JP2021060173A - 冷蔵庫 - Google Patents

冷蔵庫 Download PDF

Info

Publication number
JP2021060173A
JP2021060173A JP2019186148A JP2019186148A JP2021060173A JP 2021060173 A JP2021060173 A JP 2021060173A JP 2019186148 A JP2019186148 A JP 2019186148A JP 2019186148 A JP2019186148 A JP 2019186148A JP 2021060173 A JP2021060173 A JP 2021060173A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
freezing
oscillation
refrigerator
thawing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019186148A
Other languages
English (en)
Inventor
森 貴代志
Kiyoshi Mori
貴代志 森
桂 南部
Katsura Nanbu
桂 南部
平井 剛樹
Tsuyoki Hirai
剛樹 平井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2019186148A priority Critical patent/JP2021060173A/ja
Priority to CN202022183997.2U priority patent/CN213811288U/zh
Publication of JP2021060173A publication Critical patent/JP2021060173A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Devices That Are Associated With Refrigeration Equipment (AREA)
  • Control Of High-Frequency Heating Circuits (AREA)
  • Constitution Of High-Frequency Heating (AREA)
  • Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)

Abstract

【課題】保存物を所望の状態で冷凍、貯蔵、解凍することができ、小型で信頼性の高い冷蔵庫を提供する。【解決手段】保存物を貯蔵可能な空間を有する少なくとも一つの貯蔵室と、高周波電力を形成する発振部である発振回路22と、発振回路22から形成された高周波電力を受け貯蔵室に高周波電界を発生させる発振電極24、および発振電極に対向して設けられた対向電極25と、発振部の出力インピーダンスと、発振回路22に接続された発振電極や対向電極を含む装置類のインピーダンスを整合する整合部である整合回路23と、発振回路22から形成され出力された高周波電力、および発振回路22からの出力方向と逆方向に反射してくる反射電力とを検知する入反射波検出部51とを備え、前記発振回路、整合部、入反射検知部の全て、またはいずれか2つを同一基板上に一体に構成している。【選択図】図9

Description

本開示は、冷凍機能を備えた冷蔵庫であって、冷凍品を解凍することが可能な貯蔵室を有する冷蔵庫に関する。
特許文献1は、従来の冷凍品を解凍することが可能な貯蔵室を有する冷蔵庫を示す。この冷蔵庫は、冷凍装置及び高周波発生用マグネトロンを有する冷凍庫本体の内部に冷凍室とともに冷凍品を解凍することが可能な高周波加熱室(貯蔵室)を設け、前記高周波加熱室に冷気循環ダクトを介して冷凍装置からの冷気を供給しマグネトロンから高周波を照射して、冷凍品を解凍するよう構成されている。
特開2002−147919号公報
本開示は、上記解凍することが可能な貯蔵室内に収納された保存物を所望の状態で冷凍し、貯蔵し、解凍することを可能として冷却及び解凍に対する信頼性を高め、かつ、小型化も実現可能な冷蔵庫を提供する。
本開示における冷蔵庫は、
保存物を貯蔵可能な空間を有する少なくとも一つの貯蔵室と、
高周波電力を形成する発振部と、
前記発振部から形成された高周波電力を受け前記貯蔵室に高周波電界を発生させる発振電極、および前記発振電極に対向して設けられた対向電極と、
前記発振部に接続された前記発振電極や前記対向電極を含む装置類のインピーダンスを整合する整合部と、
前記発振部から形成され出力された高周波電力、および前記発振部からの出力方向と逆方向に反射してくる反射電力とを検知する入反射検知部と、
前記発振電極と前記対向電極との間への高周波電界の印可を制御する制御部と、を備え、前記発振部、前記整合部、前記入反射検知部の全て、またはいずれか2つが同一基板上に一体構成している。
本開示による冷蔵庫は、発振電極と対向電極との間で高周波電界を発生させて貯蔵室内に収納された保存物を解凍するので、所望の状態で冷凍、貯蔵、解凍することができ、信頼性の高い冷却、貯蔵機能を実現できるとともに、マグネトロン方式に比べ小型化でき、しかも発振部、整合部、入反射検出部といった主要な解凍回路要素のうち2つ以上を一体化したことで回路上の信頼性向上と小型化が可能となり、小型且つ信頼性の高い冷蔵庫とすることができる。
実施の形態1の冷蔵庫の縦断面図 実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室を示す正面断面図 実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室を示す側面断面図 実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室を組み込むときの縦断面図 実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室の変形例を示す正面断面図 実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室の変形例を示す側面断面図 実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室を組み込むときの縦断面図 実施の形態1における冷凍/解凍室の背面側の電極保持領域を示す図 実施の形態1の冷蔵庫に設けられた誘電加熱機構の構成を示すブロック図 各種回路を駆動するAC/DCコンバータの概略回路図 実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室の天面側の発振電極と対向電極とを上方から見た平面図 発振電極と対向電極との電極間隔と、両電極間の電界強度との関係を示した図 誘電加熱構成に対してシミュレーションを行った結果を示す電界シミュレーション図 実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室の誘電加熱構成に対してシミュレーションを行った結果を示す電界シミュレーション図 実施の形態1の構成において、解凍処理における発振回路およびダンパーの制御信号の波形を示すと共に、そのときの食品温度、冷凍/解凍室の室温、および冷凍/解凍室の湿度を示す図 実施の形態1の構成において、冷凍/解凍室で解凍処理が完了した後の制御を示すフローチャート 従来の冷蔵庫における冷凍保存中の冷却動作を示す波形図 実施の形態1の冷蔵庫における冷凍/解凍室で実行される冷却動作を示す波形図 実施の形態1の構成において、急冷動作中の各要素の状態を示す波形図 実施の形態1の冷蔵庫のドアが開かれたときの高周波遮断回路例を示す図 実施の形態1の冷蔵庫のドアが開かれたときの高周波遮断回路の他の例を示す図 実施の形態1の冷蔵庫のドアが開かれたときの高周波遮断回路の更に他の例を示す図
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、特許文献1に記載された冷蔵庫が知られていた。この冷蔵庫は、高周波加熱室内の冷凍品に対しアンテナ等を経由してマグネトロンからの高周波を照射し高周波加熱する構成となるため、冷凍品を均一に加熱して所望の状態に解凍することが困難であった。また、部品として比較的大きなマグネトロンおよびその冷却機構を設ける必要があって、構成的に小型化を図ることが困難であった。しかもマグネトロンの発信を制御する制御基板や冷却機構を制御する制御基板が別々になることも加わって回路面でも小型化や信頼性向上を図ることが困難であった。
発明者らはこのような課題に鑑み、これらの課題を解決するため本開示の主題を構成するに至った。
そこで本開示は、信頼性の高い冷却、貯蔵機能、すなわち、貯蔵室内に収納された保存物を所望の状態で冷凍し、貯蔵し、解凍することが可能で、小型化も可能な信頼性の高い冷蔵庫を提供する。
以下、本発明の冷蔵庫に係る実施の形態として、冷凍機能を備えた冷蔵庫について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本開示の冷蔵庫は、以下の実施の形態において説明する冷蔵庫の構成に限定されるものではなく、冷凍機能のみを有する冷凍庫においても適用可能であり、以下の実施の形態において説明する技術的特徴を有する各種冷蔵庫および冷凍庫を含むものである。従って、本発明において、冷蔵庫とは、冷蔵室、および/または冷凍室を備える構成である。
また、以下の実施の形態において示す数値、形状、構成、ステップ、およびステップの順序などは、一例を示すものであり、本発明を限定するものではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。なお、実施の形態においては、変形例においても同じ要素には同じ符号を付して、説明を省略する場合がある。また、図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。
(実施の形態1)
以下、本開示の冷蔵庫に係る実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。尚、本開示の説明に当たっては、理解を容易にするため各項目ごとに区切って説明していく。
[1−1.冷蔵庫の全体構成]
図1は、実施の形態1の冷蔵庫1の縦断面を示す図である。
図1において、左側が冷蔵庫1の正面側であり、右側が冷蔵庫1の背面側である。冷蔵庫1は、主に鋼板により形成された外箱3と、ABSなどの樹脂で成形された内箱4と、外箱3と内箱4との間の空間に充填発泡された断熱材(例えば、硬質発泡ウレタン)40とにより形成された断熱箱体で構成されている。
冷蔵庫1の断熱箱体2は複数の貯蔵室を備えており、それぞれの貯蔵室の正面側開口には開閉可能な扉が配設されている。それぞれの貯蔵室は扉の閉成により冷気が漏洩しないように密閉される。実施の形態1の冷蔵庫1においては、最上部の貯蔵室が冷蔵室5である。冷蔵室5の直下の両側には、製氷室7と冷凍/解凍室6の2つの貯蔵室が並設されている。更に、製氷室7と冷凍/解凍室6の直下には冷凍室8が設けられており、冷凍室8の直下である最下部には野菜室9が設けられている。実施の形態1の冷蔵庫1における各貯蔵室は、上記の構成を有しているが、この構成は一例であり、各貯蔵室の配置構成は仕様などに応じて設計時に適宜変更可能である。
冷蔵室5は、食品などの保存物を冷蔵保存するために凍らない温度、具体的な温度例としては1℃〜5℃の温度帯で維持される。野菜室9は、冷蔵室5と同等もしくは若干高い温度帯、例えば2℃〜7℃に維持される。冷凍室8は、冷凍保存のために冷凍温度帯、具体的な温度例としては、例えば−22℃〜−15℃に設定される。冷凍/解凍室6は、通常は冷凍室8と同じ冷凍温度帯に維持され、ユーザの解凍指令に応じて、収納されている保存物(冷凍品)を解凍するための解凍処理が行われる。冷凍/解凍室6の構成、及び解凍処理に関する詳細については後述する。
冷蔵庫1の上部には、機械室10が設けられている。機械室10には、圧縮機19および冷凍サイクル中の水分除去を行うドライヤ等の冷凍サイクルを構成する部品などが収容されている。なお、機械室10の配設位置としては冷蔵庫1の上部に特定されるものではなく、冷凍サイクルの配設位置などに応じて適宜決定されるものであり、冷蔵庫1の下部などの他の領域に配設してもよい。
冷蔵庫1の下側領域にある冷凍室8と野菜室9の背面側には、冷却室11が設けられている。冷却室11には、冷気を生成する冷凍サイクルの構成部品である冷却器13、および冷却器13が生成した冷気を各貯蔵室(3、4、5、6、7)に送風する冷却ファン14が設けられている。冷却器13が生成した冷気は、冷却ファン14により各貯蔵室に繋がる風路12を流れて、各貯蔵室に供給される。それぞれの貯蔵室に繋がる風路12にはダンパー12aが設けられており、圧縮機19と冷却ファン14の回転数制御とダンパー12aの開閉制御により、それぞれの貯蔵室が所定の温度帯に維持される。冷却室11の下部には、冷却器13やその周辺に付着する霜や氷を除霜するための除霜ヒータ15が設けられている。除霜ヒータ15の下部には、ドレンパン16、ドレンチューブ17、蒸発皿18が設けられており、除霜時などに生じる水分を蒸発させる構成を有する。
実施の形態1の冷蔵庫1には操作部47(後述の図9参照)が備えられている。ユーザが操作部47において冷蔵庫1に対する各種の指令(例えば、各貯蔵室の温度設定、急冷指令、解凍指令、製氷停止指令など)を行うことができる。また、操作部47には異常の発生などを報知する表示部を有している。なお、冷蔵庫1においては、無線通信部を備えて無線LANネットワークに接続して、ユーザの外部端末から各種指令を入力する構成としてもよい。また、冷蔵庫1においては音声認識部を備えて、ユーザが音声による指令を入力する構成としてもよい。
図2、図3、および図5、図6は、実施の形態1の冷蔵庫1における冷凍/解凍室6を示す縦断面図である。冷凍/解凍室6は、冷凍/解凍室6内に収納された食品等の保存物を冷凍温度帯で保持する冷凍庫であると共に、冷蔵庫1において当該保存物に対する解凍指令が入力されたときには、誘電加熱により解凍処理を行う解凍室となる。
図2、図3と図5、図6のそれぞれの特徴については、後述する「システムの構造」で改めて説明する。
冷凍/解凍室6においては、冷凍室8と同じ冷凍温度帯に維持できるように、冷却器13において生成された冷気が、冷凍/解凍室6の背面側および天面側に設けられた風路12を流れ、冷凍/解凍室6の天面に設けられた複数の冷気導入孔20から冷凍/解凍室6に導入される。冷却室11から冷凍/解凍室6に通じる風路12にはダンパー12aが設けられており、ダンパー12aの開閉制御により冷凍/解凍室6が所定の冷凍温度帯に維持され、収容された保存物が冷凍保存される。
冷凍/解凍室6の背面には、冷気排気孔(図示せず)が形成されている。冷凍/解凍室6に導入されて冷凍/解凍室6の内部を冷却した冷気は、冷気排気孔から戻り風路(図示せず)を通って冷却室11に戻り、冷却器13により再冷却される。即ち、実施の形態1の冷蔵庫1においては、冷却器13により形成された冷気が循環される構成である。
冷凍/解凍室6において貯蔵空間の内面を構成する天面、背面、両側面、および底面は、電気絶縁性の材料で成形された樹脂材の内面部材32(32a〜32c)で形成されている。また、冷凍/解凍室6の正面側開口には扉29が設けられており、扉29の閉成により冷凍/解凍室6の貯蔵空間が密閉される。実施の形態1の冷凍/解凍室6には、上部が開放した収納ケース31が扉29の背面側に設けられており、扉29の前後方向への開閉動作により収納ケース31が同時に前後に移動する構成である。扉29の前後方向への開閉動作により、収納ケース31に対する食品などの保存物の投入、および取り出しを容易なものとしている。
[1−2.冷凍品解凍のための加熱機構]
次に、冷凍/解凍室6に冷凍保存されている保存物に対して、解凍処理を行うための加熱機構について説明する。
本実施の形態の解凍用加熱機構は半導体素子で構成した誘電加熱機構を用いており、マグネトロン等の部品を使用せず構成している。
図9は、この実施の形態1の冷蔵庫1に設けられた誘電加熱機構の構成を示すブロック図である。実施の形態1における誘電加熱機構は、電源部48からの電力が入力されて所定の高周波信号を形成する発信部である発振回路22、整合部である整合回路23、発振電極24、対向電極25、および制御部50を備えている。半導体素子を用いて構成された発振回路22は、小型化されており、後述するが整合回路23ともに冷凍/解凍室6の背面側の空間である電極保持領域30(図3、図4、図6、図7参照)の電極保持基板52に形成されている。発振回路22および整合回路23は、発振電極24と対向電極25との電極間に印加する高周波電界を形成するための高周波電界形成部となる。
発振電極24は、冷凍/解凍室6の天面側に配設された電極である。対向電極25は、冷凍/解凍室6の底面側に配設された電極である。発振電極24と対向電極25は、冷凍/解凍室6の貯蔵空間(解凍空間)を介して対向して配設されており、後述する「回路基板の構成」において説明する電極保持基板52などが設けられて、対向間隔が予め設定された所定の間隔(図8のH)に設定されている。この結果、実施の形態1における誘電加熱機構においては、発振電極24と対向電極25とが略平行に配設される。なお、本発明において、「略平行」とは、本質的に平行の状態を示すものであるが、加工精度などのばらつきに起因する誤差を含むことを示している。
発振電極24は貯蔵空間の一方に設けられ、対向電極25は貯蔵空間を挟んで貯蔵空間の他方に設けられている。誘電加熱機構を構成する背面側の整合回路23、天面側の発振電極24、および底面側の対向電極25は、内面部材32により覆われており、保存物の接触による焼けを確実に防止することができる。
なお、実施の形態1の構成においては、冷凍/解凍室6の貯蔵空間を構成する天面部に発振電極24を設け、冷凍/解凍室6の貯蔵空間の底面部に対向電極25を設けた構成で説明するが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、発振電極24と対向電極25が貯蔵空間(解凍空間)を介して対向する構成であればよく、上下逆の配置や、左右方向に対向する配置でも同様の効果を奏する。
発振回路22は、VHF帯の高周波(実施の形態1においては40.68MHz)の電圧を出力する。発振回路22が高周波電圧を出力することにより、発振回路22が接続された発振電極24と対向電極25との間に電界が形成され、冷凍/解凍室6の発振電極24と対向電極25との間の貯蔵空間に配置された誘電体である保存物が誘電加熱され解凍される。
整合回路23は、発振電極24と対向電極25と冷凍/解凍室6に収容された保存物とによって形成される負荷インピーダンスが、発振回路22の出力インピーダンスと整合するように調節するものである。整合回路23は、インピーダンスを整合させることにより、出力した電磁波に対する反射波を最小化している。
実施の形態1における誘電加熱機構には、発振回路22から発振電極24へと出力される入射波と、発振電極24から発振回路22の方へ戻る反射波とを検出する入反射波検出部51が設けられている。従って、発振回路22は入反射波検出部51および整合回路23を介して発振電極24に電気的に接続されている。制御部50は、入反射波検出部51が検出した入射波と反射波とに基づいて、入射波出力に対する反射波出力の割合(反射率)を算出し、その算出結果に基づいて後述するように各種制御を行っている。或いは、整合回路23においてインピーダンス整合されて発振回路22から出力される電磁波の設定値と、入反射波検出部51が検出した反射波とに基づいて、電磁波出力に対する反射波出力の割合(反射率)を算出しても良い。また、電磁波の出力設定値や入射波の検出値によらず、反射波出力のみで後述の各制御を行っても良い。
図9の制御ブロック図に示すように、誘電加熱機構においては、制御部50が、ユーザによる設定操作を行う操作部47や庫内温度を検出する温度センサ49などの信号に基づいて、発振回路22および整合回路23を駆動制御している。制御部50はCPUで構成されており、ROM等のメモリに格納された制御プログラムが実行されて各種制御を行っている。
[1−3.誘電加熱機構の回路基板の構成]
発振回路22と入反射波検出部51と整合回路23と発振電極24とを接続する正極側の配線の長さとしては短いことが望ましい(信頼性を向上させる)ため、本実施の形態ではこれらの回路を含む電極保持基板52(図3、図4、図6、図7参照)と発振電極24、および対向電極25とはリード線や同軸ケーブルを介さずに直接接続させ、冷凍/解凍室6の背面側の電極保持領域30に配設する構成としている。この電極保持基板52は、最低限、整合回路23を含んでいるものとする。
また、整合回路23により、インピーダンス整合が十分に出来ているかを精度よく判別するために、電極保持基板52上に入反射波検出部51を構成し、整合回路23と合わせて1枚の基板とすることが望ましい。これにより、信頼性が向上し、且つ、整合回路23と入反射波検出部51との間にリード線や同軸ケーブル、およびこれらを接続するためのコネクタ類が不要となり、構造を簡易化することも可能となる。
また、図9では、電極保持基板52上に入反射波検出部51と整合回路23を配置しているが、整合回路23、入反射波検出部51、および発振回路22の全てを構成して1枚の基板とすることで、リード線や同軸ケーブルによる送電ロス抑制やインピーダンス整合の精度向上も可能となり、さらに信頼性が向上する。
なお、上記各回路、例えば発振回路22と整合回路23とは別々にしてリード線や同軸ケーブルで電気的に接続する等してもよく、このような場合、例えば空きスペースの大きな機械室10を利用して発振回路22を設置するなど冷蔵庫内の空きスペースを活用して合理的な配置構成とすることもできる。
[1−4.誘電加熱機構のシステムの構造]
上記のように構成された実施の形態1における誘電加熱機構は、発振電極24と対向電極25が略平行に対向する構成であるため、冷凍/解凍室6の貯蔵空間である解凍空間において電界の均一化が図られている。このように発振電極24と対向電極25とを所定間隔(図8のH)を介して略平行に配設するために、実施の形態1における誘電加熱機構においては、以下に説明するように電極間隔を保持している。
図8は、実施の形態1における冷凍/解凍室6の背面側の電極保持領域30を示す図であり、電極保持領域30における電極保持機構を示している。図8は、電極保持領域30を背面側から見た図であり、上側(天面側)に発振電極24が配設され、下側(底面側)に対向電極25が配設されている。発振電極24の背面側端部には正極端子24a、24b、24cが突設されている。正極端子24a〜24cは発振電極24の背面側端部から上方(天面側)、または下方(底面側)へ直角に折れ曲がって突設されている。同様に、対向電極25の背面側端部の中央には陰極端子25a、25b、25cが突設されている。陰極端子25a〜25cは対向電極25の背面側端部から上方(天面側)、または下方(底面側)へ直角に折れ曲がって突設されている。
電極保持基板52の上下部には、発振電極24および対向電極25が固定され、電極保持基板52上に整合回路23と入反射波検出部51が固定されており、電極保持基板52により発振電極24、対向電極25が確実に保持されている。このように、電極保持基板52は、実質的に発振電極24と対向電極25とを、所定距離(図8のH)を有して確実に保持する構成である。なお、電極保持基板52は、整合回路23等が構成されているため、銅箔配線パターンによって剛性が高くなっており、発振電極24と対向電極25とを所定の対向間隔(図8のH)を有して片持ち保持可能な構成となる。また、電極保持基板52には、既述したようにさらに発振回路22等を設ける構成としてもよい。
発振電極24の正極端子24a〜24c、および対向電極25の陰極端子25a〜25cは、整合回路23の正極側と陰極側の各接続端子に接続されている。正極端子24a〜24cおよび陰極端子25a〜25cと、整合回路23の各接続端子との接続は、大電流が流れても信頼性を確保できるように、所定接触面積を有する面接触接続である。実施の形態1においては、確実な面接触接続を確保するために、互いに平板状の端子間がネジ止めにより接続されている。なお、端子間の接続としては、確実な面接触接続となる接続手段であればよく、ネジ止め接続に限定されるものではない。
実施の形態1において、発振電極24の背面側端部から突出する正極端子24a〜24cの端子幅w(図8参照)は、発振電極24の背面側端部の電極幅W(図8参照)に比べて細く形成されている(w<W)。これは、整合回路23において発生する熱が発振電極24に伝導しにくい構成とすると共に、整合回路23と発振電極24との熱伝導を抑えて、発振電極24の冷却時における整合回路23の結露発生を抑制するためである。なお、対向電極25においても、陰極端子25aの端子幅は、正極端子24aの端子幅と同様に、陰極端子25aが突出する対向電極25の背面側端部の電極幅に比べて細く形成されている。このように陰極端子25aの端子幅を細くすることにより、対向電極25と整合回路23との間の熱伝導を抑えている。
なお、発振回路22を電極保持領域30に配設する構成においては、発振回路22における放熱部材であるヒートシンクを風路12に接触させて冷却する冷却構成としてもよい。
上記のように、冷凍/解凍室6の背面側には、電極保持機構として、電極保持基板52が設けられているため、発振電極24と対向電極25が略平行に対向する構成となる。また、実施の形態1の構成においては、発振電極24と対向電極25が略平行に対向することを更に確実なものとするために、発振電極24、対向電極25、電極保持基板52を含み、略平行状態を確定させた状態で一体化された高周波加熱モジュール53aとして冷凍/解凍室6に組み込む構成としている。
[1−5.冷凍/解凍室の構造]
前述のように冷蔵庫1の断熱箱体は、鋼板により形成された外箱3と、樹脂で成形された内箱4と、外箱3と内箱4との間の空間に充填発泡された断熱材(例えば、硬質発泡ウレタン)40とにより構成されている。
そして、図2、図3に示すように、冷凍/解凍室6は、断熱材40の内側の内面部材32aを外枠として構成されており、その外側は電磁波シールド26(26a〜26d)で覆われている。この電磁波シールド26は、電磁波を冷蔵庫1の外部に漏洩することを防止するために、冷凍/解凍室6を取り巻くように設けられている。また、電極保持領域30は内面部材32cによって冷凍/解凍室と区分けされており、内面部材32cの背面側にも背面側電磁波シールド26bが設置されている。背面側電磁波シールド26bは、冷凍/解凍室6の庫内と、整合回路23等を含む電極保持基板52とを区画することで互いのインピーダンスや電界に関する影響を防止することが主な目的である。
内面部材32aで囲われた空間の上方には平板状の内面部材32bが水平方向に設けられ、内面部材32bの上部に発振電極24が搭載される。また、内面部材32aの底面には対向電極25が設置されており、内面部材32aの底面と内面部材32bは略平行で所定距離(図8のH)に保持されている。よって発振電極24と対向電極25は、電極保持基板52と内面部材32a、32b、32cによって略平行状態を保持することができる。外箱3は、充填発泡された断熱材40の発泡ばらつきにより、庫内上面と底面の平行が不十分となることがあるが、上述の構成によって、発泡の影響を受けることがなく、精度良く確実に略平行状態となる。
製造工程においては、高周波加熱モジュール53aは予め組み立てられており、図4に示したように冷蔵庫1の外箱3に差し込む形で組み込む。さらに、扉29、扉側電磁波シールド26d、ガスケット36、収納ケース31等を含む扉ユニットを高周波加熱モジュール53a内に差し込む形で冷蔵庫を完成させる。
また、図5、図6、図7に示すような構成としても良い。図5、図6、図7において、冷蔵庫1の外箱3、樹脂で成形された内箱4と、外箱3と内箱4との間の空間に充填発泡された断熱材40、冷凍/解凍室6の外枠として構成された断熱材40の内側の内面部材32(32a〜32c)、その外側の電磁波シールド26とによる構成は図2、図3と同様である。
内面部材32で囲われた空間の上方には、水平方向に設けられた平板状の内面部材32bの上部に発振電極24が搭載され、また、同様に内面部材32aで囲われた空間の下方に水平方向に設けられた平板状の内面部材32cの底面には対向電極25が設置されている。内面部材32bと内面部材32cの正面側は支柱54によってそれぞれ固定されており、背面側は電極保持基板52および内面部材32cによって固定され、発振電極24と対向電極25を略平行状態に保持する。
内面部材32bと内面部材32cは略平行で所定距離(図8のH)に保持されているため、発振電極24と対向電極25は、電極保持基板52と支柱54、内面部材32b、32cによって略平行状態を保持することができる。冷蔵庫1の外箱3は、充填発泡された断熱材40の発泡ばらつきにより、庫内上面と底面の平行が不十分となることがあるが、上述の構成によって、発泡の影響を受けることがなく、精度良く確実に略平行状態となる。
本構成では、高周波加熱モジュール53bとして、発振電極24、対向電極25、内面部材32a、32b、32c、支柱54、電極保持領域30と冷凍/解凍室6とを区分けする背面側電磁波シールド26b、整合回路23等を含む電極保持基板52が一体化されている。製造工程においては、高周波加熱モジュール53aは予め組み立てられており、図4に示したように冷蔵庫1の外箱3に差し込む形で組み込む。さらに、扉29、扉側電磁波シールド26d、ガスケット36、収納ケース31等を含む扉ユニットを高周波加熱モジュール53b内に差し込む形で冷蔵庫を完成させる。
なお、内面部材32a〜32cは、冷凍室環境でも結露しにくい一般的な工業セラミック材の熱伝導率10W/(m・k)以下の材料が望ましく、本実施の形態ではポリプロピレン、ABS、ポリカーボネート等の樹脂材料で構成している。電磁波シールド26(26a〜26d)は内面部材32(32a〜32c)よりも薄い厚さで構成され熱容量を抑制している。これにより、電磁波シールド26、および電磁波シールド26に接する内面部材32(32a〜32c)への結露を防止できる。
このように、実施の形態1の冷蔵庫1においては、冷凍/解凍室6の誘電加熱機構に背面側および正面側、または側面側に電極保持機構が設けられているため、発振電極24と対向電極25は、精度の高い対向間隔を有して配設することが可能となり、所定の間隔(図8のH)を有して確実に略平行に配設することも可能となる。この結果、冷凍/解凍室6の誘電加熱機構は、電極面における高周波電界の偏りが防止され、高周波電界の均一化が図られ、保存物(冷凍品)に対する解凍処理を均一に行うことが可能な構成となる。
また、高周波加熱モジュールとして予め組み立てられたユニットを差し込むことで冷蔵庫を完成させるため、狭い冷蔵庫庫内で製造作業することなく、製造工程が簡易になる。
[1−6.電磁波シールド機構]
上記のように、冷凍/解凍室6においては発振電極24と対向電極25との間の高周波電界の雰囲気に保存物である誘電体を配置して誘電加熱する構成であるため、冷凍/解凍室6においては電磁波が放射されている。この電磁波を冷蔵庫1の外部に漏洩することを防止するために、実施の形態1の冷蔵庫1には冷凍/解凍室6を取り巻くように電磁波シールド機構が設けられている。
図2、図3に示すように、冷凍/解凍室6の天面側の風路12部分には天面側電磁波シールド26aが配設されている。天面側電磁波シールド26aは、冷凍/解凍室6の直上の冷蔵室5の底面側を構成する断熱材40の上面に配設されており、冷凍/解凍室6の天面側を覆うように配設されている。天面側電磁波シールド26aは、複数の開口を有しており、発振電極24に対する実質的な対向面積が小さくなるように構成されている。
開口の形状は、背面側〜正面側方向が長手となるようなスリット形状となっており、正極端子24a〜24c方向から手前方向に発生する磁界(電流)がスムーズに天面側電磁波シールド26a上を通過するため、周囲に拡散される漏洩磁界が抑制されることを電磁波シミュレーションによって分析している。
このように構成された天面側電磁波シールド26aは、発振電極24との間で不要な電界の発生が抑制された構成となる。なお、天面側電磁波シールド26aとしては複数の開口を有するメッシュ構造でもよい。また、天面側電磁波シールド26aとしては、冷凍/解凍室6の直上に位置する冷蔵室5の内部に設けてもよいが、冷蔵室5にはパーシャル室やチルド室が設けられていることが多く、このパーシャル室やチルド室の天面を電磁波シールドとして利用してもよい。
また、冷凍/解凍室6の背面側に設けられた整合回路23などを有する電極保持領域30を覆うように背面側電磁波シールド26bが配設されている。このように背面側電磁波シールド26bを設けることにより、発振電極24と対向電極25との間に発生する電界や、整合回路23から発生した高周波ノイズが冷却ファン14およびダンパー12aの電装部品の動作(制御)に影響を与えることが防止される。なお、冷凍/解凍室6の側面側にも電磁波シールド(図示なし)が配設されている。
次に、冷凍/解凍室6の正面側開口を開閉する扉29に設けた扉側電磁波シールド26dについて説明する。扉29は冷蔵庫1の本体に対して開閉する構成であるため、扉29に設けた電磁波シールドを冷蔵庫1の本体の接地部分に有線路で接続する構成では、扉29の開閉により有線路が伸び縮みを繰り返すことになり、有線路における金属疲労が蓄積する。このように接続した構成では、有線路で断線する要因となるため、扉29に設けた扉側電磁波シールド26dを冷蔵庫1の本体の接地部分との間を有線路で接続する構成は好ましくない。
一般に、電磁波漏洩を防ぐためには扉29を閉じたときの扉側電磁波シールド26dと本体側の電磁波シールドとなるクロスレール21(外箱3に接続されており、図1に示す)との間隔を、電磁波の波長λの1/4よりも短くすることが必要である。実施の形態1ではさらに間隔を小さくすることにより有線路を設けることなく接置効果を得るようにする。例えば、扉29を閉じたときの扉側電磁波シールド26dとクロスレール21との間隔を、30mm以内とする。外箱3に接続されたクロスレール21は接地されているため、扉29が閉じられた状態において、扉側電磁波シールド26dをクロスレール21に近接させることにより、有線路による接地と同等の効果が得られる。また、扉側電磁波シールド26dの端部が冷蔵庫1の本体側に屈曲した形状とすることにより、扉側電磁波シールド26dをクロスレール21に近接させることが容易な構成となる。
なお、クロスレール21以外にも、電磁波シールド26(26a、26c)に近接させる構成でも良い。
次に電磁波シールドやその他の回路とのグランドとの接続について説明する。
図10は、各種回路を駆動するAC/DCコンバータの概略回路図である。この回路において、交流商用電源ACVをブリッジダイオードBD1と整流コンデンサC0で整流した後のDC/DCコンバータは、フライバック式のスイッチング電源回路としているが、これに限ったものではなく、フォワード式、プッシュプル式、ハーフブリッジ式など、トランスを使用する方式のスイッチング電源であれば良い。また、本回路は主要な回路部品のみを記載し、ノイズフィルタや電源制御回路や保護回路は省略している。
交流商用電源ACVは、ブリッジダイオードBD1および整流コンデンサC0によって直流化され、これを1次側直流電源DCV0(第一電源部)と呼称する。この1次側直流電源DCV0のゼロボルト基準電位を1次側グランドGND0(第一グランド部)とする。
1次側直流電源DCV0はスイッチングトランスT1の1次側巻線P1に印可され、FET Q1によって数10kHzの周波数でスイッチングされる。1次側巻線P1に蓄積された電力は、電磁誘導作用によって電気的に絶縁された2次側巻線S1に伝達され、2次側整流ダイオードD1と2次側整流コンデンサC1によって整流され、2次側直流電源DCV1が出力される。また、2次側巻線S2は巻線の両端の間に出力部が設けられており、2次側整流ダイオードD2と2次側整流コンデンサC2によって整流され、2次側直流電源DCV1よりも低い電圧の2次側直流電源DCV2が出力される。この2次側直流電源DCV1、DCV2(第二電源部)のゼロボルト基準電位を2次側グランドGND1(第二グランド部)とする。
また、1次側直流電源DCV0はスイッチングトランスT1以外にも、スイッチングトランスT2の1次側巻線P2にも分岐して印可され、FET Q2によって数10kHzの周波数でスイッチングされる。1次側巻線P2に蓄積された電力は、電磁誘導作用によって電気的に絶縁された2次側巻線S3に伝達され、2次側整流ダイオードD3と2次側整流コンデンサC3によって整流され、2次側直流電源DCV3(第三電源部)が出力される。この2次側直流電源DCV3のゼロボルト基準電位を2次側グランドGND2(第三グランド部)とする。
なお、スイッチングトランスT1内の1次側巻線P1と2次側巻線S1の絶縁、およびスイッチングトランスT2内の1次側巻線P2と2次側巻線S3の絶縁は、日本の電気用品安全法、あるいはIEC規格で定められた基礎絶縁以上の絶縁性能とする。
発振回路22内には、水晶等を使用した発振源22aによりISMバンドに割り当てられた40.68MHzの微電力が出力され、第一アンプ回路22bによりやや増幅されてから、さらに第二アンプ回路22cで増幅されて整合回路23方向へと出力される。なお、発振源22aの出力周波数は40.68MHzに限定するものではない。
本実施の形態では、2次側直流電源DC1は発振回路22内の第二アンプ回路22cに、2次側直流電源DC2は発振回路22内の発振源22aと第一アンプ回路22bと入反射波検出部51と整合回路23に、2次側直流電源DC3は制御部50に供給されている。
これにより、2次側グランドGND1をゼロボルト基準電位とする回路系は、発振回路22、入反射波検出部51、整合回路23、対向電極25となる。また、2次側グランドGND2をゼロボルト基準電位とする回路系は、制御部50となる。
電磁波シールド26、26a、26b、背面側電磁波シールド26b、扉側電磁波シールド26dのそれぞれの電磁波シールドは、対向電極25(2次側グランドGND1と同電位)とは絶縁されている、或いは絶縁されてはいないが対向電極25とは一定以上離れた場所で接続されていることが望ましい。これにより、各電磁波シールドに印可される電界や磁界が低減され、外部への漏洩も抑制される。即ち電磁波シールドの効果が高くなる。
電磁波シールドの効果を高める手段はいくつかあり、それらを以下に説明する。
ひとつは各電磁波シールドを1次側グランドGND0、2次側グランドGND1、2次側グランドGND2のいずれにも接続しない手段である。この手段は、電磁波シールドの総面積、または総体積が一定以上の場合に特に有効であり、高周波がグランドラインを通って外部に漏洩するなど、ノイズによる悪影響を及ぼすことが少ない。
また、ひとつは各電磁波シールドを1次側グランドGND0に接続する手段である。1次側グランドGND0は、金属材料で構成された外箱3に接続されていることが通常であり、接地面積が広い。よって、1次側グランドGND0のゼロボルト基準電位は最も安定しており、各電磁波シールドの効果が高いだけでなく、ノイズによる誤動作も少ない。
また、ひとつは各電磁波シールドを2次側グランドGND2に接続する手段である。この手段は、対向電極25と各電磁波シールドがスイッチングトランスT1、T2の2段階で絶縁されることになるため、発振電極24から各電磁波シールドに高周波ノイズが漏洩しにくくなり、対向電極25への電界発生が安定する。
また、ひとつは各電磁波シールドが2次側グランドGND1に接続されているが、対向電極25とは一定以上離れた場所、少なくとも各電磁波シールドの外側で接続する手段である。この手段は、一定のシールド効果を得るとともに、発振電極24から各電磁波シールドに高周波ノイズが漏洩しにくくなり、対向電極25への電界発生が安定する。
以上のシールド効果を高める手段は、システムの構造や配線によって効果が異なることがあるため、発振電極24から対向電極25への電界発生効率や電磁波シールド効果を考慮して最適なものを選定する必要がある。
なお、実施の形態1の冷蔵庫1においては、外箱3が鋼板で構成されているため、この鋼板自体が電磁波シールドとしての機能を有している。このため、冷蔵庫1の内部の電磁波が冷蔵庫1の外部に漏洩することが確実に防止されている。
[1−7.発振電極および対向電極の構成]
図11は冷凍/解凍室6の天面側の発振電極24と対向電極25とを上方から見た平面図である。
図11に示すように、発振電極24のサイズは対向電極25よりもやや小さい面積で構成されている。また、発振電極24、および対向電極25には複数の電極孔41,42が形成されており、複数の電極孔41,42は、正極端子24a〜24c、および対向電極25の陰極端子25a〜25cが設けられた庫内背面側から手前側に向けた縦長のスリット形状となっている。このような形状とすることで、正極端子24a〜24c側から入力された高周波電流が庫内背面側から手前側に向けて流れやすくなり、両電極間に発生する電界強度がやや強くなる。
また、発振電極24、および対向電極25に設けられた電極孔41,42は、それぞれ上下対象位置ではなく、電極孔41の短径の約半分程度ずらされて配置されている。発振電極24の電極面に複数の電極孔41が形成されているため、発振電極24の電極面において電界が強く形成される領域が均一的に分散されることになり、保存物に対する誘電加熱を均一に行うことが可能な構成となる。即ち、電極孔41における開口部分の縁部が電界集中領域となる。
なお、図11に示した電極孔41,42の形状および配置は例示であり、電極孔41,42の形状および配置は、冷蔵庫の仕様、構成などに応じて、効率、製造コストを考慮して適宜設計される。例えば電極孔41,42の形状は新円でもよく、発振電極24と対向電極25のそれぞれの電極孔41が上下対象位置になく、穴径の半分程度がずらされて配置されていることが望ましい。
なお、実施の形態1の構成においては、発振電極24の電極孔41の形状および配置としては、複数が配置された構成で説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、例えば、発振電極24に少なくとも1つの開口部分が形成された形状であってもよく、その開口部分の縁部が発振電極24の電極面において、電界が集中する電界集中領域となる。即ち、本発明としては、発振電極24の電極面において、電界集中領域が分散される構成であればよい。また、実施の形態1においては、対向電極25の電極面に複数の電極孔42を設けた構成について説明したが、本発明としては、対向電極25に複数の電極孔42を設けた構成に特定されるものではなく、発振電極24との電極間に所望の電界が形成されるよう形成された開口であればよい。
電極保持基板52は、発振電極24と対向電極25とを、所定距離(図8のH)を有して確実に保持する構成となっており、電極間隔Hは発振電極24の長辺寸法(図11のD)よりも短くしている。なお、発振電極が円形の場合はその直径、楕円形状の場合はその長径よりも電極間隔Hを短く構成することが望ましい。
図12は発振電極24と対向電極25との電極間隔H(図8参照)と、両電極間の電界強度との関係を示している。図12に示すように、電極間隔Hが広がるほど電界強度が弱くなる傾向がある。特に電極間隔H1(100mm)を超えると著しく電界強度が低下し、さらに電極間隔H2(125mm)を超えると高周波による加温能力を得られないレベルまで電界強度が低下する。以上から、電極間隔Hは100mm以下であることが望ましく、少なくとも125mm以下である必要がある。
発明者は、実施の形態1の電極構成を有する冷凍/解凍室6と、比較例として、電極孔を有していない対向電極25を設けた電極構成を持つ冷凍/解凍室6とを用いて、電極間の電界発生のシミュレーションを行った。
図13Aは、電極孔を有していない発振電極24または対向電極25を設けた電極構成でシミュレーションを行った結果を示す図である。図13Bは、電極孔を有した発振電極24または対向電極25を設けた電極構成でシミュレーションを行った結果を示す図である。図13Aおよび図13Bにおいて、色の濃い部分は電界が集中している領域である。この電界シミュレーション図から明らかなように、図13Aの電界シミュレーション図に比べて、図13Bの誘電加熱構成は、電極の全体において電界集中が緩和されており、電界の均一化が図られていることが理解できる。
図11に示すように、発振電極24の電極孔41と対向電極25の電極孔42とを上下方向(対向方向)に延びる中心軸が一致しないように配設することにより、電極の全体において電界集中が緩和されている。なお、発振電極24の電極孔41と対向電極25の電極孔42とを上下方向(対向方向)に延びる中心軸が一致するように配設した電極構成においては、電極孔を有していない対向電極25を設けた構成に比べて、電界の集中は緩和されており、特にコーナー部分の電界の集中が緩和されていた。
実施の形態1の冷蔵庫1における冷凍/解凍室6においては、図2、図3に示したように、扉29の背面側に収納ケース31が固定された構成である。扉29の開閉動作に伴い、収納ケース31が冷凍/解凍室6の内部を前後に移動する構成である。実施の形態1の構成においては、収納ケース31が冷凍/解凍室6の内部をスムーズに移動できるように、冷凍/解凍室6の両側面にはレールが設けられている。また、このレールを摺動する摺動部材が収納ケース31の外側の両側面に設けられている。これらのレールおよびフレームの摺動部材は、誘電加熱されないように、冷凍/解凍室6の発振電極24と対向電極25との対向する領域である誘電加熱領域から外れた位置に設けられている。
[1−8.解凍処理動作]
実施の形態1の冷蔵庫1において、解凍指令が入力されると、冷凍/解凍室6の発振電極24と対向電極25との間の保存物(冷凍品)に対する解凍処理が行われる。実施の形態1における解凍処理は、後述するように、制御部50が発振回路22、入反射波検出部51、および整合回路23を有する誘電加熱機構を制御すると共に、圧縮機19および冷却器13などの冷凍サイクルを含む冷却機構、および冷却ファン14およびダンパー12aなどを含む冷気導入機構を制御している。
実施の形態1における解凍処理は、発振電極24と対向電極25との間に所定の高周波電圧を印加して、電極間の高周波電界により誘電体である冷凍品を誘電加熱している。この誘電加熱中において、制御部50はダンパー12aの開閉制御を行って間欠的に冷気導入を行っている。図14は、解凍処理における誘電加熱機構(発振回路22)および冷気導入機構(ダンパー23)の制御信号の波形を示すと共に、そのときの食品温度、冷凍/解凍室6の室温、および冷凍/解凍室6の湿度を示している。
解凍処理のための周波数の特性としてVHF波を用いた構成は、マイクロ波を用いた構成よりも「部分煮え」が起こりにくい構成となるが、更に解凍均一性をよくするために、実施の形態1の冷蔵庫1においては、電極保持基板52を設けて、実質的に平面板状部材である発振電極24と対向電極25とを、所定間隔(図8のH)を有して略平行に確実に保持する構成としている。
図14に示すように、解凍処理においては、解凍指令が入力されると(解凍開始)、発振回路22がオン状態となり、例えば40.68MHzの高周波電圧が発振電極24と対向電極25との間に印加される。このとき、ダンパー12aは開成状態であるため、冷凍/解凍室6の室温は冷凍温度t1(例えば−20℃)に維持されている。解凍開始から所定期間経過後にダンパー12aが閉成される。ダンパー12aが閉成されると、冷凍/解凍室6の室温が上昇し始める。実施の形態1における解凍処理においては、誘電加熱を行うと共にダンパー12aの開閉制御を行うことにより、冷凍品の表面温度の上昇を抑制して、所謂「部分煮え」が生じない解凍を行っている。
ダンパー12aの開閉制御は、整合回路23で整合されて発振電極24と対向電極25との間に供給された電磁波に対する、入反射波検出部51で検出された入射波に対する反射波の割合(反射率)に基づいて、制御部50が行っている。制御部50は、反射率が予め設定された閾値に達して、反射率が大きくなったとき、ダンパー12aを開成して冷凍/解凍室6の庫内温度を低下させる。このように、ダンパー12aの開閉制御により、冷凍/解凍室6に間欠的に冷気が導入されるため、冷凍/解凍室6の貯蔵空間(解凍空間)の保存物は所望の冷凍状態を維持しつつ誘電加熱されて、所望の解凍状態となる。
所望の解凍状態に達したときに解凍処理は完了となるが、解凍処理が完了となる所望の解凍状態を検知するために、実施の形態1の解凍処理においては、反射率が用いられている。誘電加熱を行うことにより保存物の融解が進むと、保存物中の融解した水分子が増加していく。保存物中の融解した水分子が増加するに連れて誘電率が変化してインピーダンスの整合状態がずれていく。その結果、出力された電磁波に対する反射波の割合である反射率が大きくなる。解凍処理においては、反射率が大きくなり、予め設定した閾値に達すると、整合回路23がインピーダンス整合を実行して、反射率を低下させている。
実施の形態1の解凍処理における解凍完了の検知は、整合回路23によるインピーダンス整合を実行した後の反射率が解凍完了の閾値を越えたときとしている。解凍完了の閾値は、保存物の融解が所望の解凍状態に到達したことを検知するものである。ここで、保存物の融解が所望の解凍状態とは、女性が保存物を片手で切ることが可能であり、かつ、保存物からのドリップ量がごく少量の状態である。解凍完了の閾値は、予め実験により求められる値である。
なお、図14に示すように、ダンパー12aが開閉制御されることにより、風路12を通った相対的に湿度の低い冷気が冷気導入孔20から冷凍/解凍室6に供給されるため、冷凍/解凍室6の湿度が100%となることがなく、冷凍/解凍室6内の結露発生が防止される。
なお、本実施の形態における反射率の算出方法は、入反射波検出部51で検出された入射波に対する反射波の割合(反射率)に限ったものではなく、例えば、反射波のみを検出し、発振回路22で予め設定された出力との割合を算出する方法でも良い。
また、反射率ではなく、出力にかかわらず入反射波検出部51で検出した反射波のみで解凍処理を制御しても良い。以下の説明で記載する反射率を用いた制御についても同様である。
[1−9.解凍処理完了後の制御]
図15は、冷凍/解凍室6において解凍処理が完了した後の制御を示すフローチャートである。図15のフローチャートに示す各ステップは、制御部50のCPUがROM等のメモリに格納された制御プログラムを実行することによって行われる。前述のように、解凍処理において整合回路23によるインピーダンス整合を実行した後の反射率が解凍完了の閾値を越えたとき、図15に示す解凍処理完了後の制御が行われる。
図15のステップ101に示すように、解凍処理が完了した後には、保存物を所望の解凍状態に維持する。この手段のひとつは、冷凍/解凍室6の室温を所謂、微凍結温度帯、例えば約−1℃〜−3℃とすることである。また、他の手段として、冷凍/解凍室6の室温を冷凍温度帯、例えば−18℃〜−20℃とし、出力を落とした高周波電界を印可、或いは断続的に高周波を印可することで冷却と加温を行い保存物を所望の温度帯に維持することである。
冷凍/解凍室6が微凍結温度に維持されている状態においては、冷凍/解凍室6の保存物の有無が常に検知される(ステップ102)。冷凍/解凍室6における保存物の有無の検知は、常時検出される反射率が用いられる。このため、整合回路23は常に断続運転されており、低出力の電磁波が発振電極24から断続的に出力されている。制御部50は、反射率と予め設定された保存物有無の閾値とを比較して、冷凍/解凍室6の保存物の有無を判断する。
ステップ102において、冷凍/解凍室6に保存物が存在していないことを検知したときは、所望の解凍状態の保存物が取り出されたと判断して、冷凍/解凍室6の室温を冷凍温度帯、例えば−18℃〜−20℃とする(ステップ105)。
ステップ102において、冷凍/解凍室6に保存物が存在していることを検知したときには、存在している保存物が新たな非凍結品(例えば、常温の食材)を含むか否かが判断される。冷凍/解凍室6に新たな非凍結品が含まれるか否かは、反射率の変化により判断される。ステップ103において、冷凍/解凍室6に新たな非凍結品が投入されたと判断されたときには、冷凍/解凍室6の室温を冷凍温度帯とする(ステップ105)。
一方、ステップ103において、冷凍/解凍室6には新たな非凍結品が収納されておらず、解凍状態の保存物が保持されたままの状態であると判断したときには、解凍完了後の時間が所定時間を越えているか否かが判断される(ステップ104)。保存物に対する解凍処理が完了しても、ユーザが当該保存物を冷凍/解凍室6からすぐに取り出さない場合がある。そのような場合において、実施の形態1の冷蔵庫1は、冷凍/解凍室6の保存物に対して所望の解凍状態を維持できる微凍結温度帯が所定時間だけ維持される構成である。この所定時間を越えて保存物が収納されている場合には、当該保存物における鮮度を維持するために、実施の形態1の冷蔵庫1においては冷凍/解凍室6の室温を凍結温度帯に移行する制御を行っている。ステップ104においては、解凍状態の保存物が収納されたまま解凍完了後の時間が所定時間を越えていると判断した場合には、ステップ105に移行して冷凍/解凍室6の室温を冷凍温度帯とする凍結処理が行われる。
上記のように、実施の形態1の冷蔵庫1においては、解凍処理が完了した後の冷凍/解凍室6では所望の解凍状態の保存物を鮮度が維持できる所定時間保持することができ、冷凍/解凍室6の内部の保存物に対する適切な温度管理を行うことができる。
[1−10.冷凍/解凍室の冷凍保存動作]
実施の形態1の冷蔵庫1は、冷凍/解凍室6の室温を冷凍温度帯に維持している冷凍処理において、保存物である食品を所望の状態で冷凍保存するように誘電加熱を行うように構成されている。一般的に、食品を冷凍した場合には、冷凍/解凍室6の庫内の水分や、食品内部の水分により食品包材の内面には着霜現象が現れる。このような着霜現象が食品表面に現れると、食品が乾燥して、食感がパサパサとなり、食品として美味しく新鮮な状態ではなくなる(「冷凍焼け」)。このような状態を防止するために、実施の形態1の冷蔵庫1においては、冷却動作と共に誘電加熱動作を同時に行っている。
図16A、図16Bは、冷却動作中の各要素の状態を示す波形図である。図16Aは従来の冷蔵庫における冷凍保存中の冷却動作を示す波形図であり、図16Bは実施の形態1の冷蔵庫1における冷凍/解凍室6で実行される冷却動作を示す波形図である。
図16Aにおいて、(1)は冷却動作のON/OFFを示す波形図である。冷却動作のON/OFFとは、例えばダンパーの開閉や、コンプレッサーのON(オン)、OFF(オフ)の動作などに相当する。ON(オン)は冷気が冷凍室に導入される状態を示し、OFF(オフ)はダンパーが閉成されて、冷凍室への冷気の導入が遮断されている状態を示す。従って、図16Aの(2)の波形図に示すように、冷凍室内の食品の温度は、予め設定した冷凍温度(例えば、−20℃)T1を中心として上下に大きく振れることになる。この結果、冷凍室内の食品表面において水分の蒸発と着霜が繰り返されることになり、好ましい食品の冷凍状態とならない場合が発生する。
一方、実施の形態1の冷却動作を示す図16Bにおいては、従来の冷却動作と異なって食品に対する冷却を行うと共に誘電加熱を行っている。図16Bの(1)がダンパー12aの開閉動作を示す波形図であり、ON(オン)はダンパー12aの開成状態を示しており、冷気が風路12を通り冷気導入孔20から冷凍/解凍室6に導入されている。OFF(オフ)はダンパー12aの閉成状態を示しており、冷凍/解凍室6への冷気の導入が遮断されている。実施の形態1の冷却動作における冷気導入は、誘電加熱と同時に行うため、冷気の導入時間が従来例に比べて長く設定されており、即ち冷却能力を上昇させている。
図16Bの(2)は、発振回路22が駆動制御されて誘電加熱の動作状態を示す波形図である。ダンパー12aの開成状態のとき、同時に誘電加熱が行われている。実施の形態1における冷却動作においては、解凍動作に比べて遙かに小さい出力で誘電加熱が行われる。この結果、図16Bの(3)に示すように、冷凍/解凍室6内の食品温度は、予め設定した冷凍温度(例えば、−20℃)T1に維持されて、食品温度の変動が抑制されている。
実験によれば、食品温度の変動が約0.1K以下であれば、着霜の発生を無くすことができた。少なくとも食品温度の変動を少なくすればするほど着霜の発生を抑制することができる。また、食品内部においては、誘電加熱を行うことにより、氷結晶の伸長を抑制する効果がある。誘電加熱を行った場合には、食品内に生じた氷結晶の先端部に電界が集まりやすいため、冷凍/解凍室6内の温度が最大氷結晶生成帯以下であっても氷結晶は緩やかにしか伸長しない。
上記のように、実施の形態1の冷蔵庫1においては、冷凍保存中の冷却動作中においても誘電加熱動作を行っているため、保存物である冷凍品を所望の状態で冷凍保存することが可能となる。
[1−11.凍結処理]
実施の形態1の冷蔵庫1においては、操作部47からのユーザの指令に基づいて冷凍/解凍室6内の庫内に新たに投入された非凍結食品に対して凍結処理を行うことが可能である。図17は、凍結処理である急冷動作における各要素の状態を示す波形図である。図17において、(a)は冷凍/解凍室6内に保存物(食品)が存在するか否かを示すグラフである。冷凍/解凍室6内に保存物が存在するか否か判断は、入反射波検出部51において検出された反射波と、出力された電磁波との割合(反射率)に基づいて制御部50において判断される。図17の(b)は制御部50が整合回路23および入反射波検出部51からの情報を断続的に取得していることを示している。図17の(c)は、反射率の推移の一例を示すグラフである。制御部50は反射率が第1閾値R1以下となった場合に保存物である食品が冷凍/解凍室6内に投入されたと判断する。
冷凍/解凍室6内に収納された食品に対する急冷動作においては、冷却機構の圧縮機19および冷却ファン14の回転数を上昇させて、冷却能力を高めて強制連続運転を行っている。また、冷凍/解凍室6に通じる風路12のダンパー12aが強制的に連続開成状態で駆動されて、冷気が導入されるように冷気導入機構が駆動制御されている(図17(d)の波形図参照)。
急冷動作においては、食品温度が最大氷結晶生成帯(約−1℃〜約−5℃)のときの氷結晶の伸長を抑制するために、誘電加熱動作を行っている。このときの誘電加熱動作は、約1W〜約10Wの低出力であり、断続的に誘電加熱している(図17(e)における期間H)。誘電加熱動作を開始するために、食品温度が最大氷結晶生成帯に入ったことの検知は、食品の潜熱領域通過時に反射率の変化が増大することにより検知される。実施の形態1においては、検知された反射率が予め設定された第2閾値R2に入ったとき、誘電加熱動作を開始させる(図17(e)参照)。なお、反射率が第2閾値R2から第3閾値R3までの領域は、当該食品の最大氷結晶生成帯であるとして誘電加熱動作を継続し、反射率が第3閾値R3に入ってから所定時間(t2)が経過したときに当該食品が最大氷結晶生成帯を通過したと判断して、誘電加熱動作を停止する。
上記のように、当該食品が最大氷結晶生成帯を通過したと判断したとき、誘電加熱動作を停止すると共に、急冷動作を終了して通常の冷却動作に移行する。このように、急冷動作を行う場合にも誘電加熱動作を所望の期間行うことにより、食品を好ましい冷凍状態とすることができる。
[1−12.ドアスイッチによる安全制御]
本実施の形態では、前述したとおり、冷蔵庫1の外部に電磁波が漏洩することを防止するために、冷凍/解凍室6を取り巻くように電磁波シールド26が設けられている。さらに、外箱3が鋼板で構成されており、この鋼板自体が電磁波シールドとしての機能を有しているため、扉29が閉じていれば電磁波の外部漏洩は防止されている。
しかしながら、扉29が開いたときは開口部から電磁波が漏洩する可能性がある。また、使用者が開口部から庫内に手を入れることで、人体に高周波が印可される危険も懸念されるため対策が必要である。
よって、本実施の形態では、扉29が開いたことを検知する扉開閉検知手段55a(図9参照)によって扉29が解放されていることを検知した場合は、発振回路22を停止させ発振電極24への電力供給を停止させる。なお、冷蔵庫には複数の扉があることが一般的であるが、電磁波シールド26が十分に機能している場合には、冷蔵室5の扉開閉検知手段55b、製氷室7の扉開閉検知手段55c、冷凍室8の扉開閉検知手段55d、野菜室の扉開閉検知手段55eによって冷凍/解凍室6以外の貯蔵室の扉が開かれたことを検知しても、規定以上の電磁波の外部漏洩がないため、発振回路22は停止せず動作を継続する。
ただし、設計上の課題により電磁波シールド26で冷凍/解凍室6を十分に囲えない場合はこの限りではない。
例えば、冷凍/解凍室6の天面部に電磁波シールド26を構成できない場合、その上部にある貯蔵室(図1のレイアウトでは冷蔵室5)の扉が解放された場合は発振回路22を停止させる。また、冷凍/解凍室6の底面部に電磁波シールド26を構成できない場合、その下部にある貯蔵室(図1のレイアウトでは冷凍室8、野菜室9)の扉が解放された場合は発振回路22を停止させる。また、冷凍/解凍室6の側面部に電磁波シールド26を構成できない場合、その側部にある貯蔵室(図1のレイアウトでは製氷室7)の扉が解放された場合は発振回路22を停止させる。このように、電磁波シールド26が構成できない方向の貯蔵室の扉解放時に発振回路22を停止させ、電磁波の漏洩を防止する。
発振回路22を停止させる手段としては、以下のような手段がある。
図18Aは、扉開閉検知手段55aによって、電源部48から発振回路22への電源供給を遮断する手段を示している。扉開閉検知手段55aは扉29が閉じているときは導通され、扉29が開いたときは遮断されるスイッチ機構であり、スイッチが遮断されることで、発振回路22への電源供給が断たれ確実に動作を停止させる。
また、図18Bは、扉開閉検知手段55aによって、電源部48を制御する電源制御部48aの動作を停止させる手段を示している。扉開閉検知手段55aは図18Aと同様のスイッチ機構であり、扉29が開くと電源制御部48aへの電源供給が停止することで電源部48から発振回路22への電源供給も断たれ停止する。図18Bでは、電源制御部48a内の回路への電源供給を遮断することによって動作を停止するが、電源制御部48a内の過電流保護回路に過電流状態と認識させて停止させる手段や、電源部48が過負荷状態になったと認識させて停止させる手段でも良い。
また、図18Cは、扉開閉検知手段55aだけでなく、磁気センサ55fによっても扉29の開閉状態を判別できるものである。磁気センサ55fは制御部50に扉29の開閉信号を出力するものであり、制御部50は磁気センサ55fの信号を受けて電源制御部48aの動作可否信号を出力する。磁気センサ55fと制御部50の間には、さらに扉開閉検知手段55aが挿入され、扉29が閉じているときは導通され、扉29が開いたときは遮断されて信号の出力ができなくなり、電源部48の動作を停止させる。
以上は電源供給、または制御信号の導通/遮断をハードウェアで実現しているため、高周波ノイズ、或いは外部からのノイズへの耐性が高く、誤動作しにくい。
なお、図18B、および図18Cでは扉開閉検知手段55aは扉29が閉じているときは導通され、扉29が開いたときは遮断されるスイッチ機構としたが、扉29が閉じているときは遮断され、扉29が開いたときは導通されるものを使用する手段でも良い。このときは、電源制御部48aを停止させるためのH/Lの論理を逆転させる必要がある。
以上のように、実施の形態1の冷蔵庫の冷凍/解凍室6においては、所望の状態で凍結および冷凍保存することができると共に、所望の状態の冷凍品を短時間で所望の状態に解凍することができるという優れた効果を奏しており、半導体素子で構成された誘電加熱機構を用いることにより解凍機能を有する冷蔵庫として小型化を図ることができる構成となる。
なお、実施の形態1の冷蔵庫においては、冷凍/解凍室6として冷凍機能と解凍機能とを有する構成で説明したが、解凍機能のみの解凍室とした構成であってもよい。
上記のように、本開示の冷蔵庫においては、発振電極と対向電極との間で高周波電界を発生させて貯蔵室内に収納された保存物を解凍する。この高周波電界は冷凍/解凍室の解凍空間において均一化が図られており、解凍空間に保持された保存物に対する解凍処理および冷凍処理において所望の誘電加熱を行うことができる。従って、本開示によれば、貯蔵室内に収納された保存物を所望の状態で冷凍し、貯蔵し、解凍することができ、信頼性の高い冷却、貯蔵、解凍機能を有する冷蔵庫となる。また、マグネトロンを用いることなく半導体素子で構成された誘電加熱機構を用いていること、発振電極と対向電極との間に高周波電界を形成するのに必要な発振部、整合部、入反射検知部等の回路の全て、またはいずれか2つを同一基板上に一体構成していること、及びマグネトロン解凍の場合に必要な冷却装置の回路部を必要としないこと、等から構成及び回路の両面から小型化を図ることもできる。
[2−1.効果等]
以上のように、本開示の態様における冷蔵庫は、保存物を貯蔵可能な空間を有する少なくとも一つの貯蔵室と、高周波電力を形成する発振部と、前記発振部から形成された高周波電力を受け前記貯蔵室に高周波電界を発生させる発振電極、および前記発振電極に対向して設けられた対向電極と、前記発振部に接続された前記発振電極や前記対向電極を含む装置類のインピーダンスを整合する整合部と、前記発振部から形成され出力された高周波電力、および前記発振部からの出力方向と逆方向に反射してくる反射電力とを検知する入反射検知部と、前記発振電極と前記対向電極との間への高周波電界の印可を制御する制御部と、を備え、前記発振部、前記整合部、前記入反射検知部の全て、またはいずれか2つが同一基板上に一体構成した形としてある。
これにより、所望の状態で冷凍保存することができると共に、冷凍品の解凍は発振電極と対向電極との間に形成される高周波電界によって冷凍品を加熱するのでマグネトロン使用の場合に比べ所望の状態の冷凍品を短時間で所望の状態に解凍することができ、冷却及び解凍に対する信頼性を高めることができる。しかも、発振部、整合部、入反射検出部といった主要な解凍回路要素のうち2つ以上を一体化したこと、マグネトロン解凍の場合に必要な冷却装置の回路部を必要としないこと、等で小型化もでき、小型で信頼性の高い冷蔵庫とすることができる。
本開示の冷蔵庫は上記のような構成と効果を有するが、第2の態様に係る冷蔵庫は、前記の第1の態様において、前記整合部と前記入反射検知部が同一基板上に一体に構成されていてもよい。
また、本開示の第3の態様に係る冷蔵庫は、前記の第1または第2の態様のいずれかの態様において、前記発振部と前記入反射検知部が同一基板上に一体に構成されてもよい。
以上、本発明をある程度の詳細さをもって実施の形態において説明したが、実施の形態の開示内容は構成の細部において変化してしかるべきものであり、実施の形態における要素の置換、組合せ、および順序の変更は請求された本発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
本発明の冷蔵庫においては、保存物に対する冷凍、貯蔵および解凍のそれぞれを所望の状態となるように処理することができるとともに、解凍機能を付加しても小型で信頼性の高い冷蔵庫とすることができる。よって、冷蔵庫の付加価値を高め、高い市場価値を有するので、各種冷蔵庫に好適に適用できる。
1 冷蔵庫
3 外箱
4 内箱
5 冷蔵室
6 冷凍/解凍室(貯蔵室)
7 製氷室
8 冷凍室
9 野菜室
10 機械室
11 冷却室
12 風路
12a ダンパー
13 冷却器
14 冷却ファン
19 圧縮機
22 発振回路(発振部)
22a 発振源
22b 第一アンプ回路
22c 第二アンプ回路
23 整合回路(整合部)
24 発振電極
24a〜24c 正極端子
25 対向電極
25a〜25c 陰極端子
26 電磁波シールド(シールド部)
26a 天面側電磁波シールド
26b 背面側電磁波シールド
26c 底面側電磁波シールド
26d 扉側電磁波シールド
29 扉
30 電極保持領域
31 収納ケース
32a〜32c 内面部材
36 ガスケット
40 断熱材
41 電極孔(発振電極孔)
42 電極孔(対向電極孔)
47 操作部
48 電源部
49 温度センサ
50 制御部
51 入反射波検出部
52 電極保持基板
53 フレーム
54 支柱

Claims (3)

  1. 保存物を貯蔵可能な空間を有する少なくとも一つの貯蔵室と、
    高周波電力を形成する発振部と、
    前記発振部から形成された高周波電力を受け前記貯蔵室に高周波電界を発生させる発振電極、および前記発振電極に対向して設けられた対向電極と、
    前記発振部に接続された前記発振電極や前記対向電極を含む装置類のインピーダンスを整合する整合部と、
    前記発振部から形成され出力された高周波電力、および前記発振部からの出力方向と逆方向に反射してくる反射電力とを検知する入反射検知部と、
    前記発振電極と前記対向電極との間への高周波電界の印可を制御する制御部と、を備え、前記発振部、前記整合部、前記入反射検知部の全て、またはいずれか2つが同一基板上に一体構成されていることを特徴とした冷蔵庫。
  2. 前記整合部と前記入反射検知部が同一基板上に一体構成されていることを特徴とした請求項1に記載の冷蔵庫。
  3. 前記発振部と前記入反射検知部が同一基板上に一体構成されていることを特徴とした請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
JP2019186148A 2019-10-09 2019-10-09 冷蔵庫 Pending JP2021060173A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019186148A JP2021060173A (ja) 2019-10-09 2019-10-09 冷蔵庫
CN202022183997.2U CN213811288U (zh) 2019-10-09 2020-09-29 冷藏库

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019186148A JP2021060173A (ja) 2019-10-09 2019-10-09 冷蔵庫

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021060173A true JP2021060173A (ja) 2021-04-15

Family

ID=75381364

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019186148A Pending JP2021060173A (ja) 2019-10-09 2019-10-09 冷蔵庫

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2021060173A (ja)
CN (1) CN213811288U (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
CN213811288U (zh) 2021-07-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN112648775B (zh) 冷藏库
CN112912677B (zh) 加热装置和具有加热装置的冷藏库
JP7369932B2 (ja) 冷蔵庫
WO2021070620A1 (ja) 冷蔵庫
JP7478990B2 (ja) 冷蔵庫
US11933537B2 (en) Refrigerator
WO2021070619A1 (ja) 冷蔵庫
JP7199052B2 (ja) 冷蔵庫
JP2021060173A (ja) 冷蔵庫
JP7308427B2 (ja) 冷蔵庫
WO2023210356A1 (ja) 冷蔵庫
WO2023210355A1 (ja) 冷蔵庫
JP7422287B2 (ja) 冷蔵庫
JP2021060175A (ja) 冷蔵庫
RU2777607C1 (ru) Холодильное и морозильное устройство
RU2773955C1 (ru) Нагревательное устройство и холодильник
WO2023063134A1 (ja) 冷蔵庫
WO2023063135A1 (ja) 冷蔵庫
CN113068787A (zh) 解冻装置及冰箱
JP2020067214A (ja) 冷蔵庫