JP2021064362A - 数値制御装置と制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】切削加工の作業時間を短縮できる数値制御装置、及び制御方法を提供する。【解決手段】数値制御装置は第m終了位置から上向きに離隔した惰走位置と第m終了位置の間の距離を惰走距離Ldとして算出し、工具を第m加工位置から第m終了位置を経由して惰走位置迄上向きに移動する。数値制御装置は工具が第m終了位置を通過時、工具を第m切削位置から第m+1切削位置に向けて移動する。数値制御装置は惰走位置に移動した工具を惰走位置から下向きに移動時に工具が第m終了位置を通過時、工具が第m+1切削位置に到達するよう、惰走位置から下向きに工具の移動を開始する開始時機を算出する。数値制御装置は工具が惰走位置に到達し且つ開始時機が到来時、惰走位置から第m終了位置を経由してm+1開始位置迄下向きに工具を移動する。【選択図】図4

Description

本発明は数値制御装置と制御方法に関する。
特許文献1に記載の数値制御装置はZ軸モータが主軸ヘッドを切削動作の完了位置から復帰位置に向けて上方に移動し、更に復帰位置を超えた位置迄主軸ヘッドを上方に惰走する。該時、数値制御装置は主軸ヘッドが完了位置から復帰位置に到達する迄、Z軸モータの速度を維持する。故に数値制御装置は主軸ヘッドを完了位置から復帰位置迄移動する時間を短縮できる。数値制御装置は惰走移動中の主軸ヘッドを水平方向に移動して位置決め後、惰走移動に依る移動距離だけ主軸ヘッドを下方に移動して元の復帰位置に戻す。数値制御装置は復帰位置にある主軸ヘッドを完了位置迄下方に移動して次の切削動作を行う。
特開2009−237929号公報
切削加工の作業時間を短縮する為には完了位置から復帰位置迄主軸ヘッドを上方に移動する時間だけでなく、切削動作時に復帰位置から完了位置迄主軸ヘッドを下方に移動する時間も短縮するのが有効である。数値制御装置は復帰位置で主軸ヘッドを一端停止後、Z軸モータが主軸ヘッドを移動開始して完了位置迄下方に移動する。故に切削動作時に復帰位置から完了位置迄主軸ヘッドを下方に移動する時間が相対的に長くなるので、切削加工の作業時間を短縮できない時がある。
本発明の目的は切削加工の作業時間を短縮できる数値制御装置と制御方法の提供である。
請求項1に係る発明の数値制御装置は、被削材を保持する作業台に対して工具を第一軸方向に相対移動する第一軸モータと前記第一軸方向と直交する第二軸方向に相対移動する第二軸モータを駆動し、前記被削材を切削する切削加工を制御する数値制御装置であり、前記切削加工の過程で前記被削材に対する前記工具の相対位置を位置決めする為の指令を含むプログラムを記憶する記憶部と、前記プログラムに基づき前記第一軸モータと前記第二軸モータを制御することに依り前記工具を位置決めする制御部とを備え、前記プログラムは、前記第一軸方向の位置を規定した第m加工位置(mは1以上の整数)、第m終了位置、第m+1開始位置と、前記第二軸方向の位置を規定した第m切削位置、第m+1切削位置の相互間で前記工具を移動する指令であり、前記作業台に対して前記工具を、前記第一軸方向に沿って前記作業台から離隔する向きである離隔向きに前記第m加工位置から前記第m終了位置迄相対移動する為の第n指令(nは1以上の整数)、前記作業台に対して前記工具を、前記第m切削位置から前記第m+1切削位置迄前記第二軸方向に沿って相対移動する為の第n+1指令、前記作業台に対して前記工具を、前記第一軸方向に沿って前記作業台に近接する向きである近接向きに前記第m終了位置から前記第m+1開始位置迄相対移動する為の第n+2指令を少なくとも含み、前記制御部は、前記第m終了位置に対して前記離隔向きに離隔した惰走位置と前記第m終了位置の間の距離を惰走距離として算出する第一算出部と、前記第一軸モータを駆動し、前記工具を前記第m加工位置から前記第m終了位置を経由して前記惰走位置迄前記離隔向きに相対移動する第一移動部と、前記第一移動部に依り相対移動する前記工具が前記第m終了位置を通過時、前記第n+1指令に基づき前記第二軸モータを駆動し、前記工具を前記第m切削位置から前記第m+1切削位置に向けて前記第二軸方向に相対移動する第二移動部と、前記第一移動部に依り前記惰走位置に相対移動した前記工具を、前記惰走位置から前記第一軸方向に沿って前記近接向きに相対移動時に前記工具が前記第m終了位置を通過時、前記第二移動部に依り相対移動する前記工具が前記第m+1切削位置に到達するよう、前記惰走位置から前記近接向きに前記工具の相対移動を開始する開始時機を算出する第二算出部と、前記第一移動部に依り前記工具が前記惰走位置に到達し且つ前記第二算出部に依り算出した前記開始時機が到来時、前記第一軸モータを駆動し、前記惰走位置から前記第m終了位置を経由して前記m+1開始位置迄前記近接向きに前記工具を相対移動する第三移動部とを備え、前記第一算出部は、前記第m加工位置と前記第m終了位置の間の前記第一軸方向における距離である第n指令距離又は前記第m終了位置と前記第m+1開始位置の間の前記第一軸方向における距離である第n+2指令距離、前記第一軸モータの駆動に依る前記工具の最大速度、前記工具の加減速時における時定数に基づき、前記惰走距離を算出することを特徴とする。
数値制御装置は工具を離隔向きに相対移動する時に第m終了位置で速度を維持し、工具を近接向きに相対移動する時に第m終了位置で速度を維持できる。故に数値制御装置は工具に依る被削材の切削加工の作業時間を短縮できる。
請求項2に係る発明の数値制御装置の前記第一算出部は、前記第n指令距離が前記第n+2指令距離より大きい時、前記工具が前記第m加工位置から前記離隔向きに前記第n指令距離分相対移動する過程で前記工具が前記時定数に基づき加速して前記最大速度に達する前の経過速度に達する時、前記工具が前記時定数に基づき前記経過速度から減速して前記第m終了位置から前記離隔向きに相対移動時に前記工具が到達する前記第一軸方向の位置を前記惰走位置と決定し、決定した前記惰走位置と前記第m終了位置の間の距離を前記第n指令距離に基づき前記惰走距離として算出する。惰走距離が大きくなる程第一軸方向の移動量が大きくなり、工具の相対移動可能な範囲の端部に達する時がある。故に惰走距離は極力短いのが良い。数値制御装置は切削加工の作業時間を短縮し且つ最短の惰走距離を算出できる。
請求項3に係る発明の数値制御装置の前記第一算出部は、前記第n指令距離が前記第n+2指令距離より大きい時、前記工具が停止状態から前記時定数に基づき加速して前記最大速度に達する迄の加速距離を、前記時定数と前記最大速度に基づき算出し、前記第n指令距離が前記加速距離未満の時、前記第n指令距離を前記惰走距離として算出する。該時、数値制御装置は適切な惰走距離を容易に算出できる。
請求項4に係る発明の数値制御装置の前記第一移動部は、前記工具が前記第m加工位置から前記離隔向きに前記第n指令距離分相対移動する間の速度を前記時定数に基づき前記経過速度迄加速し、前記工具が前記離隔向きに前記惰走距離分相対移動する間の速度を前記経過速度から前記時定数に基づき減速する。該時、数値制御装置は時定数と経過速度の範囲で工具の速度を最大化できる。故に数値制御装置は工具が第m加工位置から第m終了位置迄相対移動する時間を最大限短縮できる。
請求項5に係る発明の数値制御装置の前記第一算出部は、前記第n指令距離が前記第n+2指令距離より大きい時、前記工具が前記第m加工位置から前記離隔向きに前記第n指令距離分相対移動する過程で、前記工具が前記時定数に基づき加速して前記最大速度に達する時、前記工具が前記時定数に基づき前記最大速度から減速して前記第m終了位置から前記離隔向きに相対移動時に前記工具が到達する前記第一軸方向の位置を前記惰走位置と決定し、決定した前記惰走位置と前記第m終了位置の間の距離を前記時定数と前記最大速度に基づき前記惰走距離として算出する。惰走距離が大きくなる程第一軸方向の移動量が大きくなり、工具の相対移動可能な範囲の端部に達する時がある。故に惰走距離は極力短いのが良い。数値制御装置は切削加工の作業時間を短縮し且つ最短の惰走距離を算出できる。
請求項6に係る発明の数値制御装置の前記第一算出部は、前記第n指令距離が前記第n+2指令距離より大きい時、前記工具が停止状態から前記時定数に基づき加速して前記最大速度に達する迄の加速距離を前記時定数と前記最大速度に基づき算出し、前記第n指令距離が前記加速距離以上の時、前記加速距離を前記惰走距離として算出する。該時、数値制御装置は適切な惰走距離を容易に算出できる。
請求項7に係る発明の数値制御装置の前記第一移動部は、前記工具が前記第m加工位置から前記離隔向きに前記第n指令距離分相対移動する間の速度を前記時定数に基づき前記最大速度迄加速し、前記工具が前記離隔向きに前記惰走距離分相対移動する間の速度を前記最大速度から前記時定数に基づき減速する。該時、数値制御装置は時定数と最大速度の範囲で工具の速度を最大化できる。故に数値制御装置は工具が第m加工位置から第m終了位置迄相対移動する時間を最大限短縮できる。
請求項8に係る発明の数値制御装置の前記第一算出部は、前記第n指令距離が前記第n+2指令距離以下の時、前記時定数に基づき減速しながら前記第m終了位置から前記第n+2指令距離分前記近接向きに相対移動時に前記第m+1開始位置で停止する時の前記第m終了位置での速度が前記最大速度より小さい経過速度の時、前記時定数に基づき加速しながら前記第m終了位置に向けて前記近接向きに相対移動時に前記第m終了位置で前記経過速度となる移動開始位置を前記惰走位置と決定し、決定した前記惰走位置と前記第m終了位置の間の距離を前記第n+2指令距離に基づき前記惰走距離として算出する。惰走距離が大きくなる程第一軸方向の移動量が大きくなり、工具の相対移動可能な範囲の端部に達する時がある。故に惰走距離は極力短いのが良い。数値制御装置は切削加工の作業時間を短縮し且つ最短の惰走距離を算出できる。
請求項9に係る発明の数値制御装置の前記第一算出部は、前記第n指令距離が前記第n+2指令距離以下の時、前記工具が前記最大速度から前記時定数に基づき減速して停止する迄の減速距離を前記時定数と前記最大速度に基づき算出し、前記第n+2指令距離が前記減速距離未満の時、前記第n+2指令距離を前記惰走距離として算出する。数値制御装置は適切な惰走距離を容易に算出できる。
請求項10に係る発明の数値制御装置の前記第三移動部は、前記工具が前記惰走位置から前記近接向きに前記惰走距離分相対移動する間の速度を前記時定数に基づき前記経過速度迄加速し、前記工具が前記近接向きに前記第n+2指令距離分相対移動する間の速度を前記経過速度から前記時定数に基づき減速する。該時、数値制御装置は時定数と経過速度の範囲で工具の速度を最大化できる。故に数値制御装置は工具が第m終了位置から第m+1開始位置迄相対移動する時間を最大限短縮できる。
請求項11に係る発明の数値制御装置の前記第一算出部は、前記第n指令距離が前記第n+2指令距離以下の時、前記時定数に基づき減速しながら前記第m終了位置から前記第n+2指令距離分前記近接向きに相対移動時に前記第m+1開始位置で停止する時の前記第m終了位置での速度が前記最大速度の時、前記時定数に基づき加速しながら前記第m終了位置に向けて前記近接向きに相対移動時に前記第m終了位置で前記最大速度となる相対移動開始位置を前記惰走位置と決定し、決定した前記惰走位置と前記第m終了位置の間の距離を前記時定数と前記最大速度に基づき前記惰走距離として算出する。惰走距離が大きくなる程第一軸方向の移動量が大きくなり、工具の相対移動可能な範囲の端部に達する時がある。故に惰走距離は極力短いのが良い。数値制御装置は切削加工の作業時間を短縮し且つ最短の惰走距離を算出できる。
請求項12に係る発明の数値制御装置の前記第一算出部は、前記第n指令距離が前記第n+2指令距離以下の時、前記工具が前記最大速度から前記時定数に基づき減速して停止する迄の減速距離を前記時定数と前記最大速度に基づき算出し、前記第n+2指令距離が前記減速距離以上の時、前記減速距離を前記惰走距離として算出する。数値制御装置は適切な惰走距離を容易に算出できる。
請求項13に係る発明の数値制御装置の前記第三移動部は、前記工具が前記惰走位置から前記近接向きに前記惰走距離分相対移動する間の速度を前記時定数に基づき前記最大速度迄加速し、前記工具が前記近接向きに前記第n+2指令距離分相対移動する間の速度を前記最大速度から前記時定数に基づき減速する。数値制御装置は時定数と最大速度の範囲で工具の速度を最大化できる。故に数値制御装置は工具が第m終了位置から第m+1開始位置迄相対移動する時間を最大限短縮できる。
請求項14に係る発明の制御方法は、被削材を保持する作業台に対して工具を第一軸方向に沿って前記作業台から離隔する向きである離隔向きに第m加工位置(mは1以上の整数)から第m終了位置迄相対移動する為の第n指令(nは1以上の整数)、前記作業台に対して前記工具を第m切削位置から第m+1切削位置迄前記第一軸方向と直交する第二軸方向に沿って相対移動する為の第n+1指令、前記作業台に対して前記工具を前記第一軸方向に沿って前記作業台に近接する向きである近接向きに前記第m終了位置から第m+1開始位置迄相対移動する為の第n+2指令を少なくとも含むプログラムに基づき、前記作業台に対して前記工具を前記第一軸方向に相対移動する第一軸モータと前記第二軸方向に相対移動する第二軸モータを制御して前記被削材を切削する切削加工を制御する制御方法であり、前記第m終了位置に対して前記離隔向きに離隔した惰走位置と前記第m終了位置の間の距離を惰走距離として算出する第一算出工程と、前記第一軸モータを駆動し、前記工具を前記第m加工位置から前記第m終了位置を経由して前記惰走位置迄前記離隔向きに相対移動する第一移動工程と、前記第一移動工程に依り相対移動する前記工具が前記第m終了位置を通過時、前記第n+1指令に基づき前記第二軸モータを駆動し、前記工具を前記第m切削位置から前記第m+1切削位置に向けて前記第二軸方向に相対移動する第二移動工程と、前記第一移動工程に依り前記惰走位置に相対移動した前記工具を、前記惰走位置から前記第一軸方向に沿って前記近接向きに相対移動時に前記工具が前記第m終了位置を通過時、前記第二移動工程に依り相対移動する前記工具が前記第m+1切削位置に到達するよう、前記惰走位置から前記近接向きに前記工具の相対移動を開始する開始時機を算出する第二算出工程と、前記第一移動工程に依り前記工具が前記惰走位置に到達し且つ前記第二算出工程に依り算出した前記開始時機が到来時、前記第一軸モータを駆動し、前記惰走位置から前記第m終了位置を経由して前記m+1開始位置迄、前記近接向きに前記工具を相対移動する第三移動工程とを備え、前記第一算出工程は、前記第m加工位置と前記第m終了位置の間の前記第一軸方向における距離である第n指令距離又は第m終了位置と前記第m+1開始位置の間の前記第一軸方向における距離である第n+2指令距離と、前記第一軸モータの駆動に依る前記工具の最大速度と、前記工具の加減速時における時定数に基づき、前記惰走距離を算出することを特徴とする。該時、技術方案1と同様の効果がある。
工作機械10の概要を示す左側面図。 数値制御装置20と工作機械10の電気的構成を示すブロック図。 制御指令に基づき移動する工具4の相対移動軌跡を示す図。 第n指令〜第n+2指令に基づき移動する工具4の相対移動軌跡を示す図。 工具4の移動速度を示す図表(Lzup>Lzdownの時)。 工具4の移動速度を示す図表(X軸方向)。 工具4の移動速度を示す図表(Lzup≦Lzdownの時)。 主処理の流れ図。 第一算出処理の流れ図。 第二算出処理の流れ図。 第三算出処理の流れ図。 図8に続く主処理の流れ図。
図1に示す工作機械10は主軸9に装着した工具4で作業台50上の被削材Wの切削加工等を行う。図2の数値制御装置20は工作機械10の動作を制御する。工作機械10の前側、後側、左側、右側、上側、下側は夫々図1の左側、右側、奥側、手前側、上側、下側に対応する。工作機械10の左右方向、前後方向、上下方向は夫々X軸方向、Y軸方向、Z軸方向である。
図1の如く、工作機械10は基台2、立柱5、主軸ヘッド7、主軸9、作業台装置40、操作盤16(図2参照)等を備える。工作機械10は作業台装置40の作業台50がX軸、Y軸の二軸方向に移動する。基台2は工作機械10の土台である。立柱5は基台2上面後部に固定する。主軸ヘッド7は立柱5前面に沿ってZ軸方向に移動する。立柱5は前面にZ軸移動機構を備える。Z軸移動機構はZ軸モータ11(図2参照)を駆動源とする。Z軸移動機構は後述するY軸移動機構と同様の構造である。主軸ヘッド7は内部に主軸9を回転可能に設ける。工具4は主軸9下端に設けた工具装着穴に装着する。
作業台装置40は基台2上面且つ主軸ヘッド7下方に設ける。作業台装置40は作業台50をX軸とY軸の二軸方向に移動可能に支持する。図1に示す作業台装置40は作業台50をY軸方向に移動するY軸移動機構のみ図示し、X軸移動機構は省略する。作業台装置40はベッド41、Y軸軌道42、Y軸モータ14、継手43、ボール螺子44、軸受部45、ナット46、作業台50等を備える。ベッド41、Y軸軌道42、Y軸モータ14、継手43、ボール螺子44、軸受部45、ナット46はY軸移動機構を構成する。ベッド41は基台2上面に設置する。ベッド41は左右方向中央部にY軸方向に長い凹部を備え、該凹部の内側にY軸移動機構の大部分を格納する。Y軸軌道42はベッド41上部に設け、Y軸方向に延びる。Y軸軌道42は作業台50をY軸方向に移動可能に案内する。Y軸モータ14はベッド41の凹部後側に設ける。ボール螺子44はベッド41の凹部内側に設け、Y軸方向に延びる。継手43はY軸モータ14の出力軸と、ボール螺子44後端部を互いに連結する。軸受部45はボール螺子44前端部を回転可能に支持する。故にY軸モータ14の出力軸が回転すると、継手43を介してボール螺子44は回転する。ナット46は作業台50下面に固定し、ボール螺子44に螺合する。故にボール螺子44の回転に伴い作業台50はナット46と共にY軸方向に移動する。作業台装置40はY軸移動機構に加え、X軸の移動機構を備える。X軸移動機構はY軸移動機構をX軸方向に移動可能に支持する。X軸移動機構はX軸モータ13(図2参照)を駆動源し、Y軸移動機構の構造と同様である。
以下、X軸移動機構に応じて被削材Wを保持する作業台50を工具4に対してX軸方向に移動することを、(被削材Wに対して)工具4をX軸方向に移動すると言い換える。Y軸移動機構に応じて被削材Wを保持する作業台50を工具4に対してY軸方向に移動することを、(被削材Wに対して)工具4をY軸方向に移動すると言い換える。
図2の如く、操作盤16は入力部17と表示部18を備える。入力部17は各種入力、指示、設定等を行う為の機器である。表示部18は各種画面を表示する機器である。数値制御装置20はCPU21、ROM22、RAM23、記憶装置24、入出力部25、駆動回路26〜29等を備える。CPU21は数値制御装置20を統括制御する。ROM22はCPU21が主処理を実行する為のプログラム、設定値を記憶する。RAM23は各種処理実行中の各種データを記憶する。記憶装置24は不揮発性メモリであり、NCプログラムの他、各種パラメータ等を記憶する。NCプログラムは所定のプログラム言語に依る複数の制御指令で工作機械10の動作を記述する。各制御指令は工作機械10に依る切削加工の過程で工具4を位置決めする為の指令等である。各種パラメータは最大速度Vxmax(X軸モータ13の最大速度)、Vymax(Y軸モータ14の最大速度)、Vzmax(Z軸モータ11の最大速度),後述する時定数Cx,Cy,Czを含む。入出力部25は操作盤16、CPU21、ROM22、RAM23、記憶装置24、駆動回路26〜29に接続する。駆動回路26〜29はサーボアンプである。Z軸モータ11はエンコーダ11Aを備える。主軸モータ12はエンコーダ12Aを備える。X軸モータ13はエンコーダ13Aを備える。Y軸モータ14はエンコーダ14Aを備える。駆動回路26はZ軸モータ11とエンコーダ11Aに接続する。駆動回路27は主軸モータ12とエンコーダ12Aに接続する。駆動回路28はX軸モータ13とエンコーダ13Aに接続する。駆動回路29はY軸モータ14とエンコーダ14Aに接続する。駆動回路26〜29を駆動回路30と総称する。Z軸モータ11、主軸モータ12、X軸モータ13、Y軸モータ14をモータ15と総称する。エンコーダ11A〜14Aをエンコーダ15Aと総称する。エンコーダ15Aが駆動回路30に出力する検出結果はX軸方向、Y軸方向、Z軸方向における工具4と被削材Wの位置関係を示す。CPU21は記憶装置24に記憶したNCプログラムを読込み、制御指令に基づき工具4を目標位置に位置決めする為の駆動信号を駆動回路30に送信する。駆動回路30はCPU21から受信した駆動信号に応じ、対応するモータ15に駆動電流を夫々出力する。駆動回路30はエンコーダ15Aからフィードバック信号を受け、モータ15の位置と速度の制御を行う。
被削材Wに対して工具4をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に夫々移動するNCプログラムの指令(送り軸指令と称す)に基づき、工作機械10が駆動する時を示す。被削材Wに対して工具4をZ軸方向に移動して加工する時を説明する。被削材Wに対して工具4をX軸方向、Y軸方向に夫々移動して加工する時も同様である。
CPU21はNCプログラムの送り軸指令を読込んだ時、主軸9を保持した主軸ヘッド7を送り軸指令に依り指定した位置迄移動する為、主軸ヘッド7の目標位置の時系列データを生成する。CPU21は所定周期で目標位置のデータを駆動回路26に出力する。駆動回路26はCPU21が出力した目標位置のデータに基づきZ軸モータ11を駆動する。Z軸モータ11は主軸ヘッド7を介して工具4を目標位置迄Z軸方向に移動する。CPU21が駆動回路26に目標位置のデータを入力する都度、駆動回路26はZ軸モータ11を駆動する。結果、工具4は送り軸指令に依り指定した位置(指令位置と称す)に最終的に到達する。送り軸指令に基づきCPU21が実行する制御を送り軸制御と称す。
CPU21は目標位置の時系列データを生成時、初めに指令位置迄工具4がZ軸方向に移動する時の速度が一定に推移するよう各目標位置を決定する。次にCPU21は速度の時系列変化を示す波形(速度波形と称す)に移動平均フィルタを適用し、速度波形の立上り特性と立下り特性に対応する加減速特性を調整する。移動平均フィルタは有限時間のインパルス応答を持つデジタルフィルタ、即ちFIRフィルタである。移動平均フィルタを速度波形に適用して加減速特性を調整する処理を加減速処理と称す。加減速処理を実行した速度波形の立上りと立下り夫々の傾きはZ軸モータ11の回転開始時と回転終了時の加減速度に対応し、移動平均フィルタの時定数Czに基づき変動する。
CPU21は加減速処理を実行した速度波形に基づき、所定周期毎の目標位置を決定する。CPU21は決定した目標位置のデータを所定周期で駆動回路26に出力する。該時、駆動回路26が駆動するZ軸モータ11に依り移動する工具4は移動開始時、移動平均フィルタの時定数Czに基づき加速度で加速し、移動終了時、移動平均フィルタの時定数Czに基づき加速度で減速する。上記と同じ方法で作業台50をX軸方向に移動する時に適用する移動平均フィルタの時定数をCxと称し、作業台50をY軸方向に移動する時に適用する移動平均フィルタの時定数をCyと称す。
工作機械10の動作の一例として、穴あけ加工の概要を説明する。穴あけ加工は被削材Wに対して工具4をZ軸方向に移動して、Z軸方向と平行に延びる穴を被削材Wに形成する。例えば被削材Wに複数の穴(第m穴、第m+1穴(mは1以上の整数))を形成する為のNCプログラムは送り軸指令として第n指令(nは1以上の整数)、第n+1指令、第n+2指令、第n+3指令の少なくとも何れかを含む。第n指令、第n+1指令、第n+2指令、第n+3指令を第N指令と総称する。CPU21は該指令を序数Nの順番で実行する。
図3は作業台50と被削材Wに対する工具4の相対位置の推移を、作業台50と被削材Wを基準として示す。図3の如く、工作機械10がX,Y軸方向にて第m切削位置に第m穴を形成し、X,Y軸方向にて第m+1切削位置に第m+1穴を形成する時を例に挙げる。第m開始位置、第m加工位置、第m終了位置は夫々、第m穴を形成する時に位置決めする工具4の指令位置を示す。第m+1開始位置、第m+1加工位置、第m+1終了位置は夫々、第m+1穴を形成する時に位置決めする工具4の指令位置を示す。第m穴、第m+1穴を第M穴と総称する。第m切削位置、第m+1切削位置を第M切削位置と総称する。第m開始位置、第m+1開始位置を第M開始位置と総称する。第m加工位置、第m+1加工位置を第M加工位置と総称する。第m終了位置、第m+1終了位置を第M終了位置と総称する。第M開始位置、第M終了位置はZ軸方向にて、作業台50と被削材Wに対して上側に離隔する。第M加工位置はZ軸方向にて被削材Wと重なる。第m開始位置と第m+1開始位置、第m加工位置と第m+1加工位置、第m終了位置と第m+1終了位置夫々のZ軸方向の位置関係は図3に限らない。
第n指令は第m開始位置から第m加工位置迄工具4がZ軸方向に沿って下向きに移動して第m切削位置に第m穴を形成後、CPU21が実行する指令である。第n指令は第m加工位置から第m終了位置迄工具4をZ軸方向に沿って上向きに移動する為の命令である。第n指令に依る工具4の移動距離を第n指令距離Lzupと称す。
第n+1指令は第n指令に基づき第m終了位置迄移動した工具4を第m切削位置から第m+1切削位置迄、X,Y軸方向の少なくとも一方に沿って水平移動する為の命令である。工具4は水平移動する為、第n+1指令に基づく移動後の工具4のZ軸方向の位置は移動前と同じ第m終了位置である。以下、第n+1指令に基づき工具4がX軸方向に移動し、Y軸方向に移動しないことを前提とする。第n+1指令に依る工具4の移動距離を第n+1指令距離Lxyと称す。
第n+2指令は第n+1指令に基づき第m切削位置から第m+1切削位置に移動した工具4を第m終了位置から第m+1開始位置迄、Z軸方向に沿って下向きに移動する為の命令である。第n+2指令に依る工具4の移動距離を第n+2指令距離Lzdownと称す。
第n+3指令は第n+2指令に基づき第m+1開始位置迄下向きに移動した工具4を第m+1開始位置から第m+1加工位置迄、Z軸方向に沿って下向きに移動し、次に第m+1加工位置から第m+1終了位置迄、Z軸方向に沿って上向きに移動する為の指令である。第n+3指令は2つの制御指令を含んでもよい。該時、一つ目の指令は第m+1開始位置迄下向きに移動した工具4を第m+1開始位置から第m+1加工位置迄、Z軸方向に沿って下向きに移動する為の指令である。二つ目の指令は第m+1加工位置から第m+1終了位置迄、Z軸方向に沿って上向きに移動する為の指令である。
CPU21は第n指令、第n+1指令、第n+2指令を繰り返し含むNCプログラムに基づき送り軸制御(図4〜図7参照)を実行する。NCプログラムは第n指令、第n+1指令、第n+2指令を少なくとも含む。
図3、図4の如く、第n指令、第n+1指令、第n+2指令に依り工具が移動する位置(第m開始位置、第m加工位置、第m終了位置、第m+1開始位置、第m+1加工位置、第m+1終了位置、第m切削位置、第m+1切削位置)を参照して説明する。第m開始位置、第m加工位置、第m終了位置、第m+1開始位置、第m+1加工位置、第m+1終了位置は各々Z軸方向の位置のみ規定し、X、Y軸方向の位置は任意である。第m切削位置、第m+1切削位置は各々X,Y軸方向の位置のみ規定し、Z軸方向の位置は任意である。
CPU21は送り軸制御時の被削材Wと作業台50に対する工具4の相対移動速度(移動速度と省略する)に対して加減速処理を実行する。故に工具4は移動開始直後、移動平均フィルタの時定数Cx、Cy、Czに基づく加速度で加速する。工具4は移動終了直前、移動平均フィルタの時定数Cx、Cy、Czに基づく加速度で減速する。
第n指令に基づき工具4がZ軸方向にて第m加工位置から第m終了位置迄上向きに移動時、工具4の移動速度は第m終了位置に到達する前に減速を開始する。該時、工具4が第m加工位置から第m終了位置迄移動する時間は移動速度が減速することで長くなる。穴あけ加工を短時間で実行する為、工具4が第m加工位置から第m終了位置迄移動する時間は短い方が良い。第n+2指令に基づき工具4がZ軸方向にて第m終了位置から第m+1開始位置迄下向きに移動時、工具4が第m終了位置で停止した状態から移動開始するので、工具4の移動速度は初速0から加速する。穴あけ加工を短時間で実行する為、工具4が第m終了位置から第m+1開始位置迄移動する時間は短い方が良い。故に工具4が第m終了位置から移動開始する時、初速は0より大きいのが良い。第n指令に基づき工具4が移動時の移動先の第m終了位置と、第n+2指令に基づき工具4が移動時の移動元の第m終了位置のZ軸方向位置は共通しX,Y軸方向の位置は相違する。
CPU21は図4の如く、第n指令に基づき工具4を第m加工位置から第m終了位置迄上向きに、時定数Czに基づき加速しながら移動時、工具4の移動速度が第m終了位置に到達する前に減速しないよう制御する。CPU21は工具4が第m終了位置に到達後、時定数Czに基づき工具4の移動速度の減速を開始する。該時、工具4は第m終了位置で停止せず、第m終了位置より上側の位置(惰走位置と称す)迄移動して停止する。惰走位置と第m終了位置の間のZ軸方向の距離を惰走距離Ldと称す。CPU21は工具4が第m加工位置から第m終了位置迄移動する時間を短縮でき、穴あけ加工を短時間で実行できる。
CPU21は工具4が第m終了位置を通過時、第n+1指令に応じ、工具4の第m切削位置から第m+1切削位置に向けたX軸方向への移動を開始する。第m切削位置、第m+1切削位置は各々工具4に依り切削を行う位置であり、Z軸方向と直交するX,Y軸方向の位置として規定してある。即ち第m切削位置と第m+1切削位置は各々X,Y軸方向にて異なる位置を示し、Z軸方向の位置は示さない。該移動は後述の第n+2指令に基づき工具4が第m終了位置から第m+1開始位置に向けて移動開始する前に完了する。CPU21は第n+2指令に基づき工具4が第m終了位置から第m+1開始位置に向けて下向きに移動開始する前に、工具4を惰走位置から第m終了位置迄下向きに移動する。該時、CPU21は第m終了位置で工具4を停止せず下向きに第m+1開始位置迄移動し続ける。結果、CPU21は工具4が第m終了位置から第m+1開始位置迄移動する時間を短縮でき、穴あけ加工を短時間で実行できる。
図5、図7は工具4の移動速度の時間変化を示す図表である。左縦軸は第n指令と第n+2指令に依りZ軸方向に移動する工具4の移動速度を示す。最大速度VzmaxはZ軸モータ11を所定の最大回転速度で回転した時の工具4の移動速度である。左縦軸は工具4が下向きに移動時の移動速度を負の値で示し、工具4が上向きに移動時の移動速度を正の値で示す。右縦軸は第n+1指令に依りX軸方向に移動する工具4の移動速度を示す。横軸は経過時間を示す。各指令に対応する移動速度を示す折れ線(速度直線と称す)と横軸とで囲む面積は速度直線の積分値であり、工具4の移動距離を示す。
工具4が移動開始時、工具4の移動速度は時定数Czに基づき加速する。工具4が移動終了時、工具4の移動速度は時定数Czに基づき減速する。時定数Czは工具4が移動開始してから移動速度が最大速度Vzmaxに達する迄の経過時間、工具4が最大速度Vzmaxから減速を開始してから工具4が停止する(移動速度が0となる)迄の経過時間に対応する。
(A)
第n指令距離Lzupが第n+2指令距離Lzdownより大きい時(Lzup>Lzdown、図5参照)、第n指令距離Lzupと第n+2指令距離Lzdownの内大きい方を指令距離Lzと総称する。Lzup>Lzdownの時、指令距離Lz=第n指令距離Lzupである。
(A−1)第m終了位置で移動速度が最大速度Vzmaxに到達しない型。
図5(a)は第n指令で工具4を第m加工位置から上向きに移動時、移動速度が最大速度Vzmax迄増加する前に工具4が第m終了位置に到達する(時機t12)時を示す。第m終了位置に到達時の工具4の移動速度を経過速度Vzupと称す。第n指令距離Lzupは時機t11〜t12間における第n指令の速度直線の積分値である。指令距離Lz(=第n指令距離Lzup)、時定数Cz、最大速度Vzmaxは式(1−1)の関係を満たす。
Figure 2021064362
工具4は時機t12で第m終了位置に到達後、経過速度Vzupから減速を開始する。工具4の移動速度は時定数Czに基づき減速する。移動速度が0となる時(時機t13)の工具4のZ軸方向の位置は惰走位置である。惰走距離Ldは時機t12〜t13間における第n指令の速度直線の積分値であり、指令距離Lz(=第n指令距離Lzup)と等しい(式(1−2)参照)。
Figure 2021064362
故にCPU21は第n指令の第n指令距離Lzup(=指令距離Lz)が式(1−1)の関係を満たす時、式(1−2)に基づき惰走距離Ldを算出する。式(1−1)の関係を満たす時を換言すると、工具4が第m加工位置から上向きに第n指令距離Lzup移動する過程で時定数Czに基づき加速して最大速度Vzmaxより小さい経過速度Vzupに達することである。CPU21は工具4が時定数Czに基づき経過速度Vzupから減速しながら第m終了位置から上向きに移動時に工具4が到達するZ軸方向の位置を、惰走位置と決定する。CPU21はn指令に基づき工具4を第m加工位置から第n指令距離Lzup移動時、時定数Czに基づく加速度で経過速度Vzup迄加速する。次にCPU21は経過速度Vzupから時定数Czに基づき移動速度0迄減速し、工具4を第m終了位置から惰走距離Ld上向きに移動する。CPU21は工具4が停止状態から時定数Czに基づき加速して最大速度Vzmaxに達する迄に移動する距離(加速距離Laと称す)を、時定数Czと最大速度Vzmaxに基づき算出してよい。該時、加速距離Laは式(1−2−1)の関係を満たす。
Figure 2021064362
CPU21は第n指令距離Lzupが加速距離La未満の時(Lzup<La)、式(1−2)に基づき、第n指令距離Lzup(=指令距離Lz)を惰走距離Ldとして算出してよい。
第n+2指令距離Lzdown、時定数Cz、最大速度Vzmaxは式(1−2−2)の関係を満たす。
Figure 2021064362
工具4は第n指令に基づく上向きの移動に依り第m終了位置に到達時(時機t12)、第n+1指令に基づくX軸方向の移動を開始する。工具4は第m切削位置からX軸方向に移動開始する。工具4の移動速度は時定数Cxに基づき加速する。工具4の移動速度がX軸モータ13の最大速度に到達時、工具4は最大速度で移動する。工具4は第m+1切削位置で停止するように所定時機から減速を開始する。工具4の移動速度は時定数Cxに基づき減速する。工具4は時機t16で第m+1切削位置に到達する。工具4が第m切削位置から第m+1切削位置迄移動する時間を移動時間Txyと称す。
移動時間Txyは次の方法に依り算出する。図6は工具4のX軸方向における移動速度の時間変化を示す図表である。最大速度VxmaxはX軸モータ13を所定の最大回転速度で回転した時の工具4の移動速度である。工具4がX軸方向に移動開始時、工具4の移動速度は時定数Cxに基づき加速する。工具4が移動終了時、工具4の移動速度は時定数Cxに基づき減速する。時定数Cxは工具4がX軸方向に移動開始してから移動速度が最大速度Vxmaxに達する迄の経過時間及び、工具4が最大速度Vxmaxから減速を開始してから工具4が停止する(移動速度が0となる)迄の経過時間と同じである。第n+1指令の速度直線と横軸とで囲む面積は第n+1指令距離Lxyである。
図6(a)は第n+1指令距離Lxyが相対的に小さく、工具4の移動速度が0から最大速度Vxmax迄増加する前に減速を開始して0に戻る時を示す。該時の加速時間と減速時間をCx´と称す。最大速度Vxmaxは式(1−2−3)の関係を示す。工具4の移動時の最大速度をVxと称す。
Figure 2021064362
該時、Vxmax/Cx=Vx/Cx´、Lxy=Cx´Vx/2の関係を満たす。二式からCx´を求めた時、TxyはCx´を二倍した値と一致するので、式(1−2−4)の関係を示す。
Figure 2021064362
図6(b)は第n+1指令距離Lxyが相対的に大きく、工具4の移動速度が0から最大速度Vxmax迄増加して維持し、その後減速を開始して移動速度0に戻る時を示す。最大速度Vxmaxは式(1−2−5)の関係を示す。
Figure 2021064362
該時、Txyは式(1−2−6)の関係を示す。
Figure 2021064362
図5(a)の如く、CPU21は第n+2指令に基づき工具4を第m終了位置から第m+1開始位置迄Z軸方向に沿って下向きに移動する為、惰走位置にある工具4を第m終了位置に向けて下向きに移動開始する(時機t14)。工具4の移動速度は時定数Czに基づき加速し、経過速度Vzdownに達する(時機t15)。該後、工具4の移動速度は時定数Czに基づき減速しながら更に下向きに移動し、工具4は第m終了位置に到達する(t16)。時機t14〜t16間における第n+2指令の速度直線の積分値は惰走距離Ldである。CPU21は惰走位置から下向きに移動した工具4を第m終了位置で停止せず下向きに移動し続ける。工具4は時定数Czに基づき移動速度0迄減速し、第m+1開始位置迄移動して停止する(時機t17)。時機t16〜t17間における第n+2指令の速度直線の積分値は第n+2指令距離Lzdownである。
CPU21は第n+1指令に基づきX軸方向に移動する工具4が第m+1切削位置に到達する時機と、惰走位置から下向きに移動する工具4が第m終了位置を通過する時機が一致するよう、惰走位置にある工具4を下向きに移動開始する時機(時機t14)を決定する。詳細は次の通りである。工具4が惰走位置から下向きに移動開始してから第m終了位置を通過する迄の時間Tzdownは式(1−3)の関係を示す。
Figure 2021064362
第n指令に基づき工具4が第m終了位置に到達した時機t12から、CPU21が工具4を惰走位置から下向きに移動開始する時機t14迄の間の時間(遅れ時間Tdelayと称す)は式(1−4)の関係を満たす。
Figure 2021064362
CPU21は惰走位置からZ軸方向に沿って下向きに移動した工具4が第m終了位置を通過する時機t16に、n+1指令に基づき移動する工具4が第m+1切削位置に到達するよう、工具4を惰走位置から下向きに移動開始する時機t14を決定する。時機t14はn+1指令に基づき工具4が移動開始する時機t12からの遅れ時間Tdelayを、式(1−4)の時間Tzdownとして式(1−3)を適用して算出する。
(A−2)第m終了位置で移動速度が最大速度Vzmaxに到達する型。
図5(b)は第n指令に基づき工具4を第m加工位置から上向きに移動時、移動速度が最大速度Vzmax迄増加した(時機t22)後で工具4が第m終了位置に到達する(時機t23)時を示す。工具4の移動速度は時機t22〜t23の間、最大速度Vzmaxで維持する。時機t22で工具4が第m終了位置に到達時、時機t22、t23は一致する。第n指令距離Lzupは時機t21〜t23間における第n指令の速度直線の積分値である。指令距離Lz(=第n指令距離Lzup)、時定数Cz、最大速度Vzmaxは式(2−1)の関係を満たす。
Figure 2021064362
工具4は時機t23で第m終了位置に到達後、最大速度Vzmaxから減速を開始する。時機t22、t23が一致時、工具4は最大速度Vzmaxに達した直後、減速を開始する。工具4の移動速度は時定数Czに基づき減速する。移動速度が0時(時機t24)の工具4のZ軸方向位置は惰走位置である。惰走距離Ldは時機t23〜t24間における第n指令の速度直線の積分値であり、式(2−2)の関係を満たす。
Figure 2021064362
故にCPU21は式(2−2)に基づき惰走距離Ldを算出する。式(2−1)の関係を満たす時を換言すると、工具4が第m加工位置から上向きに第n指令距離Lzup移動する過程で時定数Czに基づき加速して最大速度Vzmaxに達する時である。CPU21は工具4が時定数Czに基づき最大速度Vzmaxから減速しながら第m終了位置から上向きに移動時に工具4が到達するZ軸方向の位置を、惰走位置と決定する。CPU21は時定数Czと最大速度Vzmaxを式(2−2)に代入して惰走距離Ldを算出する。
CPU21はn指令に基づき工具4を第m加工位置から第n指令距離Lzup移動時、時定数Czに基づく加速度で最大速度Vzmax迄加速し、該後、最大速度Vzmaxを維持する。次にCPU21は最大速度Vzmaxから時定数Czに基づき移動速度0迄減速し、工具4を第m終了位置から惰走距離Ld上向きに移動する。CPU21は工具4が停止状態から時定数Czに基づき加速して最大速度Vzmaxに達する迄に移動する距離である加速距離Laを、式(1−2−1)で算出してよい。該時、加速距離Laは式(2−2)の右辺と一致する。CPU21は第n指令距離Lzup(=Lz)が加速距離La以上の時(Lzup≧La、式(2−1)参照)、式(2−2)に基づき、加速距離La(=CzVzmax)/2)を惰走距離Ldとして算出してよい。
第n+2指令距離Lzdown、時定数Cz、最大速度Vzmaxが式(2−2−1)の関係を満たす時を示す。
Figure 2021064362
工具4は第n指令に基づき工具4の上向きの移動に依り第m終了位置に到達時(時機t23)、第n+1指令に基づきX軸方向の移動を開始する。工具4は第m切削位置からX軸方向に移動を開始する。工具4は時機t26で第m+1切削位置に到達し、X軸方向の移動を停止する。工具4が第m切削位置から第m+1切削位置迄移動する時間(時機t23〜t26)である移動時間Txyは図5(a)の時と同一である。
CPU21は第n+2指令に基づき工具4を第m終了位置から第m+1開始位置迄Z軸方向に沿って下向きに移動する為、惰走位置にある工具4を第m終了位置に向けて下向きに移動開始する(時機t25)。工具4の移動速度は時定数Czに基づき加速し、最大速度Vzmaxに到達時(時機t26)、工具4は第m終了位置に到達する。時機t25〜t26間における第n+2指令の速度直線の積分値は惰走距離Ldである。CPU21は惰走位置から下向きに移動した工具4を第m終了位置で停止せず継続して下向きに移動する。工具4の移動速度は最大速度Vzmaxで維持し(時機t26〜時機t27)、該後、時定数Czに基づき移動速度0迄減速し、第m+1開始位置迄移動して停止する(時機t28)。時機t26、t27が一致する時もある。時機t26〜t28間における第n+2指令の速度直線の積分値は第n+2指令距離Lzdownである。CPU21は第n+1指令に基づきX軸方向に移動する工具4が第m+1切削位置に到達する時機と、惰走位置から下向きに移動する工具4が第m終了位置を通過する時機が一致するよう、惰走位置にある工具4を下向きに移動開始する時機(時機t25)を決定する。第n指令に基づき工具4が第m終了位置に到達した時機t23から、CPU21が工具4を惰走位置から下向きに移動開始する時機t25迄の間の時間である遅れ時間Tdelayは式(2−3)の関係を満たす。
Figure 2021064362
CPU21は惰走位置からZ軸方向に沿って下向きに移動した工具4が第m終了位置を通過する時機t26で、n+1指令に基づき移動する工具4が第m+1切削位置に到達するよう、工具4を惰走位置から下向きに移動開始する時機t25を決定する。該時機t25はn+1指令に基づき工具4が移動開始する時機t23からの遅れ時間Tdelay(式(2−3)参照)に依り算出する。
(B)
第n指令距離Lzupが第n+2指令距離Lzdown以下の時(Lzup≦Lzdown)、第n指令距離Lzupと第n+2指令距離Lzdownの内大きい方を指令距離Lzと総称し、指令距離Lz=第n+2指令距離Lzdownとなる。
(B−1)第m終了位置で移動速度が最大速度Vzmaxに到達しない型。
図7(a)で第n+2指令に基づき移動する工具4は第m終了位置(時機t36)から第n+2指令距離Lzdown、時定数Czに基づき減速しながら下向きに移動し、第m+1開始位置で停止する(時機t37)。該時、工具4が第m終了位置を通過する時の移動速度は最大速度Vzmaxより小さい経過速度Vzdownとなる。第n+2指令距離Lzdownは時機t36〜t37間における第n+2指令の速度直線の積分値である。指令距離Lz(=Lzdown)、時定数Cz、最大速度Vzmaxの関係は式(1−1)の関係を満たす。工具4が惰走位置から下向きに加速し、第m終了位置で経過速度Vzdownとなる(時機t36)時、工具4の移動開始時機である時機t35は時定数Czを用いて算出する加速度に基づき決定できる。時機t35における工具4のZ軸方向の位置は惰走位置である。惰走距離Ldは時機t35〜t36間における第n+2指令の速度直線の積分値であり、指令距離Lz(=第n+2指令距離Lzdown)と等しい。故に惰走距離Ldは式(1−2)の関係を満たす。CPU21は式(1−2)に基づき惰走距離Ldを算出する。即ちCPU21は第m終了位置と第m+1開始位置の間の距離である第n+2指令距離Lzdown(指令距離Lz)を式(1−2)に基づき惰走距離Ldとして算出する。CPU21は工具4が惰走位置から下向きに惰走距離Ld移動する時の速度を、時定数Czに基づき経過速度Vzdown迄加速する。該時、工具4は惰走位置から第m終了位置迄移動する。次にCPU21は工具4が第m終了位置から下向きに第n+2指令距離Ldown移動する時の速度を、経過速度Vzdownから時定数Czに基づき移動速度0迄減速し、工具4を第m+1開始位置迄移動する。CPU21は工具4が最大速度Vzmaxから時定数Czに基づき減速して停止する迄に移動する距離(減速距離Lbと称す)を、時定数Czと最大速度Vzmaxに基づき算出してよい。該時、減速距離Lbは式(2−4)の関係を満たす。
Figure 2021064362
CPU21は第n+2指令距離Lzdownが減速距離Lb未満の時(Lzdown<Lb)、式(1−2)に基づき、第n+2指令距離Lzdown(=指令距離Lz)を惰走距離Ldとして算出してよい。工具4は第n指令に基づき上向きに移動時、時機t31から時定数Czに基づき加速する。工具4は第n指令距離Lzup移動時(時機t32)、第m終了位置に到達する。時機t31〜t32における第n指令の速度直線の積分値は第n指令距離Lzupである。工具4は更に算出した惰走距離Ld上向きに継続して移動する。該時、CPU21は工具4が惰走距離Ld移動して惰走位置に到達し停止するよう、工具4の移動速度を加速から減速に切り替える時機t33を決定する。工具4は時機t33で加速を終了し、時定数Czに基づき減速を開始する。工具4は惰走位置で停止する(時機t34)。時機t32〜t34における第n指令の速度直線の積分値は惰走距離Ldである。
工具4は第n指令に基づき上向きの移動に依り第m終了位置に到達時(時機t32)、第n+1指令に基づきX軸方向の移動を開始する。工具4は第m切削位置からX軸方向に移動し始める。工具4は時機t36で第m+1切削位置に到達し停止する。工具4が第m切削位置から第m+1切削位置迄移動する時間は移動時間Txyに対応する。CPU21は第n+1指令に基づきX軸方向に移動する工具4が第m+1切削位置に到達する時機と、惰走位置から下向きに移動する工具4が第m終了位置を通過する時機が一致するよう、惰走位置にある工具4を下向きに移動開始する時機(時機t35)を決定する。詳細は次の通りである。最大速度Vzmaxと時定数Czの比は第n指令の速度直線の加減速時における傾きに対応し、経過速度Vzdownと時間Tzdownの比と一致する。故に式(3−1)の関係を満たす。
Figure 2021064362
第n+2指令距離Lzdownは時機t36〜t37間における第n+2指令の速度直線の積分値なので、式(3−2)の関係を満たす。
Figure 2021064362
式(3−1)(3−2)から、時間Tzdownは式(3−3)の関係を満たす。
Figure 2021064362
CPU21は惰走位置からZ軸方向に沿って下向きに移動した工具4が第m終了位置を通過する時機t36で、n+1指令に基づき移動する工具4が第m+1切削位置に到達するよう、工具4を惰走位置から下向きに移動開始する時機t35を決定する。CPU21はn+1指令に基づき工具4が移動開始する時機t32からの遅れ時間Tdelayを式(1−4)(3−3)に依り算出して時機t35を算出する。
(B−2)第m終了位置で移動速度が最大速度Vzmaxに到達する型。
図7(b)で第n+2指令に基づき移動する工具4は第m終了位置(時機t46)から第n+2指令距離Lzdown下向きに移動し、第m+1開始位置で停止する(時機t48)。該時、工具4が時定数Czに基づき減速しながら第m終了位置から第n+2指令距離Lzdown移動する為に、工具4は時定数Czより長い時間継続して下向きに移動する。故に工具4は第m終了位置から最大速度Vzmaxで下向きに移動後(時機t46〜t47)、最大速度Vzmaxから時定数Czに基づき減速し、第m+1開始位置に到達して停止する(時機t47〜t48)。時機t46、t47が一致する時もある。第n+2指令距離Lzdownは時機t46〜t48間における第n+2指令の速度直線の積分値である。指令距離Lz(=Lzdown)、時定数Cz、最大速度Vzmaxの関係は式(2−1)の関係を満たす。工具4が惰走位置から下向きに加速し、第m終了位置で最大速度Vzmaxとなる(時機t46)時、工具4の移動開始時機である時機t45は時定数Czを用いて算出する加速度に基づき決定できる。時機t45における工具4のZ軸方向の位置は惰走位置である。惰走距離Ldは時機t45〜t46間における第n+2指令の速度直線の積分値に対応し、式(2−2)の関係を満たす。故にCPU21は第n+2指令の第n+2指令距離Lzdown(=指令距離Lz)が式(2−1)の関係を満たす時、式(2−2)に基づき惰走距離Ldを算出する。CPU21は時定数Czと最大速度Vzmaxを式(2−2)に代入して惰走距離Ldを算出する。CPU21は工具4が惰走位置から下向きに惰走距離Ld移動する速度を、時定数Czに基づき最大速度Vzmax迄加速する。該時、工具4は惰走位置から第m終了位置迄移動する。次にCPU21は工具4が第m終了位置から下向きに第n+2指令距離Ldown移動する速度を最大速度Vzmaxで維持し、該後、時定数Czに基づき0迄減速する。該時、工具4は第m+1開始位置迄移動する。CPU21は工具4が最大速度Vzmaxから時定数Czに基づき減速して停止する迄に移動する距離である減速距離Lbを、式(2−4)に依り算出してよい。該時、減速距離Lbは式(2−2)の右辺と一致する。CPU21は前記第n+2指令距離Lzdown(=Lz)が減速距離Lb以上の時(Lzdown≧Lb、式(2−1)参照)、式(2−2)に基づき、減速距離Lb(=CzVzmax)/2)を惰走距離Ldとして算出してよい。
工具4は第n指令に基づき上向きに移動時、時機t41から時定数Czに基づき加速して最大速度Vzmaxに達し(時機t42)、その後最大速度Vzmaxで維持する(時機t42〜t43)。時機t42、t43が一致する時もある。工具4は第n指令距離Lzup移動時(時機t43)、第m終了位置に到達する。時機t41〜t43における第n指令の速度直線の積分値は第n指令距離Lzupである。工具4は時定数Czに基づき加速しながら第m終了位置を通過後、最大速度Vzmaxに達し、該後、時定数Czに基づき減速する時もある。工具4は最大速度Vzmaxから時定数Czに基づき減速し、惰走距離Ld上向きに継続して移動する。時機t43〜t44における第n指令の速度直線の積分値は惰走距離Ldである。工具4は第n指令に基づき上向きの移動に依り第m終了位置に到達時(時機t43)、第n+1指令に基づきX軸方向の移動を開始する。工具4は第m切削位置からZ軸方向に移動し始める。工具4は時機t46で第m+1切削位置に到達し停止する。工具4が第m切削位置から第m+1切削位置迄移動する時間は移動時間Txyに対応する。
CPU21は第n+1指令に基づきX軸方向に移動する工具4が第m+1切削位置に到達する時機と、惰走位置から下向きに移動する工具4が第m終了位置を通過する時機が一致するよう、惰走位置にある工具4を下向きに移動開始する時機(時機t45)を決定する。第n指令に基づき工具4が第m終了位置に到達した時機t43から、CPU21が工具4を惰走位置から下向きに移動開始する時機t45迄の間の時間である遅れ時間Tdelayは式(2−3)の関係を満たす。CPU21は惰走位置からZ軸方向に沿って下向きに移動した工具4が第m終了位置を通過する時機t46で、n+1指令に基づき移動する工具4が第m+1切削位置に到達するよう、工具4を惰走位置から下向きに移動開始する時機t45を決定する。CPU21はn+1指令に基づき工具4が移動開始する時機t43からの遅れ時間Tdelayを式(2−3)に依り算出することに依り、時機t45を算出する。
図8〜図12を参照し、主処理を説明する。数値制御装置20のCPU21は工作機械10の電源を投入時、ROM22に記憶したプログラムを読み出して実行することに依り主処理を開始する。CPU21は主処理の開始時、RAM23に記憶した変数nに1を設定する。図8の如く、CPU21はNCプログラムから第n指令、第n+1指令、第n+2指令を読込む(S11)。CPU21は第n指令が切削加工を終了する為の制御指令か判定する(S13)。CPU21は第n指令が切削加工を終了する為の制御指令と判定時(S13:YES)、主処理を終了する。CPU21は第n指令が切削加工を終了する為の制御指令でないと判定時(S13:NO)、処理をS15に進める。CPU21は第n+1指令がX軸方向に工具4を移動する為の送り軸指令(X軸指令と称す)であり且つ第n+2指令がZ軸方向に沿って下向きに工具4を移動する為の送り軸指令(Z軸下向き指令と称す)か判定する(S15)。CPU21は第n+1指令がX軸指令でないか又は第n+2指令がZ軸下向き指令でないと判定時(S15:NO)、処理をS41に進める。CPU21は第n指令に基づき工作機械10を制御する(S41)。CPU21はRAM23に記憶した変数nに1加算し(S43)、処理をS11に戻す。CPU21は更新した変数nに基づき処理を繰り返す。CPU21は第n+1指令がX軸指令であり且つ第n+2指令がZ軸下向き指令と判定時(S15:YES)、処理をS17に進める。CPU21は第n指令がZ軸方向に沿って上向きに工具4を移動する為の送り軸指令(Z軸上向き指令と称す)か判定する(S17)。CPU21は第n指令がZ軸上向き指令でないと判定時(S17:NO)、処理をS41に進める。CCPU21は第n指令がZ軸上向き指令と判定時(S17:YES)、処理をS31に進める。CPU21は移動時間Txyを算出する為、第一算出処理(図9参照)を実行する(S31)。図9を参照し、第一算出処理を説明する。CPU21は第n+1指令距離Lxyが相対的に小さく、工具4が移動速度0から最大速度Vxmax迄増加する前に減速を開始して0に戻るか判定する(S101、図6(a)参照)。CPU21は式(1−2−3)を満たす時、工具4の移動速度が0から最大速度Vxmax迄増加する前に減速を開始して0に戻ると判定する(S101:YES)。該時、CPU21は式(1−2−4)に基づき、移動時間Txyを決定し(S103)、第一算出処理を終了する。CPU21は式(1−2−3)を満たさない時、第n+1指令距離Lxyが相対的に大きく、工具4が移動速度0から最大速度Vxmax迄増加して維持した後減速を開始して移動速度0に戻ると判定する(S101:NO、式(1−2−5)参照)。該時、CPU21は式(1−2−6)に基づき移動時間Txyを決定し(S105)、第一算出処理を終了する。
図8の如く、CPU21は惰走距離Ldを算出する為、第二算出処理(図10参照)を実行する(S33)。図10を参照し、第二算出処理を説明する。CPU21は第n指令距離Lzupが第n+2指令距離Lzdownより大きいか判定する(S111)。CPU21は第n指令距離Lzupが第n+2指令距離Lzdownより大きいと判定時(S111:YES、図5参照)、処理をS113に進める。該時の指令距離Lzは第n指令距離Lzupと等しい(Lz=Lzup)。CPU21は工具4の移動速度が最大速度Vzmax迄増加する前に工具4が第m終了位置に到達するか判定する(S113)。CPU21は式(1−1)を満たす時、工具4の移動速度が最大速度Vzmax迄増加する前に工具4が第m終了位置に到達すると判定する(S113:YES、図5(a)参照)。該時、CPU21は式(1−2)に基づき惰走距離Ldを決定し(S115)、第二算出処理を終了する。CPU21は式(2−1)を満たす時、工具4の移動速度が最大速度Vzmax迄増加後に工具4が第m終了位置に到達すると判定する(S113:NO、図5(b)参照)。該時、CPU21は式(2−2)に基づき惰走距離Ldを決定し(S117)、第二算出処理を終了する。CPU21は第n指令距離Lzupが第n+2指令距離Lzdownより大きくないと判定時(S111:NO、図7参照)、処理をS119に進める。該時の指令距離Lzは第n+2指令距離Lzdownと等しい(Lz=Lzdown)。CPU21は工具4の移動速度が最大速度Vzmax迄増加する前に工具4が第m終了位置に到達するか判定する(S119)。CPU21は式(1−1)に基づき、工具4の移動速度が最大速度Vzmax迄増加する前に工具4が第m終了位置に到達すると判定時(S119:YES、図7(a)参照)、式(1−2)に基づき惰走距離Ldを決定し(S121)、第二算出処理を終了する。CPU21は式(2−1)に基づき、工具4の移動速度が最大速度Vzmax迄増加後に工具4が第m終了位置に到達すると判定時(S119:NO、図7(b)参照)、式(2−2)に基づき惰走距離Ldを決定し(S123)、第二算出処理を終了する。
図8の如く、CPU21は工具4が惰走位置から下向きに移動開始してから第m終了位置を通過する迄の時間Tzdown(惰走距離移動時間と称す)を算出する為、第三算出処理(図11参照)を実行する(S35)。図11を参照し、第三算出処理を説明する。CPU21は第n指令距離Lzupが第n+2指令距離Lzdownより大きいか判定する(S131)。CPU21は第n指令距離Lzupが第n+2指令距離Lzdownより大きいと判定時(S131:YES、図5参照)、工具4の移動速度が最大速度Vzmax迄増加する前に工具4が第m終了位置に到達するか判定する(S133)。CPU21は式(1−2−2)を満たす時、工具4の移動速度が最大速度Vzmax迄増加する前に工具4が第m終了位置に到達すると判定する(S133:YES、図5(a)参照)。該時、CPU21は式(1−3)を満たす惰走距離移動時間Tzdownを決定し(S135)、第三算出処理を終了する。CPU21は式(2−2−1)を満たす時、工具4の移動速度が最大速度Vzmax迄増加後に工具4が第m終了位置に到達すると判定する(S133:NO、図5(b)参照)。該時、CPU21は惰走距離移動時間Tzdownとして時定数Czを決定し(S137、式(2−3)参照)、第三算出処理を終了する。
CPU21は第n指令距離Lzupが第n+2指令距離Lzdownより大きくないと判定時(S131:NO、図7参照)、工具4の移動速度が最大速度Vzmax迄増加する前に工具4が第m終了位置に到達するか判定する(S139)。式(1−2−2)に基づき、CPU21は工具4の移動速度が最大速度Vzmax迄増加する前に工具4が第m終了位置に到達すると判定時(S139:YES、図7(a)参照)、式(3−3)を満たす惰走距離移動時間Tzdownを決定し(S141)、第三算出処理を終了する。CPU21は式(2−2−1)に基づき、工具4の移動速度が最大速度Vzmax迄増加後に工具4が第m終了位置に到達すると判定時(S139:NO、図7(b)参照)、惰走距離移動時間Tzdownとして時定数Czを決定し(S143、式(2−3)参照)、第三算出処理を終了する。図8の如く、CPU21は工具4を惰走位置から下向きに移動開始する時機を算出する為、遅れ時間Tdelayを算出する(S21)。遅れ時間Tdelayは式(1−4)(2−3)に基づき、第一算出処理で算出した移動時間Txyから第三算出処理で決定した惰走距離移動時間Tzdownを減算することに依り算出する。CPU21は第n+1指令に基づき工具4をX軸方向に沿って移動開始した時機から遅れ時間Tdelay経過した時機を、工具4を惰走位置から下向きに移動開始する開始時機として算出する(S21)。
CPU21はZ軸モータ11を駆動し、工具4を第m加工位置から上向きに移動開始する(S23)。CPU21は工具4が第n指令距離Lzup移動して第m終了位置を通過し且つ更に惰走距離Ld移動して惰走位置に到達する迄、工具4の上向きの移動を継続する。CPU21は工具4の移動開始直後、時定数Czに基づき移動速度を加速する。
図5(a)に示す移動速度で推移する時、工具4が第n指令距離Lzup移動して第m終了位置に到達時の移動速度は最大速度Vzmaxより小さい経過速度Vzupとなる。該時、工具4は移動速度を経過速度Vzupから時定数Czに基づき減速しながら第m終了位置から惰走距離Ld更に移動する。図7(a)に示す移動速度で推移する時、工具4は第m終了位置に到達後、更に経過速度Vzup迄加速する。該後、工具4は移動速度を経過速度Vzupから時定数Czに基づき減速しながら第m終了位置から惰走距離Ld更に移動する。図5(b)、図7(b)に示す移動速度で推移する時、工具4が第n指令距離Lzup移動して第m終了位置に到達する前に移動速度が最大速度Vzmaxに達する。該時、工具4は第m終了位置に到達する迄工具4の移動速度を最大速度Vzmaxで維持し、該後、移動速度を最大速度Vzmaxから時定数Czに基づき減速しながら第m終了位置から惰走距離Ld更に移動する。図7(b)に示す移動速度で推移する時、工具4が第n指令距離Lzup移動する過程で第m終了位置に到達後、移動速度が最大速度Vzmaxに達する時もある。該時、工具4は第m終了位置に到達後に移動速度を最大速度Vzmax迄加速し、該後、時定数Czに基づき減速しながらZ軸方向に速度0迄移動することに依り、惰走距離Ld移動する。
CPU21は第n+1指令に基づき工具4をX軸方向に移動開始する時機が到来したか判定する(S25)。CPU21はS23で移動開始した工具4が第m終了位置を通過する迄待機する(S25:NO)。CPU21は工具4が第m終了位置を通過時、第n+1指令に基づき工具4をX軸方向に移動開始する時機が到来したと判定する(S25:YES)。該時、CPU21はX軸モータ13を駆動し、第m切削位置から第m+1切削位置に向けて工具4をX軸方向に移動開始する(S27)。CPU21は工具4のX軸方向の移動を開始してからの経過時間の計測を開始し(S29)、処理をS51(図12参照)に進める。
図12の如く、CPU21はS23に依り移動開始した工具4が惰走位置に到達し且つS29に依り計測を開始した経過時間が遅れ時間Tdelayと一致して開始時機が到来したか判定する(S51)。CPU21は工具4が惰走位置に到達していないか又は経過時間が遅れ時間Tdelayと一致せず開始時機が到来していないと判定時(S51:NO)、処理をS51に戻す。CPU21は工具4が惰走位置に到達し且つ経過時間が遅れ時間Tdelayと一致して開始時機が到来したと判定時(S51:YES)、処理をS53に進める。CPU21は惰走位置から第m+1開始位置に向けて工具4の下向き移動を開始する(S53)。CPU21は工具4の移動開始直後、時定数Czに基づき移動速度を加速する。
図5(a)に示す移動速度で推移する時、工具4の移動速度は経過速度Vzdown迄加速し、該後、時定数Czに基づき減速し、惰走距離Ld移動して第m終了位置に到達する。工具4は更に減速しながら第m終了位置迄移動する。図7(a)に示す移動速度で推移する時、工具4は惰走距離Ld下向きに経過速度Vzdown迄加速し、第m終了位置に到達する。工具4は経過速度Vzdownから時定数Czに基づき減速しながら、第n+2指令距離Lzdown移動して第m+1開始位置に到達する。図5(b)、図7(b)に示す移動速度で推移する時、工具は加速しながら惰走位置から惰走距離Ld移動し、最大速度Vzmaxで第m終了位置に到達する。該後、工具4は最大速度Vzmaxで維持後、最大速度Vzmaxから時定数Czに基づき減速し、第n+2指令距離Lzdown移動して第m+1開始位置に到達する。図5(b)に示す移動速度で推移する時、工具は加速して最大速度Vzmaxに達し、該後、減速しながら第m終了位置に到達する時もある。該時、工具4は第m終了位置に到達後に時定数Czに基づき減速しながら、Z軸方向に速度0迄移動することに依り、第n+2指令距離Lzdown移動する。
S27に依りX軸方向に沿って移動開始した工具4が第m+1切削位置に到達する時機はS53に依り下向きの移動を開始した工具4が第m終了位置を通過する時機と一致する。
CPU21はS27に依りX軸方向に沿って移動開始した工具4が第m+1切削位置に到達し且つS53に依り下向きの移動を開始した工具4が第m+1開始位置に到達したか判定する(S55)。CPU21は工具4が第m+1切削位置に到達していないか又は工具4が第m+1開始位置に到達していない時(S55:NO)、処理をS55に戻す。CPU21は工具4が第m+1切削位置に到達し且つ工具4が第m+1開始位置に到達時(S55:YES)、RAM23に記憶した変数nに3加算し(S57)、処理をS11(図8参照)に戻す。
数値制御装置20は惰走距離Ldと遅れ時間Tdelayを算出する(S33、S21)。数値制御装置20は第n指令に基づき工具4を第m加工位置から第m終了位置迄上向きに移動し、更に第m終了位置を経由して惰走位置迄工具4を移動する(S23)。数値制御装置20は工具4が第m終了位置を通過時(S25:YES)、第n+1指令に応じ、第m切削位置から第m+1切削位置迄工具4をX軸方向に移動する(S27)。数値制御装置20は工具4が惰走位置に到達し且つ工具4のX軸方向への移動を開始してから遅れ時間Tdelayが経過時(S51:YES)、工具4を惰走位置から下向きに、第m終了位置を経由して第m+1開始位置迄移動する(S53)。該時、数値制御装置20は工具4を上向きに移動する時に第m終了位置で移動速度を維持し且つ工具4を下向きに移動する時に第m終了位置で移動速度を維持できる。故に数値制御装置20は工具4に依る被削材Wの切削加工の作業時間を短縮できる。
工具4が第m終了位置を下向きに通過する時機に、工具4はX軸方向にて第m+1切削位置に到達する。故に数値制御装置20は工作機械10内に配置する被削材Wや治具等と工具4が干渉する可能性を軽減できる。故に数値制御装置20は工作機械10に依る切削加工を安全に実行できる。
数値制御装置20は第n+1指令に基づき工具4のX軸方向への移動を開始してから遅れ時間Tdelay経過後、惰走位置からの工具4の下向きへの移動を開始する。該時、数値制御装置20は惰走位置から工具4を下向きに移動する開始時機を工具4のX軸方向の移動量に基づき決定する時と比べ、所望の開始時機で正確に工具4を下向きに移動開始できる。
数値制御装置20は第n指令距離Lzupが第n+2指令距離Lzdownより大きく且つ工具4の移動速度が最大速度Vzmaxより小さい経過速度Vzupで最大となる時(図5(a)参照)、第n指令距離Lzup(=指令距離Lz)に基づき惰走距離Ldを算出する(式(1−2))。該時、数値制御装置20は適切な惰走距離Ldを容易に算出できる。数値制御装置20は工具4が第m加工位置から上向きに第n指令距離Lzup移動する間の速度を、時定数Czに基づき経過速度Vzup迄加速する。数値制御装置20は工具4が上向きに惰走距離Ld移動する間の移動速度を、経過速度Vzupから時定数Czに基づき減速する。該時、数値制御装置20は時定数Czと経過速度Vzupの範囲で工具4の移動速度を最大化できる。故に数値制御装置20は工具4が第m加工位置から第m終了位置迄移動する時間を最大限短縮できる。
数値制御装置20は第n指令距離Lzupが第n+2指令距離Lzdownより大きく且つ工具4の移動速度が最大速度Vzmaxで最大となる時(図5(b)参照)、時定数Czと最大速度Vzmaxに基づき惰走距離Ldを算出する(式(2−2))。該時、数値制御装置20は適切な惰走距離Ldを、時定数Czと最大速度Vzmaxに基づき容易に算出できる。数値制御装置20は工具4が第m加工位置から上向きに第n指令距離Lzup移動する間の速度を、時定数Czに基づき最大速度Vzmax迄加速し、該後、最大速度Vzmaxで維持する。数値制御装置20は工具4が上向きに惰走距離Ld移動する間の移動速度を最大速度Vzmaxから時定数Czに基づき減速する。該時、数値制御装置20は時定数Czと最大速度Vzmaxの範囲で工具4の移動速度を最大化できる。故に数値制御装置20は工具4が第m加工位置から第m終了位置迄移動する時間を最大限短縮できる。
数値制御装置20は第n指令距離Lzupが第n+2指令距離Lzdown以下、且つ、工具4の移動速度が最大速度Vzmaxより小さい経過速度Vzdownで最大となる時(図7(a)参照)、第n指令距離Lzdown(=指令距離Lz)に基づき惰走距離Ldを算出する(式(1−2))。該時、数値制御装置20は適切な惰走距離Ldを容易に算出できる。数値制御装置20は工具4が惰走位置から下向きに惰走距離Ld移動する間の速度を、時定数Czに基づき経過速度Vzdown迄加速する。数値制御装置20は工具4が下向きに第n+2指令距離Lzdown移動する間の速度を、経過速度Vzdownから時定数Czに基づき減速する。該時、数値制御装置20は時定数Czと経過速度Vzdownの範囲で工具4の移動速度を最大化できる。故に数値制御装置20は工具が第m終了位置から第m+1開始位置迄移動する時間を最大限短縮できる。
数値制御装置20は第n指令距離Lzupが第n+2指令距離Lzdown以下且つ工具4の移動速度が最大速度Vzmaxで最大となる時(図7(b)参照)、時定数Czと最大速度Vzmaxに基づき惰走距離Ldを算出する(式(2−2))。該時、数値制御装置20は適切な惰走距離Ldを、時定数Czと最大速度Vzmaxに基づき容易に算出できる。数値制御装置20は工具4が惰走位置から下向きに惰走距離Ld移動する間の移動速度を、時定数Czに基づき最大速度Vzmax迄加速して最大速度Vzmaxで維持し、工具4が下向きに第n+2指令距離Lzdown移動する間の移動速度を最大速度Vzmaxから時定数Czに基づき減速する。該時、数値制御装置20は時定数Czと最大速度Vzmaxの範囲で工具4の移動速度を最大化できる。故に数値制御装置20は工具4が第m終了位置から第m+1開始位置迄移動する時間を最大限短縮できる。
惰走距離Ldが大きくなる程、工具4のZ軸方向の移動量が大きくなり、工具4のZ軸方向における移動可能な範囲の端部に達する時がある。故に惰走距離Ldは極力短いのが良い。数値制御装置20は切削加工の作業時間を短縮し且つ最短となる惰走距離Ldを算出できる。
本発明は上記実施形態に限らない。数値制御装置20は算出した惰走距離Ldに所定移動量を加算して惰走距離としてよい。該時、惰走位置は上記で決定した位置に対して被削材Wから上向きに更に離隔する。
数値制御装置20は惰走位置から工具4を下向きに移動する開始時機を遅れ時間Tdelay以外の変数に基づき決定してよい。例えば数値制御装置20はX軸モータ13に接続するエンコーダ13Aから取得した信号に基づき、工具4のX軸方向の移動量を決定してよい。数値制御装置20は決定した移動量が所定閾値と一致時、工具4を下向きに移動する開始時機を決定してよい。数値制御装置20は遅れ時間Tdelay、第n+1指令の指令距離、時定数Cz、最大速度Vzmaxに基づき、所定閾値を予め算出してよい。該時、数値制御装置20は遅れ時間Tdelayに依り開始時機を決定する時と比べ、工具4が第m+1切削位置に到達する時機と、工具4が第m終了位置を通過する時機をより精度良く一致できる。
第n+1指令の指令距離が短い時がある。該時、惰走位置迄移動した工具4を直ぐに下向きに移動しても、工具4が第m終了位置を下向きに通過する時機より、工具4がX軸方向に移動して第m+1切削位置に到達する時機が早くなる時がある。該時、切削加工の作業時間が長くなり好ましくない。該時、算出した惰走距離Ldから所定移動量を減算した値を惰走距離として決定してよい。
工作機械1は作業台50の代わりに工具4をX,Y軸方向に移動することに依り、被削材Wに対して工具4をX,Y軸方向に夫々相対移動してよい。工作機械1は主軸ヘッド7の代わりに作業台50をZ軸方向に移動することに依り、被削材Wに対して工具4をZ軸方向に相対移動してよい。
Z軸方向は本発明の第一軸方向の一例である。Z軸モータ11は本発明の第一軸モータの一例である。X,Y軸方向は本発明の第二軸方向の一例である。X軸モータ13、Y軸モータ14は本発明の第二軸モータの一例である。記憶装置24は本発明の記憶部の一例である。上向きは本発明の離隔向きの一例である。下向きは本発明の近接向きの一例である。S33の処理を行うCPU21は本発明の第一算出部の一例である。S21の処理を行うCPU21は本発明の第二算出部の一例である。S23の処理を行うCPU21は本発明の第一移動部の一例である。S27の処理を行うCPU21は本発明の第二移動部の一例である。S53の処理を行うCPU21は本発明の第三移動部の一例である。S33の処理は本発明の第一算出工程の一例である。S21の処理は本発明の第二算出工程の一例である。S23の処理は本発明の第一移動工程の一例である。S27の処理は本発明の第二移動工程の一例である。S53の処理は本発明の第三移動工程の一例である。
4 :工具
9 :主軸
10 :工作機械
11 :Z軸モータ
12 :主軸モータ
13 :X軸モータ
14 :Y軸モータ
20 :数値制御装置
21 :CPU
24 :記憶装置
Cz :時定数
Ld :惰走距離
Vzmax :最大速度
Vzup :経過速度
W :被削材

Claims (14)

  1. 被削材を保持する作業台に対して工具を第一軸方向に相対移動する第一軸モータと前記第一軸方向と直交する第二軸方向に相対移動する第二軸モータを駆動し、前記被削材を切削する切削加工を制御する数値制御装置であり、
    前記切削加工の過程で前記被削材に対する前記工具の相対位置を位置決めする為の指令を含むプログラムを記憶する記憶部と、
    前記プログラムに基づき前記第一軸モータと前記第二軸モータを制御して前記工具を位置決めする制御部と
    を備え、
    前記プログラムは、
    前記第一軸方向の位置を規定した第m加工位置(mは1以上の整数)、第m終了位置、第m+1開始位置と、前記第二軸方向の位置を規定した第m切削位置、第m+1切削位置の相互間で前記工具を移動する指令であり、
    前記作業台に対して前記工具を、前記第一軸方向に沿って前記作業台から離隔する向きである離隔向きに前記第m加工位置から前記第m終了位置迄相対移動する為の第n指令(nは1以上の整数)、
    前記作業台に対して前記工具を、前記第m切削位置から前記第m+1切削位置迄前記第二軸方向に沿って相対移動する為の第n+1指令、
    前記作業台に対して前記工具を、前記第一軸方向に沿って前記作業台に近接する向きである近接向きに前記第m終了位置から前記第m+1開始位置迄相対移動する為の第n+2指令を少なくとも含み、
    前記制御部は、
    前記第m終了位置に対して前記離隔向きに離隔した惰走位置と前記第m終了位置の間の距離を惰走距離として算出する第一算出部と、
    前記第一軸モータを駆動し、前記工具を前記第m加工位置から前記第m終了位置を経由して前記惰走位置迄前記離隔向きに相対移動する第一移動部と、
    前記第一移動部に依り相対移動する前記工具が前記第m終了位置を通過時、前記第n+1指令に基づき前記第二軸モータを駆動し、前記工具を前記第m切削位置から前記第m+1切削位置に向けて前記第二軸方向に相対移動する第二移動部と、
    前記第一移動部に依り前記惰走位置に相対移動した前記工具を、前記惰走位置から前記第一軸方向に沿って前記近接向きに相対移動時に前記工具が前記第m終了位置を通過時、前記第二移動部に依り相対移動する前記工具が前記第m+1切削位置に到達するよう、前記惰走位置から前記近接向きに前記工具の相対移動を開始する開始時機を算出する第二算出部と、
    前記第一移動部に依り前記工具が前記惰走位置に到達し且つ前記第二算出部に依り算出した前記開始時機が到来時、前記第一軸モータを駆動し、前記惰走位置から前記第m終了位置を経由して前記m+1開始位置迄前記近接向きに前記工具を相対移動する第三移動部と
    を備え、
    前記第一算出部は、
    前記第m加工位置と前記第m終了位置の間の前記第一軸方向における距離である第n指令距離又は前記第m終了位置と前記第m+1開始位置の間の前記第一軸方向における距離である第n+2指令距離、前記第一軸モータの駆動に依る前記工具の最大速度、前記工具の加減速時における時定数に基づき、前記惰走距離を算出することを特徴とする数値制御装置。
  2. 前記第一算出部は、
    前記第n指令距離が前記第n+2指令距離より大きい時、
    前記工具が前記第m加工位置から前記離隔向きに前記第n指令距離分相対移動する過程で前記工具が前記時定数に基づき加速して前記最大速度に達する前の経過速度に達する時、前記工具が前記時定数に基づき前記経過速度から減速して前記第m終了位置から前記離隔向きに相対移動時に前記工具が到達する前記第一軸方向の位置を前記惰走位置と決定し、決定した前記惰走位置と前記第m終了位置の間の距離を前記第n指令距離に基づき前記惰走距離として算出
    する
    ことを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  3. 前記第一算出部は、
    前記第n指令距離が前記第n+2指令距離より大きい時、
    前記工具が停止状態から前記時定数に基づき加速して前記最大速度に達する迄の加速距離を、前記時定数と前記最大速度に基づき算出し、前記第n指令距離が前記加速距離未満の時、前記第n指令距離を前記惰走距離として算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  4. 前記第一移動部は、
    前記工具が前記第m加工位置から前記離隔向きに前記第n指令距離分相対移動する間の速度を前記時定数に基づき前記経過速度迄加速し、前記工具が前記離隔向きに前記惰走距離分相対移動する間の速度を前記経過速度から前記時定数に基づき減速することを特徴とする請求項2に記載の数値制御装置。
  5. 前記第一算出部は、
    前記第n指令距離が前記第n+2指令距離より大きい時、
    前記工具が前記第m加工位置から前記離隔向きに前記第n指令距離分相対移動する過程で、前記工具が前記時定数に基づき加速して前記最大速度に達する時、前記工具が前記時定数に基づき前記最大速度から減速して前記第m終了位置から前記離隔向きに相対移動時に前記工具が到達する前記第一軸方向の位置を前記惰走位置と決定し、決定した前記惰走位置と前記第m終了位置の間の距離を前記時定数と前記最大速度に基づき前記惰走距離として算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  6. 前記第一算出部は、
    前記第n指令距離が前記第n+2指令距離より大きい時、
    前記工具が停止状態から前記時定数に基づき加速して前記最大速度に達する迄の加速距離を前記時定数と前記最大速度に基づき算出し、前記第n指令距離が前記加速距離以上の時、前記加速距離を前記惰走距離として算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  7. 前記第一移動部は、
    前記工具が前記第m加工位置から前記離隔向きに前記第n指令距離分相対移動する間の速度を前記時定数に基づき前記最大速度迄加速し、前記工具が前記離隔向きに前記惰走距離分相対移動する間の速度を前記最大速度から前記時定数に基づき減速することを特徴とする請求項5に記載の数値制御装置。
  8. 前記第一算出部は、
    前記第n指令距離が前記第n+2指令距離以下の時、
    前記時定数に基づき減速しながら前記第m終了位置から前記第n+2指令距離分前記近接向きに相対移動時に前記第m+1開始位置で停止する時の前記第m終了位置での速度が前記最大速度より小さい経過速度の時、前記時定数に基づき加速しながら前記第m終了位置に向けて前記近接向きに相対移動時に前記第m終了位置で前記経過速度となる移動開始位置を前記惰走位置と決定し、決定した前記惰走位置と前記第m終了位置の間の距離を前記第n+2指令距離に基づき前記惰走距離として算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  9. 前記第一算出部は、
    前記第n指令距離が前記第n+2指令距離以下の時、
    前記工具が前記最大速度から前記時定数に基づき減速して停止する迄の減速距離を前記時定数と前記最大速度に基づき算出し、前記第n+2指令距離が前記減速距離未満の時、前記第n+2指令距離を前記惰走距離として算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  10. 前記第三移動部は、
    前記工具が前記惰走位置から前記近接向きに前記惰走距離分相対移動する間の速度を前記時定数に基づき前記経過速度迄加速し、前記工具が前記近接向きに前記第n+2指令距離分相対移動する間の速度を前記経過速度から前記時定数に基づき減速することを特徴とする請求項8に記載の数値制御装置。
  11. 前記第一算出部は、
    前記第n指令距離が前記第n+2指令距離以下の時、
    前記時定数に基づき減速しながら前記第m終了位置から前記第n+2指令距離分前記近接向きに相対移動時に前記第m+1開始位置で停止する時の前記第m終了位置での速度が前記最大速度の時、前記時定数に基づき加速しながら前記第m終了位置に向けて前記近接向きに相対移動時に前記第m終了位置で前記最大速度となる相対移動開始位置を前記惰走位置と決定し、決定した前記惰走位置と前記第m終了位置の間の距離を前記時定数と前記最大速度に基づき前記惰走距離として算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  12. 前記第一算出部は、
    前記第n指令距離が前記第n+2指令距離以下の時、
    前記工具が前記最大速度から前記時定数に基づき減速して停止する迄の減速距離を前記時定数と前記最大速度に基づき算出し、前記第n+2指令距離が前記減速距離以上の時、前記減速距離を前記惰走距離として算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  13. 前記第三移動部は、
    前記工具が前記惰走位置から前記近接向きに前記惰走距離分相対移動する間の速度を前記時定数に基づき前記最大速度迄加速し、前記工具が前記近接向きに前記第n+2指令距離分相対移動する間の速度を前記最大速度から前記時定数に基づき減速することを特徴とする請求項11に記載の数値制御装置。
  14. 被削材を保持する作業台に対して工具を第一軸方向に沿って前記作業台から離隔する向きである離隔向きに第m加工位置(mは1以上の整数)から第m終了位置迄相対移動する為の第n指令(nは1以上の整数)、前記作業台に対して前記工具を第m切削位置から第m+1切削位置迄前記第一軸方向と直交する第二軸方向に沿って相対移動する為の第n+1指令、前記作業台に対して前記工具を前記第一軸方向に沿って前記作業台に近接する向きである近接向きに前記第m終了位置から第m+1開始位置迄相対移動する為の第n+2指令を少なくとも含むプログラムに基づき、前記作業台に対して前記工具を前記第一軸方向に相対移動する第一軸モータと前記第二軸方向に相対移動する第二軸モータを制御して前記被削材を切削する切削加工を制御する制御方法であり、
    前記第m終了位置に対して前記離隔向きに離隔した惰走位置と前記第m終了位置の間の距離を惰走距離として算出する第一算出工程と、
    前記第一軸モータを駆動し、前記工具を前記第m加工位置から前記第m終了位置を経由して前記惰走位置迄前記離隔向きに相対移動する第一移動工程と、
    前記第一移動工程に依り相対移動する前記工具が前記第m終了位置を通過時、前記第n+1指令に基づき前記第二軸モータを駆動し、前記工具を前記第m切削位置から前記第m+1切削位置に向けて前記第二軸方向に相対移動する第二移動工程と、
    前記第一移動工程に依り前記惰走位置に相対移動した前記工具を、前記惰走位置から前記第一軸方向に沿って前記近接向きに相対移動時に前記工具が前記第m終了位置を通過時、前記第二移動工程に依り相対移動する前記工具が前記第m+1切削位置に到達するよう、前記惰走位置から前記近接向きに前記工具の相対移動を開始する開始時機を算出する第二算出工程と、
    前記第一移動工程に依り前記工具が前記惰走位置に到達し且つ前記第二算出工程に依り算出した前記開始時機が到来時、前記第一軸モータを駆動し、前記惰走位置から前記第m終了位置を経由して前記m+1開始位置迄、前記近接向きに前記工具を相対移動する第三移動工程と
    を備え、
    前記第一算出工程は、
    前記第m加工位置と前記第m終了位置の間の前記第一軸方向における距離である第n指令距離又は第m終了位置と前記第m+1開始位置の間の前記第一軸方向における距離である第n+2指令距離と、前記第一軸モータの駆動に依る前記工具の最大速度と、前記工具の加減速時における時定数に基づき、前記惰走距離を算出することを特徴とする制御方法。
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