JP2021064807A - 半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】基板面内のエッチング処理の均一性を向上させる技術を提供する。【解決手段】基板処理方法は、表面にアモルファスシリコン膜が形成された基板の温度を第1温度とする工程と、前記基板の面内温度を第1温度に安定させる工程と、前記基板を第1温度から第2温度へ降温させ、その降温期間中に前記基板に対してCl2ガスを供給する工程と、を含むサイクルを、アモルファスシリコン膜の結晶化温度未満の温度下で所定回数行い、基板の表面に形成されたアモルファスシリコン膜の一部をエッチングする工程を有する。基板の降温を開始した後、基板の外周部の温度が中央部の温度よりも低くなった後で、基板の外周部と中央部との温度差が1℃以上10℃以下の範囲内の所定の温度差となった後に、基板に対するCl2ガスの供給を開始し、基板の外周部と中央部との温度差が所定の温度差となる前は、基板に対するCl2ガスの供給を不実施とする。【選択図】図4
Description
本発明は、半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラムに関する。
半導体装置の製造工程の一工程として、エッチングガスを用い、基板の表面に形成された膜の一部をエッチングする工程が行われる場合がある(例えば特許文献1,2参照)。
本発明の目的は、基板の表面に形成された膜をエッチングする際、基板面内におけるエッチング処理の均一性を向上させることが可能な技術を提供することにある。
本発明の一態様によれば、
(a)表面に膜が形成された基板の温度を第1温度とする工程と、
(b)前記基板の面内温度を前記第1温度に安定させる工程と、
(c)面内温度が前記第1温度に安定した前記基板を前記第1温度から前記第1温度よりも低い第2温度へ降温させ、その降温期間中の所定期間に前記基板に対してエッチングガスを供給する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板の表面に形成された前記膜の一部をエッチングする工程を行う技術が提供される。
(a)表面に膜が形成された基板の温度を第1温度とする工程と、
(b)前記基板の面内温度を前記第1温度に安定させる工程と、
(c)面内温度が前記第1温度に安定した前記基板を前記第1温度から前記第1温度よりも低い第2温度へ降温させ、その降温期間中の所定期間に前記基板に対してエッチングガスを供給する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板の表面に形成された前記膜の一部をエッチングする工程を行う技術が提供される。
本発明によれば、基板の表面に形成された膜をエッチングする際、基板面内におけるエッチング処理の均一性を向上させることが可能となる。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図4、図5(a)〜図5(d)を用いて説明する。
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図4、図5(a)〜図5(d)を用いて説明する。
(1)基板処理装置の構成
図1に示すように、処理炉202は加熱機構(温度調整部)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
図1に示すように、処理炉202は加熱機構(温度調整部)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO2)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の筒中空部には、処理室201が形成される。処理室201は、基板としてのウエハ200を収容可能に構成されている。
処理室201内には、ノズル249a,249bが、反応管203の下部側壁を貫通するように設けられている。ノズル249a,249bには、ガス供給管232a,232bがそれぞれ接続されている。
ガス供給管232a,232bには、ガス流の上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a,241bおよび開閉弁であるバルブ243a,243bがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a,232bのバルブ243a,243bよりも下流側には、ガス供給管232c,232dがそれぞれ接続されている。ガス供給管232c,232dには、ガス流の上流側から順に、MFC241c,241dおよびバルブ243c,243dがそれぞれ設けられている。また、ガス供給管232aのバルブ243aよりも下流側には、ガス供給管232eが接続されている。ガス供給管232eには、ガス流の上流側から順に、MFC241eおよびバルブ243eが設けられている。
図2に示すように、ノズル249a,249bは、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の配列方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている。すなわち、ノズル249a,249bは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにそれぞれ設けられている。ノズル249a,249bの側面には、ガスを供給するガス供給孔250a,250bがそれぞれ設けられている。ガス供給孔250a,250bは、反応管203の中心を向くようにそれぞれ開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250a,250bは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。
ガス供給管232aからは、原料ガスとして、例えば、シリコン(Si)含有ガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。Si含有ガスとしては、例えば、モノシラン(SiH4、略称:MS)ガス等の水素化ケイ素ガスを用いることができる。
ガス供給管232eからは、エッチングガスが、MFC241e、バルブ243e、ガス供給管232a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。エッチングガスとしては、例えば、ハロゲン元素(原子)を含むガスである塩素(Cl2)ガスを用いることができる。
ガス供給管232bからは、ドーパントガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。ドーパントガスとしては、例えば、ドーパント(不純物)としてのリン(P)を含むガスであるホスフィン(PH3、略称:PH)ガスを用いることができる。
ガス供給管232c,232dからは、不活性ガスとしての窒素(N2)ガスが、MFC241c,241d、バルブ243c,243d、ガス供給管232a,232b、ノズル249a,249bを介して処理室201内へ供給される。N2ガスは、パージガス、キャリアガス、希釈ガス等として作用する。
主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、原料ガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232e、MFC241e、バルブ243eにより、エッチングガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bにより、ドーパントガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232c,232d、MFC241c,241d、バルブ243c,243dにより、不活性ガス供給系が構成される。
上述の各種供給系のうち、いずれか、或いは、全ての供給系は、バルブ243a〜243eやMFC241a〜241e等が集積されてなる集積型供給システム248として構成されていてもよい。集積型供給システム248は、ガス供給管232a〜232eのそれぞれに対して接続され、ガス供給管232a〜232e内への各種ガスの供給動作、すなわち、バルブ243a〜243eの開閉動作やMFC241a〜241eによる流量調整動作等が、後述するコントローラ121によって制御されるように構成されている。集積型供給システム248は、一体型、或いは、分割型の集積ユニットとして構成されており、ガス供給管232a〜232e等に対して集積ユニット単位で着脱を行うことができ、集積型供給システム248のメンテナンス、交換、増設等を、集積ユニット単位で行うことが可能なように構成されている。
反応管203の側壁下方には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が接続されている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管231、圧力センサ245、APCバルブ244により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
反応管203の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属材料により構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、反応管203の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。シールキャップ219の下方には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ウエハ200を処理室201内外に搬入および搬出(搬送)する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25〜200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱板218が水平姿勢で多段に支持されている。
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、反応管203の内壁に沿って設けられている。
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
I/Oポート121dは、上述のMFC241a〜241e、バルブ243a〜243e、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241a〜241eによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a〜243eの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
コントローラ121は、外部記憶装置123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。外部記憶装置123は、例えば、HDD等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ等を含む。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、基板としてのウエハ200上にシリコン膜(Si膜)を形成する基板処理シーケンス例、すなわち、成膜シーケンス例について、主に、図4、図5(a)〜図5(d)を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
上述の基板処理装置を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、基板としてのウエハ200上にシリコン膜(Si膜)を形成する基板処理シーケンス例、すなわち、成膜シーケンス例について、主に、図4、図5(a)〜図5(d)を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
図4に示す成膜シーケンスでは、
ウエハ200の表面に設けられた凹部内を埋め込むように第1膜(第1Si膜)を形成するステップと、
ウエハ200の表面に形成された第1Si膜の一部をエッチングするステップと、
一部がエッチングされた第1Si膜上に、さらに第2膜(第2Si膜)を形成するステップと、
を行うことで、凹部内を第1Si膜および第2Si膜で埋め込む。
ウエハ200の表面に設けられた凹部内を埋め込むように第1膜(第1Si膜)を形成するステップと、
ウエハ200の表面に形成された第1Si膜の一部をエッチングするステップと、
一部がエッチングされた第1Si膜上に、さらに第2膜(第2Si膜)を形成するステップと、
を行うことで、凹部内を第1Si膜および第2Si膜で埋め込む。
なお、第1Si膜の一部をエッチングするステップでは、
表面に第1Si膜が形成されたウエハ200の温度を第1温度とするステップAと、
ウエハ200の面内温度を第1温度に安定させるステップBと、
面内温度が第1温度に安定したウエハ200を第1温度から第1温度よりも低い第2温度へ降温させ、その降温期間中の所定期間Pにウエハ200に対してエッチングガスとしてCl2ガスを供給するステップCと、
を含むサイクルを所定回数行う。図4では、ステップA,B,Cの実施期間、後述するステップDの実施期間、および、所定期間Pを、それぞれA,B,C,D,Pと表している。
表面に第1Si膜が形成されたウエハ200の温度を第1温度とするステップAと、
ウエハ200の面内温度を第1温度に安定させるステップBと、
面内温度が第1温度に安定したウエハ200を第1温度から第1温度よりも低い第2温度へ降温させ、その降温期間中の所定期間Pにウエハ200に対してエッチングガスとしてCl2ガスを供給するステップCと、
を含むサイクルを所定回数行う。図4では、ステップA,B,Cの実施期間、後述するステップDの実施期間、および、所定期間Pを、それぞれA,B,C,D,Pと表している。
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
(ウエハチャージおよびボートロード)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)される。その後、図1に示すように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220を介して反応管203の下端をシールした状態となる。
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)される。その後、図1に示すように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220を介して反応管203の下端をシールした状態となる。
ウエハ200としては、例えば、単結晶Siにより構成されたSi基板、或いは、表面に単結晶Si膜が形成された基板を用いることができる。図5(a)に示すように、ウエハ200の表面には凹部が設けられている。凹部の底部は単結晶Siにより構成されており、凹部の側部および上部はシリコン酸化膜(SiO膜)やシリコン窒化膜(SiN膜)やシリコン酸炭窒化膜(SiOCN膜)等の絶縁膜200aにより構成されている。ウエハ200の表面は、単結晶Siと絶縁膜200aとがそれぞれ露出した状態となっている。
(圧力調整および温度調整)
処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。また、処理室201内のウエハ200が所望の温度(成膜温度)となるように、ヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。また、回転機構267によるウエハ200の回転を開始する。真空ポンプ246の稼働、ウエハ200の加熱および回転は、いずれも、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。また、処理室201内のウエハ200が所望の温度(成膜温度)となるように、ヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。また、回転機構267によるウエハ200の回転を開始する。真空ポンプ246の稼働、ウエハ200の加熱および回転は、いずれも、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
(第1Si膜形成ステップ)
その後、処理室201内のウエハ200に対し、MSガスを供給する。このステップでは、バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へMSガスを流す。MSガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してMSガスが供給される(MSガス供給ステップ)。このときバルブ243c,243dを開き、ガス供給管232c,232d内へN2ガスを流す。N2ガスは、MFC241c,241dにより流量調整され、ノズル249a,249bを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。MSガス供給ステップにおける処理室201内へのN2ガスの供給は、不実施としてもよい。
その後、処理室201内のウエハ200に対し、MSガスを供給する。このステップでは、バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へMSガスを流す。MSガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してMSガスが供給される(MSガス供給ステップ)。このときバルブ243c,243dを開き、ガス供給管232c,232d内へN2ガスを流す。N2ガスは、MFC241c,241dにより流量調整され、ノズル249a,249bを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。MSガス供給ステップにおける処理室201内へのN2ガスの供給は、不実施としてもよい。
ウエハ200に対してMSガスを供給することにより、図5(b)に示すように、凹部内を埋め込むように第1Si膜を形成することが可能となる。この成膜処理では、凹部の表面側が、凹部の側部および上部からオーバーハングするように成長した第1Si膜によって塞がれた状態となる場合がある。そして、凹部内に、その深さ領域(方向)に伸びる非埋め込み領域、すなわち、ボイド、シーム等(以下、便宜上、これらを中空部と称する)が形成される場合がある。中空部は、凹部の内部が第1Si膜によって完全に埋め込まれる前に凹部の表面側が塞がれ、凹部の内部へMSガスが届かなくなり、凹部内における第1Si膜の成長が停止することによって発生する。中空部は、凹部のアスペクト比(凹部の深さ/凹部の幅)が大きくなることにより、具体的には、アスペクト比が1以上、例えば20以上、更には50以上となることにより、生じやすくなる。また、アスペクト比が大きくなる程、中空部は、凹部内における底部側に形成されやすくなる。後述する処理条件下では、少なくとも凹部の側部および上部において、Siが、アモルファス(非晶質)成長する。すなわち、第1Si膜のうち、少なくとも凹部の側部および上部からオーバーハングするように成長した部分の結晶構造は、アモルファスとなる。
第1Si膜を形成した後、バルブ243aを閉じ、処理室201内へのMSガスの供給を停止する。MSガスの供給は、凹部の表面側が第1Si膜によって塞がれた状態となる前に停止してもよく、完全に塞がれた状態となった後に停止してもよい。その後、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する。このとき、バルブ243c,243dを開き、処理室201内へN2ガスを供給する。N2ガスはパージガスとして作用する(パージステップ)。
第1Si膜形成ステップにおける処理条件としては、
MSガス供給流量:10〜2000sccm
N2ガス供給流量(各ガス供給管):0〜10000sccm
ガス供給時間:1〜400分
処理温度(成膜温度):450〜550℃、好ましくは450〜530℃
処理圧力:1〜900Pa
が例示される。なお、本明細書における「450〜550℃」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、「450〜550℃」とは「450℃以上500℃以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
MSガス供給流量:10〜2000sccm
N2ガス供給流量(各ガス供給管):0〜10000sccm
ガス供給時間:1〜400分
処理温度(成膜温度):450〜550℃、好ましくは450〜530℃
処理圧力:1〜900Pa
が例示される。なお、本明細書における「450〜550℃」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、「450〜550℃」とは「450℃以上500℃以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
Siの結晶化温度は550〜560℃程度であることから、成膜温度を550℃以下、好ましくは550℃未満の温度とすることで、第1Si膜の結晶構造をアモルファスとすることが可能となる。これにより、後述するエッチングステップでの第1Si膜のエッチングレートを大きくし、生産性を向上させることが可能となる。成膜温度を550〜560℃の範囲内の温度とすることで、第1Si膜の結晶構造をアモルファスと多結晶(ポリ)との混晶とすることが可能となる。成膜温度を560℃超の温度とすることで、第1Si膜の結晶構造をポリとすることが可能となる。
原料ガスとしては、MSガスの他、ジシラン(Si2H6、略称:DS)ガス、トリシラン(Si3H8)ガス、テトラシラン(Si4H10)ガス等の一般式SinH2n+2(nは1以上の整数)で表される水素化ケイ素ガスを用いることができる。また、原料ガスとしては、モノクロロシラン(SiH3Cl、略称:MCS)ガス、ジクロロシラン(SiH2Cl2、略称:DCS)ガス、トリクロロシラン(SiHCl3、略称:TCS)ガス、テトラクロロシラン(SiCl4、略称:STC)ガス、ヘキサクロロジシラン(Si2Cl6、略称:HCDS)ガス、オクタクロロトリシラン(Si3Cl8、略称:OCTS)ガス等のクロロシラン系ガスを用いることもできる。
不活性ガスとしては、N2ガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。この点は、後述する各ステップにおいても同様である。
(エッチングステップ)
第1Si膜形成ステップが終了した後、後述するステップA〜Dを順に行う。
第1Si膜形成ステップが終了した後、後述するステップA〜Dを順に行う。
[ステップA]
まず、ステップAを実施する。このステップでは、ヒータ207の出力を調整し、表面に第1Si膜が形成されたウエハ200の温度を第1温度とする。図4では、第1温度を成膜温度よりも低い温度とし、ステップAにおいて、ウエハ200の温度を成膜温度から第1温度まで降下(変更)させる例を示している。このとき、バルブ243c,243dを開き、処理室201内へN2ガスを供給する。なお、処理室201内へのN2ガスの供給は、不実施としてもよい。
まず、ステップAを実施する。このステップでは、ヒータ207の出力を調整し、表面に第1Si膜が形成されたウエハ200の温度を第1温度とする。図4では、第1温度を成膜温度よりも低い温度とし、ステップAにおいて、ウエハ200の温度を成膜温度から第1温度まで降下(変更)させる例を示している。このとき、バルブ243c,243dを開き、処理室201内へN2ガスを供給する。なお、処理室201内へのN2ガスの供給は、不実施としてもよい。
本ステップにおける処理条件としては、
N2ガス供給流量:0〜5000sccm
処理温度(第1温度):300〜500℃
処理圧力:10〜1000Pa
が例示される。ここで示した第1温度は、Siの結晶化温度未満の温度であり、ウエハ200上に形成された第1Si膜の結晶状態がアモルファス状態から多結晶状態へ移行する臨界温度未満の温度である。
N2ガス供給流量:0〜5000sccm
処理温度(第1温度):300〜500℃
処理圧力:10〜1000Pa
が例示される。ここで示した第1温度は、Siの結晶化温度未満の温度であり、ウエハ200上に形成された第1Si膜の結晶状態がアモルファス状態から多結晶状態へ移行する臨界温度未満の温度である。
[ステップB]
ウエハ200の温度が第1温度となった後、ステップBを実施する。このステップでは、ウエハ200の温度を第1温度とした状態を所定時間維持する。すなわち、ウエハ200の温度を第1温度に保持した状態で所定時間待機する。これにより、表面に第1Si膜が形成されたウエハ200の面内温度を、第1温度に安定させる。すなわち、ウエハ200の面内温度を、ウエハ200の表面全域にわたり均一な温度(第1温度)とする。このとき、処理室201内へのN2ガスの供給は維持した状態とする。なお、処理室201内へのN2ガスの供給は不実施としてもよい。本ステップにおける処理条件は、ウエハ200の温度を成膜温度から第1温度へ変更する点以外は、ステップAにおける処理条件と同様とする。
ウエハ200の温度が第1温度となった後、ステップBを実施する。このステップでは、ウエハ200の温度を第1温度とした状態を所定時間維持する。すなわち、ウエハ200の温度を第1温度に保持した状態で所定時間待機する。これにより、表面に第1Si膜が形成されたウエハ200の面内温度を、第1温度に安定させる。すなわち、ウエハ200の面内温度を、ウエハ200の表面全域にわたり均一な温度(第1温度)とする。このとき、処理室201内へのN2ガスの供給は維持した状態とする。なお、処理室201内へのN2ガスの供給は不実施としてもよい。本ステップにおける処理条件は、ウエハ200の温度を成膜温度から第1温度へ変更する点以外は、ステップAにおける処理条件と同様とする。
[ステップC]
ウエハ200の面内温度が第1温度に安定した後、ステップCを実施する。このステップでは、ヒータ207の出力を調整し、面内温度が第1温度に安定したウエハ200を、第1温度から第1温度よりも低い第2温度へと降温させる。このとき、処理室201内へのN2ガスの供給は維持した状態とする。なお、処理室201内へのN2ガスの供給は不実施としてもよい。
ウエハ200の面内温度が第1温度に安定した後、ステップCを実施する。このステップでは、ヒータ207の出力を調整し、面内温度が第1温度に安定したウエハ200を、第1温度から第1温度よりも低い第2温度へと降温させる。このとき、処理室201内へのN2ガスの供給は維持した状態とする。なお、処理室201内へのN2ガスの供給は不実施としてもよい。
そして本ステップでは、その降温期間中の所定期間Pに、ウエハ200に対してCl2ガスを供給する。具体的には、本ステップでは、ウエハ200の降温を開始した後、所定の時間が経過するまでウエハ200に対してCl2ガスを供給することなく待機する(待機ステップ)。そして、所定の時間が経過した後、バルブ243eを開き、ガス供給管232e内へCl2ガスを流す。Cl2ガスは、MFC241eにより流量調整され、ガス供給管232a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してCl2ガスが供給される(Cl2ガス供給ステップ)。ステップC(待機ステップ、Cl2ガス供給ステップ)では、ステップA,Bと同様に、処理室201内へのN2ガスの供給を維持した状態とする。なお、処理室201内へのN2ガスの供給は、不実施としてもよい。ただし、実施した方が、Cl2ガスを処理室201内の全体に均一に拡散させることができ、好ましい。
ウエハ200に対してCl2ガスを供給することにより、ウエハ200上に形成された第1Si膜の一部をエッチングすることができる。第1Si膜のうち、凹部の表面側を塞ぐ部分を除去することで、その下に形成されていた中空部の上部を開口させ、中空部の内壁(側壁や底部)を露出させることができる。この状態でエッチング処理を所定時間継続することにより、中空部の内壁を構成する第1Si膜をさらにエッチングし、その開口を広げることが可能となる。中空部の内部へのCl2ガスの供給量は、表面側から底部側へ向かうにつれて徐々に少なくなる。露出した中空部の縦断面形状は、図5(c)に示すように、底部側から表面側に向かうにつれて開口幅が次第に大きくなるV字形状或いは逆台形状へと近づくこととなる。露出した中空部をこのような形状に加工することで、後述する第2Si膜形成ステップにおいて、露出した中空部の内部へのMSガスの供給を促すことが可能となる。結果として、凹部の内部を、Si膜によって完全に、すなわち、ボイドフリーかつシームレスの状態となるように埋め込むことが可能となる。
なお、処理室201内へ供給されたCl2ガスは、ウエハ200の側方部(外周部)からウエハ200の中央部へ向かって流れ込む。すなわち、処理室201内へ供給されたCl2ガスは、ウエハ200の表面に形成された第1Si膜の外周部に接触した後、ウエハ200の中央部に接触する。ウエハ200の外周部に接触したCl2ガスは、エッチング反応により一部が消費される。そのため、ウエハ200の中央部におけるCl2ガスの供給量は、ウエハ200の外周部におけるCl2ガスの供給量よりも少なくなる。その結果、ウエハ200の中央部における第1Si膜のエッチングレートは、ウエハ200の外周部における第1Si膜のエッチングレートよりも小さくなる傾向がある。すなわち、本実施形態のように、Cl2ガスをウエハ200の外周部からウエハ200の中央部へ向かって流す場合、エッチング処理のウエハ面内均一性(以下、単に面内均一性ともいう)が低下しやすくなる。
上述の課題を解消するため、本実施形態では、ウエハ200の降温を開始した後に生じるウエハ200の面内における温度分布の偏り、具体的には、ウエハ200の外周部と中央部との間に生じる温度差を利用する。というのも、ウエハ200の降温を開始した後、ウエハ200の外周部における降温レートは、ウエハ200の中央部における降温レートに比べて大きくなる。ウエハ200の降温を開始してから所定の時間が経過すると、ウエハ200の外周部の温度は、ウエハ200の中央部の温度よりも低くなる。ウエハ200の降温を開始してから10〜20分の範囲内の時間が経過すると、ウエハ200の外周部とウエハ200の中央部との温度差は、例えば1〜10℃の範囲内の所定の温度差となる。
本実施形態では、ステップCにおいてウエハ200の降温を開始した後、ウエハ200の外周部の温度がウエハ200の中央部の温度よりも低くなった後に、ウエハ200に対するCl2ガスの供給を開始する。好ましくは、ウエハ200の外周部とウエハ200の中央部との温度差が上述の所定の温度差となった後に、ウエハ200に対するCl2ガスの供給を開始する。本ステップにおいてCl2ガスを供給する所定期間Pとは、ウエハ200の外周部の温度がウエハ200の中央部の温度よりも低くなる期間であり、好ましくは、ウエハ200の外周部とウエハ200の中央部との温度差が上述の所定の温度差となる期間である。
Cl2ガスを供給する所定期間Pを上述のように設定することにより、第1Si膜のエッチング処理の面内均一性を向上させることが可能となる。というのも、第1Si膜のエッチングは、ウエハ200の面内のうち、温度が高い領域では促進され、温度が低い領域では抑制される傾向がある。ウエハ200の降温を開始した後、ウエハ200の外周部の温度がウエハ200の中央部の温度よりも低くなった後に、ウエハ200に対するCl2ガスの供給を開始することにより、ウエハ200の外周部における第1Si膜のエッチング反応を適正に抑制しながら、ウエハ200の中央部における第1Si膜のエッチング反応を適正に進行させることが可能となる。結果として、本実施形態のように、ウエハ200の外周部からウエハ200の中央部へ向かってCl2ガスを流す場合であっても、ウエハ200上に形成された第1Si膜を、ウエハ200の面内(表面)の全域にわたり、略均等なレートでエッチングすることが可能となる。すなわち、ウエハ200の外周部からウエハ200の中央部へ向かってCl2ガスを流すことにより生じるウエハ200の面内におけるエッチングレートの変動(分布)の傾向を、ウエハ200の外周部とウエハ200の中央部との温度差により生じるウエハ200の面内におけるエッチングレートの変動(分布)の傾向により、相殺することが可能となる。これにより、第1Si膜のエッチング処理の面内均一性を向上させることが可能となる。なお、ウエハ200の降温を開始した後、ウエハ200の外周部とウエハ200の中央部との温度差が所定の温度差となった後に、ウエハ200に対するCl2ガスの供給を開始することにより、第1Si膜のエッチング処理の面内均一性を確実に向上させることが可能となる。
なお、本ステップでは、ウエハ200の外周部の温度がウエハ200の中央部の温度よりも低くなる前は、ウエハ200に対するCl2ガスの供給を不実施とする。これにより、第1Si膜のエッチング処理の面内均一性を確実に向上させることが可能となる。また好ましくは、本ステップでは、ウエハ200の外周部とウエハ200の中央部との温度差が所定の温度差となる前は、ウエハ200に対するCl2ガスの供給を不実施とする。すなわち、ウエハ200の外周部の温度がウエハ200の中央部の温度よりも低くなったとしても、ウエハ200の外周部とウエハ200の中央部との温度差が所定の温度差でない場合には、ウエハ200に対するCl2ガスの供給を不実施とする。これにより、第1Si膜のエッチング処理の面内均一性をより確実に向上させることが可能となる。
本ステップにおける処理条件としては、
降温開始温度(第1温度):300〜500℃
降温終了温度(第2温度):250〜490℃
降温レート:0.1〜20℃/分
降温時間:5〜60分
N2ガス供給時間:5〜60分
Cl2ガス供給時間(所定期間P):1〜55分
Cl2ガス供給流量:30〜1000sccm
が例示される。他の処理条件は、ステップAにおける処理条件と同様とする。
降温開始温度(第1温度):300〜500℃
降温終了温度(第2温度):250〜490℃
降温レート:0.1〜20℃/分
降温時間:5〜60分
N2ガス供給時間:5〜60分
Cl2ガス供給時間(所定期間P):1〜55分
Cl2ガス供給流量:30〜1000sccm
が例示される。他の処理条件は、ステップAにおける処理条件と同様とする。
なお、ウエハ200に対するCl2ガスの供給は、ウエハ200の外周部とウエハ200の中央部との温度差が1℃以上10℃以下の温度差、例えば5℃程度の温度差となった状態で実施するのが好ましい。上述の温度差が1℃未満であると、ウエハ200の外周部におけるエッチング反応を適正に抑制しながら、ウエハ200の中央部におけるエッチング反応を適正に進行させることが困難となる場合がある。上述の温度差を1℃以上の温度とすることで、上述の課題を解消し、第1Si膜のエッチング処理の面内均一性を向上させることが可能となる。また、上述の温度差が10℃を超えると、ウエハ200の外周部におけるエッチング反応が過剰に抑制されたり、ウエハ200の中央部におけるエッチング反応が過剰に進行したりし、第1Si膜のエッチング処理の面内均一性が低下する場合がある。上述の温度差を10℃以下の温度とすることで、上述の課題を解消し、第1Si膜のエッチング処理の面内均一性を向上させることが可能となる。
上述の処理条件範囲内で各条件を制御(適宜変更し調整)することにより、所望のエッチング処理を行うことが可能となる。例えば、Cl2ガス供給流量、第1温度、および、第2温度のうち少なくともいずれかの条件を制御することにより、第1Si膜のエッチングレートを微調整することが可能となる。また、降温レート、および、降温開始後にCl2ガスの供給を開始するまでの期間のうち少なくともいずれかの条件を制御することにより、Cl2ガスの供給開始時点におけるウエハ200の中央部とウエハ200の外周部との温度差を微調整することが可能となる。これにより、ウエハ200の中央部および外周部におけるエッチング量を、それぞれ適正化させることが可能となる。
(昇温ステップ)
第1Si膜の一部を所望の量だけエッチングした後、バルブ243eを閉じ、処理室201内へのCl2ガスの供給を停止する。その後、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する。このとき、処理室201内へのN2ガスの供給を継続し、処理室201内をN2ガスでパージする(パージステップ)。また、ヒータ207の出力を調整し、第1Si膜の一部がエッチングされたウエハ200を、第2温度から、上述の第1温度および第2温度のそれぞれよりも高い成膜温度へと昇温させる。
第1Si膜の一部を所望の量だけエッチングした後、バルブ243eを閉じ、処理室201内へのCl2ガスの供給を停止する。その後、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する。このとき、処理室201内へのN2ガスの供給を継続し、処理室201内をN2ガスでパージする(パージステップ)。また、ヒータ207の出力を調整し、第1Si膜の一部がエッチングされたウエハ200を、第2温度から、上述の第1温度および第2温度のそれぞれよりも高い成膜温度へと昇温させる。
(第2Si膜形成ステップ)
エッチングステップが終了した後、第1Si膜形成ステップのMSガス供給ステップにおける処理手順と同様の処理手順により、処理室201内のウエハ200に対してMSガスを供給する。すなわち、ウエハ200上に形成され、エッチング処理が施された後の第1Si膜、すなわち、一部がエッチングされた第1Si膜に対し、MSガスを供給する(MSガス供給ステップ)。MSガスの供給時間は、例えば1〜300分の範囲内の時間とする。他の処理条件は、第1Si膜形成ステップのMSガス供給ステップにおける処理条件と同様とする。
エッチングステップが終了した後、第1Si膜形成ステップのMSガス供給ステップにおける処理手順と同様の処理手順により、処理室201内のウエハ200に対してMSガスを供給する。すなわち、ウエハ200上に形成され、エッチング処理が施された後の第1Si膜、すなわち、一部がエッチングされた第1Si膜に対し、MSガスを供給する(MSガス供給ステップ)。MSガスの供給時間は、例えば1〜300分の範囲内の時間とする。他の処理条件は、第1Si膜形成ステップのMSガス供給ステップにおける処理条件と同様とする。
ウエハ200に対してMSガスを供給することにより、図5(d)に示すように、ウエハ200上、すなわち、一部がエッチングされた第1Si膜の表面上に、第2Si膜を形成することができる。上述したように、エッチングステップを実施することで、第1Si膜が有していた中空部は上部が開口して露出した状態となっており、また、その縦断面形状は、底部側から表面側に向かうにつれて開口幅が次第に大きくなるV字形状等へと加工されている。これらにより、第2Si膜は、開口された中空部の側部等からオーバーハングするように成長しなくなる。すなわち、MSガス供給ステップを継続しても、開口された中空部の表面側は塞がれなくなり、中空部の内部にはMSガスが確実に供給され続けるようになる。結果として、第2Si膜には中空部が形成されなくなり、ウエハ200の表面に設けられた凹部の内部は、第1Si膜および第2Si膜によって完全に、すなわち、ボイドフリーかつシームレスの状態となるように埋め込まれる。なお、本ステップにおける処理条件下では、第2Si膜の結晶構造はアモルファスとなる。
その後、バルブ243aを閉じ、処理室201内へのMSガスの供給を停止する。そして、第1Si膜形成ステップのパージステップにおける処理手順と同様の処理手順により、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する(パージステップ)。
(アフターパージおよび大気圧復帰)
第2Si膜形成ステップが終了した後、ガス供給管232c,232dのそれぞれからN2ガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物等が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
第2Si膜形成ステップが終了した後、ガス供給管232c,232dのそれぞれからN2ガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物等が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、反応管203の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態で、反応管203の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。処理済のウエハ200は、反応管203の外部に搬出された後、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、反応管203の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態で、反応管203の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。処理済のウエハ200は、反応管203の外部に搬出された後、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
(3)本実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
(a)ステップCにおいて、ウエハ200の降温期間中の所定期間Pにウエハ200に対してCl2ガスを供給することにより、第1Si膜のエッチング処理の面内均一性を向上させることが可能となる。
すなわち、ウエハ200の外周部の温度がウエハ200の中央部の温度よりも低くなった後に、ウエハ200に対するCl2ガスの供給を開始することにより、ウエハ200の外周部における第1Si膜のエッチング反応を適正に抑制しながら、ウエハ200の中央部における第1Si膜のエッチング反応を適正に進行させることが可能となる。結果として、ウエハ200の外周部からウエハ200の中央部へ向かってCl2ガスを流す場合であっても、第1Si膜のエッチング処理の面内均一性を向上させることが可能となる。また、ウエハ200の降温を開始した後、ウエハ200の外周部とウエハ200の中央部との温度差が所定の温度差となった後に、ウエハ200に対するCl2ガスの供給を開始することにより、第1Si膜のエッチング処理の面内均一性を確実に向上させることが可能となる。
また、ウエハ200の外周部の温度がウエハ200の中央部の温度よりも低くなる前は、ウエハ200に対するCl2ガスの供給を不実施とすることにより、第1Si膜のエッチング処理の面内均一性を確実に向上させることが可能となる。また、ウエハ200の外周部とウエハ200の中央部との温度差が所定の温度差となる前は、ウエハ200の外周部の温度がウエハ200の中央部の温度よりも低くなった後であってもウエハ200に対するCl2ガスの供給を不実施とすることにより、第1Si膜のエッチング処理の面内均一性をより確実に向上させることが可能となる。
なお、エッチングステップにおいて、ウエハ200の昇温期間中にウエハ200に対してCl2ガスを供給した場合、ヒータ207に近いウエハ200の外周部における第1Si膜のエッチング反応が過剰に進行し、また、ヒータ207から遠いウエハ200の中央部における第1Si膜のエッチング反応が過剰に抑制される場合がある。結果として、第1Si膜のエッチング処理の面内均一性が低下しやすくなる。
(b)ステップAにおいて、表面に第1Si膜が形成されたウエハ200の温度を第1温度とし、ステップBにおいて、第1Si膜が形成されたウエハ200の面内温度を第1温度に安定させることにより、その後に行うステップCにおいて、ウエハ200の外周部の温度がウエハ200の中央部の温度よりも低くなった状態を確実に作り出すことが可能となる。結果として、ステップAを実施した後、ステップBを実施せずにステップCを実施する場合よりも、第1Si膜のエッチング処理の面内均一性を向上させることが可能となる。というのも、ステップAを実施した後、ステップBを実施せずにステップCを実施する場合には、ウエハ200の面内温度が不安定である状態、例えば、ウエハ200の面内温度にばらつきが存在する状態で、ステップCを開始することとなる。結果として、ステップCにおいて、ウエハ200の外周部の温度がウエハ200の中央部の温度よりも低くなった所望の温度分布を作り出すことが困難となる場合がある。
(c)第1成膜ステップにおける成膜温度を、第1Si膜の結晶状態をアモルファスとすることが可能な温度とし、エッチングステップにおける処理温度(第1温度、第2温度)を、第1Si膜のアモルファス状態が維持される温度とすることにより、これらのステップでの第1Si膜の結晶化を回避することが可能となる。これにより、エッチングステップにおいて、第1Si膜のエッチングレートが高い状態を維持することが可能となり、基板処理の生産性を向上させることが可能となる。また、第1Si膜の局所的な結晶化、すなわち、ウエハ200の面内における第1Si膜の結晶状態のばらつきを回避することができ、エッチング処理後の第1Si膜の表面に、第1Si膜の結晶状態のばらつき(エッチングされ易さのばらつき)に起因して、凹凸が形成されることを抑制することが可能となる。結果として、第1Si膜と第2Si膜との界面ラフネスの悪化や、最終的に形成されるSi膜(第1Si膜と第2Si膜との積層膜)の表面ラフネスの悪化、すなわち、膜の表面の平滑度の低下を回避することが可能となる。
(d)ステップCにおいて、ウエハ200の降温期間中の所定期間Pにウエハ200に対してCl2ガスを供給することにより、第1Si膜のエッチング処理のウエハ間均一性を向上させることが可能となる。すなわち、ウエハ200の外周部だけでなく、ウエハ200の中央部でもエッチング処理を適正に進行させることで、未反応のCl2ガスがガス流の下流側(ウエハ配列領域内の下部側)へ流れ込んで滞留することを抑制することが可能となる。その結果、ウエハ配列領域内の下部側におけるエッチング処理の過剰な進行を抑制し、ウエハ間におけるエッチング処理の均一性を向上させることが可能となる。
(e)上述の効果は、Cl2ガス以外のエッチングガスを用いる場合や、MSガス以外の原料ガスを用いる場合や、N2ガス以外の不活性ガスを用いる場合にも、同様に得ることができる。
(4)変形例
本実施形態は、以下の変形例のように変更することができる。また、これらの変形例は、任意に組み合わせることができる。特に説明がない限り、各変形例の各ステップにおける処理手順、処理条件は、上述の基板処理シーケンスの各ステップにおける処理手順、処理条件と同様とする。
本実施形態は、以下の変形例のように変更することができる。また、これらの変形例は、任意に組み合わせることができる。特に説明がない限り、各変形例の各ステップにおける処理手順、処理条件は、上述の基板処理シーケンスの各ステップにおける処理手順、処理条件と同様とする。
(変形例1)
エッチングステップにおいては、上述のステップA〜Cをこの順に行うサイクルを複数回実施してから、ステップDを行うようにしてもよい。本変形例においても、図4に示す基板処理シーケンスと同様の効果が得られる。また、本変形例によれば、ウエハ200の表面に形成された凹部のアスペクト比が例えば20以上となるような場合、すなわち、中空部が凹部内における底部側に形成されるような場合であっても、中空部を露出させ、さらに、露出した中空部の縦断面形状をV字形状等へと加工することが容易に行えるようになる。結果として、第2Si膜形成ステップにおいて、凹部の内部のSi膜による埋め込みをより確実に行えるようになる。
エッチングステップにおいては、上述のステップA〜Cをこの順に行うサイクルを複数回実施してから、ステップDを行うようにしてもよい。本変形例においても、図4に示す基板処理シーケンスと同様の効果が得られる。また、本変形例によれば、ウエハ200の表面に形成された凹部のアスペクト比が例えば20以上となるような場合、すなわち、中空部が凹部内における底部側に形成されるような場合であっても、中空部を露出させ、さらに、露出した中空部の縦断面形状をV字形状等へと加工することが容易に行えるようになる。結果として、第2Si膜形成ステップにおいて、凹部の内部のSi膜による埋め込みをより確実に行えるようになる。
(変形例2)
エッチングガスとして、Cl2ガスよりも反応性の低い塩化水素(HCl)ガスを用いるようにしてもよい。この場合、上述の第1温度を例えば650〜750℃の範囲内の温度とし、第2温度を例えば500〜550℃の範囲内の温度とするのが好ましい。また、HClガスは、N2ガスや水素(H2)ガスにより希釈しながら処理室201内へ流すのが好ましい。本変形例においても、図4に示す基板処理シーケンスと同様の効果が得られる。
エッチングガスとして、Cl2ガスよりも反応性の低い塩化水素(HCl)ガスを用いるようにしてもよい。この場合、上述の第1温度を例えば650〜750℃の範囲内の温度とし、第2温度を例えば500〜550℃の範囲内の温度とするのが好ましい。また、HClガスは、N2ガスや水素(H2)ガスにより希釈しながら処理室201内へ流すのが好ましい。本変形例においても、図4に示す基板処理シーケンスと同様の効果が得られる。
但し、上述した技術的課題、すなわち、エッチング処理の均一性低下は、エッチングガスとして反応性の高いCl2ガス等を用いる場合に特に顕著に生じる。そのため、本実施形態で示したエッチング処理の技術的意義は、エッチングガスとしてCl2ガス等の反応性の高いガスを用いる場合に特に大きなものとなる。また、エッチングガスとしてCl2ガス等の反応性の高いガスを用いる場合、エッチングステップを、第1Si膜のアモルファス状態が維持される温度下で行うことができる。その結果、上述の効果、すなわち、第1Si膜のエッチングレートが高い状態を維持する等の効果が、確実に得られるようになる。
(変形例3)
第1Si膜形成ステップにおいては、ウエハ200に対してMSガスと一緒に(同時に)PHガスを供給するようにしてもよい。この場合、第1Si膜は、ドーパントとしてのPがドープされたSi膜となる。PHガスの供給流量は、ウエハ200上に形成するデバイスの仕様等によって適宜決定されるが、例えば0.1〜500sccmの範囲内の流量とすることができる。本変形例においても、図4等に示す基板処理シーケンスと同様の効果が得られる。
第1Si膜形成ステップにおいては、ウエハ200に対してMSガスと一緒に(同時に)PHガスを供給するようにしてもよい。この場合、第1Si膜は、ドーパントとしてのPがドープされたSi膜となる。PHガスの供給流量は、ウエハ200上に形成するデバイスの仕様等によって適宜決定されるが、例えば0.1〜500sccmの範囲内の流量とすることができる。本変形例においても、図4等に示す基板処理シーケンスと同様の効果が得られる。
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。但し、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。但し、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
上述の実施形態では、第1Si膜形成ステップ〜第2Si膜形成ステップに至る一連のステップを、同一の処理室201内にて(in−situで)行う例について説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されない。例えば、第1Si膜形成ステップと、エッチングステップ以降のステップ群と、を異なる処理室内にて(ex−situで)行うこともできる。また例えば、エッチングステップに至る一連のステップ群と、第2Si膜形成ステップと、をex−situで行うこともできる。また例えば、第1,第2Si膜形成ステップと、エッチングステップと、をex−situで行うこともできる。また例えば、それぞれのステップをex−situで行うこともできる。但し、全てのステップをin−situで行う方が、途中、ウエハ200が大気曝露されることはなく、ウエハ200を清浄な雰囲気下に置いたまま一貫して処理を行うことができ、安定した成膜処理を行うことが可能となる。
基板処理に用いられるレシピは、処理内容に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置123を介して記憶装置121c内に格納しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、CPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のレシピの中から、基板処理の内容に応じて、適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の膜を、再現性よく形成することができるようになる。また、オペレータの負担を低減でき、操作ミスを回避しつつ、処理を迅速に開始できるようになる。
上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意してもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更するようにしてもよい。
上述の実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の実施形態や変形例と同様な処理手順、処理条件にて成膜を行うことができ、これらと同様の効果が得られる。
また、上述の実施形態や変形例は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述の実施形態の処理手順、処理条件と同様とすることができる。
以下、実施例について説明する。
実施例として、図1に示す基板処理装置を用い、上述の実施形態のエッチングステップにおける処理手順、処理条件と同様の処理手順、処理条件により、ウエハの表面に形成されたSi膜をエッチングした。エッチングガスとしてはCl2ガスを用いた。
比較例として、図1に示す基板処理装置を用い、ウエハの表面に形成されたSi膜をエッチングした。エッチングガスとしてはCl2ガスを用いた。処理温度は300〜400℃の範囲内の一定の温度とした。他の処理手順、処理条件は、実施例における処理手順、処理条件と同様とした。
そして、実施例および比較例について、ウエハ面内でのSi膜のエッチング量の均一性(WiW)、および、ウエハ間でのSi膜のエッチング量の均一性(WtW)をそれぞれ測定した。図6(a)は実施例の測定結果を示す図であり、図6(b)は比較例の測定結果を示す図である。これらの図において、TOP、CEN、BTMは、ウエハ配列領域内におけるウエハの位置を、すなわち、ウエハの位置がウエハ配列領域内の上部、中央部、下部であることをそれぞれ示している。WiW(±%)は、Si膜のエッチング量のウエハ面内での均一性を示しており、その値が小さいほどエッチング量のウエハ面内均一性が良好であることを示している。WtW(ű%)は、Si膜のエッチング量のウエハ間での均一性を示しており、その値が小さいほど、エッチング量のウエハ間均一性が良好であることを示している。
図6(a)、図6(b)によれば、実施例におけるWiWの値は、比較例におけるWiWの値よりも小さいことが分かる。また、実施例におけるWtWの値は、比較例におけるWtWの値よりも小さいことが分かる。すなわち、実施例で採用したエッチング手法(上述の実施形態の手法)の方が、比較例で採用したエッチング手法よりも、ウエハ面内でのエッチング量の均一性、および、ウエハ間でのエッチング量の均一性が、それぞれ良好であることが分かる。なお、比較例では、ウエハの外周部におけるエッチング量がウエハの中央部におけるエッチング量よりも多くなり、その結果、実施例よりもWiWが低下したものと考えられる。また、比較例では、ガス流の上流側において、ウエハの外周部でのエッチング処理が進行するものの、ウエハの中央部でのエッチング処理の進行が抑制されることにより、未反応のCl2ガスがガス流の下流側(BTM側)に流れ込んで滞留し、その結果、BTM側においてエッチング処理が過剰に進行し、WtWが低下したものと考えられる。
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
(付記1)
本発明の一態様によれば、
(a)表面に膜が形成された基板の温度を第1温度とする工程と、
(b)前記基板の面内温度を前記第1温度に安定させる工程と、
(c)面内温度が前記第1温度に安定した前記基板を前記第1温度から前記第1温度よりも低い第2温度へ降温させ、その降温期間中の所定期間に前記基板に対してエッチングガスを供給する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板の表面に形成された前記膜の一部をエッチングする工程を有する半導体装置の製造方法、または、基板処理方法が提供される。
本発明の一態様によれば、
(a)表面に膜が形成された基板の温度を第1温度とする工程と、
(b)前記基板の面内温度を前記第1温度に安定させる工程と、
(c)面内温度が前記第1温度に安定した前記基板を前記第1温度から前記第1温度よりも低い第2温度へ降温させ、その降温期間中の所定期間に前記基板に対してエッチングガスを供給する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで、前記基板の表面に形成された前記膜の一部をエッチングする工程を有する半導体装置の製造方法、または、基板処理方法が提供される。
(付記2)
付記1に記載の方法であって、好ましくは、
(c)では、前記基板の降温を開始した後、前記基板の外周部の温度が前記基板の中央部の温度よりも低くなった後に、前記エッチングガスの供給を開始する。すなわち、前記所定期間は、前記基板の外周部の温度が前記基板の中央部の温度よりも低くなる期間である。
付記1に記載の方法であって、好ましくは、
(c)では、前記基板の降温を開始した後、前記基板の外周部の温度が前記基板の中央部の温度よりも低くなった後に、前記エッチングガスの供給を開始する。すなわち、前記所定期間は、前記基板の外周部の温度が前記基板の中央部の温度よりも低くなる期間である。
(付記3)
付記1または2に記載の方法であって、好ましくは、
(c)では、前記基板の外周部の温度が前記基板の中央部の温度よりも低くなる前は、前記エッチングガスの供給を不実施とする。
付記1または2に記載の方法であって、好ましくは、
(c)では、前記基板の外周部の温度が前記基板の中央部の温度よりも低くなる前は、前記エッチングガスの供給を不実施とする。
(付記4)
付記1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(c)では、前記基板の降温を開始した後、前記基板の外周部と前記基板の中央部との温度差が所定の温度差となった後に、前記エッチングガスの供給を開始する。すなわち、前記所定期間は、前記基板の外周部と前記基板の中央部との温度差が所定の温度差となる期間である。
付記1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(c)では、前記基板の降温を開始した後、前記基板の外周部と前記基板の中央部との温度差が所定の温度差となった後に、前記エッチングガスの供給を開始する。すなわち、前記所定期間は、前記基板の外周部と前記基板の中央部との温度差が所定の温度差となる期間である。
(付記5)
付記4に記載の方法であって、好ましくは、
前記所定の温度差は1℃以上10℃以下である。
付記4に記載の方法であって、好ましくは、
前記所定の温度差は1℃以上10℃以下である。
(付記6)
付記1〜5のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(c)では、前記基板の外周部と前記基板の中央部との温度差が所定の温度差となる前は、前記エッチングガスの供給を不実施とする。
付記1〜5のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(c)では、前記基板の外周部と前記基板の中央部との温度差が所定の温度差となる前は、前記エッチングガスの供給を不実施とする。
(付記7)
付記1〜6のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(c)では、前記基板の外周部と前記基板の中央部との温度差が所定の温度差でない場合は、前記エッチングガスの供給を不実施とする。
付記1〜6のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(c)では、前記基板の外周部と前記基板の中央部との温度差が所定の温度差でない場合は、前記エッチングガスの供給を不実施とする。
(付記8)
付記1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記エッチングガスは、前記基板の側方部から前記基板の中央部へ向かって流れ込む。
付記1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記エッチングガスは、前記基板の側方部から前記基板の中央部へ向かって流れ込む。
(付記9)
付記1〜8のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記エッチングガスは、前記基板の表面に形成された前記膜の外周部に接触した後、中央部に接触する。
付記1〜8のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記エッチングガスは、前記基板の表面に形成された前記膜の外周部に接触した後、中央部に接触する。
(付記10)
付記1〜9のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜の一部をエッチングする工程を実施する前に、前記基板の表面に設けられた凹部内を埋め込むように前記膜を形成する工程を、さらに有する。
付記1〜9のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜の一部をエッチングする工程を実施する前に、前記基板の表面に設けられた凹部内を埋め込むように前記膜を形成する工程を、さらに有する。
(付記11)
付記1〜10のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜の一部をエッチングする工程を実施した後に、一部がエッチングされた前記膜上に、さらに膜を形成する(ことで前記凹部内を前記膜で埋め込む)工程を、さらに有する。
付記1〜10のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜の一部をエッチングする工程を実施した後に、一部がエッチングされた前記膜上に、さらに膜を形成する(ことで前記凹部内を前記膜で埋め込む)工程を、さらに有する。
(付記12)
付記11に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程および前記さらに膜を形成する工程と、前記膜の一部をエッチングする工程と、を異なる処理室内で(ex−situにて)行う。
付記11に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程および前記さらに膜を形成する工程と、前記膜の一部をエッチングする工程と、を異なる処理室内で(ex−situにて)行う。
(付記13)
付記11に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程、前記膜の一部をエッチングする工程、および、前記さらに膜を形成する工程を、同一の処理室内で(in−situにて)行う。
付記11に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程、前記膜の一部をエッチングする工程、および、前記さらに膜を形成する工程を、同一の処理室内で(in−situにて)行う。
(付記14)
付記11〜13のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程、前記膜の一部をエッチングする工程、および、前記さらに膜を形成する工程を、550℃以下の温度下で行う。
付記11〜13のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程、前記膜の一部をエッチングする工程、および、前記さらに膜を形成する工程を、550℃以下の温度下で行う。
(付記15)
付記11〜13のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程、前記膜の一部をエッチングする工程、および、前記さらに膜を形成する工程を、前記膜の結晶化温度以下または未満の温度下で行う。
付記11〜13のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程、前記膜の一部をエッチングする工程、および、前記さらに膜を形成する工程を、前記膜の結晶化温度以下または未満の温度下で行う。
(付記16)
付記11〜13のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程、前記膜の一部をエッチングする工程、および、前記さらに膜を形成する工程を、前記膜の結晶状態がアモルファス状態から多結晶状態へ移行する臨界温度以下または未満の温度下で行う。
付記11〜13のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程、前記膜の一部をエッチングする工程、および、前記さらに膜を形成する工程を、前記膜の結晶状態がアモルファス状態から多結晶状態へ移行する臨界温度以下または未満の温度下で行う。
(付記17)
付記1〜16のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程では、前記膜として、ノンドープシリコン膜を形成し、前記さらに膜を形成する工程では、前記膜として、ノンドープシリコン膜またはドーパントがドープされたシリコン膜を形成する。
付記1〜16のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程では、前記膜として、ノンドープシリコン膜を形成し、前記さらに膜を形成する工程では、前記膜として、ノンドープシリコン膜またはドーパントがドープされたシリコン膜を形成する。
(付記18)
付記1〜14のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程では、前記膜として、ドーパントがドープされたシリコン膜を形成し、前記さらに膜を形成する工程では、前記膜として、ノンドープシリコン膜またはドーパントがドープされたシリコン膜を形成する。
付記1〜14のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程では、前記膜として、ドーパントがドープされたシリコン膜を形成し、前記さらに膜を形成する工程では、前記膜として、ノンドープシリコン膜またはドーパントがドープされたシリコン膜を形成する。
(付記19)
本発明の他の態様によれば、
基板が処理される処理室と、
前記処理室内の基板の温度を調整する温度調整部と、
前記処理室内の基板に対してエッチングガスを供給するエッチングガス供給系と、
前記処理室内において、付記1の各工程(各処理)を行わせるように、前記温度調整部および前記エッチングガス供給系を制御するよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、
基板が処理される処理室と、
前記処理室内の基板の温度を調整する温度調整部と、
前記処理室内の基板に対してエッチングガスを供給するエッチングガス供給系と、
前記処理室内において、付記1の各工程(各処理)を行わせるように、前記温度調整部および前記エッチングガス供給系を制御するよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
(付記20)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板処理装置の処理室内において、付記1の各工程(各手順)をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム、または、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
基板処理装置の処理室内において、付記1の各工程(各手順)をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム、または、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
200 ウエハ(基板)
Claims (8)
- (a)表面にアモルファスシリコン膜が形成された基板の温度を第1温度とする工程と、
(b)前記基板の面内温度を前記第1温度に安定させる工程と、
(c)面内温度が前記第1温度に安定した前記基板を前記第1温度から前記第1温度よりも低い第2温度へ降温させ、その降温期間中の所定期間に前記基板に対してCl2ガスを供給する工程と、
を含むサイクルを、前記アモルファスシリコン膜の結晶化温度未満の温度下で所定回数行うことにより、前記基板の表面に形成された前記アモルファスシリコン膜の一部をエッチングする工程を有し、
(c)では、前記基板の降温を開始した後、前記基板の外周部の温度が前記基板の中央部の温度よりも低くなった後であって、前記基板の外周部と前記基板の中央部との温度差が1℃以上10℃以下の範囲内の所定の温度差となった後に、前記基板に対するCl2ガスの供給を開始し、前記基板の外周部と前記基板の中央部との温度差が前記所定の温度差となる前は、前記基板に対するCl2ガスの供給を不実施とする半導体装置の製造方法。 - 前記アモルファスシリコン膜の一部をエッチングする工程を、550℃未満の温度下で行う請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記アモルファスシリコン膜の一部をエッチングする工程を、前記アモルファスシリコン膜の結晶状態がアモルファス状態から多結晶状態へ移行する臨界温度未満の温度下で行う請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記アモルファスシリコン膜の一部をエッチングする工程を実施する前に、前記基板の表面に設けられた凹部内を埋め込むように前記アモルファスシリコン膜を形成する工程を、さらに有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記アモルファスシリコン膜の一部をエッチングする工程を実施した後に、一部がエッチングされた前記アモルファスシリコン膜上に、さらにアモルファスシリコン膜を形成する工程を、さらに有する請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記アモルファスシリコン膜を形成する工程、前記アモルファスシリコン膜の一部をエッチングする工程、および、前記さらにアモルファスシリコン膜を形成する工程を、550℃未満の温度下で行う請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
- 基板が処理される処理室と、
前記処理室内の基板の温度を調整する温度調整部と、
前記処理室内の基板に対してCl2ガスを供給するガス供給系と、
前記処理室内において、(a)表面にアモルファスシリコン膜が形成された基板の温度を第1温度とする処理と、(b)前記基板の面内温度を前記第1温度に安定させる処理と、(c)面内温度が前記第1温度に安定した前記基板を前記第1温度から前記第1温度よりも低い第2温度へ降温させ、その降温期間中の所定期間に前記基板に対してCl2ガスを供給する処理と、を含むサイクルを、前記アモルファスシリコン膜の結晶化温度未満の温度下で所定回数行うことにより、前記基板の表面に形成された前記アモルファスシリコン膜の一部をエッチングする処理を行わせ、(c)では、前記基板の降温を開始した後、前記基板の外周部の温度が前記基板の中央部の温度よりも低くなった後であって、前記基板の外周部と前記基板の中央部との温度差が1℃以上10℃以下の範囲内の所定の温度差となった後に、前記基板に対するCl2ガスの供給を開始し、前記基板の外周部と前記基板の中央部との温度差が前記所定の温度差となる前は、前記基板に対するCl2ガスの供給を不実施とするように、前記温度調整部および前記ガス供給系を制御することが可能なよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置。 - 基板処理装置の処理室内において、
(a)表面にアモルファスシリコン膜が形成された基板の温度を第1温度とする手順と、
(b)前記基板の面内温度を前記第1温度に安定させる手順と、
(c)面内温度が前記第1温度に安定した前記基板を前記第1温度から前記第1温度よりも低い第2温度へ降温させ、その降温期間中の所定期間に前記基板に対してCl2ガスを供給する手順と、
を含むサイクルを、前記アモルファスシリコン膜の結晶化温度未満の温度下で所定回数行うことにより、前記基板の表面に形成された前記アモルファスシリコン膜の一部をエッチングする手順と、
(c)において、前記基板の降温を開始した後、前記基板の外周部の温度が前記基板の中央部の温度よりも低くなった後であって、前記基板の外周部と前記基板の中央部との温度差が1℃以上10℃以下の範囲内の所定の温度差となった後に、前記基板に対するCl2ガスの供給を開始し、前記基板の外周部と前記基板の中央部との温度差が前記所定の温度差となる前は、前記基板に対するCl2ガスの供給を不実施とする手順と、
をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20211012 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20220405 |