JP2021036072A - 三次元造形物の製造方法、三次元造形装置、プログラム、記憶媒体、および粉末堆積装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも1つの厚み規定部材と、前記少なくとも1つの厚み規定部材を保持する保持部と、エネルギービーム照射部と、前記保持部と前記エネルギービーム照射部を制御する制御部と、を備え、前記保持部は、前記少なくとも1つの厚み規定部材の一部分を粉末と接触させながら移動して粉末層を形成する粉末層形成処理を繰り返し実行する間に、前記粉末と接触する前記一部分を変更する機構を有する、ことを特徴とする三次元造形装置である。
【選択図】図6
Description
粉末積層溶融法は、ナイロン樹脂、セラミクス、金属等の原料粉末を層状に敷く工程と、レーザ光を照射して粉末層の一部を選択的に加熱してから固化させる工程とを繰り返し行なうことにより三次元造形物を形成する方法である。近年では、高い機械強度や良好な熱伝導性が要求される物品を製造する方法として、金属粉末を原料に用いた粉末積層溶融法が活用され始めている。
突起部の高さが、次に敷く粉末層の厚み以上に大きくなってしまった場合には、次の層の粉末を堆積させて層の平坦化を行う際に、突起部と粉末層形成機構とが干渉してしまう。このため、粉末層形成機構が突起部に引っかかって動けなくなったり、突起部が形成された造形途中の物品が押し倒されて粉末層形成機構の障害物となったりして、造形装置が動作を停止したり、均一に粉末層を敷けなくなってしまうことがあった。
本発明の実施形態において、粉末層を加熱して固化部を形成する態様は、加熱された粉末が融点よりも低い温度で焼結するものでもよいし、粉末が融点以上に加熱されて溶融した後に冷却して固化するものでもよい。また、本発明の実施形態においては、固化部を積み重ねて三次元造形物を造形してゆくが、三次元造形物の断面観察等で固化部どうしの境界が確認できる場合もあるが、溶融の均一性が高い場合などには固化部どうしの境界が明確に検出されない場合もある。
(三次元造形装置)
図1を参照して、本実施形態に係る三次元造形装置1について説明する。図1は、三次元造形装置1の構成を説明するための模式図である。
三次元造形装置1は、造形テーブル101を備え、造形テーブル101は三次元造形物(物品)を形成する際の基台として機能するプレート102を装着可能である。造形テーブル101は、位置基準としてピン103を備え、ピン103とプレート102のピン穴を嵌合させることで、プレート102の位置決めがなされる。本実施形態では、プレート102は、ネジ104により造形テーブル101に固定される。尚、プレートは、三次元造形物を形成する際の支持台として機能するものであれば、必ずしも板状である必要はなく、造形テーブルへの位置決め固定方法も、この例には限られない。造形テーブル101は、垂直移動機構106により、垂直方向(Z軸の正負方向)に移動可能に支持されている。
図3に示すように、粉末堆積装置107はシート状部材21を有しており、シート状部材21はロール状にまかれて、保持部22としてのロール支柱に回転可能に保持されている。シート状部材21は、材料粉末の山をX軸に沿った方向に押してゆくことにより、上面が平坦で厚みが一定の粉末層を形成するブレードとして機能する。シート状部材21の下端部の高さにより、形成される粉末層の厚みが規定されるため、シート状部材21は、粉末層の厚みを規定する厚み規定部材であるといえる。シート状部材21の下端部の高さは、積層高さ規制線201に合わせて調整されている。シート状部材21は、粉末層を形成する際には、図3に示すように固定部24により板厚方向両側から挟み込まれて位置が固定され、下端部の高さが規定されている。
先端部を更新(変更)する機構は、シート状部材21の先端部を切断するための切断部25と、シート状部材21を移動させるためのローラ23(回転部)を含んでいる。
図4(a)に示すのは、粉末層形成処理を実行した際の状態で、シート状部材21が固定部24により板厚方向両側から挟み込まれて位置が固定され、下端部の高さが規定されている状態を示している。この時、ローラ23もシート状部材21を挟持しているが、ローラ23に回転力は付与されておらず、更にブレーキで固定しておく場合もある。また、シート状部材21を傷つけることがないよう、切断部25の刃物は両側に退避している。
以上の一連の動作により、シート状部材21の先端部を更新するが、更新動作は、三次元造形装置1内の所定位置に粉末堆積装置107を移動させて行う。
レーザ光源109、スキャナ110、集光レンズ111は、粉末堆積装置107がプレート102上に敷いた粉末層PLに、造形すべき形状に応じて加熱用のエネルギービームを局所選択的に照射するための照射光学系を構成している。
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であるROMには、三次元造形装置1の動作プログラムが記憶されている。例えば、粉末層形成部としての粉末堆積装置107を移動させて所定の厚みの粉末層を基台の上に形成する粉末層形成処理を、制御部112が実行するためのプログラムである。あるいは、粉末層PLに三次元造形物の形状に応じてエネルギービームを照射し、固化部116を形成する固化処理を、制御部112が実行するためのプログラムである。
あるいは、固化処理を実行している間に、センサ130を用いてシート状部材21の先端部の形状を計測し、先端部の更新の要否を判定する処理を、制御部112が実行するためのプログラムである。あるいは、図4を参照して説明した先端部の更新処理を、制御部112が実行するためのプログラムである。あるいは、先端部の更新処理を実行後に、センサ130を用いて更新された先端部の形状を計測する処理を、制御部112が実行するためのプログラムである。
また、制御部112はセンサ130と接続されており、センサ130の動作を制御するとともに、センサ130からシート状部材21の先端部形状の計測データを取得し、先端部の形状を検査する。
また、制御部112は、粉末堆積装置107のローラ23、固定部24、切断部25を制御して、シート状部材21の先端部を更新する更新処理を実行する。
三次元造形装置1を用いた三次元造形物の製造方法について説明する。
三次元造形装置1の造形テーブル101にプレート102が装着されたら、三次元造形装置1は固化部を繰り返し堆積させてゆき三次元造形物をプレート102上に作成する。
図6は、三次元造形物の形成手順を説明するためのフローチャートである。
次に、左右どちらかの粉末保管部113を粉末保管部垂直移動機構114により上昇させ、積層高さ規制線201より上に粉末を上昇させる。
まず、工程S4において、制御部112は粉末堆積装置107に指令を送り、センサ130の計測位置から切断作業スペース122(図5)に移動させる。
次に、工程S5において、制御部112は粉末堆積装置107に指令を送り、図4(b)を参照して説明したように、シート状部材21の先端部を切断する。
また、先の工程S3において、シート状部材21の先端部に摩耗や破損が無いと判定された場合(工程S3:NO)には、制御部112は、工程S7に移り、レーザ照射処理が完了するのを待つ。
三次元造形物を構成する全ての層の造形(固化)が終了していないと判定した場合(工程S8:NO)には、工程S1に戻り、次の固化層を形成するための粉末層形成処理(第2の粉末層形成処理)を行う。
以下、工程S2以下を実行し、レーザ照射処理を完了させる。工程S8において、三次元造形物を構成する全ての層の造形(固化)が終了したと判定されるまで、これを繰り返す。
工程S8において、三次元造形物を構成する全ての層の造形(固化)が終了したと判定された場合(工程S8:YES)には、三次元造形処理を終了する。
本発明の実施形態2について説明する。実施形態1と説明が共通する部分については、記載を省略する。
(三次元造形装置)
本実施形態の三次元造形装置の全体的な構成は、基本的には実施形態1と共通する。ただし、三次元造形物の製造方法、すなわち三次元造形装置の制御手順が異なり、本実施形態では、センサ130によるシート状部材21の摩耗や破損の計測は行わない。このため、本実施形態では、必ずしもセンサ130(図5)を三次元造形装置に設ける必要は無い。ただし、シート状部材21を切断した後に切断部の形状を確認する計測処理(検査工程)を行うためにセンサ130を設けてもよい。
図7は、実施形態2の三次元造形物の形成手順を説明するためのフローチャートである。実施形態1と同様の工程については、同一の番号を付して示し、詳細な説明は省略する。
本実施形態の粉末堆積装置も、造形品質が低下したり造形の継続が困難になるまでシート状部材21の先端部が消耗する前に、自動的にシート状部材21の先端部を更新する機構を備えている。ここで、シート状部材21の先端部を更新するとは、シート状部材21のうち粉末層形成時に粉末と接触していた部位を、粉末と接触していなかった新たな(未消耗の)部位と交換することをいう。
これに対して、実施形態2では、先端部の更新処理を実行すべきタイミングを制御部112に予め記憶させておき、タイミングが到来したら先端部の更新処理を実行する構成としている。
本実施形態によれば、シート状部材21の摩耗や破損を計測するセンサを設けなくてもよいので、三次元造形装置のコストを抑制することができる。
本発明の実施形態3について説明する。実施形態1と共通する部分については、詳細な説明を省略する。
(三次元造形装置)
本実施形態の三次元造形装置の全体的な構成は、基本的には実施形態1と共通するが、粉末堆積装置の構造が異なっている。実施形態1の粉末堆積装置は、図3を参照して説明したように、シート状部材の先端部をブレードとして用いるものであった。
シート状部材31は、粉末層の厚みを規定すべくある程度の剛性を有するが、三次元造形物に意図せず形成された突起部と接触した際に、接触部が突起部の形状に倣って変形することができる材料、すなわち弾性材料等で形成されている。また、突起部がローラ33を直接損傷することがないよう、突起部の高さ分だけ圧縮変形可能になるよう十分な厚みをもって形成されている。具体的には、例えばシリコンゴムやエラストマーを主成分とする弾性材料で形成されている。弾性部材であるシート状部材31は、突起部と接触した部分が突起部の形状に倣って変形するだけの柔軟性を有するとともに、突起部とは接触していないその周辺部はほとんど変形しないだけの剛性を有する。かかるシート状部材31を用いることにより、突起部が存在したとしても、その周辺に敷設される粉末層の平坦性が維持される。
図9は、実施形態3の三次元造形物の形成手順を説明するためのフローチャートである。実施形態1と同様の工程については、同一の番号を付しており、詳細な説明は省略する。
本実施形態の粉末堆積装置は、造形品質が低下したり造形の継続が困難になるまでシート状部材31の接触面CSが消耗する前に、自動的にシート状部材31の接触面CSを更新する機構を備えている。ここで、シート状部材31の接触面CSを更新するとは、シート状部材31のうち粉末層形成時に粉末と接触していた部位を、粉末と接触していなかった新たな(未消耗の)部位と交換することをいう。
このようにして移動した後、シート状部材31はローラ33の円周下部の近傍で固定され、更新された部位が新たな接触面CSとして機能するようになる。
本実施形態では、実施形態1とは異なりシート状部材のカットを行わないので、切断作業スペース122を設ける必要がなく、三次元造形装置を小型化することができる。
本発明の実施形態4について説明する。実施形態3と説明が共通する部分については、記載を省略する。
(三次元造形装置)
本実施形態の三次元造形装置の全体的な構成は、基本的には実施形態3と共通する。ただし、三次元造形物の製造方法、すなわち三次元造形装置の制御手順が異なり、本実施形態では、センサによるシート状部材31の摩耗や破損の計測は行わない。このため、本実施形態では、必ずしもセンサを三次元造形装置に設ける必要は無い。ただし、シート状部材31を更新した後に接触面CSの形状を確認する計測処理(検査)を行うためにセンサを設けてもよい。
図10は、実施形態4の三次元造形物の形成手順を説明するためのフローチャートである。実施形態3と同様の工程については、同一の番号を付しており、詳細な説明は省略する。
本実施形態の粉末堆積装置も、造形品質が低下したり造形の継続が困難になるまでシート状部材31の接触面CSが消耗する前に、自動的にシート状部材31の接触面CSを更新する機構を備えている。ここで、シート状部材31の接触面CSを更新するとは、シート状部材31のうち粉末層形成時に粉末と接触していた部位を、粉末と接触していなかった新たな(未消耗の)部位と交換することをいう。
これに対して、実施形態4では、接触面CSの更新処理を実行すべきタイミングを制御部112に予め記憶しておき、タイミングが到来したら先端部の更新処理を実行する構成としている。
本実施形態によれば、シート状部材31の摩耗や破損を計測するセンサを設けなくてもよいので、三次元造形装置のコストを抑制することができる。
(三次元造形装置)
図11を参照して、本実施形態に係る三次元造形装置1について説明する。図11は、三次元造形装置1の構成を説明するための模式図である。尚、実施形態1と共通する部分については、同一の参照番号を付して示し、説明を省略する。本実施形態は、図1に示した実施形態1の三次元造形装置1とは、粉末堆積装置107の構造が異なる。
図12に示すように、粉末堆積装置107は、シート状部材321を保持する保持部322を複数有しており、それらを順次交換することにより、摩耗や破損が生じたシート状部材321を新しいシート状部材321に更新して用いることができる。シート状部材321は、材料粉末の山をX軸に沿った方向に押してゆくことにより、上面が平坦で厚みが一定の粉末層を形成するブレードとして機能する。
図12に示すように、シート状部材321は、挟み込まれるようにして保持部322に保持され、保持部322は接続部323と接続されている。また、接続部323は、直動軸324に支持されており、直動軸324は駆動源325により、Z方向に上下動可能である。
尚、図12に示す粉末堆積装置107は、シート状部材321を5つ搭載しているが、搭載するシート状部材321の数は複数であればよく、5つに限られるわけではない。少なくとも、第1のシート状部材と、第2のシート状部材を有していればよく、5つより多く搭載していてもよい。
図13に示すように保持部322は、凸部326を有しており、接続部323は凹部327を有している。凸部326と凹部327は、嵌合可能な形状であり、保持部322と接続部323を組み付け固定する役割がある。保持部322の側に凹部を、接続部323の側に凸部を設けても良い。
凸部326と凹部327の構成は、保持部322と接続部323を容易に組みつけられるものであればどのようなものでもよく、制御部112からの信号を受けて接続をON/OFFさせる空圧や油圧、磁力などを使用した固定方法でもよい。
まず、図14(a)に示すように、予めシート状部材321を保持した保持部322を、治具301と治具302を用いて固定する。治具301と治具302は、シート状部材321の寸法調整工具である。
治具301は、保持部322の接続部323と対応する形状である位置決め形状303を有しており、寸法調整の際の基準とすることができる。
回収した粉末は廃棄や処理を施して再利用してもよいが、ゴミなどが混入しておらず粉末保管部に保管された粉末と同等の品質が保持されている場合には、原料粉末としてそのまま再利用することも可能である。
尚、図15には不図示であるが、本実施形態では、保持部交換スペース422には、検査部として、シート状部材321の形状を計測するためのセンサ130が設けられている。センサ130は、シート状部材321のY方向全幅にわたり、形状を計測するセンサである。例えば、Y方向全幅にわたり撮像可能な画像センサや、Y方向の一部領域を撮像可能な撮像センサとY方向走査機構の組み合わせでもよい。また、撮像センサに限らず、距離センサや超音波センサを用いてもよい。
図15に示すように、三次元造形装置1の左側には保持部交換スペース422が設けられており、この空間において、摩耗したシート状部材を保持する保持部と新鮮な状態のシート状部材を保持する保持部の交換が行われる。
本実施形態の三次元造形装置1を用いた三次元造形物の製造方法について説明する。
三次元造形装置1の造形テーブル101にプレート102が装着されたら、三次元造形装置1は固化部を繰り返し堆積させてゆき、三次元造形物をプレート102上に作成する。
三次元造形が開始されると、工程S1において、制御部112は、所定の厚みの粉末層を形成する粉末層形成処理を実行する。すなわち、制御部112は、垂直移動機構106に指令を送り、造形動作を行うための初期位置に造形テーブル101を移動させる。
次に、左右どちらかの粉末保管部113を粉末保管部垂直移動機構114により上昇させ、積層高さ規制線201より上に粉末を上昇させる。
積層高さ規制線201より上に位置する粉末を、シート状部材21が押し動かしながらプレート102の上を移動することにより、所定の厚さの一層の原料粉末層がプレート102の上に形成される。
レーザ光源109から出射したレーザ光は、スキャナ110によって、造形すべき形状に応じてXY方向のそれぞれについて走査される。レーザ光は、集光レンズ111で粉末層の極めて狭い領域に集束され、局所加熱された部分が焼結あるいは溶融して固化する。スキャナ110によって走査しながら、レーザ光源109を明滅させることにより、粉末層の任意の位置にレーザ光を照射して固化部116を形成することができる。
制御部112は、取得した計測結果を予め記憶していた判定基準に照らし、シート状部材321の摩耗や破損があるかを判定する。この場合の判定基準は、摩耗や破損がすでに粉末層の形成に支障があるレベルに到達しているかだけではなく、まだ到達してはいないが、次の粉末層形成処理で支障があるレベルに到達する可能性があることを検出する予防安全の観点で設定するのが望ましい。
工程S34を実行して切り替え処理を完了したら、工程S7において、制御部112は、工程S2で開始したレーザ照射処理がすでに完了しているかを判定する。完了していない場合(工程S7:NO)には、工程S7を繰り返し、レーザ照射処理が完了するのを待つ。
工程S7において、この粉末層に対するレーザ照射処理が完了したと判定された場合(工程S7:YES)には、工程S8に移り、三次元造形物を構成する全ての層の造形(固化)が終了したかを判定する。
工程S8において、三次元造形物を構成する全ての層の造形(固化)が終了したと判定されるまで、これを繰り返す。
工程S8において、三次元造形物を構成する全ての層の造形(固化)が終了したと判定された場合(工程S8:YES)には、三次元造形処理を終了する。
本実施形態では、レーザ光を照射している間に、センサを用いてシート状部材321の形状変化を計測し、シート状部材の切り替えが必要か否かを判断する。
本発明の実施形態6について説明する。実施形態1あるいは実施形態5と説明が共通する部分については、記載を省略する。
本実施形態の三次元造形装置の全体的な構成は、基本的には実施形態5と共通する。ただし、三次元造形物の製造方法、すなわち三次元造形装置の制御手順が異なり、本実施形態では、センサによるシート状部材321の摩耗や破損の計測は行わない。このため、本実施形態では、必ずしもセンサを三次元造形装置に設ける必要は無い。
図17は、実施形態6の三次元造形物の形成手順を説明するためのフローチャートである。実施形態5と同様の工程については、同一の番号を付して示し、詳細な説明は省略する。
本実施形態の粉末堆積装置も、造形品質が低下したり造形の継続が困難になるまでシート状部材321が消耗する前に、自動的にシート状部材321を切り替えする機構を備えている。ここで、シート状部材321を切り替えるとは、シート状部材321のうち粉末層形成時に粉末と接触していたシート状部材321を、粉末と接触していなかった新たな(未消耗の)シート状部材321と交換(更新)することをいう。
これに対して、実施形態6では、切り替え処理を実行すべきタイミングを制御部112に予め記憶させておき、タイミングが到来したら切り替え処理を実行する構成としている。
一方、切り替えタイミングではないと判断した場合には(S43:NO)、工程S7に移行する。
本実施形態によれば、シート状部材321の摩耗や破損を計測するセンサを設けなくてもよいので、三次元造形装置のコストを抑制することができる。
本発明の実施形態7について説明する。実施形態5と共通する部分については、詳細な説明を省略する。
本実施形態の三次元造形装置の全体的な構成は、基本的には実施形態5と共通するが、粉末堆積装置の構造が異なっている。実施形態5の粉末堆積装置は、図12を参照して説明したように、複数のシート状部材を平行に保持し、水平移動と上下動により切り替え処理を実行するものであった。
本実施形態では、実施形態5の粉末堆積装置とは異なり、シート状部材の切り替えは、放射状に配置されたシート状部材を回転させることにより行う。シート状部材331と保持部332、接続部333の基本構成は実施形態5と同様の構造を使用可能であり、シート状部材の切り替え方法が異なっている。
例えば、ステッピングモータ等の回転力を生み出す一般的な電動機で、所望の角度だけ回転させる方法がある。また、回転位置を検出するためのエンコーダや、回転を停止させて位置を固定するためのクラッチやブレーキを含む機構であってもよい。
次に、具体的な実施例と比較例を示す。実施例1〜実施例4は、上述した実施形態に係る具体例である。また、比較例1は、自動更新機能を有していない従来のブレードを備えた三次元造形装置を用いて造形を行った例である。実施例1〜実施例3は本発明の実施形態2の粉末供給機構、実施例4は本発明の実施形態4の粉末供給機構を用いた。
光源はファイバーレーザを用い、造形時の雰囲気には、温度が30℃で酸素濃度1000ppmのアルゴンガスを用いた。また、1層の厚みは40μmであり、トータル2500層の造形とした。
実施例と比較例について、シート状部材の材質、粉末の材質、評価結果をまとめて表1に示す。
これに対して比較例1では、シート状部材の摩耗量が1層の厚みである40μmを超えており、造形品質に影響を与えていると考えられる。また、造形品は摩耗したシート状部材を用いて完成させているため、粉末層の平坦性や厚み精度の不足に起因した形状不良があり、三次元造形物の形状精度が低かった。
本発明は、以上説明した実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形や組み合わせが可能である。
例えば、三次元造形装置は、更新処理において消耗していない厚み規定部材を供給できる機構を備えていればよく、必ずしもロール状に巻いたシート状部材や板状の弾性部材を用いなくてもよい。
また、敷設した原料粉末層を加熱する光源として、上記実施形態ではレーザ光源を用いたが、照射エネルギー密度の制御や、照射光の走査ができるものであれば、用いる光は必ずしもレーザ光でなくてもよい。たとえば、高輝度ランプ、シャッタ、可変焦点レンズ、走査ミラー等の光学要素を組み合わせた照射光学系を用いることも、場合によっては可能である。さらに、加熱用のエネルギービーム照射部は光ビームを照射する装置でなくともよく、例えば電子ビームを照射する装置であってもよい。
また、原料粉末は、金属粉、ABSやPEEK等の樹脂粉末など多種の材料を用いることが可能で、材料に応じて適宜の粒径を選択することができる。
Claims (21)
- 少なくとも1つの厚み規定部材の一部分が粉末と接触しながら移動して粉末層を形成する第1の粉末層形成処理と、
前記第1の粉末層形成処理で形成した前記粉末層に、エネルギービームを照射して固化部を形成する固化処理と、
前記固化処理よりも後に行う第2の粉末層形成処理と、
前記第1の粉末層形成処理と前記第2の粉末層形成処理の間に行う更新処理と、を有し、
前記更新処理は、前記第2の粉末層形成処理において前記少なくとも1つの厚み規定部材のうち前記粉末と接触する部分が、前記第1の粉末層形成処理における前記一部分とは異なる部分になるように変更する処理である、
ことを特徴とする三次元造形物の製造方法。 - 前記更新処理は、前記第1の粉末層形成処理を実行した際に前記粉末と接触していた前記一部分を切断する工程を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の三次元造形物の製造方法。 - 前記更新処理は、前記少なくとも1つの厚み規定部材のうち、前記第1の粉末層形成処理において前記粉末と接触していなかった部分を、前記粉末と接触可能な位置に移動させる移動工程を含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の三次元造形物の製造方法。 - 前記移動工程は、前記少なくとも1つの厚み規定部材を保持する保持部を回転させる工程を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の三次元造形物の製造方法。 - 前記厚み規定部材は、シート状の弾性部材である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。 - 前記更新処理は、前記固化処理を行う間に実行される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。 - 前記更新処理の前に、前記第1の粉末層形成処理を実行した際に前記粉末と接触していた前記厚み規定部材の前記一部分の形状をセンサにより検査する検査工程を更に有する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。 - 予め決められた所定のタイミングで、前記更新処理が実行される、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。 - 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法の前記第1の粉末層形成処理、前記固化処理、前記第2の粉末層形成処理および前記更新処理を、三次元造形装置が備えるコンピュータに実行させるためのプログラム。
- 請求項9に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
- 少なくとも1つの厚み規定部材と、前記少なくとも1つの厚み規定部材を保持する保持部と、エネルギービーム照射部と、前記保持部と前記エネルギービーム照射部を制御する制御部と、を備え、
前記保持部は、前記少なくとも1つの厚み規定部材の一部分を粉末と接触させながら移動して粉末層を形成する粉末層形成処理を繰り返し実行する間に、前記粉末と接触する前記一部分を変更する機構を有する、
ことを特徴とする三次元造形装置。 - 前記機構は、前記少なくとも1つの厚み規定部の一部を切断する切断部を備える、
ことを特徴とする請求項11に記載の三次元造形装置。 - 前記機構は、前記少なくとも1つの厚み規定部材のうち、前記粉末と未だ接触していない部分を、前記粉末と接触可能な位置に移動させる移動部を備える、
ことを特徴とする請求項11または12に記載の三次元造形装置。 - 前記移動部は、前記少なくとも1つの厚み規定部材を回転させる回転部を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の三次元造形装置。 - 前記少なくとも1つの厚み規定部材は、シート状の弾性部材を有する、
ことを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載の三次元造形装置。 - 前記制御部は、前記エネルギービーム照射部が動作する間に、前記機構が前記粉末と接触する前記一部分を変更するように前記保持部を制御する、
ことを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項に記載の三次元造形装置。 - 前記少なくとも1つの厚み規定部材の形状を検査する検査部を更に有する、
ことを特徴とする請求項11乃至16のいずれか1項に記載の三次元造形装置。 - 三次元造形物を造形するための粉末を繰り返し供給する粉末堆積装置であって、
少なくとも1つのシート状部材と、前記少なくとも1つのシート状部材を保持する保持部と、を有し、
前記保持部は、前記粉末を繰り返し供給する間に、前記少なくとも1つのシート状部材のうち前記粉末と接触する部分を変更する機構を有する、
ことを特徴とする粉末堆積装置。 - 前記機構は、前記少なくとも1つのシート状部材のうち前記粉末とすでに接触した部分を切断する切断部を有する、
ことを特徴とする請求項18に記載の粉末堆積装置。 - 前記少なくとも1つのシート状部材は、第1のシート状部材と第2のシート状部材を含み、
前記機構は、前記粉末を供給する際に前記粉末と接触する部分を、前記第1のシート状部材から第2のシート状部材に切り替える切り替え部を有する、
ことを特徴とする請求項18に記載の粉末堆積装置。 - 前記機構は、前記少なくとも1つのシート状部材のうち前記粉末と接触していなかった部分を、前記粉末と接触可能な位置に移動させる移動部を有する、
ことを特徴とする請求項18乃至20のいずれか1項に記載の粉末堆積装置。
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