負荷を軽減することが可能なランドセルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るランドセルは、上方に開口した箱状のランドセル本体と、前記ランドセル本体の後面側に設けられる左右の肩ベルトと、前記ランドセル本体の後面側上端に繋がって設けられ、前記ランドセル本体の開口を開閉可能に覆う蓋部材とを備え、前記ランドセル本体の後面側表面部は、マイクロメートルオーダーの凹凸群が形成された人工皮革(例えば、実施形態における高摩擦シート53)により衣料繊維素材に対する高摩擦抵抗の粗面に形成される。
「マイクロメートルオーダー」は、より詳細には、1マイクロメートルオーダーあるいは10マイクロメートルオーダーであることが好ましい。また、「衣料繊維素材」は、具体的には例えば、綿、羊毛、麻、ナイロン、ポリエステル、アクリル等であり、繊維の一般的な太さが数マイクロメートルから数十マイクロメートルのものが好適である。
前記ランドセル本体の後面側には、利用者の背中の形状に合わせて変形し、荷重負荷を分散させるクッション材が組み込まれることが好ましい。
「クッション材」は、より詳細には、荷重分散によって背中の一部分が痛くなるような荷重集中を防止するとともに、「凹凸群」における凹凸の凸部がへたれてしまうのを抑制する。クッション材の配置は、ランドセル本体の後面側(背当て)の全面ではなく、使用者の背中の蒸れを考慮して局部的な配置とすることが好ましい。
前記粗面は、合成樹脂材を含侵させた不織布の表面を粗面化させて形成される基材層を、合成樹脂材からなるコーティング層によりコーティングして形成することができる。
「コーティング層」は、より詳細には、「凹凸群」における凹凸をコーティングし、こ
れにより、凹凸の凸部がへたれてしまうのを抑制する。
前記粗面は、衣料繊維素材に対する静摩擦係数が、0.3以上0.8以下の範囲内であることが好ましい。
「静摩擦係数」の上限は、摩擦抵抗によりランドセルの背当てが衣服に引っかかってしまってランドセルが下ろしにくくなるということを防ぐという観点から設定するものであり、経験則によれば0.8程度が妥当であると思われる。
前記左右の肩ベルトの裏面側表面部にも、前記粗面が形成されることが好ましい。
本発明に係るランドセルによれば、ランドセル本体の後面側表面部が、マイクロメートルオーダーの凹凸群が形成された人工皮革により高摩擦抵抗の粗面に形成されるので、小学生がランドセルを背負ったまま走ってもランドセル本体が小学生の着衣に対しずれにくく、ランドセルの揺動が抑えられて走りやすくなる。また、ランドセルを背負った状態でも動きやすくなり、身体的負荷を軽減することが可能となる。さらに、背負ったランドセルがずれにくくなることによって、大きな反動や共振を感じることも防止でき、これにより軽さを感じられるし、ランドセルの身体に対するフィット感を向上させることもできる。
ランドセル本体の後面側に、利用者の背中の形状に合わせて変形し、荷重負荷を分散させるクッション材が組み込まれる構成とすれば、荷重分散によって背中の一部分が痛くなるような荷重集中を防止するとともに、凹凸群における凹凸の凸部がへたれてしまうのを抑制することができ、さらに、接触面積が増大することによって摩擦抵抗の増大を期待でき、ランドセルをより一層ずれにくくすることができる。
左右の肩ベルトの裏面側表面部にも粗面が形成される構成とすれば、左右の肩ベルトについても、ランドセルを背負った状態で接触する衣服に対しずれにくくなるので、ランドセルを背負った状態での動きやすさを向上させることが可能となる。
本発明に係るランドセルの側面図で、肩ベルトを省略した図である。 本発明に係るランドセルの底面図である。 本発明に係るランドセルの背面図である。 本発明に係るランドセルの蓋部材を開けた状態の正面図である。 本発明に係るランドセルへの錠前装置の取り付けと背当てクッション部の形状を説明する背面図で、肩ベルトを省略した図である。 本発明に係るランドセルの高摩擦背当て生地の顕微鏡画像であり、(A)は断面画像、(B)は表面画像である。 従来背当て生地の顕微鏡画像であり、(A)は断面画像、(B)は表面画像である。 (A)は上記背当てクッション部の構成を示す断面図であり、(B)は上記高摩擦背当て生地及び上記従来背当て生地の摩擦係数の測定結果を例示する図である。 背当てクッション部の形状に関する複数のパターンを例示する図である。 複数のパターンの背当てクッション部に関する圧力分布と接触面積の測定結果を例示する図である。 本発明に係るランドセルの組み立て手順を説明する分解斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、図
1および図2に示す各矢印の方向をそれぞれ、上下方向、前後方向、左右方向として説明する。本発明の実施形態に係るランドセル1は、図1〜図4に示すように、教科書、ノートおよびファイル等を収納するための上方に開口した幅広矩形箱状のランドセル本体2(大マチ)と、ランドセル本体2の後面側上端に繋がって設けられた蓋部材3(かぶせ)と、ランドセル本体2の後面側から下方に延びて設けられた腕を通し肩へかけて背負うための左右の肩ベルト4と、ランドセル本体2の底面外側に設けられた錠前装置10とを有している。
ランドセル本体2は、矩形状の前面部2aと、上下に延びる矩形状の左右の側面部2b,2cと、矩形状の後面部2dと、矩形状の底面部2eとから、上面が開口した略直方体形状に形成されており、A4クリアファイルおよび、A4クリアファイルよりもひとまわり大きなA4フラットファイルも丸まらずに収納できる容量に構成されている。ランドセル本体2の前面部2a(蓋部材3により覆われる部分)には、ランドセル本体2よりも低背で、小容量の上方に開口した箱状の収納部5(中マチ)が設けられている。収納部5の前面部には前ポケット6が設けられている。前ポケット6は、左右側面および上面に亘ってファスナー25が設けられ、このファスナー25により開閉可能になっている。
前ポケット6の上方位置には、ランドセル本体2および収納部5の左右側面、並びに収納部5の前面に亘って帯状の前締ベルト20が設けられている。前締ベルト20の上下には反射材が設けられており、この反射材が夜道等で自動車のライトに反射して光るようになっている。ランドセル本体2の左右側面に位置する前締ベルト20にはそれぞれ、給食袋等を吊り下げることが可能な第1吊り金具21(ナスカン)が設けられている。
ランドセル本体2の底面部2eには、錠前装置10を取り付けるために、上下貫通した取付孔2hが形成されている。この取付孔2hは、錠前装置10の後述する本体プレート11の裏面から突出する機構収容壁部11bの外形形状に対応する形状になっている。ランドセル本体2の後面側表面部(後面部2dの、背負ったときに背中と対向する側の面(背当て面))の上部には、左右の肩ベルト4とランドセル本体2を繋ぐベルト接合機構26(背カン)と、半円状の持ち手部材27とが設けられている。ベルト接合機構26により接合された左右の肩ベルト4の上端部はそれぞれ独立して左右方向に動くようになっている。
蓋部材3は、ランドセル本体2の後面部2dの上端に取り付けられ、ランドセル本体2および収納部5の上端開口を覆い、前ポケット6の前面側下端まで延びる平板状(可撓性を有する平板状)に形成されている。蓋部材3の下端側には、ランドセル本体2の底面部2eまで延びる略V字形状の蓋延長部材3a(ベロ)が設けられている。蓋延長部材3aの先端部に係止金具7(サガリ)が設けられている。蓋部材3の内面には、メッシュ状のシート部材(図示略)が設けられ、そのシート部材と蓋部材3の内面との間に、小学校の時間割表等を視認可能に挿入することができるようになっている。
左右の肩ベルト4はそれぞれ、ランドセル本体2の後面部2dの背当て面の上部にベルト接合機構26(背カン)を介して取り付けられた上ベルト4aと、ランドセル本体2の底面部2eに下部金具9(ダルマカン)を介して取り付けられた下ベルト4bとを有し、上下のベルト4a,4bが連結金具8により連結される。左右の肩ベルト4はそれぞれ、上ベルト4aに8個の調節穴が形成されており、これらの調節穴に対して連結金具8の連結位置を移動させることにより肩ベルト4の長さを8段階調節することができるようになっている。左右の上ベルト4aには、防犯ブザーやキーホルダー等を吊り下げることが可能な第2吊り金具22(小ナスカン)および第3吊り金具23(Dカン)がそれぞれ設けられている。
錠前装置10は、図5にも示すように、矩形平板状の本体プレート11と、本体プレート11の中央部に回動自在に設けられた操作部材12とを有している。本体プレート11の内部には、蓋延長部材3aに取り付けられた係止金具7を係止保持する係止保持位置および係止解除する解除位置との間で回動可能に操作部材12を支持する支持機構15が設けられている。支持機構15は、係止金具7が操作部材12と係合するようにセットされると、この係止金具7により本体プレート11の表面から突出した作動シャフト15aが押され、図外のバネおよび磁石の作用により、操作部材12を係止保持位置(図2に示す位置)に回動させるように構成されている。本体プレート11の裏面(上面)には、支持機構15の本体プレート11の裏面から突出した部分の周囲を囲む機構収容壁部11bが形成されている。
本体プレート11の表面(下面)には、その表面略全域に亘る凹状のプレート収容凹部が形成されている。このプレート収容凹部に、アルミニウム製の平板状の装飾プレート30(図2を参照)が挿着され、本体プレート11の表面に装飾プレート30が設けられるようになっている。装飾プレート30の表面はメタリック加工が施されている。なお、装飾プレート30は、他の色や模様などが施された装飾プレートや、他の材料によって形成された装飾プレート(例えば、樹脂製プレート等)に適宜取り替え可能である。
錠前装置10は、本体プレート11の裏面から突出した機構収容壁部11bがランドセル本体2に形成された取付孔2hに挿入されて、機構収容壁部11bをランドセル本体2の底面部2eの内部に入り込ませた状態でランドセル本体2の底面部2eに取り付けられる(図1を参照)。錠前装置10は、装飾プレート30および樹脂製の円盤形状のリンプ部材35,35が本体プレート11の表面に配設され、左右のリンプ部材35の表面にそれぞれ下部金具9(ダルマカン)が配設される。そして、下部金具9、リンプ部材35、本体プレート11にそれぞれ形成された図外のピン挿通孔に挿入される取付ピン18(リベット)により、錠前装置10がランドセル本体2の底面部2eに取り付けられるようになっている。
ランドセル本体2の後面側表面部(後面部2dの背当て面)には、図3、図5に示すように、背当てクッション部CU10が設けられている。この背当てクッション部CU10は、図8(A)に示すように、後面部2dを構成する板状の芯材51の後面側に配置されたクッション材52と、クッション材52の表面を覆うように設けられた高摩擦シート53とから構成される。クッション材52は、例えばポリウレタン等の合成樹脂を発泡成形してスポンジ状に加工したものであり、適度なクッション性(柔軟性及び弾力性)を有するとともに通気性も備えている。
高摩擦シート53は、例えば中空糸状のポリエステル短繊維からなる不織布の表層部に、例えばポリウレタン等の合成樹脂を含浸させ、次いで、その表層部に対し凹凸群が形成されるように表面を粗くする処理を施し、この後、繊維が定着する(ほつれない)ように表面をポリウレタン等のウレタン系の合成樹脂材(コーティング剤)によりコーティングして製造される。表面の粗面化処理は、例えば起毛処理や、粗面の転写処理、あるいは発泡剤を用いるなど適宜の方法によってすることができる。また、高摩擦シート53は、水蒸気(気体)は通すが水滴(液体)は通さないという透湿防水性を備えている。図6に顕微鏡画像を示している。同図(A)が高摩擦シート53として適用可能な高摩擦背当て生地の縦断面画像であり、同図(B)が高摩擦背当て生地の表面画像である。図7には、比較のため、ランドセルの背当て面用の生地として従来知られている布状材(「従来背当て生地」と称する)の顕微鏡画像を示している。同図(A)が従来背当て生地の縦断面画像であり、同図(B)が従来背当て生地の表面画像である。なお、顕微鏡の拡大倍率は、断面画像が50倍、表面画像が100倍である。各画像において、100マイクロメートルの寸法を示すスケールバーを付している。
従来背当て生地は、不織布の表層部に合成樹脂を含浸させて表面コーティングしたものであり、表面を粗くする処理が施されていない点が、高摩擦背当て生地と異なる。図6および図7に示すように、従来背当て生地と比較して高摩擦背当て生地の方が、表面が粗くなっており、厚みも十数%程度増している。
このような高摩擦背当て生地により構成される高摩擦シート53は、衣服(衣服の生地)に対する摩擦力(摩擦係数)が従来比で高くなっている。図8(B)に、高摩擦シート53として適用可能な高摩擦背当て生地の摩擦係数の測定結果を示している。図8(B)の表中の実施例が高摩擦背当て生地である。具体的には、帝人コードレ株式会社が製造する新規の人工皮革(型番:B80283−2RE)を実施例の高摩擦背当て生地として用いている。図8(B)の表中の比較例が従来背当て生地である。具体的には、同じく帝人コードレ株式会社が製造する従来の人工皮革(型番:EPAERORND)を比較例の従来背当て生地として用いている。
摩擦係数の測定は、「JIS P 8147」において規定される水平法に準拠して行われている。測定結果は、ステンレス板に敷いた綿布を摩擦相手(接触相手)とした場合と、同じくステンレス板に敷いたポリエステル布を摩擦相手とした場合とに分けて記載している。表中の「Dry静」は測定に用いた布地が乾いている状態での静摩擦係数であることを示し、「Dry動」は測定に用いた布地が乾いている状態での動摩擦係数であることを示している。また、表中の測定結果を示す数値は、複数回の測定により得られた各測定値の平均値である。
図8(B)に示すように、比較例の従来背当て生地は、綿布に対する静摩擦係数値及びポリエステル布に対する静摩擦係数値が共に0.3未満(0.25,0.29)であるのに対し、実施例の高摩擦背当て生地は、綿布に対する静摩擦係数値及びポリエステル布に対する静摩擦係数値が共に0.4を超えている(0.425,0.45)。また、比較例の従来背当て生地は、綿布に対する動摩擦係数値は0.25未満(0.23)あり、ポリエステル布に対する静摩擦係数値は0.35未満(0.335)である。これに対し、実施例の高摩擦背当て生地は、綿布に対する動摩擦係数値は0.4を超え(0.41)、ポリエステル布に対する動摩擦係数値は0.5となっている。
このように高摩擦背当て生地は、衣服(衣服用の生地として一般的な綿布及びポリエステル布)に対する摩擦力(単位荷重・単位面積当たりの摩擦力)が、従来背当て生地に比較して高い。そのため、このような高摩擦背当て生地を高摩擦シート53として用いることによって、ランドセル1を背負った状態で歩いたり走ったりしてもランドセル1がずれにくくなるので動きやすくなり、良好なフィット感も得られる。
高摩擦シート53の摩擦係数は、図8(B)に示す測定値に限定されるものではない。摩擦係数が大きいほど衣服に対してずれにくくなるが、過度に大きくなると衣服と高摩擦シート53とが密着した感じとなり却って動きにくくなる虞もある。そのため、高摩擦シート53の摩擦係数は、所定の数値範囲内に収まるように設定することが好ましい。好ましい数値範囲の下限値としては、静摩擦係数に関しては0.3、より好ましくは0.35、さらに好ましくは0.4とし、動摩擦係数に関しては0.35、より好ましくは0.4とすることが挙げられる。同じく上限値としては、静摩擦係数及び動摩擦係数の両方に関して0.8、より好ましくは0.7、さらに好ましくは0.6とすることが挙げられる。
図5に示すように、背当てクッション部CU10は、ランドセル本体2の後面部2dの背当て面の全領域に設けられるのではなく、その一部領域のみに設けられている。具体的には、背当てクッション部CU10は、後面部2dの下縁に沿って左右方向に延びる下縁
背当てクッション部CU11と、この下縁背当てクッション部CU11の左右両端部から後面部2dの左縁および右縁に沿ってそれぞれ上方に向かって後面部2dの上部(上縁の手前)まで延びる左縁背当てクッション部CU12及び右縁背当てクッション部CU13とにより、左右対称の形状に構成されている。左縁背当てクッション部CU12は、その右縁部が曲線状に右方に張り出す形状を有し、右縁背当てクッション部CU13は、その左縁部が曲線状に左方に張り出した形状を有している。高摩擦シート53は、背当てクッション部CU10の形成領域だけではなく、クッション材52(図8(A)を参照)が配置されない、後面部2dの中央部分に繋がる他の領域(「非クッション領域」と称する)にも設けられている。高摩擦シート53は、背当てクッション部CU10の形成領域と非クッション領域との境界に沿って芯材51(図8(A)を参照)に縫い付けられ、これにより両領域が区分されている。なお、非クッション領域には、高摩擦シート53を設けないようにしてもよい。
このように構成される背当てクッション部CU10は、上下逆にして見るとギリシャ文字のΩに形状が似ているので、この形状を逆Ω型と称する。この逆Ω型は、通気性を考慮した上でランドセル1を背負う小学生の背中(背部)への局所的な荷重集中を防止しつつ適宜の広さの接触面積を確保するのに有効な形状となっている。なお、下縁背当てクッション部CU11は、主に腰の部分と接触し、左縁背当てクッション部CU12及び右縁背当てクッション部CU13は、主に脇腹の背中側から肩甲骨にかけての部分と接触するように構成されている。また、背当てクッション部CU10は、クッション材52(図8(A)を参照)の厚みにより、その厚みの分だけ非クッション領域よりも後方に膨出しており、接触する背中に対し適度なクッション性を備え、ランドセルを背負うときの背中の形状に合わせて圧縮変形されて荷重をより広い領域に分散し、バランス良くランドセルを背中で支えることができるようにされる。さらに、背当てクッション部CU10は、高摩擦シート53及びクッション材52が通気性(透湿性)を有しているので、背中が接触しても蒸れにくく快適であるという利点も有している。
背当てクッション部の形状は、背当てクッション部CU11の形状に限定されるものではない。図9に、他の形状パターンを有する背当てクッション部CU20,CU30,CU40,CU50を示している。同図(A)に示す背当てクッション部CU20は、後面部2dの下縁に沿って左右方向に延びる下縁背当てクッション部CU21と、この下縁背当てクッション部CU21の左右両端部から後面部2dの左縁および右縁に沿ってそれぞれ上方に向かって後面部2dの上部まで延びる左縁背当てクッション部CU22及び右縁背当てクッション部CU23とにより、左右対称の形状に構成されている。左縁背当てクッション部CU22及び右縁背当てクッション部CU23が左右方向に張り出していない点で、逆Ω型の背当てクッション部CU10とは形状パターンが大きく異なる。この背当てクッション部CU20の形状をU型と称する。
図9(B)に示す背当てクッション部CU30は、背当てクッション部CU10と同様に、下縁背当てクッション部CU31、左縁背当てクッション部CU32及び右縁背当てクッション部CU33により、逆Ω型の形状に構成されている。この背当てクッション部CU30は、その下縁背当てクッション部CU31の上下方向の幅が、背当てクッション部CU10の下縁背当てクッション部CU11の上下方向の幅よりも狭く形成されている点で、背当てクッション部CU10とは形状が異なる。
図9(C)に示す背当てクッション部CU40は、後面部2dの下縁に沿って左右方向に延びる下縁背当てクッション部CU41と、この下縁背当てクッション部CU41の左右方向中間部から後面部2dの中央部まで伸びる中央クッション部42と、下縁背当てクッション部CU41の左右両端部から後面部2dの左縁および右縁に沿ってそれぞれ上方に向かって後面部2dの上部途中まで延びる左縁背当てクッション部CU43及び右縁背
当てクッション部CU44により、左右対称の形状に構成されている。中央クッション部42を備えている点と、左縁背当てクッション部CU43及び右縁背当てクッション部CU44が左右方向に張り出していない点で、背当てクッション部CU10とは形状パターンが大きく異なる。この背当てクッション部CU40の形状をW型と称する。
図9(D)に示す背当てクッション部CU50は、後面部2dの下縁から、後面部2d左縁および右縁に沿ってそれぞれ上方に向かって後面部2dの上部まで延びる左縁背当てクッション部CU51及び右縁背当てクッション部CU52により、左右対称の形状に構成されている。左縁背当てクッション部CU51及び右縁背当てクッション部CU52が左右に離間して形成されている点で、背当てクッション部CU10とは形状パターンが大きく異なる。この背当てクッション部CU50の形状を2分割型と称する。
背当てクッション部の形状の違いによって、背当てクッション部の背中との接触面積が変わり、それに伴って接触時の圧力分布も変わる。図10に、背当てクッション部の形状パターン別の圧力分布と接触面積の測定結果を示している。図10の表中の逆Ω型のパターン1は、背当てクッション部CU10の形状パターンと同じものである。同様に、U型のパターン2、逆Ω型のパターン3、W型のパターン4、および2分割型のパターン5は、それぞれ、背当てクッション部CU20、背当てクッション部CU30、背当てクッション部CU40および背当てクッション部CU50の形状パターンと同じものである。なお、この測定は、それぞれのパターンの背当てクッション部を備えたランドセルを平板上に載置して行ったものである。また、測定にはTekscan社製センサーシートを用い、それぞれのランドセルには5kg分のA4用紙を入れた状態で測定を行った。表中の圧力分布は、その平板に作用した圧力の分布図(画像濃度が低い(明るい)領域ほど圧力が高いことを表す)であり、接触面積は、背当てクッション部と平板が接触した部分の総面積である。表中の最大圧は、平板において最も大きな圧力が作用した地点での圧力値である。
図10に示すように、パターン1〜5のうち逆Ω型のパターン1が、接触面積は最大(103.4)で最大圧は最小(77.5)となる良好な圧力分布が得られている。U型のパターン2は、パターン1と比較すると、接触面積は少し小さく(90.6)最大圧は少し大きい(79.5)が比較的良好な圧力分布が得られている。パターン1と同様の逆Ω型のパターン3は、接触面積(89.1)も最大圧(79.5)もパターン1,2に比較してやや劣るものの、パターン3,4に比較すれば良好な圧力分布が得られている。W型のパターン3と2分割型のパターン4は、パターン1〜3に比較して、接触面積(63.8,60.0)も最大圧(139.8,147.3)もかなり異なっており、特定の部位に圧力が集中する傾向が見られる。
図10に示す測定結果から、パターン1と同じ形状の背当てクッション部CU10(図5を参照)を備えたランドセル1によれば、背負ったときに背当てクッション部CU10が背中に対し広い範囲で接触し背中の特定部位に圧力が集中しないので、快適な背負い心地が得られる。また、背当てクッション部CU10は、高摩擦シート53の採用により衣服に対しずれにくくなっているので、ランドセル1を背負ったときに良好なフィット感が得られるとともに、背負った状態で歩いたり走ったりしやすい。そのため、ランドセル1を背負った小学生の身体的負荷を軽減することができる。
また、ランドセル1では、図4に示すように、左右の肩ベルト4の裏面側表面部にも高摩擦シート53が設けられている。この高摩擦シート53は、ランドセル1を背負ったときに衣服と接触可能な所定の範囲(例えば、図4において、1点鎖線の両矢線L1で示す範囲)に設けられる。このように、左右の肩ベルト4の裏面側表面部に高摩擦シート53を配置することにより、ランドセル1を背負ったときに、背当て面(背当てクッション部
CU10)だけではなく左右の肩ベルト4についても衣服に対しずれにくくなる。そのため、ランドセル1を背負った状態での動きやすさを向上させることができる。なお、左右の肩ベルト4の内部には、例えばポリウレタン等の合成樹脂製のクッション材(図示略)が設けられている。
次に、ランドセル1の組み立て手順について簡単に説明する。ランドセル1では、先ず、図11に示すように、ランドセル本体2の左右側面部2b,2cおよび底面部2eを成す第1ボードB1の樹脂製の板材の外面に、EVA樹脂(エチレンビニルアセテート)製のシートを張り付けて芯材をつくり、そのシートの上に、ランドセル本体2および蓋部材3の表面の生地と同じ材質の第1生地M1を貼り付け、縫い付ける。そして、その第1ボードB1を折り曲げてランドセル本体2の左右側面部2b,2cおよび底面部2eを形成する。その一方で、ランドセル本体2の前面部2aを成す樹脂製の第2ボードB2の前面上端側に、第2ボードB2の左右端まで延びる第2生地M2(第1生地M1等と同じ材質の生地)を貼り付け、縫い付ける。そして、その第2ボードB2の前面下側に、予め形成された収納部5および前ポケット6のユニットを貼り付ける。
このように貼り合わせた第1および第2ボードB1,B2の上端側に、硬質合成樹脂製の補強板100を貼り付け、さらにその補強板100の表面を覆い隠すように第3生地M3(第1生地M1等と同じ材質の生地、図1および図4を参照)を貼り合せ、縫い付ける。補強板100は、前板部110、左側板部120および右側板部130を有し、前板部110の左右端部にそれぞれ左右の側板部120,130が繋がって一体構成になっている。前板部110と左右の側板部120,130との接合部にはそれぞれ、複数のスリット105が左右方向に並んで形成されている。補強板100は、これらのスリット105により左右の側板部120,130を前板部110に対して略90度折り曲げた状態でランドセル本体2の左右側面部2b,2cおよび前面2aに亘って配設される。
次に、第1および第2ボードB1,B2の内面に内張りを貼り付け、第1および第2ボードB1,B2の外側において前締ベルト20を取り付ける。さらに、第1ボードB1の後面側に、予め組み付けられた後面部2d、蓋部材3(かぶせ)および左右の肩ベルト4のユニットを貼り付け、縫い付ける。そして、ランドセル本体2の内部底面に硬質合成樹脂製の底板部材200を設置し、上記のように錠前装置10をランドセル本体2の底面部2eに取り付け、左右の肩ベルト4の下ベルト4bを下部金具9(ダルマカン)に取り付ける。このようにしてランドセル1は組み立てられる。なお、底板部材200は、ランドセル本体2の内部底面の略全体を覆う大きさを有し、その下面(ランドセル本体2に接する面)には、当該下面の略全体に亘って周縁部よりも低くなった凹部(図示略)が形成されている(肉盗み)。その凹部内に、ハニカム構造(正六角形状)の補強リブ(図示略)が一体形成されている。
以上のように構成されるランドセル1によれば、ランドセル本体2の背当て面に、高摩擦抵抗の粗面を有する高摩擦シート53で覆われ、荷重負荷を分散させるクッション材が組み込まれた背当てクッション部CU10が設けられるとともに、左右の肩ベルト4の裏面側表面部にも高摩擦シート53が設けられている。そのため、背負い心地が良く、ランドセル1を背負って歩いたり走ったりすることが楽になり、ランドセル1を背負った状態での身体的負担を軽減することが可能となる。
以上、本発明に係るランドセルの実施形態について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。例えば、高摩擦シート53として用いる高摩擦背当て生地は、上述した構成の生地に限らず、従来背当て生地と比較して高い摩擦力が得られる種々の構成の布状材を用いることが可能である。また、背当てクッション部CU10の形状としては、パターン1のものに限らず、パターン2やパターン3の形状パターンとする
ことや、その他の形状パターンとすることも可能である。また、背当て面に設ける高摩擦生地とは異なる構成の布状材を、肩ベルト裏面に設けるようにしてもよい。
1 ランドセル
2 ランドセル本体
3 蓋部材
4 肩ベルト
52 クッション材
53 高摩擦シート
CU10,CU20,CU30,CU40,CU50 背当てクッション部

Claims (5)

  1. 上方に開口した箱状のランドセル本体と、
    前記ランドセル本体の後面側に設けられる左右の肩ベルトと、
    前記ランドセル本体の後面側上端に繋がって設けられ、前記ランドセル本体の開口を開閉可能に覆う蓋部材とを備えるランドセルであって、
    前記ランドセル本体の後面側表面部は、マイクロメートルオーダーの凹凸群が形成された人工皮革により衣料繊維素材に対する高摩擦抵抗の粗面に形成されるランドセル。
  2. 前記ランドセル本体の後面側には、利用者の背中の形状に合わせて変形し、荷重負荷を分散させるクッション材が組み込まれる請求項1に記載のランドセル。
  3. 前記粗面は、合成樹脂材を含侵させた不織布の表面を粗面化させて形成される基材層を、合成樹脂材からなるコーティング層によりコーティングして形成される請求項1もしくは2に記載のランドセル。
  4. 前記粗面は、衣料繊維素材に対する静摩擦係数が、0.3以上0.8以下の範囲内である請求項1〜3のいずれか一項に記載のランドセル。
  5. 前記左右の肩ベルトの裏面側表面部にも、前記粗面が形成される請求項1〜4のいずれか一項に記載のランドセル。
JP2019192284A 2019-10-21 2019-10-21 ランドセル Active JP7187419B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019192284A JP7187419B2 (ja) 2019-10-21 2019-10-21 ランドセル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019192284A JP7187419B2 (ja) 2019-10-21 2019-10-21 ランドセル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021065388A true JP2021065388A (ja) 2021-04-30
JP7187419B2 JP7187419B2 (ja) 2022-12-12

Family

ID=75636065

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019192284A Active JP7187419B2 (ja) 2019-10-21 2019-10-21 ランドセル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7187419B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5516649U (ja) * 1978-07-17 1980-02-01
JP2012213471A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Kuraray Co Ltd フィット性、滑り止め性に優れたシート材

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5516649U (ja) * 1978-07-17 1980-02-01
JP2012213471A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Kuraray Co Ltd フィット性、滑り止め性に優れたシート材

Also Published As

Publication number Publication date
JP7187419B2 (ja) 2022-12-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5988465A (en) Backpack assembly and method of use
US7246391B2 (en) Prayer pillow
US8499987B2 (en) Support element for a carry strap
US20070145797A1 (en) Seat cover
US20090039122A1 (en) Universal object retention system and method of use
US8393027B2 (en) Spinal support pivot pillow
US5765735A (en) Combination shoulder strap and anatomical pad
US7076816B1 (en) Towel or blanket with integral carrying case
CA2302369A1 (en) Convertible carryall bag and method of producing same
CA1332474C (en) Pad cover
JP2021065388A (ja) ランドセル
US20120272454A1 (en) Luggage attachable cushion device
US11963617B2 (en) Torso device
JP2004135836A (ja) シート構造
JP4355903B2 (ja) 工具ホルダー
JP3234328U (ja) ドリンクホルダー付きクッション
TWI298625B (ja)
GB2390538A (en) Cover for lounger
AU737974B3 (en) A convertible bag
WO2010080151A1 (en) Universal object retention system and method of use
KR200171275Y1 (ko) 깔개 및 등받이가 구비된 가방
KR200310434Y1 (ko) 시트가 구비된 배낭
US20070180622A1 (en) Coloring pillow pad
KR20090035850A (ko) 간이시트 겸용 보조 등받이
JP3763128B2 (ja) ランドセル

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20191114

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210517

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220526

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220531

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220720

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20220720

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220816

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221019

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20221019

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20221027

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20221101

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221130

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7187419

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150