JP2021040796A - 骨接合用ねじ - Google Patents

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亮 岩澤
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Abstract

【課題】緩みが生じにくく、骨が再生するまでの間充分な強度で骨を固定できる骨接合用ねじを提供する。【解決手段】生体吸収性材料からなる骨接合用ねじであって、前記骨接合用ねじは、頭部と、外周にねじ山が形成された脚部とを有し、前記脚部は、軸方向に沿った溝を有し、該溝にリン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と水系媒体とを含むペースト状骨補填材料が充填されている骨接合用ねじ。【選択図】 図1

Description

本発明は、緩みが生じにくく、骨が再生するまでの間充分な強度で骨を固定できる骨接合用ねじに関する。
従来から、骨折が治癒するまで骨を固定する骨接合材料としてステンレス、セラミック等より成るワイヤー、プレート、ねじ、ピン、ビス、ステープル、クリップ、ロッド等が用いられている。しかし、金属やセラミックからなる骨接合材料は、人体に吸収されないことから治癒後も体内に残存し、また、これらの骨接合材料は、SUS−316のステンレス製のもので323N/mm程度、セラミック製のもので245〜490N/mm程度と、実用上充分な曲げ強度を有する一方で、人骨に比べて剛性が高すぎることから、適用部の骨が削られたり、持続刺激によって局部の骨の融解、新生骨の強度低下、再生骨の成長遅延等を生じたりする恐れがあるという問題点があった。
これに対して、ポリ−L−乳酸等の生体吸収性材料からなる骨接合材料が開発されている。例えば、特許文献1には、生体吸収性材料の成形物を、該ポリマーのガラス転移点以上であって融点以下の温度で静水圧押出しして、生体吸収性材料の分子が長軸方向に配向した高密度成形体であって、浮沈法で測定した密度が1.260g/cm以上である骨接合材料が開示されている。
特許第2619760号公報
生体吸収性材料からなる骨接合材料としては、ねじ状の材料も開発されている。ねじ状の材料は、骨同士の接合、腱等の生体組織と骨との接合、プレート状、ダンベル状等の他の骨接合材料と骨との接合等に用いられている。しかしながら、このようなねじ状の材料は骨が再生するまでの間に徐々に緩みが生じることがあり、骨の固定が不充分になるという問題点があった。
本発明は、上記現状に鑑み、緩みが生じにくく、骨が再生するまでの間充分な強度で骨を固定できる骨接合用ねじを提供することを目的とする。
本発明は、生体吸収性材料からなる骨接合用ねじであって、上記骨接合用ねじは、頭部と、外周にねじ山が形成された脚部とを有し、上記脚部は、軸方向に沿った溝を有し、該溝にリン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と水系媒体とを含むペースト状骨補填材料が充填されている骨接合用ねじである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、生体吸収性材料からなり、頭部と、外周にねじ山が形成された脚部とを有する骨接合用ねじにおいて、上記脚部を、軸方向に沿った溝を有するとともに該溝に所定のペースト状骨補填材料が充填されている構造とすることで、骨が再生するまでの間の緩みの発生を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の骨接合用ねじは、生体吸収性材料からなる。
骨接合用ねじを生体吸収性材料によって構成することで、骨接合用ねじが時間の経過とともに体内へ徐々に吸収されることから、後に手術によって取り出す必要がない。
上記生体吸収性材料としては、例えば、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリ−ε−カプロラクトン、ラクチド−グリコール酸共重合体、グリコリド−ε−カプロラクトン共重合体、ラクチド−ε−カプロラクトン共重合体、ポリクエン酸、ポリリンゴ酸、ポリ−α−シアノアクリレート、ポリ−β−ヒドロキシ酸、ポリトリメチレンオキサレート、ポリテトラメチレンオキサレート、ポリオルソエステル、ポリオルソカーボネート、ポリエチレンカーボネート、ポリ−γ−ベンジル−L−グルタメート、ポリ−γ−メチル−L−グルタメート、ポリ−L−アラニン、ポリグリコールセバスチン酸等の合成高分子や、デンプン、アルギン酸、ヒアルロン酸、キチン、ペクチン酸及びその誘導体等の多糖類や、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、フィブリン等のタンパク質等の天然高分子、マグネシウム等の生体吸収性無機物等が挙げられる。なかでも、体内での分解速度が骨接合用ねじとして用いるのに適していることからラクチド−グリコール酸共重合体であることが好ましい。なお、本明細書においてラクチドは、L−ラクチド、D−ラクチド、D,L−ラクチド(ラセミ体)のいずれをも含むが、好ましくはL−ラクチドである。これらの生体吸収性材料は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記生体吸収性材料がラクチド−グリコール酸共重合体である場合、ラクチドとグリコール酸のモル比が70:30〜95:5であることが好ましい。このような比率でラクチドとグリコール酸を含むラクチド−グリコール酸共重合体を用いることで、骨の再生まで充分な強度を有する骨接合用ねじとすることができる。上記ラクチド−グリコール酸共重合体におけるラクチドとグリコール酸のモル比は、75:25〜90:10であることがより好ましく、79:21〜85:15であることが更に好ましい。
上記生体吸収性材料が高分子である場合、重量平均分子量は14万以上32万以下であることが好ましい。上記重量平均分子量を14万以上とすることで、骨接合用ねじの強度をより高めることができる。上記重量平均分子量を32万以下とすることで、骨の再生後は骨接合用ねじが早期に体内へ吸収されるため、体内での異物反応を抑えることができる。骨接合用ねじの強度をより高めるとともに、骨の再生後にはより早く体内へ吸収させる観点から、上記生体吸収性材料の重量平均分子量は18万以上がより好ましく、20万以上が更に好ましく、30万以下がより好ましく、28万以下が更に好ましい。
なお、ここで重量平均分子量とは、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。具体的には、カラム温度40℃において溶出液としてクロロホルム、カラムとして細孔多分散型有機溶媒系カラム(例えば、SHODEX GPCカラム LF−80、昭和電工社製)、GPC装置として日立ハイテクノロジーズ社製LaChrom Eliteシステムを用いて、ポリスチレン標準により決定することができる。
本発明の骨接合用ねじは、頭部と、外周にねじ山が形成された脚部とを有する。通常、上記頭部と上記脚部とは一体化している。
上記頭部の形状は特に限定されず、例えば、なべ、皿、丸皿、トラス、バインド、低頭等の従来公知の形状が挙げられる。上記頭部は、本発明の骨接合用ねじを使用する際に医療用ドライバー等の器具を接触させるための溝を表面に有していてもよい。上記器具を接触させるための溝の形状は特に限定されず、従来公知の形状が挙げられる。
上記脚部は、外周にねじ山が形成されている。上記ねじ山は、通常、上記脚部の外周に沿って螺旋状に形成されており、上記脚部の全体にわたって形成されていてもよいし、一部のみに形成されていてもよい。上記ねじ山の螺旋の向きは特に限定されず、右巻きであってもよいし、左巻きであってもよい。
上記ねじ山の形状や角度は特に限定されず、従来公知の形状や角度であってよい。上記ねじ山の具体的な断面形状としては、例えば、三角形、台形、のこ歯形、長方形、正方形、半円形等が挙げられる。上記ねじ山の間隔(リード、ピッチ等)も特に限定されず、従来公知の間隔(リード、ピッチ等)であってよい。
上記脚部の最大径は特に限定されず、通常、上記頭部の最大径よりも小さい。上記脚部の最大径の好ましい下限は1mm、好ましい上限は20mmである。上記脚部の最大径を上記範囲とすることで、骨接合用ねじは、緩みが生じにくく、骨が再生するまでの間充分な強度で骨を固定することができる。また、骨の再生後は早期に体内へ吸収されるため、体内での異物反応を抑えることもできる。上記脚部の最大径のより好ましい下限は2mm、より好ましい上限は10mmである。
上記脚部の長さは特に限定されないが、好ましい下限は1mm、好ましい上限は100mmである。上記脚部の長さを上記範囲とすることで、骨接合用ねじは、緩みが生じにくく、骨が再生するまでの間充分な強度で骨を固定することができる。また、骨の再生後は早期に体内へ吸収されるため、体内での異物反応を抑えることもできる。上記脚部の長さのより好ましい下限は2mm、より好ましい上限は50mmである。
なお、骨接合用ねじの頭部の最大径、脚部の最大径及び脚部の長さは、ノギス又はマイクロメーターを用いて測定することができる。
上記脚部は、軸方向に沿った溝を有し、該溝にリン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と水系媒体とを含むペースト状骨補填材料が充填されている。
リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子は、水系媒体と混合するとゾル化し、室温下でも時間の経過とともにゲル化し、最終的には硬化する。このようにして得られた硬化物は、充分な強度を有するうえ骨との密着性及び親和性が高い。従って、上記溝にリン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と水系媒体とを含むペースト状骨補填材料を充填することで、骨接合用ねじと骨との密着性及び親和性を高め、骨が再生するまでの間の緩みの発生を抑制できる。
上記溝は、上記脚部の軸方向に沿って形成されていればよく、上記脚部の全体にわたって形成されていてもよいし、一部のみに形成されていてもよい。上記溝は、上記脚部において軸方向に沿うように形成されていればよく、上記脚部の軸方向に対して必ずしも平行である必要はない。上記溝を形成する方法は特に限定されず、例えば、切削加工、射出成型、圧造、転造等が挙げられる。
上記溝の幅や深さは特に限定されないが、上記脚部の最大径に対する上記溝の幅の割合の好ましい下限は1/20、好ましい上限は2/3である。上記溝の幅の割合を上記範囲とすることで、骨接合用ねじと骨との密着性及び親和性が高まり、骨接合用ねじの緩みがより生じにくくなる。また、ねじ山の削りすぎにより骨接合用ねじの固定に悪影響を及ぼすことを防ぐこともできる。上記脚部の最大径に対する上記溝の幅の割合のより好ましい下限は1/10、より好ましい上限は1/2である。
また、上記脚部の最大径に対する上記溝の深さの割合の好ましい下限は3/200、好ましい上限は3/5であり、より好ましい下限は3/100、より好ましい上限は3/20である。
なお、脚部の溝の幅や深さは、マイクロスコープ、レーザー顕微鏡又はデプスゲージを用いて測定することができる。
上記溝にリン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と水系媒体とを含むペースト状骨補填材料を充填する方法は特に限定されないが、リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と水系媒体とを混合してペースト状骨補填材料を調製し、調製直後にペースト状骨補填材料を注射器等のインジェクターを用いて上記溝に注入する方法が好ましい。
ここでペースト状骨補填材料とは、ペースト状であって注射器等のインジェクターにより所定の部位に容易に注入することができる骨補填材料を意味する。
上記リン酸カルシウム系化合物は特に限定されず、例えば、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、水酸アパタイト、炭素含有アパタイト、フッ素アパタイト等が挙げられる。これらのリン酸カルシウム系化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子の平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限は4.0μm、好ましい上限は10.0μmである。上記平均粒子径が4.0μm未満であると、上記ペースト状骨補填材料の流動性が低下し、インジェクトによる充填が困難となることがある。上記平均粒子径が10.0μmを超えると、上記ペースト状骨補填材料の硬化物の強度が低く、骨接合用ねじの緩みが生じやすくなることがある。上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子の平均粒子径のより好ましい下限は4.4μm、より好ましい上限は7.8μmである。
上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子は、粒子径が10μm以上、100μm未満の微粒子の含有量の好ましい下限が15.0体積%、好ましい上限が45.0体積%である。上記粒子径が10μm以上、100μm未満の微粒子の含有量を上記範囲とすることで、上記ペースト状骨補填材料の注入時における充分な流動性と、硬化後の高い強度とを両立しやすくなる。上記粒子径が10μm以上、100μm未満の微粒子の含有量のより好ましい下限は15.7体積%、より好ましい上限は43.0体積%である。
なお、平均粒子径や粒子径が10μm以上、100μm未満の微粒子の含有量は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(例えば、セイシン企業社製、LMS−2000e等)を用いて、分散圧0.2MPaの乾式法にて測定することができる。
上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子の粒度分布を調整する方法は特に限定されず、例えば、原料となる種々の平均粒子径を有するリン酸カルシウム系化合物からなる微粒子を、ポットミル等の攪拌装置を用いて一定時間混合粉砕する方法等が挙げられる。また、必要に応じて、混合粉砕後の微粒子を、篩等を用いて分級してもよい。
上記水系媒体は、上記ペースト状骨補填材料の媒体となるものである。
上記水系媒体は、注射用水等が挙げられる。上記水系媒体は、pHを調整する目的で、バッファー成分を含有してもよい。また、上記水系媒体として、骨髄液や細胞懸濁液も使用することができる。
更に、上記水系媒体は、粘度を調整する目的で少量の水溶性高分子を含有したり、感染を予防する目的で抗菌剤を含有したり、骨再生を促進する目的で各種の成長因子等を含有してもよい。
上記水溶性高分子は、例えば、乳酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸等の重合体、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、デキストラン硫酸、ヘパラン硫酸等が挙げられる。
上記ペースト状骨補填材料は、更に、生体吸収性高分子からなる微粒子を含むことが好ましい。上記ペースト状骨補填材料に生体吸収性高分子からなる微粒子を配合することで、生体吸収性高分子からなる微粒子が体内で膨潤することにより、上記ペースト状骨補填材料の硬化物と骨との密着性が高まる。これにより、骨接合用ねじの緩みがより生じにくくなる。
上記生体吸収性高分子は特に限定されず、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコール酸共重合体、グリコール酸−ε−カプロラクトン共重合体、乳酸−ε−カプロラクトン共重合体、乳酸−グリコール酸−ε−カプロラクトン3元共重合体、ポリリンゴ酸、ポリ−α−シアノアクリレート、ポリ−β−ヒドロキシ酸、ポリトリメチレンオキサレート、ポリテトラメチレンオキサレート、ポリオルソエステル、ポリオルソカーボネート、ポリエチレンカーボネート、ポリ−γ−ベンジル−L−グルタメート、ポリ−L−グルタミン酸、ポリ−γ−メチル−L−グルタメート、ポリ−L−リジン、ポリ−L−アラニン等の合成高分子や、デンプン、アルギン酸、ヒアルロン酸、キチン、ペクチン酸及びその誘導体等の多糖類や、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、フィブリン等のタンパク質等の天然高分子等が挙げられる。これらの生体吸収性高分子は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、生体親和性に優れ、架橋等の程度により生体吸収性を制御可能であることから、ゼラチン、コラーゲン又はヒアルロン酸が好適であり、ゼラチンがより好適である。
上記生体吸収性高分子からなる微粒子がゼラチン、コラーゲン又はヒアルロン酸からなる場合、上記ゼラチン、コラーゲン又はヒアルロン酸は架橋されていることが好ましい。未架橋のゼラチン、コラーゲン又はヒアルロン酸からなる微粒子を用いると、上記水系媒体に懸濁させたときに溶解してしまい、体内で膨潤することにより上記ペースト状骨補填材料の硬化物と骨との密着性を高めることができないことがある。また、溶解まではしないとしても、吸水して、必要以上の粒子径にまで膨潤してしまうことがある。
上記架橋の方法は特に限定されず、熱脱水架橋、紫外線架橋、化学架橋、イオン架橋等の従来公知の架橋方法を用いることができる。
上記架橋の方法や程度により、吸水性や生体吸収性を制御することができる。好ましくは、上記生体吸収性高分子からなる微粒子を上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と上記水系媒体と混合してペースト状骨補填材料としたときに、該ペースト状骨補填材料で吸水して膨潤した上記生体吸収性高分子からなる微粒子の平均粒子径が30〜500μm程度になるように架橋を施すことが好ましい。
例えば、ゼラチンからなる微粒子を熱架橋する場合、真空下で110〜170℃、5分〜48時間程度の熱処理を行うことが考えられる。
上記生体吸収性高分子からなる微粒子の平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は400μmである。上記平均粒子径が10μm未満であると、上記ペースト状骨補填材料の硬化物と骨との密着性を充分に高めることができず、骨接合用ねじの緩みが生じやすくなることがある。上記平均粒子径が400μmを超えると、上記ペースト状骨補填材料の硬化物の強度が低く、骨接合用ねじの緩みが生じやすくなることがある。上記生体吸収性高分子からなる微粒子の平均粒子径のより好ましい下限は20μm、より好ましい上限は200μmである。
上記ペースト状骨補填材料は、更に、各種細胞増殖因子、抗菌剤、抗生物質等の薬剤を有してもよい。これらを上記ペースト状骨補填材料に配合することで、早期の骨再生が期待される。また、上記ペースト状骨補填材料に抗菌剤、抗生物質等を配合することで、骨の固定部近傍に細菌等が多く存在する環境下(例えば、骨感染例や口腔内)での骨接合用ねじの使用も可能となる。更に、細胞増殖因子と骨髄間葉系細胞を含む骨髄細胞とを併用した場合には、骨粗鬆症に伴う難治性骨折や脊椎圧迫骨折等の、骨修復部周囲に骨形成に必要な細胞が乏しいと考えられる場合や、骨修復部中心部まで骨形成に有効な細胞侵入が期待できない場合等にも、高い治癒効果の発揮を期待できる。なお、上記薬剤は、骨再生関連の薬剤のみに限定されない。
上記ペースト状骨補填材料の各成分を配合する比率は特に限定されず、混練操作のしやすさ、インジェクターを用いたインジェクトのしやすさ、硬化までの時間、硬化物の強度等を考慮して決定する。
上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子に対する上記水系媒体の比(液/粉比(ml/g)の好ましい下限は0.25、好ましい上限は0.40である。上記液/粉比が0.25未満であると、上記ペースト状骨補填材料の流動性が低下し、インジェクトによる充填が困難となることがある。上記液/粉比が0.40を超えると、上記ペースト状骨補填材料の硬化物の強度が低く、骨接合用ねじの緩みが生じやすくなることがある。上記液/粉比のより好ましい下限は0.26、より好ましい上限は0.34である。
上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と上記生体吸収性高分子からなる微粒子との配合比率は、重量比で97:3〜76:24の範囲であることが好ましい。この範囲内であると、硬化後の高い強度と、骨との密着性とを両立しやすくなる。この範囲よりも上記生体吸収性高分子からなる微粒子が少ない場合には、上記ペースト状骨補填材料の硬化物と骨との密着性を充分に高めることができず、骨接合用ねじの緩みが生じやすくなることがある。この範囲よりも上記生体吸収性高分子からなる微粒子が多い場合には、上記ペースト状骨補填材料の硬化物の強度が低く、骨接合用ねじの緩みが生じやすくなることがある。より好ましくは重量比で95:5〜80:20の範囲であり、更に好ましくは重量比で90:10〜85:15の範囲である。
上記ペースト状骨補填材料を調製する方法は特に限定されないが、リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と水系媒体と必要に応じて配合される他の成分とをシリンジ中に入れ、練和混合する方法や、板上でリン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と水系媒体と必要に応じて配合される他の成分とを練和混合する方法等が挙げられる。
上記ペースト状骨補填材料に生体吸収性高分子からなる微粒子を配合する場合には、リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と、生体吸収性高分子からなる微粒子と、水系媒体との全量を同時に混合してもかまわないが、上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と生体吸収性高分子からなる微粒子とを混合した後、この混合物に上記水系媒体を加えていく方法や、上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子に上記水系媒体の一部量を加え練和混合した後、上記生体吸収性高分子からなる微粒子、上記水系媒体の残部量を加えて混合する方法が好ましい。このような方法でペースト状骨補填材料を調製することにより、より均一に調製することができ、強度の高い硬化物が得られる。
本発明の骨接合用ねじを模式的に示した斜視図を、図1に示す。図1に示すように、本発明の骨接合用ねじ1は、頭部1aと、外周にねじ山が形成された脚部1bとを有する。脚部1bは、軸方向に沿った溝を有し、該溝にペースト状骨補填材料2が充填されている。脚部1bをこのような構造とすることで、骨接合用ねじ1と骨との密着性及び親和性を高め、骨が再生するまでの間の緩みの発生を抑制できる。
本発明の骨接合用ねじを製造する方法は特に限定されず、例えば、生体吸収性材料を用いて射出成形や切削加工をすることで頭部と外周にねじ山が形成された脚部とを形成した後、該脚部に切削加工等により溝を形成し、該溝にペースト状骨補填材料を充填する方法等が挙げられる。
本発明の骨接合用ねじの用途は特に限定されず、例えば、骨同士の接合、腱等の生体組織と骨との接合、プレート状、ダンベル状等の他の骨接合材料と骨との接合等のために用いられることが好ましい。すなわち、本発明の骨接合用ねじは、一の塊体と他の塊体とに螺入又は貫通して両者を固定するために用いられることが好ましい。
本発明によれば、緩みが生じにくく、骨が再生するまでの間充分な強度で骨を固定できる骨接合用ねじを提供することができる。
本発明の骨接合用ねじを模式的に示した斜視図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)脚部に溝を有するねじの製造
ねじの原料としてラクチド(L体)−グリコール酸共重合体(ラクチドに由来する構成単位:グリコール酸に由来する構成単位のモル比=82:18、重量平均分子量:28万)を準備した。
上記原料を射出成形し、切削加工によりねじ山を形成することにより、頭部と外周にねじ山が形成された脚部とを有するねじ(頭部の最大径3.2mm、脚部の最大径2.0mm、脚部の長さ8.0mm)を得た。得られたねじの脚部に、該脚部の軸方向に沿うように切削加工により溝(幅1.0mm、深さ0.3mm)を形成し、脚部に溝を有するねじを得た。
(2)ペースト状骨補填材料の調製
平均粒子径が10μmのリン酸カルシウム系微粒子A(α型リン酸三カルシウム74.9体積%、リン酸四カルシウム17体積%、リン酸水素カルシウム二水和物5体積%、水酸アパタイト2体積%、リン酸マグネシウム0.1体積%含有)を準備した。
上記リン酸カルシウム系微粒子A100重量部に対して45重量部の水系媒体a(5.4%コンドロイチン硫酸ナトリウム、13%コハク酸二ナトリウム無水物含有水溶液、0.3%亜硫酸水素ナトリウム)を加えて、ガラス板上にてプラスチックヘラを用いて1分間練和し、ペースト状骨補填材料を得た。
(3)骨接合用ねじの製造
ペースト状骨補填材料の調製直後、上記で得られた脚部に溝を有するねじの脚部の溝にインジェクターを用いてペースト状骨補填材料を注入することで得られた骨接合用ねじは、ペースト状骨補填材料が充填されていない骨接合用ねじと比較して、緩みが生じにくいものであった。
本発明によれば、緩みが生じにくく、骨が再生するまでの間充分な強度で骨を固定できる骨接合用ねじを提供することができる。
1 骨接合用ねじ
1a 頭部
1b 脚部
2 ペースト状骨補填材料

Claims (3)

  1. 生体吸収性材料からなる骨接合用ねじであって、
    前記骨接合用ねじは、頭部と、外周にねじ山が形成された脚部とを有し、
    前記脚部は、軸方向に沿った溝を有し、該溝にリン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と水系媒体とを含むペースト状骨補填材料が充填されていることを特徴とする骨接合用ねじ。
  2. 前記生体吸収性材料がラクチド−グリコール酸共重合体であることを特徴とする請求項1記載の骨接合用ねじ。
  3. 前記ペースト状骨補填材料が更に生体吸収性高分子からなる微粒子を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の骨接合用ねじ。
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CN114732944A (zh) * 2022-04-07 2022-07-12 北京大学 一种复合结构锌基棒材及其制备方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114732944A (zh) * 2022-04-07 2022-07-12 北京大学 一种复合结构锌基棒材及其制备方法
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