以下、本発明の態様として、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、後述する各実施の形態においては、保管庫として、薬品などが収容された複数のボトル状の容器(以下、ボトルと略記する)を、好ましくは4℃程度で保管するために、例えば2℃から6℃の温度範囲で運転可能な冷蔵庫を例示して説明する。
また、各実施の形態においては、保管庫として、温度管理された状態で、連続運転が可能な一般的な冷蔵庫を例示して説明するが、これに限定されるものではない。
<第1の実施の形態>
[保管庫システムの全体構成]
図1〜図3は、本発明の第1の実施の形態に係るシールドボックスを保管庫と組み合わせてシステム化するようにした場合の構成(保管庫システム)を概略的に示すもので、図1は、開閉ドア3を開いた状態(ドア開時)を例示する正面図である。また、図2および図3は、開閉ドア3を閉じた状態(ドア閉時)をそれぞれ例示するもので、図2は斜視図であり、図3は正面図である。
図1〜図3に示すように、本実施の形態に係る保管庫システムは、例えば、保管庫1と、保管庫1とは別体として設けられると共に、保管庫1の収納室20内に格納可能なシールドボックス(電磁シールド部)Sと、から構成されている。
シールドボックスSは、特定周波数(例えば、920MHzや13.56MHzなど)の電波(電磁波)に対して高いシールド性を有するボックス本体部Hと、収納品管理のためのRFIDシステム(管理装置)Gと、を備えて構成されている。シールドボックスSは、いわゆる内槽ボックスである。
本実施の形態においては、シールドボックスSを、保管庫1の収納室20よりも一回りほど小さい箱型の形状としている。これにより、シールドボックスSは、収納室20への格納が容易とされると共に、収納室20と同程度の収納容量が確保されている。
すなわち、保管庫1は、図1〜図3に示すように、収納室20内にシールドボックスSを格納した状態において、開閉ドア3を完全に閉じることが可能となっている。したがって、収納室20内にシールドボックスSを格納した状態であっても、開閉ドア3を完全に閉じることによって、保管庫1の密閉性と気密性とが確保される。
また、収納室20内にシールドボックスSを格納した保管庫1では、たとえ、適用する冷蔵庫の電磁シールド(シールド性)が不十分であっても、ボックス本体部H内に十分に電磁シールドされたシールド空間Zを形成できる(例えば、図5参照)。
[保管庫の概要]
まずは、図4を参照して、本実施の形態に係るシールドボックスSと組み合わせて好適な保管庫1について説明する。
図4は、保管庫1として適用可能な冷蔵庫の開閉ドア3を開時した状態(ドア開時)を概略的に示すものである。例えば、保管庫1は、好ましくは4℃程度の低温状態を維持するように、温度調整された状態で物品(保管対象物)である薬品などのボトルBを収納できる冷蔵庫であって、市販されている既製の冷蔵庫を容易に転用することが可能である。
なお、既製の冷蔵庫としては、特に限定されるものではないが、よりベーシックで、安価な、ごく一般的なものとすることによって、システム化する場合において、一層の低廉化を図ることができる。
すなわち、保管庫1は、例えば図4に示すように、開口部10を有する収納室20を備えた冷蔵庫本体2と、冷蔵庫本体2を構成する筐体の開口部10を開閉する開閉ドア(片開き式の1枚扉)3と、を備える。開閉ドア3は、施解錠が可能とされている。
開閉ドア3としては、片開き式の1枚扉に限らず、観音開き式の2枚扉やスライド式の開閉扉、または、シャッタ式の扉なども適用できる。
冷蔵庫本体2は、筐体全体が樹脂製の部材を用いて構成されている。冷蔵庫本体2としては、少なくとも開閉ドア3を除いた筐体の外周部分が金属製であり、例えばSUS(ステンレス鋼)などの電磁波に対するシールド性を有する金属部材により形成されることが望ましい。
ここで、冷蔵庫本体2は、好ましくは箱型の筐体であり、上面4と、下面(底面)5と、左右の側面6,7と、背面(裏面)8と、前面(開口面)9と、を有している。また、冷蔵庫本体2は、内部に収納室20を有する。収納室20は、ほぼ直方体形状とされて、内面としての、上面20A、下面(底面)20B、左右の側面20C,20D、および、背面20Eを有している。冷蔵庫本体2の前面9は、上記した開閉ドア3の内側(裏面)に対応している。
冷蔵庫本体2には、収納室20内の温度調整を行うための温度調整空気導入経路30が、収納室20の内面に沿って設けられている。温度調整空気導入経路30は、後述する温度調整器31からの温度調整空気を収納室20内に循環させるためのものである。
温度調整器31は、図示していない熱交換器とヒータとを有しており、収納室20内の温度調整を所定の範囲内で行うことができる。
収納室20には、少なくとも1つ(ここでは、2段分)の棚板21が着脱自在に設けられている。上下方向の位置である、縦方向の棚板21の幅(間隔)を変更することによって、より高さのあるボトルBも収納可能であり、上下方向に複数のボトルBを積み重ねて収納させることもできる。また、各棚板21には、ボトルBを収納可能な樹脂からなるケースや後述する小型のシールドボックスSaなども収納できる。
冷蔵庫として使用する場合、棚板21の配置の位置や形状、枚数などに特に制限はなく、収納されるボトルBを効果的に低温状態で保管できる範囲で任意に設定できる。つまり、保管庫1で保管されるボトルBは、あまり間隔を詰めず、隣接するボトルBとの間に適当な余裕(隙間)を持った状態で収納するのが望ましい。
また、収納室20は、内部をほぼ空にした状態において、シールドボックスSの格納が可能とされている。すなわち、本実施の形態に係る保管庫システムにおいては、例えば、収納室20の棚板21をすべて取り外し、収納室20内をほぼ空にした状態の冷蔵庫が保管庫1として用いられる。
そして、収納室20に格納されたシールドボックスS内において、ボトルBが収納・保管されることにより、ボトルBに対する温度や在荷などの管理と共に、十分なシールド性の確保が可能とされる。
なお、収納室20内には、さらに、後述する制御用温度計60が配置されている。制御用温度計60は、収納室20の温度調整に用いられる測定温度情報MMを検出するためのもので、例えば熱電対を用いることができる。制御用温度計60は、例えば、収納室20内において最も温度変化が大きい、温度変化に敏感な箇所に配置されるようになっている。
制御用温度計60は、シールドボックスSの収納室20内への格納に伴って、例えばブルートゥース(登録商標)などの無線通信により、測定温度情報MMを後述する在荷監視部(管理制御部)Mに提供可能な構成としても良い。
測定温度情報MMは、例えば、保管されているボトルB内に収容されている薬品などの温度を直接的に測定するボトル温度計などを用いて取得するようにしても良い。または、ボトルB内に実際に収容されている薬品などは非常に高価な場合もあるため、測定温度情報MMとしては、ボトル温度計などを用いてダミーのボトル(図示省略)の内部の温度を間接的に測定するようにしても良い。
ここで、ボトルBは、その内部に収容される薬品などの影響を受けにくく、また、薬品などに影響しにくい、例えばガラス瓶などのガラス製の容器によって構成されている。収納室20に収納され、収納室20内で保管されるボトルBには、それぞれ、RFIDタグ(ICタグ)Tが予め付されている。RFIDタグTには、例えば、ボトルBの製造番号(ロット番号)や、ボトルB内に収容されている薬品などの種類(薬品名)、または、その薬品の使用期限などといったタグ情報(物品情報)が事前に登録されている。
なお、収納室20内では、ボトルB以外にも、RFIDタグを予め付すことによって、薬品などが収容されている箱体や、薬品以外の、各種の物品を保管することも可能である。
そして、冷蔵庫本体2の前面9に対して、例えば図1または図4に示すように、収納室20にボトルBを出し入れするための開口部10が矩形状に設けられている。開口部10を開閉するための、例えば片開き式の長方形状の開閉ドア3は、冷蔵庫本体2に対し、ヒンジ部を用いて開閉可能に取り付けられている。
冷蔵庫本体2および開口部10の開閉ドア3は、庫外に対する密封性と断熱性とを保持している。特に、開閉ドア3は、冷蔵庫本体2の前面9の開口部10を左右のいずれかに開閉可能とすると共に、閉時には、開口部10を隙間なく閉じることができる。
また、開閉ドア3は、例えば図2および図3に示すように、取っ手3Aを備えると共に、ドア閉時にも冷蔵庫本体2の収納室20内が見えるように、透光性を有する、例えばガラス窓3Rを備えている。そして、開閉ドア3の、ガラス窓3Rの周辺部分および開口部10の周囲部分には、図示していない金属フィンガやパッキンなどが配置されている。したがって、開閉ドア3は、開口部10を閉じることにより、内部を透過しつつ、収納室20内を密閉状態に保持できる。
[シールドボックスの概要]
次に、図5を参照して、本実施の形態に係る保管庫システムの、電磁シールド部として適用可能なシールドボックスSについて説明する。
図5は、シールドボックスSの構成を、ボックス本体部Hを透過して示すものである。すなわち、シールドボックスSは、内部に電磁シールドによりシールド空間Zが確保されたボックス本体部Hと、シールド空間Zに対するボトルBの出し入れに伴う在荷情報を管理するRFIDシステムGと、を備えている。
シールドボックスSは、保管庫1とは別体として設けられるものであって、例えば、RFIDシステムGごと冷蔵庫本体2の収納室20内に格納可能な構成とされている。
すなわち、ボックス本体部Hは、特定周波数の電波(電磁波)に対して、高いシールド性を有するステンレス製のメッシュなどにより、収納室20よりも一回りほど小さい箱型に形成されている。または、シールド性を損なわない程度の貫通孔がいくつか開孔された、例えばステンレス鋼を用いて形成されるようにしても良い。これにより、十分な通気性が確保されることによって、シールドボックスSが収納室20内に格納された際には、シールド空間Z内の温度が、収納室20と同程度の低温状態となるように制御される。
そして、ボックス本体部Hは、後述する認証付ロック機構12による施解錠が可能とされている。
認証付ロック機構12とは、例えば図1に示したように、認証を受けた使用者が認証用のカードキー(認証用IDカードなど)を近づけることなどにより、ボックス本体部Hを施錠したり、逆に、ボックス本体部Hの施錠を解除したりするものである。認証付ロック機構12としては、例えば、商用電源や後述する電源ユニット55からの電源供給を受けて動作する電磁式ドアロックを採用できる。
認証付ロック機構12としては、例えば、タッチパネルより入力されるパスワード(暗証番号)や、画像処理技術を用いた指紋などの身体的特徴を用いるものであっても良い。
このように、認証付ロック機構12を備えることによって、保管庫1が通常の連続運転を行っている際に、認証を受けた使用者以外の者(非認証者または第三者ともいう)がシールドボックスSを開けるのを防止できる。したがって、シールドボックスS内で保管されているボトルBを、使用者以外の者が勝手に取り出すことはできない。これにより、収納されているボトルBの保管上のセキュリティを確保できる。
また、認証を受けた使用者が認証付ロック機構12を操作してボックス本体部Hの施錠を解除しようとした場合には、例えばRFIDシステムGの表示ユニットDを用いて、その認証の結果を表示するようにしても良い。表示する認証の結果としては、例えば、ボトルBの出し入れを行った使用者を特定するための登録番号や使用者名などの使用者情報があげられる。
ボックス本体部Hの前面には、例えば図1に示したように、シャッタ部24が開閉可能に設けられる。シャッタ部24も電磁シールドする機能を備えた構成とすることによって、シャッタ部24を閉じることにより、ボックス本体部Hのシールド空間Z内が完全にシールド状態に保たれる。また、シャッタ部24を設けることによって、保管されるボトルBのセキュリティをより向上させることができる。
なお、シャッタ部24としては、ロール式、ジャバラ式、ブラインド型、または、間仕切り型など、各種のシャッタの適用が可能である。また、認証付ロック機構による施解錠が、ボックス本体部Hと同様に可能とされるようにすることによって、保管されているボトルBの保管上のセキュリティをより強固なものとすることができる。
このように、ボックス本体部Hの周囲をすべて電磁的に遮蔽し、その内側の、シールド空間Zの部分を電磁シールドさせたシールドボックスSを、保管庫1の収納室20内に格納させる。これにより、保管庫1の電磁シールド性が十分でなくとも、低温状態を保持したままの状態で、収納室20内に確実にシールド空間Zを確保できるようになる。
RFIDシステムGは、例えば図5に示すように、シールド空間Z内に配置され、シールド空間Z内の各ボトルBに予め付されたRFIDタグTからの電波を受信するアンテナ(アンテナ部)Aを備える。また、RFIDシステムGは、アンテナAによる、RFIDタグTからの電波の受信に伴って、RFIDタグTのタグ情報を無線通信により非接触で読み取るタグリーダ(タグ情報読み取り部)Rを備える。さらに、RFIDシステムGは、読み取ったRFIDタグTのタグ情報に基づいて、例えばボトルBの在荷情報を管理する在荷監視部Mを備えている。
なお、RFIDシステムGとしては、外部通信ユニットUをさらに備えるようにしても良い。これにより、在荷監視部Mで管理される、当該保管庫システムの在荷情報に応じた監視情報を無線または有線によって外部に送信させることが可能となり、遠隔地などでの集中管理や一括管理を行うことができるようになる。
同様に、RFIDシステムGが表示ユニットDを備えるようにすることによって、在荷情報や使用者情報などを目視可能にデジタル表示できる。
このように、シールドボックスSにおいては、ボックス本体部Hのシールド空間Z内に、1つあるいは複数のボトルBを収納・保管できるようになっている。各ボトルBには、例えばワクチンなどの液状の薬品などが収容されている。
したがって、液状の薬品などが収容されているボトルBは、シールドボックスS内に収納されることによって電磁的にシールドされると共に、保管庫1により、低温状態に温度調整されて保管されることになる。
アンテナAは、例えば、小型の薄板状アンテナであり、ボックス本体部Hの内側(シールド空間Z内)の、背面、一側面、および、上面にそれぞれ配置されている。なお、アンテナAのサイズや個数、配置の位置などは、ボックス本体部Hの寸法やRFIDタグTからの電波の強度(受信感度)などに応じて最適化することが可能である。
特に、ボックス本体部Hは、電磁シールドされている。したがって、アンテナAは、シールド空間Zの内側であれば、ボックス本体部Hの下面など、任意の位置に設置可能である。
一方、RFIDシステムGの、少なくとも外部通信ユニットUは、ボックス本体部Hの外側(シールド空間Z外)に配置される。特に、保管庫1の冷蔵庫本体2が電磁シールドされていない場合には、タグリーダR、在荷監視部M、および、外部通信ユニットUは、ボックス本体部Hの外側であれば任意の位置に設置可能である。
RFIDシステムGのタグリーダRなどを、例えば、ボックス本体部Hの外側に設置するようにした場合、アンテナAとタグリーダRとが、それぞれ有線ケーブル(外部通信用ケーブル)Kを介して電気接続される。有線ケーブルKは、ボックス本体部Hを貫通しており、その貫通部分には漏磁防止策が施されている。つまり、貫通部分と有線ケーブルKとの隙間から、シールド空間Z内に電磁波が入り込むことがないように構成されている。
有線ケーブルKとは、例えば、防磁用の金属製のメッシュが配置された防磁ケーブルである。防磁ケーブルを採用することによって、シールド空間Zでは、ボックス本体部Hの外側から有線ケーブルKを介して電磁波が混入することや、逆に、漏出(漏磁)することがないように防止される。
本実施の形態において、保管庫1の収納室20内に格納されたシールドボックスSの、ボックス本体部Hのシールド空間Z内で保管される各ボトルBには、予めRFIDタグTがそれぞれ付与されている。各RFIDタグTには、当該ボトルBに関する個別の物品情報であるタグ情報が事前に登録されている。
そして、RFIDシステムGのタグリーダRによって、アンテナAを介して、各RFIDタグTから送信されてくる各ボトルBのタグ情報の読み取りと、読み取ったタグ情報の在荷監視部Mへの転送と、が行われる。
すなわち、タグリーダRからは、不定期的(例えば、開閉ドア3が閉じられたことを契機とする)に、アンテナAを介して、シールド空間Z内に保管されている各ボトルBに対して、所定の問い合わせが行われる。開閉ドア3が閉じられた状態のドア閉時においては、定期的に、シールド空間Z内に保管されている各ボトルBに対して、所定の問い合わせが行われるようにしても良い。
この問い合わせに対して、各ボトルBのRFIDタグTからは、それぞれが記憶するタグ情報がアンテナAへと送信される。
これにより、タグリーダRにおいて、個別のタグ情報として、例えば、各ボトルBの製造番号(ロット番号)、収容されている薬品などの種類、または、使用期限などが非接触で読み取られる。
この場合、RFIDシステムGのアンテナAは、電磁シールドされたシールド空間Z内に配置されている。したがって、ボックス本体部Hが閉の状態のときにアンテナAで受信したタグ情報は、シールド空間Z内に保管されたボトルBのRFIDタグTから送信されたタグ情報のみとなる。
すなわち、開閉ドア3のドア閉時には、通常、シールドボックスSのボックス本体部Hおよびシャッタ部24が共に閉じられる。よって、開閉ドア3のドア閉時において、各ボトルBからのタグ情報の読み取りを行うようにすることにより、シールド空間Z内で保管されているボトルBのタグ情報だけを取得できる。
その際、複数のアンテナAをシールド空間Z内の互いに異なる位置に配置し、各ボトルBがシールド空間Z内のどの場所にあっても、全ボトルBのRFIDタグTからのタグ情報を受信できるようにすることで、より確実なタグ情報の読み取りが可能となる。
そして、在荷監視部Mでは、タグリーダRがアンテナAを介して読み取った、各ボトルBのRFIDタグTに登録されている個別のタグ情報に基づいて、各ボトルBの在荷情報を管理する。
在荷監視部Mにおいては、在荷情報から各ボトルBの監視情報を作成するようにしても良い。監視情報とは、例えば、外部通信ユニットUを通じて、外部の集中監視センタなどの所定の情報ステーション(図示省略)に、無線または有線により送信される情報である。
本実施の形態に係る保管庫システムにおいては、シールドボックスSのボックス本体部Hが閉じられた状態では、シールド空間Zが完全に電磁シールドされている。すなわち、シールド空間Zが閉時の際に、タグリーダRによって、シールドボックスS内に収納されていないボトルのタグ情報が誤読されることはない。
これにより、RFIDシステムGによって、RFIDタグTが付されたボトルBのシールド空間Zへの出し入れを正確に管理することができ、在庫などの、シールド空間Z内のRFIDタグTからのタグ情報に基づいた正確な在荷情報の取得が容易に可能となる。
特に、各ボトルBの出し入れされた日時を管理できるようにすることで、保管庫1内で保管されていなかった時間の把握が可能となって、薬品などの品質管理に利用することができる。
しかも、シールドボックスSのボックス本体部Hが閉じられた状態では、タグ情報の読み取りの際に生じる電磁波が、保管庫1の庫外に漏出するのを容易に防止できる。これにより、保管庫1で保管されるボトルBに関する各種の情報が、不用意に保管庫1の庫外に漏れ出るのを簡単に抑制することが可能となる。
[保管庫システムの制御ブロック]
次に、図6を参照して、システム化した場合の制御ブロックについて説明する。
図6に例示するように、本実施の形態に係る保管庫システムは、保管庫1と、該保管庫1とは別体として設けられ、収納室20内に格納されたシールドボックスSと、で構成されている。
保管庫1は、市販されている一般的な冷蔵庫であって、冷蔵庫本体2には、温度調整器31、制御用温度計60、異常警報部71、および、保管庫制御部80などが設けられている。また、保管庫1には、電源ユニット55やドア開閉検知器(図示省略)などを追加で設けることも可能である。
制御用温度計60は、温度調整に用いられる測定温度情報MMを検出するためのもので、収納室20内において、庫内温度の変化が激しい、開口部10の近傍などに配置される。制御用温度計60は、例えば、保管庫制御部80とRFIDシステムGの在荷監視部Mとに電気的に接続されている。
保管庫制御部80は、制御用温度計60、温度調整器31および異常警報部71などと電気的に接続されている。
温度調整器31は、制御用温度計60からの測定温度情報MMに基づいて、保管庫制御部80によって温度調整が制御され、収納室20内の温度が一定の低温状態を連続して保持するようになっている。これにより、各ボトルBの温度が、好ましくは4℃程度に保持される。
異常警報部71は、例えば、収納室20内の温度が所定温度(例えば、6℃)を上回ったときに異常警報灯を点灯させて、温度の異常上昇を警告する。また、収納室20内の温度が所定温度(例えば、2℃)を下回ったときに異常警報灯を点灯させて、温度の異常下降を警告する。また、収納室20内の温度が所定の制御温度(例えば、2℃〜6℃)の範囲から外れたときに、警報音を発生する異常警報音発生部を備えるようにしても良い。
また、開閉ドア3の開放が連続して予め設定された時間を経過した場合に、異常警報部71から警報音を発生させることも可能である。
制御用温度計60によって検出された測定温度情報MMは、例えば、RFIDシステムGの表示ユニットDによりデジタル表示されるようにしても良い。
電源ユニット55は、収納室20内にシールドボックスSが格納された際に、シールドボックスSに動作用の電源を供給するためのもので、例えば、ワイヤレス給電などの非接触式またはコネクタなどを用いた伝送式の電力装置によって構成される。
一方、シールドボックスSは、RFIDシステムGおよび認証付ロック機構12を備えると共に、在荷監視部Mには、各種の基準値を記憶する基準値記憶部Fなどが接続されている。
認証付ロック機構12は、例えばシールドボックスSのボックス本体部Hが不用意に開けられるのを制限するためのもので、施錠状態か/解錠状態であるかを示す施錠解錠情報RRを、在荷監視部Mに出力する。
RFIDシステムGは、例えば図5に示したように、各ボトルBに予め付されたRFIDタグTからタグ情報を読み取るタグリーダRと、アンテナAと、在荷監視部Mと、を備えて構成されている。また、RFIDシステムGとしては、表示ユニットDや外部通信ユニットUなどを備えるようにしても良い。
RFIDシステムGにおいては、アンテナAを介して、タグリーダRによりシールド空間Z内で保管される各ボトルBのRFIDタグTからのタグ情報を読み取り、その読み取ったタグ情報に基づいて、在荷監視部Mにより在荷情報などの管理が行われる。
また、RFIDシステムGでは、タグリーダRによって読み取られたタグ情報や、タグ情報に基づく在荷情報などの表示ユニットDでの表示、または、監視情報の外部通信ユニットUからの外部への送信などが行われる。
表示ユニットDにおいては、例えば在荷情報に基づいて、ボトルB内に収容されている薬品などの使用期限切れが間近に迫っていることを自動的に警告するようにしても良い。
特に、シールド空間Z内より取り出されたボトルBが所定の時間を経過した後に再びシールド空間Z内に返却される際に、例えば、当該ボトルBは薬品としての効力が著しく低下しており、再度の保管には適さないことなどを注意喚起するようにしても良い。
上記したように、本実施の形態によれば、タグ情報の読み取りの際に生じる電磁波が保管庫1の庫外に漏出するのを容易に防止でき、保管されているボトルBに関する各種の情報が庫外に漏れ出るのを簡単に抑制することが可能となる。
すなわち、第1の実施の形態に係る保管庫システムにおいては、保管庫1の収納室20内にシールドボックスSを格納させ、そのシールド空間Zにおいて、ボトルBを保管できるようにしている。これにより、保管庫1としては、一般的な冷蔵庫を用いることが可能であり、しかも、保管庫1の収納室20内に格納可能なシールドボックスSを、RFIDシステムGを備えた簡素な構成とすることができる。したがって、タグ情報を非接触で読み取ることによって、保管するボトルBを正確に管理することが容易に可能な保管庫システムを、より安価に実現できる。
特に、シールド空間Zが閉じられた状態において、タグ情報の読み取りを行うことにより、タグ情報の読み取りの際に生じる電磁波が保管庫1の庫外に漏出するのを容易に防止できるものである。
上述した第1の実施の形態に係る保管庫システムにおいては、保管庫1の収納室20内に、1つのシールドボックスSを格納するようにした場合を例示して説明したが、これに限らず、例えば複数のシールドボックスを同時に格納可能な構成とすることもできる。
<第2の実施の形態>
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るシールドボックスを保管庫と組み合わせてシステム化した保管庫システムの適用例を概略的に示すものである。ここでは、病院の調剤室50などに設置された大型の保管庫システムで保管されているボトルBを、シールドボックスSaごと、自宅または治療室や病室51などに設置される小型の保管庫システムへ移送(搬送)する場合を例示している。
なお、上述した第1の実施の形態に示した保管庫システムと同一部分には同一または類似の符号を付して、詳しい説明は省略する。例えば、大型の保管庫システムおよび小型の保管庫システムにおける各保管庫1は、サイズが異なる場合はあるものの、いずれも第1の実施の形態で示した保管庫システムの保管庫1とほぼ同様の構成とされている。
図7において、電磁シールド部である小型のシールドボックスSaは、それぞれ、大型の保管庫システムにおける保管庫(例えば、メインの保管庫)1または小型の保管庫システムにおける保管庫(例えば、サブの保管庫)1の、各収納室20内に格納される。メインの保管庫1の収納室20は、例えば、6個の小型のシールドボックスSaを同時に格納可能とされる。サブの保管庫1の収納室20は、例えば、1個ないし数個の小型のシールドボックスSaを収納可能とされる。
本適用例においては、例えば、調剤室50などのメインの保管庫1内より小型のシールドボックスSaが1つ取り出され、搬送用コンテナ(搬送装置)40内に格納された状態で搬送される。そして、該当する患者さんの病室51などまで搬送された後、サブの保管庫1の収納室20内に小型のシールドボックスSaごと格納される。これにより、小型のシールドボックスSa内に収納されているボトルBを、低温状態を保ったまま、サブの保管庫1で保管することが可能となる。
保管庫1とは別体として設けられる小型のシールドボックスSaは、ボックス本体部Haのサイズが異なるだけで、基本的には、図5に示したシールドボックスSと同様な構成を有している。
すなわち、小型のシールドボックスSaは、例えば図8に示すように、内部にシールド空間Zが確保されたボックス本体部Haと、シールド空間Zに対するボトルBの出し入れに伴う在荷情報を管理するRFIDシステムGと、を備えている。
ボックス本体部Haは、ほぼ直方体状の箱型を有している。ボックス本体部Haは、特定周波数の電波(電磁波)に対して、高いシールド性を有するステンレス製のメッシュなどにより形成されている。または、シールド性を損なわない程度の貫通孔がいくつか開孔された、例えばステンレス鋼を用いて形成されるようにしても良い。これにより、ボックス本体部Haの十分な通気性が確保される。
ボックス本体部Haは、開閉蓋部57の認証付ロック機構TPによる施解錠が可能とされている。これにより、ボックス本体部Haに収納されたボトルBの保管上のセキュリティが確保されている。
RFIDシステムGは、アンテナA、アンテナAに有線ケーブルKを介して電気接続されたタグリーダ、在荷監視部M、および、外部通信ユニットUを備えている。これにより、例えば図7に示すように、小型のシールドボックスSaごとに保管されているボトルBの在荷情報などを、情報ステーションISなどの外部において、集中的に一括して管理できるようになる。
なお、RFIDシステムGとしては、ボックス本体部Ha内に収納中のボトルBのタグ情報などをデジタル表示するための、表示ユニットをさらに備えるようにしても良い。
このような構成の小型のシールドボックスSaにおいては、ボックス本体部Haのシールド空間Z内に、1つあるいは複数のボトルBを収納・保管できるようになっている。各ボトルBには、例えば、個人向けの特別な治療薬やワクチンなどの特定の薬品などが収容される。
したがって、小型のシールドボックスSaごとに収納するボトルBを特定させる、つまり、1つのシールドボックスSaで保管する薬品を限定することにより、患者個人や病室または疾病単位で薬品を管理できるようになる。
なお、小型の保管庫システムにおける保管庫1をメインの保管庫とし、大型の保管庫システムにおける保管庫1をサブの保管庫として、患者の血液などの検体を収容したボトルBを小型のシールドボックスSa内に収納し、搬送する場合にも同様に適用できる。
または、大型の保管庫システムにおける保管庫1をサブの保管庫として、医薬品メーカなどのメインの保管庫1から薬品などを搬入する場合にも適用できる。
図7において、搬送用コンテナ40は、携帯可能であって、例えば、小型のシールドボックスSaを1つずつ収容し、低温状態を保ったまま、搬送することが可能な構成とされている。搬送用コンテナ40は、例えば発砲スチロールなどからなる筐体内に、保冷器41、温度センサ(温度検出手段)42、位置センサ(位置検出手段)43、および、外部通信器44を備えている。保冷器41は、搬送用コンテナ40の内部温度を所定の低温状態に保つためのものである。温度センサ42は、搬送時の温度情報を直接的または間接的に取得するためのものである。位置センサ43は、搬送時の位置情報を取得するためのもので、例えばGPS(Global Positioning System)受信機である。外部通信器44は、位置情報や温度情報を外部の情報ステーションISなどに送信するためもので、所謂、外部通信ユニットが用いられる。
なお、小型のシールドボックスSa内に収納されているボトルBの在荷情報は、RFIDシステムGの外部通信ユニットUによっても送信可能であるが、外部通信器44を用いて、外部の情報ステーションISなどに送信するようにしても良い。
情報ステーションISは、例えば遠隔地において、在荷情報や在荷情報に応じた監視情報に基づいてボトルBを管理すると共に、搬送用コンテナ40により搬送中の小型のシールドボックスSa内に収納されているボトルBをも管理することが可能となる。つまり、小型のシールドボックスSaの搬送中は、搬送用コンテナ40からの温度情報に基づいて、小型のシールドボックスSa内に収納されているボトルBの温度管理を行うことができる。同様に、位置情報に基づいて、小型のシールドボックスSa内に収納されているボトルBのトレーサビリティを実現することができる。
なお、本実施の形態においても、開閉ドア3の内側に認証付ロック機構を備えたシャッタ部を設けることによってセキュリティの向上が可能であり、該シャッタ部がシールド機能を備えることにより、閉時には収納室20内をシールド状態に保つことが可能となる。
次に、図7に示した適用例の構成において、小型のシールドボックスSaの搬送時の処理について、図9〜図11のフローチャートを参照して説明する。
図9は、小型のシールドボックスSaをメインの保管庫1より搬出する際の処理の流れを示すものである。
調剤室50などの大型の保管庫システムで保管されているボトルBを、病室51などの小型の保管庫システムへ移す場合、まず保管庫制御部80により、例えば、メインの保管庫1の開閉ドア3がオープンされたか否かがチェックされる(ステップST1)。メインの保管庫1において、開閉ドア3のオープンが判断されるまで(ステップST1のNO)、このステップST1での処理が繰り返される。
ステップST1において、開閉ドア3がオープンされたことが判断されると(ステップST1のYES)、収納室20から所望する小型のシールドボックスSaの取り出しが行われる(ステップST2)。小型のシールドボックスSaの取り出しを行わない場合(ステップST2のNO)、そのまま処理は終了される。
一方、所望の小型のシールドボックスSaの取り出しが行われると(ステップST2のYES)、在荷情報などに基づいて、その取り出された小型のシールドボックスSaの特定が行われる(ステップST3)。
そして、特定された小型のシールドボックスSaの在荷情報などが、RFIDシステムGの外部通信ユニットUによって、外部の情報ステーションISに送られる(ステップST4)。
この後、メインの保管庫1の開閉ドア3がクローズされたか否かがチェックされる(ステップST5)。そして、メインの保管庫1において、保管庫制御部80により開閉ドア3のクローズが判断されるまで(ステップST5のNO)、このステップST5での処理が維持される。
ステップST5において、保管庫制御部80により開閉ドア3がクローズされたことが判断されると(ステップST5のYES)、搬出に係る一連の処理は終了される。
図10は、小型のシールドボックスSaをメインの保管庫1よりサブの保管庫1に搬送する際の処理の流れを示すものである。
搬送時、調剤室50などの大型の保管庫システムにおけるメインの保管庫1の収納室20より取り出された小型のシールドボックスSaは、その場で、直ちに保冷器41によって温度制御された搬送用コンテナ40の筐体内に収容される(ステップST11)。それまで、処理はここで待機状態となる(ステップST11のNO)。
小型のシールドボックスSaが搬送用コンテナ40内に収容されると(ステップST11のYES)、搬送用コンテナ40は、医師や看護師などによって移送され、該当する病室51などまで搬送される。
搬送時、搬送用コンテナ40内に収容されている小型のシールドボックスSa内に収納されているボトルBの在荷情報などが、外部通信ユニットUによって、外部の情報ステーションISに送信される。
また、その搬送中において、例えば定期的に、温度センサ42による温度情報の取得と、位置センサ43による位置情報の取得と、が繰り返し行われる(ステップST12)。そして、取得された温度情報および位置情報は、例えば外部通信器44によって、適宜、外部の情報ステーションISに送信される(ステップST13)。これにより、情報ステーションISにおいて、搬送用コンテナ40内に収容されている小型のシールドボックスSa内に収納されているボトルBの在荷情報などと、搬送中の温度情報および位置情報が、紐づけされて管理される。
なお、収容されている小型のシールドボックスSaの在荷情報などを、温度情報および位置情報と同時に、外部通信器44によって、外部の情報ステーションISに送信するようにしても良い。
こうして、温度情報と位置情報との取得を繰り返しながら搬送されて、小型のシールドボックスSaが収容された搬送用コンテナ40が該当する病室51などに到着すると、小型のシールドボックスSaの取り出しが行われる(ステップST14)。搬送用コンテナ40内から小型のシールドボックスSaの取り出しが行われるまで(ステップST14のNO)、上記ステップST12〜の処理が繰り返される。
そうして、搬送用コンテナ40内からの小型のシールドボックスSaの取り出しが行われることにより(ステップST14のYES)、搬送に係る一連の処理が終了する。
図11は、小型のシールドボックスSaをサブの保管庫1に搬入する際の処理の流れを示すものである。
病室51などにおいて、搬送用コンテナ40内から取り出された小型のシールドボックスSaは、直ちに、小型の保管庫システムにおけるサブの保管庫1内に格納されることになる。
その場合、まず保管庫制御部80により、例えば、サブの保管庫1の開閉ドア3がオープンされたか否かがチェックされる(ステップST21)。サブの保管庫1において、開閉ドア3のオープンが判断されるまで(ステップST21のNO)、このステップST21での処理が繰り返される。
ステップST21において、開閉ドア3がオープンされたことが判断されると(ステップST21のYES)、収納室20への小型のシールドボックスSaの格納が行われる(ステップST22)。小型のシールドボックスSaの格納を行わない場合(ステップST22のNO)、そのまま処理は終了される。
一方、収納室20内に小型のシールドボックスSaが格納されると(ステップST22のYES)、ステップST23において、保管庫制御部80により開閉ドア3がクローズされたか否かがチェックされる。サブの保管庫1において、開閉ドア3のクローズが判断されるまで(ステップST23のNO)、このステップST23での処理が繰り返される。
サブの保管庫1において、開閉ドア3がクローズされたことが判断されたとする(ステップST23のYES)。すると、格納された小型のシールドボックスSaにおいては、RFIDシステムGのアンテナAおよびタグリーダRによって、RFIDタグTからのタグ情報の読み取りが行われる(ステップST24)。
そして、読み取ったタグ情報に基づいて在荷監視部Mにより在荷情報などが生成された後、生成された在荷情報などが、RFIDシステムGの外部通信ユニットUによって、外部の情報ステーションISに送られる(ステップST25)。
このようにして、搬入に係る一連の処理は終了される。これ以降、サブの保管庫1に搬送されるべくして搬送されたボトルBは、このサブの保管庫1で保管・管理されることとなる。
サブの保管庫1においては、開閉ドア3がクローズされた後にタグ情報の読み取りが行われるようにすることにより、サブの保管庫1においても、電磁波が庫外に漏出するのを確実に防止できる。
上記したように、薬品などが収容されているボトルBは、小型のシールドボックスSa内に収納されることによって電磁的にシールドされると共に、搬送用コンテナ40により、低温状態に温度調整されたまま搬送されることになる。したがって、搬送時にも、収納中のボトルBのタグ情報が周囲に漏れ出たり、不要な電磁波が混入するのを阻止できると共に、ボトルB内の薬品などの品質が温度により変化(劣化)したりするのを防止することが可能になる。
また、搬送用コンテナ40の搬送中の位置情報から、搬送経路を把握できるようになる。これにより、例えば、不審な場所などへの立ち寄りによって、不届き者によりボトルBの中身が細工されるなどの危険性を排除でき、安全性の向上が可能となる。
<第3の実施の形態>
上述した第1および第2の実施の各形態に係る保管庫システムにおいては、保管庫1が電磁シールドされていない場合に有効な例として、RFIDシステムGの外部通信ユニットUなどを、ボックス本体部Hの外側(保管庫1内)に設置した場合について説明した。これに限らず、例えば図12に示すように、RFIDシステムGのタグリーダR、在荷監視部M、表示ユニットD、および、外部通信ユニットUを、冷蔵庫本体2の背面(裏面)8などから保管庫1の外側に引き出すように構成することもできる。漏磁防止策が必要となるものの、特に、保管庫1の外側に外部通信ユニットUを配置することによって、外部との通信精度を格段に向上できる。
その一方で、本実施の各形態に係る保管庫システムにおいては、少なくともシールドボックスS,Saに設けられたRFIDシステムGのアンテナAをシールド空間Z内に設置することが、アンテナAの受信性を良くする上で好ましい。
また、本実施の各形態に係る保管庫システムにおいては、一般的な冷蔵庫を保管庫1として用い、家庭や薬局などでの薬剤の管理を行うことも可能である。この場合、冷蔵庫内に収納される薬剤に予めRFIDタグを付し、その薬剤が保管された日時に基づいて、例えば、在荷監視部や外部の情報ステーションなどから、使用期限の過ぎた薬剤の交換などを通知するメッセージが送信されるようにしても良い。
また、本実施の各形態においては、保管庫1(シールド空間Z)内より持ち出したボトルの履歴を常に監視することもできる。
その他、保管庫1としては、冷蔵庫に限らず、恒温槽またはインキュベータなども適用できる。
上述したように、シールドボックスS,Saは、保管庫1の収納室20内に格納可能であって、ボトルBを保管すると共に、特定周波数の電磁波が漏出するのを防止できるボックス本体部H,Haと、ボトルBに予め付されたRFIDタグTのタグ情報を、特定周波数の無線通信により非接触で読み取るタグリーダR、アンテナA、および、アンテナAを介して読み取ったタグ情報に基づいて、ボックス本体部H,Ha内で保管されるボトルBの在荷情報を管理する在荷監視部Mを有するRFIDシステムGと、を備える。
本発明によれば、ボトルBを、保管庫1の収納室20に格納可能なシールドボックスS,Sa内で保管できるようになる。これにより、シールドボックスS,Saが閉じた状態であれば、ボトルBを管理するためのタグ情報を読み取る際にも、電磁波が庫外に漏出するのを確実に防止できる。したがって、保管されるボトルBに関する各種の情報が第三者に漏れるのを容易に抑制することが可能となる。
RFIDシステムGは、ボックス本体部H,Haに備えられ、ボックス本体部H,Haが閉状態の際に、タグ情報の読み取りを行うように構成されることを特徴とする。
これにより、ボトルBに予め付されたタグ情報を庫外に漏出させることなく、より正確、かつ、確実に読み取ることができる。
RFIDシステムGは、さらに外部通信ユニットUを備え、外部通信ユニットUを介して、在荷監視部Mによって管理される在荷情報を外部に通信可能であることを特徴とする。
これにより、読み取ったタグ情報などを外部に送信させることが可能となり、遠隔地などにおいて、タグ情報に基づいた在荷情報の確認が容易に可能となると共に、複数の保管庫システムを一括して管理することが可能となる。
保管庫1は、収納室20内に、少なくとも1つの棚板21を着脱自在に取り付け可能な冷蔵庫であることを特徴とする。
これにより、市販されている既製の冷蔵庫を、そのまま保管庫として利用することが可能であり、シールド性の確保が必要ない場合には、ボトルBを保管するための単なる冷蔵庫(保管庫)としても利用できる。
ボックス本体部H,Haは、通気性を有することを特徴とする。
これにより、シールド性を確保しつつ、ボトルBを冷却した状態で保管できる。
収納室20を備えた保管庫1と、上記のいずれかに記載のシールドボックスS,Saと、を備え、保管庫1の収納室20内に、シールドボックスS,Saが格納されてなることを特徴とする。
これにより、ボトルBを、保管庫1の収納室20に格納させたシールドボックスS,Sa内で保管できるようになる。よって、保管庫1で保管されたボトルBを管理するためのタグ情報を読み取る際にも、シールドボックスS,Sa内で読み取りを行うことによって、電磁波が保管庫1の庫外に漏出するのを確実に防止できる。したがって、保管されるボトルBに関する各種の情報が第三者に漏れるのを容易に抑制することが可能となる。
シールドボックスSaを、ボトルBを収納したままの状態で収容し、シールドボックスSaごと搬送可能な搬送用コンテナ40をさらに備え、搬送用コンテナ40は、収納されているボトルBの温度を検出する温度センサ42、および、搬送時の位置を検出する位置センサ43を備えることを特徴とする。
これにより、ボトルBを別の保管庫1まで移送させる際にも、シールドボックスSaを保冷することができると共に、温度の検出と位置の検出とが可能となる。
搬送用コンテナ40は、収納されているボトルBのRFIDシステムGにより管理される在荷情報、温度センサ42で検出した温度情報、および、位置センサ43で検出した位置情報を、外部に通信可能な外部通信器44を、さらに備えることを特徴とする。
これにより、移送中の、ボトルBの温度を管理しつつ、ボトルBの搬送時の位置をトレースすることが可能となる。
保管庫1をメインの保管庫とした場合において、メインの保管庫とは別体として搬送用コンテナ40の搬送先に設けられ、搬送用コンテナ40によって搬送されるシールドボックスSa内に収納されているボトルBを、シールドボックスSaごと格納可能なサブの保管庫1をさらに備えることを特徴とする。
これにより、ボトルBを単に保管するのみでなく、保管庫システム間の移送が容易とされる。
サブの保管庫1は、シールドボックスSa内に収納されているボトルBの在荷情報を外部に通信可能に構成されることを特徴とする。
これにより、移送に伴うボトルBの取り違えやボトルBが行先不明になるなどの不都合を回避できる。
以上、本発明の態様について、いくつかの実施の形態を例示して説明したが、各実施の形態は一例であり、特許請求の範囲に記載される発明の範囲は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更できるものである。