JP2021037219A - 睡眠状態推定方法および睡眠状態推定装置 - Google Patents

睡眠状態推定方法および睡眠状態推定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】被検者に対して肉体的及び精神的に大きな負担を強いることなく、ウルトラディアンリズムの判定を精度良く行うことを可能とし、被検者の睡眠状態を容易に推定することのできる、新規な睡眠状態推定方法および睡眠状態推定装置を提供する。【解決手段】睡眠時における呼吸関連情報と体動関連情報と経過時間情報とを含む教師情報によって機械学習させたサポートベクタマシンを用いて、特定の被検者の睡眠時における呼吸関連情報と体動関連情報と経過時間情報とを含む検出情報に基づいて、該被検者の睡眠時におけるDEEP期とREM期の判別を含んで睡眠状態を推定する。特に呼吸関連情報及び体動関連情報は、柔軟な圧電型センサシート12を用いて検出した被検者の体圧信号に基づいて取得することが好ましい。【選択図】図4

Description

本発明は、例えば睡眠の質や快適度などの評価に有効な睡眠状態の推定方法および推定装置に関する。
睡眠は人の肉体的及び精神的な活動や状態に対して相関性を持つことが知られており、例えば種々の疾患の診断に際しても睡眠の質や快適度などを評価することは有効であるし、個人的にも睡眠状態の良否を把握することは体調の自己管理にも役立つ。
すなわち、人の睡眠には睡眠深度に応じて緯度複数のステージがある。具体的には、睡眠には覚醒期(WAKE)と睡眠期(SLEEP)があり、また、睡眠期は、LIGHT期(浅睡眠期)とDEEP期(深睡眠期)とREM期(眼球運動のみられる睡眠期間)に分けることができ、更に、LIGHT期は、NREM期第1ステージ(傾睡眠初期)とNREM期第2ステージ(傾睡眠期)に分けることができると共に、DEEP期は、NREM期第3ステージ(中等度睡眠期)とNREM期第4ステージ(深睡眠期)に分けることができる。そして、良好な睡眠状態では、覚醒期から睡眠状態に入ると、睡眠周期(ウルトラディアンリズム)と呼ばれる90分前後の周期で睡眠状態の遷移が繰り返され、各周期中で睡眠の深さがサイクリックに変化すると共に、一晩の睡眠全体として睡眠初期の深い睡眠状態から次第に浅くなる傾向で推移する。一方、睡眠の質や快適度が低下すると、ウルトラディアンリズムが明確でなくなったり、サイクリックな睡眠ステージ推移が明確でなくなったり、睡眠全体として初期から終期に向かって浅くなる睡眠深度の推移が明確でなくなる。
ところが、従来の睡眠状態の評価は、睡眠ポリグラフ装置(PSG)と呼ばれる装置を用いた検査の結果を専門の医療関係者が評価することによって行われており、被検者の睡眠期間に亘って、脳波、筋電図、眼球の動き、心電図、呼吸数などを測定する必要があり、測定装置の装着によって被検者は苦痛を強いられることもあった。
なお、特開2016−209327号公報(特許文献1)には、ドップラーセンサを用いて検出された振動情報に基づいて睡眠深度を推定する方法が提案されている。具体的には、判別分析のマハラノビス距離による判別を利用するものであり、睡眠の継続時間や睡眠深度の積算時間などの選択情報により判別モデルを選択し、特許文献1の[図8]に例示されるように、選択された判別モデルを用いて、振動情報から得られる複数の特徴量を独立変数として線形判別分析を行うことにより、ユークリッド距離などを用いて睡眠状態を順次に振り分けて判別するものである。
特開2016−209327号公報
しかしながら、本発明者が検討したところ、特許文献1に記載の方法では、ウルトラディアンリズムの判定精度に未だ改善の余地を内在していることが判った。
本発明の解決課題は、被検者に対して肉体的及び精神的に大きな負担を強いることなく、ウルトラディアンリズムの判定を精度良く行うことを可能とし、被検者の睡眠状態を容易に推定することのできる、新規な睡眠状態推定方法および睡眠状態推定装置を提供することにある。
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
第一の態様は、(i)複数の被験者について睡眠時における呼吸の経時的変化に関する呼吸関連情報と、体動の経時的変化に関する体動関連情報と、全体の経過時間情報とを取得し、(ii)該呼吸関連情報と該体動関連情報と該経過時間情報とを含む教師情報によって機械学習させたサポートベクタマシンを用いて、(iii)特定の被検者の睡眠時における呼吸の経時的変化に関する呼吸関連情報と体動の経時的変化に関連する体動関連情報と全体の経過時間情報とを含む検出情報に基づいて、該被検者の睡眠時におけるDEEP期とREM期の判別を含んで睡眠状態を推定する睡眠状態推定方法にある。
本態様の睡眠状態推定方法では、サポートベクタマシンを用いて、睡眠状態に関連する情報によって機械学習を行ない、得られた学習済みモデルを利用することで、睡眠状態にある被検者から取得した検出情報を入力し、睡眠状態の推定結果を取得することが可能になる。また、かかる検出情報としては、被検者を過度に拘束することなく取得できるものを採用することができることから、被検者に大きな苦痛を強いることもない。
そして、サポートベクタマシンを用いた機械学習を採用したことで、後述する実施例の記載からも明らかなように、特許文献1に記載の如きユークリッド距離などを用いて線形判別分析を行って睡眠状態を順次に振り分けて睡眠状態を判別する従来手法に比して、特に睡眠時におけるDEEP期とREM期の判別を高精度に行うことが可能となり、その結果、ウルトラディアンリズムの判定を容易に且つ精度良く行うことが可能になる。
なお、第一の態様において採用される学習及び入力の情報としての人(被験者及び被検者)の睡眠状態関連情報(呼吸関連情報及び体動関連情報を含む)は、具体的に限定されるものでないが、以下の第二及び第三の態様の如き情報が採用され得る。
第二の態様は、前記第一の態様に係る睡眠状態推定方法であって、前記呼吸関連情報が、所定の時間毎の呼吸検出信号におけるピーク振幅の平均値とピーク振幅のCV値とピーク間隔の平均値とピーク間隔のCV値との少なくとも一つを含むものである。
第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る睡眠状態推定方法であって、前記体動関連情報が、所定の時間毎の体動検出信号の平均値と体動検出信号の未検出時間である静止持続時間との少なくとも一つを含むものである。
第四の態様は、前記第一〜三の何れかの態様に係る睡眠状態推定方法であって、前記体動関連情報は、体動検出信号に対してレベルの正規化の処理が施されたものである。
本態様では、例えば複数の被験者間における体重やセンサ感度などに起因するバラツキを抑えたり、使用する被検者の体重やセンサ感度などに起因する測定誤差を抑えたりすることができる。
第五の態様は、前記第一〜四の何れかの態様に係る睡眠状態推定方法であって、前記呼吸関連情報は体動に起因する信号を含んでおり、該呼吸関連情報に含まれる体動に起因する信号の大きさが、前記体動関連情報に含まれる呼吸に起因する信号の大きさに比して大きいものである。
本態様では、呼吸関連情報に対して体動に起因する信号を例えば大きなレベルの信号とて含ませることができる。そして、呼吸関連情報から例えば周期(周波数)の情報を取得することで体動に起因する信号による悪影響を避けつつ、呼吸関連情報に含まれた体動に起因する信号によって覚醒状態と睡眠状態との判別精度の向上を図ることも可能になる。一方、体動関連情報では、呼吸に起因する信号を抑えることで、例えば呼吸に起因する信号を寝返り等の体動と誤認することによる静止持続状態の検出阻害を回避することなどが可能になる。
第六の態様は、前記第一〜五の何れかの態様に係る睡眠状態推定方法であって、前記呼吸関連情報と前記体動関連情報を、体圧の検出信号に基づいて取得するものである。
本態様では、体圧の検出信号を利用することで、例えば前記特許文献1に記載の如きドップラーセンサを用いて検出する場合に比して、人を正確に特定した体圧検出が可能になる。その結果、例えば複数の人がいる場合でも特定の人(被検者等)について呼吸関連情報や体動関連情報を安定して取得して、睡眠状態を推定することができる。また、呼吸に伴う気流を検出する気流センサなどを利用して呼吸関連情報をする場合に比して、被検者などに与える苦痛を一層軽減することも可能になる。
第七の態様は、前記第六の態様に係る睡眠状態推定方法であって、前記体圧の検出信号を、体圧支持面に敷設した柔軟な圧電型センサシートを用いて取得するものである。
本態様では、被検者等が寝る床面の柔軟性が大きく損なわれることがなく、被検者等の睡眠に際しての快適性の更なる向上が図られ得る。また、圧電型センサシートを採用することで、静電容量型や空気式等の他の方式の体圧センサーと比較して、一般に呼吸情報を検出する程に高い感度を得やすいだけでなく、バイアス信号がないことから検出信号の処理も容易となる。
第八の態様は、複数の被験者から採取された睡眠時における呼吸の経時的変化に関する呼吸関連情報と、体動の経時的変化に関する体動関連情報と、全体の経過時間情報とを含む教師情報によって機械学習させたサポートベクタマシンを有しており、更に、被検者の体圧を検出する柔軟な圧電型センサシートと、該圧電型センサシートの検出信号に基づいて被検者の睡眠時における呼吸の経時的変化に関する呼吸関連情報を取得する呼吸関連情報取得手段と、該圧電型センサシートの検出信号に基づいて被検者の睡眠時における体動の経時的変化に関連する体動関連情報を取得する体動関連情報取得手段と、全体の経過時間情報を取得する計時手段とを、備えており、前記サポートベクタマシンに対する被検者の該呼吸関連情報及び該体動関連情報と該経過時間情報とを含む検出情報の入力によって、該被検者の睡眠時におけるDEEP期とREM期の判別を含む睡眠状態の推定値を出力する睡眠状態推定装置である。
本態様における睡眠状態推定装置では、機械学習させたサポートベクタマシンを用いたことで、特に睡眠時におけるDEEP期とREM期の判別を高精度に行うことが可能となり、ウルトラディアンリズムの判定を容易に且つ精度良く行うことができる。しかも、呼吸関連状態取得手段と体動関連情報取得手段が圧電型センサシートを用いて構成されていることから、呼吸関連情報や体圧関連情報の取得に際して被検者を過度に拘束することがないだけでなく、人を正確に特定して各情報の取得が可能になり、例えば複数の人がいる場合でも特定の人(被検者等)についての各情報を安定して取得し、当該人の睡眠状態を推定することが可能になる。また、圧電型センサシートを採用したことで、呼吸情報の検出や検出信号の処理も容易とされ得る。
第九の態様は、前記第八の態様に係る睡眠状態推定装置であって、前記圧電型センサシートが圧電層と電極層を有しており、該圧電層がゴム弾性体によって形成されているものである。
本態様の睡眠状態推定装置では、ゴム弾性体からなる圧電層を採用したことで、静電容量型や電気抵抗型などの圧電型センサシートを、良好な柔軟性を確保しつつ実現可能になる。
第十の態様は、前記第八又は九の態様に係る睡眠状態推定装置であって、前記体動関連情報取得手段が、周波数フィルタを含んでいるものである。
本態様の睡眠状態推定装置では、圧電型センサシートによって体動関連情報として取得される信号から例えば呼吸等に起因するノイズを軽減することができる。その結果、例えば呼吸に起因する信号を体動と誤認することによる静止持続状態の検出阻害ひいては第4ステージのDEEPをLIGHT等の睡眠状態とする誤推定を回避することなどが可能になる。
第十一の態様は、前記第八〜十の何れかの態様に係る睡眠状態推定装置であって、前記サポートベクタマシンにおける教師情報および該サポートベクタマシンに対する入力が、年齢,性別,職業種別,入眠時刻,環境温度,環境湿度,寝姿勢,過日の睡眠情報の少なくとも一つを更に含むものである。
本態様の睡眠状態推定装置では、教師情報および入力情報として、睡眠状態と関連する情報を更に含めて機械学習及び機械判定することが可能になることから、睡眠状態の推定精度の向上を図ることも可能になる。
第十二の態様は、複数の被験者についての睡眠時における呼吸の経時的変化に関する呼吸関連情報と、体動の経時的変化に関する体動関連情報と、全体の経過時間情報とを取得し、該呼吸関連情報と該体動関連情報と該経過時間情報とを含む教師情報を用いて、特定の被検者の睡眠時における呼吸の経時的変化に関する呼吸関連情報と体動の経時的変化に関連する体動関連情報と全体の経過時間情報とを含む検出情報を入力し、該被検者の睡眠時におけるDEEP期とREM期の判別を含む睡眠状態の推定値を出力する学習モデルを、サポートベクタマシンによって生成する睡眠状態推定の学習モデル生成方法である。
本態様によれば、前述の如き睡眠状態推定方法を実施し、或いは前述の如き睡眠状態推定装置を実現することのできるサポートベクタマシンによる学習モデルを製造することができる。
本発明に従えば、被検者を過度に拘束したり大きな苦痛を強いることなく、特許文献1に記載の如き機械学習による線形判別分析による従来手法に比べて、特に睡眠時におけるDEEP期とREM期の判別を高精度に行い得て、例えばウルトラディアンリズムの判定等を含む睡眠状態の推定を容易に行うことが可能になる。
また、圧電型センサシートを用いて呼吸関連情報や体動関連情報を取得する態様では、特許文献1に記載の如きドップラーセンサを用いる従来手法に比べて、例えば複数の人がいる状況でも特定の人(被検者等)についての情報を安定して取得し、当該人の睡眠状態を他の人と混同することなく正確に推定することも可能になる。
本発明の一実施形態としての睡眠状態推定装置の概要構成を示す説明図 図1に示された睡眠状態推定装置に用いられる圧電型センサシートの平面図 図2におけるIII−III断面図 図1に示された睡眠状態推定装置の機能ブロック図 圧電型センサシートによる検出信号の具体的な一例を示すグラフ 図5に示された如き検出信号から得られた呼吸関連情報の一例としての呼吸検出信号の振幅平均値(第1パラメータ)の具体的な一例を示すグラフ 図5に示された如き検出信号から得られた呼吸関連情報の一例としての呼吸検出信号の振幅CV値(第2パラメータ)の具体的な一例を示すグラフ 図5に示された如き検出信号から得られた呼吸関連情報の一例としての呼吸検出信号の周期平均値(第3パラメータ)の具体的な一例を示すグラフ 図5に示された如き検出信号から得られた呼吸関連情報の一例としての呼吸検出信号の周期CV値(第4パラメータ)の具体的な一例を示すグラフ 図5に示された如き検出信号から得られた体動関連情報の一例としての静止持続時間(第5パラメータ)の具体的な一例を示すグラフ 教師情報及び入力の一例としての経過時間(第6パラメータ)の具体的な一例を示すグラフ 本実施形態の睡眠状態推定装置によって得られた睡眠状態の推定結果の実施例を示す表 比較例として線形判別分析であるLDA(Latent Dirichlet Allocation )を用いた機械学習モデルにおいて本実施形態と同じ教師情報と入力によって得られた睡眠状態の推定結果を示す表 図12に示された実施例と図13に示された比較例の各推定結果についての評価結果を示す表 図12に示された実施例の推定結果と図13に示された比較例の推計結果についてDEEP期とREM期の判定精度を評価した結果を示す表
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明の一実施形態としての睡眠状態推定装置10の概要構成が示されている。睡眠状態推定装置10は、圧電型センサシート12を用いてベッドに寝た人(被検者)の体圧を検出するセンサ制御装置14と、センサ制御装置14によって得られた被検者の体圧検出信号を用いて睡眠状態を推定する演算装置16とを備えている。
圧電型センサシート12は、例えば図2に示されるように、全体として柔軟な略矩形シート状とされている。圧電型センサシート12は、外部に露出されるパッケージ層18の内部にセンシング部20を有している。
かかるセンシング部20は、図3の断面図に示されるように、圧電層22に対して、感圧方向となる厚さ方向の両側面にそれぞれ接触して積層状に重ね合わされた電極層24,24の一対を備えている。また、各電極層24の外面上には、保護層26が積層状態で設けられている。
なお、圧電層22の材質は、セラミックスや合成樹脂、ゴム弾性体(エラストマを含む)等が採用され得るが、セラミックスや合成樹脂よりも柔らかく、且つ、比較的に体積抵抗率ρvの小さいゴム弾性体からなる圧電層22が好適に採用される。
具体的に圧電層22として採用されるゴム弾性体は限定されるものでないが、例えば架橋ゴム及び熱可塑性エラストマから選ばれる一種以上を用いることが好適であり、例えばウレタンゴム、シリコーンゴム、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム等が挙げられる。また、官能基を導入する等して変性したエラストマを用いてもよい。変性エラストマとしては、例えばカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基から選ばれる一つ以上を有する水素化ニトリルゴムが好ましい。
また、圧電層22は、圧電型センサシート12を構成するために圧電性を有する粒子(圧電粒子)を含んでいる。圧電性を有する粒子となる化合物としては、ペロブスカイト型の結晶構造を有する強誘電体が知られており、例えばチタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウムナトリウム、ニオブ酸カリウムナトリウムリチウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ビスマスランタン(BLT)、タンタル酸ビスマスストロンチウム(SBT)のうちの一種類又は二種類以上の混合物が好適に採用され得る。
電極層24は、金属層であっても良いが、圧電層22に追従して変形し得る柔軟性を有することが好ましい。ゴム弾性体からなる圧電層22に追従して変形し得るほどの柔軟性を有する電極層24は、例えば上述の圧電層22を構成する架橋ゴムや熱可塑性エラストマと同様の材質からなるバインダーに対して導電材を配合した導電材料や導電性繊維等から形成することができる。
また、電極層24に配合される導電材は、限定されるものではないが、例えば銀、金、銅、ニッケル、ロジウム、パラジウム、クロム、チタン、白金、鉄、及びこれらの合金等からなる金属粒子、酸化亜鉛、酸化チタン等からなる金属酸化物粒子、チタンカーボネート等からなる金属炭化物粒子、銀、金、銅、白金、及びニッケル等からなる金属ナノワイヤ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、黒鉛、薄層黒鉛、グラフェン等の導電性炭素材料の中から適宜選択され得る。
保護層26は、圧電層22や電極層24に対する物理的な保護機能を有する他、電気的な絶縁層や外部からの電磁波の影響を抑えるシールド層等としての機能を有するものでってもよい。保護層26は材質を限定されるものでないが、圧電層22等の柔軟性を損なわないように柔軟性を有することに加えて電気絶縁性や耐久性などを有することが望ましい。
本実施形態では、圧電層22、電極層24,24、保護層26,26が何れも薄肉の矩形シート状とされており、圧電層22の厚さ方向の両面に電極層24が、更に各電極層24の外面に保護層26が略密接して重ね合わされていることで、センシング部20が構成されている。また、センシング部20の全体を覆うようにしてパッケージ層18が設けられており、センシング部20の外部空間への露出が防止されている。なお、パッケージ層18の材質は特に限定されるものでないが、センシング部20の柔軟性を損なわないように柔軟性を有することが望ましく、優れた電気絶縁性や耐久性、更に生体親和性を有する材質が好適であり、外観上の美観も考慮され得る。
このような構造とされた圧電型センサシート12は、厚さ方向へ外部から圧力が及ぼされると圧電層22に起電力が発生し、かかる起電力を一対の電極層24,24で検出することができる。
なお、本実施形態の圧電型センサシート12は、ベッドや人のサイズを考慮して、図1中のベッドの上下方向となる上下幅寸法が略100〜200mmで、ベッドの左右方向となる左右長さ寸法が略500〜1500mm程度の短冊状の横長形状とされているが、その大きさは限定されるものでない。呼吸に伴う体圧変化を検出するのに胸部の下に敷設され得る大きさが好ましいが、例えば、ベッドの略全面を覆う大きさや、人の上半身又は四股を含む全体が載る領域に亘る大きさ等とすることも可能である。
また、小さな圧電型センサシート12をベッドの上に並べることで、必要な大きさの圧力検出面を構成することも可能であるし、全体として大きな面積の圧電型センサシート12において、電極層24を分割したり、圧電層22を含む電極層24を分割することで圧力検出面を複数に分割したセル状に構成することも可能である。なお、図2,3に示された実施形態では、圧電層22よりも幅狭の電極層24,24が採用されているが、圧電層22における起電力を電極層24,24で検出できればよく、圧電層22の各面の全体を覆う電極層24を採用したり、部分的に覆う電極層24を採用しても良い。
このような圧電型センサシート12は、被検者が就寝するベッドの左右幅方向に延びる状態で、被検者の胸部下に敷かれる位置に敷設される。なお、被検者の寝返り等に伴う圧電型センサシート12の移動を防止するために、圧電型センサシート12を、例えばベルト状の固定具でベッドに巻き付けたり、フック状の固定具でベッドに引っ掛けたりすることが望ましい。また、圧電型センサシート12の上には、シーツ等を被せることができ、それによって、被検者は圧電型センサシート12に直接に触れることなく圧電型センサシート12上に横たわることができる。
さらに、圧電型センサシート12の左右長さ方向の一端側には、表裏一対の電極層24,24に導通された配線接続部28が設けられている。図1および図2に示されているように、配線接続部28には外部配線30が電気接続されており、電極層24,24で検出された起電力は、配線接続部28から外部配線30を通じてセンサ制御装置14へ送られるようになっている。
センサ制御装置14は、外部給電されており、圧電型センサシート12による検出信号に対して増幅や変換等の電気的処理を施すようになっている。例えば、圧電型センサシート12で検出信号として得られた電荷を電圧に変換するチャージアンプや、チャージアンプで変換された電圧出力をデジタル信号に変換するA/D変換部を備えている。また、センサ制御装置14は、例えば圧電型センサシート12から発生した電荷、チャージアンプにより変換された電圧、A/D変換部により変換されたデジタル信号等を必要に応じて増幅する増幅器を備えている。
また、センサ制御装置14は、処理をした検出信号を,通信路32を通じて、睡眠状態を推定するための演算装置16(図4参照)へ伝送するようになっている。かかる通信路32は、検出信号を送信できるものであれば良く、例えばリード線や光ケーブルなどの有線通信路でも良いし、例えばwi‐fi(登録商標)やbluetooth(登録商標)等の無線通信路でも良く、センサ制御装置14と演算装置16との間で対応する信号の送受信部が設けられている。
参考として、演算装置16へ入力される、圧電型センサシート12による検出信号の具体的な一例を図5に示す。就寝時の全体を示す(a)を拡大して示す(b),(c)から判るように、かかる体圧の検出信号は、呼吸に伴う小さなレベルの周期的な呼吸信号と、大きなレベルの体動に伴う非周期的な体動信号を併せて有している。
このような検出信号をセンサ制御装置14から受信する演算装置16は、かかる検出信号を用いて所定の演算処理を実行することで睡眠状態を推定する。
すなわち、かかる演算装置16は、例えばコンピュータにより所定のソフトウェアを実行して検出信号を処理することで実現可能となる。具体的には、サポートベクタマシン(SVM)を実行するコンピュータによって構成され、かかる演算装置16は、体圧検出信号に基づいて得られたパラメータを含む幾つかの入力パラメータと各状況下での睡眠状態を教師情報として機械学習を行うことによって生成された学習モデルを有する。かかる学習モデルは、教師情報に対応して、複数の入力情報に基づいて被検者の睡眠深度等の睡眠状態を推定し、推定結果を出力装置34を通じて外部出力する。例えば、多次元のパラメータの非線形の分類によってカテゴリ予測を行うSVMを実行することで、睡眠状態に関連する幾つかの入力パラメータに基づいて睡眠深度のステージの推定結果を出力することができる。
特に本実施形態では、睡眠ポリグラフ検査(PSG)で判定した睡眠深度を正解とし、6つのパラメータを元に睡眠深度を判別するSVMを生成した。教師情報としての6つのパラメータは、以下の「呼吸関連情報」と「体動関連情報」と「経過時間情報」である。
(A)呼吸関連情報
第1パラメータ:呼吸検出信号の振幅平均値
第2パラメータ:呼吸検出信号の振幅CV値
第3パラメータ:呼吸検出信号の周期平均値
第4パラメータ:呼吸検出信号の周期CV値
(B)体動関連情報
第5パラメータ:静止持続時間
(C)経過時間情報
第6パラメータ:就床からの経過時間
また、推定結果としての睡眠状態として、本実施形態では、睡眠深度のレベルであるWAKE,LIGHT,DEEP,REMを判別することとした。
上記の第6パラメータは、例えばコンピュータが備えるタイマを用いて計時した信号を採用すれば良い。その他の第1〜5パラメータについては、何れも、センサ制御装置14へ入力される圧電型センサシート12による検出信号に基づいて得ることができる。
かかる検出信号は、前述のとおり呼吸に起因する信号成分と体動に起因する信号成分が重畳していることから、周波数フィルタや振幅フィルタなどを用いて切り分けることで各信号成分を取得し、得られた呼吸検出信号と体動検出信号とに基づいて、呼吸関連情報と体動関連情報を取得するようにされる。
本実施形態の演算装置16では、図4に示されるように、圧電型センサシート12からセンサ制御装置14を通じて入力された検出信号を、メモリ手段としてのデータ収録部36に記憶する。
そして、データ収録部36に記憶された検出信号から呼吸関連情報を取得するに際しては、先ず、呼吸フィルタ部38によって検出信号から体動成分を除去する。具体的には、呼吸に相当する周波数(例えば0.1〜0.6Hz)のバンドパスフィルタによるフィルタリング処理を行う。また、前述の第1〜4パラメータを算出するに際して、かかる呼吸フィルタ部38で得られた信号について、呼吸ピーク検出部40において、呼吸信号のピーク検出を行い、呼吸信号のピークの振幅とピークtoピークの間隔をそれぞれ求める。
このようにして得られた呼吸信号と、該呼吸信号のピーク振幅,間隔などの情報に基づき、呼吸パラメータ算出部42において、睡眠深度判定の基本的な時間単位である1エポック(例えばR&K法の基準に沿った30秒)に合わせて、前述の呼吸関連情報である第1〜4パラメータを算出する。具体的には、呼吸検出信号について、ピーク振幅の平均値(第1パラメータ)と、ピーク振幅のCV値(第2パラメータ)と、ピーク間隔(呼吸間隔)の平均値(第3パラメータ)と、ピーク間隔(呼吸間隔)のCV値(第4パラメータ)を、それぞれ、30秒毎に求める。
また、データ収録部36に記憶された検出信号から体動関連情報を取得するに際しては、先ず、体動フィルタ部44によって検出信号からノイズを除去する。具体的には、付近の交通振動や歩行振動などに起因する低周波ノイズを、ハイパスフィルタ(例えば0.1Hz)によるフィルタリング処理で除去する。また、必要に応じてレベルフィルタによって呼吸等に起因する小レベル分を除去する。
更にまた、体動フィルタ部44は、体動検出信号に対してレベルの正規化の処理を施すことが望ましい。特に被験者が体重や体格の大きく異なる複数人であったり、被験者が被検者と体重や体格が大きく相違している場合には、体動検出信号のレベルが異なることから、例えば被検者の体重や大きさなどを適宜に考慮して、或いは単にレベルの大きさを考慮して、体動検出信号のレベルを略同等にあわせるために、例えば平均値や最大値などを用いてレベルの正規化の処理を採用することが望ましい。
このようにして得られた体動信号に基づき、体動パラメータ算出部46において、体動信号が検出されずに継続された時間(第5パラメータ)を、体動関連情報として求める。
なお、第6パラメータの経過時間情報は、人が入床してから出床までの経過時間をタイマで計測することによって求める。
そして、これら第1〜6パラメータに基づき、睡眠深度推定部50において睡眠深度のレベルが推定されることとなる。なお、かかる第1〜6パラメータが、推定結果である睡眠深度に対して相関関係を有する情報であることは、睡眠に関する論文や経験則,統計情報などによって明らかであるが、参考のために、各パラメータと睡眠深度との関係を図6〜11に示す。なお、睡眠深度はPSGの判定結果として、レベルが高い方から低い方に向けて、WAKE,REM,LIGHT,DEEPの各睡眠状態であることを示す。
例えば、第1パラメータをPSGの判定結果と併せて示す図6において、呼吸振幅の平均値はWAKEにおいて値が大きく、他のステージと異なる。これは体動に伴う信号が含まれていることによると考えられる。また、後半のREMにおいてレベルが上昇していることが確認できることから、WAKEとREMの判別にも貢献し得ると考えられる。
また、第2パラメータをPSGの判定結果と併せて示す図7において、呼吸振幅の平均値と同様に、WAKEにおいて値が大きいことがわかる。また、後半のREMにおいて値が上昇していることが確認できる。これはLIGHTやDEEPと比べて大きく、REM特有の自立神経活動の乱れが反映されていると考えられる。それ故、WAKEとREMの版物にも貢献し得ると考えられる。
また、第3パラメータをPSGの判定結果と併せて示す図8において、呼吸周期の平均値も振幅の平均値と同様に、WAKEにおいて値が大きい。それ故、WAKEとSLEEP(WAKE以外)の判別にも貢献し得ると考えられる。
また、第4パラメータをPSGの判定結果と併せて示す図9において、呼吸周期のCV値はWAKEにおいて大きく、次いでREMにおいて高くなる。更に、途中のLIGHTでも高い値が見られるが、DEEPにおいては他のステージと比べて低い値で安定している。WAKEは勿論のこと、自立神経活動が乱れるREMの特徴がよく反映されていると考えられるし、また逆に、自立神経活動が低下安定するDEEPの特徴も反映されていると考えられる。それ故、WAKEとREMの判別やDEEPの抽出に貢献し得ると考えられる。
また、第5パラメータをPSGの判定結果と併せて示す図10において、体動の静止持続時間はDEEPにおいて長い傾向があるが、LIGHTでも長いところが見られる。しかし、WAKEやREMにおいては短い。LIGFTにおいて静止持続時間が長いのは、本実施形態の圧電型センサシート12において四肢の動きを計測しておらず、LIGHT中に起こる細かい体動が検出信号に反映されていないことによるものと考えられる。それ故、第5パラメータは、DEEP,LIGHTとWAKE,REMとの切り分けに貢献し得ると考えられる。
また、第6パラメータをPSGの判定結果と併せて示す図11において、かかる第6パラメータは単純なる就床からの連続した経過時間であるが、成人の睡眠は前半にDEEPが多くてREMが少なく、後半にはDEEPが減ってREMが増えることが既知である。それ故、第6パラメータは、DEEPとREMの抽出に貢献し得ると考えられる。
上述の如き本実施形態の睡眠状態推定装置10により、成人の睡眠時の検出情報を計8夜分取得し、得られた検出情報から、睡眠状態を推定した結果を、実施例として図12に示す。なお、本実施例では、任意の1夜分の検出情報を被検者の検出情報(被判別用の情報)とし、それ以外の7夜分の検出情報を被験者の検出情報(学習用の情報)として、SVMを生成して得られた装置により、WAKE,LIGHT,DEEP,REMを判別することで睡眠深度を推定した。本実施例でのSVMは、公開状況で提供されているR言語で作成されたSVMのソースコードをコンピュータに実装し、カーネル関数の指定を含む関数セットとしてRのパッケージ:e1071を採用した。
また、得られた睡眠深度の推定結果について、評価指標として感度(Sensitivity),特異度(Specificity),精度(Accuracy)を求めて、それぞれ各表中に併せて記載した。
一方、比較例として、上述の実施例と同じ6つのパラメータを元にしてマハラノビス距離を用いた判別(LDA)により睡眠深度を推定した結果を、図13に示す。
なお、かかる比較例では、上述の実施例と同じ8夜分のデータをランダムに、学習用と被判別用に分けて採用した。そして、各パラメータによってそれぞれの睡眠深度の特徴が抽出出来ているかを確認するため、睡眠深度の判別に際しては、WAKEとSLEEP(LIGHT,DEEP,REMを含む)の判別と、DEEPとOther(WAKE,LIGHT,REMを含む)の判別と、REMとOther(WAKE,LIGHT,DEEPを含む)の判別を、それぞれ行った。
比較例についても、得られた睡眠深度の推定結果について、実施例と同様な評価指標による評価結果を各表中に併せて記載する。
上述の実施例と比較例について、それぞれ得られた睡眠深度の推定結果に関する評価指標(感度,特異度,精度)を、併せて図14に示す。かかる図14に示されるように、本実施例の睡眠状態推定装置10によって、被験者(人)の睡眠状態を充分なレベルで推定することが理解される。特に、正解値として用いたPSGの判定結果であっても90%程度の精度(信頼性)であることを考慮すると、実用レベルの信頼性を有する結果であると考えられる。また、本実施例の睡眠状態推定装置10では、全体平均の評価結果について、感度が52.0±22.2%,特異度が83.5±17.0%,精度が81.9±9.8%であり、感度にやや課題が残るものの特異度が高く、DEEPとREMの間の誤判別がほとんどないことから、睡眠深度のサイクル推定が精度良く容易に行うことが可能である。
次に、本実施例による睡眠状態の判定について、特にDEEPとREMの誤判別が少ないことの確認結果を、図15に示す。
かかる確認は、図15中に「評価値の説明」として記載しているように、「DEEPとREMの誤判別」について、(i)全DEEPにおけるREMへの誤判別の割合[D−R]と、(ii)全REMにおけるDEEPへの誤判別の割合[R−D]と、(iii)全DEEP+全REMにおける相互誤判別の割合[D−R&R−D]とについて、実施例と比較例における各平均値の相違を判定することによって行った。当該判定には、スチューデントのt検定を用い、比較例の誤判別割合と実施例の誤判別割合との平均値に有意な差が認められるか否かを判定した。
判定結果では、上記(i),(ii),(iii)の何れのパターンでも、誤判定の割合の平均(Ave.)が、実施例(SVM)<比較例(LDA)であり、且つ、t検定によって得られたP値(図15の比較例の表の最下欄を参照)が特に上記(ii)及び(iii)において一般的な判定基準である0.05より小さいことから、t値が充分に大きく、有意な差を客観的に肯定できる。
一方、睡眠状態における睡眠深度の各サイクルが、正常な成人において略等しく発現されることは、公開の論文や書籍などにおいて公知である(例えば、ライフ・サイエンス出版、日本睡眠学会編、臨床睡眠検査マニュアル、第69−74頁「PSG所見の評価と報告書作成」)。そして、睡眠状態の良否を含む判定に際して、睡眠深度のサイクル現象であるウルトラディアンリズムを判定することは重要である。
ここにおいて、例えば上記の書籍(PSG所見の評価と報告書作成)からも判るように、睡眠状態では一般にREMとDEEPの何れもがそれぞれ略90分の間隔を目安に断続的に出現することが知られている。それ故、REMとDEEPについて、それぞれ、どの程度の時間間隔で出現しているかを知ることで、睡眠深度のサイル現象の良否を判定することもできるし、また、REMとDEEPの各前後に発生している睡眠深度レベルも確認することが可能になる。そして、このような睡眠状態の把握や判定に際しては、REMとDEEPの判定精度が重要になる。例えばREMとDEEPを誤認してしまうと、それらが出現する時間間隔が大きく間違ってしまうこととなり、睡眠深度のサイクル現象の良否判定の精度が大幅に低下してしまうこととなる。
また、睡眠状態のサイクルはREM−REM間で一周期と把握されることとなり、正常な睡眠状態では一般にDEEPは当該一周期の略中央に発生することが多い。それ故、仮にDEEPとREMを誤判定してしまうと、睡眠状態のサイクルが1/2や2倍となって把握されてしまって、睡眠状態の良否判定に際して極めて大きな悪影響を及ぼす。しかも、REM−REM間の一周期におけるDEEPの存否は、入眠からの経過時間によって初期段階で確認できることが良好な睡眠の条件の一つと考えられることから、当該DEEPをREMと誤認することも、睡眠状態の良否判定に際して極めて大きな悪影響を及ぼす。
上述の実施例からも判るように、本実施形態の睡眠状態推定装置10によれば、睡眠段階のレベル判定の精度等を維持しつつ、更に、DEEPとREMの誤判定が抑えられることから、ウルトラディアンリズムの把握を含む睡眠状態の判定を、より良好に安定して行うことが可能になる。
以上、本発明の実施形態及び実施例について説明してきたが、本発明はこれらの具体的な記載によって限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良などを加えた態様で実施可能である。
例えば、検出信号を補正等するのに各種フィルタを適宜に用いることができ、アナログフィルタなどを採用することも可能である。
また、圧電型センサシート12を被検者の自宅のベッド等に設置して、検出信号や推定結果をインターネット回線などを通じて病院などに送信して睡眠状態を判定することも可能であり、それによって、被検者は通常の環境下で安心して睡眠することができて検出結果への心理的な影響を回避して睡眠状態を推定することなどが可能になる。
また、前記実施例では、機械学習のための教師情報(学習用の情報)を取得する被験者と、睡眠状態を推定する対象人である被検者とを、同一人としたが、一般に、被験者と被検者は別人とされる。そこにおいて、被検者を考慮して、例えば居住地や人種などを考慮して被験者を選定等することも可能である。また、被験者の人数や教師情報となるデータ取得数などは限定されるものでない。
また、呼吸関連情報および体動関連情報は、呼吸に対応する信号および体動に関連する信号に基づく情報であれば良く、限定されるものでない。例えば、検出された呼吸振幅や体動振幅の単位時間あたりの積算値,平均値に代えた中央値や最頻値,振幅値の最大−最小差,1エポック内の周波数スペクトルのパワーや振幅を重みとした荷重平均から求められる値などを、前述のパラメータに代えて或いは加えて採用することも可能である。更に、全体の経過時間情報も、例えば途中に所定時間(2時間等)連続して覚醒状態にあった場合に初期化することも考えられる。
更にまた、教師情報や入力情報として、経験上や統計上、或いは生理学上などで睡眠状態と関連する情報を追加的に採用することも可能である。例えば被験者の年齢や性別,職業種別,入眠時刻,環境温度,環境湿度,寝姿勢,過日の睡眠情報の少なくとも一つを更に採用しても良い。より多くの睡眠状態に関連する情報を教師情報や入力情報として採用することで、判別の精度等の更なる向上を図ることも可能である。
また、前記実施例では、WAKE,LIGHT,DEEP,REMの判別による睡眠深度の推定によって睡眠状態推定を行ったが、睡眠状態推定は当該態様に限定されない。例えば、WAKEとREMの判別のみを行うことで睡眠状態を推定しても良い。或いは、LIGHTを、NREM期第1ステージとNREM期第2ステージに分けたり、DEEPは、NREM期第3ステージとNREM期第4ステージに分けて、睡眠深度の推定を行うことも可能である。
10 睡眠状態推定装置
12 圧電型センサシート
14 センサ制御装置
16 演算装置
18 パッケージ層
20 センシング部
22 圧電層
24 電極層
26 保護層
28 配線接続部
30 外部配線
32 通信路
34 出力装置
36 データ収録部
38 呼吸フィルタ部
40 呼吸ピーク検出部
42 呼吸パラメータ算出部
44 体動フィルタ部
46 体動パラメータ算出部
50 睡眠深度推定部

Claims (12)

  1. 複数の被験者について睡眠時における呼吸の経時的変化に関する呼吸関連情報と、体動の経時的変化に関する体動関連情報と、全体の経過時間情報とを取得し、
    該呼吸関連情報と該体動関連情報と該経過時間情報とを含む教師情報によって機械学習させたサポートベクタマシンを用いて、
    特定の被検者の睡眠時における呼吸の経時的変化に関する呼吸関連情報と体動の経時的変化に関連する体動関連情報と全体の経過時間情報とを含む検出情報に基づいて、該被検者の睡眠時におけるDEEP期とREM期の判別を含んで睡眠状態を推定する睡眠状態推定方法。
  2. 前記呼吸関連情報が、所定の時間毎の呼吸検出信号におけるピーク振幅の平均値とピーク振幅のCV値とピーク間隔の平均値とピーク間隔のCV値との少なくとも一つを含む請求項1に記載の睡眠状態推定方法。
  3. 前記体動関連情報が、所定の時間毎の体動検出信号の平均値と体動検出信号の未検出時間である静止持続時間との少なくとも一つを含む請求項1又は2に記載の睡眠状態推定方法。
  4. 前記体動関連情報は、体動検出信号に対してレベルの正規化の処理が施されたものである請求項1〜3の何れか一項に記載の睡眠状態推定方法。
  5. 前記呼吸関連情報は体動に起因する信号を含んでおり、該呼吸関連情報に含まれる体動に起因する信号の大きさが、前記体動関連情報に含まれる呼吸に起因する信号の大きさに比して大きい請求項1〜4の何れか一項に記載の睡眠状態推定方法。
  6. 前記呼吸関連情報と前記体動関連情報を、体圧の検出信号に基づいて取得する請求項1〜5の何れか一項に記載の睡眠状態推定方法。
  7. 前記体圧の検出信号を、体圧支持面に敷設した柔軟な圧電型センサシートを用いて取得する請求項6に記載の睡眠状態推定方法。
  8. 複数の被験者から採取された睡眠時における呼吸の経時的変化に関する呼吸関連情報と、体動の経時的変化に関する体動関連情報と、全体の経過時間情報とを含む教師情報によって機械学習させたサポートベクタマシンを有しており、更に、
    被検者の体圧を検出する柔軟な圧電型センサシートと、
    該圧電型センサシートの検出信号に基づいて該被検者の睡眠時における呼吸の経時的変化に関する呼吸関連情報を取得する呼吸関連情報取得手段と、
    該圧電型センサシートの検出信号に基づいて該被検者の睡眠時における体動の経時的変化に関連する体動関連情報を取得する体動関連情報取得手段と、
    全体の経過時間情報を取得する計時手段と
    を、備えており、
    前記サポートベクタマシンに対する該被検者の該呼吸関連情報及び該体動関連情報と該経過時間情報とを含む検出情報の入力によって、該被検者の睡眠時におけるDEEP期とREM期の判別を含む睡眠状態の推定値を出力する睡眠状態推定装置。
  9. 前記圧電型センサシートが圧電層と電極層を有しており、該圧電層がゴム弾性体によって形成されている請求項8に記載の睡眠状態推定装置。
  10. 前記体動関連情報取得手段が、周波数フィルタを含んでいる請求項8又は9に記載の睡眠状態推定装置。
  11. 前記サポートベクタマシンにおける教師情報および該サポートベクタマシンに対する入力が、年齢,性別,職業種別,入眠時刻,環境温度,環境湿度,寝姿勢,過日の睡眠情報の少なくとも一つを更に含む請求項8〜10の何れか一項に記載の睡眠状態推定装置。
  12. 複数の被験者についての睡眠時における呼吸の経時的変化に関する呼吸関連情報と、体動の経時的変化に関する体動関連情報と、全体の経過時間情報とを取得し、
    該呼吸関連情報と該体動関連情報と該経過時間情報とを含む教師情報を用いて、特定の被検者の睡眠時における呼吸の経時的変化に関する呼吸関連情報と体動の経時的変化に関連する体動関連情報と全体の経過時間情報とを含む検出情報を入力し、該被検者の睡眠時におけるDEEP期とREM期の判別を含む睡眠状態の推定値を出力する学習モデルを、サポートベクタマシンによって生成する
    睡眠状態推定の学習モデル生成方法。
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