以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図において共通の構成部には、同一の符号を付している。本明細書において、上下方向とは、後述する点滴筒110の生体への使用時における鉛直の方向を意味し、上方は排出部112から見て滴下部111が位置する方向(すなわち、図2における上方)、下方はその反対方向を意味するものとする。
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態の点滴監視センサ1が点滴筒110に装着された状態の輸液装置100を示す図である。図2は、図1の一部を拡大して示す図であり、点滴監視センサ1と点滴筒110とを示す正面図である。図3は、点滴監視センサ1の概略構成を示す機能ブロック図である。図3に示す矢印は、電気信号が流れる方向を示す。
点滴監視センサ1は、点滴筒110の内部を落下する液体を監視するセンサである。図1に示すように、本実施形態の点滴監視センサ1は、点滴筒110の周囲に装着した状態で使用される。点滴筒110は、図1に示すように、例えば輸液装置100の一部を構成する。
点滴監視センサ1は、点滴筒110の内部を落下する薬液等の液体に向けて光を照射可能な発光部10と、発光部10が照射した光を受光可能な受光部30とを備える。より具体的には、本実施形態では、図2に示すように、発光部10は、点滴筒110の内部を落下する薬液等の液体に向けて入射光L1を照射可能に構成され、受光部30は、入射光L1が当該液体により吸収及び/又は屈折されて生じる減衰された透過光L2を受光可能に構成されている。
点滴監視センサ1は、更に、点滴筒110における点滴監視センサ1の装着位置に関する情報を算出する制御部50を備える。受光部30は、受光した光に応じた受光信号を制御部50に出力する。制御部50は、受光信号に基づいて、点滴筒110における点滴監視センサ1の装着位置に関する情報を算出する。
点滴監視センサ1は、更に、報知部80を備える。報知部80は、制御部50により算出された装着位置に関する情報を報知する。図2に示す例では、報知部80は、発光素子により構成され、発光により情報を報知する。ただし、報知部80の形態は、詳細については後述するが、これに限られない。
図1に示す輸液装置100は、栄養剤や薬液等の液体を、患者等の生体に投与するために用いられる。輸液装置100は、液体を生体まで輸送するための輸液ラインを形成している。具体的には、輸液装置100は、液体が収容された輸液バッグ等の輸液容器101と、輸液容器101から供給される液体の流量を視認可能な点滴筒110と、生体に留置された留置針等に接続可能なコネクタ102と、これら各部材を接続する複数の輸液チューブ103と、を備えている。輸液ラインは、輸液容器101と、点滴筒110と、コネクタ102と、輸液チューブ103と、により形成されている。図1に示す例では、輸液装置100は、輸液ラインを流れる液体の流量を調整するための、輸液チューブ103に装着されたクランプ104及び輸液ポンプ105を更に備えている。
図2に示すように、点滴筒110は、輸液ラインの上流から輸送される液体を内部の滴下室113内に導入する滴下部111と、滴下室113内の液体を輸液ラインの下流に排出する排出部112と、滴下室113の周面を区画する周壁部114と、を備えている。周壁部114は、光透過性の素材で形成された光透過部を少なくとも一部に備えている。具体的には、周壁部114の光透過部は、少なくとも、後述する貯留液体117の液面よりも上方の位置に備えられている。
点滴筒110に輸送された液体は、滴下部111の液滴排出口111aから落下液滴116として落下し、滴下室113内に貯留液体117として貯留される。排出部112は貯留液体117の一部を排出する。これにより、貯留液体117は適量に保たれる。
点滴監視センサ1は、点滴筒110の内部の滴下室113内を落下する落下液滴116を監視するために用いられる。図2に示すように、本実施形態の点滴監視センサ1は、点滴筒110の周壁部114の、貯留液体117の液面よりも上方に位置する光透過部の位置で、周壁部114を挟み込むようにして装着されている。
図3に示すように、本実施形態の点滴監視センサ1は、発光部10と、受光部30と、制御部50と、記憶部60と、増幅部70と、報知部80と、を備える。
発光部10は、周壁部114の光透過部を通じて、点滴筒110の滴下室113内を落下する落下液滴116に向けて入射光L1を照射可能である。発光部10は、例えば、1つ又は複数のLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)又はLD(Laser Diode:レーザダイオード)等の光を出射する発光素子で構成される。本実施形態では、発光部10が1つのLEDにより構成されているとして、以下説明する。
受光部30は、発光部10が照射した光を受光可能である。本実施形態では、受光部30は、発光部10からの入射光L1が落下液滴116により吸収及び/又は屈折されて生じる減衰された透過光L2を受光可能である。ただし、受光部30は、発光部10からの入射光L1が落下液滴116により反射されて生じる反射光を検出してもよい。受光部30は、例えば、1つ又は複数のPT(Photo Transistor:フォトトランジスタ)又はPD(Photo Diode:フォトダイオード)等の受光素子で構成される。本実施形態では、受光部30が1つのPTにより構成されているとして、以下説明する。
受光部30は、透過光L2を含む受光した光に基づく受光信号を、増幅部70を介して、制御部50に出力する。図2に示すように、本実施形態の点滴監視センサ1では、発光部10と受光部30とが同一平面である水平面H内に位置している。
制御部50は、点滴監視センサ1の各機能部をはじめとして、点滴監視センサ1の全体を制御及び管理する。制御部50は、少なくとも1つのプロセッサを含んで構成される。制御部50は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサで構成される。このようなプログラムは、記憶部60又は点滴監視センサ1の外部の記憶媒体に記憶されている。
制御部50は、受光部30からの受光信号に基づいて、点滴筒110における点滴監視センサ1の装着位置に関する情報を算出する。制御部50は、装着位置に関する情報として、装着位置が適当であるか否かを判定してよい。制御部50による装着位置に関する情報の算出処理の詳細については、後述する。制御部50は、装着位置に関する情報の算出結果を、報知部80に出力する。また、制御部50は、受光部30からの受光信号に基づいて、落下液滴116を検出する。
記憶部60は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成することができる。記憶部60は、例えば、各種情報、及び点滴監視センサ1を動作させるためのプログラム等を記憶する。具体的には、記憶部60は、点滴監視センサ1の装着位置に関する情報の算出のために制御部50が使用する閾値等を記憶する。記憶部60は、ワークメモリとしても機能してもよい。
増幅部70は、例えば増幅回路等で構成され、受光部30からの受光信号を増幅して、制御部50に出力する。
報知部80は、制御部50が算出した、点滴監視センサ1の装着位置に関する情報を、外部に報知する。制御部50が、装着位置が適当であるか否かを判定する場合、報知部80は、装着位置が適当であるか否かに関する情報を報知する。報知部80は、外部に情報を報知可能な任意の態様で構成されていてよい。例えば、報知部80は、発光素子により構成されており、発光色や点灯状態又は点滅状態等により、情報を外部に出力してよい。また、例えば、報知部80は、スピーカにより構成されており、アラーム音や音声アナウンス等の音により、情報を外部に出力してよい。また、例えば、報知部80は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro-Luminescence Display)、又は無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro-Luminescence Display)等の表示デバイスにより構成されており、種々の表示により、情報を外部に出力してよい。また、例えば、報知部80は、振動子により構成されており、振動パターンにより、情報を外部に出力してよい。報知部80は、ここで示した具体例以外の態様により構成されていてもよい。また、報知部80は、複数の態様を組み合わせて構成されていてもよい。
ここで、点滴監視センサ1の、点滴筒110に対する好ましい装着位置について説明する。点滴監視センサ1は、点滴筒110において、装着される位置が高い(上方)ほど、好ましい。
点滴監視センサ1が、点滴筒110の低い位置(例えば、貯留液体117の液面に近い高さ)に装着されたとすると、滴下部111の液滴排出口111aから滴下された落下液滴116が貯留液体117の液面で跳ねた場合、点滴監視センサ1が当該跳ねた液体を落下液滴116として検出する、という誤検出が発生する可能性が高まる。点滴監視センサ1が、点滴筒110の高い位置に装着されているほど、液跳ねを検出するリスクが小さくなる。
また、点滴監視センサ1が、点滴筒110の低い位置に装着されたとすると、液跳ね等により周壁部114に付着した液体が、周壁部114の内壁を伝って上方から下方に垂れてくるときに、点滴監視センサ1が当該液体を落下液滴116として検出する、という誤検出が発生する可能性が高まる。点滴監視センサ1が、点滴筒110の高い位置に装着されているほど、周壁部114に液体が付着したとしても、そこから周壁部114を伝って垂れた液体が、点滴監視センサ1が装着された高さを通過する可能性が低くなる。
さらに、点滴監視センサ1が、点滴筒110の低い位置に装着されたとすると、点滴筒110が傾いた場合に、点滴監視センサ1が貯留液体117を検出する、という誤検出が発生する可能性が高まる。点滴監視センサ1が、点滴筒110の高い位置に装着されているほど、点滴筒110が傾いたとしても、点滴監視センサ1が貯留液体117を検出する可能性が低くなる。
さらにまた、点滴監視センサ1が、点滴筒110の低い位置に装着されたとすると、点滴筒110が傾いた場合に、落下液滴116が点滴監視センサ1に到達する前に周壁部114に接触する場合がある。この場合、点滴監視センサ1が装着された位置まで落下液滴116が落下しないことにより、点滴監視センサ1が落下液滴116を検出できない可能性が高まる。点滴監視センサ1が、点滴筒110の高い位置に装着されているほど、点滴筒110が傾いたとしても、落下液滴116が点滴監視センサ1に到達する前に周壁部114に接触する可能性が低くなり、その結果、落下液滴116を検出できなくなる可能性が低くなる。
以上のような理由から、点滴監視センサ1は、点滴筒110において、装着位置が高い方が好ましい。ただし、装着位置が高すぎて、発光部10と受光部30とを含む水平面Hが滴下部111の先端よりも高い位置に配置されると、点滴監視センサ1は、落下液滴116を検出できない。例えば、発光部10と受光部30とを含む水平面Hが滴下部111の先端(液滴排出口111a)とほぼ同じ高さの場合、点滴監視センサ1は、滴下部111の先端で形成されつつある、落下前の液滴を検出することとなり、適切に落下液滴116を検出できない。
そこで、本開示に係る点滴監視センサ1は、点滴監視センサ1の点滴筒110への装着位置を検出し、装着位置が適当でない場合に報知を行う。これらの処理は、制御部50により制御される。
次に、制御部50が実行する、装着位置に関する情報の算出処理の詳細について説明する。
図4A及び図4Bは、それぞれ点滴筒110に対する点滴監視センサ1の装着状態の一例を示す図である。具体的には、図4Aは、点滴監視センサ1が適当な装着位置で点滴筒110に装着された場合の例を示し、図4Bは、点滴監視センサ1が適当な装着位置よりも上方の、不適当な装着位置で点滴筒110に装着された場合の例を示している。なお、図4A及び図4Bでは、点滴筒110及び点滴監視センサ1を、一部簡略化して示している。
図5Aは、図4Aの装着状態における、点滴監視センサ1による液滴の検出強度の変化を示す図である。図5Aにおいて、縦軸は液滴の検出強度を示し、横軸は時刻を示す。液滴の検出強度は、受光部30における受光量の変化に応じて算出される指標である。図5Aにおいて、時刻t1は、点滴監視センサ1により落下液滴116が検出され始めた時刻(検出開始時刻)であり、時刻t2は、点滴監視センサ1により落下液滴116が検出されなくなった時刻(検出終了時刻)である。
図4Aの装着状態は、点滴監視センサ1が、落下液滴116を検出可能な適当な装着位置に装着された場合の例である。この場合、点滴監視センサ1は、自然落下する落下液滴116を検出する。点滴監視センサ1は、自然落下する落下液滴116が、発光部10と受光部30とを含む水平面Hを通過する間、図5Aに示すように、落下液滴116を検出する。
図5Bは、図4Bの装着状態における、点滴監視センサ1による液滴の検出強度の変化を示す図である。図5Bにおいても、縦軸は液滴の検出強度を示し、横軸は時刻を示す。図5Bにおいて、時刻t3は、点滴監視センサ1により液滴が検出され始めた時刻(検出開始時刻)であり、時刻t4は、点滴監視センサ1により液滴が検出されなくなった時刻(検出終了時刻)である。
図4Bの装着状態は、点滴監視センサ1が、落下液滴116を検出可能な適当な装着位置よりも上方の、不適当な位置に装着された場合の例である。具体的には、図4Bに示すように、発光部10と受光部30とを含む水平面Hが、滴下部111の液滴排出口111aに形成される、落下前の液滴と同じ高さとなる位置に、点滴監視センサ1が点滴筒110に装着されている。この場合、点滴監視センサ1は、自然落下する前の、液滴排出口111aに形成されつつある液滴を検出する。このように、点滴監視センサ1が液滴排出口111aに形成されつつある液滴を検出している場合、適当に落下液滴116を検出することができない。本実施形態では、制御部50は、装着位置に関する情報の算出処理として、このように点滴監視センサ1が不適当な装着位置に装着されているか否かを検出する。
図5Aと図5Bとを比較すると、点滴監視センサ1が適当な位置に装着されている場合に検出される検出強度のグラフは、点滴監視センサ1が不適当な位置に装着されている場合に検出される検出強度のグラフと比較して、検出開始時刻から検出終了時刻までの時間が短い。この性質を利用して、制御部50は、例えば、検出開始時刻から検出終了時刻までの時間が、所定時間Ta以上である場合、点滴監視センサ1の装着位置が不適当であると判定する。このときに、装着位置が適当であるか不適当であるかを判定するために制御部50が基準とする閾値としての所定時間Taは、例えば予め記憶部60に記憶されている。所定時間Taは、例えば、液滴が自然落下する場合に検出されると考えられる最大の時間、あるいは最大の時間よりも長い時間として設定されてよい。ただし、より高い精度で検出を行うためには、所定時間Taは、液滴が自然落下する場合に検出されると考えられる時間に近いほど好ましい。
図6は、本実施形態において、制御部50が実行する処理の一例を示すフローチャートである。図6に示すフローは、例えば医療従事者等の操作者が、点滴監視センサ1に対して、所定の入力操作を行った場合に開始されてよい。所定の入力操作は、点滴監視センサ1の点滴筒110への装着作業の開始に関連する入力操作であってよい。所定の入力操作は、例えば点滴監視センサ1の電源をオンにする入力操作であってもよく、点滴監視センサ1に対して装着位置に関する情報の算出を開始させる入力操作であってもよく、点滴監視センサ1に対して液滴の検出を開始させる入力操作であってもよい。操作者は、例えば点滴監視センサ1を点滴筒110に装着した状態で所定の入力操作を行うか、所定の入力操作を行ってから点滴監視センサ1を点滴筒110に装着する。
点滴監視センサ1に対して所定の入力操作が行われると、発光部10は、例えば制御部50による制御により発光を開始し、受光部30は、発光部10が照射した光の受光を開始する。受光部30は、受光した光に応じた受光信号を出力する。
制御部50は、受光部30が出力した受光信号を取得する(ステップS11)。
制御部50は、ステップS11で取得した受光信号に基づいて、点滴筒110における点滴監視センサ1の装着位置に関する情報を算出する。具体的には、制御部50は、例えばステップS12の処理により、装着位置に関する情報を算出する。
すなわち、制御部50は、受光部30における受光量の変化が、所定時間Ta以上であるか否かを判定する(ステップS12)。受光量の変化の長さは、図5A及び図5Bを参照して説明した、検出開始時刻から検出終了時刻までの時間の長さである。
制御部50は、受光部30における受光量の変化が、所定時間Ta未満である場合(ステップS12のNo)、装着位置が適当であると判定する(ステップS13)。
一方、制御部50は、受光部30における受光量の変化が、所定時間Ta以上にわたる場合(ステップS12のYes)、装着位置が不適当であると判定する(ステップS14)。この場合、点滴監視センサ1は、図4Bに示したように、発光部10と受光部30とを含む水平面Hが、液滴排出口111aに形成される落下前の液滴と同じ高さとなる位置で、点滴筒110に装着されている状態である。
制御部50は、装着位置が不適当であると判定した場合、判定結果としての、装着位置に関する情報を、報知部80から報知する(ステップS15)。操作者は、報知部80における報知により、装着位置が不適当であることを知ることができる。この場合、操作者は、点滴監視センサ1の点滴筒110における装着位置を、調整する(ここでの例では下げる)ことができる。これにより、点滴監視センサ1を点滴筒110の適当な位置に装着し得る。
制御部50は、装着位置が不適当であると判定した場合、図6のフローを繰り返し実行してもよい。このようにして、操作者は、制御部50により装着位置が適当であると判定されるまで、装着位置を調整することができる。
図6に示した例では、制御部50は、装着位置が不適当であると判定した場合に判定結果を報知すると説明した。しかしながら、制御部50は、装着位置が適当であると判定した場合に判定結果を報知してもよい。この場合、操作者は、報知部80における報知により、装着位置が適当であることを知ることができる。制御部50は、操作者が認識可能なように、装着位置が適当であるか不適当であるかを、それぞれ区別して報知してもよい。
このように、本実施形態に係る点滴監視センサ1によれば、制御部50は、受光部30から受光した受光信号に基づいて、点滴筒110における点滴監視センサ1の装着位置に関する情報を算出する。そのため、点滴監視センサ1の点滴筒110への装着位置を検出可能である。特に、本実施形態では、点滴監視センサ1は、受光信号に基づいて、点滴筒110における点滴監視センサ1の装着位置が不適当であるか否かを判定することができる。
なお、例えば、点滴監視センサ1が、点滴筒110に対して図4Bに示す位置よりも更に上方に装着され、水平面Hが滴下部111と交差する場合には、点滴監視センサ1は、液滴を検出しない。この場合も、点滴監視センサ1の装着位置が不適当であると言える。そこで、点滴監視センサ1の制御部50は、予め定められた所定の時間、液滴を検出しなかった場合、つまり受光部30における受光量が変化しなかった場合にも、報知部80からその旨を報知してもよい。また、点滴監視センサ1が、滴下部111(透過度の低い遮光物)を検出した場合、つまり受光部30における受光量の大幅な減少が所定の時間以上連続する場合(例えば、図5Aおよび図5Bに示すグラフおいて、検出強度が所定の時間以上、予め定められた閾値を超えた場合)にも、報知部80からその旨を報知してもよい。これにより、操作者は、点滴監視センサ1の装着位置が不適当であることを認識し、装着位置を調整することができる。
(第2実施形態)
図7Aから図7Cは、それぞれ点滴筒110に対する第2実施形態に係る点滴監視センサ2の装着状態の一例を示す図である。第2実施形態に係る構成について、第1実施形態と同様の点については適宜説明を省略しながら、説明する。
第2実施形態に係る点滴監視センサ2は、第1実施形態に係る点滴監視センサ2と異なり、受光部30が2つの受光素子(例えばPT)により構成されている。つまり、本実施形態に係る点滴監視センサ2の受光部30は、第1受光素子30aと第2受光素子30bとにより構成されている。
第1受光素子30aと第2受光素子30bとは、点滴監視センサ2が点滴筒110に装着された状態において、発光部10を通る水平面Hに対して面対称の位置に設けられている。第1受光素子30aと、第2受光素子30bとの間隔Wは、後述する時間差を検出可能な範囲で適宜決定されてよく、例えば3〜4mmである。間隔Wは、例えば記憶部60に予め記憶されている。点滴監視センサ2の他の構成については、第1実施形態に係る点滴監視センサ1と同様であるため、その詳細な説明については省略する。
図7Aから図7Cは、点滴監視センサ2をそれぞれ異なる高さに装着した様子を示す図である。図7Aから図7Cを比較すると、図7Aでは、点滴監視センサ2が最も高い位置に装着され、図7B、図7Cの順に、点滴監視センサ2が装着される位置が低くなる。上述のように、点滴監視センサ2の装着位置は、高いほど好ましいため、図7Cに示す装着位置よりも図7Bに示す装着位置が好ましく、図7Aに示す装着位置が、これらの図の中では最も好ましい。
図8Aから図8Cは、それぞれ図7Aから図7Cの装着状態における、点滴監視センサ2による液滴の検出強度の変化を示す図である。図8Aから図8Cでは、液滴の検出強度の変化が、それぞれ上下2段で示されている。上段は、第1受光素子30aによる液滴の検出強度を示したものであり、下段は、第2受光素子30bによる液滴の検出強度を示したものである。図8Aから図8Cにおいて、縦軸は液滴の検出強度を示し、横軸は時刻を示す。
図8Aから図8Cを参照すると、いずれも第1受光素子30aにより落下液滴116が検出された後、第2受光素子30bにより落下液滴116が検出されている。しかしながら、第1受光素子30aにより落下液滴116が検出されてから、第2受光素子30bにより落下液滴116が検出されるまでの時間は、点滴監視センサ2の装着位置が下方であるほど、短くなる。
ここで、検出強度のピークの時刻を、受光素子による落下液滴116の検出時刻とする。ただし、検出時刻は、検出強度の検出開始時刻であってもよいし、検出終了時刻であってもよい。図7Aに示す装着位置における、第1受光素子30aによる落下液滴116の検出時刻をt11とし、第2受光素子30bによる落下液滴116の検出時刻をt12とし、第1受光素子30aにより落下液滴116が検出されてから第2受光素子30bにより落下液滴116が検出されるまでの時間差をT10(=t12−t11)とする。同様に、図7Bに示す装着位置における、第1受光素子30aによる落下液滴116の検出時刻をt21とし、第2受光素子30bによる落下液滴116の検出時刻をt22とし、第1受光素子30aにより落下液滴116が検出されてから第2受光素子30bにより落下液滴116が検出されるまでの時間差をT20(=t22−t21)とする。同様に、図7Cに示す装着位置における、第1受光素子30aによる落下液滴116の検出時刻をt31とし、第2受光素子30bによる落下液滴116の検出時刻をt32とし、第1受光素子30aにより落下液滴116が検出されてから第2受光素子30bにより落下液滴116が検出されるまでの時間差をT30(=t32−t31)とする。この場合、落下液滴116は、落下を開始してから時間が経過するほど速度が増加しているため、T10>T20>T30が成立する。
制御部50は、この性質を利用して、各受光素子の受光信号が示す受光量の変化の時間差に基づいて、滴下部111の液滴排出口111aから点滴監視センサ2の装着位置までの鉛直方向の距離を算出することができる。ここで、液滴排出口111aから点滴監視センサ2の装着位置までの鉛直方向の距離は、液滴排出口111aから、点滴監視センサ2の代表点までの鉛直方向の距離とすることができる。代表点は、適宜定めることができ、例えば水平面H上の1点とすることができる。
図9は、液滴の落下距離と落下速度との関係を示すシミュレーション結果を示す図である。具体的には、図9は、落下液滴116の液滴排出口111aからの距離(落下距離)における、当該落下液滴116の速度(落下速度)を示す図である。点滴監視センサ2は、記憶部60において、図9に示すシミュレーション結果を記憶していてよい。
制御部50は、図9に一例として示すシミュレーション結果を用いて、液滴排出口111aから点滴監視センサ2の装着位置までの鉛直方向の距離を算出することができる。具体的には、制御部50は、第1受光素子30aによる落下液滴116の検出時刻と第2受光素子30bによる落下液滴116の検出時刻との時間差Tと、第1受光素子30aと第2受光素子30bとの間隔Wと、を用いて、落下液滴116の落下速度を算出する。制御部50は、間隔Wを時間差Tで割る演算を行うことにより、落下速度V(=W/T)を算出することができる。そして、制御部50は、図9に示すシミュレーション結果を参照して、算出した落下速度Vにおける落下距離を決定する。決定した落下距離が、液滴排出口111aから点滴監視センサ2の装着位置までの鉛直方向の距離である。このようにして、制御部50は、液滴排出口111aから点滴監視センサ2の装着位置までの鉛直方向の距離を算出することができる。
なお、図9に示すシミュレーション結果は、一例に過ぎない。落下液滴116の落下距離と落下速度の関係は、例えば落下液滴116の体積等に応じて空気抵抗が異なるため、異なり得る。そのため、記憶部60は、点滴筒110及び/又は落下液滴116に応じたシミュレーション結果を記憶していてよく、制御部50は、適切なシミュレーション結果を使用して、液滴排出口111aから点滴監視センサ2の装着位置までの鉛直方向の距離を算出することができる。
制御部50は、上述の性質を利用して、各受光素子の受光信号が示す受光量の変化の時間差に基づいて、当該時間差が所定の時間差Ts以下である場合、点滴筒110に対する点滴監視センサ2の装着位置が不適当である(下方すぎる)と判定することができる。所定の時間差Tsは、点滴筒110の大きさや使用態様等に応じて適宜定めることができる。所定の時間差Tsは、例えば予め記憶部60に記憶されていてよい。
例えば、落下距離が10mm以上の場合を、不適当な装着位置であるとする。この場合、落下速度が、図9のシミュレーション結果に示す落下速度Vsよりも早い場合、装着位置が不適当な範囲に属することとなる。そのため、制御部50は、第1受光素子30aによる落下液滴116の検出時刻と第2受光素子30bによる落下液滴116の検出時刻との時間差Tが、所定の時間差Ts(=W/Vs)以下である場合に、装着位置が不適当であると判定することができる。反対に、制御部50は、第1受光素子30aによる落下液滴116の検出時刻と第2受光素子30bによる落下液滴116の検出時刻との時間差Tが、所定の時間差Tsより大きい場合、装着位置が適当であると判定することができる。
制御部50は、上述のようにして算出した、液滴排出口111aから点滴監視センサ2の装着位置までの鉛直方向の距離、及び/又は、装着位置が適当であるか否かに関する情報を、報知部80から報知することができる。報知により、操作者は、点滴監視センサ2の装着位置に関する情報を認識できる。
本実施形態においても、第1実施形態で図6のフローを参照して説明した処理を組み合わせて用いることができる。第1実施形態で図6のフローを参照して説明した処理を組み合わせることにより、本実施形態に係る点滴監視センサ2は、落下液滴116を検出できないほど装着位置が上方にある場合と、定められた所定の位置よりも装着位置が下方にある場合との、双方の不適当な装着位置を検出することができる。
図10は、第2実施形態に係る点滴監視センサ2の制御部50が実行する処理の一例を示すフローチャートである。図10に示すフローは、図6に示したフローと同様に、例えば医療従事者等の操作者が、点滴監視センサ2に対して、所定の入力操作を行った場合に開始されてよい。
点滴監視センサ2に対して所定の入力操作が行われると、発光部10は、例えば制御部50による制御により発光を開始し、受光部30の第1受光素子30a及び第2受光素子30bは、発光部10が照射した光の受光を開始する。第1受光素子30a及び第2受光素子30bは、受光した光に応じた受光信号を出力する。
制御部50は、第1受光素子30a及び第2受光素子30bが出力した受光信号を取得する(ステップS21)。
制御部50は、ステップS21で取得した受光信号に基づいて、点滴筒110における点滴監視センサ2の装着位置に関する情報を算出する。ここでは、制御部50は、ステップS22からステップS28の処理により、装着位置に関する情報を算出する。
すなわち、制御部50は、第1受光素子30a又は第2受光素子30bにおける受光量の変化が、所定時間Ta以上であるか否かを判定する(ステップS22)。受光量の変化の長さは、図5A及び図5Bを参照して説明した、検出開始時刻から検出終了時刻までの時間の長さである。
制御部50は、第1受光素子30a又は第2受光素子30bにおける受光量の変化が、所定時間Ta以上にわたる場合(ステップS22のYes)、装着位置が不適当であると判定する(ステップS28)。
制御部50は、装着位置が不適当であると判定した場合、判定結果としての、装着位置に関する情報を、報知部80から報知する(ステップS29)。操作者は、報知部80における報知により、装着位置が不適当であることを知ることができる。この場合、操作者は、点滴監視センサ2の点滴筒110における装着位置を、調整する(ここでの例では下げる)ことができる。これにより、点滴監視センサ2を点滴筒110の適当な位置に装着し得る。
一方、制御部50は、第1受光素子30a又は第2受光素子30bにおける受光量の変化が、所定時間Ta未満である場合(ステップS22のNo)、ステップS23に移行する。
制御部50は、第1受光素子30a及び第2受光素子30bによる落下液滴116の検出時刻の時間差Tを算出する(ステップS23)。具体的には、制御部50は、第2受光素子30bによる落下液滴116の検出時刻と、第1受光素子30aによる落下液滴116の検出時刻との差を算出することにより、時間差Tを算出する。
次に、制御部50は、落下液滴116の落下速度Vを算出する(ステップS24)。具体的には、制御部50は、第1受光素子30aと第2受光素子30bとの間隔Wを時間差Tで割る演算を行うことにより、落下速度Vを算出する。
そして、制御部50は、点滴監視センサ2の装着位置に関する情報としての、液滴排出口111aから点滴監視センサ2までの鉛直方向の距離を算出する(ステップS25)。具体的には、制御部50は、図9に一例として示した液滴の落下距離と落下速度との関係を示すシミュレーション結果を参照して、ステップS24で算出した落下速度Vに基づき、液滴排出口111aから点滴監視センサ2までの鉛直方向の距離を算出することができる。
さらに、制御部50は、ステップS23で算出した時間差Tが、閾値としての所定の時間差Ts以下であるか否かを判定する(ステップS26)。
制御部50は、時間差Tが所定の時間差Tsより大きいと判定した場合(ステップS26のNo)、点滴筒110における点滴監視センサ2の装着位置が適当であると判定する(ステップS27)。
一方、制御部50は、時間差Tが所定の時間差Ts以下であると判定した場合(ステップS26のYes)、点滴筒110における点滴監視センサ2の装着位置が不適当であると判定する(ステップS28)。
制御部50は、装着位置が不適当であると判定した場合、判定結果としての、装着位置に関する情報を、報知部80から報知する(ステップS29)。操作者は、報知部80における報知により、装着位置が不適当であることを知ることができる。この場合、操作者は、点滴監視センサ2の点滴筒110における装着位置を、調整する(ここでの例では上げる)ことができる。これにより、点滴監視センサ2を点滴筒110の適当な位置に装着し得る。
制御部50は、装着位置が不適当であると判定した場合、図10のフローを繰り返し実行してもよい。このようにして、操作者は、制御部50により装着位置が適当であると判定されるまで、装着位置を調整することができる。
図10に示した例において、制御部50は、装着位置が適当であると判定した場合に判定結果を報知してもよい。この場合、操作者は、報知部80における報知により、装着位置が適当であることを知ることができる。制御部50は、操作者が認識可能なように、装着位置が適当であるか不適当であるかを、それぞれ区別して報知してもよい。
図10を参照して説明したフローは、一例にすぎず、制御部50は、その一部の処理を実行しなくてもよい。例えば、制御部50は、ステップS22の処理を実行しなくてもよい。例えば、制御部50は、ステップS24からS25までの処理、又は、ステップS26からステップS28までの処理のいずれかを実行しなくてもよい。
このように、本実施形態に係る点滴監視センサ2によっても、制御部50は、受光部30から受光した受光信号に基づいて、点滴筒110における点滴監視センサ2の装着位置に関する情報を算出することができる。本実施形態では、2つの受光素子からの受光信号が示す受光量の変化の時間差Tを用いて、点滴監視センサ2の装着位置に関する情報として、液滴排出口111aから点滴監視センサ2までの鉛直方向の距離を算出したり、装着位置が適当であるか否かを判定したりすることができる。
なお、本実施形態では、受光部30が2つの受光素子を備える場合の例に付いて説明したが、受光部30は、3つ以上の受光素子を備えていてもよい。3つ以上の受光素子は、点滴監視センサ2が点滴筒110に装着された状態において、鉛直方向に位置するように配置されていることが好ましい。受光部30が3つ以上の受光素子を備える場合、制御部50は、3つ以上の受光素子による落下液滴116の検出時刻の時間差を用いて、本実施形態で説明したのと同様の原理を用いて、点滴監視センサ2の装着位置に関する情報を算出することができる。
なお、第1実施形態に係る点滴監視センサ1においても、液滴排出口111aから点滴監視センサ1までの鉛直方向の距離を算出することができる。具体的には、制御部50は、受光部30により落下液滴116が検出される時間の長さは、落下距離に応じて変化する。そこで、第1実施形態に係る点滴監視センサ1においても、受光部30により検出された落下液滴116の検出開始時刻と検出終了時刻との時間差から、第2実施形態で説明した原理を利用して、液滴排出口111aから点滴監視センサ1までの鉛直方向の距離を算出することができる。
上記各実施形態において、点滴監視センサ1又は点滴監視センサ2は、所定の入力操作としての、点滴筒110への装着作業の開始に関連する入力操作を検出した後、所定時間内にのみ、装着位置に関する情報を報知してもよい。点滴監視センサ1又は点滴監視センサ2の制御部50による落下液滴116の検出状況は、点滴監視センサ1又は点滴監視センサ2の使用環境の影響で変化することがあるが、このような使用環境の影響による変化により誤検出が発生し、報知部80から報知が出力された場合、点滴を受けている患者が不安感を覚える可能性がある。そこで、点滴筒110への装着作業の開始に関連する入力操作を検出した後、所定時間内にのみ、装着位置に関する情報を報知することにより、使用開始後に、誤検出によって報知がされることを防止でき、患者に不安感を与えないようにすることができる。所定時間は、この主旨に鑑みて適宜設定することができ、具体的には、点滴監視センサ1又は点滴監視センサ2の点滴筒110への取付け作業として想定される時間とすることができる。
本開示は、点滴監視センサと制御装置とを含むシステムとして構成することも可能である。図11は、本開示をシステムとして構成した場合における、点滴監視システム3の概略構成を示す機能ブロック図である。図11に示すように、点滴監視システム3は、点滴監視センサ4と、制御装置5とを備える。制御装置5は、例えば、サーバ装置や、コンピュータ等の端末装置により構成することができる。点滴監視センサ4と制御装置5とは、有線通信又は無線通信により、互いに情報通信可能に接続されている。
点滴監視センサ4は、発光部10と、受光部30と、増幅部70と、制御部50aと、通信部90aとを備える。発光部10、受光部30及び増幅部70の機能は、上述の実施形態と同様である。点滴監視システム3では、点滴監視センサ4が備える制御部50aは、発光部10と受光部30とを制御して、増幅部70を介して受光部30から受光信号を取得する。制御部50aは、通信インタフェースである通信部90aを介して、制御装置5に受光信号の情報を送信する。
制御装置5は、制御部50bと、記憶部60と、報知部80と、通信部90bとを備える。記憶部60及び報知部80の機能は、上述の実施形態と同様である。制御装置5は、通信インタフェースである通信部90bを介して、点滴監視センサ4から受光信号の情報を受信する。制御部50bは、通信部90bにおいて受信した受光信号の情報を用いて、上述した第1実施形態及び第2実施形態と同様の処理を行うことにより、点滴筒110における点滴監視センサ4の装着位置に関する情報を算出し、装着位置に関する情報を報知部80から報知してよい。このようにして、本開示を点滴監視システム3として構成することができる。
本開示に係る点滴監視センサ及び点滴監視システムは、上述した実施形態に示す具体的な構成・工程に限られず、特許請求の範囲の記載を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。