JP2021033883A - 住宅融資の期限前償還率を推定するプログラム、装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
Description
長期返済を前提とする住宅融資には、プリペイメントリスクが存在する。プリペイメントリスクとは、期限前償還による将来利息収入の機会損失リスクをいう。融資先ユーザの信用リスクと比較して、金融機関におけるプリペイメントリスクに対する分析は十分ではない。固定期間選択型の住宅融資におけるプリペイメントリスクは、繰り上げ完済のピークとなる経験則から分析しているに過ぎない。
プリペイメントリスク分析には、借り換え時の金利差、年収、融資額、本人/子供年齢等の影響因子も比例的に影響し、一般的に「Cox比例ハザードモデル」が用いられている。
10年経過後の2018年、金利の低下の影響下、銀行Bが、金利0.5%で貸し出し始めたとする。これを知ったユーザは、銀行Aに対する残金800万円の債務について、金利3%の銀行Aから、金利0.5%の銀行Bへ借り換えをしたいと考える。
このとき、ユーザは、銀行Bから、25年の住宅融資800万円を、金利0.5%で借り入れる。
そして、ユーザは、銀行Bから借り入れた800万円を、銀行Aへ、期限前償還として返済する。
これに対して、銀行Aは、変動金利が上昇したときのリスクを考えて、他の銀行Bとの間で、金利スワップ契約を締結する。この契約の内容は、銀行Aは、銀行Bへ固定金利(例えば3%)を支払い、銀行Bから変動金利(例えば2%)を受け取るというものである。
ここで、金利スワップ契約がない場合、例えば変動金利が10%に上昇すると、銀行Aは、ユーザから3%の固定金利を受け取る一方で、10%の変動金利を支払わなければならず、逆ザヤ(損失)となる。
これに対し、図2の場合、金利スワップ契約があるために、預金者に支払う変動金利10%の利息は、銀行Bから受け取ることができ、銀行Aとしては損害を被ることがない。
但し、5年の金利スワップの契約期間よりも、ユーザが早く完済(期限前償還)した場合、銀行Aは、リスクを余分にカバーしていたことによって、損害が生じる。一方で、ユーザが5年よりも遅く完済する場合、銀行Aは、金利スワップ契約によって金利リスクがカバーされる期間が足りないことになる。
変動金利が高騰して10%になると、銀行Aは、預金者に10%を支払う必要があるが、金利スワップの契約先の銀行Bから受け取るために、銀行Aは何ら金利変動リスクを負わない。この例では、金利差がないために、銀行Aとして利益が残らないことになるが、現実には、債務者に対する住宅融資の固定金利と、他の銀行Bに対する金利スワップの固定金利との間に金利差を設けて、利益を確保している。
住宅融資の実質金利は、10年国債の利回りと連動性が高い。現在の超低金利とは、10年国債の利回りがマイナスとなり、長期固定ローンの金利が0.5%という異常状態にある。15年前の10年国債の利回りは、1.5%程度であったが、現在は−0.1%程度となっている。常識的に考えて、住宅融資が、銀行からの借り入れによって利子を受け取るような「マイナス金利」となることは考えられない。
この状況が、残り15年間も続けば、銀行Bの経営状況は大変厳しい状況に置かれることとなる。実際1980年代に、米国の多くのS&Lが金利の逆ザヤにより破綻した(例えば非特許文献3参照)。
ユーザ毎に、当該ユーザに所持された携帯端末における時系列の位置を蓄積したユーザ位置データベースと、
世帯転出率(引っ越し率)と期限前償還率との間の相関モデルを構築した相関学習エンジンと、
ユーザ位置データベースを用いて、地域毎に、各所定期間について、住所圏として滞在するであろう1ユーザ以上からなるユーザ世帯を抽出するユーザ世帯抽出手段と
地域毎に、前の所定期間に住所圏とするユーザ世帯数に対する、後の所定期間に不在となったユーザ世帯数の世帯転出率を算出する世帯転出率算出手段と
して機能させ、
相関学習エンジンは、世帯転出率算出手段によって算出された世帯転出率を入力し、期限前償還率を推定する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする。
相関学習エンジンは、世帯転出率が上昇した際に期限前償還率も上昇し、世帯転出率が下落した際に期限前償還率も下落する回帰モデルを構築したものである
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
相関学習エンジンは、説明変数となる世帯転出率と、目的変数となる期限前償還率とを対応付けた教師データによって、学習モデルを構築したものである
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
地域及び/又は期間帯に応じて、融資の重みが予め規定されており、
世帯転出率算出手段は、算出した世帯転出率に、融資の重みを乗算する
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
期限前償還率が高いほど、金利スワップに基づく金利固定期間を短くし、期限前償還率が低いほど、金利固定期間を長くするように制御する金利固定期間制御手段と
してコンピュータを機能させることも好ましい。
ユーザ位置データベースについて、時系列の位置は、ユーザに所持された携帯端末によって測位された端末測位位置、及び/又は、基地局に接続した携帯端末の滞在範囲に基づく基地局測位位置である
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
世帯転出率と期限前償還率との間の相関モデルを構築した相関学習エンジンと
して機能させ、
相関学習エンジンは、地域毎に、各所定期間について、世帯転出率を入力し、期限前償還率を推定する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする。
ユーザ毎に、当該ユーザに所持された携帯端末における時系列の位置を蓄積したユーザ位置データベースと、
世帯転出率と期限前償還率との間の相関モデルを構築した相関学習エンジンと、
ユーザ位置データベースを用いて、地域毎に、各所定期間について、住所圏として滞在するであろう1ユーザ以上からなるユーザ世帯を抽出するユーザ世帯抽出手段と
地域毎に、前の所定期間に住所圏とするユーザ世帯数に対する、後の所定期間に不在となったユーザ世帯数の世帯転出率を算出する世帯転出率算出手段と
を有し、
相関学習エンジンは、世帯転出率算出手段によって算出された世帯転出率を入力し、期限前償還率を推定する
ことを特徴とする。
世帯転出率と期限前償還率との間の相関モデルを構築した相関学習エンジンを有し、
相関学習エンジンは、地域毎に、各所定期間について、世帯転出率を入力し、期限前償還率を推定する
ことを特徴とする。
装置は、
ユーザ毎に、当該ユーザに所持された携帯端末における時系列の位置を蓄積したユーザ位置データベースと、
世帯転出率と期限前償還率との間の相関モデルを構築した相関推定エンジンと
を有し、
装置は、
ユーザ位置データベースを用いて、地域毎に、各所定期間について、住所圏として滞在するであろう1ユーザ以上からなるユーザ世帯を抽出する第1のステップと、
地域毎に、前の所定期間に住所圏とするユーザ世帯数に対する、後の所定期間に不在となったユーザ世帯数の世帯転出率を算出する第2のステップと、
第2のステップによって算出された世帯転出率を、相関推定エンジンへ入力し、期限前償還率を推定する第3のステップと
を実行することを特徴とする。
装置は、
世帯転出率と期限前償還率との間の相関モデルを構築した相関学習エンジンを有し、
地域毎に、各所定期間について、世帯転出率を相関学習エンジンへ入力し、期限前償還率を推定する
ように実行することを特徴とする。
そこで、本願の発明者らは、所定地域範囲から見て、「世帯転出率」と「期限前償還率」との間に何らかの相関性がある、と考えた。
「世帯転出数」は、一般的には県市町村役所で計数されるものであって、例えば月単位で公表されている。そのために、地域iは、例えば県・市・町・村の単位に区分される。
「世帯転出率」は、ユーザ世帯数に対する世帯転出数の率である。
相関推定エンジン10は、世帯転出率(引っ越し率)と期限前償還率との間の相関モデルを構築したものである。
PR(t,i)=α+β×TR(t,i)
相関学習エンジン10は、世帯転出率が上昇した際に期限前償還率も上昇し、世帯転出率が下落した際に期限前償還率も下落する回帰モデルを構築したものとなる。
世帯転出率TR(t,i)が上昇する場合、引っ越し世帯が増加しており、住宅融資のプリペイメント率も高くなる。
世帯転出率TR(t,i)が下降する場合、引っ越し世帯が減少しており、住宅融資のプリペイメント率は低くなる。
図4(b)によれば、月毎の期限前償還率(プリペイメント率)が表されている。
図4(c)によれば、図4(b)の期限前償還率に応じて金利固定期間が制御されている。
ユーザ位置データベース11は、位置を取得可能な携帯端末を所持したユーザ毎に、時系列の位置を蓄積したものである。
図5によれば、ユーザ位置データベース11は、特定の通信事業者によって運用管理されており、加入者ID(ユーザID)毎に、時刻と位置情報とを対応付けて蓄積している。
ここで、重要な点として、ユーザ位置データベース11は、特定の通信事業者の通信事業設備による捕捉ユーザであって、現実のユーザ全てではない。即ち、特定の通信事業者と契約した携帯端末2を保持するユーザについてのみ、位置情報が収集されたものである。
(1)ユーザに所持された携帯端末2によって測位された端末測位位置
携帯端末2が自ら、GPS(Global Positioning System)によって測位した緯度経度情報である。
(2)通信事業者の基地局やアクセスポイントに接続した携帯端末の基地局測位位置
携帯端末2を配下とする基地局やアクセスポイントの位置情報から、携帯端末2の位置を推定したものであってもよい。但し、この位置情報は、空間的粒度が粗いものとなる。
これら位置情報は、緯度経度又は地図座標によって表記されるものであってもよいし、住所名や地図メッシュ番号に変換されたものであってもよい。
ユーザ世帯抽出部12は、ユーザ位置データベースを用いて、地域毎に、各所定期間について、住所圏として滞在するであろう1ユーザ以上からなるユーザ世帯を抽出する。
また、複数のユーザであっても、夜間に同じ位置に滞在する場合、同一世帯と判定することができる。これによって、特定の通信事業者は、例えば自らの加入者群における月単位で、地域iにおけるユーザ世帯数を計数することができる。
世帯転出率算出部13は、地域毎iに、前の所定期間に住所圏とするユーザ世帯数に対する、後の所定期間に不在となったユーザ世帯数の「世帯転出率」を算出する。
TR(t,i)={N(t-1,i)−M(t,i)}/N(t-1,i)
N(t,i):期間tにおける地域iのユーザ世帯数
(ユーザ世帯とは、1人以上のユーザの集合単位)
M(t,i):期間t-1の地域iのユーザ世帯数であって、
且つ、期間tでも地域iに滞在するユーザ世帯数
N(t-1,i)−M(t,i):世帯転出数(世帯転入数を排除している)
TR(t,i):期間t-1から期間tにまでの世帯転出率
世帯転出率の算出根拠となるユーザ世帯数は、その地域で引っ越した世帯数であって、融資債務者か否かを問わない。勿論、期限前償還したか否かなど、全く問わない。
金利固定期間制御部14は、期限前償還率が高いほど、金利スワップに基づく金利固定期間を短くし、期限前償還率が低いほど、金利固定期間を長くするように制御する。
世帯転出率TR(t,i)が上昇する場合、住宅融資のプリペイメント率も高くなり、金利スワップに基づく金利固定期間を短くする必要がある。
世帯転出率R(t,i)が下降する場合、住宅融資のプリペイメント率も低くなり、金利スワップに基づく金利固定期間を長くする必要がある。
ΔTRdiff(t)=TR(t)−TRbase
G(ΔTRdiff(t)):乖離の変化率ΔTRdiff(t)から金利固定期間を出力する関数
世帯転出率算出部13は、算出した世帯転出率に、融資の重みωを乗算する。
TR(t,i)×ω(t,i)
そして、相関学習エンジン10は、地域i毎に、各所定期間について、重み付けられた世帯転出率を入力し、期限前償還率を推定する。
10 相関推定エンジン
11 ユーザ位置データベース
12 ユーザ世帯抽出部
13 世帯転出率算出部
14 金利固定期間制御部
2 携帯端末
Claims (11)
- 住宅融資の期限前償還率(プリペイメント率)を推定する装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
ユーザ毎に、当該ユーザに所持された携帯端末における時系列の位置を蓄積したユーザ位置データベースと、
世帯転出率(引っ越し率)と期限前償還率との間の相関モデルを構築した相関学習エンジンと、
ユーザ位置データベースを用いて、地域毎に、各所定期間について、住所圏として滞在するであろう1ユーザ以上からなるユーザ世帯を抽出するユーザ世帯抽出手段と
地域毎に、前の所定期間に住所圏とするユーザ世帯数に対する、後の所定期間に不在となったユーザ世帯数の世帯転出率を算出する世帯転出率算出手段と
して機能させ、
相関学習エンジンは、世帯転出率算出手段によって算出された世帯転出率を入力し、期限前償還率を推定する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。 - 相関学習エンジンは、世帯転出率が上昇した際に期限前償還率も上昇し、世帯転出率が下落した際に期限前償還率も下落する回帰モデルを構築したものである
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。 - 相関学習エンジンは、説明変数となる世帯転出率と、目的変数となる期限前償還率とを対応付けた教師データによって、学習モデルを構築したものである
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。 - 地域及び/又は期間帯に応じて、融資の重みが予め規定されており、
世帯転出率算出手段は、算出した世帯転出率に、融資の重みを乗算する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプログラム。 - 期限前償還率が高いほど、金利スワップに基づく金利固定期間を短くし、期限前償還率が低いほど、金利固定期間を長くするように制御する金利固定期間制御手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のプログラム。 - ユーザ位置データベースについて、時系列の位置は、ユーザに所持された携帯端末によって測位された端末測位位置、及び/又は、基地局に接続した携帯端末の滞在範囲に基づく基地局測位位置である
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のプログラム。 - 住宅融資の期限前償還率を推定する装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
世帯転出率と期限前償還率との間の相関モデルを構築した相関学習エンジンと
して機能させ、
相関学習エンジンは、地域毎に、各所定期間について、世帯転出率を入力し、期限前償還率を推定する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。 - 住宅融資の期限前償還率を推定する装置であって、
ユーザ毎に、当該ユーザに所持された携帯端末における時系列の位置を蓄積したユーザ位置データベースと、
世帯転出率と期限前償還率との間の相関モデルを構築した相関学習エンジンと、
ユーザ位置データベースを用いて、地域毎に、各所定期間について、住所圏として滞在するであろう1ユーザ以上からなるユーザ世帯を抽出するユーザ世帯抽出手段と
地域毎に、前の所定期間に住所圏とするユーザ世帯数に対する、後の所定期間に不在となったユーザ世帯数の世帯転出率を算出する世帯転出率算出手段と
を有し、
相関学習エンジンは、世帯転出率算出手段によって算出された世帯転出率を入力し、期限前償還率を推定する
ことを特徴とする装置。 - 住宅融資の期限前償還率を推定する装置であって、
世帯転出率と期限前償還率との間の相関モデルを構築した相関学習エンジンを有し、
相関学習エンジンは、地域毎に、各所定期間について、世帯転出率を入力し、期限前償還率を推定する
ことを特徴とする装置。 - 住宅融資の期限前償還率を推定する装置の期限前償還率推定方法であって、
装置は、
ユーザ毎に、当該ユーザに所持された携帯端末における時系列の位置を蓄積したユーザ位置データベースと、
世帯転出率と期限前償還率との間の相関モデルを構築した相関推定エンジンと
を有し、
装置は、
ユーザ位置データベースを用いて、地域毎に、各所定期間について、住所圏として滞在するであろう1ユーザ以上からなるユーザ世帯を抽出する第1のステップと、
地域毎に、前の所定期間に住所圏とするユーザ世帯数に対する、後の所定期間に不在となったユーザ世帯数の世帯転出率を算出する第2のステップと、
第2のステップによって算出された世帯転出率を、相関推定エンジンへ入力し、期限前償還率を推定する第3のステップと
を実行することを特徴とする期限前償還率推定方法。 - 住宅融資の期限前償還率を推定する装置の期限前償還率推定方法であって、
装置は、
世帯転出率と期限前償還率との間の相関モデルを構築した相関学習エンジンを有し、
地域毎に、各所定期間について、世帯転出率を相関学習エンジンへ入力し、期限前償還率を推定する
ように実行することを特徴とする期限前償還率推定方法。
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JP2019156167A JP7082855B2 (ja) | 2019-08-28 | 2019-08-28 | 住宅融資の期限前償還率を推定するプログラム、装置及び方法 |
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---|---|---|---|---|
WO2011033952A1 (ja) * | 2009-09-15 | 2011-03-24 | 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ | 世帯人員数分布推定装置及び世帯人員数分布推定方法 |
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