以下、図面を参照して多機能ロボットシステム10について説明する。図1は、多機能ロボットシステム10全体の構成を示す図である。多機能ロボットシステム10は、管理センタ16と、複数のロボット本体12と、複数の機能ボックス14と、を有する。各ロボット本体12は、後述するように、管理センタ16からのサービス指令に基づいて自律走行可能であるとともに、機能ボックス14を着脱自在に保持できる。複数の機能ボックス14は、互いに異なるサービス機能を有している。一つのロボット本体12に搭載する機能ボックス14を必要に応じて交換することで、一つのロボット本体12で、複数種類のサービスをユーザに提供できる。換言すれば、ロボット本体12は、搭載する機能ボックス14を交換することで異なる機能を発揮できる、多機能ロボットとなる。
管理センタ16は、複数のロボット本体12およびユーザ端末18とインターネットを介して通信可能となっている。なお、ユーザ端末18は、ユーザが所有する通信端末であり、例えば、スマートフォンやフューチャーフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等が該当する。また、ユーザは、個人でもよいし、飲食店やホテル等の店舗、イベント運営会社等の法人等でもよい。管理センタ16は、複数のロボット本体12それぞれと通信し、複数のロボット本体12を管理する。例えば、管理センタ16は、複数のロボット本体12それぞれの現在位置、および、複数のロボット本体12それぞれに搭載されている機能ボックス14の種類を、記憶する。また、管理センタ16は、ユーザ端末18からリクエストを受け付け、このリクエストに応じたサービス指令をロボット本体12に送信する。サービス指令は、少なくとも、サービスの提供位置を含む。ロボット本体12は、サービス指令を受信すれば、サービス提供位置へ移動するとともに、当該サービス指令に応じた処理を実行し、ユーザが希望するサービスをユーザに提供する。
次に、この多機能ロボットシステム10で用いられるロボット本体12、機能ボックス14、および、管理センタ16それぞれの構成について説明する。図2は、ロボット本体12の斜視図であり、図3は、機能ボックス14を搭載した状態のロボット本体12の斜視図である。また、図4〜図7は、様々な機能ボックス14の斜視図である。さらに、図8は、ロボット本体12および機能ボックス14の電気的構成を示すブロック図である。なお、以下の各図において、「Fr」、「Up」、「Rh」は、それぞれ、ロボット本体12の前方、上方、右側方を示す。
ロボット本体12は、機械的には、車輪等を有した走行部20と、当該走行部20の上側に設けられる保持部22と、に大別される。走行部20は、図2、図3に示すように、片側三つ、左右合わせて六つの車輪を有している。ロボット本体12には、この六つの車輪を回転駆動させる走行モータ36(図2、図3では図示せず、図8参照)が搭載されている。走行モータ36は、各車輪ごとに設けられてもよいし、一部の車輪にのみ設けられてもよい。なお、走行部20は、一般的な道路や屋内の通路を走行できるのであれば、その構成は、適宜、変更されてもよい。例えば、車輪の個数は、六つに限らず、四つでもよいし、六つより多くてもよい。また、車輪に替えて、他の走行機構、例えば、キャタピラ等の商品名で知られている無限軌道等を設けてもよい。
また、ロボット本体12には、走行部20での自律走行を助けるために通信I/F32およびセンサ群34(いずれも図2、図3では図示せず、図8参照)も設けられている。通信I/F32は、外部機器と通信するためのもので、携帯電話会社等が提供する回線を利用したモバイルデータ通信や、Wifi(登録商標)等を利用した無線LAN、ブルートゥース(登録商標)等を利用した中距離または近距離無線通信のためのハードウェアを含む。モバイルデータ通信またはWifi機能は、例えば、管理センタ16やユーザ端末18、および他のロボット本体12等との通信に利用される。また、中距離または近距離無線通信機能は、当該ロボット本体の近傍にあるユーザ端末18や、他のロボット端末、当該ロボット本体12に搭載された機能ボックス14等との通信に利用される。
センサ群34は、ロボット本体12の走行状態および周辺環境を検知する1以上のセンサを含む。こうしたセンサ群34は、例えば、速度センサ、カメラ、ミリ波レーダ、赤外線センサ、LiDAR、超音波センサ、GPSセンサ、加速度センサ、およびジャイロセンサの少なくとも一つを含む。後述するロボットコントローラ30(図8参照)は、センサ群34で検知された検知結果および通信I/F32を介して取得された情報に基づいて、走行モータ36を駆動制御する。
保持部22は、走行部20の上側に設けられている。保持部22は、図2、図3に示すように、角形リング状であるリング体24を有している。リング体24は、幅方向に間隔をあけて立脚する一対のサイド部材24Sと、一対のサイド部材24Sの上端同士を接続する上横部材24Uと、一対のサイド部材24Sの下端同士を接続する下横部材24Lと、を有する。したがって、保持部22の奥行き方向両端は、閉鎖されることなく、貫通している。
図3から図7に示すように、本例において、複数の機能ボックス14は、いずれも、箱状の外観を有する。この機能ボックス14は、図3に示すように、リング体24の内側に配置され、保持される。一対のサイド部材24Sそれぞれの対向面には、サポートレール26が設けられている。このサポートレール26は、機能ボックス14を摺動可能に下側から支える。また、一対のサイド部材24Sそれぞれの対向面には、さらに、係合ピン28も設けられている。この係合ピン28は、幅方向に進退可能であり、進出することで機能ボックス14の一部と係合する。なお、図2では、一番下側の係合ピン28のみが進出しており、その他の係合ピン28は、後退している。このように係合ピン28が、機能ボックス14の一部と係合することで、機能ボックス14の脱落や盗難が防止される。
ここで、図2では、一つのサイド部材24Sに複数のサポートレール26および複数の係合ピン28を設けている。これは、本例のロボット本体12を、箱に梱包された物品を搬送する物品搬送ロボットとしても流用可能とするためである。ロボット本体12を物品搬送ロボットとして流用した場合、リング体24の内側には、機能ボックス14ではなく、物品を梱包した箱が配置される。このとき、一つのリング体24の内側に、複数の箱を同時に保持できるように、一つのサイド部材24Sに複数のサポートレール26および複数の係合ピン28を設けている。ただし、当然ながら、ロボット本体12を物品搬送ロボットとして流用しないのであれば、サポートレール26および係合ピン28は、一つのサイド部材24Sに一つずつ設けられてもよい。また、本例では、機能ボックス14をサポートレール26で下側から支える構成としているが、機能ボックス14をリング体24の内側に保持できるのであれば、他の形態で保持してもよい。例えば、機能ボックス14は、リング体24の上横部材24Uから吊り下げ保持されてもよいし、下横部材24Lの上に直接載置されてもよい。また、係合ピン28に替えて、他の手段で、機能ボックス14のリング体24からの意図しない離脱を防止してもよい。
ロボット本体12には、係合ピン28を進退させるための係合アクチュエータ40(図8参照)が設けられている。この係合アクチュエータ40の構成は、電子制御できるものであれば、特に限定されない。したがって、係合アクチュエータ40は、ソレノイドアクチュエータ等の電磁シリンダでもよい。また、係合アクチュエータ40は、空圧シリンダや、油圧シリンダ、リニアモータ等を含むアクチュエータでもよい。さらに、係合アクチュエータ40は、回転モータと伝達機構を組み合わせたアクチュエータでもよい。係合アクチュエータ40は、非通電時に、係合ピン28を進出させ、通電時に係合アクチュエータ40を退避させる構成でもよい。かかる構成とすることで、電源喪失時でも、係合ピン28を進出させることができ、機能ボックス14のリング体24からの意図しない離脱を防止できる。
また、ロボット本体12には、周辺の人へメッセージを通知するための出力デバイス38も設けている。出力デバイス38は、例えば、ガイダンス音声やアラーム音を出力するスピーカ、画像や文字列を表示するディスプレイ、必要に応じて点灯または消灯するランプ等を含む。
ロボット本体12には、さらに、当該ロボット本体12に設けられた各種電気機器に電力を供給するバッテリ42(図8参照)も設けられている。このバッテリ42は、充放電可能な二次電池である。バッテリ42を充電可能とするために、ロボット本体12は、充電器と、当該充電器を外部電源に接続するためのプラグと、を有してもよい。また、別の形態として、バッテリ42を、必要に応じて、ロボット本体12の外部において充電できるように、ロボット本体12から着脱可能としてもよい。また、バッテリ42は、無線で充電されてもよい。例えば、ロボット本体12およびロボット本体12の外部に、それぞれ、コイルとコンデンサを組み込み、二組のコイルとコンデンサの磁界共鳴により電力を供給する非接触充電方式を取り入れてもよい。
ロボット本体12の駆動は、ロボットコントローラ30(図8参照)により制御される。ロボットコントローラ30は、少なくとも、プロセッサ30aと、メモリ30bと、を有するマイクロコンピュータである。ロボットコントローラ30の各機能は、プロセッサ30aがメモリ30bに格納されたプログラムを実行することにより実現される。なお、プロセッサ30aは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。また、ロボットコントローラ30を構成するプロセッサ30aは、物理的に一つである必要はなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサで構成されてもよい。同様に、メモリ30bも、物理的に一つの要素である必要はなく、物理的に離れた位置に存在する複数のメモリで構成されてもよい。また、メモリ30bは、半導体メモリ(例えばRAM、ROM、ソリッドステートドライブ等)および磁気ディスク(例えば、ハードディスクドライブ等)の少なくとも一つを含んでもよい。
機能ボックス14は、ユーザへのサービス提供に必要な機能を有したモジュールである。互いに異なる機能を有した複数の機能ボックス14が、予め用意されており、ロボット本体12には、この複数の機能ボックス14の中から選択された一つの機能ボックス14が搭載される。機能ボックス14が有する機能は、特に限定されないが、例えば、画像を表示するディスプレイ機能や、AED機能、冷蔵庫機能、冷凍庫機能、保温庫機能、および、自動販売機機能の少なくとも一つを有してもよい。
図3〜図7に示すように、複数の機能ボックス14は、いずれも、略箱状の外観を有する。図3に示すように、機能ボックス14の奥行き寸法は、リング体24の奥行き寸法よりも充分に大きい。そのため、機能ボックス14をリング体24に配置した場合、機能ボックス14の前部および後部は、リング体24の前端および後端から突出し、外部に露出する。その一方で、各機能ボックス14の幅方向寸法は、リング体24の幅方向内寸とほぼ同じである。また、機能ボックス14の高さ寸法は、リング体24の高さ方向内寸の8割以上の大きさとなっている。
また、各機能ボックス14の側面には、係合ピン28が係合可能な係合穴44(図4〜図7参照)が形成されている。この係合穴44に係合ピン28が進入し、係合をすることで、機能ボックス14のリング体24からの意図しない離脱が防止される。なお、図示例では、一つの側面に二つの係合穴44を形成しているが、係合穴44の個数や位置は、適宜変更されてもよい。また、本例では、機能ボックス14に係合穴44を、リング体24に係合ピン28を設けているが、これらは、逆でもよい。すなわち、機能ボックス14に、係合ピン28および係合アクチュエータ40を設け、リング体24のサイド部材24Sに係合穴を設けてもよい。
また、各機能ボックス14には、その内部にアクセスするための開口と、当該開口を開閉自在に覆う蓋体56(図4〜図7参照)と、が設けられている。本例において、蓋体56は、幅方向一端にヒンジを有した片開きドアである。しかし、蓋体56は、開口を開閉できるのであれば、他の形態、例えば、観音開きタイプや、折れ戸タイプ、スライドドアタイプ等でもよい。
機能ボックス14には、この蓋体56の開閉をロックするロック機構(図示せず)が設けられている。このロック機構の構成は、ロック/アンロックを電気的に切り替え可能であれば、特に限定されない。したがって、例えば、ロック機構は、機能ボックス14の本体に設けられた可動部材と、蓋体56に設けられるとともに可動部材が係合可能な係合部材と、可動部材を動かす蓋ロックアクチュエータ52(図8参照)と、を有してもよい。蓋ロックアクチュエータ52は、電動アクチュエータであり、例えば、動力源として、モータや、電磁シリンダ、油圧シリンダ、空圧シリンダを含む。この蓋ロックアクチュエータ52も、係合アクチュエータ40と同様に、通電時には可動部材をアンロック方向に動かし、非通電時には、可動部材をロック方向に動かしてもよい。かかる構成とすることで、電力喪失時にも、蓋体56をロックし続けることができる。
機能ボックス14のON/OFFは、ロボット本体12により制御される。すなわち、機能ボックス14には、電源SW49(図8参照)が設けられており、ボックスコントローラ46は、ロボット本体12からの指示に基づいて、電源SW49をONまたはOFFする。ロボット本体12からの指示は、通信I/F48を介して取得される。通信I/F48は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の中距離または近距離無線通信のためのハードウェアである。バッテリ50は、電源SW49がOFFとなった場合でも、この電源のON/OFF切り替えのために必要な箇所、すなわち、通信I/F48およびボックスコントローラ46には、電力を供給し続ける。
バッテリ50は、充放電可能な二次電池である。このバッテリ50も、ロボット本体12のバッテリ42と同様に、機能ボックス14に固定されてもよいし、機能ボックス14から着脱可能であってもよい。また、ロボット本体12および機能ボックス14の少なくとも一方は、ワイヤレス充電器を有し、これにより、機能ボックス14のバッテリ50およびロボット本体12のバッテリ42で、電力をシェアできるようにしてもよい。
個別機能モジュール54は、複数の機能ボックス14それぞれの機能に応じたモジュールである。例えば、ディスプレイ機能を提供する表示ボックス14a(図4参照)の場合、個別機能モジュール54は、画像を表示するディスプレイ72を含む。ディスプレイ72は、例えば、表示ボックス14aの前面に配置される。表示ボックス14aの背面には、開口が形成されており、当該開口が蓋体56により、開閉自在に覆われている。管理者は、この背面に形成された開口を通じて表示ボックス14aのメンテナンスを行う。また、別の形態として、表示ボックス14aの内部空間を、荷物を収容するロッカーとして利用してもよい。
機能ボックス14は、さらに、自動体外式除細動機能を有するAEDボックス14b(図5参照)であってもよい。このAEDボックス14bの個別機能モジュール54は、自動体外式除細動(AED)キット73を有する。AEDキット73は、AEDボックス14bの内部空間に配置されており、蓋体56を開放することで取り出せるようになっている。蓋体56には、AEDキット73を外部から視認できるように、透明素材(ガラス、透明アクリル等)が嵌め込まれた窓部74を設けてもよい。なお、一般に、AEDキット73は、緊急性を要する場合に利用される。そのため、AEDボックス14bの蓋体56は、いつでも、開閉できるように、ロック機構を省略してもよい。この場合、必要も無いのにAEDキット73を取り出す悪戯を防止するために、蓋体56が解放された場合には、アラーム音を出力してもよい。
また、機能ボックス14は、食料品等の物品を所望の温度で保存する冷温庫ボックス14c(図6参照)であってもよい。この冷温庫ボックス14cの個別機能モジュール54は、内部空間を、所望の温度に保つための調温ユニット78を含む。調温ユニット78は、クーリングユニットを含んでもよく、この場合、冷温庫ボックス14cは、冷蔵庫または冷凍庫として機能する。また、調温ユニット78は、ヒータを含んでもよく、この場合、冷温庫ボックス14cは、保温庫として機能する。こうした冷温庫ボックス14cは、料理のデリバリーサービスや、飲食店での料理提供、食品生産ライン等に利用できる。
また、機能ボックス14は、スナック菓子や飲料等の商品を販売する自販機ボックス14d(図7参照)でもよい。この自販機ボックス14dの個別機能モジュール54は、例えば、商品を冷却または保温する調温ユニット(図7では図示せず)を含んでもよい。また、図7の図示例では、蓋体56を開けることで、全ての商品にアクセスできるようにしているが、一般的な自動販売機と同様に、購入された商品のみ、取り出し口に出力する構成としてもよい。この場合、自販機ボックス14dの個別機能モジュール54は、購入された商品を取り出し口に出力するための機構を含む。
以上のような機能ボックス14の各部の駆動は、ボックスコントローラ46(図8参照)により制御される。ボックスコントローラ46は、ロボットコントローラ30と同様に、少なくとも、プロセッサ46aと、メモリ46bと、を有するマイクロコンピュータである。ボックスコントローラ46は、通信I/F48を介してロボット本体12との間で、各種信号を授受する。ここで、ロボット本体12から機能ボックス14に送信される信号としては、上述した電源SW49のON/OFF信号の他に、蓋体56のロック/アンロックの切り替え信号、個別機能モジュール54の動作信号等が含まれる。また、機能ボックス14からロボット本体12に送信される信号としては、当該機能ボックス14の識別情報等が含まれる。ロボット本体12は、機能ボックス14から送信された識別情報に基づいて、搭載される機能ボックス14の種類を判別する。
なお、本例では、こうした各種信号を、無線通信で授受しているが、当然ながら、有線で信号を授受してもよい。この場合、ロボット本体12および機能ボックス14は、有線用の信号コネクタ(例えばUSBコネクタ等)を有してもよい。また、機能ボックス14に、当該機能ボックス14の識別情報を記録したRFタグやバーコードを設けておき、ロボット本体12に、このRFタグを読み込むRFIDリーダ、あるいは、バーコードを読み込むバーコードリーダを設けてもよい。かかる構成とすれば、機能ボックス14の電源がOFFの状態であっても、ロボット本体12側で機能ボックス14を識別することができる。
次に、管理センタ16の構成について図9を参照して説明する。図9は、管理センタ16の機能ブロック図である。管理センタ16は、複数のロボット本体12の状態を記録したロボットDB60を有している。このロボットDB60には、少なくとも、複数のロボット本体12それぞれの位置情報と、各ロボット本体12に搭載されている機能ボックス14の識別情報と、が記録されている。
ロボット状態更新部62は、複数のロボット本体12それぞれから定期的に、当該ロボット本体12の状態を示す状態情報を受信する。状態情報には、ロボット本体12の位置情報と、搭載される機能ボックス14の識別情報と、が含まれる。ロボット状態更新部62は、受信した状態情報に基づいて、ロボットDB60を更新する。したがって、ロボットDB60を参照すれば、現在のロボット本体12の状態が把握できるようになっている。
リクエスト受信部64は、ユーザ端末18からのリクエストを取得する。このリクエストには、少なくとも、サービスの提供位置と、ユーザの希望するサービス内容と、が含まれる。サービスの提供位置は、1ヶ所でもよいし、複数箇所でもよい。例えば、ユーザが自動販売機による商品提供を希望する場合、サービスの提供位置は、ユーザがいる場所になる。一方、ユーザが、特定のレストランで調理された料理を指定の配達位置まで配達するデリバリーサービスを希望する場合、サービスの提供位置は、料理を受け取るレストランの位置と、配達位置と、の2ヶ所になる。また、リクエストは、さらに、サービスの提供時間を含んでもよい。すなわち、サービスは、即座に提供されてもよいし、ユーザが予約指定した日時に提供されてもよい。また、サービスが有料で提供される場合、リクエストは、課金情報を含んでもよい。こうしたリクエストは、例えば、ユーザ端末18にインストールした専用のアプリをユーザが操作することで送信できる。リクエスト受信部64は、ユーザ端末18からリクエストを受信すれば、これをリクエスト処理部66に送る。
リクエスト処理部66は、受信されたリクエストを解釈し、処理する。具体的には、リクエスト処理部66は、ロボットDB60を参照し、リクエストされたサービス内容を提供可能であって、サービス提供位置までの距離または移動時間が最も小さいロボット本体12を選定する。また、リクエストが課金情報を含む場合、リクエスト処理部66は、当該課金情報を課金処理部68に出力する。ロボット本体12の選定および課金処理が、完了すれば、リクエスト処理部66は、サービスの提供のためのサービス指令を生成する。サービス指令は、少なくとも、サービスの提供位置と、サービス内容と、を含む。そして、リクエスト処理部66は、このサービス指令を、選定されたロボット本体12の識別情報とともに、サービス指令送信部70に送る。
課金処理部68は、リクエストに含まれた課金情報に基づいて、サービス提供のための課金処理を実行する。この課金処理は、管理センタ16内で完結してもよいし、課金センタとは別に存在するオンライン決済の運営会社(例えばクレジットカード会社等)と連携して行うのでもよい。いずれにしても、課金が適切に実行された場合、課金処理部68は、その旨をリクエスト処理部66に通知する。サービス指令送信部70は、リクエスト処理部66で選定されたロボット本体12に、ロボット指令を送信する。
サービス指令を受信したロボット本体12は、当該サービス指令に含まれるサービス提供位置へと自律的に移動する。サービス提供位置に到達すれば、ロボット本体12は、機能ボックス14の電源をONするとともに、サービス指令に応じたサービスの提供を機能ボックス14に指示する。このとき、ロボット本体12は、必要であれば、蓋体56のロック解除を機能ボックス14に指示する。
なお、ここで説明した管理センタ16の構成は、一例であり、適宜、変更されてもよい。例えば、上記の説明では、管理センタ16で課金処理を行う例を説明したが、ロボット本体12に課金処理機能を持たせてもよい。例えば、ロボット本体12にQRコード(登録商標)決済機能やICカード決済機能を持たせてもよい。また、そもそも、管理センタ16を設けず、ユーザ端末18からのリクエストを、ロボット本体12で直接、受け付けるようにしてもよい。いずれにしても、ロボット本体12に装着する機能ボックス14を交換可能とすることで、一つのロボット本体12を様々なサービスに利用することができ、ロボット本体12をより有効活用できる。換言すれば、本例によれば、複数種類のサービスを提供するために必要なロボット本体12の台数を低減できるため、サービス提供に要するコストを低減できる。
すなわち、ロボット本体12は、自律走行可能なロボットであるが、かかる自律走行機能を実現するためには、多数のセンサや複雑な機械的構成が必要であるため、ロボット本体12は、高価になりやすい。かかる高価なロボット本体12を、複数のサービスそれぞれごとに用意した場合、全体的なコストが増加する。
また、こうした複数のサービスは、常に必要ではなく、その需要が変動する。そのため、機能ボックス14を交換不可能とした場合、需要の変動に対応できず、ロボット本体12を有効活用できない。例えば、飲料を販売する自動販売機機能は、主に、日中の需要が高い一方で、多くの人が自宅や店舗で食事をとる夕食どきには需要が低下する。また、料理を保温したまま配達するデリバリーサービスは、夕食どきには需要が高まる一方で、日中には、需要が低い。かかる場合において、機能ボックス14を交換不可能とすると、自動販売機の需要が低く、デリバリーサービスの需要が高い夕食どきには、自動販売機ボックスを搭載したロボット本体12は、活用されることなく、待機することが多くなり、無駄が多い。一方、本例のように、機能ボックス14を交換可能とすれば、自動販売機の需要が高い日中には、自販機ボックス14dを、デリバリーサービスの需要が高い夕食どきには、冷温庫ボックス14cを、ロボット本体12に搭載することで、需要の変動に対応でき、高価なロボット本体12をより有効に活用できる。
ところで、機能ボックス14を交換可能とした場合、ロボット本体12と機能ボックス14との見た目の一体感が保てず、意匠性が低下する場合がある。本例では、いずれの機能ボックス14も、リング体24の幅方向内寸とほぼ同じ幅方向寸法を有した箱状としている。さらに、機能ボックス14の高さ方向寸法を、リング体24の高さ方向内寸の8割以上としている。かかる構成とすることで、機能ボックス14を搭載したロボット本体12を正面から見た場合、リング体24の内側の大部分が、機能ボックス14で占有され、機能ボックス14の外周囲をリング体24が取り囲むように見える。そして、これにより、機能ボックス14とリング体24との見た目の一体感が向上し、ロボットの意匠性を向上できる。また、本例では、いずれのサービスの提供も必要となる基本機能、例えば、自走機能や、外部機器(管理センタ16やユーザ端末18)との通信機能は、全て、ロボット本体12に持たせている。かかる構成とすることで、各機能ボックス14の構成は、簡易化でき、機能ボックス単体のコストを低減できる。