JP2021063193A - セルロースナノファイバー(cnf)およびそれを含む複合材料の製造方法 - Google Patents

セルロースナノファイバー(cnf)およびそれを含む複合材料の製造方法 Download PDF

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【課題】物理的特性に優れた複合材料を製造する方法を提供する。【解決手段】セルロース原料を水熱処理に付して膨潤セルロース原料を得る工程;膨潤セルロース原料を解砕してパルプを得る工程;およびパルプを化学処理してセルロースナノファイバー(CNF)を得る工程を、この順序で含むセルロースナノファイバーの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースナノファイバー(CNF)およびその製造方法、ならびにそのCNFを樹脂に混合することを含む複合材料の製造方法の分野に属する。
近年、各種の機能性添加剤や構造材としてCNFが注目されている。
CNFは高弾性、軽量、低い伸縮率、高いガスバリア性などの優れた物理特性を有している。また、自然界に大量に存在するバイオマスであるセルロースを原料として製造されるCNFは、いわゆるカーボンニュートラルな材料であり、たとえ燃焼させても地球上の二酸化炭素を増加させることはなく、生産・廃棄における環境負荷が小さい。
このように優れた特性を有するCNFを製造する方法としては、一般的に、木材チップを酸化剤などにより化学処理してセルロース繊維にした後、ホモミキサーなどの機械的処理により微細化する方法が知られている(特許文献1および特許文献2)。
特開2008−1728号公報 特開2010−235679号公報
しかしながら、これら従来の方法により製造したCNFでは、樹脂等に添加して得られる複合材料の強度が十分でないという問題があった。
本発明者は、このCNFの製造方法に着目して鋭意検討した結果、木材チップなどのセルロース原料を、そのまま直接水熱処理した後に、化学処理して得られたCNFが、樹脂材料との複合材料の特性を向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
さらに、CNFを製造するための原料として、新たな木材のみならず廃材や、稲穂、くず、すすきなどの草本、古紙などを用いることで、今まで廃棄されていたセルロース素材を有効活用することも検討する。
すなわち、第1の態様において、本発明は、広葉樹、針葉樹、竹などの木本類、稲穂、くず、すすきなどの草本類、紙などのセルロース原料を水熱処理に付して膨潤セルロース原料を得る工程、膨潤セルロース原料を解砕してパルプを得る工程、およびパルプを、酸またはアルカリで化学処理に付してセルロースナノファイバーを得る工程を含むCNFの製造方法を提供するものである。
また、第2の態様において、本発明は、上記の製造方法で製造したCNFを樹脂と混合して複合材料を得ることを含む複合材料の製造方法を提供するものである。
さらに、第3の態様において、本発明は、上記の製造方法で製造した複合材料を用いた、フィルム、シート、ボトル、容器、トレーなどあらゆる成形品の製造方法を提供する。
本発明によれば、複合材料の物理的特性を向上することができるCNFの製造方法を提供することができる。
第1の態様において、本発明は、
セルロース原料を水熱処理して膨潤セルロース原料を得る工程;
膨潤セルロース原料を解砕してパルプを得る工程;および
パルプを酸またはアルカリによる化学処理に付してCNFを得る工程
を、この順序で含むCNFの製造方法を提供する。
本発明の製造方法に用いるセルロース原料は、天然セルロースを取り出せる物質であればいずれのものであってもよく、例えば、針葉樹、広葉樹および竹などからなる群から選択される木本類もしくは稲穂、くず、すすきなどからなる群から選択される草本類、さらには紙類を含む。これらのセルロース原料は、新規の材料でなくても、前記した木本類、草木類の使用済みの廃材、古紙でもよい。このようなセルロース原料は、取り扱いのため適当な大きさにしてから工程に付す。本発明において、工程に付す際のセルロース原料の大きさは、好ましくは0.5×0.5 cm〜2.0×2.0 cm、より好ましくは0.7×0.7 cm〜1.5×1.5 cm、最も好ましくは0.8×0.8 cm〜1.2×1.2 cmの範囲である。前記範囲よりも大きな原料であれば、破砕してチップやパウダー形態の粉砕物にする。
本発明の製造方法の水熱処理工程において、セルロース原料をそのまま水に浸漬し、高温、高圧条件の亜臨界から超臨界状態に付す。より詳しくは、水に浸漬したチップ等の水熱処理を、1〜300気圧下で400℃以下の、好ましくは2〜250気圧下で5〜200℃の、より好ましくは25〜100気圧下で100〜380℃の、最も好ましくは25〜100気圧下で150〜250℃の範囲内の亜臨界または超臨界状態で60〜180分間行う。これらの水熱処理により、セルロース原料は柔らかく膨潤した粉砕物になる。
従来のCNFの製造方法では木材チップ等のセルロース原料を最初に硫酸などで化学処理し、その後、ソルボサーマル処理していたが、本発明の製造方法では、木材チップなどある程度の大きさを有するセルロース原料をまず水熱処理し、その後、酸やアルカリを用いて化学処理するところに特徴がある。本発明の製造方法により製造したCNFは樹脂と混合した場合に、複合材料の物性を高める。
ソルボサーマル処理とは、水熱処理において用いる水に代えて有機溶媒を用いる処理であり、このような有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、N-メチルピロリドンのようなピロリドン系溶剤、酢酸ブチルのようなアセテート系溶剤、ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル系溶剤、メチルエチルケトンのようなケトン系溶剤、トルエン、キシレンのような芳香族溶剤、パラフィンなどの炭化水素系溶剤などの溶媒を挙げることができる。
つぎに、得られた膨潤セルロース原料を解砕工程に付して、繊維をほぐしてパルプ化する。この解砕工程には、ボールミル、ディスクミル、湿式カッターミル、圧力式ホモジナイザーなどを用いることができる。この解砕工程によりセルロース原料は0.05〜0.5 mmの繊維状のパルプとなる。
最後に、解砕して得られたパルプを化学処理する。化学処理としては、例えば、酸処理、アルカリ処理、またはこれらの組み合わせが挙げられる。酸処理には、硫酸、硝酸、塩酸、酢酸などの酸を用いることができる。また、アルカリ処理には水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、次亜塩素酸などを用いることができる。
また、本発明のもう1つの局面において、水熱処理に付す前に、セルロース原料にリグニンを加えることもできる。リグニンを加えることにより、生成されるCNFの表面が疎水化される(疎水化CNF)。疎水化CNFと樹脂とを混合して生成する複合材料では、リグニンを加えない非疎水化CNFの複合材料と比べて引張強度が高くなるのでより好ましい。セルロース原料とリグニンの混合比はセルロース原料/リグニン(重量比)=0.5〜2、好ましくは0.7〜1.5、より好ましくは0.8〜1.2ぐらいが好ましい。
第2の態様において、本発明は、CNFと樹脂とを混合することを含む複合材料の製造方法を提供する。
ここで用いるCNFは第1の態様の製造方法により製造した化学処理CNFまたは疎水化CNFである。
本発明に用いることができる樹脂は、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどからなる群から選択されるポリオレフィン系樹脂;ポリスチレンおよびポリ塩化ビニルなどからなる群から選択されるビニル系ポリマー;ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、アクリル系樹脂、ポリアセタール樹脂、熱可塑性ポリウレタンおよびアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)共重合樹脂などからなる群から選択される石油由来の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、複合体樹脂に生分解性を持たせるために、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、デンプン系樹脂、微生物由来のポリヒドロキシアルカノエート系生分解性樹脂、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリアミド4およびセルロース系樹脂などからなる群から選択される熱可塑性生分解性樹脂を用いることができる。さらに、熱可塑性樹脂や熱可塑性生分解性樹脂の例として、廃棄プラスチックや再生ペレットなどを用いることもできる。
第2の態様の複合材料の製造方法では、上記のCNFまたは疎水化CNFを加熱した樹脂に混合する。混合時の樹脂の温度は樹脂により異なるが、CNFまたは疎水化CNFが均一に混合する樹脂粘度となる温度である。CNFまたは疎水化CNFと樹脂は、樹脂100重量部に対して、CNFまたは疎水化CNFを通常5〜40重量部、好ましくは7〜37重量部、より好ましくは10〜30重量部の割合で混合する。
第3の態様において、本発明は、第2の態様で得られた複合材料を成形する、成型品の製造方法を提供する。
成型品の製造方法としては、フィルム成型、シート成形、熱成形、ブロー成形、真空成型、射出成型などのあらゆる成型方法を採用することができる。
第3の態様の成型品の製造方法では、本発明の第2の態様で得られた複合材料を、上記の成形方法のいずれかを用いて成形することによって、フィルム、シート、ボトル、容器、トレーなどあらゆる成形品を得ることができる。
[実施例1]
木粉(平均粒子径430 μm)1 kgと水 10 Lとを混合してオートクレーブ(200℃、25気圧)中で2時間水熱処理した。得られた膨潤木粉を次亜塩素酸10%の水溶液中、90℃で1時間熱処理を施して水熱処理/アルカリ処理CNFを得た。
得られたCNF 38 gをポリヒドロキシアルカノエート (PHA) 62 gと130℃にて混合し、冷却してPHA複合材料を製造した。
得られたPHA複合材料の引張強度を島津製作所の精密万能試験機 オートグラフAG-X plusによって測定した。引張強度の結果を表1に示す。
[実施例2]
木粉(平均粒子径430 μm)1 kgと水 10 Lとを混合してオートクレーブ(200℃、25気圧)中で2時間水熱処理した。得られた膨潤木粉を水酸化ナトリウム 10%の水溶液中、90℃で1時間熱処理を施して水熱処理/アルカリ処理CNFを得た。
得られたCNF 34 gをポリヒドロキシアルカノエート (PHA) 66 gと130℃にて混合し、冷却してCNF-PHA複合材料を製造した。
得られたCNF-PHA複合材料の引張強度を島津製作所の精密万能試験機 オートグラフAG-X plusによって測定した。引張強度の結果を表1に示す。
[実施例3]
木粉(平均粒子径420 μm)1 kgと水 10 Lとを混合してオートクレーブ(200℃、25気圧)中で2時間水熱処理した。得られた膨潤木粉を塩酸10%の水溶液中、90℃で1時間熱処理を施して水熱処理/酸処理CNFを得た。
得られたCNF 15 gをポリヒドロキシアルカノエート (PHA) 85 gと130℃にて混合し、冷却してCNF-PHA複合材料を製造した。
得られたCNF-PHA複合材料の引張強度を島津製作所の精密万能試験機 オートグラフAG-X plusによって測定した。引張強度の結果を表1に示す。
[比較例1]
木粉(平均粒子径410 μm)1 kgを次亜塩素酸10%の水溶液中、90℃で1時間熱処理を施した。得られたアルカリ処理木粉と水 10 Lとを混合してオートクレーブ(200℃、25気圧)中で2時間水熱処理を施してアルカリ処理/水熱処理CNFを得た。
得られたCNF 14 gをポリヒドロキシアルカノエート (PHA) 86 gと130℃にて混合し、冷却してCNF-PHA複合材料を製造した。
得られたCNF-PHA複合材料の引張強度を島津製作所の精密万能試験機 オートグラフAG-X plusによって測定した。引張強度の結果を表1に示す。
[比較例2]
木粉(平均粒子径410 μm)1 kgを水酸化ナトリウム10%の水溶液中、90℃で1時間熱処理を施した。得られたアルカリ処理木粉と水 10 Lとを混合してオートクレーブ(200℃、25気圧)中で2時間水熱処理を施してアルカリ処理/水熱処理CNFを得た。
得られたCNF 15 gをポリヒドロキシアルカノエート (PHA) 85 gと130℃にて混合し、冷却してCNF-PHA複合材料を製造した。
得られたCNF-PHA複合材料の引張強度を島津製作所の精密万能試験機 オートグラフAG-X plusによって測定した。引張強度の結果を表1に示す。
[比較例3]
木粉(平均粒子径1900 μm)1 kgとN-メチルピロリドン 10 Lとを混合してオートクレーブ中でソルボサーマル処理した以外は、実施例1と同様に、CNF(ソルボサーマル処理/アルカリ処理CNF)を得た。
得られたCNF 12 gをポリヒドロキシアルカノエート (PHA) 88 gと130℃にて混合し、冷却してCNF-PHA複合材料を製造した。
得られたCNF-PHA複合材料の引張強度を島津製作所の精密万能試験機 オートグラフAG-X plusによって測定した。引張強度の結果を表1に示す。
[実施例4]
紙粉(平均粒子径380 μm)1 kgと水 10 Lとを混合してオートクレーブ(200℃、25気圧)中で2時間水熱処理した。得られた膨潤紙粉を次亜塩素酸10%の水溶液中、90℃で1時間熱処理を施してCNF(水熱処理/アルカリ処理CNF)を得た。
得られたCNF 46 gをポリヒドロキシアルカノエート (PHA) 54 gと130℃にて混合し、冷却してCNF-PHA複合材料を製造した。
得られたCNF-PHA複合材料の引張強度を島津製作所の精密万能試験機 オートグラフAG-X plusによって測定した。引張強度の結果を表1に示す。
[実施例5]
紙粉(平均粒子径380 μm)1 kgと水 10 Lとを混合してオートクレーブ(200℃、25気圧)中で2時間水熱処理した。得られた膨潤紙粉を水酸化ナトリウム 10%の水溶液中、90℃で1時間熱処理を施してCNF(水熱処理/アルカリ処理CNF)を得た。
得られたCNF 36 gをポリヒドロキシアルカノエート (PHA) 64 gと130℃にて混合し、冷却してCNF-PHA複合材料を製造した。
得られたCNF-PHA複合材料の引張強度を島津製作所の精密万能試験機 オートグラフAG-X plusによって測定した。引張強度の結果を表1に示す。
[実施例6]
紙粉(平均粒子径370 μm)1 kgと水 10 Lとを混合してオートクレーブ(200℃、25気圧)中で2時間水熱処理した。得られた膨潤紙粉を塩酸10%の水溶液中、90℃で1時間熱処理を施してCNF(水熱処理/酸処理CNF)を得た。
得られたCNF 16 gをポリヒドロキシアルカノエート (PHA) 84 gと130℃にて混合し、冷却してCNF-PHA複合材料を製造した。
得られたCNF-PHA複合材料の引張強度を島津製作所の精密万能試験機 オートグラフAG-X plusによって測定した。引張強度の結果を表1に示す。
[比較例4]
紙粉(平均粒子径390 μm)1 kgを次亜塩素酸10%の水溶液中、90℃で1時間熱処理を施した。得られたアルカリ処理木粉と水 10 Lとを混合してオートクレーブ(200℃、25気圧)中で2時間水熱処理を施してアルカリ処理/水熱処理CNFを得た。
得られたCNF 17 gをポリヒドロキシアルカノエート (PHA) 83 gと130℃にて混合し、冷却してCNF-PHA複合材料を製造した。
得られたCNF-PHA複合材料の引張強度を島津製作所の精密万能試験機 オートグラフAG-X plusによって測定した。引張強度の結果を表1に示す。
[比較例5]
紙粉(平均粒子径390 μm)1 kgを水酸化ナトリウム10%の水溶液中、90℃で1時間熱処理を施した。得られたアルカリ処理木粉と水 10 Lとを混合してオートクレーブ(200℃、25気圧)中で2時間水熱処理を施してアルカリ処理/水熱処理CNFを得た。
得られたCNF 16 gをポリヒドロキシアルカノエート (PHA) 84 gと130℃にて混合し、冷却してCNF-PHA複合材料を製造した。
得られたCNF-PHA複合材料の引張強度を島津製作所の精密万能試験機 オートグラフAG-X plusによって測定した。引張強度の結果を表1に示す。
[比較例6]
紙粉(平均粒子径1700 μm)1 kgとN-メチルピロリドン 10 Lとを混合してオートクレーブ中でソルボサーマル処理した以外は、実施例4と同様に、CNF(ソルボサーマル処理/アルカリ処理CNF)を得た。
得られたCNF 18 gをポリヒドロキシアルカノエート (PHA) 82 gと130℃にて混合し、冷却してCNF-PHA複合材料を製造した。
得られたCNF-PHA複合材料の引張強度を島津製作所の精密万能試験機 オートグラフAG-X plusによって測定した。引張強度の結果を表1に示す。
Figure 2021063193
本発明の方法に従って水熱処理およびその後のアルカリ処理または酸処理を用いて得られた水熱処理/アルカリ処理CNFまたは水熱処理/酸処理CNFを配合した複合材料(実施例1、2、4および5、実施例3および6)は、従来の方法に従ってソルボサーマル処理およびその後のアルカリ処理を用いて得たソルボサーマル処理/アルカリ処理CNFを配合した複合材料(比較例3および6)と比較して、高い引張強度を示した。特に、水熱処理/アルカリ処理CNFを配合した複合材料(実施例1、2、4および5)は、顕著に高い引張強度を示した。これは、本発明の方法に従って得られた水熱処理/アルカリ処理CNFは、ソルボサーマル処理/アルカリ処理CNFよりも、表面上に多くの水酸基(-OH基)を有し、同じく水酸基を多く含むPHAとの相溶性が高く、より多くのCNFを充填することができることが要因であると考えられる。
また、アルカリ処理およびその後の水熱処理を用いて得られたアルカリ処理/水熱処理CNF(比較例1、2、4および5)を、水熱処理/アルカリ処理CNF(実施例1、2、4および5)と比較すると、樹脂中に充填できる量が少なく、引張強度もPHA単独の引張強度と同程度であった。なお、PHA単独の引張強度は16 MPaである。
このように本発明の方法により製造したCNFを樹脂に配合したCNF-樹脂複合材料では、物理的強度がさらに高められることが示された。
[製造例]
実施例1と同様の製造方法により製造したCNFを配合した複合材料20 gを200℃にて金型圧力40 MPaにて射出成型して、容器を得た。
本発明の製造方法は、セルロースナノファイバーの技術分野、複合材料の技術分野などにおいて利用することができる。

Claims (10)

  1. セルロース原料を水熱処理に付して膨潤セルロース原料を得る工程;膨潤セルロース原料を解砕してパルプを得る工程;およびパルプを化学処理してセルロースナノファイバー(CNF)を得る工程を、この順序で含むセルロースナノファイバーの製造方法。
  2. 水熱処理を臨界または亜臨界状態で行う、請求項1に記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
  3. セルロース原料が、針葉樹、広葉樹および竹からなる群から選択される木本類もしくは稲穂、くずおよびすすきからなる群から選択される草本類もしくはこれらの廃材、または、紙もしくは古紙である、請求項1に記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
  4. 化学処理が、硫酸、硝酸、塩酸、酢酸から選択される酸を用いる酸処理であるか、または、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムもしくは次亜塩素酸から選択されるアルカリを用いるアルカリ処理である、請求項1に記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
  5. 請求項1〜4いずれか1に記載のセルロースナノファイバーの製造方法で製造したCNFを樹脂と混合することを含む、複合材料の製造方法。
  6. 樹脂が熱可塑性樹脂または熱可塑性生分解性樹脂である、請求項5に記載の複合材料の製造方法。
  7. 樹脂が、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群から選択されるポリオレフィン系樹脂;ポリスチレンおよびポリ塩化ビニルからなる群から選択されるビニル系ポリマー;ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、アクリル系樹脂、ポリアセタール樹脂、熱可塑性ポリウレタンおよびアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)共重合樹脂からなる群から選択される石油由来の熱可塑性樹脂;ならびにポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、デンプン系樹脂、微生物由来のポリヒドロキシアルカノエート系生分解性樹脂、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリアミド4およびセルロース系樹脂からなる群から選択される生分解性樹脂である、請求項6に記載の複合材料の製造方法。
  8. 樹脂が、再生プラスチックまたは再生ペレットである、請求項7に記載の複合材料の製造方法。
  9. 請求項5〜8いずれか1に記載の製造方法で製造した複合材料を成形する、成型品の製造方法。
  10. 前記複合材料を、フィルム成型、シート成形、熱成形、ブロー成形、真空成型、および射出成型のいずれかの成型方法で成型を行う、請求項9に記載の製造方法。
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