以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、実施形態により、この発明が限定されるものではない。
まず、図1および図2を用いて、セルフPOSシステムの構成について説明する。図1は、実施形態に係る無線タグ読取装置1を備えたセルフPOSシステム10を示す斜視図である。セルフPOSシステム10は、顧客が自身で購入する商品に付された無線タグの読取操作および決済操作を行う装置である。図1に示すように、セルフPOSシステム10は、無線タグ読取装置1と会計装置3を備える。
無線タグ読取装置1は、商品に付された無線タグから発信されたタグ情報(無線タグが付された商品を一意に特定する個品番号を含む)を読み取る装置である。なお、以降、「無線タグから発信されたタグ情報」を「無線タグのタグ情報」という。無線タグ読取装置1は、略長方形状であって上面が平面の載置台Sを備える。無線タグ読取装置1は、載置台Sの上面に第1載置部26と第2載置部27を備える。第1載置部26は、顧客が購入する商品を直接または間接的に載置するエリアである。商品を間接的に載置するとは、例えば一または複数の商品が入れられたカゴを載置することである。以降、実施形態では、一または複数の商品が入れられたカゴKを第1載置部26に載置するとして説明する。
第1載置部26は、略四角形状の第1発光部19を備える。第1発光部19は、例えばLED(Light Emitting Diode)で構成される。第1発光部19は、第1載置部26付近を、例えばロの字状(四角い枠状)に発光する。第1発光部19は、発光することで、購入する商品が入れられたカゴKを第1載置部26に載置することを顧客に促す。また、第1発光部19は、発光することで、カゴKを載置する第1載置部26の目安の位置を示す。
第2載置部27は、第1載置部に隣接または近接して設けられる。第2載置部27は、第1載置部26に載置されたカゴKに入れられた商品を取り出して移動して直接または間接的に載置させるエリアである。商品を間接的に載置するとは、例えば、載置台に設置された袋Fに商品を入れることである。以降、実施形態では、第2載置部27に設置された袋Fに商品を入れるとして説明する。第2載置部27は、略四角形状の第2発光部20を備える。第2発光部20は、例えばLEDで構成される。第2発光部20は、第2載置部27付近を、例えばロの字状(四角い枠状)に発光する。第2発光部20は、発光することで、カゴKから取り出した商品を移動させて袋Fに入れることを顧客に示す。また、第2発光部20は、発光することで、移動させた商品を載置する第2載置部27の目安の位置を示す。
図2は、無線タグ読取装置1におけるアンテナを示す説明図である。無線タグ読取装置1は、第1アンテナ17と第2アンテナ18を備える。第1アンテナ17は、第1載置部26に近接した、載置台Sの裏側に取り付けられる。第1アンテナ17は、第1領域17Yに電波を放射する。放射する電波は所定の周波数を有する正弦波の搬送波である。カゴKを第1載置部26に載置すると、カゴKに入れられた商品は、第1領域17Y内(すなわち、第1載置部26付近)に位置する。第1アンテナ17は、放射した電波が届く第1領域17Y内に位置する商品に付された無線タグのタグ情報を受信する。第1領域17Yは、第1載置部26に載置された商品に付された無縁タグのタグ情報を、第1アンテナ17が受信することが可能な領域である。すなわち、第1アンテナ17は、第1載置部26付近に位置する商品に付された無縁タグのタグ情報を受信する。なお、第1アンテナ17から電波を放射している間、第1領域17Y内に位置する無線タグは何度も応答してタグ情報を発信する。第1アンテナ17は、無線タグが発信した複数回のタグ情報を受信する。
第2アンテナ18は、第2載置部27に近接した、載置台Sの裏側に取り付けられる。第2アンテナ18は、第2領域18Yに電波を放射する。放射する電波は所定の周波数を有する正弦波の搬送波である。商品を袋Fに入れると、袋Fに入れられた商品は、第2領域18Y内(すなわち、第1載置部26付近)に位置する。第2アンテナ18は、放射した電波が届く第2領域18Y内に位置する商品に付された無線タグのタグ情報を受信する。第2領域18Yは、第2載置部27に移動された商品に付された無縁タグから第2アンテナ18がタグ情報を受信することが可能な領域である。すなわち、第2アンテナ18は、第1載置部26から移動して第2載置部27付近に位置する商品に付された無縁タグのタグ情報を受信する。なお、第2アンテナ18から電波を放射している間、第2領域18Y内に位置する無線タグは何度も応答し、タグ情報を発信する。第2アンテナ18は、無線タグが発信した複数回のタグ情報を受信する。無線タグ読取装置1は、第1アンテナ17および第2アンテナ18が無縁タグのタグ情報を受信することで、当該タグ情報を読み取る。
ここで、無線タグについて説明する。無線タグは、アンテナ(図4のアンテナTA)と記憶部を備えたタグである。上記記憶部はタグ情報を記憶する。無線タグは、第1アンテナ17および第2アンテナ18から発信された電波をアンテナTAで受信して起電力が生じ、生じた起電力によって記憶部に記憶している、当該無線タグが付された商品のタグ情報を発信する。無線タグが発信するタグ情報は、所定の周波数を有する正弦波(搬送波)に個品番号を含む商品の情報を重畳させた電波である。無線タグは、金属(例えばポテトチップの袋)に接触すると、アンテナTAが機能しないため、記憶しているタグ情報を発信することができない。そのため、第1領域17Y内に位置する無線タグが付された商品を一つずつ第2領域18Yに移動させることで、金属に接している無線タグを金属から離して読ませることができる。
また、無線タグ読取装置1は、表示部21および操作部22を備える。表示部21は顧客に情報を表示する。表示部21は、無線タグ読取装置1が読み取った無線タグのタグ情報に基づいて取得した商品情報(商品名、商品の価格、等)を表示する。表示部21は、第1載置部26に対向した位置に設けられる。操作部22は、表示部21の表示面上に設けられたタッチパネルである。また、無線タグ読取装置1は、読み取ったタグ情報に基づいて取得した商品情報を会計装置3に送信する。
会計装置3は、無線タグ読取装置1から受信した商品情報を受信する。会計装置3は、顧客が決済操作を行うと、受信した商品情報に基づいて決済処理を実行する。決済処理とは、無線タグ読取装置1から受信した商品情報に基づいて、例えば顧客が購入した商品に係る合計金額や税額の表示、現金で決済する場合は、顧客から預かった預り金に基づいて釣銭を計算して表示する処理、商品情報や決済情報(合計金額、預り金額、釣銭額等)を印字したレシートを発行する処理等を含む。
会計装置3は、操作部37および表示部38を備える。表示部38は顧客に情報を表示する。表示部38は、商品情報や決済情報を表示する。操作部37は、表示部38の表示面上に設けられたタッチパネルである。
このようなセルフPOSシステム10において、顧客は、購入する商品が入れられたカゴKを、第1発光部19が発光(点灯または点滅)している第1載置部26に載置する。無線タグ読取装置1は、第1載置部26に載置されたカゴKまたは商品を検知する。無線タグ読取装置1は、カゴKまたは商品を検知すると、第1アンテナ17を駆動して、カゴKに入れられた商品に付されたそれぞれの無線タグのタグ情報を一括して読み取る。ここで、一括して読み取るとは、カゴKに入れられた商品に付されたそれぞれの無線タグのタグ情報を、所定時間内に順次読み取ることを含む。
カゴKまたは商品を検知してから所定時間(例えば3秒)が経過すると、第2発光部20が発光(点灯または点滅)する。第2発光部20が発光すると、第2アンテナ18を駆動する。顧客は、カゴKに入れられた商品を1品ずつ取り出す。この際、顧客は、カゴK内で手に取った商品をカゴKの縁より上方に持ちあげる。すなわち、顧客は、手に取った商品を第1アンテナ17から遠ざける。そして、顧客は、カゴKから取り出した商品を第2領域18Yに移動させる。図2に示すように、第2載置部には商品を入れる袋F(例えばレジ袋や買い物袋)がセットされており、第2領域18Yに移動させた商品を袋Fの中に入れる。すなわち、顧客は、手に取った商品を第2アンテナ18に近づける。商品が第2領域18Yに移動すると、第2アンテナ18は、当該商品に付された無線タグのタグ情報を受信し、無線タグ読取装置1は、当該商品に付された無線タグのタグ情報を読み取る。顧客は、この動作を1品ずつ繰り返し、カゴK内の商品をすべて袋Fに移動させる。商品が袋Fに移動させる毎に、第2アンテナ18は移動した商品に付された無線タグのタグ情報を受信し、無線タグ読取装置1は、当該タグ情報を読み取る。
ここからは、無線タグ読取装置1のハードウェアについて説明する。図3は、無線タグ読取装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、無線タグ読取装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、メモリ部14等を備えている。CPU11は制御主体となる。ROM12は各種プログラムを記憶する。RAM13はプログラムや各種データを展開する。メモリ部14は各種プログラムを記憶する。CPU11、ROM12、RAM13、メモリ部14は、互いにバス15を介して接続されている。CPU11とROM12とRAM13が、制御部100を構成する。すなわち、制御部100は、CPU11がROM12やメモリ部14に記憶されRAM13に展開された制御プログラムに従って動作することによって、後述する無線タグ読取装置1の制御処理を実行する。
RAM13は、第1タグ情報部131、第2タグ情報部132、第3タグ情報部133、第4タグ情報部134、商品情報部135を備える。第1タグ情報部131は、商品が入ったカゴKを第1載置部26に載置した際に、第1アンテナ17がカゴK内の商品に付された無線タグを一括して読み取ったタグ情報を記憶する。すなわち、第1タグ情報部131には、カゴKに入れられたすべての商品に付された無線タグから第1アンテナ17が受信したタグ情報が記憶される。また、第1タグ情報部131は、第1アンテナ17が受信した電波のレベル(強さ)も記憶する。この第1タグ情報部131には、第1アンテナ17が受信した周囲のタグ情報が含まれている可能性がある。しかしながら、周囲のタグ情報の受信のレベルは、カゴKに入れられた商品に付された無線タグのタグ情報のレベルより低い。
第2タグ情報部132は、第2アンテナ18が袋F内の商品に付された無線タグを読み取ったタグ情報を記憶する。すなわち、第2タグ情報部132には、第2領域18Yに移動した商品に付された無線タグから第2アンテナ18が受信したタグ情報が記憶される。また、第2タグ情報部132は、第2アンテナ18が受信した電波のレベル(強さ)も記憶する。この第2タグ情報部132には、周囲のタグ情報が含まれている可能性がある。しかしながら、周囲のタグ情報の受信のレベルは、袋Fに入れられた商品に付された無線タグのタグ情報のレベルより低い。
第3タグ情報部133は、顧客によってカゴKから取り出される際に、第1アンテナ17が受信した当該商品に係る位相が異なるタグ情報を記憶する。1つの商品がカゴKから取り出される過程において、当該商品に付された無線タグが第1アンテナ17から徐々に遠ざかる。その際に、第1アンテナ17は、当該商品のタグ情報であって、位相がそれぞれ異なるタグ情報を複数回受信する。第3タグ情報部133は、受信した位相が異なる複数のタグ情報を記憶する。
第4タグ情報部134は、顧客によってカゴKから取り出された商品を袋Fに入れる際に、第2アンテナ18が受信した当該商品に係る位相が異なるタグ情報を記憶する。1つの商品を袋Fに入れる過程において、当該商品に付された無線タグが第2アンテナ18に徐々に近づく。その際に、第2アンテナ18は、当該商品のタグ情報であって、位相がそれぞれ異なるタグ情報を複数回受信する。第4タグ情報部134は、受信した位相が異なる複数のタグ情報を記憶する。
商品情報部135は、第3タグ情報部133に記憶されたタグ情報のそれぞれの位相が異なり、かつ第4タグ情報部134に記憶されたタグ情報のそれぞれの位相が異なり、かつ第3タグ情報部133に記憶されたタグ情報と第4タグ情報部134に記憶されたタグ情報に含まれる個品番号とが一致した場合(すなわち、同一個品である場合)に、当該タグ情報に基づく商品情報(商品名、価格等)を記憶する。すなわち、商品情報部135は、カゴKから取り出され、かつ当該商品が袋Fに入れられた商品に係る商品情報を記憶する。
メモリ部14は、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disc Drive)、フラッシュメモリ等で構成されており、電源を遮断しても記憶内容を維持する。メモリ部14は、制御プログラム部141と商品マスタ142を備える。制御プログラム部141は無線タグ読取装置1を制御するための制御プログラムを記憶する。商品マスタ142は、個品を特定する個品番号に対応付けて、当該商品の商品情報を記憶する。
制御部100は、バス15とコントローラ16を介して、第1アンテナ17、第2アンテナ18、第1発光部19、第2発光部20、表示部21、操作部22、撮像部23と接続される。表示部21は、例えば液晶表示器である。操作部22は、終了キー221を含むタッチパネルである。終了キー221は、無線タグ読取装置1において無線タグの読み取りを終了し会計操作を行う際に、顧客が操作する。撮像部23は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサで構成され、第1載置部26に載置されたカゴKまたは商品を撮像する。
また、制御部100は、バス15を介して、タイマ25と接続する。タイマ25は時間を計時する。また、制御部100は、バス15を介して、通信部24と接続する。通信部24は、接続線Lを介して、会計装置3と接続し、相互に情報の送受信が可能である。
ここからは、第1アンテナ17および第2アンテナ18と、無線タグTとの距離が変わった場合に、第1アンテナ17および第2アンテナ18が受信するタグ情報の位相が異なる(ずれる)原理について説明する。なお、説明の都合上、代表して第1アンテナ17と無線タグTとの距離が変わった場合に、第1アンテナ17が受信するタグ情報の位相が異なる(ずれる)原理について説明する。第2アンテナ18と無線タグとの距離が変わった場合も、全く同様な原理でタグ情報の位相が異なる。また、無線タグTは、アンテナTAを有する。アンテナTAは、第1アンテナ17から放射された電波(搬送波)を受信する。無線タグTは、アンテナTAが受信した電波によって起電力が生じ、アンテナTAからタグ情報を発信する。
図4(a)は、無線タグTのアンテナTAが第1アンテナ17から距離Aに位置している場合の説明図である。第1アンテナ17から放射された電波は、距離Aだけ進んでアンテナTAが受信する。無線タグTは、アンテナTAが受信した電波に応答して、タグ情報を発信する。発信されたタグ情報は、距離Aだけ進んで第1アンテナ17が受信する。
図4(b)は、無線タグTのアンテナTAが第1アンテナ17から距離Bに位置している場合の説明図である。無線タグTは、カゴKから商品を取り出す過程において距離Aの位置から距離Bの位置に移動した。距離Bの位置は、第1アンテナ17からの距離が、距離Aの位置より距離Mだけ遠い位置である。第1アンテナ17から放射された電波は、距離Bだけ進んでアンテナTAが受信する。無線タグTは、アンテナTAが受信した電波に応答して、タグ情報を発信する。発信されたタグ情報は、距離Bだけ進んで第1アンテナ17が受信する。
図4(b)の場合、第1アンテナ17から放射された電波は図4(a)より距離Mだけ長く進んでアンテナTAに到着する。また、図4(b)の場合、アンテナTAから発信されたタグ情報は、図4(a)より距離Mだけ長く進んで第1アンテナ17に到着する。すなわち、図4(b)の場合、第1アンテナ17から放射された電波がアンテナTAに到達し、アンテナTAから発信されたタグ情報を第1アンテナ17が受信するまでに電波およびタグ情報が進む距離は、図4(a)の場合より距離Mの2倍の距離だけ長い。この距離が長いことにより、図4(b)において第1アンテナ17が受信したタグ情報の位相は、図4(a)において第1アンテナ17が受信したタグ情報の位相と異なる。
図5は、図4(a)において第1アンテナ17が受信したタグ情報と、図4(b)において第1アンテナ17が受信したタグ情報を示す図である。図5において、波形P1は、図4(a)において第1アンテナ17が受信したタグ情報の波形である。また、波形P2は、図4(b)において第1アンテナ17が受信したタグ情報の波形である。図5に示すように、波形P2は、波形P1に比べて約60°位相がずれている。すなわち、第1アンテナ17と無線タグTとの距離が異なると、第1アンテナ17が受信するタグ情報の位相が異なる(ずれる)ことを示す。
例えば、第1アンテナ17が受信するタグ情報の周波数が920MHzの場合、1波長は32cm(=2×M)である。この場合、無線タグが距離Aの位置から0cm〜16cm離れるとタグ情報の位相は0°〜360°ずれる。図5の場合、位相が60°ずれているため、無線タグは距離Aの位置から約2.7cm(=距離M)離れたことになる。顧客が第1載置部26に載置されたカゴKに入れられた商品を取り出そうとして、当該商品を徐々に持ち上げると、第1アンテナ17が受信したタグ情報の位相がずれ初め、16cm上方に持ち上げると最初の位相に戻る。その後、さらに商品を持ち上げると、再度位相がずれる。すなわち、第1アンテナ17が受信した同一商品に係るタグ情報の位相がずれたということは、当該商品がカゴKから持ち上げられた(取り出された)ことを示す。
顧客が、カゴKから当該商品を取り出して、第2領域18Yに備えられた袋Fに商品を入れる動作を行うと、無線タグTは第2領域18Yにおいて徐々に下がり、第2アンテナ18に近づく。すると、第2アンテナ18が最初に受信したタグ情報の位相と比べ、無線タグTが第2アンテナ18に近づくに連れて第2アンテナ18が受信するタグ情報の位相がずれ始め、16cm下方に下がると最初の位相に戻る。その後、さらに商品を袋F内において商品を入れる動作をすると、再度位相がずれる。すなわち、第2アンテナ18が受信した同一商品に係るタグ情報の位相がずれたということは、当該商品が袋F内に入れられたことを示す。
ここからは、会計装置3のハードウェアについて説明する。図6は、会計装置3のハードウェア構成を示すブロック図である。図6に示すように、会計装置3は、CPU31、ROM32、RAM33、メモリ部34等を備えている。CPU31は制御主体となる。ROM32は各種プログラムを記憶する。RAM33はプログラムや各種データを展開する。メモリ部34は各種プログラムを記憶する。CPU31、ROM32、RAM33、メモリ部34は、互いにバス35を介して接続されている。CPU31とROM32とRAM33が、制御部300を構成する。すなわち、制御部300は、CPU31がROM32やメモリ部34に記憶されRAM33に展開された制御プログラムに従って動作することによって、後述する会計装置3の制御処理を実行する。
RAM33は、商品情報部331を備える。商品情報部331は、無線タグ読取装置1から受信した商品情報を記憶する。
メモリ部34は、SSD、HDD、フラッシュメモリ等で構成されており、電源を遮断しても記憶内容を維持する。メモリ部34は、制御プログラム部341を備える。制御プログラム部341は、会計装置3を制御するための制御プログラムを記憶する。
制御部300は、バス35とコントローラ36を介して、操作部37、表示部38、印字部39、カードリーダ40、釣銭機41と接続される。表示部38は、例えば液晶表示器である。操作部37は、決済キー371を含むタッチパネルである。決済キー371は、タグ情報を読み取らせた商品について決済処理を開始する際に、顧客が操作する。
また、制御部300は、バス35を介して、通信部42と接続する。通信部42は、接続線Lを介して無線タグ読取装置1接続し、相互に情報の送受信が可能である。
ここからは、実施形態に係る無線タグ読取装置1の機能構成について説明する。図7は、無線タグ読取装置1の機能構成を示す機能ブロック図である。図7に示すように、無線タグ読取装置1は、制御プログラム部141に記憶され、RAM13に展開された制御プログラムに従うことで、第1読取手段101、第2読取手段102、位相判断手段103、制御手段104として機能する。
第1読取手段101は、第1載置部26付近に位置する商品に付された無線タグから発信されたタグ情報を第1載置部付近に設置された第1アンテナ17を介して読み取る。具体的には、第1読取手段101は、第1載置部26付近(第1領域17Y内)に位置する商品に対して第1アンテナ17から電波を放射し、当該電波を受信した無線タグが発信したタグ情報を第1アンテナ17で受信して読み取る。
第2読取手段102は、第2載置部27付近に位置する商品に付された無線タグから発信されたタグ情報を第2載置部付近に設置された第2アンテナ18を介して読み取る。具体的には、第2読取手段102は、第2載置部27付近(第2領域18Y内)に位置する商品に対して第2アンテナ18から電波を放射し、当該電波を受信した無線タグが発信したタグ情報を第2アンテナ18で受信して読み取る。
位相判断手段103は、第1読取手段101と第2読取手段102の少なくとも一方が複数回読み取った同一商品に係るタグ情報の位相の少なくとも一つが他の位相と異なるかを判断する。具体的には、位相判断手段103は、第1読取手段101が複数回読み取ったタグ情報、第2読取手段102が複数回読み取ったタグ情報のいずれか一方、または双方において、当該読み取った複数のタグ情報の位相の少なくとも一つが、他のタグ情報の位相と異なるかを判断する。実施形態では、位相判断手段103は、第1読取手段101および第2読取手段102がそれぞれ複数回読み取った同一商品に係るタグ情報の位相の少なくとも一つが他の位相と異なるかを判断する。具体的には、位相判断手段103は、第1読取手段101が複数回読み取った同一商品に係るタグ情報の位相の少なくとも一つが他の位相と異なるか、また第2読取手段102が複数回読み取った同一商品に係るタグ情報の位相の少なくとも一つが他の位相と異なるか、を判断する。
制御手段104は、位相の少なくとも一つが他の位相と異なるタグ情報を有効とする。具体的には、制御手段104は、位相判断手段103が位相が異なったと判断したタグ情報に含まれる個品番号に基づいて商品マスタ142を検索して、当該無線タグが付された商品の商品情報を取得し、商品情報部135に記憶する。
ここからは、無線タグ読取装置1の制御について説明する。図8は、無線タグ読取装置1の制御処理の流れを示すフローチャートである。図8に示すように、無線タグ読取装置1の制御部100は、第1発光部19を発光させる(S11)。購入する商品の決済を行う顧客は、商品が入ったカゴKを第1発光部19が発光している第1載置部26に載置する。制御部100は、第1載置部26に載置したカゴKを検知したかを判断する(S12)。撮像部23が、第1載置部26に載置したカゴKを撮像した場合には、制御部100は、第1載置部26に載置したカゴKを検知したと判断する。第1載置部26に載置したカゴKを検知したと判断するまで待機し(S12のNo)、第1載置部26に載置したカゴKを検知したと判断した場合には(S12のYes)、制御部100は、第1アンテナ17を駆動する(S13)。すなわち、制御部100は、第1アンテナ17から電波を放射し、第1領域17Yに位置する商品に付された無線タグのタグ情報を読み取り可能とする。また、制御部100は、タイマ25を起動する。
次に制御部100は、第1アンテナ17が無線タグのタグ情報を受信して読み取ったかを判断する(S14)。無線タグのタグ情報を読み取るまで待機し(S14のNo)、無線タグのタグ情報を読み取ったと判断した場合には(S14のYes)、第1読取手段101は、読み取ったタグ情報を第1タグ情報部131に記憶する(S15)。また、制御部100は、読み取ったタグ情報に含まれる個品番号に基づいて商品マスタ142を検索し、取得した商品情報を表示部21に一覧表示する(S16)。なお、第1アンテナ17はS16以降も継続して駆動しているため、S14の判断とS15の処理は、この後も継続して実行される。例えば、カゴKから商品が取り出されることで商品が移動している間も、S14の判断とS15の処理は実行される。
次に制御部100は、タイマ25が所定時間を計時したかを判断する(S17)。タイマ25が未だ所定時間を計時していない(所定時間に達していない)場合には(S17のNo)、制御部100は、S14に戻り、S14〜S17の処理と判断を繰り返す。
一方、タイマ25が所定時間を計時したと判断した場合には(S17のYes)、制御部100は、タイマ25をリセットし、第1アンテナ17に加えて第2アンテナ18を駆動する(S18)。そして制御部100は、第2発光部20を発光させる(S19)。すなわち、制御部100は、第2アンテナ18から電波を送信し、第2領域18Yに位置する商品に付された無線タグのタグ情報を読み取り可能とする。
次に制御部100は、第2アンテナ18が無線タグのタグ情報を受信して読み取ったかを判断する(S20)。無線タグのタグ情報を読み取るまで待機し(S20のNo)、第2アンテナ18が無線タグのタグ情報を読み取ったと判断した場合には(S20のYes)、第2読取手段102は、読み取ったタグ情報を第2タグ情報部132に記憶する(S21)。なお、S20の判断とS21の処理は、この後も継続して実行される。例えば、カゴKから取り出された商品が袋Fに入れられている間も、S20の判断とS21の処理は実行される。
次に位相判断手段103は、読み取った複数のタグ情報の位相の中に、位相が他のタグ情報の位相と異なる位相が存在するかを判断する(S31)。具体的には、位相判断手段103は、第1タグ情報部131に記憶されているタグ情報の中に、他のタグ情報と位相が異なるタグ情報が存在するかを判断する。異なる位相が存在するまで待機し(S31のNo)、位相判断手段103が第1タグ情報部131に記憶されているタグ情報の中に、他のタグ情報と位相が異なるタグ情報が存在すると判断した場合には(S31のYes)、制御部100は、位相が異なるタグ情報を第3タグ情報部133に記憶する(S32)。
次に位相判断手段103は、読み取った複数のタグ情報の位相の中に、位相が他のタグ情報の位相と異なる位相が存在するかを判断する(S33)。具体的には、位相判断手段103は、第2タグ情報部132に記憶されているタグ情報の中に、他のタグ情報と位相が異なるタグ情報が存在するかを判断する。異なる位相が存在するまで待機し(S33のNo)、位相判断手段103が第2タグ情報部132に記憶されているタグ情報の中に、他のタグ情報と位相が異なるタグ情報が存在すると判断した場合には(S33のYes)、制御部100は、位相が異なるタグ情報を第4タグ情報部134に記憶する(S34)。
次に制御部100は、第3タグ情報部133に記憶したタグ情報と第4タグ情報部134に記憶したタグ情報が同一商品のタグ情報であるかを判断する(S35)。具体的には、第3タグ情報部133に記憶したタグ情報に含まれる個品番号と第4タグ情報部134に記憶したタグ情報に含まれる個品番号とが一致しているかを判断する(S35)。第3タグ情報部133に記憶したタグ情報に含まれる個品番号と第4タグ情報部134に記憶したタグ情報に含まれる個品番号とが一致している場合、カゴKから取り出された商品が袋Fに入れられたことを示す。第3タグ情報部133に記憶したタグ情報と第4タグ情報部134に記憶したタグ情報が同一商品のタグ情報であると判断した場合には(S35のYes)、制御手段104は、位相の少なくとも一つが他の位相と異なるタグ情報を有効とする(S36)。すなわち、制御手段104は、一致した個品番号に基づいて商品マスタ142を検索して当該商品の商品情報を取得し、商品情報部135に記憶する(S36)。
次に制御部100は、カゴKに入れられているすべての商品が袋Fに移動したかを判断する(S37)。制御部100は、第1タグ情報部131に記憶されている、周囲のタグ情報以外のすべてのタグ情報が、第3タグ情報部133に記憶されている場合、カゴKに入れられているすべての商品が袋Fに移動したと判断する。周囲のタグ情報であるか否かは、第1アンテナ17が受信した電波のレベルで判断可能である。すなわち、制御部100は、第1タグ情報部131に記憶されているタグ情報のうち、レベルが低いタグ情報以外のタグ情報がすべて第3タグ情報部133に記憶された場合、カゴKに入れられているすべての商品が袋Fに移動したと判断する。
カゴKに入れられているすべての商品が袋Fに移動していないと判断した場合には(S37のNo)、制御部100は、S31に戻り、S31〜S37を繰り返す。また、カゴKに入れられているすべての商品が袋Fに移動したと判断した場合には(S37のYes)、制御部100は、取得した商品情報を表示部21に一覧表示する(S38)。次に制御部100は、終了キー221が操作されたかを判断する(S39)。終了キー221が操作されるまで待機し(S39のNo)、終了キー221が操作されたと判断した場合には(S39のYes)、制御部100は、商品情報部135に記憶されている商品情報を会計装置3に送信する(S40)。そして制御部100は、第1アンテナ17と第2アンテナ18を非駆動状態とする(S41)。そして制御部100は、第2発光部20を消光する(S42)。そして制御部100は、S11に戻る。
なお、S35において、第3タグ情報部133に記憶したタグ情報と第4タグ情報部134に記憶したタグ情報が同一商品のタグ情報ではないと判断した場合には(S35のNo)、制御部100は、エラーを報知する(S43)。そして制御部100は、すべての処理を中止してS11に戻る。また、S36において、制御手段104が商品の商品情報を取得して商品情報部135に記憶した際に、第3タグ情報部133と第4タグ情報部134に記憶されている、当該商品のタグ情報をクリアする。
ここからは、会計装置3の制御について説明する。図9は、会計装置3の制御処理の流れを示すフローチャートである。図9に示すように、会計装置3の制御部300は、無線タグ読取装置1がS40の処理で送信した商品情報を受信したかを判断する(S51)。商品情報を受信するまで待機し(S51のNo)、無線タグ読取装置1がS40の処理で送信した商品情報を受信したと判断した場合には(S51のYes)、制御部300は、受信した商品情報を商品情報部331に記憶する(S52)。
次に制御部300は、決済キー371が操作されたかを判断する(S53)。ここで、決済キー371は、現金、クレジットカード、商品券、電子マネー等の異なるメディアで決済するためのそれぞれの決済キーを含む。S53では、いずれかのメディアで決済する決済キーが操作されたかを判断する。
決済キー371が操作されるまで待機し(S53のNo)、決済キー371が操作されたと判断した場合には(S53のYes)、制御部300は、商品情報部331に記憶された商品情報に基づいて、操作された決済キー371に基づく決済処理を実行する(S54)。そして制御部300は、S51に戻る。
このような実施形態によれば、無線タグ読取装置1は、商品を載置するための第1載置部26と、第1載置部26付近に位置する商品に付された無線タグから発信されたタグ情報を第1載置部26付近に設置された第1アンテナ17で受信して読み取る第1読取手段101と、第1載置部26に載置された商品を移動させて載置するための第2載置部27と、第2載置部27付近に位置する商品に付された無線タグから発信されたタグ情報を第2載置部27付近に設置された第2アンテナ18を介して読み取る第2読取手段102と、第1読取手段101と第2読取手段102の少なくとも一方が複数回読み取った同一商品に係るタグ情報の位相の少なくとも一つが他の位相と異なるかを判断する位相判断手段103と、位相の少なくとも一つが他の位相と異なるタグ情報を有効とする制御手段104と、を備える。そのため、第1載置部26付近から第2載置部27付近に移動した商品に付された無線タグのみが有効とされる。したがって、周囲のタグ情報を無効とすることが可能となる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、実施形態では、第1アンテナ17が受信した複数のタグ情報(すなわち、第3タグ情報部133に記憶されているタグ情報)の位相が、それぞれ他の位相と異なっている場合、および第2アンテナ18が受信した複数のタグ情報(すなわち、第4タグ情報部134に記憶されているタグ情報)の位相が、それぞれ他の位相と異なっている場合に、制御手段104は、当該タグ情報を有効とした。しかしながらこれに限らず、第1アンテナ17が受信した複数のタグ情報の位相が、それぞれ他の位相と異なっている場合、または第2アンテナ18が受信した複数のタグ情報の位相が、それぞれ他の位相と異なっている場合に、制御手段104は、当該タグ情報を有効としてもよい。例えば、図8において、S31の処理において、第1タグ情報部131に記憶されているタグ情報の中に、他のタグ情報と位相が異なるタグ情報が存在すると判断した場合には(S31のYes)、当該タグ情報を発信する無線タグが付された商品はカゴKから取り出された商品であるとして、S36の処理を行うようにしてもよい。また、S33の処理において、第2タグ情報部132に記憶されているタグ情報の中に、他のタグ情報と位相が異なるタグ情報が存在すると判断した場合には(S33のYes)、当該タグ情報を発信する無線タグが付された商品はカゴKから取り出された商品であるとして、S36の処理を行うようにしてもよい。
また、実施形態では、第3タグ情報部133に記憶されているタグ情報と、第4タグ情報部134に記憶されているタグ情報は、すべて位相が異なるタグ情報であるとして説明した。しかしながらこれに限らず、第3タグ情報部133に記憶されているタグ情報と、第4タグ情報部134に記憶されているタグ情報は、2種類以上の異なる位相のタグ情報が記憶されていればよい。第3タグ情報部133および第4タグ情報部134に、それぞれ2種類以上の異なる位相のタグ情報が記憶されていれば、当該タグ情報の商品は、第1載置部26付近から第2載置部27付近に移動したとすることができる。
また、実施形態では、第1領域17Yに位置する商品に付された無線タグのタグ情報を第1アンテナ17で受信するようにした。しかしながらこれに限らず、第1領域17Yに位置する商品に付された無線タグのタグ情報を、第1アンテナ17に加えて、第1載置部26付近に備えられた他のアンテナを含めて複数のアンテナで受信するようにしてもよい。同様に、第2領域18Yに位置する商品に付された無線タグのタグ情報を、第2アンテナ18に加えて、第2載置部27付近に備えられた他のアンテナを含めて複数のアンテナで受信するようにしてもよい。
また、実施形態では、撮像部23がカゴKや商品を撮像して、第1載置部26においてカゴKや商品を検知したか(S12の判断)を判断した。しかしながらこれに限らず、例えば、光学センサや重量センサを用いて第1載置部26においてカゴKや商品を検知したかを判断するようにしてもよい。
また、実施形態では、無線タグ読取装置1がセルフPOSシステム10の一構成として説明した。しかしながらこれに限らず、無線タグ読取装置1は、例えば通常のPOS端末やセミセルフ型のPOS端末の一構成であってもよい。
なお、実施形態の無線タグ読取装置1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
また、実施形態の無線タグ読取装置1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、実施形態の無線タグ読取装置1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
また、実施形態の無線タグ読取装置1で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。