JP2021047250A - モアレ表示体、モアレ像を発現させるパターン、パターン生成方法、及びパターン生成システム - Google Patents

モアレ表示体、モアレ像を発現させるパターン、パターン生成方法、及びパターン生成システム Download PDF

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Abstract

【課題】モアレをデザイン利用するにあたり、明瞭なモアレ像を得ることができるパターンを用いたモアレ表示体、モアレ像を発現させるパターン、パターン生成方法、及びパターン生成システムを提供する。【解決手段】開口部と非開口部から成るパターンが複数形成されたモアレ表示体において、前記開口部の平均透過率は、前記非開口部の平均透過率より高く、前記開口部の最大透過率と前記非開口部の最小透過率の差が1%以上であり、複数の前記パターンが一部重なったとき、少なくとも手前側のパターンの前記開口部を通して奥側のパターンが透けて見えることにより、モアレ像が発現し、前記パターンは、表示面内でモアレパターンぼけ度を変更可能であり、前記モアレパターンぼけ度は、勾配領域、勾配面積、勾配角度のうち少なくとも一つにより規定される。【選択図】図9

Description

本発明は、モアレ表示体、モアレ像を発現させるパターン、パターン生成方法、及びパターン生成システムに関する。
「モアレ(モワレともいう)」とは、周期的な模様や構造を複数重ね合わせたときに発生する干渉縞であり、モアレを可視化できる状態に表現したものをモアレ像という。また、物理学的には、モアレとは二つの空間周波数のうなり現象といえる。
モアレは、様々な形態で発生するため、モアレを望ましくないものとして取り除く場合もあるが、逆に発生したモアレを有用なものとして利用する場合もある。
例えば、特許文献1は、偽造/複製の防止用にモアレ像を用いた例として、潜像を有する画像形成体を開示する。この画像形成体は、基材上に、横波である波形状万線と、前記波形状万線の背景に該波形状万線に略直交する万線パターンと、を設け、該波形状万線は、レリーフ像を形成し、該万線パターンは、1/2ピッチ分ずらしてある潜像部と、前記潜像部以外の非潜像部と、から構成されているものである。
また、特許文献2は、偽造/複製を防止するために、パターンの一部の位相をずらしつつ、複写機やパターン判別具によりモアレ像を顕現する方法を開示する。
特許第4403694号公報 特許第4457220号公報
ところで、従来技術において表示されるモアレ像は、白黒の2値で表現される2値的なモアレ像が一般的であった。このような2値的なモアレ像は、鮮明さ・ぼけ感を適切にコントロールできないため、不明瞭な像が発現したり、デザイン図案より劣化した仕上がりになることがあった。
表示されるモアレ像の明瞭度は、モアレを表示させるパターンに依存する。すなわち、明瞭なモアレ像を表現したいとき、パターンの線が明瞭である方が好ましい。また、パターンにおける開口部と非開口部の比が等しいとき、すなわち開口部:非開口部=1:1の矩形であるとき、最も明瞭なモアレ像が得られる。開口部と非開口部については、後述する。
モアレを発現させるパターンを、例えば印刷によって実現する場合、従来技術のようなピッチの変更や位相の移動を利用すると、解像度とピッチによる制限が発生するため、矩形での表現ではモアレ像の表現するピッチや位相の移動が限られてしまう。
またパターンの透過率の差が開口部と非開口部とで小さかったり、開口部と非開口部の境界部のぼけが大きいと、パターンまたはモアレ表示体全体のコントラストが低くなり、モアレ像が不明瞭になってしまう。
本発明は斯かる問題に鑑みてなされたもので、モアレをデザイン利用するにあたり、明瞭なモアレ像を得ることができるパターンを用いたモアレ表示体、モアレ像を発現させるパターン、パターン生成方法、及びパターン生成システムを提供することを目的とする。
本発明にかかるモアレ表示体は、開口部と非開口部から成るパターンが複数形成されたモアレ表示体において、前記開口部の平均透過率は、前記非開口部の平均透過率より高く、前記開口部の最大透過率と前記非開口部の最小透過率の差が1%以上であり、複数の前記パターンが一部重なったとき、少なくとも手前側のパターンの前記開口部を通して奥側のパターンが透けて見えることにより、モアレ像が発現し、前記パターンは、表示面内でモアレパターンぼけ度を変更可能であり、前記モアレパターンぼけ度は、勾配領域、勾配面積、勾配角度のうち少なくとも一つにより規定される。
本発明によれば、モアレをデザイン利用するにあたり、明瞭なモアレ像を得ることができるパターンを用いたモアレ表示体、モアレ像を発現させるパターン、パターン生成方法、及びパターン生成システムを提供することができる。
これにより従来技術より明瞭で階調のあるモアレ像およびモアレ像表示体を得ることができ、また、入力画像及びレイヤー情報などのデータを入力し、モアレ像を発現させるパターンの開口部/非開口部比、モアレパターンぼけ度を設定することにより、重ね合わせパターンを効率的に作成することができる。
上記した以外の課題,構成及び効果は,以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、モアレパターンとして、基本パターンの代表的な例を示す図である。 図2は、特徴値として透過率を採用し、矩形波状の透過率を得た場合の開口部/非開口部の設定の例を示した模式図である。 図3は、特徴値として透過率を採用し、sin波状の透過率を得た場合の開口部/非開口部の設定の例を示した模式図である。 図4は、勾配領域によるモアレパターンぼけ度を説明するための図である。 図5は、勾配面積によるモアレパターンぼけ度を説明するための図である。 図6は、勾配角度によるモアレパターンぼけ度を説明するための図である。 図7は、モアレパターンぼけ度の異なる印刷物であり、それぞれPET基材にUVインクジェットプリンタで形成された例を示す図である。 図8は、モアレ表示体を模式的に示す図である。 図9は、表示体の構成例(基本形)の断面を示す図である。 図10は、表示体の他の構成例(パネル/フィルム分割形)の断面を示す図である。 図11は、表示体の他の構成例(直接印刷形)の断面を示す図である。 図12は、表示体の他の構成例(間隙形1)の断面を示す図である。 図13は、表示体の他の構成例(間隙形2)の断面を示す図である。 図14は、モアレ像を生成したい入力画像の例を模式的に示した図である。 図15は、レイヤー情報を説明するための図である。 図16は、本実施例で用いるストライプパターンの基本パターンおよび開口部/非開口部比を変化させたパターンの例を示した図である。 図17は、本実施例における入力画像の例を示す図である。 図18は手前側の出力パターン例を示す図である。 図19は、奥側の出力パターン例を示す図である。 図20は、実施例における外観評価の結果を示す図である。 図21は、開口部に対する位相の位相変動量の違いによるパターンの観察状態の差を示す図である。 図22は、開口部に対する位相の位相変動量の違いによるパターンの観察状態の差を示す図である。 図23は、モアレ像を発現させるパターンの生成システムSYSの概略図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は以下に記載する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で当業者の知識に基づいて設計の変更などの変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も、本発明に含まれうるものである。
以下では、まず、モアレ像を発現させるパターンについて説明する。
<モアレパターン>
本明細書において、「モアレパターン」(単にパターンともいう)とは、モアレを発生させるために、重ね合わせる周期的な模様や構造を意味する。
また、モアレパターンを生成する際、ベースとして利用するパターンを「基本パターン」とする。
図1に示すのは、基本パターンの代表的な例であり、1方向性のパターンとして、直線パターン(図1(a))があり、また2方向性のパターンとして、格子状パターン(図1(b))、チェックパターン(図1(c))等がある。基本パターンは、これらに限定されるものではなく、1方向性のパターンとしては直線パターンの代りに波形やジグザグ、文字の繰り返しからなるパターンなどを用いても良い。また、2方向性のパターンとしては、ドット(水玉)等の幾何学模様のパターンだけでなく、無秩序な図柄、文字などからなるパターンも用いることが可能である。これらを表す情報を基本パターン情報という。
また、本明細書において、「パターンの特徴値」とは、透過率、反射率、光学濃度、インク濃度、明度、グレースケールレベル(グレースケール値)等をいう。
パターンの特徴値は、パターン印刷用の画像データより取得したり、印刷されたパターンをスキャナやカメラなどで撮影して変換した画像データより取得したり、また印刷されたパターンにレーザー光を照射して反射光を測定する等によって取得可能である。
さらに、本明細書において、「開口部/非開口部比」とは、パターンの性状を示す新規な概念であり、従来の線幅、ピッチ、L/S(Line & Space)比等の情報とは異なるものである。以下、「開口部/非開口部比」について説明する。
<開口部/非開口部比>
パターンは一定周期で繰り返されるものである。このため、パターンの特徴値も周期的に変化することとなる。このように周期的に変化するパターンのうち、特徴値の値が明るさ又は透明感において高い部分を開口部とし、開口部以外の部分を非開口部とすることができる。開口部と非開口部との面積比を、開口部/非開口部比という。
具体的には、パターン1周期のうち、特徴値が閾値以上である箇所を開口部とすることができる。閾値を決定する際には、パターンの全体の特徴値における平均値や中央値を採用しても良いし、最大値と最小値で正規化し、積算比を利用してもよい。
さらに、FFT(高速フーリエ変換)を利用して、開口部/非開口部を定めても良い。
また、パターン中の一つまたは複数の特定領域について、前記条件に関わらず、開口部又は非開口部に分類されない、開口部でも非開口部でもない領域としてもよい。ここで、特定領域とは、例えば、デザインを目的として意図的に設けられた図柄や文字、模様、ないし、製造上起き得てしまう汚れ・素抜けに相当する領域である。
1方向性のパターンである直線パターン(図1(a))の場合には、直線の延伸方向に垂直な方向でのパターン周期を用いて特徴値を求め、格子状パターン(図1(b))の場合には、パターンが周期的に現れる2方向に沿って特徴値を求めることとなる。
<モアレパターンの透過率>
観察者がパターンを観察したとき、コントラストが高い方が、パターンをより明瞭に感じることができる。
パターンの見え方は色差・彩度・明度によっても異なるが、色味にも影響される。また、パターンを重ねた際、手前側にあるパターンを通して透けて見える奥側にあるパターンの見え具合に影響することから、モアレ表示体においては、色差・彩度・明度よりも透過率の影響度が大きい。
よって、パターンはより明瞭であるために、開口部と非開口部で透過率に差を持たせるとよい。具体的には、特徴値によって定義された開口部の平均透過率は、非開口部の平均透過率よりも高く、また開口部の最大透過率と、非開口部の最小透過率の差が1%以上あると好ましく、更に該差が5%以上あるとより好ましい。
図2は、特徴値として透過率を採用し、矩形波状の透過率を得た場合の開口部/非開口部の設定の例を示した模式図であり、(a)が実際のパターンを示し、(b)がパターンに対応づけた透過率を示している。
この例では、透過率の最大値を示す領域(パターンの白抜き矩形部)が開口部となり、それ以外の領域(パターンの黒ベタ矩形部)が非開口部となる。図2(b)に示すように、開口部の最大透過率は100%、非開口部の最小透過率は0%であり、その差は100%である。
図3は、特徴値として透過率を採用し、sin波状の透過率を得た場合の開口部/非開口部の設定の例を示した模式図であり、(a)が実際のパターンを示し、(b)がパターンに対応づけた透過率を示し、(c)は網点画像で形成したパターンを示している。
この例では、パターンの透過率は0%から100%まで無段階で変化するが、平均値(透過率50%)以上を示す領域が開口部となり、それ以外の領域が非開口部となる。図3(b)に示すように、開口部の最大透過率は100%、非開口部の最小透過率は0%であり、その差は100%である。
<モアレパターンぼけ度>
パターンの明瞭さはコントラストのほかに、輪郭部分の階調差が大きい方が、パターンをより明瞭に感じ、またパターンにより発現するモアレ像も明瞭なものとなる。
輪郭部分とは、パターンにおける開口部と非開口部の境界部であり、選択された特徴値によって開口部/非開口部を区切る点を含む前後領域のことである。
輪郭部分の階調差とは、開口部と非開口部の境界部で、選択された特徴値によって開口部/非開口部を区切る点を含む前後領域における、特徴値の変動の勾配である。
輪郭部分の階調差を測る手段として、パターンの特徴値を用いて、勾配領域、勾配面積、勾配角度を求め利用する方法などがある。また、これらによって得られる数値(無次元量)を「モアレパターンぼけ度」として評価することにより、パターンの明瞭さを規定し、より明瞭なモアレ像を安定して得ることができる。
ここで、開口部/非開口部を区切る点を通過する際のパターンの特徴値の変動に着目すると、勾配はパターン1サイクルの中で少なくとも2つあり、大きく分けて、開口部から非開口部へ変わる勾配と、非開口部から開口部へ変わる勾配がある。モアレパターンぼけ度はそれぞれ同じでも異なってもよいが、異なる場合にはモアレパターンぼけ度による評価は、ぼけが大きい方の勾配で判定される。
またパターンのうち、複数サイクルでモアレパターンぼけ度を異ならせることもできる。モアレパターンぼけ度は、複数サイクルでの勾配それぞれの評価値の平均値を用いることもできる。
モアレパターンぼけ度(単にぼけ度ともいう)をデザイン図中で使い分けることで、モアレをより効果的に用いることができる。つまり、モアレパターンは、表示面内でその強弱の分布を有する。その分布は、一様とすることもできるし、ぼけ度を、表示面内の位置により異なるものともできる。例えばデザイン図中のメイン領域ではぼけ度を小さく、メイン領域以外ではぼけ度を大きくすることで、遠近感を高めることができる。また、モアレの位相の変動が小さい部分のぼけ度を小さく、モアレの位相の変動が大きい部分のぼけ度を大きくすることもできる。
このぼけ度の分布は、連続的でもよいし、不連続でもよい。連続的であれば、自然な波状と視認されやすく、不連続であれば、モダンな印象の画像を表示しやすい。また、ぼけ度の分布は、モアレの絵柄と関連させてもよいし、別の絵柄を形成してもよい。モアレの絵柄と関連させた場合には、モアレの絵柄を強調しやすい。モアレと別の絵柄を形成した場合には、より複雑な絵柄を実現しやすい。
また、モアレパターンのぼけは、網点の濃度を調整して形成できる。すなわち、網点の濃度の差として印刷で表現できる。また、網点の濃度の差は、図3(c)に示すように網点の大きさの差、密度の差、またはその両方で実現できる。このときの網点の線数は、モアレパターンの線数と関連してモアレ像が発生しない範囲であることが望ましく、モアレパターンピッチの3倍以上であれば、意図しないモアレ像を防ぎ、かつ発現させたいモアレ像の解像感にも影響が少ない。印刷の線数はモアレパターンピッチの3倍以上の細かさであれば、モアレパターンと印刷線による意図しないモアレが発生しないので好ましい。また、線数の細かさ(線数の数値が大きくなる)は、印刷機の性能に応じて選択することができる。
一方、線数の粗さ(線数の数値が小さくなる)は、粗すぎるとぼけを描画できないのと、モアレパターンを重ね合わせた際の、印刷線と印刷線による意図しないモアレが、視認できるピッチで発生してしまう恐れがあり、60線程度までの粗さとするのが望ましい。ただし、デザインの都合上、それ以上の線数を用いたい場合などは、この限りではない。
1)勾配領域による規定
勾配領域とは、開口部と非開口部の間に存在するパターンの特徴値を縦軸にとり、横軸にパターン上の位置をとって描画される線図に沿って、開口部/非開口部を区切る点を挟み、特徴値の最大値から最小値までわたる領域のことをいう(図4)。
パターンの半周期をピッチとしたとき、勾配領域に基づいて、式(1)によりモアレパターンぼけ度は決定される。
勾配領域によるモアレパターンぼけ度 = 勾配領域/ピッチ …(1)
またこのとき、勾配領域によるモアレパターンぼけ度は0.6以下であると好ましく、更に0.4以下であるとより好ましい。なお、ぼけなし(パターンぼけ度0)でもモアレは成立するので、その下限値は0である。しかし、ぼけなしの場合より、ぼけがあったほうが見た目に良いものが作れるので、勾配領域によるモアレパターンぼけ度が0.2以上だと望ましい。
2)勾配面積による規定
勾配面積とは、開口部と非開口部との間に存在するパターンの特徴値を縦軸にとり、横軸にパターン上の位置をとって線図を描画したときに、開口部/非開口部を区切る点を境界として、開口部側において特徴値の最大値と線図との差を積分した面積αと、非開口部側において特徴値の最小値と線図との差を積分した面積βとを合計した面積(α+β)をいう。換言すれば、勾配面積は、特徴値によって取り得る最大値・最小値による矩形線図と、パターンの特徴値が作る波形線図の間の面積の合計である(図5)。
勾配面積に基づいて、式(2)によりモアレパターンぼけ度は決定される。
勾配面積によるモアレパターンぼけ度 = 勾配面積/ピッチ …(2)
またこのとき、勾配面積によるモアレパターンぼけ度は0.1以下であると好ましく、更に0.07以下であるとより好ましい。ぼけなし(パターンぼけ度0)でもモアレは成立するので、その下限値は0である。しかし、ぼけなしの場合より、ぼけがあったほうが見た目に良いものが作れるので、勾配面積によるモアレパターンぼけ度が0.01以上だと望ましい。
3)勾配角度による規定
勾配角度とは、開口部と非開口部との間に存在するパターンの特徴値を縦軸にとり、横軸にパターン上の位置をとって、開口部/非開口部を区切る点を通り特徴値の最大値から最小値にわたって線図を描画したときに、かかる線図の持つ傾きをいう(図6)。
勾配角度[deg]は下記式(3)によって求めることができる。
勾配角度 = tan-1{(特徴値の最大値−特徴値の最小値)/ 勾配領域} …(3)
勾配角度に基づき、式(4)によりモアレパターンぼけ度は決定される。
勾配角度によるモアレパターンぼけ度 = 90 − 勾配角度 …(4)
またこのとき、勾配角度によるモアレパターンぼけ度は30以下であると好ましく、更に21以下であるとより好ましい。ぼけなし(パターンぼけ度0)でもモアレは成立するので、その下限値は0である。しかし、ぼけなしの場合より、ぼけがあったほうが見た目に良いものが作れるので、勾配角度によるモアレパターンぼけ度は10以上だと望ましい。
モアレパターンぼけ度の異なる印刷物の具体例、およびモアレパターンぼけ度の算出例を示す。図7は、モアレパターンぼけ度の異なる印刷物であり、それぞれPET基材にUVインクジェットプリンタで形成された例を示す図である。それぞれスキャナで600dpiで読み込んだときのグレースケール輝度を、ストライプと同方向に400px分平均したものを、最大値と最小値で正規化して特徴値とするとき、勾配領域によるモアレパターンぼけ度は、図7(a)のモアレパターンでは0.46、図7(b)のモアレパターンでは0.38である。また、勾配面積によるモアレパターンぼけ度は、図7(a)のモアレパターンでは0.04、図7(b)のモアレパターンでは0.08である。さらに、勾配角度によるモアレパターンぼけ度は、図7(a)のモアレパターンでは21、図7(b)のモアレパターンでは25である。
以上、パターンの特徴値によるパターンのモアレパターンぼけ度の算出方法を示したが、パターンの特徴値は、ラスター画像における所定の解像度であったり、印刷解像度、スキャナやカメラなどの撮影解像度、またパターンにレーザー光を照射して測定する際のレーザー光径などでサンプリングされた離散的なデータであり、サンプリングの間隔によっては、モアレパターンぼけ度は規定した限りではない。
<モアレ表示体に関する情報>
図8は、モアレ表示体を模式的に示す図である。本明細書において、「モアレ表示体」(単に表示体ともいう)とは、モアレ像を発現できる表示体を意味し、一般的には、ポスター、パネル、POP広告体などが想定される。モアレ表示体は、少なくとも一部が光を透過可能な素材から形成される。
ここで、表現領域6のサイズ、パネルの厚み(「ギャップ」ともいう)5、パネルを構成する材質の屈折率、平均的な観察者から表現領域までの距離である「視認距離」等の情報を、モアレ表示体4に関する情報(モアレ表示体情報)とする。
例えば観察者からの距離を異ならせたパターンのうち一方のパターンを通して、他方のパターンを視認したとき、立体的なモアレを観察できる。立体的なモアレは、観察者の両眼視差によって生じるものであるため、視差の算出のためには、観察者とパネルの位置関係に関する情報が必要である。
基本的には、表現領域6の中央と観察者の目の高さが一致している場合には、観察者とパネルとの間の距離が視認距離となる。
また、表現領域6の中央と観察者の目の高さが一致していない場合や、モアレ像の発生位置の高さが観察者の目の高さと一致していない場合には、「視認距離」をモアレ発生箇所と観察者の目の位置との関係によって補正することが可能である。
本実施形態におけるパターン、及び後述するパターン生成システムで出力される出力パターンは、モアレ用パターンA(手前側)及びモアレ用パターンB(奥側)の2種類のパターンである。
モアレ像を発現させるパターンは、重ね合わせることを前提としており、観察者に近い方を手前側パターン、観察者から遠い方を奥側パターンと称呼する。パターン同士が一部重なったとき、少なくとも手前側のパターンの開口部を通して奥側のパターンが透けて見えることにより、モアレ像が発現する。
<表示体の構成>
図9は、表示体の構成例(基本形)の断面を示す図である。図9の例においては、パネルPNの表裏面に、パターン層PL1,PL2がそれぞれ印刷されたフィルムF1,F2が貼りつけられている。ここで、「パターン層」とは印刷などによってパターンが描画されている層を意味する。図9におけるパターン層PL1,PL2は、パターン生成システムによって出力されたモアレ用パターンA及びパターンBをそれぞれ有する。
この基本形の場合には、それぞれフィルムF1,F2のパネルPN側にパターンA,Bを印刷し、パネルPNとパターンA,Bが接している。このため、パターン生成を行う際に、単一のパネルPNの厚み(ギャップ)と屈折率を考慮すればよい。
図10は、表示体の他の構成例(パネル/フィルム分割形)の断面を示す図である。図10の例においては、パネルが厚み方向にパネルPN1とパネルPN2に分割されており、下側のフィルムがフィルムの面方向で、フィルムF2とフィルムF3に分割されている。それ以外は、図9の表示体と同様である。
パネルの分割方向は、厚み方向だけでなく、パネルの面方向でも良く、分割の数や分割の仕方は自由に設定できる。パネルやフィルムを分割することにより、表示体が大面積の場合等に、表示体の設置、貼り合わせの精度の維持が容易になる。
図11は、表示体の他の構成例(直接印刷形)の断面を示す図である。図11の例においては、パネルPNの表裏面に対してパターン層PL1,PL2が直接印刷されている。パネルPNにUVインク等の樹脂層を積層して、フィルム等を用いることなく表示体を構成できるため、フィルム層の貼り付けの工程を省略できる。
なお、直接印刷を行うのはパターン層PL1又はパターン層PL2のいずれか一方や、パターン層PL1又はパターン層PL2の一部分のみとし、他の部分は、図9又は図10に示すようなパターン層が印刷されたフィルムを貼り付けて表示体としてもよい。
図12は、表示体の他の構成例(間隙形1)の断面を示す図である。図12の例においては、パネルPN1とパネルPN2との間に間隙部CLを設けている。間隙部CLは、空気、液体(水、オイルなど)等、パネルとは異なる屈折率からなる媒体を充填している。
そして、図12に示す表示体のギャップは、パターン層PL1からパターン層PL2までの距離となり、その屈折率は、パネルPN1、パネルPN2、間隙部CLの充填物の屈折率を合成したものとなる。
図12のような表示体は、厚さ方向で分割可能となっていることから、パネルPN1、パネルPN2として、ショウウィンドウや自動ドア等のガラスを用いることが可能であり、既存の設備に設置しやすいメリットがある。また、自動ドア等に設置することにより、パネルPN1、パネルPN2が相対的にスライドすることで、モアレ像が発生したときの効果を一層高めることが可能となる。
図13は、表示体の他の構成例(間隙形2)の断面を示す図である。図13の例においては、パネルPN1とパネルPN2の内側面それぞれに、パターン層PL1,PL2を印刷したフィルムF1とフィルムF2を貼り付け、フィルムF1とフィルムF2との間に間隙部CLを設けている。
パネルPN1及びパネルPN2が、屋外に設置された表示パネルである場合には、このような構成を採用することにより、フィルムF1,F2を屋外の環境から保護することも可能となる。
そして、図13の場合のギャップは、パターン層PL1からパターン層PL2までの距離となり、その屈折率は、フィルムF1、フィルムF2、間隙部CLの充填物の屈折率を合成したものとなる。
以上表示体の構成を説明したが、パターン層をフィルムとパネルの間に設けるか、反対側に設けるか等は適宜定めることができるが、耐擦性や防塵の観点からはパターン層は、内側に設けることが好ましい。
また、図9から図13で説明した構成を部分的に組み合わせたり、変更することも可能である。
さらに、パネルPN1とパネルPN2は同一のものであっても異なるものであっても良い。フィルムF1とフィルムF2についても同一のものであっても異なるものであっても良い。
<モアレ外観の特性>
モアレ用パターンA(手前側)及びモアレ用パターンB(奥側)のピッチ、開口部/非開口部比が異なることや、モアレ用パターンA(手前側)及びモアレ用パターンB(奥側)の間にギャップが存在することにより、モアレ像には、以下のような効果が複合的に現れる。
<モアレ強度>
モアレ像は、モアレ用パターンA(手前側)及びモアレ用パターンB(奥側)の開口部/非開口部比が1に近いほど、強く発出する傾向があり、この傾向をモアレ強度という。また同じ開口部/非開口部比であっても、モアレパターンぼけ度が小さければモアレ強度が強くなる傾向がある。
<外観濃度>
本明細書において、「外観濃度」とは、モアレ用パターンA(手前側)及びモアレ用パターンB(奥側)中の開口部/非開口部比が異なることによる、見かけの濃淡の程度を意味する。そして、パターンの開口部/非開口部比が高いほど、見かけではパターン及びモアレ像が明るく見える傾向がある。また同じ開口部/非開口部比であっても、モアレパターンぼけ度によって外観濃度は異なる場合がある。
<モアレ変化量>
モアレ用パターンA(手前側)及びモアレ用パターンB(奥側)がギャップを介して重なっているため、観察者の位置(角度)によってモアレの位相が異なる。このとき、開口部/非開口部比が高いほどモアレ像は明るいまま保たれやすく、開口部/非開口部比が低いほどモアレ像は暗いまま保たれやすい(すなわち変化が少ない)傾向がある。また、開口部/非開口部比が1に近いほどモアレ変化量が大きい傾向がある。
<モアレ外観の評価>
モアレ像の外観を評価する際には、上記の効果等を複合的に観察することになる。また、これらの効果以外にも、モアレ外観の特性としては、視認距離が想定より離れた場合においても、モアレ像がどの程度視認できるかといった「モアレの耐性」の観点でもモアレ外観を評価することがある。
本実施形態においては、パターンの開口部/非開口部比に注目してモアレ外観を評価し、モアレ像を意匠的に利用する際の適合性を総合的に判断する。
具体的な判断レベルは、比較法や、3段階等の段階別評価に分けて実施している(○△×など)。
また、総合的な評価のほかに、別途外観のモアレ像明暗度やモアレ像移動度など評価を付帯的に実施することがある。ただし、表現したいデザインに応じて何を重要視するか異なるため、評価を実施することもあればしないこともある。
また、本実施形態において、入力画像からモアレ用パターンA(手前側)及びモアレ用パターンB(奥側)を生成する際には、この外観評価の結果を参考に、開口部/非開口部比を選択することとなる。
一般的にモアレ像の外観は、用いているパターン、画像の構成、視認環境等条件によって異なるため、総合的な外観評価以外に特定の属性ごとに評価を実施することが望ましい。このため、本明細書においては、以下の属性についても評価を行っている。
<モアレ像明暗度>
「モアレ像明暗度」とは、モアレ像の外観のうち、見かけの明るさ(明暗、濃淡)に関する評価を意味する。このモアレ像明暗度は、主にモアレ強度や外観濃度の効果が複合的にあることによって差が生じる。評価は比較法や、11段階(暗:-5,-4,…,4,5:明)等の段階別評価で実施される。
<モアレ像移動度>
「モアレ像移動度」とは、モアレ像の外観のうち、モアレ像の動きやちらつきに関する評価を意味する。主にモアレ強度やモアレ移動量の効果が複合的にあることによって差が生じる。評価は比較法や、6段階(小:0,1,…,4,5:大)等の段階別評価で実施される。
<入力情報>
図1,8、14、15は、モアレ像を発現させるパターンの生成システムにおける入力情報の概要を説明する図である。生成システムへの入力情報としては、入力画像(図14)の特徴値、レイヤー情報(図15)、表示体に関する情報(図8)、基本パターン情報(図1)がある。
<入力画像と特徴値>
図14は、モアレ像を生成したい入力画像の例を模式的に示した図である。本明細書において、「入力画像」とは、デザイン図案などのモアレ化したい画像のデータを意味する。図14においては、入力画像を分かりやすく説明するために、三角形、円、四角形の3つのパーツからなる図案を用いて示し、それぞれのパーツに前後感を持たせて表記している。しかし、入力画像はこれらに限られるものではなく、どのような画像であってもよい。また、入力画像はカラーでもモノクロでもよい。
本明細書において、「入力画像の特徴値」とは、入力画像に関する、画像の輝度、彩度、色相、濃度、透明度、明度、色度、グレースケールレベル(グレースケール値)等による値である。これらの特徴値は、入力画像の図柄、パーツごと、エリアごと、画素ごと、あるいはいくつかの画素ごとに区切ったブロックごとに示しても良い。さらに、それらのエリアごとの平均値、中央値、最大値、最小値等の代表値を用いて示しても良い。
<レイヤー情報>
図15は、図14のデザイン図案をレイヤー(層)ごとに分け、レイヤー情報を模式的に示す図である。
本明細書において「レイヤー情報」とは、入力画像の図柄やパーツの前後感を指定する情報であり、レイヤー情報は、具体的な前後の距離感を数値で定めて表記しても良いし、前後の順序のみを示すものであっても良い。
図15においては、三角形、円、四角形の3つのパーツがそれぞれ3つのレイヤー(1,2,3)に分けられた様子を模式的に示しているが、レイヤーの数は3つに限定されるものではないし、レイヤーの前後の距離感は、離散的なものではなく、連続的な物であっても良い。
また、レイヤーの前後の距離感は、観察者側から見て、モアレ表示体から観察者側に向けて飛び出したように見える設定でも可能であるし、モアレ表示体から奥側にあるように見える設定も可能である。
A
<モアレ用パターンの生成の実施例>
以下においては、ストライプパターンを用いた場合を例として取り上げ、実施例の入力画像に応じたモアレ用パターンの生成方法とそのシステムについて説明する。
<基本パターン及び変化パターン>
図16は、本実施例で用いるストライプパターンの基本パターンおよび開口部/非開口部比を変化させたパターンの例を示した図である。
基本パターン(a)は、開口部/非開口部比が1.0となっており、(b)〜(e)については、開口部/非開口部比をそれぞれ1.9から9.0まで変化させたパターンを示している。
またモアレパターンぼけ度は特徴値をグレースケール輝度としたとき、勾配領域によって規定され、いずれのパターンも0.4である。
<入力画像の例>
図17は、本実施例における入力画像の例を示す図である。図17の入力画像は、図形ごとにグレースケール値が異なっており、それぞれのグレースケール値は、図中に示すとおりである。これらの個々のグレースケール値が、入力画像の特徴値となる。
なお、図中の破線は対象画像を見易く表記するために付したものである。
<入力画像の特徴値に応じたパターンの開口部/非開口部比の選定>
モアレ用パターンの生成手順としては、まず、1)パターンの開口部/非開口部比を変更する領域を定め、次に、2)パターンの開口部/非開口部比を、パターンの特徴値に応じて設定する。
1)パターンの開口部/非開口部比を変更する領域を定めるには、最も単純には、入力画像の輪郭に応じて領域を定める手法があるが、必ずしも画像の輪郭で確定する必要はなく、モアレ表示体を利用する状況等に応じて、適宜設定してもよい。
なお、本実施例においては、説明を簡略化するため、図17に記載されているとおり、丸と三角と四角の図形をそれぞれ開口部/非開口部比を変更する領域として定めている。
2)パターンの開口部/非開口部比を、パターンの特徴値に応じて設定するにあたっては、後述する「モアレの外観評価」を踏まえてそれぞれの領域の開口部/非開口部比を選定する。
<入力画像の特徴値に応じたパターンのモアレパターンぼけ度の選定>
モアレ用パターンのぼけ度は入力画像のどの位置でも一定でも良く、入力画像の特徴値に応じて変更してもよい。またデザイン図柄に合わせて領域ごとに分けてもよい。例えば、モアレの位相の変動が小さい部分のぼけ度を小さく、モアレの位相の変動が大きい部分のぼけ度を大きくすることもできる。位相の変動が小さい部分は0でもよい。一方、位相の変動が大きい部分は、モアレパターンぼけ度の望ましい範囲だと綺麗なものが作れる。以下のモアレパターンぼけ度を使用できる。つまり、低ボケ領域、中ボケ領域、高ボケ領域のいずれか2つ以上の領域を有することができる。言い換えれば、低ボケ領域、中ボケ領域、高ボケ領域の領域を有してもよい。または、低ボケ領域、中ボケ領域、高ボケ領域の領域のいずれか2つの領域を有してもよい。
(1)低ボケ領域:勾配領域によるモアレパターンぼけ度は、0〜0.2
:勾配面積によるモアレパターンぼけ度は、0〜0.05
:勾配角度によるモアレパターンぼけ度は、0〜12
(2)中ボケ領域:勾配領域によるモアレパターンぼけ度は、0.2〜0.5
:勾配面積によるモアレパターンぼけ度は、0.05〜0.08
:勾配角度によるモアレパターンぼけ度は、12〜25
(3)高ボケ領域:勾配領域によるモアレパターンぼけ度は、0.5〜0.6
:勾配面積によるモアレパターンぼけ度は、0.08〜1
:勾配角度によるモアレパターンぼけ度は、25〜30
上記の変形例として、それぞれの比率を維持したまま、全体のボケ度を下げるまたは上げることができる。また、同様の外観を有するようにモアレパターンぼけ度を調整することもできる。また上記のうち、2つのみを使用することもできる。
このように、当該技術分野の者が技術常識において、変形、調整できるものも本発明に含めることはできる。そのため、以上のモアレパターンぼけ度にのみ限定して解釈されるべきではない。
このぼけ度の分布は、連続的でもよいし、不連続でもよい。連続的であれば、自然な波状と視認されやすく、不連続であれば、モダンな印象の画像を表示しやすい。また、ボケ度の分布は、モアレの絵柄と関連させてもよいし、別の絵柄を形成してもよい。モアレの絵柄と関連させた場合には、モアレの絵柄を強調しやすい。モアレと別の絵柄を形成した場合には、より複雑な絵柄を実現しやすい。
ぼけ度の分布は数値で実施してもよいし、上記のようなボケ領域の分類で実施しても良い。低ボケ領域と中ボケ領域は、隣接してもよい。また、中ボケ領域と高ボケ領域は、隣接してもよい。低ボケ領域を、中ボケ領域で囲ってもよい。これにより、高精細さと自然さを両立しやすい。さらに、中ボケ領域の周囲に高ボケ領域を配置してもよい。この高ボケ領域は、背景とすることができ、絵柄を引き立てやすい。また、高ボケ領域を低ボケ領域で囲ってもよい。これにより高ボケ領域と低ボケ領域による奥行き感の違いを感じられるような効果を持たせることができる。
入力画像の特徴値に応じて設定する場合、例えばデザイン画像の暗い箇所でモアレパターンぼけ度を小さく、明るい箇所でモアレパターンぼけ度を大きく設定する場合、入力画像が8bitグレースケール画像であって、グレースケール画素値を特徴値として、扱うとき、設定したいモアレパターンぼけ度のレンジをあらかじめ定め、グレースケール画素値を0〜255の範囲で正規化したもので割り振る、または画像内の最小値〜最大値で正規化したもので割り振るといった手法が考えられる。
<開口部/非開口部比を変更後の出力パターン例>
図18は手前側の出力パターン例を示す図である。また、図19は、奥側の出力パターン例を示す図である。
本実施例では、出力する手前側パターンについて入力画像の特徴値に応じて開口部/非開口部比を変更し、奥側パターンについては、開口部/非開口部比は一定としている。
<モアレの外観評価の手法>
入力画像の特徴値に応じて選択する開口部/非開口部比は、モアレ表示体を利用する状況と同条件におけるモアレ外観評価と、モアレ明暗評価とを組み合わせて選択することができる。
例えば、モアレ明暗評価のうち最も明るいと評価された開口部/非開口部比と、最も暗いと評価された開口部/非開口部比を、選択する開口部/非開口部比の上限/下限とし、入力画像の特徴値に対応させることができる。
また、モアレ明暗評価のうち最も明るかった開口部/非開口部比と、最も暗かった開口部/非開口部比を上限/下限とする際、モアレ外観評価の良かったもの(例えば、○△×の三段階評価を採用した場合は△まで)の範囲で上限/下限を選択することが望ましい。
さらに、上限から下限への当てはめ方は、線形的であっても、指数的、対数的であってもよく、また幾つかの階調を定めてもよく、任意に選択してもよい。
なお、モアレの外観評価の結果を反映させる手法は、上記のものに限定されるものではなく、上限/下限を任意に設定しても良いし、中間値を設定したり、モアレ明暗評価から開口部/非開口部比の階調を予め定めておいても良い。さらに、外観評価の一部だけを使用するものであってもよい。
<モアレの外観評価の具体例>
上記の外観評価の手法に基づき、本実施例においては、以下の要件の下で外観評価を実施している。
パターンの種類:ストライプパターンを適用する。
ピッチ:パターンは手前側パターンと奥側パターンでピッチが等しいものとする。
手前側パターンの開口部/非開口部比:1(1/1)〜9(9/1)とする。
奥側パターンの開口部/非開口部比:1(1/1)で固定とする。
構成:図9に示すものと同様に、パターンを透明フィルム2枚に印刷し、5mm厚のアクリル板の両面に貼り合わせる。基本視認距離は1mとする。パターンと観察者の目の高さは一致する。
図20に、上記の条件の下で実施した外観評価の結果を示す。
評価は観察者2名によるものであり、モアレ外観評価を3段階評価(悪:×、並:△、良:○)、モアレ明暗度を6段階評価(最も暗い場合を0とし、最も明るい場合を5として、その間の数で表現)とした。
本実施例における図17の入力画像については、入力画像の特徴値をグレースケールレベルとすると、背景がグレースケールレベル100%であり、図形では左から順にグレースケールレベル0,45,75%である。
この例では、開口部/非開口部比の下限値を外観評価が△である1.0(=1/1)とし、最も暗い箇所であるグレースケールレベル0%と対応し、上限を外観評価が△である4.0(=8/2)とした。
そして、上限値と下限値の間の開口部/非開口部比は線形に変化するとし、グレースケールレベル45%では開口部/非開口部比が1.8、グレースケールレベル75%では開口部/非開口部比が3.0として、図18に示す出力パターンを得ている。
<位相変動量の決定>
パターンの重ね合わせによってモアレ像を発現させるためには、入力画像の特徴値と一方のパターンの位相の位相変動量を対応させることが必要となる。最も単純には、入力画像の特徴値をグレースケールレベルとした場合、グレースケールレベルが高いほど(画像が白っぽいほど)位相の位相変動量を小さくし、グレースケールレベルが低いほど(画像が黒っぽいほど)位相の位相変動量を大きくすればよい。
本実施例では、(1)グレースケールレベル0%(黒)、(2)グレースケールレベル50%(グレー)、(3)グレースケールレベル100%(白)の場合に対応する位相変動量を、図21及び図22を用いて以下に説明する。
なお、以下の説明は、手前側のパターンが開口部/非開口部比が1(開口部と非開口部の割合が1:1)であることを前提としている。
グレースケールレベル0%の場合:パターンの位相を半周期(π)ずらす(非開口部と開口部が反転する)、すなわち移相変動量=π。
グレースケールレベル50%の場合:パターンの位相を1/4周期(π/2)ずらす(開口部の50%分に相当し、重ね状態の非開口部と開口部の割合は3:1となる)、すなわち移相変動量=π/2。
グレースケールレベル100%の場合:パターンの位相は変化させず、非開口部と開口部はパターンのまま1:1とする、すなわち移相変動量=0。
上記のようにパターンのグレースケールレベルに応じて、開口部に対する位相の位相変動量を決定することで、重ね状態における濃淡表現が可能となる。
上記の例では、開口部に対する位相変動量は線形であるが、指数的/対数的などの非線形や、階調を設定してもよい。
また、位相をずらすのは手前側パターンでも両側パターンでもよい。手前側パターンの図柄としての影響が大きいので、手前側パターンはパターン一定のまま、奥側パターンで入力画像の特徴値に応じ位相をずらした方が見栄えがよく、望ましい。
<ピッチ位相変動量の決定>
モアレ用パターンA(手前側)及びモアレ用パターンB(奥側)がギャップを挟んで設置された場合、両眼視差によって、発生するモアレ像は立体的に感じられる。
手前側パターンに比べ奥側パターンの方がピッチが大きいとき、モアレ像は手前側に浮いているように見え、奥側パターンの方がピッチが小さいとき、モアレ像は奥側に沈んでいるように見える。
パターンの奥行き感(パターンよりも奥に見えること)や飛び出し感(パターンよりも手前に見えること)の程度は、手前側パターンと奥側パターンの比率、パターン設置条件(基材や貼り合わせるパネルの厚み、屈折率)等条件により異なる。
例えば、厚み5mmのアクリル板の前面と後面にパターンを貼りあわせた場合、手前側パターンのピッチに対し奥側パターンのピッチを比率(ピッチの比率ともいい、これが100%なら双方のパターンのピッチが一致)で現したとき、95%〜99.9%のとき奥行き感を感じ、98〜99.5%の範囲で奥行きをより感じる。
また100.3〜105.0%のとき飛び出し感を感じ、100.3〜102.0%の範囲で飛び出しをより感じることができる。ピッチの比率が100%から変化した量を、ピッチ位相変動量という。
<モアレ像を発現させるパターンの生成システム>
図23は、モアレ像を発現させるパターンの生成システムSYSの概略図である。生成システムSYSは、上述のモアレ像を発現させるパターンの生成方法や手法を実現することができ、具体的には、画像データ及び情報を入力してモアレ用パターンのデータ(たとえば印刷用データ)を出力できる。生成システムSYSは、入力された画像データを読み取る入力画像の読取部RD、入力された画像データから特徴値を抽出する入力画像の特徴値抽出部PK、レイヤー情報の入力設定を行うレイヤー情報の入力設定部LI,モアレ表示体情報の入力設定を行うモアレ表示体情報の入力設定部MI,基本パターン情報の入力設定を行う基本パターン情報の入力設定部SIとを有している。
上記情報を入力した後、生成システムSYSの演算部CAが、上述したようにして、入力画像の特徴値から画像のエリアごとの開口部/非開口部比、モアレパターンぼけ度を設定し、位相変動量、ピッチの比率を算出して、モアレ用パターンA(手前側)及びモアレ用パターンB(奥側)の印刷用データを出力することができる。かかる印刷用データに基づいて、モアレ用パターンA(手前側)及びモアレ用パターンB(奥側)をフィルムなどに印刷することができる。
なお,本発明は上記した実施形態又は実施例に限定されるものではなく,様々な変形例が含まれる。例えば,基本パターンの形状や開口部/非開口部比の設定、手前側と奥側のパターンへの反映など様々な変更が可能である。また、実施形態又は実施例で用いた図面は本発明を解りやすく説明するために詳細に説明したものであり,必ずしも実施形態又は実施例で記載した図案等に限定されるものではない。
また,位相変動量、ピッチ比率の設定についても、様々な変更が可能であることはいうまでもない。
1:レイヤー、2:レイヤー、3:レイヤー
4:モアレ表示体、5:パネルの厚み、6:表現領域

Claims (6)

  1. 開口部と非開口部から成るパターンが複数形成されたモアレ表示体において、
    前記開口部の平均透過率は、前記非開口部の平均透過率より高く、
    前記開口部の最大透過率と前記非開口部の最小透過率の差が1%以上であり、
    複数の前記パターンが一部重なったとき、少なくとも手前側のパターンの前記開口部を通して奥側のパターンが透けて見えることにより、モアレ像が発現し、
    前記パターンは、表示面内でモアレパターンぼけ度を変更可能であり、
    前記モアレパターンぼけ度は、勾配領域、勾配面積、勾配角度のうち少なくとも一つにより規定される、
    ことを特徴とするモアレ表示体。
  2. 前記パターンを印刷で形成する場合、モアレパターンのぼけを、網点の大きさの差、網点の密度の差のうち少なくとも一方を調整して形成する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のモアレ表示体。
  3. 前記手前側のパターンと前記奥側のパターンとの間には、ギャップが形成されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のモアレ表示体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のモアレ表示体に形成されるパターンであって、前記表示面内で変更された前記モアレパターンぼけ度をもつ、
    ことを特徴とするパターン。
  5. 請求項4に記載のパターンを生成するパターン生成方法であって、
    入力画像を読取り、前記入力画像の特徴値を抽出し、レイヤー情報の入力設定を行い、モアレ表示体情報の入力設定を行い、基本パターン情報の入力設定を行った後、
    前記入力画像の特徴値から画像のエリアごとの開口部/非開口部比を設定し、位相変動量、ピッチの比率、モアレパターンぼけ度を算出して、モアレ像を発現させる手前側パターン及び奥側パターンのデータを出力する、
    ことを特徴とするパターン生成方法。
  6. 請求項4に記載のパターンを生成するパターン生成システムであって、
    入力画像を読取る入力画像読取部と、前記入力画像の特徴値を抽出する入力画像特徴値抽出部と、レイヤー情報の入力設定を行うレイヤー情報入力設定部と、モアレ表示体情報の入力設定を行うモアレ表示体情報入力設定部と、基本パターン情報の入力設定を行う基本パターン情報入力設定部と、演算部とを有しており、
    前記演算部は、前記入力画像の特徴値から画像のエリアごとの開口部/非開口部比を設定し、位相変動量、ピッチの比率、モアレパターンぼけ度を算出して、モアレ像を発現させる手前側パターン及び奥側パターンのデータを出力する、
    ことを特徴とするパターン生成システム。
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