JP2021062352A - ガス分離膜用塗工液及びこれを用いたガス分離膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多孔質基材を用いてガス分離膜を形成させても十分な膜性能を保持することができるガス分離膜用の塗工液を提供する。【解決手段】多孔質基材上にガス分離膜を形成させるための塗工液であって、固有ミクロ多孔性重合体と、少なくとも2種の溶媒と、を含み、前記少なくとも2種の溶媒が2相以上に相分離し、前記少なくとも2種の溶媒は、前記固有ミクロ多孔性重合体の溶解度が互いに異なり、前記溶解度が最も高い溶媒に前記固有ミクロ多孔性重合体を溶解させた溶液の粘度が、前記溶解度が最も低い溶媒に前記固有ミクロ多孔性重合体を溶解させたまたは不溶の溶液の粘度より高い、ガス分離膜用の塗工液により達成される。【選択図】図1

Description

本発明は、ガス分離膜に関する技術である。より詳しくは、ガス分離膜用塗工液及びこれを用いたガス分離膜の製造方法に関する。
ガス分離膜は、研究(ラボレベル)では単一膜で良い性能が得られるが、製品化(量産)を考慮すると強度や量産性のためガス選択透過性(ガス透過性とガス選択性とを有する性能)を有するガス分離膜と多孔質基材とからなる複合膜とする必要がある。例えば、特許文献1には、多孔質基材上にガス分離膜を有するガス分離複合膜であって、ポリマーまたはポリイミド化合物が特定の架橋鎖で架橋された構造を有しているガス分離複合膜が提案されている。
特願2013−28238号公報
しかしながら、上記特許文献1の複合膜を製造するにあたりガス選択透過性を有するガス分離膜を予め形成してから、多孔質基材と複合化をする場合、ガス選択透過性を有するガス分離膜自体をある程度の厚みとする必要があり、複合膜の薄膜化が困難であった。即ち、ガス透過性が悪化する問題があった。そのため多孔質基材上でガス選択透過性を有する膜を塗工形成させることで、複合膜を薄膜化する方法が挙げられているが、多孔質基材上での膜形成は、基材が多孔質であることから穴などが開いてしまう問題が生じやすく、ガス選択性を損なうことがあった。具体的には、特許文献1の段落「0202」〜「0204」には、多孔質基材上で薄膜形成した場合、サンプルに“ピンホール有り”の複合膜が4〜12%程度発生することが開示されている。即ち、ガス分離膜を厚くすればピンホールの発生は低くなるが、ガス透過性が悪化し、ガス透過性を上げるために薄く塗工した際はピンホールが発生する。また、特許文献1の段落「0113」には、ガス透過性材料であるポリイミド化合物の量を一定の範囲に調整することで、表層に欠陥が生じたり、透過性が低くなるのを抑制できるとある。しかしながら、上記実施例の結果が示すように、ピンホールの発生を抑制は出来るが、完全には解消できておらず、ガス選択性を損なうものであった。
そこで、本発明は、多孔質基材上に薄膜のガス選択透過性を有する膜を形成し、ガス選択性(単に選択性とも称する)を維持しつつガス透過性(単に透過性とも称する)を向上させるための塗工液とそれを用いた膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、従来の1種の溶媒を用いた単一膜の場合と逆の発想により透過性の高いガス分離膜を得られることを見出したものである。すなわち、異なる2種以上の溶媒を用いることは、溶媒の揮発性が異なることや塗工液が不均一になることなどから膜の欠陥が発生しやすく、ガス分離膜としての性能を発揮しにくいため、行われていなかった。しかしながら、本発明では、異なる2種以上の溶媒を混ぜることで、上記した従来の技術常識に反して、透過性の高いガス分離膜を得られることを見出したものである。詳しくは、ガス選択透過性を有する膜として固有ミクロ多孔性重合体(polymers of intrinsic microporosity、以後PIM−1と略記する)を使用するに際し、塗工液の溶媒(溶液)として夫々が相分離する。さらに夫々の溶媒でPIM−1の溶解度が異なり、(PIM−1の溶解度が高い溶媒の所定量のPIM−1を溶解させた溶液の粘度)>(PIM−1の溶解度が低い溶媒の所定量のPIM−1を溶解させた溶液の粘度)の関係を満たす2種以上の溶媒を使用する。これにより、上記問題を解決し得ることを見出し、本発明に至ったものである。
本発明の塗工液とそれを用いたガス分離複合膜の製造方法によれば、上記塗工液を多孔質基材に塗工した際に、PIM−1が溶解した粘度の小さい溶媒(溶液)が先に多孔質基材の孔に入り込む。そうすることで、PIM−1が溶解した粘度の大きい溶媒(溶液)が多孔質基材上に均一に広がりやすくなり、均質な薄膜を形成することができる。その結果、選択性を維持しつつ透過性(透過係数)を向上させることができる。
図1(a)は、2種の溶媒a、bにPIM−1を溶解させた溶液A、Bを混合することで、2相に相分離した様子を模式的に表す図面である。詳しくは、PIM−1の溶解度が高い溶媒aにPIM−1を溶解させた溶液A中に、PIM−1の溶解度が低い溶媒bにPIM−1を溶解させた溶液Bの液滴ができて2相に相分離した様子を表す図面である。図1(b)は、ガス分離複合膜の構成を表すものである。詳しくは、粘度の低い溶液Bが先に多孔質基材の孔に入り込み、PIM−1が溶解した粘度の大きい溶液Aが多孔質基材上に均一に広がり、均質な薄膜(ガス分離膜)を形成した構成を模式的に表す図面である。 相分離を確認する方法を行い、静置した後のシャーレ内の様子を上方から撮影した図面である。 従来例として、シャーレ内で薄い単一膜の作製を試み、広がるギリギリの量で作製したが、膜の強度が弱く膜が割れた様子をシャーレ内の上方から撮影した図面である。 図4は、ガス分離膜の評価を行うために用いたステンレス製のガス分離膜モジュールの様子を模式的に表した図面である。図4(a)は、ガス分離膜のサンプルを、ガス分離膜モジュールのガスの供給側と透過側との間に固定し、ガス分離膜モジュール内を真空とした様子を模式的に表した図面である。図4(b)は、ガス分離膜モジュールの供給側にガスを供給し、透過側との圧力差が無くなるまでの時間を測定する様子を模式的に表した図面である。 図5(a)は、従来例、実施例3、実施例6の膜性能を表す図表であり、図5(b)は、従来例、実施例3、実施例6の膜性能をグラフ化した図面である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(I)ガス分離膜用の塗工液(第1実施形態)
本発明の第1実施形態は、多孔質基材上にガス分離膜を形成させるための塗工液であって、
固有ミクロ多孔性重合体と、少なくとも2種の溶媒と、を含み、
前記少なくとも2種の溶媒が2相以上に相分離し、前記少なくとも2種の溶媒は、前記固有ミクロ多孔性重合体の溶解度が互いに異なり、前記溶解度が最も高い溶媒に前記固有ミクロ多孔性重合体を溶解させた溶液の粘度が、前記溶解度が最も低い溶媒に前記固有ミクロ多孔性重合体を溶解させたまたは不溶の溶液の粘度より高い、ガス分離膜用の塗工液である。かかる構成を有することにより、上記した発明の効果を奏することができる。以下、本形態のガス分離膜用の塗工液につき、構成要件ごとに詳しく説明する。
(1)固有ミクロ多孔性重合体
本形態のガス分離膜用の塗工液は、固有ミクロ多孔性重合体(PIM−1)を含有するものである。PIM−1は、制御された不均質な連続ミクロ多孔性材料であり、高いガス透過性を有している。かかるPIM−1としては、特に制限されるものではなく従来公知のものを適宜利用することができる。固有ミクロ多孔性重合体として具体的には、例えば、下記式(I)で表される構成単位を有していてもよい。
Figure 2021062352
上記式(I)中、
は、水素原子又は直鎖若しくは分岐状の炭素数1〜4のアルキル基であり、
は、水素原子、直鎖若しくは分岐状の炭素数1〜4のアルキル基、又はシアノ基であり、
は、水素原子、直鎖若しくは分岐状の炭素数1〜4のアルキル基、又はシアノ基である。同一の構成単位中の複数のR、R及びRは、それぞれ同一でも異なってもよい。
本形態のガス分離膜用の塗工液中のPIM−1の含有量は、塗工性に優れ、薄膜化を達成しやすいなどの観点から、
PIM−1の固有のミクロ孔サイズは、0.15〜0.5nmであることは分かっている。しかしながら、OやNの分子径は0.35nm、0.36nmであるため、その近辺の細孔が好ましいものといえるが、現状のPIM−1の固有のミクロ孔サイズの範囲であっても問題なく適用可能である(実施例参照)。
PIM−1の重量平均分子量(Mw)としては、20万以上が好ましく、20万〜80万の範囲がより好ましく、20万〜50万の範囲がさらに好ましい。PIM−1の重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であれば、合成が容易であり、狭い分子量分布に調整しやすく、当該分子量のPIM−1を用いて薄膜に形成しても得られる分離膜の強度が強く、欠陥の発生を防止することができるためである。
本形態では、PIM−1の重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn:多分散度)が6以下、好ましくは2〜6の範囲であるのが好ましい。Mw/Mnは狭くなれば、なるほど好ましい。Mw/Mnが2以上であれば、膜性能(選択性、透過性)が向上する、Mw/Mnが6以下であれば急激に粘度が上がることもなく、当該Mw/MnのPIM−1を用いて薄膜に形成しても強度が強い分離膜を得ることができる。また得られる分散膜の欠陥の発生を防止することができる。
PIM−1の濃度(含有量)は、塗工性に優れ、薄膜化を達成しやすいなどの観点から、塗工液全量に対して、2〜5質量%の範囲が好ましい。PIM−1の濃度(含有量)が2質量%以上であれば、PIM−1の濃度が低くなりすぎないため、強度が十分に強いことと分離性能が高くなることから好ましい。PIM−1の濃度(含有量)が5質量%以下であれば、PIM−1濃度が高くなりすぎないため、粘度が高くなりすぎず、適度な粘度を有するため塗工性に優れ、均質な薄膜を形成することができ透過性能が向上するため、好ましい。
PIM−1は、合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、日産化学株式会社製のPIM−1(重量平均分子量3.1×10、重量平均分子量/数平均分子量=5.4)などを用いることができるが、これに何ら制限されるものではない。PIM−1を合成する場合、従来公知の方法を適用することができる。PIM−1を合成する場合、例えば、5,5,6,6−テトラヒドロキシ−3,3,3,3−テトラメチル−1,1−スピロビスインダン(TTSBI、30mmol)と2,3,5,6−テトラフルオロテレフタロニトリル(TFTPN、30mmol)との、乾燥KCO(60mmol)及び無水ジメチルホルムアミド(DMF、200mL)存在下での下記式で示す重縮合反応により、PIM−1を合成することができる。
Figure 2021062352
上記重縮合反応により得られた反応混合物を、窒素雰囲気下、65℃で60時間攪拌する。続いて、得られたポリマーをクロロホルムへの溶解とメタノールからの再沈殿により精製し、濾過して、110℃の真空乾燥機中で終夜乾燥する。精製したポリマーの分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により決定したところ、数平均分子量Mnは90,000〜120,000ダルトンで、多分散度(PDI)は2.2〜2.5であることが分かっている。
但し、同じ「PIM−1」でも、その製造条件などにより、実施例で使用したもの(日産化学株式会社製PIM−1、重量平均分子量3.1×10、重量平均分子量/数平均分子量=5.4)のように、平均分子量や多分散度等が異なるものを適宜調製することができる。
(2)溶媒
本形態のガス分離膜用の塗工液は、少なくとも2種の溶媒を含有するものである。以下では、便宜上、2種の溶媒を用いた例を中心に説明するが、3種以上の溶媒を用いる場合でも、以下の要件を満足するものであれば、使用することができる。
(a)2種の溶媒が2相に相分離するものである。ここでは、2種の溶媒a、bにPIM−1を溶解させた溶液A、Bを混合するとき、溶液A、Bの各成分に分離する現象を相分離(液−液相分離)という。図1(a)では、PIM−1を溶解させた溶液A、Bを混合することで、PIM−1の溶解度が高い溶媒aにPIM−1を溶解させた溶液A中に、PIM−1の溶解度が低い溶媒bにPIM−1を溶解させた溶液Bの液滴(ドロプレット)ができて2相に相分離した様子を模式的に表すものである。
なお、3種以上の溶媒(例えば、溶媒a、b、c)を用いる場合、これらの溶媒が3相に相分離する場合にも、図1(a)と同様の3相の相分離形態などが挙げられる。即ち、溶媒a、b、cにPIM−1を溶解させた溶液A、B、Cを混合することで、溶解度が最も高い溶媒aの溶液A中に、溶解度が2番目に高い溶媒bの溶液Bの液滴と、溶解度が最も低い溶媒cの溶液Cの液滴とが相互に分離した3相の相分離形態が挙げられる。この他にも、溶解度が最も高い溶媒aの溶液A中に、溶解度が2番目に高い溶媒bの溶液Bの液滴が存在し、さらに溶媒bの溶液Bの液滴中に、溶解度が最も低い溶媒cの溶液Cの液滴が相互に分離した3相の相分離形態なども挙げられる。このように用いる溶媒の種類などに応じて、従来公知の相分離形態(分離構造)をとりえるものである。
2種の溶媒が2相に分離することの確認方法は、以下のとおりである。
相分離を確認する方法としては、まず、シャーレに通常の調製条件で調製した、溶解度の高い溶媒にPIM−1を溶解した溶液2mlを入れる。その上に溶解度の低い溶媒にPIM−1を溶解した溶液0.2mlを滴下し、5分間静置した後、相分離するかを目視で確認すればよい。上記した「通常の調製条件で調製した、溶解度の高い溶媒にPIM−1を溶解した溶液」は、以下により調製することができる。PIM−1の溶解度が高い溶媒(例えば、THF)と、PIM−1と、をそれぞれ所定量ずつ計量する。次に、これらを適当な混合・攪拌装置を用いて、室温(25℃)下で、混合した後、十分に攪拌してPIM−1が所定の濃度(例えば、2.5質量%)となるように調製した溶液をいう。また、「通常の調製条件で調製した、溶解度の低い溶媒にPIM−1を溶解した溶液」は、以下により調製することができる。PIM−1の溶解度が低い溶媒(例えば、NMP)と、PIM−1と、をそれぞれ所定量ずつ計量する。次に、これらを適当な混合・攪拌装置を用いて、室温(25℃)下で、混合した後、十分に攪拌してPIM−1が低い溶媒の溶解度となるまで溶解させて調製した溶液をいう。図2は、上記相分離を確認する方法を行い、静置した後のシャーレ内の様子を上方から撮影した図面である。図2では、色の濃い部分が、溶解度の高い溶媒にPIM−1を溶解した溶液であり、色の薄い部分が、溶解度の低い溶媒にPIM−1を溶解した溶液であり、これら2つの溶媒が、2相に分離していることがわかる。各実施例でも、上記相分離を確認する方法を行い、2相に分離することを確認した後に、塗工液の作製を行っている。なお、2つの溶媒が、相分離せず、相溶して混合溶媒を形成する場合には、当該混合溶媒を1つの溶媒として取り扱うものとする。例えば、溶解度の高い溶媒が混合溶媒である場合には、溶解度の高い混合溶媒にPIM−1を溶解した溶液2mlを入れる。また溶解度の低い溶媒が混合溶媒である場合には、溶解度の低い混合溶媒にPIM−1を溶解した溶液0.2mlを滴下する。なお混合溶媒を形成する2つの溶媒の混合比率は、実際に、塗工液に使用する際の混合比率とすればよい。
なお、3種以上の溶媒を用いる場合、例えば、3種の溶媒(a、b、c)が相互に相分離することの確認は、まず溶媒a、bにPIM−1を溶解させた溶液A、Bにつき上記確認方法により2相に分離することを確認する。同様に、溶媒a、cにPIM−1を溶解させた溶液A、Cにつき上記確認方法により2相に分離することを確認する。最後に溶媒b、cにPIM−1を溶解させた溶液B、Cにつき上記確認方法により2相に分離することを確認すればよい。
(b)2種の溶媒は、PIM−1の溶解度が互いに異なるものである。2種の溶媒a、bを用いる場合、室温(25℃)での溶媒a、bの溶解度の比(溶媒aの溶解度/溶媒bの溶解度)は、好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上、特に好ましくは20倍以上、中でも好ましくは50倍以上である。前記溶解度の比が上記範囲であれば、溶解度の低い溶媒bにPIM−1を溶解した粘度の小さい溶液Bが先に多孔質基材の孔に入り込み、溶解度の高い溶媒aにPIM−1を溶解した粘度の大きい溶液Aが多孔質基材上に均一に広がり均質な薄膜を形成できるためである。
また、PIM−1の溶解度が高い溶媒(群)は、室温(25℃)でのPIM−1の溶解度が好ましくは3以上、より好ましくは5以上、特に好ましくは8以上である。一方、PIM−1の溶解度が低い溶媒(群)は、室温(25℃)でのPIM−1の溶解度が好ましくは0.25以下、より好ましくは0.15以下、特に好ましくは0.1以下である。即ち、本発明では、上記したPIM−1の溶解度の範囲を有するPIM−1の溶解度が高い溶媒のグループ(群)と、上記したPIM−1の溶解度の範囲を有するPIM−1の溶解度が低い溶媒のグループ(群)とを用いるのが好ましい。但し、本発明の作用効果を損なわない範囲であれば、上記したPIM−1の溶解度の範囲を外れる、PIM−1の溶解度が高い溶媒やPIM−1の溶解度が低い溶媒を用いてもよい。なお、溶解度の単位は、無名数(無次元数とも呼ばれる)であるが、溶解度は一定温度で溶媒100gに溶ける溶質の質量[g]として表されることから、[溶質[g]/溶媒[100g]]の単位を付して表すこともできる。
(c)2種の溶媒a、bにおいては、PIM−1の溶解度が高い溶媒aにPIM−1を溶解させた溶液Aの粘度が、PIM−1の溶解度が低い溶媒bにPIM−1を溶解させたまたは不溶の溶液Bの粘度より高い。即ち、(溶解度が高い溶媒aにPIM−1を溶解させた溶液Aの粘度)>(溶解度が低い溶媒bにPIM−1を溶解させたまたは不溶の溶液Bの粘度)の関係を満たす2種の溶媒a、b(溶液A、B)を使用するものである。上記したように、これらの関係を満足するPIM−1と2種の溶媒を含む塗工液を多孔質基材に塗工した際に、溶解度の低い溶媒bにPIM−1を溶解させたまたは不溶の粘度の小さい溶液Bが先に多孔質基材の孔に入り込む。これにより溶解度の高い溶媒aにPIM−1を溶解した粘度の大きい溶液Aが多孔質基材上に均一に広がりやすくなり、均質な薄膜を形成することができ、ガス選択性を維持しつつガス透過性を向上させることができる。なお、PIM−1の溶解度が低い溶媒bにPIM−1を“溶解させたまたは不溶の”溶液Bとしたのは、PIM−1の溶解度が低い溶媒bには、PIM−1が完全に溶けない溶媒、すなわちPIM−1の溶解度が0(ゼロ)の溶媒bを含むためである。溶解度が0(ゼロ)の溶媒bの場合、当該溶媒bにPIM−1は不溶なので、塗工液中の溶液Bには、PIM−1は存在せず、溶媒bのみの溶液Bとして存在することになる。
なお、3種以上の溶媒(例えば、溶媒a、b、c)を用いる場合、これらの溶媒にPIM−1を溶解させた溶液A、B、Cが3相に分離し、PIM−1の溶解度が溶媒a、b、cで異なる。さらに、溶媒a>b>cの順でPIM−1の溶解度が高い場合には、溶解度が最も高い溶媒aにPIM−1を溶解させた溶液Aの粘度が、溶解度が最も低い溶媒cにPIM−1を溶解させたまたは不溶の溶液Cの粘度より高くなればよい。この場合、溶解度が最も高い溶媒aにPIM−1を溶解させた溶液Aの粘度>溶解度が2番目に高い溶媒bにPIM−1を溶解させた溶液Bの粘度>溶解度が最も低い溶媒cにPIM−1を溶解させたまたは不溶の溶液Cの粘度の関係(即ち、各粘度が溶液A>B>C)を満足するのが好ましい。好ましくは、PIM−1の溶解度が高い溶媒(群)から1種と、PIM−1の溶解度が低い溶媒(群)から2種以上を選択するのが好ましい。こうすることで、PIM−1の溶解度が低い溶媒群の2種以上の溶液が、先に多孔質基材の孔に入り込み、PIM−1が溶解した粘度の大きい溶媒(溶液)が多孔質基材上に均一に広がりやすくなり、均質な薄膜を形成することができるためである。PIM−1の溶解度が高い溶媒(群)が2種以上の場合、溶解度が高い溶媒(群)の溶液の間の粘度の違いで、多孔質基材上に均一に広がりやすさに微妙な違いが生じる恐れがある。その結果、より均質な薄膜を形成しにくくなる恐れがあるためである。但し、本発明の効果であるガス透過性、ガス選択性を損なわない範囲であるので、PIM−1の溶解度が高い溶媒(群)を2種以上適用することは可能である。
また、3種以上の溶媒(例えば、溶媒a、b、c)を用いる場合であって、溶媒a、bの2種が相分離せず相溶して混合溶媒dを形成し、溶媒cと混合溶媒dにPIM−1を溶解させた溶液C、Dが2相に分離する場合は、さらに以下の要件を満足すればよい。即ち、PIM−1の溶解度が溶媒cと混合溶媒dとで異なり、混合溶媒dの方が溶媒cよりPIM−1の溶解度が高い場合には、溶解度が高い混合溶媒dにPIM−1を溶解させた溶液Dの粘度が、溶解度が低い溶媒cにPIM−1を溶解させたまたは不溶の溶液Cの粘度より高くなればよい。
PIM−1の溶解度が高い溶媒(群)としては、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、ジクロロメタンなどを用いることができる。一方、PIM−1の溶解度が低い溶媒(群)としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエン、イソプロピルアルコール(IPA)、テトラリンなどを用いることができる。なかでも、PIM−1の溶解度が最も高い溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)であり、PIM−1の溶解度が最も低い溶媒がN−メチル−2−ピロリドン(NMP)またはイソプロピルアルコール(IPA)であるのが好ましい。これは、THFと、NMP又はIPAとは、粘度差が大きいため(実施例の表3、4参照のこと)、相対的により低粘度のNMPが素早く多孔質基材21側に分離、移動しやすい。そのため、図1(b)に示すように、より低粘度のNMPの溶液がより素早く、相対的により高粘度のTHFの溶液よりも先に多孔質基材21の孔23に入り込むことで多孔質基材(多孔体)21の孔23をキャップする効果に優れる。さらにTHFとNMPとは粘度差に加え比重差も大きいため(実施例の表3、4参照のこと)、低粘度且つ高比重のNMPがより素早く多孔質基材21側に分離、移動しやすい。そのため、図1(b)に示すように、低粘度且つ高比重のNMPの溶液がより素早く、高粘度且つ低比重のTHFの溶液よりも先に多孔質基材21の孔23に入り込むことで多孔質基材21の孔23をキャップする効果により優れる。
本形態の塗工液中の溶媒全体に対する、PIM−1の溶解度が最も低い溶媒の混合比率は、5〜70質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましい。PIM−1の溶解度が最も低い溶媒の混合比率が上記範囲内であれば、溶解度が低い溶媒の濃度(混合比率)が低くなりすぎることもなく、多孔質基材(多孔体)の孔をキャップする効果を十分に発現することができる。その結果、ガス透過性、特に透過係数を2桁(100倍)以上向上することができる。また、溶解度が低い溶媒の濃度(混合比率)が高くなりすぎることもなく、ガス分離膜を形成するPIM−1を溶解度が高い溶媒に十分溶解させることできる。実際に、溶解度が低い溶媒であるNMPの濃度(混合比率)が80質量%以上だとPIM−1を溶解させることが難しくなる。
(各溶媒に対するPIM−1の溶解度の測定方法)
各溶媒に対するPIM−1の溶解度の測定方法は、以下の通りである。即ち、室温(約25℃)環境下、容器内に溶媒100mlを入れ、その後に所定量のPIM−1を添加し、24時間攪拌した後、1時間静置し、沈殿物(PIM−1)を濾別する。所定量のPIM−1から乾燥後の沈殿物(PIM−1)量を引いた量を溶解した量として溶解度を求める。なお、2つの溶媒が、相分離せず、相溶して混合溶媒を形成する場合には、当該混合溶媒を1つの溶媒として取り扱うものとする。したがって、上記溶解度についても、溶媒100mlは、混合溶媒100mlとする。なお混合溶媒を形成する2つの溶媒の混合比率は、実際に、塗工液に使用する際の混合比率とすればよい。
(各溶媒のPIM−1を溶解させた溶液の粘度の測定方法)
各溶媒のPIM−1を溶解させた溶液の粘度の測定方法は、以下のとおりである。
(溶液の粘度測定)
サンプル(溶媒に所定量のPIM−1を溶解させた溶液)に回転によるせん断を加え、定常流粘度を測定する。その中でせん断速度を変化させることで、粘度のせん断速度依存性を得る。以下に使用した装置の詳細を示すが、同等程度の性能を有する他の装置で代替えしてもよい。なお、2つの溶媒が、相分離せず、相溶して混合溶媒を形成する場合には、当該混合溶媒を1つの溶媒として取り扱うものとする。したがって、上記サンプル(溶媒にPIM−1を溶解させた溶液)についても、「溶媒にPIM−1を溶解させた溶液」は、「混合溶媒にPIM−1を溶解させた溶液」とする。なお混合溶媒を形成する2つの溶媒の混合比率は、実際に、塗工液に使用する際の混合比率とすればよい。また、サンプルの溶媒に溶解させる「所定量のPIM−1」は、塗工液中のPIM−1の濃度(例えば、2.5質量%)と、使用する各溶媒A、Bの混合割合(例えば、20;80(質量比))とを決め、各溶媒のPIM−1の溶解度を上記測定方法により求めれば、各溶媒A、Bに溶解するPIM−1の量(所定量)が求められる。あるいは、塗工液中のPIM−1の濃度と、使用する各溶媒A、Bの混合割合とを決めて塗工液を調製し、溶媒A、BにPIM−1が溶解した溶液をサンプリングすることで、各溶液の粘度を上記測定方法により求めてもよい。また、溶媒にPIM−1が不溶の溶液の粘度は、サンプルにPIM−1が不溶の溶液、すなわち、溶解度0(ゼロ)の溶媒を用いて、当該溶媒の粘度を上記測定方法により求めればよい。
・測定項目 :粘度
・試験片形状:液体(サンプル)
・測定モード:回転モード(定常流)
・使用時具 :凹型共軸二重円筒
・測定温度 :24±1℃の範囲
・せん断速度:1→50[rad/s]
・使用試験機:TA INSTRUMENTS社製 粘弾性測定装置ARES−G2。
溶解度が最も高い溶媒にPIM−1を溶解させた溶液の粘度は、好ましくは0.46〜2.50mPa/secの範囲、より好ましくは1.05〜1.87mPa/secの範囲となるように適宜調整すればよい。上記溶液の粘度を上記範囲内とすることで、多孔質基材上に均一に広がりやすく、均質な薄膜を形成しやすいなどの観点から好ましい。
一方、溶解度が最も低い溶媒にPIM−1を溶解させたまたは不溶の溶液の粘度は、好ましくは0.085〜1.89mPa/secの範囲、より好ましくは0.38〜1.04mPa/secの範囲となるように適宜調整すればよい。上記溶液の粘度を上記範囲内とすることで、塗工液を多孔質基材に塗工した際に、粘度の小さい溶媒(溶液)が先に多孔質基材の孔に入り込みやすいなどの観点から好ましい。
塗工液の粘度は、塗工性に優れ、薄膜化を達成しやすいなどの観点から、好ましくは1.85〜2.60mPa/secの範囲、より好ましくは2.12〜2.25mPa/secの範囲となるように適宜調整すればよい。
(II)ガス分離複合膜の製造方法(第2実施形態)
上記した第1実施形態の塗工液を用いてガス分離複合膜を製造する方法につき説明する。
本形態のガス分離複合膜の製造方法は、第1実施形態の塗工液を多孔質基材上に塗工する工程を有することを特徴とする。かかる構成を有することにより、均質な薄膜を形成することができ、その結果、ガス選択性を維持しつつガス透過性、特に透過係数(および透過速度)を大幅(100倍以上)に向上させることができるガス分離膜が得られる。以下、本形態のガス分離複合膜の製造方法につき説明する。
本形態のガス分離複合膜の製造方法は、塗工液の調製工程と、多孔質基材への塗工工程と、を有する。塗工液の調製工程は、上記した第1実施形態の塗工液を用意する工程である。多孔質基材への塗工工程では、塗工液を多孔質基材上に塗工し、乾燥して、ガス分離膜を得る。
(1)塗工液の調製工程
塗工液の調製工程では、原料となる塗工液を調製し、次工程に供するものである。原料となる塗工液は、第1実施形態で説明した通りである。
塗工液の調製方法としては、特に制限されるものではない。例えば、PIM−1の溶解度が低い溶媒(例えば、NMP)と、PIM−1の溶解度が高い溶媒(例えば、THF)と、PIM−1と、をそれぞれ所定量ずつ計量する。次に、これらを適当な混合・攪拌装置を用いて、室温(25℃)下で、混合した後、十分に攪拌してPIM−1が所定の濃度(例えば、2.5質量%)となるように調製すればよい。なお、得られた塗工液は、すぐに次工程に用いる場合には、特に問題ないが、塗工液の調製から次工程に供するまでに長時間を要する場合には、塗工前に再度攪拌するのが好ましい。これにより、図1(a)に示すように、異なる溶媒(溶液)同士が液−液相分離し、一つの溶媒(溶液)を他の溶媒(溶液)中に液滴状に分散することができる。こうすることで、実施例に示すように極めて少量の塗工液を用いて塗工する際に、母体の塗工液中の成分構成と、1回の塗工に用いる極めて少量の塗工液中の成分構成とを同じにできるためである。
塗工液作製時に、調製時の温度環境、生産量、製造設備等によるが、撹拌時間は、PIM−1が完全に溶解するまで行えばよく、室温(25±10℃)下の場合、0.5〜1時間程度で完全には溶解することができる。また、攪拌装置は、特に制限されるものではなく、従来公知のものを用いることができ、撹拌子(スターラー)や各種攪拌翼を備えた装置などを用いることができる。
(2)塗工工程
本塗工工程は、塗工液を多孔質基材上に塗工する工程である。
(多孔質基材)
本塗工工程で用いることのできる多孔質基材としては、ガスを実質的に選択性無しに透過する多孔性材料から構成され、機械的強度及び高気体透過性の付与に合致する目的のものであれば、特に限定されるものではない。かかる観点から、多孔質材料としては、従来公知のものを適宜利用することができ、有機、無機どちらの材料であっても構わないが、好ましくは有機高分子である。
多孔性材料として好適な有機高分子の例としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂等、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の含フッ素樹脂等、ポリスチレン、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアラミド等の各種樹脂を挙げることができる。なかでも、溶解度の低い溶媒bにPIM−1を溶解した粘度の小さい溶液Bの浸み込み性が良くキャップ効果が出やすいことから、PTFE、PE、PP、PVDFの少なくとも1種を含む多孔性材料が好ましい。但し、溶解度の低い溶媒bにPIM−1を溶解した粘度の小さい溶液Bの浸み込み性は、多孔質基材の材料というよりは孔径によるところが大きいものといえる。ガス透過性の観点からは、より好ましくはPTFE、PE、PPの少なくとも1種を含む多孔性材料であり、特に好ましくはPTFEからなる多孔性材料である。
多孔質基材の形状としては、平板状などの形状をとることができる。
多孔質基材の厚さは、機械的強度及び高気体透過性の付与の観点から、好ましくは1〜3000μmであり、より好ましくは5〜500μmであり、さらに好ましくは5〜150μmである。多孔質基材の細孔構造は、平均細孔直径(単に孔径ともいう)が好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下であり、さらに好ましくは0.1μm以下である。なお、「細孔直径」は、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用いて観察される多孔質基材の細孔(観察面)の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離を意味する。また、本明細書において、「平均細孔直径」の値は、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される細孔の直径(孔径)の平均値として算出される値を採用するものとする。なお、SEMで確認してもよいが、ガーレー値から推定してもよい。
多孔質基材の空孔率は、好ましくは20〜90%であり、より好ましくは30〜80%である。空孔率は、一般的には浸漬法を用いて測定することができる。このほかにも、多孔質基材の重量と嵩密度より全体体積を求め、この値と実際の体積との差から空孔体積を求め、空孔率を算出する方法や、エタノールや水などの溶媒を多孔質基材に含浸させて、含浸したエタノールの重量を体積に換算し、これを空孔体積として空孔率を求める方法がある。
また、多孔質基材の気体透過率は、酸素透過速度で3×10−4cm(STP)/cm・sec・cmHg以上であることが好ましい。気体透過率(酸素透過速度)は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
多孔質基材としては、市販品を用いてもよい。市販品の場合、上記厚さ、平均細孔直径、空孔率、気体透過率(酸素透過速度)などは製造メーカーの公表値(カタログやネット上のホームページ等に掲載された数値)を適用すればよい。
本塗工工程では、上記塗工液を上記多孔質基材上に塗工し、乾燥して、ガス分離膜を得るものである。本形態のガス分離複合膜は、多孔質基材の表面にガス分離膜を形成・配置することができる。多孔質基材の表面に、ガス分離膜を形成することで、高分離選択性と高ガス透過性、更には機械的強度を兼ね備えるという利点を有するガス分離複合膜とすることができる。ガス分離膜(乾燥後)の膜厚としては、機械的強度、分離選択性を維持しつつ高ガス透過性を付与する条件において可能な限り薄膜であることが好ましい。かかる観点から、ガス分離膜の厚さは、0.01〜5.0μmであることが好ましく、0.1〜1.0μmであることがより好ましい。なお、上記塗工液を上記多孔質基材上に塗工する厚さは、所望の厚さのガス分離膜(乾燥後)が形成し得るように適宜調整すればよい。
塗工液を多孔質基材上に塗工する方法としては、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター、インクジェット、スプレー、ディッピング等の塗工方法などを適用することができる。即ち、多孔質基材上にガス分離膜を形成するには、溶液流延と溶媒の蒸発乾燥技術といった方法により作製することができる。本形態では、粘度の小さい溶媒(溶液B)が先に多孔質基材の孔に入り込み、PIM−1が溶解した粘度の大きい溶媒(溶液A)が多孔質基材上に均一に広がりやすくする観点から、水平に載置した平板状の多孔質基材上に塗工する塗工方法が好適といえる。一方、ディッピングにより塗工する場合、塗工液から多孔質基材を垂直方向に引き上げる際に塗工液が流下するため、多孔質基材の上部側と下部側とで、粘度の小さい溶媒の多孔質基材の孔への入り込み方にばらつきが生じやすくなる。そのため、PIM−1が溶解した粘度の大きい溶媒(溶液A)が多孔質基材上に均一に広がりにくい(下方部が厚くなりやすい)など、塗工液を工夫した効果を十分に享受し得ない恐れがある。但し、ディッピング法とバーコーター等を用いた方法を組み合わせて、多孔質基材を引き上げる際に余分な塗工液が残らないように工夫することにより、適用可能と言いえる。
塗工液を多孔質基材上にバーコーター等で塗工する際の塗工速度は、塗工液の粘度等により異なるが、3〜30m/minの範囲が好ましく、3〜10m/minの範囲がより好ましい。塗工速度が3m/min以上であれば、ガス分離膜が厚くなりすぎることもなく、均質な薄膜を形成することができ、ガス選択性を維持しつつガス透過性を、特に透過係数(および透過速度)を大幅に向上することができる。また、塗工速度が30m/min以下であれば、得られる薄膜(ガス分離膜)に欠陥が発生するのを防止することができる。
塗工後の乾燥時の乾燥温度としては、0〜100℃の範囲が好ましく、10〜80℃の範囲がより好ましい。乾燥温度が100℃以下であれば、得られる薄膜(ガス分離膜)に欠陥が発生するのを防止することができるため好ましい。また有機系の多孔質基材が軟化による変形等を生じるのを防止することができるため好ましい。なお乾燥温度が0℃以上であれば、わざわざ冷却装置を設けなくても自然環境下(概ね0〜30℃程度)で乾燥させればよく、低コストである。なお、乾燥時間に関しては、2種の溶媒を十分に揮散、蒸発させればよく、乾燥温度によっても異なるが、概ね3〜6時間の範囲である。
なお、本塗工工程では、多孔質基材の片面に塗工液を塗工してガス分離膜を形成してもよいし、多孔質基材の両面に塗工液を塗工してガス分離膜を形成してもよい。後者の場合、片面ずつ作製するのが好ましい。
上記により得られた多孔質基材上に形成されたガス分離膜自体のガス透過係数は、通常、P(CO)>P(H)>P(O)>P(CH)>P(N)の順となる。この透過係数の順は、ガス分子のガス分離膜中での拡散性、動力学的直径(kinetic diameter)、膜への溶解性、及び臨界温度に主に起因する。例えば、同程度の動力学的直径を有するNガスに比べ、Oの透過係数が高いことは、膜へのOの溶解性がNガスと比較して高いことと関係するといえる。
[ガス分離膜モジュール・気体分離装置]
本形態のガス分離複合膜の用途としては、これを用いたガス分離膜モジュールとすることが好ましい。また、本形態のガス分離複合膜又はガス分離膜モジュールを用いて、ガスを分離回収又は分離精製させるための手段を有する気体分離装置とすることができる。
本形態のガス分離複合膜はモジュール化して好適に用いることができる。モジュールの例としては、スパイラル型、中空糸型、プリーツ型、管状型、プレート&フレーム型などが挙げられる。
本形態のガス分離複合膜を用いたガス分離膜モジュールは、例えば、自動車のエンジンなどの内燃機関の効率向上、特に燃費向上のため、リーンバーン(希薄燃料)技術に好適に適用し得るものである。リーンバーンエンジンでは、吸気を増やすので酸素量が多くなるが、酸素を選択的に透過させるガス分離膜で、酸素を取り除くことにより、透過していない方を窒素富化空気とすることができる。この窒素富化空気を内燃機関に供給することで、NOが出ずに燃費が向上する。NOが出ずに燃費が向上するのは、内燃機関に供給された窒素富化空気中の酸素Oは、該内燃機関(燃焼室内)に供給された希薄燃料と過不足なく化学反応を起し、該希薄燃料は略完全に燃焼し、過剰の残留酸素Oが殆んど存在しない。したがって、燃焼時に発生するNO(窒素酸化物)やSO(硫黄酸化物)を抑制でき、また排ガス中の酸素分を低下させることができるため、高効率な触媒浄化を実現でき、ひいては燃費が向上するというものである。本形態では、こうしたリーンバーン技術に用いられている、酸素を選択的に透過させるガス分離膜(ガス分離複合膜)に好適に適用し得るものである。特に透過性(透過係数)が従来に比べ2桁以上向上するため、高回転エンジンにもタイミングよく窒素富化空気を供給することができるものである。また、ガス分離膜モジュールの小型化が図られ、より燃費向上に寄与し得るものである。
また、本形態のガス分離複合膜の自動車をはじめとする内燃機関への適用は、リーンバーンにとどまらない。発進時や加速時や坂道走行時の大きな出力を必要とする際に、選択的に分離し、貯蔵しておいた酸素富化ガスを、ターボチャージャー等を利用して内燃機関に給気することで、より多くの燃料の燃焼が可能となり、一時的により大きな出力を得ることが可能となる。この技術はさらに燃費を改善させることが期待され、これらの技術の複合によって、高燃費でクリーンな内燃機関を提供できる。
以下、本実施形態を実施例を通して具体的に説明するが、本実施形態は以下の実施例には限定されない。なお、各実施例及び比較例は、特に断らない限り、大気圧雰囲気下、室温(25℃±2℃の範囲)、相対湿度50%RHで行った。
(実施例1)
(1)塗工液の調製工程
PIM−1の溶解度の低い溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、PIM−1の溶解度の高い溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を使用した。PIM−1は日産化学株式会社製PIM−1(重量平均分子量3.1×10、重量平均分子量/数平均分子量=5.4)を使用した。
攪拌容器内に、NMP 0.30g、THF 5.94g、PIM−1 0.16gをそれぞれ計量して投入、混合した後に、6時間、撹拌子(スターラー)を用いて撹拌してPIM−1の濃度が2.5質量%となるように塗工液を調製した。
(2)多孔質基材への塗工工程
松尾産業株式会社製バーコーター(K404)にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の平板状の多孔質基材(縦320mm×横320mm×厚さ150μm、孔径(平均細孔直径)0.1μm)を配置した。多孔質基材上に上記で調製した塗工液1.5mlを滴下して塗工速度3m/minにて多孔質基材上に塗工した。
なお、実施例1〜10および比較例1で使用した多孔質基材の空孔率は、60%、酸素透過速度は、59002.2×10−4cm(STP)/cm・sec・cmHg。また、実施例11〜13で用いたポリプロピレン(PP)製の平板状の多孔質基材の空孔率は、55%、酸素透過速度は、63239.5×10−4cm(STP)/cm・sec・cmHg。実施例14〜15および比較例2で用いたポリフッ化ビニリデン(PVDF)製の平板状の多孔質基材の空孔率は、58%、酸素透過速度は、8.7×10−4cm(STP)/cm・sec・cmHg。実施例16で用いたポリスルホン(PSU)製の平板状の多孔質基材の空孔率は、55%、酸素透過速度は、38296.5×10−4cm(STP)/cm・sec・cmHg。上記空孔率は、いずれも製造メーカー公表値であり、酸素透過速度は、いずれも以下の「ガス分離複合膜の膜性能(透過性、選択性)の評価方法」により求めた値である。
塗工後に形成した複合膜(多孔質基材+ガス分離膜)をバーコーターから取り外してドラフト内で、室温(25℃)下で4時間乾燥した。これにより、多孔質基材上に膜厚1μmのガス分離膜を有する複合膜(多孔質基材+ガス分離膜)を形成した。
(実施例2〜16、比較例1〜2)
(1)塗工液の調製工程
実施例2〜16、比較例1〜2についても、下記表2に記載の溶媒種と混合比とした以外は、実施例1の「(1)塗工液の調製工程」と同様にして、塗工液中のPIM−1の濃度が2.5質量%となるように塗工液を調製した。なお、ガス分離膜の厚さは、溶媒によって粘度が異なるため厳密には厚みは異なるが、概ね0.1μm変わるか変わらないかのレベルである。そのため、実施例2〜16、比較例1〜2のガス分離膜は、いずれも膜厚1μmとする。
(2)多孔質基材への塗工工程
実施例2〜16、比較例1〜2についても、下記表2に記載の多孔質基材の多孔性材料と孔径、および塗工速度とした以外は、実施例1の「(2)多孔質基材への塗工工程」と同様にして、各実施例及び比較例の複合膜を得た。
(従来例)
従来例については、以下に示す方法によりガス分離膜を作製した。
詳しくは、あらかじめシャーレ(直径6cm)を30℃の真空オーブン(DP300、ヤマト科学株式会社製)に入れ温度を均一にした。
製膜溶液は、キャスト前に5min超音波処理を行い、速やかに真空オーブン内にシャーレにキャストした。製膜溶液は、テトラヒドロフラン(THF) 8.9gを容器内に入れて混合し、さらにPIM−1 0.22gを入れて混合した後に、室温(25℃)下、6時間、撹拌子(スターラー)を用いて撹拌してPIM−1の濃度が2.5質量%となるように調製した。PIM−1は、実施例1と同じPIM−1を用いた。
真空オーブンは、0.0167Mpa/h(約6時間)で引ききり、残存溶媒を完全になくすため、1時間ほど真空を維持した(30℃×約6時間+1時間)。
その後、膜をシャーレから剥がし、アニーリングを70℃で18時間行って、ガス分離膜を作製した。得られた、ガス分離膜の厚さは、20μmであった。なお、従来例として、シャーレ内で薄い単一膜(膜厚1μm程度)の作製を試み、広がるギリギリの量で作製したが、膜の強度が弱く膜が割れた。膜が割れた様子を図3に示す。そのため、従来例としては、上記したように膜が割れない厚さまで膜厚を厚くしてガス分離膜を作製したものである。
ガス分離複合膜の膜性能(透過性、選択性)の評価方法
図4(a)(b)に示すステンレス製のガス分離膜モジュール51を用いてガス分離膜の評価を行った。具体的には、図4(a)に示すように、実施例および比較例で作製したガス分離複合膜、並びに従来例で作製したガス分離膜のサンプル53を、ガス分離膜モジュール51のガスの供給側55と透過側57との間に固定した。その後、図4(a)に示すように、ガスの供給側55の入口55aを閉じ、透過側57の出口57aを真空装置に接続して真空引きして、ガス分離膜モジュール51内を真空とした。その後、図4(b)に示すように、入口55aから供給側55に(所定量の)ガス(N、Oおよびその混合ガス)を供給し、(ガス供給後、入口55a及び出口57aを閉じた状態で)透過側57との圧力差が無くなるまでの時間を測定することで、N、Oの透過速度および透過性(透過係数)を算出した。選択性=(酸素(O)の透過係数)/(窒素(N)の透過係数)から選択性(無単位[−])を算出し、ガスの透過係数を透過性(単位[GPU]:1GPU=3.35×10−10mol・m−2・s−1・Pa−1)とした。結果を下記表2に示す。また、各溶媒の粘度と各溶媒のPIM−1の溶解度と比重を表3、4に示す。
なお、混合ガスの成分組成は、通常の空気と同じであり、N:79体積%、O:21体積%である。また、供給側と透過側の圧力(又は圧力差)は、供給側55と透過側57の内部に設けた圧力計で継続的に測定した。さらに、真空と判定する際の内圧は、0.1MPa(以下)とした。
具体的には、下記式1〜3を用いて、N、Oの透過速度および透過性(透過係数)とこれに基づく選択性を算出した。1例として実施例1のサンプルを用いて測定、算出した結果を下記表1に示す。
透過側の時間経過による圧力差は下記式(1)により求められる。
Figure 2021062352
ここで、Pe(表1では(Pl−end)と記す):透過側の0kPa到達時の圧力
Ps(表1では(Pl−start)と記す):透過側の測定開始時の圧力
t:0kPa到達時間
ガスの透過速度は、下記式(2)により求められる。
Figure 2021062352
ここで、V:透過体積
R:モル気体定数
T:実験中の絶対温度
dP/dt:式(1)で求めた圧力差(表1では(dpl/dt)と記す)
透過係数は、下記式(3)により求められる。
Figure 2021062352
ここで、q:透過速度
Ph:供給側のガス供給時の圧力
A:ガス分離膜の有効面積
P:透過係数[Pa]
δ:膜厚み[μm]
Figure 2021062352
Figure 2021062352
Figure 2021062352
Figure 2021062352
表3、4中のPIM−1の溶解度の単位は、無名数[−](無次元数とも呼ばれる)であるが、本実施例では、室温(25℃)下で溶媒100gに溶ける溶質の質量[g]として表されることから、[溶質[g]/溶媒THF[100g]@25℃]と表すこともできる。
表2の「多孔質基材の多孔性材料」の欄中、PTFEは、ポリテトラフルオロエチレンの略であり、PPは、ポリプロピレンの略であり、PVDFは、ポリフッ化ビニリデンの略号であり、PSUは、ポリスルホンの略である。「溶解度の高い溶媒」の欄のTHFは、テトラヒドロフランの略である。「溶解度の低い溶媒」の欄中、NMPは、N−メチル−2−ピロリドンの略であり、IPAは、イソプロピルアルコールの略である。「多孔質基材の多孔性材料」及び「溶解度の低い溶媒」の欄中の「−」は、それらの材料又は溶媒を使用していないことを表す。「溶解度の低い溶媒を用いた溶液の粘度」」及び「多孔質基材の孔径」の欄中の「−」は、当該溶媒又は基材を用いておらず、その粘度又は孔径も存在しないことを表す。
表2の結果より、本発明の特定の2種の溶媒を含む塗工液を用いて作製した実施例1〜16のガス分離膜は、1種の溶媒しか用いていない比較例1〜2のガス分離膜や単一膜の従来例に比して、ガス選択性を維持しつつガス透過性(透過係数)を向上できることが確認できた。このことから、実施例1〜16のガス分離膜は、上記塗工液を塗工した際に、粘度の小さい溶液が先に多孔質基材の孔に入り込むことで、PIM−1が溶解した粘度の大きい溶液が多孔質基材上に均一に広がりやすくなり、均質な薄膜を形成できたといえる。
表2の結果より、実施例1〜16についてみると、従来例又は比較例1、2に比べて透過性(透過係数)が100倍以上となったのは、実施例3〜8、10であった。このことから多孔質基材に孔径0.01〜0.1μmのPTFEを用い、溶解度の低い溶媒としてNMP又はIPA、溶解度の高い溶媒としてTHFを用いる。さらに、溶解度が低い溶媒の混合比率が、20〜60質量%とし、溶解度が高い溶媒にPIM−1を溶解させた溶液の粘度が1.05〜1.87mPa/s、溶解度が低い溶媒にPIM−1を溶解させた溶液の粘度が0.378〜1.040mPa/s、塗工液全体の粘度が2.07〜2.25mPa/sである。さらに溶解度の差が、THFの溶解度≧8であり、NMP又はIPAの溶解度≦0.1であることから、80倍以上である。以上の各要件をいずれも満足することで、透過性(透過係数)を100倍以上向上させることができると考えられる。上記溶解度の単位は、無名数[−](無次元数とも呼ばれる)であるが、本実施例では、室温(25℃)下で溶媒100gに溶ける溶質の質量[g]として表されることから、[溶質[g]/溶媒THF[100g]@25℃]と表すこともできる。
THF溶媒のみを使用した比較例1、2のうち、比較例2(孔径0.01μmの多孔質基材を使用)では、従来の多孔質基材上での膜形成は、基材が多孔質であることから難しく、ガス選択性を損なうという結果になっており、ガス透過性(透過係数)の改善効果も見られないことが確認できた。
一方、比較例1(孔径0.1μmの多孔質基材を使用)では、ガス選択性は損なわれていないが、ガス透過性(透過係数)の改善効果が見られないことが確認できた。
表2から、従来例、実施例3、実施例6を抜き出して、グラフ化したもの図5に示す。図5(a)は、従来例、実施例3、実施例6の膜性能を表す図表であり、図5(b)は、従来例、実施例3、実施例6の膜性能をグラフ化した図面である。図5からもわかるように、本発明の塗工液を使用することで膜化により、ガス透過性(透過係数)が2ケタ以上向上することがわかる。選択性は混合ガス(N、O)でのガスの分離能を示し、選択性が1より大きければ混合ガスの内、一方(本実施例ではO)をより通しやすい。本実施例ではガス選択性を維持しつつ、ガス透過性(透過係数)を格段に向上させることができることが確認できた。
11 PIM−1の溶解度が高い溶媒aにPIM−1を溶解させた溶液A、
12 PIM−1の溶解度が低い溶媒bにPIM−1を溶解させた溶液Bの液滴、
13 ガス分離複合膜、
15 多孔質基材、
16 多孔質基材の孔、
17 均質な薄膜(ガス分離膜)、
51 ステンレス製のガス分離膜モジュール、
53 ガス分離膜のサンプル、
55 ガスの供給側、
55a ガスの供給側の入口、
57 ガスの透過側、
57a ガスの透過側の出口。

Claims (5)

  1. 多孔質基材上にガス分離膜を形成させるための塗工液であって、
    固有ミクロ多孔性重合体と、少なくとも2種の溶媒と、を含み、
    前記少なくとも2種の溶媒が2相以上に相分離し、前記少なくとも2種の溶媒は、前記固有ミクロ多孔性重合体の溶解度が互いに異なり、前記溶解度が最も高い溶媒に前記固有ミクロ多孔性重合体を溶解させた溶液の粘度が、前記溶解度が最も低い溶媒に前記固有ミクロ多孔性重合体を溶解させたまたは不溶の溶液の粘度より高い、ガス分離膜用の塗工液。
  2. 前記溶解度が最も高い溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)であり、前記溶解度が最も低い溶媒がN−メチル−2−ピロリドン(NMP)またはイソプロピルアルコール(IPA)である、請求項1に記載のガス分離膜用の塗工液。
  3. 前記溶媒全体に対する前記溶解度が最も低い溶媒の混合比率が、20〜60質量%である、請求項1または2に記載のガス分離膜用の塗工液。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗工液を多孔質基材上に塗工する工程を有する、ガス分離複合膜の製造方法。
  5. 前記多孔質基材が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群より選択される少なくとも1種を含む多孔性材料により形成されてなる、請求項4に記載のガス分離複合膜の製造方法。
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