JP2021049699A - 媒体加熱装置及び印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】発熱体から放射された電磁波による輻射熱で媒体を加熱できると共に、媒体等が発熱体に接触する虞を低減できる媒体加熱装置を提供する。【解決手段】媒体加熱装置15は、発熱体44と、発熱体を覆う透明部材52と、透明部材の第1軸に沿う方向での第1端部55を支持する第1支持部53と、透明部材の第1軸に沿う方向での第2端部56を支持する第2支持部54と、を備え、第1支持部は、透明部材の第1端部と第1軸に沿う方向において対向する第1対向部57と第1端部における第1軸に沿って延びる面に接触する第1支持面58とを有し、第2支持部は、透明部材の第2端部と第1軸に沿う方向において対向する第2対向部59と第2端部における第1軸に沿って延びる面に接触する第2支持面60とを有し、第1軸に沿う方向における第1対向部と第2対向部との距離D1は、第1軸に沿う方向における第1支持面と第2支持面との距離D2よりも長い。【選択図】図2

Description

本発明は、媒体加熱装置及び印刷装置に関する。
媒体を加熱する媒体加熱装置を備えた印刷装置の一例として、例えば特許文献1に記載のインクジェット式のプリンターが知られている。このプリンターが備える媒体加熱装置は、印刷時に媒体に付着した液体の一例であるインクを乾燥させるために印刷済みの媒体を輻射熱で加熱する発熱体を有している。発熱体は放熱用の開口を有するケース内に配置され、ケースは開口を介して発熱体が媒体におけるインクが付着した面と対向するように配置されている。そして、ケースの開口には、開口と対向する位置を搬送される媒体等が開口を介してケース内に入り込んで発熱体に接触しないようにするべく、カバーの一例である金網が開口を覆うように取り付けられている。
特開2019−98638号公報
上記の媒体加熱装置において、ケースの開口を覆う金網は、その端部がケースにおける開口の周縁に固定されることで、ケースの開口に対して取り付けられている。そのため、カバーの一例である金網が熱膨張係数の大きい材料で形成されている場合は、発熱体からの輻射熱で膨張して湾曲状に変形する虞があり、この点で改善が望まれていた。
上記課題を解決する媒体加熱装置は、媒体を加熱するための電磁波を放射可能な発熱体と、前記発熱体を覆う電磁透過性を有したカバーと、前記カバーにおける第1軸に沿う方向での第1端部を支持する第1支持部と、前記カバーにおける前記第1軸に沿う方向での端部であって前記第1端部とは異なる第2端部を支持する第2支持部と、を備え、前記第1支持部は、前記カバーの前記第1端部と前記第1軸に沿う方向において対向する第1対向部と、前記カバーの前記第1端部における前記第1軸に沿って延びる面に接触する第1支持面と、を有し、前記第2支持部は、前記カバーの前記第2端部と前記第1軸に沿う方向において対向する第2対向部と、前記カバーの前記第2端部における前記第1軸に沿って延びる面に接触する第2支持面と、を有し、前記第1軸に沿う方向における前記第1対向部と前記第2対向部との距離は、前記第1軸に沿う方向における前記第1支持面と前記第2支持面との距離よりも長い。
上記課題を解決する印刷装置は、媒体に印刷用の液体を付着させることにより前記媒体に画像を印刷する印刷部と、前記印刷部による印刷済みの前記媒体を加熱するための電磁波を放射可能な発熱体と、前記発熱体を覆う電磁透過性を有したカバーと、前記カバーにおける第1軸に沿う方向での第1端部を支持する第1支持部と、前記カバーにおける前記第1軸に沿う方向での端部であって前記第1端部とは異なる第2端部を支持する第2支持部と、を備え、前記第1支持部は、前記カバーの前記第1端部と前記第1軸に沿う方向において対向する第1対向部と、前記カバーの前記第1端部における前記第1軸に沿って延びる面に接触する第1支持面と、を有し、前記第2支持部は、前記カバーの前記第2端部と前記第1軸に沿う方向において対向する第2対向部と、前記カバーの前記第2端部における前記第1軸に沿って延びる面に接触する第2支持面と、を有し、前記第1軸に沿う方向における前記第1対向部と前記第2対向部との距離は、前記第1軸に沿う方向における前記第1支持面と前記第2支持面との距離よりも長い。
媒体加熱装置を備えた印刷装置の一実施形態を模式的に示す側面図。 媒体加熱装置の側断面図。 媒体加熱装置のケースに対するカバーの取付手順を示す側断面図。 媒体加熱装置のケースに対するカバーの取付手順を示す側断面図。 第1変形例の媒体加熱装置を示す側断面図。 第2変形例の媒体加熱装置を示す側断面図。
以下、媒体加熱装置を備えた印刷装置の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、印刷装置11は、媒体90を搬送経路に沿うように支持可能な媒体支持部12と、媒体90を搬送経路に沿って搬送する搬送部13と、媒体90に印刷を行う印刷部14と、印刷済みの媒体90を加熱する媒体加熱装置15と、を備える。なお、本実施形態における印刷装置11は、例えば連続紙等の長尺状の媒体90に液体の一例であるインクを噴射して付着させることにより、文字、写真等の画像を印刷するインクジェット式のプリンターである。
媒体支持部12は、媒体90を搬送経路上の複数箇所でそれぞれ支持可能な第1支持板16と第2支持板17と第3支持板18とを備える。各支持板16,17,18は、媒体90を搬送経路に沿って搬送されるように支持する媒体支持面19,20,21を有する。各支持板16,17,18は、媒体90の搬送方向Yにおいて、上流側から第1支持板16、第2支持板17及び第3支持板18の順に並ぶ。第2支持板17の媒体支持面20は水平方向に沿い、且つ、印刷部14と対向する。また、第3支持板18の媒体支持面21は下流側ほど鉛直下方になる下り勾配の斜面であり、且つ、媒体加熱装置15と対向する。
搬送部13は、媒体90の搬送方向Yにおいて、第1支持板16よりも上流側に位置する第1回転軸22と、第3支持板18よりも下流側に位置する第2回転軸23と、を備える。第1回転軸22は、印刷前の媒体90をロール状に巻き重ねて形成したロール体R1を回転可能に支持する。第2回転軸23は、印刷済みの媒体90をロール状に巻き取って形成したロール体R2を回転可能に支持する。第1支持板16と第2支持板17との間、及び、第2支持板17と第3支持板18との間には、媒体90に接した状態で回転することによって媒体90を搬送する搬送ローラー24が配置される。
印刷部14は、液体の一例であるインクを吐出するヘッド25と、ヘッド25を保持するキャリッジ26と、キャリッジ26の移動を案内するガイド軸27と、を備える。ヘッド25は、第2支持板17と対向するように配置され、第2支持板17に支持される媒体90に対してインクを吐出可能である。すなわち、ヘッド25は、第2支持板17の媒体支持面20上を搬送される媒体90の搬送方向Yと交差する方向に水平に延びるガイド軸27に沿ってキャリッジ26と共に往復移動する。そして、ヘッド25は、そのように往復移動しながら、媒体90における第2支持板17の媒体支持面20上に支持されている部分にインクを吐出することで、媒体90に文字、図形等の画像を印刷する。
媒体加熱装置15は、媒体支持部12における第3支持板18の媒体支持面21に対して間隔をあけて対向する。第3支持板18の媒体支持面21と媒体加熱装置15との間の空間は、媒体加熱装置15により加熱される加熱領域30である。搬送部13により搬送される媒体90は、この加熱領域30を通過する。すなわち、媒体90は、印刷部14により画像を印刷された後において加熱領域30を通過するときに、媒体90に付着している未乾燥のインクを媒体加熱装置15による加熱で蒸発させられて乾燥する。
図1及び図2に示すように、媒体加熱装置15は、媒体90を加熱するための加熱部41と、加熱部41を収容する筐体42と、加熱領域30に気流を生じさせるために送風する送風機43と、を備える。加熱部41は、媒体90における第3支持板18の媒体支持面21に支持されている部分を加熱可能に、媒体支持面21と対向する位置に配置される。加熱部41は、例えばヒーター管等で構成される発熱体44を有する。発熱体44は、媒体90を加熱するための電磁波を放射可能であり、第3支持板18の媒体支持面21に沿う方向に2つ並ぶ。なお、各々の発熱体44に対して第3支持板18の媒体支持面21が位置する側とは反対側となる各位置には、凹曲面状の反射面を有する反射板45が配置されている。
筐体42は、加熱部41を内部に収容するとともに第3支持板18の媒体支持面21と対向する箇所に開口部46を有する内側ケース47と、その内面と内側ケース47の外面との間に間隔をおいた状態で内側ケース47を外側から覆う外側ケース48と、を備える。内側ケース47と外側ケース48との間には流路49が区画形成される。この流路49内に送風機43は配置される。流路49は、内側ケース47の開口部46よりも下流側の位置で加熱領域30から流路49内に気体を流入可能とする流入口50と、内側ケース47の開口部46よりも上流側の位置で流路49内から気体を加熱領域30に流出可能とする流出口51と、を備える。そして、内側ケース47は、開口部46が形成された面であって第3支持板18の媒体支持面21と対向する側の面が、第3支持板18の媒体支持面21と同様に、その媒体支持面21に沿う媒体90の搬送方向Yにおいて下流側ほど鉛直下方になる下り勾配の斜面となるように配置されている。
送風機43は、図1において実線の矢印A,B,C,D,Eで示す各方向に気流を発生させる態様で流路49内に配置されている。すなわち、送風機43が駆動された場合は、実線の矢印Aで示すように流出口51を介して流路49内から加熱領域30へ気体が流出する。この場合、流出口51は、第3支持板18の媒体支持面21に対して上流側の斜め上方から下流側へ斜めに気体を流出させるように気体の流出角度が設定されている。そのため、流出口51から加熱領域30へ流出した気体は、その後、実線の矢印Bで示すように加熱領域30を第3支持板18の媒体支持面21に沿って下流側へと流れ、その流れの過程で、第3支持板18の媒体支持面21に支持されている媒体90を乾燥させる。その後、加熱領域30を下流側に流れた気体のうち、一部の気体は、実線の矢印Cで示すように加熱領域30から下流側へ流出する一方、それ以外の気体は、実線の矢印Dで示すように流入口50を介して加熱領域30から流路49内に流入する。そして、流入口50から流路49内へ流入した気体は、その後、実線の矢印Eで示すように流路49内を送風機43に向けて流れ、以後、流路49と加熱領域30との間を循環する。
図2に示すように、媒体加熱装置15の筐体42における内側ケース47の開口部46には、発熱体44を覆うカバーの一例である矩形板状の透明部材52が取り付けられている。この場合、開口部46は、媒体90の搬送方向Yと直交する方向の開口幅が媒体90の幅寸法と等しい長さであると共に、媒体90の搬送方向Yに沿う方向の開口長さが第3支持板18の媒体支持面21の長さ寸法よりも短い矩形の開口である。そして、透明部材52は、そうした内側ケース47の開口部46に取り付けられた状態において、第3支持板18の媒体支持面21に沿って斜めに延びる方向を当該透明部材52における第1軸の方向とした場合、その第1軸に沿う方向の長さ寸法及び第1軸と直交する方向の幅寸法が次のように設定されている。すなわち、矩形板状の透明部材52は、その第1軸に沿う方向の長さ寸法が内側ケース47の開口部46の開口長さよりも長い。また、矩形板状の透明部材52は、その第1軸と直交する方向の幅寸法が内側ケース47の開口部46の開口幅と等しい。
そして、透明部材52は、内側ケース47の内側に開口部46を介して差し入れられた後、その開口部46を内側から塞ぐようにして取り付けられることで、内側ケース47内の発熱体44を覆う。これによれば、発熱体44への外部からの干渉が抑制される。この場合、透明部材52は、内側ケース47の開口部46に対して、その透明部材52の板面が第3支持板18の媒体支持面21に沿う媒体90の搬送方向Yにおいて下流側ほど鉛直下方になる下り勾配の斜面となる姿勢で取り付けられる。換言すると、透明部材52は、内側ケース47の開口部46に取り付けられたとき、媒体90の搬送方向Yにおいて下流側ほど鉛直下方になる下り勾配の斜面である第3支持板18の媒体支持面21と平行な斜め姿勢になる。
因みに、透明部材52は、耐熱性及び透過性が共に高いプラスチック製の板材であり、例えば、株式会社ユニチカ製のUポリマー(登録商標)、JSR株式会社製のarton樹脂(登録商標)などを材料にして形成されている。こうした材料で形成された透明部材52は、耐熱温度が摂氏270度であり且つ透過率が0.8〜0.9と高い。そのため、かかる透明部材52は、加熱領域30を通過する媒体90に対する発熱体44からの輻射を遮らない。なお、透明部材52は、発熱体44から放射される電磁波のうちピーク波長の電磁波を透過させる。また、こうした透明部材52における透過率の測定にはFTIRと略称されるフーリエ変換型赤外分光光度計などが用いられる。
次に、筐体42の内側ケース47に対する透明部材52の取り付け構造とその取付手順について説明する。
図2に示すように、筐体42の内側ケース47は、その開口部46の周縁に、透明部材52を第3支持板18の媒体支持面21に沿う斜め姿勢にして支持可能な第1支持部53及び第2支持部54を有する。第1支持部53は、内側ケース47における開口部46の周縁のうち、第3支持板18の媒体支持面21に沿う方向で鉛直上方側となる上側縁部分に設けられている。一方、第2支持部54は、内側ケース47における開口部46の周縁のうち、第3支持板18の媒体支持面21に沿う方向で鉛直下方側となる下側縁部分に設けられている。そして、透明部材52は、その第1軸に沿う方向で上側の端部となる第1端部55が内側ケース47における上方側の第1支持部53に支持される一方、その第1軸に沿う方向で第1端部55とは反対側の下側の端部となる第2端部56が内側ケース47における下方側の第2支持部54に支持される。
第1支持部53は、透明部材52の第1端部55を支持したとき、その第1端部55と第1軸に沿う方向において対向する第1対向部57と、その第1端部55における第1軸に沿って延びる面に接触する斜面状の第1支持面58と、を有する。一方、第2支持部54は、透明部材52の第2端部56を支持したとき、その第2端部56と第1軸に沿う方向において対向する第2対向部59と、その第2端部56における第1軸に沿って延びる面に接触する斜面状の第2支持面60と、を有する。第1対向部57及び第2対向部59は、開口部46が形成された面とは反対側の面を底面とする有底箱形状をなす内側ケース47における四方の内側面のうち、第1軸に沿う方向で対向する上側の内側面及び下側の内側面により構成される。第1支持面58及び第2支持面60は、第1対向部57及び第2対向部59における第3支持板18側の各端部から媒体支持面21に沿う方向で互いに接近する方向に延設されて開口部46の上側縁部分及び下側縁部分を各々形成するケース壁部の内面で構成される。
図2に示すように、開口部46に取り付けられた状態での透明部材52の第1軸に沿う方向でもある第3支持板18の媒体支持面21に沿う方向における第1対向部57と第2対向部59との距離D1は、第1支持面58と第2支持面60との距離D2よりも長い。また、この場合の第1軸に沿う方向及び第3支持板18の媒体支持面21に沿う方向における第1支持面58の寸法L1は、第2支持面60の寸法L2よりも大きい。なお、この場合の第1支持面58と第2支持面60との距離D2は、内側ケース47の開口部46における媒体90の搬送方向Yに沿う方向の開口長さでもある。そして、透明部材52は、その第1軸に沿う方向の長さ寸法が、第1対向部57と第2対向部59との距離D1よりは短くなる一方、第1支持面58と第2支持面60との距離D2よりは長くなるように、その長さが設定されている。
図3に示すように、こうした透明部材52を内側ケース47の開口部46に取り付けるときは、まず透明部材52の第1端部55を開口部46から内側ケース47内に差し入れる。すると、透明部材52は、その第1軸に沿う長さ方向の略半分が開口部46を介して内側ケース47内に入り込んだ状態になる。そして、その状態から図3に示す矢印方向に透明部材52を回動させると、第1端部55に続けて第2端部56が開口部46から内側ケース47内に入り込み、透明部材52は、その全体が内側ケース47内に入り込んだ状態になる。
すると、図4に示すように、透明部材52は、その第1軸に沿う方向の第1端部55が内側ケース47における上側の内側面である第1対向部57に当接すると共に、その第1軸に沿う方向の第2端部56が内側ケース47における下側の内側面である第2対向部59から離間した状態となる。このとき、好ましくは、透明部材52を内側ケース47内で第3支持板18の媒体支持面21に沿うように位置させるとよい。そして、その状態から図4に示す矢印方向に透明部材52を変位させると、透明部材52は、図2に示すように第1端部55が第1支持部53に支持されると共に第2端部56が第2支持部54に支持された状態となる。
すなわち、透明部材52は、図2に示すように、媒体90の搬送方向Yにおいて下流側ほど鉛直下方になる下り勾配の斜面である第3支持板18の媒体支持面21と平行な斜め姿勢になる。そして、その斜め姿勢状態において、下側の端部となる第2端部56が下方側の第2支持部54に重量を掛けて支持されると共に、上側の端部となる第1端部55が上方側の第1支持部53の第1支持面58に凭せ掛けられる。つまり、透明部材52は、内側ケース47における開口部46の周縁に対して固定状態で支持されるのではなく、非固定状態で支持される。
次に、上記実施形態の作用について説明する。
さて、印刷部14のヘッド25から吐出されたインクが付着して画像を印刷された媒体90は、その媒体90における印刷済み部分が搬送部13により下流側へと搬送される。そして、媒体支持部12における第3支持板18の媒体支持面21上を通過するときに、媒体90におけるインクが付着した印刷済み部分は、媒体加熱装置15の発熱体44から放射された電磁波による輻射熱で加熱される。そのため、媒体90は、印刷済みの部分に付着したインクに含有される液体成分の蒸発が促進され、効率よく乾燥される。
このとき、内側ケース47内の発熱体44と第3支持板18の媒体支持面21上を下流側に搬送される媒体90との間には、内側ケース47の開口部46にカバーとして取り付けられた透明部材52が介在している。そのため、もし仮に、媒体90の端部が搬送途中でカールしたり折れ曲がったりしたとしても、そのような媒体90の端部が開口部46を介して内側ケース47内に入り込んで発熱体44に接触するようなことはない。また、この場合、発熱体44と媒体90との間には透明部材52が介在することになるが、透明部材52は透過性が高いため、そうした透明部材52で発熱体44からの輻射熱が遮られることもない。
しかも、透明部材52は、発熱体44から放射される電磁波のうち放射エネルギーが最大になる波長であるピーク波長の電磁波を透過させるため、発熱体44による媒体90の加熱効率が低下しにくい。また、内側ケース47の開口部46に対してカバーとして取り付けられるのが、板状の透明部材52ではなく、例えば金網等の網状部材である場合には、媒体90の乾燥促進のために送風機43により流路49内から加熱領域30に吹き出された気体が開口部46から内側ケース47内に入り込むことがある。そのため、内側ケース47内に入り込んだ気体により、発熱体44による媒体90の加熱効率が低下させられる虞がある。これに対して、開口部46に取り付けられるのが板状の透明部材52である場合は、気体の通過を遮るため、そのような加熱効率の低下も抑制される。
また、内側ケース47の開口部46に取り付けられた透明部材52は、耐熱性を有しているとはいえ、発熱体44からの輻射熱で膨張することがある。そのため、透明部材52における第1軸に沿う方向での第1端部55と第2端部56とが内側ケース47における開口部46の周縁の第1支持部53と第2支持部54とに固定状態で取り付けられていると、第3支持板18の媒体支持面21に向けて凸曲面状をなす湾曲状に変形して媒体90の搬送を妨げる虞がある。
しかし、本実施形態での透明部材52は、内側ケース47における開口部46の周縁の第1支持部53と第2支持部54とに対して、第1軸に沿う方向での第1端部55と第2端部56とが固定状態で支持されるのではなく、非固定状態で支持されている。しかも、透明部材52は、その第1軸に沿う方向での長さが第1軸に沿う方向での第1支持部53の第1対向部57と第2支持部54の第2対向部59との距離D1よりも短くなるように設定されている。そのため、透明部材52は、内側ケース47内の発熱体44からの輻射熱で第1軸に沿う方向に膨張することがあったとしても、第1端部55が第1対向部57に当接する可能性は低いので、第3支持板18の媒体支持面20側に凸曲面状をなすように変形する可能性は低い。
なお、本実施形態では第1支持部53が第2支持部54より上方に位置するため、発熱体44からの輻射熱で透明部材52が第1軸に沿う方向に熱膨張するときの膨張長さ分を加味した支持面の寸法設定については、上方側の端部である第1端部55を支持する第1支持部53の第1支持面58についてだけすればよい。換言すると、透明部材52の下方側の端部である第2端部56を支持する第2支持部54の第2支持面60については、その第1軸に沿う方向での長さは可及的に短くすることが可能である。したがって、そのように第2支持面60の第1軸に沿う方向での長さを短くした分だけ、開口部46の開口面積を広くできる結果、発熱体44による輻射領域が広く確保され、発熱体44による加熱効率が向上する。本実施形態では、第1支持部53が第2支持部54より上方に位置するが、第1支持部53と第2支持部54とが鉛直方向において同じ高さに位置してもよい。
次に、上記実施形態の効果について説明する。
(1)発熱体44から放射された電磁波による輻射熱で媒体90を加熱できると共に、発熱体44はカバーの一例である透明部材52で覆われているため、搬送される媒体90等が発熱体44に接触する虞を低減できる。
(2)透明部材52は、発熱体44から放射された電磁波による輻射熱で第1軸に沿う方向に膨張した場合でも、膨張時における第1軸に沿う方向での長さが第1支持部53の第1対向部57と第2支持部54の第2対向部59との距離D1よりも短いので、その熱膨張により第3支持板18の媒体支持面21側へ湾曲状に変形することを抑制できる。
(3)発熱体44からの輻射熱によってカバーの一例である透明部材52が熱膨張するときの膨張長さ分を加味した支持面の寸法設定は、第1支持面58及び第2支持面60のうち第1支持面58についてだけ必要となり、第2支持面60については膨張長さ分を加味せずに可及的に短くすることが可能とされる。したがって、発熱体44から放射された電磁波による媒体90に対する輻射を遮ることになる支持面の面積を第2支持面60については可及的に小さくすることができ、輻射領域を十分に確保して媒体90を効率よく加熱することができる。
(4)もし仮に、内側ケース47の開口部46が網状の部材で覆われていた場合には、送風機43から送風される相対的に低温の空気が網状の部材を通過して発熱体44の周辺に流入し、発熱体44による媒体90の加熱効率を低下させる虞がある。この点、本実施形態によれば、内側ケース47の開口部46は、送風機43から送風される相対的に低温の空気が発熱体44の周辺に流入することを遮蔽可能な板状の透明部材52で覆われているため、発熱体44による媒体90の加熱効率の低下を抑制できる。
(5)透明部材52は、発熱体44から放射される電磁波のうち放射エネルギーが最大になる波長であるピーク波長の電磁波を透過させるため、発熱体44による媒体90の加熱効率を向上させることができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・図5に示す第1変形例のように、透明部材52における第1軸に沿う方向での下側の端部である第2端部56を支持する第2支持部54の第2対向部59及び第2支持面60は、次のようにしてもよい。すなわち、内側ケース47における四方の内側面のうち第1軸に沿う方向で上側の内側面と対向する下側の内側面に、第1端部55を上方側の第1支持部53に支持された透明部材52における下方側の第2端部56を第1軸に沿う方向において挿入して嵌合可能とする嵌合溝61を形成する。そして、その嵌合溝61の底面で第2対向部59を構成すると共に、その嵌合溝61の内側面のうち第3支持板18の媒体支持面21側の内側面で第2支持面60を構成する。このように構成した場合には、第2支持面60により開口部46の開口面積が制限されないため、輻射領域を更に広く確保して媒体90を効率よく加熱することができる。
・図6に示す第2変形例のように、透明部材52は、内側ケース47の第2支持部54に対して、下方側の第2端部56が、ねじ部材62により固定される構成であってもよい。なお、この場合にも、透明部材52における上方側の第1端部55は、上方側の第1支持部53に対して非固定状態となるように取り付けられている。この場合は、内側ケース47の開口部46に対して透明部材52を安定した状態に取り付けることができる。
・上記実施形態、および第1変形例では、下側の端部となる第2端部56が下方側の第2支持部54に重量を掛けて支持されるため、透明部材52が熱膨張しても、第2支持部54に対する第2端部56の相対位置は変わりにくい。また、第2変形例では、第2端部56が第2支持部54に対してねじ部材62により固定されるため、透明部材52が熱膨張しても、第2支持部54に対する第2端部56の相対位置は変わりにくい。このように、第2支持部54に対する第2端部56の相対位置が変わりにくい構成である場合、第1対向部57が設けられなくてもよい。この場合、第1端部55は、第1支持部53の第1支持面58に凭せ掛けられるのみで、第1軸に沿う方向への第1端部55の移動は規制されない。この構成によれば、透明部材52が熱膨張するときの膨張長さを踏まえた、第1対向部57と第1端部55との間隔の設定が不要であり、設計の自由度が向上する。
・透明部材52は、発熱体44から放射される電磁波のうち、実際に目で見たときの色に相当する波長であるドミナント波長の電磁波を透過させるものであってもよい。
・透明部材52は、耐熱性及び透過性に優れたものであれば、株式会社ユニチカ製のUポリマー(登録商標)、JSR株式会社製のarton樹脂(登録商標)以外の材料から形成されたものであってもよい。
・透明部材52は、平板状の部材に限らず、例えば第3支持板18の媒体支持面21に向けて凹曲面状をなす板材であったり、第3支持板18の媒体支持面21に対する突出の程度が小さければ、第3支持板18の媒体支持面21に向けて凸曲面状をなす板材であったりしてもよい。
・カバーは、金網等の網状の部材であってもよい。
・送風機43については、これを設けない構成であってもよい。
・第3支持板18の媒体支持面21も第2支持板17の媒体支持面20と同様に水平な方向に沿う構成であってもよい。この場合、媒体加熱装置15における内側ケース47の開口部46の周縁に設けられる第1支持部53の第1支持面58と第2支持部54の第2支持面60は、透明部材52を第3支持板18の水平な媒体支持面21に沿った水平態様で支持できるように、水平な支持面として構成されることが好ましい。
・透明部材52の第1軸に沿う方向において、第1支持面58の寸法L1と第2支持面60の寸法L2とは同じであってもよく、又は、第1支持面58の寸法L1よりも第2支持面60の寸法L2の方が大きい構成であってもよい。
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)媒体加熱装置は、媒体を加熱するための電磁波を放射可能な発熱体と、前記発熱体を覆う電磁透過性を有したカバーと、前記カバーにおける第1軸に沿う方向での第1端部を支持する第1支持部と、前記カバーにおける前記第1軸に沿う方向での端部であって前記第1端部とは異なる第2端部を支持する第2支持部と、を備え、前記第1支持部は、前記カバーの前記第1端部と前記第1軸に沿う方向において対向する第1対向部と、前記カバーの前記第1端部における前記第1軸に沿って延びる面に接触する第1支持面と、を有し、前記第2支持部は、前記カバーの前記第2端部と前記第1軸に沿う方向において対向する第2対向部と、前記カバーの前記第2端部における前記第1軸に沿って延びる面に接触する第2支持面と、を有し、前記第1軸に沿う方向における前記第1対向部と前記第2対向部との距離は、前記第1軸に沿う方向における前記第1支持面と前記第2支持面との距離よりも長い。
この構成によれば、発熱体から放射された電磁波による輻射熱で媒体を加熱できると共に、発熱体はカバーで覆われているため、媒体等が発熱体に接触する虞を低減できる。また、カバーは、発熱体を覆うように第1支持部及び第2支持部により支持された状態において、発熱体から放射された電磁波による輻射熱で第1軸に沿う方向に膨張する場合があり、その膨張の度合によっては変形する虞がある。この点、上記の構成によれば、その膨張時における第1軸に沿う方向での長さが第1支持部の第1対向部と第2支持部の第2対向部との距離よりも短ければ、その膨張によりカバーが変形することを抑制できる。
(B)上記媒体加熱装置において、前記第1軸に沿う方向における前記第1支持面の寸法は、前記第1軸に沿う方向における前記第2支持面の寸法より大きく、鉛直方向において、前記第1対向部は前記第2対向部よりも上方に位置する構成でもよい。
この構成によれば、カバーは、その第1軸に沿う方向での下側の端部となる第2端部を下方側の第2支持部に重量を掛けて支持されると共に、その第1軸に沿う方向での上側の端部となる第1端部を上方側の第1支持部の第1支持面に凭せ掛けることにより、発熱体を覆った状態が維持される。そのため、発熱体からの輻射熱によってカバーが熱膨張するときの膨張長さ分を加味した支持面の寸法設定は、第1支持面及び第2支持面のうち第1支持面についてだけ必要となり、第2支持面については膨張長さ分を加味せずに可及的に短くすることが可能とされる。したがって、発熱体から放射された電磁波による媒体に対する輻射を遮ることになる支持面の面積を第2支持面については可及的に小さくすることができ、輻射領域を十分に確保して媒体を効率よく加熱することができる。
(C)上記媒体加熱装置において、前記第1軸に沿う方向における前記第1支持面の寸法は、前記第1軸に沿う方向における前記第2支持面の寸法より大きく、前記カバーは、前記第2支持部に対して前記第2端部が固定される構成でもよい。
この構成によれば、カバーは、その第2端部が第2支持部に固定された状態で発熱体を覆った状態が維持される。そのため、発熱体からの輻射熱によってカバーが熱膨張するときの膨張長さ分を加味した支持面の寸法設定は、第1支持面及び第2支持面のうち第1支持面についてだけ必要となり、第2支持面については膨張長さ分を加味せずに可及的に短くすることが可能とされる。したがって、発熱体から放射された電磁波による媒体に対する輻射を遮ることになる支持面の面積を第2送風機支持面については可及的に小さくすることができ、輻射領域を十分に確保して媒体を効率よく加熱することができる。
(D)上記媒体加熱装置において、前記媒体と前記カバーとの間に送風する送風機を更に備え、前記カバーは板状の部材であってもよい。
もし仮に、カバーが網状の部材である場合には、送風機から送風される相対的に低温の空気が網状のカバーを通過して発熱体の周辺に流入し、発熱体による媒体の加熱効率を低下させる虞がある。この点、上記の構成によれば、カバーは、送風機から送風される相対的に低温の空気が発熱体の周辺に流入することを遮蔽可能な板状の部材であるため、発熱体による媒体の加熱効率の低下を抑制できる。
(E)上記媒体加熱装置において、前記カバーは、前記発熱体から放射される電磁波のうち、ピーク波長の電磁波を透過させる構成であってもよい。
この構成によれば、発熱体による媒体の加熱効率を向上させることができる。
(F)印刷装置は、媒体に印刷用の液体を付着させることにより前記媒体に画像を印刷する印刷部と、前記印刷部による印刷済みの前記媒体を加熱するための電磁波を放射可能な発熱体と、前記発熱体を覆う電磁透過性を有したカバーと、前記カバーにおける第1軸に沿う方向での第1端部を支持する第1支持部と、前記カバーにおける前記第1軸に沿う方向での端部であって前記第1端部とは異なる第2端部を支持する第2支持部と、を備え、前記第1支持部は、前記カバーの前記第1端部と前記第1軸に沿う方向において対向する第1対向部と、前記カバーの前記第1端部における前記第1軸に沿って延びる面に接触する第1支持面と、を有し、前記第2支持部は、前記カバーの前記第2端部と前記第1軸に沿う方向において対向する第2対向部と、前記カバーの前記第2端部における前記第1軸に沿って延びる面に接触する第2支持面と、を有し、前記第1軸に沿う方向における前記第1対向部と前記第2対向部との距離は、前記第1軸に沿う方向における前記第1支持面と前記第2支持面との距離よりも長い。
この構成によれば、上述した媒体加熱装置と同様の効果が得られる。
11…印刷装置、15…媒体加熱装置、18…第3支持板、21…媒体支持面、41…加熱部、42…筐体、43…送風機、44…発熱体、45…反射板、46…開口部、47…内側ケース、48…外側ケース、49…流路、50…流入口、51…流出口、52…カバーの一例である透明部材、53…第1支持部、54…第2支持部、55…第1端部、56…第2端部、57…第1対向部、58…第1支持面、59…第2対向部、60…第2支持面、90…媒体、D1,D2…距離、L1,L2…寸法。

Claims (6)

  1. 媒体を加熱するための電磁波を放射可能な発熱体と、
    前記発熱体を覆う電磁透過性を有したカバーと、
    前記カバーにおける第1軸に沿う方向での第1端部を支持する第1支持部と、
    前記カバーにおける前記第1軸に沿う方向での端部であって前記第1端部とは異なる第2端部を支持する第2支持部と、
    を備え、
    前記第1支持部は、
    前記カバーの前記第1端部と前記第1軸に沿う方向において対向する第1対向部と、前記カバーの前記第1端部における前記第1軸に沿って延びる面に接触する第1支持面と、を有し、
    前記第2支持部は、
    前記カバーの前記第2端部と前記第1軸に沿う方向において対向する第2対向部と、前記カバーの前記第2端部における前記第1軸に沿って延びる面に接触する第2支持面と、を有し、
    前記第1軸に沿う方向における前記第1対向部と前記第2対向部との距離は、前記第1軸に沿う方向における前記第1支持面と前記第2支持面との距離よりも長い
    ことを特徴とする媒体加熱装置。
  2. 前記第1軸に沿う方向における前記第1支持面の寸法は、前記第1軸に沿う方向における前記第2支持面の寸法より大きく、鉛直方向において、前記第1対向部は前記第2対向部よりも上方に位置することを特徴とする請求項1に記載の媒体加熱装置。
  3. 前記第1軸に沿う方向における前記第1支持面の寸法は、前記第1軸に沿う方向における前記第2支持面の寸法より大きく、前記カバーは、前記第2支持部に対して前記第2端部が固定されることを特徴とする請求項1に記載の媒体加熱装置。
  4. 前記媒体と前記カバーとの間に送風する送風機を更に備え、前記カバーは板状の部材であることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の媒体加熱装置。
  5. 前記カバーは、前記発熱体から放射される電磁波のうち、ピーク波長の電磁波を透過させる構成であることを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の媒体加熱装置。
  6. 媒体に印刷用の液体を付着させることにより前記媒体に画像を印刷する印刷部と、
    前記印刷部による印刷済みの前記媒体を加熱するための電磁波を放射可能な発熱体と、
    前記発熱体を覆う電磁透過性を有したカバーと、
    前記カバーにおける第1軸に沿う方向での第1端部を支持する第1支持部と、
    前記カバーにおける前記第1軸に沿う方向での端部であって前記第1端部とは異なる第2端部を支持する第2支持部と、を備え、
    前記第1支持部は、
    前記カバーの前記第1端部と前記第1軸に沿う方向において対向する第1対向部と、前記カバーの前記第1端部における前記第1軸に沿って延びる面に接触する第1支持面と、を有し、
    前記第2支持部は、
    前記カバーの前記第2端部と前記第1軸に沿う方向において対向する第2対向部と、前記カバーの前記第2端部における前記第1軸に沿って延びる面に接触する第2支持面と、を有し、
    前記第1軸に沿う方向における前記第1対向部と前記第2対向部との距離は、前記第1軸に沿う方向における前記第1支持面と前記第2支持面との距離よりも長い
    ことを特徴とする印刷装置。
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