以下、本発明の実施の形態による服薬支援・管理装置を、使用者(患者)の自宅等に持ち運び可能に載置する場合を例に挙げて、添付図面の図1ないし図17に従って詳細に説明する。
図において、1は服薬支援・管理装置の外殻を構成する筐体を示している。該筐体1は、例えば薄い金属板をプレス加工等の手段で屈曲させて成形された外壁部1Aと内壁部1Bとを有し、これらの外壁部1Aと内壁部1Bを図4に示すように組合わせて連結することにより、二重壁構造をなす箱体として形成されている。なお、筐体1は、金属板に限らず、より軽量な材料(例えば、合成樹脂材料等)を用いて形成することも可能である。
図1〜図3に示すように、筐体1の前面側には、左右方向に離間して上下方向に延びる左,右両側の前枠部1C,1Dと、該前枠部1C,1Dの上側に位置して左右方向に延びる上枠部1Eとが設けられている。ここで、左,右の前枠部1C,1Dと上枠部1Eとは、筐体1の外壁部1Aと内壁部1Bとを両者間で一体化するように連結する繋ぎ部でもある。
また、筐体1の内壁部1B内には、左,右の前枠部1C,1Dの間で上枠部1Eの下側となる位置に、後述の各薬棚8を収納するための収納空間2が形成されている。この収納空間2は、図4に示すように、内壁部1B内で前面側が開口され、背面側が閉塞された四角形状をなす内部空間となっている。筐体1の収納空間2には、後述する3個の薬棚8が各棚支持体9と共に、上,中,下の3段(上段、中段、下段)となるように並べて配置されている。
また、筐体1の外壁部1Aと内壁部1Bとの間には、収納空間2の上側に位置して上部空間3が形成されている。筐体1の上部空間3は、その前面側が上枠部1Eによって閉塞されている。上部空間3の前側には、上枠部1Eと共に後述のスピーカ12およびLCDユニット13(表示器)等が配設されている。一方、筐体1の外壁部1Aと内壁部1Bとの間には、収納空間2の背面側に背面空間4が形成されている。この背面空間4には、後述するコントローラ11の総合システム制御部11Aが配設される。
筐体1の前面側には、収納空間2を筐体1の外部に対して開閉するための扉5が設けられている。この扉5は、図1、図2に示す如く、左,右の扉枠5A,5Bと、該扉枠5A,5Bの間に挟まれた状態で設けられた透明板5Cとにより構成されている。扉5の透明板5Cは、例えば透明なガラス板またはアクリル板により長方形状の板体として形成され、閉扉状態でも筐体1の内部(収納空間2内の各薬棚8と薬袋)を透視できるようになっている。
図1は、服薬支援・管理装置を斜視図として示すため、閉扉状態である扉5の透明板5Cを通じて筐体1の内部(収納空間2)を透視状態では示していない。しかし、図2に示すように、扉5の透明板5Cは、閉扉状態でも筐体1の内部(収納空間2内の各薬棚8)を透視できるものである。ここで、扉5の左側の扉枠5Aには、筐体1の前枠部1Cとの間にヒンジ6が取付けられ、該ヒンジ6を支点にして、扉5は筐体1に対して回動(開,閉)される。なお、開扉状態を示す図3は、扉5をヒンジ6を中心にして約90度だけ開いた状態を示している。
図3に示すように、筐体1の右側に位置する前枠部1Dには、扉5の扉枠5Bとの間に扉開閉センサ7が設けられている。この扉開閉センサ7は、筐体1に対する扉5の開閉を検知する接触式のセンサにより構成されている。扉開閉センサ7には、例えば磁石の磁力により扉5を閉扉状態に保持する機構が付設され、扉5は、前記磁力に抗して手動で開扉できる構成となっている。換言すると、筐体1には、各薬棚8の前面側に位置して薬棚8から薬袋(図示せず)を出し入れするときに開閉される扉5と、該扉5の開閉を検知するセンサ(扉開閉センサ7)とが設けられている。
合計3個の薬棚8は、筐体1の収納空間2内に上,中,下の3段に並べた状態で設けられている。各薬棚8は、図5〜図8に示すように、前側が開口した四角形の箱体(薬袋用の収納容器)として形成され、その内側には、上,下の壁面から垂直(上下方向)にそれぞれ延びる複数の仕切部8Aが設けられている。これらの仕切部8Aによって薬棚8内には、薬剤入りの袋(即ち、薬袋)がそれぞれ出し入れ可能に整列状態で収納される。これにより、1つの薬棚8内には、例えば1〜10日分または1〜2週間分の薬袋を区分けした状態で収納することができる。この場合の薬袋は、予め薬剤が封入され一包化された薬袋、または、これらの個別包装された1種類または複数種類の薬剤を、例えば使用者(患者)が自宅等で服用する1回分の薬として纏めて入れた紙袋(樹脂製の袋であってもよい)等が含まれる。
図5〜図8は、薬棚8と棚支持体9との組立体(アセンブリ)を示している。図5、図7に示す組立体(アセンブリ)において、薬棚8の下面側には棚支持体9が設けられている。棚支持体9は、薬棚8を筐体1の収納空間2内に上,中,下の3段に並べた状態で配置するための支持体である。棚支持体9の後端側には、収納空間2内で筐体1(内壁部1B)の背面(後面)側に棚支持体9を固定するための取付部9Aが、棚支持体9の左,右両側に対をなして設けられている。左,右の取付部9Aを筐体1(内壁部1B)の背面側に取付けて固着することにより、上段、中段、下段の棚支持体9は、収納空間2内で夫々の薬棚8(上段、中段、下段の薬棚8)を水平に保った状態で支持することができる。
薬棚8と棚支持体9との間には、左,右に離間して一対(2個)の重量センサ10が設けられている。これらの重量センサ10は、棚支持体9上で薬棚8の重量変化を検出するため、薬棚8の下面と棚支持体9の上面との間に僅かな隙間を確保した状態で両者間に取付けられている。重量センサ10は、薬棚8の下面と棚支持体9の上面との間に挟込んだ状態で取付けられるロードセル等により構成されている。筐体1内には、各薬棚8の左,右両側に位置して合計6個の重量センサ10(図9参照)が設けられ、これらの重量センサ10は、各薬棚8の重量または重量変化を個別に検出(検知)する重量検出部を構成している。
筐体1(内壁部1B)の収納空間2内で、上,下方向の3段に並べられた薬棚8は、例えば図17に示す服薬時間設定画面25のように、上段が朝食時に服用すべき薬用の棚となり、中段が昼食時に服用すべき薬用の棚となり、下段が夕食時に服用すべき薬用の棚となっている。なお、これらの配列は、あくまでも1つの例であり、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、筐体1の収納空間2内には、上,下2段または4段以上に並べて各薬棚8を夫々の棚支持体9と一緒に設ける構成としてもよい。
服薬支援・管理装置のコントローラ11は、図9に示す如く、時計を内蔵した総合システム制御部11Aと、音声及び画面表示システム制御部11Bと、設定データ、服薬等の履歴データ保存部11C(以下、データ保存部11Cという)と、通信制御部11Dとを含んで構成されている。データ保存部11Cは、例えばROM,RAM,不揮発性メモリ等からなる記憶部であり、例えば図10に示す服薬制御、図11に示す設定時間外処理、図12に示す薬の補充処理、図13に示す閉め忘れ防止処理等のプログラムと、後述の服薬待ち時間(例えば、1時間程度の飲み忘れ判定時間)および所定時間(例えば、5分程度の閉め忘れ判定時間)等とが格納されている。
コントローラ11の総合システム制御部11Aは、例えば中央演算装置(CPU)として構成されている。総合システム制御部11Aは、扉開閉センサ7、各重量センサ10、後述の入力装置19等からの入力データ、情報に基づいて、音声及び画面表示システム制御部11B、データ保存部11Cおよび通信制御部11Dの動作制御をそれぞれ行うことにより、例えば図10〜図13に示す制御処理等を実行するものである。
コントローラ11は、筐体1に設けられ、後述の報知部(例えば、スピーカ12、LCDユニット13、背面ライト16〜18)を制御する制御部を構成している。コントローラ11の総合システム制御部11Aは、例えば図4に示す背面空間4内に位置して外壁部1Aまたは内壁部1Bに設けられている。音声及び画面表示システム制御部11Bと通信制御部11Dとは、上部空間3内に位置して内壁部1Bの上側に設けられている。
筐体1の上部空間3には、上枠部1Eから外側に臨むように左,右両側に離間して配置された一対のスピーカ12と、該各スピーカ12の間に位置して上枠部1Eから外側に臨むように配置されたLCDユニット13とが設けられている。スピーカ12とLCDユニット13とは、予め設定された時間での服薬指示を行う報知部を構成している。スピーカ12は、前記システム制御部11Bで音声合成された警報を音声で発したり、後述のアナウンス、通知等の情報案内を行ったりする。LCDユニット13は、例えば液晶表示器、有機LED等の表示器からなり、前記システム制御部11Bから出力された警報の内容、情報等を、例えば図14〜図17に示すようにタッチパネルを兼用してなる画面上で表示するものである。
図9に示す外部記憶装置14は、例えば携帯可能な記憶媒体(例えば、USBメモリ、メモリカード等)にデータ、情報、後述の履歴等を書き込んだり、前記記憶媒体からデータ、情報等を読み出したりする装置で、例えばデータ保存部11Cに対して入出力可能に接続されている。送・受信器15は、例えば遠隔の携帯端末、PC、サーバ等に対して無線のデータ通信を行うための通信手段であり、通信制御部11Dに対して入出力可能に接続されている。なお、外部記憶装置14は、コントローラ11から適宜に取外すことが可能である。
上段背面ライト16は、上段の薬棚8の背面側に位置して筐体1の内壁部1Bに設けられている。この背面ライト16は、上段の薬棚8に対して背面側から複数の異なる色(例えば、白色、緑色または赤色)に切替え可能な照明を行う、例えばLED等の照明具により構成されている。中段背面ライト17は、中段の薬棚8の背面側に位置して筐体1の内壁部1Bに設けられている。この背面ライト17も、例えばLED等の照明具により構成され、中段の薬棚8に対して背面側から白色、緑色または赤色の異なる色でLED照明を行う。下段背面ライト18は、下段の薬棚8の背面側に位置して筐体1の内壁部1Bに設けられている。この背面ライト18も、LED等の照明具により構成され、下段の薬棚8に対して背面側から白色、緑色または赤色の異なる色でLED照明を行う。
図9に示す入力装置19は、各重量センサ10と共にコントローラ11の入力側に接続されている。この入力装置19は、例えばLCDユニット13(表示器)の画面上にタッチパネルとして表示されるテンキー、ソフトキー等により構成することができる。例えば図17に示すように、LCDユニット13(表示器)の画面上には服薬時間設定画面25を表示することができ、この状態で、テンキー、ソフトキー(入力装置19)を用いた任意の設定操作が行われる。
また、コントローラ11の入力側には、例えば温度/湿度センサ20と照度センサ21が接続されている。照度センサ21は、LCDユニット13(表示器)の画面照度を、周囲の明るさに応じて自動的に調整するためのセンサである。温度/湿度センサ20は、当該装置の周囲温度(室内温度)と湿度を測定して検出するもので、LCDユニット13が待機画面22(図14参照)を表示する間は、温度/湿度センサ20で検出した温度と湿度とが画面表紙される。
図14に示すように、LCDユニット13による待機画面22では、第何週かを表示する週表示部22Aと、西暦表示部22Bと、何月何日かを表示する日付表示部22Cと、何曜日かを表示する曜日表示部22Dと、室温が何℃かを表示する温度表示部22Eと、室内の湿度が何%であるかを表示する湿度表示部22Fと、通信機能のアイコン表示部22Gと、音量表示部22Hとが画面表示される。
音量表示部22Hは、スピーカ12による音量を手動調整するときにボタン操作するように押圧され、これによって警報、情報通知等のアナウンスを行うときのボリューム調整が可能となっている。通信機能のアイコン表示部22Gは、外部との通信が可能なときに点灯され、圏外となって通信ができないときには消灯される。そして、通信が行われているときには、アイコン表示部22Gが点滅を繰返す構成となっている。
温度/湿度センサ20により室温が高いこと(例えば、28℃以上)を検出した場合に、音声及び画面表示システム制御部11Bは、温度表示部22Eの表示が「赤色」で点滅するようにLCDユニット13を制御し、スピーカ12では、例えば「室温が高いようです。冷房を入れてください。」と音声合成による警報を発する。また、室温が低い(例えば、17℃以下の)場合には、温度表示部22Eの表示が「青色」で点滅するようにLCDユニット13が制御され、スピーカ12では、例えば「室温が低いようです。暖房を入れてください。」と音声合成による警報を発する。
このような場合に、スピーカ12からはそれぞれの温度状態に適したバックグランド音楽(予め保存されており、患者に寄り添って選択されている音楽)を流し、室温が改善されない場合(但し、低温の場合は夜間の就寝時を除く)には、例えば数分毎に前記警報を繰返す機能を備えている。さらに、通信制御部11Dは、前記薬剤の使用者(患者)または予め決められた管理者(患者の介護人、サーバ等)に対し送・受信器15を通じて、高温(低温)発生時と解消時とを通信回線により電子メールで通報することができる。
一方、室内の湿度が高い(例えば、70%以上の)場合と、湿度が低い(例えば、40%以下の)場合には、高湿注意または低湿注意を促すように、音声及び画面表示システム制御部11Bは、湿度表示部22Fの表示を「青色」または「黄色」で点滅するようにLCDユニット13を制御し、スピーカ12では、例えば除湿または加湿を行うように、音声合成による警報を発する。そして、スピーカ12からはそれぞれの湿度状態に適したバックグランド音楽を流し、室内の湿度が改善されない場合(但し、夜間の就寝時を除く)には、例えば数分毎に前記警報を繰返す機能を備えている。さらに、通信制御部11Dは、前記薬剤の使用者または管理者に対し送・受信器15を通じて、高湿(低湿)発生時と解消時とを通信回線により電子メールで通報することができる。
図15に示すように、使用者(患者)の服薬時間に近付くと、LCDユニット13は服薬指示の表示画面23へと待機画面22(図14参照)から切替えられる。服薬指示の表示画面23では、例えば「お薬の時間です」と服薬指示の通知(表示)を行う。また、上段背面ライト16、中段背面ライト17または下段背面ライト18は、服薬対象の薬棚8(上,中,下3段の薬棚8のうちの1つ)をLED照明で明示するために、例えば「緑色」に点灯され、服薬対象外の薬棚8(残り2つの薬棚8)の位置では消灯される。そして、設定された服薬時間になると、スピーカ12からは、例えば「朝のお薬をお取りください」、「昼のお薬をお取りください」または「夜のお薬をお取りください」と音声合成による通知(報知)が行われ、夫々の時間に応じたバックグラウンド音楽が流される。
なお、この状態で、使用者(患者)が図15に示す服薬指示の表示画面23をタッチすることにより、スピーカ12からの前記音声と音楽の出力は停止することができる。このとき、LCDユニット13(表示器)は、入力装置19となって操作される。また、使用者(患者)が服薬のために扉5を開き、正しい薬棚8から薬袋を取出したときには、LCDユニット13が図15に示す服薬指示の表示画面23から図14に示す待機画面22へと切替わり、背面ライト16〜18は消灯される。
一方、使用者(患者)が服薬のために扉5を開き、正しい薬棚8ではなく、間違った薬棚8から薬袋を取出したときには、LCDユニット13が図15に示す服薬指示の表示画面23から図16に示す注意画面24の表示へと切替わる。この注意画面24では、例えば「ご確認ください」との注意書きを画面に表示し、薬の取り間違いを再確認するように通知(表示)を行う。この間、上段背面ライト16、中段背面ライト17または下段背面ライト18は、服薬対象の薬棚8のみを照明し続け、薬の取り間違いを修正して、正しい薬棚8から薬袋を取出すようにLED照明で補助する。
図17に示す服薬時間設定画面25の表示は、LCDユニット13(表示器)の画面上で、例えば図14に示す待機画面のアイコン表示部22Gを長押しすることにより、切替えて表示される。この画面上には、例えば変更キー25A、取消キー25BおよびWeb設定キー25Cが表示される。また、服薬時間設定画面25では、上段、中段、下段の薬棚8を朝,昼,夜のいずれに設定しているかを表示すると共に、それぞれの服薬指定時間を数値入力により設定する表示となっている。このうち、上段、中段、下段の朝,昼,夜の項目をタッチすることにより、それぞれの設定が変更され、時・分の部分をタッチすることにより、時間設定の数値を変更することができる。
図17に示す服薬時間設定画面25上で、例えば変更キー25Aをタッチすると、このときの画面に表示されている服薬時間の設定内容が保存され、日付画面(例えば、図14に示す待機画面22)の表示に戻すことができる。通信制御部11Dは、このときの服薬時間設定画面25の設定内容を使用者または管理者に対し、送・受信器15から通信回線によりメールで通報することができる。一方、例えば取消キー25Bをタッチしたときには、服薬時間設定画面25の設定内容が変更されることなく、前回の設定のままで前記日付画面に戻される。なお、例えばWeb設定キー25Cをタッチしたときには、QRコード(登録商標)の画面が表示されるようになる。
本実施の形態による服薬支援・管理装置は、上述の如き構成を有するもので、次に、コントローラ11(即ち、制御部)による服薬制御の処理について、図10を参照して説明する。
まず、図10の処理動作が開始されると、LCDユニット13(表示器)は、例えば図14に示す待機画面22を表示し、ステップ1では薬の服用時間(服薬すべき時間)に達したか否かを判定する。ステップ1で「YES」と判定したときには、服薬指示を行うため、次のステップ2で〔音声・音楽・画面・LED〕による服薬の案内通知を行う。
即ち、音声及び画面表示システム制御部11Bは、LCDユニット13の表示画面を、待機画面22(図14参照)から服薬指示の表示画面23(図15参照)へと切替え、例えば「お薬の時間です」と服薬指示の通知(表示)を行う。また、上段背面ライト16、中段背面ライト17または下段背面ライト18は、服薬対象の薬棚8(上,中,下3段の薬棚8のうちの1つ)をLED照明で明示するために、例えば「緑色」に点灯され、服薬対象外の薬棚8(残り2つの薬棚8)の位置では消灯される。そして、設定された服薬時間(服薬指定の時間)になると、スピーカ12からは、例えば「お薬をお取りください」と音声合成による通知(報知)を行い、夫々の時間(朝、昼または夜)に応じたバックグラウンド音楽を流すようにする。
次のステップ3では、装置の扉5が開かれた否かを扉開閉センサ7からの信号により判定する。扉開閉センサ7が扉開を検知したときには、ステップ3で「YES」と判定し、次のステップ4では、重量センサ10からの信号により、服薬対象の薬棚8(上,中,下3段の薬棚8のうちの1つで、「緑色」でLED照明されている薬棚8)から正しく薬が取出されたか否かを判定する。即ち、複数の重量センサ10は、上,中,下3段の薬棚8のうちいずれの薬棚8で重量が減少(変化)したかを検出することにより、薬袋が取出された薬棚8を特定することができる。
この場合、コントローラ11(制御部)は、各重量センサ10(重量検出部)による各薬棚8の重量変化(重量の低下、減少)と、扉開閉センサ7による扉5の開閉検知とを組合わせることにより、薬袋の取出しが間違いなく正常に行われたか否かを判定することができる。そして、ステップ4で「YES」と判定したときには、使用者(患者)が自宅等で服薬のために扉5を開き、予め指定されている薬棚8(即ち、「緑色」でLED照明されている正しい薬棚8)から薬袋を取出した場合である。
そこで、次のステップ5では、〔音声・画面・LED〕による服薬案内を終了する。具体的には、服薬の指示に従って正しい薬棚8から薬袋が取出されたと判定される場合に、LCDユニット13は、図15に示す服薬指示の表示画面23から切替わって図14に示す待機画面22へと戻され、スピーカ12による音声案内も停止され、背面ライト16〜18は消灯される。
次のステップ6では、薬棚8からの正しい薬袋の取出し後に、装置の扉5が閉じられたか否かを扉開閉センサ7からの信号により判定する。なお、扉5が閉じられたときには、全ての背面ライト16〜18が消灯される。ステップ6で「YES」と判定したときには、扉開閉センサ7が扉閉を検知した場合であるから、次のステップ7では、正しい薬の服薬完了を通報する。具体的には、通信制御部11Dは、前記薬剤の使用者(患者)または予め決められた管理者(患者の介護人、サーバ等)に対して、正しく服薬が行われたことを履歴として残すように、送・受信器15を通じて通信回線(即ち、通信手段)により電子メールで通報することができる。
このとき、LCDユニット13による画面表示は、既に図14に示す待機画面22へと戻されている。また、スピーカ12による音声案内も停止されており、各薬棚8の背面ライト16〜18は消灯されている。なお、各薬棚8の背面ライト16〜18は、扉5が開けられると、例えば「白色」に点灯され、扉5が閉められると、消灯される。
一方、前記ステップ4で「NO」と判定したときには、使用者(患者)が服薬のために扉5を開いた状態で、正しい薬袋の取出しが行われていないので、次のステップ8では、間違った薬の取出しか否かを判定する。ステップ8で「NO」と判定したときには、各重量センサ10(重量検出部)による各薬棚8の重量変化がなく、薬棚8から薬袋がまだ取出されていないと判断できる。そこで、この場合には、前記ステップ4に戻って、これ以降の処理を続ける。
しかし、ステップ8で「YES」と判定したときには、正しい薬棚8からではなく、間違った薬棚8から薬袋を取出すことにより、間違った薬棚8の重量が低下(減少)している場合である。このため、次のステップ9では、取り間違いの確認(注意喚起)を行うように通知する。この場合、LCDユニット13の画面は、図15に示す服薬指示の表示画面23から図16に示す注意画面24の表示へと切替わり、例えば「ご確認ください」と、薬の取り間違いを注意喚起するように通知(表示)を行う。
また、スピーカ12からは、警告音を発して音声合成による注意喚起を、例えば「取り間違えていませんか、ご確認ください」として音声出力する。この間、上段背面ライト16、中段背面ライト17または下段背面ライト18は、服薬対象となっている薬棚8のみを照明し続け、薬の取り間違いを修正して、正しい薬棚8から薬袋を取出すように、LED照明による注意喚起の補助を行う。なお、薬の取り間違いが起きた薬棚8については、該当する背面ライト(ライト16〜18のいずれか)を「赤色」に点灯して、薬の取り間違いを注意喚起することもできる。
次のステップ10では、間違った薬棚8から薬袋が取出された状態で、装置の扉5が閉じられたか否かを扉開閉センサ7からの信号により判定する。ステップ10で「NO」と判定する間は、扉5が開いたままの状態にあるので、前記ステップ4に戻って、これ以降の処理を続ける。このとき、取り間違えた薬袋を元の薬棚8に戻すと、各重量センサ10(重量検出部)による各薬棚8の重量変化が元に戻ることになる。このため、LCDユニット13による画面表示は、図15に示す服薬指示の表示画面23に戻り、スピーカ12からは同様に服薬指示の音声が出力される。このとき、「赤色」のLED照明も消灯される。
そして、重量センサ10からの信号により、本来の服薬対象となっている薬棚8(例えば、上,中,下3段の薬棚8のうち、「緑色」でLED照明されている薬棚8)から正しく薬が取出されたとき、即ち、コントローラ11が正しい薬の取出しが行われたと判断する場合には、ステップ4で「YES」と判定されるので、次のステップ5以降の処理に移る。しかし、ステップ4で「NO」と判定したときには、再び前記ステップ8以降の処理に移り、前述したステップ9,10等の処理が実行される。
ステップ10で「YES」と判定したときには、間違った薬棚8から薬袋が取出されたままの状態で、扉5が誤って閉じられ、扉開閉センサ7が扉閉を検知した場合である。そこで、この場合は、次のステップ11で「薬の取り間違い」が起きたことを、履歴として残すように通報する。具体的には、通信制御部11Dにより、前記薬剤の使用者(患者)または管理者に対して、間違った薬の服用が行われた可能性があることを履歴として残し、送・受信器15を通じて通信回線(即ち、通信手段)により電子メールで通報する。
次のステップ12では、前記ステップ5と同様に〔音声・画面・LED〕による服薬案内を終了する。具体的には、LCDユニット13が図15に示す服薬指示の表示画面23から切替わって図14に示す待機画面22へと戻され、スピーカ12による音声案内も停止され、背面ライト16〜18は消灯される。
一方、前記ステップ3で「NO」と判定するときには、次のステップ13において、前記ステップ1の「服薬すべき時間」から予め設定された服薬待ち時間(例えば、1時間程度の飲み忘れ判定時間)が過ぎているか否かを判定する。ステップ13で「NO」と判定する間は、前記ステップ2に戻って、これ以降の処理を続行する。しかし、ステップ13で「YES」と判定したときには、服薬時間を通知した後に、例えば1時間(所定の服薬待ち時間)が経過しても扉5が閉じられたままであり、薬剤の使用者(患者)は服薬の意思がないか、または扉5を開けることができない不自由な状態にあると見做すことができる。
そこで、次のステップ14では、この場合を薬の「飲み忘れ」として通報を行う。具体的には、通信制御部11Dにより、薬の「飲み忘れ」が起きていると履歴に残すように、前記薬剤の使用者(患者)または管理者に対し送・受信器15を通じて通信回線(即ち、通信手段)により電子メールで通報する。その後は、前記ステップ12で〔音声・画面・LED〕による服薬案内を終了する。
ステップ1で「NO」と判定する間は、例えば図17に示す服薬の設定時間(朝,昼,夜の薬の服用時間)ではなく、設定時間外になっている場合である。そこで、この場合はステップ15の設定時間外処理を、例えば図11に示す処理手順に従って後述の如く実行する。一方、前記ステップ6で「NO」と判定するときには、扉5の閉め忘れが発生している可能性があるため、ステップ16の閉め忘れ防止処理を、例えば図13に示す処理手順に従って後述の如く実行する。
次に、コントローラ11(即ち、制御部)による設定時間外処理について、図11を参照して説明する。
まず、前記設定時間外となって図11の処理動作が開始されると、ステップ21において、装置の扉5が開かれたか否かを扉開閉センサ7からの信号により判定する。ステップ21で「NO」と判定するときには、扉5が閉められたままであり、使用者(患者)は薬棚8から薬を取出す意思がないか、または扉5を開けることができない不自由な状態にあると見做すことができる。そこで、この場合は、ステップ26に移って薬の補充処理(後述の図12参照)を経由し、次のステップ27でリターンする。これにより、例えば図10に示すステップ1の判定処理に戻ることができる。
一方、ステップ21で「YES」と判定したときには、扉5の開扉に伴って背面ライト16〜18が全て「白色」のLED照明を点灯する。そして、扉開閉センサ7が扉5の開扉を検知した状態では、次のステップ22で薬の取出しを検知したか否かを判定する。具体的には、重量センサ10からの信号により、上,中,下3段の薬棚8のいずれかで重量変化(減少)を検知したか否かを判定する。ステップ22で「YES」と判定したときには、重量センサ10で重量減少を検知したとして特定される薬棚8から薬袋が取出された場合である。
そこで、次のステップ23では、重量センサ10で重量減少を検知し特定された薬棚8から薬袋が取出されたことを、〔音声・画面・LED〕によりアナウンスして通知する。具体的には、LCDユニット13の画面で、薬の取出しを表示すると共に、スピーカ12では音声により「薬の取出し」をアナウンスする。また、背面ライト16〜18のいずれかで「緑色」のLED照明を点灯して、薬の取出しを通知する。
この場合、例えば上段、中段または下段の薬棚8のうち、いずれの薬棚8から薬袋が取出されたかを、重量センサ10による重量減少の検出(検知)で特定することにより、朝,昼,夜のいずれの薬が取出されたかを判別することができ、薬の種類を特定するかたちで「薬の取出し」をアナウンスし、通知することができる。換言すると、使用者(患者)が外出または旅行に出かける等の理由によって、特定の薬棚8から薬袋を持ち出したことを、〔音声・画面・LED〕によりアナウンスして通知する。
次のステップ24では、薬棚8からの薬袋の取出し(持ち出し)後に、装置の扉5が閉じられたか否かを扉開閉センサ7からの信号により判定する。なお、扉5が閉じられたときには、全ての背面ライト16〜18が消灯される。ステップ24で「YES」と判定したときには、扉開閉センサ7が扉5の閉扉を検知した場合であるから、次のステップ25では、例えば自宅から外出または旅行に出かける等の理由により、薬が設定時間外に持ち出されたことを通報する。具体的には、通信制御部11Dにより、前記薬剤の使用者(患者)または管理者に対し、設定時間外の何時何分に薬が持ち出されたことを履歴(例えば、西暦と日付を含めた履歴)として残すように、送・受信器15を通じて通信回線(即ち、通信手段)により電子メールで通報することができる。その後は、ステップ26を介してステップ27でリターンし、例えば図10に示すステップ1の判定処理に戻ることができる。
なお、外出または旅行に出かける等の理由により、朝,昼,夜の服用薬(薬袋)を夫々の薬棚8から持ち出す場合、または複数日分の服用薬(薬袋)を各薬棚8から持ち出す場合には、例えばステップ21〜25の処理を必要に応じて複数回繰返す構成としてもよい。これにより、設定時間外に複数回分の薬の持ち出し(取出し)を行うことができ、例えばステップ25では、その度毎に薬袋が薬棚8から設定時間外に持ち出されたことを通報することができる。
一方、前記ステップ22で「NO」と判定したときには、薬棚8から薬の取出しが行われていない場合であり、次のステップ28では、このような状態で装置の扉5が閉じられたか否かを扉開閉センサ7からの信号により判定する。ステップ28で「NO」と判定する間は、扉5が開いたままの状態にあるので、前記ステップ22に戻って、これ以降の処理を続ける。なお、ステップ28で「NO」と判定したときにも、後述の「閉め忘れ防止処理」により扉5の閉め忘れを防止する構成としてもよい。
しかし、ステップ28で「YES」と判定したときには、薬棚8からの薬の取出しを行うことなく、扉5が閉じられた場合である。即ち、装置の扉5が誤って開けられ、その後に閉められた場合と判断することができる。そこで、この場合には、特にアナウンスや通知を行うことなく、次のステップ26による薬の補充処理(後述の図12参照)を経て、ステップ27でリターンする。これにより、例えば図10に示すステップ1の判定処理に戻すことができる。
なお、前記ステップ24で「NO」と判定するときには、扉5の閉め忘れが発生している可能性があるため、ステップ29の閉め忘れ防止処理を、例えば図13に示す処理手順に従って後述の如く実行する。そして、その後は、ステップ24〜27の処理を行うことにより、例えば図10に示すステップ1の判定処理に戻すことができる。
次に、コントローラ11による薬の補充処理について、図12を参照して説明する。
まず、図12の処理動作が開始されると、ステップ31において、装置の扉5が開かれたか否かを扉開閉センサ7からの信号により判定する。ステップ31で「NO」と判定するときには、扉5が閉められたままであり、使用者(患者)は薬の補充を行う意思がないと見做すことができる。そこで、この場合は、ステップ32に移ってリターンし、図11のステップ27を介して、例えば図10に示すステップ1の判定処理に戻ることができる。
一方、ステップ31で「YES」と判定したときには、扉5の開扉に伴って背面ライト16〜18が全て「白色」のLED照明を点灯する。そして、扉開閉センサ7が扉5の開扉を検知した状態では、次のステップ33で薬の補充を検知したか否かを判定する。具体的には、重量センサ10からの信号により、上,中,下3段の薬棚8のいずれかで重量の変化(即ち、重量増加)を検知したか否かを判定する。ステップ33で「YES」と判定したときには、重量センサ10で重量増加を検知したとして特定される薬棚8に、薬袋が新しく補充された場合である。
そこで、次のステップ34では、重量センサ10で重量増加を検知し特定された薬棚8に薬袋が補充されたことを、〔音声・画面・LED〕によりアナウンスして通知する。具体的には、LCDユニット13の画面により、薬が補充されたことを文字で表示すると共に、スピーカ12では音声により「薬の補充」をアナウンスする。また、背面ライト16〜18のいずれかで「緑色」のLED照明を点灯して、薬の補充を通知する。この場合、例えば上段、中段または下段の薬棚8のうち、いずれの薬棚8で薬袋が補充されたかを特定することにより、朝,昼,夜のいずれの薬が補充されたかを判別することができ、薬の種類を特定するかたちで「薬の補充」をアナウンスし、通知することができる。
次のステップ35では、薬棚8への薬袋の補充後に、装置の扉5が閉じられたか否かを扉開閉センサ7からの信号により判定する。なお、扉5が閉じられたときには、全ての背面ライト16〜18が消灯される。ステップ35で「YES」と判定したときには、扉開閉センサ7が扉閉を検知した場合であるから、次のステップ36では、薬の補充が行われて完了したことを通報する。具体的には、通信制御部11Dにより、前記薬剤の使用者(患者)または管理者に対して、何月何日の何時何分に薬が補充されたことを履歴として残すように、送・受信器15を通じて通信回線により電子メールで通報することができる。その後は、ステップ32でリターンし、図11のステップ27を介して、例えば図10に示すステップ1の判定処理に戻ることができる。
なお、朝,昼,夜の服用薬(薬袋)を夫々の薬棚8に補充する場合、または複数日分の服用薬(薬袋)を各薬棚8に補充する場合には、例えばステップ31,33〜36の処理を必要に応じて複数回繰返す構成としてもよい。これにより、設定時間外に複数回分の薬の補充を行うことができ、例えばステップ35では、その度毎に薬袋が薬棚8に補充されたことを通報することができる。
一方、前記ステップ33で「NO」と判定したときには、薬棚8への薬袋の補充が行われていない場合であり、次のステップ37では、このような状態で装置の扉5が閉じられたか否かを、扉開閉センサ7からの信号により判定する。ステップ37で「NO」と判定する間は、扉5が開いたままの状態にあるので、前記ステップ33に戻って、これ以降の処理を続ける。なお、ステップ37で「NO」と判定したときにも、後述の「閉め忘れ防止処理」により扉5の閉め忘れを防止する構成としてもよい。
しかし、ステップ37で「YES」と判定したときには、薬棚8への薬袋の補充を行うことなく、扉5が閉じられた場合である。即ち、装置の扉5が誤って開けられ、その後に閉められた場合と判断することができる。そこで、この場合には、特にアナウンスや通知を行うことなく、次のステップ32でリターンすることにより、例えば図10に示すステップ1の判定処理に戻すことができる。
次に、コントローラ11による扉5の閉め忘れ防止処理(扉5が開かれている場合を前提とした処理)について、図13を参照して説明する。
まず、図13の処理動作が開始されると、ステップ41において、扉5が開かれてから所定時間(例えば、5分程度の閉め忘れ判定時間)が経過したか否かを内蔵時計(図9参照)の計時と扉開閉センサ7からの信号とにより判定する。ステップ31で「NO」と判定するときには、扉5が開かれた後に前記所定時間が経過しておらず、必ずしも閉め忘れとは判断できない。このため、ステップ42に移ってリターンし、例えば図10に示すステップ6、図11のステップ24、または図12のステップ35の判定処理に戻すようにする。
一方、ステップ41で「YES」と判定したときには、扉5が開かれた後に所定時間が経過して「閉め忘れ」状態であると判断できるので、次のステップ43に移って「扉開放注意」のアナウンスを〔音声・画面〕で行うようにする。具体的には、LCDユニット13(表示器)により、例えば図16に示す注意画面24とほぼ同様な画面(例えば、「扉を閉めてください」という注意画面)を表示する。また、スピーカ12からも同様な注意喚起の音声アナウンスを行い、この音声を、例えば3分毎に繰返すようにする。
次のステップ44では、注意喚起のアナウンス後に扉5が閉じられたか否かを扉開閉センサ7からの信号により判定する。ステップ44で「NO」と判定する間は、扉5が開いたままの状態にあるので、前記ステップ43に戻って前記アナウンスを続ける。しかし、ステップ44で「YES」と判定したときには、扉開閉センサ7により扉5が閉じられたことを検知しているので、次のステップ45に移って〔音声・画面〕による「扉開放注意」のアナウンスを終了させる。その後は、ステップ42でリターンし、例えば図10に示すステップ6等の判定処理に戻るようにする。
かくして、本実施の形態によれば、服薬支援・管理装置のコントローラ11(制御部)は、重量センサ10(重量検出部)による薬棚8毎の重量変化(減少または増加)に基づいて薬袋の取出し、および/または薬袋の補充が行われた薬棚(即ち、上段、中段、下段のうちいずれの薬棚8か)を特定し、特定した薬棚8から薬袋が取出されたこと、または薬袋が補充されたことを報知部(例えば、スピーカ12、LCDユニット13、および/または背面ライト16〜18)により報知させる構成としている。
より具体的には、前記コントローラ11は、扉開閉センサ7による扉5の開閉検知と前記重量検出部(重量センサ10)による前記薬棚8の重量変化(減少または増加の検知)とにより、前記袋の取出し、および/または前記袋の補充が間違いなく正常に行われたか否かを判定する構成としている。これにより、上段、中段、下段のうちいずれの薬棚8で薬袋の取出しが行われかを特定することができ、正しい薬袋の取出しが行われたか、薬袋の取り間違いがないかを知ることができる。
また、重量センサ10(重量検出部)によって薬棚8毎の重量変化(減少)の有無を検知することにより、例えば服薬指示を行ってから長い時間(例えば、1時間程度の服薬待ち時間)が経過しても、薬棚8の重量が減少しないかを否かを監視することで、使用者(患者)が薬の「飲み忘れ」をしているか否かを判別することができ、「飲み忘れ」の発生を抑えることができる。そして、薬の「飲み忘れ」の発生時には、例えば記憶媒体(外部記憶装置14)または通信手段(通信制御部11Dと送・受信器15を通じた通信回線)により、前記薬剤の使用者(患者)または管理者に対し、「飲み忘れ」の履歴を残すように通報することができる。
一方、例えば外出または旅行に出かける等の理由により、使用者(患者)が設定時間外(本来の服薬時間以外)に薬棚8から薬袋を持ち出すときにも、扉開閉センサ7による扉5の開閉検知と前記重量検出部(重量センサ10)による前記薬棚8の重量変化(減少の検知)とにより、前記袋の持ち出しが本来の服薬時間以外に行われたか否かを判定することができる。また、薬棚8毎の重量変化(増加)を重量センサ10(重量検出部)で検知することによって、薬棚8に対する薬袋(薬剤入りの袋)の補充が行われた否かも知ることができ、薬の補充管理を安定して行うことができる。この場合も、前記記憶媒体または通信手段により、前記薬剤の使用者(患者)または管理者に対し、設定時間外の何時何分において薬が「持ち出された」こと、または薬が「補充された」ことを履歴(例えば、西暦と日付を含めた履歴)として残すように電子メール等で通報、報知することができる。
従って、本実施の形態によれば、上述の如き構成を採用することにより、例えば複数の薬棚8のうち、いずれの薬棚8で重量が変化(減少または増加)したかを検知することができ、薬棚8からの正しい薬の取出しが行われたか、薬の取り間違いがないか、飲み忘れがないかを判別することができ、取扱いを簡素化して服薬支援と管理とを安定して行うことができる。
特に、本実施の形態では、複数の薬棚8のうち、いずれの薬棚8で重量が変化(減少または増加)したかを検知する構成であるため、重量センサ10は、例えば0.1g以上の重量減少または増加を検知できる程度の精度があればよく、必ずしも高精度の重量センサ(ロードセル)を用いる必要はない。このため、汎用性の高い重量センサ10を採用することができ、装置全体のコスト上昇を抑えることができる。この場合、薬棚8毎の重量変化(減少または増加)を安定して検出できるように、重量センサ10の使用個数を必要に応じて増やすことも可能であり、検出精度の向上化を図ることができる。
さらに、本実施の形態では、薬棚8の重量変化から薬袋の取出しまたは補充を検知(検出)し判定する構成としているので、薬棚8にそれぞれ出し入れ可能に収納される薬袋(薬剤入りの袋)毎に、それぞれの重量を個別に調べたり、登録したりする必要がない。この場合、例えば服薬指示がなされた薬棚8から薬袋が取出されたか否か、または補充されたか否かを、薬棚8の重量変化(減少または増加)として重量センサ10で検知することにより報知することができ、薬袋毎の重量管理は必ずしも行う必要がなく、薬剤管理の簡素化を図ることができる。
また、扉開閉センサ7による扉5の開閉検知と重量検出部(重量センサ10)による薬棚8の重量変化の検知とを組合わせているため、仮に扉5が閉じられた状態で、薬棚8の重量変化を検知した場合には、扉開閉センサ7と重量センサ10とのいずれかが故障または不具合となった「不良モード」として診断することができる。このような「不良モード」の診断時には、前記故障または不具合を早期に解決すべきことを報知部(スピーカ12および/またはLCDユニット13)により報知することができる。
なお、前記実施の形態では、図5〜図8に示した薬棚8と棚支持体9との間に左,右一対の重量センサ10を合計2個配設する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば1個または3個以上の重量センサ10を用いて薬棚8の重量変化を検知する構成としてもよい。
また、前記実施の形態では、筐体1の収納空間2内に合計3個の薬棚8を設ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば2個または4個以上の薬棚8を、例えば棚支持体9と共に設ける構成としてもよい。この場合、薬棚8の形状は、図5〜図8に示す形状に限らず、筐体1の収納空間2の大きさに応じて、適宜に変更してもよいものである。
さらに、前記実施の形態では、例えば使用者(患者)の自宅等に服薬支援・管理装置の筐体1を置いておく場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば使用者(患者)が保養している保養施設、または入院している医療機関の指定場所等にも、服薬支援・管理装置の筐体1は持ち運び可能に設置できるものである。