以下、本発明の実施形態である。
本発明に関する冷蔵庫の実施例について説明する。図1は実施例1に係わる冷蔵庫の正面図、図2は図1のA−A断面図である。
図1に示すように、冷蔵庫1の箱体10は、上方から冷蔵室2、左右に併設された製氷室3と冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6の順番で貯蔵室を有している。冷蔵庫1はそれぞれの貯蔵室の開口を開閉するドアを備えている。これらのドアは、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室ドア2a、2bと、製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6の開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室ドア3a、冷凍室ドア4a、第一切替室ドア5a、第二切替室ドア6aである。これら複数のドアの内部材料は主にウレタンで構成されている。
ドア2aには図8(b)にて後述する表示盤201を設けている。ドア2a、2bを冷蔵庫1に固定するために、ドアヒンジ(図示せず)が冷蔵室2上部及び下部に設けてあり、上部のドアヒンジはドアヒンジカバー16で覆われている。
製氷室3及び冷凍室4は、庫内を冷凍温度帯(0℃未満)の例えば平均的に−18℃程度にした冷凍貯蔵室であり、冷蔵室2は庫内を冷蔵温度帯(0℃以上)の例えば平均的に4℃程度にした冷蔵貯蔵室である。第一切替室5、及び第二切替室6は冷凍温度帯もしくは冷蔵温度帯に設定可能な切替貯蔵室で、例えば、平均的に4℃程度にする冷蔵モードと、平均的に−20℃程度にする冷凍モードとを切り替えられる。本実施例の冷蔵庫1では、さらに冷蔵モードと冷凍モードの間の温度となる強冷蔵モードや弱冷凍モード、また冷蔵モードよりも高温にする弱冷蔵モード、冷凍モードよりも低温にする強冷凍モードといった、複数の運転モードを設けており、これらの運転モードは、冷蔵室2内に設けた操作部200を操作することで選択できる。また、本実施例の冷蔵庫1では、野菜室(セラー室)としての使用は弱冷蔵モードで代用するが、冷蔵モードと独立して野菜モードを設けてもよい。
図2に示すように、冷蔵庫1は、鋼板製の外箱10aと合成樹脂製の内箱10bとの間に発泡断熱材(例えば発泡ウレタン)を充填して形成される箱体10により、庫外と庫内は隔てられて構成されている。箱体10には発泡断熱材に加えて、比較的熱伝導率の低い真空断熱材25を外箱10aと内箱10bとの間に実装することで、食品収納容積を低下させることなく断熱性能を高めている。ここで、真空断熱材は、グラスウールやウレタン等の芯材を、外包材で包んで構成される。外包材はガスバリア性を確保するために金属層(例えばアルミニウム)を含む。また、真空断熱材は製造性から一般的に各面形状が平面で形成される。
本実施例では、箱体10の背面と下部に真空断熱材25e、25fを、箱体10の両側部に真空断熱材25g(図示せず)を設けることで、冷蔵庫1の断熱性能を高めている。
同様に、本実施例では、第一切替室ドア5a、第二切替室ドア6aに真空断熱材25c、25dを設けることで、冷蔵庫1の断熱性能を高めている。上記の断熱構成は、特に各切替室5、6を冷凍モードとし、庫外と切替室5、6との温度差が大きく、外気から侵入する熱量が多い場合に、省エネルギー性能を大きく向上できる。
冷蔵室2と、製氷室3及び冷蔵室4は断熱仕切壁28によって隔てられている。また、製氷室3及び冷凍室4と、第一切替室5は断熱仕切壁29によって隔てられ、第一切替室5と第二切替室6は断熱仕切壁30によって隔てられている。また、第一切替室5の後方には後述するF蒸発器14b及びその周辺風路(F蒸発器室8b、冷凍室風路12、及び冷凍室戻り風路12d)が設けられ、第一切替室5とF蒸発器14b及びその周辺風路の間には断熱仕切壁27が設けられている。
冷蔵室ドア2a、2bの庫内側には複数のドアポケット33a、33b、33cを設け、また棚34a、34b、34c、34dを設けることで、冷蔵室2内は複数の貯蔵スペースに区画されている。製氷室ドア3a、冷凍室ドア4a、第一切替室ドア5a、第二切替室ドア6aには、一体に引き出される製氷室容器3b、冷凍室容器4b、第一切替室容器5b、第二切替室容器6bを備えている。
冷蔵室2、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6の庫内背面側には、それぞれ冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、第一切替室温度センサ43(図3(b)に図示)、第二切替室温度センサ44(図3(b)に図示)を設け、R蒸発器14aの上部にはR蒸発器温度センサ40a、F蒸発器14bの上部にはF蒸発器温度センサ40bを設け、これらのセンサにより、冷蔵室2、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6、R蒸発器14a、及びF蒸発器14bの温度を検知している。また、冷蔵庫1の天井部のドアヒンジカバー16の内部には、外気温度センサ46と外気湿度センサ47を設け、外気(庫外空気)の温度と湿度を検知している。その他にも、ドアセンサ(図示せず)を設けることで、ドア2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態をそれぞれ検知している。
冷蔵庫1の上部には、制御装置の一部であるCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御基板31を配置している。また、制御基板31は、外気温度センサ46、外気湿度センサ47、冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、第一切替室温度センサ43、第二切替室温度センサ44、R蒸発器温度センサ40a、F蒸発器温度センサ40b等と電気配線(図示せず)で接続されている。
制御基板31では、各センサの出力値や操作盤200の設定、ROMに予め記録されたプログラム等を基に、後述する圧縮機58やRファン9a、Fファン9b、ダンパ101a、102a、冷媒制御弁52、表示盤201の制御を行っている。
加えて、本実施例の冷蔵庫1では外部機器と接続できる通信基盤(図示なし)を設けており、冷蔵庫1の情報をスマートフォン等のモバイルデバイスやパーソナルコンピュータ等に提供できるようにしている。以下でこの機能は外部通信機能とする。
図3(a)は、図1のドア、容器、後述する吐出口を外した(省略した)状態の正面図である。図3(b)は、図1のドア及び容器を外した状態の正面図である。
図2および図3(a)に示すように、冷蔵用蒸発器であるR蒸発器14aは、冷蔵室2の背部にあるR蒸発器室8aの内部に設けてある。R蒸発器14aと熱交換して低温になった空気(冷気)は、R蒸発器14aの上方に設けた冷蔵用ファンであるRファン9aにより、冷蔵室風路11、冷蔵室吐出口11aを介して冷蔵室2に送風され、冷蔵室2内を冷却する。ここで、Rファン9aの形態は、遠心型ファンであるターボファンとしている。冷蔵室2に送風された空気は冷蔵室戻り口15a(図2参照)及び冷蔵室戻り口15b(図3(a)参照)からR蒸発器室8aへと戻り、再びR蒸発器14aにより冷却される。
冷蔵室2の冷蔵室吐出口11aは冷蔵室2の上部に設けており、本実施例では最上段の棚34aと二段目の棚34bの上方に空気が吐出するように設けている。また冷蔵室戻り口15a、15bは冷蔵室2の下部に設けており、本実施例では冷蔵室戻り口15bは冷蔵室2の下から2番目の段(棚34cと棚34dの間)に設け、冷蔵室戻り口15aは冷蔵室2の最下段(棚34dと断熱仕切壁28の間)で後述する第二間接冷却室36の略背部に設けている。
図3(b)に示すように、冷蔵室2内にある棚34dの上方には第一間接冷却室35を設けている。第一間接冷却室35は、ケース35aを備えており、また、第一間接冷却室35に冷気を直接送風する吐出口を設けていない。すなわち、第一間接冷却室35は、R蒸発器14aで生成した低温低湿な冷気が直接入らないようにした間接冷却構造となっており、第一間接冷却室35内に設けた食品の乾燥が抑制され、野菜等の乾燥に弱い食品の保存性を向上できる。
また、冷蔵室2の内部である、断熱仕切壁28の上方には第二間接冷却室36を設けている。第二間接冷却室36は、ドア36aと収納部36bを接触させた略密閉構造としている。これにより、低温低湿な空気が第二間接冷却室36内の食品に直接入らないようにして、第二間接冷却室36内の食品の乾燥を抑制している。
図4は、実施例に係る製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、及び第二切替室6の冷気の流れを示す風路構造の概略図である。図2、図3(a)、および図4を用いて、冷蔵室2以外の庫内の風路構成と、冷気の流れを説明する。
図2および図4に示すように、冷凍用蒸発器であるF蒸発器14bは第一切替室5、第二切替室6の背部のF蒸発器室8b内に設けてある。F蒸発器14bと熱交換して低温になった空気(冷気)は、F蒸発器14bの上方に設けた冷凍用ファンであるFファン9bにより、冷凍室風路12、冷凍室吐出口12a、12bを介して製氷室3及び冷凍室4に送風され、製氷室3の製氷皿3c内の水、容器3b内の氷、冷凍室4の容器4b内の食品等を冷却する。なお、製氷皿3cへの水は、図3(b)に示す製氷タンク37から製氷ポンプ(図示せず)により供給される。ここで、Fファン9bの形態も、省スペース化のため、遠心型ファンであるターボファンとしている。製氷室3及び冷凍室4を冷却した空気は、冷凍室戻り口12cより冷凍室戻り風路12dを介して、F蒸発器室8bに戻り、再びF蒸発器14bにより冷却される。
本実施例の冷蔵庫1では、他に、第一切替室5、及び第二切替室6もF蒸発器14bで低温にした空気(冷気)で冷却する。第一切替室5及び第二切替室6への冷気の送風は、送風制御部であるダンパ101a及び102aにより制御する。
まず、第一切替室5への冷気の流れを説明する。第一切替室5を冷却する際は、ダンパ101aを開ける。F蒸発器14bで冷却された空気は、Fファン9b、冷凍室風路12、ダンパ101a、そして第一切替室5の直接冷却用吐出口である第一切替室吐出口111aを介して、第一切替室5に設けた第一切替室容器5b内に送風され、第一切替室容器5b内の食品を冷却する。冷気は第一切替室容器5b内の食品を直接冷却するため、冷凍モードにおいても第一切替室容器5b内の食品を十分に冷却でき,高い冷凍能力を得ることができる。
次に、第二切替室6への冷気の流れを説明する。第二切替室6の構成は、第一切替室5と同様で、第二切替室6を冷却する際は、ダンパ102aを開ける。F蒸発器14bで冷却された空気(冷気)は、Fファン9b、冷凍室風路12、ダンパ102a、そして第二切替室6の直接冷却用吐出口である第二切替室吐出口112aを介して、第二切替室容器6b内に送風され、第二切替室容器6b上の食品を冷却する。冷気は第二切替室容器5bの食品を直接冷却するため、冷凍モードにおいても第二切替室容器6b内の食品を十分に冷却でき,高い冷凍能力を得ることができる。
本実施形態の第一切替室5及び第二切替室6の冷気の流れは、冷凍モードと冷蔵モードとで共通であり、容器5b,6b内に直接冷気を供給する直接冷却方式である。冷凍モードと冷蔵モードとで別々の風路を設けて冷蔵モードでは間接冷却方式を可能にしておくこともそれぞれのモードでの貯蔵食品に適した冷却を行うことでき保鮮手段として有効であるが、その分冷蔵庫内の空間を占有するため、貯蔵内容積を大きくするには共通の風路を使ったほうが効率が良い。
このため、本実施形態では、冷気は各容器5b,6b内の食品を直接冷却するため、冷蔵モードにおいては冷気の当たる食品が冷えすぎて凍結や凍傷を生じる虞が在る。この課題は、切替室5,6に代えて、冷気供給量を自動又は手動で一時的に増加させることができる急速冷蔵モードが可能な固定の冷蔵室を採用する場合も同様である。
図5は、実施例に係る第一切替室5、及び第二切替室6の冷蔵温度を実現するための構成を示す図であり、図5(a)は図2の断熱仕切壁28より下の拡大図、図5(b)は図3(b)の断熱仕切壁28より下の拡大図である。
本冷蔵庫1では、第一切替室5を加熱するため、第一切替室5の背面側(断熱仕切壁27の前方)に第一切替室背面ヒータ60、底面側(断熱仕切壁29の上部)に第一切替室下面ヒータ61を設けている。同様に、第二切替室6を加熱するため、第二切替室6の上面側(断熱仕切壁29の下部)に第二切替室上面ヒータ62、背面側に第二切替室背面ヒータ63を設けている。
また、本実施例の冷蔵庫1では断熱仕切壁29の内部に真空断熱材25aを設け、断熱仕切壁30内部にも真空断熱材25bを設け、断熱仕切壁27には例えば発泡ポリスチレンの発泡断熱材24を設けている。これらにより、冷蔵庫1の各貯蔵室間の熱移動、及びF蒸発器14b及びその周辺風路(F蒸発器室8b、冷凍室風路12、及び冷凍室戻り風路12d)と第一切替室5との間の熱移動を抑えている。
上記の構成により、特に第一切替室5を冷蔵モードとし、第二切替室6を冷凍モードとした場合の冷蔵庫1の省エネルギー性能を向上できる。冷蔵温度帯の第一切替室5は、隣接する部屋が冷凍温度帯である上面(断熱仕切壁29)、背面(断熱仕切壁27)、さらに底面(断熱仕切壁30)から吸熱され、第一切替室5が低温になり易いが、断熱仕切壁27、29、30に発泡断熱材24または真空断熱材25を設けることで、上面、背面、底面からの吸熱を抑え、ヒータを用いない、またはヒータの電力を抑えて所定の温度対に維持できるようにしている。ヒータに用いる電力を抑えられるため、省エネルギー性能を高めている。一方、外気が低温の場合は、外気による加熱が抑制される、或いは外気からも冷却されることがあり、上記のように庫内間の吸熱を抑えるだけでは不十分になるため、第一切替室5を加熱するための第一切替室背面ヒータ60と第一切替室下面ヒータ61、また第二切替室6を加熱するための第二切替室上面ヒータ62と第二切替室背面ヒータ63を設け、これらを適切に加熱することで、冷蔵温度帯に設定した第一切替室5及び第二切替室6を所定の温度に維持できるようにしている。また、これらのヒータはモード切替制御を短時間で行うために用いても良い。すなわち、冷凍モードから冷蔵モードへ切り替える際に、これらのヒータで加熱し、短時間で冷蔵温度にさせる制御を行ってもよい。
なお、断熱仕切壁27内部に真空断熱材25でなく、発泡断熱材24としたのは、真空断熱材25に比べて形状の設計自由度が高く、複雑な形状にでき、また、それ自体で風路を形成できるためである。すなわち、断熱仕切壁27は、F蒸発器室8b、冷凍室風路12、及び冷凍室戻り風路12dを形成し、またF蒸発器14b、Fファン9b、ダンパ101a、102a等を設けるが、発泡断熱材24を用いることで、これらを配設しながら、断熱性能を高め、また比較的通風抵抗の少ない風路を形成することができる。
一方、断熱仕切壁29、30は略直方体形状と比較的形状が単純であるため、真空断熱材25を用いることで比較的薄い厚さで高い断熱性能を得られ、貯蔵室間の熱移動を抑えつつ、食品を収納する各貯蔵室の内容積を大きくすることに有効である。
なお、第一切替室5内は自然対流により上部が高温、下部が低温になり易く、さらに第二切替室6が冷凍モードの際には下面も冷却されるため、第一切替室5は低温になり易い下面にヒータを設けている。一方、第二切替室6は、下面が外気と接するために加熱され、上面は第一切替室5が冷凍モードでは冷却されるため、上面側にヒータを設けている。
また、第二切替室6は、最大(第一切替室5が冷凍モード、第二切替室6が冷凍モード時)で、上面と背面上部が、冷凍温度帯の他室から断熱仕切壁を介して冷却されるのに対し、第一切替室5は、最大(第一切替室5が冷凍モード、第二切替室6が冷凍モード時)で、上面、背面、下面が、冷凍温度帯の他室から断熱仕切壁を介して冷却されるため、冷却される面積の大きい第一切替室5の方が、ヒータの最大加熱量を多くしている。すなわち、第一切替室5を加熱するための第一切替室背面ヒータ60と第一切替室下面ヒータ61の合計の最大消費電力は、第二切替室6を加熱するための第二切替室上面ヒータ62と第二切替室背面ヒータ63の合計の最大消費電力よりも多くし、冷却されて低温になりやすい第一切替室5も適切な温度に制御できるようにしている。
図6は、ダンパ101a、102a、及びそのダンパに設けるダンパヒータ64である。本実施例の冷蔵庫1では、ダンパ101aはダンパ構成部111、ダンパ102aはダンパ構成部112に内装されており、それぞれダンパ構成部111、112に同じく内装したモータ(図示なし)により、各ダンパ101a、102a、を駆動させる。
本ダンパ構成部111、112の外周部にはそれぞれダンパヒータ64を設けている。これにより、各ダンパに霜・氷が付着し凍結してしまっても、ヒータにより加熱して、この霜・氷を融解することで、ダンパ101a、102a、が動作しなくなることを抑制している。なお、本実施例では、配設しやすいことからダンパ構成部111、112の外周部にヒータを設けているが、ダンパ101a、102a(開閉する駆動部)にヒータを設けてもよい。この場合、ダンパ101a、102aを直接加熱できるため、各ダンパに付着した霜・氷を融解し易く、より少ないエネルギーで各ダンパが動作しなくなることを抑制することができる。
図7は、本実施例の冷蔵庫1の冷凍サイクルの構成図である。本実施例の冷蔵庫1では、圧縮機58、冷媒の放熱を行う放熱手段である庫外放熱器50aと壁面放熱配管50b、仕切り壁28、29、30の前面部への結露を抑制する結露防止配管50c、冷媒を減圧させる減圧手段である冷蔵用キャピラリチューブ53aと冷凍用キャピラリチューブ53b、冷媒と庫内の空気を熱交換させて、庫内の熱を吸熱するR蒸発器14aとF蒸発器14bを備え、これらにより庫内を冷却している。また、冷凍サイクル中の水分を除去するドライヤ51と、液冷媒が圧縮機58に流入するのを防止する気液分離器54a、54bを備え、さらに冷媒流路を制御する三方弁52、逆止弁56、冷媒流を接続する冷媒合流部55も備えており、これらを冷媒配管59により接続することで冷凍サイクルを構成している。
なお本実施例の冷蔵庫1は、冷媒にイソブタンを用いている。また、本実施例の圧縮機58はインバータを備えて回転速度を変えることができる。
三方弁52は、52a、52bで示す2つの流出口を備え、流出口52a側に冷媒を流す冷蔵モードと、流出口52b側に冷媒を流す冷凍モードを備え、これらを切換えることができる部材である。また、本実施例の三方弁52は、流出口52aと流出口52bの何れも冷媒が流れないようにする全閉、また何れも冷媒が流れるようにする全開のモードも備え、これらにも切換え可能である。
本実施例の冷蔵庫1では、冷媒は以下のように流れる。圧縮機58から吐出した冷媒は、庫外放熱器50a、庫外放熱器50b、結露防止配管50c、ドライヤ51の順に流れ、三方弁52に至る。三方弁52の流出口52aは冷媒配管を介して冷蔵用キャピラリチューブ53aと接続され、流出口52bは冷媒配管を介して冷凍用キャピラリチューブ53bと接続されている。
冷蔵室2を冷却する場合は、三方弁52から流出口52a側に冷媒が流れるようにする。流出口52aから流出した冷媒は、冷蔵用キャピラリチューブ53a、R蒸発器14a、気液分離機54a、冷媒合流部55の順に流れた後、圧縮機58に戻る。冷蔵用キャピラリチューブ53aで低圧低温になった冷媒がR蒸発器14aを流れることでR蒸発器14aが低温となり、このR蒸発器14bにより冷却された空気をRファン9a(図2参照)で送風することで冷蔵室2を冷却する。
製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6を冷却する際は、三方弁52から流出口52b側に冷媒が流れるようにする。流出口52bから流出した冷媒は、冷凍用キャピラリチューブ53b、F蒸発器14b、気液分離機54b、逆止弁56、冷媒合流部55の順に流れた後、圧縮機58に戻る。逆止弁56は気液分離機54bから冷媒合流部55側には冷媒が流れ、冷媒合流部55から気液分離機54b側へは流れないように配設している。冷凍用キャピラリチューブ53bで低圧低温になった冷媒がF蒸発器14bを流れることでF蒸発器14bが低温となり、F蒸発器14bにより冷却された空気をFファン9b(図2参照)で送風することで製氷室3、冷蔵室4、第一切替室5、第二切替室6を冷却する。このように、本実施例の冷蔵庫では、冷蔵室2はR蒸発器14aを用いて冷却し、製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6はF蒸発器14bを用いて冷却する構成としている。
ここで、冷凍温度帯である、又は冷凍温度帯に設定可能な製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6を冷却するF蒸発器14bに冷媒を流す際は、これらの貯蔵室よりも低温な蒸発器温度(例えば−25℃)とする。一方、冷蔵温度帯の冷蔵室2を冷却するR蒸発器14aに冷媒を流す際は、冷媒の蒸発器温度を比較的高くする(例えば−10℃)。一般的に、蒸発器の温度が高いほど、冷凍サイクルの冷却効率を高めることができ、省エネルギー性能向上に有効である。また、蒸発器の温度が高いほど、空気が蒸発器を通過する際の空気中の水分の着霜が抑えられ、すなわち空気の除湿が抑えられ、庫内を高湿に保つことができる。従って、R蒸発器14aの温度が高い状態で冷蔵室2を冷却することで、冷凍温度帯の貯蔵室と共通の蒸発器で冷却する場合に比べ、冷蔵室2冷却時の省エネルギー性能を高められるとともに、冷蔵室2内を高湿に保つことができる。
図8(a)は操作盤200、図8(b)は表示盤201の拡大図である。冷蔵室2内に設けた図8(a)に示す操作盤200では、各操作部を押すことで、自動製氷や節電機能、外部通信機能等の付加機能のON、OFFと、冷蔵室2、第一切替室5、第二切替室6の温度調整が可能である。温度調整とは、冷蔵室2及び冷蔵モードの第一切替室5、第二切替室6では、前述の弱冷蔵モード、強冷蔵モードへの変更、冷凍モードの第一切替室5、第二切替室6では、前述の弱冷凍モード、強冷凍モードへの変更を行うもので、例えば2℃程度目標温度を変えるものである。この温度調整に加えて、本実施例の冷蔵庫1では、温度調整の操作部とは別に、第一切替室5の冷蔵モードと冷凍モードを切り替えるモード切替操作部200aと、第二切替室6の冷蔵モードと冷凍モードを切り替えるモード切替操作部200bを設けている。他の操作部は押した直後に設定が変更されるが、モード切替操作部200a、200bは、例えば3秒長押しすることで設定が変更されるようにしている。また、本実施例の冷蔵庫1では、何れの操作部を操作した際も操作盤200に設けたブザーにより操作の受け付けを音で知らせるようにしているが、モード切替操作部200a、200bを長押しし、モード切り替えの実行を受け付けると、他の操作を受け付けた際とは異なる音で受け付けを知らせるようにしている。
また、本実施例1の冷蔵庫1では、操作盤200を冷蔵室2内に設けていることから、冷蔵室ドア2a、2bを開けずに冷蔵庫1からの情報を把握できるよう、図8(b)に示す冷蔵室ドア2aに表示盤201を設けている。表示盤201は、ユーザーの使用状態が省エネ性に優れていることを示す「eco」サインや、製氷タンク37の状態を示す「給水」サインに加え、第一切替室5がモード切り替え中であることを表示するモード切替中表示201aと、第二切替室6がモード切り替え中であることを表示するモード切替中表示201bを設けている。
以上で示した本構成は、ユーザーによる冷蔵モードと冷凍モードの誤動作に配慮している。冷蔵モードと冷凍モードを誤って切り替えると、例えば冷蔵モードで収納していた野菜が凍結することや、冷凍モードで収納していた冷凍食品が解凍されてしまうといった不具合を生じてしまう。従って、温度調整等の操作を行うつもりで意図せず温度帯が変わってしまうことや、意図しない操作(操作部に意図せず触れてしまう等)で温度帯が変わってしまうことがないよう配慮する必要がある。
これに対し、本実施例の冷蔵庫1では、温度調整用の操作部とモード切替操作部200a、200bを独立させ、誤ったモード変更を抑制している。また、モード切替操作部200a、200bを備えた操作盤200を冷蔵室2内に設けており、これにより、冷蔵室ドア2a、2bが閉まっている状態では操作部に意図せず触れることがなくなるようにしている。
さらに、冷蔵モードと冷凍モードの切り替えを実行するための操作を、長押しとすることで、操作部に意図せず触れてしまうことでの誤動作をより確実に抑えている。なお、本実施例では誤動作抑制方法として長押しとしたが、例えば複数の操作部を同時に押した場合にモード変更するようにしてもよい。この場合は長押しする時間が必要ないため早くモード切り替えの指示を送ることができる。一方、本実施例1のように1つの操作だが長押しとすることで、比較的操作を簡単にすることができる。
加えて、モード切り替えの実行を受け付けると、他の操作を受け付けた際とは異なるブザー音を鳴らすことで、誤って操作してしまった際に気づき易くしている。また、表示盤201に、第一切替室5がモード切り替え中であることを表示するモード切替中表示201aと、第二切替室6がモード切り替え中であることを表示するモード切替中表示201bを設けることで、ドアを開けずにモード切り替えが実行されていることを確認でき、誤って操作してしまった際に気づき易くしている。これにより、すぐにユーザーがモード切り替えを中止(モードを元に戻す)して、意図しない凍結及び解凍を抑制できるようにしている。なお、ドアを開けずに確認できる表示201に、モード切替中表示201a、201bを設けることで、複数のユーザーがいる家庭において、別のユーザーによりモードが切り替えられたことに気づく易くなり、必要に応じてモード切り替えを早期に中止できるようにしている。特に小さい子供がいる家庭の場合、子供のいたずらによりモード切り替えが行われてしまうリスクが考えられることから、本機能は有効である。
また、本実施例の冷蔵庫1では、外部通信機能により、ユーザーが指定したモバイルデバイス等に、モード切り替えが開始されたことをポップアップ表示できるようにしており、これにより、別のユーザーによりモードが切り替えられたことを、より気づく易くしている。
なお、例えば指紋認証やパスワードなどでモード切り替えの操作に制限を設けることや、外部通信機能を用い、メインユーザー以外が通常使用しないモバイルデバイスからのみ、モード切り替えが行えるようにするなどで、予めメインユーザー以外によるモード切り替えが行われないようにしてもよい。
以上が本実施例の冷蔵庫1の基本的な構成である。以下で冷蔵庫1の具体的な制御について説明していく。
図9、図10は本実施例の基本的な冷却制御フローチャートである。圧縮機58がOFF(停止)状態の制御S1−1から説明を始める。本実施例では、冷凍温度帯の貯蔵室を備えるF蒸発器14bにより冷却される貯蔵室について、冷却が必要か判断する。まず制御S1−2において、冷凍室温度センサ42により検知する冷凍室4の温度T_Fが例えば−15℃の所定温度T_F−ONより低いか否か、すなわち冷凍室4の冷却が必要かを判断する。T_FがT_F−ON以上の場合(S1−2:No)は、制御S1−11、S1―13へ移行し、F蒸発器14bを用いた冷却運転、すなわちF蒸発器14bに冷媒を流し、低温になったF蒸発器14b周辺の空気をFファン9bにより各貯蔵室に送風する運転になる。冷凍室4の温度T_Fが所定温度T_F−ON(例えば−15℃)より低い場合(S1−2:Yes)は、第一切替室5の冷却が必要かを判断する。この時、第一切替室5が冷蔵モードか冷凍モードかにより、冷却が必要かを判断する温度が異なり、冷凍モードの際(制御S1−3:Yes)は例えば−18℃のT_S1F−ON、冷蔵モードの際(制御S1−3:No)は例えば6℃のT_S1R−ONを基準とする。第一切替室温度センサ43により検知する第一切替室5の温度T_S1が、T_S1F−ON、またはT_S1R−ON以上(制御S1−4またはS1−5:No)であれば、制御S1−12、S1−13のF蒸発器14bを用いた冷却運転になる。同様に第二切替室6についても、冷凍モードの際(制御S1−6:Yes)は例えば−19℃のT_S2F−ON、冷蔵モードの際(制御S1−6:No)は例えば7℃のT_S2R−ONを基準とし、第二切替室温度センサ44により検知する第一切替室6の温度T_S2がこれらの温度以上(制御S1−7又はS1−8:No)であれば、制御S1−12、S1−13のF蒸発器14bを用いた冷却運転になる。この運転の終了条件は図10を用いて後述する。
制御S1−2からS1−8までの判断により、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6の冷却が不要と判断された場合、また図10で示すF蒸発器14bを用いた冷却運転が終了した場合(制御S1−14)、冷蔵室2の冷却が必要かを判断する。冷蔵室温度センサ41により検知する冷蔵室2の温度T_Rが、例えば6℃の所定温度T_R―ON以上の場合(制御S1−9:No)は、R蒸発器14aを用いた冷却運転(制御S1−10)になる。R蒸発器14aを用いた冷却運転は、冷蔵室2の温度T_Rが例えば2℃のT_R−OFF以下になる(制御S1−11:Yes)と、R蒸発器14aを用いた冷却運転を終了し、再びF蒸発器14bを用いた冷却運転の要否を判断する制御S1−2に戻る。また、制御S1−9に到達しつつ、冷蔵室2の温度T_Rが、T_R―ON未満であった場合(制御S1−9:Yes)は、何れの冷却も必要ないと判断し、圧縮機58を停止する(制御S1−1)。
次に、図10を用いてF蒸発器14bを用いた冷却運転中の制御について説明する。図9の制御S1−13は図10の制御S2−1と同一である。本実施例の冷蔵庫1では、第一切替室5に関する制御と、第二切替室6に関する制御、また冷凍室4に関する制御を平行して行う。
まず、第一切替室5に関する制御について説明する。第一切替室5が冷凍モードに設定している場合(制御S2−3:Yes)、ダンパ101aを開け(制御S2−4)、第一切替室5の温度T_S1が例えば−22℃のT_S1F−OFF以下になるまで冷却する(制御S2−5)。第一切替室5が冷蔵モードに設定している場合(制御S2−3:No)は、ダンパ101aを時分割で開閉し(制御S2−6)、第一切替室5の温度T_S1が例えば2℃のT_S1R−OFF以下になるまで冷却する(制御S2−7)。制御S2−6の時分割条件については図12を用いて後述する。なお、上述のように切替室5に代えて、急速冷蔵モードが可能な固定の冷蔵室の場合は、急速冷蔵モード実行中に、同様に時分割で開閉させることができる。
これらの制御が終わると、ダンパ101aを閉め(制御S2−8)、第一切替室5が冷却中であることを示す制御S2−2で1としていたCheck_S1を0とする(制御S2−9)。
なお、他の冷凍室4、第二切替室6の冷却制御が完了(制御S2−25に到達)するまで、第一切替室5の温度が高くなりすぎるのを防止するため、第一切替室5を冷凍モードに設定している場合(制御S2−10:Yes)は第一切替室5の温度T_S1が例えば−20℃のT_S1F−ON2以上(制御S2−11:Yes)、冷蔵モードに設定している場合(制御S2−10:No)は第一切替室5の温度T_S1が例えば4℃のT_S1R−ON2以上になる(制御S2−12:Yes)と、再びダンパを開ける(制御S2−4、S2−6)。その後、T_S1がT_S1F−OFFまたはT_S1R−OFFより再び低温になると再びダンパを閉める(制御S2−5、S2−7、S2−8)。
次に、第二切替室6に関する制御を説明するが、基本的に第一切替室5と同様である。第二切替室6が冷凍モードに設定している場合(制御S2−13:Yes)、ダンパ102aを開け(制御S2−14)、第二切替室6の温度T_S2が例えば−23℃のT_S2F−OFF以下になるまで冷却する(制御S2−15)。第二切替室6が冷蔵モードに設定している場合(制御S2−13:No)は、ダンパ102aを時分割で開閉し(制御S2−16)、第二切替室6の温度T_S2が例えば3℃のT_S2R−OFF以下になるまで冷却する(制御S2−17)。制御S2−16の時分割条件については図12を用いて後述する。これらの制御が終わると、ダンパ102aを閉め(制御S2−18)、第二切替室6が冷却中であることを示す制御S2−2で1としていたCheck_S2を0とする(制御S2−19)。その後、冷凍室4、第一切替室5の冷却制御が完了(制御S2−25に到達)するまで、第二切替室6が冷凍モードに設定されている場合(制御S2−20:Yes)は第二切替室6の温度T_S2が例えば−21℃のT_S2F−ON2以上(制御S2−21)、冷蔵モードに設定されている場合(制御S2−20:No)は第二切替室5の温度T_S2が例えば5℃のT_S1R−ON2以上になる(制御S2−22)と、再びダンパを開け(制御S2−14、S2−16)、T_S2がT_S2F−OFFまたはT_S2R−OFF以下になると再びダンパを閉める(制御S2−15、S2−17、S2−18)。
最後に冷凍室4に関する制御について説明する。冷凍室4は温度制御を行うダンパを備えていないため、冷凍室4の温度T_Fが例えば−20℃のT_F−OFF以下であることを判定する(制御S2−23:Yes)と、冷凍室4の冷却制御は終了となる。
冷凍室4の冷却が終了し(制御S2−23:Yes)、Check_S1、S2により第一切替室5と第二切替室6の冷却制御が終了していると判断する(制御S2−24:Yes)と、Fファン9bをOFFし(制御S2−25)、F蒸発器14bを用いた冷却運転が終了(制御S2−26)となる。
以上のように、本実施例の冷蔵庫1では、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6の何れかがそれぞれの所定温度以上の場合にはF蒸発器14bを用いた冷却運転に移行(図9の制御S1―2からS1−8)し、また、F蒸発器14bを用いた冷却運転中は、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6の何れも少なくとも一度は所定温度以下になるまで必ず冷却するようにしている(図10)。これにより、何れか1つの貯蔵室の温度のみで制御する場合に比べ、何れの貯蔵室の温度も高くなり過ぎず、かつ低温になりすぎないようにすることができ、省エネルギー性能を高めながら食品の保存性能を高めることができる。
さらに、第一切替室5、第二切替室6の冷却制御では、所定温度に到達すると、冷やし過ぎを防止するためダンパを閉じ(制御S2−8、S2−18)、冷却状態を解除するが(制御S2−9、S2−19)、温度が高くなった場合は(制御S2−10からS2−12、またはS2−20からS2−22)、再度ダンパを開けて冷却する。これにより、冷やし過ぎを防止しつつ、温度が高くなりすぎるのも防止し、省エネルギー性能を高めながら食品の保存性能を高めている。
なお、制御S2−10からS2−12、またはS2−20からS2−22によるダンパ101a、101b、102a、102bを再度開ける制御を行う間、Check_S1、Check_S2は0のままとしている。これにより、Check_S1、Check_S2が交互に1の状態となってしまい、F蒸発器14bを用いた冷却運転が終了しないことを抑制している。本実施例の冷蔵庫1は複数の蒸発器を備え、R蒸発器14aを用いた冷却運転と、F蒸発器14bを用いた冷却運転を切り替えて冷却を行うため、F蒸発器14bを用いた冷却運転が終了してR蒸発器14aを用いた冷却運転に移行すると、暫くの間、F蒸発器14bを用いた冷却運転に移行できない。したがって、この再度ダンパを開ける制御に用いるT_S1F−ON2は図9に示したT_S1F−ONより低温であり、同様にT_S1R−ON2はT_S1R−ONより低温、T_S2F−ON2はT_S2F−ONより低温、T_S2R−ON2はT_S2R−ONより低温にしておき、比較的低温の状態でF蒸発器14bを用いた冷却運転が終了するようにしている。
図11は本実施例の基本的な冷却制御を示す経時温度変化の例である。図11は第一切替室5と第二切替室6の両方が冷凍モードの場合である。各制御番号は図9、図10に対応する。
図11の第一切替室5と第二切替室6の両方が冷凍モードの場合について、時刻t0から説明する。時刻t0にて圧縮機58が停止した(制御S1−1)後、制御S1−2〜S1−9の各判定が行われる。時刻t1において、第二切替室6の温度T_S2が、T_S2F−ON以上(制御S1−7:No)になり、F蒸発器14bによる冷却運転が開始される(制御S1−12、S1−13及びS2−1)。図11では、第一切替室5と第二切替室6の両方が冷凍モードのため、直接冷却用のダンパであるダンパ101aと102aが開く。時刻t2で第一切替室5の温度T_S1が、T_S1F−OFF以下になる(制御S2−5:Yes)と、ダンパ101aが閉じ(制御S2−8)、第一切替室5が冷却中であることを示すCheck_S1を0(クリア)する(制御S2−9)。また、同様に時刻t3において、第二切替室6の温度T_S2が、T_S2F−OFF以下になる(制御S2−15:Yes)と、ダンパ102aが閉じ(制御S2−18)、第二切替室6が冷却中であることを示すCheck_S2を0(クリア)する(制御S2−19)。その後、時刻t4において、冷凍室4の温度T_Fが、T_F−OFF以下になり、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6の何れも冷却が完了したと判断し(制御S2−23、S2−24)、F蒸発器14bを用いた冷却運転を終了する(制御S2−25、S2−26及びS1−14)。なお、この間の時刻t6において、第一切替室5の温度がT_S1F−ON2よりも高くなったことから、ダンパ101aを再度開け(制御S2−11:Yes→制御S2−5)、第一切替室5の温度上昇を抑えている。
F蒸発器14bを用いた冷却運転を終了した時刻t4において、冷蔵室2の温度T_Rが、T_R−ON以上になっている(制御S1−9:No)ことから、R蒸発器14aを用いた冷却運転に移行する(制御S1−10)。その後、時刻t5において、冷蔵室2の温度T_Rが、T_R−OFF以下になる(制御S1−11:Yes)と、R蒸発器14aを用いた冷却運転を終了し、再びF蒸発器14bを用いた冷却運転の必要可否を判断する(制御S1−2からS2−8)。図11の時刻t5では、F蒸発器14bを用いた冷却運転の必要がないと判断され、冷蔵室2の温度もT_R−ON未満(制御S1−9:Yes)のため、圧縮機58がOFFとなる(制御S1−1)。なお、この時に三方弁52を全閉とすることで、冷凍サイクルの高圧側の冷媒がR蒸発器14a、及びF蒸発器14bに流入し、R蒸発器14a、及びF蒸発器14bが温度上昇することを防ぐためである。以後、同様の運転が繰り返される。
図12は、図10の制御S2−6における第一冷却室5のダンパ101aの時分割開閉の制御を示す経時温度変化の例である。図12の横軸は時刻、縦軸は第一冷却室5の温度センサ43の検知温度T_S1である。
図9及び図10にて説明したように、本制御はS1−11「F蒸発器14bによる冷却」の中で行われるダンパ制御である。したがって、図12のように、圧縮機58及びファン9bはON、三方弁52(流路切換弁)は、冷凍側の流出口52bを開状態として、第一冷却室5のダンパ101aを時分割開閉制御する。この制御例を示す。F蒸発器14bのように、冷凍温度帯の貯蔵室を冷却可能な程度に低温の蒸発器から供給される冷気を利用して冷蔵温度帯の第一切替室5を冷却すると、第一切替室5内の食品が凍結等する虞がある。このような場合に本制御が有効である。
温度T_S1に応じた制御の閾値として、目標温度帯の最高値である前述のT_S1R−ONと同値又はこれより高温側に、ダンパ時分割制御の実行閾値T_S1R−OPEN(断続開制御閾値)が設定されている。時刻td0からダンパ101aを開し、第一切替室5の冷却を開始する。T_S1の温度が低下していき、時刻td1でT_S1が上記閾値T_S1R−OPENに達すると、ダンパ連続開制限時間として設定されている、開タイマS1R−OP−tのカウントを開始する。
時刻td2にて開タイマがカウントアップすると、冷気による収納物の冷凍を抑制すべくダンパ101aを閉し、ダンパ時分割制御中の閉時間制限時間として設定されている閉タイマS1R−CL−tのカウントを開始する。このときT_S1はまだ目標温度帯の最低値であるT_S1R−OFFに到達しておらず、即ち第一切替室5の温度は十分に低下していない状態であるが、ダンパ101aの時分割制御が優先され、一時的に冷却を停止する。時刻td3にて閉タイマがカウントアップすると、再びダンパ101aを開し、開タイマS1R−OP−tのカウントを開始する。
時刻td4〜7まで、同様にタイマによる時分割制御によってダンパ101aの開閉が制御され、第一切替室5が冷却される。最終的に、時刻td8においてT_S1が冷却終了温度T_S1R−OFFに到達すると、図10におけるS2−7の判定基準により第一切替室5の冷却が完了し、ダンパ101aは閉する(S2−8)。
以上のダンパ時分割制御により、ダンパ101aの連続開時間、即ち冷蔵モードに設定された第一切替室5の貯蔵容器5b内に連続して冷気を吐出する時間に制限を設け、容器5b内に貯蔵された冷蔵食品や野菜等の食品が長時間冷やされることを防ぐことができる。冷蔵されている食品に冷凍温度帯の冷気を当てても、これが短時間の冷却であれば表面は凍結に至らず、冷却が停止している間には食品内部と表面との熱交換によって食品表面の温度は上昇する。このため、本制御のように冷気供給を断続的に行うようにすれば、食品を凍結、凍傷させる虞を低減しながら、目標の貯蔵温度まで冷却することができる。
冷却を断続的にする(一時停止する)ことで冷却の速度は遅くなるが、本実施例では、F蒸発器14bによって製氷室3及び冷凍室4と共に切替室を冷却するので、冷蔵モードに設定された切替室は相対的に冷却が早く、一時停止しても全体の冷却サイクルに及ぼす影響は小さく済む。また、切替室の温度がダンパ時分割制御の実行閾値(T_S1R−OPEN)より高く、早急な冷却が必要な場合は、ダンパの一時閉は実行されず連続的にダンパ101aは開されるので、高い冷却速度を得ることができる。
閉タイマがカウント中(カウントアップ前)にT_S1がT_S1R−OPENより高くなった場合は、第一切替室5内の温度が高すぎるといえるため、ダンパ101aを即座に開して冷却を再開するようにしてもよい。
以上の制御は、第二切替室6が冷蔵モードに設定された場合や、冷蔵温度帯固定の貯蔵室にも適用できる。第二切替室6の場合、具体的には、上述の制御S2−16において、その温度T_S2に対して、ダンパ102aが同様の制御を実行できる。時分割制限温度T_S1R−OPEN、開タイマS1R−OP−t、閉タイマS1R−CL−tに相当する各制御パラメータは別に有し、ダンパ101aと102aの時分割開閉の制御は互いに独立した制御として実行できる。
また、時分割制限温度、開タイマ、閉タイマの各制御パラメータは、冷蔵モードのうち、弱冷蔵モードや強冷蔵モードでそれぞれ異なる値を設定することが望ましい。同様に、野菜モードを設ける場合も別の設定値を設け、想定する貯蔵食品を野菜に限定することで、冷蔵モード以上に凍結や凍傷の生じ難い値を調整することが可能である。
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。