JP2021040555A - 核酸試料の品質評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 試料中に含まれる核酸に対して次世代シーケンサーを用いた塩基配列解析を行なうにあたり、当該核酸の品質を評価する方法を提供すること。【解決手段】 試料中に含まれる核酸を、当該核酸とハイブリダイズ可能な特定のヌクレオチド配列からなる、オリゴヌクレオチドプライマーセットを含む核酸増幅試薬と反応させ、前記反応で得られた核酸増幅産物量を評価することで、前記課題を解決する。【選択図】 図4

Description

本発明は、試料中に含まれる核酸の品質評価方法に関する。特に本発明は、核酸増幅反応を利用して核酸試料の品質を評価する方法に関する。
近年、血液などの体液や臓器などの組織を構成する細胞を個別に解析し、基礎研究や臨床診断、治療へ応用する研究が進められている。例えば、がん患者の血液中を循環する腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell、以下CTC)を対象に、当該細胞について形態学的分析、組織型分析や遺伝子解析を行ない、これら分析や解析により得られた知見に基づき、治療方針の決定や治療中における病態変化を判断する研究が進められている。
一方で同種の細胞であっても、タンパク質や核酸などの生体分子の量や質が異なる不均一性が、細胞ごとに存在することが知られている。特にCTCは高い頻度でアポトーシスを起こしていることが知られており、アポトーシスの進んだCTCでは、タンパク質や核酸などの生体分子の分解が進行していることが懸念される。したがって、CTCを個別に解析する場合、解析対象のCTCごとに解析の成功率が異なることが予想される。
また試料中に含まれる標的細胞を個別に解析する場合、一般的には、フローサイトメーターを用いて前記標的細胞を個別に回収したり、前記標的細胞を含む細胞群をスライドガラスなどの基板上に並べた後、顕微鏡およびマイクロマニュピレーターを用いて個別に回収した後、解析する。ここで標的細胞を個別に回収する際、夾雑細胞と区別して回収する必要があるため、通常は、標的細胞内に存在するタンパク質や核酸などの生体分子で当該標的細胞を標識してから回収する。例えば、CTCを回収するには、CTCなど上皮系細胞に特徴的な細胞内タンパク質であるサイトケラチンに対する蛍光標識抗体や、CTC内のDNAに対して強力に結合する蛍光色素であるDAPI(4’,6−diamidino−2−phenylindole)を用いて、CTCを蛍光標識し回収する。
しかしながら、標的細胞内の生体分子を標識する場合、当該細胞の固定処理や膜透過処理が必要であり、これら処理によりタンパク質や核酸などの生体分子が変性および/または溶出してしまう懸念がある。そのため、前述した細胞回収方法により個別に回収した細胞の生体分子を解析する場合に、当該生体分子の質や量が無処理の場合に比べて低下し、解析の成功率や精度の悪化が起こり得る。
特に一細胞などの少数の細胞を対象とした解析においては、細胞中に含まれる生体分子の量が少ないことから、良好な解析結果を得るには前記細胞の質や前記細胞に含まれる生体分子の量が重要となる。とりわけ前記解析を、細胞内核酸の次世代シーケンサーによる塩基配列解析で行なう場合、解析に要するコストが依然として高いことから、解析対象細胞(核酸)の品質を評価した上、良好な結果を期待できる細胞のみを解析に供するのが好ましい。
核酸試料の品質評価方法として、試料中に含まれる標的核酸をPCR法などの核酸増幅
反応に供し、核酸増幅産物の有無またはその量に基づき評価する方法が知られている(特許文献1、非特許文献1から2)。しかしながら核酸増幅反応においては、標的核酸とハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドの組み合わせ、すなわちフォワードプライマー(第一のプライマー)とリバースプライマー(第二のプライマー)との組み合わせ(以下、プライマーセットとも表記)を最適化する必要がある。さらに核酸試料の品質評価にあたって、増幅対象とする標的核酸上の領域(標的領域)は複数あると好ましい。複数の標的領域を用いた品質評価を行なう際、当該標的領域とハイブリダイズ可能なプライマーセットを標的領域毎に用意し、当該用意した複数のプライマーセットを含む核酸増幅試薬で複数の標的領域を同時に増幅し得るマルチプレックス核酸増幅を行なうと好ましい。しかしながらマルチプレックス核酸増幅ではプライマー同士の干渉などにより非特異的な増幅や増幅効率の低下が発生しやすく、プライマーセットの最適化が課題である。
特表2016−538872号公報
EH van Beers,et al.,British J. Cancer,94,333−337(2006) Rodolphe Marie,et al.,Lab on a Chip,18,1891−1902(2018)
本発明の課題は、試料中に含まれる核酸に対して次世代シーケンサーを用いた塩基配列解析を行なうにあたり、当該核酸の品質を評価する方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
試料中に含まれる核酸を、当該核酸とハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドプライマーセットを含む核酸増幅試薬と反応させる工程と、
前記反応工程で得られた核酸増幅産物量を評価する工程とを含む、
試料中に含まれる核酸の品質を評価する方法であって、
前記核酸がヒト細胞由来の核酸であり、前記オリゴヌクレオチドプライマーセットが、少なくとも下記(a)から(d)に示す、いずれか一つである、前記方法である。
(a)配列番号1に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号2に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーとのセット
(b)配列番号3に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号4に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーとのセット
(c)配列番号5に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号6に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーとのセット
(d)配列番号7に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号8に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーとのセット。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、核酸を含む試料は、ヒト細胞由来の核酸を含む試料であれば特に限定はない。一例として、尿、全血、希釈血液、血漿、血清、唾液、精液、糞便、痰、髄液、腹水、羊水といったヒトから取得した試料や、細胞の凝集物、腫瘍、リンパ節、動脈といったヒトの器官または組織由来の試料や、ヒト由来の細胞や組織の培養物およびそれらの培養液といった培養試料があげられる。また、後述するオリゴヌクレオチドプライマーセットにより増幅される標的核酸を含み得る試料であれば、人工的に合成した前記標的核酸を含む水溶液など、生体分子に由来しない試料を用いてもよい。さらに前記核酸を含む試料は、後述するオリゴヌクレオチドプライマーセットを含む核酸増幅試薬により標的核酸を増幅可能な態様を維持している限り、エタノールなどによる細胞膜透過処理や、ホルムアルデヒドなどによる細胞固定処理や、ホルマリン固定パラフィン包埋などによる標本化処理や、抗体や蛍光標識物質による染色処理といった、種々の処理を施した試料であっても良い。
本発明において、試料中から核酸を得る方法には特に限定はない。ヒト由来の生体試料や培養細胞などの試料を直接核酸増幅試薬と反応させても良く、有機溶媒や界面活性剤などを用いて試料から核酸を抽出しても良い。また、抽出した核酸の精製を行なっても良く、さらに全ゲノム増幅などの事前処理を行なっても良い。特に、一細胞や少数細胞を対象とする場合など、試料中に含まれる核酸の量がごく微量な場合は、予め全ゲノム増幅などの核酸試料の増幅操作を実施すると、試料中に含まれる核酸の量が増加し、前記核酸試料の一部を品質評価工程に供せるため、好ましい。
本発明における、オリゴヌクレオチドプライマーセットは、試料中に含まれる核酸とハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドの組み合わせのことをいい、具体的には、前記核酸のうち標的核酸の相補鎖とハイブリダイズ可能な配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドであるフォワードプライマー(第一のプライマー)と、前記核酸のうち標的核酸の相同鎖とハイブリダイズ可能な配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドであるリバースプライマー(第二のプライマー)との組み合わせである。
本発明ではオリゴヌクレオチドプライマーセットとして、少なくとも下記(a)から(d)に示す、いずれか一つを用いることを特徴としている。
(a)SMAD4遺伝子(GenBank No.NG_013013)の91850番目から91869番目までの塩基配列(配列番号1に記載の配列)を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマー(フォワードプライマー)と、同遺伝子の91929番目から91948番目までの塩基配列の相補配列(配列番号2に記載の配列)を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマー(リバースプライマー)との組み合わせ。
(b)EGFR(Epidermal Growth Factor Receptor)遺伝子(GenBank No.NG_007726)の191258番目から191276番目までの塩基配列(配列番号3に記載の配列)を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマー(フォワードプライマー)と、同遺伝子の191390番目から191409番目までの塩基配列の相補配列(配列番号4に記載の配列)を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマー(リバースプライマー)との組み合わせ。
(c)KIT遺伝子(GenBank No.NG_007456)の45324番目から45346番目までの塩基配列(配列番号5に記載の配列)を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマー(フォワードプライマー)と、同遺伝子の45502番目から45522番目までの塩基配列の相補配列(配列番号6に記載の配列)を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマー(リバースプライマー)との組み合わせ。
(d)TP53(Tumor Protein 53)遺伝子(GenBank No.NG_017013)の16294番目から16318番目までの塩基配列(配列番号7に記載の配列)を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマー(フォワードプライマー)と、同遺伝子の16520番目から16539番目までの塩基配列の相補配列(配列番号8に記載の配列)を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマー(リバースプライマー)との組み合わせ。
本発明では、少なくとも前述した(a)から(d)に示す、いずれか一つのオリゴヌクレオチドプライマーセットを含む核酸増幅試薬と試料中に含まれる核酸とを反応させ、当該反応で得られた核酸増幅産物を評価すればよいが、前記核酸増幅試薬に前述した(a)から(d)に示すオリゴヌクレオチドプライマーセットのうちいずれか二つ以上含ませると試料中に含まれる核酸の品質を正確に評価できる点で好ましく、いずれか三つ以上前記核酸増幅試薬に含ませると試料中に含まれる核酸の品質をより正確に評価できる点でより好ましく、前述した(a)から(d)に示すオリゴヌクレオチドプライマーセットすべてを前記核酸増幅試薬に含ませると試料中に含まれる核酸の品質をさらにより正確に評価できる点でさらにより好ましい。さらに、前述した(a)から(d)に示す、いずれか一つのオリゴヌクレオチドプライマーセットを少なくとも含みさえすれば、試料中に含まれる核酸とハイブリダイズ可能な他のオリゴヌクレオチドプライマーセットを核酸増幅試薬に含ませて、試料中に含まれる核酸の品質評価を行なってもよい。
本発明で行なう核酸増幅法(試料中に含まれる核酸と核酸増幅試薬との反応方法)に特に限定はなく、PCR法などの当業者が通常用いる核酸増幅法を用いればよい。またループ構造を形成可能な配列やRNAポリメラーゼのプロモーター配列などをフォワードプライマーまたはリバースプライマーにあらかじめ付加したうえで、LAMP(Loop−Mediated Isothermal Amplification)法、NASBA(Nucleic Acid Sequence−Based Amplification)法、TMA(Transcription Mediated Amplification)法、TRC法(Transcription−Reverse Transcription Concerted)などの等温核酸増幅法に用いても良い。
核酸増幅させる際の試薬組成、反応温度、反応時間などは、使用する核酸増幅方法や核酸増幅酵素、対象とする核酸試料などに応じて適宜決定すれば良い。また、試料中に含まれる核酸と核酸増幅試薬と反応させるにあたって、核酸試料の全量を反応させても良いし、核酸試料の一部のみを反応させても良い。核酸試料の品質評価後に前記核酸試料に対して種々の解析を実施する場合は、核酸試料の一部のみを品質評価工程に供すると、前記核酸試料の残余を種々の解析に使用できる点で好ましい。
前述した方法で増幅した標的核酸の量は従来から知られた核酸検出方法により評価できる。前記核酸検出方法の一例として、以下の(A)から(C)に示す方法があげられる;
(A)電気泳動や液体クロマトグラフィーを用いた方法、
(B)検出可能な標識で標識された核酸プローブによるハイブリダイゼーション法、
(C)当該増幅産物の塩基配列の一部とハイブリダイズすることで蛍光特性が変化するように設計された蛍光色素標識プローブを用いた方法。
前記(C)の蛍光色素標識プローブの一例として、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を利用した蛍光標識プローブや、インターカレーター性蛍光色素で標識された核酸プローブがあげられる。なお標的核酸の検出は、標的核酸の増幅反応と分けて行なってもよく、前記(B)または(C)のプローブをあらかじめ核酸増幅試薬に含ませた上で、標的核酸の増幅反応と増幅した標的核酸の検出を同時に行なってもよい(例えば、リアルタイムPCR法やリアルタイムTRC法)。
本発明では前述した方法で検出した核酸増幅産物の量を評価することで、試料中に含まれる核酸の品質を評価する。評価基準は目的や状況に応じて適宜決定すればよい。例えば、単に核酸増幅産物の検出の有無で(すなわち定性的に)評価しても良いし、核酸増幅産物量(または濃度)に一定の閾値を設け、当該閾値を上回るか否かで(すなわち定量的に)評価してもよい。さらに複数のオリゴヌクレオチドプライマーセットを用いたマルチプレックス核酸増幅法で試料中に含まれる核酸を増幅させた場合は、各プライマーセットで増幅された産物の数(種類)もしくはその量もしくは割合、または増幅プロファイルなどに基づいて評価してもよい。
本発明により品質が良好と評価された核酸は、その後更なる解析や処理に供することができる。前記解析や処理に特に制限はなく、一例として、塩基配列解析やハイブリダイゼーション解析、遺伝子クローニングなどの核酸を対象にした解析や処理があげられる。前記解析や処理に供する核酸試料は、前記核酸増幅試薬との反応後の溶液を用いても良いし、核酸を含む試料の一部を品質評価に供した場合は、当該試料の残余を用いても良い。なお核酸増幅試薬の影響を排除できる点では、核酸試料の残余を用いたほうが好ましい。
試料中に含まれる核酸の品質評価基準も特に制限はなく、試料の総数や品質の傾向、解析や処理のスループットなど、状況や目的に応じて適宜決定すればよい。すなわち、非常に良好な品質の試料のみを選抜しても良いし、ある程度幅広く選抜しても良い。なお複数のオリゴヌクレオチドプライマーセットを用いたマルチプレックス核酸増幅法で試料中に含まれる核酸を増幅させ、前記プライマーセットにより増幅された産物の種類数で核酸の品質を評価する場合は、増幅され得る増幅産物が全て検出された核酸試料のみを選抜しても良いし、複数の増幅産物が検出された核酸試料を選抜しても良いし、1つ以上の増幅産物が検出された試料を選抜しても良い。
本発明は、試料中に含まれる核酸の品質を評価するにあたり、当該核酸とハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドプライマーセットを含む核酸増幅試薬と反応させ、当該反応により得られた前記核酸の増幅産物量に基づき評価する方法であって、前記核酸がヒト細胞由来の核酸であり、前記オリゴヌクレオチドプライマーセットとして、SMAD4遺伝子、EGFR遺伝子、KIT遺伝子、TP53遺伝子の中から選ばれる、少なくともいずれか一つの遺伝子の相補鎖とハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドプライマーと、前記プライマーと同じ遺伝子の相同鎖とハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドプライマーとの組み合わせを用いることを特徴としている。
本発明は、試料中に含まれる核酸の品質を迅速かつ簡便に評価できる。したがって本発明を用いて高品質な核酸試料を選抜することで、後の解析の成功率や精度を向上させ、効率的な解析を実施できる。
実施例1で用いた、標的細胞を個別に検出・回収可能な細胞保持装置100を示す、分解図である。 図1に示した装置の正面図である。 回収手段400による、図1および図2に示した装置で保持した細胞の回収を示す図である。 実施例3の結果を示す図である。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 核酸試料の調製
以下に示す方法で、ヒトがん細胞株一細胞から、核酸試料を調製した。
(1)24穴マイクロプレートで培養したヒト肺がん細胞株(H1975株)をトリプシンで剥離し、マイクロチューブに回収した。
(2)600×gで5分間遠心分離を行ない上清を除去後、細胞ペレットをPEG−BSA(BSAとして0.1%(w/v))および280mMキシリトールを含む溶液(以下、「PEG−BSAキシリトール溶液」とも表記)で懸濁させることで洗浄した。当該洗浄操作を3回繰り返した。
(3)(2)で取得したがん細胞株懸濁液を、図1および図2に示す細胞保持装置100に導入した。信号発生器50から電極基板31・32に交流電圧(1MHz、20Vp−p)を10分間印加することで、誘電泳動力300により前記装置が有する保持部60にがん細胞株(標的細胞70)を保持させた。なお図1および図2に示す細胞保持装置100は、直径30μmの貫通孔12aを複数有した絶縁体12と直径30μmの貫通孔11aを複数有した遮光性のクロム膜(遮光部材11)と電極基板31とを上から絶縁体12−遮光部材11−電極基板31の順に密着して設け、さらに絶縁体12の上面に試料の導入口21、排出口22および貫通部23を有する厚さ1mmのスペーサー20を、スペーサー20の上面に電極基板32を、それぞれ密着して設けてなる装置である。なお貫通孔11a/12aおよび電極基板31により、直径30μm、深さ40μmからなる標的細胞70を保持可能な保持部60が約30万個形成されている。
(4)導入口21から、0.01%(w/v)ポリ−L−リジンを含む280mMキシリトール水溶液を、前記交流電圧を印加しながら導入し、3分間静置後、前記交流電圧の印加を停止し、排出口22から前記水溶液を吸引除去した。
(5)導入口21から1%(w/v)ホルムアルデヒドを含むPBS(以下、「細胞固定試薬」とも表記)を導入し、10分間静置することで細胞を固定した。その後、排出口22から細胞固定試薬を吸引除去し、導入口21からPBS−T(Phosphate buffered saline with Tween20)を導入することで、残留した細胞固定試薬を洗浄した。
(6)導入口21から95%(w/v)エタノールを含む水溶液(以下、膜透過試薬)を導入し、10分間静置することで細胞の膜透過処理を行なった。その後、排出口22から細胞固定試薬を吸引除去し、導入口21からPBS−Tを導入することで、残留した膜透過試薬を洗浄した。
(7)導入口21からDAPI(4’,6−DiAmidino−2−PhenylIndole)(同仁化学研究所社製)を混合した細胞染色試薬850μLを導入し、20分静置することで細胞を標識した。その後、排出口22から細胞染色試薬を吸引除去し、導入口21からPBS−Tを導入することで、残留した細胞染色試薬を洗浄した。
(8)蛍光顕微鏡200(Olympus社製IX71)を用いて、保持部60に保持されたDAPI陽性細胞(がん細胞株70)を検出後、図3に示すように、吸引手段であるマイクロマニピュレーター400を用いて、上面の電極基板32を取り外した細胞保持装置100の保持部60に保持されたがん細胞株70を吸引した。吸引したがん細胞株70を、0.2mLマイクロチューブヘ吐出した後、Ampli1 WGAキット(シリコン バイオシステムズ社製)を用いた全ゲノム増幅を実施することで、核酸試料を調製した。
なお本実施例では、(8)で実施した、がん細胞株の吸引・全ゲノム増幅操作を合計11個のがん細胞株に対して行ない、それぞれ核酸試料aからkと命名した。
実施例2 核酸試料の品質評価
以下に示す方法で、実施例1で調製した核酸試料の品質評価を行なった。
(1)表1に記載の塩基配列からなるプライマー(Forward/Reverse primer 4対、計8種類)溶液(濃度:100μM)各2.5μLと、RNase−free水30μLとを混合し、プライマーMix溶液を調製した(濃度:各5μM)。
(2)(1)で調製したプライマーMix溶液を用いて、実施例1で調製した核酸試料(テンプレートDNA)上にある標的核酸を、PCR法により増幅した。PCR法での反応液組成、反応温度は、以下に示す。
(反応液組成)
HotStarTaq Master Mix(キアゲン社製) 12.5μL
RNase−free水 10μL
5μMプライマーMix溶液 1.5μL
核酸試料(実施例1) 1μL
(反応温度)
95℃で15分間:1サイクル
94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で60秒間:40サイクル
72℃で10分間:1サイクル
(3)Agilent 2100 バイオアナライザおよびAgilent DNA1000キット(いずれもアジレント・テクノロジー社製)を用いてDNAの増幅を確認した。
表2に、各プライマーセットによって増幅される核酸増幅産物の量を示す。核酸試料ごとに、核酸増幅産物(PCR産物)の量や種類が異なることが分かる。
実施例3 核酸試料の遺伝子変異解析
以下に示す方法で、核酸試料の遺伝子変異解析(がん関連遺伝子のターゲットシーケンスによる変異解析)を行った。
実施例1で調製した核酸試料を、Agencourt AMPureXP(ベックマン・コールター社製)を用いて精製した。精製した試料に対して、Ion AmpliSeq Cancer Hotspot Panel v2(以下、CHPv2)およびIon AmpliSeq Library Kit Plus(いずれもThermo Fisher Scientific社製)を用いたライブラリー調製を行ない、Ion S5(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて遺伝子変異解析を実施した。
図4に、遺伝子変異解析の検出率と、核酸試料の品質評価結果(実施例2)の関係を示す。ここで検出率とは、CHPv2の検出対象範囲にあるHotSpot(約2700ヶ所)のうち、塩基配列が解読できた部位の割合を表す。実施例2で検出された核酸増幅産物の量や数(種類)が多いほど、遺伝子変異解析の検出率が高いことが分かる。すなわち、ヒト細胞由来の核酸の品質を評価する際、当該核酸とハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドプライマーセット(本実施例では、配列番号1に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号2に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーとの組み合わせ、配列番号3に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号4に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーとの組み合わせ、配列番号5に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号6に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーとの組み合わせ、および配列番号7に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーと配列番号8に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーとの組み合わせ)を含む核酸増幅試薬と反応させ、前記反応で得られた核酸増幅産物量(数(種類)も含まれる、以下同じ)に基づき試料中に含まれる核酸を評価し、核酸増幅産物量が多い核酸を選択することで、核酸試料の解析を効率的に実施できる。
100:細胞保持装置
11:遮光部材
12:絶縁体
11a・12a:貫通孔
20:スペーサー
21:導入口
22:排出口
23:貫通部
31・32:電極基板
40:導線
50:信号発生器
60:保持部
70:標的細胞(がん細胞株)
200:蛍光顕微鏡
300:誘電泳動力
400:マイクロマニピュレーター

Claims (1)

  1. 試料中に含まれる核酸を、当該核酸とハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドプライマーセットを含む核酸増幅試薬と反応させる工程と、
    前記反応工程で得られた核酸増幅産物量を評価する工程とを含む、
    試料中に含まれる核酸の品質を評価する方法であって、
    前記核酸がヒト細胞由来の核酸であり、前記オリゴヌクレオチドプライマーセットが、少なくとも下記(a)から(d)に示す、いずれか一つである、前記方法:
    (a)配列番号1に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号2に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーとのセット
    (b)配列番号3に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号4に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーとのセット
    (c)配列番号5に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号6に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーとのセット
    (d)配列番号7に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号8に記載の配列を少なくとも含むオリゴヌクレオチドプライマーとのセット。
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