JP2021040066A - 積層体、熱電変換素子、熱電変換素子の使用方法、発電装置、排熱回収システム、及び、方法 - Google Patents

積層体、熱電変換素子、熱電変換素子の使用方法、発電装置、排熱回収システム、及び、方法 Download PDF

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Abstract

【課題】外部から加熱、及び/又は、冷却をしなくても、自然光等の光を照射するだけで電流を得ることができる熱電変換素子に適用できる積層体を提供することを課題とする。【解決手段】積層体10は、可視光及び近赤外光を透過し、中赤外光を吸収し、かつ、スピン流を発生可能な、光放射−スピン流発生層13と、光放射−スピン流発生層13の少なくとも一部と接して配置された、スピン軌道相互作用を有するスピン流−電流変換層14と、可視光及び近赤外光を吸収する、光吸収層15と、をこの順に有する。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体、熱電変換素子、熱電変換素子の使用方法、発電装置、排熱回収システム、及び、方法に関する。
熱を電力に変換する機能を有する熱電変換素子が知られている。熱電変換素子の一つとして、スピンゼーベック効果を利用した素子が知られている。このような熱電変換素子として、特許文献1には、「磁性体(20)と、この磁性体の一面(21)に形成されている起電体(30)とを備え、前記磁性体に生じる温度勾配に起因して前記磁性体と前記起電体との間に発生するスピンゼーベック効果によって前記起電体に起電力が誘起されるスピン熱電変換素子であって、前記起電体は、PtとFeとを含む合金によって構成されて、前記Feの原子数濃度が40at%以上で60at%以下の範囲内に入るように前記起電体が構成されていることを特徴とするスピン熱電変換素子。」が記載されている。
特開2017−045762号公報
一般に、ゼーベック効果を利用した従来の熱電変換素子においては、起電力の発生方向は、温度勾配(熱勾配)の方向と平行である。一方、スピンゼーベック素子では、起電力の発生方向は温度勾配と垂直方向になる。スピンゼーベック素子によって生成される熱電能は温度勾配に垂直な方向の長さに比例する。そのため、温度勾配に垂直な方向の長さが長くなるように素子を構成することによって、長さに比例した起電力を得ることができる。スピンゼーベック素子は、従来のゼーベック素子と比較して、素子の厚みを薄くしても大きな起電力が得られる点と大面積化が容易である点とにおいて優位性がある。
スピンゼーベック素子は薄型の熱電変換素子として優れた性能を有する一方で、素子を薄くすると、素子の表裏の温度がより均一になりやすく、結果として、電力を得るのに必要な温度勾配が得られにくい、という問題があった。
上記問題は、熱電変換素子の一方の面を加熱し、他方の面を冷却することで解決できるものの、エネルギー効率に鑑みて必ずしも十分とは言えなかった。
そこで、本発明は、外部から加熱、及び/又は、冷却をしなくても、自然光等の光を照射するだけで電流を得ることができる熱電変換素子に適用できる積層体を提供することを課題とする。
また、本発明は、熱電変換素子、熱電変換素子の使用方法、発電装置、排熱回収システム、及び、方法を提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] 可視光、及び、近赤外光を透過し、中赤外光を吸収し、かつ、スピン流を発生可能な、光放射−スピン流発生層と、上記光放射−スピン流発生層の少なくとも一部と接して配置された、スピン軌道相互作用を有する、スピン流−電流変換層と、可視光、及び、近赤外光を吸収する、光吸収層と、をこの順に有する積層体。
[2] 上記光放射−スピン流発生層が磁化方向が揃った磁性体を含有する層である、[1]に記載の積層体。
[3] 上記磁性体が磁性絶縁体である[2]に記載の積層体。
[4] 上記磁性絶縁体がガーネットフェライト、及び、スピネルフェライトからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、[3]に記載の積層体。
[5] 上記磁性体が保磁力を有する、[2]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6] 上記スピン流−電流変換層が金属を含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7] 上記スピン流−電流変換層の厚みが、1〜100nmである、[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
[8] 上記光放射−スピン流発生層の側から光を照射して、スピン流、及び、電流からなる群より選択される少なくとも一方を得るために使用される、[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の積層体を有する熱電変換素子。
[10] [9]に記載の熱電変換素子に光を照射して、電力を得る、熱電変換素子の使用方法。
[11] [9]に記載の熱電変換素子を有する発電装置。
[12] 発熱体と、上記発熱体上に配置された[9]に記載の熱電変換素子とを有する排熱回収システム。
[13] 熱電変換素子の一方側の主面に、可視光、及び、近赤外光を透過し、中赤外光を吸収する部材を接触して配置し、他方側の主面の少なくとも一部に、
可視光、及び、近赤外光を吸収する部材を接触して配置し、上記一方側の主面から上記他方側の主面に向かう上記熱電変換素子の厚み方向に沿って熱勾配を生じさせる方法。
本発明によれば、外部から加熱、及び/又は、冷却をしなくても、自然光等の光を照射するだけで電流を得ることができる熱電変換素子に適用できる(以下、「本発明の効果を有する」ともいう。)積層体が提供できる。また、本発明は、熱電変換素子、熱電変換素子の使用方法、発電装置、排熱回収システム、及び、方法も提供できる。
本発明の実施形態に係る積層体の模式的な断面図である。 本発明の実施形態に係る熱電変換素子の模式的な断面図である。 本発明の実施形態に係る熱電変換素子の斜視図である。 本発明の実施形態に係る発電装置の模式図である。 本発明の実施形態に係る排熱回収システムの模式図である。 本発明の実施形態に係る排熱回収システムの模式図である。 実施例で作成した試料の層構成の模式図である。 実施例で起電力の測定に使用した測定装置の写真である。 実施例で起電力の測定に使用した測定装置の模式図である。 印加した電流に応じて磁場が−12mTから+11mTに変化したときの電圧値の測定結果の一例である。 屋外での測定に使用した試料の配置の模式図である。 GGG基板側から自然光が入射する形態で測定した場合の晴れの夜間と、晴れの昼間とにおける起電力の大きさの測定結果である。 屋外での測定に使用した試料の配置の模式図である。 黒体塗料層側から自然光が入射する形態で測定した場合の晴れの夜間と、晴れの昼間とにおける起電力の大きさの測定結果である。 屋内での測定に使用した試料の配置の模式図である。 異なる配置で試験を行った場合の各条件における起電力を示した。 屋内での測定に使用した試料の配置の模式図である。 異なる配置で試験を行った場合の各条件における起電力を示した。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[積層体]
本発明の実施形態に係る積層体(以下、「本積層体」ともいう。)は、可視光、及び、近赤外光を透過し、中赤外光を吸収し、かつ、スピン流を発生可能な、光放射−スピン流発生層と、上記光放射−スピン流発生層の少なくとも一部と(好ましくは面積基準で90%以上で)接するように配置された、スピン軌道相互作用を有する、スピン流−電流変換層と、可視光、及び、近赤外光を吸収する、光吸収層と、をこの順に有する積層体である。
図1は、本積層体の模式的な断面図を表している。積層体10は、光放射層11及びスピン流発生層12からなる光放射−スピン流発生層13と、光放射−スピン流発生層13と接して配置されたスピン流−電流変換層14と、光吸収層15とを有している。
次に、積層体10が有する熱発電機能について説明する。積層体10を屋外に配置し、光放射層11側から自然光が入射する(図1中「hν」と示した。)場合について説明する。
まず、光放射層11に入射した自然光のうち、可視光、及び、近赤外光は光放射層11を透過し、中赤外光は光放射層11に吸収される。
ここで、一般に、自然光(地表で観測される太陽光、例えば、AM1.5G)には、中赤外光は殆ど含まれていないことが知られている。光放射層11は、自然光の主要成分である可視光、近赤外光を透過し、かつ、自然光には中赤外光が殆ど含まれないことから、光放射層11は、自然光の照射による温度上昇は殆どないものと考えらえる。
一方で、光放射層11は、中赤外光の吸収率が高い、すなわち、中赤外光の放射率が高いため、光放射層11からは、相対的に温度の低い空間(この場合、宇宙空間)へと熱放射が起こりやすい。そのため、光放射層11は、屋外に配置されると放射冷却効果によって冷却される。従って光放射層11は後述する光吸収層15等と比較して相対的に温度が低くなりやすい。そのため、光吸収層15と光放射層11との間には積層体の厚み方向に沿った温度勾配(光吸収層15側の温度が高く、光放射層11側の温度が低い)が生じ、結果として、スピン流発生層12とスピン流―電流変換層14の界面近傍に大きな温度勾配が生じやすい。
スピン流発生層12は熱流によって電子スピンを生成するスピンゼーベック効果を発現するする層であり、放射冷却によって生じた温度勾配(熱勾配)に応じたスピン流を生成する。
このスピン流は、スピン流−電流変換層14の逆スピンホール効果によって熱起電力に変換される。
スピン流発生層12としては、より優れた本発明の効果を有する積層体が得られる点で、可視光、及び、近赤外光を透過することが好ましい。
なお、積層体10は、光放射層11及びスピン流発生層12が積層された、光放射−スピン流発生層13を有しているが、本積層体の構成としては上記に制限されない。例えば、可視、近赤外光を透過し、中赤外光を吸収し、かつ、スピン流を発生可能な1つの層から構成された光放射−スピン流発生層であってもよい。
積層体が、光放射層11及びスピン流発生層12を有する場合、より優れた本発明の効果を有する積層体が得られる点で、スピン流発生層12と後述するスピン流−電流変換層14とが接していることが好ましい。
光放射層11、及び、スピン流発生層12からなる光放射−スピン流発生層13を透過した可視、近赤外光は、スピン流−電流変換層14及び光吸収層15に到達し、スピン流−電流変換層14、及び/又は、光吸収層15により吸収される。可視、近赤外光を吸収した層(典型的には光吸収層15)は光を吸収して温度が上昇し(光加熱され)、放射冷却された光放射層11との間で積層体の厚み方向に沿ったより大きな温度勾配を生じ、結果として、スピン流発生層12とスピン流―電流変換層14との界面近傍に大きな温度勾配を生じさせやすい。
なお、ここまでは光放射層11側から自然光が照射された場合について説明したが、積層体10からは、光の照射がない場合であっても同一符号(極性)の起電力が得られる。
光の照射がない場合(光放射層11が宇宙側を向いて設置された場合)、すでに説明したとおり、光放射層11が放射冷却の効果により冷却され、光吸収層15から光放射層11へと向かう厚み方向に沿って温度勾配(温度差/厚み)が生じる。
この温度勾配は光照射の有無によらず、光吸収層15から光放射層11に向かう厚み方向に沿って温度が低下する方向であるため、スピン流−電流変換層14から取り出される起電力の符号(極性)は同一である。
上記は、本積層体10が極性変換回路等を用いなくても同一符号の直流電流が得られる熱電変換素子に適用できることを示している。
なお、図1では、光放射層11側から光を照射する場合について説明したが、光吸収層15側から光が照射した場合であっても、後述する実施例で示すように起電力は得られる。
光放射層11側から光を照射する場合、放射冷却の効果と光加熱の効果の相乗的な作用によって光放射層11と光吸収層15との間の積層体の厚み方向に沿って生ずる温度勾配がより大きくなりやすく、これにより、スピン流発生層12とスピン流―電流変換層14との界面近傍に大きな温度勾配が得られ、結果としてより大きな起電力が得られる点で好ましい。
以下では、本積層体における各層の構成について詳述する。
〔光放射−スピン流発生層〕
光放射−スピン流発生層は、可視光、及び、近赤外光を透過し、中赤外光を吸収し、かつ、スピン流を発生可能な層であり、典型的には可視、及び、近赤外光を透過し、中赤外光を吸収する光吸収層と、スピン流を発生可能なスピン流発生層とが積層されたものであることが好ましい。なおスピン流発生層は、後述するスピン−電流変換層と接していることが好ましい。
(光放射層)
光放射層は、可視光、及び、近赤外光を透過し、中赤外光を吸収する層である。
光放射層の材料としては特に制限されないが、例えば、シリカ等の無機材料、PDMS(ポリジメチルシロキサン)等のポリマーを含む有機材料、及び、それぞれの多層膜、並びに、上記を組み合わせた多層膜等が使用できる。
また、光放射層の材料としては、ガドリニウムガリウムガーネット(GdGa12:GGG)を用いてもよい。特に、光放射−スピン流発生層にYIGを用いる場合、光放射−スピン流発生層の結晶性や磁気特性を向上できる点で好ましい。このとき、ガドリニウムガリウムガーネットの結晶における面方位としては、特に制限されないが、(100)、(110)、又は、(111)であることが好ましい。
光放射層の厚みとしては特に制限されないが、一般に、1〜1000μmが好ましい。
(スピン流発生層)
スピン流発生層は、熱流によりスピン流を発生可能な層を意味し、より優れた本発明の効果を有する積層体が得られる点で、磁化を有する磁性体を含有する層(以下、「磁性体層」ともいう。)が好ましく、磁化を有する磁性体からなることが好ましい。なかでも、より優れた本発明の効果を有する積層体が得られる点で、磁性体の磁化方向が揃っていることが好ましい。
ここで、磁性体層中における磁性体の含有量としては特に制限されないが、一般に、磁性体層の全質量に対して80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
磁性体としては特に制限されないが、外部磁場を印加しなくても、電流が得られる場合がある点で、強磁性体、及び、フェリ磁性体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。常磁性体、及び、反強磁性体と比較し、強磁性体、及び/又は、フェリ磁性体を使う場合は、外部磁場の印加が不要であるか、又は、より少ないという利点がある。
なお、以下では、スピン流発生層が磁性体層である場合について説明する。
上記磁性体としては特に制限されないが、生じた温度勾配をより保持しやすい観点で、熱伝導率がより小さい材料が好ましい。この点で、磁性体としては、磁性絶縁体であることがより好ましい。磁性絶縁体は、電子による熱伝導がより抑制される点で好ましい。
磁性体としては、特に制限されないが、鉄(Fe)、及び、Co(コバルト)等を含有する酸化物が挙げられ、ガーネットフェライト、スピネルフェライト、及び、六方晶フェライト等が好ましく、ガーネットフェライト、又は、スピネルフェライトがより好ましい。
磁性体の具体例としては、入手が容易で、かつ、スピン角運動量の散逸の小さいYIG(イットリウム鉄ガーネット)、イットリウムガリウム鉄ガーネット(YFe5-xGa12ただし0≦x<5)からなるガーネットフェライト、YIGのY(イットリウム)サイトをLa(ランタン)等の原子で置換したガーネットフェライト(例えば、LaYFe12等)等が挙げられる。
光放射−スピン流発生層は、可視光、及び、近赤外光を透過し、中赤外光を吸収する。
なお、本明細書において、可視光とは、波長が0.4〜0.8μm光を意味し、近赤外光とは、波長が0.8μmを超え、2.5μm以下の光を意味し、中赤外光とは、波長が2.5μmを超え、15μm以下の光を意味する。
また、本明細書において可視光、及び、近赤外光を透過する、とは、入射した光のうち、0.4〜2.5μmの光の透過率が60%以上であることを意味し、70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。なお、透過率の上限としては特に制限されない。
また、中赤外光を吸収するとは、入射した光のうち、2.5μmを超え、15μm以下の光の吸収率が70%以上であることを意味し、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
なかでも、中赤外光のうち、「大気の窓」と呼ばれる8〜13μmの波長域のみ吸収率が高いことが好ましい。
光放射−スピン流発生層は、典型的には膜状であることが好ましく、この場合、膜面に平行な一方向に磁化方向が揃っていることが好ましい。磁性体が保磁力を有する場合、一旦、外部磁場を与えて磁化方向を初期化することにより、外部磁場を取り除いた後(ゼロ磁場のもと)であっても動作可能な点で好ましい。
このとき、磁化方向を固定するための方法は特に制限されず、例えば、コイル等を使用して外部磁場を与える方法であってもよい。なお、後述するように、逆スピンホール効果により発生する起電力EISHEは発生したスピン流jとスピン偏極方向の外積方向に生じるので、磁場印加方向は、スピン流−電流変換層の長手方向に対して垂直方向θ=90°とすることが好ましい。
光放射−スピン流発生層の形成方法としては特に制限されないが、磁性体としてイットリウム鉄ガーネット等を用いる場合には、スパッタ法、パルスレーザー堆積法、MOD法(Metal-Organic Decomposition Method:有機金属塗布熱分解法)、ゾル−ゲル法、液相エピタキシャル成長法、及び、エアロゾルデポジッション法等により形成可能である。
また、磁性体は単結晶から形成されていてもよく、多結晶から形成されていてもよい。
MOD法を用いる場合には、まず、GGG(GdGa12)等の単結晶基板上に、YFeGaO12組成のMOD溶液をスピンコート法で塗布する。
スピンコートの条件としては、例えば、500rpmで5秒間回転させたのち、3000〜4000rpmで30秒間回転させてMOD溶液を焼成後の膜厚が所望の厚み(例えば100nm等)になるように均一に塗布する。
次に例えば、150℃に加熱したホットプレート上で5分間乾燥させて、MOD溶液に含まれる余分な有機溶媒を蒸発させ、次いで、電気炉中において、例えば、550℃で5分間加熱する仮焼成によって酸化物層とする。
次いで、電気炉中において、750℃で1〜2時間加熱する本焼成において酸化物層の結晶化を進めてYIG層とする。最後に、必要に応じてYIG層を所定のサイズに切り出せば良い。
また、エアロゾルデポジション法を用いる場合には、例えば、平均粒径が1μmのFe、NiO,ZnOそれぞれ、50mol%、27mol%、23mol%のエアロゾル用粉体を用い、例えば、開口が0.4mm×10mmのノズルを用いてキャリアガスとなるArガスを1000sccm流して基板上に噴射させて堆積させればよい。
光放射−スピン流発生層の厚みとしては特に制限されないが、より優れた本発明の効果を有する積層体が得られやすい点で、100〜10000nmが好ましく、使用する材料の種類によって適宜調整可能である。
〔スピン流−電流変換層〕
スピン流−電流変換層は、逆スピンホール効果によって熱起電力を取り出すための層であり、この層の働きにより、光放射−スピン流発生層で発生したスピン流は、スピン流を発生可能な層の磁化方向に対して垂直方向の電流に変換される。
スピン流−電流変換層は、金属(原子)を含有する金属層であることが好ましい。なお、本明細書において金属層とは、金属単体からなる層、及び、合金からなる層のいずれをも含む。
金属層が含有する金属原子としては、特に制限されないが、より大きなスピン軌道相互作用が得られ、結果としてより優れた本発明の効果を有する積層体が得られる点で、Au、Pt、Pd、及び、Ir等が挙げられる。
金属層は、上記の単体からなる層であってもよいし、上記の原子を含有する合金からなる層であってもよい。また、Cu等に上記各金属原子をドープした材料を用いることもできる。
スピン流−電流変換層の厚みとしては特に制限されないが、各金属材料のスピン拡散長と同程度に設定されることが好ましい。
上記の観点からは、スピン軌道相互作用を有する層の厚みとしては、例えば、1〜100nm以下が好ましく、使用する材料の種類によって適宜調整可能である。
〔光吸収層〕
光吸収層は、可視光、及び、近赤外光を吸収する層であり、光放射層を(好ましくは光放射−スピン流発生層を)透過した可視光、及び、近赤外光を吸収することで加熱され、相対的に冷却される光放射層と間に積層体の厚み方向に沿ってより大きな温度勾配を生じさせ、結果として、スピン流発生層とスピン流―電流変換層との界面近傍に大きな温度勾配を生じさせる機能を有する。
光吸収層の成分としては特に制限されないが、黒色顔料を含有することが好ましい。黒色顔料としては特に制限されないが、例えば、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、及び、銅(Cu)等の金属の金属酸化物;活性炭、及び、カーボンブラック等のカーボン顔料;アニリンブラック等の有機顔料;等が挙げられる。
上記黒色顔料は、ケイ素化合物、アルミニウム化合物、有機物等で表面処理された表面処理済み顔料であってもよい。表面処理としては、例えば、(メタ)アクリルシラン処理、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、及び、カップリング剤による処理等があげられる。
特に制限されないが、光吸収層は、黒色顔料と、樹脂とを含有する黒色塗料により得られた塗膜であることが好ましい。黒色塗料が含有する樹脂としては特に制限されず、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニル系樹脂、及び、エポキシ樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。
黒色塗料は、上記以外に、硬化剤、界面活性剤、溶媒、顔料、染料、及び、フィラー等を含有していてもよい。
光吸収層の厚みとしては特に制限されないが、一般に、100nm〜100μmが好ましい。
〔積層体の製造方法〕
積層体の製造方法としては特に制限されず、公知の方法で製造可能である。例えば、各層を、液相エピタキシャル成長(LPE)、スパッタリング法、パルスレーザー堆積法(PLD)、有機金属堆積法(MOD法)、ゾルゲル法、及び、エアロゾルデポジション法(AD法)等で積層すればよい。また、光吸収層は、スピン流−電流変換層上に黒色塗料を塗布して必要に応じてエネルギー付与(加熱等)して形成してもよい。
〔積層体の用途〕
本積層体は、外部から加熱、及び/又は、冷却をしなくても、自然光等の光を照射するだけで電力を得ることができる熱電変換素子に適用できる。
[熱電変換素子]
本発明の実施形態に係る熱電変換素子は、すでに説明した積層体を有する熱電変換素子である。図2は本発明の実施形態に係る熱電変換素子の模式的な断面図であり、図3は、上記熱電変換素子の斜視図である。
熱電変換素子20は、光放射層11とスピン流発生層12からなる光放射−スピン流発生層13と、光放射−スピン流発生層13(このうちスピン流発生層12)と接して配置されたスピン流−電流変換層14と、光吸収層15とをこの順に有し、上記光吸収層15の端部に沿って互いに対向して配置され、それぞれスピン流−電流変換層と接している電極21(a)及び電極21(b)とを有している。
熱電変換素子20は、光放射層11から光(例えば自然光)が照射されると、光放射層11からの放射冷却の効果、及び、光放射層11の光加熱の効果によって、光放射層11と光吸収層15との間に、積層体の厚み方向に沿って温度勾配が生じ、結果として、スピン流発生層12とスピン流―電流変換層14との界面近傍に大きな温度勾配が生ずる。すると、スピンゼーベック効果によって光放射−スピン流発生層13(このうちスピン流発生層12)でスピン流が生成され、スピン流−電流変換層14の逆スピンホール効果によって起電力が生じ、これを電極21(a)及び電極21(b)を介して取り出すよう構成されている。
本熱電変換素子において、面直方向(図3中Z軸に平行な方向)の温度勾配に戻づくスピン流を起電力として取り出す場合、スピン流が、光放射−スピン流発生層13の磁化の方向に対し垂直な電流(起電力)へと変換されることから、光放射−スピン流発生層13の磁化方向がY軸に平行な方向であることが好ましい。
このようにすることで、互いに対向する電極21(a)から電極21(b)へと向かう面内方向に沿った(図3中、X軸に平行な方向)起電力(電流)が得られる。
本熱電変換素子は、特に光放射層側から光を入射した場合には放射冷却の効果と光加熱の効果とが相乗的に作用し、スピン流発生層12とスピン流―電流変換層14との界面近傍により大きな温度勾配を生じ得るため、外部から加熱、及び/又は、冷却をしなくても、自然光等の光を照射するだけで電力を得ることができる。また、本熱電変換素子では、自然光等の光を照射しない場合であっても、放射冷却が可能な環境(例えば屋外)に設置するだけで電力が得られる。光放射層側を外(宇宙)側に配置する使用方法によれば、後述する実施例にも示すように、自然光の照射の有無にかかわらず、同一符号(同一極性)の直流電流が得られる。
[発電装置]
図4は本発明の実施形態に係る発電装置の一例である。発電装置40は、熱電変換素子20と、上記熱電変換素子20で発生した電力を貯蔵するための貯蔵装置41とを有し、熱電変換素子20と貯蔵装置41とは、導線42により電気的に接続されている。
貯蔵装置41としては、特に制限されないが、鉛蓄電池、及び、アルカリ蓄電池等の二次電池;セラミックスコンデンサ、及び、フィルムコンデンサ等のコンデンサ;等が使用可能である。
[排熱回収システム]
図5は本発明の実施形態に係る排熱回収システムの模式図である。排熱回収システム50は熱源51と、熱源上に配置された熱電変換素子20とを有する。なお、熱電変換素子20は、熱源側から、光吸収層、スピン流−電流変換層、及び、スピン流発生層と光放射層とからなる光放射−スピン流発生層の順となるよう配置されている。
排熱回収システム50では、熱源51からの熱で光吸収層が加熱され、光収層と光放射層との間で積層体の厚み方向に沿って温度勾配が生じ、結果として、スピン流発生層とスピン流―電流変換層の界面近傍に大きな温度勾配を生ずる。この温度勾配により生じたスピン流から起電力が生じ、回収できる。
本排熱回収システムは、特に屋外に配置され、光放射層側から自然光が照射される場合であっても、より大きな電力を回収可能である。熱電変換素子を用いた従来の排熱回収システムでは、熱電変換素子の一方の面が熱源からの熱エネルギーで加熱され、他方の面が自然光の照射により光加熱されると、積層体の厚み方向に沿って生ずる温度勾配がより小さくなり、結果として、スピン流発生層とスピン流―電流変換層との界面近傍の温度勾配がより小さくなるため、得られる起電力もより小さくなりやすかった。
一方、本排熱回収システムでは、自然光等の光の照射下であっても、光の照射を受けた光放射層は、光加熱により温度が上昇する光吸収層と比較して、放射冷却により相対的に冷却されるため、光の照射の有無によらず安定した起電力が得られるばかりか、光の照射下では、より大きな起電力が得られる点が優れている。
図6は本発明の実施形態に係る排熱回収システムの一例を表す模式図である。排熱回収システム60は、熱源である建造物61と、建造物61の屋根に配置された熱電変換素子20とを有する。なお、熱電変換素子20は、熱源側から、光吸収層、スピン流−電流変換層、及び、スピン流発生層と光放射層とからなる光放射−スピン流発生層の順となるよう配置されている。
なお、排熱回収システム60における熱源としては特に制限されないが、例えば、廃棄物の焼却施設(ごみ焼却場)等が挙げられる。また、熱源としては建造物以外であってもよく、例えば、配管、タンク、及び、発電/変電設備等の工作物;発電機、タービン、エンジン、及び、電動機等の原動機;等であってもよい。なかでも、屋外に配置して使用され得る熱源が好ましい。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[積層体の作成]
まず、ガリウムガドリニウムガーネット(GGG)基板上にイットリウム鉄ガーネット(YIG)が成膜された試料片に、プラチナ(Pt)膜をスパッタ法で成膜した。GGG、YIG、及び、Ptの膜の厚みはそれぞれ、約400μm、2μm、及び、0.005μmであった。次に、Pt膜上に黒体スプレー(黒色塗料)を塗布して被膜を形成し、試料とした。その後、試料の両端にインジウム(In)片を2つ、Pt膜と接するように圧着して電極とした。図7には、上記試験における試料の層構成の模式図を示した。なお、図中「黒体塗料層」とあるのは、黒体スプレーを用いて形成した塗膜を意味する。
[起電力の測定]
図8は起電力の測定に使用した測定装置の写真であり、図9はその模式図である。図8の測定装置では、写真中央部に上から見たとき長方形状の試料(黒く見える部分)が配置されている。このとき、一対の電極は、上記四角形のうち、Y軸と平行な辺に沿って、互いに対向して配置されている。
また、電磁石(コイル状の部分)は、磁場がY軸方向に発生するように配置されている。
上記電磁石にバイポーラ直流電源(ADCMT社製、「6240A」)で電流を印加して磁場を発生させた。印加する電流は−30mAから+30mAまでスイープした。その結果、−12mTから+11mTの磁場が発生した。
このとき、正と負の電流で、それぞれ飽和した電圧値の差の半分を起電力(VISHE:逆スピンホール効果によって発生した起電力)とした。
図10には、印加した電流に応じて磁場が−12mTから+11mTに変化したときの電圧値の測定結果の一例を示した。図10におけるdVの半分の値を起電力とした。なお、試料に発生する起電力はナノボルトメータ(Keithley社製、「2182A」)で計測した。
[屋外での測定]
試料を含む上記測定装置一式をつくば市並木1−1の敷地にある5階建ての建造物の屋上に設置し、電流(磁場)をスイープして、試料の起電力を測定した。なお、気温、湿度、及び、天気は同市の気象台(つくば市長峰1−2)のデータを利用した。また、太陽光強度は屋上での実測値である。
上記試料のGGG基板側から自然光が入射する形態(図11に試料の配置の模式図を示した。)と、黒体塗料層側から自然光が入射する形態(図13に試料の配置の模式図を示した。)で実施した。
図12には、GGG基板側から自然光が入射する形態で測定した場合の晴れの夜間と、晴れの昼間とにおける起電力の大きさを示した。また、表1には測定条件を示した。
図12から、夜間及び昼間で同じ符号の起電力が得られていることがわかった。夜間は、GGG基板からの放射冷却によって、熱電変換層の上側(宇宙側)の面の温度が相対的に低下して、所定の符号の起電力が得られ、一方、昼間は、GGG層からの放射冷却に加えて、黒体塗料層の可視、近赤外光による加熱で、熱電変換層の上側と下側との間の厚み方向に沿って生ずる温度勾配がより大きくなり、結果として、スピン流発生層とスピン流―電流変換層との界面近傍の温度勾配がより大きくなり、より大きな起電力が得られた。
すなわち上記試料によれば、光の照射の有無にかかわらず、同一の符号の直流電流が得られ、かつ、光の照射下において、光による加熱と、放射冷却の相乗効果により、熱電変換素子の表裏により大きな温度勾配を発生できるため、より大きな起電力が得られることがわかった。
表1中、「Temp.[degC]」とあるのは「気温(℃)」を表し、「Humidity[%]」とあるのは「湿度(%)」を表し、「Solar irradiance[mW/cm]」とあるのは「太陽照射強度(mW/cm)」を表している。なお、測定は2019年5月に行われた。
図14には、黒体塗料層側から自然光が入射する形態で測定した場合の晴れの夜間と、晴れの昼間とにおける起電力の大きさを示した。また、表2には測定条件を示した。
図14から、夜間及び昼間ともに起電力は得られるものの、符号(極性)が夜間及び昼間で異なっていることがわかった。夜間は、GGG基板からの放射冷却によって、熱電変換層の上側(宇宙側)の面の温度が、下側(GGG基板)との比較では相対的に低下して、所定の極性の起電力が得られ、一方、昼間は、光の入射側に配置された黒体塗料層が加熱されるため、GGG基板側よりも黒体塗料層側の温度が上昇して夜間と反対側の極性の電圧が得られることが分かった。
すなわち上記試料によれば、光の照射によって、異なる極性を有する直流電流が得られ、夜間は放射冷却の効果、昼間は光による加熱の効果のそれぞれにより発生した温度勾配により起電力が得られることがわかった。
表2中、各項目は表1における各項目と同義であり、測定も2019年5月である。
[屋内での測定]
屋外での測定で用いたのと同様の測定装置を屋内に配置して測定を実施した。屋外の環境を再現するため、低温である宇宙の代わりに冷却ステージ(ビックス社製,「LVPU−40」)、太陽の代わにソーラーシミュレータ(擬似太陽光照射装置;Peccel社,「PEC−L01」)、をそれぞれ使用した。なお、冷却ステージは試料には接触させず、試料との距離が約6cmとなるよう配置し、かつ、ステージ面を摂氏0度に冷却するよう調整した。
擬似太陽光照射装置は、試料に照射する擬似太陽光強度が約50mW/cmとなるよう調整した。測定は屋外での測定と同様に、電流をスイープしておこなった。
屋外での測定と同様に、試料のGGG基板側から自然光が入射する形態(図15に試料の配置の模式図を示した。)と、黒体塗料層側から自然光が入射する形態(図17に試料の配置の模式図を示した。)で実施した。
まず、冷却ステージと疑似太陽光照射装置とをそれぞれ単独で稼働させ、起電力を測定し、更に、冷却ステージと疑似太陽光照射装置とを同時に稼働させ、起電力を測定した。
図16には、図15の配置で試験を行った場合の各条件における起電力を示した。
図16中、横軸の「冷却ステージのみ」とあるのは、冷却ステージのみを稼働させた場合の起電力を示し、「疑似太陽光のみ」とあるのは、疑似太陽光照射装置のみを稼働させた場合の起電力を示し、「冷却ステージと疑似太陽光」とあるのは、冷却ステージと疑似太陽光照射装置とを同時に稼働させた場合の起電力を示している。また縦軸は起電力の大きさとその符号(極性)を示している。
図16に示した結果から、いずれの条件でも同一符号(同一極性)の起電力が得られることがわかった。これは、図16のGGG基板側と、黒体塗料層側とを比べると、GGG基板側の方がいずれの条件でもより低温であることに起因している。すなわち、「冷却ステージのみ」の場合は、放射冷却によりGGG基板が冷却されて、黒体層と比較して相対的に低温に、「疑似太陽光のみ」の場合には、光加熱により黒体塗料層側が加熱されて、GGG基板側と比較して相対的に高温になったものと考えられる。
起電力の大きさを比較すると、「冷却ステージと疑似太陽光」の場合、他の条件より起電力が大きくなった。これは、上記の放射冷却の効果と光加熱の効果が相乗的に発現したためと考えられる。
一方、試料の配置が図17に示した形態であると、結果を図18に示したとおり、「冷却ステージのみ」の場合と比較して、「疑似太陽光のみ」及び「冷却ステージと疑似太陽光」の場合は、得られる起電力の符号(極性)が異なることがわかった。
図18の「冷却ステージのみ」の場合、放射冷却により黒体塗料層側が冷却され、GGG基板側と比較してより低温になり、+の起電力が生じたものと考えられる。一方、「疑似太陽光のみ」及び「冷却ステージと疑似太陽光」の場合、起電力が−であるため、黒体塗料層側の温度が、GGG基板側の温度と比較して高いことがわかる。これは、疑似太陽光の照射により黒体塗料層側が光加熱されたものであることを示している。
上記は、「冷却ステージと疑似太陽光」の場合に、起電力の絶対値が「疑似太陽光のみ」の場合と比較してより小さくなっていることからも支持される。すなわち、「冷却ステージと疑似太陽光」の条件では、黒体塗料層に対する光加熱効果と放射冷却効果とが競合し、「疑似太陽光のみ」の場合と比較して、黒体塗料層の温度上昇がより抑制された(GGG基板側との間で厚み方向に沿って生ずる温度勾配がより小さくなり、スピン流発生層とスピン流―電流変換層との界面近傍の温度勾配がより小さくなった)ためだと考えられる。
上記の結果から、GGG基板側から光を照射した場合には、放射冷却の効果と光加熱の効果の両方が同じ符号の起電力を発現し、より効率よく発電が可能であることがわかった。
10 :積層体
11 :光放射層
12 :スピン流発生層
13 :光放射−スピン流発生層
14 :スピン流−電流変換層
15 :光吸収層
20 :熱電変換素子
21 :電極
40 :発電装置
41 :貯蔵装置
42 :導線
50、60 :排熱回収システム
51 :熱源
61 :建造物

Claims (13)

  1. 可視光、及び、近赤外光を透過し、中赤外光を吸収し、かつ、スピン流を発生可能な、光放射−スピン流発生層と、
    前記光放射−スピン流発生層の少なくとも一部と接して配置された、スピン軌道相互作用を有する、スピン流−電流変換層と、
    可視光、及び、近赤外光を吸収する、光吸収層と、をこの順に有する積層体。
  2. 前記光放射−スピン流発生層が磁化方向が揃った磁性体を含有する層である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記磁性体が磁性絶縁体である請求項2に記載の積層体。
  4. 前記磁性絶縁体がガーネットフェライト、及び、スピネルフェライトからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項3に記載の積層体。
  5. 前記磁性体が保磁力を有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記スピン流−電流変換層が金属を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記スピン流−電流変換層の厚みが、1〜100nmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記光放射−スピン流発生層の側から光を照射して、スピン流、及び、電流からなる群より選択される少なくとも一方を得るために使用される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体を有する熱電変換素子。
  10. 請求項9に記載の熱電変換素子に光を照射して、電力を得る、熱電変換素子の使用方法。
  11. 請求項9に記載の熱電変換素子を有する発電装置。
  12. 発熱体と、前記発熱体上に配置された請求項9に記載の熱電変換素子とを有する排熱回収システム。
  13. 熱電変換素子の一方側の主面に、
    可視光、及び、近赤外光を透過し、中赤外光を吸収する部材を接触して配置し、
    他方側の主面の少なくとも一部に、
    可視光、及び、近赤外光を吸収する部材を接触して配置し、
    前記一方側の主面から前記他方側の主面に向かう前記熱電変換素子の厚み方向に沿って熱勾配を生じさせる方法。

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