JP2021062450A - 光学部品又は光学部品成型用金型の研磨方法 - Google Patents

光学部品又は光学部品成型用金型の研磨方法 Download PDF

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Abstract

【課題】種々の光学部品の透明化や種々の光学部品成型用金型の鏡面化を可能にする光学部品及び光学部品成型用金型の研磨方法を提供する。【解決手段】本発明の光学部品又は光学部品成型用金型の研磨方法は,光学部品又は光学部品成型用金型の表面を処理領域とし,弾性体の表面に砥粒を担持させて成る弾性研磨材を前記処理領域に向けて噴射する研磨方法であって,前記弾性研磨材を圧縮流体と共に噴射して,前記処理領域に衝突させると共に,前記処理領域上で流体の流れを発生させて前記弾性研磨材を滑動させることを特徴とするものである。【選択図】図1

Description

本発明は,レンズなどの光学部品及び光学部品成型用金型の研磨方法に関し,より具体的には,圧縮流体と共に研磨材を噴射して行うブラスト加工による研磨方法に関する。
光学部品,例えばレンズの研磨方法として,研磨皿と呼ばれる,砥石を多数備えたカーブを有するお椀形状の工具を用いた研磨が行われていた。なお,前記研磨皿を使用した研磨方法として,例えば,研磨対象のレンズに前記研磨皿を密着させた状態でレンズを回転させ,研磨液を供給しながら前記研磨皿を揺動させることで,前記レンズの表面を磨く方法がある。
しかし,例えば前記レンズは,大小を含め,異なる曲率,凸レンズ又は凹レンズ等,様々な形状や,仕様のものがあるのに対して,前記研磨皿に汎用性はない。そのため,処理対象のレンズの形状に合うように研磨皿を使い分ける必要があるため,形状の異なる研磨皿を何種類も用意しなければならなかった。
また,上述のレンズ以外の,自由曲面形状や光源拡散を目的とした微小な複雑形状を有した光学部品に対しては,前記研磨皿を用いた研磨方法では研磨が困難であるため,手作業により研磨が行われていた。
なお,前記研磨皿による研磨や手作業による研磨の他に,光学部品の従来の研磨方法として,以下のようなものがある。
特許文献1には,研磨荷重を効率良く掛けて,微小な研磨物品である微小レンズ及び,該微小レンズの金型を研磨する研磨方法が開示されている。詳しくは,図5及び図6に示すように,小型チルト研磨装置30を使用した研磨方法であって,ワーク34をワーク保持手段37で保持した状態で,ワーク34の研磨面の上方に前記研磨面と接触するように配置されたツール31で前記ワーク34を研磨するもので,前記ツール31を揺動ユニット38で揺動させる一方で,ワーク34を回転軸心35のまわりで回転させつつ,ワーク34をワーク保持手段37と一緒に傾動軸心33のまわりで傾斜させることを特徴とする小型チルト研磨方法が提案されている。
特許文献2には,fθレンズ(ミラー)の金型の表面を研磨する研磨方法が提案されている。詳しくは,図7及び図8に示すように,長手方向Xと該長手方向Xと直交する短手方向Yとの曲率半径が異なり,該短手方向Yが凹面であるワーク45の研磨面45aを研磨機40で研磨する研磨方法であって,前記研磨機40に備えられた,上記研磨面45aの短手方向Yの全幅より大きい直径を有する一対の円盤状研磨具47,49を用い,該一対の円盤状研磨具47,49の軸線方向を上記長手方向Xに対して平面視において互いに反対方向に傾斜させて,該一対の円盤状研磨具47,49を研磨面45aの短手方向全幅及び長手方向一部に同時に接触させ,該一対の円盤状研磨具47,49の軸線方向と長手方向との傾斜関係を維持したまま,該一対の円盤状研磨具47,49を回転させながら研磨面45aに対して相対的に上記長手方向Xに移動させて研磨面45aを研磨することを特徴とする研磨方法が開示されている。
特許文献3には,光学素子またはその金型を,工具走査による微小なうねり傷を発生させず,短時間で高精度に研磨する研磨方法が開示されている。詳しくは,図9に示すように,研磨装置50を使用して,光学機能面が非球面形状である被加工物59の前記光学機能面を研磨する研磨方法であって,前記研磨装置50の保持手段54に保持された前記被加工物59の前記光学機能面の外周位置に配置した補助部材52と,前記被加工物59及び前記補助部材52の表面形状に対応した押し付け部材51(押し付け面に弾性部材55を備える。)を設け,前記被加工物59と前記補助部材52及び前記押し付け部材51の間に研磨機能を有するシート部材53を走行させ,前記シート部材53の走行により前記被加工物59の光学機能面の研磨加工を行なうことを特徴とする研磨方法が記載されている。
特開2009−269136号公報 特開2003−189030号公報 特開2003−117791号公報
上述の従来の研磨方法は,球面のみでなく自由曲面の研磨をも可能とすることを目的とするものである。
しかしながら,上述の回転ブラシを押し付ける研磨方法や,研磨シート部材を使用しての研磨方法を実際に,微細な複雑形状の施された光学部品や金型の研磨に適用しようとすると,研磨工具(ブラシやシート部材)が形状に追従しきれずに,研磨され易い箇所が選択的に研磨されてしまい,これにより,凸部の形状にダレが発生し,逆に微細な凹部は研磨不足の原因となってしまい,均一な研磨が困難である問題があった。
光学部品及び光学部品成型用金型の研磨においては,光学部品及び金型の形状を変形させずに均一に研磨しなければならないところ,従来の研磨方法では,研磨工具を加工物の形状に完全に追従させるために精密なNC制御(数値制御)が必須となるが,自由曲面の形状や複雑形状の被加工物を研磨する場合,前記NC制御の設定作業の工数増加や研磨時間が大幅にかかる問題があった。特に,光学部品及び金型の他種形状,大きさに対応する場合にはその都度多大な工数が発生してしまう。
なお,従来の研磨シート部材を用いて研磨する場合には,被加工物の形状と完全に反転させた押し付け部材を用意する必要があり,形状の異なる被加工物を研磨する都度,適切な部材を製作する必要があった。
また,上述した従来の研磨方法以外の方法で,平面形状,球面形状,自由曲面形状のみでなく,異形状や凹凸形状,微細な複雑形状の凹凸部を研磨する方法としては,依然として,手作業による研磨が多かった。しかしながら手作業は,研磨に大幅な時間がかかる上,作業者の熟練度による研磨度合にバラつきが発生し仕上がりに差異が生じ,また,近年は作業者が老齢となり作業者の減少など課題が多い。
本発明は,以上説明した問題点に鑑み,平面形状,球面形状,自由曲面形状や微小な複雑形状の光学部品及び光学部品成型用金型の研磨方法としてブラスト工法を用いる事で,手磨きなどの職人技術に頼ることなく機械的な研磨や自動研磨ができ,さらに,上述したNC制御など複雑な制御をする事なく,種々の光学部品の透明化や種々の光学部品成型用金型の鏡面化を可能にする光学部品及び光学部品成型用金型の研磨方法を提供することを目的とする。
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
上記目的を達成するために,本発明の光学部品又は光学部品成型用金型の研磨方法は,
光学部品又は光学部品成型用金型の表面を処理領域とし,
弾性体2の表面に砥粒3を担持させて成る弾性研磨材1を前記処理領域に向けて噴射する研磨方法であって,
前記弾性研磨材1を圧縮流体と共に噴射して,前記処理領域に衝突させると共に,前記処理領域上で流体の流れを発生させて前記弾性研磨材1を前記処理領域上で滑動させることを特徴とするものである(請求項1)。
前記処理領域が,平面形状,球面形状,自由曲面形状,球面や非球面や平面が組み合わされた複雑な形状,凹凸形状,微細な凹凸を有する形状,段差形状,筒状又は,これらが組み合わさった形状であってもよい(請求項2)。
前記弾性体2の表面積に対する前記砥粒3の被覆面積の比率が70〜100%であることが好ましい(請求項3)。
前記弾性研磨材1は,前記砥粒3のメディアン径が0.1〜100μmであり,前記砥粒のメディアン径に対応してメディアン径50〜2000μmの範囲から選択した前記弾性研磨材1であることが好ましい(請求項4)。なお,本発明のメディアン径は,JIS Z8825(2013年)に準じて,粒子径基準を体積基準として公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって測定されたものである。すなわち,本発明のメディアン径は,粒子群をある粒子の体積から2つに分けたとき,大きい側の粒子群の積算粒子量と,小さい側の粒子群の積算粒子量が等量となる径(累積分布50Vol%の径)をいう。
前記弾性研磨材1を,噴射圧力を0.01〜0.6MPaの圧縮気体と共に噴射することが好適である(請求項5)。
前記弾性研磨材1を,噴射距離3mm〜300mm,傾斜角度5〜90°にて噴射することが好適である(請求項6)。
前記弾性研磨材1の噴射を二回に分けて行ってもよい(請求項7)。
本発明の研磨方法によれば,光学部品及び光学部品成型用金型へ,弾性研磨材を使用したブラスト加工を実施する事で,研磨前の,機械加工などによる切削痕や粗面状態を研磨して,光学部品を透明化や,光学部品成型用金型を鏡面化することが出来る。
特に,本発明は,従来技術のように研磨工具を加工物に機械的に押し当てて研磨するという方法ではなく,圧縮流体とともに前記弾性研磨材を噴射させるという構成であるため,流体の流れが発生する前記処理領域(加工表面)上を前記弾性研磨材が滑動して僅かな力で徐々に前記処理領域(加工表面)を研磨していき,被加工物の形状に沿って表面を均一に研磨させることができる。
また,本発明では,弾性体2の表面に砥粒3を担持させて成る弾性研磨材1を使用しているため,処理領域にスクラッチ傷を発生させずに,均一に研磨することができる。
上述の通り,本発明の研磨方法は,研磨工具を押し付ける方法ではなく噴流工法であるため,被加工物の形状を崩さずに表面を研磨することができ,かつ完全に噴射位置を制御させずとも研磨が可能である。
従って,被加工物の光学部品及び光学部品成型用金型が,平面形状,球面形状,自由曲面形状を有するものに限られず,例えば車載用の光源拡散用レンズ,マイクロレンズアレイ,フレネルレンズなどの様な加工表面にある微細凹凸形状,立体形状,段差形状,筒状内面などの異形状や凹凸形状,微細な複雑形状の凹凸部等,様々な形状を有するものであってもよく,本発明によれば,ブラスト加工により流体の流れが発生する箇所であれば形状にとらわれることなく研磨を容易に行うことができる。
上述の通り,本発明により機械的な研磨,自動研磨が可能となり,従来技術の課題であった研磨の大幅な工数や研磨品質の差異の問題が解消され,研磨作業の簡略化,工数の短縮,加工コストの削減,研磨品質の安定という効果が得られる。
実施例1の被加工品の本発明による研磨前及び研磨後の表面についてレーザー顕微鏡(400倍)による観察結果を示すと共に,本発明による研磨前及び研磨後の被加工物の表面の粗さを測定した結果(粗さ測定データ)を示す。 実施例2の被加工品の本発明による研磨前及び研磨後の表面についてレーザー顕微鏡(2000倍)による観察結果を示すと共に,本発明による研磨前及び研磨後の被加工物の表面の粗さを測定した結果(粗さ測定データ)を示す。 実施例3の被加工品の本発明による研磨前及び研磨後の表面についてレーザー顕微鏡(1000倍)による観察結果を比較例と共に示すと共に,本発明による研磨前及び研磨後の被加工物の表面の粗さを測定した結果(粗さ測定データ)を比較例と共に示す。 弾性研磨材の構成例を示した断面図であり,(A)は,本発明で使用される,弾性体(母材)表面に砥粒を付着させた付着型弾性体研磨材,(B)は,比較対象の,弾性体(母材)中に砥粒を分散させた分散型弾性体研磨材。 従来の研磨方法を示す図。 図5のツール31部分の拡大図。 他の従来の研磨方法を示す図。 図7の一部平面図である。 他の従来の研磨方法を示す図。
以下,本発明の実施形態について説明する。
〔被加工物〕
本発明の研磨方法の処理対象である被加工物は,光学部品または光学部品成形用金型である。
なお,前記光学部品に使用される材質としては,例えば,石英ガラス,サファイアガラスなどの光学用ガラス,アクリル系やポリカーボネートなどの光学用プラスチック等が挙げられる。
また,前記光学部品成形用金型に使用される材質としては,例えば,金型用鋼材,超硬,ステンレス鋼,無電解ニッケルリンなどの光学部品成型用の金型材料が挙げられる。
また,研磨対象の被加工物は,平面形状,球面形状,自由曲面形状を有するものに限られず,車載用の光源拡散用レンズ,マイクロレンズアレイ,フレネルレンズなどの様な加工表面にある微細凹凸形状,立体形状,段差形状,筒状内面などの異形状や凹凸形状,微細な複雑形状の凹凸部を有するものであっても良く,後述するブラスト加工により流体の流れが発生すれば形状は特に限定されない。
〔研磨方法〕
次に,上述した被加工物に対する本発明の研磨方法を以下に述べる。
本発明による研磨方法は,圧縮流体とともに研磨材を被加工物に噴射し,加工表面を研磨するものである。この研磨処理に使用する研磨材,噴射装置,噴射条件を一例として以下に示す。
〔研磨材〕
本発明で使用される研磨材には,弾性研磨材が好適であり,該弾性研磨材とは,図4(A)に示すような,ゴムやエラストマー等の弾性体(母材)2の表面に砥粒3を担持させた弾性研磨材1(株式会社不二製作所製「シリウスZ」)である。なお,前記弾性体2の表面に砥粒3を担持させた弾性研磨材1(以下,付着型弾性体研磨材ともいう。)については,自己粘着性を有する前記弾性体の表面に砥粒を付着し定着させた弾性研磨材や,前記弾性体の表面に粘着剤を塗布する等した後に砥粒を付着し定着させた弾性研磨材であっても良い。
光学部品や光学部品成型用金型の研磨においては,処理領域にスクラッチ傷を発生させずに,均一に研磨することが望ましいところ,発明者の鋭意検討の結果,以下に述べるように,前記付着型弾性体研磨材1を使用することが好ましいことが明らかになった。
まず,上記弾性研磨材を圧縮流体とともに被加工物に噴射すると,前記弾性研磨材であることにより,被加工物へ衝突する際に加工表面にてその形状を変形させながら,前記加工表面を滑走させて研磨することができる。特に,前記変形により,衝突時の衝撃を吸収することができ,また前記滑走時に,前記弾性研磨材の前記砥粒により加工表面を研磨できる。
また,前記弾性研磨材1は,砥粒3により弾性体(母材)2の表面が隙間なく覆われている或いは僅かな隙間しかない状態で覆われている為,噴射され被処理面に衝突する際に,砥粒3が接触する面積が大きく(研磨される面積が大きく),そして,被処理面に接触する砥粒3の粒数が多くなり,砥粒3による研削力が分散され,被処理面が均一に研磨されやすいことが分かった。
特に,発明者の鋭意検討の結果,本発明に使用される前記付着型弾性体研磨材1は,前記弾性体の表面積に対する前記砥粒の被覆面積の比率が70〜100%であることが,特に好ましいことが分かった。
また,本発明で使用される上述の付着型弾性体研磨材1との比較として,図4(B)に示すような,ゴムやエラストマー等の弾性体(母材)12に砥粒13を分散させた弾性研磨材(以下,分散型弾性体研磨材ともいう。)11について検討したところ,該分散型弾性体研磨材11の表面は,砥粒13と併せて弾性体(母材)12自体も露出しており,被処理面に衝突する際,砥粒13が作用する面積が小さく,そして,被処理面に接触する砥粒13の粒数が少なくなり,砥粒一粒に作用する力が大きくなってしまい,研磨中に被処理面にスクラッチ傷が発生しやすくなることが分かった。
また,本発明に使用される前記付着型弾性体研磨材1は,砥粒3が弾性体(母材)2の表面に付着されたものであり,弾性体(母材)2の内部に砥粒を含んでいないため,弾性体母材の弾性率や軟らかさを保持した状態で構成されている。一方,前記分散型弾性体研磨材11は,弾性体(母材)12の内部にも砥粒13を含有しているため研磨材の弾性率が低下し,ある程度の硬さを持った研磨材になってしまう。
付着型弾性体研磨材1のように,軟らかく変形しやすい研磨材を使用した方が,被処理面に衝突した際のエネルギー分散が大きく作用され,均一に研磨されやすくなる。
なお,弾性研磨材1の弾性体(母材)2の周りを覆う砥粒3には,ダイヤ,カーボランダム,グリーンカーボランダム,アルミナ,ホワイトアルミナ,ボロンなどがある。
また,弾性研磨材1の弾性体(母材)2としては,ゴム,熱可塑性エラストマー等の弾性体が使用でき,このような弾性体を得るための原料ポリマーとしては,固体のほか,液状ゴムやエマルジョン等のラテックスの形態のものが使用できる。
なお,弾性研磨材1の弾性体(母材)2に使用される前記ゴムとしては,天然ゴムのほか,各種合成ゴムも使用でき,例えば,イソプレンゴム,スチレンブタジエンゴム,ブタジエンゴム,アクリロニトリルブタジエンゴム,クロロプレンゴム,エチレンプロピレンゴム,クロロスルフォン化ポリエチレン,塩素化ポリエチレン,ウレタンゴム,シリコンゴム,エピクロルヒドリンゴム,ブチルゴム等を挙げることができる。
また,前記熱可塑性エラストマーとしては,スチレンブロックコポリマー,塩素化ポリエチレン系エラストマー,ポリエステル系エラストマー,ニトリル系エラストマー,フッ素系エラストマー,シリコン系エラストマー,エステルハロゲン系ポリマーアロイ,オレフィン系エラストマー,塩ビ系エラストマー,ウレタン系エラストマー,ポリアミド系エラストマー,エステルハロゲン系ポリマーアロイ等がある。
また,前記砥粒のメディアン径は,0.1μm〜100μmが好適であり,弾性研磨材自体のメディアン径は,前記砥粒のメディアン径に対応させつつ50μm〜2000μmの範囲内で,加工目的,加工物の材質,求められる面粗度により調整可能である。
〔噴射装置〕
前述した弾性研磨材を被加工物の表面に向けて噴射する噴射装置としては,圧縮流体と共に研磨材の噴射を行う既知のブラスト加工装置を使用することができる。
なお,噴射ガンから圧縮流体とともに研磨材を噴射する事が可能であれば,その形式は直圧式,サクション式,重力式の乾式,ブロワ式,湿式等も使用してもよい。
また,エア式のブラスト加工装置を使用する場合,噴射圧力は,前記弾性研磨材を噴射ガンより噴射したときに研磨材に所望の速度エネルギーを付与できればよく,加工目的,使用する研磨材,加工物の材質,その他各条件に応じて,0.01MPa〜0.6MPaの範囲内で調整可能である。
被加工物に対する前記弾性研磨材の入射角(傾斜角度)は,加工目的や加工物の形状により,5°〜90°の範囲で調整可能である。また,被加工物に対する噴射ガンの距離は,加工目的や加工物の形状,使用する研磨材,加工物の材質,その他各条件に応じて,3mm〜300mmの範囲内で調整可能である。
次に,本発明の研磨方法によって表面研磨を行った加工例を実施例として示す。
〔実施例1〕
実施例1の被加工物(ワーク)は,所謂ガラスレンズ(光学部品)であり,具体的には,石英ガラスから成る臨床検査用分析装置内のガラスセル用テストサンプルであって,その形状は,20mm×10mm,厚み3mmの石英ガラスに,φ3の半球ポケット(1箇所)が切削加工により施されているものである。
なお,上述のガラスレンズを研磨する目的の一つとして,分光分析にて使用される石英セルが,分析機器に応じて筒形状や半球のポケット状などに切削加工されているところ,切削加工面は不透明であり分析の妨げになるため,前記切削加工面を研磨することが挙げられる。
本実施例においては,上述の被加工物の表面を,以下の表1に示すブラスト加工条件によって研磨した。
Figure 2021062450
上記の加工条件で研磨した被加工物(ワーク)の表面と研磨前の被加工物の表面についてレーザー顕微鏡(400倍)による観察結果を図1に示す。なお,図1には,上記の加工条件で研磨した被加工物の表面と本研磨前の被加工物の表面の粗さを測定した結果(粗さ測定データ)も示されている。
図1の通り,研磨前の被加工物は,切削加工によるサブミクロンの大きさのムシレやハガレが発生し,面荒れが発生している。また,研磨前の被加工物の表面は,Ra(算術平均粗さ)が0.452μm,Rz(十点平均粗さ)が4.625μmと粗く,目視での状態でも表面は白濁として,透明度は一切ない。
これに対し研磨後は,Ra(算術平均粗さ)が0.076μm,Rz(十点平均粗さ)が0.756μmとなり研磨前と比較して1/5以下の表面粗さまで低減し,外観も透明度が得られている。
なお,従来は,リューター等を使用して手作業で研磨していたが,本発明のブラスト工法での研磨で,従来工法と同等の研磨状態に仕上げる事が可能となった。
〔実施例2〕
実施例2の被加工物(ワーク)は,レンズ成型用金型であり,具体的には,NAK80(プラスチック金型用プリハードン鋼)から成る光源拡散レンズ金型のテストサンプルであって,その形状は,50mm×50mm,高さ10mmに,光源拡散用レンズの微細なピラミッド形状(2.8mm×2.8mm,高さ0.3mmの四角錐)が形成されたものである。
なお,上述の金型を研磨する目的の一つとして,光源を拡散させるためにピラミッド状の複雑形状が機械加工にて施されているところ,機械加工面の状態ではツールマークの発生により光源の透過・拡散が不十分であり成型品の性能も不十分になることから,光源が十分に拡散されるよう成型品の性能を向上させるために金型を研磨することが挙げられる。
本実施例においては,上述の被加工物の表面を,以下の表2に示すブラスト加工条件によって研磨した。なお,本実施例では,第1のブラスト加工(第1工程)と第2のブラスト加工(第2工程)により研磨を行った。
Figure 2021062450
上記の加工条件で研磨した被加工物(ワーク)の表面と研磨前の被加工物の表面についてレーザー顕微鏡(2000倍)による観察結果を図2に示す。なお,図2には,上記の加工条件で研磨した被加工物(ワーク)の表面と研磨前の被加工物の表面の粗さを測定した結果(粗さ測定データ)も示されている。
図2に示す通り,研磨前は切削加工によるツールマークが発生しており,表面はRa(算術平均粗さ)が0.155μm,Rz(十点平均粗さ)が1.137μmであるため,この状態の金型を使用して成形したレンズは,レンズ性能が不十分となる。これに対し,研磨後の表面はRa(算術平均粗さ)が0.059μm,Rz(十点平均粗さ)が0.613μmと60%以上表面粗さが低減した。これにより成型品の性能も向上する。
なお,従来は手作業による研磨であったが,微細な複雑形状で磨きが困難な箇所は熟練度により個人差が発生してしまい,それにより成型品の光学特性が異なる場合があった。本発明のブラスト工法で研磨する事で,手作業から機械化,加工時間の短縮,さらに仕上がり状態のバラつきを抑えて品質向上も可能となる。
〔実施例3〕
実施例3の被加工物(ワーク)は,ステンレス鋼から成る光学レンズ用金型のテストサンプルであって,その形状は,50mm×10mm,厚み3mmの平体である。
なお,上述の金型を研磨する目的の一つとして,光学レンズ成形品の性能向上の為,研削痕のある金型面を研磨することが挙げられる。
本実施例においては,上述の被加工物の表面を,以下の表3に示すブラスト加工条件によって研磨した。また,前記付着型弾性体研磨材1を使用した実施例3に対する比較例として,上述の被加工物の表面を,前記分散型弾性体研磨材11を使用し,以下の表3に示すブラスト加工条件によって研磨した。
Figure 2021062450
上記の加工条件で研磨した実施例3と比較例の被加工物(ワーク)の表面と研磨前の被加工物の表面についてレーザー顕微鏡(1000倍)による観察結果を図3に示す。なお,図3には,上記の加工条件で研磨した実施例3と比較例の被加工物(ワーク)の表面と研磨前の被加工物の表面の粗さを測定した結果(粗さ測定データ)も示されている。
図3が示すとおり,研磨前の被加工物は切削加工によるツールマークが発生し,表面のRa(算術平均粗さ)が0.083μm,Rz(十点平均粗さ)が0.677μmであり,この状態で成形した場合は,レンズ性能が不十分となる。これに対し,研磨後は,実施例3及び比較例共に,60〜70%以上表面粗さが低減し,これにより成型品の性能も向上した。
しかし,比較例の分散型弾性体研磨材11を使用した場合と実施例3の付着型弾性体研磨材1を使用した場合とを比較すると,比較例は,表面のRa(算術平均粗さ)が0.033μmで,Rz(十点平均粗さ)が0.309μmであるのに対し,実施例3は,表面のRa(算術平均粗さ)が0.021μm,Rz(十点平均粗さ)が0.193μmと表面粗さの低減については,実施例3の方がより効果的である事が分かる。
図3のレーザー顕微鏡画像や粗さ曲線で比較しても,比較例の分散型弾性体研磨材11に比べ実施例3の付着型弾性体研磨材1による被処理面の方が,研磨材衝突による微細なスクラッチ傷や凹凸が発生しにくく,被処理面が均一に研磨されている事が分かる。
1 弾性研磨材(付着型弾性体研磨材)
2 弾性体(母材)
3 砥粒
11 弾性研磨材(分散型弾性体研磨材)
12 弾性体(母材)
13 砥粒
30 小型チルト研磨装置
31 ツール
33 傾動軸心
34 ワーク
35 回転軸心
37 ワーク保持手段
38 揺動ユニット
40 研磨機
45 ワーク
45a 研磨面
47,49 一対の円盤状研磨具
50 研磨装置
51 押し付け部材
52 補助部材
53 シート部材
54 保持手段
55 弾性部材
59 被加工物

Claims (7)

  1. 光学部品又は光学部品成型用金型の表面を処理領域とし,
    弾性体の表面に砥粒を担持させて成る弾性研磨材を前記処理領域に向けて噴射する研磨方法であって,
    前記弾性研磨材を圧縮流体と共に噴射して,前記処理領域に衝突させると共に,前記処理領域上で流体の流れを発生させて前記弾性研磨材を前記処理領域上で滑動させることを特徴とする光学部品又は光学部品成型用金型の研磨方法。
  2. 前記処理領域が,平面形状,球面形状,自由曲面形状,球面や非球面や平面が組み合わされた複雑な形状,凹凸形状,微細な凹凸を有する形状,段差形状,筒状又は,これらが組み合わさった形状であることを特徴とする請求項1記載の光学部品又は光学部品成型用金型の研磨方法。
  3. 前記弾性体の表面積に対する前記砥粒の被覆面積の比率が70〜100%であることを特徴とする請求項1又は2記載の光学部品又は光学部品成型用金型の研磨方法。
  4. 前記弾性研磨材は,前記砥粒のメディアン径が0.1〜100μmであり,前記砥粒のメディアン径に対応してメディアン径50〜2000μmの範囲から選択した弾性研磨材であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の光学部品又は光学部品成形用金型の研磨方法。
  5. 前記弾性研磨材を,噴射圧力を0.01〜0.6MPaの圧縮気体と共に噴射することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の光学部品又は光学部品成型用金型の研磨方法。
  6. 前記弾性研磨材を,噴射距離3mm〜300mm,傾斜角度5〜90°にて噴射することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の光学部品又は光学部品成型用金型の研磨方法。
  7. 前記弾性研磨材の噴射を二回に分けて行うことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の光学部品又は光学部品成型用金型の研磨方法。
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