JP2021032832A - 振動デバイス、電子機器および移動体 - Google Patents
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Abstract
【課題】梁部が破損し難い振動デバイス、電子機器および移動体を提供する。【解決手段】振動デバイスは、振動素子と、基体と、前記振動素子を前記基体に対して支持する支持基板と、を備える。また、前記支持基板は、前記基体に固定される基体固定部と、前記振動素子を支持する素子支持部と、前記基体固定部と前記素子支持部とを接続する梁部と、前記支持基板の厚さ方向に直交する方向に前記振動素子と間隔を隔てて対向し、前記振動素子と接触することにより前記振動素子の前記直交する方向への変位を規制する第1規制部と、を有する。【選択図】図2
Description
本発明は、振動デバイス、電子機器および移動体に関するものである。
特許文献1には、ベースと、振動素子と、振動素子と重なって設けられ、振動素子を支持してベースに固定する支持基板と、を有する振動デバイスが記載されている。また、支持基板は、ベースに固定される支持部と、振動素子を支持する基部と、支持部と基部とを接続する梁部と、を有する。このような構成によれば、ベースから伝わる応力が梁部の変形によって吸収緩和されるため、振動素子に応力が加わり難くなる。
しかしながら、このような構成の振動デバイスでは、梁部の変位を規制する部材を有さないため、外部からの衝撃等によって梁部が過度に変形してしまい、当該変形によって梁部が破損するおそれがある。
本適用例に係る振動デバイスは、振動素子と、
基体と、
前記振動素子を前記基体に対して支持する支持基板と、を備え、
前記支持基板は、前記基体に固定される基体固定部と、
前記振動素子を支持する素子支持部と、
前記基体固定部と前記素子支持部とを接続する梁部と、
前記支持基板の厚さ方向に直交する方向に前記振動素子と間隔を隔てて対向し、前記振動素子と接触することにより前記振動素子の前記直交する方向への変位を規制する第1規制部と、を有することを特徴とする。
基体と、
前記振動素子を前記基体に対して支持する支持基板と、を備え、
前記支持基板は、前記基体に固定される基体固定部と、
前記振動素子を支持する素子支持部と、
前記基体固定部と前記素子支持部とを接続する梁部と、
前記支持基板の厚さ方向に直交する方向に前記振動素子と間隔を隔てて対向し、前記振動素子と接触することにより前記振動素子の前記直交する方向への変位を規制する第1規制部と、を有することを特徴とする。
本適用例に係る振動デバイスでは、前記支持基板の厚さ方向に直交し、かつ、互いに直交する2軸をA軸およびB軸としたとき、
前記梁部は、前記A軸方向よりも前記B軸方向に弾性変形し易く、
前記第1規制部は、前記振動素子と前記B軸方向に対向していることが好ましい。
前記梁部は、前記A軸方向よりも前記B軸方向に弾性変形し易く、
前記第1規制部は、前記振動素子と前記B軸方向に対向していることが好ましい。
本適用例に係る振動デバイスでは、前記振動素子は、前記素子支持部に固定されている素子基部と、
前記素子基部から前記B軸方向の両側に延出している一対の検出腕と、
前記素子基部から前記A軸方向の両側に延出している一対の連結腕と、
一方の前記連結腕の先端部から前記B軸の両側に延出している一対の駆動腕と、
他方の前記連結腕の先端部から前記B軸の両側に延出している一対の駆動腕と、を有し、
前記第1規制部は、前記検出腕および前記駆動腕の少なくとも1つの先端部と対向していることが好ましい。
前記素子基部から前記B軸方向の両側に延出している一対の検出腕と、
前記素子基部から前記A軸方向の両側に延出している一対の連結腕と、
一方の前記連結腕の先端部から前記B軸の両側に延出している一対の駆動腕と、
他方の前記連結腕の先端部から前記B軸の両側に延出している一対の駆動腕と、を有し、
前記第1規制部は、前記検出腕および前記駆動腕の少なくとも1つの先端部と対向していることが好ましい。
本適用例に係る振動デバイスでは、前記第1規制部は、前記基体固定部から前記振動素子の前記支持基板と反対側まで突出して配置されていることが好ましい。
本適用例に係る振動デバイスでは、前記第1規制部の前記振動素子と対向する部分には、前記第1規制部よりも硬度の低い第1緩衝部材が配置されていることが好ましい。
本適用例に係る振動デバイスでは、前記第1緩衝部材の構成材料は、金属であることが好ましい。
本適用例に係る振動デバイスでは、前記支持基板に配置され、前記振動素子と電気的に接続されている配線パターンを有し、
前記配線パターンは、定電位に接続されている定電位配線を有し、
前記第1緩衝部材は、前記定電位配線と電気的に接続されていることが好ましい。
前記配線パターンは、定電位に接続されている定電位配線を有し、
前記第1緩衝部材は、前記定電位配線と電気的に接続されていることが好ましい。
本適用例に係る振動デバイスでは、前記支持基板の厚さ方向であって、前記支持基板とは反対側に前記振動素子と間隔を隔てて対向し、前記振動素子と接触することにより前記振動素子の前記厚さ方向への変位を規制する第2規制部を有することが好ましい。
本適用例に係る振動デバイスでは、前記第2規制部の前記振動素子と対向する部分には、前記第2規制部よりも硬度の低い第2緩衝部材が配置されていることが好ましい。
本適用例に係る振動デバイスでは、前記第2緩衝部材の構成材料は、金属であることが好ましい。
本適用例に係る振動デバイスでは、前記支持基板に配置され、前記振動素子と電気的に接続されている配線パターンを有し、
前記配線パターンは、定電位に接続されている定電位配線を有し、
前記第2緩衝部材は、前記定電位配線と電気的に接続されていることが好ましい。
前記配線パターンは、定電位に接続されている定電位配線を有し、
前記第2緩衝部材は、前記定電位配線と電気的に接続されていることが好ましい。
本適用例に係る電子機器は、上述の振動デバイスと、
前記振動デバイスの出力信号に基づいて信号処理を行う信号処理回路と、を備えていることを特徴とする。
前記振動デバイスの出力信号に基づいて信号処理を行う信号処理回路と、を備えていることを特徴とする。
本適用例に係る移動体は、上述の振動デバイスと、
前記振動デバイスの出力信号に基づいて信号処理を行う信号処理回路と、を備えていることを特徴とする。
前記振動デバイスの出力信号に基づいて信号処理を行う信号処理回路と、を備えていることを特徴とする。
以下、本適用例の振動デバイス、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。図2は、図1の振動デバイスを示す平面図である。図3は、図1の振動デバイスが有する振動素子を示す平面図である。図4は、図3中のA−A線断面図である。図5は、図3中のB−B線断面図である。図6および図7は、図3の振動素子の駆動を説明する模式図である。図8は、図2中のC−C線断面図である。図9は、支持基板を上面側から見た斜視図である。図10は、支持基板を下面側から見た斜視図である。
図1は、第1実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。図2は、図1の振動デバイスを示す平面図である。図3は、図1の振動デバイスが有する振動素子を示す平面図である。図4は、図3中のA−A線断面図である。図5は、図3中のB−B線断面図である。図6および図7は、図3の振動素子の駆動を説明する模式図である。図8は、図2中のC−C線断面図である。図9は、支持基板を上面側から見た斜視図である。図10は、支持基板を下面側から見た斜視図である。
なお、説明の便宜上、図1から図10には、互いに直交する3軸であるA軸、B軸およびC軸を示している。また、以下では、各軸の矢印先端側を「プラス側」とも言い、反対側を「マイナス側」とも言う。また、C軸のプラス側を「上」とも言い、マイナス側を「下」とも言う。また、C軸方向からの平面視を、単に「平面視」とも言う。
図1に示す振動デバイス1は、C軸を検出軸とする角速度ωcを検出する物理量センサーである。このように、振動デバイス1を物理量センサーとすることにより、振動デバイス1を幅広い電子機器に搭載することができ、高い需要を有する利便性の高い振動デバイス1となる。このような振動デバイス1は、パッケージ2と、パッケージ2に収納されている回路素子3、支持基板4および振動素子6と、を有する。
パッケージ2は、上面に開口する凹部211を備えるベース21と、凹部211の開口を塞いでベース21の上面に接合部材23を介して接合されているリッド22と、を有する。パッケージ2の内側には凹部211によって内部空間Sが形成され、内部空間Sに回路素子3、支持基板4および振動素子6がそれぞれ収容されている。例えば、ベース21は、アルミナ等のセラミックスで構成することができ、リッド22は、コバール等の金属材料で構成することができる。ただし、ベース21およびリッド22の構成材料としては、それぞれ、特に限定されない。
内部空間Sは、気密であり、減圧状態、好ましくは、より真空に近い状態となっている。これにより、粘性抵抗が減って振動素子6の振動特性が向上する。ただし、内部空間Sの雰囲気は、特に限定されず、例えば、大気圧状態、加圧状態となっていてもよい。
また、凹部211は、複数の凹部で構成され、ベース21の上面に開口している凹部211aと、凹部211aの底面に開口し、凹部211aよりも開口幅が小さい凹部211bと、凹部211bの底面に開口し、凹部211bよりも開口幅が小さい凹部211cと、を有する。そして、凹部211aの底面に、振動素子6を支持した状態で支持基板4が固定され、凹部211cの底面に回路素子3が固定されている。
また、図2に示すように、内部空間Sにおいて、振動素子6、支持基板4および回路素子3は、平面視で互いに重なって配置されている。言い換えると、振動素子6、支持基板4および回路素子3は、C軸に沿って並んで配置されている。これにより、パッケージ2のA軸方向およびB軸方向への平面的な広がりを抑制でき、振動デバイス1の小型化を図ることができる。また、支持基板4は、振動素子6と回路素子3との間に位置し、振動素子6を下側すなわちC軸マイナス側から支えるように支持している。
また、図1および図2に示すように、凹部211aの底面には複数の内部端子241が配置され、凹部211bの底面には複数の内部端子242が配置され、ベース21の下面には複数の外部端子243が配置されている。これら内部端子241、242および外部端子243は、ベース21内に形成されている図示しない配線を介して電気的に接続されている。また、内部端子241は、導電性の接合部材B1、B2および支持基板4を介して振動素子6と電気的に接続され、内部端子242は、ボンディングワイヤーBWを介して回路素子3と電気的に接続されている。
振動素子6は、物理量センサー素子として、C軸を検出軸とする角速度ωcを検出することのできる角速度センサー素子である。図3に示すように、振動素子6は、振動基板7と、振動基板7の表面に配置されている電極8と、を有する。振動基板7は、Zカット水晶基板から構成されている。Zカット水晶基板は、水晶の結晶軸である電気軸としてのX軸および機械軸としてのY軸で規定されるX−Y平面に広がりを有し、光軸としてのZ軸に沿った方向に厚みを有している。
振動基板7は、中央部に位置する素子基部70と、素子基部70からB軸方向の両側に延出している一対の検出腕71、72と、素子基部70からA軸方向の両側に延出している一対の連結腕73、74と、連結腕73の先端部からB軸方向の両側に延出している一対の駆動腕75、76と、連結腕74の先端部からB軸方向の両側に延出している一対の駆動腕77、78と、を有する。このような形状の振動基板7を用いることにより、優れた振動バランスを有する振動素子6となる。
また、検出腕71、72の先端部には、基端部よりも幅が広い幅広部711、721が設けられている。同様に、駆動腕75、76、77、78の先端部には、基端部よりも幅が広い幅広部751、761、771、781が設けられている。なお、これら幅広部711、721、751、761、771、781は、ハンマーヘッドとも呼ばれる。幅広部711、721、751、761、771、781を設けることにより、同じ周波数で比べた場合に、検出腕71、72や駆動腕75〜78を短くすることができ、振動素子6の小型化を図ることができる。また、駆動腕75〜78の長さが短くなることにより、粘性抵抗が減り、発振特性(Q値)が向上する。ただし、検出腕71、72および駆動腕75〜78の構成としては、特に限定されず、例えば、幅広部711、721、751、761、771、781を有していなくてもよい。
また、図4および図5に示すように、駆動腕75〜78は、上面に開口する溝と、下面に開口する溝と、を有し、略H状の断面形状となっている。なお、検出腕71、72についても、上面に開口する溝と、下面に開口する溝と、を有し、略H状の断面形状となっていてもよい。
図3に示すように、電極8は、駆動信号電極81と、駆動接地電極82と、第1検出信号電極83と、第1検出接地電極84と、第2検出信号電極85と、第2検出接地電極86と、を有する。駆動接地電極82は、駆動信号電極81のグランドであり、第1検出接地電極84は、第1検出信号電極83のグランドであり、第2検出接地電極86は、第2検出信号電極85のグランドである。
駆動信号電極81は、駆動腕75、76の両側面と、駆動腕77、78の上面および下面と、に配置されている。一方、駆動接地電極82は、駆動腕75、76の上面および下面と、駆動腕77、78の両側面と、に配置されている。また、第1検出信号電極83は、検出腕71の上面および下面に配置され、第1検出接地電極84は、検出腕71の両側面に配置されている。一方、第2検出信号電極85は、検出腕72の上面および下面に配置され、第2検出接地電極86は、検出腕72の両側面に配置されている。
また、これら電極81〜86は、それぞれ、素子基部70の下面まで引き回されている。そして、素子基部70の下面には、図3に示すように、駆動信号電極81と電気的に接続されている端子701と、駆動接地電極82と電気的に接続されている端子702と、第1検出信号電極83と電気的に接続されている端子703と、第1検出接地電極84と電気的に接続されている端子704と、第2検出信号電極85と電気的に接続されている端子705と、第2検出接地電極86と電気的に接続されている端子706と、が配置されている。
このような振動素子6は、次のようにして角速度ωcを検出する。まず、駆動信号電極81および駆動接地電極82間に駆動信号を印加すると、駆動腕75〜78が、図6に示すように、A軸およびB軸に平行な平面内に沿って、かつA軸に沿って屈曲振動する。以下、この駆動モードを駆動振動モードと言う。そして、駆動振動モードで駆動している状態で、振動素子6に角速度ωcが加わると、図7に示す検出振動モードが新たに励振される。検出振動モードでは、駆動腕75〜78にコリオリの力が作用して矢印Dに示す方向の振動が励振され、この振動に呼応して、検出腕71、72が矢印Eに示す方向に屈曲振動による検出振動が生じる。このような検出振動モードによって検出腕71に発生した電荷を第1検出信号電極83および第1検出接地電極84の間から第1検出信号として取り出し、検出腕72に発生した電荷を第2検出信号電極85および第2検出接地電極86の間から第2検出信号として取り出し、これら第1、第2検出信号に基づいて角速度ωcを検出することができる。
図1に戻って、回路素子3は、凹部211cの底面に固定されている。回路素子3には、振動素子6を駆動し、振動素子6に加わった角速度ωcを検出する駆動回路および検出回路が含まれている。ただし、回路素子3としては、特に限定されず、例えば、温度補償回路等、他の回路が含まれていてもよい。
また、図2に示すように、支持基板4は、素子支持部としての基部40と、基部40を囲む枠状をなす基体固定部としての支持部41と、支持部41に配置されている第1規制部46と、A軸方向プラス側で基部40と支持部41とを接続している一対の梁部42、43と、A軸方向マイナス側で基部40と支持部41とを接続している一対の梁部44、45と、を有する。つまり、基部40は、梁部42、43と梁部44、45とによって、その両側から支持されている。これにより、基部40が安定した姿勢で支持される。
なお、以下では、支持部41中の、基部40のA軸方向プラス側の部分で梁部42、43と接続されている部分を第1支持部411、基部40のA軸方向マイナス側の部分で梁部44、45と接続されている部分を第2支持部412、第1支持部411と第2支持部412とを接続している一対の部分を第1接続部413および第2接続部414とも言う。
このような支持基板4では、基部40に導電性の接合部材B2を介して振動素子6の素子基部70が固定されており、第1、第2支持部411、412が接合部材B1を介して凹部211aの底面に固定されている。このように、振動素子6とベース21との間に支持基板4を介在させることにより、支持基板4によってベース21から伝わる応力を吸収、緩和することができ、当該応力が振動素子6に伝わり難くなる。そのため、振動素子6の振動特性の低下や変動を効果的に抑制することができる。
なお、接合部材B1、B2としては、導電性と接合性とを兼ね備えていれば、特に限定されず、例えば、金バンプ、銀バンプ、銅バンプ、はんだバンプ等の各種金属バンプ、ポリイミド系、エポキシ系、シリコーン系、アクリル系の各種接着剤に銀フィラー等の導電性フィラーを分散させた導電性接着剤等を用いることができる。接合部材B1、B2として前者の金属バンプを用いると、接合部材B1、B2からのガスの発生を抑制でき、内部空間Sの環境変化、特に圧力の上昇を効果的に抑制することができる。一方、接合部材B1、B2として後者の導電性接着剤を用いると、接合部材B1、B2が比較的柔らかくなり、接合部材B1、B2においても前述の応力を吸収、緩和することができる。
本実施形態では、接合部材B1として導電性接着剤を用いており、接合部材B2として金属バンプを用いている。異種の材料である支持基板4とベース21とを接合する接合部材B1として導電性接着剤を用いることにより、これらの間の熱膨張係数の差に起因して生じる熱応力を接合部材B1によって効果的に吸収、緩和することができる。一方、支持基板4と振動素子6とは、比較的狭い領域に配置されている6つの接合部材B2で接合されているため、接合部材B2として金属バンプを用いることにより、導電性接着剤のような濡れ広がりが抑制され、接合部材B2同士の接触を効果的に抑制することができる。
梁部42、43、44、45は、それぞれ、A軸方向に延在し、その途中にS字状に蛇行した部分を有している。そのため、梁部42、43、44、45は、それぞれ、A軸方向およびB軸方向に弾性変形し易い形状となっている。梁部42〜45がA軸方向およびB軸方向に変形することにより、ベース21から伝わる応力を効果的に吸収、緩和することができる。本実施形態の形状では、梁部42、43、44、45は、それぞれ、A軸方向のばね定数よりもB軸方向のばね定数が小さく、A軸方向よりもB軸方向に弾性変形し易い。ただし、梁部42〜45の形状は、それぞれ、特に限定されず、例えば、蛇行した部分を省略してストレート状としてもよい。また、B軸方向よりもA軸方向に弾性変形し易い形状となっていてもよい。また、梁部42〜45は、少なくとも1つが他と異なる形状となっていてもよい。
第1規制部46は、支持部41に配置されており、振動素子6のB軸方向の変位を規制するストッパーとして機能するものである。具体的には、図2に示すように、第1規制部46は、第1接続部413の上面から突出して配置されている第1部分461と、第2接続部414の上面から突出して配置されている第2部分462と、を有する。第1部分461と第2部分462とは、B軸方向に離間しており、これらの間に振動素子6が位置している。すなわち、振動素子6のB軸方向プラス側に第1部分461が位置しており、B軸方向マイナス側に第2部分462が位置している。なお、衝撃等の外力が加わっていない自然状態では、第1、第2部分461、462は、振動素子6と離間しており、これらの間には僅かなギャップG1が形成されている。
このような第1規制部46は、振動素子6と接触することにより、振動素子6のB軸方向への過度な変位、すなわち、ギャップG1を超える変位を規制し、それに伴って、梁部42〜45のB軸方向への過度な変形を抑制する機能を有する。具体的には、衝撃等によって、振動素子6が梁部42〜45を弾性変形させつつB軸方向プラス側に大きく変位すると、振動素子6が第1部分461と接触し、振動素子6のそれ以上のB軸方向プラス側への変位が規制される。反対に、振動素子6が梁部42〜45を弾性変形させつつB軸方向マイナス側に大きく変位すると、振動素子6が第2部分462と接触し、振動素子6のそれ以上のB軸方向マイナス側への変位が規制される。このように、第1規制部46によって振動素子6のB軸方向への変位が規制されれば、同時に、梁部42〜45のB軸方向への変形も規制されるため、梁部42〜45のB軸方向への過度な変形が抑制される。その結果、第1規制部46によって、梁部42〜45の破損を効果的に抑制することができる。
なお、ギャップG1は、梁部42〜45の変位が、梁部42〜45の弾性変形範囲内に収まるように、すなわち、梁部42〜45に弾性変形範囲を超えた変形が生じる前に振動素子6と第1規制部46とが接触するように、十分に小さく設定されている。
ここで、前述したように、梁部42〜45は、A軸方向よりもB軸方向に変形し易い構成となっている。そのため、本実施形態のように、この変形し易い方向であるB軸方向への梁部42〜45の変形を抑制できるように第1規制部46を配置することにより、梁部42〜45の破損を効果的に抑制することができる。ただし、これに限定されず、例えば、振動素子6のA軸方向プラス側に第1部分461を配置し、A軸方向マイナス側に第2部分462を配置して、これらで振動素子6のA軸方向の変位を規制することにより、梁部42〜45のA軸方向への過度な変形を抑制し、梁部42〜45の破損を抑制する構成となっていてもよい。また、本実施形態では、第1規制部46は、検出腕71、72および駆動腕75〜78の全てと対向しているが、これに限定されず、検出腕71、72および駆動腕75〜78の一部(1つ〜5つ)と対向していてもよい。
また、前述したように、振動素子6は、素子基部70からB軸方向の両側に延出している一対の検出腕71、72と、連結腕73の先端部からB軸方向の両側に延出している一対の駆動腕75、76と、連結腕74の先端部からB軸方向の両側に延出している一対の駆動腕77、78と、を有する。そのため、B軸方向プラス側に延びる検出腕72および駆動腕75、77の先端部と第1部分461とがギャップG1を介して対向し、振動素子6がB軸方向プラス側に大きく変位した際には、検出腕72および駆動腕75、77の先端部すなわち幅広部721、751、771が第1部分461と接触する。同様に、B軸方向マイナス側に延びる検出腕71および駆動腕76、78の先端部と第2部分462とがギャップG1を介して対向し、振動素子6がB軸方向マイナス側に大きく変位した際には、検出腕71および駆動腕76、78の先端部すなわち幅広部711、761、781が第2部分462と接触する。
このように、振動素子6の変位を規制する方向に沿って検出腕71、72および駆動腕75〜78を延在させることにより、検出腕71、72および駆動腕75〜78は、十分に硬い剛体として第1、第2部分461、462と接触する。そのため、第1、第2部分461、462との接触時の衝撃による検出腕71、72および駆動腕75〜78の破損を効果的に抑制することができる。その結果、優れた機械的強度を有する振動デバイス1となる。
また、図8に示すように、第1、第2部分461、462は、それぞれ、支持部41から振動素子6よりも上側まで突出している。そのため、第1部分461の振動素子6との接触面461aの下端は、振動素子6の下面よりも下側に位置し、接触面461aの上端は、振動素子6の上面よりも上側に位置している。同様に、第2部分462の振動素子6との接触面462aの下端は、振動素子6の下面よりも下側に位置し、接触面462aの上端は、振動素子6の上面よりも上側に位置している。これにより、振動素子6がB軸方向に大きく変位した際、より確実に第1、第2部分461、462と接触する。また、その際、振動素子6のC軸方向への多少の変位であれば許容することもできる。また、振動素子6と第1、第2部分461、462との接触面積を大きくすることができ、その分、応力集中が抑制され、接触時の衝撃による振動素子6の破損を抑制することもできる。
このような支持基板4は、水晶基板で構成されている。つまり、支持基板4の構成材料は、水晶である。このように、支持基板4を振動基板7と同様に水晶基板で構成することにより、支持基板4と振動基板7との熱膨張係数を等しくすることができる。そのため、支持基板4と振動基板7との間には、互いの熱膨張係数差に起因する熱応力が実質的に生じず、振動素子6がより応力を受け難くなる。そのため、振動素子6の振動特性の低下や変動をより効果的に抑制することができる。
特に、支持基板4は、振動素子6が有する振動基板7と同じカット角の水晶基板で構成されている。本実施形態では、振動基板7がZカット水晶基板で構成されているため、支持基板4もZカット水晶基板で構成されている。また、支持基板4の結晶軸の向きは、振動基板7の結晶軸の向きと一致している。すなわち、支持基板4と振動基板7とでX軸が一致し、Y軸が一致し、Z軸が一致している。水晶は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれで熱膨張係数が異なるため、支持基板4と振動基板7とを同じカット角とし、互いの結晶軸の向きを揃えることにより、支持基板4と振動基板7との間で前述の熱応力がより生じ難くなる。そのため、振動素子6がさらに応力を受け難くなり、その振動特性の低下や変動をさらに効果的に抑制することができる。
なお、支持基板4としては、これに限定されず、例えば、振動基板7と同じカット角であるが、結晶軸の方向が振動基板7とは異なっていてもよい。また、支持基板4は、振動基板7と異なるカット角の水晶基板から形成されていてもよい。また、支持基板4の構成材料としては、水晶に限定されず、例えば、シリコン(Si)、各種樹脂材料を用いてもよい。この場合、支持基板4の構成材料は、水晶との熱膨張係数の差が、水晶とベース21の構成材料との熱膨張係数差よりも小さい材料であることが好ましい。
また、図9および図10に示すように、支持基板4には、振動素子6と内部端子241とを電気的に接続している配線パターン5が配置されている。配線パターン5は、端子701と内部端子241とを電気的に接続している駆動信号配線51と、端子702と内部端子241とを電気的に接続している駆動接地配線52と、端子703と内部端子241とを電気的に接続している第1検出信号配線53と、端子704、706と内部端子241とを電気的に接続している検出接地配線54と、端子705と内部端子241とを電気的に接続している第2検出信号配線55と、を有する。
駆動信号配線51は、梁部44、45の下面を通って基部40から第2支持部412の下面に引き回されている。また、第1検出信号配線53は、梁部43の下面を通って基部40から支持部41の下面に引き回されている。また、第2検出信号配線55は、梁部42の下面を通って基部40から支持部41の下面に引き回されている。このような配置にすることにより、駆動信号配線51を、第1、第2検出信号配線53、55から十分に離間させて配置することができる。そのため、駆動信号配線51と第1、第2検出信号配線53、55とのノイズ干渉を抑制することができる。したがって、S/N比の高い高精度な検出信号を回路素子3に送信することができ、角速度ωcをより高精度に検出することができる。
一方で、定電位配線である駆動接地配線52および検出接地配線54は、他の配線51、53、55と電気的な絶縁状態を確保したうえで、支持基板4の配線51、53、55から露出している部分、すなわち、配線51、53、55が形成されていない部分のなるべく広範囲を覆うように配置されている。
検出接地配線54は、梁部44、45の上面および側面を通って基部40から第2支持部412の下面に引き回されている。検出接地配線54は、さらに、支持部41の第1支持部411を除く領域、すなわち、第2支持部412および第1、第2接続部413、414の広範囲にわたって配置されている。具体的には、検出接地配線54は、第2支持部412および第1、第2接続部413、414の上面のほぼ全域と、第1、第2部分461、462の上面および接触面461a、462aのほぼ全域と、に配置されている。
駆動接地配線52は、梁部42、43の上面および側面を通って基部40から第1支持部411の下面に引き回されている。駆動接地配線52は、さらに、第1支持部411の広範囲にわたって配置されている。具体的には、駆動接地配線52は、第1支持部411の上面のほぼ全域に配置されている。
このような構成によれば、駆動腕75、76に配置されている駆動信号電極81と、梁部42、43の下面に配置されている第1、第2検出信号配線53、55との間に駆動接地配線52を配置することができる。駆動接地配線52は、グランドすなわち定電位に接続されているためシールド層として機能する。そのため、振動素子6に配置されている駆動信号電極81と梁部42、43に配置されている第1、第2検出信号配線53、55とのノイズ干渉を抑制することができる。したがって、S/N比の高い高精度な検出信号を回路素子3に送信することができ、角速度ωcをより高精度に検出することができる。
さらに、図8および図9に示すように、第1部分461の接触面461aおよび第2部分462の接触面462aには、振動素子6と第1部分461との接触時の衝撃を緩和する第1緩衝部材9が設けられており、振動素子6がB軸方向に大きく変位した際には、この第1緩衝部材9に振動素子6が接触するようになっている。このような第1緩衝部材9を設けることにより、接触時の衝撃が緩和され、当該衝撃による振動素子6の破損を効果的に抑制することができる。
第1緩衝部材9は、支持基板4よりも硬度が低い。つまり、第1緩衝部材9は、支持基板4よりも柔らかい。これにより、接触時の衝撃をより効果的に緩和することができる。第1緩衝部材9の硬度としては、支持基板4の硬度よりも低ければ、特に限定されないが、例えば、支持基板4の硬度の80%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、40%以下であることがさらに好ましい。これにより、第1緩衝部材9がより柔らかくなり、上述した効果をより顕著に発揮することができる。なお、前記「硬度」は、表面硬さ、具体的には、例えば、ブリネル硬さ、ロックウェル硬さ、ビッカース硬さ、ショア硬さ等を意味する。
また、第1緩衝部材9の構成材料としては、支持基板4よりも硬度が低ければ特に限定されないが、本実施形態では、金属材料を用いている。特に、本実施形態では、第1緩衝部材9は、金(Au)で構成されている。第1緩衝部材9を金(Au)で構成することにより、第1緩衝部材9が十分に柔らかくなり、優れた衝撃緩和効果を発揮することができる。また、第1緩衝部材9の厚さとしては、特に限定されないが、例えば、1μm以上、5μm以下程度とすることができる。これにより、第1緩衝部材9に衝撃緩和効果をより確実に発揮させつつ、第1緩衝部材9の過度な厚肉化を抑制することができる。
また、第1緩衝部材9を金属材料で構成することにより、第1緩衝部材9を、その下側に配置されている検出接地配線54と電気的に接続することができる。つまり、第1緩衝部材9は、検出接地配線54を介してグランドに接続される。これにより、第1緩衝部材9の帯電が抑制され、例えば、振動素子6に配置されている第1、第2検出信号電極83、85と第1緩衝部材9とのノイズ干渉を抑制することができる。したがって、S/N比の高い高精度な検出信号を回路素子3に送信することができ、角速度ωcをより高精度に検出することができる。
なお、本実施形態では、第1緩衝部材9は、金(Au)で構成された1層の膜で構成されているが、これに限定されず、例えば、複数の層が積層して構成されていてもよい。この場合は、少なくとも、複数の層のうちの最表層を金(Au)等の柔らかい材料で構成すればよい。
以上、振動デバイス1について説明した。このような振動デバイス1は、前述したように、振動素子6と、基体としてのベース21と、振動素子6をベース21に対して支持する支持基板4と、を備える。また、支持基板4は、ベース21に固定される基体固定部としての支持部41と、振動素子6を支持する素子支持部としての基部40と、支持部41と基部40とを接続する梁部42〜45と、支持基板4の厚さ方向に直交する方向であるB軸方向に振動素子6と間隔を隔てて対向し、振動素子6と接触することにより振動素子6のB軸方向への変位を規制する第1規制部46と、を有する。このような構成の振動デバイス1によれば、第1規制部46によって振動素子6のB軸方向への変位が規制され、それに伴って、梁部42〜45のB軸方向への過度な変形が抑制される。その結果、梁部42〜45の破損を効果的に抑制することができる。
また、前述したように、支持基板4の厚さ方向すなわちC軸方向に直交し、かつ、互いに直交する2軸をA軸およびB軸としたとき、梁部42〜45は、A軸方向よりもB軸方向に弾性変形し易い。そして、第1規制部46は、振動素子6とB軸方向に対向している。つまり、第1規制部46によって振動素子6のB軸方向への変位が規制される。このように、第1規制部46によって、変形し易い方向であるB軸方向への梁部42〜45の変形を抑制することにより、梁部42〜45の破損を効果的に抑制することができる。
また、前述したように、振動素子6は、基部40に固定されている素子基部70と、素子基部70からB軸方向の両側に延出している一対の検出腕71、72と、素子基部70からA軸方向の両側に延出している一対の連結腕73、74と、一方の連結腕73の先端部からB軸の両側に延出している一対の駆動腕75、76と、他方の連結腕74の先端部からB軸の両側に延出している一対の駆動腕77、78と、を有する。そして、第1規制部46は、検出腕71、72および駆動腕75〜78の少なくとも1つの先端部、本実施形態では全ての腕の先端部と対向している。このように、振動素子6の変位を規制する方向に沿って検出腕71、72および駆動腕75〜78を延在させることにより、検出腕71、72および駆動腕75〜78を十分に硬い剛体として第1規制部46と接触させることができる。そのため、第1規制部46との接触時の衝撃による検出腕71、72および駆動腕75〜78の破損を効果的に抑制することができる。その結果、優れた機械的強度を有する振動デバイス1となる。
また、前述したように、第1規制部46は、支持部41から振動素子6の支持基板4と反対側まで突出して配置されている。そのため、第1部分461の振動素子6との接触面461aの下端は、振動素子6の下面よりも下側に位置し、接触面461aの上端は、振動素子6の上面よりも上側に位置している。同様に、第2部分462の振動素子6との接触面462aの下端は、振動素子6の下面よりも下側に位置し、接触面462aの上端は、振動素子6の上面よりも上側に位置している。これにより、振動素子6がB軸方向に大きく変位した際、振動素子6を第1、第2部分461、462により確実に接触させることができる。また、その際、振動素子6のC軸方向への多少の変位であれば許容することもできる。また、振動素子6と第1、第2部分461、462との接触面積を大きくすることができ、その分、応力集中が抑制され、接触時の衝撃による振動素子6の破損を抑制することもできる。
また、前述したように、第1規制部46の振動素子6と対向する部分すなわち第1、第2部分461、462の接触面461a、462aには、第1規制部46よりも硬度の低い第1緩衝部材9が配置されている。これにより、振動素子6が第1規制部46に接触する際の衝撃が緩和され、当該衝撃による振動素子6の破損を効果的に抑制することができる。
また、前述したように、第1緩衝部材9の構成材料は、金属である。これにより、第1緩衝部材9を十分に柔らかくすることができると共に、第1緩衝部材9の形成も容易となる。
また、前述したように、振動デバイス1は、支持基板4に配置され、振動素子6と電気的に接続されている配線パターン5を有し、配線パターン5は、定電位に接続されている定電位配線としての検出接地配線54を有する。そして、第1緩衝部材9は、検出接地配線54と電気的に接続されている。これにより、振動素子6と第1緩衝部材9とのノイズ干渉を抑制することができる。したがって、S/N比の高い高精度な検出信号を回路素子3に送信することができ、角速度ωcをより高精度に検出することができる。
<第2実施形態>
図11は、第2実施形態の振動デバイスを示す断面図である。図12は、図11に示す振動デバイスの変形例を示す断面図である。なお、図11および図12は、それぞれ、図2中のC−C線断面図に相当する。
図11は、第2実施形態の振動デバイスを示す断面図である。図12は、図11に示す振動デバイスの変形例を示す断面図である。なお、図11および図12は、それぞれ、図2中のC−C線断面図に相当する。
本実施形態は、支持基板4に固定されている板状の第2規制部10を有すること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図11および図12において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図11に示すように、本実施形態の振動デバイス1は、支持基板4との間に振動素子6を挟み込むようにして支持基板4に固定されている第2規制部10を有する。なお、支持基板4と第2規制部10との固定方法は、特に限定されず、例えば、接着剤を用いることができる。
第2規制部10は、板状をなし、振動素子6の上側に位置している。また、第2規制部10と振動素子6との間にはギャップG2が形成されている。第2規制部10は、ギャップG2を超えるC軸方向の変位を阻止するストッパーとして機能する。このギャップG2は、十分に小さくなっている。そのため、C軸方向衝撃を受けて、振動素子6全体が第2規制部10側に変位したり、検出腕71、72および駆動腕75〜78が第2規制部10側に撓んだりした際に、振動素子6全体または検出腕71、72および駆動腕75〜78の先端部分が第2規制部10に接触するようになっている。これにより、振動素子6のそれ以上の変位または検出腕71、72および駆動腕75〜78のそれ以上の撓み変形が規制され、梁部42〜45や検出腕71、72および駆動腕75〜78のC軸方向への過度な撓み変形を抑制することができる。そのため、第2規制部10によって、梁部42〜45の破損や検出腕71、72および駆動腕75〜78の破損を効果的に抑制することができる。
このような第2規制部10は、水晶基板で構成されている。つまり、第2規制部10の構成材料は、水晶である。このように、第2規制部10を支持基板4や振動基板7と同様に水晶基板で構成することにより、第2規制部10、支持基板4および振動基板7の熱膨張係数を等しくすることができる。そのため、これらの間には、互いの熱膨張係数差に起因する熱応力が実質的に生じず、振動素子6がより応力を受け難くなる。そのため、振動素子6の振動特性の低下や変動をより効果的に抑制することができる。
特に、第2規制部10は、振動基板7および支持基板4と同じカット角の水晶基板で構成されている。本実施形態では、振動基板7および支持基板4がZカット水晶基板で構成されているため、第2規制部10もZカット水晶基板で構成されている。さらに、第2規制部10の結晶軸の向きは、振動基板7および支持基板4の結晶軸の向きと一致している。水晶は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれで熱膨張係数が異なるため、互いの結晶軸の向きを揃えることにより、第2規制部10、振動基板7および支持基板4の間で前述の熱応力がより生じ難くなる。そのため、振動素子6がさらに応力を受け難くなり、その振動特性の低下や変動をさらに効果的に抑制することができる。
なお、第2規制部10としては、これに限定されず、例えば、振動基板7と同じカット角であるが、結晶軸の方向が振動基板7とは異なっていてもよい。また、第2規制部10は、振動基板7と異なるカット角の水晶基板から形成されていてもよい。また、第2規制部10の構成材料としては、水晶に限定されず、例えば、シリコン(Si)、各種樹脂材料を用いてもよい。
また、第2規制部10の下面には、ほぼ全域にわたって電極11が設けられ、電極11は、検出接地配線54と電気的に接続されている。つまり、電極11は、グランドに接続されている。これにより、電極11がシールド層として機能し、外部からの外乱を振動素子6の手前で遮断することができる。これにより、前記外乱が振動素子6に届きに難くなり、振動素子6の特性の低下を効果的に抑制することができる。
さらに、電極11上であって、第2規制部10の下面の検出腕71、72および駆動腕75〜78との接触部分には接触時の衝撃を緩和する第2緩衝部材12が設けられており、検出腕71、72および駆動腕75〜78がC軸方向に大きく変位した際には第2緩衝部材12に検出腕71、72および駆動腕75〜78が接触するようになっている。このような第2緩衝部材12を設けることにより、接触時の衝撃が緩和され、当該衝撃による振動素子6の破損を効果的に抑制することができる。
第2緩衝部材12は、第2規制部10よりも硬度が低い。つまり、第2緩衝部材12は、第2規制部10よりも柔らかい。これにより、接触時の衝撃をより効果的に緩和することができる。第2緩衝部材12の硬度としては、第2規制部10の硬度よりも低ければ、特に限定されないが、例えば、第2規制部10の硬度の80%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、40%以下であることがさらに好ましい。これにより、第2緩衝部材12がより柔らかくなり、上述した効果をより顕著に発揮することができる。なお、前記「硬度」は、表面硬さ、具体的には、例えば、ブリネル硬さ、ロックウェル硬さ、ビッカース硬さ、ショア硬さ等を意味する。
また、第2緩衝部材12の構成材料としては、第2規制部10よりも硬度が低ければ特に限定されないが、本実施形態では、金属材料を用いている。特に、本実施形態では、第2緩衝部材12は、第1緩衝部材9と同様に、金(Au)で構成されている。第2緩衝部材12を金(Au)で構成することにより、第2緩衝部材12が十分に柔らかくなり、優れた衝撃緩和効果を発揮することができる。また、第2緩衝部材12の厚さとしては、特に限定されないが、例えば、1μm〜5μm程度とすることができる。これにより、第2緩衝部材12に衝撃緩和効果をより確実に発揮させつつ、第2緩衝部材12の過度な厚肉化を抑制することができる。
また、第2緩衝部材12を金属材料で構成することにより、第2緩衝部材12を、電極11と電気的に接続することができる。つまり、第2緩衝部材12は、電極11および検出接地配線54を介してグランドに接続される。これにより、第2緩衝部材12の帯電が抑制され、例えば、振動素子6に配置されている第1、第2検出信号電極83、85と第2緩衝部材12とのノイズ干渉を抑制することができる。したがって、S/N比の高い高精度な検出信号を回路素子3に送信することができ、角速度ωcをより高精度に検出することができる。
なお、本実施形態では、第2緩衝部材12は、金(Au)で構成された1層の膜で構成されているが、これに限定されず、例えば、複数の層が積層して構成されていてもよい。この場合は、少なくとも、複数の層のうちの最表層を金(Au)等の柔らかい材料で構成すればよい。
以上のように、本実施形態の振動デバイス1は、支持基板4の厚さ方向すなわちC軸方向であって、支持基板4とは反対側に振動素子6と間隔を隔てて対向し、振動素子6と接触することにより振動素子6のC軸方向への変位を規制する第2規制部10を有する。これにより、梁部42〜45のC軸方向への過度な撓み変形を抑制することができ、梁部42〜45の破損を効果的に抑制することができる。
また、前述したように、第2規制部10の振動素子6と対向する部分には、第2規制部10よりも硬度の低い第2緩衝部材12が配置されている。これにより、振動素子6が第2規制部10に接触する際の衝撃が緩和され、当該衝撃による振動素子6の破損を効果的に抑制することができる。
また、前述したように、第2緩衝部材12の構成材料は、金属である。これにより、第2緩衝部材12を十分に柔らかくすることができると共に、第2緩衝部材12の形成も容易となる。
また、前述したように、振動デバイス1は、支持基板4に配置され、振動素子6と電気的に接続されている配線パターン5を有し、配線パターン5は、定電位に接続されている定電位配線としての検出接地配線54を有する。そして、第2緩衝部材12は、電極11を介して検出接地配線54と電気的に接続されている。これにより、第2緩衝部材12の帯電が抑制され、振動素子6と第2緩衝部材12とのノイズ干渉を抑制することができる。したがって、S/N比の高い高精度な検出信号を回路素子3に送信することができ、角速度ωcをより高精度に検出することができる。
以上のような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、本実施形態の変形例として、例えば、図12に示すように、第1規制部46が第2規制部10と一体形成されていてもよい。図12の構成では、第1緩衝部材9、第2緩衝部材12が一体形成されている。
<第3実施形態>
図13は、第3実施形態のパーソナルコンピューターを示す斜視図である。
図13は、第3実施形態のパーソナルコンピューターを示す斜視図である。
図13に示す電子機器としてのパーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1108を備えた表示ユニット1106と、により構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。また、パーソナルコンピューター1100には、物理量センサーとしての振動デバイス1と、振動デバイス1からの出力信号に基づいて信号処理すなわち各部の制御を行う信号処理回路1110と、が内蔵されている。
このように、電子機器としてのパーソナルコンピューター1100は、振動デバイス1と、振動デバイス1の出力信号に基づいて信号処理を行う信号処理回路1110と、を備える。そのため、前述した振動デバイス1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
<第4実施形態>
図14は、第4実施形態の携帯電話機を示す斜視図である。
図14は、第4実施形態の携帯電話機を示す斜視図である。
図14に示す電子機器としての携帯電話機1200は、図示しないアンテナ、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1208が配置されている。また、携帯電話機1200には、物理量センサーとしての振動デバイス1と、振動デバイス1からの出力信号に基づいて信号処理すなわち各部の制御を行う信号処理回路1210と、が内蔵されている。
このように、電子機器としての携帯電話機1200は、振動デバイス1と、振動デバイス1の出力信号に基づいて信号処理を行う信号処理回路1210と、を備える。そのため、前述した振動デバイス1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
<第5実施形態>
図15は、第5実施形態のデジタルスチールカメラを示す斜視図である。
図15は、第5実施形態のデジタルスチールカメラを示す斜視図である。
図15に示す電子機器としてのデジタルスチールカメラ1300は、ケース1302を備え、このケース1302の背面には表示部1310が設けられている。表示部1310は、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成となっており、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側には、光学レンズやCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。そして、撮影者が表示部1310に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押すと、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。また、デジタルスチールカメラ1300には、物理量センサーとしての振動デバイス1と、振動デバイス1からの出力信号に基づいて信号処理すなわち各部の制御を行う信号処理回路1312と、が内蔵されている。
このように、電子機器としてのデジタルスチールカメラ1300は、振動デバイス1と、振動デバイス1の出力信号に基づいて信号処理を行う信号処理回路1312と、を備える。そのため、前述した振動デバイス1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
なお、振動デバイス1を備える電子機器は、前述したパーソナルコンピューター1100、携帯電話機1200およびデジタルスチールカメラ1300の他、例えば、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチを含む時計、インクジェット式吐出装置、例えばインクジェットプリンター、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)、スマートグラス等のウェアラブル端末、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子辞書、電子翻訳機、電卓、電子ゲーム機器、トレーニング機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡のような医療機器、魚群探知機、各種測定機器、車両、航空機、船舶に搭載される計器類、携帯端末用の基地局、フライトシミュレーター等であってもよい。
<第6実施形態>
図16は、第6実施形態の自動車を示す斜視図である。
図16は、第6実施形態の自動車を示す斜視図である。
図16に示す移動体としての自動車1500は、エンジンシステム、ブレーキシステム、操舵システム、姿勢制御システムおよびキーレスエントリーシステム等のシステム1502を含んでいる。また、自動車1500には、物理量センサーとしての振動デバイス1と、振動デバイス1からの出力信号に基づいて信号処理すなわちシステム1502の制御を行う信号処理回路1510と、が内蔵されている。
このように、移動体としての自動車1500は、振動デバイス1と、振動デバイス1の出力信号に基づいて信号処理を行う信号処理回路1510と、を備える。そのため、前述した振動デバイス1の効果を享受でき、高い信頼性を発揮することができる。
なお、振動デバイス1を備える移動体は、自動車1500の他、例えば、ロボット、ドローン、電動車いす、二輪車、航空機、ヘリコプター、船舶、電車、モノレール、貨物運搬用カーゴ、ロケット、宇宙船等であってもよい。
以上、本発明の振動デバイス、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
1…振動デバイス、2…パッケージ、21…ベース、211、211a、211b、211c…凹部、22…リッド、23…接合部材、241、242…内部端子、243…外部端子、3…回路素子、4…支持基板、40…基部、41…支持部、411…第1支持部、412…第2支持部、413…第1接続部、414…第2接続部、42、43、44、45…梁部、46…第1規制部、461…第1部分、461a…接触面、462…第2部分、462a…接触面、5…配線パターン、51…駆動信号配線、52…駆動接地配線、53…第1検出信号配線、54…検出接地配線、55…第2検出信号配線、6…振動素子、7…振動基板、70…素子基部、701、702、703、704、705、706…端子、71、72…検出腕、711、721…幅広部、73、74…連結腕、75、76、77、78…駆動腕、751、761、771、781…幅広部、8…電極、81…駆動信号電極、82…駆動接地電極、83…第1検出信号電極、84…第1検出接地電極、85…第2検出信号電極、86…第2検出接地電極、9…第1緩衝部材、10…第2規制部、11…電極、12…第2緩衝部材、1100…パーソナルコンピューター、1102…キーボード、1104…本体部、1106…表示ユニット、1108…表示部、1110…信号処理回路、1200…携帯電話機、1202…操作ボタン、1204…受話口、1206…送話口、1208…表示部、1210…信号処理回路、1300…デジタルスチールカメラ、1302…ケース、1304…受光ユニット、1306…シャッターボタン、1308…メモリー、1310…表示部、1312…信号処理回路、1500…自動車、1502…システム、1510…信号処理回路、B1、B2…接合部材、BW…ボンディングワイヤー、D、E…矢印、G1、G2…ギャップ、S…内部空間、ωc…角速度
Claims (13)
- 振動素子と、
基体と、
前記振動素子を前記基体に対して支持する支持基板と、を備え、
前記支持基板は、前記基体に固定される基体固定部と、
前記振動素子を支持する素子支持部と、
前記基体固定部と前記素子支持部とを接続する梁部と、
前記支持基板の厚さ方向に直交する方向に前記振動素子と間隔を隔てて対向し、前記振動素子と接触することにより前記振動素子の前記直交する方向への変位を規制する第1規制部と、を有することを特徴とする振動デバイス。 - 前記支持基板の厚さ方向に直交し、かつ、互いに直交する2軸をA軸およびB軸としたとき、
前記梁部は、前記A軸方向よりも前記B軸方向に弾性変形し易く、
前記第1規制部は、前記振動素子と前記B軸方向に対向している請求項1に記載の振動デバイス。 - 前記振動素子は、前記素子支持部に固定されている素子基部と、
前記素子基部から前記B軸方向の両側に延出している一対の検出腕と、
前記素子基部から前記A軸方向の両側に延出している一対の連結腕と、
一方の前記連結腕の先端部から前記B軸の両側に延出している一対の駆動腕と、
他方の前記連結腕の先端部から前記B軸の両側に延出している一対の駆動腕と、を有し、
前記第1規制部は、前記検出腕および前記駆動腕の少なくとも1つの先端部と対向している請求項2に記載の振動デバイス。 - 前記第1規制部は、前記基体固定部から前記振動素子の前記支持基板と反対側まで突出して配置されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の振動デバイス。
- 前記第1規制部の前記振動素子と対向する部分には、前記第1規制部よりも硬度の低い第1緩衝部材が配置されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の振動デバイス。
- 前記第1緩衝部材の構成材料は、金属である請求項5に記載の振動デバイス。
- 前記支持基板に配置され、前記振動素子と電気的に接続されている配線パターンを有し、
前記配線パターンは、定電位に接続されている定電位配線を有し、
前記第1緩衝部材は、前記定電位配線と電気的に接続されている請求項6に記載の振動デバイス。 - 前記支持基板の厚さ方向であって、前記支持基板とは反対側に前記振動素子と間隔を隔てて対向し、前記振動素子と接触することにより前記振動素子の前記厚さ方向への変位を規制する第2規制部を有する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の振動デバイス。
- 前記第2規制部の前記振動素子と対向する部分には、前記第2規制部よりも硬度の低い第2緩衝部材が配置されている請求項8に記載の振動デバイス。
- 前記第2緩衝部材の構成材料は、金属である請求項9に記載の振動デバイス。
- 前記支持基板に配置され、前記振動素子と電気的に接続されている配線パターンを有し、
前記配線パターンは、定電位に接続されている定電位配線を有し、
前記第2緩衝部材は、前記定電位配線と電気的に接続されている請求項10に記載の振動デバイス。 - 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の振動デバイスと、
前記振動デバイスの出力信号に基づいて信号処理を行う信号処理回路と、を備えていることを特徴とする電子機器。 - 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の振動デバイスと、
前記振動デバイスの出力信号に基づいて信号処理を行う信号処理回路と、を備えていることを特徴とする移動体。
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