以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による鋼管用継手を示す斜視図である。また、図2は、図1の第1鋼管1及び第2鋼管2が鋼管用継手3を介して互いに接続されている状態を示す正面図である。さらに、図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。また、図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。
図において、第1鋼管1及び第2鋼管2は、地盤中に打ち込まれる杭として用いられている。第1鋼管1の接続端部1aは、地盤中に埋設する杭の長さを延長するために、第2鋼管2の接続端部2aに鋼管用継手3を介して同一軸線上で接続される。第1鋼管1及び第2鋼管2のそれぞれは、円管である。この例では、第1鋼管1の内径が第2鋼管2の内径と同一であり、第1鋼管1の外径が第2鋼管2の外径と同一である。
鋼管用継手3は、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に固定された複数の突起部材4と、第1鋼管1の接続端部1a及び第2鋼管2の接続端部2aのそれぞれに接続される本体部材5と、第1鋼管1の接続端部1aが本体部材5に接続された状態を保持する保持構造部6とを有している。
複数の突起部材4は、第1鋼管1の周方向へ互いに間隔をあけて配置されている。この例では、複数の突起部材4が第1鋼管1の周方向へ等間隔に配置されている。また、この例では、4つの突起部材4が第1鋼管1の接続端部1aの外周面に固定されている。各突起部材4は、第1鋼管1の外周面から径方向外側へ突出している。この例では、第1鋼管1の接続端部1aの端面の位置よりも第1鋼管1の中間部に近い位置に各突起部材4が配置されている。
各突起部材4は、第1鋼管1の軸線方向及び周方向のそれぞれに沿って配置されている。これにより、各突起部材4の長手方向は、第1鋼管1の軸線方向と一致している。また、各突起部材4の幅方向は、第1鋼管1の周方向と一致している。さらに、各突起部材4の厚さ方向は、第1鋼管1の径方向と一致している。
図5は、図1の突起部材4を示す斜視図である。また、図6は、図5の突起部材4を示す側面図である。さらに、図7は、図5の突起部材4を示す上面図である。各突起部材4には、突起第1端面4a、突起第2端面4b、一対の突起側面4c、突起外面4d及び突起内面4eが形成されている。
突起第1端面4a及び突起第2端面4bは、突起部材4の長手方向で互いに対向している。これにより、突起第1端面4a及び突起第2端面4bは、第1鋼管1の軸線方向に直交している。突起第2端面4bは、突起第1端面4aよりも第1鋼管1の接続端部1aの端面に近い位置に位置している。
一対の突起側面4cは、突起部材4の幅方向で互いに対向している。これにより、一対の突起側面4cは、第1鋼管1の接続端部1aの周方向に直交している。従って、一対の突起側面4cのそれぞれを延長した平面は、第1鋼管1の中心軸線を通る平面となっている。即ち、一対の突起側面4cは、互いに平行ではない。
突起外面4d及び突起内面4eは、突起部材4の厚さ方向で互いに対向している。これにより、突起外面4d及び突起内面4eは、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に合わせて湾曲した曲面となっている。第1鋼管1の接続端部1aの外周面には、各突起部材4の突起内面4eが接触している。
突起部材4には、段差部41が形成されている。一方、突起第1端面4aには、段差部41が形成されていない。
段差部41は、突起第2端面4b及び一対の突起側面4cのそれぞれに第1鋼管1の接続端部1aの外周面から離して形成されている。この例では、第1鋼管1の接続端部1aの外周面から一定の距離だけ離して段差部41が突起第2端面4b及び一対の突起側面4cのそれぞれに形成されている。従って、突起第2端面4bにおける段差部41は、第1鋼管1の周方向に沿って湾曲して形成されている。また、一対の突起側面4cのそれぞれにおける段差部41は、第1鋼管1の軸線方向に沿って直線上に形成されている。第1鋼管1の周方向における突起部材4の寸法は、段差部41の径方向外側よりも段差部41の径方向内側で小さくなっている。
各突起部材4は、図1に示すように、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に溶接部42を介して固定されている。即ち、溶接部42は、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に突起部材4を固定している。溶接部42は、突起第2端面4b及び一対の突起側面4cのそれぞれと第1鋼管1の接続端部1aの外周面との境界に設けられている。一方、突起第1端面4aと第1鋼管1の接続端部1aの外周面との境界には、溶接部42が設けられていない。
突起第2端面4b及び一対の突起側面4cのそれぞれでは、段差部41よりも第1鋼管1の接続端部1aの外周面に近い領域が溶接許容領域となっており、第1鋼管1の接続端部1aの外周面から段差部41よりも遠い領域が溶接禁止領域となっている。第1鋼管1の周方向における突起部材4の寸法は、段差部41に対して径方向外側よりも段差部41に対して径方向内側で小さくなっている。突起第2端面4b及び一対の突起側面4cのそれぞれでは、溶接許容領域から外れることなく溶接許容領域内に溶接部42が設けられている。
本体部材5は、図1に示すように、第1継手接続部5aと、第2継手接続部5bとを有している。第1継手接続部5a及び第2継手接続部5bは、本体部材5の軸線方向で互いに繋がっている。この例では、第1継手接続部5aが第2継手接続部5bと同軸に配置されている。また、この例では、第1継手接続部5a及び第2継手接続部5bが互いに繋がった形状を持つ鉄製の鋳物によって本体部材5が構成されている。さらに、この例では、本体部材5の軸線方向における第2継手接続部5bの寸法が、本体部材5の軸線方向における第1継手接続部5aの寸法よりも小さくなっている。第1継手接続部5aには、第1鋼管1の接続端部1aが接続される。第2継手接続部5bには、第2鋼管2の接続端部2aが接続される。
図8は、図1の本体部材5を示す斜視図である。また、図9は、図8の本体部材5を示す正面図である。さらに、図10は、図8の本体部材5を示す下面図である。また、図11は、図8の本体部材5を示す上面図である。第1継手接続部5aは、筒状部51と、筒状部51に設けられた受け部52とを有している。
筒状部51の形状は、本体部材5の軸線方向に沿った円筒状である。本体部材5の軸線方向一端部には、筒状部51の開口部が第1鋼管挿入口511として形成されている。筒状部51の内径は、第1鋼管1の接続端部1aの外径よりも僅かに大きくなっている。これにより、第1鋼管1の接続端部1aは、第1鋼管挿入口511から筒状部51に本体部材5の軸線方向へ挿入可能になっている。
筒状部51の内周面には、複数の筒状部内溝55が筒状部51の周方向へ互いに間隔をあけて形成されている。この例では、4つの筒状部内溝55が筒状部51の周方向へ等間隔に形成されている。各筒状部内溝55は、本体部材5の軸線方向に沿って形成された挿入用溝551と、挿入用溝551の側面から筒状部51の周方向へ張り出した収容空間552とを有している。
挿入用溝551は、第1鋼管挿入口511の位置で本体部材5の軸線方向外側へ開放されている。挿入用溝551の軸線方向の長さは、突起部材4の長手方向の長さよりも長くなっている。各挿入用溝551には、第1鋼管1の接続端部1aの筒状部51への挿入に伴って突起部材4が本体部材5の軸線方向へ挿入される。
収容空間552の軸線方向の長さは、挿入用溝551の軸線方向の長さよりも短くなっている。また、収容空間552の軸線方向の長さは、突起部材4の長手方向の長さよりも長くなっている。これにより、収容空間552には、突起部材4が収容可能になっている。
受け部52は、筒状部51の第2継手接続部5b側の端部に設けられている。また、受け部52は、筒状部51から径方向内側へ本体部材5の全周にわたって突出している。さらに、受け部52は、本体部材5の軸線方向に直交している。これにより、受け部52は、筒状部51に挿入された第1鋼管1の接続端部1aを受ける。受け部52が第1鋼管1の接続端部1aを受けている状態では、第1鋼管1が本体部材5と同軸に配置されている。また、受け部52が第1鋼管1の接続端部1aを受けている状態では、各突起部材4が受け部52から離れている。本体部材5には、受け部52及び第2継手接続部5bを本体部材5の軸線方向へ貫通する断面円形状の貫通孔56が設けられている。
第1鋼管1の接続端部1aが筒状部51に挿入されて受け部52が第1鋼管1の接続端部1aを受けている状態では、第1鋼管1の接続端部1aが筒状部51に対して本体部材5の軸線を中心に回転することにより、挿入用溝551に位置する非収容位置と、収容空間552に位置する収容位置との間で各突起部材4が移動可能になっている。
即ち、第1鋼管1の接続端部1aが筒状部51に挿入された状態では、筒状部51が第1鋼管1の接続端部1aに対して正方向へ回転することにより各突起部材4が非収容位置から収容位置へ移動する。また、第1鋼管1の接続端部1aが筒状部51に挿入された状態では、筒状部51が第1鋼管1の接続端部1aに対して逆方向へ回転することにより各突起部材4が収容位置から非収容位置へ移動する。
筒状部51は、円筒状の外壁512と、外壁512の内周面の一部から径方向内側へ張り出した複数の内壁513とを有している。複数の内壁513は、筒状部51の周方向へ互いに間隔をあけて設けられている。各筒状部内溝55は、筒状部51の周方向で互いに隣り合う2つの内壁513の間に形成されている。
各内壁513は、図8に示すように、筒状部51の軸線方向一端部から軸線方向他端部に達している仕切り壁部514と、仕切り壁部514から筒状部51の周方向へ延びているストッパ壁部515とを有している。
仕切り壁部514には、収容空間552の内面の一部を形成する仕切り面514aが形成されている。
ストッパ壁部515は、本体部材5の軸線方向で収容空間552よりも外側に位置している。従って、ストッパ壁部515は、収容空間552よりも第1鋼管挿入口511に近い位置に設けられている。ストッパ壁部515には、収容空間552の内面の一部を形成するストッパ面515aが形成されている。
各突起部材4が収容位置にある状態、即ち各突起部材4が各収容空間552に収容されている状態では、各突起部材4がストッパ面515aに当たることにより、筒状部51から抜ける方向への第1鋼管1の接続端部1aの移動が阻止される。また、各突起部材4が収容位置にある状態では、各突起部材4が仕切り面514aに当たることにより、第1鋼管1の接続端部1aに対する筒状部51の正方向への回転が阻止される。第1鋼管1の接続端部1aは、各突起部材4が収容位置にある状態で第1継手接続部5aに接続されている。
一方、各突起部材4が非収容位置にある状態、即ち各突起部材4が各挿入用溝551に位置している状態では、筒状部51から抜ける方向への第1鋼管1の接続端部1aの移動が許容される。
筒状部51には、筒状部51の外周面から複数の挿入用溝551のいずれか1つに達する1つの貫通穴57が設けられている。従って、貫通穴57は、筒状部51の外周面から1つの挿入用溝551へ筒状部51の外壁512を貫通している。この例では、図8に示すように、収容空間552の位置よりも第1鋼管挿入口511に近い位置に貫通穴57が設けられている。この例では、貫通穴57がボルト通し穴となっている。
第2継手接続部5bは、図9に示すように、胴部53と、胴部53に設けられた溶接取付部54とを有している。
胴部53は、第1継手接続部5aの受け部52に設けられている。溶接取付部54は、胴部53の軸線方向両端部のうち第1継手接続部5a側とは反対側の端部に設けられている。貫通孔56は、胴部53及び溶接取付部54を連続して貫通している。本体部材5の軸線に直交する平面では、胴部53及び溶接取付部54のそれぞれの外形が、本体部材5の軸線を中心とする円形となっている。胴部53の外径は、第1継手接続部5aから溶接取付部54に向かって連続的に小さくなっている。
溶接取付部54の外周面は、本体部材5の軸線方向外側に向かって本体部材5の軸線に近づく方向へ傾斜する傾斜面541となっている。従って、溶接取付部54の外径は、本体部材5の軸線方向外側に向かって連続的に小さくなっている。
溶接取付部54の外径は、胴部53と溶接取付部54との境界で最大になっている。また、溶接取付部54の外径は、本体部材5の軸線方向外側の端部で最小になっている。さらに、溶接取付部54の外径は、溶接取付部54の軸線方向のどの位置でも筒状部51の内径及び外径よりも小さくなっている。
胴部53と溶接取付部54との境界における第2継手接続部5bの外径は、第2鋼管2の接続端部2aの外径と同一となっている。また、貫通孔56の内径は、第2鋼管2の接続端部2aの内径よりも小さくなっている。
保持構造部6は、各突起部材4が収容位置にあるときに収容位置から非収容位置への各突起部材4の移動を阻止する。これにより、保持構造部6は、第1鋼管1の接続端部1aが第1継手接続部5aに接続された状態を保持する。
保持構造部6は、図2〜図4に示すように、回り止め部材としてのプレート61と、プレート61を筒状部51に保持する保持具62とを有している。
プレート61は、挿入用溝551に配置可能な形状になっている。また、プレート61の大きさは、挿入用溝551において貫通穴57の位置よりも第2継手接続部5b側の範囲に収まる大きさとなっている。
図12は、図4のプレート61を示す斜視図である。プレート61は、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に合わせて湾曲した長方形状の鋼板である。これにより、第1鋼管1の接続端部1aが筒状部51に挿入された状態では、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に沿ってプレート61が挿入用溝551に配置可能になる。
各突起部材4が収容位置に達しており、かつプレート61が挿入用溝551に配置されている状態では、4つの突起部材4のうちの1つがプレート61に干渉することにより、第1鋼管1の接続端部1aの逆方向への回転が阻止される。これにより、各突起部材4のそれぞれの収容位置から非収容位置への移動が阻止される。
保持具62は、貫通穴57に通された状態でプレート61を挿入用溝551に保持する。具体的には、保持具62は、貫通穴57に通された状態で挿入用溝551に保持具62の一部を突出させることにより、挿入用溝551から本体部材5の軸線方向外側へ抜ける方向へのプレート61の移動を阻止する。保持具62は、プレート61よりも第1鋼管挿入口511に近い位置で筒状部51に取り付けられる。
保持具62は、通し部材としてのボルト62aと、締付部材としてのナット62bとを有している。ボルト62aのねじ部は、筒状部51の外側から貫通穴57に通されている。ナット62bは、挿入用溝551においてボルト62aのねじ部に取り付けられている。挿入用溝551には、ボルト62aのねじ部とナット62bとが保持具62の一部として突出している。挿入用溝551に配置されたプレート61は、挿入用溝551に突出した保持具62の一部に掛かることにより、挿入用溝551に保持される。
溶接取付部54の傾斜面541は、図4に示すように、第2鋼管2の接続端部2aの端面の内周部分を受けている。この状態では、第2鋼管2の接続端部2aの端面と傾斜面541との間に溶接用の開先が全周にわたって形成されている。また、この状態では、第2鋼管2が本体部材5と同軸に配置されている。
第2鋼管2の接続端部2aの端面と傾斜面541との間には、開先を埋める溶接ビード60が溶接部として溶接取付部54の全周にわたって形成されている。これにより、第2鋼管2の接続端部2aが第2継手接続部5bに接続されている。
次に、第1鋼管1と第2鋼管2との接続方法について説明する。
第1鋼管1を下杭として地盤中に打ち込む場合、第1鋼管1の上端部の外周面には、複数の突起部材4を溶接によって予め固定しておく。また、第1鋼管1を下杭として地盤中に打ち込むときには、第1鋼管1の上端部に杭打ち機の取付部を取り付けた状態で、杭打ち機の取付部を第1鋼管1と一体に正方向へ回転させながら、第1鋼管1を地盤中に押し込む。このとき、杭打ち機の取付部が突起部材4に掛かることにより、杭打ち機の取付部に対して第1鋼管1が滑って回ることが防止される。
下杭としての第1鋼管1を地盤中に打ち込んでも第1鋼管1が地盤の支持層に達していない場合、地盤中に埋設される杭を延長するために、上杭としての第2鋼管2を第1鋼管1に鋼管用継手3によって接続する。
第2鋼管2を第1鋼管1に鋼管用継手3によって接続するときには、第1鋼管1の上端部を第1鋼管1の接続端部1aとするとともに、第2鋼管2の下端部を第2鋼管2の接続端部2aとする。第2鋼管2の接続端部2aには、工場などで本体部材5の第2継手接続部5bを溶接によって予め固定しておく。また、第2鋼管2の上端部の外周面には、工場などで複数の突起部材4を溶接によって予め固定しておく。
第1鋼管1の接続端部1aに第2鋼管2の接続端部2aを接続するときには、本体部材5の第1継手接続部5aを下に向けた状態で第2鋼管2を持ち上げて、第1鋼管1の上方に本体部材5を配置する。この後、第2鋼管2及び本体部材5を下方の第1鋼管1に向けて移動させながら、第1鋼管1の接続端部1aを第1鋼管挿入口511から筒状部51に挿入する。
このとき、各突起部材4を各挿入用溝551に挿入しながら、第1鋼管1の接続端部1aの端面が受け部52に当たるまで第1鋼管1の接続端部1aを筒状部51に挿入する。これにより、各突起部材4が挿入用溝551の非収容位置に達する。
図13は、図1の各突起部材4が挿入用溝551の非収容位置に達した状態を下方から見たときの断面図である。この状態では、第2鋼管2を第1鋼管1に対して上方へ移動させると、第1鋼管1の接続端部1aが筒状部51から下方へ抜けるようになっている。
第1鋼管1の接続端部1aを筒状部51に挿入した後、第1鋼管1の接続端部1aが筒状部51に挿入された状態のまま、第1鋼管1に対して第2鋼管2及び本体部材5を正方向へ回転させる。これにより、各突起部材4が挿入用溝551の非収容位置から収容空間552の収容位置へ移動する。各突起部材4が収容位置にある状態では、突起部材4がストッパ面515aに当たることにより、第1鋼管1の接続端部1aが筒状部51から本体部材5の軸線方向へ抜けることが防止される。
この後、各突起部材4が収容位置から非収容位置に戻ることを防止するために、複数の挿入用溝551のうち、貫通穴57が達している特定の挿入用溝551に第1鋼管挿入口511側、即ち下方からプレート61を挿入する。特定の挿入用溝551に挿入したプレート61は、貫通穴57の位置よりも上方まで移動させておく。
この後、特定の挿入用溝551に挿入したプレート61の位置を貫通穴57の上方の位置に保ったまま、保持具62を貫通穴57に通すことにより、保持具62を筒状部51に取り付ける。
具体的には、第1鋼管挿入口511側、即ち筒状部51の下方から特定の挿入用溝551にナット62bを挿入するとともに、筒状部51の外側から貫通穴57にボルト62aのねじ部を通す。この後、挿入用溝551に突出したボルト62aのねじ部にナット62bを取り付けてボルト62a及びナット62bを締め付ける。これにより、ボルト62a及びナット62bを含む保持具62が筒状部51に取り付けられる。
プレート61には、挿入用溝551から筒状部51の外側へ抜ける下方への重力がかかっている。しかし、保持具62が筒状部51に取り付けられた状態では、挿入用溝551に突出する保持具62の一部にプレート61が掛かることにより、プレート61が挿入用溝551から抜けることが防止される。これにより、挿入用溝551にプレート61が保持される。この結果、第1鋼管1の接続端部1aに第1継手接続部5aが接続される。このようにして、第1鋼管1と第2鋼管2とが同一軸線上で鋼管用継手3を介して接続され、杭が延長される。
第2鋼管2に正方向への回転力が加わった場合には、筒状部51の仕切り壁部514が突起部材4に直接当たることにより、第2鋼管2の回転力が第1鋼管1に伝わる。一方、第2鋼管2に逆方向への回転力が加わった場合には、仕切り壁部514がプレート61を介して突起部材4に当たることにより、第2鋼管2の回転力が第1鋼管1に伝わる。
この後、上杭としての第2鋼管2の上端部に杭打ち機の取付部を取り付ける。この後、杭打ち機の取付部を第2鋼管2と一体に正方向へ回転させる。これにより、第2鋼管2及び第1鋼管1が回転し、杭が地盤中にさらに深く押し込まれる。
例えば杭の打ち直しを行う場合など、地盤中から引き抜く方向へ杭に回転力が加わる場合、第1鋼管1には、筒状部51から抜ける方向へ力が加わる。しかし、各突起部材4が収容空間552でストッパ面515aに当たることにより、第1鋼管1が筒状部51から抜けることが防止される。また、第2鋼管2に逆方向への回転力が加わった場合でも、仕切り壁部514と突起部材4との間にプレート61が介在していることから、各突起部材4が収容位置から非収容位置に戻ることが防止される。
この後、上杭としての第2鋼管2を地盤中にさらに打ち込んでも、地盤に埋設された杭の下端部が地盤の支持層に達していない場合、既に打ち込んでいる第2鋼管2を下杭としての新たな第1鋼管1とし、下杭としての新たな第1鋼管1に上杭としての新たな第2鋼管2を鋼管用継手3によって上記と同様にして接続する。
このように、杭が支持層に達するまで、第1鋼管1と第2鋼管2との接続を繰り返しながら下杭に上杭を継ぎ足して、杭を延長する。
このような鋼管用継手3では、第1鋼管1の接続端部1aが筒状部51に挿入され、かつ各突起部材4が収容空間552に位置している状態で、プレート61が挿入用溝551に配置される。このため、第1鋼管1の接続端部1aを筒状部51に挿入して第1鋼管1の接続端部1aに対して筒状部51を正方向へ回転させるだけで、各突起部材4を収容空間552の収容位置へ移動させることができ、筒状部51から抜ける方向への第1鋼管1の接続端部1aの移動を容易に阻止することができる。また、各突起部材4が収容位置に達している状態でプレート61を挿入用溝551に配置することにより、第1鋼管1の接続端部1aに対して筒状部51が逆方向へ回転することを防止することができる。これにより、各突起部材4が収容位置から外れることを防止することができ、第1鋼管1の接続端部1aが筒状部51から抜けない状態を容易に維持することができる。従って、第1鋼管1と第2鋼管2との接続作業を容易にすることができる。
また、第1鋼管1及び第2鋼管2のそれぞれを変形させずに、第1鋼管1及び第2鋼管2を互いに接続することができる。これにより、鋼管用継手3の位置における第1鋼管1及び第2鋼管2のそれぞれの強度の低下を抑制しながら、第1鋼管1及び第2鋼管2を互いに接続することができる。従って、第1鋼管1及び第2鋼管2が回転力を受けたときに第1鋼管1及び第2鋼管2が鋼管用継手3の位置で大きく変形することをより確実に防止することができ、第1鋼管1と第2鋼管2との間で回転力をより確実に伝えることができる。
また、プレート61は、筒状部51の貫通穴57に通された保持具62によって挿入用溝551に保持される。このため、挿入用溝551にプレート61を配置した後に、挿入用溝551にプレート61を容易に保持することができる。これにより、プレート61が挿入用溝551から外れることをより確実に防止することができ、鋼管用継手3による第1鋼管1及び第2鋼管2の接続状態をより確実に維持することができる。
また、第1鋼管1の接続端部1aの外周面には複数の突起部材4が固定され、筒状部51の内周面には複数の筒状部内溝55が形成されている。このため、筒状部51が回転するときに、複数の突起部材4に分散させて筒状部51の回転力を伝えることができる。これにより、1つの突起部材4に加わる力の大きさを小さくすることができ、各突起部材4の破損の発生を抑制することができる。従って、鋼管用継手3による第1鋼管1及び第2鋼管2の接続状態をさらに確実に維持することができる。
また、第1継手接続部5aは、筒状部51に挿入された第1鋼管1の接続端部1aを受ける受け部52を有している。このため、筒状部51に対する第1鋼管1の接続端部1aの挿入量を調整する手間を軽減することができる。これにより、第1鋼管1と第2鋼管2との接続作業をさらに容易にすることができる。
また、第2継手接続部5bは、第2鋼管2の接続端部2aに溶接によって接続可能な溶接取付部54を有している。このため、第2鋼管2の接続端部2aに本体部材5を溶接によって接続することができ、第2鋼管2の接続端部2aと鋼管用継手3との接続強度を高めることができる。また、第1鋼管1の接続端部1aに本体部材5を接続する作業には、溶接設備が不要になる。これにより、溶接設備の整った工場などで第2鋼管2の接続端部2aに本体部材5を予め接続しておくことにより、杭打ちを行う現場に溶接設備を運ぶ手間をなくすことができる。従って、第1鋼管1と第2鋼管2との接続作業をさらに容易にすることができる。
また、溶接取付部54の外径は、筒状部51の内径よりも小さくなっている。このため、筒状部51に挿入された状態で本体部材5に接続された第1鋼管1の外径と、溶接によって本体部材5に接続された第2鋼管2の外径とを互いに同一にすることができる。また、本体部材5の大きさ及び重量を小さくすることができる。
また、突起部材4では、突起第2端面4b及び一対の突起側面4cのそれぞれに段差部41が第1鋼管1の接続端部1aの外周面から離して形成されている。さらに、段差部41よりも第1鋼管1の接続端部1aの外周面に近い領域が溶接許容領域となっている。また、突起部材4を第1鋼管1の接続端部1aの外周面に固定する溶接部42は、溶接許容領域内に設けられている。このため、突起部材4が筒状部51の周方向で内壁513に当たったときに、突起部材4と内壁513との間に溶接部42が介在することを防止することができる。これにより、第1鋼管1に第2鋼管2の回転力をさらに確実に伝えることができる。また、溶接部42を設ける領域を容易に特定することができ、第1鋼管1の接続端部1aに突起部材4を溶接によって固定する作業を容易にすることができる。
また、突起部材4に形成された突起内面4eは、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に合わせて湾曲した曲面となっている。このため、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に突起内面4eを接触させるだけで、突起部材4の長手方向を第1鋼管1の接続端部1aの軸線方向に容易に一致させることができる。また、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に対する突起部材4の接触面積を増加させることができる。これにより、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に対する突起部材4の溶接作業を容易にかつ短時間で行うことができる。さらに、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に対する突起部材4の固定強度も安定させることができる。これにより、例えば突起部材4にねじれの力が加わった場合でも、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に対する突起部材4の位置がずれることを防止することができる。
また、突起部材4が第1鋼管1の接続端部1aの外周面に固定された状態では、突起第2端面4bの位置は、突起第1端面4aの位置よりも第1鋼管1の接続端部1aの端面に近い位置となっている。さらに、突起第1端面4aには、溶接部42が設けられていない。このため、突起部材4の突起第1端面4aが筒状部51の軸線方向でストッパ壁部515に当たったときに、突起部材4とストッパ壁部515との間に溶接部42が介在することを防止することができる。これにより、第2鋼管2が第1鋼管1に対して傾斜してしまうことをより確実に抑制することができる。
実施の形態2.
図14は、この発明の実施の形態2による鋼管用継手を示す斜視図である。本実施の形態では、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に固定されている突起部材4の数が6つとなっている。この例では、6つの突起部材4が第1鋼管1の周方向へ等間隔に配置されている。
また、筒状部51の内周面に形成された筒状部内溝55の数も、突起部材4の数に合わせて6つとなっている。筒状部51における6つの筒状部内溝55の周方向の位置は、6つの突起部材4の周方向の位置に合わせて決まっている。
また、この例では、筒状部51に設けられている貫通穴57の数が1つのみとなっている。保持構造部6のプレート61は、6つの挿入用溝551のうち、貫通穴57が達している特定の挿入用溝551に配置されている。この例では、プレート61が配置される特定の挿入用溝551の数が1つのみとなっている。他の構成は実施の形態1と同様である。
このように、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に固定されている突起部材4の数を6つとし、筒状部51の内周面に形成された筒状部内溝55の数を、突起部材4の数に合わせて6つとしても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、突起部材4の数を6つとし、筒状部内溝55の数を6つとすることにより、筒状部51が回転するときに1つの突起部材4に加わる力の大きさを実施の形態1よりも小さくすることができる。これにより、各突起部材4の破損の発生をさらに確実に抑制することができ、鋼管用継手3による第1鋼管1及び第2鋼管2の接続状態をさらに確実に維持することができる。
実施の形態3.
図15は、この発明の実施の形態3による鋼管用継手3を介して第1鋼管1及び第2鋼管2が互いに接続されている状態を示す断面図である。胴部53の外径は、第1継手接続部5aから溶接取付部54に向かって連続的に大きくなっている。溶接取付部54の外径は、胴部53と溶接取付部54との境界で最大になっている。また、溶接取付部54の外径は、本体部材5の軸線方向外側の端部で最小になっている。さらに、溶接取付部54の外径は、溶接取付部54の軸線方向のどの位置でも筒状部51の内径及び外径よりも大きくなっている。これにより、第2鋼管2の接続端部2aの外径は、第1鋼管1の接続端部1aの外径よりも大きくなっている。また、第2鋼管2の接続端部2aの内径は、第1鋼管1の接続端部1aの内径よりも大きくなっている。他の構成は実施の形態1と同様である。
このような鋼管用継手3では、溶接取付部54の外径が筒状部51の内径よりも大きくなっている。このため、第2鋼管2の外径が第1鋼管1の外径よりも大きい場合であっても、第1鋼管1と第2鋼管2とを鋼管用継手3によって互いに接続することができる。
実施の形態4.
図16は、この発明の実施の形態4による鋼管用継手の本体部材5を示す斜視図である。また、図17は、図16の本体部材5を示す下面図である。さらに、図18は、図16の本体部材5を示す側面図である。筒状部51における第1鋼管挿入口511側の端面には、筒状部51の軸線方向外側へ突出する複数の突起58が設けられている。複数の突起58は、筒状部51の周方向へ互いに間隔をあけて配置されている。この例では、4つの突起58が筒状部51の端面に筒状部51の周方向へ等間隔に設けられている。また、この例では、本体部材5の軸線方向に沿って筒状部51を見たとき、図17に示すように、筒状部51の肉厚の範囲内に各突起58が収まっている。
各突起58には、第1傾斜面581と、第2傾斜面582とが形成されている。第2傾斜面582は、筒状部51の端面に対して傾斜している。また、第2傾斜面582は、筒状部51の端面から突起58の先端部に向かって第1傾斜面581に近づく方向へ傾斜している。これにより、各突起58の形状は、爪状となっている。
ここで、鋼管用継手3を介して互いに接続された第1鋼管1及び第2鋼管2が杭として地盤中に押し込まれるときの本体部材5の回転方向を正方向Aとする。この場合、筒状部51では、筒状部51の周方向において挿入用溝551から収容空間552が張り出す方向とは反対の方向が、正方向Aとなる。第1傾斜面581は、第2傾斜面582よりも正方向Aの前側に位置している。また、第1傾斜面581は、筒状部51の端面から突起58の先端部に向かって延びている。さらに、第1傾斜面581は、本体部材5の軸線方向に沿って筒状部51を見たとき、図17に示すように、筒状部51の周方向に対して傾斜している。第1傾斜面581の径方向内側端部の位置は、第1傾斜面581の径方向外側端部の位置よりも正方向Aへずれている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
鋼管用継手3を介して互いに接続された第1鋼管1及び第2鋼管2を杭として地盤中に押し込むときには、複数の突起58を下方に向けて鋼管用継手3が配置される。この後、第1鋼管1、第2鋼管2及び鋼管用継手3を一体に正方向Aへ回転させる。このとき、各突起58によって地盤を削りながら鋼管用継手3が地盤中に押し込まれる。また、このとき、各突起58によって削られた土砂は、第1傾斜面581によって鋼管用継手3の径方向外側へ導かれる。これにより、地盤中に押し込まれる鋼管用継手3に対する地盤の抵抗力が小さくなり、地盤中に杭を押し込むときの負担が軽減される。
このような鋼管用継手3では、複数の突起58が筒状部51の端面に設けられている。このため、鋼管用継手3が回転することにより鋼管用継手3の各突起58が地盤を削りながら、第1鋼管1及び第2鋼管2を地盤中に押し込むことができる。これにより、鋼管用継手3に対する地盤の抵抗力を小さくすることができ、地盤中に杭を押し込むときの負担を軽減することができる。
また、各突起58には、第1傾斜面581が形成されている。さらに、筒状部51の周方向において挿入用溝551から収容空間552が張り出す方向とは反対の方向を正方向Aとすると、第1傾斜面581の径方向内側端部の位置は、第1傾斜面581の径方向外側端部の位置よりも正方向Aへずれている。このため、突起58によって削られた土砂を第1傾斜面581によって鋼管用継手3の径方向外側へ導くことができる。これにより、地盤中に杭を押し込むときの負担をさらに軽減することができる。
なお、上記の例では、複数の突起58が実施の形態1の本体部材5に設けられている。しかし、実施の形態2及び3の本体部材5に複数の突起58を設けてもよい。
実施の形態5.
図19は、この発明の実施の形態5による鋼管用継手の本体部材5に第1鋼管1の接続端部1aが接続されている状態を示す断面図である。また、図20は、図19のXX−XX線に沿った断面図である。なお、図19は、実施の形態1における図3に対応する図である。
筒状部51には、2つの貫通穴57が設けられている。各貫通穴57は、筒状部51の外壁512を筒状部51の径方向へ貫通している。2つの貫通穴57は、筒状部51の軸線に関して対称の位置に位置している。また、筒状部51には、2つの保持構造部6が配置されている。2つの保持構造部6は、筒状部51の周方向における各貫通穴57の位置に合わせて配置されている。各保持構造部6の構成は、保持具62の構成を除き、実施の形態1と同様である。
保持具62は、貫通穴57に通された状態で筒状部51に着脱可能に取り付けられている。これにより、2つの保持具62は、筒状部51の軸線に関して対称の位置に配置されている。
各保持具62は、通し部材としてのボルト62aと、締付部材としてのナット62bと、介在部材としての当て板62cとを有している。
ボルト62aのねじ部は、貫通穴57に通されている。ボルト62aの頭部は、筒状部51の外側に位置している。ボルト62aのねじ部は、筒状部51の径方向に沿って配置されている。ボルト62aのねじ部の一部は、挿入用溝551に突出している。
ナット62bは、挿入用溝551内でボルト62aのねじ部に取り付けられている。ボルト62aは、ボルト62aの頭部とナット62bとの間で筒状部51の外壁512が締め付けられることにより筒状部51に取り付けられている。
当て板62cは、第1鋼管1の接続端部1aの外周面とボルト62aとの間に介在している。当て板62cは、第1鋼管1の接続端部1aの外周面の形状に合わせて湾曲した長方形状の鋼板である。この例では、当て板62cの厚さが回り止め部材61の厚さよりも薄くなっている。第1鋼管1の接続端部1aの外周面とボルト62aとの間に介在する介在部材としては、当て板62cに代えて鋼製のブロックを用いてもよい。
当て板62cには、ボルト62aのねじ部を受ける窪み部62dが設けられている。当て板62cは、第1鋼管1の接続端部1aの外周面にボルト62aによって押し付けられている。また、当て板62cは、ボルト62aのねじ部が窪み部62dに嵌った状態で、第1鋼管1の接続端部1aの外周面とボルト62aとの間に保持されている。
当て板62cには、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に接触する接触面63が形成されている。接触面63は、第1鋼管1の接続端部1aの外周面の形状に合わせて湾曲した面である。接触面63の面積は、ボルト62aのねじ部の断面積よりも大きくなっている。
第1鋼管1の接続端部1aは、2つの保持具57からの力を両側から受けている。これにより、第1鋼管1の接続端部1aは、筒状部51の軸線と同軸となる位置に保持されている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
各保持具62を筒状部51に取り付けるときには、筒状部51の外側から貫通穴57にボルト62aのねじ部を通すとともに、挿入用溝551に突出したボルト62aのねじ部にナット62bを取り付ける。
この後、第1鋼管1の接続端部1aの外周面とボルト62aのねじ部との間に当て板62cを介在させる。このとき、ボルト62aのねじ部には、当て板62cの窪み部62dを嵌める。
この後、ボルト62a及びナット62bを締め付けてボルト62aを筒状部51に取り付ける。これにより、当て板62cは、第1鋼管1の接続端部1aの外周面とボルト62aのねじ部との間に保持される。このようにして、各保持具62を筒状部51に取り付ける。
このような鋼管用継手3では、筒状部51に取り付けられた2つの保持具62が第1鋼管1の接続端部1aの外周面を受けている。このため、筒状部51の軸線に直交する方向へ第1鋼管1の接続端部1aが筒状部51に対して変位してしまうことを抑制することができる。これにより、第1鋼管1及び鋼管用継手3に回転力が加わった場合でも、筒状部51に対する第1鋼管1の接続端部1aの位置をより確実に維持することができる。従って、第1鋼管1及び第2鋼管2を地盤中に安定して押し込むことができ、地盤中に杭を押し込むときの負担を軽減することができる。
また、保持具62は、貫通穴57に通されたボルト62aと、第1鋼管1の接続端部1aの外周面とボルト62aとの間に介在する当て板62cとを有している。このため、ボルト62aから第1鋼管1の接続端部1aの外周面に加える力を当て板62cによって分散させることができる。これにより、第1鋼管1の接続端部1aの変形を防止することができる。
また、当て板62cには、ボルト62aのねじ部を受ける窪み部62dが設けられている。このため、ボルト62aのねじ部を窪み部62dに嵌めることにより、第1鋼管1の接続端部1aの外周面とボルト62aのねじ部との間から当て板62cが外れにくくすることができる。
なお、上記の例では、各保持具62が第1鋼管1の接続端部1aの外周面を受けている構成が実施の形態1の鋼管用継手3に適用されている。しかし、各保持具62が第1鋼管1の接続端部1aの外周面を受けている構成を実施の形態2〜4の鋼管用継手3に適用してもよい。
また、上記の例では、筒状部51に配置されている保持構造部6の数が2つとなっている。しかし、筒状部51に配置されている保持構造部6の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。この場合、保持構造部6では、第1鋼管1の接続端部1aの外周面を受ける保持具62が筒状部51に取り付けられる。また、この場合、筒状部51には、保持構造部6の数と同数の貫通穴57が設けられる。
また、上記の例では、ボルト62aのねじ部を受ける窪み部62dが当て板62cに設けられている。しかし、第1鋼管1の接続端部1aの外周面とボルト62aのねじ部との間に当て板62cが保持されるのであれば、当て板62cに窪み部62dを設けなくてもよい。
また、上記の例では、第1鋼管1の接続端部1aの外周面とボルト62aのねじ部との間に当て板62cが介在している。しかし、当て板62cをなくして、ボルト62aのねじ部が第1鋼管1の接続端部1aの外周面を直接受けるようにしてもよい。このようにしても、筒状部51に対する第1鋼管1の接続端部1aの位置を安定して維持することができ、地盤中に杭を押し込むときの負担を軽減することができる。
実施の形態6.
図21は、この発明の実施の形態6による鋼管用継手の突起部材4を示す斜視図である。また、図22は、図21の突起外面4d側から見たときの突起部材4を示す正面図である。各突起部材4には、突起第1端面4a、突起第2端面4b、一対の突起側面4c、突起外面4d及び突起内面4eが形成されている。突起第1端面4a、突起第2端面4b、突起外面4d及び突起内面4eのそれぞれの構成は、実施の形態1と同様である。本実施の形態では、突起第1端面4a、突起第2端面4b、一対の突起側面4c、突起外面4d及び突起内面4eに段差部41が形成されていない。
一対の突起側面4cのそれぞれは、突起部材4の長手方向へ連続する長手方向面4c1及びテーパ面4c2を有している。長手方向面4c1は、突起部材4の長手方向に沿った面である。テーパ面4c2は、突起部材4の長手方向に対して傾斜した面である。
各突起部材4では、テーパ面4c2が長手方向面4c1よりも突起第2端面4bに近い位置に形成されている。一対の突起側面4cのそれぞれのテーパ面4c2は、突起第2端面4bに向かって互いに近づく方向へ傾斜している。この例では、突起部材4の長手方向において長手方向面4c1の範囲がテーパ面4c2の範囲よりも大きくなっている。
各突起部材4は、突起本体部44と、突起本体部44から第1鋼管1の接続端部1aの端面に向かって突出するテーパ部45とを有している。
突起本体部44には、一対の突起側面4cのそれぞれの長手方向面4c1が形成されている。これにより、第1鋼管1の接続端部1aの周方向における突起本体部44の寸法、即ち突起本体部44の幅寸法は、突起部材4の長手方向のどの位置でも同じになっている。
テーパ部45には、一対の突起側面4cのそれぞれのテーパ面4c2が形成されている。これにより、第1鋼管1の接続端部1aの周方向におけるテーパ部45の寸法、即ちテーパ部45の幅寸法は、突起第2端面4bに向かって小さくなっている。即ち、テーパ部45の幅寸法は、第1鋼管1の接続端部1aの端面に向かって小さくなっている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
このような鋼管用継手3では、突起部材4のテーパ部45の幅寸法が第1鋼管1の接続端部1aの端面に向かって小さくなっている。このため、第1鋼管1の接続端部1aを筒状部51に挿入するときに、突起部材4を挿入用溝551に挿入しやすくすることができる。これにより、第1鋼管1と第2鋼管2との接続作業をさらに容易にすることができる。
なお、上記の例では、各突起部材がテーパ部45を有している構成が実施の形態1の鋼管用継手3に適用されている。しかし、各突起部材がテーパ部45を有している構成を実施の形態2〜5の鋼管用継手3に適用してもよい。
また、上記の例では、一対の突起側面4cのそれぞれにテーパ面4c2が含まれている。しかし、一対の突起側面4cのいずれか一方にのみテーパ面4c2が含まれていてもよい。このようにしても、テーパ部45の幅寸法を第1鋼管1の接続端部1aの端面に向かって小さくすることができ、突起部材4を挿入用溝551に挿入しやすくすることができる。
また、上記の例では、実施の形態1における段差部41が各突起部材4に形成されていない。しかし、各突起部材4の突起第2端面4b及び一対の突起側面4cの少なくともいずれかに段差部41を形成してもよい。
また、各上記実施の形態では、複数の挿入用溝551のうち、1つの挿入用溝551にのみプレート61が配置されている。しかし、プレート61が配置される挿入用溝551の数は、これに限定されず、2つ以上の挿入用溝551にプレート61を配置してもよい。例えば、2つの挿入用溝551にプレート61を配置してもよいし、すべての挿入用溝551にプレート61を配置してもよい。2つ以上の挿入用溝551にプレート61を配置する場合、プレート61が配置される複数の挿入用溝551に対応させて複数の貫通穴57が筒状部51に設けられる。また、この場合、各貫通穴57にそれぞれ通された各保持具62によって各プレート61が挿入用溝551に保持される。
また、各上記実施の形態では、筒状部51の内径と溶接取付部54の外径との関係を調整することにより、互いに異なる外径を持つ第1鋼管1及び第2鋼管2を鋼管用継手3によって互いに接続することができる。従って、溶接取付部54の最小外径を筒状部51の内径よりも小さくし、かつ溶接取付部54の最大外径を筒状部51の内径よりも大きくしてもよい。また、溶接取付部54の最小外径を筒状部51の内径と同じにしてもよいし、溶接取付部54の最大外径を筒状部51の内径と同じにしてもよい。
また、各上記実施の形態では、突起部材4の突起外面4dが第1鋼管1の接続端部1aの外周面に合わせて湾曲した曲面となっている。しかし、突起部材4の突起外面4dを平面としてもよい。この場合、突起外面4dは、第1鋼管1の径方向に直交する平面とされる。
また、各上記実施の形態では、突起部材4の一対の突起側面4cが互いに平行ではない。しかし、一対の突起側面4cを互いに平行にしてもよい。
また、実施の形態1〜5では、突起部材4の突起第2端面4b及び一対の突起側面4cのそれぞれに段差部41が形成されている。しかし、突起第2端面4b及び一対の突起側面4cの少なくともいずれかに段差部41が形成されていればよい。
また、各上記実施の形態では、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に固定される突起部材4の数が4つ又は6つである。しかし、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に固定される突起部材4の数を4つ又は6つ以外にしてもよい。従って、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に固定される突起部材4の数を1つにしてもよいし、2つ以上にしてもよい。
また、各上記実施の形態では、回り止め部材であるプレート61が、第1鋼管1の接続端部1aの外周面に合わせて湾曲した板状となっている。しかし、プレート61が挿入用溝551に配置可能であれば、プレート61の形状は、どのような形状であってもよい。例えば、プレート61の形状を平板状としてもよい。
また、各上記実施の形態では、回り止め部材としてのプレート61が挿入用溝551に保持具62によって保持されるようになっている。しかし、筒状部51の周方向で収容空間552に隣接する挿入用溝551の部分に繋がる貫通穴57を筒状部51に設け、貫通穴57に通された取付具を回り止め部材としてもよい。この場合、取付具は、貫通穴57に通されたボルトと、ボルトに取り付けられたナットとを有する。また、この場合、取付具の一部であるナットが挿入用溝551に配置される。このようにしても、収容位置から非収容位置への突起部材4の移動を回り止め部材としての取付具によって阻止することができる。また、このようにすれば、プレート61を不要とすることができ、部品点数を減らすことができる。
また、各上記実施の形態では、筒状部51に設けられた貫通穴57がボルト通し穴となっている。しかし、貫通穴57をねじ穴としてもよい。このようにすれば、ナット62bを用いずに保持具62のボルト62aを貫通穴57に取り付けることができる。これにより、保持具62の部品点数を減らすことができる。
また、実施の形態1〜4及び6では、回り止め部材としてのプレート61にねじ穴を設けてもよい。このようにすれば、貫通穴57に通されたボルト62aをプレート61に取り付けることができ、ナット62bを用いずにプレート61を挿入用溝551に保持することができる。これにより、保持具62の部品点数を減らすことができる。
また、各上記実施の形態では、貫通孔56が第2継手接続部5b及び受け部52を貫通している。しかし、貫通孔56はなくてもよい。
また、各上記実施の形態では、上杭としての第2鋼管2の接続端部2aに鋼管用継手3の第2継手接続部5bを予め接続しておき、杭打ちの現場において下杭としての第1鋼管1の接続端部1aに鋼管用継手3の第1継手接続部5aを接続している。しかし、下杭としての第2鋼管2の接続端部2aに鋼管用継手3の第2継手接続部5bを予め接続しておき、杭打ちの現場において上杭としての第1鋼管1の接続端部1aを鋼管用継手3の第1継手接続部5aに接続してもよい。このようにすれば、筒状部51の第1鋼管挿入口511を上方に向けて本体部材5を配置することができる。これにより、保持具62を用いずにプレート61を挿入用溝551に保持することができる。従って、部品点数をさらに減らすことができる。また、杭の上端部に本体部材5が接続された状態で杭打ち作業を終了することができる。このため、本体部材5を利用して建築構造物の柱材を杭に接続することができ、建築構造物の柱材の設置作業を容易にすることができる。