JP2021037479A - 合流器、マイクロリアクター、流体の合流方法、および合流器内の閉塞防止方法 - Google Patents

合流器、マイクロリアクター、流体の合流方法、および合流器内の閉塞防止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】流路の閉塞までの時間を可及的に長くする。【解決手段】本合流器は、一方から他方に延びる第2円管内の、合流部と他方の端部との間に形成された合流経路と、第2円管と中心軸が略一致するとともに、第2円管の内径よりも小さい外径を有し、一端が少なくとも第2円管の一方における端部に達するとともに、他端が合流部に達する第1円管内に形成される第1流路と、第1円管の外壁と第2円管の内壁との間に形成され、合流部において合流経路と連通する第2流路と、第1円管および第2円管と中心軸が略一致するとともに、一方から他方に向けて徐々に縮径する二つの縮径壁間に形成され、第2流路の一方における端部と連通する第3流路と、第1流路の一方に配置された第1導入部材内に形成され、第1流路に流体を導入する第1導入経路と、第3流路の一方に配置された第2導入管内に形成され、第3流路に流体を導入する第2導入経路と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、合流器、マイクロリアクター、流体の合流方法、および合流器内の閉塞防止方法に関する。
例えば、内部に二重管を有するジョイント部材と、スタティックミキサー部材とを備える2液混合用ミキサー、および当該2液混合用ミキサーを用いたフローリアクターが開示されている。スタティックミキサーの筒状体内部にエレメント体を挿入することにより、二重管から流出した2液が流出するとほぼ同時にスタティックミキサー内に流入することとなるため、反応開始時に2液のより確実な混合が行われることできる。当該技術は、効率的な混合を行うことにより閉塞防止を図ったものであり、流路の閉塞までの時間を可及的に長くすることについては何ら考慮されておらず、閉塞防止という点では十分なものではなかった(特許文献1、特許文献2)。
また、リチウム−ハロゲン交換反応において定常マイクロ反応器などの連続式反応器を用いることによって、中間体である不安定なリチウム化合物を貯めることなく効率良く次工程へ導入することが可能となり、工業的に非常に汎用性の高い製法が開示されている。しかしながら、閉塞防止や流路の閉塞までの時間を可及的に長くすることについては何ら考慮されたものではなかった(特許文献3)。
さらに、流体を複数の供給口を通してそれぞれ1本のミキシング流路内へ導入し、これらの流体を薄片状の層流として流通させつつ、流体同士をその接触界面の法線方向へ拡散し、混合するマイクロミキサーが開示されている。しかしながら、当該技術は、ミキシング流路内における流体の滞留を効果的に抑制できるものであり、閉塞防止や流路の閉塞までの時間を可及的に長くすることについては何ら考慮されたものではなかった。また、ミキシング部の構造が複雑であり、流路閉塞時のメンテナンス性についても劣るものであった(特許文献4)。
さらに、導入した2種の流体を合流させて化学反応させる様々な合流器が利用されている。これらの合流器の技術は、流路内における流体の滞留を抑制したり、混合効率を上げたり、材料に発生する熱応力を低減したり、圧力損失を低減することを目的としたものであり、閉塞防止や流路の閉塞までの時間を可及的に長くすることについては何ら考慮されたものではなかった。これらの合流器では、導入した2種の流体を合流させる際に流体の流れる向きを略直角に変える構造があり、合流する際に2種の流体の流れに乱れが生じやすく、2種の流体のそれぞれを層流とする上で不利な構成となっていた。あるいは、エマルションや微小構造体など特殊な部材の製造方法に関するものであった(例えば、特許文献4−9参照)。
国際公開第2017/135398号 特開2017−136558号公報 特開2005−104871号公報 特開2003−210959号公報 国際公開第2014/002488号 特開2010−119938号公報 特開2007−061795号公報 特開2013−163149号公報 特開2007−014936号公報
例えば有機化学反応を合流器で行った際に、化学反応で無機物や有機物の副生成物の沈殿が生じる場合、沈殿した当該副生成物が合流器内の流路内壁に付着し、徐々に成長して流路が狭まり流路閉塞に至ることがある。一度流路閉塞すると復帰までに多くの工数、洗浄液などが必要となり、高い生産性、かつ環境負荷の低い製造方法のために流路閉塞までの時間を可及的に長くすることが好ましい。
開示の技術の1つの側面は、流路の閉塞までの時間を可及的に長くすることができる合流器、マイクロリアクター、流体の合流方法および合流器内の閉塞防止方法を提供することを目的とする。
開示の技術の1つの側面は、次のような合流器によって例示される。本合流器は、一方から他方に延びる第2円管内の、合流部と前記他方における端部との間に形成された合流経路と、前記第2円管と中心軸が略一致するとともに、前記第2円管の内径よりも小さい外径を有し、一端が少なくとも前記第2円管の前記一方における端部に達するとともに、他端が前記合流部に達する第1円管内に形成される第1流路と、前記第1円管の外壁と前記第2円管の内壁との間に形成され、前記合流部において前記合流経路と連通する第2流路と、前記第1円管および前記第2円管と中心軸が略一致するとともに、前記一方から前記他方に向けて徐々に縮径する二つの縮径壁間に形成され、前記第2流路の前記一方における端部と連通する第3流路と、前記第1流路の前記一方に配置された第1導入部材内に形成され、前記第1流路に流体を導入する第1導入経路と、前記第3流路の前記一方に配置された第2導入管内に形成され、前記第3流路に流体を導入する第2導入経路と、を備える。
開示の技術において、第3流路が一方から他方にむけて徐々に縮径する流路であることから、第3流路は第2流体の流れる方向を徐々に第2流路(合流経路)の方向に向けることができる。このような技術によれば、第2流体の流れる方向を略直角に変えて第2流路(合流経路)の方向に向ける場合と比較して、本合流器は第2流体の流れの乱れを抑制することができる。
また、第1円管および第2円管の中心軸、および第3流路を形成する2つの縮径壁の中心軸は略一致している。ここで、中心軸の略一致は可及的に中心軸を一致させることを意味し、製造誤差程度の差は許容される。
第1円管と第2円管の中心軸が略一致している場合、第1流路から合流経路に流入した第1流体と、第2流路から合流経路に流入した第2流体の中心軸についても略一致することになる。また、第1流路から合流経路に流入した第1流体は合流経路の中心軸近傍を流れやすくなり、第2流路から合流経路に流入した第2流体は合流経路の径方向外側近傍(すなわち、第2円管の内壁近傍)を流れやすくなる。第1流体と第2流体とがこのように流れるため、合流経路内において、第1流体と第2流体とは、合流経路の長手方向に沿った面で接することになる。第1流体と第2流体とがこのように接することで、2つの流体の接面で化学反応が起こり、無機物や有機物の副生成物の沈殿も接面近傍で発生する。当該沈殿は発生当初は沈殿の表面が不安定であるため、例えば合流経路内の内壁に付着しやすい状態にある。本合流器は、2つの流体の接面を維持したまま合流器より排出させるこ
とで、合流器内の沈殿による流路閉塞を抑制し、必然的に連続式流通反応器全体の流路閉塞も抑制可能となる。
さらに、前記中心軸に直交する面での断面視において、第1流路および合流経路は円形状であり、第2流路、第3流路は環形状である。すなわち、中心軸に対して点対称な構造となっていることから、流体は均等に外力を受けることになり、流体の流れの乱れを極力抑制できる構造となっている。また、混合効率を上げるための仕切り板や邪魔板、あるいは特許文献1、特許文献2に開示されている様な螺旋形状のエレメント体もなく、層流を維持し易い構造となっている。
前述した従来技術は効率的な混合を行うことにより閉塞防止を図ったものであるのに対して、本件発明の技術は2つの流体の接面を維持することで流路閉塞を抑えるものであり、流体の混合という点では全く正反対の発想に基づいて完成に至ったものである。
開示の技術は、次の特徴を有してもよい。前記第2円管の前記他方には、前記第2円管と中心軸が一致するとともに前記第2円管の内径よりも小さい内径を有する円管状の送出管が設けられ、前記合流経路と前記送出管内に形成された送出経路とは、前記送出管に向けて徐々に内径が縮径する第1絞り部が形成する流路によって連通する。
合流経路内における化学反応において反応熱が生じる場合、流路は狭いほど熱交換能力が高まることが知られている。第1流路、および合流経路の設計上、第1流体、第2流体の送液条件や合流器の加工精度によっては、十分な熱交換能力が得られないことがある。特にそのような場合においては、合流経路と送出経路とを第1絞り部が形成する流路で連通することで、第1流体および第2流体の流れが乱れることを可及的に抑止し、かつ送出経路で十分な熱交換能力を発現することができる。
開示の技術は、次の特徴を有してもよい。前記第1導入部材の内径は、前記第1円管の内径よりも大きく、前記第1導入経路と前記第1流路とは、前記第1円管に向けて徐々に内径が縮径する第2絞り部が形成する流路によって連通する。
このような特徴を有することで、第1導入経路から導入された第1流体は、第2絞り部が形成する流路によって第1流路の中心軸方向に向けて整流されて第1流路に流入する。そのため、第1流路から合流経路に流入する第1流体が、より一層、合流経路の中心軸近傍を流れやすくなる。
開示の技術は、次の特徴を有してもよい。前記第2導入経路の経路出口の開口面と正対して液溜まり部が形成される。このような特徴を有することで、第2導入経路から導入された第2流体は、液溜まり部を満たし、その後、第3流路を満たしながら第2流路に向けて流れるようになる。その結果、第2流体は、中心軸と直交する面での断面視において環形状に形成された第3流路を満たしながら第2流路に流入することができる。
上記のような特徴を有することで、本合流器では、前記第1流路を流れる第1流体と、前記第3流路から前記第2流路を介して前記合流経路へと流れる第2流体とが、前記合流経路で合流し、前記合流経路において、前記合流経路の中心部分を前記第1流体が流れ、前記第2流体は前記第1流体の外側を流れることになる。このように第1流体と第2流体とが合流経路内を流れることで、上記の通り、合流経路の閉塞までの時間を可及的に長くすることができる。
開示の技術において、前記第1流路の中心軸に沿った長さLと、前記第1流路の等価直径(断面視において円形状の第1流路の場合は直径)Dの比L/Dは、10以上
であってもよく、前記第2流路の中心軸に沿った長さLと、前記第2流路の等価直径(断面視において環形状の第2流路の場合は、円形状に近似した場合の直径)Dの比L/Dは1以上であってもよい。
合流部において層流を維持するためには、それぞれの流体の合流部までの流体の流れを安定化(整流)するために、十分な整流部を設けるのが好ましい。L、Lは整流部の長さに相当するが、層流が得られるのに好ましい整流部の長さは、それぞれ等価直径(D)、等価直径(D)に依存する。すなわち、(L/D)が10以上となることで第1流路内における第1流体が層流となりやすく、(L/D)が1以上となることで第2流路内における第2流体が層流となりやすくなる。
開示の技術において、用いる合流器はマイクロリアクター用合流器であってもよい。
また、開示の技術は、前記合流器を具備したマイクロリアクターであってもよい。マイクロリアクター(あるいはフローリアクター)とは、溶液を流しながら連続的に化学反応を行う反応システムであり、従来実施されているバッチ方式と比べて、小さな反応容器を用いて反応を行うため精密な温度制御が可能であるという利点を有する。マイクロリアクターは、本発明のマイクロリアクター用合流器に加えて、送液用ポンプ、流路形成用のチューブ、温度調整装置、各種センサー等の反応に必要なその他の各種部材を備えていてもよい。また、複数の合流器、複数の構成部材を備えた多段式のマイクロリアクターであってもよい。
前記送液ポンプとしては、特に限定されず、プランジャーポンプ、シリンジポンプ、ロータリーポンプ等の通常使用されるポンプを使用することができる。
前記流路形成用のチューブの材質は、特に限定されず、ステンレス、チタン、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属や、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ペルフルオロアルコキシフッ素(PFA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂でもよい。
前記流路形成用のチューブの内径は、本発明の効果を損なわない範囲で目的に応じて適宜設定すればよいが、通常、0.2〜10mm程度が好ましく、0.5〜4mm程度がより好ましく、1〜2mm程度がより一層好ましい。前記流路形成用のチューブの長さも、本発明の効果を損なわない範囲で目的に応じて適宜設定すればよいが、通常、0.03〜2
00m程度が好ましく、0.2〜30m程度がより好ましく、0.3〜5m程度がより一層好ましい。
前記各種センサーは、温度センサー、圧力センサー、流量計などの各種検出器であり、本発明の効果を損なわない範囲で目的に応じて使用すればよい。
また、開示の技術は、流体の合流方法であってもよい。開示の技術に係る流体の合流方法は、上記合流器を用いて、前記第1流路の他方の端部における前記第1流体の流速Vと、前記第2流路の他方の端部における前記第2流体の流速Vの比V/Vを0.33から3.0の範囲内に設定することを特徴としてもよい。V/Vがこのような範囲となることで、第1流体と第2流体との接面を維持し易くなる。
また、開示の技術に係る流体の合流方法は、上記合流器を用いて、前記第1流路の他方の端部における前記第1流体のレイノルズ数Reと、前記第2流路の他方の端部における前記第2流体のレイノルズ数Reを、それぞれ2300以下に設定することを特徴と
してもよい。レイノルズ数がこのような範囲となることで、第1流体と第2流体との接面を維持し易くなる。なお、レイノルズ数とは、乱流及び層流の判断の指標となる値であり、流体の物理特性、流速、流路の等価直径に基づいて決定される。
また、開示の技術に係る流体の合流方法は、上記合流器を用いて、前記第1流体および前記第2流体の一方である有機リチウム溶液と前記第1流体および前記第2流体の他方である原料溶液とを合流させることを特徴としてもよい。上記合流方法において、前記第1流体は有機リチウム溶液であってもよく、前記有機リチウム溶液はn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム誘導体の少なくともいずれかを含んでもよい。
また、上記合流方法において、前記第2流体は原料溶液であってもよく、前記原料溶液は、芳香族化合物、ハロゲン化芳香族化合物などを原料基質として含んでもよい。また、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、4−メチルテトラヒドロピラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ヘキサン、ヘプタンおよびトルエンのいずれかを原料溶媒として、含んでもよい。
また、開示の技術は、上記した合流方法を用いて、前記第1流体と前記第2流体とを混合させることを特徴とする、前記合流器内の閉塞防止方法であってもよい。
開示の技術は、流路の閉塞までの時間を可及的に長くすることができる。
図1は、実施形態に係る合流器の外観の一例を示す図である。 図2は、図1における一点鎖線A−A線における断面の一例を示す図である。 図3は、実施形態に係る合流器の本体部を分解した場合の外観の一例を示す図である。 図4は、図2における一点鎖線B−B線における断面の一例を示す図である。 図5は、図2における一点鎖線C−C線における断面の一例を示す図である。 図6は、実施形態における合流器において、第1流体および第2流体を流した合流経路の状態の一例を示す図である。 図7は、第1シミュレーションで採用した合流器の一例を示す図である。 図8は、第1流路の中心軸に沿った長さLと第1流路の等価直径(断面視において円形状の第1流路の場合は直径)Dの比であるL/Dと、第1流路の中心部における流体の流速Vとの関係を例示する図である。 図9は、第2流路の中心軸に沿った長さLと第2流路の等価直径(断面視において環形状の第2流路の場合は、円形状に近似した場合の直径)Dの比であるL/Dと、第2流路のシミュレーションで近似した場合の中心部における流体の流速Vとの関係を例示する図である。 図10は、第1シミュレーションにおいて、整流された第1流体および第2流体が、合流経路に流入したときにおける、第1流体および第2流体の濃度分布を例示する図である。 図11は、合流部からの距離Xと保護膜の厚みYを流体の流速を変えつつ検証した結果の一例を示す図である。 図12は、比較形態に係る合流器の外観の一例を示す図である。 図13は、第3シミュレーションにおいて、比較形態に係る合流器内の各流路における第1流体および第2流体の濃度分布を例示する図である。 図14は、第4シミュレーションにおいて、比較形態に係る合流器に流体を導入する態様を例示する図である。 図15は、第4シミュレーションにおいて、比較形態に係る合流器内の各流路における第1流体および第2流体の濃度分布を例示する図である。 図16は、実施形態に係る合流器を用いたマイクロリアクターの構成を例示する図である。 図17は、比較形態に係る合流器を用いたマイクロリアクターの構成を例示する図である。
以下、図面を参照して、実施形態に係るマイクロリアクター用合流器について説明する。「マイクロリアクター用合流器」は、「合流器」の一例である。以下に示す実施形態の構成は例示であり、開示の技術は実施形態の構成に限定されない。
<実施形態>
図1は、実施形態に係るマイクロリアクター用合流器の外観の一例を示す図である。図1(A)はマイクロリアクター用合流器である合流器1の側面を例示し、図1(B)は合流器1の上面を例示する。合流器1は、第1導入管6から導入される第1流体FL1と第2導入管7から導入される第2流体FL2とを第2円管3内の合流部で合流させ、流体間の接面において化学反応させつつ、当該化学反応による生成物を含む流体を送出管4から送出する。なお、第2円管3と送出管4との間は、第1絞り部5aによって接続される。合流器1は、例えば、ステンレス鋼によって形成される。合流器1は、チタン、鉄、ニッケル合金、アルミニウム等の金属や、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシフッ素(PFA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂によって形成されてもよい。以下、本明細書において、第2導入管7側を上、本体部2aと本体部2bからなる本体部2側を下とする。また、第1導入管6側を左、送出管4側を右とする。本実施形態では、左が流体を導入する上流、右が流体を送出する下流となる。また、図1における左は「一方」の一例であり、右は「他方」の一例である。
第1流体FL1および第2流体FL2のうち、一方の流体は、例えば、原料溶液であり、他方の流体は、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム誘導体の少なくともいずれかを含む有機リチウム溶液である。原料溶液は原料基質として、芳香族化合物、ハロゲン化芳香族化合物などを含んでもよい。芳香族化合物の芳香環は、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンなどの単環式または多環式の6〜10員の芳香環、あるいはピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジンなどの5〜10員の単環式または多環式の窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個の原子を含有する芳香族ヘテロ環などが挙げられる。好ましくは単環の芳香環、または単環のヘテロ環であり、より好ましくはベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、フラン、オキサゾール、チオフェン、チアゾールである。ハロゲン化芳香族化合物におけるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられるが、ハロゲンの数、種類、位置などは特に制限されない。また、原料溶媒として、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、4−メチルテトラヒドロピラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ヘキサン、ヘプタンおよびトルエンのいずれかを含んでもよい。
図2は図1における一点鎖線A−A線における断面の一例を示す図である。図3は実施形態に係る合流器の本体部を分解した場合の外観の一例を示す図である。本体部2aは、
第2円管3、第2導入管7および送出管4を含む。本体部2bは、第1円管8および第1導入管6を含む。
図3のように、実施形態に係る合流器1は、取り外し可能な分解できる構成としてもよい。本体部2aと本体部2bの固定手段としては、特に限定されないが、接着剤による固着、溶接による固着等や、ねじ締結等による取り外し可能な固定手段等が挙げられるが、例えば、ねじ穴2c、2dでのねじ締結等による取り外し可能な固定手段を用いることが好ましい。このように取り外し可能な構造とすることで、使用後の合流器1の洗浄が簡便になるとともに、破損または閉塞したり、汚染されたりした場合に交換することが可能となるという利点がある。なお、合流器1は、本体部2aと本体部2bとを一体として形成することで、本体部2aと本体部2bとを分解不可としてもよい。
図2に例示するように、第2円管3は左右方向に延びる中空の円管であり、当該中空部分に、合流経路31が形成される。合流経路31は、例えば、第2円管3内において、合流部311から第2円管3の右側の端部までの範囲となる。合流経路31の長さ、すなわち合流部311から第2円管3の右側の端部までの距離は1〜200mmが好ましく、1.5〜100mmが特に好ましく、2〜10mmがさらに好ましい。
第2円管3の右側には、中空の円管であるとともに、第2円管3の内径よりも小さい内径を有する送出管4が接続される。送出管4の中空部分は、送出経路41となる。第2円管3の右側の端部と送出管4の左側の端部とは、第2円管3から送出管4に向けて徐々に内径が縮径する第1絞り部5aによって接続される。すなわち、合流経路31と送出経路41とは、第1絞り部5aが形成する流路によって連通する。送出経路41は、「送出経路」の一例である。
なお、合流経路31に流入した流体は、送出管4を介して外部に送出されるが、第1絞り部5a、送出管4は省略されてもよい。すなわち、第2円管3が送出管4を兼ねてもよいが、第2円管3の右側にその内径よりも小さい内径を有する送出管4が設けられることで、化学反応の効率を高めることができる。
第1円管8は、左右方向に延びる中空の円管であるとともに、第1円管8の外径は第2円管3の内径よりも小さい。第1円管8の中心軸は、第2円管3の中心軸と略一致するとともに、第1円管8の右側の端部は合流部311にまで達する。また、第1円管8の左側の端部は、少なくとも第2円管3の左側の端部に達する。すなわち、後述するように第3流路91と第2流路32とが連通する構造であれば、第1円管8の左側の端部は、第2円管3の左側の端部に達してもよいし、第2円管3の左側の端部よりもさらに左側に突出してもよい。第1円管8の中空部分は、第1流路81を形成する。また、第2流路32は、第1円管8の外壁と第2円管3の内壁の間(隙間)に形成され、図5に例示するC−C線断面において環形状を有するものである。すなわち、第1流路81および第2流路32の中心軸は第1円管8、第2円管3の中心軸と略一致する。
縮径構造9は、左側から右側に向けて徐々に縮径し、且つ所定距離離れて配置された2つの縮径壁94、95を含む。第3流路91は、縮径構造9の縮径壁94、95の間に形成され、左側から右側に向けて徐々に縮径する流路となる。縮径構造9では、縮径壁94が、その右側において第1円管8の左側の端部に接続し、縮径壁95が、その右側において第2円管3の左側の端部に接続することで、第3流路91と第2流路32とが連通する。すなわち、合流経路31と第3流路91とは、第2流路32を介して連通する。
図4は、図2における一点鎖線B−B線における断面の一例を示す図である。図4に例示するように、縮径壁94、95の間に形成される第3流路91は、B−B線断面におい
て環形状を有する。また、中央付近には、第1流路81が配置され、第3流路91の中心軸(第3流路91がB−B線断面において形成する環形状の中心軸)は、第1流路81の中心軸と略一致する。
前述した通り、中心軸の略一致は可及的に中心軸を一致させることを意味しているが、中心軸のずれは第2流路32の流れ方向や後述する装置パラメーター(第2流路の等価直径)の変動要因であるため、第2流路32や合流部311、さらには合流経路31の流れの乱れにつながることがある。第1円管8、第2円管3、および第3流路91を形成する2つの縮径構造9の中心軸のずれは、50μm以内であることが好ましく、5μm以内であることがさらに好ましい。
図2に例示するように、第1流路81の左側には、左右方向に延びる中空の円管である第1導入管6が設けられる。第1導入管6の内径は第1円管8の内径よりも大きく、その中心軸は第1円管8の中心軸と略一致する。本体部2b内には、第1導入管6の中空部分から第1流路81の方向に向けて第1導入管6の中空部分と同軸同径で円柱状に延長した中空部分が形成される。第1導入管6の中空部分と、当該中空部分から延長した本体部2b内の中空部分は、第1導入路61を形成する。第1導入管6と本体部2bとは、第1導入路61を形成する部材62ということができる。第1導入路61と第1流路81とは、左側から右側に向けて徐々に内径が縮径する第2絞り部5bが形成する流路を介して連通する。第1導入路61を形成する部材62は「第1導入部材」の一例であり、第1導入路61は、「第1導入経路」の一例である。
なお、第2絞り部5bは省略されてもよい。第1導入管6の内径と第1円管8の内径が同じである場合、あるいは第1導入管6の中空部分から第1流路81の方向に向けて徐々に縮径して延長した、すなわち台形の回転体(円錐台)の中空部分が形成される場合などにおいては、第2絞り部5bは省略できる。第2絞り部5bが省略されても、第1流路81から合流経路31に流入する第1流体FL1は、合流経路31の中心軸近傍を流れやすくなる。しかしながら、第2絞り部5bを備えることで、第1流体FL1は、より一層、合流経路31中心軸近傍を流れやすくなる。
第3流路91の左側には、上下方向に延びる中空の円管である第2導入管7が設けられる。第3流路91に流体を導入する第2導入路71は、第2導入管7の中空部分によって形成される。第2導入管7と縮径構造9との間には、縮径壁95の左側の端部と同じ内径を有する外壁921と、縮径壁94の左側の端部と同じ外径を有する内壁922とを含む、上下方向に所定距離離れて配置された、二重壁構造92が設けられる。第1円管8の中心軸と二重壁構造92の中心軸は略一致する。二重壁構造92において、外壁921と内壁922との間(隙間)は、二重壁構造92の長手方向に直交する面で断面視したときにおける断面形状が環形状となる接続流路93を形成する。第2導入管7から導入された流体は、接続流路93を介して第3流路91に達する。第2導入管7は「第2導入管」の一例であり、第2導入路71は、「第2導入経路」の一例である。二重壁構造92は「二重壁」の一例であり、外壁921は「外壁」の一例であり、内壁922は「内壁」の一例である。
図2に例示するように、内壁922の左側には凹状の液溜まり部931が設けられる。なお、液溜まり部931、内壁922、縮径壁94、およびこれらを含む本体部2bは、同一の中心軸の周りに回転させて形成される回転体であり、その中心軸は第1円管8の中心軸と略一致する。内壁922の外径は液溜まり部931の外径よりも大きく、右側から左側に向けて徐々に外径が縮径することにより、凹状の液溜まり部931が形成される。外壁921および第2導入路71の経路出口の開口面72は、液溜まり部931の中心軸に沿った面と正対する。
なお、液溜まり部931および接続流路93は省略してもよい。すなわち、第2導入路71から導入された第2流体FL2が、第3流路91に直接流入してもよい。この様な構成を採用しても、第3流路91による第2流体FL2の乱流の抑制は期待できる。
図5は、図2における一点鎖線C−C線における断面の一例を示す図である。図5では、第1円管8内に形成された第1流路81、第1円管8の外壁と第2円管3の内壁との隙間に形成された第2流路32とが例示される。第1流路81には、第1導入路61から導入された第1流体FL1が流入し、第2流路32には、第2導入路71から導入された第2流体FL2が接続流路93、第3流路91を介して流入する。第1流路81と第2流路32との間には、第1円管8の壁部が介在する。
上記構成を有する合流器1において、第1導入路61から第1流体FL1を導入し、第2導入路71から第2流体FL2を導入する場合について説明する。図2において、第1導入路61から導入された第1流体FL1は、第2絞り部5bを介して第1流路81に流入する。第2絞り部5bは、左側(第1導入路61側)から右側(第1流路81側)に向けて徐々に縮径する。そのため、第1導入路61から第1流路81に流れる第1流体FL1は、第2絞り部5bを通過する際に第2絞り部5bの内壁から中心方向へ向かう外力を受けることになる。
一方、第2導入路71から導入された第2流体FL2は、第2導入路71の経路出口である開口面72と正対する液溜まり部931に導入される。液溜まり部931に導入された第2流体FL2は、液溜まり部931に沿って接続流路93の周方向に流れる。その後、第2流体FL2は、接続流路93を満たしながら第3流路91に流入する。
第3流路91は、第2流体FL2の流れる方向を直角に、すなわち、上下方向から左右方向に変更するのではなく、第2円管3の中心軸方向に対して斜めになるように第2流体FL2の流れる方向を変更する。すなわち、第3流路91は、斜め方向から流れ込むように第2流路32に第2流体FL2を流入させる。換言すれば、第3流路91に流入した第2流体FL2は、流れる方向を滑らかに第2円管3の方向に向けて第2流路32に流入する。このように、第3流路91は、第2流体FL2の流れる方向を急峻に変えないことで、第2流体FL2が乱流になることを抑制する。乱流になることが抑制されて流入した第2流体FL2は、第2円管3の内壁と第1円管8の外壁との間に形成された第2流路32に流入する。第2流路32に流入した第2流体FL2は、第2流路32の長手方向に直交する面での断面視において環形状となる。そのため、第2流路32から合流経路31に流入する第2流体FL2は、合流経路31内の径方向外側近傍を流れることになる。第1流路81から合流経路31に流入する第1流体FL1と、第3流路91から第2流路32を介して合流経路31に流入する第2流体FL2とは、合流部311において合流する。
図6は、実施形態における合流器1において、第1流体および第2流体を流した合流経路の状態の一例を示す図である。図6(A)は、図2の一点鎖線D−D線断面の一例を示す図である。図6(B)は、図2において矩形で囲った領域Zを示す図である。図6に例示するように、第1流体FL1は合流経路31の中心軸近傍を流れ、第2流体FL2は合流経路31の径方向外側近傍を流れる。第1流体FL1と第2流体FL2とは、接面M1において互いに接触する。接面M1は、例えば、第1円管8の他方の端部を右方向に延長した延長線上に位置する。すなわち、第1流体FL1と第2流体FL2とは、合流経路31の局所で接触して互いに反応するのではなく、合流経路31の長手方向に形成される第1流体FL1と第2流体FL2の接面M1にて均一に反応するようになる。そのため、第1流体FL1と第2流体FL2との反応によって生成する副生成物の塩は、合流経路31の局所に蓄積するのではなく、第1流体FL1と第2流体FL2の接面M1付近で生成し
、接面M1に沿って合流器1より排出され、合流経路31内に蓄積されない。その結果、合流器1に第1流体FL1と第2流体FL2を導入して化学反応を起こさせても、合流経路31の閉塞までの時間を、第1流体FL1と第2流体FL2とが合流経路31の局所で反応する場合よりも、長くすることができる。
第1流体FL1と第2流体FL2が接面M1において接面を維持し易くするためには、流体力学の観点から、合流部311での第1流体FL1と第2流体FL2の流速は同程度にすることが望ましい。しかしながら、第1流体FL1と第2流体FL2の流速は、流体の物理特性や合流器1の装置パラメータの影響を受けるので、好ましい流速比は一定の幅を持った値となる。例えば、図2において、第1流路81の右側の端部における第1流体FL1の流速をV、第2流路32の右側の端部における第2流体FL2の流速をVとした場合、流体の流速比(V/V)は、0.33〜3.0が好ましく、0.67〜1.5がさらに好ましい。この範囲であれば、第1流体FL1と第2流体FL2との接面M1を維持し易くなる。
冷媒や熱媒との熱交換により反応温度を制御する場合、あるいは合流器1を用いて化学反応を行う場合の反応収率やタクトタイムを制御する場合、それぞれの流体の流速制御も重要である。第1流体FL1の流速(V)は、0.001〜5.0m/sが好ましく、0.01〜3.0m/sがさらに好ましい。第2流体FL2の流速(V)は、0.01〜3.0m/sが好ましく、0.1〜1.5m/sがさらに好ましい。この範囲であれば、容易に反応温度の制御が可能であり、十分な反応収率やタクトタイムが得られる。
さらに、第1流体FL1と第2流体FL2との接面M1を維持し易くするためには、合流部311における第1流体FL1と第2流体FL2の流れは、それぞれ流体力学的に層流であることが好ましい。具体的にはそれぞれの流体のレイノルズ数Reが2300以下となるような範囲であれば、乱流の影響を低減し、安定した流れ(層流)を維持することができるため、合流後の流路の閉塞までの時間を可及的に長くすることができる。なお、レイノルズ数Reは、下記(1)式により求められる。下記(1)式において、μは流体の粘性係数、ρは流体の密度、vは流速、Dは流路の等価直径である。
すなわち、層流を維持する条件としてのレイノルズ数Reは、流体の物理特性(粘性係数、密度)、流体の流速および合流器の装置パラメーター(流路の等価直径)で表される。なお、流体の物理特性(粘性係数、密度)および装置パラメーターは、流体や装置に固有の値を持つため、実質的には第1流体FL1、第2流体FL2の物理特性、および合流器1の装置パラメータを考慮しながら、前述した範囲でそれぞれの流体の流速を制御して層流を維持することになる。
レイノルズ数Reを決定する第1流体FL1、第2流体FL2の物理特性として、粘性係数および密度が挙げられる。第1流体FL1、第2流体FL2の粘性係数は、それぞれ0.0002〜1Pa/S、好ましくは0.0003〜0.1Pa/Sであり、第1流体FL1、第2流体FL2の密度は、それぞれ500〜1600kg/m、好ましくは600〜1200kg/mである。この範囲であれば、それぞれの流体の流速と後述する合流器1の装置パラメーターを調整することにより、容易に層流を維持することができる。
合流器1の性能は合流部311、すなわち、第1流路81の右側の端部および第2流路
32の右側の端部それぞれの装置パラメーターに大きく依存することが容易に想像できる。前述したレイノルズ数Reを決定する合流器1の装置パラメーターとして流路の等価直径Dを挙げることができる。本実施形態において等価直径Dは、例えば、以下の様に表される。
第1流路81の等価直径D=第1流路81の直径
第2流路32の等価直径D=4×(第2流路32の断面積)÷(第2流路32の濡れ縁長さ)
さらに、第1流体FL1と第2流体FL2との接面M1を維持し易くするためには、合流部311における第1流体FL1と第2流体FL2の流れが、それぞれ同一方向(中心軸に沿った方向)であり、且つ流体力学的に層流に完全に発達していることが望ましい。層流が完全に発達するまでに必要な整流区間を整流部とすると、求められる流速や流れの方向に応じて様々な構造の整流区間を有する整流部が提案されている。例えば、一般的な円管内に形成される流路を整流区間として利用する場合は、このような整流部は流路径Dと流路長Lで規定され、L/Dが大きくなると整流部の整流効果が大きくなる傾向にあることが知られている。
本実施形態においては、第1流体FL1および第2流体FL2を整流する整流部は、それぞれ第1流路81および第2流路32に形成される。なお、第1流体FL1は第1流路81から合流経路31に流入し、第2流体FL2は第2流路32から合流経路31に流入するので、それぞれの流体は合流部311において同一方向を向いている。
さらに、一般的な円管内の流路と同様に、整流部を規定するパラメーターは、第1流路81の中心軸に沿った長さL、等価直径(断面視において円形状の第1流路の場合は直径)D、および第2流路32の中心軸に沿った長さL、等価直径(断面視において環形状の第2流路の場合は、円形状に近似した場合の直径)Dで表され、第1流路81のL/Dは0.1以上であり、好ましくは0.5以上であり、さらに好ましくは10以上である。第2流路32のL/Dは0.01以上であり、好ましくは0.1以上であり、さらに好ましくは1以上である。
第1流路81の等価直径Dは0.1〜20mmの範囲が好ましく、0.2〜10mmの範囲がさらに好ましい。第2流路32の等価直径Dは0.05〜30mmの範囲が好ましく、0.1〜15mmの範囲がさらに好ましい。
第1流路81の中心軸に沿った長さLは、前記Dと前記(L/D)から算出される好ましい範囲を満たしていれば特に限定されないが、0.1〜200mm程度が好ましい。第2流路32の中心軸に沿った長さLは、前記Dと前記(L/D)から算出される好ましい範囲を満たしていれば特に限定されないが、0.1〜200mm程度が好ましい。
実施形態に係る合流器1の効果について、シミュレーションで検証を行ったので、以下に説明する。本シミュレーションでは、シーメンスPLMソフトウェア社製の解析ソフト「STAR CCM+」を用いて流体解析を行うことで、合流器1内における流体の流れを確認した。本シミュレーションでは、第1流体FL1としてヘキサン、第2流体FL2としてテトラヒドロフランを採用し、−20℃における物理特性の推定値として、ヘキサンの粘性係数0.0012Pa/S、密度を711kg/m、テトラヒドロフランの粘性係数を0.0024Pa/S、密度を945kg/mとした。各流体の設定流速Vはそれぞれ合流器内の合流部311における各流体の平均速度とした。以下のシミュレーションのうち、第1シミュレーションおよび第2シミュレーションは実施形態についてのシミュレーションである。また、第3シミュレーションおよび第4シミュレーションは比較
形態についてのシミュレーションである。
(第1シミュレーション)
図7は、第1シミュレーションで採用した合流器の一例を示す図である。図7(A)は、第1シミュレーションで採用した合流器1aの外観を示す。図7(B)は、図7(A)に例示する合流器1aの第1円管8および第2円管3の中心軸含む平面における断面を例示する。第1シミュレーションで採用する合流器1aは、図7に例示するように、実施形態に係る合流器1の第1円管8内に形成される第1流路81、縮径構造9内に形成される第3流路91、第2円管3内に形成される合流経路31、第1円管6の外壁と第2円管3の内壁との間に形成される第2流路32を抜粋した構成となっている。第1シミュレーションでは、第1流路81に第1流体FL1を導入し、第3流路91に第2流体FL2を導入する。第1流体FL1と第2流体FL2とは合流経路31内で合流し、第1流体FL1と第2流体FL2とが混合した流体が第2円管3の右側の端部から流出する。
第1シミュレーションでは、第1流体FL1および第2流体FL2の流速をそれぞれ0.5m/s、第1流路81の等価直径Dを1.20mm、第2流路32の等価直径Dを0.53mmに設定し、中心軸に沿った長さLを0〜12mm、中心軸に沿った長さLを0〜5mmの範囲で変化させた場合の流速を算出した。この場合の第1流路81の中心軸に沿った長さLと等価直径Dの比であるL/Dは0〜10.0、第2流路32の中心軸に沿った長さLと等価直径Dの比であるL/Dは0〜9.4となる。
ここで、整流状態とするのに好適な流路の長さLおよび流路の等価直径Dの関係について検討する。図8は、第1流路において、Dを1.20mmに設定し、Lを0〜12mmの範囲で変えた場合の、L/Dと流体の流速Vとの関係を例示する図である。図9は、第2流路において、Dを0.53mmに設定し、Lを0〜2.5mmの範囲で変化させた場合の、L/Dと流体の流速Vとの関係を例示する図である。図8を参照すると、第1流路81においては、L/D>10の場合に流体の流速Vが安定化していて(流速Vの上昇が止まっていて)整流状態となることが理解できる。また、図9を参照すると、第2流路32においては、L/D>1の場合に流体の流速Vが安定化していて(流速Vの下降が止まっていて)整流状態となることが理解できる。
図10は、第1シミュレーションにおいて、Lを12mm、Lを5mmに設定し、整流された第1流体および第2流体が、合流経路に流入したときにおける、第1流体および第2流体の濃度分布を例示する図である。図10では、色調の濃淡によって濃度勾配を例示しており、白色が第1流体FL1であるヘキサン、黒色が第2流体FL2であるテトラヒドロフランの濃度を例示する。すなわち、図10では、白色に近ければ近いほどヘキサンの濃度が高いことを示し、黒色に近ければ近いほどテトラヒドロフランの濃度が高いことを示す。
図10を参照すると、第1流路81内は全領域で白色であり、ヘキサンの濃度100%となっていることがわかる。一方、第2流路32内は全領域で黒色であり、テトラヒドロフランの濃度100%となっていることがわかる。さらに、合流経路31においては、中心部は白色から送出管側(右側)に向けて徐々にグレーとなり混合が進むが、外周部は送出管側(右側)の端部においても黒色の混合されない領域(層)が形成されていることがわかる。すなわち、合流経路31の内壁近傍の全領域において第2流体FL2であるテトラヒドロフランの濃度がほぼ100%となっているため、この領域では第1流体FL1と第2流体FL2との化学反応および当該化学反応に伴う副生成物の塩の生成が抑制され、合流経路31の内壁への塩付着による流路閉塞が生じにくくなる。第1シミュレーションの結果により、合流経路31の流路閉塞が抑制されることで、合流器1aの運転可能時間
を可及的に伸ばせることが理解できる。この第2流体FL2であるテトラヒドロフランの濃度がほぼ100%となっている合流経路31の内壁近傍の黒色の層は、合流経路31の内壁を塩の付着から保護する保護膜ということができる。
(第2シミュレーション)
第2シミュレーションでは、合流器1aにおける第1流体FL1および第2流体FL2の流速と保護層の厚みとの関係についてシミュレーションを行った。図11は、合流部からの距離Xと保護膜の厚みYを流体の流速を変えつつ検証した結果の一例を示す図である。図11では、縦軸が保護膜の厚みY(mm)を示し、横軸が合流部311からの距離X(mm)を示す。図11を参照すると、いずれの流速においても保護膜が形成されていることが理解できる。また、保護膜の厚みは第1流体FL1と第2流体FL2の速度差の影響を受けており、第1流体FL1と第2流体FL2の速度差が少なければ少ないほど、合流部311からより離れた位置にまで厚い保護膜を維持できることが理解できる。
<比較形態>
ここで、比較形態について検討する。図12は、比較形態に係る合流器の外観の一例を示す図である。比較形態で用いる合流器100は、一般的なT字型合流器である。図12に例示される合流器100は、第1流路111を形成する第1円管110と第2流路121を形成する第2円管120とが連結部101において第1流路111と第2流路121とを連通するように連結される。合流器100では、第1流路111と第2流路121とは連結部101において直交する。以下の比較形態に係る第3シミュレーションおよび第4シミュレーションにおいて、第1円管110は内径1.24mm、長さ20mmと設定し、第2円管120は内径1.24mm、長さ10mmと設定した。
(第3シミュレーション)
第3シミュレーションでは、第1流路111の両端のそれぞれから第1流体FL1と第2流体FL2とを第1流路111内に導入し、連結部101付近で第1流体FL1と第2流体FL2とが合流した流体を第2流路121から流出させる。すなわち、第3シミュレーションでは、第1流体FL1と第2流体FL2とは180度の角度で合流し、混合する。
図13は、第3シミュレーションにおいて、比較形態に係る合流器の各流路における第1流体および第2流体の濃度分布を例示する図である。図13は、図10と同様に、色調の濃淡によって濃度勾配を例示しており、白色が第1流体FL1であるヘキサン、黒色が第2流体FL2であるテトラヒドロフランの濃度を例示する。すなわち、図13では、図10と同様に、白色に近ければ近いほどヘキサンの濃度が高いことを示し、黒色に近ければ近いほどテトラヒドロフランの濃度が高いことを示す。
(第4シミュレーション)
第4シミュレーションでは、第3シミュレーションと同様に合流器100を用いてシミュレーションを行った。第4シミュレーションでは、図14に例示するように、第1流体FL1を第1流路111の一方から導入し、第2流体FL2を第2流路121に導入する。第1流体FL1と第2流体FL2とは第1流路111内で混合し、混合した流体は第1流路111の他方から流出する。
図15は、第4シミュレーションにおいて、比較形態に係る合流器の各流路における第1流体および第2流体の濃度分布を例示する図である。図15は、図10と同様に、色調の濃淡によって濃度勾配を例示しており、白色が第1流体FL1であるヘキサン、黒色が第2流体FL2であるテトラヒドロフランの濃度を例示する。すなわち、図15では、図10と同様に、白色に近ければ近いほどヘキサンの濃度が高いことを示し、黒色に近けれ
ば近いほどテトラヒドロフランの濃度が高いことを示す。
図13および図15を参照すると、第1流体FL1と第2流体FL2とが合流する際に、第1流体FL1と第2流体FL2との衝突による混合拡散や滞留渦等の影響により、合流器1aにおける第1流体FL1と第2流体FL2との混合よりも、速やかに混合することが理解できる。その結果、合流器1aとは異なり、合流器100では保護膜が形成されることが無く、流路の内壁への副生成物の塩の形成・付着・堆積のおそれがあることが理解される。
実施形態に係る合流器1の効果を検証するため、運転開始から流路閉塞までの時間を比較形態に係る合流器100と比較する検討を行った。実施例では、第1流体FL1に有機リチウム試薬としてn−ブチルリチウムヘキサン溶液(NBL)、第2流体FL2に原料溶液として任意に水分量を調整したテトラヒドロフラン(THF)を用いた。なお、THF中の水分量が多くなるほど副生成物である無機物の塩が生成し易くなり、閉塞発生時間が短くなる傾向にあると考えられる。実施例における運転時間の上限は40minとし、合流器への送液の開始から40min経過するまでに圧力上昇が無い場合は閉塞無しと判定した。
図16は、実施形態に係る合流器1を用いたマイクロリアクターの構成を例示する図である。合流器1の第1導入路61とポンプP1とが流路接続され、合流器1の第2導入路71とポンプP2とが流路接続される。ポンプP1と第1導入路61との間には、圧力センサPS1、予備冷却管PC1がポンプP1側から第1導入路61に向けてこの順に配置される。ポンプP2と第2導入路71との間には、圧力センサPS2、予備冷却管PC2がポンプP2側から第2導入路71に向けてこの順に配置される。
ポンプP1としてシリンジポンプ(古江サイエンス株式会社製高圧マイクロフィーダーJP−H)を採用し、ポンプP2としてプランジャーポンプ(株式会社島津製作所製LC―10A)を採用した。予備冷却管PC1は、ポンプP1が第1導入路61に送液する第1流体FL1を冷却する。予備冷却管PC2は、ポンプP2が第2導入路71に送液する第2流体FL2を冷却する。予備冷却管PC1、PC2には、いずれも内径1mm、外径1.6mm、長さ3mのSUS316製チューブを用いた。
合流器1の送出経路41の下流側には、第1流体FL1と第2流体FL2とが合流した流体が流入する反応管TR1が配置される。反応管TR1は、内径1mm、外径1.6mm、長さ10mのSUS316製チューブを用いた。合流器1、予備冷却管PC1、PC2、反応管TR1は、恒温槽T1内に配置される。恒温槽T1としては、低温恒温水槽(東京理化器械株式会社製PSL−2000型)を用いた。
ここで、合流器1の第1流路81の等価直径Dは0.54mm、中心軸に沿った長さLは10mm、第2流路32の等価直径Dを0.39mm、中心軸に沿った長さLを5mmとした。この場合の第1流路81の中心軸に沿った長さLと等価直径Dの比であるL/Dは18.5、第2流路32の中心軸に沿った長さLと等価直径Dの比であるL/Dは12.8である。また、流路閉塞までの時間は、圧力センサPS1および圧力センサPS2が検出する圧力が、平常時と比較して上昇し始めた時間とした。以下、実施形態に係る合流器1を用いた実施例について、(実施例1)から(実施例3)として説明する。
(実施例1)
図16のマイクロフローリアクターを用いて、THFの水分量を100ppmに調整し
、恒温槽T1内の温度を−40℃に設定した後、NBL流量を4.4mL/min、THF流量を8.0mL/minに設定し、合流器1への送液を行った。このとき合流器1内の合流部311における第1流体FL1の流速は0.32m/s、第2流体FL2の流速は0.22m/s、流速比(第1流体FL1の流速÷第2流体FL2の流速)は1.45である。送液の開始から圧力センサPS1、PS2による圧力の監視を行ったが、圧力上昇は確認されず、閉塞は発生しなかった。
(実施例2)
図16のマイクロフローリアクターを用いて、THFの水分量を200ppmに調整し、恒温槽T1内の温度を−40℃に設定した後、NBL流量を4.4mL/min、THF流量を8.0mL/minに設定し、合流器1への送液を行った。このとき合流器1内の合流部311における第1流体の流速は0.32m/s、第2流体の流速は0.22m/s、流速比(第1流体FL1の流速÷第2流体FL2の流速)は1.45である。送液の開始から圧力センサPS1、PS2による圧力の監視を行ったが、圧力上昇は確認されず、閉塞は発生しなかった。
(実施例3)
図16のマイクロフローリアクターを用いて、THFの水分量を300ppmに調整し、恒温槽T1内の温度を−40℃に設定した後、NBL流量を4.4mL/min、THF流量を8.0mL/minに設定し、合流器1への送液を行った。このとき合流器1内の合流部311における第1流体FL1の流速は0.32m/s、第2流体FL2の流速は0.22m/s、流速比(第1流体FL1の流速÷第2流体FL2の流速)は1.45である。送液の開始から圧力センサPS1、PS2による圧力の監視を行ったが、圧力上昇は確認されず、閉塞は発生しなかった。
図17は、比較形態に係る合流器100を用いたマイクロリアクターの構成を例示する図である。図16と図17とを対比すると理解できるように、図17のマイクロリアクターの構成は、合流器1に代えて合流器100を採用し、第1流路111の両端のそれぞれから第1流体FL1と第2流体FL2とを導入し、合流した流体を第2流路121から流出させる点を除いて、図16のマイクロリアクターの構成と同一である。また、図12の合流器100の第1円管110の内径は0.5mm、長さは20mm、第2円管120の内径は0.5mm、長さは10mmである。さらに、合流器100を用いた検討においても、流路閉塞までの時間は、圧力センサPS1および圧力センサPS2が検出する圧力が、平常時と比較して上昇し始めた時間とした。以下、比較形態に係る合流器100を用いた検討について、(比較例1)から(比較例3)として説明する。
(比較例1)
図17のマイクロフローリアクターを用いて、THFの水分量を100ppmに調整し、恒温槽T1内の温度を−40℃に設定した後、NBL流量を4.4mL/min、THF流量を8.0mL/minに設定し、送液を行った。このとき合流器100内において第1流体FL1と第2流体FL2とが合流する合流部における第1流体FL1の流速は0.37m/s、第2流体FL2の流速は0.68m/s、流速比(第1流体FL1の流速÷第2流体FL2の流速)は0.54である。送液の開始から圧力センサPS1、PS2による圧力の監視を行った結果、送液の開始から25min経過した時点で圧力上昇が検出され、閉塞が確認された。
(比較例2)
図17のマイクロフローリアクターを用いて、THFの水分量を200ppmに調整し、恒温槽T1内の温度を−40℃に設定した後、NBL流量を4.4mL/min、THF流量を8.0mL/minに設定し、送液を行った。このとき合流器100内において
第1流体FL1と第2流体FL2とが合流する合流部における第1流体FL1の流速は0.37m/s、第2流体FL2の流速は0.68m/s、流速比(第1流体FL1の流速÷第2流体FL2の流速)は0.54である。送液の開始から圧力センサPS1、PS2による圧力の監視を行った結果、送液の開始から20min経過した時点で圧力上昇が検出され、閉塞が確認された。
(比較例3)
図17のマイクロフローリアクターを用いて、THFの水分量を300ppmに調整し、恒温槽T1内の温度を−40℃に設定した後、NBL流量を4.4mL/min、THF流量を8.0mL/minに設定し、送液を行った。このとき合流器100内において第1流体FL1と第2流体FL2とが合流する合流部における第1流体FL1の流速は0.37m/s、第2流体FL2の流速は0.68m/s、流速比(第1流体FL1の流速÷第2流体FL2の流速)は0.54である。送液の開始から圧力センサPS1、PS2による圧力の監視を行った結果、送液の開始から7.5min経過した時点で圧力上昇が検出され、閉塞が確認された。
以下の表1は、実施例と比較例の検討結果を示す表である。表1は、「THF水分量」、「NBL流量」、「THF流量」、「合流器」、「NBL流速」、「THF流速」、「流速比」、「閉塞発生時間」の各項目を含む。「THF水分量」は、THFが含む水分量を示し、単位は「ppm」である。「NBL流量」はポンプP1が第1流体FL1であるNBLを送液する1分間当たりの流量であり、単位は「mL/min」である。「THF流量」はポンプP2が第2流体FL2であるTHFを送液する1分間当たりの流量であり、単位は「mL/min」である。「NBL流速」は、第1流体FL1であるNBLの合流部における流速であり、単位は「m/s」である。「THF流速」は、第2流体FL2であるTHFの合流部における流速であり、単位は「m/s」である。
表1を参照すると理解できるように、合流器1を用いることで、合流器100に例示される一般的な合流器であるT字ミキサーを用いた場合と比較して、閉塞の発生が抑制されることが分かる。これは、各流体の接触時に発生する無機塩が、合流器1では合流器100と比較して、流路内壁に付着しにくい為である。よって、合流器1を用いることで、流路の閉塞までの時間を可及的に長くすることができる。なお、THF水分量が多くなると閉塞が発生し易くなると考えられるが、合流器1を用いた場合は水分量が増えても閉塞は確認されなかった。
実施形態では、第1流体FL1と第2流体FL2とを合流させるマイクロリアクター用合流器である合流器1について説明したが、開示の技術はマイクロリアクター用合流器に限定されるわけではなく、第1流体FL1と第2流体FL2とを合流させる合流器であれば、適用可能である。
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
以上説明した実施形態や変形例は、下記の[1]〜[18]の項に記載された内容を包含する。なお、以下の[1]〜[18]において、「かっこ」内の数字は、実施形態において対応する構成の符号を例示する。
[1] 一方から他方に延びる第2円管(3)内の、合流部(311)と前記他方における端部との間に形成された合流経路(31)と、
前記第2円管(3)と中心軸が略一致するとともに、前記第2円管(3)の内径よりも小さい外径を有し、一端が少なくとも前記第2円管(3)の前記一方における端部に達するとともに、他端が前記合流部(311)に達する第1円管(8)内に形成される第1流路(81)と、
前記第1円管(8)の外壁と前記第2円管(3)の内壁との間に形成され、前記合流部(311)において前記合流経路(31)と連通する第2流路(32)と、
前記第1円管(8)および前記第2円管(3)と中心軸が略一致するとともに、前記一方から前記他方に向けて徐々に縮径する二つの縮径壁(94、95)間に形成され、前記第2流路(32)の前記一方における端部と連通する第3流路(91)と、
前記第1流路(81)の前記一方に配置された第1導入部材(62)内に形成され、前記第1流路(81)に流体を導入する第1導入経路(61)と、
前記第3流路(91)の前記一方に配置された第2導入管(7)内に形成され、前記第3流路(91)に流体を導入する第2導入経路(71)と、
を備える、
合流器。
[2] 前記第2円管(3)の前記他方には、前記第2円管(3)と中心軸が一致するとともに前記第2円管(3)の内径よりも小さい内径を有する円管状の送出管(4)が設けられ、
前記合流経路(31)と前記送出管(4)内に形成された送出経路(41)とは、前記送出管(4)に向けて徐々に内径が縮径する第1絞り部(5a)が形成する流路によって連通する、
[1]に記載の合流器。
[3] 前記第1導入部材(62)の内径は、前記第1円管(8)の内径よりも大きく、
前記第1導入経路(61)と前記第1流路(81)とは、前記第1円管(8)に向けて徐々に内径が縮径する第2絞り部(5b)が形成する流路によって連通する、
[1]または[2]に記載の合流器。
[4] 前記第2導入経路(71)の経路出口の開口面と正対して液溜まり部(931)が形成される、
[1]から[3]のいずれか一項に記載の合流器。
[5] 前記第1流路(81)から前記合流経路(31)へと流れる第1流体と、前記第3流路(91)から前記第2流路(32)を介して前記合流経路(31)へと流れる第2流体とが、前記合流経路(31)で合流し、
前記合流経路(31)において、前記合流経路(31)の中心部分を前記第1流体が流れ、前記第2流体は前記第1流体の外側を流れる、
[1]から[4]のいずれか一項に記載の合流器。
[6] 前記第1流路(81)の中心軸に沿った長さLと、前記第1流路(81)の等価直径Dの比L/Dは、10以上である、
[1]から[5]のいずれか一項に記載の合流器。
[7] 前記第2流路(32)の中心軸に沿った長さLと、前記第2流路(32)の等価直径Dの比L/Dは1以上である、
[1]から[6]のいずれか一項に記載の合流器。
[8] マイクロリアクター用合流器である、[1]から[7]のいずれか一項に記載の合流器。
[9] [8]に記載の合流器を具備したマイクロリアクター。
[10] [1]から[8]のいずれか一項に記載の合流器を用いて、
前記第1流路(81)の他方の端部における前記第1流体の流速Vと、前記第2流路(32)の他方の端部における前記第2流体の流速Vの比V/Vを0.33から3.0の範囲内に設定することを特徴とする流体の合流方法。
[11] [1]から[8]のいずれか一項に記載の合流器を用いて、
前記第1流路(81)の他方の端部における前記第1流体のレイノルズ数Reと、前記第2流路(32)の他方の端部における前記第2流体のレイノルズ数Reを、それぞれ2300以下に設定することを特徴とする流体の合流方法。
[12] [1]から[8]のいずれか一項に記載の合流器を用いて、
前記第1流体および前記第2流体の一方である有機リチウム溶液と前記第1流体および前記第2流体の他方である原料溶液とを合流させることを特徴とする流体の合流方法。
[13] 前記第1流体が前記有機リチウム溶液であることを特徴とする[12]に記載の流体の合流方法。
[14] 前記有機リチウム溶液がn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム誘導体の少なくともいずれかを含むことを特徴とする[12]または[13]に記載の流体の合流方法。
[15] 前記第2流体が前記原料溶液であることを特徴とする、[12]から[14]のいずれか一項に記載の流体の合流方法。
[16] 前記原料溶液が、芳香族化合物、ハロゲン化芳香族化合物のいずれかを原料基質として含み、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、4−メチルテトラヒドロピラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ヘキサン、ヘプタンおよびトルエンのいずれかを溶媒として含むことを特徴とする、[12]から[15]のいずれか一項に記載の流体の合流方法。
[17] [10]から[16]のいずれか一項に記載の流体の合流方法により、前記第1流体と前記第2流体とを混合させた流体による前記合流器内の閉塞防止方法。
1・・・合流器
2、2a、2b・・・本体部
2c、2d・・・ねじ穴
3・・・第2円管
31・・・合流経路
311・・・合流部
32・・・第2流路
4・・・送出管
41・・・送出経路
5a・・・第1絞り部
5b・・・第2絞り部
6・・・第1導入管
61・・・第1導入路
62・・・第1導入路を形成する部材
7・・・第2導入管
71・・・第2導入路
72・・・開口面
8・・・第1円管
81・・・第1流路
9・・・縮径構造
91・・・第3流路
92・・・二重壁構造
921・・・外壁
922・・・内壁
93・・・接続流路
931・・・液溜まり部
94、95・・・縮径壁
FL1・・・第1流体
FL2・・・第2流体
M1・・・接面
V・・・流速
X・・・合流部からの距離
Y・・・保護膜の厚み
P1、P2・・・ポンプ
PS1、PS2・・・圧力センサ
PC1、PC2・・・予備冷却管
TR1・・・反応管
T1・・・恒温槽

Claims (17)

  1. 一方から他方に延びる第2円管内の、合流部と前記他方における端部との間に形成された合流経路と、
    前記第2円管と中心軸が略一致するとともに、前記第2円管の内径よりも小さい外径を有し、一端が少なくとも前記第2円管の前記一方における端部に達するとともに、他端が前記合流部に達する第1円管内に形成される第1流路と、
    前記第1円管の外壁と前記第2円管の内壁との間に形成され、前記合流部において前記合流経路と連通する第2流路と、
    前記第1円管および前記第2円管と中心軸が略一致するとともに、前記一方から前記他方に向けて徐々に縮径する二つの縮径壁間に形成され、前記第2流路の前記一方における端部と連通する第3流路と、
    前記第1流路の前記一方に配置された第1導入部材内に形成され、前記第1流路に流体を導入する第1導入経路と、
    前記第3流路の前記一方に配置された第2導入管内に形成され、前記第3流路に流体を導入する第2導入経路と、
    を備える、
    合流器。
  2. 前記第2円管の前記他方には、前記第2円管と中心軸が一致するとともに前記第2円管の内径よりも小さい内径を有する円管状の送出管が設けられ、
    前記合流経路と前記送出管内に形成された送出経路とは、前記送出管に向けて徐々に内径が縮径する第1絞り部が形成する流路によって連通する、
    請求項1に記載の合流器。
  3. 前記第1導入部材の内径は、前記第1円管の内径よりも大きく、
    前記第1導入経路と前記第1流路とは、前記第1円管に向けて徐々に内径が縮径する第2絞り部が形成する流路によって連通する、
    請求項1または2に記載の合流器。
  4. 前記第2導入経路の経路出口の開口面と正対して液溜まり部が形成される、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の合流器。
  5. 前記第1流路から前記合流経路へと流れる第1流体と、前記第3流路から前記第2流路を介して前記合流経路へと流れる第2流体とが、前記合流経路で合流し、
    前記合流経路において、前記合流経路の中心部分を前記第1流体が流れ、前記第2流体は前記第1流体の外側を流れる、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の合流器。
  6. 前記第1流路の中心軸に沿った長さLと、前記第1流路の内径Dの比L/Dは、10以上である、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の合流器。
  7. 前記第2流路の中心軸に沿った長さLと、前記第2流路の等価直径Dの比L/Dは1以上である、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の合流器。
  8. マイクロリアクター用合流器である、請求項1から7のいずれか一項に記載の合流器。
  9. 請求項8に記載の合流器を具備したマイクロリアクター。
  10. 請求項1から8のいずれか一項に記載の合流器を用いて、
    前記第1流路の他方の端部における前記第1流体の流速Vと、前記第2流路の他方の端部における前記第2流体の流速Vの比V/Vを0.33から3.0の範囲内に設定することを特徴とする流体の合流方法。
  11. 請求項1から8のいずれか一項に記載の合流器を用いて、
    前記第1流路の他方の端部における前記第1流体のレイノルズ数Reと、前記第2流路の他方の端部における前記第2流体のレイノルズ数Reを、それぞれ2300以下に設定することを特徴とする流体の合流方法。
  12. 請求項1から8のいずれか一項に記載の合流器を用いて、
    前記第1流体および前記第2流体の一方である有機リチウム溶液と前記第1流体および前記第2流体の他方である原料溶液とを合流させることを特徴とする流体の合流方法。
  13. 前記第1流体が前記有機リチウム溶液であることを特徴とする請求項12に記載の流体の合流方法。
  14. 前記有機リチウム溶液がn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム誘導体の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の流体の合流方法。
  15. 前記第2流体が前記原料溶液であることを特徴とする、請求項12から14のいずれか一項に記載の流体の合流方法。
  16. 前記原料溶液が、芳香族化合物、ハロゲン化芳香族化合物のいずれかを原料基質として含み、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、4−メチルテトラヒドロピラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ヘキサン、ヘプタンおよびトルエンのいずれかを溶媒として含むことを特徴とする、請求項12から15のいずれか一項に記載の流体の合流方法。
  17. 請求項10から16のいずれか一項に記載の流体の合流方法により、前記第1流体と前記第2流体とを混合させることを特徴とする、前記合流器内の閉塞防止方法。
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