JP2021055831A - 複列円すいころ軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】接触角の適正化により、アキシアル荷重が主に一方向から作用し、また逆方向にアキシアル荷重が作用する場合が生じる荷重条件下で、両列の負荷荷重を均衡化し、軸受全体として長寿命化が達成できる複列円すいころ軸受を提供する。【解決手段】正面組合せの複列円すいころ軸受である。アキシアル荷重の荷重負荷列Aの接触角θAが、非負荷側列Bの接触角θBよりも大きい。両列A,Bの接触角θA,θBの差が15°以上である。非負荷側列Bのころのころ長さところ径のいずれか一方またはは両方が、荷重負荷列Aのころのころ長さところ径よりも大きい。25°≦荷重負荷列Aの接触角θA≦35°、でかつ、5°≦非負荷側列Bの接触角θB≦15°であってもよい。【選択図】図1

Description

この発明は、左右列非対称設計の複列円すいころ軸受、例えば、風力発電装置主軸用軸受等の複列円すいころ軸受に関する。
調心輪つき円すいころ軸受として、複列円すいころ軸受の左右列のころ長さ、ころ径等を互いに異ならせることにより、アキシアルを負荷する列の負荷容量を高めることが提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2006−177446号公報
正面組合せの複列円すいころ軸受と円筒ころ軸受とを組み合わせる配置は、風車主軸用の軸受装置としてよく採用されている。
複列円すいころ軸受の強度不足の要因の一つは、アキシアル荷重により両列のころに不均衡負荷が発生し、両列の仕様が同じである場合、アキシアル荷重が主に負荷される側の列である荷重負荷列が先に疲労限度に至ると考えられる。そのため、通常の設計思想では荷重負荷列の負荷容量を大きくする。
しかし、風車の風荷重は一定ではないため、非負荷側列に大きな荷重が負荷されることがあり、非負荷側列の高負荷容量も必要となる。そのため、従来の設計思想では、非負荷側列の負荷容量が不足し、非負荷側列の安全率が基準に対して厳しくなる。
この発明の目的は、接触角の適正化により、アキシアル荷重が主に一方向から作用し、また逆方向にもアキシアル荷重が作用する場合が生じる荷重条件下で、両列の負荷荷重を均衡化し、軸受全体として長寿命化が達成できる複列円すいころ軸受を提供することである。
この発明の複列円すいころ軸受は、正面組合せの複列円すいころ軸受であって、
アキシアル荷重が主に負荷される側の列である荷重負荷列の接触角が、反対側の列である非負荷側列の接触角よりも大きく、かつ両列の接触角の差が15°以上である。
なお、前記「主に」とは、アキシアル荷重の方向が定まっていればその方向を、アキシアル荷重の方向が変動することがある場合は、多くの時間アキシアル荷重が作用する方向を示す。
この構成によると、荷重負荷列の接触角が非負荷側列の接触角よりも大きいため、荷重負荷列のアキシアル荷重の負荷能力が高まる。その反面、荷重負荷列のラジアル荷重の負荷能力が低減する。複列円すいころ軸受では、作用する荷重は一般的に、アキシアル荷重よりもラジアル荷重の方が大きく、ラジアル荷重は両列で負荷することになる。そのため複列円すいころ軸受は、軸受全体としてアキシアル荷重とラジアル荷重との負荷能力の均衡化を図る必要がある。
この場合に、両列の接触角の差を15°以上と大きくしたため、荷重負荷列の接触角をある程度大きくしながら、非負荷側列の接触角を十分に小さくできる。非負荷側列の接触角が小さくなることで、非負荷側列のラジアル荷重の負荷能力が高まり、荷重負荷列のラジアル荷重の負荷能力の低減が補える。これにより、アキシアル荷重とラジアル荷重の両方を考慮すると、両列の負荷荷重が均衡化し、両列の寿命が均衡化して軸受全体の長寿命化が達成できる。
この発明において、非負荷側列のころのころ長さところ径のいずれか一方または両方が、荷重負荷列のころのころ長さところ径よりも大きくてもよい。
複列円すいころ軸受は、荷重の方向や大きさが大きく変動する条件で使用される場合がある。例えば、風力発電装置主軸用軸受として使用する場合、風車の風荷重は大きく変化するため、非負荷側列に大きな荷重が負荷される場合がある。このような場合に、非負荷側列のころのころ長さところ径のいずれか一方または両方が、荷重負荷列のころのころ長さところ径よりも大きく形成されていると、非負荷側列に大きなアキシアル荷重とラジアル荷重が負荷されても、安全率の基準を満足させることが容易となる。
この発明において、両列の接触角の差を15°以上するだけでなく、各列の接触角につき、次の条件を充足することがより好ましい。
25°≦荷重負荷列の接触角≦35°
5°≦非負荷側列の接触角≦15°
荷重負荷列の接触角が25°以上であり、非負荷側列の接触角が15°以下であると、両列の軸受中心軸上における両列の作用点間距離Mが、左右対称設計の複列円すいころ軸受の50%〜75%程度になる。そのため、非負荷側列のラジアル荷重の負荷割合が、左右対称設計の複列円すいころ軸受よりも高くなる。このように非負荷側列のラジアル荷重の負荷割合が高くなることで、アキシアル荷重が一方向に偏って作用する使用条件下で、対称設計よりも両列の荷重の均等化が実現できる。
荷重負荷列の接触角が35°以上であると、荷重負荷列のラジアル荷重の負荷能力が低減するため、好ましくない。また、非負荷側列の接触角が5°以下であると、アキシアル荷重が反対方向に作用した場合に、アキシアル荷重の負荷能力が不足する。
この発明において、両例のころピッチ円直径の比(PCD/PCD)が、
0.9≦(PCD/PCD)≦1.1
であってもよい。
両列で接触角を異ならせると、両列の間で必要な中つばの高さに差が生じる。この中つばの高さの差を抑えるため、両列のピッチ円直径の比(PCD/PCD)を定量的に定めておくことが好ましく、ピッチ円直径の比(PCD/PCD)を、上記の、
0.9≦(PCD/PCD)≦1.1
となる範囲に設定することで、両列間で中つばの高さの差が大きくなり過ぎることを抑制できる。
この発明において、内輪が両列の軌道面間に中つばを有する場合、この中つばの厚みTHが、
TH≦0.15×内輪幅
であることが好ましい。
中つばは、アキシアル荷重が作用する場合にころの軸方向の移動を抑えるためにある程度の厚みTH必要であるが、中つばの厚みTHが0.15×内輪幅の範囲を超えて大きくなると、中つばによって軌道面幅、ころ長さが無駄に小さくなる。
この発明の風力発電装置主軸用軸受は、この発明の前記のうちのいずれかの構成の複列円すいころ軸受とされる。
風力発電装置主軸用軸受の場合、風車の風荷重が時によって大きく変動するため、この発明の複列円すいころ軸受の構成であることによる作用,効果が、効果的に発揮される。
この発明の複列円すいころ軸受は、正面組合せの複列円すいころ軸受であって、アキシアル荷重が主に負荷される側の列である荷重負荷列の接触角が、反対側の列である非負荷側列の接触角よりも大きく、かつ両列の接触角の差が15°以上であるため、接触角の適正化により、アキシアル荷重が主に一方向から作用し、かつ逆方向にもアキシアル荷重が作用する場合が生じる荷重条件下で、両列の負荷荷重を均衡化し、軸受全体として長寿命化が達成できる。
また、この発明の風力発電装置主軸用軸受は、この発明の複列円すいころ軸受からなるため、風車の風荷重が大きく変動しても、両列の負荷荷重を均衡化し、軸受全体として長寿命化が達成できる。
この発明の第1の実施形態に係る複列円すいころ軸受の部分断面図である。 同複列円すいころ軸受の各部の寸法を示す断面図である。 同複列円すいころ軸受における両列のころの部分破断正面図である。 従来の対称品および第1の実施形態に係る設計(1)、設計(2)の複列円すいころ軸受の荷重負荷列における疲労荷重での転動体荷重分布のシミュレーション例を示す説明図である。 従来の対称品および第1の実施形態に係る設計(1)、設計(2)の複列円すいころ軸受の非負荷側列における疲労荷重での転動体荷重分布のシミュレーション例を示す説明図である。 この発明の他の実施形態に係る複列円すいころ軸受の部分断面図である。 同複列円すいころ軸受と円筒ころ軸受とを組み合わせた軸受装置の断面図である。 第1の実施形態に係る複列円すいころ軸受を風力発電装置主軸用軸受として用いた風力発電装置の断面図である。
<第1の実施形態>
この発明の第1の実施形態を図1、図2と共に説明する。
この複列円すいころ軸受1は、左右の列A,Bの接触角θ,θが互いに異なる左右非対称型で、かつ正面組み合わせ型とされている。この複列円すいころ軸受1は、内輪2と、外輪3と、これら内外輪2,3の複列の軌道面4,5間にそれぞれ介在した複列のころ6,7と、各列のころ6,7をそれぞれ保持する2つの保持器8,9とで構成される。各列のころ6,7は円すいころであり、軸受幅方向の中央側が大径とされている。
この実施形態では、内輪2が複列の軌道面4,4を持つ単独の部材で構成され、外輪3が単列外輪3A,3Bで構成されている正面組み合わせ型である。
内輪2の両列の軌道面4,4は、軸受幅方向の中央側が大径となるテーパ面とされ、内輪2の外周面には、両列の軌道面4,4の間に中つば11が設けられている。中つば11は、幅方向の中央付近から非負荷列側列端に至る範囲の外周面部が、非負荷列側列B側に次第に低くなるテーパ面状とされている。各軌道面4,4の軸受端部側には隣接して端つば12,12が設けられている。
外輪3の両列の軌道面5,5は、軸受幅方向の中央側が大径となるテーパ面であり、内輪の軌道面4,4とは、ころ6,7の外周面の傾斜角度分だけ相違している。外輪3はつばを有しておらず、両列の外輪3A,3Bの間に外輪間座3Cが介在している。
この複列円すいころ軸受1は、図の左側の列Aが荷重負荷列、右側の列Bが非負荷側列であり、内外輪2,3の軌道面4,5の傾斜角度の差、およびころ6,7のテーパ角度により、荷重負荷列Aの接触角θが、非負荷側列Bの接触角θよりも大きく形成されている。荷重負荷列Aは、内輪回転の場合内輪2に作用するアキシアル荷重F、あるいは外輪回転の場合外輪3Aに作用するアキシアル荷重Gが主に負荷される側の列である。非負荷側列Bは荷重負荷列Aと反対側の列である。
荷重負荷列Aの接触角θと非負荷側列Bの接触角θとの差は、15°以上とされている。また、各列A,Bの接触角θ,θは、次式を満たす範囲とされている。
25°≦(荷重負荷列Aの接触角θ)≦35°
5°≦(非負荷側列Bの接触角θ)≦15°
両列A,Bのころ6,7のころ長さおよびころ径については、いずれも、非負荷側列Bのころ7のころ長さL(図2)およびころ径Dの方が、荷重負荷列Aのころ長さLおよびころ径D(図示せず)よりも大きくされている。なお、非負荷側列Bのころ7のころ長さLおよびころ径Dのいずれか一方だけが荷重負荷列Aより大きくされてもよい。ころ6,7の端部が外周面に面取部が設けられている場合、ころ長さL,Lの比較について、面取部の幅を含む長さ同士で比較しても、面取部の幅を含まない長さ同士で比較してもよい。ころ径D,Dは、各列のころ6,7の最大径である。
A列ころ6の大端面中央にセンター穴6−1(図3参照)を設けている。B列ころ7の大端面中央にセンター穴7−1、小端面に円環状の識別印7−2を設けている。
両列A,Bのころ配列のピッチ円直径PCD,PCDは、その比(PCD/PCD)について、
0.9≦(PCD/PCD)≦1.1とされている。
内輪2の両列A,Bの軌道面4.4の間の中つば11の厚みTHについては、
TH≦0.15×内輪幅W
とされている。
前記中つば11のA列側の高さHAとB列側の高さHBについては、
HA≧HB (HA=HBが望ましい)
とされている。
前記中つば11のA列ころとの接触点の高さCAとB列ころとの接触点の高さCBについては、
|CA−CB|≦3mm
とされている。
<作用、効果、詳細構成>
この構成によると、荷重負荷列Aの接触角θ(図1)が非負荷側列Bの接触角θよりも大きいため、荷重負荷列Aのアキシアル荷重の負荷能力が高まる。その反面、荷重負荷列Aのラジアル荷重の負荷能力が低減する。複列円すいころ軸受では、作用する荷重は一般的に、アキシアル荷重よりもラジアル荷重の方が大きく、ラジアル荷重は両列で負荷することになる。そのため複列円すいころ軸受は、軸受全体としてアキシアル荷重とラジアル荷重との負荷能力の均衡化を図る必要がある。
この場合に、両列A,Bの接触角θ,θの差を15°以上と大きくしたため、荷重負荷列Aの接触角θをある程度大きくしながら、非負荷側列Bの接触角θを十分に小さくできる。非負荷側列Bの接触角θが小さくなることで、非負荷側列Bのラジアル荷重の負荷能力が高まり、荷重負荷列Aのラジアル荷重の負荷能力の低減が補える。これにより、アキシアル荷重とラジアル荷重の両方を考慮すると、両列A,Bの負荷荷重が均衡化し、両列A,Bの寿命が均衡化して軸受全体の長寿命化が達成できる。
また、非負荷側列Bのころ7のころ長さLが、荷重負荷列Aのころのころ長さLよりも大きい。そのため、次の利点が得られる。
複列円すいころ軸受は、荷重の方向や大きさが大きく変動する条件で使用される場合がある。例えば、風力発電装置主軸用軸受として使用する場合、風車の風荷重は大きく変化するため、非負荷側列に大きな荷重が負荷される場合がある。このような場合に、非負荷側列Bのころ7のころ長さLが、荷重負荷列Aのころ6のころ長さLよりも大きく形成されていると、非負荷側列Bに大きな荷重が負荷されても、安全率の基準を満足させることが容易となる。
ころ端面にセンター穴6−1,7−1、識別印7−2を設けることで、異種ころ組みの防止ができる。
両列の接触角θ,θは、その差を15°以上するだけでなく、前記の条件、
25°≦荷重負荷列Aの接触角θ≦35°
5°≦非負荷側列Bの接触角θ≦15°
を充足しているため、アキシアル荷重が一方向に偏って作用する使用条件下で、対称設計よりも両列の荷重の均等化が実現できるなどの効果が得られる。
荷重負荷列Aの接触角θが25°以上であり、非負荷側列の接触角が15°以下であると、両列A,Bの軸受中心軸O上における両列の作用点P,P間の距離Mが、左右対称設計の複列円すいころ軸受の50〜75%程度になる。そのため、非負荷側列Bのラジアル荷重の負荷割合が、左右対称設計の複列円すいころ軸受よりも高くなる。このように非負荷側列Bのラジアル荷重の負荷割合が高くなることで、アキシアル荷重が一方向に偏って作用する使用条件下で、対称設計よりも両列の荷重の均等化が実現できる。
荷重負荷列Aの接触角θ角が35°を超えると、荷重負荷列Aのラジアル荷重の負荷能力が低減するため、好ましくない。また、非負荷側列Bの接触角θが5°未満であると、アキシアル荷重が反対方向に作用した場合に、アキシアル荷重の負荷能力が不足する。
また、接触角θ,θの大きさにより両列A,Bでの中つば11の両側の高さの差を抑えるためには、両列のピッチ円直径PCD,PCDの比(PCD/PCD)を定量的にすることが好ましい。
この実施形態では、前記のように両例A,Bのころピッチ円直径の比(PCD/PCD)が、
0.9≦(PCD/PCD)≦1.1
とされている。
このため、両列A,B間で中つば11の両側の高さの差が大きくなり過ぎることを抑制できる。
中つば11の厚みTHに関しては、前記のように、
TH≦0.15×内輪幅W
であることが好ましい。
中つば11は、アキシアル荷重が作用する場合にころ6,7の軸方向の移動を抑えるためにある程度の厚みTH必要であるが、中つば6,7の厚みTHが0.15×内輪幅Wの範囲を超えて大きくなると、中つば11によって軌道面幅、ころ長さが無駄に小さくなる。
<計算結果>
表1に、同一サイズで各設計での安全率と基本定格寿命を比較して示す。表中の非対称設計(1),(2)は図1,2の実施形態品を、非対称設計(3)は両列A,Bの接触角θ,θの差が15°未満となる比較例を示す。各列のころ長さ、ころ径、安全率については、対称設計品(両列の接触角が同じである従来品)の値を、それぞれころ長さL、ころ径D、安全率S0A、S0Bで示し、非対称設計(1), (2)の各値では、従来品の各値の倍率で示している。基本定格寿命については、対称設計品のA列(アキシアル荷重負荷列)の値をLAで示し、各設計における各列の基本定格寿命及び総合寿命では、LAの倍率で示している。
表1に示した結果より、実施形態品となる非対称設計(1),(2)では、対称品の約2倍の基本定格寿命を達成し、安全率も対称品とほぼ同程度であることが分かる。
図4、図5は、アキシアル荷重負荷列Aおよびアキシアル非負荷側列Bにおける疲労荷重での軸受全周の転動体荷重分布をそれぞれ示す。対称品では、アキシアル荷重負荷列Aの転動体荷重分布曲線(図4(A))の径が、アキシアル非負荷側列Bにおける転動体荷重分布曲線(図5(A))に比べて大幅に大きくなっている。これに対し、実施形態品(非対称品)では、アキシアル荷重負荷列Aの転動体荷重分布曲線(図4(B)(C))とアキシアル非負荷側列Bの転動体荷重分布曲線(図5(B)、(C))の径とに大きな差が生じておらず、両列A、Bの転動体荷重分が均衡化していることが分かる。
なお、実施形態品(非対称品)は、アキシアル非負荷側列Bでは転動体荷重分布曲線(図5(B)、(C))がアキシアル荷重負荷列Aの転動体荷重分布曲線(図5(A))よりも若干大きいが、対称品のアキシアル荷重負荷列Aにおける転動体荷重分布曲線(図4(A))の径が大幅に大きくなっているため、両列A、Bの全体として、実施形態品(非対称品)の方が転動体荷重分布曲線が小さくなっている。
Figure 2021055831
<他の実施形態>
図6は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態において、特に説明する事項の他は、図1〜図5と共に説明した第1の実施形態と同様である。第1の実施形態では、内輪2が複列の軌道面4,4を持つ単独の部材で構成されているが、図6の実施形態では、内輪2が2個の単列内輪2A,2Bからなる。これに伴い、中つば11は、2つの単列中つば11A,11Bで構成される。外輪3は、第1の実施形態と同様に、2個の単列外輪3A,3Bで構成されている。このように、2個の単列円すいころ軸受1A,1Bで構成されている。同図において、図1の保持器8,9は、図示が省略されている。
このように構成した場合も、第1の実施形態で説明した各作用、効果が得られる。
<円筒軸受との組み合わせ例>
図7は、複列円すいころ軸受1と円筒ころ軸受15とを組み合わせた軸受装置の一例を示す。この軸受装置は、風車や各種の産業機械の主軸の支持などに適用される。
主体16の前後部が、複列円すいころ軸受1と、円筒ころ軸受15とを介してハウジング17に支持されている。複列円すいころ軸受1は、図6に示す実施形態を用いているが、図1に示す第1の実施形態に係る複列円すいころ軸受1であってもよい。円筒ころ軸受15は、内輪18,外輪19、および円筒ころ20、および保持器(図示せず)を有する。ハウジング17は、この例では円筒状の一つの部材で構成されているが、軸1を支持する複列円すいころ軸受1および円筒ころ軸受15は、それぞれ個別のハウジング(図示せず)に設置されていてもよい。
<風力発電装置>
図8は、この発明の実施形態に係る複列円すいころ軸受1を用いた風力発電装置の一例を示す。支持台21上に旋回座軸受22を介してナセル23のケーシング23aが水平旋回自在に設置されている。ナセル23のケーシング23a内には、軸受ハウジング24に設置された風力発電装置主軸用軸受25を介して主軸26が回転自在に設置され、主軸26のケーシング23a外に突出した部分に、旋回翼となるブレード27が取り付けられている。主軸26の他端は、増速機28に接続され、増速機28の出力軸が発電機29のロータ軸に結合されている。風力発電装置主軸用軸受25は、図示の例では2個並べて設置してあるが、1個であってもよい。
前記各風力発電装置主軸用軸受25に図1,2の第1の実施形態、または図6に示す第2の実施形態に係る複列円すいころ軸受1が用いられる。2個の軸受25,25のうち、前記複列円すいころ軸受1はどこであってもよい。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…複列円すいころ軸受
1A,1B…単列円すいころ軸受
2…内輪、
2A,2B…単列内輪
3…外輪
3A,3B…単列外輪
3C…外輪間座
4.5…軌道面
6.7…ころ
6−1.7−1…ころ端面センター穴
7−2…ころ端面識別印
8,9…保持器
11…中つば
11A,11B…片列中つば
12…端つば
15…円筒ころ軸受
16…主軸
17…ハウジング
18…内輪
19…外輪
20…ころ
21…支持台
22…旋回座軸受
23…ナセル
23a…ケーシング
24…軸受ハウジング
25…主軸支持軸受
26…主軸
27…ブレード
28…増速機
29…発電機
A…アキシアル荷重負荷列
B…アキシアル荷重非負荷側列
θ,θ…接触角
,D…ころ径
,L…ころ長さ
PCD,PCD…ピッチ円直径
HA,HB…中つばの高さ
CA,CB…中つばところの接触点の高さ

Claims (6)

  1. 正面組合せの複列円すいころ軸受であって、
    アキシアル荷重が主に負荷される側の列である荷重負荷列の接触角が、反対側の列である非負荷側列の接触角よりも大きく、かつ両列の接触角の差が15°以上である複列円すいころ軸受。
  2. 請求項1に記載の複列円すいころ軸受において、前記非負荷側列のころのころ長さところ径のいずれか一方または両方が、前記荷重負荷列のころのころ長さところ径よりも大きい複列円すいころ軸受。
  3. 請求項1または請求項2に記載の複列円すいころ軸受において、
    25°≦荷重負荷列の接触角≦35°
    5°≦非負荷側列の接触角≦15°
    である複列円すいころ軸受。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の複列円すいころ軸受において、両例のころピッチ円直径の比(PCD/PCD)が、
    0.9≦(PCD/PCD)≦1.1
    である複列円すいころ軸受。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の複列円すいころ軸受において、内輪が両列の軌道面の間に中つばを有し,この中つばの厚みTHが、
    TH≦0.15×内輪幅
    である複列円すいころ軸受。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の複列円すいころ軸受である風力発電装置主軸用軸受。
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