実施例に係るヒートポンプシステムについて図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施例に係るヒートポンプシステム2は、タンク10と、タンク水循環路20と、水道水導入路30と、供給路40と、ヒートポンプ50と、燃焼装置60と、コントローラ100(制御部の一例)とを備える。
ヒートポンプ50は、自然環境である外気から吸熱して、タンク水循環路20内の水を加熱する熱源である。ヒートポンプ50は、図示しないが、冷媒(代替フロン、例えばR410A等)を循環させる冷媒循環路と、外気と冷媒との間で熱交換を行う蒸発器と、冷媒を圧縮して高温高圧にする圧縮器と、タンク水循環路20内の水と高温高圧の冷媒との間で熱交換を行う凝縮器と、熱交換を終えた後の冷媒を減圧させて低温低圧にする膨張弁と、を備えている。また、ヒートポンプ50には、外気温を測定する外気温センサ52が備えられている。
タンク10は、ヒートポンプ50によって加熱された水を貯える。タンク10は、密閉型であり、断熱材によって外側が覆われている。タンク10内には満水まで水が貯えられている。本実施例では、タンク10の容量は100Lである。タンク10には、サーミスタ12、14、16、17、18がタンク10の高さ方向に所定間隔で取り付けられている。各サーミスタ12、14、16、17、18は、その取付位置の水の温度を測定する。例えば、各サーミスタ12、14、16、17、18は、それぞれ、タンク10の上部から6L、12L、30L、50L、70Lの位置の水の温度を測定する。
タンク水循環路20は、上流端がタンク10の下部に接続されており、下流端がタンク10の上部に接続されている。タンク水循環路20には、循環ポンプ22が介装されている。循環ポンプ22は、タンク水循環路20内の水を上流側から下流側へ送り出す。また、タンク水循環路20は、ヒートポンプ50の凝縮器を通過している。そのため、ヒートポンプ50を作動させると、タンク水循環路20内の水がヒートポンプ50の凝縮器で加熱される。従って、循環ポンプ22とヒートポンプ50とを作動させると、タンク10の下部の水がヒートポンプ50で加熱され、加熱された水がタンク10の上部に戻される。即ち、タンク水循環路20は、タンク10に蓄熱するための水路である。また、タンク水循環路20のヒートポンプ50の上流側には、サーミスタ24が介装されている。サーミスタ24は、タンク10の下部から導出され、ヒートポンプ50を通過する前の水の温度を測定する。サーミスタ24は、循環ポンプ22よりもヒートポンプ50に近い位置のタンク水循環路20に設けられていてもよいし、循環ポンプ22よりもタンク10に近い位置のタンク水循環路20に設けられていてもよい。
水道水導入路30は、上流端が水道水供給源31に接続されている。水道水導入路30には、サーミスタ32が介装されている。サーミスタ32は、給水温度を測定する。水道水導入路30の下流側は、第1導入路30aと第2導入路30bに分岐している。第1導入路30aの下流端は、タンク10の下部に接続されている。第2導入路30bの下流端は、供給路40の途中に接続されている。第2導入路30bの下流端と供給路40との接続部分には、混合弁42が設けられている。混合弁42は、供給路40内を流れる水に、第2導入路30b内の水を混合させる量を調整する。
供給路40は、上流端がタンク10の上部に接続されている。第2導入路30bとの接続部より下流側の供給路40には、燃焼装置60(補助熱源機の一例)が介装されている。また、燃焼装置60より下流側の供給路40には、サーミスタ44が介装されている。サーミスタ44は、供給される水の温度を測定する。燃焼装置60は、燃料ガスの燃焼によって水を加熱する。燃焼装置60は、サーミスタ44が測定する水の温度が、給湯設定温度と一致するように、供給路40内の水を加熱する。供給路40の下流端は、温水利用箇所(例えば台所、浴槽等)に接続されている。
コントローラ100は、各構成要素と電気的に接続されており、各構成要素の動作を制御する。
次に、ヒートポンプシステム2の動作について説明する。ヒートポンプシステム2は、沸き上げ運転及び給湯運転を実行することができる。
(沸き上げ運転)
沸き上げ運転は、ヒートポンプ50によって、タンク10内の水を加熱する運転である。コントローラ100によって沸き上げ運転の実行が指示されると、ヒートポンプ50が作動するとともに、循環ポンプ22が作動する。循環ポンプ22が作動すると、タンク水循環路20内をタンク10内の水が循環する。即ち、タンク10の下部に存在する水がタンク水循環路20内に導入され、導入された水がヒートポンプ50内の凝縮器を通過する際に、冷媒の熱によって加熱され、加熱された水がタンク10の上部に戻される。これにより、タンク10に高温の水が貯えられる。タンク10の内部には、低温の水の層の上に高温の水の層が積層された、温度成層が形成される。タンク10内の水の熱量が満蓄(所定の基準熱量の一例)になると沸き上げ運転が終了する。具体的には、タンク水循環路20に取り付けられているサーミスタ24の測定温度が所定の温度(例えば、沸き上げ設定温度−5℃)以上である場合には、タンク10内の水の熱量が満蓄であるとみなすことができる。そこで、サーミスタ24の測定温度が沸き上げ温度−5℃以上になると、コントローラ100が、ヒートポンプ50と循環ポンプ22を停止して沸き上げ運転を終了する。
(沸き上げ運転のモード)
ヒートポンプシステム2は、通常モードの沸き上げ運転、抑制モードの沸き上げ運転、及び、段階モードの沸き上げ運転を実行可能に構成されている。抑制モードの沸き上げ運転は、通常モードの沸き上げ運転よりもヒートポンプ50の消費電力が抑制されている運転である。抑制モードの沸き上げ運転では、通常モードよりもヒートポンプ50の動作が抑制される。そのため、抑制モードでは、ヒートポンプ50の加熱能力が低下して、タンク10内の水の熱量が満蓄になるまでの時間が通常モードよりも長くなる。抑制モードは、例えば、外気温センサ52によって測定される外気温度が所定の基準温度未満である場合に設定される。或いは、抑制モードは、タンク10が設置されているユニットの消費電力が大きく、そのためにヒートポンプ50の消費電力を小さくする必要がある場合に設定される。
段階モードの沸き上げ運転は、タンク10内の水をヒートポンプ50によって中間目標温度まで加熱し、その後に、タンク10内の水をヒートポンプ50によって最終目標温度まで加熱する運転である。最終目標温度と中間目標温度は、例えば、タンク10に取り付けられているサーミスタ12によって測定される。最終目標温度は、中間目標温度よりも高い温度である。最終目標温度は、例えば、ユーザによって設定される沸き上げ設定温度である。中間目標温度は、例えば、沸き上げ設定温度−10℃である。段階モードの沸き上げ運転では、例えばタンク10内の水を2段階で加熱する。具体的には、第1段階としてタンク10内の水の温度が中間目標温度(例えば、沸き上げ設定温度−10℃)になるまでタンク10内の水を加熱し、その後に、第2段階としてタンク10内の水の温度が最終目標温度(例えば、沸き上げ温度)になるまでタンク10内の水を加熱する。そのため、段階モードでは、ヒートポンプ50の加熱能力が低下して、タンク10内の水の熱量が満蓄になるまでの時間が抑制モードよりも長くなる。段階モードは、例えば、外気温センサ52によって測定される外気温度が所定の基準温度(例えば3℃)未満である場合に設定される。段階モードが設定される場合の基準温度は、抑制モードが設定される場合の基準温度よりも低い。段階モードは、外気温度が著しく低い場合に設定される。なお、他の実施例では、段階モードの沸き上げ運転において、タンク10内の水を3段階以上で加熱してもよい。この場合は、中間目標温度の数が2個以上になる。
また、ヒートポンプシステム2は、禁止モードが設定可能に構成されている。禁止モードでは、沸き上げ運転が禁止されて実行されない。禁止モードは、例えば、外気温センサ52によって測定される外気温度が所定の基準温度(例えば3℃)未満である場合に設定される。禁止モードが設定される場合の基準温度は、抑制モードが設定される場合の基準温度よりも低い。禁止モードが設定される場合の基準温度は、段階モードが設定される場合の基準温度と同じであってもよい。禁止モードでは、外気温度が著しく低い場合に設定される。
また、ヒートポンプシステム2では、沸き上げ運転の実行中に、その沸き上げ運転が禁止されることがある。例えば、沸き上げ運転の実行中に、外気温センサ52によって測定される外気温度が所定の基準温度(例えば3℃)未満になると、実行中の沸き上げ運転が禁止される。実行中の沸き上げ運転が禁止される場合の基準温度は、抑制モードが設定される場合の基準温度よりも低い。外気温度が著しく低い場合に実行中の沸き上げ運転が禁止される。
(給湯運転)
給湯運転は、給湯設定温度の水を温水利用箇所に供給する運転である。給湯運転は、上記の沸き上げ運転中にも実行することができる。例えば温水利用箇所で給湯栓が開かれると、水道水供給源31からの水圧によって、水道水導入路30(第1導入路30a)からタンク10の下部に水道水が流入する。同時に、タンク10上部の水が、供給路40を介して温水利用箇所に供給される。
コントローラ100は、タンク10から供給路40に供給される水の温度(即ち、サーミスタ12の測定温度)が、給湯設定温度より高い場合には、混合弁42を開いて第2導入路30bから供給路40に水道水を導入する。従って、タンク10から供給された高温の水と第2導入路30bから供給された低温の水道水とが、供給路40内で混合される。コントローラ100は、温水利用箇所に供給される水の温度が、給湯設定温度と一致するように、混合弁42の開度を調整する。一方、コントローラ100は、タンク10から供給路40に供給される水の温度が、給湯設定温度より低い場合には、燃焼装置60を作動させる。従って、供給路40を通過する水が燃焼装置60によって加熱される。コントローラ100は、温水利用箇所に供給される水の温度が、給湯設定温度と一致するように、燃焼装置60の出力を制御する。
続いて、実施例に係る特定の世帯の生活サイクルを24時間(1日)単位で見る場合における、給湯の傾向を説明する。図2Aは、ある1日の間に、特定の世帯で給湯が行われる時間帯を模式的に示す図である。なお、本実施例は、コントローラ100は、2:00を始点とする24時間を、1日を特定するための単位時間としている。
本実施例では、コントローラ100は、特定の世帯において、給湯や浴槽への湯張りが行われる度に、給湯が開始された時刻と、浴槽への湯張りが開始された時刻と、給湯が終了した時刻と、を示す時刻情報を記憶する。コントローラ100は、1日分の時刻情報を特定の世帯の1日分の運転履歴として記憶する。本実施例では、コントローラ100は、特定の世帯の過去7日分の運転履歴を記憶する。そのため、コントローラ100は、24時間毎(時刻が2:00になる毎)に8日前の運転履歴を消去して、前日の運転履歴を新たに記憶する。
次に、コントローラ100は、過去7日分の運転履歴から、過去7日間において、最初の給湯が開始された時刻のうち、最も早い時刻を特定する。以下では、この所定の予定時刻を「給湯開始時刻(S1)」と呼ぶ。例えば、コントローラ100は、6:00をS1として特定する(図2A参照)。
また、コントローラ100は、過去7日分の運転履歴から、過去7日間において、湯張りが開始された時刻のうち、最も早い時刻を特定する。以下では、この所定の予定時刻を「湯張り開始時刻(B1)」と呼ぶ。例えば、コントローラ100は、20:00をB1として特定する(図2A参照)。
更に、コントローラ100は、過去7日分の運転履歴から、過去7日間において、最後の給湯が終了した時刻のうち、最も遅い時刻を特定する。以下では、この所定の予定時刻を「給湯終了時刻(G1)」と呼ぶ。例えば、コントローラ100は、0:00をG1として特定する(図2A参照)。
次に、朝の沸き上げ運転の場合の沸き上げ運転が開始される時刻について説明する。実施例に係るヒートポンプシステム2では、図2Bに示すように、1日のうちの所定の予定時刻S1より前の開始時刻S0に沸き上げ運転が開始される。所定の予定時刻S1は、タンク10内の水の熱量が満蓄になることが予定されている時刻である。
沸き上げ運転が開始される開始時刻S0は、後述するS0設定処理において決定される。実施例に係るヒートポンプシステム2では、S1−αが開始時刻S0になる場合、S1−α−α1が開始時刻S0になる場合、及び、S1−α−α2が開始時刻S0になる場合がある。α、α1及びα2は、開始時刻S0を決定するための時間である。αは第1の所定時間の一例であり、α1は第2の所定時間の一例であり、α2は第3の所定時間の一例である。また、S1−αは第1の時刻の一例であり、S1−α−α1は第1の時刻の一例であり、S1−α−α2は第3の時刻の一例である。α、α1及びα2は、外気温度や給水温度に基づいて設定される。α、α1及びα2の設定については後述する。
また、実施例に係るヒートポンプシステム2では、開始時刻S0に沸き上げ運転が開始された場合に、予定時刻S1までにタンク10内の水の熱量が満蓄にならないことがある。或いは、開始時刻S0に沸き上げ運転が開始された場合に、予定時刻S1よりも前の時刻S2にタンク10内の水の熱量が満蓄になることがある。以下では、予定時刻S1よりも前にタンク10内の水の熱量が満蓄になる時刻S2を満蓄時刻ということがある。
(第1実施例)
ヒートポンプシステム2で実行される第1実施例について説明する。図3は、実施例に係る運転許可・禁止処理のフローチャートである。運転許可・禁止処理は、24時間常に実行される。図3に示すように、運転許可・禁止処理のS10では、コントローラ100が、現在時刻が2:00であるか否かを判断する(図3参照)。現在時刻が2:00である場合は、コントローラ100がYESと判断してS11に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS13に進む。
上記のS10でYESの後のS11では、コントローラ100が、S1、B1及びG1を設定する。S1、B1及びG1の設定方法については上述したので詳細な説明を省略する(図2A参照)。
続くS12では、コントローラ100が、加算時間繰越し処理を実行する。加算時間繰越し処理については後述する(図11参照)。
上記のS10及びS12に続くS13では、コントローラ100が、現在時刻がG1以後であるか否かを判断する。現在時刻がG1以後である場合は、コントローラ100がYESと判断してS10に戻る。
S13でNOの後のS14では、コントローラ100が、S0を設定する(図2A、2B参照)。S0は、朝の給湯のための沸き上げ開始時刻である。S0は、S1、α、α1、α2に基づいて設定される。S0設定処理については後述する(図4参照)。
続くS15では、コントローラ100が、B0を設定する(図2A参照)。B0は、湯張りのための沸き上げ開始時刻である。B0は、B1、β、β1、β2に基づいて設定される。B0を設定するためのB1、β、β1、β2は、S0を設定するためのS1、α、α1、α2に対応する。B0設定処理については、S0設定処理と同様なので詳細な説明を省略する。
続くS16では、コントローラ100が、G0を設定する(図2A参照)。G0は、ヒートポンプ50の停止時刻である。G0は、G1よりもγ(例えば、50分)だけ前の時刻である。γは、サーミスタ32によって測定される給水温度が高いほど長い時間である。G0設定処理については詳細な説明を省略する。
続くS17では、コントローラ100が、現在時刻がG0よりも前であるか否かを判断する。現在時刻がG0よりも前である場合は、コントローラ100がYESと判断してS18に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS23に進む。
続くS18では、コントローラ100が、現在時刻がB0以後であるか否かを判断する。現在時刻がB0以後でない場合は、コントローラ100がNOと判断してS19に進む。現在時刻がB0以後である場合は、コントローラ100がYESと判断してS24に進む。
続くS19では、コントローラ100が、現在時刻がS0以後であるか否かを判断する。現在時刻がS0以後である場合は、コントローラ100がYESと判断してS20に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS10に戻る。
S19でYESの後のS20では、コントローラ100が、給湯沸き上げ処理を実行する。給湯沸き上げ処理については後述する(図8参照)。
続くS21では、コントローラ100が、現在時刻がS1よりも後であるか否かを判断する。現在時刻がS1よりも後である場合は、コントローラ100がYESと判断してS10に戻る。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS22に進む。
S21でNOの後のS22では、コントローラ100が、S1満蓄判定処理を実行する。S1満蓄判定処理については後述する(図10A、B参照)。コントローラ100は、S22でS1満蓄判定処理を実行した後は、S10に戻る。
次に、上記のS17でNOの後の処理について説明する。S17でNOの後のS23では、コントローラ100が、ヒートポンプ50による沸き上げ運転を停止する。コントローラ100は、S22で沸き上げ運転を停止した後は、S10に戻る。
次に、上記のS18でYESの後の処理について説明する。S18でYESの後のS24では、コントローラ100が、湯張り沸き上げ処理を実行する。S24の湯張り沸き上げ処理は、S20の給湯沸き上げ処理と同様の処理である。よって、詳細な説明は省略する。
続くS25では、コントローラ100が、現在時刻がB1よりも後であるか否かを判断する。現在時刻がB1よりも後である場合は、コントローラ100がYESと判断してS10に戻る。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS26に進む。
S25でNOの後のS26では、コントローラ100が、B1満蓄判定処理を実行する。S26のB1満蓄判定処理は、S22のS1満蓄判定処理と同様の処理である。よって、詳細な説明は省略する。コントローラ100は、S26でB1満蓄判定処理を実行した後は、S10に戻る。
次に、上記のS14のS0設定処理について説明する。図4は、実施例に係るS0設定処理のフローチャートである。図4に示すように、S0設定処理のS30では、コントローラ100が、α(図2B参照)を設定する。コントローラ100は、外気温度及び給水温度に基づいてαを設定する。図5は、実施例に係るα設定処理のフローチャートである。図5に示すように、α設定処理のS50では、コントローラ100が、外気温センサ52によって測定される外気温度が5℃よりも高温であるか否かを判断する。外気温度が5℃よりも高温である場合は、コントローラ100がYESと判断してS51に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS56に進む。
続くS51では、コントローラ100が、水道水導入路30に設けられているサーミスタ32によって測定される給水温度が21℃以上であるか否かを判断する。給水温度が21℃以上である場合は、コントローラ100がYESと判断してS52に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS53に進む。S52では、コントローラ100がαを20分に設定する。α=20分は、例えば夏季における設定である。
S51でNOの後のS53では、コントローラ100が、サーミスタ32によって測定される給水温度が14℃未満であるか否かを判断する。給水温度が14℃未満である場合は、コントローラ100がYESと判断してS55に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS54に進む。S54では、コントローラ100がαを30分に設定する。S55では、コントローラ100がαを45分に設定する。α=30分は、例えば春季及び秋季における設定である。α=45分は、例えば冬季における設定である。
上記のS50でYESの後のS56では、コントローラ100が、サーミスタ32によって測定される給水温度が14℃以下であるか否かを判断する。給水温度が14℃以下である場合は、コントローラ100がYESと判断してS57に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS51に進む。S57では、コントローラ100がαを60分に設定する。α=60分は、例えば厳冬期における設定である。αは、外気温度が低いほど、かつ、給水温度が低いほど長い時間である。
図4に示すように、S30に続くS31では、コントローラ100が、α1(図2B参照)を設定する。コントローラ100は、上記のαと同様に、外気温度及び給水温度に基づいてα1を設定する。図6は、実施例に係るα1設定処理のフローチャートである。図6に示すように、α1設定処理は、上記のα設定処理と同様のフローで実行される。α1設定処理のS60からS67は、上記のα設定処理のS50からS57に対応している。よって、α1設定処理については詳細な説明を省略する。α1は、外気温度が低いほど、かつ、給水温度が低いほど長い時間である。
図4に示すように、S31に続くS32では、コントローラ100がα2(図2B参照)を設定する。コントローラ100は、上記のαと同様に、外気温度及び給水温度に基づいてα2を設定する。図7は、実施例に係るα2設定処理のフローチャートである。図7に示すように、α2設定処理は、上記のα設定処理と同様のフローで実行される。α2設定処理のS70からS77は、上記のα設定処理のS50からS57に対応している。よって、α2設定処理については詳細な説明を省略する。α2は、外気温度が低いほど、かつ、給水温度が低いほど長い時間である。
図4に示すように、S32に続くS33では、コントローラ100が、運転禁止回数Yが所定の第2の基準回数以上であるか否かを判断する。運転禁止回数Yは、開始時刻S0(図2B参照)に開始された沸き上げ運転が禁止され、タンク内の水の熱量が予定時刻S1までに満蓄にならなかった場合の回数である。運転禁止回数Yは、沸き上げ運転が禁止され、タンク内の水の熱量が予定時刻S1までに満蓄にならなかった毎に加算される(図10BのS114参照)。運転禁止回数Yの加算については後述する。S33における所定の第2の基準回数は、例えば2回である。なお、第1の基準回数については後述する。S33で運転禁止回数Yが第2の基準回数以上である場合は、コントローラ100がYESと判断してS40に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS34に進む。
S33でNOの後のS34では、コントローラ100が、ヒートポンプ50の段階モードの沸き上げ運転の指示を無しに設定する。このときは、段階モードの沸き上げ運転の必要性が低下した場合である。ヒートポンプ50の沸き上げモード設定処理については後述する。
続くS35では、コントローラ100が、満蓄未達回数Xが所定の第1の基準回数以上であるか否かを判断する。満蓄未達回数Xは、開始時刻S0(図2B参照)に沸き上げ運転が開始されたものの、その沸き上げ運転において予定時刻S1までにタンク10内の水の熱量が満蓄にならなかった場合の回数である。満蓄未達回数Xは、ヒートポンプ50の沸き上げモードが禁止モードでなく、タンク10内の水の熱量が予定時刻S1までに満蓄にならない度に加算される(図10BのS113参照)。満蓄未達回数Xの加算については後述する。S35における所定の第1の基準回数は、例えば2回である。S35で満蓄未達回数Xが第1の基準回数以上である場合は、コントローラ100がYESと判断してS37に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS36に進む。
S35でNOの後のS36では、コントローラ100が、S1−αを沸き上げ運転の開始時刻S0として設定する(図2B参照)。以下では、S1−αが開始時刻S0として設定された場合の沸き上げ運転を第1の運転ということがある。
上記のS35でYESの後のS37では、コントローラ100が、S1−α−α1を沸き上げ運転の開始時刻S0として設定する(図2B参照)。以下では、S1−α−α1が開始時刻S0として設定された場合の沸き上げ運転を第2の運転ということがある。
続くS38では、コントローラ100が、第1加算時間P1が設定されているか否かを判断する。第1加算時間P1は、第1の運転が実行された場合の予定時刻S1と満蓄時刻S2との差の積算時間である(図2B参照)。第1加算時間P1の設定については後述する(図10AのS106参照)。第1加算時間P1が設定されている場合は、コントローラ100がYESと判断してS39に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS0設定処理を終了し、元の処理(図3のS14に続くS15)に戻る。
S38でYESの後のS39では、コントローラ100が、上記のS37で設定した開始時刻S0(=S1−α−α1)に第1加算時間P1を加算する。コントローラ100が、S1−α−α1+P1を沸き上げ運転の開始時刻S0として設定する。
次に、上記のS33でYESの後の処理について説明する。S33でYESの後のS40では、コントローラ100が、ヒートポンプ50の段階モードの沸き上げ運転の指示を有りに設定する。このときは、段階モードの沸き上げ運転の必要性が増加した場合である。ヒートポンプ50の沸き上げモード設定処理については後述する。
続くS41では、コントローラ100が、S1−α−α2を沸き上げ運転の開始時刻S0として設定する(図2B参照)。以下では、S1−α−α2が開始時刻S0として設定された場合の沸き上げ運転を第3の運転ということがある。
続くS42では、コントローラ100が、第2加算時間P2が設定されているか否かを判断する。第2加算時間P2は、第2の運転が実行された場合の予定時刻S1と満蓄時刻S2との差の積算時間である(図2B参照)。第2加算時間P2の設定については後述する(図10AのS108参照)。第2加算時間P2が設定されている場合は、コントローラ100がYESと判断してS43に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS0設定処理を終了し、元の処理(図3のS14に続くS15)に戻る。
S42でYESの後のS43では、コントローラ100が、上記のS41で設定した開始時刻S0(=S1−α−α2)に第2加算時間P2を加算する。コントローラ100が、S1−α−α2+P2を沸き上げ運転の開始時刻S0として設定する。
次に、上記のS19(図3参照)でYESの後のS20の給湯沸き上げ処理について説明する。図8は、実施例に係る給湯沸き上げ処理のフローチャートである。図8に示すように、給湯沸き上げ処理のS80では、コントローラ100が、ヒートポンプ50が作動中であるか否か判断する。ヒートポンプ50が作動している場合は、コントローラ100がS80でYESと判断して、続くS81をスキップしてS82に進む。一方、ヒートポンプ50が作動していない場合は、コントローラ100がS80でNOと判断してS81に進む。
S81では、コントローラ100が、サーミスタ16が測定する温度(即ち、タンク10の上部から30Lの位置の水温)が所定の閾値TAよりも高いか否かを判断する。
本実施例では、所定の閾値TAは、「沸き上げ設定温度−10℃」である。沸き上げ設定温度は、例えば47℃である。そのため、所定の閾値TAは、例えば37℃である。S81でYESと判断される場合、少なくとも、タンク10の上部から30Lの位置の水温が閾値TA(例えば37℃)よりも高い。上記の通り、タンク10の上部には、高温の水の層が形成され、下部には、低温の水の層が形成される。そのため、S81でYESと判断される場合には、タンク10の上部から30Lの位置からタンク上部までの間には、沸き上げ設定温度(例えば47℃)に近い高温の温水が貯められている。即ち、S81でYESと判断される場合には、給湯開始時刻(S1)の近傍の時刻に行われる予定の最初の給湯に必要な量(5L〜20L程度)の温水がタンク10内に貯められていることを意味する。S81でYESと判断される場合は、S86に進む。一方、S81でNOと判断される場合は、S82に進む。
S82では、コントローラ100が、サーミスタ24が測定する温度(即ち、タンク10の下部から導出された後、ヒートポンプ50を通過する前の水の温度)が、所定の閾値TBよりも高いか否かを判断する。
本実施例では、所定の閾値TBは、「沸き上げ設定温度−5℃」である。沸き上げ設定温度は、例えば47℃である。そのため、所定の閾値TBは、例えば42℃である。S82でYESと判断される場合は、タンク10の下部には、閾値TB(例えば42℃)より高い温度の温水が貯められていることになる。即ち、タンク10内の略全体に沸き上げ設定温度に近い高温の温水が貯められていることになる。以下では、このようなタンク10の状態を「満蓄状態」と呼ぶ場合がある。S82でYESと判断される場合は、S86に進む。一方、S82でNOと判断される場合は、S83に進む。
S83では、コントローラ100が、ヒートポンプ50の沸き上げモードを設定する。ヒートポンプ50の沸き上げモード設定処理については後述する(図9参照)。
続くS84では、コントローラ100が、ヒートポンプ50の沸き上げモードが禁止モードであるか否かを判断する。ヒートポンプ50の沸き上げモードが禁止モードでない場合は、コントローラ100がS84でNOと判断してS85に進む。一方、ヒートポンプ50の沸き上げモードが禁止モードである場合は、コントローラ100がS84でYESと判断してS86に進む。
S84でNOの後のS85では、コントローラ100が、ヒートポンプ50を作動させる。このとき、ヒートポンプ50の沸き上げモードは、上記のS83で設定されたモードになる。なお、S85の時点で既にヒートポンプ50が作動している場合は、コントローラ100は、ヒートポンプ50を継続して作動させる。ヒートポンプ50の作動後は、元の処理(図3のS20に続くS21)に戻る。
上記のS84でYESの後のS86では、コントローラ100が、ヒートポンプ50を停止させる。ヒートポンプ50の停止後は、元の処理(図3のS20に続くS21)に戻る。
次に、上記のS82でNOの後の沸き上げモード設定処理について説明する。図9は、実施例に係る沸き上げモード設定処理のフローチャートである。図9に示すように、沸き上げモード設定処理のS90では、コントローラ100が、外気温センサ52によって測定される外気温度が3℃よりも高いか否かを判断する。外気温度が3℃よりも高い場合は、コントローラ100がS90でYESと判断してS91に進む。一方、外気温度が3℃以下である場合は、コントローラ100がS90でNOと判断してS94に進む。
S90でYESの後のS91では、コントローラ100が、ヒートポンプ50の抑制モードの沸き上げ運転の指示が有るか否かを判断する。抑制モードの指示は、例えば、外気温センサ52によって測定される外気温度が所定の基準温度未満である場合や、節電が必要である場合に設定される。S91でNOと判断される場合はS92に進む。一方、S91でYESと判断される場合はS93に進む。
S91でNOの後のS92では、コントローラ100が、ヒートポンプ50の沸き上げモードを通常モードに設定する。沸き上げモードの設定後は、元の処理(図8のS83に続くS84)に戻る。
S91でYESの後のS93では、コントローラ100が、ヒートポンプ50の沸き上げモードを抑制モードに設定する。沸き上げモードの設定後は、元の処理(図8のS83に続くS84)に戻る。
次に、上記のS90でNOの後の処理について説明する。S90でNOの後のS94では、コントローラ100が、ヒートポンプ50の段階モードの沸き上げ運転の指示が有るか否かを判断する。S94でNOと判断される場合はS95に進む。一方、S94でYESと判断される場合はS96に進む。
S94でNOの後のS95では、コントローラ100が、ヒートポンプ50の沸き上げモードを禁止モードに設定する。沸き上げモードの設定後は、元の処理(図8のS83に続くS84)に戻る。
S94でYESの後のS96では、コントローラ100が、ヒートポンプ50の沸き上げモードを段階モードに設定する。沸き上げモードの設定後は、元の処理(図8のS83に続くS84)に戻る。
次に、上記のS21(図3参照)でNOの後のS22のS1満蓄判定処理について説明する。図10A、Bは、実施例に係るS1満蓄判定処理のフローチャートである。図10Aに示すように、S1満蓄判定処理のS100では、コントローラ100が、現在時刻が予定時刻S1(図2A参照)であるか否かを判断する。このとき、コントローラ100は、直前の処理の図3のS21において、現在時刻がS1より後でない(即ち、S1を含むS1以前である)場合と判断している。従って、現在時刻が予定時刻S1でない(即ち、S1よりも前である)場合は、コントローラ100がNOと判断してS101に進む。そうでない場合(即ち、予定時刻S1が到来した場合)は、コントローラ100がYESと判断して「A」に進み、図10Bに示すS111に進む。
S100でNOの後のS101では、コントローラ100が、タンク10内の水の熱量が満蓄であるか否かを判断する。タンク10内の水の熱量が満蓄である場合は、コントローラ100がYESと判断してS102に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS110に進む。
S101でNOの後のS110では、コントローラ100が、満蓄時刻S2=予定時刻S1を設定する。予定時刻S1よりも前に、タンク10内の水の熱量が満蓄でない場合は、コントローラ100がS110を繰り返し、満蓄時刻S2をリセットするために、予定時刻S1を設定する。満蓄時刻S2の設定後は、元の処理(図3のS22に続くS10)に戻る。
S101でYESの後のS102では、満蓄時刻S2が予定時刻S1であるか否かを判断する。満蓄時刻S2が予定時刻S1である場合は、コントローラ100がYESと判断してS103に進む。このとき、予定時刻S1よりも前に、タンク10内の水の熱量が満蓄になった時の1回に限り、後述するS103からS109の処理を行う。満蓄時刻S2が予定時刻S1でない場合は、コントローラ100がNOと判断して、元の処理(図3のS22に続くS10)に戻る。このときは、既に、後述するS103からS109の処理を1回実行した後のフローである。
S102でYESの後のS103では、コントローラ100が、満蓄時刻S2=現在時刻を設定する。
続くS104では、コントローラ100が、予定時刻S1と満蓄時刻S2との差(S1−S2)が上記のS12で設定したα1の半分(1/2)以上であるか否かを判断する。S1−S2がαの1/2以上である場合は、コントローラ100がYESと判断してS105に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断して、元の処理(図3のS22に続くS10)に戻る。S1−S2がαの1/2以上でない場合は、満蓄時刻S2が予定時刻S1に近い場合である。
S104でYESの後のS105では、コントローラ100が、現在設定されている沸き上げモードが段階モードであるか否かを判断する。現在の沸き上げモードが段階モードでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS106に進む。沸き上げモードが段階モードである場合は、コントローラ100がYESと判断してS108に進む。
S105でNOの後のS106では、コントローラ100が、予定時刻S1と満蓄時刻S2との差に積算P3を加算した値(S1−S2+P3)を第1加算時間P1として設定する。前日までの加算時間の積算P3については後述する。満蓄時刻S2は、予定時刻S1よりも前にタンク10内の水の熱量が満蓄になった時刻である(図2B参照)。S106で設定される第1加算時間P1は、図4のS39で開始時刻S0を設定するために用いられる。
続くS107では、コントローラ100が、第2加算時間P2を0分に設定する。上記のS106では、第1の運転における、予定時刻S1と満蓄時刻S2との差に積算P3を加算した値を設定している。このとき、第2の運転は実行されないため、第2加算時間P2をリセットする。S107の処理が終了すると、元の処理(図3のS22に続くS10)に戻る。
S105でYESの後のS108では、コントローラ100が、予定時刻S1と満蓄時刻S2との差に積算P3を加算した値(S1−S2+P3)を第2加算時間P2として設定する。前日までの加算時間の積算P3については後述する。S108で設定される第2加算時間P2は、図4のS43で開始時刻S0を設定するために用いられる。
続くS109では、コントローラ100が、第1加算時間P1を0分に設定する。上記のS108では、第2の運転における、予定時刻S1と満蓄時刻S2との差に積算P3を加算した値を設定している。このとき、第1の運転は実行されないため、第1加算時間P1をリセットする。S109の処理が終了すると、元の処理(図3のS22に続くS10)に戻る。
次に、上記のS100でYESの後の処理について説明する。図10Bに示すように、S100でYESの後のS111では、コントローラ100が、タンク10内の水の熱量が満蓄であるか否かを判断する。タンク10内の水の熱量が満蓄でない場合は、コントローラ100がNOと判断してS112に進む。タンク10内の水の熱量が満蓄である場合は、コントローラ100がYESと判断してS115に進む。
上記のS111でNOの後のS112では、コントローラ100が、現在設定中の沸き上げモードが禁止モードであるか否かを判断する。実施例に係るヒートポンプシステム2では、沸き上げ運転の実行中に、例えば外気温センサ52によって測定される外気温度が3℃未満になると、コントローラ100が実行中の沸き上げ運転を禁止する。開始時刻S0に開始された沸き上げ運転が、予定時刻S1よりも前に途中で停止する。設定中の沸き上げモードが禁止モードでない場合は、S112でコントローラ100がNOと判断してS113に進む。沸き上げモードが禁止モードである場合は、コントローラ100がYESと判断してS114に進む。
S112でNOの後のS113では、コントローラ100が、満蓄未達回数Xを1回加算する。満蓄未達回数Xは、開始時刻S0に沸き上げ運転が開始されたものの、予定時刻S1までにタンク10内の水の熱量が満蓄に達しない場合の回数である。コントローラ100は、S113の処理が終了すると、「B」に進み(図10A参照)、元の処理(図3のS22に続くS10)に戻る。
S112でYESの後のS114では、コントローラ100が、運転禁止回数Yを1回加算する。運転禁止回数Yは、開始時刻S0に開始された沸き上げ運転が禁止され、タンク10内の水の熱量が予定時刻S1までに満蓄に達しない場合の回数である。コントローラ100は、S114の処理が終了すると、「B」に進み(図10A参照)、元の処理(図3のS22に続くS10)に戻る。
S111でYESの後のS115では、コントローラ100が、現在設定されている沸き上げモードが段階モードであるか否かを判断する。現在の沸き上げモードが段階モードでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS116に進む。沸き上げモードが段階モードである場合は、コントローラ100がYESと判断してS120に進む。図9のS96で段階モードが設定された場合は、S115でコントローラ100がYESと判断する。
S115でNOの後のS116では、コントローラ100が、α1と第1加算時間P1との差(α1−P1)が2分未満であるか否かを判断する。α1−P1が2分未満である場合は、コントローラ100がYESと判断してS117に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断して元の処理(図3のS22に続くS10)に戻る。S116でYESの場合は、S1−α−α1+P1で特定される開始時刻S0が、S1−αで特定される開始時刻S0に十分に近づいた場合である。
S116でYESの後のS117では、コントローラ100が、第1加算時間P1をゼロにリセットする。続くS118では、前日までの加算時間の積算P3をゼロにリセットする。前日までの加算時間の積算P3については後述する。続くS119では、コントローラ100が、満蓄未達回数Xをゼロにリセットする。コントローラ100は、S119の処理が終了すると、「B」に進み(図10A参照)、元の処理(図3のS22に続くS10)に戻る。
S115でYESの後のS120では、コントローラ100が、α2と第2加算時間P2との差(α2−P2)が2分未満であるか否かを判断する。α2−P2が2分未満である場合は、コントローラ100がYESと判断してS121に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断して元の処理(図3のS22に続くS10)に戻る。S120でYESの場合は、S1−α−α2+P2で特定される開始時刻S0が、S1−αで特定される開始時刻S0に十分に近づいた場合である。
S120でYESの後のS121では、コントローラ100が、第2加算時間P2をゼロにリセットする。続くS122では、前日までの加算時間の積算P3をゼロにリセットする。前日までの加算時間の積算P3については後述する。続くS123では、コントローラ100が、運転禁止回数Yをゼロにリセットする。コントローラ100は、S123の処理が終了すると、「B」に進み(図10A参照)、元の処理(図3のS22に続くS10)に戻る。
次に、図3のS12の加算時間繰越し処理について説明する。図11は、実施例に係る加算時間繰越し処理のフローチャートである。このフローチャートは、現在時刻が2:00である場合のみに実行される(図3のS10参照)。図11に示すように、加算時間繰越し処理のS130では、コントローラ100が、前々日までの加算時間の積算P4に、前日までの加算時間の積算P3を設定し、前日までの加算時間の積算を繰り越す。
続くS131では、前日までの加算時間の積算P3(=P1+P2+P4)を設定する。このとき、第1加算時間P1及び第2加算時間P2は、図10AのS107あるいはS109により、常に一方がゼロに設定される。従って、第1の運転及び第2の運転を問わず、前日に設定された第1加算時間P1及び第2加算時間P2が繰り越される。これにより、前日までの加算時間の積算P3には、前日の加算時間(P1あるいはP2)と、前々日までの加算時間の積算が加算され、設定される。S131の処理が終了すると、元の処理(図3のS12に続くS13)に戻る。
以上、実施例に係るヒートポンプシステム2について説明した。上記の説明から明らかなように、ヒートポンプシステム2は、水を貯えるタンク10と、タンク10内の水を加熱するヒートポンプ50とを備えている。ヒートポンプシステム2は、タンク10内の水をヒートポンプ50によって加熱する沸き上げ運転を実行可能に構成されている。また、ヒートポンプシステム2は、1日のうちの所定の予定時刻S1よりもα前の第1の時刻(S1−α)に沸き上げ運転を開始する第1の運転と、1日のうちの第1の時刻よりもα1前の第2の時刻(S1−α−α1)に沸き上げ運転を開始する第2の運転とを実行可能に構成されている(図2B参照)。コントローラ100は、沸き上げ運転においてタンク10内の水の熱量が予定時刻S1までに満蓄に達しない場合の回数(即ち、満蓄未達回数X)を計数する(図10BのS113参照)。コントローラ100は、計数した満蓄未達回数Xが所定の第1の基準回数以上である場合は、沸き上げ運転を実行するときに第2の運転を実行する(図4のS37参照)。
満蓄未達回数Xが第1の基準回数以上である場合は、例えば、寒い冬の朝等でヒートポンプ50の加熱能力が低下しており、沸き上げ速度が遅い状態であると考えられる。この場合は、第1の時刻(S1−α)よりもα1前の第2の時刻(S1−α−α1)に沸き上げ運転を開始する第2の運転を実行することで沸き上げ運転の開始時刻S0を早くすることができる。これによって、タンク10内の水の熱量が満蓄になる時刻を早くすることができる。そのため、沸き上げ速度が遅い状態であっても、タンク内の水の熱量が予定時刻S1までに満蓄になるように沸き上げ運転を実行することができる。
これによって、例えば予定時刻S1に給湯運転が開始される場合に、予定時刻S1までにタンク10内に高温の水を十分に貯えることができ、温水利用箇所に温かい水を十分に供給することができる。
上記のヒートポンプシステム2は、通常モードの沸き上げ運転と、通常モードよりもヒートポンプ50の消費電力が抑制されている抑制モードの沸き上げ運転とを実行可能に構成されている。コントローラ100は、第1の運転及び/又は第2の運転を実行するときに抑制モードの沸き上げ運転を実行する(図9のS93参照)。
抑制モードの沸き上げ運転では、ヒートポンプ50の消費電力が抑制されるので沸き上げ速度が遅くなる。しかしながら、満蓄未達回数Xが第1の基準回数以上である場合に第2の運転を実行することによって、沸き上げ運転の開始時刻S0を早めることができ、タンク10内の水の熱量が満蓄になる時刻を早めることができる。これによって、ヒートポンプ50の消費電力が抑制される場合であっても、タンク10内の水の熱量が予定時刻S1までに満蓄になるように沸き上げ運転を実行することができる。
上記のヒートポンプシステム2では、コントローラ100が、第2の運転を実行した場合であって、タンク10内の水の熱量が予定時刻S1までに満蓄に達した場合は、次回の開始時刻S0を設定するときに、予定時刻S1とタンク10内の水の熱量が満蓄に達した満蓄時刻S2との差(P1=S1−S2)を第2の時刻(S1−α−α1)に加算した時刻(S1−α−α1+P1)を設定し、沸き上げ運転を開始する(図4のS39、図10AのS106参照)。
この構成によれば、第2の運転によって沸き上げ運転の開始時刻S0を早くした場合であっても、予定時刻S1よりも前にタンク10内の水の熱量が満蓄に達した場合は、それに応じて、次回の沸き上げ運転の開始時刻S0を遅くすることができる。これによって、次回の沸き上げ運転では、タンク10内の水の熱量が満蓄になる満蓄時刻S2を予定時刻S1に近づけることができる。満蓄時刻S2が予定時刻S1よりも早すぎるとタンク10内の水の熱が放熱して無駄が生じるが、上記の構成によれば、満蓄時刻S2を予定時刻S1に近づけることができるので、放熱の無駄を削減することができる。
第2の運転の開始時刻S0(=S1−α−α1)を設定するためのα1は、外気温度が低いほど長い時間である(図6参照)。
ヒートポンプ50の加熱能力は外気温度が低いほど低下する。従って、外気温度が低いほど沸き上げ速度が遅くなる。上記の構成によれば、外気温度が低いほどα1が長くなるので、外気温度が低いほど第2の運転の開始時刻S0(=S1−α−α1)が早くなる。従って、ヒートポンプ50の加熱能力が低いほど沸き上げ運転の開始時刻S0が早くなる。これによって、タンク10内の水の熱量が予定時刻S1までに満蓄になるように沸き上げ運転を実行することができる。
上記のヒートポンプシステム2は、1日のうちの第1の時刻(S1−α)よりもα2前の第3の時刻(S1−α−α2)に沸き上げ運転を開始する第3の運転を実行可能に構成されている。また、ヒートポンプシステム2は、タンク10内の水の熱量が段階的な熱量を経験して満蓄になるようにヒートポンプ50によって水を加熱する段階モードの沸き上げ運転を実行可能に構成されている。コントローラ100は、実行中の沸き上げ運転が禁止される場合の運転禁止回数Yを計数する(図10BのS114参照)。コントローラ100は、計数した運転禁止回数Yが所定の第2の基準回数以上である場合は、沸き上げ運転を実行するときに第3の運転を実行すると共に、段階モードの前記沸き上げ運転を実行する(図9のS96参照)。
運転禁止回数Yが第2の基準回数以上である場合は、例えば外気温度の低下によってヒートポンプ50の沸き上げ運転が頻繁に禁止される場合である。そのため、この場合は、第1の時刻よりもα2前の第3の時刻(S1−α−α2)に沸き上げ運転を開始する第3の運転を実行する。これによって、沸き上げ運転の開始時刻S0を早くすることができる。また、タンク10内の水の熱量が段階的な熱量を経験して満蓄になるように水を加熱する段階モードの沸き上げ運転を実行する。これによって、タンク10内の水の熱量を段階的に高くすることができる。沸き上げ運転の開始時刻S0を早くすると共に、水の熱量を段階的に高くすることによって、ヒートポンプ50の加熱能力が低下している場合であっても、タンク10内の水を予定時刻S1までに満蓄になるように加熱することができる。
また、上記のヒートポンプシステム2は、タンク10から温水利用箇所に供給される水をガス燃料ガスの燃焼熱によって加熱する燃焼装置60を更に備えている。この構成によれば、仮に予定時刻S1までにタンク10内の水の熱量が満蓄にならない場合であっても、タンク10から温水利用箇所に供給される水を燃焼装置60によって加熱することができるので、温水利用箇所に温かい水を供給することができる。
図10Bに示すように、S120でYESの場合は、α2と第2加算時間P2との差が2分未満で、段階モードの沸き上げの必要性が低下しているため、S123において運転禁止回数Yがゼロにリセットされる。図4に示すように、段階モードが設定された後に、運転禁止回数Yが第2基準回数未満である場合は、S34でコントローラ100が、設定されている段階モードを解除する。
上記の説明から明らかなように、コントローラ100は、段階モードの沸き上げ運転を実行した場合であって、α2と第2加算時間P2との差が2分未満である場合は、次回の沸き上げ運転を開始するときに、段階モードを解除する(図10BのS120でYES、S123、図4のS34参照)。
この構成によれば、段階モードの沸き上げ運転は、沸き上げ運転が頻繁に禁止される場合に実行される特殊な運転なので、その必要性が低下した場合は解除することが望ましい。段階モードの沸き上げ運転を実行した場合であって、α2と第2加算時間P2との差が2分未満である場合は、段階モードの沸き上げ運転の必要性が低下したと考えることができる。上記の構成によれば、段階モードの沸き上げ運転の必要性が低下した場合に段階モードを解除することができる。これによって、特殊な運転が実行されることを抑制することができる。
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記の実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上記の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
(第2実施例)
第2実施例について説明する。図12A、Bは、第2実施例に係るS1満蓄判定処理のフローチャートである。図12Bに示すように、第2実施例では、S111に続いてS200の処理が実行される。S200では、コントローラ100が、ヒートポンプ50の沸き上げモードが段階モードであるか否かを判断する。沸き上げモードが段階モードである場合は、S200でコントローラ100がYESと判断してS201に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS112に進む。S200でYESの後のS201では、コントローラ100が、満蓄未達回数Xが所定の第3の基準回数以上であるか否かを判断する。S201における所定の第3の基準回数は、例えば図4のS35における第1の基準回数と、段階モードの沸き上げ段階数とに基づいて設定される。例えば、第3の基準回数=(第1の基準回数)×(段階モードの沸き上げ段階数)である。S201で満蓄未達回数Xが第3の基準回数以上である場合は、コントローラ100がYESと判断してS202に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS112に進む。
S201でYESの後のS202では、コントローラ100が、段階モードの段階数を1段階加算する。続くS203では、コントローラ100が、第2加算時間P2をゼロにリセットする。コントローラ100は、S203の処理の後にS112に進む。
また、第2実施例では、図12Bに示すように、S115でYESの後にS210の処理が実行される。S210では、コントローラ100が、段階モードの現在の段階数が3段階以上であるか否かを判断する。段階モードの段階数が3段階以上である場合は、コントローラ100がYESと判断してS211に進む。そうでない場合は、コントローラ100がNOと判断してS120に進む。
S210でYESの後S211では、コントローラ100が、段階モードの段階数を1段階減算する。コントローラ100は、S211の処理の後に元の処理(図3のS22に続くS10)に戻る。
(他の実施例)
上記の実施例では、朝の沸き上げ運転を想定して予定時刻S1を6:00にしていたが、これに限定されるものではなく、夜の沸き上げ運転を想定して予定時刻S1を20:00にしてもよい。例えば、浴槽の湯張りのために夜に沸き上げ運転を実行する場合に、上記の技術を適用することができる。
上記の実施例では、所定の基準熱量の一例として満蓄の場合について説明したが、この構成に限定されるものではなく、満蓄未満の熱量が所定の基準熱量であってもよい。例えば、満蓄の8割の熱量が所定の基準熱量であってもよい。コントローラ100が、沸き上げ運転においてタンク10内の水の熱量が予定時刻S1までに満蓄の8割の熱量に達しない場合の回数を計数し、計数した回数が所定の第1の基準回数以上である場合は、沸き上げ運転を実行するときに第2の運転を実行してもよい。基準熱量は、例えば、季節に応じて変更されてもよい。例えば、夏季における基準熱量が小さく、厳冬期における基準熱量が大きくてもよい。
他の実施例では、予定時刻S1よりも前に沸き上げ運転を実行したか否か(例えば、沸き上げ禁止あるいは満蓄停止)を問わず、予定時刻S1よりも後に沸き上げモードの種類を問わない沸き上げ運転を実行してもよい。例えば、予定時刻S1よりも前は沸き上げ運転が禁止され、予定時刻S1より後は段階モードの沸き上げ運転を実行することができる。また、例えば、予定時刻S1よりも前は段階モードの沸き上げ運転が実行され、予定時刻S1より後は抑制モードの沸き上げ運転を実行することができる。
上記の実施例では、コントローラ100が、満蓄未達回数Xが第1基準回数以上であるか否かを判断する前にα2設定処理を実行していたが(図4参照)、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、コントローラ100が、満蓄未達回数Xが第1基準回数以上であるか否かを判断した後にα2設定処理を実行してもよい。即ち、コントローラ100が、満蓄未達回数Xが第1基準回数以上である場合に限ってα2設定処理を実行してα2を設定してもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。