JP2021031453A - 炎症性サイトカイン産生抑制材、ヒアルロン酸誘導体、及び、ヒアルロン酸誘導体の製造方法。 - Google Patents

炎症性サイトカイン産生抑制材、ヒアルロン酸誘導体、及び、ヒアルロン酸誘導体の製造方法。 Download PDF

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昭広 西口
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Abstract

【課題】ステロイド化合物を含有しなくとも十分な抗炎症作用を奏する炎症性サイトカイン産生抑制材を提供することを課題とする。【解決手段】式(1)で表される繰り返し単位を有するヒアルロン酸誘導体、又は、その薬学的に許容される塩、エステル、若しくは、グルコシド。(式(1)中、R1は式(A2)で表される基である)【選択図】図19

Description

本発明は、炎症性サイトカイン産生抑制材、ヒアルロン酸誘導体、及び、ヒアルロン酸誘導体の製造方法に関する。
超高齢社会に突入した我が国において、急性、及び、慢性炎症疾患に対する治療法の開発がより一層望まれる。炎症反応は、感染等の外的因子に対する生体防御システムである一方で、関節炎、動脈硬化、褥瘡、及び、がん等の疾患との関連性が知られている。
炎症を抑制する薬剤として、ステロイド、及び、非ステロイド系の薬剤、並びに、抗体医薬等が使用されるが、副腎不全、感染症、骨粗しょう症、及び、自己免疫疾患等の副作用が問題であり、また、薬剤の安定性、並びに、開発コスト、及び、製造コストに課題があった。
そのため、より安全性が高く、かつ、抗炎症性を有する薬剤の研究が進められている。例えば、ステロイドを内包したハイドロゲル(非特許文献1)、抗炎症性を示す多糖類(非特許文献2)、及び、抗炎症効果を示す高分子量ヒアルロン酸(非特許文献3)等が提案されている。
Uri Soiberman, Siva P. Kambhampati, Tony Wu, Manoj K. Mishra, Yumin Oh, Rishi Sharma, Jiangxia Wang, Abdul Elah Al Towerki, Samuel Yiu, Walter J. Stark, Rangaramanujam M. Kannan, Subconjunctival injectable dendrimer−dexamethasone gel for the treatment of corneal inflammation. Biomaterials, 125, 38−53 (2017). Hong Chen, Jian Sun, Jun Liu, Yarun Gou, Xin Zhang, Xiaonan Wu, Rui Sun, Sixue Tang, Juan Kan, Chunlu Qian, Nianfeng Zhang, Changhai Jin, Structural characterization and anti−inflammatory activity of alkali−soluble polysaccharides from purple sweet potato. International Journal of Biological Macromolecules, 131, 484−494 (2019) Jamie E. Rayahin, Jason S. Buhrman, Yu Zhang, Timothy J. Koh, Richard A. Gemeinhart, High and low molecular weight hyaluronic acid differentially influence macrophage activation. ACS Biomaterials Science and Engineering, 1, 481‐493 (2015).
非特許文献1に記載されたステロイドを内包したハイドロゲルは、ステロイドの徐放速度を制御することが難しく、ステロイドに由来する副作用が問題である。
非特許文献2に記載されたような天然物より単離した多糖類は抗炎症性を示すものもあるが、その効果は弱く、また、大量生産することは困難である。
非特許文献3に記載された高分子量体のヒアルロン酸は低分子量体と比較して抗炎症性を示すが、その効果は微弱で、不十分である。
そこで、本発明は、ステロイド化合物を含有しなくとも十分な抗炎症作用を奏する、言い換えれば、優れた安全性、及び、優れた抗炎症性を有する炎症性サイトカイン産生抑制材を提供することを課題とする。また、本発明は、ヒアルロン酸誘導体、及び、ヒアルロン酸誘導体の製造方法を提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] ヒアルロン酸誘導体と、後述する式A1で表される化合物と、を含有するか、又は、式A2で表される基を有する特定ヒアルロン酸誘導体を含有する、炎症性サイトカイン産生抑制材。
[2] 上記特定ヒアルロン酸誘導体が、後述する式1で表される繰り返し単位を有するヒアルロン酸誘導体、又は、その薬学的に許容される塩、エステル、若しくは、グルコシドである[1]に記載の炎症性サイトカイン産生抑制材。
[3] 上記Rがアミノ基である、[2]に記載の炎症性サイトカイン産生抑制材。
[4] 上記アミノ基の含有量が、0.10mmol/g以上である、[3]に記載の炎症性サイトカイン産生抑制材。
[5] 上記アミノ基の含有量が、0.40mmol/g以上である、[3]に記載の炎症性サイトカイン産生抑制材。
[6] 上記アミノ基の含有量が、0.50mmol/g以上である、[3]に記載の炎症性サイトカイン産生抑制材。
[7] 上記アミノ基の含有量が、1.10mmol/g以下である、[2]〜[6]のいずれかに記載の炎症性サイトカイン産生抑制材。
[8] マクロファージに作用して炎症性サイトカインの産生を抑制する、[1]〜[7]のいずれかに記載の炎症性サイトカイン産生抑制材。
[9] 水を含有するハイドロゲルである、[1]〜[8]のいずれかに記載の炎症性サイトカイン産生抑制材。
[10] 後述する式1で表される繰り返し単位を有するヒアルロン酸誘導体、又は、その薬学的に許容される塩、エステル、若しくは、グルコシド。
[11] 上記Rがアミノ基である、[10]に記載のヒアルロン酸誘導体。
[12] 上記アミノ基の含有量が、0.10mmol/g以上である、[11]に記載のヒアルロン酸誘導体。
[13] 上記アミノ基の含有量が、0.40mmol/g以上である、[11]に記載のヒアルロン酸誘導体。
[14] 上記アミノ基の含有量が、0.50mmol/g以上である、[11]に記載のヒアルロン酸誘導体。
[15] 上記アミノ基の含有量が、1.10mmol/g以下である、[11]〜[14]のいずれかに記載のヒアルロン酸誘導体。
[16] アルコールを含有する水溶液中で、カルボキシ基の活性化剤の存在下で、ヒアルロン酸又はその塩と後述する式A1で表される化合物とをアミド化反応によって結合させることを含む、[11]〜[15]のいずれかに記載のヒアルロン酸誘導体を製造するための、ヒアルロン酸誘導体の製造方法。
本発明によれば、優れた安全性、及び、優れた抗炎症性を有する炎症性サイトカイン産生抑制材が提供できる。また、本発明は、ヒアルロン酸誘導体、及び、ヒアルロン酸誘導体の製造方法も提供できる。
エチレンジアミンを導入したヒアルロン酸誘導体の構造をH核磁気共鳴分光法(H NMR)で測定した結果である。 エチレンジアミンを導入したヒアルロン酸誘導体の構造をフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)で測定した結果である。 粘弾性測定装置を用いて、ヒアルロン酸誘導体水溶液の粘度を測定した結果である。 粘弾特性の測定結果である。 粘弾特性の測定結果である。 粘弾性測定装置を用いて、10質量%のHA3水溶液のひずみ変化に対するせん断弾性率の変化を測定した結果である。 ヒアルロン酸誘導体が細胞生存率及び細胞増殖に与える影響について、細胞数カウンティングキットを用いて測定した細胞生存率の結果である。 エチレンジアミンに代えてポリエチレンイミンを用いた場合の細胞生存率の測定結果である。 ヒアルロン酸誘導体が細胞生存率及び細胞増殖に与える影響について、細胞数カウンティングキットを用いて測定した播種細胞数に対する増殖度の結果である。 ヒアルロン酸誘導体の細胞の形態へ効果を調べるための位相差顕微鏡像である。 図10と同様のサンプルの蛍光顕微鏡像から算出した接着面積である。 炎症性サイトカインの産生評価の結果である。 炎症性サイトカインの産生評価の結果である。 炎症性サイトカインの産生評価の結果である。 ヒアルロン酸誘導体作製条件が抗炎症性に与える影響の測定結果である。 ヒアルロン酸誘導体作製条件が抗炎症性に与える影響の測定結果である。 特定アミンとしてポリエチレンイミンを用いた場合の反応溶液中のポリエチレンイミンの含有量と炎症性サイトカイン産生抑制効果との関係を表す図である。 反応溶液中のEDCの含有量と炎症性サイトカイン産生抑制効果との関係を表す図である。 EDAの代わりに、エタノールアミンを修飾して抗炎症効果を評価した結果である。 ポリエチレンイミン、及び、ポリエチレンイミン修飾ヒアルロン酸添加時の炎症性サイトカインの産生評価の結果である。 ポリエチレンイミン、及び、ポリエチレンイミン修飾ヒアルロン酸が細胞生存率に与える影響を調べた結果である。 ポリエチレンイミン修飾ヒアルロン酸、及び、ポリエチレンイミンとヒアルロン酸の混合物が細胞生存率に与える影響を調べた結果である。 ファゴサイトーシスの評価のための蛍光顕微鏡像(上段)及びその評価結果である。 ヒアルロン酸誘導体が細胞生存率及び細胞増殖に与える影響を表す図である。 架橋により作製したハイドロゲルの粘弾性測定結果である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書における基(原子群)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、本発明の効果を損ねない範囲で、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。このことは、各化合物についても同義である。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表す。また、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル及びメタクリロイルの双方、又は、いずれかを表す。
[炎症性サイトカイン産生抑制材]
本発明の実施形態に係る炎症性サイトカイン産生抑制材(以下、単に「本抑制材」ともいう。)は、有効成分として、ヒアルロン酸誘導体と、後述する式A1で表される化合物(以下、「特定アミン」ともいう。)と、を含有する(特定混合物である)か、又は、後述する式A2で表される基を有する特定ヒアルロン酸誘導体を含有する。本抑制材は、後述する実施例に記載したとおり、マクロファージに作用して炎症性サイトカインの産生を抑制する作用を有する。
また、本抑制材は、ヒアルロン酸誘導体、及び/又は、特定ヒアルロン酸誘導体を含有するため、ヒドロゲルを形成でき、投与が必要な部位にシリンジ等の器具を用いて注入することができる(インジェクタブルである)。
また、炎症性サイトカインの産生を抑制する作用に加えて、後述する実施例でも示すように、驚くべきことに、細胞に対する毒性もより低いという効果もあわせて有する。以下では、本抑制材が含有する各成分について詳述する。
<特定混合物>
本抑制材の第1の実施形態は、ヒアルロン酸誘導体と、特定アミンとを含有する特定混合物である。以下では、特定混合物が含有するヒアルロン酸誘導体、及び、特定アミンについて詳述する。
(特定アミン)
上記特定混合物は、下記式A1で表される特定アミンを含有する。特定混合物中における特定アミンの含有量としては特に制限されないが、より優れた本発明の効果を有する炎症性サイトカイン産生抑制材が得られる点で、一般に、特定混合物の全質量に対して、1〜50質量%が好ましい。なお、特定混合物は、特定アミンの1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有していてもよい。特定混合物が、2種以上の特定アミンを含有する場合には、その合計含有量が上記数値範囲内であることが好ましい。
式A1中、L、L、及び、Lはそれぞれ独立に、単結合、又は、2価の基を表し、Rはヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、カルボキシ基、スルホン酸基、及び、メルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の特定置換基を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、又は、上記特定置換基とは異なる1価の置換基を表し、Mは単結合、又は、p+q+1価の基を表し、Mが単結合のとき、pは1、qは0であり、Mがp+q+1価の基のとき、pは1以上の整数、qは0以上の整数を表し、複数あるL、R、L、及び、Xは、それぞれ同一でも異なってもよい。
、L、及び、Lの2価の基としては特に制限されないが、−O−、−NR−(Rは水素原子、又は、後述する置換基Wを表す)、−C(=O)−、−S−、ヘテロ原子を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状、又は、環状の炭化水素基、及び、これらの組み合わせ等が挙げられる。
炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,9−ノニレン基、及び、1,12−ドデシレン基等の炭素原子数が1〜20個の2価の飽和炭化水素基;エテニレン基、プロペニレン基、3−ブテニレン基、2−ブテニレン基、2−ペンテニレン基、2−ヘキセニレン基、2−ノネニレン基、2−ドデセニレン基等のアルケニレン基、及び、エチニレン基等の炭素原子数が2〜20個の2価の不飽和炭化水素基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロノニレン基、シクロドデシレン基、ノルボニレン基、及び、アダマンチレン基等の炭素原子数が3〜20個の2価の環状飽和炭化水素基;1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、及び、ビフェニル−4,4’−ジイル基等の炭素原子数が6〜20個のアリーレン基等が挙げられ、2価の飽和炭化水素基が好ましく、置換基を有していてもよいアルキレン基がより好ましい。
なかでも、より優れた炎症性サイトカイン産生抑制効果を有する炎症性サイトカイン産生抑制材が得られる点で、2価の飽和炭化水素基の炭素数としては10個以下が好ましく、8個以下がより好ましく、5個以下が更に好ましく、4個以下が特に好ましく、3個以下が最も好ましい。下限としては特に制限されないが、1個以上が好ましく、2個以上がより好ましい。
なお、上記各炭化水素基が有する水素原子の一部は、後述する置換基Wによって置換されていてもよい。
ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、及び、リン原子等が挙げられる。
の2価の基としては特に制限されないが、すでに説明したLと同様の基が挙げられ、好適形態も同様である。
の3価以上の基としては特に制限されないが例えば、以下の式(3BRC)〜(6BRC)で表される基が挙げられる。なお、下記式中「*」は結合位置を表す。
式3BRC中、Lは3価の基を表す。Tは単結合又は2価の基を表し、3個のTは互いに同一でもよく異なってもよい。
としては、3価の炭化水素基(炭素数1〜10が好ましい。なお、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でもよく脂肪族炭化水素基でもよい。)、又は、3価の複素環基(5員環〜7員環の複素環基が好ましく、例えば、トリアジン環、及び、イソシアヌレート環等)が挙げられ、炭化水素基にはヘテロ原子(例えば、−O−)が含まれていてもよい。Lの具体例としては、グリセリン残基、トリメチロールプロパン残基、フロログルシノール残基、及びシクロヘキサントリオール残基等が挙げられる。
また、Lとしては以下の式で表される基も挙げられる。
上記式中、Lm〜Lmはそれぞれ独立に単結合、又は2価の基である。2価の基としては特に制限されないが、ヘテロ原子を有していてもよい飽和又は不飽和の、直鎖状、分岐鎖状、又は、環状の炭化水素基が挙げられる。また、*は結合位置を表す。
式4BRC中、Lは4価の基を表す。Tは単結合又は2価の基を表し、4個のTは互いに同一であってもよく異なっていてもよい。
なお、Lの好適形態としては、4価の炭化水素基(炭素数1〜10が好ましい。なお、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でもよく脂肪族炭化水素基でもよい。)、4価の複素環基(5〜7員環の複素環基が好ましい)が挙げられ、炭化水素基にはヘテロ原子(例えば、−O−)が含まれていてもよい。Lの具体例としては、ペンタエリスリトール残基、及びジトリメチロールプロパン残基等が挙げられる。
式5BRC中、Lは5価の基を表す。Tは単結合又は2価の基を表し、5個のTは互いに同一であってもよく異なっていてもよい。
なお、Lの好適形態としては、5価の炭化水素基(炭素数2〜10が好ましい。なお、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でもよく脂肪族炭化水素基でもよい。)、又は、5価の複素環基(5〜7員環の複素環基が好ましい)が挙げられ、炭化水素基にはヘテロ原子(例えば、−O−)が含まれていてもよい。Lの具体例としては、アラビニトール残基、フロログルシドール残基、及び、シクロヘキサンペンタオール残基等が挙げられる。
式6BRC中、Lは6価の基を表す。Tは単結合又は2価の基を表し、6個のTは互いに同一であってもよく異なっていてもよい。
なお、Lの好適形態としては、6価の炭化水素基(炭素数2〜10が好ましい。なお、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でもよく脂肪族炭化水素基でもよい。)、又は、6価の複素環基(6〜7員環の複素環基が好ましい)が挙げられ、炭化水素基にはヘテロ原子(例えば、−O−)が含まれていてもよい。Lの具体例としては、マンニトール残基、ソルビトール残基、ジペンタエリスリトール残基、ヘキサヒドロキシベンゼン、及び、ヘキサヒドロキシシクロヘキサン残基等が挙げられる。
式3BRC〜式6BRC中、T〜Tで表される2価の基の具体例及び好適形態は、すでに説明したMの2価の基と同様であってよい。
また、Mが7価以上の基である場合には、式3BRC〜式6BRCで表した基を組み合わせた基を用いることができる。
の特定置換基は、ヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、カルボキシ基、スルホン酸基、及び、メルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種であり、ヒドロキシ基、アミノ基、又は、メチル基が好ましく、アミノ基がより好ましい。
Xの、特定置換基とは異なる1価の置換基としては特に制限されず、後述する置換基Wとして例示したものが挙げられる。
より優れた本発明の効果を有する炎症性サイトカイン産生抑制材が得られる点で、A1としては、以下のA1′で表される化合物がより好ましい。
式A1′中、L12、及び、L22はそれぞれ独立に単結合又は2価の基であり、2価の基としては、式2中のLとして説明した基が挙げられ、好適形態も同様である。
式A1′中、p′は1以上の整数であり、M12は、単結合、又は、p′+1価の基である。R22は特定置換基を表し、好適形態はすでに説明したRと同様である。M12としては、すでに説明したMと同様の基が挙げられ、好適形態も同様である。
特定アミンとしては特に制限されないが、例えば、以下の式で表される化合物が使用できる。
また、特定アミンとしては、以下の化合物も使用できる。


また、特定アミンとしては、ポリエチレンイミンが好ましい。ポリエチレンイミンの分子量としては特に制限されないが、一般に、100〜1200が好ましく、200〜1000がより好ましい。
(ヒアルロン酸誘導体)
上記特定混合物は、ヒアルロン酸誘導体を含有する。特定混合物中におけるヒアルロン酸誘導体の含有量としては特に制限されないが、より優れた本発明の効果を有する炎症性サイトカイン産生抑制材が得られる点で、一般に特定混合物の全質量に対して、0.01〜10質量%が好ましい。なお、特定混合物は、ヒアルロン酸誘導体の1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有していてもよい。組成物が、2種以上のヒアルロン酸誘導体を含有する場合には、その合計含有量が上記数値範囲内であることが好ましい。
本明細書において、ヒアルロン酸誘導体には、ヒアルロン酸、及び、その誘導体が含まれる。ヒアルロン酸等としては、ヒアルロン酸(HA)、又は、その塩を使用できる。ヒアルロン酸塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、及び、テトラアルキルアンモニウム塩(例えば、テトラブチルアンモニウム(TBA)塩)等が挙げられ、例えば、医薬品として繁用されているナトリウム塩をテトラブチルアンモニウム(TBA)塩などのテトラアルキルアンモニウム塩に変換して使用することができる。HA、又は、薬学的に許容される塩は、鶏冠及び豚皮下等の生物由来のものを抽出する方法、生物発酵法等の各種公知の方法を用いて製造することができる。また、市販のものを購入して(例えば、電気化学工業株式会社、株式会社資生堂、生化学工業株式会社、R&D system社等から)使用することもできる。
ヒアルロン酸誘導体としては特に制限されないが、後述する特定ヒアルロン酸誘導体が好ましい。
HAの分子量としては特に制限されないが、数平均分子量として10万〜300万が好ましく、60万〜120万がより好ましい。
<特定ヒアルロン酸誘導体>
本発明の第2の実施形態に係る炎症性サイトカイン産生抑制材は、下記式A2で表される基を有するヒアルロン酸誘導体を(有効成分として)含有する。
式A2中、L、L、及び、Lはそれぞれ独立に、単結合、又は、2価の基を表し、Rはヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、カルボキシ基、スルホン酸基、及び、メルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の特定置換基を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、又は、上記特定置換基とは異なる1価の置換基を表し、Mは単結合、又は、p+q+1価の基を表し、Mが単結合のとき、pは1、qは0であり、Mがp+q+1価の基のとき、pは1以上の整数、qは0以上の整数を表し、複数あるL、R、L、及び、Xは、それぞれ同一でも異なってもよい。
なお、式A2中のL、L、L、R、M、p、及び、qとしては、式A1における各記号と同義であり、好適形態も同様である。
より優れた本発明の効果を有する点で、特定ヒアルロン酸誘導体は、以下のA2′で表される基を有することがより好ましい。
式A2′中、L12、及び、L22はそれぞれ独立に単結合又は2価の基であり、2価の基としては、式2中のLとして説明した基が挙げられ、好適形態も同様である。
式A2′中、p′は1以上の整数であり、M12は、単結合、又は、p′+1価の基である。R22は特定置換基を表し、好適形態はすでに説明したRと同様である。M12としては、すでに説明したMと同様の基が挙げられ、好適形態も同様である。また、式A2′中、*は結合位置を表す。
上記A2で表される基としては特に制限されないが、以下の式で表される基が挙げられる。なお、式中*は結合位置を表す。
また、式A2で表される基としては、ポリエチレンイミンの任意のアミノ基から水素原子を1つ除いた基も好ましい。上記ポリエチレンイミンの分子量としては特に制限されないが、一般に、100〜1200が好ましく、200〜1000がより好ましい。
・特定ヒアルロン酸誘導体の好適形態
なかでも、より優れた本発明の効果を有する炎症性サイトカイン産生抑制材が得られる点で特定ヒアルロン酸誘導体は、下記式1で表される繰り返し単位を有するヒアルロン酸誘導体、又は、その薬学的に許容される塩、エステル、若しくは、グルコシドであることが好ましい。
式1中、Rはすでに説明したA2で表される基である。
特定ヒアルロン酸誘導体は、上記式1で表される二糖の繰り返し単位(以下、「単位」ともいう。)におけるD−グルクロン酸の6位の炭素に式A2で表される基が導入された構造を有する。
特定ヒアルロン酸誘導体における式1で表される単位の含有量としては特に制限されないが、本ヒアルロン酸誘導体の全繰り返し単位を100モル%としたとき、0.1〜99モル%が好ましく、1〜90モル%がより好ましい。
特定ヒアルロン酸誘導体の分子量としては特に制限されないが、典型的には、10万〜300万が好ましく、60万〜120万がより好ましい。なお、本明細書においてヒアルロン酸誘導体の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定した数平均分子量である。
特定ヒアルロン酸誘導体における特定置換基の含有量としては特に制限されないが、より優れた本発明の効果を有する点で、0.10mmol/g以上が好ましく、0.40mmol/g以上がより好ましく、0.50mmol/g以上が更に好ましい。上限としては特に制限されないが、一般に2.00mmol/g以下が好ましく、1.10mmol/g以下がより好ましい。
特定置換基の含有量の測定方法としては、例えば、アミノ基であれば、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸を用いた比色試験により求めることができる。
特定置換基がアミノ基である場合、特定ヒアルロン酸誘導体中におけるカルボキシ基の含有量としては特に制限されないが、一般に、0.1〜1.2mmolが好ましく、0.1〜0.7mmol/gがより好ましく、0.1〜0.5mmol/gが更に好ましい。
なお、特定ヒアルロン酸誘導体中におけるカルボキシ基の量は、水酸化ナトリウム水溶液を用いた電位差測定による中和滴定により求めることができる。
特定ヒアルロン酸誘導体は、式1で表される単位を有していれば、本発明の効果を奏する範囲内において、他の単位、及び、部分構造を有していてもよい。他の単位としては特に制限されないが、ヒアルロン酸(N−アセチルグルコサミンとD−グルクロン酸の二糖単位が連結した構造)、及び、式1で表される単位が分子間、及び/又は、分子内で架橋した構造が挙げられる。
・製造方法
特定ヒアルロン酸誘導体の製造方法としては特に制限されないが、より簡便に特定ヒアルロン酸誘導体が製造できる点で、アルコールを含有する水溶液中で、カルボキシ基の活性化剤の存在下で、ヒアルロン酸又はその塩(以下「ヒアルロン酸等」ともいう。)と後述する式A1で表される化合物(以下、「特定アミン」ともいう。)とをアミド化反応によって結合させることを含む、特定ヒアルロン酸誘導体の製造方法が好ましい。
上記製造方法は、言い換えれば、カルボキシ基の活性化剤と、式A1で表される特定アミンと、ヒアルロン酸等と、アルコールと、水とを含有する反応溶液を調製して反応させ、ヒアルロン酸誘導体を得る、ヒアルロン酸誘導体の製造方法である。
以下では、上記反応溶液が含有する各成分について詳述する。
反応溶液は式A1で表される特定アミンを含有する。特定アミンはアミド化反応でヒアルロン酸とクロスカップリングして、ヒアルロン酸分子に特定置換基を有する基を導入する機能を有する。特定アミンとしては、特定混合物が含有する特定アミンとしてすでに説明したとおりであり、好適形態も同様である。
反応溶液中における特定アミンの含有量としては特に制限されないが、一般に、反応溶液中におけるヒアルロン酸が有するD−グルクロン酸ユニットを100モル%としたとき、1〜1000モル%が好ましく、10〜200モル%が好ましい。なお、反応溶液は、特定アミンの1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有していてもよい。反応溶液が、2種以上の特定アミンを含有する場合には、その合計含有量が上記数値範囲内であることが好ましい。
(ヒアルロン酸等)
ヒアルロン酸等としては、ヒアルロン酸(HA)、又は、その塩を使用できる。ヒアルロン酸塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、及び、テトラアルキルアンモニウム塩(例えば、テトラブチルアンモニウム(TBA)塩)等が挙げられ、例えば、医薬品として繁用されているナトリウム塩をテトラブチルアンモニウム(TBA)塩などのテトラアルキルアンモニウム塩に変換して使用することができる。HA、又は、薬学的に許容される塩は、鶏冠及び豚皮下等の生物由来のものを抽出する方法、生物発酵法等の各種公知の方法を用いて製造することができる。また、市販のものを購入して(例えば、電気化学工業株式会社、株式会社資生堂、生化学工業株式会社、R&D system社等から)使用することもできる。
HAの分子量としては特に制限されないが、数平均分子量として10万〜300万が好ましく、60万〜120万がより好ましい。
反応溶液中におけるヒアルロン酸等の含有量としては特に制限されないが、より均一に反応が進行しやすい点で、反応溶液中の溶媒の含有量を100質量部としたとき、0.01〜50質量部が好ましい。
なお、反応溶液は、ヒアルロン酸等の1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有していてもよい。反応溶液が、2種以上のヒアルロン酸等を含有する場合には、その合計含有量が上記数値範囲内であることが好ましい。
(カルボキシ基の活性化剤)
カルボキシ基の活性化剤としては特に制限されないが、カルボジイミド化合物を含有ことが好ましい。カルボジイミド化合物としては、例えば、EDC(1−ethyl−3−(3−dimethylaminopropyl)carbodiimidehydrochloride)、EDCと類似した構造を有する1−alkyl−3−(3−dimethylaminopropyl)carbodiimides、ETC(1−ethyl−3−(3−(trimethylammonio)propyl)carbodiimide)、及び、CMC(1−cyclohexyl−3−(2−morpholinoethyl)carbodiimide)等が挙げられる。
反応溶液中におけるカルボキシ基の活性化剤の含有量としては特に制限されないが、より均一に反応が進みやすい点で、反応溶液中のヒアルロン酸等のD−グルクロン酸ユニットを100モル%としたとき、1〜1000モル%が好ましく、10〜200モル%が好ましい。なお、反応溶液は、カルボキシ基の活性化剤の1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有していてもよい反応溶液中が、2種以上のカルボキシ基の活性化剤を含有する場合には、その合計含有量が上記数値範囲内であることが好ましい。
(アルコール)
一般に、ヒアルロン酸を分散させた水溶液中にアルコールを添加すると、ヒアルロン酸が凝集し、典型的には粒子状になることが知られており、アミド化反応の進行が不均一となりやすいと考えられてきた。そのため、アミド化反応をより均一に進行させる観点では、反応溶液中にアルコールを添加することはこれまで、検討されてこなかった。
しかし、本発明者の鋭意の検討によって、上記アミノ化反応をアルコールを含有する水溶液中で進行させると、特定置換基の導入量を容易に制御できること、特に、特定置換基の導入量をより向上させることができる、言い換えれば反応効率をより向上させることができることを見出した。
上記の機序は必ずしも明らかではないが、反応溶液中にアルコールが存在すると、ヒアルロン酸等の分子間/分子内の水素結合がより阻害される結果、特定置換基が導入されやすくなったためと考えられる。
アルコールとしては特に制限されず、分子内にヒドロキシ基を1個有する1価のアルコール、及び、ヒドロキシ基を2項以上有する多価のアルコールのいずれも使用でき、また、これらの混合物も使用できる。
また、アルコールの炭素数としては特に制限されないが、より均一な反応溶液が得られる点で、炭素数が1〜10個が好ましく、1〜6個がより好ましく、1〜4個が更に好ましい。
炭素数が1〜4個のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、及び、2−メトキシ−2−プロパノール等の1価のアルコール(モノオール);エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,4−ブチンジオール、及び、ジエチレングリコール等の2価のアルコール(ジオール);グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、及び、エリスリトール等のポリオールが挙げられる。
なかでも、特定置換基をより効率よく導入できる点で、アルコールとしては、1価のアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、及び、2−プロパノールからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、エタノール、プロパノール、及び、2−プロパノールからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましい。
反応溶液中におけるアルコールの含有量としては特に制限されないが、特定置換基の導入率をより容易に制御しやすい点、一般に溶剤中における水の含有量を100体積%としたとき、10〜200体積%が好ましく、20〜130体積%がより好ましい。
反応溶液は、アルコールの1種を単独で含有してもよく、2種以上を含有していてもよい。反応溶液が、2種以上のアルコールを含有する場合には、その合計含有量が上記数値範囲内であることが好ましい。
(その他の成分)
反応溶液は上記以外の成分を含有してもよい。上記以外の成分としては、例えば、反応補助剤、及び、pH調整剤等が挙げられる。
反応補助剤は、活性エステルを形成可能な物質であることが好ましい。反応補助剤としては、例えば、NHS(N−Hydroxysuccinimide)、HOBt(1−hydroxybenzotriazole)、HOOBt(3,4−dihydro−3−hydroxy−4−oxo−1,2,3−benzotriazine)、HOAt(1−hydroxy−7−azabenzotriazole)、及び、Sulfo−NHS(N−hydroxysulfosuccinimide)等が挙げられる。反応補助剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
pH調整剤としては特に制限されないが、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(THAM)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、モルホリノエタンスルホン酸(MES)、カルバモイルメチルイミノビス酢酸(ADA)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、コラミン塩酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、アセトアミドグリシン、トリシン、及び、グリシンアミド等が挙げられる。pH調整剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
反応溶液を調製する方法としては特に制限されず、上記の各成分を混合すればよい。なかでも特定置換基をより効率よく導入できる点で、pH調整剤と水とを含有する溶剤にヒアルロン酸等を溶解させ、次いでカルボキシ基の活性化剤と必要に応じて反の補助剤を添加して撹拌して溶解させ、最後にアルコールを添加する方法が好ましい。
調製された反応溶液中でアミド化反応を行う際の温度としては特に制限されないが、20〜30℃で2〜6時間撹拌すればよい。
また、本製造方法は、反応後の反応溶液を精製する工程を更に有していてもよい。精製方法としては特に制限されないが、透析、及び/又は、凍結乾燥等が挙げられる。
<用途>
本抑制材は、実施例で示すとおり、マクロファージに作用して炎症性サイトカインの産生を抑制可能である。また、本ヒアルロン酸誘導体は、炎症抑制材としても使用できる。
実施例で示すとおり、本抑制材が水を含有する場合、ハイドロゲルが形成され、上記ハイドロゲルはチキソトロピー性を有し、シリンジ等で注入するのに適した特性を有している。上記ハイドロゲルを注入すると、患部の炎症が抑制され、治癒が促される。
対象となる炎症性疾患としては、特に制限されないが、関節炎、動脈硬化、心筋梗塞、脊髄損傷、肝炎、心膜炎、褥瘡、及び、皮膚や消化管粘膜における創傷治癒等が挙げられる。
また、再生医療分野において、細胞移植の際の細胞の足場材料としても使用することができる。本抑制材に移植細胞を内包して移植することで、ホストの免疫細胞の攻撃(免疫拒絶反応)から保護することができる。
また、美容分野において、スキンケア剤の添加剤として用いることで、過剰な炎症反応を抑制することができる。さらに、美容整形外科領域におけるヒアルロン酸注射の代替物として用いることで、炎症を抑えることができる。
本抑制材は、本発明の効果を奏する範囲内においてその他の成分と混合して用いてもよい。その他の成分としては、希釈剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、補助剤、防腐剤、緩衝剤、結合剤、安定剤、界面活性剤、脂質、及び、基材等が挙げられる。また、投与経路は非経口的経路であっても経口的経路であってもよいが、非経口的経路が好ましい。
本抑制材は、スプレー、ドライパウダーインヘーラー、滴下、イオントフォレーシス、エレクトロポレーション、及び、ソノフォレーシス(超音波)等のデバイスを用いる経粘膜又は経皮投与方法や、マイクロカニューレ、マイクロニードル、無針注射、及び、研磨等による経粘膜又は経皮投与方法により投与できる。また、錠剤、タブレットによる経口投与、経膣投与、及び、直腸投与もできる。注射器を用いた投与も可能である。クリームや軟膏、シップ剤も可能である。
[ハイドロゲル]
本発明の実施形態に係るハイドロゲル(以下、「本ハイドロゲル」ともいう。)は、本抑制材と水とを含有するハイドロゲルである。特に制限されないが、本ハイドロゲルは、常温常圧において、流動性の無いことが好ましい。
本ハイドロゲルは本抑制材と水とを含有し、水の含有量としては特に制限されず、用途に応じて適宜調整できる。一般に、水の含有量としては、ハイドロゲルの全質量の1〜99質量%が好ましく、80〜99質量%がより好ましい。
本ハイドロゲルは、架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては特に制限されないが、アルデヒド基、N−ヒドロキシスクシンイミド基、及び、イソシアネート基等を有する化合物(高分子化合物であってもよい)、粒子、並びに、ファイバー等を用いることでハイドロゲルを形成することもできる。架橋剤の添加によって力学強度を向上させることができる。
架橋剤としては特に制限されないが、例えば、以下の式で表されるスルホン化セルロースを用いてもよい。
上記式中、k、m、及び、nは、各繰り返し単位のモル%を表し、特に制限されないが、kは25〜95モル%が好ましく、40〜90モル%がより好ましい。mは4〜70モル%が好ましく、7〜60モル%がより好ましい。nは1〜70モル%が好ましく、10〜30モル%がより好ましい。
上記スルホン化セルロースは、下記式に示すグルコース単位の3位と4位の間が開環されて、スルホン化された構造を含むセルロースである。
上式は、水中等においてスルホン基(−SOH)が解離された状態を示し、対カチオンはNaに限定されずプロトン、K等であってよい。
スルホン化セルロースは、例えばHenrikki Liimatainenら,Cellulose(2013)20:741-749に記載された下記式に示す経路で合成することができる。

先ず、原料セルロースを水に分散させ、分散液を得る。上記分散液に、セルロース中のグルコース単位の量(k)を100モル%としたときに50〜200モル%の過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO)を添加し、遮光しながら、40〜60℃で2〜6時間撹拌することによって、アルデヒド化セルロースを生成する。
次に減圧濾過によって未反応物を含む水溶液を除去し、超純水で洗浄する操作を数回繰り返した後に凍結乾燥することで、アルデヒド化セルロースの乾燥粉末を得る。上記式において、kの初期値を100モル%としたときに、mは1〜80モル%、好ましくは10〜50モル%である。
アルデヒド基の量は、水酸化ナトリウム水溶液を用いた導電率測定による中和滴定により求めることができ、0.5〜8ミリモル/g、好ましくは1〜7ミリモル/g、より好ましくは1〜5ミリモル/gである。
原料セルロースとしては、例えば、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、綿系パルプ等の植物、動物等から得られたセルロース、これらを用いた紙、古紙等を用いることができる。
次いで、アルデヒド化セルロースを超純水に分散させ、ピロ亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5)を、アルデヒド基量を100モル%として20〜200モル%、好ましくは50〜150モル%で添加して、室温で12〜24時間、攪拌しながら反応させる。生成物を遠心分離により回収し、超純水等で洗浄して未反応物を除去して精製した後、超音波ホモジナイザーによって10〜30分間程度ホモジナイズすることによって、スルホン化セルロースのナノファイバー(「sCNF」と略す場合がある)を得ることができる。収率は、約80〜90%である。
sCNFは生分解性である。本発明において「生分解性」は37℃のp7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、1日で1重量%以上分解したことにより確認した。この生分解性は、原料セルロースのグルコース単位の量(k)の初期値を100モル%としたとき、m+n、即ち開環された単位が、少なくとも1モル%、好ましくは10〜50モル%であることによるものと考えられる。また、sCNFは開環単位を有することによって、X線回折測定による結晶化度が20〜70%であり、90%程度の結晶化度を有する原料セルロースに比べて低い。
〔添加剤等〕
本ハイドロゲルは、その他の成分を含有していてもよく、デリバリーしたい各種薬剤、及び、タンパク質等を配合し、これらの局所デリバリー担体、又は、徐放性デリバリー担体として使用してもよい。
薬剤としては、例えば炎症薬、抗血栓薬、抗生物質、線維芽細胞増殖因子、血管内皮細胞増殖因子、及び、肝細胞増殖因子等の成長因子が挙げられる。
また、ワクチンとして、ウイルスや癌の抗原タンパク質を担持することで、ワクチンキャリアとして使用してもよい。
[置換基W]
1価の置換基Wとしては特に制限されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、及び、エイコシル基等の炭素数1〜20のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロノニル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の炭素数3〜20のシクロアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、2−ノネニル基、及び、2−ドデセニル基等の炭素数2〜20のアルケニル基;
フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、及び、4−フェニルフェニル基等の炭素数6〜20のアリール基;
フェニルメチル基、1−フェニレンエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニル−1−プロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、2−フェニル−2−プロピル基、3−フェニル−1−プロピル基、4−フェニル−1−ブチル基、5−フェニル−1−ペンチル基、及び、6−フェニル−1−ヘキシル基等の炭素数7〜20のアラルキル基;
これら水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子(フッ素、塩素、及び、臭素が好ましい)で置換された基;及び、
メトキシ基、エトキシ基、及び、プロポキシ基等のアルコキシ基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボ二ル基、n−ブトキシカルボニル基、及び、t−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;等が挙げられる。
また、置換基Wとしては、複素環基(ヘテロ環基)、シアノ基、ニトロ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH))、及び、ホスファト基(−OPO(OH))等も挙げられる。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
また、以下の実施例で説明する図面中のグラフにおけるエラーバーは、いずれも標準偏差を意味する。
[ヒアルロン酸誘導体の調製]
表1に示すヒアルロン酸誘導体、HA1〜6を合成した。未修飾ヒアルロン酸(反応前のヒアルロン酸)は、HA0とした。
まず、250mgの鶏冠由来ヒアルロン酸(分子量60〜120万)を撹拌子で撹拌しながら50mLの2−モルホリノエタンスルホン酸緩衝液に溶解し、分散液を得た。次に、分散液にヒアルロン酸中のD−グルクロン酸単位の量(n)を100モル%としたときに10〜200モル%のエチレンジアミン(EDA)及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)と終濃度10mMのN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を添加し、撹拌そた。そこに、緩衝液の20%〜130%(体積)のエタノールを添加し、20〜30℃で2〜6時間撹拌することによって、ヒアルロン酸誘導体を合成した。次に透析膜(分子量分画:3500〜15000Da)を用いた透析によって未反応物を除去し、凍結乾燥することで、ヒアルロン酸誘導体の乾燥粉末を得るた。アミノ基の量は、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸を用いた比色試験により求め、またカルボキシ基の定量は、電位差測定による中和滴定により求めた。
表1中、「HA(g)」とあるのは、反応溶液中のヒアルロン酸の含有量(g)であり、「Ethylene diamine(mmol)」とあるのは、反応溶液中のエチレンジアミンの含有量(mmol)であり、「EDC(mmol)」とあるのは、反応溶液中の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩の含有量(mmol)であり、「NHS(mM)」とあるのは、反応溶液中のN−ヒドロキシスクシンイミドの含有量(mmol/L)であり、「MES buffer(mL)」とあるのは、反応溶液中の2−モルホリノエタンスルホン酸緩衝液の含有量(mL)であり、「Ethanol(mL)」とあるのは、反応溶液中のエタノールの含有量(mL)であり、「Turbidity」とあるのは、反応溶液の濁度を示しており、「Clear」とあるのは、目視で透明であると判断された状態にあったこと、「Turbid」とあるのは、目視で、濁った状態にあったことを示しており、「Redsidual amino group(mmol/g)」とあるのは、得られたヒアルロン酸誘導体について、定量された(第1級)アミノ基の量であり、「Redsidual carboxylic group(mmol/g)」得られたヒアルロン酸誘導体について、定量されたヒドロキシ基の量である。
また、エチレンジアミンに代えて、ポリエチレンイミン(日本触媒社製、商品名「エポミン」、平均分子量300)を用いて、上記と同様にしてヒアルロン酸誘導体を得た。結果を表2に示した。
表2中、「PEI(mmol)」とあるのは、反応溶液中のポリエチレンイミンの含有量(mmol)であり、Amine/COOHとあるのは、ポリエチレンイミンに含まれるアミノ基とヒアルロン酸に含まれるカルボキシ基の比であり、EDC/COOHとあるのは、仕込んだEDCのモル数とヒアルロン酸中に含まれるカルボキシ基のモル数の比であり、その他は表1と同義である。
<ヒアルロン酸誘導体の同定>
ヒアルロン酸誘導体の構造を同定するため、1H核磁気共鳴分光(H NMR)法とフーリエ変換赤外分光(FT−IR)法による測定を実施した。図1には、ポリエチレンイミンを導入したヒアルロン酸誘導体(表2中の「PHEIA10」)のH NMRスペクトルを示した。なお、図1中、「HA」はヒアルロン酸、「PEIHA」は「PEIHA10」のそれぞれのスペクトルを表す。
また、図2には、エチレンジアミンを導入したヒアルロン酸誘導体のFT−IR)スペクトルを示した。図2中、「HA3」はエチレンジアミンを導入したヒアルロン酸誘導体のスペクトル、「HA0」はヒアルロン酸のスペクトルを示している。
図1に記載されたとおり、PEIHAのスペクトルには、ポリエチレンイミンのメチレン部分のピークが検出された。また、図2に記載されたとおり、誘導体化によって1725cm−1付近のC=O伸縮のピークが消失していることから、カルボキシ基がエチレンジアミンと反応しており、エチレンジアミンが導入されていることが確認できた。
<粘度測定>
粘弾性測定装置(「Rheoplus」、アントンパール社)を用いて、ヒアルロン酸誘導体水溶液の粘度を測定した。1質量%のHA3の水溶液(超純水、pH=7)100μLを粘弾性測定装置(レオメーター)のステージにのせ、直径10mmの治具で挟み込んだ。測定中、ステージの温度は25℃とした。結果を図3に示した。
図3に示した結果から、せん断速度を変化させ、粘度を測定したところ、せん断速度の増加に伴った粘度の低下が見られたことから、ヒアルロン酸誘導体はシェアシニング特性を有していることが分かった。
また、未修飾ヒアルロン酸であるHA0の粘度と比較して、HA1及びHA2は粘度が上昇していた。これはヒアルロン酸の架橋によって高分子量化したためであると考えられる。一方で、HA3においては、粘度が低下しており、これはエチレンジアミンの導入に伴った分子内及び分子間での水素結合の低下によるものだと考えられる。
<粘弾特性>
ヒアルロン酸は高濃度で水に溶解すると高粘性液体となる。HA3を5、7.5、10質量%で超純水に溶解し、100μLをレオメーターのステージにのせ、直径10mmの治具で挟み込んだ。測定中、ステージの温度は25℃とした。結果を図4及び図5に示した。
直径10mmの円盤状の治具で固定し、ひずみを変化させたところ、0.1%〜100%のひずみの範囲においては、線形の粘弾特性を示した(図4)。また、濃度依存的にせん断弾性率は増加し、7.5重量%以上で貯蔵弾性率(G′)が損失弾性率(G″)を上回っており、高濃度領域ではゲル化していることが示された。一方で、周波数依存性を評価したところ、低周波数領域ではG″がG′を上回っており、粘性体であり、硝子体などのような粘弾特性を示した(図5)。
<チキソトロピー性>
チキソトロピー性とは、せん断に対して粘度が低下し、負荷を止めると再び粘度が回復する性質のことであり、シリンジ等を用いたインジェクタブル材料に非常に適した性質である。
粘弾性測定装置を用いて、10質量%のHA3水溶液(超純水、pH=7)のひずみ変化に対するせん断弾性率の変化を測定した。測定中、ステージの温度は25℃、測定時の周波数は1Hzで実験を行った。直径10mmの円盤状の治具で固定しひずみを2分毎に1%、300%と変化させたときの弾性率を測定した。結果を図6に示した。
図6に示したように、1%から300%へとひずみを増加させるとG′が大きく低下し、再び1%にひずみを戻すと、G′が回復することが分かった(図6)。この操作を複数回繰り返しても、G′はもとの値へと回復した。この結果より、ヒアルロン酸誘導体ハイドロゲルは、チキソトロピー性を有していることが明らかとなった。
<ヒアルロン酸誘導体が細胞生存率及び細胞増殖に与える影響>
ヒアルロン酸誘導体の細胞毒性と細胞増殖への影響について、マウスマクロファージ様細胞(RAW264.7)を用いて評価した。RAW264.7細胞はRPMI1640培地(10%ウシ胎児血清、1%ペニシリンストレプトマイシン)を用いて37℃、5%COのインキュベーターで培養した。1×10個のRAW264.7細胞を96ウェルプレートに播種し、24時間予備培養した。HA0、及び、HA3を細胞培養培地に0.3〜5mg/mLで溶解し、各ウェルに100μLずつ添加し、細胞生存率評価では3時間、細胞増殖試験では24時間培養した。
また、コントロールとして、培地のみを加えたサンプル(コントロール)と炎症を惹起する細菌由来の毒素であるリポ多糖(LPS)を100ng/mLで添加したサンプルを用いた。
培養完了後、細胞数カウンティングキット(WST−8、DOJINDO)を用いて細胞数を定量した。細胞生存率を図7に、播種細胞数に対する増殖度(細胞増殖試験結果)を図9に示した。
その結果、最も高濃度である5mg/mLにおいても細胞生存率は高く、高い細胞適合性が示された(図7)。また、細胞増殖に関しては、高濃度領域においては、若干の増殖率の低下が見られた。
また、図8には、エチレンジアミンに代えてポリエチレンイミンを用いた場合の細胞生存率の測定結果を示した。ポリエチレンイミンを用いた場合も、エチレンジアミンを用いた場合と同様、細胞生存率は低下しなかった。なお、図8中、PEIHAは「PEIHA10」を意味する。
<細胞の形態への効果>
1×10個のRAW264.7細胞を96ウェルプレートに播種し、24時間予備培養した。培地で5mg/mLに調製したHA0及びHA3に、LPSを添加し100ng/mLとした。
この溶液を各ウェルに100μLずつ添加し、24時間培養した。コントロールとして、培地のみを加えたサンプル(コントロール)とLPSを100ng/mLで添加したサンプルを用いた。
培養後の細胞の形態を位相差顕微鏡を用いて観察したところ、元々丸い形態であるRAW264.7細胞が、LPS刺激によって伸展している様子が観察された(図10)。HA0とLPSとを同時に添加したサンプルにおいては、細胞の形態に変化はなかった一方で、HA3を用いたサンプルにおいては、細胞の形態が丸く、コントロールに近い形態であった。このことから、HA3は炎症状態を緩和し、未刺激の状態へと近づける効果があることが分かった。
図11には、同様のサンプルの蛍光顕微鏡像から算出した接着面積を示した。図11の結果から、LPS+HA3は、LPSのみ、及び、LPS+HA0と比較して接着面積がより狭く、LPS刺激による伸展がより抑制されていることがわかった。
<炎症性サイトカインの産生評価>
1×10個のRAW264.7細胞を96ウェルプレートに播種し、24時間予備培養した。培地で5mg/mLに調製したHA0、及び、HA3に、LPSを添加し100ng/mLとした。この溶液を各ウェルに100μLずつ添加し、24時間培養した。コントロールとして、培地のみを加えたサンプル(コントロール)とLPSとを100ng/mLで添加したサンプルを用いた。
培養後、上清を回収し、酵素結合免疫吸着法(ELISA)によって、上清中に含まれている炎症性サイトカインの一種である腫瘍壊死因子(TNF−α)の濃度を定量した。その結果、LPSのみを添加した場合はTNF−αが800pg/mL産生されるのに対して、HA3を同時に添加することによって、3.5倍以上TNF−αの産生を抑制することができた(図12)。一方で、未修飾のヒアルロン酸であるH0は全く抗炎症効果を示さなかった。HA0とHA3の濃度依存性についても同様の手法を用いて評価したところ、HA3は濃度の増加に伴ってTNF−αの産生量を低減しており、5mg/mLで最も強い抗炎症効果を示した。一方でHA0においては、いずれの濃度においても抗炎症効果は見られなかった(図13)。
また、図14には、エチレンジアミンに代えて、ポリエチレンイミン(平均分子量300)、及び、1,4−ジアミノブタンを用いてそれぞれ合成した特定ヒアルロン酸誘導体を用いた場合の結果を示した。
図14中、EDA−HAとあるのは、エチレンジアミンを用いたものであり、C4とあるのは、エチレンジアミンに代えて、1,4−ジアミノブタンを用いたものであり、PEIHAとあるのは、ポリエチレンイミンを用いたものである。
図14に示した結果から、式A1及びA2におけるLの炭素数が3個以下である、EDA−HA、及び、PEIHAは、炭素数が4個であるC4と比較して、より優れた炎症性サイトカイン産生抑制効果を有していることがわかった。
なお、図14中の縦軸は、LPSにおけるTNF−αの産生量を1としたときの各試料のTNF−αの産生量を比で表している。
<ヒアルロン酸誘導体作製条件が抗炎症性に与える影響>
ヒアルロン酸誘導体を作製する際に添加するエタノールの量と抗炎症効果の関係について評価を行った。HA3を作製する条件において、エタノール量を0〜65mLまで変化させ、ヒアルロン酸誘導体を合成した。炎症性サイトカインの産生評価でしたのと同様の手法によって、TNF−αの産生量を定量した。
その結果、エタノールを添加しなかった場合にはほとんど抗炎症効果が見られず、50mLエタノールを添加した条件で最も高い抗炎症効果が見られた(図15)。
また、添加するEDAと抗炎症効果との関係についても同様に評価した(図16)。ヒアルロン酸誘導体を作製時に添加するEDAとEDCの量を種々変化させた、HA1〜HA6を用いて実験を行った。なお、その結果、HA1、HA2、HA3とEDA量を増加させたサンプルにおいてより強い抗炎症効果が見られた。
図16に示した結果から、アミノ基の含有量が0.10mmol/g以上であるHA3は、優れた抗炎症性を有していることがわかった。また、アミノ基の含有量が0.40mmol/g以上であるHA3は、HA1と比較してより優れた抗炎症性を有していることがわかった。また、アミノ基の含有量1.10mmol/gであるHA3はより優れた抗炎症性を有していることがわかった。
特定アミンとしてポリエチレンイミンを用いた場合の反応溶液中のポリエチレンイミンの含有量と炎症性サイトカイン産生抑制効果との関係(但し、EDCはヒアルロン酸に含まれるカルボキシ基に対して10モル%で固定)を図17に示した。
図17から、ヒアルロン酸が有するカルボキシ基に対する、ポリエチレンイミンが有するアミノ基の量(モル比)が0.5(50%)以上であると、より優れた炎症性サイトカイン産生抑制効果を有する特定ヒアルロン酸誘導体が得られることがわかった。
また同様にして、反応溶液中のEDCの含有量と炎症性サイトカイン産生抑制効果との関係(但し、ポリエチレンイミンは、ヒアルロン酸に含まれるカルボキシ基に対して50モル%で固定)を図18に示した。
<EDA以外の分子修飾の効果>
ヒアルロン酸に修飾する官能基の効果を評価するために、EDAの代わりに、エタノールアミンを修飾して抗炎症効果を評価した。エタノールアミンについては、30モル%のエタノールアミンを添加して、HA11を合成した。これらのヒアルロン酸誘導体を用いて、抗炎症性を評価した。結果を図19に示した。
上記の結果、HA11についても抗炎症効果が得られた。
<初代マクロファージ細胞に対する抗炎症効果>
3×10個のマウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)細胞を96ウェルプレートに播種し、24時間予備培養した。培地で5mg/mLに調製したHA0、及び、PEIHA10、又は、0.5mg/mLに調製したポリエチレンイミン(PEI300)に、LPSを添加し100ng/mLとした。この溶液を各ウェルに100μLずつ添加し、24時間培養した。
また、コントロールとして、LPSを100ng/mLで添加したサンプルを用いた。
培養後、上清を回収し、ELISA法によって、上清中に含まれているTNF−αの濃度を定量した。結果を図20に示した。なお、図20中、「LPS」とあるのは、上記コントロールを意味し、「PEI」とあるのはポリエチレンイミン(平均分子量300)のみを用いたもの、「HA」とあるのは、ヒアルロン酸のみを用いたもの、「PEIHA」とあるのは上記ポリエチレンイミンで修飾されたヒアルロン酸を意味する。
図20に示したとおり、PEIHAはPEI及びHAのそれぞれ単独で用いたのと比較して、TNF−αの産生が抑制されていることがわかった。
<初代マクロファージ細胞の生存率に対する影響>
3×10個のBMDMを96ウェルプレートに播種し、24時間予備培養した。培地で調製したポリエチレンイミン(PEI300)、HA0、PEIHA10に、LPSを添加し100ng/mLとした。なお、PEI300とPEIHA10は、第一級アミノ基の量が0.3〜9mMとなるように溶液の濃度を調整した。HA0はPEIHA10と同じ質量%とした。この溶液を各ウェルに100μLずつ添加し、24時間培養した。コントロールとして、LPSを100ng/mLで添加したサンプルを用いた。培養後、WST−8法を用いて細胞生存率を評価した。
図21に示したとおり、PEIHAはPEIを単独で用いたのと比較して、高い細胞生存率を示すことが明らかとなった。
<初代マクロファージ細胞の生存率に対する影響>
3×10個のBMDMを96ウェルプレートに播種し、24時間予備培養した。培地で調製したPEIHA10またはPEI300とHAの混合物に、LPSを添加し100ng/mLとした。なお、PEI300とPEIHA10は、第一級アミノ基の量が0.3〜9mMとなるように溶液の濃度を調整した。HAの濃度はPEIHA10と同じ質量%とした。この溶液を各ウェルに100μLずつ添加し、24時間培養した。コントロールとして、LPSを100ng/mLで添加したサンプルを用いた。培養後、WST−8法を用いて細胞生存率を評価した。
図22に示したとおり、PEIとHA(図中、「PEI+HA」と記載した。)の混合物、及び、PEIHAは、どちらも高い細胞生存率を示すことが明らかとなった。
<ファゴサイトーシス>
ファゴサイトーシスとは、マクロファージなどの貪食細胞による貪食のことを指し、マクロファージが異物を除去するために行う。蛍光ビーズ(フルオレセインが微粒子に固定、粒径が100nm)を用いて、ヒアルロン酸誘導体がファゴサイトーシスに与える効果を調べた。1×10個のRAW264.7細胞を96ウェルプレートに播種し、24時間予備培養した。
培地で5重量%に調製したHA0及びHA3に、蛍光ビーズを添加し各ウェルに100μLずつ添加し、24時間培養した。コントロールとして、蛍光ビーズ懸濁液のみを加えたサンプル(コントロール)を用いた。培養後、リン酸緩衝液(PBS)によって各ウェルを洗浄し、蛍光顕微鏡によって観察した(図23上段、画像上、白く見える部分が蛍光染色された部分である)。
コントロールでは、各細胞に蛍光染色部分がみられるが、HA3添加試料では見られなかった。
また、1%ドデシル硫酸ナトリウム/0.1MNaOHを100μL添加することで細胞を溶解し、蛍光マイクロプレートリーダーを用いて各ウェルの蛍光強度を算出した(図23下段)。その結果、コントロールと比較して、HA0とHA3を加えたサンプルにおいては、ファゴサイトーシスが大幅に抑制されていた(図23下段)。これらの結果より、ヒアルロン酸誘導体はマクロファージの機能を抑制することで、抗炎症効果を発現していることが示唆された。
<ヒアルロン酸誘導体が細胞生存率及び細胞増殖に与える影響>
ヒアルロン酸誘導体の細胞取り込みを評価するために、蛍光ラベル化HA3を作製した。HA3を合成する行程において、EDAを添加するときに、同時にフルオレセインアミン(0.02mmol)を添加した。フルオレセインアミンのアミノ基とヒアルロン酸のカルボキシ基が反応することで蛍光色素をヒアルロン酸に導入することができる。得られた蛍光HA3を培地に溶解し、0.6〜5mg/mLの濃度でRAW264.7(1×10個播種し24時間予備培養)に添加した。培養後、PBSで各ウェルを洗浄し、1%ドデシル硫酸ナトリウム/0.1MNaOHを100μL添加することで細胞を溶解し、蛍光マイクロプレートリーダーを用いて各ウェルの蛍光強度を算出した。その結果、蛍光HA3の濃度の増加に伴った取り込み量の増加が確認された(図24)。
<架橋によるハイドロゲルの作製>
ハイドロゲルの力学強度の向上を目的として、アルデヒド基を含むスルホン化ナノセルロース(sNC)を用いた。sNCのアルデヒド基とヒアルロン酸誘導体に導入したアミノ基は、イミン形成によって分子間で結合するため、sNCによってヒアルロン酸誘導体を架橋することが可能である。2質量%のsNC溶液(超純水、pH=8)と5質量%のHA3溶液(0.1Mホウ酸バッファー、pH=9)を50μLずつ素早く混合してハイドロゲルを作製し、その粘弾特性を粘弾性測定装置によって評価した。プレゲル溶液100μLを粘弾性測定装置のステージにのせ、直径10mmの円盤状の治具で固定し、25C、ひずみ1%、周波数1Hzで測定を行った。その結果、溶液の貯蔵弾性率G′(中黒丸)が経時的に増加する様子が観察され、ゲル化が起きていることが確認された(図25)。およそ2時間後にはG′はプラトーに達し、イミン形成の反応が完了していると考えられる。なお、損失弾性率G″は図中、中白丸で示した。
本酸誘導体は、高い安全性と高い抗炎症性を示すインジェクタブルゲルを形成可能であり、抗炎症性材料として医療用途に大変有用である。

Claims (16)

  1. ヒアルロン酸誘導体と、式A1で表される化合物と、を含有するか、又は、
    式A2で表される基を有する特定ヒアルロン酸誘導体を含有する、炎症性サイトカイン産生抑制材。
    (式A1中、及び、式A2中、L、L、及び、Lはそれぞれ独立に、単結合、又は、2価の基を表し、Rはヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、カルボキシ基、スルホン酸基、及び、メルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の特定置換基を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、又は、前記特定置換基とは異なる1価の置換基を表し、Mは単結合、又は、p+q+1価の基を表し、Mが単結合のとき、pは1、qは0であり、Mがp+q+1価の基のとき、pは1以上の整数、qは0以上の整数を表し、複数あるL、R、L、及び、Xは、それぞれ同一でも異なってもよく、*は結合位置を表す。)
  2. 前記特定ヒアルロン酸誘導体が、下記式1で表される繰り返し単位を有するヒアルロン酸誘導体、又は、その薬学的に許容される塩、エステル、若しくは、グルコシドである請求項1に記載の炎症性サイトカイン産生抑制材。

    (式1中、Rは式A2で表される基であり、式A2中、L、L、及び、Lはそれぞれ独立に、単結合、又は、2価の基を表し、Rはヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、カルボキシ基、スルホン酸基、及び、メルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の特定置換基を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、又は、前記特定置換基とは異なる1価の置換基を表し、Mは単結合、又は、p+q+1価の基を表し、Mが単結合のとき、pは1、qは0であり、Mがp+q+1価の基のとき、pは1以上の整数、qは0以上の整数を表し、複数あるL、R、L、及び、Xは、それぞれ同一でも異なってもよく、*は結合位置を表す。)
  3. 前記Rがアミノ基である、請求項2に記載の炎症性サイトカイン産生抑制材。
  4. 前記アミノ基の含有量が、0.10mmol/g以上である、請求項3に記載の炎症性サイトカイン産生抑制材。
  5. 前記アミノ基の含有量が、0.40mmol/g以上である、請求項3に記載の炎症性サイトカイン産生抑制材。
  6. 前記アミノ基の含有量が、0.50mmol/g以上である、請求項3に記載の炎症性サイトカイン産生抑制材。
  7. 前記アミノ基の含有量が、1.10mmol/g以下である、請求項2〜6のいずれか1項に記載の炎症性サイトカイン産生抑制材。
  8. マクロファージに作用して炎症性サイトカインの産生を抑制する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の炎症性サイトカイン産生抑制材。
  9. 水を含有するハイドロゲルである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の炎症性サイトカイン産生抑制材。
  10. 下記式1で表される繰り返し単位を有するヒアルロン酸誘導体、又は、その薬学的に許容される塩、エステル、若しくは、グルコシド。

    (式1中、Rは式A2で表される基であり、式A2中、L、L、及び、Lはそれぞれ独立に、単結合、又は、2価の基を表し、Rはヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、カルボキシ基、スルホン酸基、及び、メルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の特定置換基を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、又は、前記特定置換基とは異なる1価の置換基を表し、Mは単結合、又は、p+q+1価の基を表し、Mが単結合のとき、pは1、qは0であり、Mがp+q+1価の基のとき、pは1以上の整数、qは0以上の整数を表し、複数あるL、R、L、及び、Xは、それぞれ同一でも異なってもよく、*は結合位置を表す。)
  11. 前記Rがアミノ基である、請求項10に記載のヒアルロン酸誘導体。
  12. 前記アミノ基の含有量が、0.10mmol/g以上である、請求項11に記載のヒアルロン酸誘導体。
  13. 前記アミノ基の含有量が、0.40mmol/g以上である、請求項11に記載のヒアルロン酸誘導体。
  14. 前記アミノ基の含有量が、0.50mmol/g以上である、請求項11に記載のヒアルロン酸誘導体。
  15. 前記アミノ基の含有量が、1.10mmol/g以下である、請求項11〜14のいずれか1項に記載のヒアルロン酸誘導体。
  16. アルコールを含有する水溶液中で、カルボキシ基の活性化剤の存在下で、ヒアルロン酸又はその塩と式A1で表される化合物とをアミド化反応によって結合させることを含む、請求項11〜15のいずれか1項に記載のヒアルロン酸誘導体を製造するための、ヒアルロン酸誘導体の製造方法。

    (式A1中、L、L、及び、Lはそれぞれ独立に、単結合、又は、2価の基を表し、Rはヒドロキシ基、メチル基、アミノ基、カルボキシ基、スルホン酸基、及び、メルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の特定置換基を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、又は、前記特定置換基とは異なる1価の置換基を表し、Mは単結合、又は、p+q+1価の基を表し、Mが単結合のとき、pは1、qは0であり、Mがp+q+1価の基のとき、pは1以上の整数、qは0以上の整数を表し、複数あるL、R、L、及び、Xは、それぞれ同一でも異なってもよい。)

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