JP2021031531A - カチオン硬化性エポキシ樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】作業性に優れ、且つ可撓性を損なわずに低弾性化したエポキシ樹脂組成物を提供すること。【解決手段】式(1)で表されるエポキシ化合物(a−1)を含有するエポキシ樹脂(A)と、カチオン重合開始剤(B)を配合したエポキシ樹脂組成物を用いることで、上記課題を解決する。【化1】(nは1〜20の自然数、Xはハロゲン原子またはC1〜3のアルキル基、aおよびbは0〜4の整数、G1およびG2はグリシジル基または水素原子、ただし、G1およびG2がともに水素原子であることはない、R1はアルキレン基、アルキリデン基、スルホニル基、酸素原子または原子団の存在しない直接結合を示す。)【選択図】なし
Description
本発明はカチオン硬化性エポキシ樹脂組成物およびその硬化物に関する。
エポキシ樹脂は、耐熱性、接着性、耐水性、機械物性および電気特性に優れていることから、接着剤、塗料、土木建築材料、電気電子部品の絶縁材料、炭素繊維強化複合材料等の様々な分野で使用されている。常温又は熱硬化型のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂が一般的である。
エポキシ樹脂は、様々な化学構造と優れた性能を有する樹脂である。しかし、ビスフェノールA型エポキシ樹脂に代表されるエポキシ樹脂は可撓性に乏しく、傷や亀裂を起点にクラックが進展しやすく容易に破壊される。また、接着剤として用いた場合は剥離強度が低いといった問題点がある。クラックの発生や剥離強度は、可撓性に優れるエポキシ樹脂を併用することで改善されることが知られている。
可撓性に優れるエポキシ樹脂として、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルやポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテルの様に分子内にエーテル結合を有するエポキシ樹脂などが知られている(非特許文献1、2)。これらのエポキシ樹脂は、従来のビスフェノールA型エポキシ樹脂に比べて低弾性化されるものの、その効果は充分とは言えなかった。
エポキシ樹脂に可撓性を付与し、低弾性化する目的で、フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−ポリブタジエン/アクリロニトリルブロック共重合体を用いることで、粘弾性率が1300MPaから2100MPaの紫外線硬化型低弾性樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。また、ポリエーテル鎖を含む両末端グリシジル基変性エポキシ樹脂を用いることによって、曲げ弾性率が1500MPaから2700MPaの低温硬化型液状エポキシ樹脂組成物が提案されている(特許文献2)。さらに、ポリプロプレングリコールのジグリシジルエーテルとフェノール類化合物の反応化合物を用いて、引張弾性率が830MPaのエポキシ樹脂組成物が提案されている(特許文献3)。これらのエポキシ樹脂組成物についても、弾性率の値は、3桁台後半から4桁台であり、近年のフレキシブルディスプレイ用途関連の電子部品や、炭素繊維、セルロース繊維に代表される複合材料用途においては、従来の低弾性のレベルでは対応しきれなくなってきており、より低弾性で可撓性に優れるエポキシ樹脂が望まれていた。
総説エポキシ樹脂、第1巻、基礎編I、P299−300(2003年)
入門エポキシ樹脂、P113−115(1988年)
したがって本発明は、作業性に優れ、且つ可撓性を損なわずに低弾性化したエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明のカチオン硬化性エポキシ樹脂組成物は、可撓性に優れ、極めて低弾性である。そのため、建築材料、炭素繊維複合材料、接着剤、コーティング剤、シーリング剤、封止剤等の広範な用途で使用できる。
以下に本発明を実施するための形態をより詳細に説明するが、本発明の範囲は、この実施形態に限定するものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で変更等が加えられた形態も本発明に属する。なお、範囲を表す表記の「〜」は、上限と下限を含むものである。
本発明は、以下の通りである。
下記式(1)で表されるエポキシ化合物(a−1)を含有するエポキシ樹脂(A)と、カチオン重合開始剤(B)を配合したカチオン硬化性エポキシ樹脂組成物。
(nは1〜20の自然数、Xはハロゲン原子またはC1〜3のアルキル基、aおよびbは0〜4の整数、G1およびG2はグリシジル基または水素原子、ただし、G1およびG2がともに水素原子であることはない、R1はアルキレン基、アルキリデン基、スルホニル基、酸素原子または原子団の存在しない直接結合を示す。)
下記式(1)で表されるエポキシ化合物(a−1)を含有するエポキシ樹脂(A)と、カチオン重合開始剤(B)を配合したカチオン硬化性エポキシ樹脂組成物。
式(1)で表されるエポキシ化合物(a−1)は、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルとフェノール類化合物から成る反応物であり、フェノール類化合物の具体例としては、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、テトラブロモビスフェノールS、水添ビスフェノールAなどが挙げられ、好ましくはビスフェノールAが用いられる。
式(1)で表されるエポキシ化合物(a−1)の数平均分子量は、作業性および硬化後の機械物性の観点から、450〜720が好ましく、480〜650が特に好ましい。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法にて、標準ポリスチレンを用いた較正曲線から算出される値であり、GPC法としては以下の条件を用いることができる。
(GPC法)
システム:1515アイソクラティックHPLCポンプ(Waters社製)
検出器:2414示差屈折率(RI)検出器(Waters社製)
カラム:KF−801、KF−802、KF−G(何れも昭和電工社製)
移動相:THF
流速:1.0ml/min
カラム温度:40℃
注入量:100μL
(GPC法)
システム:1515アイソクラティックHPLCポンプ(Waters社製)
検出器:2414示差屈折率(RI)検出器(Waters社製)
カラム:KF−801、KF−802、KF−G(何れも昭和電工社製)
移動相:THF
流速:1.0ml/min
カラム温度:40℃
注入量:100μL
式(1)で表されるエポキシ化合物(a−1)の多分散度は、2.5〜4.0が好ましい。多分散度がこの範囲であるエポキシ化合物は、より経時的に安定であり、且つ、機械物性に優れる硬化物が得られる。なお、多分散度は上述したGPC法にて、同様の方法で算出する。
式(1)で表されるエポキシ化合物(a−1)の25℃における粘度は、12,000〜300,000mPa・sが好ましい。式(1)で表されるエポキシ化合物(a−1)の25℃における粘度が12,000〜300,000mPa・sであれば、硬化物を作る際の作業性が良好で、且つ、機械物性に優れる硬化物が得られる。
エポキシ樹脂(A)における式(1)で表されるエポキシ化合物(a−1)の配合割合は、エポキシ樹脂組成物の硬化物の物性を考慮すると、50〜99重量%であることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂(A)には、25℃における粘度が100mPa・s以下であるエポキシ化合物(a−2)を含有することが好ましい。エポキシ化合物(a−2)としては、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、高級アルコールグリシジルエーテルなどの単官能脂肪族系エポキシ化合物、フェニルグリシジルエーテル、o−クレジルグリシジルエーテル、m,p−クレジルグリシジルエーテル、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルなどの単官能芳香族系エポキシ化合物、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテルなどの多官能脂肪族系エポキシ化合物、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロプレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテルなどのポリエーテル系エポキシ化合物などのうち、粘度100mPa・s以下のものが挙げられ、好ましくは単官能脂肪族系エポキシ化合物とポリエーテル系エポキシ化合物が用いられ、より好ましくは単官能脂肪族系エポキシ化合物が用いられる。
エポキシ樹脂(A)におけるエポキシ化合物(a−2)の配合割合は、エポキシ樹脂組成物の硬化物の物性を考慮すると、50重量%以下であることが好ましく、5重量%〜35重量%がより好ましい。
エポキシ樹脂(A)には、多官能エポキシ樹脂が含まれても良く、多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールF−アルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性 3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。これらの多官能エポキシ樹脂を含有することで、エポキシ樹脂組成物の硬化物の靭性を向上させることができる。
本発明のエポキシ樹脂(A)の25℃における粘度は、10,000mPa・s以下が好ましい。エポキシ樹脂(A)の25℃における粘度が10,000mPa・s以下であれば、硬化物を作製する際の作業性が良好で、且つ、可撓性に優れる硬化物が得られる。
カチオン重合開始剤(B)は特に限定されず、熱カチオン重合開始剤、光カチオン重合開始剤のいずれを用いても良い。カチオン重合開始剤の種類としては、芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族ジアゾニウム、芳香族アンモニウムなどから選ばれる少なくとも1種のカチオンと、BF4、PF6、SbF6等から選ばれる少なくとも1種のアニオンから構成されるオニウム塩等が挙げられる。このようなカチオン重合開始剤は、1種を単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
芳香族スルホニウム塩系のカチオン重合開始剤の具体例としては、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウムテトラフルオロボレート、(2−エトキシ−1−メチル−2−オキソエチル)メチル−2−ナフタレニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩系のカチオン重合開始剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族ジアゾニウム塩系のカチオン重合開始剤の具体例としては、フェニルジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族アンモニウム塩系のカチオン重合開始剤の具体例としては、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
カチオン重合開始剤の配合割合は、エポキシ樹脂(A)100重量部に対して、硬化性や硬化物の物性を考慮すると0.1〜10重量部の範囲であることが好ましく、0.5〜6重量部の範囲であることがより好ましい。
カチオン重合開始剤を使用する場合、必要に応じてラジカル重合開始剤を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤の具体例としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物及びオキシムエステル系化合物等を好ましいものとして例示することができる。アセトフェノン系化合物としては例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ターシャリブチルジクロロアセトフェノン、p−ターシャリブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等が挙げられる。ベンジル系化合物としては、ベンジル等が挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等が挙げられる。チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。オキシムエステル系化合物としては、例えば、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル−オクタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−n−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の配合割合は、エポキシ樹脂(A)100重量部に対して、硬化性や硬化物の物性を考慮すると0.1〜5重量部の範囲であることが好ましく、0.5〜3重量部の範囲であることがより好ましい。
本発明は、エポキシ樹脂(A)とカチオン重合開始剤(B)に限定されるものではなく、発明の効果を損なわない範囲で、着色剤、酸化防止剤、レベリング剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、無機充填剤、樹脂粒子、濡れ性改良剤、消泡剤、光安定剤、熱安定剤、ガラス繊維、炭素繊維、セルロース繊維等の繊維類、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、硫酸バリウム等の無機フィラー等を配合することができる。
以下に具体的な実施例を示すが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。また、実施例中の表の単位は特に断らない限り、「重量部」とした。
(合成例)
攪拌機、温度計、冷却管、窒素導入管を備えた1L容四つ口フラスコにネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル576gとビスフェノールA228g、テトラブチルホスホニウムブロミド0.2gを仕込み、窒素ガスパージを施しながら150℃で5時間反応させ、エポキシ化合物(a−1)を得た。エポキシ化合物(a−1)のエポキシ当量は438g/当量、数平均分子量580、多分散度3.10、粘度48,000mPa・sであった。
攪拌機、温度計、冷却管、窒素導入管を備えた1L容四つ口フラスコにネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル576gとビスフェノールA228g、テトラブチルホスホニウムブロミド0.2gを仕込み、窒素ガスパージを施しながら150℃で5時間反応させ、エポキシ化合物(a−1)を得た。エポキシ化合物(a−1)のエポキシ当量は438g/当量、数平均分子量580、多分散度3.10、粘度48,000mPa・sであった。
(実施例1)
エポキシ樹脂(A)として合成例で得られたエポキシ化合物(a−1)100重量部、カチオン重合開始剤(B)としてベンジルメチル−p−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート1重量部を4分間均一になるまで撹拌混合し、エポキシ樹脂組成物を得た。この組成物を減圧下で脱泡した後、ダイス鋼製の鋳型に膜厚が2mmになるように注型し、120℃で2時間、次いで180℃で2時間加熱し、硬化物を得た。
エポキシ樹脂(A)として合成例で得られたエポキシ化合物(a−1)100重量部、カチオン重合開始剤(B)としてベンジルメチル−p−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート1重量部を4分間均一になるまで撹拌混合し、エポキシ樹脂組成物を得た。この組成物を減圧下で脱泡した後、ダイス鋼製の鋳型に膜厚が2mmになるように注型し、120℃で2時間、次いで180℃で2時間加熱し、硬化物を得た。
(実施例2〜12)
エポキシ樹脂(A)を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同操作を行い、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を得た。
エポキシ樹脂(A)を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同操作を行い、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を得た。
(比較例1)
エポキシ樹脂(A)の代わりにエポキシ樹脂(A´)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用した以外は実施例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を得た。
エポキシ樹脂(A)の代わりにエポキシ樹脂(A´)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用した以外は実施例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を得た。
以下に、実施例および比較例における評価方法を挙げる。
<エポキシ樹脂(A)および(A´)の粘度測定>
E型回転粘度計(HBDV−II+ProCp、ブルックフィールド社製)を用いて、エポキシ樹脂(A)および(A´)の25℃における粘度を測定した。なお、スピンドルはCPE−40を用いた。
E型回転粘度計(HBDV−II+ProCp、ブルックフィールド社製)を用いて、エポキシ樹脂(A)および(A´)の25℃における粘度を測定した。なお、スピンドルはCPE−40を用いた。
<ガラス転移温度>
エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度を動的粘弾性測定装置(DHR−2 TAインスツルメント社製)にて測定した。測定条件は、温度−50℃から200℃まで毎分5℃の速度で昇温した際の貯蔵弾性率と損失弾性率の比、すなわちtanδの推移をモニタリングし、tanδのピークトップ温度をガラス転移温度とした。なお、測定は引張モードにて行った。
エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度を動的粘弾性測定装置(DHR−2 TAインスツルメント社製)にて測定した。測定条件は、温度−50℃から200℃まで毎分5℃の速度で昇温した際の貯蔵弾性率と損失弾性率の比、すなわちtanδの推移をモニタリングし、tanδのピークトップ温度をガラス転移温度とした。なお、測定は引張モードにて行った。
<引張弾性率、破断点伸び率>
エポキシ樹脂硬化物の引張試験をJIS K6251に準じた採寸になるように裁断機にて打ち抜き、引張速度500mm/minにて破断点伸び率を測定した。測定機器には、オートグラフAG−IS 1kN 卓上型((株)島津製作所製)を用いて引張弾性率と破断点伸び率を測定した。
エポキシ樹脂硬化物の引張試験をJIS K6251に準じた採寸になるように裁断機にて打ち抜き、引張速度500mm/minにて破断点伸び率を測定した。測定機器には、オートグラフAG−IS 1kN 卓上型((株)島津製作所製)を用いて引張弾性率と破断点伸び率を測定した。
実施例1〜12、比較例1のエポキシ樹脂(A)および(A´)の粘度およびエポキシ樹脂組成物から成る硬化物のガラス転移温度、引張弾性率、破断点伸び率を表1に示した。
表1に示した実施例1におけるエポキシ樹脂(A)は、比較例1におけるビスフェノールA型エポキシ樹脂に比べて、破断点伸び率が50倍以上となり、引張弾性率は1/6以下まで低弾性化した。また、実施例2〜9におけるエポキシ樹脂(A)は、破断点伸び率50%以上を維持したまま、引張弾性率は実施例1の1/10以下まで低減された。特に、実施例3および実施例5のエポキシ樹脂(A)は、エポキシ化合物(a−2)として単官能脂肪族系エポキシ化合物を20重量部用いることで、粘度が5,000mPa・s以下に低減したことから、作業性にも優れ、且つ引張弾性率が1桁台まで低減され、優れた物性を示した。エポキシ化合物(a−2)として多官能脂肪族系エポキシ化合物を用いた実施例10〜12は、実施例1と同等のガラス転移温度を示し、引張弾性率を約50MPa低下させる効果が確認された。
Claims (6)
- 請求項1記載のエポキシ化合物(a−1)と25℃における粘度が100mPa・s以下であるエポキシ化合物(a−2)を含有するエポキシ樹脂(A)と、カチオン重合開始剤(B)を配合したカチオン硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 請求項2記載のエポキシ化合物(a−2)が脂肪族系エポキシ化合物、ポリエーテル系エポキシ化合物から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項2に記載のカチオン硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 請求項3記載の脂肪族系エポキシ化合物が脂肪族系単官能エポキシ化合物であることを特長とする請求項2から請求項3のいずれかに記載のカチオン硬化性エポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂(A)の25℃における粘度が10,000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のカチオン硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1から請求項5のいずれかに記載のカチオン硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させたエポキシ樹脂硬化物。
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