JP2021051906A - 蓄電デバイスの検査装置、検査方法及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、電圧降下量による方法検査もあるが、これに替えて、接触抵抗などの変動の影響を受けにくく、より精度の高い自己放電電流の測定を採用し、測定電流が安定した時の電流値に応じて良品、不良品の判別を行う方法が提案された。
特許文献2に開示された発明は、対象となる鉛蓄電池の定電圧充電における平衡電流の実測値を、内部短絡を起こしていない鉛蓄電池の平衡電流を基にした閾値と照合し、実測値が閾値より大きい場合に、対象となる鉛蓄電池が内部短絡を起こしていると判定するようにした。
そして、前記複数の回路のうちの1つの回路を予め許容範囲を超える自己放電を生じる比較用の蓄電デバイスを備えた回路とすることも望ましい。
特に、前記比較用の蓄電デバイスを備えた蓄電デバイスの検査装置を用いて、前記比較用の蓄電デバイスを備えた回路と、検査対象の蓄電デバイスを備えた回路との測定値を比較可能なタイミングで比較するステップと、その測定値の差が基準値未満になった場合に、異常と判断する異常判断のステップを備えた蓄電デバイスの検査方法として実施することも望ましい。
従来技術で述べた通り、二次電池11の良否を電圧値や電流値の変化で判断していた。このような検査方法において、理論的には、図10に示すような電圧や電流の変化が期待され、電流が一定の値に収束する。しかし、実際の測定では、図11に示すように直流電源の供給電圧のふらつきに由来する変動、電圧の制御の精度に由来する変動、回路における接触抵抗の変化に由来する変動、周囲や電池の温度、周囲の振動、磁界や電界など環境に由来する変動、電流計の電流の検知に由来する変動など様々な由来の変動を生じ、その測定値は大きく変動する。
まず、検査対象となる蓄電デバイスの例としてリチウムイオン二次電池からなる二次電池11について説明する。図1は、二次電池11の外観を示す斜視図である。この二次電池11は、量産される車載用のリチウムイオン二次電池である。図1に示すように、二次電池11は開口部を有するケース12と、ケース12の開口部を封止する蓋部13とを備える。ケース12及び蓋部13が電池ケースを構成する。ケース12及び蓋部13は、アルミニウム合金などの金属材料から形成されている。蓋部13には、正極外部端子16bを含む正極集電部15と、負極外部端子18bを含む負極集電部17とが設けられている。ケース12には、直方体状の極板群14及び電解液が収納されている。蓋部13には、電池ケースの内圧に応じて電池ケース内の気体を放出する放出部19と、電解液を注入する注入孔20とが設けられている。
二次電池11は、このような構成のため、製造時若しくは使用時において微小な金属片が混入すると、ポリオレフィンなどの樹脂シートであるセパレータ14cに穿孔を生じ、正極板14aと負極板14bとの間に電解液を介さないで短絡するマイクロショート(微小短絡)を生じる場合がある。このようなマイクロショートを生じると、電解液を介さないで直接電流が流れ、自己放電が大きくなる。このようなマイクロショートによる自己放電を生じると、蓄電できる電気容量が低下したり、セルバランスが崩れたりして好ましくないため、製品から除外する必要が生じる。
本実施形態の発明は、従来技術で述べたように従来技術を基礎とした発明であるので、まず、図9、図10を参照して、従来の検査装置101による二次電池11の検査方法の基本原理を説明する。
図9は、従来の二次電池11及び検査装置101を接続した回路103の構成の模式図である。二次電池11の検査は、このように検査対象とする二次電池11に、検査装置101を接続して回路103を構成した状態で実施される。
次に、本実施形態の検査の基本原理を理解するため、従来の回路103による二次電池11の検査方法について図10を参照して説明する。図10は、従来技術の検査における電圧と電流の時系列の変化を示す。図10では、横軸を時間とし、縦軸を電圧(左側)および電流(右側)としている。
<従来技術で測定した電流値>
図11は、二次電池11のそれぞれに従来の検査装置101接続して回路103を構成して測定した電流値のグラフである。横軸に測定時間(sec)、縦軸に電流値(A)を示す。図10に示すグラフと比較すると、測定値に大きなブレを生じており、収束時刻T2も明確ではない。
<本実施形態の検査方法>
次に、このような基本原理を踏まえて、本実施形態の作用である検査装置1を説明する。
図7は、本実施形態の回路3を示す回路図である。
<回路3の構成>
サブ回路3aは、検査対象となる二次電池11aと、この二次電池11a並列に直流電源4aが接続される。この場合、接触抵抗の変動をキャンセルするため、例えば、はんだ付けやろう付けにより接続することが望まれる。また、各端子にバッテリーターミナルのようなコネクタなどにより接続する場合は、研磨して酸化被膜を除去する、金めっきを施す、強い力で締め付けるなどして、接触抵抗を極力下げる。
電圧計6は、直流電源4aの電圧を計測するものである。図7では、直流電源4aを二次電池11の正極外部端子16b、負極外部端子18bに接触抵抗、すなわち寄生抵抗Rxが生じないように電気的に結合させて回路3aを構成させている。
電流計5と電圧計6は、各サブ回路3a、3b、…3nとリレーRを介して接続されている。リレーRは、ドライバ2bからの駆動信号により開閉される。リレーRは、ソレノイドによる有接点のものよりも、ここでは無接点のMOS FETリレーなどのソリッドステート・リレーが望ましい。無接点リレーであると、基本的に接触抵抗の変動がなく、その動作も早い。そのため、多数のサブ回路3a、3b、…3nを高速に切り替えて、各サブ回路3a、3b、…3nの測定値を比較するタイムラグができるだけ少なくなるようにして実質的に「同時」に測定でき、かつ接触抵抗による測定値の変動をキャンセルして測定することができる。
<第1の実施形態の作用>
<電流測定の前の電圧調整>
PC2aは、二次電池11の検査を開始するに当たり、[リレーR1c及びリレーR1d]、[リレーR2c及びリレーR2d]、…[リレーRNc及びリレーRNd]は、すべて閉じた状態で、直流電源4a〜nと二次電池11a〜nを、それぞれ接続した状態とする。
次に、[リレーR1a及びリレーR1b]を閉じて電圧計6によりサブ回路3aの電圧を計測し、その計測した電圧値に応じて、ドライバ2bから直流電源4aの電圧調整手段41を操作して、サブ回路3aに流れる電流がゼロになるように電圧を調整する。
<電流値の測定方法>
電流は、以下の手順で測定される。[リレーR1c及びリレーR1d]、[リレーR2c及びリレーR2d]、…[リレーRNc及びリレーRNd]は、それぞれ排他択一的に動作する。すなわち、[リレーR1c及びリレーR1d]が電流計5に接続されている場合は、[リレーR2c及びリレーR2d]、…[リレーRNc及びリレーRNd]は電流計5に接続されない。[リレーR2c及びリレーR2d]が電流計5に接続されている場合は、[リレーR1c及びリレーR1d]、…[リレーRNc及びリレーRNd]は電流計5に接続されない。
サブ回路3a、3b、…3nでは、およそ4〜5秒周期で測定をし、1つのサブ回路当たりの測定時間は0.1秒以下で、10個のサブ回路を測定すると1秒程度で完了する。
電流計5により測定された瞬間電流値Apは、図示しないインターフェイスを介してA/D変換されて、制御手段であるPC(パーソナルコンピュータ)2aに入力される。PC2aでは、取得されたサブ回路3a、3b、…3nの瞬間電流値Apを時刻情報と共に記憶する。
上記のような手順で測定された電流値に基づいて、検査対象である二次電池11a、11b、…11nは、次のような手順で良否が判断される。
<測定値の調整>
閾値が設定されていない場合は、サブ回路電流IBa、IBb、…IBnを相互に比較する。この場合、サブ回路電流IBa、IBb、…IBnは、リレーRが切り替えられることにより、例えば3秒ごとにサブ回路3a、3b、…3nの順に0.1秒で切り替えられて、電流が測定される。この測定値は、サブ回路が10回路あれば、最大時間差が0.9秒となる。ここで、本実施形態では、リレーRを用いて回路が高速で切り替えられ同一の電流計5を用いて測定するため、接触抵抗や外部ノイズなどの影響が少なく、電流計5の個体差もなく緩やかな温度変化や、電解質の変化の影響に限られる。そのため、測定値としては実質的に同時として比較可能な測定値として扱うことができる。
測定する時間間隔や測定する回数は、測定値のばらつきの程度により適宜調整する。
測定値の比較は、閾値の設定がないときは、サブ回路電流IBa、IBb、…IBnのうちで最も電流値が低いものを良品と判断し、ここから所定の範囲から外れて、電流値が大きなものを不良品と判断する。
<閾値の設定1>
良品として既知の二次電池11を含んだサブ回路でのサブ回路電流IBの測定値に基づいて、良品を示すサブ回路電流IBを基準値として設定する。次に、この基準値を基準として、正常なサブ回路電流IBの範囲を閾値IKとして設定する。この場合、設定した範囲から外れたら不良品として判断する。
上記閾値とは異なり、二次電池11nは、模擬的に不良電池を再現した比較用の二次電池とし、この比較用二次電池11nの電流を他の二次電池11a、11b、…と実質的に同時に測定する。PC2aは、この時のサブ回路電流IBnを時刻の経過とともに記憶する。
図4は、二次電池11の製造方法を示すフローチャートである。以下、図4を参照して二次電池の製造方法について説明する。
セル挿入工程(S4)は、ケース12との間にフィルムを介在させつつ、ケース12の内部にセルとしての極板群14を挿入する。
セル加熱工程(S7)は、極板群14の加熱温度を105℃とすることで、正極合材層や負極合材層を乾燥させる。乾燥した電極合材層は、電解液が浸透しやすくなる。
以上で、二次電池11の構造自体の製造が完成する。
このように製造された二次電池11は、出荷に先立ち、充電による二次電池11としての活性化、負極のSEI(Solid Electrolyte Interface)を形成したり、セル内の微小金属片を高温にすることでショートさせて消滅させたりすることなどを目的とした高温エージングなどの後工程を行う。図5は、二次電池11の電池製造後の後工程の流れを示すフローチャートである。以下、図5を参照して説明する。
それぞれの二次電池11から取得した測定値を比較して、異常値を発見する。この異常値は、過去生産した二次電池11の基礎資料がない場合は、平均値から突出したピーク電流IBpの二次電池11を自己放電が大きい不良品と判断する。不良品として判断されたものは、出荷から排除する(S17)。
(1)回路における接触抵抗の変化に由来する変動、周囲や電池の温度、周囲の振動、磁界や電界など環境に由来する変動、電流計の電流の検知に由来する変動、電圧計の電圧の検知に由来する変動をキャンセルして測定することができる。そのため、それぞれの二次電池11a、11b、…11nのそれぞれの電流値を正確に測定し、比較することができる。その結果、二次電池11の自己放電を精度よく検出し、精度よく良品、不良品の判別をすることができる。
(3)短時間に多数の二次電池11が良品か不良品かの検査をPC2aにより自動的に判別することができる。
(9)PC2aとドライバ2bが電圧セット手段として、各直流電源4の電圧を調整して測定する多数のサブ回路3a、3b、…3nに流れる電流をほぼ同時にゼロとすることができ、実質的に同時に測定を開始することができる。
(11)サブ回路電流IBa…を瞬間値だけでなく、区間平均値を測定値として用いることで、サージ電流など瞬発的なノイズの影響を小さくして、より正確に測定値を比較できる。さらに、移動平均を用いて測定値を比較することができる。
(13)さらに、二次電池11nは、模擬的に内部放電の大きな不良電池を再現した比較用の二次電池11nとすることで、他の検査対象と同じ条件でサブ回路3nを形成し、同一の条件で測定値を比較することができる。このように不良電池を基準にした閾値を設けることで、確実に不良電池を排除することができる。同一の時間条件で、測定値と閾値との差が所定の範囲内となれば、確実に不良品と判別できる。
(15)さらに、電流の変化率Δが閾値より小さくなったときに測定するようにした場合も、サブ回路電流IBが安定したところで検査することができるため、正確に良否の判定ができる。
第1の実施形態では、測定値としてサブ回路電流IBa、IBb、…IBnにより、自己放電の有無を判断し、二次電池11の良否を判断した。第2の実施形態では電圧値を用いて、二次電池11の良否を判断する点で異なる。図10に示すように、不良品の二次電池11は、良品の二次電池11よりも、自己放電のため、大きな電流が流れるため、この電流値の比較で二次電池11の良否を判断していた。一方、同様に図10に示すように、理論的には、直流電源4の電圧値も、測定を開始して、収束時刻T2を過ぎてから電圧値を比較すれば、その電圧差から二次電池11の良否を判断できる。
電圧を測定する場合は、以下の手順で測定される。[リレーR1c及びリレーR1d]、[リレーR2c及びリレーR2d]、…[リレーRNc及びリレーRNd]は、すべて閉じた状態で、直流電源4a〜nと二次電池11a〜nを、それぞれ接続した状態とする。
次に、[リレーR1a及びリレーR1b]を閉じて電圧計6によりサブ回路3aの電圧を計測し、続いて、[リレーR1a及びリレーR1b]を開いて、[リレーR2a及びリレーR2b]を閉じて電圧計6によりサブ回路3bの電圧を計測し、同じように、[リレーRNa及びリレーRNb]を閉じて電圧計6によりサブ回路3nの電圧を計測する。
<第2実施形態の作用>
このように構成された検査装置1における二次電池11の良否の判別方法は、第1の実施形態の電流値を電圧値と置き換えることで、同様に二次電池11の良否の判別をすることができる。
本発明は、上記実施形態には限定されず、下記のように実施することもできる。
○実施形態では、二次電池11の製造後の後工程の一部として内部放電の検査を行っているが、例えば、中古車から使用済みの蓄電デバイスを回収し、再使用が可能かどうかの検査方法にも好適に実施できる。
○蓄電デバイスは、リチウムイオン二次電池からなる二次電池11に、限定されず、ニッケル水素二次電池などにも適用できる。また、自己放電が問題となる電池二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタなどのキャパシタなども含まれる。
Claims (13)
- 充電済みの蓄電デバイスに電圧調整が可能な外部電源を接続して回路を形成するとともに、
当該回路に電流が流れないように前記外部電源の電圧を調整し、その後に前記回路の測定値により前記蓄電デバイスの良否を判定する蓄電デバイスの検査装置であって、
前記回路を複数備え、
前記測定値は、同一の電圧計により前記複数の回路のそれぞれの外部電源の電圧を選択的に測定可能な電圧測定手段を備え、前記複数の回路を比較可能なタイミングで連続して選択して順次測定するとともに、
測定したそれぞれの測定値を記憶し、当該それぞれの回路ごとの測定値を比較する測定値比較手段と、
当該測定値比較手段により比較された測定値から、異常な測定値を検出する異常測定値検出手段と
を備えたことを特徴とする蓄電デバイスの検査装置。 - 充電済みの蓄電デバイスに電圧調整が可能な外部電源を接続して回路を形成するとともに、
当該回路に電流が流れないように前記外部電源の電圧を調整し、その後に前記回路の測定値により前記蓄電デバイスの良否を判定する蓄電デバイスの検査装置であって、
前記回路を複数備え、
前記測定値は、同一の電流計により前記複数の回路のそれぞれの回路電流を選択的に測定可能な電流測定手段を備え、前記複数の回路を比較可能なタイミングで連続して選択して順次測定するとともに、
測定したそれぞれの測定値を記憶し、当該それぞれの回路ごとの測定値を比較する測定値比較手段と、
当該測定値比較手段により比較された測定値から、異常な測定値を検出する異常測定値検出手段と
を備えたことを特徴とする蓄電デバイスの検査装置。 - 前記複数の回路のそれぞれの外部電源の電圧をゼロとする電圧セット手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蓄電デバイスの検査装置。
- 前記複数の回路の選択をリレーにより行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの検査装置。
- 前記測定値は、設定された時間の区間平均を比較用の測定値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの検査装置。
- 前記測定値は、前記それぞれの回路の測定値の標準偏差により判断することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの検査装置。
- 前記複数の回路のうちの1つの回路を予め許容範囲を超える自己放電を生じる比較用の蓄電デバイスを備えた回路としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの検査装置。
- 充電済みの蓄電デバイスに電圧調整が可能な外部電源を接続して回路を形成するとともに、当該回路に電流が流れないように前記外部電源の電圧を調整し、その後に前記回路の測定値により前記蓄電デバイスの良否を判定する蓄電デバイスの検査装置であって、
前記回路は、予め許容範囲を超える自己放電を生じる比較用の蓄電デバイスを備えた回路とし、
当該回路により測定された測定値を、閾値の設定のために記憶する閾値記憶手段を備えたことを特徴とする蓄電デバイスの検査装置。 - 前記複数の回路の測定値は、測定開始から所定時間経過後に測定することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの検査装置。
- 前記複数の回路の測定値は、測定開始から増減率が設定値未満になった時点を基準に測定することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの検査装置。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの検査装置を用いた蓄電デバイスの検査方法。
- 請求項8に記載の蓄電デバイスの検査装置を用いて、
前記比較用の蓄電デバイスを備えた回路と、検査対象の蓄電デバイスを備えた回路との測定値を比較可能なタイミングで比較するステップと、
その測定値の差が基準値未満になった場合に、異常と判断する異常判断のステップを備えたことを特徴とする蓄電デバイスの検査方法。 - 請求項11又は請求項12に記載の蓄電デバイスの検査方法を含むことを特徴とする蓄電デバイスの製造方法。
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