以下、本発明の冷蔵庫に係る実施の形態として、冷凍機能を備えた冷蔵庫について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本発明の冷蔵庫は、以下の実施の形態において説明する冷蔵庫の構成に限定されるものではなく、冷凍機能のみを有する冷凍庫においても適用可能であり、以下の実施の形態において説明する技術的特徴を有する各種冷蔵庫および冷凍庫を含むものである。従って、本発明において、冷蔵庫とは、冷蔵室、および/または冷凍室を備える構成である。
また、以下の実施の形態において示す数値、形状、構成、ステップ、およびステップの順序などは、一例を示すものであり、本発明を限定するものではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。なお、各実施の形態においては、同じ要素には同じ符号を付して、説明を省略する場合がある。また、図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。
先ず始めに、本発明の冷蔵庫における各種態様を例示する。
本発明に係る第1の態様の冷蔵庫は、
保存物を収納可能な貯蔵空間を有する貯蔵室と、
前記貯蔵室に設けた発振電極と、
前記発振電極に対向して設けられた対向電極と、
前記発振電極と前記対向電極との間の高周波電界を形成するための高周波電界形成部と、
前記発振電極と前記対向電極の対向する間隔が予め設定された第1の間隔に保持する間隔規定部と、を備えている。このように構成された第1の態様の冷蔵庫は、誘電加熱における電極間の電界の均一化を図ることが可能となる。このため、第1の態様の構成においては、冷凍品を容易に高品位の状態に解凍することができる貯蔵室を備えて、信頼性の高い冷却、貯蔵機能を確保した、安全性の高い冷蔵庫を構築することが可能となる。
本発明に係る第2の態様の冷蔵庫は、前記の第1の態様において、前記発振電極と前記対向電極が、前記貯蔵室の正面側開口の縁を形成する枠部に固定されてもよい。このように構成された第2の態様の冷蔵庫は、発振電極と対向電極の対向する間隔が予め設定された第1の間隔に確実に保持される。
本発明に係る第3の態様の冷蔵庫は、前記の第1または第2の態様において、前記発振電極が前記貯蔵室の天面側に配設され、前記対向電極が前記貯蔵室の底面側に配設され、前記発振電極と前記対向電極とが貯蔵空間に露出しないように構成されてもよい。このように構成された第3の態様の冷蔵庫は、保存物の接触による焼けを確実に防止することができると共に、ユーザが電極に接触することを防止することができ、信頼性および安全性の高い装置となる。
本発明に係る第4の態様の冷蔵庫は、前記の第1から第3の態様のいずれかの態様において、前記発振電極の上方に、前記貯蔵室に冷気を導入する風路を備えてもよい。このように構成された第4の態様の冷蔵庫は、風路が貯蔵室を形成するための寸法のバラツキを吸収できる空間となると共に、貯蔵室の貯蔵空間が解凍空間、および冷却空間となる。また、冷凍処理においても誘電加熱を行うことが可能な構成となる。
本発明に係る第5の態様の冷蔵庫は、前記の第2の態様において、前記間隔規定部が、電気的絶縁部材で形成され、前記発振電極の一端側端部と前記対向電極の一端側端部とを第1の間隔を有して保持し、
前記枠部に正面側開口を挟んで対向して配置された保持部材が固定され、
前記保持部材が、前記発振電極の他端側端部と前記対向電極の他端側端部とを前記第1の間隔を有して保持するように構成されてもよい。このように構成された第5の態様の冷蔵庫は、発振電極と対向電極とを第1の間隔で確実に保持することができ、誘電加熱における電極間の電界の均一化を図ることができる。
本発明に係る第6の態様の冷蔵庫は、前記の第1から第5の態様のいずれかの態様において、前記発振電極の一端側端部に設けられた支持部材と、前記対向電極の一端側端部に設けられた支持部材と、を有し、
前記間隔規定部が、前記発振電極の支持部材と前記対向電極の支持部材とを固定して、前記発振電極と前記対向電極とを第1の間隔を有して保持するよう構成されてもよい。このように構成された第6の態様の冷蔵庫は、発振電極と対向電極とを第1の間隔で確実に保持することができ、誘電加熱における電極間の電界の均一化を図ることができる。
本発明に係る第7の態様の冷蔵庫は、前記の第3の態様において、前記貯蔵室の内面を構成する内面部材を備え、前記内面部材が前記発振電極と前記対向電極の対向する電極面を覆うよう構成されてもよい。このように構成された第7の態様の冷蔵庫は、保存物の接触による焼けを確実に防止することができると共に、ユーザが電極に接触することを防止できる、信頼性および安全性の高い装置となる。
本発明に係る第8の態様の冷蔵庫は、前記の第1から第7の態様のいずれかの態様において、高周波電界形成部側の出力インピーダンスを、前記発振電極と前記対向電極と前記貯蔵空間に収容された保存物とによって決まる負荷インピーダンスと整合するように調節する整合回路を、備え、
前記整合回路が前記間隔規定部に固定された構成としてもよい。このように構成された第8の態様の冷蔵庫は、間隔規定部における剛性が高くなり、発振電極と対向電極とを第1の間隔で確実に保持することができる。
本発明に係る第9の態様の冷蔵庫は、前記の第8の態様において、前記整合回路に電気的に接続される前記発振電極の一端側端部から突設された正極端子の端子幅が、前記発振電極の一端側端部の電極幅に比べて細く形成された構成としてもよい。このように構成された第9の態様の冷蔵庫は、発振電極と整合回路との間における端子を介しての熱伝導を抑制することができ、信頼性を高めることができる構成となる。
本発明に係る第10の態様の冷蔵庫は、前記の第8または第9の態様において、前記発振電極が前記貯蔵室の天面側に設けられ、前記対向電極が前記貯蔵室の底面側に設けられ、前記整合回路が前記貯蔵室の背面側に設けられた構成を有し、前記貯蔵室の天面側、底面側、および背面側において、前記発振電極、前記対向電極、および整合回路からの電磁波の外部への放射を抑制する電磁波シールドが設けられてもよい。このように構成された第10の態様の冷蔵庫は、貯蔵室において発生した電磁波により他の貯蔵室の保存食品に対して悪影響を及ぼすことがなく、信頼性および安全性の高い装置となる。
本発明に係る第11の態様の冷蔵庫は、前記の第1から第10の態様のいずれかの態様において、前記貯蔵室の正面側開口を開閉する扉に電磁波シールドを設けた構成としてもよい。このように構成された第11の態様の冷蔵庫は、貯蔵室において発生した電磁波によりユーザに対して悪影響を及ぼすことがなく、安全性の高い装置となる。
(実施の形態1)
以下、本発明の冷蔵庫に係る実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。図1は、実施の形態1の冷蔵庫10の縦断面を示す図である。図1において、左側が冷蔵庫10の正面側であり、右側が冷蔵庫10の背面側である。冷蔵庫10は、主に鋼板により形成された外箱1と、ABSなどの樹脂で成形された内箱2と、外箱1と内箱2との間の空間に充填発泡された断熱材(例えば、硬質発泡ウレタン)40とにより形成された断熱箱体で構成されている。
冷蔵庫10の断熱箱体は複数の貯蔵室を備えており、それぞれの貯蔵室の正面側開口には開閉可能な扉が配設されている。それぞれの貯蔵室は扉の閉成により冷気が漏洩しないように密閉される。実施の形態1の冷蔵庫10においては、最上部の貯蔵室が冷蔵室3である。冷蔵室3の直下の両側には、製氷室4と冷凍/解凍室5の2つの貯蔵室が並設されている。更に、製氷室4と冷凍/解凍室5の直下には冷凍室6が設けられており、冷凍室6の直下である最下部には野菜室7が設けられている。実施の形態1の冷蔵庫10における各貯蔵室は、上記の構成を有しているが、この構成は一例であり、各貯蔵室の配置構成は仕様などに応じて設計時に適宜変更可能である。
冷蔵室3は、食品などの保存物を冷蔵保存するために凍らない温度、具体的な温度例としては1℃~5℃の温度帯で維持される。野菜室7は、冷蔵室3と同等もしくは若干高い温度帯、例えば2℃~7℃に維持される。冷凍室6は、冷凍保存のために冷凍温度帯、具体的な温度例としては、例えば-22℃~-15℃に設定される。冷凍/解凍室5は、通常は冷凍室6と同じ冷凍温度帯に維持され、ユーザの解凍指令に応じて、収納されている保存物(冷凍品)を解凍するための解凍処理が行われる。冷凍/解凍室5の構成、及び解凍処理に関する詳細については後述する。
冷蔵庫10の上部には、機械室8が設けられている。機械室8には、圧縮機9および冷凍サイクル中の水分除去を行うドライヤ等の冷凍サイクルを構成する部品などが収容されている。なお、機械室8の配設位置としては冷蔵庫10の上部に特定されるものではなく、冷凍サイクルの配設位置などに応じて適宜決定されるものであり、冷蔵庫10の下部などの他の領域に配設してもよい。
冷蔵庫10の下側領域にある冷凍室6と野菜室7の背面側には、冷却室11が設けられている。冷却室11には、冷気を生成する冷凍サイクルの構成部品である冷却器12、および冷却器12が生成した冷気を各貯蔵室(3、4、5、6、7)に送風する冷却ファン13が設けられている。冷却器12が生成した冷気は、冷却ファン13により各貯蔵室に繋がる風路18を流れて、各貯蔵室に供給される。それぞれの貯蔵室に繋がる風路18にはダンパー19が設けられており、圧縮機9と冷却ファン13の回転数制御とダンパー19の開閉制御により、それぞれの貯蔵室が所定の温度帯に維持される。冷却室11の下部には、冷却器12やその周辺に付着する霜や氷を除霜するための除霜ヒータ14が設けられている。除霜ヒータ14の下部には、ドレンパン15、ドレンチューブ16、蒸発皿17が設けられており、除霜時などに生じる水分を蒸発させる構成を有する。
実施の形態1の冷蔵庫10には操作部47(後述の図3参照)が備えられている。ユーザが操作部47において冷蔵庫10に対する各種の指令(例えば、各貯蔵室の温度設定、急冷指令、解凍指令、製氷停止指令など)を行うことができる。また、操作部47には異常の発生などを報知する表示部を有している。なお、冷蔵庫10においては、無線通信部を備えて無線LANネットワークに接続して、ユーザの外部端末から各種指令を入力する構成としてもよい。また、冷蔵庫10においては音声認識部を備えて、ユーザが音声による指令を入力する構成としてもよい。
図2は、実施の形態1の冷蔵庫10における冷凍/解凍室5を示す縦断面図である。冷凍/解凍室5は、冷凍/解凍室5内に収納された食品等の保存物を冷凍温度帯で保持する冷凍庫であると共に、冷蔵庫10において当該保存物に対する解凍指令が入力されたときには、誘電加熱により解凍処理を行う解凍室となる。
冷凍/解凍室5においては、冷凍室6と同じ冷凍温度帯に維持できるように、冷却器12において生成された冷気が、冷凍/解凍室5の背面側および天面側に設けられた風路18を流れ、冷凍/解凍室5の天面に設けられた複数の冷気導入孔20から冷凍/解凍室5に導入される。冷却室11から冷凍/解凍室5に通じる風路18にはダンパー19が設けられており、ダンパー19の開閉制御により冷凍/解凍室5が所定の冷凍温度帯に維持され、収容された保存物が冷凍保存される。
冷凍/解凍室5の背面には、冷気排気孔21が形成されている。冷凍/解凍室5に導入されて冷凍/解凍室5の内部を冷却した冷気は、冷気排気孔21から戻り風路34を通って冷却室11に戻り、冷却器12により再冷却される。即ち、実施の形態1の冷蔵庫10においては、冷却器12により形成された冷気が循環される構成である。
冷凍/解凍室5において貯蔵空間の内面を構成する天面、背面、両側面、および底面は、電気絶縁性の材料で成形された樹脂材の内面部材32で形成されている。また、冷凍/解凍室5の正面側開口には扉29が設けられており、扉29の閉成により冷凍/解凍室5の貯蔵空間が密閉される。実施の形態1の冷凍/解凍室5には、上部が開放した収納ケース31が扉29の背面側に設けられており、扉29の前後方向への開閉動作により収納ケース31が同時に前後に移動する構成である。扉29の前方向への開動作により、収納ケース31に対する食品などの保存物の投入、および取り出しを容易なものとしている。
次に、冷凍/解凍室5に冷凍保存されている保存物に対して、解凍処理を行うために誘電加熱を行う誘電加熱機構について説明する。
図3は、実施の形態1の冷蔵庫10に設けられた誘電加熱機構の構成を示すブロック図である。実施の形態1における誘電加熱機構は、電源部48からの電力が入力されて所定の高周波信号を形成する発振回路22、整合回路23、発振電極24、対向電極25、および制御部50を備えている。半導体素子を用いて構成された発振回路22は、小型化されており、冷蔵庫10の機械室8に設けられている。発振回路22は、同軸ケーブルにより整合回路23に電気的に接続されている。整合回路23は、冷凍/解凍室5の背面側の空間である電極保持領域30(図2参照)に配設されている。発振回路22および整合回路23は、発振電極24と対向電極25との電極間に印加する高周波電界を形成するための高周波電界形成部となる。
発振電極24は、冷凍/解凍室5の天面側に配設された平面電極である。対向電極25は、冷凍/解凍室5の底面側に配設された平面電極である。発振電極24と対向電極25は、冷凍/解凍室5の貯蔵空間(解凍空間)を介して対向して配設されており、後述する「電極保持機構」において説明する間隔規定部33などが設けられて、対向間隔が予め設定された所定の間隔(第1の間隔)に設定されている。この結果、実施の形態1における誘電加熱機構においては、発振電極24と対向電極25とが略平行に配設される。なお、本発明において、「略平行」とは、本質的に平行の状態を示すものであるが、加工精度などのばらつきに起因する誤差を含むことを示している。
発振電極24は貯蔵空間の一方に設けられ、対向電極25は貯蔵空間を挟んで貯蔵空間の他方に設けられている。誘電加熱機構を構成する背面側の整合回路23、天面側の発振電極24、および底面側の対向電極25は、内面部材32により覆われており、保存物の接触による焼けを確実に防止できる構成である。
なお、実施の形態1の構成においては、冷凍/解凍室5の貯蔵空間を構成する天面部に発振電極24を設け、冷凍/解凍室5の貯蔵空間の底面部に対向電極25を設けた構成で説明するが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、発振電極24と対向電極25が貯蔵空間(解凍空間)を介して対向する構成であればよく、上下逆の配置や、左右方向に対向する配置でも同様の効果を奏する。
図2に示したように、冷凍/解凍室5においては、冷却器12からの冷気が風路18を通って冷凍/解凍室5の天面側から導入される構成を有している。冷凍/解凍室5の天面側において、風路18の下面には発振電極24が配設されており、冷却室11からの冷気が発振電極24上を流れる構成である。実施の形態1の冷蔵庫10は、外箱1と内箱2とその間に充填発泡された断熱材40とにより断熱箱体が形成されており、この断熱箱体において貯蔵室が形成される空間は寸法精度が高いものではない。冷凍/解凍室5が形成される空間においては、天面側に風路18となる領域が形成されるため、この風路18となる領域が断熱箱体における寸法のバラツキを吸収できる空間となる。風路18を通った冷気は、発振電極24に形成された複数の電極孔41を通って、天面側の内面部材32の冷気導入孔20から冷凍/解凍室5に導入される構成については後述する。
発振回路22は、VHF帯の高周波(実施の形態1においては40.68MHz)の電圧を出力する。発振回路22が高周波電圧を出力することにより、発振回路22が接続された発振電極24と対向電極25との間に電界が形成され、冷凍/解凍室5の発振電極24と対向電極25との間の貯蔵空間に配置された誘電体である保存物が誘電加熱される。
整合回路23は、発振電極24と対向電極25と冷凍/解凍室5に収容された保存物とによって形成される負荷インピーダンスが、発振回路22の出力インピーダンスと整合するように調節するものである。整合回路23は、インピーダンスを整合させることにより、出力した電磁波に対する反射波を最小化している。実施の形態1における誘電加熱機構には、発振電極24から発振回路22の方へ戻る反射波を検出する反射波検出部51が設けられている。従って、発振回路22は反射波検出部51および整合回路23を介して発振電極24に電気的に接続されている。制御部50は、整合回路23においてインピーダンス整合されて発振回路22から出力される電磁波と、反射波検出部51が検出した反射波とに基づいて、電磁波出力に対する反射波出力の割合(反射率)を算出し、その算出結果に基づいて後述するように各種制御を行っている。
図3のブロック図に示すように、誘電加熱機構においては、制御部50が、ユーザによる設定操作を行う操作部47や庫内温度を検出する温度センサ49などの信号に基づいて、発振回路22および整合回路23を駆動制御している。制御部50はCPUで構成されており、ROM等のメモリに格納された制御プログラムが実行されて各種制御を行っている。
なお、発振回路22と整合回路23と発振電極24とを接続する正極側の配線の長さとしては、短いことが望ましいため、発振回路22と整合回路23の高周波電界形成部を冷凍/解凍室5の背面側の電極保持領域30に配設する構成としてもよい。
[電極保持機構]
上記のように構成された実施の形態1における誘電加熱機構は、平板状の発振電極24と対向電極25が略平行に対向する構成であるため、冷凍/解凍室5の貯蔵空間である解凍空間において電界の均一化が図られている。このように発振電極24と対向電極25とを所定間隔(第1の間隔)を有して略平行に配設するために、実施の形態1における誘電加熱機構においては、以下に説明する電極保持機構を有している。
図4は、実施の形態1における冷凍/解凍室5の背面側の電極保持領域30を示す図であり、電極保持領域30における電極保持機構を示している。図4は、電極保持領域30を背面側から見た図であり、上側(天面側)に発振電極24が配設され、下側(底面側)に対向電極25が配設されている。平板状の発振電極24の背面側端部の中央には正極端子24aが突設されており、その両側には支持部材24b、24bが突設されている。正極端子24aおよび支持部材24bは平板状の発振電極24の背面側端部から下方(底面側)へ直角に折れ曲がって突設されている。同様に、平板状の対向電極25の背面側端部の中央には負極端子25aが突設されており、その両側には支持部材25b、25bが突設されている。負極端子25aおよび支持部材25bは平板状の対向電極25の背面側端部から上方(天面側)へ直角に折れ曲がって突設されている。即ち、発振電極24の正極端子24aと支持部材24bの各突出端は、対向電極25の負極端子25aと支持部材25bの各突出端とそれぞれが互いに対向している。
上記のように、発振電極24の支持部材24b、24bのそれぞれの突出方向が、対向電極25の支持部材25b、25bのそれぞれの突出方向と対向しており、支持部材24b、24bのそれぞれは、対向する支持部材25b、25bに直線的に間隔規定部33を介して接合されている。間隔規定部33は、平面部材であり、実質的に誘電加熱されない電気的絶縁部材により形成されている。図4に示すように、間隔規定部33は、背面側から見てH形状を有しており、そのH形状の上下の4端部に支持部材(24b、25b)が接続されており、H形状の中央部分に整合回路23が固定されている。従って、間隔規定部33の上下の両端に発振電極24および対向電極25が固定され、間隔規定部33の中央部分に整合回路23が固定されており、間隔規定部33により発振電極24、対向電極25、および整合回路23が確実に保持されている。このように、間隔規定部33は、実質的に平面板状部材である発振電極24と対向電極25とを、所定距離(第1の間隔)を有して確実に保持する構成である。なお、間隔規定部33は、そのH形状の中央部分に整合回路23が固定されているため、剛性が高くなっており、発振電極24と対向電極25とを所定の対向間隔(第1の間隔)を有して片持ち保持可能な構成となる。また、間隔規定部33には発振回路22と整合回路23の高周波電界形成部を設ける構成としてもよい。
発振電極24の正極端子24a、および対向電極25の負極端子25aは、整合回路23の正極側と負極側の各接続端子に接続されている。正極端子24aおよび負極端子25aと、整合回路23の各接続端子との接続は、大電流が流れても信頼性を確保できるように、所定接触面積を有する面接触接続である。実施の形態1においては、確実な面接触接続を確保するために、互いに平板状の端子間がビス止めにより接続されている。なお、端子間の接続としては、確実な面接触接続となる接続手段であればよく、ビス止め接続に限定されるものではない。
実施の形態1において、発振電極24の背面側端部から突出する正極端子24aの端子幅w(図4参照)は、発振電極24の背面側端部の電極幅W(図4参照)に比べて大幅に細く形成されている(w≪W)。これは、整合回路23において発生する熱が発振電極24に伝導しにくい構成とすると共に、整合回路23と発振電極24との熱伝導を抑えて、発振電極24の冷却時における整合回路23の結露発生を抑制するためである。なお、対向電極25においても、負極端子25aの端子幅は、正極端子24aの端子幅と同様に、負極端子25aが突出する対向電極25の背面側端部の電極幅に比べて大幅に細く形成されている。このように負極端子25aの端子幅を細くすることにより、対向電極25と整合回路23との間の熱伝導を抑えている。
図2および図4に示すように、冷凍/解凍室5において保存物を冷凍した冷気は、冷気排気孔21から戻り風路34を介して電極保持領域30を通過して冷却室11に戻る構成である。このように戻り風路34は電極保持領域30を通過するよう構成されているため、冷凍/解凍室5からの冷気が、電極保持領域30で放出されることがなく、整合回路23を含む電極保持領域30における結露防止が図られている。
なお、発振回路22を電極保持領域30に配設する構成においては、発振回路22における放熱部材であるヒートシンクを戻り風路34に接触させて冷却する冷却構成としてもよい。
上記のように、冷凍/解凍室5の背面側には、電極保持機構が設けられているため、平板状の発振電極24と対向電極25が略平行に対向する構成となる。また、実施の形態1の構成においては、発振電極24と対向電極25が略平行に対向することを更に確実なものとするために、冷凍/解凍室5の正面側にも電極保持機構が設けられている。
前述のように冷蔵庫10の断熱箱体は、鋼板により形成された外箱1と、樹脂で成形された内箱2と、外箱1と内箱2との間の空間に充填発泡された断熱材(例えば、硬質発泡ウレタン)40とにより構成されている。また、冷蔵庫10の断熱箱体には、各貯蔵室の正面側開口の縁を規定するための枠部であるクロスレール35が設けられている。枠部のクロスレール35は、外箱1の所定位置に接合されており、外箱1に対して精度高く位置決めされている。このため、外箱1に対するクロスレール35の位置は、充填発泡された断熱材40の影響を受けることがなく、精度の高い位置となる。
図2に示すように、冷凍/解凍室5の正面側の縁にはクロスレール35が配設されており、このクロスレール35により冷凍/解凍室5の正面側開口が規定されている。この正面側開口は、冷凍/解凍室5の扉29により開閉される。扉29とクロスレール35との間には閉成時の冷気の漏れを防止するためのガスケット36が設けられている。
冷凍/解凍室5の正面側における電極保持機構は、冷凍/解凍室5の正面側開口を精度高く規定する枠部であるクロスレール35を利用するものである。クロスレール35の上下の略平行な枠材には所定間隔を有して保持部材である第1保持爪37および第2保持爪38が一体的に形成されている。なお、保持部材である第1保持爪37および第2保持爪38は、枠部であるクロスレール35に接合する構成としてもよい。
保持部材である第1保持爪37は、発振電極24の正面側端部を挟むように係合する構成であり、発振電極24の正面側端部の位置を規定するものである。また、保持部材である第2保持爪38は、対向電極25の正面側端部を支持する構成であり、対向電極25の正面側端部の位置を規定するものである。第1保持爪37および第2保持爪38は、発振電極24と対向電極25のそれぞれの正面側端部を所定間隔(第1の間隔)を有して保持している。また、第1保持爪37および第2保持爪38は、発振電極24と対向電極25との間を電気的絶縁状態で保持している。
従って、実施の形態1の冷蔵庫10においては、冷凍/解凍室5の誘電加熱機構に背面側および正面側の両側に電極保持機構が設けられているため、発振電極24と対向電極25は、精度の高い対向間隔を有して配設することが可能となり、所定の間隔(第1の間隔)を有して確実に略平行に配設することも可能となる。この結果、冷凍/解凍室5の誘電加熱機構は、電極面における高周波電界の偏りが防止され、高周波電界の均一化が図られており、保存物(冷凍品)に対する解凍処理を均一に行うことが可能な構成となる。
[電磁波シールド機構]
上記のように、冷凍/解凍室5においては発振電極24と対向電極25との間の高周波電界の雰囲気に保存物である誘電体を配置して誘電加熱する構成であるため、冷凍/解凍室5においては電磁波が放射可能な構成である。この電磁波を冷蔵庫10の外部に漏洩することを防止するために、実施の形態1の冷蔵庫10には冷凍/解凍室5を取り巻くように電磁波シールド機構が設けられている。
図2に示すように、冷凍/解凍室5の天面側の風路18の上部には天面側電磁波シールド26が配設されている。天面側電磁波シールド26は、冷凍/解凍室5の直上の冷蔵室3の底面側を構成する断熱材40の上面に配設されており、冷凍/解凍室5の天面側を覆うように配設されている。天面側電磁波シールド26は、複数の開口を有しており、発振電極24に対する実質的な対向面積が小さくなるように構成されている。このように構成された天面側電磁波シールド26は、発振電極24との間で不要な電界の発生が抑制された構成となる。なお、天面側電磁波シールド26としては複数の開口を有するメッシュ構造でもよい。また、天面側電磁波シールド26としては、冷凍/解凍室5の直上に位置する冷蔵室3の内部に設けてもよいが、冷蔵室3にはパーシャル室やチルド室が設けられていることが多く、このパーシャル室やチルド室の天面を電磁波シールドとして利用してもよい。
また、冷凍/解凍室5の背面側に設けられた整合回路23などを有する電極保持領域30を覆うように背面側電磁波シールド27が配設されている。このように背面側電磁波シールド27を設けることにより、発振電極24と対向電極25との間に発生する電界や、整合回路23から発生した高周波ノイズが冷却ファン13およびダンパー19の電装部品の動作(制御)に影響を与えることが防止される。なお、冷凍/解凍室5の側面側にも電磁波シールド(図示なし)が配設されている。
次に、冷凍/解凍室5の正面側開口を開閉する扉29に設けた扉側電磁波シールド39について説明する。扉29は冷蔵庫10の本体に対して開閉する構成であるため、扉29に設けた電磁波シールドを冷蔵庫10の本体の接地部分に有線路で接続する構成では、扉29の開閉により有線路が伸び縮みを繰り返すことになり、有線路における金属疲労が蓄積する。このように接続した構成では、有線路で断線する要因となるため、扉29に設けた電磁波シールド39を冷蔵庫10の本体の接地部分との間を有線路で接続する構成は好ましくない。
一般に、電磁波漏洩を防ぐためには扉29を閉じたときの扉側電磁波シールド39と本体側の電磁波シールドとなるクロスレール35との間隔を、電磁波の波長λの1/4よりも短くすることが必要である。実施の形態1ではさらに間隔を小さくすることにより有線路を設けることなく接置効果を得るようにする。例えば、扉29を閉じたときの扉側電磁波シールド39とクロスレール35との間隔を、30mm以内とする。外箱1に接続されたクロスレール35は接地されているため、扉29が閉じられた状態において、扉側電磁波シールド39をクロスレール35に近接させることにより、有線路による接地と同等の効果が得られる。また、扉側電磁波シールド39の端部が冷蔵庫10の本体側に屈曲した形状とすることにより、扉側電磁波シールド39をクロスレール35に近接させることが容易な構成となる。
なお、実施の形態1の冷蔵庫10においては、外箱1が鋼板で構成されているため、この鋼板自体が電磁波シールドとしての機能を有している。このため、冷蔵庫10の内部の電磁波が冷蔵庫10の外部に漏洩することが確実に防止されている。
[発振電極および対向電極の構成]
ユーザが扉29を開成すると、冷凍温度帯に保持された冷凍/解凍室5に外部から高湿度の空気が流入し、冷凍/解凍室5の内部は結露が発生しやすい状態となる。もし発振電極24および対向電極25の表面に結露が生じた場合には、電極間の電界形成が不安定になり、所望の誘電加熱が行われない状態が発生し得る。このような状態となるのを抑制するために、実施の形態1の冷蔵庫10においては、発振電極24および対向電極25を内面部材32で覆うと共に、冷凍/解凍室5への冷気の導入を発振電極24に形成された複数の冷気導入孔20から行うように構成されている。冷凍/解凍室5へ導入される冷気は、冷却室11から冷却ファン13により風路18を通って送られてきた冷気であり、導入時点の冷気は相対的に湿度が低い状態となっている。従って、扉29が開閉されて外部から高湿度の空気が流入しても、低湿度の冷気が天面側の全体に形成された複数の冷気導入孔20から冷凍/解凍室5内に吹き付けられ、冷凍/解凍室5内の空気が背面側の冷気排気孔21から排出されるため、冷凍/解凍室5の内部は結露が生じにくい状態となる。
図5は冷凍/解凍室5の天面側の発振電極24と内面部材32とを上方から見た平面図である。図5に示すように、発振電極24には複数の電極孔41が形成されており、複数の電極孔41は、発振電極24の電極面の全面に分散されている。電極孔41は、発振電極24の電極面において等間隔を有して略均一に配設されている。発振電極24の電極孔41は、発振電極24の下面を覆う内面部材32に形成された冷気導入孔20の位置に対応して設けられている。電極孔41の孔径Dは、内面部材32の冷気導入孔20の孔径dより大きく形成されている(D>d)。
発振電極24の電極面に複数の電極孔41が等間隔で略均一に形成されているため、発振電極24の電極面において電界が強く形成される領域が均一的に分散されることになり、保存物に対する誘電加熱を均一に行うことが可能な構成となる。即ち、電極孔41における開口部分の縁部が電界集中領域となる。なお、図5に示した複数の冷気導入孔20および電極孔41の形状および配置は例示であり、冷気導入孔20および電極孔41の形状および配置は、冷蔵庫の仕様、構成などに応じて、効率、製造コストを考慮して適宜設計される。
図6は、発振電極24に対向して配設された底面側の対向電極25を示す裏面図である。図6は対向電極25を下方から見た図であり、対向電極25の上に冷凍/解凍室5の底面となる内面部材32が配設されている。図6に示すように、対向電極25の電極面においても、発振電極24と同様に、複数の電極孔42が等間隔で略均等に形成されている。ただし、実施の形態1の構成においては、対向電極25の電極孔42が、発振電極24の電極孔41とは対向しない位置に形成されている。即ち、対向電極25の電極孔42の上下方向に延びる中心軸の位置が、発振電極24の電極孔41の上下方向に延びる中心軸の位置からずれており、対向電極25の電極孔42と発振電極24の電極孔41は上下方向(対向方向)で位置ずれしている。
なお、実施の形態1の構成においては、発振電極24の電極孔41の形状および配置としては、複数の電極孔41が等間隔で略均一に配置された構成で説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、例えば、発振電極24に少なくとも1つの開口部分が形成された形状であってもよく、その開口部分の縁部が発振電極24の電極面において、電界が集中する電界集中領域となる。即ち、本発明としては、発振電極24の電極面において、電界集中領域が分散される構成であればよい。また、実施の形態1においては、対向電極25の電極面に複数の電極孔42を設けた構成について説明したが、本発明としては、対向電極25に複数の電極孔42を設けた構成に特定されるものではなく、発振電極24との電極間に所望の電界が形成されるよう形成された開口であればよい。
図7は、実施の形態1における発振電極24の変形例としての一例を示す平面図である。図7の(a)に示す変形例は、発振電極24における電極孔41Aとして1つの開口部分を形成した例を示している。実施の形態1においては、発振電極24に形成される開口部分を電極開口とし、この電極開口には電極孔(41、41A)を含むものとする。図7の(a)に示す電極開口41Aにおいては、円形状の開口41aと、円弧状の開口41bと、それぞれの開口(41a、41b)を連通させる連通開口41cと、を含んで構成されている。このような形状の電極開口41Aとすることにより、発振電極24の電極面において電界が強くなる領域を分散できる構成となる。また、図7の(b)に示す変形例は、発振電極24における電極開口(41B)の変形例を示しており、発振電極24に切欠き部分を形成した電極切欠き部41Bが形成された一例である。図7の(b)に示すように、電極開口として電極切欠き部41Bを形成することにより、発振電極24の電極面において電界が強くなる領域が分散される構成となる。なお、発振電極24の下面を覆う内面部材32に形成された冷気導入孔20は、発振電極24の電極開口(41、41A、41B)に対応した位置に形成されており、風路18からの冷気が冷凍/解凍室5にスムーズに導入されるよう構成されている。
上記のように、実施の形態1における冷凍/解凍室5の天面側においては、冷気が、風路18の下面を構成する発振電極24の開口部分である電極開口(41、41A、41B)を通って冷凍/解凍室5の内部に導入される構成である。従って、冷凍/解凍室5においては、天面側に形成された冷気導入孔20から冷気が吹き付けられる構成であり、冷凍/解凍室5においては均一で急速な冷凍処理を行うことができる。また、発振電極24の電極面においては電界集中領域が分散するように形成されているため、保存物に対する均一な誘電加熱を行うことができ、良好な解凍を行うことができる。
前述の図5および図6に示した構成においては、発振電極24の電極孔41と、対向電極25の電極孔42が上下方向(対向方向)に延びる中心軸が一致しないように形成することにより、発振電極24と対向電極25とにおける電界の集中領域が分散し、発振電極24と対向電極25が対向する貯蔵空間において電界の均一化が図られている。その結果、冷凍/解凍室5の貯蔵空間に配置された保存物は、さらに均一な誘電加熱を行うことができる。
発明者は、実施の形態1の電極構成を有する冷凍/解凍室5と、比較例として、電極孔を有していない対向電極25Xを設けた電極構成を持つ冷凍/解凍室5Xとを用いて、電極間の電界発生のシミュレーションを行った。
図8(a)は、電極孔を有していない対向電極25Xを設けた電極構成を模式的に示す断面図であり、冷凍/解凍室5Xを左右方向で切断した図である。図8(b)は、図8(a)に示した電極構成の電極に対して電界を印加した場合の電界強度をシミュレーションした結果である。図8(b)においては、色の濃い部分は電界が集中している領域である。この電界シミュレーション図から明らかなように、電極の外縁部分は電界が集中しており、特にコーナー部分には電界が集中している。
図9(a)は、実施の形態1の構成を有する冷凍/解凍室5の電極構成を模式的に示す断面図であり、冷凍/解凍室5を左右方向で切断した図である。図9(b)は、図9(a)に示した電極構成の電極に対して電界を印加した場合の電界強度をシミュレーションした結果である。図9(b)においても、図8(b)と同様に、色の濃い部分は電界が集中している領域である。この電界シミュレーション図から明らかなように、図8(b)の電界シミュレーション図に比べて、図9(a)の誘電加熱構成は、電極の全体において電界集中が緩和されており、電界の均一化が図られていることが理解できる。
図9(b)に示すように、発振電極24の電極孔41と対向電極25の電極孔42とを上下方向(対向方向)に延びる中心軸が一致しないように配設することにより、電極の全体において電界集中が緩和されている。なお、発振電極24の電極孔41と対向電極25の電極孔42とを上下方向(対向方向)に延びる中心軸が一致するように配設した電極構成においては、図8に示した電極孔を有していない対向電極25Xを設けて構成に比べて、電界の集中は緩和されており、特にコーナー部分の電界の集中が緩和されていた。
実施の形態1の冷蔵庫10における冷凍/解凍室5においては、図2に示したように、扉29の背面側に収納ケース31が固定された構成である。扉29の開閉動作に伴い、収納ケース31が冷凍/解凍室5の内部を前後に移動する構成である。実施の形態1の構成のおいては、収納ケース31が冷凍/解凍室5の内部をスムーズに移動できるように、冷凍/解凍室5の両側面にはレール52が設けられている(図9参照)。また、このレール52を摺動するフレーム53が収納ケース31の外側の両側面に設けられている。これらのレール52およびフレーム53の摺動部材は、誘電加熱されないように、冷凍/解凍室5の発振電極24と対向電極25との対向する領域である誘電加熱領域から外れた位置に設けられている。
[解凍処理]
実施の形態1の冷蔵庫10において、解凍指令が入力されると、冷凍/解凍室5の発振電極24と対向電極25との間の保存物(冷凍品)に対する解凍処理が行われる。実施の形態1における解凍処理は、後述するように、制御部50が発振回路22および整合回路23を有する誘電加熱機構を制御すると共に、圧縮機9および冷却器12などの冷凍サイクルを含む冷却機構、および冷却ファン13およびダンパー19などを含む冷気導入機構を制御している。
実施の形態1における解凍処理は、発振電極24と対向電極25との間に所定の高周波電圧を印加して、電極間の高周波電界により誘電体である冷凍品を誘電加熱している。この誘電加熱中において、ダンパー19の開閉制御を行って間欠的に冷気導入が行われている。図10は、解凍処理における誘電加熱機構(発振回路22)および冷気導入機構(ダンパー19)の制御信号の波形を示すと共に、そのときの食品温度、冷凍/解凍室5の室温、および冷凍/解凍室5の湿度を示している。
解凍処理のための周波数の特性としてVHF波を用いた構成は、マイクロ波を用いた構成よりも「部分煮え」が起こりにくい構成となるが、更に解凍均一性をよくするために、実施の形態1の冷蔵庫10においては、間隔規定部33を設けて、実質的に平面板状部材である発振電極24と対向電極25とを、所定間隔(第1の間隔)を有して略平行に確実に保持する構成である。
図10に示すように、解凍処理においては、解凍指令が入力されると(解凍開始)、発振回路がオン状態となり、例えば40MHzの高周波電圧が発振電極24と対向電極25との間に印加される。このとき、ダンパー19は開成状態であるため、冷凍/解凍室5の室温は冷凍温度t1(例えば-20℃)に維持されている。解凍開始から所定期間経過後にダンパー19が閉成される。ダンパー19が閉成されると、冷凍/解凍室5の室温が上昇し始める。実施の形態1における解凍処理においては、誘電加熱を行うと共にダンパー19の開閉制御を行うことにより、冷凍品の表面温度の上昇を抑制して、所謂「部分煮え」が生じない解凍を行っている。ダンパー19の開閉制御は、整合回路23で整合されて発振電極24と対向電極25との間に供給された電磁波に対する、反射波検出部51で検出された反射波の割合(反射率)に基づいて、制御部50が行っている。制御部50は、反射率が予め設定された閾値に達して、反射率が大きくなったとき、ダンパー19を開成して冷凍/解凍室5の庫内温度を低下させる。このように、ダンパー19の開閉制御により、冷凍/解凍室5に間欠的に冷気が導入されるため、冷凍/解凍室5の貯蔵空間(解凍空間)の保存物は所望の冷凍状態を維持しつつ誘電加熱されて、所望の解凍状態となる。
所望の解凍状態に達したときに解凍処理は完了となるが、解凍処理が完了となる所望の解凍状態を検知するために、実施の形態1の解凍処理においては、反射率が用いられている。誘電加熱を行うことにより保存物の融解が進むと、保存物中の融解した水分子が増加していく。保存物中の融解した水分子が増加するに連れて誘電率が変化してインピーダンスの整合状態がずれていく。その結果、出力された電磁波に対する反射波の割合である反射率が大きくなる。解凍処理においては、反射率が大きくなり、予め設定した閾値に達すると、整合回路23がインピーダンス整合を実行して、反射率を低下させている。
実施の形態1の解凍処理における解凍完了の検知は、整合回路23によるインピーダンス整合を実行した後の反射率が解凍完了の閾値を越えたときとしている。解凍完了の閾値は、保存物の融解が所望の解凍状態に到達したことを検知するものである。ここで、保存物の融解が所望の解凍状態とは、女性が保存物を片手で切ることが可能であり、かつ、保存物からのドリップ量がごく少量の状態である。解凍完了の閾値は、予め実験により求められる値である。
なお、図10に示すように、ダンパー19が開閉制御されることにより、風路18を通った相対的に湿度の低い冷気が冷気導入孔20から冷凍/解凍室5に供給されるため、冷凍/解凍室5の湿度が100%となることがなく、冷凍/解凍室5内の結露発生が防止されている。
[解凍処理完了後の制御]
図11は、冷凍/解凍室5において解凍処理が完了した後の制御を示すフローチャートである。図11のフローチャートに示す各ステップは、制御部50のCPUがROM等のメモリに格納された制御プログラムを実行することによって行われる。前述のように、解凍処理において整合回路23によるインピーダンス整合を実行した後の反射率が解凍完了の閾値を越えたとき、図11に示す解凍処理完了後の制御が行われる。
図11のステップ101に示すように、解凍処理が完了した後には、冷凍/解凍室5の室温を所謂、微凍結温度帯、例えば約-1°~-3℃に維持する。このように冷凍/解凍室5が微凍結温度帯に維持されることにより、保存物が所望の解凍状態に維持される。冷凍/解凍室5が微凍結温度に維持されている状態においては、冷凍/解凍室5の保存物の有無が常に検知される(ステップ102)。冷凍/解凍室5における保存物の有無の検知は、常時検出される反射率が用いられる。このため、整合回路23は常に断続運転されており、低出力の電磁波が発振電極24から断続的に出力されている。制御部50は、反射率と予め設定された保存物有無の閾値とを比較して、冷凍/解凍室5の保存物の有無を判断する。
ステップ102において、冷凍/解凍室5に保存物が存在していないことを検知したときは、所望の解凍状態の保存物が取り出されたと判断して、冷凍/解凍室5の室温を冷凍温度帯、例えば-18℃~-20℃とする(ステップ105)。
ステップ102において、冷凍/解凍室5に保存物が存在していることを検知したときには、存在している保存物が新たな非凍結品(例えば、常温の食材)を含むか否かが判断される。冷凍/解凍室5に新たな非凍結品が含まれるか否かは、反射率の変化により判断される。ステップ103において、冷凍/解凍室5に新たな非凍結品が投入されたと判断されたときには、冷凍/解凍室5の室温を冷凍温度帯とする(ステップ105)。
一方、ステップ103において、冷凍/解凍室5には新たな非凍結品が収納されておらず、解凍状態の保存物が保持されたままの状態であると判断したときには、解凍完了後の時間が所定時間を越えているか否かが判断される(ステップ104)。保存物に対する解凍処理が完了しても、ユーザが当該保存物を冷凍/解凍室5からすぐに取り出さない場合がある。そのような場合において、実施の形態1の冷蔵庫10は、冷凍/解凍室5の保存物に対して所望の解凍状態を維持できる微凍結温度帯が所定時間だけ維持される構成である。この所定時間を越えて保存物が収納されている場合には、当該保存物における鮮度を維持するために、実施の形態1の冷蔵庫10においては冷凍/解凍室5の室温を凍結温度帯に移行する制御を行っている。ステップ104においては、解凍状態の保存物が収納されたまま解凍完了後の時間が所定時間を越えていると判断した場合には、ステップ105に移行して冷凍/解凍室5の室温を冷凍温度帯とする凍結処理が行われる。
上記のように、実施の形態1の冷蔵庫10においては、解凍処理が完了した後の冷凍/解凍室5では所望の解凍状態の保存物を鮮度が維持できる所定時間保持することができ、冷凍/解凍室5の内部の保存物に対する適切な温度管理を行うことができる。
[冷凍/解凍室の冷凍保存動作]
実施の形態1の冷蔵庫10は、冷凍/解凍室5の室温を冷凍温度帯に維持している冷凍処理において、保存物である食品を所望の状態で冷凍保存するように誘電加熱を行うように構成されている。一般的に、食品を冷凍した場合には、冷凍/解凍室5の庫内の水分や、食品内部の水分により食品包材の内面には着霜現象が現れる。このような着霜現象が食品表面に現れると、食品が乾燥して、食感がパサパサとなり、食品として美味しく新鮮な状態ではなくなる(「冷凍焼け」)。このような状態を防止するために、実施の形態1の冷蔵庫10においては、冷却動作と共に誘電加熱動作を同時に行っている。
図12は、冷却動作中の各要素の状態を示す波形図である。図12(a)は従来の冷蔵庫における冷凍保存中の冷却動作を示す波形図であり、図12(b)は実施の形態1の冷蔵庫10における冷凍/解凍室5で実行される冷却動作を示す波形図である。
図12(a)において、(1)は冷却動作のON/OFFを示す波形図である。冷却動作のON/OFFとは、例えばダンパーの開閉や、コンプレッサーのON(オン)、OFF(オフ)の動作などに相当する。ON(オン)は冷気が冷凍室に導入される状態を示し、OFF(オフ)はダンパーが閉成されて、冷凍室への冷気の導入が遮断されている状態を示す。従って、図12(a)の(2)の波形図に示すように、冷凍室内の食品の温度は、予め設定した冷凍温度(例えば、-20℃)T1を中心として上下に大きく振れることになる。この結果、冷凍室内の食品表面において水分の蒸発と着霜が繰り返されることになり、好ましい食品の冷凍状態とならない場合が発生する。
一方、実施の形態1の冷却動作を示す図12(b)においては、従来の冷却動作と異なって食品に対する冷却を行うと共に誘電加熱を行っている。図12(b)の(1)がダンパー19の開閉動作を示す波形図であり、ON(オン)はダンパー19の開成状態を示しており、冷気が風路18を通り冷気導入孔20から冷凍/解凍室5に導入されている。OFF(オフ)はダンパー19の閉成状態を示しており、冷凍/解凍室5への冷気の導入が遮断されている。実施の形態1の冷却動作における冷気導入は、誘電加熱と同時に行うため、冷気の導入時間が従来例に比べて長く設定されており、即ち冷却能力を上昇させている。
図12(b)の(2)は、発振回路22が駆動制御されて誘電加熱の動作状態を示す波形図である。ダンパー19の開成状態のとき、同時に誘電加熱が行われている。実施の形態1における冷却動作においては、解凍動作に比べて遙かに小さい出力で誘電加熱が行われる。この結果、図12(b)の(3)に示すように、冷凍/解凍室5内の食品温度は、予め設定した冷凍温度(例えば、-20℃)T1に維持されて、食品温度の変動が抑制されている。
実験によれば、食品温度の変動が約0.1K以下であれば、着霜の発生を無くすことができた。少なくとも食品温度の変動を少なくすればするほど着霜の発生を抑制することができる。また、食品内部においては、誘電加熱を行うことにより、氷結晶の伸長を抑制する効果がある。誘電加熱を行った場合には、食品内に生じた氷結晶の先端部に電界が集まりやすいため、冷凍/解凍室5内の温度が最大氷結晶生成帯以下であっても氷結晶は緩やかにしか伸長しない。
上記のように、実施の形態1の冷蔵庫10においては、冷凍保存中の冷却動作中においても誘電加熱動作を行っているため、保存物である冷凍品を所望の状態で冷凍保存することが可能となる。
[凍結処理]
実施の形態1の冷蔵庫10においては、操作部47からのユーザの指令に基づいて冷凍/解凍室5内の庫内に新たに投入された非凍結食品に対して凍結処理を行うことが可能である。図13は、凍結処理である急冷動作における各要素の状態を示す波形図である。図13において、(a)は冷凍/解凍室5内に保存物(食品)が存在するか否かを示すグラフである。冷凍/解凍室5内に保存物が存在するか否か判断は、反射波検出部51において検出された反射波と、出力された電磁波との割合(反射率)に基づいて制御部50において判断される。図13の(b)は制御部50が整合回路23および反射波検出部51からの情報を断続的に取得していることを示している。図13の(c)は、反射率の推移の一例を示すグラフである。制御部50は反射率が第1閾値R1以下となった場合に保存物である食品が冷凍/解凍室5内に投入されたと判断する。
冷凍/解凍室5内に収納された食品に対する急冷動作においては、冷却機構の圧縮機9および冷却ファン13の回転数を上昇させて、冷却能力を高めて強制連続運転を行っている。また、冷凍/解凍室5に通じる風路18のダンパー19が強制的に連続開成状態で駆動されて、冷気が導入されるように冷気導入機構が駆動制御されている(図13(d)の波形図参照)。
急冷動作においては、食品温度が最大氷結晶生成帯(約-1℃~約-5℃)のときの氷結晶の伸長を抑制するために、誘電加熱動作を行っている。このときの誘電加熱動作は、約1W~約10Wの低出力であり、断続的に誘電加熱している(図13(e)における期間H)。誘電加熱動作を開始するために、食品温度が最大氷結晶生成帯に入ったことの検知は、食品の潜熱領域通過時に反射率の変化が増大することにより検知される。実施の形態1においては、検知された反射率が予め設定された第2閾値R2に入ったとき、誘電加熱動作を開始させる(図13(e)参照)。なお、反射率が第2閾値R2から第3閾値R3までの領域は、当該食品の最大氷結晶生成帯であるとして誘電加熱動作を継続し、反射率が第3閾値R3に入ってから所定時間(t2)が経過したときに当該食品が最大氷結晶生成帯を通過したと判断して、誘電加熱動作を停止する。
上記のように、当該食品が最大氷結晶生成帯を通過したと判断したとき、誘電加熱動作を停止すると共に、急冷動作を終了して通常の冷却動作に移行する。このように、急冷動作を行う場合にも誘電加熱動作を所望の期間行うことにより、食品を好ましい冷凍状態とすることができる。
以上のように、実施の形態1の冷蔵庫の冷凍/解凍室5においては、所望の状態で凍結および冷凍保存することができると共に、所望の状態の冷凍品を短時間で所望の状態に解凍することができるという優れた効果を奏しており、半導体素子で構成された誘電加熱機構を用いることにより解凍機能を有する冷蔵庫として小型化を図ることができる構成となる。
なお、実施の形態1の冷蔵庫においては、冷凍/解凍室5として冷凍機能と解凍機能とを有する構成で説明したが、解凍機能のみの解凍室5を設けた構成であってもよい。
(実施の形態2)
以下、本発明に係る実施の形態2の冷蔵庫を添付の図面を参照しながら説明する。実施の形態2の冷蔵庫において、前述の実施の形態1の冷蔵庫10との違いは、冷凍/解凍室における電極保持機構および電磁波シールド機構の構成である。その他の構成は、実施の形態1の冷蔵庫10と同じである。実施の形態2における電極保持機構は、実施の形態1における保持機構の変形例であり、同様の効果を奏するものである。従って、実施の形態2の冷蔵庫においては、実施の形態1との相違点を中心に説明する。なお、実施の形態2の説明において、実施の形態1と同様の作用、構成、および機能を有する要素には同じ参照符号を付し、重複する記載を避けるため説明を省略する場合がある。
図14は、実施の形態2の冷蔵庫10Aにおける冷凍/解凍室5Aを示す縦断面図である。冷凍/解凍室5Aは、実施の形態1における冷凍/解凍室5と同様に、冷凍/解凍室5A内に収納された食品等の保存物を冷凍温度帯で保持する冷凍室であると共に、冷蔵庫10Aにおいて当該保存物に対する解凍指令が入力されたときには、誘電加熱により解凍処理を行う解凍室となる。
従って、実施の形態2の冷蔵庫10Aにおいても、実施の形態1における冷蔵庫10と同様に、複数の貯蔵室を備え、冷却室11、冷却器12、および冷却ファン13など構成された冷却機構、および風路18、ダンパー19、冷気導入孔20、および冷気排気孔21などで構成された冷気導入機構が設けられている。また、冷凍/解凍室5Aにおいて保存物に対して誘電加熱するための誘電加熱機構を構成する電源部48、発振回路22、反射波検出部51、整合回路23、発振電極24、対向電極25、制御部50などが設けられている。
図14に示すように、実施の形態2における冷凍/解凍室5Aの正面側開口の縁には樹脂材で形成された保護枠43が設けられている。保護枠43は、冷凍/解凍室5Aの正面側開口の縁を規定するものであり、予め設定された寸法の枠材で構成された枠部である。実施の形態2の冷蔵庫10Aにおいては、外箱1と内箱2との間の空間に断熱材40が充填発泡されて断熱箱体が構成されているため、断熱箱体において各貯蔵室が形成される正面側の開口部分の形状は精度高く形成されていない。このため、誘電加熱機構における発振電極24と対向電極25とを内箱2に直付けする構成では、発振電極24と対向電極25とを略平行に確実に保持することが困難である。このため、前述の実施の形態1における冷凍/解凍室5の構成においては、冷蔵庫10の本体である外箱1の鋼板に接合された正面側のクロスレール35を用いる構成とした。一方、実施の形態2における冷凍/解凍室5Aの構成においては、外箱1に固定され、寸法精度の高い保護枠43が用いられている。
図15は、保護枠43を示す図であり、(a)が正面側から見た斜視図であり、(b)が一部を拡大して示す断面図である。図15に示すように、保護枠43は略四角形状の枠部であり、保護枠43の上辺背面側の枠材43aの両側近傍には保持部材である第1保持爪44が設けられている。第1保持爪44は、誘電加熱機構において天井側にある発振電極24の正面側端部と係合して、発振電極24を保持するものである。また、保護枠43の下辺背面側の枠材43bの両側近傍には保持部材である第2保持爪45が設けられている。第2保持爪45は、誘電加熱機構において底面側にある対向電極25の正面側端部と係合して、対向電極25を保持するものである。
上記のように、発振電極24の正面側端部が保護枠43の一辺を構成する枠材43aに設けられた2つの第1保持爪44、44により確実に保持され、対向電極25の正面側端部が保護枠43の対向する一辺を構成する枠材43bに設けられた2つの第2保持爪45、45により確実に保持される。保護枠43は所定寸法の四角形状を有しており、保護枠43の上辺背面側の枠材43aと、保護枠43の下辺背面側の枠材43bは、略平行に配設されている。この結果、発振電極24の正面側端部と対向電極25の正面側端部は、確実に保持され、発振電極24と対向電極25が所定間隔である第1の間隔を有して配設できる構成となる。
一方、発振電極24の背面側端部および対向電極25の背面側端部は、前述の実施の形態1において図4を用いて説明したように、所定間隔(第1の間隔)を有して間隔規定部33により保持されている。この結果、実施の形態2における誘電加熱機構は、平板状の発振電極24と対向電極25とが略平行に対向して配設されているため、冷凍/解凍室5Aの内部空間である解凍空間において一方に電界が偏ることがなく、電界の均一化が図られている。即ち、実施の形態2における冷凍/解凍室5Aにおいては、解凍空間に保持された保存物に対する解凍処理および冷凍処理における誘電加熱を均一に行うことが可能な構成となる。
上記のように、冷凍/解凍室5Aにおいて発振電極24と対向電極25との間の高周波電界の雰囲気に保存物を配置して誘電加熱する構成であるため、実施の形態2の冷蔵庫10Aにおいても実施の形態1の構成と同様に、冷凍/解凍室5Aを取り巻くように電磁波シールド機構が設けられている。
実施の形態2の冷蔵庫10Aにおいては、実施の形態1と同様に、冷凍/解凍室5Aの天面側の風路18の上部には天面側電磁波シールド26が配設されている。冷凍/解凍室5Aの背面側に設けられた整合回路23などを有する電極保持領域30を覆うように背面側電磁波シールド27が配設されており、冷凍/解凍室5Aの側面側にも電磁波シールドが配設されている。
また、冷凍/解凍室5Aの正面側開口を開閉する扉29には扉側電磁波シールド39が設けられている。扉29に設けた電磁波シールド39を冷蔵庫10Aの本体の接地部分との間を電気的に接続するために、冷蔵庫10Aの本体の正面側には正面側電磁波シールド46が設けられている。
実施の形態2においては、扉29を閉じたときの扉側電磁波シールド39と本体側の正面側電磁波シールド46との間隔が、電磁波の波長の1/4よりも短く設定されている(近接した間隔に設定されている)。例えば、扉29を閉じたときの扉側電磁波シールド39と正面側電磁波シールド46との間隔を30mm以内に設定されている。外箱1に接続された正面側電磁波シールド46は接地されているため、扉29が閉じられた状態において、扉側電磁波シールド39を正面側電磁波シールド46に近接させることにより、扉側電磁波シールド39が実質的に電気的に接地された状態となる。また、扉側電磁波シールド39の端部が冷蔵庫10Aの本体側に屈曲した形状とすることにより、扉側電磁波シールド39を正面側電磁波シールド46に近接させることが容易な構成となる。
なお、実施の形態2の冷蔵庫10Aにおいても、外箱1が鋼板で構成されているため、この鋼板自体が電磁波シールドとしての機能を有している。
上記のように、実施の形態2の冷蔵庫10Aにおいては、前述の実施の形態1における効果と同様の効果を奏する構成であり、発振電極24と対向電極25とが略平行に対向して配設されているため、冷凍/解凍室5Aの解凍空間において電界の均一化が図られ、解凍空間に保持された保存物に対する解凍処理および冷凍処理における誘電加熱を均一に行うことができる。
以上のように、本発明の冷蔵庫においては、所望の状態で冷凍保存することができると共に、所望の状態の冷凍品を短時間で所望の状態に解凍することができるという優れた効果を奏しており、半導体素子で構成された誘電加熱機構を用いることにより解凍機能を有する冷蔵庫として小型化を図ることができる構成となる。
本発明をある程度の詳細さをもって各実施の形態において説明したが、これらの実施の形態の開示内容は構成の細部において変化してしかるべきものであり、各実施の形態における要素の置換、組合せ、および順序の変更は請求された本発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。