JP2021059527A - 蛍光標識剤およびフタロシアニン - Google Patents

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【課題】蛍光強度、耐光性に優れた蛍光標識剤、およびそれに用いるフタロシアニン系化合物の提供。【解決手段】例えば下記化合物を含む蛍光標識剤。【選択図】図1

Description

本発明は、蛍光標識剤およびそれに用いられるフタロシアニンに関する。
バイオイメージングは、タンパク質、細胞、組織等を可視化する技術であり、生体内分子・細胞機能の解明や創薬の研究等、生物学、医学の研究領域で幅広く活用されている。 中でも蛍光バイオイメージング法は、現象の動的な観察、多色観察、および高感度観察が可能なイメージング法である。蛍光バイオイメージング法は、標的部位で選択的に結合、濃縮、発現等する蛍光標識剤、あるいは、標的部位で選択的に発光する蛍光標識剤を用い、紫外〜近赤外領域の光を照射した際にその蛍光標識剤が発する蛍光を検出することにより、標的を可視化することができる。近年は、非侵襲的な診断を可能にする医学診断用イメージング法としても注目されている。
一般に生体の組織は、ヘモグロビンおよび水など、光の透過を妨げる物質を多く含むため、組織深部にある標的部位のイメージングはより困難である。しかしながら、生体透過性に優れるため「生体の窓」とも呼ばれる近赤外領域の光(700〜1500nm)を用いた近赤外蛍光イメージングは、その困難を部分的に回避できるため、患者への負担が少ない画像診断や外科手術ナビゲーションツールとして臨床現場への応用が進められている。
蛍光標識剤は、生体分子、細胞、組織等を標識する機能を有する蛍光物質であり、高感度に標識するためには、高い蛍光強度を有する必要がある。蛍光標識剤としては、水溶性の有機分子であるシアニン系色素やキサンテン系色素等が用いられるが、非特許文献1および2に記載されているように、蛍光強度の低さや、耐光性など光安定性の低さが課題であった。近年、近赤外領域におけるバイオイメージング用のシアニン系色素であるインドシアニングリーン等に関してその蛍光強度を改善する手法が開発されているように(特許文献1)、より高い蛍光強度や光安定性を有する蛍光標識剤が求められている。
近赤外吸収色素として特許文献2に示されるような水溶性フタロシアニン色素が挙げられるが、蛍光標識剤として用いるには蛍光強度が低いといった課題があった。
国際公開第2016/152954号 国際公開第2009/133668号
会澤英樹、外3名、「診断試薬用シリカナノ粒子の開発」、古河電工時報、古河電気工業株式会社、平成20年3月、第121号、p.17 BIOINDUSTRY 第34巻、第1号、通算394号、2017年1月12日発行 シーエムシー出版、p.29
本発明が解決しようとする課題は、蛍光強度、耐光性に優れた蛍光標識剤およびフタロシアニンを提供することである。
本発明者らは前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、上記課題を解決するための優れた特性を有するフタロシアニンを見出し、本発明をなしたものである。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表されるフタロシアニンを含むことを特徴とする蛍光標識剤に関する。
一般式(1)
Figure 2021059527

(R〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、−COOM、−SO、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基である。ただし、R〜R15の内の少なくとも一つは−SOである。Mは、水素原子またはアルカリ金属を表す。Mは、2価〜4価の金属原子を表し、Mが2価の金属原子である場合はkは0であり、Mが3価の金属原子である場合はkは1であり、Mが4価の金属原子である場合はkは2である。Zは、それぞれ独立に、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、−OP(=O)R1617、−OC(=O)R18、−OS(=O)19、または−OSiR202122を表す。R16およびR17は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。R18は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基を表す。R19は、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基を表す。R20〜R22は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を表す。)
本発明は、MがMg、Zn、AlまたはSiであることを特徴とする蛍光標識剤に関する。
本発明は、下記一般式(1)で表されることを特徴とするフタロシアニンに関する。
一般式(1)
Figure 2021059527


(R〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、−COOM、−SO、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基である。ただし、R〜R15の内の少なくとも一つは−SOである。Mは、水素原子またはアルカリ金属を表す。Mは、2価〜4価の金属原子を表し、Mが2価の金属原子である場合はkは0であり、Mが3価の金属原子である場合はkは1であり、Mが4価の金属原子である場合はkは2である。Zは、それぞれ独立に、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、−OP(=O)R1617、−OC(=O)R18、−OS(=O)19、または−OSiR202122を表す。R16およびR17は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。R18は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基を表す。R19は、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基を表す。R20〜R22は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を表す。)
本発明は、MがMg、Zn、AlまたはSiであることを特徴とするフタロシアニンに関する。
本発明によって、蛍光強度や耐光性に優れた蛍光標識剤、およびフタロシアニンを提供することが可能となった。
図1は、蛍光標識剤H−1の蛍光強度評価における蛍光スペクトルである。 図2は、蛍光標識剤H−2の蛍光強度評価における蛍光スペクトルである。 図3は、蛍光標識剤H−5の蛍光強度評価における蛍光スペクトルである。 図4は、蛍光標識剤H−57の蛍光強度評価における蛍光スペクトルである。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の蛍光標識剤に用いられるフタロシアニンは、一般式(1)で表される構造を有する。
アルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、2−エチルヘキシル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、tert−オクチル基、ネオペンチル基等を挙げることができる。アルキル基の炭素数は1〜30の範囲内であることが好ましい。
上記アルキル基における置換基としては、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシル基等の他、後述するアリール基、シクロアルキル基、複素環基が挙げられる。また、構造の一部が、エステル結合(−COO−)やエーテル結合(−O−)で置換されたものも置換基として含めるものとする。
したがって、置換アルキル基としては、上記の置換基で置換されたアルキル基を意味する。一つ又は二つ以上の置換基で置換されたものであっても良い。例えば、ハロゲン原子で置換されたアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、−(CFCF、−(CFCF、−(CFCF、−(CFCF、−(CFCF、トリクロロメチル基2,2−ジブロモエチル基等を挙げることができる。
また、エステル結合で置換されたアルキル基の具体例としては、−CH−CH−CH−COO−CH−CH、−CH−CH(−CH)−CH−COO−CH−CH、−CH−CH−CH−OCO−CH−CH、−CH−CH−CH−CH−COO−CH−CH(CH−CH)−CH−CH−CH−CH、−(CH)−COO−(CH11−CH、−CH−CH−CH−CH−(COO−CH−CH)等を挙げることができる。エステル結合で置換されたアルキル基の炭素数は、2〜30の範囲内であることが好ましい。
また、エーテル結合で置換されたアルキル基の具体例としては、−CH−O−CH、−CH−CH−O−CH−CH、−CH−CH−CH−O−CH−CH、−(CH−CH−O)−CH(ここでnは1から8の整数である)、−(CH−CH−CH−O)−CH(ここでmは1から5の整数である)、−CH−CH(CH)−O−CH−CH−、−CH−CH−(OCH等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。エーテル結合で置換されたアルキル基の炭素数は、2〜30の範囲内であることが好ましい。
また、エステル結合(−COO−)およびエーテル結合(−O−)で置換されたアルキル基の具体例としては、−CH−CH−COO−CH−CH−O−CH−CH(CH−CH)−CH−CH−CH−CH、−CH−CH−COO−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−CH(CH−CH)−CH−CH−CH−CHを挙げることができる。エステル結合(−COO−)およびエーテル結合で置換されたアルキル基の炭素数は、3〜30の範囲内であることが好ましい。
シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、2,5−ジメチルシクロペンチル基、4−tert−プチルシクロヘキシル基等が挙げられる。また、シクロアルキル基の炭素数は5〜12の範囲内であることが好ましい。置換シクロアルキル基の置換基としては、上述したアルキル基における置換基と同じ置換基が挙げられる。
アルケニル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。アルケニル基はその構造中に一つの二重結合を一般的に指すが、本明細書においては複数の二重結合を有するものもアルケニル基に含めるものとする。具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、1,3−ブタジエニル基等を挙げることができる。アルケニル基の炭素数は2〜18の範囲内であることが好ましい。置換アルケニル基の置換基としては、上述したアルキル基における置換基と同じ置換基が挙げられる。
アリール基としては、単環または縮合多環のアリール基が挙げられる。例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、p−ビフェニル基、m−ビフェニル基、2−アントリル基、9−アントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、9−フェナントリル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、9−フルオレニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、3−ペリレニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、4−メチルビフェニル基、ターフェニル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−tert−ブチル−1−ナフチル基、4−ナフチル−1−ナフチル基、6−フェニル−2−ナフチル基、10−フェニル−9−アントリル基、スピロフルオレニル基、2−ベンゾシクロブテニル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は6〜18の範囲内であることが好ましい。置換アリール基の置換基としては、上述したアルキル基における置換基と同じ置換基が挙げられる。
複素環基としては、脂肪族複素環基や芳香族複素環基が挙げられる。具体例としては、ピリジル基、ピラジル基、ピペリジノ基、ピラニル基、モルホリノ基、アクリジニル基等が挙げられる。また、下記構造式で表される基も挙げられる。複素環基の炭素数は、4〜12であることが好ましい。環員数は、5〜13であることが好ましい。
Figure 2021059527
置換複素環基の置換基としては、上述したアルキル基における置換基と同じ置換基が挙げられる。例えば、複素環基3−メチルピリジル基、N−メチルピペリジル基、N−メチルピローリル基等が挙げられる。
アルコキシル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルコキシル基が挙げられる。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチル−3−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2−エチルへキシルオキシ基等が挙げられる。アルコキシル基の炭素数は1〜6の範囲内であることが好ましい。置換アルコキシル基の置換基としては、上述したアルキル基における置換基と同じ置換基が挙げられる。
置換アルコキシル基の置換基としては、上述したアルキル基における置換基と同じ置換基が挙げられる。具体例としては、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロポキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−ブトキシエトキシ基、2−ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、単環または縮合多環のアリールオキシ基が挙げられる。具体例としては、フェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、ナフチルオキシ基、アンスリルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基は、単環のアリールオキシ基が好ましい。また、炭素数6〜12のアリールオキシ基が好ましい。
置換アリールオキシ基の置換基としては、上述したアルキル基における置換基と同じ置換基が挙げられる。例えば、p−ニトロフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、2,4−ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2−メチル−4−クロロフェノキシ基等が挙げられる。
のアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられる。
Mとしては、2価の金属原子としては、Be、Mg、Ca、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ca、Ru、Rh、Pd、Cd、Ba、Pt、等が挙げられる。3価の金属原子としては、Al、Ga、In等が挙げられる。4価の金属原子としては、Si、Mn、Sn、Cr、Zr等が挙げられる。蛍光強度の観点からは、Mg、Al、Si、Znが好ましい。
Zは、フタロシアニンの保存安定性の観点から水酸基、−OP(=O)R1617、−OS(=O)19、または−OSiR202122が好ましい。
本発明のフタロシアニンの置換基には、少なくとも一つの−SO基が含まれ、置換基の個数としては、フタロシアニンの水溶性の観点から1から8個が好ましい。
本発明の フタロシアニンの置換基には、フタロシアニンのα位に少なくとも一つの水酸基が含まれ、フタロシアニン中の水酸基の個数としては、1から8個が好ましい。さらには、分子内水素結合を形成し耐光性を向上させる観点からフタロシアニンのα位に1から4個の水酸基を有することがより好ましい。
(蛍光標識剤)
本発明の蛍光標識剤の用途は特に限定されないが、例えば、細胞、タンパク質や生体内の低分子化合物を蛍光ラベルすることで、生体内での挙動を可視化することが挙げられる。
この用途の場合、本発明のフタロシアニンに、抗原等のターゲット分子に結合する物質を修飾することが好ましい。ターゲット分子に結合する物質としては、ターゲット分子と特異的に結合する一次抗体、その一次抗体に結合する二次抗体、アビジン、ビオチン、あるいは糖鎖等が挙げられる。
また、近赤外領域の光を用いた画像診断として、毛細血管やがん腫瘍部分に本発明の蛍光標識剤を集め、毛細血管やがん腫瘍部分をイメージングすることも可能である。この方法は、励起光照射により近赤外領域に蛍光を放射する性質を持つ本発明の蛍光標識剤を造影剤として生体内に投与する。次に身体の外側から近赤外の波長である励起光を照射し、血管やがん腫瘍部分に集まった蛍光造影剤から放射される蛍光を検出して、肉眼で確認できない毛細血管や病変部位を確定するものである。
本発明のフタロシアニンの濃度は特に限定されないが、例えば、細胞を扱う場合、細胞の機能障害や増殖阻害等への影響を考量すると、濃度は低い方が好ましく、本発明のフタロシアニンの濃度は100μM以下であることが好ましい。
(蛍光標識剤の作製方法)
本発明における蛍光標識剤の作製方法は、特に限定されないが、例えば、本発明のフタロシアニンを水に溶解させる方法を挙げることができる。
水に溶解させるときは、プロペラ撹拌機、タービン撹拌機、ボルテックスミキサー、撹拌子を用いたマグネティックスターラーによる撹拌、あるいは超音波照射装置による溶解等が好適に用いられる。
上記の作製方法で使用される水としては、イオン交換水、蒸留水、あるいは超純水を挙げることができる。細胞を扱う場合は、生理条件に近づけるために水に塩を加えた生理食塩水、さらにリン酸緩衝剤を加えたリン酸緩衝生理食塩水等を好適に用いることができる。
本発明のフタロシアニンの合成方法としては特に限定されないが、例えば、フタロニトリル誘導体を原料として公知の方法でフタロシアニンを合成した後、下記反応式で示すように、対応するアルコキシフタロシアニンを濃硫酸と発煙硫酸の混合溶媒中で加熱撹拌することで、スルホン化およびアルコキシ基の分解によるヒドロキシル化を行い得ることができる。
Figure 2021059527

フタロニトリル誘導体が非対称の構造である場合、得られるフタロシアニンは置換基の位置が異なる異性体の混合物として得られる。本明細書においては、異性体の構造のうち一例を示している。
本発明のフタロシアニンの具体例としては、以下のフタロシアニンが挙げられるが、本発明のフタロシアニンはこれらに限定されない。
Figure 2021059527
Figure 2021059527
Figure 2021059527
Figure 2021059527
Figure 2021059527
Figure 2021059527
Figure 2021059527
Figure 2021059527
Figure 2021059527
本発明のフタロシアニンは、着色材として印刷インキ、IJインキ、プラスチック、塗料、繊維、文具、筆記具、化粧品等の着色に使用することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中「部」とは、「質量部」を表す。
<フタロシアニン1の製造方法>
Figure 2021059527


3−ニトロフタロニトリル10部および2,4−ジメチル−3−ペンタノール7.4部をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)70部に溶解し、この溶液に、別途調製したt−ブトキシナトリウム6.1部およびDMF40部を含む溶液を、0℃以下の温度で滴下し、室温(25℃)で2時間反応させた。その後、80%酢酸4.8部および塩酸17.5部を加え、更に、水70部を滴下して生じた結晶を濾別し、得られた結晶を水で洗浄した後に乾燥して、3−(2’,4’−ジメチル−3’−ペントキシ)フタロニトリル11.9部を得た。次に、キノリン68部および無水塩化アルミニウム2.2部の溶液にアンモニアガスを導入し、上記で得られた3−(2’,4’−ジメチル−3’−ペントキシ)フタロニトリル11.9部を加えた。180℃に加熱して2時間反応させた。これを室温(25℃)まで冷却し結晶を析出させた。生じた結晶を濾別し、結晶を47%メタノール水溶液で洗浄した後に乾燥して、フタロシアニン1を10.3部を得た。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した結果、m/z=1031.85(理論値1030.52)に分子イオンピークが検出され、上記フタロシアニン1の構造を有することが同定された。
<フタロシアニン2の製造方法>
Figure 2021059527

3−(2’,4’−ジメチル−3’−ペントキシ)フタロニトリル11.9部とn−アミルアルコール100部、塩化マグネシウム1.6部、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン8.4部を混合し、136℃で6時間還流した。攪拌したまま室温(25℃)まで冷却した反応溶液にメタノール50部を添加し、析出した固体をろ過し、メタノール150部で洗浄した後に乾燥して、フタロシアニン2を7.6部得た。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した結果、m/z=993.64(理論値992.55)に分子イオンピークが検出され、上記フタロシアニン2の構造を有することが同定された。
<フタロシアニン3の製造方法>
Figure 2021059527

3,6−ジエトキシフタロニトリル11.9部とn−アミルアルコール100部、塩化マグネシウム1.8部、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン9.4部を混合し、136℃で6時間還流した。攪拌したまま室温(25℃)まで冷却した反応溶液にメタノール50部を添加し、析出した固体をろ過し、メタノール150部で洗浄した後に乾燥してフタロシアニン3を7.0部得た。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した結果、m/z=889.54(理論値888.34)に分子イオンピークが検出され、上記フタロシアニン3の構造を有することが同定された。
<フタロシアニン4の製造方法>
Figure 2021059527

フタロシアニン2の製造方法で使用した塩化マグネシウムを塩化亜鉛2.2部に変更して、フタロシアニン2の製造方法と同様にして製造した。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した結果m/z=1033.91(理論値1032.50)に分子イオンピークが検出され、上記フタロシアニン4の構造を有することが同定された。
<フタロシアニン5の製造方法>
Figure 2021059527

スルホラン120部、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)6.2部に3−(2’,4’−ジメチル−3’−ペンチル)オキシ−1,3−ジイミノイソインドリン10部および四塩化珪素6.2部を加え、160〜170℃で8時間加熱撹拌後、室温(25℃)まで冷却し、35%塩酸80部と水1500部の混合溶液に注入撹拌し、80℃で2時間加熱撹拌した。その後、析出した沈澱を濾別して、メタノール:水(質量比4:1)混合溶液で洗浄後、乾燥して、フタロシアニン5を5.9部得た。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した結果m/z=1031.68(理論値1030.55)に分子イオンピークが検出され、上記フタロシアニン5の構造を有することが同定された。
<フタロシアニン6〜13の製造方法>
フタロシアニン1の製造方法で使用した3−(2’,4’−ジメチル−3’−ペントキシ)フタロニトリルを下記に示すフタロニトリル誘導体に変更した以外は、フタロシアニン1の製造と同様にして、表2に示すフタロシアニン6〜13をそれぞれ製造した。尚、フタロニトリル誘導体は、フタロシアニン1の製造における3−(2’,4’−ジメチル−3’−ペントキシ)フタロニトリルと同モル量使用した。また、フタロニトリル誘導体とフタロシアニンの置換基Raは同じ置換基を表す。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した結果、表2に示した分子イオンピーク(m/z)が検出され、表2に示したフタロシアニン6〜13の構造を有することが同定された。

フタロニトリル誘導体
Figure 2021059527


フタロシアニン6〜13
Figure 2021059527

Figure 2021059527

<フタロシアニン14〜29の製造方法>
フタロシアニン14〜21は、フタロシアニン2の製造方法で使用した3−(2’,4’−ジメチル−3’−ペントキシ)フタロニトリルを下記に示すフタロニトリル誘導体に変更した以外は、フタロシアニン2の製造と同様にして、それぞれ製造した。またフタロシアニン22〜29は、フタロシアニン2の製造方法で使用した塩化マグネシウムを塩化亜鉛2.2部に変更して、フタロシアニン2の製造方法と同様にして製造した。尚、フタロニトリル誘導体は、フタロシアニン2の製造における3−(2’,4’−ジメチル−3’−ペントキシ)フタロニトリルと同モル量使用した。また、フタロニトリル誘導体とフタロシアニンの置換基Raは同じ置換基を表す。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した結果、表3に示した分子イオンピーク(m/z)が検出され、表3に示したフタロシアニン14〜29の構造を有することが同定された。

フタロニトリル誘導体
Figure 2021059527



フタロシアニン14〜29
Figure 2021059527

Figure 2021059527

<フタロシアニン30〜37の製造方法>
フタロシアニン5の製造方法で使用した3−(2’,4’−ジメチル−3’−ペンチル)オキシ−1,3−ジイミノイソインドリンを下記に示すジイミノイソインドリン誘導体に変更した以外は、フタロシアニン5の製造と同様にして、表4に示すフタロシアニンをそれぞれ製造した。尚、ジイミノイソインドリン誘導体は、フタロシアニン5の製造における3−(2’,4’−ジメチル−3’−ペンチル)オキシ−1,3−ジイミノイソインドリンと同モル量使用した。また、ジイミノイソインドリン誘導体とフタロシアニンの置換基Raは同じ置換基を表す。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した結果、表4に示した分子イオンピーク(m/z)が検出され、表4に示したフタロシアニン30〜37の構造を有することが同定された。

ジイミノイソインドリン誘導体
Figure 2021059527


フタロシアニン30〜37
Figure 2021059527

Figure 2021059527

<フタロシアニン38の製造方法>
Figure 2021059527


フタロシアニン5の製造方法で使用した四塩化ケイ素をトリクロロオクタデシルシランに変更した以外は、フタロシアニン5の製造と同様にして製造した。尚、トリクロロオクタデシルシランは、フタロシアニン5の製造における四塩化ケイ素と同モル量使用した。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した結果、m/z=1267.36(理論値1266.84)に分子イオンピークが検出され、上記フタロシアニン38の構造を有することが同定された。
[実施例1]
<フタロシアニンF−1の製造方法>
Figure 2021059527

濃硫酸9.2部、25%発煙硫酸5.5部の混合溶液にフタロシアニン1を1部加え、50℃で4時間加熱撹拌した。反応液を冷却後、80部の氷に反応液を添加し、析出した沈澱を濾別した。さらに、テトラヒドロフラン50部に濾別した固体を懸濁させ、再度沈澱を濾別して、テトラヒドロフラン50部で洗浄後、乾燥して、0.5部の粗製物を得た。粗製物を中圧分取液体クロマトグラフ(山善製Smart Flash AKROS)を用いて精製し、0.2部のフタロシアニンF−1を得た。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した結果、m/z=939.65(理論値940.75)に分子イオンピークが検出された。NMR(CDCl):δ 12.26(4H,s)8.58(4H,d,J=6.8Hz)7.54(4H,d,J=9.6Hz)。
[実施例2〜37]
<フタロシアニンF−2〜F−37の製造方法>
フタロシアニンF−1の製造方法で使用したフタロシアニン1を表5に示すフタロシアニンに変更した以外は、フタロシアニンF−1の製造と同様にして、表5に示すフタロシアニンをそれぞれ製造した。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した結果、表5に示した分子イオンピーク(m/z)が検出され、表5に示したフタロシアニンF−2〜F−37の構造を有することが同定された。
Figure 2021059527

Figure 2021059527

[実施例38]
<フタロシアニンF−38の製造方法>
Figure 2021059527

フタロシアニンF−1の製造方法で使用したフタロシアニン1をフタロシアニン38に変更した以外は、フタロシアニンF−1の製造と同様にして製造した。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した結果、m/z=1193.36(理論値1194.23)に分子イオンピークが検出され、上記フタロシアニンF−38の構造を有することが同定された。
[実施例39]
<フタロシアニンF−39の製造方法>
Figure 2021059527

N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)20部中で、フタロシア二ンF−1を1部とトリフェニルクロロシラン0.25部を45℃で2時間反応させた。その後、真空蒸留にてDMFを除去し、粗製物を中圧分取液体クロマトグラフ(山善製Smart Flash AKROS)を用いて精製し、0.15部のフタロシアニンF−39を得た。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した結果m/z=1197.21(理論値1198.03)に分子イオンピークが検出され、上記フタロシアニンF−39の構造を有することが同定された。
[実施例40〜51]
<フタロシアニンF−40〜51の製造方法>
フタロシアニンF−39の製造方法で使用したトリフェニルクロロシランを、表6に示す酸性化合物にそれぞれ変更して、フタロシアニンF−39と同様にして、表6に示すフタロシアニンF−40〜51をそれぞれ製造した。尚、酸性化合物は、フタロシアニンF−39の製造におけるトリフェニルクロロシランと同モル量使用した。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した結果、表6に示した分子イオンピーク(m/z)が検出され、表6に示したフタロシアニンF−40〜51の構造を有することが同定された。
Figure 2021059527
[実施例52]
<フタロシアニンF−52の製造方法>
Figure 2021059527

N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)20部中で、フタロシア二ンF−5を1部と3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン0.37部を45℃で2時間反応させた。その後、真空蒸留にてDMFを除去し、粗製物を中圧分取液体クロマトグラフ(山善製Smart Flash AKROS)を用いて精製し、0.25部のフタロシアニンF−52を得た。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した結果m/z=1187.24(理論値1188.10)に分子イオンピークが検出され、上記フタロシアニンF−52の構造を有することが同定された。
[実施例53、54]
<フタロシアニンF−53、54の製造方法>
フタロシアニンF−52の製造方法で使用した3−アミノプロピルジメチルエトキシシランを表7に示す酸性化合物にそれぞれ変更してフタロシアニンF−52と同様にして製造した。尚、酸性化合物は、フタロシアニンF−52の製造における3−アミノプロピルジメチルエトキシシランと同モル量使用した。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した結果、表7に示した分子イオンピーク(m/z)が検出され、表7に示したフタロシアニンF−53、54の構造を有することが同定された。
Figure 2021059527
[比較例1]
<フタロシアニンF−55の製造方法>
Figure 2021059527


30%発煙硫酸10部にフタロシアニンクロロアルミニウム(東京化成製)を1部加え、60℃で10時間加熱撹拌した。反応液を冷却後、80部の氷に反応液を添加し、析出した沈澱を濾別した。さらに、テトラヒドロフラン50部に濾別した固体を懸濁させ、再度沈澱を濾別して、テトラヒドロフラン50部で洗浄後、乾燥して、フタロシアニンF−55を得た。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した結果m/z=715.03(理論値716.05)とm/z=795.75(理論値796.00)に分子イオンピークが検出され、スルホン基が2個または3個導入された構造を有することが同定された。
[比較例2]
<フタロシアニンF−56の製造方法>
Figure 2021059527


国際公開WO2009/133668号広報の実施例1記載の方法で上記フタロシアニンの混合物を得た。
[比較例3]
インドシアニングリーン(東京化成製)を用いた。
[実施例55]
<蛍光標識剤の作製H−1>
リン酸緩衝液(GibcoTM PBS pH7.2 ThermoFisher SCIENTIFIC社製)20000部にフタロシアニンF−1を0.038部溶解した。0.2μmナイロン製メンブレンフィルターで濾過して、フタロシアニンF−1の蛍光標識剤を作製した。
[実施例56〜108]
<蛍光標識剤H−2〜54の作製>
蛍光標識剤H−1の作製で使用したフタロシアニンF−1のかわりに、表8に示すフタロシアニンに変更した以外は、蛍光標識剤H−1の作製と同様にして、蛍光標識剤H−2〜54をそれぞれ作製した。ただし、各フタロシアニンは、フタロシアニンF−1と同モル量使用した。
[比較例4]
<蛍光標識剤H−55の作製>
蛍光標識剤H−1の作製で使用したフタロシアニンF−1をフタロシアニンF−55 0.03部に変更した以外は、蛍光標識剤H−1の作製と同様にして、蛍光標識剤H−55を作製した。
[比較例5]
<蛍光標識剤H−56の作製>
蛍光標識剤H−1の作製で使用したフタロシアニンF−1をフタロシアニンF−56 0.12部に変更し、さらに炭酸ナトリウムを0.06部添加した以外は、蛍光標識剤H−1の作製と同様にして、蛍光標識剤H−56を作製した。
[比較例6]
<蛍光標識剤H−57の作製>
蛍光標識剤H−1の作製で使用したフタロシアニンF−1を、インドシアニングリーンに変更した以外は、蛍光標識剤H−1の作製と同様にして、蛍光標識剤H−57を作成した。インドシアニングリーンは、フタロシアニンF−1と同モル量使用した。
<蛍光強度評価>
各々の蛍光標識剤について、蛍光光度計(日本分光株式会社製、FP−6500)を用いて蛍光スペクトルを測定し、蛍光波長780〜840nmの範囲内での最大蛍光強度を求めた。また、この時の励起光は色素の最も長波長側の吸収極大波長に相当する波長を用いた。比較例6の蛍光標識剤H−57の最大蛍光強度を1とした時の、各々の分散体の蛍光強度の相対値を算出し、下記の基準に基づいて評価した。蛍光強度の相対値が4以上である場合、各フタロシアニンは蛍光標識剤としての特性が良好であるといえる。(実用レベルは3以上)
4:蛍光強度8以上
3:蛍光強度4以上、8未満
2:蛍光強度1以上、4未満
1:蛍光強度1未満
<耐光性評価>
各々の蛍光標識剤について、色素の最も長波長側の吸収極大波長に相当する波長を、蛍光分光光度計(日本分光社製FP―6500、励起波長のスリット幅20nm)で2時間間照射した際の吸収スペクトルの変化を分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、U−4100)を用いてそれぞれ測定した。光照射前の最大吸収波長の吸光度をI、光照射後の最大吸収波長の吸光度をIを記録し、I/I値を耐光性の指標とした。
評価基準は以下の通りである。(実用レベルは3以上)
4:相対強度 90%以上
3:相対強度 85%以上、90%未満
2:相対強度 80%以上、85%未満
1:相対強度 80%未満
<細胞の視認性評価>
10%Fetal Bovine Serum(FBS)および1%ペニシリン―ストレプトマイシンを含ませたMinimum Essential Media(MEM)の培地にHeLa細胞を混合し、これらの100μlを96ウェルプレートに添加した際に、各ウェルのHeLa細胞が5×10cell/wellになるようにHeLa細胞を播種し、インキュベーター(37℃、5%CO含有Air、加湿環境)内で24時間培養した。その後、ウェルプレート中の培地を取り除き、蛍光標識剤を上記培地で10倍希釈したものをそれぞれ10μl添加し、さらにインキュベーター内に24時間静置した。その後、各ウェルの培地を取り除き、リン酸緩衝液(GibcoTM PBS pH7.2 ThermoFisher SCIENTIFIC社製)100μlで洗浄後、上記培地を100μl添加した。適切な波長の励起フィルターおよび蛍光フィルターを設置した蛍光顕微鏡(キーエンス社製、BZ−X800)を用いて、細胞の暗視野像と蛍光像を観察した。細胞の像が、明瞭に観察されれば良好であり、不明瞭であれば不良である。
以下、評価結果を表8に示す。図に蛍光標識剤H−1、H−2、H−5、H−57の蛍光スペクトルを示す。
Figure 2021059527

Figure 2021059527
本発明のフタロシアニンを用いて作製した蛍光標識剤H−1〜54(実施例55〜108)は、蛍光標識剤H−55〜57(比較例4〜6)よりも蛍光強度、耐光性が良好であった。さらに、これらが向上したことで細胞の視認性も明瞭であった。このことから、本発明のフタロシアニンは、優れた蛍光標識剤としての特性を有することが明らかとなった。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表されるフタロシアニンを含むことを特徴とする蛍光標識剤。

    一般式(1)
    Figure 2021059527


    (R〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、−COOM、−SO、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基である。ただし、R〜R15の内の少なくとも一つは−SOである。Mは、水素原子またはアルカリ金属を表す。Mは、2価〜4価の金属原子を表し、Mが2価の金属原子である場合はkは0であり、Mが3価の金属原子である場合はkは1であり、Mが4価の金属原子である場合はkは2である。Zは、それぞれ独立に、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、−OP(=O)R1617、−OC(=O)R18、−OS(=O)19、または−OSiR202122を表す。R16およびR17は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。R18は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基を表す。R19は、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基を表す。R20〜R22は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を表す。)
  2. MがMg、Zn、AlまたはSiであることを特徴とする請求項1記載の蛍光標識剤。
  3. 下記一般式(1)で表されることを特徴とするフタロシアニン。
    一般式(1)
    Figure 2021059527


    (R〜R15は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、−COOM、−SO、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基である。ただし、R〜R15の内の少なくとも一つは−SOである。Mは、水素原子またはアルカリ金属を表す。Mは、2価〜4価の金属原子を表し、Mが2価の金属原子である場合はkは0であり、Mが3価の金属原子である場合はkは1であり、Mが4価の金属原子である場合はkは2である。Zは、それぞれ独立に、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、−OP(=O)R1617、−OC(=O)R18、−OS(=O)19、または−OSiR202122を表す。R16およびR17は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。R18は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基を表す。R19は、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基を表す。R20〜R22は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を表す。)
  4. MがMg、Zn、AlまたはSiであることを特徴とする請求項3記載のフタロシアニン。



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