JP2021059808A - 捺染方法および捺染装置 - Google Patents

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聖之 関口
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Abstract

【課題】高い白隠蔽性と、ポリエステル生地において優れた画像品質を実現可能な捺染方法を提供する。【解決手段】記録媒体に多価金属イオンを含む前処理液を塗布する工程と、前記前処理液が塗布された領域に白色インクを塗布する工程とを含み、前記前処理液の単位面積当たりの塗布量が0.02mg/cm2以上4.0mg/cm2以下であり、前記白色インクの寿命時間150msにおける表面張力が35mN/m以上であることを特徴とする捺染方法。【選択図】図1

Description

本発明は、捺染方法および捺染装置に関する。
インクジェットプリンターは低騒音、低ランニングコスト、カラー印刷が容易であるなどの利点を有するので、デジタル信号の出力機器として一般家庭に広く普及している。
近年では、家庭用のみならず、コート紙等の緩浸透性メディアやプラスチックフィルム等の非吸収性メディア、織物や編物等ファブリックに対しても、インクジェット記録方法により、従来のアナログ印刷並の画質を獲得することが要求されるようになっている。
たとえば、いわゆる軟包装と呼ばれる食品包装分野においては、印刷ジョブの小ロット・多品種化が急速に進んでいる上、バリアブル印刷の需要も高まってきているおり、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の軟包装用フィルムに対応したインクジェット記録システムが望まれている。
他方、軟包装分野同様、捺染分野においても、Tシャツ等の衣類に直接印字するいわゆるDTG(Direct to Garment)分野の市場規模は年々拡大しており、また、近年のアパレル業界におけるパーソナルレコメンデーションビジネスの隆盛や、インテリアテキスタイル分野において認められるファインアートとのコラボレーションの活発化といった動向より、ファブリックに対して発色性及び種々堅牢性に優れた画像を形成可能なインクジェット記録システムへの需要がますます高まりつつある。
このようなファブリック向けのインクとしては、低VOCや安全性の観点から、水性インクの開発が最も盛んである。
前記DTG分野においては、従来綿Tシャツ向けの技術開発が盛んに行われてきた。しかしながら、昨今は強度や形態安定性、通気性や速乾性に優れ、比較的価格の低いポリエステルTシャツの需要が急拡大している。
たとえば、特許文献1には、被記録媒体の記録領域へ、インク組成物の成分を凝集または増粘させる凝集剤を含む反応液を付着させる工程と、前記反応液を付着させた前記記録領域へ色材とポリマー微粒子と水とを含みポリマー微粒子を構成する樹脂としてアクリル樹脂を含む第1インク組成物を付着させる工程と、前記第1インク組成物を付着させた前記記録領域へ色材とポリマー微粒子と水とを含みポリマー微粒子を構成する樹脂としてウレタン樹脂を含む第2インク組成物を付着させる工程とを備える記録方法が開示され、該方法によれば、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性及びひび割れ性の面で優れた記録物を形成することができる、とされている。
しかし、前記特許文献1に開示されている方法では、高い白隠蔽性と、ポリエステル生地における高画質を両立することはできなかった。
本発明は、高い白隠蔽性と、ポリエステル生地において優れた画像品質を実現可能な捺染方法を提供することを目的とする。
上記課題は下記構成1)により解決される。
1)記録媒体に多価金属イオンを含む前処理液を塗布する工程と、
前記前処理液が塗布された領域に白色インクを塗布する工程とを含み、
前記前処理液の単位面積当たりの塗布量が0.02mg/cm2以上4.0mg/cm2以下であり、
前記白色インクの寿命時間150msにおける表面張力が35mN/m以上である
ことを特徴とする捺染方法。
本発明によれば、高い白隠蔽性と、ポリエステル生地において優れた画像品質を実現可能な捺染方法を提供することができる。
本発明の捺染装置の実施形態における搬送方向と垂直な方向の断面模式図である。 本発明の捺染装置の実施形態における平面模式図である。 本発明の捺染装置の実施形態における他の平面模式図である。 本発明の捺染装置の別の実施形態における側面模式図である。
本発明は、上記1)に関するものであるが、次の2)〜17)も実施の形態として含む。
2)前記前処理液の寿命時間150msにおける表面張力が30mN/m以上60mN/m以下であることを特徴とする上記1)に記載の捺染方法。
3)前記前処理液と前記白色インクの寿命時間150msにおける表面張力の差が10mN/m以下であることを特徴とする上記1)または2)に記載の捺染方法。
4)前記前処理液の単位面積当たりの塗布量が0.05mg/cm2以上0.3mg/cm2以下であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれかに記載の捺染方法。
5)前記前処理液の単位面積当たりの塗布量が0.3mg/cm2以上1.5mg/cm2以下であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれかに記載の捺染方法。
6)前記白色インクの寿命時間150msにおける表面張力が40mN/m以上50mN/m以下であることを特徴とする上記1)〜5)のいずれかに記載の捺染方法。
7)前記前処理液がシリコーン系界面活性剤を含むことを特徴とする上記1)〜6)のいずれかに記載の捺染方法。
8) 前記前処理液が塩化物イオンおよび/または硝酸イオンを含むことを特徴とする上記1)〜7)のいずれかに記載の捺染方法。
9)前処理液を吐出する第1のヘッドと、白色インクを吐出する第2のヘッドを有する捺染装置において、前記前処理液として多価金属イオンを含む前処理液を有し、前記白色インクとして寿命時間150msにおける表面張力が35mN/m以上の白色インクを有し、単位面積当たりの塗布量が0.02mg/cm2以上4.0mg/cm2以下となるように前処理液を塗布する機構を有する捺染装置。
10)前記第1のヘッドと、前記第2のヘッドとの間に遮蔽部材を有する上記9)に記載の捺染装置。
11)前記前処理液の寿命時間150msにおける表面張力が30mN/m以上60mN/m以下であることを特徴とする上記9)または10)に記載の捺染装置。
12)前記前処理液と前記白色インクの寿命時間150msにおける表面張力の差が10mN/m以下であることを特徴とする上記9)〜11)のいずれかに記載の捺染装置。
13)前記前処理液の単位面積当たりの塗布量が0.05mg/cm2以上0.3mg/cm2以下であることを特徴とする上記9)〜12)のいずれかに記載の捺染装置。
14)前記前処理液の単位面積当たりの塗布量が0.3mg/cm2以上1.5mg/cm2以下であることを特徴とする上記9)〜12)のいずれかに記載の捺染装置。
15)前記白色インクの寿命時間150msにおける表面張力が40mN/m以上50mN/m以下であることを特徴とする上記9)〜14)のいずれかに記載の捺染装置。
16)前記前処理液がシリコーン系界面活性剤を含むことを特徴とする上記9)〜15)のいずれかに記載の捺染装置。
17)前記前処理液が塩化物イオンおよび/または硝酸イオンを含むことを特徴とする上記9)〜16)のいずれかに記載の捺染装置。
本発明は、記録媒体に多価金属イオンを含む前処理液を塗布する工程と、前記前処理液が塗布された領域に白色インクを塗布する工程を含み、前記前処理液の単位面積当たりの塗布量が0.02mg/cm2以上4.0mg/cm2以下であり、前記白色インクの寿命時間150msにおける表面張力が35mN/m以上であることを特徴とする。
(前処理液)
本発明の前処理液は、多価金属イオンを含み、実質的に色材を含まないものであることができる。
前記多価金属イオンとしては、公知のものより適宜選択でき、たとえば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
発色性や耐ブリード性等の画質や吐出信頼性に優れる点で、塩化物イオンおよび/または硝酸イオンを含むことが好ましい。
前記多価金属イオンは、水に水溶性の多価金属塩を溶解させることで前処理液に含有させることができる。
前記多価金属塩としては、公知のものより適宜選択でき、たとえば、カルボン酸塩(酢酸、乳酸など)、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。なお、多価金属塩は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。これらの中でも水への溶解性及び水溶性有機溶媒への溶解性が良好なカルボン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物が発色性や耐ブリード性等の画質や吐出信頼性の観点から好ましく、上述のように塩化物イオンおよび/または硝酸イオンがさらに好ましい。
前記前処理液中における多価金属イオンの含有量は、にじみの抑制や発色性、堅牢性や密着性の観点から2g/L以上40g/L以下であることが好ましく、4g/L以上30g/L以下がより好ましく、8g/L以上20g/Lがさらに好ましい。
前記前処理液は画像濃度、にじみおよび濃度ムラの抑制の観点からシリコーン界面活性剤を含むことが好ましい。
前記シリコーン界面活性剤としては特に制限は無く、目的に応じて適宜選択できるが、画像濃度、にじみおよび濃度ムラの抑制の観点から下記一般式(2)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 2021059808
一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基であり、m1およびm2は0〜6の整数であり、nは2〜20の整数である。
前記一般式(2)におけるRは、前処理液の貯蔵安定性や均一性観点から、水素原子であることが好ましく、また、画像濃度の観点からはRはメチル基であることが好ましく、両者を併用することがより好ましい。
前記シリコーン界面活性剤としては、たとえば、BYK−345、347、同348、349(BYK)、WET240、270、280(Evonik)、SAG002、013、503A(日信化学工業)等があげられる。
前処理液中におけるシリコーン界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
前記前処理液の単位面積当たりの塗布量は、白隠蔽性及び高画質の観点から0.02mg/cm2以上4.0mg/cm2以下であることが好ましく、0.04mg/cm2以上3.0mg/cm2以下であることがより好ましい。更に、淡色ポリエステルの記録媒体においてより優れた画質を得るには0.05mg/cm2以上0.3mg/cm2以下以下が好ましく、濃色ポリエステルの記録媒体においてより高い白隠蔽性を得るには0.3mg/cm2以上1.5mg/cm2以下が好ましい。
前記前処理液の寿命時間150msにおける表面張力は、白隠蔽性及び画質の観点から30mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、35mN/m以上55mN/m以下であることが好ましく、40mN/m以上50mN/m以下であることが好ましい。
前記前処理液と下記で説明する白色インクの寿命時間150msにおける表面張力の差が10mN/m以下であることが白隠蔽性の観点から好ましく、8mN/m以下であることがより好ましく、5mN/m以下であることが更に好ましい。
前記前処理液には、堅牢性の観点から樹脂を含むことが好ましい。前記樹脂は、公知のものから適宜選択することができるが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等のノニオン性樹脂や、一般式(1)で表される構造単位を有するウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等が好ましい。
−(CH2CH2O)n− 一般式(1)
ただし、nは5以上100以下である。
前記前処理液中の樹脂の含有量は、例えば1〜20質量%であり、好ましくは3〜10質量%である。
前記前処理液は、用途に応じて、水性有機溶媒、消泡剤、防黴剤、防錆剤等を含んでいてもよい。
本発明における白色インクは寿命時間150msにおける表面張力が35mN/m以上であり、より好ましくは40mN/m以上50mN/m以下である。前記寿命時間150msにおける表面張力が35mN/m未満であると、白隠蔽性が悪化する。
本発明の白色インクに用いられる顔料は特に制限は無く、用途に応じて適宜選択できるが、酸化チタンが特に好ましい。
本発明における表面張力は動的表面張力を意味し、これは界面活性剤の種類や添加量により制御することが可能である。
動的表面張力の測定は周知慣用の方法を用いて測定することができるが、本発明では最大泡圧法によって測定されるものであることが好ましい。最大法圧法による動的表面張力の測定器は市販されており、例えばDynoTeter(SITA社製)などが挙げられる。
最大泡圧法とは、測定する液体に浸漬させたプローブの先端部分から気泡を放出させ、泡を放出するために必要な最大圧力から表面張力を求める方法である。
気泡の半径がプローブ先端の半径に等しくなるとき、最大圧力を示し、このときのインクの動的表面張力σは次式で表される。
σ=(ΔP・r)/2
(ここで、rはプローブ先端の半径、ΔPは気泡にかかる最大圧力と最小値との差である)
また、本発明でいう寿命時間とは、最大泡圧法において、気泡がプローブから離れて、新しい表面が形成されてから次の最大泡圧までの時間を言う。
次に、本発明で使用されるインク(前記白色インクを含む)の実施形態について説明する。
<インク>
以下、インクに用いる有機溶剤、水、色材、樹脂、添加剤等について説明する。
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
<色材>
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
顔料を分散してインクを得るためには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<顔料分散体>
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
<樹脂>
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
インク中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上1000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。 これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F-1)及び一般式(F-2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
Figure 2021059808
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
一般式(F-2)
2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)−Y
上記一般式(F-2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1〜6の整数、又はCHCH(OH)CH−CmF2m+1でmは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、DIC株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
<記録物>
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
なお、インクの使用方法としては、インクジェット記録方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット記録方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
本発明のインクの用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。さらに、インクとして用いて2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
記録媒体、メディア、被印刷物は、いずれも同義語とする。
本発明の捺染装置は、前処理液を吐出する第1のヘッドと、白色インクを吐出する第2のヘッドを有し、前記前処理液として多価金属イオンを含む前処理液を有し、前記白色インクとして寿命時間150msにおける表面張力が35mN/m以上の白色インクを有し、単位面積当たりの塗布量が0.02mg/cm2以上4.0mg/cm2以下となるように前処理液を塗布する機構を有する。以下、該装置について説明する。
本発明に係る装置の一実施形態について説明する。本実施形態の装置を図1に示す。図1において、記録媒体は紙面の奥行方向(又は手前方向)に搬送されるものであり、図1は記録媒体の搬送方向と垂直な方向における断面模式図である。
図1では、キャリッジ10、第1のヘッド11、第2のヘッド12、キャリッジ走査レール13、排気部14、プラテン15(記録媒体保持部)、支持部材16、プラテン移動台17、メンテナンスユニット18が図示されている。
プラテン15は、記録媒体を保持する部材であり、大きさ等は適宜変更可能である。
記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。なお、記録媒体としてはTシャツ等の布地のようなファブリック等が好ましく、本発明ではとくにポリエステル生地に対して優れた効果を発揮する。また、プラテン15は支持部材16により支持されている。
プラテン移動台17は、プラテン15を移動させる機構であり、プラテン15を垂直方向(図中、(B)で示される矢印方向)に移動させ、この他にも記録媒体の搬送方向に移動させる。
メンテナンスユニット18は、ヘッドのメンテナンスを行う機構であり、キャップや吸引ポンプ、空吐出受けなどで構成される。
キャリッジ10は、第1のヘッド11、第2のヘッド12を有する筐体であり、ヘッドの他にも、エンコーダセンサ、移動ベルト、昇降機構等を備える。
キャリッジ走査レール13は、キャリッジ10を記録媒体の搬送方向とは垂直の方向に移動させるためのレールである。
なお、記録媒体の搬送方向とは垂直の方向を主走査方向とも称することがあり、主走査方向は図中(A)の矢印で示されている。また、記録媒体の搬送方向を副走査方向とも称することがあり、主走査方向と副走査方向は直交する。
第1のヘッド11は前処理液を吐出するヘッドであり、第2のヘッドは白色インクを吐出するヘッドである。第1のヘッド11は、記録媒体の搬送方向における第2のヘッドよりも上流側に備えられている。なお、第1のヘッド11と第2のヘッド12を区別なく説明する場合は単にヘッドと称することがある。
排気部14は、装置本体22の気体を、装置本体22外へと排気するための機構である。例えば、ファンを有していてもよく、モーターに接続されたファンなどからなる。
図2は、本実施形態の装置の平面模式図であり、キャリッジ10とプラテン15の移動前を示す図である。
図示されるように、キャリッジ10は、第1のヘッド11と第2のヘッド12を備えている。なお、図2ではキャリッジ走査レール13は省略している。
また、プラテン15は、プラテン移動レール19に沿って移動する。
図3は、本実施形態の装置における他の平面模式図であり、図2におけるキャリッジ10とプラテン15が移動したときの状態を示す図である。
図示されるように、プラテン15はプラテン移動レール19に沿って移動するものであり、図中(C)で示される矢印方向に移動する。記録媒体はプラテン15上に保持されて移動するため、プラテン15の移動方向と記録媒体の搬送方向は一致する。
また、図示されるように、第2のヘッド12は記録媒体の搬送方向において第1のヘッド11よりも下流側に配置されている。
プラテン15が図中(C)で示される矢印方向に移動し、キャリッジ10に近づいた辺りで、キャリッジ10が主走査方向(図中(A)方向)に走査しながら、ヘッドから液体が吐出される。このとき、先に第1のヘッド11から記録媒体に向けて前処理液を吐出し、その後に第2のヘッド12から記録媒体に向けて白色インクを吐出する。
次に、本発明に係る装置における他の実施形態について説明する。
上記実施形態と共通する事項については説明を省略する。
本実施形態の装置の側面模式図を図4に示す。なお、図4では要部を模式的に図示している。
本実施形態の装置は、記録媒体の搬送方向において第1のヘッド11と第2のヘッド12との間に配置される遮蔽部材20を備えている。これにより、第1のヘッド11からの前処理液のミストが第2のヘッド12に到達しにくくなり、前処理液ミストが第2のヘッド12のノズル形成面に付着し、白色インクが凝集することを防ぐことができる。また、白色インクの凝集を防ぐことにより、吐出信頼性が向上し好ましい。
また、本実施形態の遮蔽部材20は、第1のヘッド11の吐出面よりも記録媒体側に突出している。遮蔽部材20の下端がヘッドよりも下方に向けて飛び出ていることにより、前処理液のミストが第2のヘッド12に到達することを効果的に防ぐことができる。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。部は質量部を示す。
(顔料分散体の調製例1)
<ブラック顔料分散体の調製>
以下の処方混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製、KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散してブラック顔料分散体(顔料濃度:15質量%)を得た。
・カーボンブラック顔料(商品名:Monarch800、キャボット社製)
・・・15部
・アニオン性界面活性剤(商品名:パイオニンA−51−B、竹本油脂株式会社製)
・・・2部
・イオン交換水 ・・・83部
<白色顔料分散体の調製>
酸化チタン(商品名:JR−405、テイカ株式会社製)40部、顔料分散剤(商品名:TEGO Dispers651、エボニック社製)5部、水55部を混合し、ビーズミル(商品名:リサーチラボ、株式会社シンマルエンタープライゼス製)にて、0.3mmΦのジルコニアビーズを充填率60%、8m/sにて5分間分散し、白色顔料分散体を得た。
白色顔料分散体の体積平均粒径D50をナノトラック Nanotrac Wave−EX1500(マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定したところ、210nmであった。
[樹脂粒子分散液の製造]
樹脂粒子分散液1については、下記手順にて合成した。まず、攪拌機、温度計、及び還流管を備えた500mLのセパラブルフラスコに、ポリオールとしてPEG−1000(ポリエチレングリコール(三洋化成製、数平均分子量1000))30部、PCL 210(ポリカプロラクトンジオール(ダイセル製))70部、イソホロンジイソシアネート38部、及びモレキュラーシーブにより脱水処理したアセトン90部を仕込み、窒素気流下にて70℃まで昇温した後、2−エチルヘキサン酸スズを200ppm加え、系内のイソシアネート濃度を測定しながら70℃にて3時間〜10時間反応させた。次いで、系内の温度を40℃まで下げ、必要に応じてトリエチルアミンを添加した後300rpmの速度で攪拌しながらイオン交換水270部を添加し、1時間攪拌した後、2-メチル-1,5-ペンタンジアミンを加え、3時間〜6時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、エバポレーターにて溶媒を留去し、イオン交換水により固形分30%になるように調整することで樹脂粒子分散液1を得た。
樹脂粒子分散液2については、下記手順にて合成した。まず、攪拌機、温度計、及び還流管を備えた500mLのセパラブルフラスコに、ポリオールとしてT5651(ポリカーボネートジオール、旭化成ケミカルズ製)74部、イソホロンジイソシアネート42部、及びモレキュラーシーブにより脱水処理したアセトン90部を仕込み、窒素気流下にて70℃まで昇温した後、2−エチルヘキサン酸スズを200ppm加え、系内のイソシアネート濃度を測定しながら70℃にて3時間〜10時間反応させた。次いで、系内の温度を40℃まで下げ、必要に応じてトリエチルアミンを添加した後300rpmの速度で攪拌しながらイオン交換水270部を添加し、1時間攪拌した後、ジエチレントリアミンを加え、3時間〜6時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、エバポレーターにて溶媒を留去し、イオン交換水により固形分30%になるように調整することで樹脂粒子分散液2を得た。
[前処理液およびインクの調製]
表1、表2に記載の処方で材料を混合し、一時間撹拌した後、1.2μmセルロースアセテートメンブランフィルターにて加圧濾過し、前処理液及びインクを得た。イオン交換水は、合計が100部となるように添加した。
Figure 2021059808
Figure 2021059808
なお、表中の材料は以下を表す。
・SAG503A:シリコーン界面活性剤(日信化学工業製)
・ソルフィットMMB:3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(株式会社クラレ)
また、表中の150msとは、前処理液または白色インクの寿命時間150msにおける表面張力(mN/m)を意味する。また、表中のCa g/Lは、前処理液中のCa量(g/L)を示す。
<印刷方法>
Ri6000(株式会社リコー製)にトムス社製綿Tシャツ(黒)または白色ポリエステルTシャツ(白)をセットし、前記インクジェットプリンターに前処理液、白色インクおよび、Bkインクを充填した。所定の付着量で前処理液を塗布した直後に、その塗布領域に、黒色綿Tシャツの場合は白色インクを付着量20.0mg/cm2で、白色ポリエステルTシャツの場合は2.0mg/cm2でべた画像を形成し、160℃に設定したヒートプレスにて1分間乾燥させることでベタ画像を得た。
<白隠蔽性>
黒色綿Tシャツの場合に得られたベタ画像について、X-rite exactを用いて測色し、白隠蔽性を以下の式の通り算出した。
白隠蔽性=(元生地のOD−ベタ画像のOD)/元生地のOD×100(%)
〔評価基準〕
A:白隠蔽性が90%以上
B:白隠蔽性が85%以上90未満
C:白隠蔽性が80%以上85%未満
D:白隠蔽性が75%以上80%未満
E:白隠蔽性が70%以上75%未満
評価A〜Cが合格である。
<ポリエステルメディアにおける発色性>
白色ポリエステルTシャツへの印刷で得られたベタ画像について、X-rite exactを用いて測色し、画像ODを評価した。
〔評価基準〕
A:ODが90%以上
B:ODが85%以上90未満
C:ODが80%以上85%未満
D:ODが75%以上80%未満
E:ODが70%以上75%未満
評価A〜Cが合格である。
結果を表3に示す。なお表3において前処理液付着量の単位はmg/cm2である。
Figure 2021059808
表3の結果から、各実施例の白隠蔽性およびポリエステルメディアにおける発色性は、比較例に比べて優れていることが分かる。
10 キャリッジ
11 第1のヘッド
12 第2のヘッド
13 キャリッジ走査レール
14 排気部
15 プラテン
16 支持部材
17 プラテン移動台
18 メンテナンスユニット
19 プラテン移動レール
20 遮蔽部材
22 装置本体
特開2016−124213号公報

Claims (17)

  1. 記録媒体に多価金属イオンを含む前処理液を塗布する工程と、
    前記前処理液が塗布された領域に白色インクを塗布する工程とを含み、
    前記前処理液の単位面積当たりの塗布量が0.02mg/cm2以上4.0mg/cm2以下であり、
    前記白色インクの寿命時間150msにおける表面張力が35mN/m以上である
    ことを特徴とする捺染方法。
  2. 前記前処理液の寿命時間150msにおける表面張力が30mN/m以上60mN/m以下であることを特徴とする請求項1に記載の捺染方法。
  3. 前記前処理液と前記白色インクの寿命時間150msにおける表面張力の差が10mN/m以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の捺染方法。
  4. 前記前処理液の単位面積当たりの塗布量が0.05mg/cm2以上0.3mg/cm2以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の捺染方法。
  5. 前記前処理液の単位面積当たりの塗布量が0.3mg/cm2以上1.5mg/cm2以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の捺染方法。
  6. 前記白色インクの寿命時間150msにおける表面張力が40mN/m以上50mN/m以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の捺染方法。
  7. 前記前処理液がシリコーン系界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の捺染方法。
  8. 前記前処理液が塩化物イオンおよび/または硝酸イオンを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の捺染方法。
  9. 前処理液を吐出する第1のヘッドと、白色インクを吐出する第2のヘッドを有する捺染装置において、前記前処理液として多価金属イオンを含む前処理液を有し、前記白色インクとして寿命時間150msにおける表面張力が35mN/m以上の白色インクを有し、単位面積当たりの塗布量が0.02mg/cm2以上4.0mg/cm2以下となるように前処理液を塗布する機構を有する捺染装置。
  10. 前記第1のヘッドと、前記第2のヘッドとの間に遮蔽部材を有する請求項9に記載の捺染装置。
  11. 前記前処理液の寿命時間150msにおける表面張力が30mN/m以上60mN/m以下であることを特徴とする請求項9または10に記載の捺染装置。
  12. 前記前処理液と前記白色インクの寿命時間150msにおける表面張力の差が10mN/m以下であることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の捺染装置。
  13. 前記前処理液の単位面積当たりの塗布量が0.05mg/cm2以上0.3mg/cm2以下であることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の捺染装置。
  14. 前記前処理液の単位面積当たりの塗布量が0.3mg/cm2以上1.5mg/cm2以下であることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の捺染装置。
  15. 前記白色インクの寿命時間150msにおける表面張力が40mN/m以上50mN/m以下であることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載の捺染装置。
  16. 前記前処理液がシリコーン系界面活性剤を含むことを特徴とする請求項9〜15のいずれかに記載の捺染装置。
  17. 前記前処理液が塩化物イオンおよび/または硝酸イオンを含むことを特徴とする請求項9〜16のいずれかに記載の捺染装置。
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