以下、図面を参照して荷物配達システム10の構成について説明する。図1は、荷物配達システム10全体の構成例を示す図である。荷物配達システム10は、搬送箱16を保持して搬送する搬送ロボット12と、搬送ロボット12の運行を制御する管理センタ14と、を有している。搬送ロボット12は、搬送箱16を保持可能であり、一般的な道路や屋内通路を自律走行可能な移動ロボットである。
図1に示すように、荷物100は、搬送箱16に収容された状態で、配達元102から配達先104へ配達される。図示例では、搬送ロボット12は、配達元102と中継所106aとの間、あるいは、中継所106bと配達先104との間の荷物100の搬送に利用される。一つの中継所106aから別の中継所106bまでは、運送トラック108等を利用する一般的な物流システムを用いて荷物100を運送する。
ここで、後に詳説するように、搬送ロボット12で保持可能な搬送箱16の形状は、概ね限定されている。そのため、搬送ロボット12を利用して荷物100を配達したい場合、ユーザは、特定の形状の搬送箱16を用意する必要がある。しかし、こうした特定形状の搬送箱16をユーザが事前に用意するのは、手間であった。
そこで、本例では、配達元102のユーザから荷物発送のリクエストがあれば、必要な搬送箱16を、搬送ロボット12を利用して配達元102(すなわち集荷位置)へと搬送し、ユーザに搬送箱16を貸与する。荷物100は、この貸与された搬送箱16に収容されたうえで、配達先104に配達される。配達先104のユーザが、搬送箱16から荷物を取り出せば、搬送ロボット12は、空になった搬送箱16を回収する。回収された搬送箱16は、再び別の荷物100の配達に再利用される。
ここで、荷物100の配達料金は、搬送箱16のサイズに応じて変動する。そのため、荷物100に比べて過度に大きな搬送箱16を使用した場合、配達料金が無駄に高くなる。そこで、本例の管理センタ14は、後に詳説するように、配達元102のユーザ、あるいは、配達元102にある搬送ロボット12から送られる荷物サイズデータに基づいて、荷物100の大きさを判別する。荷物サイズデータの形式は、大きく二つあり、一つは、ユーザ端末あるいは搬送ロボット12に設けられたカメラで荷物100を撮像して得られる画像データである。もう一つは、荷物100を搬送ロボット12に設けられた物体検知センサ(例えば、LiDAR等)でスキャンして得られるスキャンデータである。このスキャンデータを取得する場合、管理センタ14は、搬送ロボット12を配達元102に移動させる。管理センタ14は、こうした荷物サイズデータに基づいて、荷物100の大きさを判断し、その大きさに適したサイズでかつ空の搬送箱16の搬送を搬送ロボット12に指示する。指示を受けた搬送ロボット12は、指定の搬送箱16を配達元102のユーザに搬送し、提供する。こうしたユーザへの搬送箱16の提供の詳しい流れについては、後述する。
次に、この荷物配達システム10を構成する搬送ロボット12および搬送箱16について図2〜図5を参照して説明する。図2は、搬送ロボット12の斜視図であり、図3は、搬送箱16を保持した状態の搬送ロボット12の斜視図である。また、図4は、蓋を開けた状態の搬送箱16の斜視図である。さらに、図5は、搬送ロボット12および搬送箱16の電気的構成を示すブロック図である。なお、以下の各図において、「Fr」、「Up」、「Rh」は、それぞれ、搬送ロボット12の前方、上方、右側方を示す。
搬送ロボット12は、機械的には、車輪等を有した走行部18と、当該走行部18の上側に設けられる保持部20と、に大別される。走行部18は、図2、図3に示すように、片側3つ、左右合わせて六つの車輪を有している。搬送ロボット12には、この六つの車輪を回転駆動させる走行モータ34(図2、図3では図示せず、図5参照)が搭載されている。走行モータ34は、各車輪ごとに設けられてもよいし、一部の車輪にのみ設けられてもよい。なお、走行部18は、一般的な道路や屋内の通路を走行できるのであれば、その構成は、適宜、変更されてもよい。例えば、車輪の個数は、六つに限らず、四つでもよいし、六つより多くてもよい。また、車輪に替えて、他の走行機構、例えば、キャタピラ(登録商標)等の商品名で知られている無限軌道等を設けてもよい。
また、搬送ロボット12には、走行部18での自律走行を助けるために通信I/F30およびセンサ群32(いずれも図2、図3では図示せず、図5参照)も設けられている。通信I/F30は、外部機器と通信するためのもので、携帯電話会社等が提供する回線を利用したモバイルデータ通信や、Wifi(登録商標)等を利用した無線LAN、ブルートゥース(登録商標)等を利用した中距離または近距離無線通信のためのハードウェアを含む。通信相手の外部機器としては、例えば、管理センタ14や中継所106a,106b等に設置された通信端末、個人が所有する携帯通信端末、他の搬送ロボット12等が含まれる。搬送ロボット12は、この通信I/F30を介して、荷物100の搬送に関係する各種情報、例えば、目的地情報や道路状況等を取得する。また、搬送ロボット12は、通信I/F30を介して、管理センタ14等に、必要な情報、例えば、荷物100の搬送状況等を送信する。
センサ群32は、搬送ロボット12の走行状態および周辺環境を検知する1以上のセンサを含む。こうしたセンサ群32は、例えば、速度センサ、カメラ、ミリ波レーダ、赤外線センサ、LiDAR、超音波センサ、GPSセンサ、加速度センサ、およびジャイロセンサの少なくとも一つを含む。後述するロボットコントローラ28(図5参照)は、センサ群32で検知された検知結果および通信I/F30を介して取得された情報に基づいて、走行モータ34を駆動する。また、こうしたセンサ群32を構成するセンサは、後述するように、荷物100のサイズを検知するために利用されてもよい。
保持部20は、走行部18の上側に設けられている。保持部20は、図2、図3に示すように、角形リング状であるリング体22を有している。リング体22は、幅方向に間隔をあけて立脚する一対のサイド部材22Sと、一対のサイド部材22Sの上端同士を接続する上横部材22Uと、一対のサイド部材22Sの下端同士を接続する下横部材22Lと、を有する。したがって、保持部20の奥行き方向両端は、閉鎖されることなく、貫通している。
搬送箱16は、図3に示すように、このリング体22の内側に配置され、保持される。図3から明らかな通り、搬送箱16の奥行き寸法は、リング体22の奥行き寸法よりも充分に大きい。そのため、搬送箱16をリング体22で保持した場合、搬送箱16の前部および後部は、リング体22の前端および後端から突出し、外部に露出する。
一対のサイド部材22Sそれぞれの対向面には、複数(図示例では五つ)のサポートレール24が設けられている。このサポートレール24は、搬送箱16を摺動可能に下側から支える。リング体22の内側空間は、五つのサポートレール24により、高さ方向に四つのエリアに区分けされる。搬送箱16の高さ方向寸法は、このエリアの高さ寸法を基準として設定される。
また、一対のサイド部材22Sそれぞれの対向面には、さらに、係合ピン26も設けられている。この係合ピン26は、幅方向に進退可能であり、進出することで搬送箱16の一部と係合する。なお、図2では、一番下側の係合ピン26のみが進出しており、その他の係合ピン26は、後退している。このように係合ピン26が、搬送箱16の一部と係合することで、搬送箱16のリング体22からの脱落や盗難が防止される。
搬送ロボット12には、係合ピン26を進退させるためのロックアクチュエータ38(図5参照)が設けられている。このロックアクチュエータ38の構成は、電子制御できるものであれば、特に限定されない。したがって、ロックアクチュエータ38は、ソレノイドアクチュエータ等の電磁シリンダでもよい。また、ロックアクチュエータ38は、空圧シリンダや、油圧シリンダ、リニアモータ等を含むアクチュエータでもよい。さらに、ロックアクチュエータ38は、回転モータと伝達機構を組み合わせたアクチュエータでもよい。ロックアクチュエータ38は、非通電時に、係合ピン26を進出させ、通電時に係合ピン26を退避させる構成でもよい。かかる構成とすることで、電源喪失時でも、係合ピン26を進出させることができ、搬送箱16のリング体22からの意図しない離脱を防止できる。
サイド部材22Sの対向面には、さらに、RFIDリーダライタ40が搭載されている。また、搬送箱16の側壁のうち、当該RFIDリーダライタ40と対向する箇所には、RFタグ43(図4、図5参照)が固着されている。RFIDリーダライタ40は、電磁界や電波等を用いた近距離の無線通信を利用して、このRFタグ43に情報を記録したり、RFタグ43に記録された情報を読み込んだりする。
ここで、RFタグ43には、例えば、搬送箱16の識別情報が記録されてもよい。また、RFタグ43には、荷物100の差出人、差出人住所、宛先人、および、宛先人住所を含む伝票情報が記録されてもよい。ここで、本例では、搬送箱16の一部をリング体22の外側に露出させた状態で搬送する。かかる場合において、伝票情報を紙の伝票に記載して貼付した場合、伝票情報が周囲の人に見えてしまい、個人情報が流出するおそれがある。一方、本例のように、伝票情報をRFタグ43に記録すれば、搬送箱16の一部が外部に露出していても、伝票情報が周囲の人に知られず、個人情報が保護される。また、伝票情報を紙の伝票に記載するのではなく、RFタグ43に記録することで、荷物100を集荷する際におけるユーザの手間を低減できる。なお、こうしたRFタグ43を設けた場合、その分、コストが増加するという問題がある。しかし、本例の搬送箱16は、繰り返し使用するため、RFタグ43の追加に伴う、配送1回あたりのコストアップを、小さく抑えることができる。
また、搬送ロボット12は、周辺の人へメッセージを通知するための出力デバイス36(図5参照)も有している。出力デバイス36は、例えば、ガイダンス音声やアラーム音を出力するスピーカ、画像や文字列を表示するディスプレイ、必要に応じて点灯または消灯するランプ等を含む。
搬送ロボット12には、さらに、当該搬送ロボット12に設けられた各種電気機器に電力を供給するバッテリ39(図5参照)も設けられている。このバッテリ39は、充放電可能な二次電池である。バッテリ39を充電可能とするために、搬送ロボット12は、充電器と、当該充電器を外部電源に接続するためのプラグと、を有してもよい。また、別の形態として、バッテリ39は、搬送ロボット12の外部において充電できるように、搬送ロボット12から着脱可能であってもよい。さらに、バッテリ39は、無線充電が可能で、待機中や、列車や大型の搬送車両に搭載されて移動しているときに充電できるようになっていてもよい。
搬送ロボット12の駆動は、ロボットコントローラ28(図5参照)により制御される。ロボットコントローラ28は、少なくとも、プロセッサ28aと、メモリ28bと、を有するマイクロコンピュータである。ロボットコントローラ28の各機能は、プロセッサ28aがメモリ28bに格納されたプログラムを実行することにより実現される。なお、プロセッサ28aは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。また、ロボットコントローラ28を構成するプロセッサ28aは、物理的に一つである必要はなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサで構成されてもよい。同様に、メモリ28bも、物理的に一つの要素である必要はなく、物理的に離れた位置に存在する複数のメモリで構成されてもよい。また、メモリは、半導体メモリ(例えばRAM、ROM、ソリッドステートドライブ等)および磁気ディスク(例えば、ハードディスクドライブ等)の少なくとも一つを含んでもよい。
搬送箱16は、荷物100を収容するための箱であり、搬送ロボット12の保持部20で保持可能な箱である。この搬送箱16は、上述した通り、繰り返し使用することが想定されており、比較的、堅牢な構成となっている。本例では、高さが異なる複数種類のサイズの搬送箱16を用意している。いずれのサイズの搬送箱16も、その平面サイズは同じである。すなわち、いずれのサイズの搬送箱16も、リング体22の幅方向内寸より僅かに小さい幅方向寸法を有し、リング体22の奥行き寸法よりも充分に大きな奥行き寸法を有する。
また、リング体22の内側空間は、サポートレール24により、高さ方向に並ぶ4段のエリアに区分けされるが、搬送箱16の高さ寸法は、このエリアの高さ寸法を基準として設定される。以下では、搬送箱16のサイズのうち、一段分のエリアを占有するサイズを「小サイズ」と呼ぶ。同様に、2段分のエリアを占有するサイズを「中サイズ」、3段分のエリアを占有するサイズを「大サイズ」、4段分のエリアを占有するサイズを「特大サイズ」と呼ぶ。図3の図示例では、搬送ロボット12は、小サイズの搬送箱16を二つ、中サイズの搬送箱16を一つ、保持している。
搬送箱16の構成は、いずれのサイズでもほぼ同じであるため、以下では、図4に図示する中サイズの搬送箱16を例に挙げて、搬送箱16の構成を説明する。図4に示すように、搬送箱16は、天面が開口された箱状であり、当該天面は、蓋フラップ41S,41R,41Fにより開閉自在に覆われる。一つの蓋フラップ41Fの幅方向両端には、耳フラップ42が接続されている。耳フラップ42は、搬送箱16の蓋を閉じた際、蓋フラップ41Fの幅方向両端から、側壁の外側に垂れ下がるフラップである。この耳フラップ42には、貫通孔42aが形成されている。また、側壁のうち、貫通孔42aと正対する箇所には、凹部16aが形成されている。搬送ロボット12のサイド部材22Sに設けられた係合ピン26は、この貫通孔42aおよび凹部16aに進入して係合する。これにより、搬送箱16のリング体22からの意図しない離脱が防止される。
また、係合ピン26が耳フラップ42の一部と係合すると、当該耳フラップ42と接続された蓋フラップ41Fの動きが制限される。そして、これにより、搬送中に、搬送箱16の蓋が勝手に開けられることが防止され、当該搬送箱16からの荷物100の抜き取り(盗難)が防止される。つまり、係合ピン26および耳フラップ42は、保持部20にセットされた搬送箱16の蓋の開放を規制するロック機構として機能する。なお、当然ながら、蓋の開放を規制するロック機構は、他の形態でもよい。例えば、保持部20にセットされた蓋の上側において進退し、進出することで蓋フラップ41Fの持ち上げを阻害するような進退部材でロック機構を構成してもよい。
また、係合ピン26を耳フラップ42の一部と係合させることで、ユーザの発送準備の手間を軽減できる。すなわち、従来、ユーザが荷物100を発送する場合、当該荷物100を梱包容器に収容した後、梱包容器をガムテープ等で封止していた。一方、本例の搬送箱16の場合、搬送箱16を搬送ロボット12の保持部20にセットすれば、係合ピン26が進出して耳フラップ42に係合する。これにより、ユーザが搬送箱16をガムテープ等で封止しなくても、搬送箱16の蓋の開封が防止される。つまり、本例によれば、ユーザが搬送箱16を封止する必要がなく、ユーザの発送準備の手間を軽減できる。
また、搬送箱16には、上述した通り、RFタグ43が固着されている。さらに、搬送箱16には、発信器44(図5参照)も固着されている。発信器44は、位置追跡信号を出力するもので、例えば、GPS発信器である。かかる発信器44を搬送箱16に固着しておくことで、搬送箱16の位置を追跡できる。すなわち、繰り返し述べているように、本例の搬送箱16は、繰り返し使用することを想定した貸与形式の箱である。かかる搬送箱16が、ユーザから返却されない場合には、発信器44からの位置追跡信号に基づいて、搬送箱16の位置を特定し、ユーザに返却を求めてもよい。なお、発信器44は、その駆動電力を供給する電池を有しているが、当該電池は、使い切りタイプの一次電池でもよいし、充放電可能な二次電池でもよい。発信器44に二次電池を設けた場合、搬送ロボット12には、当該二次電池を無線で充電できる無線充電器を搭載してもよい。この場合、搬送ロボット12は、搬送箱16を保持部20で保持している期間を利用して、二次電池を充電してもよい。
次に、管理センタ14の構成について図6を参照して説明する。図6は、管理センタ14の機能ブロック図である。なお、図6では、主に、荷物100の集荷に関係する機能を図示しており、その他の機能については、図示を省略している。
管理センタ14は、複数の搬送ロボット12の状態を記録したロボットDB46を有している。このロボットDB46には、複数の搬送ロボット12それぞれの現在位置、各搬送ロボット12が保持している搬送箱16の識別情報、各搬送箱16の状態等が記録されている。搬送箱16の状態には、荷物100の配達に利用されている「使用中」と、荷物100の配達に利用されていない「フリー」と、がある。
ロボット状態更新部48は、複数の搬送ロボット12それぞれから定期的に、当該搬送ロボット12の状態を示す状態情報を受信する。状態情報には、搬送ロボット12の現在位置と、保持している搬送箱16の識別情報と、が含まれる。ロボット状態更新部48は、受信した状態情報に基づいて、ロボットDB46を更新する。
リクエスト受信部50は、各種リクエストを受信する。ここで、受信するリクエストとしては、発送リクエストや計測リクエスト等がある。発送リクエストは、ユーザが荷物100の集荷を希望する際に送信されるリクエストである。この発送リクエストは、ユーザが所有する端末から送信されてもよいし、後述する計測処理を終えた搬送ロボット12から送信されてもよい。
この発送リクエストには、少なくとも、伝票情報と、荷物サイズデータと、が含まれる。伝票情報は、上述した通り、差出人と、差出人住所(すなわち集荷位置)と、宛先人と、宛先人住所と、を含む。荷物サイズデータは、上述した通り、荷物100の画像データ、あるいは、荷物100を物体検知センサでスキャンしたスキャンデータである。荷物100の画像データは、当該荷物100のサイズを判別できるのであれば、その形式や個数は、特に限定されない。したがって、画像データは、2台のカメラを用いて一つの荷物を同時に撮像したステレオ画像データでもよい。また、画像データは、寸法が既知のリファレンス部材とともに荷物100を撮像した画像データでもよい。さらに、画像データは、焦点距離を変更して荷物100を複数回撮像して得られるものでもよい。また、発送リクエストは、さらに、集荷希望時間や配達希望時間、発送を依頼したユーザの識別情報等を含んでもよい。
計測リクエストは、ユーザ自身で荷物サイズデータを取得できない場合に送信される。この計測リクエストは、ユーザが所有する端末から送信されてもよいし、電話等でユーザの要望を受け付けたオペレータから送信されてもよい。計測リクエストには、少なくとも、計測位置が含まれ、さらに、伝票情報や、計測希望時間、計測を依頼したユーザの識別情報等が含まれてもよい。
リクエスト受信部50は、発送リクエストを受信すれば、当該発送リクエストに含まれる荷物サイズデータをサイズ決定部51に出力する。サイズ決定部51は、荷物サイズデータに基づいて、ユーザに貸与する搬送箱16のサイズを決定する。具体的には、サイズ決定部51は、搬送ロボット12で保持可能な搬送箱16のサイズを予め記憶している。本例では、搬送ロボット12は、小サイズ、中サイズ、大サイズ、特大サイズという4種類のサイズを記憶している。サイズ決定部51は、荷物サイズデータに基づいて、荷物100のサイズを算出し、当該荷物100の収容に適した搬送箱16のサイズを決定する。荷物100の収容に適した搬送箱16のサイズとは、荷物100が収容可能な搬送箱16のサイズのうち、最小となるサイズのことである。
ロボット選定部54は、リクエスト受信部50から発送リクエストまたは計測リクエストを受け取り、当該リクエストに適した搬送ロボット12を選定する。具体的には、ロボット選定部54は、発送リクエストを受け取った場合には、ロボットDB46を参照して、サイズ決定部51で決定されたサイズでかつフリーの(すなわち空箱の)搬送箱16を保持する搬送ロボット12を抽出する。ロボット選定部54は、さらに、この抽出された搬送ロボット12のうち、集荷位置までの距離または移動時間が最も小さい搬送ロボット12を対象ロボットとして選定する。また、ロボット選定部54は、計測リクエストを受け取った場合には、ロボットDB46を参照して、計測位置までの距離または移動時間が最も小さい搬送ロボット12を対象ロボットとして選定する。
ロボット指令送信部56には、ロボット選定部54で選定された対象ロボットに、リクエストに応じた指令を送信する。具体的には、発送リクエストを受け取った場合、ロボット指令送信部56は、決定された搬送箱16のサイズと、発送リクエストと、をロボット指令として、対象ロボットに送信する。このロボット指令を受信した対象ロボット(すなわち搬送ロボット12)は、搬送箱16を保持したまま、集荷位置へと移動し、ユーザに、搬送箱16を提供する。また、計測リクエストを受け取った場合、ロボット指令送信部56は、計測リクエストをロボット指令として、対象ロボットに送信する。
管理センタ14は、さらに、課金処理部52を有してもよい。課金処理部52は、荷物100の配達に関わる課金の処理を行う。この課金処理は、管理センタ14内で完結してもよいし、管理センタ14とは別に存在するオンライン決済の運営会社(例えばクレジットカード会社等)と連携して行うのでもよい。
次に、こうした荷物配達システム10における搬送箱16の集荷の流れについて、図7、図8を参照して説明する。図7は、荷物サイズデータをユーザ端末110で取得する場合を、図8は、荷物サイズデータを搬送ロボット12で取得する場合の流れを示している。
はじめに、図7を参照して、荷物サイズデータをユーザ端末110で取得する場合の搬送箱16の貸与の流れについて説明する。この場合、ユーザは、予め、ユーザ端末110に搭載されたカメラを用いて、荷物100を撮像して画像データを取得しておく。このとき、ユーザ端末110には、当該荷物100の撮像や、集荷リクエストの送信等をガイドする専用のアプリケーションがインストールされていてもよい。
荷物100の画像データが取得できれば、ユーザは、ユーザ端末110を用いて、発送リクエストを管理センタ14に送信する(S10)。この発送リクエストには、上述した通り、少なくとも、荷物100の画像データ(すなわち荷物サイズデータ)と伝票情報とが含まれる。
管理センタ14は、荷物100の画像データから、必要な搬送箱16のサイズを決定する。この状態になれば、管理センタ14は、配達料金を算出し、ユーザに課金処理を要望する(S12)。ユーザが課金処理を実行すれば、管理センタ14は、決定されたサイズでフリーの搬送箱16(すなわち空の搬送箱16)を保持した搬送ロボット12に、集荷位置(すなわち差出人住所)への移動を指令する(S14)。この指令を受けた搬送ロボット12は、集荷位置へと移動し、空の搬送箱16をユーザに提供し、貸与する(S16)。
次に、図8を参照して、荷物サイズデータを搬送ロボット12で取得する場合の搬送箱16の貸与の流れについて説明する。この場合、管理センタ14には、計測リクエストが送信される(S20)。計測リクエストは、少なくとも、集荷位置を含む。この計測リクエストは、ユーザ端末110から管理センタ14のコンピュータに送信されてもよいし、ユーザの要望を電話やFAXで受け付けたオペレータが管理センタ14のコンピュータに入力してもよい。
管理センタ14は、集荷位置の近くに位置する搬送ロボット12を選定し、集荷位置への移動指令を出力する(S22)。移動指令を受けた搬送ロボット12は、集荷位置へと移動する(S24)。集荷位置に到達した搬送ロボット12は、当該搬送ロボット12に搭載されたセンサを利用して荷物サイズデータを取得する。例えば、搬送ロボット12に搭載された物体検知センサ(例えばLiDAR等)を用いて荷物100の形状をスキャンしたスキャンデータを荷物サイズデータとして取得してもよい。また、別の形態として、搬送ロボット12に搭載されたカメラを用いて、荷物100を撮像した画像データを荷物サイズデータとして取得してもよい。
荷物サイズデータが得られれば、搬送ロボット12は、当該荷物サイズデータ、伝票情報を含む発送リクエストを管理センタ14に送信する(S26)。管理センタ14は、荷物サイズデータから、必要な搬送箱16のサイズを決定する。この状態になれば、管理センタ14は、配達料金を算出し、ユーザに課金処理を要望する(S28)。ユーザが課金処理を実行すれば、管理センタ14は、決定されたサイズでフリーの搬送箱16を保持した搬送ロボット12に、集荷位置への移動を指令する(S30)。この指令を受けた搬送ロボット12は、集荷位置へと移動し、空の搬送箱16をユーザに提供し、貸与する(S32)。なお、当然ながら、計測を行なった搬送ロボット12が、適した搬送箱16を保持している場合には、当該計測を行なった搬送ロボット12がそのまま搬送箱16の提供を行なう。
次に、搬送箱16が、貸与された後の手順について簡単に説明する。搬送ロボット12は、ユーザに搬送箱16を引き渡せば、その場で、しばらく待機する。その間、ユーザは、受け取った(貸与された)搬送箱16に荷物100を収容する。その後、ユーザは、荷物100を収容した搬送箱16を、待機している搬送ロボット12のリング体22にセットする。搬送ロボット12は、新たにセットされた搬送箱16のRFタグ43に伝票情報を記録する。また、搬送ロボット12は、セットされた搬送箱16に係合ピン26を係合させる。これにより、搬送箱16の離脱や、蓋の開きが防止される。また、ユーザは、紙の伝票を事前に用意する必要はなく、また、搬送箱16をガムテープ等で梱包する必要もない。そのため、本例によれば、搬送箱16が届けられてから、荷物100を発送(荷物100入りの搬送箱16をリング体22にセット)するまでの作業量が少なくできる。その結果、搬送ロボット12の待機時間を短くでき、搬送ロボット12をより効率的に稼働させることができる。
以上の説明から明らかな通り、本例では、荷物配達システム10側で、必要な搬送箱16のサイズを決定し、そのサイズの搬送箱16をユーザのもとに搬送し、貸与する。これにより、ユーザは、規定サイズの搬送箱16を事前に用意する必要がなく、ユーザの発送準備の手間を軽減できる。なお、ここまで説明した構成は、一例であり、少なくとも、荷物配達システム側で、必要な搬送箱16のサイズを決定し、当該搬送箱16をユーザに提供するのであれば、その他の構成は、適宜変更されてもよい。例えば、本例では、搬送ロボット12のリング体22で搬送箱16を保持しているが、搬送ロボット12の形態は、適宜、変更されてもよく、例えば、搬送ロボット12は、搬送箱16を収容するコンテナを有してもよい。