JP2021046191A - 鉄道用状態監視装置、鉄道車両の台車、鉄道車両、鉄道用ブレーキ制御装置 - Google Patents

鉄道用状態監視装置、鉄道車両の台車、鉄道車両、鉄道用ブレーキ制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】汎用性を高めることが可能な鉄道車両用状態監視装置を提供することを目的の一つとしている。【解決手段】鉄道用状態監視装置20は、鉄道車両100の台車に取り付けられ、振動、速度、加速度、音、反射光、画像、温度、湿度および車輪径のうち1以上の状態に関する状態情報を取得する取得部30と、台車に取り付けられ、取得部30で取得された状態情報に基づいて台車が走行する軌道8の状態または台車10の状態の判定を行いその判定結果を提供する判定部44と、台車に取り付けられ、判定結果を台車の外部に送信する送信部48と、台車に取り付けられ、取得部30および送信部48に電力を供給する電力供給部70とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、鉄道用状態監視装置、鉄道車両の台車、鉄道車両および鉄道用ブレーキ制御装置に関する。
車輪のフラット摩耗等を検出する検出装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の検出装置は、レールの長手方向に沿って、一定の距離をおいて設置された車輪検知器と衝撃振動検知素子と、車軸検知器と衝撃振動検知素子の出力信号を処理する処理部とを備える。処理部は、衝撃振動検知素子の振動信号の大きさおよび衝撃振動の連続する時間からフラット摩耗の存在および剥離の存在を判定する。また、処理部は、車輪検知器の出力信号を処理してフラット摩耗または剥離が存在している車輪もしくは台車を特定する。
特開昭60−000311号公報
本発明者らは、鉄道のレールや車輪等の状態検出手段について、以下の認識を得た。鉄道のレールや車輪等が摩耗して故障に至ると運行に影響を及ぼすおそれがある。これらの故障を減らす観点から、故障する前に交換等のメンテナンスを行えるようにメンテナンス間隔を短くすることが考えられる。この場合、メンテナンスの工数や交換資材が余計にかかり、コスト的に不利である。一方、メンテナンス間隔を長くすると、摩耗が想定より早く進行した場合に故障に至る可能性が高くなる。このため、レールや車輪等の状態を検出しその検出結果を参考にメンテナンスの時期を決定することが望ましい。
レールや車輪等の状態検出手段は、汎用性が高いことが望ましい。特許文献1に記載の検出装置は、車両間距離に関連する一定の距離をおいてレールに設置された車輪検知器と衝撃振動検知素子の出力信号を用いるので、それらが設置されたレール上でしか検出できないなど汎用性が高いとはいえない。
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、汎用性を高めることが可能な鉄道車両用状態監視装置を提供することを目的の一つとしている。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の鉄道用状態監視装置は、鉄道車両の台車に取り付けられ、振動、速度、加速度、音、反射光、画像、温度、湿度および車輪径のうち1以上の状態に関する状態情報を取得する取得部と、台車に取り付けられ、取得部で取得された状態情報に基づいて台車が走行する軌道の状態または台車の状態の判定を行いその判定結果を提供する判定部と、台車に取り付けられ、判定結果を台車の外部に送信する送信部と、台車に取り付けられ、取得部および送信部に電力を供給する電力供給部とを備える。
なお、以上の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、汎用性を高めることが可能な鉄道車両用状態監視装置を提供できる。
鉄道車両を概略的に示す正面視の模式図である。 図1の鉄道車両を概略的に示す側面視の模式図である。 第1実施形態の状態監視装置を概略的に示すブロック図である。 第1実施形態の状態監視装置の学習モデルのデータセットの一例を模式的に示す図である。 第1実施形態の状態監視装置の学習モデルを模式的に示す図である。 第2実施形態の状態監視装置を概略的に示すブロック図である。 第2実施形態の状態監視装置の学習モデルのデータセットの一例を模式的に示す図である。 第2実施形態の状態監視装置の学習モデルを模式的に示す図である。 第3実施形態のブレーキ制御装置を概略的に示すブロック図である。 第3実施形態のブレーキ制御装置の動作を示すフローチャートである。 第3実施形態のブレーキ制御装置の学習モデルのデータセットの一例を模式的に示す図である。 第3実施形態のブレーキ制御装置の学習モデルを模式的に示す図である。 第4実施形態の状態監視装置を概略的に示すブロック図である。 第4実施形態の台車の揺れを模式的に示す模式図である。 第4実施形態の車軸別地点別傾斜情報の一例を模式的に示す図である。 第5実施形態の状態監視装置を概略的に示すブロック図である。 第5実施形態の台車が軌道面を通過する状態を示す模式図である。 第5実施形態の台車と別台車の振動情報を示す図である。 第5実施形態の状態監視装置の動作を示すフローチャートである。 第6実施形態の状態監視装置を概略的に示すブロック図である。 第6実施形態のブレーキ制御装置の動作を示すフローチャートである。 第6実施形態の接触ブレーキの制動力の比率を模式的に示す図である。 第6実施形態の接触ブレーキの動作を模式的に示す図である。 第6実施形態の接触ブレーキの動作を模式的に示す図である。 第7実施形態のブレーキ制御装置を概略的に示すブロック図である。 第7実施形態のブレーキ制御装置の動作を示すフローチャートである。 第7実施形態のブレーキ制御装置の動作を模式的に示す図である。 第8実施形態の状態監視装置を概略的に示すブロック図である。 第8実施形態の台車の前方視の模式図である。 第8実施形態の台車の側方視の模式図である。 第9実施形態の状態監視装置を概略的に示すブロック図である。 第9実施形態の台車の前方視の模式図である。 第9実施形態の台車の側方視の模式図である。 第9実施形態の台車の側方視の模式図である。
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
[第1実施形態]
図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態の鉄道用状態監視装置20(以下、単に「状態監視装置20」ということがある)と鉄道用ブレーキ制御装置80(以下、単に「ブレーキ制御装置80」ということがある)とを説明する。図1は、鉄道車両100を示す正面視の模式図である。図2は、鉄道車両100を示す側面視の模式図である。図3は、本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とを概略的に示すブロック図である。本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とは、鉄道車両100に搭載される。特に、状態監視装置20は、鉄道車両100の台車10に搭載される。
図3を含む本開示の各図に示す各機能ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする電子素子や機械部品などで実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
以下、車両100の前後方向を単に前後方向といい、車両100の幅方向を単に幅方向という。車両100は、車体2と、台車10と、ブレーキ18と、状態監視装置20と、ブレーキ制御装置80とを含む。状態監視装置20は、取得部30と、情報処理部40と、電力供給部70と、位置情報取得部82とを含む。また、ブレーキ制御装置80は、取得部30と、情報処理部40と、ブレーキ制御部60とを備える。情報処理部40は、判定部44と、記憶部46と、送信部48と、送信制御部42と、モデル生成部45とを含む。ブレーキ18は、接触ブレーキ18dと、回生ブレーキ18eとで構成される。
車体2は、空気ばね12sを介して複数の台車10に支持され、けん引装置12pによって各台車10と連結される。車体2は、運転台2dを有する。車両100は、原動機としてモータ(不図示)を備え、このモータによって台車10に設けられた車輪16を駆動して軌道8を走行する。本実施形態の車両100は、前後に離隔して配置される2つの台車10を備える。
台車10は、台車枠12と、軸ばね12jと、ばね下部14とを含む。台車枠12は、上方に車体2を支持する。ばね下部14は、台車枠12から軸ばね12jを介して支持される。軸ばね12jは幅方向に離隔して2つ設けられるコイルスプリングである。軸ばね12jは、コイルスプリングとは別の種類のばねを含んでもよい。
ばね下部14は、軸箱14bと、軸受14cと、車輪16と、車軸16sと、接触ブレーキ18dとを含む。軸箱14bは、軸ばね12jの2つのコイルスプリングに対応して2つ設けられる。軸箱14bは、軸ばね12jを介して上方から台車枠12に支持される箱状のものである。軸受14cは、軸箱14bに収容され、車軸16sを回転可能に支持する。コイルスプリングの数は2に限られず2以上であってもよい。
車輪16は、幅方向に離隔して2つ設けられ、中心に車軸16sが設けられる。車輪16は、軌道8上を転がる円筒状または円錐状の踏面16bと、フランジ16cとを有する。車軸16sは、車輪16の中心を貫通し、車輪16の幅方向外側に突き出た部分が軸箱14b内で軸受14cに支持される。接触ブレーキ18dは、アクチュエータ18aと、制輪子18bとを有する。ブレーキ駆動用の空気圧の作用によりアクチュエータ18aが駆動され、制輪子18bが踏面16bに押しつけられることにより車輪16に制動力を発生させる。
(ブレーキ制御装置)
本実施形態の車両100は、接触ブレーキ18dの他に回生ブレーキ18eを備える。ブレーキ制御装置80は、状態監視装置20やその他の制御ユニットからの制御情報に基づいてブレーキ18のかけ方を変える。特に、ブレーキ制御部60は、判定結果E1に応じて送信されるブレーキ制御信号Bcを受信したら、接触ブレーキ18dと回生ブレーキ18eの作動タイミングを変更する。ブレーキ制御部60は、車両100の運転台2dに配置される。
(状態監視装置)
状態監視装置20を説明する。上述したように、状態監視装置20は、取得部30と、情報処理部40と、電力供給部70と、位置情報取得部82とを含み、情報処理部40は、判定部44と、記憶部46と、送信部48と、送信制御部42と、モデル生成部45とを含む。
情報処理部40は、台車10に取り付けられる。この例では、情報処理部40は、台車枠12に固定されている。この場合、車輪16の振動の影響を低減できる。取得部30は、振動、速度、加速度、音、反射光、画像、温度、湿度および車輪径のうち1以上の状態に関する状態情報J1を取得する。判定部44は、後述するように、取得部30で取得された状態情報J1に基づいて、状態情報J1が予め設定された条件を満たすか否かを判定する。位置情報取得部82は、車両100に関する位置情報Jpを取得する。
(電力供給部)
電力供給部70を説明する。電力供給部70は、状態監視装置20と、取得部30とに電力を供給する。換言すると、取得部30および情報処理部40には、電力供給部70から電力が供給される。電力供給部70は、位置情報取得部82に電力を供給してもよい。電力供給部70は、発電機70gと、バッテリ70bと、電力制御部70mとを有する。発電機70gは発電電力を供給する。一例として、発電機70gは、台車10の振動エネルギーや車輪16の回転エネルギーなど物理的なエネルギーを電力に変換可能なデバイス(発電素子を含む)を含んで構成できる。
本実施形態の発電機70gは、電磁気的な原理に基づいて、車輪16の回転により発生させた渦電流から電力を供給するように構成される。発電機70gを設けることにより、車体2との間の電力供給用の配線を省略でき、配線用のスペース、部材、配置工数等を削減できる。また、台車10に取り付けた装置だけで情報を取得し外部に送信できる。なお、電力供給部70は、車体2から配線を介して送られてくる車体電力を状態監視装置20に供給してもよい。この場合、電力供給部70は、発電機70gを併用してもよいし、併用しなくてもよい。
(バッテリ)
スペース制限、重量制限等の要因により発電機70gの発電電力が制限されることがある。また、状態監視装置20の消費電力は経時的に大きく変動する。発電機70gの発電電力が状態監視装置20のピーク消費電力より小さいと、電力不足によって状態監視装置20が誤動作する可能性がある。そこで、本実施形態の電力供給部70は、発電機70gの発電電力または車体電力により充電されるバッテリ70bを有する。この場合、発電機70gの発電電力が微弱な場合であっても、バッテリ70bに充電することにより、一定期間、大電力を供給できるので、発電機70gの発電電力が、状態監視装置20のピーク消費電力より小さい場合でも誤動作を抑制できる。
(電力制御部)
情報処理部40は、後述する送信部48が所定の情報を送信する際に多くの電力を消費する。バッテリ70bの蓄電残量が少ない場合、送信部48は送信中の電力不足により誤送信することがある。そこで、本実施形態の電力供給部70は、バッテリ70bの蓄電残量、発電機70gの発電電力等をモニターする電力制御部70mを有する。電力制御部70mは、台車10の電力に関する情報、台車10の位置情報Jp等に基づいて、送信部48の送信中に電力不足が発生するか否かを判定し、判定結果を電力情報Jeとして情報処理部40に提供する。台車10の電力に関する情報としては、発電機70gの発電電力、バッテリ70bの蓄電残量、送信部48の送信スケジュール等が挙げられる。電力制御部70mの判定結果には、送信中の電力不足の有無、十分な電力を供給可能な時期等の情報を含んでもよい。電力情報Jeには、バッテリ70bの蓄電残量、発電機70gの発電電力等が含まれてもよい。
(位置情報取得部)
位置情報取得部82を説明する。上述したように、位置情報取得部82は、車両100の位置に関する位置情報Jpを取得する。位置情報Jpは、全地球測位システム(Global Positioning System)など人工衛星を利用した位置情報計測システムにより取得する方法、鉄道の起点からのキロ程(距離)を表した標識から取得する方法、車両の速度を積分して取得する方法またはこれらを組み合わせた方法により取得できる。本実施形態の位置情報取得部82は、全地球測位システムを利用して位置情報Jpを取得する。位置情報取得部82は、取得した位置情報Jpを情報処理部40に送信する。位置情報Jpは、記憶部46に記憶される。
(取得部)
取得部30を説明する。取得部30において、振動に関する振動情報は公知の原理に基づく振動センサ30bによって取得される。振動センサ30bは、台車枠12またはばね下部14に設けることができる。本実施形態の振動センサ30bは軸箱14bに設けられ、台車10の振動を取得する。振動情報を得る対象に限定はないが、本実施形態では車輪16、車軸16sまたは軸箱14bを対象としている。振動情報に基づいて対象の摩耗、変形(剥離を含む。以下同じ)、表面粗度などの表面状態を把握できる。
比較を容易にする観点で、振動情報は車両速度が予め設定された状態にあるときに取得されることが望ましい。車両速度のこの状態には、例えば、車両が予め設定された加速状態である加速域、予め設定された速度を維持する定速運転域(惰行を含む)、車両が予め設定された減速状態である減速域などが含まれる。なお、振動情報だけでなく、速度、加速度、音、反射光、画像、温度、湿度および車輪径の状態に関する状態情報J1についても同様である。
取得部30において、速度に関する速度情報は公知の原理に基づく速度センサ30cによって取得される。速度センサ30cは、台車枠12またはばね下部14に設けることができる。本実施形態の速度センサ30cは軸箱14bに設けられ、台車10の前後方向の速度に関する情報を取得する。速度情報の履歴に基づいて、台車10およびその構成部材に加わったストレスの蓄積状態(以下、「ストレス状態」という)を把握できる。
取得部30において、加速度に関する加速度情報は公知の原理に基づく加速度センサ30dによって取得される。加速度センサ30dは、台車枠12またはばね下部14に設けることができる。本実施形態の加速度センサ30dは軸箱14bに設けられ、台車10の前後方向の加速度に関する情報を取得する。加速度情報の履歴に基づいてストレス状態を把握できる。
取得部30において、音に関する音情報は公知の原理に基づく音センサ30eによって取得される。音センサ30eは、台車枠12またはばね下部14に設けることができる。本実施形態の音センサ30eは軸箱14bに設けられ、台車10の音に関する情報を取得する。音情報を得る対象に限定はないが、本実施形態では軌道8または車輪16の周囲空間を対象としている。音情報に基づいて対象の摩耗、変形、表面粗度などの表面状態を把握できる。音センサ30eはマイクロホンであってもよい。
取得部30において、反射光に関する反射光情報は公知の原理に基づく光センサ30fによって取得される。光センサ30fは、台車枠12またはばね下部14に設けることができる。本実施形態の光センサ30fは台車枠12に設けられ、台車10の反射光に関する情報を取得する。光センサ30fは、太陽光や外部照明光などの外部光を対象に照射してその反射光を検知してもよい。本実施形態の光センサ30fは、反射光を得るために台車10に設けられた光照射部32から対象物にレーザなどの光を照射してその反射光を検知する。反射光を得る対象に限定はないが、本実施形態では軌道8の上面または車輪16の踏面16bを対象としている。反射光情報に基づいて対象の摩耗、変形などの表面状態を把握できる。
取得部30において、画像に関する画像情報は公知の原理に基づく画像センサ30gによって取得される。画像センサ30gは、台車枠12またはばね下部14に設けることができる。本実施形態の画像センサ30gは台車枠12に設けられ、台車10の画像に関する情報を取得する。画像センサ30gは、太陽や外部照明などの外部光を対象に照射してその対象の画像を検知してもよい。本実施形態の画像センサ30gは、画像を得るために台車10に設けられた光照射部32からの光を対象物に照射してその対象の画像を検知する。画像を得る対象に限定はないが、本実施形態では軌道8の上面または車輪16の踏面16bを対象としている。画像情報に基づいて対象の摩耗、変形などの表面状態を把握できる。
取得部30において、温度に関する温度情報は公知の原理に基づく温度センサ30hによって取得される。温度センサ30hは、台車枠12またはばね下部14に設けることができる。本実施形態の温度センサ30hは軸箱14bに設けられ、台車10の温度に関する情報を取得する。温度情報を得る対象に限定はないが、本実施形態では軌道8または車輪16の温度またはその雰囲気温度を対象としている。温度情報に基づいて対象のストレス状態を把握できる。温度情報に基づいて対象の熱膨張の状態を把握できる。温度情報の履歴に基づいて対象の累積ストレス状態を把握できる。
取得部30において、湿度に関する湿度情報は公知の原理に基づく湿度センサ30jによって取得される。湿度センサ30jは、台車枠12またはばね下部14に設けることができる。本実施形態の湿度センサ30jは台車枠12に設けられ、台車10の湿度に関する情報を取得する。湿度情報を得る対象に限定はないが、本実施形態では軌道8または車輪16の雰囲気湿度を対象としている。湿度情報に基づいて対象の摩擦係数の状態を把握できる。湿度情報の履歴に基づいて対象の発錆状態を把握できる。
取得部30において、車輪16の半径に関する車輪径情報は、公知の原理に基づく距離センサ30kによって取得される。距離センサ30kは、台車枠12またはばね下部14に設けることができる。本実施形態の距離センサ30kは、台車枠12に設けられ、台車枠12から車輪16の踏面16bまでの距離を赤外線、レーザ光などの反射光に基づいて車輪径情報を取得する。車輪径によって制動力が変化するので、車輪径情報に基づいて制動力の状態を把握できる。把握された制動力に基づき、より適切な制動力を得るように、制輪子18bの押しつけ力や接触ブレーキ18dの作動タイミングを調整できる。
各センサ30b、30c、30d、30e、30f、30g、30h、30j、30kの情報取得タイミングに制限はない。本実施形態の各センサ30b、30c、30d、30e、30f、30g、30h、30j、30kは、車両100に乗客や荷物が載せられていない非営業状態において情報を取得してもよい。この場合、乗客や荷物による取得情報への影響を低減できる。
取得部30は、状態情報J1を常時取得するようにしてもよいが、この例では、予め設定されたタイミング、予め設定された状態にあるとき、または台車10が予め設定された位置にあるときに状態情報J1を取得する。この場合、一定のタイミングまたは一定の位置で情報を取得することにより、過去の情報と容易に比較でき、消費電力を抑制できる。状態情報J1は、走行路の条件の差による影響による誤差を含む。この走行路の条件としては、トンネル、カーブ、鉄橋、坂路等が挙げられる。走行路の条件の差による影響を抑制する観点から、取得部30は、位置情報Jpに基づいて予め設定された位置で状態情報J1を取得できる。
(記憶部)
記憶部46は、取得部30で取得された状態情報J1を一時的に記憶する。記憶部46は、状態情報J1をその取得タイミングと関連づけて記憶できる。この場合、状態情報J1の履歴に基づいて、軌道8および台車10の状態を判定できる。記憶部46は、後述する学習モデルM1を記憶する。記憶部46は、軌道8および台車10の状態に関する判定部44の判定結果を記憶する。記憶部46は、位置情報取得部82から送信された位置情報Jpを記憶する。記憶部46は、これらの情報を一時的に記憶する。このように記憶部46に情報を記憶することにより、データをまとめて、送信に適した状態で送信することができる。
(判定部)
判定部44は、状態情報J1に基づいて軌道8および台車10の状態を判定する。発明者の検討によれば、状態情報J1と、軌道8および台車10の状態との間には、一定の相関関係があることが示唆されている。この相関関係を用いることにより状態情報J1から軌道8および台車10の状態を判定できる。判定部44は、予め設定された基準値(以下、「閾値」という)を用いて軌道8および台車10の状態を判定してもよい。例えば、判定部44は、状態情報J1が閾値以下である場合は正常と判定し、状態情報J1が閾値を超える場合に異常と判定してもよい。判定部44は、過去に取得された参照用の状態情報J1を用いて軌道8および台車10の状態を判定してもよい。例えば、判定部44は、参照用の状態情報J1に所定のマージンを加えて閾値を設定し、状態情報J1が閾値以下である場合は正常と判定し、状態情報J1が閾値を超える場合に異常と判定してもよい。
判定部44は、記憶部46に記憶された学習モデルM1を用いて軌道8および台車10の状態を判定してもよい。以下、これらの判定部44の判定結果をまとめて判定結果E1という。判定部44は、複数の閾値を用いてもよく、状態情報J1は複数の閾値により正常から異常まで複数のカテゴリに分類されてもよい。この場合、判定結果E1は分類後のカテゴリであってもよい。
判定部44は、ランダムなタイミングで軌道8および台車10の状態を判定してもよいが、この例では、予め設定されたタイミングにあるとき、予め設定された状態にあるとき、または台車10が予め設定された位置にあるときに軌道8および台車10の状態を判定する。判定部44は、位置情報Jpに基づいて予め設定された位置で軌道8および台車10の状態を判定できる。この場合、走行路の条件の差による影響を抑制できる。
(学習モデル)
学習モデルM1を説明する。この例の判定部44は、軌道8および台車10の状態Ckを判定するために学習モデルM1を用いる。学習モデルM1は、予め取得された参照用状態情報と当該参照用状態情報に対応する軌道の状態または台車の状態の実測データとをもとに機械学習により生成されたAIモデルである。学習モデルM1を用いることにより、データ処理の高速化に有利であり、高い判定精度を得られる。図4は、学習モデルM1のデータセットDs1の一例を模式的に示す図である。図5は、学習モデルM1を模式的に示す図である。学習モデルM1は、図5に示すように、入力された入力データに基づいて、当該入力データに対応する出力データを提供する。
学習モデルM1は、例えば、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク(ディープラーニングを含む)、ランダムフォレスト等、公知の機械学習手法を用いて生成できる。学習モデルM1は、記憶部46に格納される。学習モデルM1は、同種の他の台車について過去に収集された実測データをもとに生成されてもよいが、本実施形態では、判定対象の台車10自体について収集された実測データをデータセットDs1として、台車10に設けられたモデル生成部45によって生成される。
(モデル生成部)
モデル生成部45を説明する。モデル生成部45は、軌道8および台車10の状態Ckと、当該状態Ckに対応する状態情報J1とをもとに予め機械学習により学習モデルM1を生成する。この例では、モデル生成部45は、事前に取得された状態Ck(Ck(0)、Ck(1)・・・)と、状態情報J1(J1(0)、J1(1)・・・)とをデータセットDs1とし、このデータセットDs1を教師データとして機械学習(教師有り学習)により生成する。
なお、この説明では、状態情報J1および状態Ckがそれぞれ一元的なデータである例を示しているが、状態情報J1および状態Ckはそれぞれ多元的なデータであってもよい。また、状態情報J1および状態Ckは、所定の単位で数値化された数値データであってもよい。
データセットDs1の実測データの収集条件は限定されないが、この例では、位置情報Jpに基づいて、予め設定された位置にてデータセットDs1の実測データを収集する。この場合、走行路の条件の差による影響を抑制できる。
判定部44は、新たに取得された状態情報J1を入力データとして学習モデルM1に入力し、学習モデルM1から出力データとして軌道8および台車10の状態Ckを得る。判定部44は、学習モデルM1から得られた軌道8および台車10の状態Ckを判定結果E1として出力する。
学習モデルM1は、初期設定状態で非更新で使用されてもよいが、この例では更新される。モデル生成部45は、新たに取得された新規状態情報と、当該新規状態情報に対応する軌道の状態または台車の状態の実測データとをもとに機械学習により学習モデルM1を更新する。この場合、季節や使用年数等の要因により、状態情報J1と軌道8および台車10の状態Ckとの関係が変化しても、判定精度を維持できる。モデル生成部45は、ランダムなタイミングで学習モデルM1を更新してもよいが、この例では、予め設定された状態にあるとき予め設定されたタイミングで学習モデルM1を更新する。例えば、モデル生成部45は、季節に応じて設定されたスケジュールに従って学習モデルM1を更新できる。
(送信部)
送信部48は、判定結果E1を台車10の外部(以下、本明細書では、単に「外部」ということがある)に送信する。送信部48から送信される判定結果E1は、運転台2dで受信されてもよいし、車両100の外部の地上指令所84のコンピュータ84cやクラウドシステムで受信されてもよい。判定結果E1は、運転台2dの車両モニタ2eに表示されてもよい。送信部48は、判定結果E1が予め設定された条件を満たすときにブレーキ制御信号Bcをブレーキ制御部60に送信する。例えば、ブレーキ制御部60は、ブレーキ制御信号Bcに応じて接触ブレーキ18dと回生ブレーキ18eの作動タイミングを変更する。
送信部48は、有線または無線を用いた、バス回線、ネットワーク回線、専用回線または汎用回線を介して情報を送信できる。送信部48は、ブルートゥース(登録商標):Bluetooth(登録商標)やワイファイ:Wi-Fi(登録商標)などの規格化された通信方式を用いて情報を送信してもよい。本実施形態では、送信部48は、無線を用いて外部に情報を送信している。
(送信制御部)
送信部48の送信タイミングは限定されないが、本実施形態では、送信部48の送信タイミングは送信制御部42に制御される。一例として、送信制御部42は、後述する場合に、判定結果E1を送信するように送信部48を制御する。送信部48は、送信制御部42の制御の下、判定結果E1を送信する。この場合、随時送信する場合と比べて送信データ量を抑制できる。
送信部48は、判定部44の判定結果E1が予め設定された条件を満たすときに、判定結果E1を送信し、当該条件を満たさないときには送信しない。例えば、送信部48は、判定結果E1が正常を示すときは送信せず、判定結果E1が異常を示す場合に送信してもよい。また、送信部48は、判定結果E1が過去の判定結果に対して変化した場合に送信してもよい。
送信部48は、判定部44の判定結果E1が判定結果E1の情報量が予め設定されたレベルより大きいときに判定結果E1を送信し、当該レベルより小さいときには送信しない。この場合、トータルの送信データ量を抑制できる。
送信部48は、発電機70gの発電電力が予め設定されたレベルより大きいときに、判定結果E1を送信し、当該レベルより小さいときには送信しない。また、送信部48は、バッテリ70bの蓄電残量が予め設定されたレベルより大きいときに、判定結果E1を送信し、当該レベルより小さいときには送信しない。この場合、送信中の電力不足による誤送信を防げる。具体的には、送信制御部42は、電力制御部70mの電力情報Jeに基づいて送信部48を制御してもよい。
送信部48は、位置情報Jpに基づいて、台車10が予め設定された送信位置にあるときに判定結果E1を送信する。また、送信部48は、位置情報Jpに基づいて、予め別に設定された非送信位置にあるときに判定結果E1を送信しない。非送信位置としては、トンネルや山陰、建物の影等、送信の障害になる場所が挙げられる。
送信部48は、通信相手との間の通信状態が予め設定されたレベルより高い(良い)ときに判定結果E1を送信し、当該レベルより低い(悪い)ときには送信しない。例えば、送信部48は、トンネルや山陰、建物の影等により通信状態が悪い場合には送信せず、通信状態が良い場合に送信する。例えば、通信状態は、地上指令所84との相互通信による通信エラーの発生率に応じて判定できる。
送信部48は、予め設定された送信スケジュールに応じた送信タイミングで判定結果E1を送信する。この送信タイミングとしては、早朝や深夜など、外来の振動や騒音が少ない時間帯が挙げられる。この場合、外来の振動や騒音の影響を低減できる。また、一定時刻に送信することにより軌道8の温度のバラツキの影響を低減できる。また、送信部48は、予め別に設定された非送信タイミングには判定結果E1を送信しない。
送信部48は、運転台2dまたは地上指令所84から送信要求があったときに判定結果E1を送信する。例えば、地上指令所84は、先行車から異常を示す判定結果を受信した場合、先行車が異常と判定した位置で判定結果E1を送信するように後続車に要求できる。例えば、地上指令所84は、判定結果E1の送信を要求するために送信要求信号(以下、単に「送信要求信号」という)を後続車両に送信できる。
(地上指令所)
地上指令所84の一例を説明する。地上指令所84は、コンピュータ84cを備え、情報処理部40との間で相互に通信できる。例えば、コンピュータ84cは、情報処理部40から判定結果E1および状態情報J1を受信し、情報処理部40に対して判定結果E1および状態情報J1の送信を要求する送信要求信号を送信する。コンピュータ84cは、再判定部84jと、学習モデル84mと、モデル生成部84gとを含む。
再判定部84jは、送信部48から送信された状態情報J1に基づいて軌道8および台車10の状態を再判定する。再判定することにより、情報処理部40による判定に誤りがないか確認できる。再判定部84jの構成に限定はないが、この例の再判定部84jは、状態情報J1に基づき、学習モデル84mを用いて、軌道8および台車10の状態を再判定する。
学習モデル84mは、学習モデルM1と同じであってもよいが、この例では異なる。コンピュータ84cは、情報処理部40と比べて高速で大容量のデータ処理が可能なため、モデル生成部84gは、多数の車両で収集された軌道8および台車10の状態およびこれに対応する状態情報をもとに予め機械学習により、学習モデル84mを生成できる。学習モデル84mは学習モデルM1より大規模であってもよい。学習モデル84mは、初期設定状態で非更新で使用されてもよいが、この例では更新される。モデル生成部84gは、予め設定された時期に学習モデル84mを更新する。
本実施形態によれば、台車10に取り付けられ取得部30および送信部48に電力を供給する電力供給部70を備えるため、車体2から電力供給を受けることなく外部に所定の情報を送信できる。また、本実施形態は、記憶部46を備えるため、データをまとめて送信でき、通信状態が良好なタイミングを選んで送信できる。また、本実施形態は、位置情報取得部82を備えるため、通信状態が良好な位置を選んで送信できる。また、本実施形態は、判定結果E1が予め設定された条件を満たすときに判定結果E1を送信するため、トータルの通信量を抑制できる。また、本実施形態は、バッテリ70bの蓄電残量に応じて判定結果E1を送信するため、蓄電残量が大きいときを選んで送信できる。
また、本実施形態は、通信状態に応じて判定結果E1を送信するため、通信状態が良好なときを選んで送信できる。また、本実施形態は、学習モデルM1を用いて判定するため、判定精度が高い。また、本実施形態は、モデル生成部45を備えるため、個々の台車に適した学習モデルM1を生成できる。また、本実施形態は、学習モデルM1を更新するため、季節変動や経時変化による判定精度の低下を抑制できる。また、本実施形態は、送信部48が台車枠12に固定されているため、車輪16の振動の影響を受けにくい。
次に、本発明の第2〜第9実施形態を説明する。第2〜第9実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。したがって、第2〜第9実施形態における第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、第1実施形態の説明が適用される。なお、この説明の適用において、矛盾が生じない限り、第1実施形態の説明における符号J1、E1、M1は、第2〜第9実施形態における符号J2〜J9、E2〜E9、M2〜M9に読み替える。
[第2実施形態]
図1、図2、図6〜図8を参照して、本発明の第2実施形態の鉄道用状態監視装置20と鉄道用ブレーキ制御装置80とを説明する。本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とは、鉄道車両100に搭載される。図6は、本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とを概略的に示すブロック図である。
図6に示すように、状態監視装置20は、取得部30と、情報処理部40と、電力供給部70と、位置情報取得部82とを含む。また、ブレーキ制御装置80は、取得部30と、情報処理部40と、ブレーキ制御部60とを備える。情報処理部40は、判定部44と、記憶部46と、送信部48と、送信制御部42とを含む。取得部30は、振動センサ30bと速度センサ30cとを含む。これらの各要素の構成および動作には、特に断りのない限り、第1実施形態の説明が適用される。
本実施形態の状態監視装置20は、台車10における振動に関する振動情報Jvと車両100の速度情報Jsとに基づいて、車輪16の踏面16bのフラット発生状態およびフランジ16cの摩耗状態の判定を行いその判定結果を提供する。振動情報Jvと速度情報Jsとを総称するときは状態情報J2という。車輪16のフラット発生状態およびフランジ16cの摩耗状態を総称するときは摩耗状態Swという。摩耗状態Swは、車輪16の踏面16bの踏面剥離、熱亀裂等の異常摩耗を含む。つまり、状態監視装置20は、速度情報Jsに基づいて、車両100の速度が予め設定された速度(以下、「判定速度」という)であるか否かを確認し、車両100の速度が判定速度であるときに、振動情報Jvに基づいて摩耗状態Swを判定する。車輪16のフラットは、軌道8との摩擦により生じる車輪16の踏面16bの偏摩耗の一形態である。
記憶部46は、取得部30で取得された振動情報Jvを一時的に記憶する。記憶部46は、振動情報Jvをその取得タイミングと関連づけて記憶できる。また、記憶部46は、振動情報Jvをそのレベルに応じて複数のランクに分類し、その分類後のランクを取得タイミングと関連づけて記憶できる。また、記憶部46は、位置情報Jpに基づいて、振動情報Jvを取得した位置を振動情報Jvと関連づけて記憶できる。送信部48は記憶部46の記憶内容を外部に送信できる。
取得部30は、台車10に取り付けられ、台車10における振動に関する振動情報Jvと車両100の速度情報Jsとを取得する。振動情報Jvは、振動センサ30bによって取得され、速度情報Jsは、速度センサ30cによって取得される。振動センサ30bは、台車枠または軸箱に取り付けられてもよい。速度センサ30cは、車両100の速度を検出可能なものであればよく、例えば、車軸の回転に応じた数のパルスを出力するエンコーダであってもよい。エンコーダのパルスをカウントすることにより、車両100の速度を算出できる。また、速度センサ30cは、レーザ反射を利用したドップラーセンサであってもよい。
判定部44を説明する。判定部44は、取得部30で取得された振動情報Jvと速度情報Jsとに基づいて台車10の車輪16の摩耗状態Swの判定を行いその判定結果E2を提供する。
本発明者らの検討によれば、車輪16のフラットやフランジ16cの摩耗が増加すると、台車10の振動が増加する関係にあることが判明している。また、車両速度が所定の状態にあるときに、台車10の振動情報Jvと車輪16のフラット発生状態またはフランジ16cの摩耗状態との間には一定の相関関係があることが示唆されている。したがって、振動情報Jvから車輪16のフラットまたはフランジ16cの摩耗状態を判定できる。
判定部44は、予め設定された閾値または、過去(例えば、出荷時、前回メンテナンス時、当日、前日、直近の一定期間など)に取得された参照用の振動情報に所定のマージンを加えて設定された閾値を用いて車輪16のフラットまたはフランジ16cの摩耗状態を判定してもよい。この場合、車両や台車の個体差によって生じる誤差を減らし、判定精度を高めることができる。
例えば、判定部44は、取得された振動情報Jvが、閾値以下である場合にフラットまたはフランジ16cの摩耗は許容範囲であると判定し、閾値を超える場合にフラットまたはフランジ16cの摩耗は許容範囲を超えていると判定できる。予め設定された閾値、過去に取得された振動情報およびフラットの発生状態またはフランジ16cの摩耗状態は、記憶部46に記憶される。
また、振動情報Jvを過去に取得された参照用の振動情報と比較することにより振動情報の経時変化を算出できる。この経時変化に基づいて車輪16のフラットまたはフランジ16cの将来の摩耗を予測できる。
判定動作の第1の例を説明する。この例は、予め設定された閾値を用いて摩耗状態を判定する。
(1)まず、情報処理部40は、車両100が走行状態において取得された振動情報Jvが予め設定された閾値を超える場合に、当該振動情報Jvを経過時間とともに記憶部46に記憶する。この閾値は複数であってもよい。なお、車両100の走行状態は、力行している状態であってもよいし、惰行している状態であってもよいし、制動している状態であってもよい。
(2)判定部44は、記憶部46の記憶結果に基づいて振動情報Jvが閾値を超えるタイミングの周期(以下、「振動周期」という)を測定する。
(3)判定部44は、振動周期が車両100の速度に反比例する場合に、車輪16の踏面16bにフラットが発生し、または踏面剥離、熱亀裂等の異常摩耗が発生していると判定する。
判定部44は、上述のように車輪16に摩耗が発生していると判定したとき、振動情報Jvをそのレベルに応じて複数のランクに分類し、その分類後のランクを判定結果E2として提供する。判定結果E2は記憶部46に記憶される。
判定動作の第2の例を説明する。この例は、機械学習により生成された学習モデルM2を用いて摩耗状態Swを判定する。学習モデルM2は、台車10について、所定の車両速度において、予め取得された参照用の振動情報Jvと当該参照用振動情報Jvに対応する車輪16のフラット発生状態またはフランジ16cの摩耗状態の実測データとをもとに機械学習により生成される。この場合、学習モデルM2を用いるため判定精度が高い。学習モデルM2は、この判定対象の台車10自体の実測データをもとに生成されてもよいし、判定対象の台車10とは別の台車の実測データをもとに生成されてもよい。学習モデルM2は、記憶部46に記憶される。
学習モデルM2のデータセットDs2の一例を図7に示す。学習モデルM2の模式図を図8に示す。学習モデルM2は、図8に示すように、入力された入力データに基づいて、当該入力データに対応する出力データを提供する。車輪16の摩耗状態Swと、当該摩耗状態Swに対応する振動情報Jvとをもとに予め機械学習により学習モデルM2を生成する。この例では、事前に実測された摩耗状態Sw(Sw(0)、Sw(1)・・・)と、振動情報Jv(Jv(0)、Jv(1)・・・)とをデータセットDs2とし、このデータセットDs2を教師データとして機械学習(教師有り学習)により学習モデルM2を生成する。
なお、この説明では、振動情報Jvおよび摩耗状態Swがそれぞれ一元的なデータである例を示しているが、振動情報Jvおよび摩耗状態Swはそれぞれ多元的なデータであってもよい。また、振動情報Jvおよび摩耗状態Swは、所定の単位で数値化された数値データであってもよい。
データセットDs2の実測データの収集条件は限定されないが、この例では、位置情報Jpに基づいて、予め設定された位置にてデータセットDs2の実測データを収集する。この場合、走行路の条件の差による影響を抑制できる。
判定動作の第3の例を説明する。第3の例では、判定部44は、台車10の互いに離隔された複数の箇所について取得した複数の振動情報Jvに基づいて車輪16のフラット発生状態またはフランジ16cの摩耗状態を判定する。この場合、複数の振動情報Jvを比較できるので同相成分を除去して判定精度を向上できる。
具体的には、同じ車両100の前後方向に離れた別の車輪に振動情報を取得する別の振動センサを設け、この別の車輪の振動情報を参照して判定対象の車輪16の摩耗状態を判定する。例えば、車輪16の振動情報Jvのピークのタイミングと、別の車輪の振動情報のピークのタイミングの時間差が、二つの車輪の離間距離を車速で除した時間と略同じである場合に、このピークは軌道の継ぎ目、軌道の摩耗、軌道の破損等、軌道の状態に起因する異常振動によるものと識別し判定結果E2から除外できる。この場合、軌道の状態に起因する異常振動による誤判定を減らせる。別の車輪の数は1つに限定されず、前後方向に離れた2以上の車輪であってもよい。なお、本開示における振動情報Jvのピークは、最大値に限定されず、振動情報Jvが閾値を超えて大きい領域を含む。
判定動作の第4の例を説明する。第4の例では、振動情報Jvのピークが生じるタイミングにおける車輪16の回転位置(以下、「ピーク位置」という)を検知し、ピーク位置に基づいて摩耗位置を判定する。複数回転における各ピーク位置がランダムであれば、振動は軌道の状態に起因すると判定でき、各ピーク位置が略一定であれば、振動は車輪16の摩耗に起因すると判定できる。各ピーク位置が略一定の場合、その位置で車輪16にフラット、踏面剥離、熱亀裂等の異常摩耗が発生していると判定できる。車輪16の回転位置は、速度センサ30cのエンコーダのパルスをカウントすることにより取得できる。
本実施形態では、振動情報Jvは、台車10の台車枠12または台車枠12から軸ばね12jを介して支持されるばね下部14に取り付けられた振動センサ30bによって取得される。この場合、振動センサ30bを車輪16の近傍に配置できるので、振動を高精度に取得できる。この例では、振動センサ30bは、軸箱14bに設けられており、車輪16の振動を軸箱14bを介して検知する。振動センサ30bは、車軸16sに設けられてもよいし、台車枠12に設けられてもよい。
本実施形態の判定部44は、台車枠12または台車10の外部に設けられている。この場合、判定部44を振動の少ない場所に配置できるので、振動による影響を緩和できる。この例では、判定部44は、台車枠12に設けられている。判定部44は、車体2の運転台2dや車両100の外部に設けられてもよい。
判定部44は、ランダムなタイミングで摩耗状態Swを判定してもよいが、この例では、予め設定されたタイミングにあるとき、予め設定された状態にあるとき、または台車10が予め設定された位置にあるときに摩耗状態Swを判定する。この場合、走行路の条件の差による影響を抑制できる。
送信部48は、判定部44の判定結果E2を台車10の外部に送信する。この場合、外部で判定結果E2を利用できる。この例では、送信部48は、台車枠12に設けられている。送信部48は、車体2に設けられてもよい。
この例では、送信部48は、判定結果E2を車体2の運転台2dに送信し、運転台2dの車両モニタ2eに表示させる。送信部48は、判定結果E2を車両100の外部の地上指令所84のコンピュータ84cやクラウドシステムに送信してもよい。運転台2dおよび車両モニタ2eは、判定部44の判定結果E2を受け取る装置を例示している。送信部48は、判定結果E2が予め設定された条件を満たすときにブレーキ制御信号Bcをブレーキ制御装置80のブレーキ制御部60に送信する。
ブレーキ制御装置80は、ブレーキ制御信号Bcに基づいてブレーキ18のかけ方を変える。特に、ブレーキ制御部60は、ブレーキ制御信号Bcを受信したら、接触ブレーキ18dと回生ブレーキ18eの作動タイミングを変更する。ブレーキ制御部60は、車両100の運転台2dに配置される。
送信制御部42は、判定結果E2を送信するタイミングを制御する。送信部48は、送信制御部42の制御の下、以下の場合に判定結果E2を台車10の外部に送信できる。
(1)送信部48は、判定部44の判定結果E2が予め設定された条件を満たすときに、判定結果E2を送信し、当該条件を満たさないときには送信しない。
(2)送信部48は、判定結果E2が過去の判定結果に対して変化したときに送信し、変化していないときには送信しない。
(3)送信部48は、判定部44の判定結果E2の情報量が予め設定されたレベルより大きいときに判定結果E2を送信し、当該レベルより小さいときには送信しない。
(4)送信部48は、位置情報Jpに基づいて、台車10が予め設定された送信位置にあるときに判定結果E2を送信し、予め別に設定された非送信位置にあるときには送信しない。
(5)送信部48は、通信相手との間の通信状態が予め設定されたレベルより高いときに判定結果E2を送信し、当該レベルより低いときには送信しない。
送信部48は、運転台2dまたは地上指令所84から送信要求があったときに判定結果E2を送信する。例えば、地上指令所84は、判定結果E2の送信を要求するために送信要求信号を情報処理部40に送信できる。
本実施形態の台車10には、振動センサ30bと、判定部44とが取り付けられている。この場合、台車10上で、振動情報Jvの取得と、車輪16の摩耗状態に関する判定とをすることができる。
[第3実施形態]
図1、図2、図9〜図12を参照して、本発明の第3実施形態の鉄道用状態監視装置20と鉄道用ブレーキ制御装置80とを説明する。本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とは、鉄道車両100に搭載される。図9は、本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とを概略的に示すブロック図である。
接触ブレーキ18dの作動時にブレーキ鳴きが発生することがある。ブレーキ鳴きは、ブレーキング時に制輪子18bが制動部材18cに触れたことによる摩擦面からの振動が、制輪子18bまたは制動部材18cを通じて増幅されて発生する異音であり、ブレーキングノイズと称されることがある。ブレーキ鳴きは、制輪子18bと制動部材18cの摩擦面の摩耗等によって発生する。ブレーキ鳴きが発生した場合に、そのまま放置すると制輪子18bや制動部材18cが損傷を受ける恐れがあり、早期に交換等することが望ましい。ブレーキ鳴きが発生したら、制輪子18bの摩擦材の材料、摩擦材の曲率、制輪子18bの押し当て力を変更してブレーキ鳴きを抑制できる。
本発明者らの検討によれば、音センサ30eによって取得される音情報(以下、「音情報Jn」という)または振動センサ30bによって取得される振動情報(以下、「振動情報Jv」という)とブレーキ鳴きの発生状態(以下、「発生状態Sn」という)との間には、一定の相関関係があることが示唆されている。したがって、音情報Jnまたは振動情報Jvからブレーキ鳴きの発生状態Snを判定できる。
本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80の主な構成を説明する。状態監視装置20は、取得部30と、情報処理部40と、電力供給部70とを備える。また、ブレーキ制御装置80は、取得部30と、情報処理部40と、ブレーキ制御部60と、位置情報取得部82とを備える。情報処理部40は、判定部44と、記憶部46と、送信部48と、送信制御部42とを含む。ブレーキ18は、接触ブレーキ18dと、回生ブレーキ18eとで構成される。取得部30は、振動センサ30bと音センサ30eの少なくとも1つを含む。取得部30は、車両100の台車10において制輪子18bを制動部材18cである車輪16の踏面16bに押し当てて制動力を発生させたときに当該台車10における音に関する音情報Jnまたは振動に関する振動情報Jvを取得する。音情報Jnと振動情報Jvとを総称するときは状態情報J3と表記する。これらの各要素の構成および動作には、特に断りのない限り、第1実施形態の説明が適用される。
判定部44は、取得部30で取得された音情報Jnまたは振動情報Jvに基づいて制輪子18bまたは制動部材18cのブレーキ鳴きの発生状態Snを判定し、その判定結果E3を提供する。判定結果E3は、ブレーキ鳴きの発生状態Snをそのレベルに応じて複数のランクに分類した結果である。例えば、判定結果E3は、実質的にブレーキ鳴きが発生しているか否かの2ランクに分類された結果であってもよいし、より細かく3つ以上のランクに分類された結果であってもよい。ブレーキ鳴きが小さいために実用上無視できる場合は、ブレーキ鳴きとして扱わない。ブレーキ制御部60は、判定部44がブレーキ鳴きが発生していると判定した場合に、ブレーキ鳴きが減るように制動力を変化させる。この例のブレーキ制御部60は、情報処理部40から送信されるブレーキ制御信号Bcに応じて制動力を変化させる。
状態監視装置20を説明する。状態監視装置20は、台車10において制輪子18bを制動部材18cに押し当てて制動力を発生させたときに、台車10における音情報Jnまたは振動情報Jvに基づいて制輪子18bまたは制動部材18cのブレーキ鳴きを検知する。情報処理部40の判定部44は、音情報Jnまたは振動情報Jvに基づいてブレーキ鳴きの発生状態を判定し、その判定結果E3を提供する。
図10を参照して、ブレーキ制御装置80の動作を説明する。図10は、ブレーキ制御装置80の動作S110を示すフローチャートである。動作S110は、運転手の操作によりブレーキ指令がONになると開始される(ステップS111)。
ブレーキ指令がONになると、判定部44は、回生ブレーキ18eが作動しているか否かを判定する(ステップS112)。取得部30は、接触ブレーキ18dが作動し、且つ、回生ブレーキ18eが作動していないときに音情報Jnまたは振動情報Jvを取得する。
回生ブレーキ18eが作動している場合(ステップS112のY)、判定部44は、処理をステップS112の先頭に戻し、回生ブレーキ18eが非作動になるまでステップS112を繰り返す。
回生ブレーキ18eが作動していない場合(非作動の場合)(ステップS112のN)、取得部30は、音情報Jnまたは振動情報Jvを取得する(ステップS113)。取得期間が短すぎると判定精度が低下するため、取得部30は、予め設定された期間連続的または断続的に音情報Jnまたは振動情報Jvを取得する。記憶部46は、取得部30で取得された音情報Jnと振動情報Jvの少なくとも一方を一時的に記憶する。また、記憶部46は、音情報Jnと振動情報Jvの少なくとも一方をその取得タイミングと関連づけて記憶できる。記憶部46は、音情報Jnと振動情報Jvの少なくとも一方をその取得した位置の位置情報Jpと関連づけて記憶できる。
音情報Jnまたは振動情報Jvを取得したら、判定部44は、取得部30で取得された音情報Jnまたは振動情報Jvに基づいて制輪子18bまたは制動部材18cのブレーキ鳴きの発生状態を判定する。この例では、判定部44は、ブレーキ鳴きが発生しているか否かを判定する(ステップS114)。このステップで、判定部44は、ブレーキ鳴きが発生しているか否かの2ランクに分類された判定結果E3を提供する。
ブレーキ鳴きが発生している場合(ステップS114のY)、判定部44はブレーキ鳴きが発生していることを示す判定結果E3を送信部48に提供する。判定結果E3が提供された送信部48は、ブレーキ制御信号Bcをブレーキ制御部60に送信する。
ブレーキ制御信号Bcを受信したブレーキ制御部60は、ブレーキ鳴きが減るように制動力を調整する(ステップS115)。このステップで、制動力の調整パターンは、ブレーキ鳴きが減るものであれば制限されない。例えば、ブレーキ制御部60は、制動力を減らしてもよいし、増やしてもよいし、予め設定されたパターンで増減をしてもよい。制輪子18bを制動部材18cに押しつける力を変化させることにより、制動力を増減できる。このステップでは、制動距離の変化が実用上問題とならない範囲で制動力の変化量が設定される。
制動力を調整したら、ステップS113の先頭に戻り、ブレーキ鳴きが発生が止まるまでステップS113からステップS115を繰り返す。この繰り返しの間、制動力を調整を漸増してもよい。
ブレーキ鳴きが発生していない場合(ステップS114のN)、判定部44はブレーキ鳴きが発生していないことを示す判定結果E3を提供し、動作S110は終了する。この動作S110は、あくまでも一例であって、ステップの順序を入れ替えたり、一部のステップを追加・削除・変更したりしてもよい。動作S110により、ブレーキ鳴きを検知でき、ブレーキ鳴きを抑制でき、ブレーキ鳴きの発生状態を外部に報知できる。
振動センサ30bは、制輪子18bの振動を検知できる位置に取り付けられる。音センサ30eは、制輪子18b付近の音を検知できる位置に取り付けられる。例えば、振動センサ30bおよび音センサ30eは、台車10の台車枠12または台車枠12からばねを介して支持される部分に取り付けられる。この例では、音センサ30eまたは振動センサ30bは、軸箱14bに設けられており、車輪16の音や振動を軸箱14bを介して検知する。音センサ30eまたは振動センサ30bは、車軸16sに設けられてもよいし、台車枠12に設けられてもよい。振動センサ30bは、制輪子18bの振動の周波数と振幅を検知できる。音センサ30eは、接触ブレーキ18dの音の周波数と振幅を検知できる。
本実施形態の判定部44は、台車枠12または台車10の外部に設けられる。この例では、判定部44は、台車枠12に設けられている。判定部44は、車体2の運転台2dや車両100の外部に設けられてもよい。
車速を取得する速度センサは、例えば、車軸の回転に応じた数のパルスを出力するエンコーダであってもよい。エンコーダのパルスをカウントすることにより、車両100の速度を算出できる。また、速度センサは、レーザ反射を利用したドップラーセンサであってもよい。制動力は接触ブレーキ18dのブレーキ指令器から取得できる。なお、制動力は接触ブレーキ18dのブレーキシリンダの圧力に基づいて取得してもよい。
判定部44の判定方法の第1の例を説明する。第1の例では、判定部44は、音情報Jnまたは振動情報Jvが予め設定された判定条件を満たすときにブレーキ鳴きが発生していると判定する。この判定は、例えば、音情報Jnまたは振動情報Jvの周波数スペクトラムと、予め解析されたブレーキ鳴き特有の周波数スペクトラムとの一致度に基づいてすることができる。判定は、一定の車速で行われてもよいし、車速に応じて周波数スペクトラムをシフトして行われてもよい。ブレーキ鳴きの周波数スペクトラム等の判定条件は、実験またはシミュレーションにより設定できる。この判定条件は、記憶部46に記憶される。
図11、図12を参照して、判定部44に学習モデルM3を用いる第2の例を説明する。第2の例では、判定部44は、参照用音情報Jnまたは参照用振動情報Jvとブレーキ鳴きの発生状態の実測データとをもとに予め機械学習により生成された学習モデルM3を用いてブレーキ鳴きの発生状態Snを判定する。参照用音情報Jnまたは参照用振動情報Jvは、音情報Jnまたは振動情報Jvについて予め取得された実測データである。
図11は、学習モデルM3のデータセットDs3の一例を模式的に示す図である。図12は、学習モデルM3を模式的に示す図である。この例では、事前に実測されたブレーキ鳴き発生状態Sn(Sn(0)、Sn(1)・・・)と、音情報Jn(Jn(0)、Jn(1)・・・)と、振動情報Jv(Jv(0)、Jv(1)・・・)とをデータセットDs3とし、このデータセットDs3を教師データとして機械学習(教師有り学習)により学習モデルM3を生成する。
なお、この説明では、音情報Jn、振動情報Jvおよび発生状態Snがそれぞれ一元的なデータである例を示しているが、これらはそれぞれ多元的なデータであってもよい。また、音情報Jn、振動情報Jvおよび発生状態Snは、所定の単位で数値化された数値データであってもよい。
学習モデルM3は、この判定対象の台車10自体の実測データをもとに生成されてもよいし、判定対象の台車10とは別の台車の実測データをもとに生成されてもよい。学習モデルM3は、記憶部46に記憶される。
データセットDs3の実測データの収集条件は限定されないが、この例では、後述する位置情報Jpに基づいて、予め設定された位置にてデータセットDs3の実測データを収集する。この場合、走行路の条件の差による影響を抑制できる。
ブレーキ鳴きの発生状態Snは、制輪子18bの材料、制輪子18bの形状、制輪子18bの押し当て力等に影響されることが示唆されている。このため、学習モデルM3は、制輪子18bの材料、制輪子18bの形状、制輪子18bの押し当て力、車両100の速度、制輪子18bの振動周波数および制動力の少なくとも1つの実測データを参照して生成されてもよい。この場合、これらを参照することにより判定精度を向上できる。
なお、制輪子18bは、使用によって摩耗し、その形状や固有振動数が変動するため、ブレーキ鳴きの周波数スペクトラムが変化する。このため、判定部44の判定条件または学習モデルM3は、制輪子18bの摩耗に応じて一定期間ごとに更新されてもよい。この更新期間は車両100の重量、走行速度、駅間距離等の条件により設定できる。なお、判定部44の判定条件または学習モデルM3の初期設定は、制輪子18bの製造時点の形状に合わせて設定できる。本実施形態では、判定部44の判定条件または学習モデルM3は、制輪子18bが予め設定された程度まで摩耗したら更新される。更新された判定条件または学習モデルM3は、記憶部46に記憶される。
本実施形態の構成をさらに説明する。記憶部46は、位置情報Jpに基づいて、音情報Jnと振動情報Jvの少なくとも一方の情報と、その情報を取得した位置とを関連づけて記憶できる。また、記憶部46は、過去に取得された音情報または振動情報および過去のブレーキ鳴きの発生状態Snをそれぞれ関連づけて記憶できる。送信部48は記憶部46の記憶内容を外部に送信できる。
判定部44は、音情報Jnまたは振動情報Jvを過去に取得された参照用の音情報または振動情報と比較することによりブレーキ音の経時変化を算出できる。判定部44は、この経時変化に基づいて将来のブレーキ鳴きの発生時期を予測できる。
本実施形態は、判定部44の判定結果E3を台車10の外部に送信する送信部48を備えている。この場合、外部で判定結果E3を利用できる。この例では、送信部48は、判定結果E3を車体2の運転台2dに送信し、運転台2dの車両モニタ2eに表示させる。送信部48は、判定結果E3を外部の地上指令所84のコンピュータ84cやクラウドシステムに送信してもよい。
本実施形態のブレーキ制御装置80の特徴を説明する。ブレーキ制御装置80は、判定部44がブレーキ鳴きが発生していると判定した場合に、ブレーキ鳴きが減るように制動力を変化させるため、ブレーキ鳴きを抑制できる。また、判定条件を用いて判定することにより判定精度が高い。また、学習モデルM3を用いて判定することにより、より高度な判定ができる。また、制輪子18bの材料、制輪子18bの形状、制輪子18bの押し当て力、車両100の速度、制輪子18bの振動数および制動力のいずれかの実測データを参照して学習モデルM3を生成することにより、判定精度が向上する。また、回生ブレーキ18eが作動していないときに音情報Jnまたは振動情報Jvを取得することにより、回生ブレーキ18eによる音や振動の影響を受けにくい。
また、制輪子18bが予め設定された程度まで摩耗したときに学習モデルM3を更新することにより、制輪子18bの摩耗による判定精度の低下を抑制できる。また、取得部30を台車10の台車枠12または台車枠12からばねを介して支持される部分に取り付けことにより、車輪16の近傍にセンサを配置でき、音や振動を高精度に取得できる。また、判定部44を台車枠12または台車10の外部に設けることにより、振動の少ない場所に判定部44を配置して、振動の影響を低減できる。
本実施形態のブレーキ制御装置80の変形例を説明する。ブレーキ鳴きが減るように制動力を調整するとき、一時的に回生ブレーキ18eを作動させてもよい。この場合、制動距離の増加を抑制できる。
[第4実施形態]
図1、図2、図13〜図15を参照して、本発明の第4実施形態の鉄道用状態監視装置20と鉄道用ブレーキ制御装置80とを説明する。本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とは、鉄道車両100に搭載される。図13は、本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とを概略的に示すブロック図である。
台車10の揺れが増えると乗り心地が低下する。台車10の揺れの要因として、車輪状態の異常(以下、本実施形態の説明で「車輪異常」という)と、軌道状態の異常(以下、本実施形態の説明で「軌道異常」という)とが挙げられる。車輪異常とは、車輪の摩耗状態に関する状態(以下、本実施形態の説明で「車輪状態」という)が、予め設定された基準よりも悪い場合をいう。本実施形態の説明における車輪異常は、車軸16sに固定された幅方向両側の車輪16の車輪径の差(以下、本実施形態の説明で「車輪径差」という)が大きい場合であり、主に幅方向両側の車輪16の偏摩耗や不等摩耗により生じる。したがって、車輪径差を計測し、車輪径差が大きければ車輪異常と評価できる。
軌道異常とは、軌道の幅方向両側の不等状態に関する状態(以下、本実施形態の説明で「軌道状態」という)が、予め設定された基準よりも悪い場合をいう。本実施形態の説明における軌道異常は、幅方向両側の軌道表面の不等変形(以下、本実施形態の説明で「軌道アンバランス」という)であり、主に幅方向両側の軌道表面の不等摩耗や不等なうねりによって生じる。したがって、軌道アンバランスを計測し、軌道アンバランスが大きければ軌道異常と評価できる。
車輪径差は、例えば、車両100が車両基地に停車しているときの各車輪の車輪径を計測し、計測結果から算出できる。また、軌道アンバランスは、軌道画像や走行車両の振動の計測結果に基づいて評価できる。しかし、車輪径差の計測や軌道アンバランスの計測には、特別な計測装置を使用して特別な計測作業をするためコスト的に不利である。
本実施形態は、車両100の通常走行時に計測された計測データを用いて、幅方向両側の車輪16の車輪径差を求め、その結果から車輪状態を評価する。特に、本実施形態は、台車10に取り付けた傾斜センサの傾斜情報を使用して、車輪径差を求め、車輪状態を評価する。また、本実施形態は、この計測データに基づいて、軌道アンバランスを求め、軌道状態を評価する。
本発明者らの検討によれば、傾斜センサによって取得される車軸の水平に対する傾斜情報(以下、本実施形態の説明で「傾斜情報Jm」という)と車輪16の車輪状態との間には、一定の相関関係があることが示唆されている。したがって、この相関関係に基づいて、傾斜情報Jmから車輪状態を評価できる。また、傾斜情報Jmと軌道8の軌道状態との間には、一定の相関関係があることが示唆されている。したがって、この相関関係に基づいて、傾斜情報Jmから軌道状態を評価できる。
本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80の主な構成を説明する。状態監視装置20は、取得部30と、情報処理部40と、電力供給部70と、位置情報取得部82とを備える。また、ブレーキ制御装置80は、取得部30と、情報処理部40と、ブレーキ制御部60とを備える。情報処理部40は、判定部44と、記憶部46と、送信部48と、送信制御部42とを含む。これらの各要素の構成および動作には、特に断りのない限り、第1実施形態の説明が適用される。取得部30は、車軸16sの水平面に対する傾斜情報Jmを取得する傾斜センサ30mと、台車10の振動情報Jvを取得する振動センサ30bとを含む。取得部30は、傾斜情報Jmと振動情報Jvとを取得情報J4として情報処理部40に提供する。
本実施形態では、情報処理部40は、ヨーダンパストロークセンサ34からストローク情報Jqを取得する。また、情報処理部40は、別車軸傾斜センサ36から別の車軸に関する別車軸傾斜情報Jrを取得する。別車軸傾斜情報Jrは、一の別車軸の傾斜情報であってもよいし、複数の別車軸の傾斜情報であってもよい。別車軸傾斜センサ36については後述する。
図14を参照して台車10の揺動を説明する。図14は、台車10の揺動を模式的に示す模式図である。この図は主に台車枠12から軸ばね12jを介して支持されるばね下部14を示している。この図では、水平面を前後方向に延びるX軸と、X軸に直交し水平面を幅方向に延びるY軸と、X軸およびY軸に直交して上下方向に延びるZ軸とが定義される。X軸を中心とする揺動をローリングといい、Y軸を中心とする揺動をピッチングといい、Z軸を中心とする揺動をヨーイングという。
ヨーダンパストロークセンサ34を説明する。ヨーダンパストロークセンサ34は、ヨーダンパ装置のストロークに関するストローク情報Jqを取得する。ヨーダンパ装置は、一端が車体2の端部に取り付けられ、他端が台車10の側部に取り付けられ、台車10の車体2に対するヨーイングを抑制する。ヨーイングが大きいとストローク情報Jqは大きくなり、ヨーイングが小さいとストローク情報Jqは小さくなる。つまり、ストローク情報Jqからヨーイングの大きさを判定できる。
傾斜センサ30mを説明する。傾斜センサ30mに限定はないが、本実施形態の傾斜センサ30mは、公知の原理に基づいて水平面に対する車軸16sの角度を検知する角度センサである。傾斜センサ30mは、車軸16sの幅方向の複数箇所における上下方向距離を距離センサで検知し、その距離の差から車軸16sの傾斜を算出する。以下の説明では、傾斜センサ30mが、ローリング方向の傾斜角を計測するセンサである例を示す。
図14に示すように、本実施形態の傾斜センサ30mは、車軸16sのばね下部14の例えば軸箱14bに取り付けられる。別車軸傾斜センサ36は、別の車軸16s(2)の例えば軸箱14b(2)に取り付けられる。傾斜センサ30mおよび別車軸傾斜センサ36は、台車枠12に取り付けられてもよい。振動センサ30bは、台車枠12に取り付けられる。
傾斜情報Jmと振動情報Jvの取得期間が短すぎると判定精度が低下するため、取得部30は、予め設定された期間連続的または断続的に傾斜情報Jmと振動情報Jvとを取得する。情報処理部40の記憶部46は、取得部30で取得された傾斜情報Jmと振動情報Jvとを一時的に記憶する。記憶部46は、傾斜情報Jmと振動情報Jvとをその取得タイミングと関連づけて記憶できる。記憶部46は、傾斜情報Jmと振動情報Jvとをその取得した位置の位置情報Jpと関連づけて記憶できる。
判定部44は、取得部30で取得された傾斜情報Jmに基づいて車輪16の車輪状態または軌道8の軌道状態を判定し、その判定結果E4を提供する。判定結果E4は、車輪16の車輪状態または軌道状態をそのレベルに応じて複数のランクに分類した結果である。例えば、判定結果E4は、車輪16の車輪状態または軌道状態を2ランクに分類した結果であってもよいし、より細かく3以上のランクに分類した結果であってもよい。本実施形態の判定結果E4は、車輪16の車輪異常が有るか無いか、または、軌道8の軌道異常が有るか無いかを示す。
送信部48は、判定部44の判定結果E4を台車10の外部に送信する。この場合、外部で判定結果E4を利用できる。この例では、送信部48は、台車枠12に設けられている。送信部48は、車体2に設けられてもよい。この例では、送信部48は、判定結果E4を車体2の運転台2dに送信する。判定結果E4は、運転台2dの車両モニタ2eに表示されてもよい。送信部48は、判定結果E4を車両100の外部の地上指令所84のコンピュータ84cやクラウドシステムに送信してもよい。
送信部48は、判定部44の判定結果E4が車輪異常または軌道異常を示す場合に、ブレーキ制御部60に対して制動力を調整するようにブレーキ制御信号Bcを送信する。ブレーキ制御部60は、送信部48から送信されるブレーキ制御信号Bcに応じて制動力を調整する。このように動作することにより、取得部30と、情報処理部40と、ブレーキ制御部60とはブレーキ制御装置80として機能する。
(第1の例)
このように構成された本実施形態の状態監視装置20における、判定部44の判定方法の第1の例を説明する。第1の例では、判定部44は、傾斜情報Jmが予め設定された閾値を超えた場合に、車輪径差が過大であり、車輪異常であると判定する。また、傾斜情報Jmには、軌道アンバランスと軌道のカント(以下、本実施形態の説明で「軌道要素」という)に起因する傾斜が含まれる。したがって、この判定では軌道要素を考慮して行われることが望ましい。なお、軌道のカントは、カーブでの車両の安定性を高める等のために設計的に設けられた幅方向両側の軌道の高低差をいう。
軌道要素の影響を低減する例を説明する。例えば、複数の位置で取得された傾斜情報Jmを平均化して使用してもよい。また、軌道要素が小さい位置で傾斜情報Jmを取得してもよい。これらの方法により、軌道要素に起因する判定誤差を低減できる。
また、傾斜情報Jmを軌道要素が既知の位置で取得し、この傾斜情報Jmから、既知の軌道要素を減算して使用してもよい。例えば、予め位置に対応する軌道要素を収集してデータベースを作成し、このデータベースに位置情報Jpを入力することにより、既知の軌道要素を得ることができる。この方法により、軌道要素に起因する判定誤差を低減できる。
(第2の例)
図15を参照して、判定部44の判定方法の第2の例を説明する。図15は、車軸別地点別の傾斜情報の一例と、地点別軌道のカント設計値の一例とを模式的に示す図である。この図において、標準偏差S1、S2・・・Snは、同一の地点の縦1列(以下、単に「列」ということがある)の車軸データの標準偏差を示し、標準偏差Z1、Z2・・・Z20は、同一車軸の横1行(以下、単に「行」ということがある)の車軸データの標準偏差を示す。
第2の例では、判定部44は、複数の地点で、複数の車軸について取得された複数の車軸に関する傾斜情報(以下、本実施形態の説明で「複数車軸傾斜情報Mt」という)を用いて車輪16の車輪状態と軌道8の軌道状態とを判定し、判定結果E4を提供する。判定結果E4は、車輪異常の有無と、軌道異常の有無とが含まれる。複数車軸傾斜情報Mtは、後述する車軸番号1の傾斜情報Jmと、後述する車軸番号2−20の別車軸傾斜情報Jrとを含む。以下、傾斜情報Jmと、別車軸傾斜情報Jrと、複数車軸傾斜情報Mtとを総称するときは単に傾斜情報と表記する。
図15は、5両1編成で20軸(1両当たり2台車、1台車当たり2軸)の車軸16sを有する列車が、n地点での複数車軸傾斜情報Mtを取得したデータを示す。地点番号1の地点で、各車軸16sについて取得された複数車軸傾斜情報Mtは、地点番号1の縦1列のデータによって示され、地点番号nの地点で、各車軸16sについて取得された傾斜情報は、地点番号nの縦1列のデータによって示される。
この図で、A1、A2・・・A20は、各車軸16sの車輪要素に起因する傾斜の車輪成分であり、B1、B2・・・Bnは、各地点の軌道要素に起因する傾斜の軌道成分である。この図に示すように、複数車軸傾斜情報Mtは、車輪成分と軌道成分の和として取得される。このため、車輪成分A1、A2・・・A20および軌道成分B1、B2・・・Bnは個別に得ることはできない。
これらから、本発明者は、測定したn地点のうちの1つまたは複数の地点における軌道のカントの設計値から導出される傾斜D1、D2・・・Dnを用いて車輪成分A1、A2・・・A20を推定する方法を案出した。例えば、軌道の摩耗や変形が少なく軌道アンバランスが小さい領域では、軌道成分B1、B2・・・Bnは、傾斜D1、D2・・・Dnとほぼ等しい。したがって、複数車軸傾斜情報Mtから傾斜D1、D2・・・Dnを差し引いて算出されたデータを車輪成分A1、A2・・・A20として用いることができる。なお、カントの設計値に代えてカントの目標値から導出される傾斜を用いてもよい。
第2の例では、判定部44は、算出された車輪成分A1、A2・・・A20が予め設定された閾値を超えた場合に、車輪径差が過大であり、車輪異常であると判定し、閾値以下の場合に車輪異常でないと判定する。この場合の判定結果E4は、車輪異常の有無である。
また、同一の地点の縦1列の各車軸のデータを統計処理し、各車軸のデータについて縦1列の平均値からの乖離(=データ−平均値)が大きい場合に、その車軸の車輪径差が他の車軸より大きいと評価できる。例えば、この乖離を標準偏差S1、S2・・・Snで割って規準化した結果が、予め設定された閾値を超える場合に、車輪径差が過大であり、車輪異常であると判定し、閾値以下の場合に車輪異常でないと判定してもよい。
また、同一車軸の横1行の車軸データを統計処理し、各地点のデータについて横1行の平均値からの乖離(=データ−平均値)が大きい場合に、その地点の軌道アンバランスが他の地点より大きいと評価できる。例えば、この乖離を標準偏差Z1、Z2・・・Z20で割って規準化した結果が、予め設定された閾値を超える場合に、軌道アンバランスが過大であり、軌道異常であると判定し、閾値以下の場合に軌道異常でないと判定してもよい。
また、図15のデータについて、過去に取得して記憶された過去データと、新たに取得された新データとの比較結果に基づいて車輪径差または軌道アンバランスを評価してもよい。車軸番号2の車輪が摩耗し車輪径差が増加すると、車輪成分A2を含む行のデータの全てにその影響が出る。地点番号2で軌道アンバランスが増加すると、軌道成分B2を含む列のデータの全てにその影響が出る。
例えば、新データの過去データに対する変化量について、各行で比較し、特定の行の変化量が他の行の変化量より顕著に大きい場合は、その特定行に対応する車軸の車輪径差が過大であり、車輪異常であると判定できる。
また、新データの過去データに対する変化量について、各列で比較し、特定の列の変化量が他の列の変化量より顕著に大きい場合は、軌道異常であると判定できる。
上述の判定部44の判定方法は、各種の変形が可能である。上述の説明では、単独列車の複数車軸傾斜情報Mtのデータに基づいて判定する例を示したが、例えば、複数の列車の同一地点における複数車軸傾斜情報のデータに基づいて車輪異常または軌道異常を判定してもよい。この場合、各列のデータ数が増え、判定精度が向上する。
上述の説明では、任意の地点(軌道位置)で取得された傾斜情報のデータに基づいて判定する例を示したが、基準とする駅、車両基地、基地等の特定の軌道位置で取得された傾斜情報のデータに基づいて判定してもよい。この場合、軌道要素の影響が低減され、判定精度が向上する。
上述の説明では、判定部44が傾斜情報だけを用いて判定する例を示したが、判定部44は傾斜情報と振動情報Jvとに基づいて判定してもよい。例えば、車輪径差が大きい場合の振動情報Jvの特徴を予め特定しておき、この特徴を用いて判定してもよい。例えば、特定の取得地点(軌道位置)とは無関係に、車輪径差が大きい場合の振動情報Jvの特徴が現れる場合に車輪異常と判定してもよい。また、特定の取得地点(軌道位置)にのみ、振動情報Jvの特徴が現れる場合に、その地点が軌道異常であると判定してもよい。なお、振動情報Jvの特徴としては、振動の周波数スペクトラム、振動の振幅変動パターン等が挙げられる。
また、判定部44は、傾斜情報とストローク情報Jqとに基づいて軌道異常を判定してもよい。上述したようにストローク情報Jqは、ヨーダンパストロークセンサ34から取得される。例えば、同一の取得地点(軌道位置)のストローク情報Jqについて、過去に取得して記憶された過去データに対する新たに取得された新データの変化量が予め設定された閾値を超える場合に、軌道アンバランスが過大であり、軌道異常であると判定してもよい。
上述の説明では、統計的な分析により車輪状態と軌道状態とを判定する例を示したが、これに限定されない。判定部44は、予め機械学習により生成された学習モデルM4を用いて車輪状態と軌道状態とを判定してもよい。学習モデルM4は、予め取得された参照用傾斜情報と参照用振動情報との実測データと、車輪異常または軌道異常の発生状況とを教師データとして機械学習(教師有り学習)により生成できる。この場合に、教師データは、参照用振動情報の振動レベル、振動の周波数スペクトラムおよび振動の振幅の変動パターンのいずれかを含んでもよい。学習モデルM4は、記憶部46に記憶されてもよい。
上述の説明では、傾斜情報のデータは、走行中に取得される例を示したが、例えば、駅などに停車中に取得されてもよい。傾斜情報は、速度センサにより検知される車両速度がゼロであるときに取得されてもよい。傾斜情報は、随時取得されてもよいし、始業時、終業時等の予め設定された時刻に取得されてもよい。
台車10の走行距離に応じて摩耗や変形が進行し、車輪径差および軌道アンバランスが増加する。車輪径差が大きくなりすぎると、走行に支障をきたす場合があり、その前に車輪16や軌道8のメンテナンスをすることが望ましい。このため、送信部48は、判定結果E4を外部に報知する。
上述の説明では、傾斜情報は、ローリング方向の傾斜(幅方向の傾き)である例を示したが、傾斜情報は、ピッチング方向の傾斜(前後方向の傾き)を含んでもよい。ローリング方向の傾斜により、幅方向両側の車輪16の偏摩耗の程度の差を評価できる。ピッチング方向の傾斜により、台車10の前後の車輪16の偏摩耗の程度の差を評価できる。
上述の説明では、傾斜情報は、水平面に対する傾斜である例を示したが、傾斜情報は、路面に対する相対的な傾斜であってもよい。例えば、傾斜情報は、前後方向または幅方向に離れて配置された2つの距離センサにより、路面または路面上の物体の2点の上下方向距離の計測結果(上下方向距離)の差に基づいて取得できる。
上述の説明では、傾斜情報は、角度センサで取得する例を示したが、傾斜情報は、車両基地手前などの所定位置にカメラを設置しておき、台車10または車輪16の車軸16s方向から視た画像データから取得してもよい。
本実施形態の状態監視装置20の特徴を説明する。状態監視装置20は、傾斜情報に基づいて車輪状態または軌道状態を判定するので、少ない工数で車輪状態または軌道状態を把握でき、コスト的に有利である。
本実施形態では、別車軸の傾斜情報を参照して判定するので、複数の車軸の間の差異が大きい場合に車輪異常と判定できる。本実施形態では、別地点の傾斜情報を参照して判定するので、複数の地点の間の差異が大きい場合に車輪異常と判定できる。本実施形態では、過去に取得された過去の傾斜情報を参照して判定するので、経時的な変化が大きい場合に車輪異常と判定できる。
本実施形態では、先行または後続する別車両の傾斜情報を参照して判定するので、複数の車両の間の差異が大きい場合に車輪異常と判定できる。本実施形態では、比較用の基準地点の傾斜情報を参照して判定するので、基準地点に対する差異が大きい場合に車輪異常と判定できる。
本実施形態では、振動センサで取得される振動情報を参照して判定するので、車輪径差が大きい場合の振動情報の特徴が現れる場合に車輪異常と判定できる。
[第5実施形態]
図1、図2、図16〜図19を参照して、本発明の第5実施形態の鉄道用状態監視装置20と鉄道用ブレーキ制御装置80とを説明する。本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とは、鉄道車両100に搭載される。図16は、本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とを概略的に示すブロック図である。
鉄道車両の走行に伴い、摩耗、傷、変形等による軌道面の凹凸が増えて軌道が劣化する。軌道面の凹凸に関する状態(以下、本実施形態の説明で「軌道状態」という)が、予め設定された基準よりも悪い場合(以下、本実施形態の説明で「軌道異常」という)、台車10の揺れが大きくなり乗り心地が低下する。また、軌道異常を放置すると軌道の劣化がさらに進行し車両運行の妨げにつながる。このため、軌道異常を早期に検知してメンテナンス等をすることが重要である。
軌道異常を検知するために、診断用の専用装置を軌道上を走行させ、軌道の劣化状態を計測することが考えられる。しかし、この場合、特別な専用装置を使用して特別な計測作業をするため、余計な作業工数やコストがかかる。
このため、本実施形態は、車両100の通常走行時に計測された台車の振動の計測データを用いて、軌道異常を検知する。例えば、予め設定された閾値を超える大きさの振動(以下、本実施形態の説明で「異常振動」という)から軌道異常の有無を判定することが考えられる。しかし、異常振動は、軌道異常の場合の他に、小石等の異物を挟むような一時的な要因によっても発生するため、誤判定する可能性がある。そこで、本実施形態では、別の時期に取得された別の振動情報を用いて一時的な要因による異常振動を排除して判定する。この場合、作業工数やコストを低減し、軌道異常の有無の判定精度を高めることができる。ここで、別の時期は、同じ日の別の時刻であってもよいし、別の日であってもよい。また、別の振動情報は、同じ台車、別の台車、別の車両または別の列車で取得されてもよい。
本発明者らの検討によれば、振動センサによって取得される台車の振動に関する振動情報(以下、本実施形態の説明で「振動情報Jv」という)と軌道8の軌道状態との間には、一定の相関関係があることが示唆されている。したがって、この相関関係に基づいて、振動情報Jvから軌道状態を評価できる。
本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80の主な構成を説明する。状態監視装置20は、取得部30と、情報処理部40と、電力供給部70と、位置情報取得部82とを備える。また、ブレーキ制御装置80は、取得部30と、情報処理部40と、ブレーキ制御部60とを備える。情報処理部40は、判定部44と、記憶部46と、送信部48と、送信制御部42とを含む。これらの各要素の構成および動作には、特に断りのない限り、第1実施形態の説明が適用される。取得部30は、台車10の振動に関する振動情報Jvを取得する振動センサ30bを含む。取得部30は、振動情報Jvと後述する画像情報Jgとを取得情報J5として情報処理部40に提供する。
本実施形態では、情報処理部40は、別台車11の振動情報を取得する別台車振動センサ35から別台車11の振動に関する別台車振動情報Jvbを取得する。また、情報処理部40は、位置情報取得部82から位置情報Jpを取得する。別台車11は、台車10が属する車両100の別の台車であってもよいし、車両100が属する列車の別車両の台車であってもよい。別台車振動センサ35は、振動センサ30bと同じ構成であってもよく、振動センサ30bと同じ取付構造により別台車11に取り付けられてもよい。なお、本実施形態の説明では、別台車11は、ある編成の列車中の車両100に後続する別車両101の台車とする。したがって、台車10は、別台車11よりも早いタイミングに軌道8の同一地点を通過する。本実施形態の振動センサ30bと別台車振動センサ35は、軸箱14bに設けられる。
取得部30は、振動情報Jvと別台車振動情報Jvbとを取得して情報処理部40に提供する。記憶部46は、取得部30で取得された振動情報Jvと別台車振動情報Jvbとを一時的に記憶する。記憶部46は、振動情報Jvと別台車振動情報Jvbとをその取得タイミングと関連づけて記憶できる。記憶部46は、振動情報Jvと別台車振動情報Jvbとをその取得した軌道上の地点の位置情報Jpと関連づけて記憶できる。
判定部44は、振動情報Jvと別台車振動情報Jvbとに基づいて軌道8の軌道状態を判定し、その判定結果E5を提供する。判定結果E5は、軌道状態をそのレベルに応じて複数のランクに分類した結果である。例えば、判定結果E5は、軌道状態を2ランクに分類した結果であってもよいし、より細かく3以上のランクに分類した結果であってもよい。本実施形態の判定結果E5は、軌道8の軌道異常が有るか無いかを示す。
送信部48は、判定部44の判定結果E5を台車10の外部に送信する。この場合、外部で判定結果E5を利用できる。この例では、送信部48は、台車枠12に設けられている。送信部48は、車体2に設けられてもよい。この例では、送信部48は、判定結果E5を車体2の運転台2dに送信する。判定結果E5は、運転台2dの車両モニタ2eに表示されてもよい。送信部48は、判定結果E5を車両100の外部の地上指令所84のコンピュータ84cやクラウドシステムに送信してもよい。つまり、送信部48は、判定結果E5を台車10の外部に報知できる。
送信部48は、判定部44の判定結果E5が軌道異常を示す場合に、ブレーキ制御部60に対して制動力を調整するようにブレーキ制御信号Bcを送信する。ブレーキ制御部60は、送信部48から送信されるブレーキ制御信号Bcに応じて制動力を調整する。このように動作することにより、取得部30と、情報処理部40と、ブレーキ制御部60とはブレーキ制御装置80として機能する。
(第1の例)
このように構成された本実施形態の状態監視装置20における、判定部44の判定方法の第1の例を説明する。第1の例では、振動情報Jvが予め設定された閾値を超える場合に、異常振動が観測されたとし、軌道異常であると判定する。なお、第1の例では、異物等の一時的な要因による異常振動から誤判定する可能性があるため、同一地点での再測定や目視による再確認をすることが望ましい。
(第2の例)
図17、図18、図19を参照して、判定部44の判定方法の第2の例を説明する。この方法は、一時的な要因による誤判定を回避するために、別の時期に取得された別の振動情報を参照して判定する。具体的には、判定部44は、同一の地点について、振動情報に基づいて軌道状態に異常があると評価され、且つ、別の振動情報に基づいて軌道状態に異常があると評価された場合に、当該地点で軌道異常があると判定する。図17の例では、別の振動情報は後続する別台車11で測定することにより取得される。
図17は、台車10と、別台車11とが地点Pと地点Qにおいて軌道面の凹凸部8pと軌道面の異物8qとにより振動を受ける状態を模式的に示す模式図である。図17(A)に示すように、台車10は、先行する車両100の前側の台車で有り、別台車11は、後続する別車両101の前側の台車である。車両100と、別車両101とは連結され1編成の列車3を構成する。
凹凸部8pは、軌道8の劣化により生じたもので、台車10が通過しても失われない。異物8qは、台車10の通過により失われる一時的なものである。
列車3が進行方向に走行するとき、先ず、図17(B)に示すように、台車10は、地点Pで凹凸部8pを踏んで異常振動を検知する。次に、図17(C)に示すように、別台車11は地点Pで凹凸部8pを踏んで異常振動を検知する。次に、図17(D)に示すように、台車10は地点Qで異物8qを踏んで異常振動を検知する。この際、異物8qは車輪に弾かれて失われる。次に、図17(E)に示すように、別台車11は地点Qを通過したときは異常振動を検知しない。
図18は、台車10の振動情報Jvと、別台車11の別台車振動情報Jvbとを示す図である。この図は、横軸が軌道上の位置(以下、本実施形態では「地点」という)を示し、縦軸が振動レベルを示している。図18(A)に示すように、振動情報Jvは、地点P、Qで異常振動が観測される。図18(B)に示すように、別台車振動情報Jvbは、地点Pでは異常振動が観測されるが、地点Qでは異常振動が観測されない。
台車10と別台車11とで異常振動が一致して観測される地点Pには、軌道異常があると判定できる。台車10と別台車11とで異常振動が一致しない地点Qには、軌道異常がないと判定できる。
図19を参照して、第2の例による状態監視装置20の動作の一例を説明する。図19は、状態監視装置20の動作S120を示すフローチャートである。この動作は列車3の走行中に実行される。動作S120が開始されると、先行する台車10の異常振動を検知する(ステップS121)。図17の例では、状態監視装置20は、地点Pと地点Qとで台車10の異常振動を検知する。
次に、後続の別台車11の異常振動を検知する(ステップS122)。図17の例では、状態監視装置20は、地点Pで別台車11の異常振動を検知する。
次に、状態監視装置20は、台車10の異常振動と、別台車11の異常振動とについて、地点が一致するか否かを判定する(ステップS123)。
台車10の異常振動と、別台車11の異常振動との検知地点が一致した場合(ステップS123のY)、状態監視装置20は、軌道異常が発生していることを外部に報知する(ステップS124)。図17の例では、台車10および別台車11は、地点Pで異常振動を一致して検知したため、状態監視装置20は、判定結果E5として、地点Pで軌道異常が発生していることを外部に送信する。
台車10の異常振動と、別台車11の異常振動との検知地点が一致しない場合(ステップS123のN)、状態監視装置20は、動作S120を終了する。また、状態監視装置20は、ステップS124を実行した後に動作S120を終了する。この動作S120は、あくまでも一例であって、ステップの順序を入れ替えたり、一部のステップを追加・削除・変更したりしてもよい。
上述の判定部44の判定方法は、各種の変形が可能である。上述の説明では、単独の列車の複数台車の振動情報のデータに基づいて判定する例を示したが、例えば、複数の列車の同一地点における振動情報のデータに基づいて軌道異常を判定してもよい。
上述の説明では、振動情報Jvの大きさ(振動レベル)を用いて判定する例を示したが、振動情報Jvの特徴を用いて判定してもよい。例えば、軌道異常がある場合の振動情報Jvの特徴を予め記憶しておき、実測した振動情報Jvのデータにこの特徴が現れた地点が軌道異常であると判定してもよい。なお、振動情報Jvの特徴としては、振動情報Jvの周波数スペクトラム(以下、本実施形態の説明で「スペクトラム」という)、振幅の変動パターン等が挙げられる。
例えば、スペクトラムは、データの時間軸波形をフーリエ変換して周波数ドメインに変換することで得られる。例えば、過去の軌道異常発生時の軌道状態と、過去の実測データのスペクトラムとを教師データとして機械学習により学習モデルを生成し、この学習モデルに新たな実測データのスペクトラムを入力することにより軌道状態を把握できる。
上述の説明では、振動情報Jvから閾値を用いて軌道状態を判定する例を示したが、これに限定されない。判定部44は、予め機械学習により生成された学習モデルM5を用いて軌道状態を判定してもよい。学習モデルM5は、予め取得された参照用振動情報の実測データと軌道異常の発生状況とを教師データとして機械学習(教師有り学習)により生成できる。この場合に、教師データは、参照用振動情報の振動レベル、振動のスペクトラムおよび振動の振幅の変動パターンのいずれかを含んでもよい。学習モデルM5は、記憶部46に記憶されてもよい。
上述の説明では、振動センサ30bの振動情報Jvに基づいて軌道状態を判定する例を示したが、これに限定されない。例えば、台車10の台車枠12に軌道面の画像を取得して画像情報Jgを出力する画像センサ30gを設け、判定部44は、画像センサ30gで取得された画像情報Jgに基づいて軌道状態を判定してもよい。例えば、軌道面の画像情報Jgに、その撮像領域の前後の画像と異なる画像が現れた場合に、画像異常が観測されたとして、軌道異常と判定してもよい。この場合、一時的な要因による誤判定も考えられるため、同一地点での再測定や目視による再確認をすることが望ましい。
一時的な要因による誤判定を回避するために、別の時期に取得された別の画像情報を参照して判定してもよい。例えば、画像センサ30gとは別に、列車内の進行方向に離れた別の位置に別の画像センサを設け、画像センサ30gの画像情報による画像異常の判定地点と、別の画像センサの画像情報による画像異常の判定地点とが一致した場合に軌道異常と判定してもよい。
例えば、判定部44は、同一の地点について、画像情報に基づいて軌道状態に異常があると評価され、且つ、別の画像情報に基づいて軌道状態に異常があると評価された場合に、当該地点で軌道異常があると判定してもよい。
なお、最前または最後尾の台車など外光の入射光量が多い場合、誤検知の原因となり得る。この場合、画像センサ30gは、最前または最後尾を避けた中間の台車に配置されてもよい。また、外光の入射光量の影響を軽減するために、複数の画像センサ30gを備え、外光の入射光量の少ない方の画像センサ30gで取得された画像情報を用いて判定してもよい。また、良好な画像情報を得るために、軌道8を照らす光照射部32を備えてもよい。
本実施形態の状態監視装置20の特徴を説明する。状態監視装置20は、走行中に取得された振動または画像の情報に基づいて軌道状態を判定するので、少ない工数で軌道状態を把握でき、コスト的に有利である。また、本実施形態では、軌道8の同一地点に関して別の時期に取得された別の情報を参照して軌道状態を判定するので、一時的な要因による誤判定を防げる。
本実施形態では、同一の地点について、一の情報と別の情報とによる軌道状態の判断が一致した場合に、その地点に軌道異常があると判定するので、誤判定を減らせる。本実施形態では、判定部の判定結果を台車の外部に報知するので、判定結果を利用して早期にメンテナンスできる。本実施形態では、台車に設けられたセンサで取得された情報を用いるので、直接的に取得された情報を利用できる。
本実施形態では、同一列車の別車両の別台車に設けられたセンサにより、別の情報が取得されるので、列車内でシステムを完結できる。本実施形態では、取得部30は、台車枠12またはばね下部14に取り付けられ、判定部44は、台車枠12に取り付けられるので、取得部30と判定部44の間の配線距離を短くできる。
[第6実施形態]
図1、図2、図20〜図24を参照して、本発明の第6実施形態の鉄道用状態監視装置20と鉄道用ブレーキ制御装置80とを説明する。本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とは、鉄道車両100に搭載される。図20は、本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とを概略的に示すブロック図である。
車両100のブレーキ18は、必要な制動力を回生ブレーキ18eと接触ブレーキ18dとに割り当てることにより、所定の制動距離内で停止する。接触ブレーキ18dは、車輪16の踏面16bに制輪子18bを押付け、それらの間に摩擦力を発生させ、その摩擦力により車両100を減速し、停止させる。しかし、踏面16bの平滑状態が予め設定された基準よりも平滑な状態(以下、本実施形態の説明で「過平滑状態」という)では、摩擦力を十分に得られず制動距離が長くなる。制動距離が長くなるとオーバーランなどにより車両運行の妨げにつながるので、過平滑状態を検知して対応することが重要である。
過平滑状態は、例えば、踏面16bの表面粗度が過度に小さい場合と、表面粗度が一定以上でも踏面16bの表面が鏡面化した場合とに生じる。したがって、本実施形態の過平滑状態は、鏡面状態および鏡面ではないが表面粗度が過度に小さい状態を含む。
本発明者らの検討によれば、踏面16bの反射光を検知する光センサ30fによって取得される踏面16bの表面性状に関する踏面情報(以下、本実施形態の説明で「踏面情報J6」という)と踏面16bの平滑状態との間には、一定の相関関係があることが示唆されている。したがって、この相関関係に基づいて、踏面情報J6から踏面16bの平滑状態を評価できる。また、踏面情報J6で示される踏面16bの平滑状態が予め設定された基準よりも平滑である場合に過平滑状態と判定できる。光センサ30fは、台車10に設けられた光照射部32から踏面16bにレーザを照射してその反射光を取得する。
さらに、本発明者らの検討によれば、過平滑状態と判定された踏面16bに制輪子18bを強く押付けることにより、踏面16bが粗化され、過平滑でない状態(以下、本実施形態の説明で「非過平滑状態」という)にできることが判明している。したがって、過平滑状態と判定された場合に、制輪子18bの押付力を大きくする制御をすることにより、踏面16bを粗化して摩擦力を回復できる。
本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80の主な構成を説明する。図20に示すように、状態監視装置20は、取得部30と、情報処理部40と、ブレーキ制御部60と、電力供給部70と、位置情報取得部82と、速度センサ30cと、光照射部32とを備える。また、ブレーキ制御装置80は、取得部30と、情報処理部40と、ブレーキ制御部60とを備える。情報処理部40は、判定部44と、記憶部46と、送信部48と、送信制御部42とを含む。これらの各要素の構成および動作には、特に断りのない限り、第1実施形態の説明が適用される。
本実施形態では、情報処理部40は、速度センサ30cから速度情報Jcを取得し、位置情報取得部82から位置情報Jpを取得する。
取得部30は、台車10において踏面16bの表面性状に関する踏面情報J6を取得する光センサ30fを含む。取得部30は、踏面情報J6を情報処理部40に提供する。記憶部46は、取得部30で取得された踏面情報J6を一時的に記憶する。記憶部46は、踏面情報J6をその取得したときの速度情報Jcと関連づけて記憶できる。記憶部46は、踏面情報J6をその取得タイミングと関連づけて記憶できる。記憶部46は、踏面情報J6をその取得した軌道上の地点の位置情報Jpと関連づけて記憶できる。
判定部44は、取得部30で取得された踏面情報J6に基づいて踏面16bの平滑状態を判定し、その判定結果E6を提供する。判定結果E6は、平滑状態をそのレベルに応じて複数のランクに分類した結果である。例えば、判定結果E6は、平滑状態を2ランクに分類した結果であってもよいし、より細かく3以上のランクに分類した結果であってもよい。本実施形態の判定結果E6は、踏面16bが過平滑状態であるか否かを示す。
送信部48は、判定部44の判定結果E6を台車10の外部に送信する。この場合、外部で判定結果E6を利用できる。この例では、送信部48は、台車枠12に設けられている。送信部48は、車体2に設けられてもよい。この例では、送信部48は、判定結果E6を車体2の運転台2dに送信する。判定結果E6は、運転台2dの車両モニタ2eに表示されてもよい。送信部48は、判定結果E6を車両100の外部の地上指令所84のコンピュータ84cやクラウドシステムに送信してもよい。つまり、送信部48は、判定結果E6を台車10の外部に報知できる。
送信部48は、判定部44の判定結果E6が過平滑状態であることを示す場合に、ブレーキ制御部60に対して制動力を調整するようにブレーキ制御信号Bcを送信する。ブレーキ制御部60は、送信部48から送信されるブレーキ制御信号Bcに応じて制動力を調整する。このように動作することにより、取得部30と、情報処理部40と、ブレーキ制御部60とはブレーキ制御装置80を構成する。ブレーキ制御装置80の動作は後述する。
取得部30は、台車10に取り付けられる。この場合、取得部30と車輪16の位置関係を一定にして、踏面情報J6を高精度に取得できる。判定部44とブレーキ制御部60とは、台車10または車体2に設けられる。この場合、これらを振動の少ない場所に配置できるので、振動による影響を緩和できる。
状態監視装置20の動作を説明する。判定部44は、取得部30で取得された踏面情報J6により示される踏面16bの平滑状態が、予め設定された基準よりも平滑である場合に、踏面16bは過平滑状態であると判定する。また、当該平滑状態が、当該基準より平滑でない場合に、踏面16bは非過平滑状態である(過平滑状態でない)と判定する。判定部44は、判定結果E6を提供する。
図21、図22、図23、図24を参照して、ブレーキ制御装置80の動作の一例を説明する。図21は、ブレーキ制御装置80の動作S130を示すフローチャートである。図22は、ブレーキ18の制動力に対する接触ブレーキ18dの制動力の比率の一例を示す図である。この図のグラフAは、通常動作時(非ブレーキ制御時)における、ブレーキ18の所望の制動力を100%としたとき、接触ブレーキ18dの制動力の比率(例えば30%)を示す。グラフBは、粗化動作時(ブレーキ制御時)の接触ブレーキ18dの制動力の比率(例えば40%)を示す。図23、図24は、接触ブレーキ18dの動作を模式的に示す図である。
この動作は車両100の走行中にブレーキ18の作動中に実行される。動作S130が開始されると、回生ブレーキ18eが作動しているか否かを判定する(ステップS131)。回生ブレーキ18eが作動していない場合(ステップS131のN)、ブレーキ制御部60は、動作S130を終了する。つまり、ブレーキ18の制動力の100%が接触ブレーキ18dの制動力であるときは、ブレーキ制御を実行しない。これは、接触ブレーキ18dの制動力が強すぎると滑走する恐れがあるためである。
回生ブレーキ18eが作動している場合(ステップS131のY)、判定部44は、踏面16bが過平滑状態であるか否かを判定する(ステップS133)。このステップでは、判定部44は、上述の動作により判定結果E6をブレーキ制御部60に提供する。
踏面16bが過平滑状態である場合(ステップS133のY)、ブレーキ制御部60は、接触ブレーキ18dの制動力を大きくしてその比率を高める(ステップS134)。このステップでは、例えば、図22のグラフBに示すように接触ブレーキ18dの制動力を大きくしてその比率を40%に増やす。このとき、回生ブレーキ18eの制動力を弱めてブレーキ18の制動力を一定にしてもよい。
踏面16bが過平滑状態である場合(ステップS133のY)、状態監視装置20は、過平滑状態が発生していることを外部に報知してもよい。
図23、図24に示すように、ステップS134で接触ブレーキ18dの制動力を高めると、制輪子18bが踏面16bに強く押付けられ、過平滑状態の踏面16bを非過平滑状態に粗化できる。
ステップS134を実行したら、処理をステップS131の先頭に戻し、ステップS131〜S134のループを繰り返す。ステップS134の実行中を含め、このループを繰り返している間は、踏面16bの判定は続行される。
踏面16bの全域で過平滑状態が解消され非過平滑状態になった場合(ステップS133のN)、ブレーキ制御部60は、接触ブレーキ18dの制動力を小さくして通常動作時の制動力に戻し、動作S130を終了する。このとき、接触ブレーキ18dの制動力の比率は通常動作時の比率に下がる。この動作S130は、あくまでも一例であって、ステップの順序を入れ替えたり、一部のステップを追加・削除・変更したりしてもよい。
上述のブレーキ制御装置80の動作は、各種の変形が可能である。上述の説明では、判定部44は、踏面情報J6を用いて判定する例を示したが、踏面情報J6の特徴を用いて判定してもよい。例えば、過平滑状態である場合の踏面情報J6の特徴を予め記憶しておき、実測した踏面情報J6のデータにこの特徴が現れた場合に過平滑状態であると判定してもよい。なお、踏面情報J6の特徴としては、踏面情報J6の変動パターン等が挙げられる。
上述の説明では、基準を用いて踏面情報J6から踏面16bの平滑状態を判定する例を示したが、これに限定されない。判定部44は、予め機械学習により生成された学習モデルM6を用いて踏面16bの平滑状態を判定してもよい。学習モデルM6は、過去の過平滑状態が発生したときの踏面情報J6の変動パターンを教師データとして機械学習(教師有り学習)により生成できる。学習モデルM6は、記憶部46に記憶されてもよい。
上述の説明では、状態監視装置20は、光センサ30fの検知結果を、踏面情報J6として用いて、踏面16bの平滑状態を判定する例を示したが、これに限定されない。例えば、状態監視装置20は、踏面16bを撮像する画像センサ30gの撮像結果を、踏面情報J6として用いて、踏面16bの平滑状態を判定してもよい。例えば、状態監視装置20は、接触式または非接触式の表面粗さ計で取得された踏面16bの表面粗度を踏面情報J6としてを用いて、踏面16bの平滑状態を判定してもよい。
上述の説明では、踏面16bが過平滑状態である場合に、接触ブレーキ18dの制動力を高める例を示したが、これに限定されない。例えば、踏面16bが過平滑状態である場合に、ブレーキ制御部60は、接触ブレーキ18dの作動開始タイミングを早めてもよい。接触ブレーキ18dの作動タイミングを早めることにより、制輪子18bが踏面16bに接触している時間が長くなり、踏面16bの粗化を促すことができる。
摩擦力は、車輪16の周速度が大きくなるほど小さくなる傾向がある。このため、ブレーキ制御部60は、車両100の速度(速度情報Jc)を参照して接触ブレーキ18dの制動力の比率または、接触ブレーキ18dと回生ブレーキ18eの作動タイミングを変化させてもよい。
本実施形態の状態監視装置20の特徴を説明する。状態監視装置20では、踏面16bの表面性状に関する踏面情報J6に基づいて踏面16bの平滑状態を判定するので、少ない工数で踏面16bの平滑状態を把握でき、コスト的に有利である。
本実施形態のブレーキ制御装置80の特徴を説明する。ブレーキ制御装置80では、踏面16bの表面性状に関する踏面情報J6に基づいて踏面16bの平滑状態を判定し、その判定結果に基づいて接触ブレーキ18dの制動力または作動タイミングを変化させるので、踏面16bを粗化して制動力を回復できる。
本実施形態では、判定された平滑状態が予め設定された基準よりも平滑である場合に接触ブレーキ18dの制動力を大きくするので、踏面16bを粗化して制動力を回復できる。本実施形態では、接触ブレーキ18dの制動力を増加させた後、平滑状態が基準よりも平滑でなくなった場合に接触ブレーキ18dの制動力を減少させるので、回生ブレーキ18eの制動力とのバランスを定常状態に戻せる。
本実施形態では、光センサ30fの検知結果または画像センサ30gの撮像結果を踏面情報J6として提供するので、安価で小型化に有利である。本実施形態では、車両速度を参照して接触ブレーキ18dの制動力または作動タイミングを変化させるので、車両速度に応じてより適切に制御できる。
[第7実施形態]
図1、図2、図25〜図27を参照して、本発明の第7実施形態の鉄道用状態監視装置20と鉄道用ブレーキ制御装置80とを説明する。本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とは、鉄道車両100に搭載される。図25は、本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とを概略的に示すブロック図である。
軌道に過度な摩耗(以下、本実施形態では「過摩耗」という)があると乗り心地が悪くなる。このため、軌道の摩耗位置を特定してメンテナンスすることが重要である。軌道の摩耗を検測するために、専用の軌道検測車を用いることが考えられるが、この場合、軌道検測車が高価で、また余計な作業工数もかかる。このため、軌道を過度に摩耗させないないように摩耗状態を監視することが重要である。
そこで、本実施形態の状態監視装置20は、鉄道車両100が走行する軌道8の摩耗に関する情報(以下、本明細書では「軌道情報J7」という)を取得する取得部30と、取得部30で取得された軌道情報J7を送信する送信部48とを備える。この場合、軌道情報J7に基づいて軌道8の摩耗状態を監視できる。
また、本発明者らの検討によると、接触ブレーキ18dの制動開始位置(以下、本実施形態では、単に「制動開始位置」という)では軌道の摩耗が進行しやすく、制動開始位置が同じ位置に集中するとその位置で摩耗が進行しやすいことが示唆された。このように、特定の位置で他の位置よりも早く摩耗が進行する場合、軌道の交換の頻度が高くなる。このため、摩耗位置を分散させて軌道の交換の頻度を減らす観点から制動開始位置を前後に分散させることが望ましい。
そこで、本実施形態のブレーキ制御装置80は、情報取得部30xによって軌道情報提供装置90から軌道8の摩耗に関する軌道情報Jxを取得し、位置情報取得部82により車両100(自車両)の位置情報Jpを取得し、軌道情報Jxと位置情報Jpとに基づいて接触ブレーキ18dの制動開始位置を決定する。この場合、制動開始位置を分散させて摩耗の進行を遅らせ、軌道の交換頻度を減らせる。
軌道情報Jxは、軌道8において、一定以上の摩耗(以下、本実施形態では「特定摩耗」という)と、その特定摩耗の位置(以下、本実施形態では「特定位置」という)とに関する情報を含む。なお、特定摩耗には、過摩耗と、過摩耗ではないが一定以上に進行した摩耗が含まれる。
ブレーキ制御装置80によれば、軌道情報J7と車両100自身の位置情報Jpとに基づいて、接触ブレーキ18dの制動開始位置を特定位置の前後方向に分散させて、軌道8の摩耗の分散を図れる。また、特定位置を避けて、接触ブレーキ18dの制動開始位置を設定できる。摩耗位置を分散することにより、軌道8の交換頻度を減らせる。
軌道情報提供装置90は、軌道情報Jxを提供可能なものであれば限定されず、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)軌道8の先行位置を撮像し、軌道情報Jxを提供可能な先行車両
(2)軌道8の先行位置を撮像し、軌道情報Jxを提供可能なドローンなどの飛行体
(3)軌道8の各所に設置され、軌道8の歪みに関する歪み情報を取得する歪みセンサの検知結果から、軌道情報Jxを提供可能な地上設備
(4)軌道8の各所に設置され、軌道8の摩耗に関する画像情報を取得する定点カメラの撮像結果から、軌道情報Jxを提供可能な地上設備
(5)上記1〜4で提供された軌道情報Jxを記憶するデータベースを含み、軌道情報Jxを提供可能な地上設備
本実施形態の説明では、軌道情報提供装置90が軌道情報Jxを提供可能な先行車両である例を説明する。軌道情報提供装置90(先行車両)は、画像センサ90gと、位置情報取得部90pと、摩耗判定部90jと、情報送信部90xとを含む。
画像センサ90gは、軌道8の先行位置を撮像し、画像情報を取得する。具体的には、画像センサ90gは、先行車両の台車に設けられ、軌道8に照射した光の反射光から軌道8の摩耗状態に関する画像情報を取得する。この画像情報は、静止画であってもよいし動画であってもよい。画像センサ90gの構成は第1実施形態の画像センサ30gと同じである。
位置情報取得部90pは、軌道情報提供装置90(先行車両)の位置に関する位置情報を取得する。位置情報取得部90pの構成は第1実施形態の位置情報取得部82と同じである。
摩耗判定部90jは、画像センサ90gで取得された画像情報に基づいて、特定摩耗の有無を判定する。摩耗判定部90jは、位置情報取得部90pで取得された位置情報から特定位置を特定する。情報送信部90xは、特定摩耗の有無に関する摩耗判定部90jの判定結果と、特定位置とを軌道情報Jxとして外部に送信する。
特に、情報送信部90xは、特定摩耗がある場合に、特定摩耗を検知した位置(特定位置)で軌道情報Jxを送信する。情報送信部90xは、後続車両などの別の車両、地上指令所84またはその他外部から要求があった場合に、軌道情報Jxを送信する。情報送信部90xは、外部から要求がない場合にも自律的に軌道情報Jxを送信してもよい。
軌道情報提供装置90(先行車両)は、各種の変形が可能である。例えば、軌道情報提供装置90は、画像センサ90gの代わりに接触式または非接触式の表面粗さ計を備え、この表面粗さ計で取得された軌道8の表面粗度を軌道情報としてもよい。
本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80の主な構成を説明する。図25に示すように、状態監視装置20は、取得部30と、情報処理部40と、電力供給部70と、位置情報取得部82と、光照射部32とを備える。また、ブレーキ制御装置80は、情報取得部30xと、情報処理部40と、ブレーキ制御部60とを備える。情報処理部40は、判定部44と、記憶部46と、送信部48と、送信制御部42とを含む。これらの各要素の構成および動作には、特に断りのない限り、第1実施形態の説明が適用される。
情報取得部30xは、軌道情報提供装置90から送信された軌道情報Jxを受信して、情報処理部40に提供する。情報取得部30xは、軌道情報提供装置90に軌道情報Jxの送信を要求してもよい。位置情報取得部82は、位置情報Jpを情報処理部40に提供する。取得部30は、台車10に設けられ、軌道8の摩耗に関する軌道情報J7を取得する画像センサ30gを含む。取得部30は、軌道情報J7を情報処理部40に提供する。
記憶部46は、取得部30で取得された軌道情報J7を一時的に記憶する。記憶部46は、軌道情報J7をその取得タイミングと関連づけて記憶できる。記憶部46は、軌道情報J7をその取得した軌道上の位置の位置情報Jpと関連づけて記憶できる。記憶部46は、軌道情報Jxの特定摩耗の情報と特定位置とを関連づけて一時的に記憶する。
判定部44は、軌道情報提供装置90(先行車両)から送信された軌道情報Jxに基づいて、車両100の進路上の軌道8に特定摩耗があるか否かを判定する。具体的には、判定部44は、軌道情報Jxの特定位置が車両100の進路上に存在するか否かを判定し、その判定結果E7を提供する。したがって、本実施形態の判定結果E7は、進路上に特定摩耗があるか否かを示す。
送信部48は、判定部44の判定結果E7を台車10の外部に送信する。この場合、外部で判定結果E7を利用できる。この例では、送信部48は、台車枠12に設けられている。送信部48は、車体2に設けられてもよい。この例では、送信部48は、判定結果E7を車体2の運転台2dに送信する。判定結果E7は、運転台2dの車両モニタ2eに表示されてもよい。送信部48は、判定結果E7を車両100の外部の地上指令所84のコンピュータ84cやクラウドシステムに送信してもよい。つまり、送信部48は、判定結果E7を台車10の外部に報知できる。
送信部48は、判定部44の判定結果E7が特定摩耗があることを示す場合に、ブレーキ制御部60に対して制動開始位置を制御するようにブレーキ制御信号Bcを送信する。ブレーキ制御部60は、送信部48から送信されるブレーキ制御信号Bcに応じて制動開始位置を制御する。ブレーキ制御装置80の動作は後述する。
判定部44とブレーキ制御部60とは、台車10または車体2に設けられる。この場合、これらを振動の少ない場所に配置できるので、振動による影響を緩和できる。
状態監視装置20の動作を説明する。判定部44は、取得部30の画像センサ30gで取得された軌道情報J7から、特定摩耗の有無を判定する。判定部44は、位置情報取得部82の位置情報Jpから特定位置を特定する。送信部48は、判定部44が特定摩耗が存在すると判定した場合、特定摩耗の情報と特定位置とを外部に送信する。つまり、状態監視装置20は、後続車両に対して軌道情報提供装置90(先行車両)として機能し、軌道情報提供装置90の説明を適用してもよい。
図26、図27も参照して、ブレーキ制御装置80の動作の一例を説明する。図26は、ブレーキ制御装置80の動作S140を示すフローチャートである。図27は、ブレーキ制御装置80の動作S140を模式的に示す図である。この動作は制動開始位置を制御する動作である。動作S140の説明における「制動」は、特に断りのない限り、接触ブレーキ18dによる制動を示す。また、軌道情報提供装置90は先行する別車両101である。この動作は車両100の走行中に実行される。
図27(A)は、軌道8に特定摩耗8dが存在し、この軌道8上を先行する別車両101と、別車両101に後続する車両100とが進行方向に進行する場合を示す。この図に示すように、別車両101は、特定摩耗8dを検知した場合、特定摩耗8dを検知した位置(特定位置)で軌道情報Jxを送信する。車両100は、軌道情報Jxを受信する。
軌道情報Jxを受信しない通常運転では、図27の第1パターンに示すように、車両100は、予め設定された設定位置Tで制動を開始する。自動運転では、設定位置Tは毎回同じで、この位置に特定摩耗が発生する可能性がある。設定位置Tは、記憶部46に記憶される。
動作S140が開始されると、判定部44は、経路上の軌道8に特定摩耗8dがあるか否かを判定する(ステップS141)。このステップで、判定部44は、軌道情報提供装置90(先行する別車両101)から送信された軌道情報Jxの特定摩耗8dの有無に基づいて判定する。特定摩耗8dがない場合(ステップS141のN)、ブレーキ制御部60は、動作S140を終了する。
特定摩耗8dがある場合(ステップS141のY)、ブレーキ制御部60は、特定摩耗8dが存在する特定位置が、車両100の設定位置Tであるか否かを判定する(ステップS142)。特定位置が、設定位置Tでない場合(ステップS142のN)、ブレーキ制御部60は、動作S140を終了する。
特定位置が、設定位置Tである場合(ステップS142のY)、ブレーキ制御部60は、特定位置よりも先の位置(遅い位置)で制動開始したときに、過度な制動を用いることなく車両100が許容停車範囲内で停車可能か否かを判定する(ステップS143)。例えば、通常制動による制動距離が許容停車範囲までの距離よりも短い場合に停車可能と判定できる。
車両100が許容停車範囲内で停車可能の場合(ステップS143のY)、ブレーキ制御部60は、図27の第2パターンに示すように、車両100が特定位置を通過した後に制動を開始する(ステップS144)。ステップS144を実行したら、ブレーキ制御部60は、動作S140を終了する。
車両100が許容停車範囲内で停車できない場合(ステップS143のN)、ブレーキ制御部60は、図27の第3パターンに示すように、特定位置よりも前の位置(早い位置)で制動開始する(ステップS145)。
制動開始したら、ブレーキ制御部60は、車両100が特定位置に到達したか否かを判定する(ステップS146)。車両100が特定位置に未到達の場合(ステップS146のN)、ブレーキ制御部60は、処理をステップS145の先頭に戻し、制動状態を維持する。
車両100が特定位置に到達した場合(ステップS146のY)、ブレーキ制御部60は、制動を停止する(ステップS147)。この場合の制動停止には、狭義の制動停止と、僅かに制動力を生じさせる実質的な制動停止とが含まれる。
制動を停止したらブレーキ制御部60は、車両100が特定位置を通過したか否かを判定する(ステップS148)。車両100が特定位置を未通過の場合(ステップS148のN)、ブレーキ制御部60は、処理をステップS147の先頭に戻し、制動停止状態を維持する。
車両100が特定位置を通過した場合(ステップS148のY)、ブレーキ制御部60は、制動を再開する(ステップS149)。ステップS149を実行したら、ブレーキ制御部60は、動作S140を終了する。この動作S140は、あくまでも一例であって、ステップの順序を入れ替えたり、一部のステップを追加・削除・変更したりしてもよい。このように、動作S140によれば、制動開始位置を特定位置の前後に分散させることができる。このことにより、摩耗の進行を遅らせて軌道の交換頻度を減らせる。
ブレーキ制御装置80の動作は、各種の変形が可能である。例えば、ステップS143の判定は、予め機械学習により生成された学習モデルM7を用いて判定してもよい。学習モデルM7は、車両速度と、制動開始位置と、制動距離との過去の実測データを教師データとして機械学習(教師有り学習)により生成できる。学習モデルM7は、記憶部46に記憶されてもよい。
ブレーキ制御装置80の動作は、自動運行される車両について特に有効であるが、運転者が運転する非自動運行の車両についても適用可能である。この場合、制動開始位置を運転者に報知する報知部(不図示)を設けてもよい。運転者は、報知部の報知タイミングで、接触ブレーキ18dを作動させることができる。
本実施形態の状態監視装置20の特徴を説明する。状態監視装置20では、取得部30は、車両100の台車10に取り付けられた画像センサを含む。画像センサ30gを台車10に取り付ける場合、台車10外部からの異物の付着を抑制できる。状態監視装置20では、取得部30は軌道8の歪みに関する歪み情報を取得する歪みセンサを含んでもよい。この場合、軌道8の歪みに基づいて制動開始位置を分散させ、摩耗の均一化を図れる。
[第8実施形態]
図1、図2、図28〜図30を参照して、本発明の第8実施形態の鉄道用状態監視装置20と鉄道用ブレーキ制御装置80とを説明する。本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とは、鉄道車両100に搭載される。図28は、本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とを概略的に示すブロック図である。
鉄道車両では、車両重量により加速や減速などの運動特性が変化するため、ブレーキ受量器を用いて、車両重量に応じて回生ブレーキ、接触ブレーキを制御する。このため、車両重量を高精度に把握することが重要である。例えば、台車10と車体2との間に配置される空気ばね12sを用いて、空気ばね12sの変位とばね定数とに基づいて車両重量を算出することが考えられる。しかし、この方法では、空気ばね12sにレベリングバルブの不感帯と検知用のリンク装置のガタツキ等があるために、ばね定数が非線形となり、誤差が大きくなる。
これらのことから、本発明者らは、台車枠12とばね下部14との間に配置される軸ばね12jに着目し、軸ばね12jの変位とばね定数とに基づいて車両重量を算出する技術を案出した。
そこで、本実施形態の状態監視装置20は、軌道8上の鉄道車両100の台車10と軌道8との間の距離に関する情報(以下、本明細書では「距離情報J8」という)を取得する取得部30と、取得部30で取得された距離情報J8に基づいて車両100の重量を判定する判定部44とを備える。この場合、距離情報J8に基づいて軌道8の車両重量を監視できる。この技術では、空気ばね12sを用いた場合に比べて車両重量の算定精度を向上できる。また、この技術は、空気ばねを有しない車両にも適用できる。
例えば、乗客数がゼロの状態の実測値を基準に、軸ばね12jの変位の変化分から車両重量(=乗客数の変化)を算出できる。具体的には、車両重量の変化に応じて軸ばね12jが撓んで上下に伸縮するので、台車枠12から軌道8までの上下方向の距離を測定することで、車両重量を算出できる。
図29は、前方から見た台車10を模式的に示す図である。図30は、側面から見た台車10を模式的に示す図である。図29に示すように、取得部30は、台車10の台車枠12に取り付けられ、それぞれ幅方向両側の軌道8までの距離を計測する複数の距離センサ30ka、30kbを含んでいる。複数の距離センサ30ka、30kbを用いるので、車体2の重量バランスが幅方向の一方に偏っている場合の誤差を小さくできる。本実施形態の距離センサ30ka、30kbは、それぞれ幅方向両側の側梁12e、12fの下面に取り付けられる。
距離センサ30kaは、一方の側梁12eの下面において軌道8の上面(踏面)までの距離Hkaを測定し、距離センサ30kbは、他方の側梁12fの下面において軌道8の上面(踏面)までの距離Hkbを測定する。距離センサ30ka、30kbは、照射したレーザの反射光に基づいて離隔距離を取得するレーザ式変位センサである。距離センサ30ka、30kbは、レーザ式変位センサに代えて、超音波センサ、光学センサ等の公知のセンサであってもよい。距離Hka、Hkbの測定結果は、距離情報J8として提供される。
図30に示すように、複数の距離センサ30ka、30kbは、台車10の前輪と後輪の間の中央位置で軌道までの距離を計測する。本実施形態で中央位置は、厳密な中央位置に限定されず、目視で中央位置と判断できる場合を含む。中央位置で距測するので、車体2の重量バランスが前後の一方に偏っている場合の誤差を小さくできる。また、この場合、車輪から離れた位置で距測するので、車輪16と軌道7の接触面の状態による影響を小さくできる。なお、距離センサ30ka、30kbは、中央位置から前後に偏倚した位置に配置されてもよい。
図30の例では、側梁12e、12fは、前後方向において、中央部が両端部より下側に位置する。距離センサ30ka、30kbは、側梁12e、12fの前後両端部よりも下側に位置する部分に設けられてもよいし、最も軌道8に接近した部分に設けられてもよい。
図28に示すように、本実施形態は、判定部44の判定結果E8を台車10の外部に送信する送信部48を有している。送信部48は、判定結果E8を外部に報知する報知部として機能する。
また、本実施形態は、図28に示すように、車両重量の判定結果E8に応じて、ブレーキ18のかけ方を変えるブレーキ制御装置80を含む。ブレーキ制御装置80は、軌道8上の鉄道車両100の台車10と軌道8との間の距離に関する距離情報J8を取得する取得部30と、取得部30で取得された距離情報J8に基づいて車両100の重量を判定する判定部44と、判定部44の判定結果E8に基づいて車両100のブレーキ18の制動力または作動タイミングを変化させるブレーキ制御部60とを備える。この場合、距離情報J8に応じてブレーキ18のかけ方を変えることができる。ブレーキの制御動作については後述する。
本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80の主な構成を説明する。図28に示すように、状態監視装置20は、取得部30と、情報処理部40と、電力供給部70と、位置情報取得部82とを備える。また、ブレーキ制御装置80は、取得部30と、情報処理部40と、判定部44と、ブレーキ制御部60とを備える。情報処理部40は、記憶部46と、送信部48と、送信制御部42とを含む。これらの各要素の構成および動作には、特に断りのない限り、第1実施形態の説明が適用される。
位置情報取得部82は、位置情報Jpを情報処理部40に提供する。取得部30は、台車10の台車枠12に設けられ、距離Hka、Hkbを含む距離情報J8を情報処理部40に提供する。
記憶部46は、取得部30で取得された距離情報J8を一時的に記憶する。記憶部46は、距離情報J8をその取得タイミングと関連づけて記憶できる。記憶部46は、距離情報J8をその取得した軌道上の位置の位置情報Jpと関連づけて記憶できる。記憶部46は、距離情報J8に関して、過去に取得された過去データ、製造時またはメンテナンス時の初期データおよび設計上の設計データを記憶できる。
判定部44は、取得部30で取得された距離情報J8に基づいて車両重量を判定し、その判定結果E8を提供する。具体的には、判定部44は、距離情報J8から算出された車両重量を、予め設定された閾値を用いて判定する。判定結果E8は、算出された車両重量をそのレベルに応じて複数のランクに分類した結果である。例えば、判定結果E8は、距離情報J8を2ランクに分類した結果であってもよいし、より細かく3以上のランクに分類した結果であってもよい。本実施形態の判定結果E8は、車両重量が閾値より大きいか否かを示す。
また、車両重量をランク分けをせずに、車両重量に応じて、力行制御とブレーキ制御の車両重量に関するパラメータを自動で変更してもよい。例えば、車両重量をブレーキ指令に応じた一定の減速度を発揮するように制御を行うブレーキ受量器に入力してもよい。ブレーキ受量器は、車両重量に応じて回生ブレーキ、接触ブレーキを制御する。
送信部48は、判定部44の判定結果E8を台車10の外部に送信する。この場合、外部で判定結果E8を利用できる。この例では、送信部48は、台車枠12に設けられている。送信部48は、車体2に設けられてもよい。この例では、送信部48は、判定結果E8を車体2の運転台2dに送信する。送信部48は、判定結果E8を車両100の外部の地上指令所84のコンピュータ84cやクラウドシステムに送信してもよい。つまり、送信部48は、判定結果E8を台車10の外部に報知できる。
送信部48は、判定部44の判定結果E8が車両重量が閾値より大きいことを示す場合に、ブレーキ制御部60に対してブレーキ制御信号Bcを送信する。ブレーキ制御部60は、送信部48から送信されたブレーキ制御信号Bcに応じて、接触ブレーキ18dの制動力を増力するか、または、接触ブレーキ18dの制動開始タイミングを早くするように制御する。ブレーキ制御装置80の動作は後述する。
判定部44とブレーキ制御部60とは、台車10または車体2に設けられる。この場合、これらを振動の少ない場所に配置できるので、振動による影響を緩和できる。
状態監視装置20の動作の一例を説明する。状態監視装置20は、距離情報J8に関して、乗客数がゼロの状態における過去データ、初期データおよび設計データのいずれかを基準値として、距離情報J8に関して、新たに取得された距離情報J8との差分により車両重量を算出する。状態監視装置20は、算出された車両重量が閾値より大きいか否かを判定し、その判定結果E8を台車10の外部に送信する。状態監視装置20のこの動作は、一定時間ごとに実行されてもよい。
誤差を減らす観点から、状態監視装置20の動作は、予め設定された特定位置で実行されることが望ましい。特定位置は基準位置であってもよく、例えば軌道が水平な位置が選択されてもよい。状態監視装置20は、位置情報Jpに基づいて動作してもよい。
状態監視装置20の動作は、車両100の停止中または走行中に実行されてもよい。車輪16の局部摩耗の影響を回避して測定精度を高めるために、車輪16を少なくとも1回転させた間に取得されたデータを統計的に処理した値(例えば、平均値)を距離情報J8としてもよい。この場合、車輪16の局部摩耗の影響を抑制できる。
ブレーキ制御装置80の動作の一例を説明する。ブレーキ制御装置80は、算出された車両重量をブレーキ受量器に入力し、車両重量に応じて必要な制動力を算出する。また、ブレーキ制御装置80は、算出された車両重量を外部に送信して、車両重量を制御パラメータとして車両の力行制御と制動制御とを行う。ブレーキ制御装置80のこの動作は、一定時間ごとに実行されてもよい。
軸ばね12jの変位と車両重量との関係が非線形で、距離センサ30ka、30kbの検知結果から車両重量を算出することが困難な場合がある。例えば、車両重量は、予め機械学習により生成された学習モデルM8を用いて算出されてもよい。学習モデルM8は、距離センサ30ka、30kbの検知結果と、車両重量との過去の実測データを教師データとして機械学習(教師有り学習)により生成できる。学習モデルM8は、記憶部46に記憶されてもよい。
[第9実施形態]
図1、図2、図31〜図34を参照して、本発明の第9実施形態の鉄道用状態監視装置20と鉄道用ブレーキ制御装置80とを説明する。本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とは、鉄道車両100に搭載される。図31は、本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80とを概略的に示すブロック図である。
鉄道車両100の車輪16が軌道8を走行すると、軌道8との摩擦、制輪子18bとの摩擦、雨による滑走等の要因により、車輪16の踏面16bが磨耗(損傷を含む)する。このような磨耗は不均一に進行することがあり、磨耗が過度に進行すると、乗り心地が悪くなり、車両100に悪影響を及ぼす可能性もある。このため、車輪16の磨耗量を把握し、磨耗が過度に進行する前に、車輪転削等の車輪16のメンテナンスをすることが望ましい。
また、車輪16の踏面16bの直径(以下、本実施形態では「車輪径」という)は、車両100の力行制御やブレーキ制御における重要なパラメータとして設定されている。このため、車輪径を把握し、車輪径が過度に変化する前に、車輪径の変化量に応じてパラメータを変更することが望ましい。
車輪16の磨耗量および車輪径変化量(以下、本実施形態では「車輪形状変化量」と総称する)を測定するために、車庫にて車輪径測定装置等の専用装置を用いて特別な測定作業を行うことが考えられる。しかし、この方法は、測定精度を高めるためには複雑な計算が必要であり、大規模な専用装置を用いるためコスト的に不利である。
これらのことから、本発明者らは、台車10と軌道8との間の基準距離に対する新たに実測した台車10と軌道8との間の距離の変化分から車輪形状変化量を算出する技術を案出した。
そこで、本実施形態の状態監視装置20は、軌道8上の鉄道車両100の台車10と軌道8との間の距離に関する情報(以下、本明細書では「距離情報J9」という)を取得する取得部30と、取得部30で取得された距離情報J9と予め設定された基準距離情報Jsとに基づいて台車10の車輪16の形状変化量を判定する判定部44とを備える。この場合、距離情報J9に基づいて軌道8の車輪形状変化量を監視できる。
例えば、基準距離情報Jsは、水平な軌道8で乗客数がゼロの空車状態で、実測または設定された台車10と軌道8との間の距離であってもよい。基準距離情報Jsは、過去に実測された過去データ、製造時またはメンテナンス時の初期データおよび設計時に設定された設計データのいずれかであってもよい。本実施形態の基準距離情報Jsは、製造時またはメンテナンス時の初期データに基づいて設定される。
図32は、前方から見た台車10を模式的に示す図である。図33は、一方の側面から見た台車10を模式的に示す図である。図34は、他方の側面から見た台車10を模式的に示す図である。図32に示すように、取得部30は、台車10の台車枠12に取り付けられ、互いに幅方向両側に離間して配置され、それぞれ軌道8までの距離を計測する第1距離センサ30pと第2距離センサ30sを含んでいる。幅方向両側に離れて配置された第1距離センサ30pと第2距離センサ30sとを用いるので、車体2の重量バランスが幅方向の一方に偏っている場合の誤差を小さくできる。本実施形態の第1距離センサ30p、第2距離センサ30sは、それぞれ幅方向両側の側梁12e、12fの下面に取り付けられる。
第1距離センサ30pは、台車10の前輪16fと後輪16rの間で前後に離間して配置される複数(2つ)のセンサユニット30pa、30pbを含む。センサユニット30pa、30pbは、一方の側梁12eの下面において軌道8の上面(踏面)までの距離Hpa、Hpbを計測する。第2距離センサ30sは、台車10の前輪16fと後輪16rの間で前後に離間して配置される複数(2つ)のセンサユニット30sa、30sbを含む。センサユニット30sa、30sbは、他方の側梁12fの下面において軌道8の上面(踏面)までの距離Hsa、Hsbを計測する。
センサユニット30pa、30pb、30sa、30sbは、照射したレーザの反射光に基づいて離隔距離を取得するレーザ式変位センサである。センサユニット30pa、30pb、30sa、30sbは、レーザ式変位センサに代えて、超音波センサ、光学センサ等の公知のセンサであってもよい。距離Hpa、Hpb、Hsa、Hsbの測定結果は、距離情報J9として提供される。
図33、34に示すように、センサユニット30pa、30saは、台車10の中央位置より前輪16fに寄った位置に配置され、センサユニット30pb、30sbは、台車10の中央位置より後輪16rに寄った位置に配置される。このように、センサユニットを4つの車輪16それぞれに対応して配置することにより、4つの車輪16それぞれの車輪形状変化量を測定できる。また、センサユニットを車輪16に近づけて配置することにより、車輪形状変化量の測定誤差を減らすことができる。
なお、図33、図34の例では、側梁12e、12fは、前後方向において、中間部が両端部より下側に位置する。センサユニット30pa、30pb、30sa、30sbは、側梁12e、12fの前後両端部よりも下側に位置する部分に設けられてもよいし、最も軌道8に接近した部分に設けられてもよい。
図31に示すように、本実施形態は、判定部44の判定結果E9を台車10の外部に送信する送信部48を有している。送信部48は、判定結果E9を外部に報知する報知部として機能する。
また、本実施形態は、図31に示すように、車輪形状変化量の判定結果E9に応じて、ブレーキ18のかけ方を変えるブレーキ制御装置80を含む。ブレーキ制御装置80は、軌道8上の鉄道車両100の台車10と軌道8との間の距離に関する距離情報J9を取得する取得部30と、取得部30で取得された距離情報J9と、予め設定された基準距離情報Jsとに基づいて台車10の車輪16の形状変化量を判定する判定部44と、判定部44の判定結果に基づいて車両100のブレーキ18の制動力または作動タイミングを変化させるブレーキ制御部60とを備える。この場合、距離情報J9に応じてブレーキ18のかけ方を変えることができる。ブレーキの制御動作については後述する。
本実施形態の状態監視装置20とブレーキ制御装置80の主な構成を説明する。図31に示すように、状態監視装置20は、取得部30と、情報処理部40と、電力供給部70と、位置情報取得部82とを備える。また、ブレーキ制御装置80は、取得部30と、情報処理部40と、ブレーキ制御部60とを備える。情報処理部40は、判定部44と、記憶部46と、送信部48と、送信制御部42とを含む。これらの各要素の構成および動作には、特に断りのない限り、第1実施形態の説明が適用される。
位置情報取得部82は、位置情報Jpを情報処理部40に提供する。取得部30は、台車10の台車枠12に設けられ、距離Hpa、Hpb、Hsa、Hsbを含む距離情報J9を情報処理部40に提供する。
記憶部46は、取得部30で取得された距離情報J9を一時的に記憶する。記憶部46は、距離情報J9をその取得タイミングと関連づけて記憶できる。記憶部46は、距離情報J9をその取得した軌道上の位置の位置情報Jpと関連づけて記憶できる。記憶部46は、基準距離情報Jsとして、過去に取得された過去データ、製造時またはメンテナンス時の初期データおよび設計上の設計データを記憶できる。
判定部44は、取得部30で取得された距離情報J9と基準距離情報Jsとに基づいて車輪形状変化量を判定し、その判定結果E9を提供する。判定結果E9は、基準距離情報Jsからの距離情報J9の差分として算出された車輪形状変化量であってもよい。また、判定結果E9は、予め設定された閾値を用いて、算出された車輪形状変化量を複数のランクに分類した結果であってもよい。例えば、判定結果E9は、距離情報J9を2ランクに分類した結果であってもよいし、より細かく3以上のランクに分類した結果であってもよい。
本実施形態の判定結果E9は、車輪形状変化量のうち磨耗量について、「磨耗量が少ない」、「磨耗量が中程度」、「磨耗量が多い」の3ランクに分類した結果である。例えば、判定結果E9が「磨耗量が少ない」ことを示す場合には、当面、メンテナンス時期に到達しないと予測できる。例えば、判定結果E9が「磨耗量が中程度」であることを示す場合には、半年後に車輪転削等のメンテナンス時期に到達すると予測できる。例えば、判定結果E9が「磨耗量が多い」ことを示す場合には、3ヶ月以内に車輪転削等のメンテナンス時期に到達すると予測できる。
本実施形態の判定結果E9は、車輪形状変化量のうち車輪径変化量について、「変化量が少ない」、「変化量が中程度」、「変化量が多い」の3ランクに分類した結果である。例えば、判定結果E9が車輪径の「変化量が中程度」または「変化量が多い」ことを示す場合には、その変化量に応じて車両100の力行制御とブレーキ制御の車輪径に関するパラメータを変更してもよい。
また、車輪形状変化量のうち車輪径変化量については、ランク分けをせずに、車輪径変化量に応じて、力行制御とブレーキ制御の車輪径に関するパラメータを自動変更するようにしてもよい。例えば、車輪径変化量をブレーキ指令に応じた一定の減速度を発揮するように制御を行うブレーキ受量器に入力してもよい。ブレーキ受量器は、車輪径変化量に応じて回生ブレーキ、接触ブレーキを制御する。
送信部48は、判定部44の判定結果E9を台車10の外部に送信する。この場合、外部で判定結果E9を利用できる。この例では、送信部48は、台車枠12に設けられている。送信部48は、車体2に設けられてもよい。この例では、送信部48は、判定結果E9を車体2の運転台2dに送信する。送信部48は、判定結果E9を車両100の外部の地上指令所84のコンピュータ84cやクラウドシステムに送信してもよい。つまり、送信部48は、判定結果E9を台車10の外部に報知できる。
送信部48は、判定部44の判定結果E9が車輪径の「変化量が中程度」または「変化量が多い」ことを示す場合には、ブレーキ制御部60に対してブレーキ制御信号Bcを送信する。ブレーキ制御部60は、送信部48から送信されたブレーキ制御信号Bcに応じて、接触ブレーキ18dの制動力を増力するか、または、接触ブレーキ18dの制動開始タイミングを早くするように制御する。
判定部44とブレーキ制御部60とは、台車10または車体2に設けられる。この場合、これらを振動の少ない場所に配置できるので、振動による影響を緩和できる。
状態監視装置20の動作の一例を説明する。状態監視装置20は、予め設定された期間ごとに距離情報J9を取得し、取得された距離情報J9と基準距離情報Jsとに基づいて形状変化量を判定するように動作する。予め設定された期間は、1日、1週間、1ヶ月などであってもよい。本実施形態は、1日ごとに始業時または終業時にこの動作を行う。
誤差を減らす観点から、状態監視装置20の動作は、予め設定された特定位置で実行されることが望ましい。特定位置は、車庫(ピット、留置線を含む)などの基準位置であってもよく、軌道が水平な位置が望ましい。状態監視装置20は、位置情報Jpに基づいて動作してもよい。状態監視装置20の動作は、水平な軌道上で空車であれば車庫以外で実行されてもよい。
状態監視装置20の動作は、車両100の停止中または走行中に実行されてもよい。車輪16の局部摩耗の影響を回避して測定精度を高めるために、車輪16を少なくとも1回転させた間に取得されたデータを統計的に処理した値(例えば、平均値)を距離情報J9としてもよい。この場合、車輪16の局部摩耗の影響を抑制できる。
ブレーキ制御装置80の動作の一例を説明する。ブレーキ制御装置80は、算出された車輪形状変化量をブレーキ受量器に入力し、車輪形状変化量に応じて必要な制動力を算出してもよい。また、算出された車輪形状変化量を外部に送信して、車輪形状変化量を制御パラメータとして車両の力行制御と制動制御とを行う。ブレーキ制御装置80のこの動作は、一定時間ごとに実行されてもよい。
第1距離センサ30p、第2距離センサ30sの検知結果と車輪形状変化量(磨耗量または車輪径変化量)との関係が非線形で、第1距離センサ30p、第2距離センサ30sの検知結果から車輪形状変化量を算出することが困難な場合がある。例えば、車輪形状変化量は、予め機械学習により生成された学習モデルM9を用いて算出されてもよい。学習モデルM9は、第1距離センサ30p、第2距離センサ30sの検知結果と、車輪形状変化量との過去の実測データを教師データとして機械学習(教師有り学習)により生成できる。学習モデルM9は、記憶部46に記憶されてもよい。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。上述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除などの多くの設計変更が可能である。上述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。
[変形例]
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
第1実施形態の説明では、車輪径情報は、台車枠12から車輪16の踏面16bまでの距離に基づいて取得される例を示したが、本発明はこれに限定されない。車輪径情報は、台車枠12から軌道8までの距離に基づいて取得されてもよい。台車枠12から軌道8までの距離を計測することにより、車両100の重量の変化(=乗客数の変化)を検知できる。乗客数がゼロの状態での測定値との差分により車両100の重量を把握できる。
車両100の重量の変化に応じて軸ばね12jが撓んで上下に伸縮するので、台車枠12から軌道8までの上下方向の距離を測定することで、車両100の重量を把握できる。台車枠12から軌道8までの上下方向の距離は、超音波センサ、光学センサなどで測定できる。車両100の重量が一定の条件では、軸ばね12jの撓みは一定であり、台車枠12から軌道8までの距離は車輪径の変化に応じて変化する。したがって、車両100の重量が一定の条件で台車枠12から軌道8までの距離を測定することにより、車輪径を算出できる。
台車枠12から軌道8までの距離は、台車枠12の幅方向中央および前後方向中央で測定することが望ましい。この場合、車軸16sの影響を抑制できる。また、車両100の重量が同じ条件で、時間が異なる2つの時点での、台車枠12から軌道8までの距離を比較して、基準車輪径からの差を求めることにより、現在の車輪径を把握できる。複数の車輪16の間の車輪径を比較することで、最小車輪径に合わせて複数の車輪16を転削して車輪径を合わせることができる。
上述の各実施形態は、踏面ブレーキを備える例を示したが、実施形態の説明と矛盾しない範囲で、踏面ブレーキに代えてディスクブレーキを備えてもよい。
上述の変形例は、各実施形態と同様の作用・効果を奏する。
上述した実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
2 車体、 8 軌道、 10 台車、 12 台車枠、 14 ばね下部、 16 車輪、 16b 踏面、 18 ブレーキ、 18b 制輪子、 18c 制動部材、 18d 接触ブレーキ、 18e 回生ブレーキ、 20 状態監視装置、 30 取得部、 30b 振動センサ、 30c 速度センサ、 30d 加速度センサ、 30e 音センサ、 30f 光センサ、 30g 画像センサ、 30h 温度センサ、 30j 湿度センサ、 30k、30p、30s 距離センサ、 30m 傾斜センサ、 44 判定部、 46 記憶部、 48 送信部、 60 ブレーキ制御部、 70 電力供給部、 80 ブレーキ制御装置、 100 車両。

Claims (75)

  1. 鉄道車両の台車に取り付けられ、振動、速度、加速度、音、反射光、画像、温度、湿度および車輪径のうち1以上の状態に関する状態情報を取得する取得部と、
    前記台車に取り付けられ、前記取得部で取得された前記状態情報に基づいて前記台車が走行する軌道の状態または前記台車の状態の判定を行いその判定結果を提供する判定部と、
    前記台車に取り付けられ、前記判定結果を前記台車の外部に送信する送信部と、
    前記台車に取り付けられ、前記取得部および前記送信部に電力を供給する電力供給部と
    を備える鉄道用状態監視装置。
  2. 前記取得部で取得された情報を一時的に記憶する記憶部を有する請求項1に記載の鉄道用状態監視装置。
  3. 前記鉄道車両の位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
    前記送信部は前記位置情報取得部で取得された前記位置情報に基づいて前記台車が予め設定された位置にあるときに前記判定結果を前記台車の外部に送信する請求項1または2に記載の鉄道用状態監視装置。
  4. 前記送信部は前記判定結果が所定の条件を満たすときに前記判定結果を前記台車の外部に送信する請求項1から3のいずれかに記載の鉄道用状態監視装置。
  5. 前記電力供給部は前記台車に取り付けられた発電機と当該発電機によって充電されるバッテリとを含み、
    前記送信部は前記バッテリの蓄電残量が予め設定されたレベルより大きいときに前記判定結果を前記台車の外部に送信する請求項1から4のいずれかに記載の鉄道用状態監視装置。
  6. 前記送信部は通信相手との間の通信状態が予め設定されたレベルより高いときに前記判定結果を前記台車の外部に送信する、請求項1から5のいずれかに記載の鉄道用状態監視装置。
  7. 前記送信部は台車枠に取り付けられ、前記取得部は前記台車枠からばねを介して支持されるばね下部に取り付けられる請求項1から6のいずれかに記載の鉄道用状態監視装置。
  8. 前記判定部は、予め取得された状態情報と当該状態情報に対応する軌道の状態または台車の状態とをもとに機械学習により生成された学習モデルを用いて前記判定を行う請求項1から7のいずれかに記載の鉄道用状態監視装置。
  9. 前記台車に取り付けられ、前記学習モデルを生成するモデル生成部を備え、
    前記モデル生成部は、新たに取得された状態情報と当該状態情報に対応する軌道の状態または台車の状態とをもとに前記学習モデルを更新する請求項8に記載の鉄道用状態監視装置。
  10. 振動、速度、加速度、音、反射光、画像、温度、湿度および車輪径のうち1以上の状態に関する状態情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記状態情報に基づいて本台車が走行する軌道の状態または本台車の状態の判定を行いその判定結果を提供する判定部と、
    前記判定結果を本台車の外部に送信する送信部と、
    前記取得部および前記送信部に電力を供給する電力供給部と
    が取り付けられる鉄道車両の台車。
  11. 台車と、
    前記台車に取り付けられ振動、速度、加速度、音、反射光、画像、温度、湿度および車輪径のうち1以上の状態に関する状態情報を取得する取得部と、
    前記台車に取り付けられ前記取得部で取得された前記状態情報に基づいて前記台車が走行する軌道の状態または前記台車の状態の判定を行いその判定結果を提供する判定部と、
    前記台車に取り付けられ前記判定結果を前記台車の外部に送信する送信部と、
    前記台車に取り付けられ前記取得部および前記送信部に電力を供給する電力供給部と
    を備える鉄道車両。
  12. 鉄道車両の台車に取り付けられ、前記台車における振動に関する振動情報と前記車両の速度情報とを取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記振動情報および前記速度情報に基づいて前記台車の車輪の摩耗状態の判定を行いその判定結果を提供する判定部と
    を備える鉄道用状態監視装置。
  13. 前記判定部は台車について予め取得された参照用振動情報と当該参照用振動情報に対応する車輪の摩耗状態の実測データとをもとに機械学習により生成された学習モデルを用いて前記車輪の摩耗状態を判定する請求項12に記載の鉄道用状態監視装置。
  14. 前記判定部は前記台車の互いに離れた複数の箇所について取得した複数の振動情報に基づいて前記車輪の摩耗状態を判定する請求項12または13に記載の鉄道用状態監視装置。
  15. 前記振動情報は前記台車の台車枠または前記台車枠からばねを介して支持される部分に取り付けられたセンサによって取得される請求項12から14のいずれかに記載の鉄道用状態監視装置。
  16. 前記判定部は前記台車枠または前記台車の外部に設けられる請求項15に記載の鉄道用状態監視装置。
  17. 前記判定部の判定結果を前記台車の外部に送信する送信部を備える請求項12から16のいずれかに記載の鉄道用状態監視装置。
  18. 本台車の振動に関する振動情報を取得するセンサと、
    前記振動情報と車両の速度情報とに基づいて車輪の摩耗状態を判定する判定部と
    が取り付けられる鉄道車両の台車。
  19. 台車と、
    前記台車に取り付けられ当該台車の振動に関する振動情報を取得するセンサと、
    前記振動情報と車両の速度情報とに基づいて車輪の摩耗状態を判定する判定部と、
    前記判定部の判定結果を受け取る装置が設けられる車体と
    を備える鉄道車両。
  20. 鉄道車両の台車において制輪子を制動部材に押し当てて制動力を発生させたときに当該台車における音に関する音情報または振動に関する振動情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記音情報または前記振動情報に基づいて前記制輪子または前記制動部材のブレーキ鳴きの発生状態を判定する判定部と、
    前記判定部がブレーキ鳴きが発生していると判定した場合に、前記ブレーキ鳴きが減るように前記制動力を変化させるブレーキ制御部と
    を備える鉄道用ブレーキ制御装置。
  21. 前記判定部は前記音情報または前記振動情報が予め設定された判定条件を満たすときにブレーキ鳴きが発生していると判定する
    請求項20に記載の鉄道用ブレーキ制御装置。
  22. 前記判定部は、参照用音情報または参照用振動情報とブレーキ鳴きの発生状態の実測データとをもとに予め機械学習により生成された学習モデルを用いてブレーキ鳴きの発生状態を判定する
    請求項20に記載の鉄道用ブレーキ制御装置。
  23. 前記学習モデルは、前記参照用音情報または前記参照用振動情報に加えて、前記制輪子の材料、前記制輪子の形状、前記制輪子の押し当て力、車両の速度、前記制輪子の振動数および制動力のいずれかと、ブレーキ鳴きの発生状態との実測データを参照して機械学習により生成される
    請求項22に記載の鉄道用ブレーキ制御装置。
  24. 前記学習モデルは、前記制輪子が予め設定された程度まで摩耗したら更新される
    請求項22または23に記載の鉄道用ブレーキ制御装置。
  25. 前記鉄道車両は、接触ブレーキと回生ブレーキとを備え、
    前記取得部は、前記接触ブレーキが作動し、且つ、前記回生ブレーキが作動していないときに前記音情報または前記振動情報を取得する
    請求項20から24のいずれかに記載の鉄道用ブレーキ制御装置。
  26. 前記取得部は前記台車の台車枠からばねを介して支持される部分に取り付けられる請求項20から25のいずれかに記載の鉄道用ブレーキ制御装置。
  27. 前記判定部は前記台車の台車枠または前記台車の外部に設けられる請求項20から26のいずれかに記載の鉄道用ブレーキ制御装置。
  28. 本台車において制輪子を制動部材に押し当てて制動力を発生させたときに当該台車における音に関する音情報または振動に関する振動情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記音情報または前記振動情報に基づいて前記制輪子または前記制動部材のブレーキ鳴きの発生状態を判定する判定部と、
    前記判定部がブレーキ鳴きが発生していると判定した場合に、前記ブレーキ鳴きが減るように前記制動力を変化させるブレーキ制御部と
    を備える鉄道車両の台車。
  29. 台車と、
    前記台車に取り付けられ当該台車において制輪子を制動部材に押し当てて制動力を発生させたときに当該台車における音に関する音情報または振動に関する振動情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記音情報または前記振動情報に基づいて前記制輪子または前記制動部材のブレーキ鳴きの発生状態を判定する判定部と、
    前記判定部がブレーキ鳴きが発生していると判定した場合に、前記ブレーキ鳴きが減るように前記制動力を変化させるブレーキ制御部と
    を備える鉄道車両。
  30. 鉄道車両の台車において制輪子を制動部材に押し当てて制動力を発生させたときに当該台車における音に関する音情報または振動に関する振動情報に基づいて前記制輪子または前記制動部材のブレーキ鳴きを検知する鉄道用状態監視装置。
  31. 軌道上の鉄道車両の台車の車軸の傾斜に関する傾斜情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記傾斜情報に基づいて車輪の摩耗状態に関する車輪状態または前記軌道の幅方向両側の不等状態に関する軌道状態を判定する判定部と
    を備える鉄道用状態監視装置。
  32. 前記判定部は前記車両の前記車軸とは別の車軸の傾斜に関する別の傾斜情報を参照して前記車輪状態または前記軌道状態を判定する請求項31に記載の鉄道用状態監視装置。
  33. 前記判定部は前記軌道の別の地点で取得された別地点の傾斜情報を参照して前記車輪状態または前記軌道状態を判定する請求項31に記載の鉄道用状態監視装置。
  34. 前記判定部は前記軌道の同一地点に関して過去に取得された過去の傾斜情報を参照して前記車輪状態または前記軌道状態を判定する請求項31に記載の鉄道用状態監視装置。
  35. 前記判定部は前記軌道の同一地点に関して先行または後続する別車両で取得される別車両の傾斜情報を参照して前記車輪状態または前記軌道状態を判定する請求項31に記載の鉄道用状態監視装置。
  36. 前記判定部は前記軌道または別の軌道の比較用の地点で取得された比較用の傾斜情報を参照して前記車輪状態または前記軌道状態を判定する請求項31に記載の鉄道用状態監視装置。
  37. 前記判定部は、前記台車の台車枠または前記台車枠からばねを介して支持される部分に取り付けられた振動センサによって取得される振動情報を参照して前記車輪状態または前記軌道状態を判定する請求項31から36のいずれかに記載の鉄道用状態監視装置。
  38. 本台車の車軸の傾斜に関する傾斜情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記傾斜情報に基づいて車輪の摩耗に関する車輪状態または軌道の幅方向両側の不等状態に関する軌道状態を判定する判定部と
    が取り付けられる鉄道車両の台車。
  39. 台車と、
    前記台車に取り付けられ当該台車の車軸の傾斜に関する傾斜情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記傾斜情報に基づいて車輪の摩耗に関する車輪状態または軌道の幅方向両側の不等状態に関する軌道状態を判定する判定部と
    を備える鉄道車両。
  40. 軌道上を走行するときの車両の台車における振動に関する振動情報または前記軌道の画像に関する画像情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記振動情報または前記画像情報に基づいて前記軌道の同一地点に関して別の時期に取得された別の振動情報または別の画像情報を参照して前記軌道の状態に関する軌道状態を判定する判定部と
    を備える鉄道用状態監視装置。
  41. 前記判定部は、同一の地点について、前記振動情報または前記画像情報に基づいて軌道状態に異常があると評価され、且つ、前記別の振動情報または前記別の画像情報に基づいて軌道状態に異常があると評価された場合に、当該地点に軌道異常があると判定する請求項40に記載の鉄道用状態監視装置。
  42. 前記判定部が軌道異常があると判定したとき、前記判定部の判定結果を前記台車の外部に報知する報知部をさらに備える請求項41に記載の鉄道用状態監視装置。
  43. 前記振動情報または前記画像情報は、前記台車に設けられた振動センサまたは画像センサにより取得される請求項40から42のいずれかに記載の鉄道用状態監視装置。
  44. 前記別の振動情報または前記別の画像情報は、前記車両が属する列車の別の車両の別の台車に設けられた振動センサまたは画像センサにより取得される請求項43に記載の鉄道用状態監視装置。
  45. 前記取得部は前記台車の台車枠または前記台車枠からばねを介して支持される部分に取り付けられ、
    前記判定部は前記台車枠に取り付けられる請求項43または44に記載の鉄道用状態監視装置。
  46. 軌道上を走行するときに本台車における振動に関する振動情報または前記軌道に関する画像情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記振動情報または前記画像情報に基づいて前記軌道の同一地点に関して別の時期に取得された別の振動情報または別の画像情報を参照して前記軌道の状態に関する軌道状態を判定する判定部と
    が取り付けられる鉄道車両の台車。
  47. 鉄道の軌道上を走行可能な台車と、
    前記台車に取り付けられ軌道上を走行するときの前記台車における振動に関する振動情報または前記軌道に関する画像情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記振動情報または前記画像情報に基づいて前記軌道の同一地点に関して別の時期に取得された別の振動情報または別の画像情報を参照して前記軌道の状態に関する軌道状態を判定する判定部と
    を備える鉄道車両。
  48. 制輪子を踏面に押し当てて制動力を発生させる接触ブレーキと回生ブレーキとを有する鉄道車両の台車において前記踏面の表面性状に関する踏面情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記踏面情報に基づいて前記踏面の平滑状態を判定する判定部と
    を備える鉄道用状態監視装置。
  49. 制輪子を踏面に押し当てて制動力を発生させる接触ブレーキと回生ブレーキとを有する鉄道車両の台車において前記踏面の表面性状に関する踏面情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記踏面情報に基づいて前記踏面の平滑状態を判定する判定部と、
    前記判定部で判定された前記平滑状態に基づいて前記接触ブレーキの制動力または作動タイミングを変化させるブレーキ制御部と
    を備えるブレーキ制御装置。
  50. 前記ブレーキ制御部は前記判定部で判定された前記平滑状態が予め設定された基準よりも平滑である場合に前記接触ブレーキの制動力を大きくする請求項49に記載のブレーキ制御装置。
  51. 前記ブレーキ制御部は前記接触ブレーキの制動力を大きくしたことで、前記平滑状態が前記基準よりも平滑でなくなったときに、前記接触ブレーキの制動力を小さくする請求項50に記載のブレーキ制御装置。
  52. 前記取得部は前記踏面からの反射光を検知する光センサの検知結果または前記踏面を撮像する画像センサの撮像結果を前記踏面情報として提供する請求項49から51のいずれかに記載のブレーキ制御装置。
  53. 前記ブレーキ制御部は前記車両の速度を参照して前記接触ブレーキの制動力または作動タイミングを変化させる請求項49から52のいずれかに記載のブレーキ制御装置。
  54. 制輪子を踏面に押し当てて制動力を発生させる接触ブレーキと回生ブレーキとを有し、
    前記踏面の表面性状に関する踏面情報を取得する取得部が取り付けられる鉄道車両の台車。
  55. 鉄道の軌道上を走行可能な台車と、
    制輪子を踏面に押し当てて制動力を発生させる接触ブレーキおよび回生ブレーキと、
    前記台車に取り付けられ前記踏面の表面性状に関する踏面情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記踏面情報に基づいて前記踏面の平滑状態を判定する判定部と、
    前記判定部で判定された前記平滑状態に基づいて前記接触ブレーキの制動力または作動タイミングを変化させるブレーキ制御部と
    を備える鉄道車両。
  56. 鉄道車両が走行する軌道の摩耗に関する軌道情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記軌道情報を送信する送信部と
    を備える鉄道用状態監視装置。
  57. 前記取得部は前記車両の先頭または前記車両の台車に取り付けられた画像センサを含む請求項56に記載の鉄道用状態監視装置。
  58. 前記取得部は前記軌道の歪みに関する歪み情報を取得する歪みセンサを含む請求項56に記載の鉄道用状態監視装置。
  59. 制輪子を踏面に押し当てて制動力を発生させる接触ブレーキおよび回生ブレーキを有する鉄道車両が走行する軌道の摩耗に関する軌道情報と前記車両の位置に関する位置情報とを取得する情報取得部と、
    前記情報取得部で取得された前記軌道情報と前記位置情報とに基づいて前記接触ブレーキの制動開始位置を決定するブレーキ制御部を備えるブレーキ制御装置。
  60. 鉄道車両が走行する軌道の摩耗に関する軌道情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記軌道情報を当該取得部の外部に送信する送信部と
    が取り付けられる鉄道車両の台車。
  61. 制輪子を踏面に押し当てて制動力を発生させる接触ブレーキと、
    回生ブレーキと、
    本車両が走行する軌道の摩耗に関する軌道情報を取得する情報取得部と、
    本車両の位置に関する位置情報と前記情報取得部で取得された前記軌道情報とに基づいて前記接触ブレーキの制動開始位置を決定するブレーキ制御部と
    を備える鉄道車両。
  62. 軌道上の鉄道車両の台車と前記軌道との間の距離に関する距離情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記距離情報に基づいて前記車両の重量を判定する判定部と
    を備える鉄道用状態監視装置。
  63. 前記取得部は、前記台車の台車枠に取り付けられ、それぞれ幅方向両側の前記軌道までの距離を計測する複数の距離センサを含む請求項62に記載の鉄道用状態監視装置。
  64. 前記複数の距離センサは、前記台車の前輪と後輪の間の中央位置で前記軌道までの距離を計測する請求項63に記載の鉄道用状態監視装置。
  65. 前記判定部の判定結果を前記台車の外部に送信する送信部を有する請求項62から64のいずれかに記載の鉄道用状態監視装置。
  66. 軌道上の鉄道車両の台車と前記軌道との間の距離に関する距離情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記距離情報に基づいて前記車両の重量を判定する判定部と、
    前記判定部の判定結果に基づいて前記車両のブレーキの制動力または作動タイミングを変化させるブレーキ制御部と
    を備えるブレーキ制御装置。
  67. 走行する軌道までの距離に関する距離情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記距離情報を当該取得部の外部に送信する送信部と
    が取り付けられる鉄道車両の台車。
  68. 鉄道の軌道上を走行可能な台車と、
    前記台車と前記軌道との間の距離に関する距離情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記距離情報に基づいて本車両の重量を判定する判定部と
    を備える鉄道車両。
  69. 軌道上の鉄道車両の台車と前記軌道との間の距離に関する距離情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記距離情報と予め設定された基準距離情報とに基づいて前記台車の車輪の形状変化量を判定する判定部と
    を備える鉄道用状態監視装置。
  70. 前記取得部は、前記台車の台車枠に取り付けられ、互いに幅方向両側に離間して配置され、それぞれ前記軌道までの距離を計測する第1距離センサと第2距離センサとを含む請求項69に記載の鉄道用状態監視装置。
  71. 前記第1距離センサおよび前記第2距離センサは、前記台車の前後輪の間で前後に離間して配置されて前記軌道までの距離を計測する複数のセンサユニットを含む請求項70に記載の鉄道用状態監視装置。
  72. 前記判定部の判定結果を前記台車の外部に送信する送信部を有する請求項69から71のいずれかに記載の鉄道用状態監視装置。
  73. 軌道上の鉄道車両の台車と前記軌道との間の距離に関する距離情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記距離情報と予め設定された基準距離情報とに基づいて前記台車の車輪の形状変化量を判定する判定部と、
    前記判定部の判定結果に基づいて前記車両のブレーキの制動力または作動タイミングを変化させるブレーキ制御部と
    を備えるブレーキ制御装置。
  74. 車輪と、
    前記車輪が走行するための軌道までの距離に関する距離情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記距離情報を当該取得部の外部に送信する送信部と
    が取り付けられる鉄道車両の台車。
  75. 車輪を有し鉄道の軌道上を走行可能な台車と、
    前記台車と前記軌道との間の距離に関する距離情報を取得する取得部と、
    前記取得部で取得された前記距離情報と予め設定された基準距離情報とに基づいて前記台車の車輪の形状変化量を判定する判定部と
    を備える鉄道車両。
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