JP2021031014A - ダウンフォース発生装置および車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】サスペンションを構成するバネやダンパー等を過度に硬く設定しなくても、操縦安定性が確保され、操縦安定性と乗車時における快適性とを両立させることが可能なダウンフォース発生装置およびそのダウンフォース発生装置を備えた車両を提供する【解決手段】ダウンフォース発生装置1は、車軸に装着される車軸装着部115と、その車軸装着部と一体的に形成されている空力部材8とを有し、空力部材は、下向き揚力を生成し得る翼型を有するウイング3と、そのウイングの車軸の中心軸線上に沿った車幅方向外側に固定されている翼端板とを有し、車軸装着部が車軸に装着されたときに、その車軸に装着されるホイールから空力部材が外向きに張り出すように配置される。【選択図】図1

Description

本発明は、車両のダウンフォースを発生させるダウンフォース発生装置およびそのダウンフォース発生装置を備えた車両に関する。
従来、車両において、路面に向かうダウンフォースを発生させるダウンフォース発生装置が知られている。例えば、特許文献1には、車体の裏面からエア吸引を行うことによって、車体と路面との間に負圧を発生させ、それによってダウンフォースを発生させるダウンフォース発生装置が開示されている。また、特許文献2には、走行風により渦流を発生させる渦流発生手段を車両床下に揺動自在に設けて渦流を発生させ、それによる負圧でダウンフォースを発生させるダウンフォース発生装置が開示されている。また、特許文献3には、車両の裏面側に可動アンダーボディを設け、それによって、車両が走行するときに圧力の低下した加速空気圧が形成され、その加速空気圧によって、サスペンション末端に印加されるダウンフォースが発生するダウンフォース発生装置が開示されている。
そして、特に後輪を駆動する後輪駆動車の場合、車両の前方に配置されている左右の前タイヤについて、路面との接地力を高めることが求められている。そのため、従来、前タイヤに加わる車体重量の一部及び車両前方に備えた空力パーツによってダウンフォースを発生させることがあった。この場合、発生させたダウンフォースがサスペンションを介して左右の各フロントアクスルに伝えられる。また、そこから前タイヤにダウンフォースが伝えられ、それによって接地力が確保される。こうして、従来、車両において、特に後輪駆動車が高速走行するときやコーナーリング時における操縦安定性の向上が図られていた。
特開2004−249788号公報 特開2010−47190号公報 特表2015−515410号公報
しかしながら、従来技術のように、ダウンフォースが左右のスペンションを介して左右の前タイヤに伝えられる場合には、バネやダンパーといった各サスペンションを構成している部分(「サスペンション部分」ともいう)でダウンフォースが減衰してしまう。
その一方、サスペンション部分でのダウンフォースの減衰を軽減する対応策として、サスペンションにおいて、バネやダンパーを硬めに設定するという対応策があった。
ところが、このような対応策では、バネやダンパーが硬めに設定されているがゆえに車両の乗り心地が損なわれる。したがって、従来のダウンフォース発生装置には、操縦安定性と快適性とを両立させることが困難であるという課題があった。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、サスペンションを構成するバネやダンパー等を過度に硬く設定しなくても、高速走行時やコーナーリング時における操縦安定性が確保され、それにより、操縦安定性と乗車時における快適性とを両立させることが可能なダウンフォース発生装置およびそのダウンフォース発生装置を備えた車両を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、車軸に装着される車軸装着部と、車軸装着部と一体的に形成されている空力部材とを有し、その空力部材は、路面に向かう下向き揚力を生成し得る翼型を有するウイングと、そのウイングの車軸の中心軸線上に沿った車幅方向外側に固定されている翼端板とを有し、車軸装着部が車軸に装着されたときに、その車軸に装着されるホイールから空力部材が外向きに張り出すように配置されるダウンフォース発生装置を特徴とする。
上記ダウンフォース発生装置では、車軸装着部は、車幅方向と交差する車長方向に沿った断面が流線形に形成されている整流翼部を有することが好ましい。
また、上記ダウンフォース発生装置では、車軸装着部は、車軸の外端部に外側から螺合し、かつ断面が多角形に形成されている角筒状部材を有し、その角筒状部材に係合する角穴部が整流翼部に形成されていることが好ましい。
さらに、上記ダウンフォース発生装置では、車軸装着部がナット部を備えたネジ受部材を有し、空力部材は、翼端板およびウイングを連通している貫通孔が形成され、その貫通孔に挿通されてネジ受部材のナット部に螺合する固定部材を更に有し、ウイングの車幅方向内側に固定されている内側翼端板を更に有することが好ましい。
そして、本発明は、車軸に装着される車軸装着部と、その車軸装着部と一体的に形成されている空力部材とを有し、その空力部材は、路面に向かう下向き揚力を生成し得る翼型を有するウイングと、そのウイングの車軸の中心軸線上に沿った車幅方向外側に固定されている翼端板とを有し、車軸装着部が車軸に装着されたときに、その車軸に装着されるホイールから空力部材が外向きに張り出すように配置され、空力部材は、ウイングとの間にスリットを形成し得る回動可能状態でウイングの近傍に配置されているフラップを有するダウンフォース発生装置を提供する。
また、上記ダウンフォース発生装置の場合、フラップを回動させるフラップ回動機構を更に有することが好ましい。
さらに、車軸装着部は、車幅方向と交差する車長方向に沿った断面が流線形に形成されている整流翼部を有し、車軸装着部は、車軸の外端部に外側から螺合し、かつ断面が多角形に形成されている角筒状部材を有し、その角筒状部材に係合する角穴部が整流翼部に形成されていることが好ましい。
本発明に係るダウンフォース発生装置によって、特に、車体前方の空力部材によるダウンフォース発生装置によって発生させたダウンフォース量が適用される。これにより、車体前方の空力部材の小型化を図れ、車体側のドラック量の低減を図ることもできる。
また、ウイングに加えて、フラップを有するダウンフォース発生装置では、フラップの迎角を可変することによって、走行中の車両が必要としているダウンフォースを任意に得ることができ、上述した効果をさらに高めることができる。また、フラップの迎角を弱めることによって不必要なドラッグの発生を防止することもできる。
そして、本発明は、ダウンフォース発生装置が両側の非駆動輪に装着されている車両であって、そのダウンフォース発生装置は、車軸に装着される車軸装着部と、その車軸装着部と一体的に形成されている空力部材とを有し、その空力部材は、路面に向かう下向き揚力を生成し得る翼型を有するウイングと、そのウイングの車軸の中心軸線上に沿った車幅方向外側に固定されている翼端板とを有し、車軸装着部が車軸に装着され、かつ、その車軸に装着されるホイールから空力部材が外向きに張り出すように配置されている車両を提供する。
さらに、本発明は、ダウンフォース発生装置が両側の非駆動輪に装着されている車両であって、そのダウンフォース発生装置は、車軸に装着される車軸装着部と、その車軸装着部と一体的に形成されている空力部材とを有し、その空力部材は、路面に向かう下向き揚力を生成し得る翼型を有するウイングと、そのウイングの車軸の中心軸線上に沿った車幅方向外側に固定されている翼端板とを有し、車軸装着部が車軸に装着され、かつ、その車軸に装着されるホイールから空力部材が外向きに張り出すように配置され、空力部材は、ウイングとの間にスリットを形成し得る回動可能状態でウイングの近傍に配置されているフラップを有する車両を提供する。
上記車両において、ダウンフォース発生装置が両側の非駆動輪としての前輪に装着されているようにすることができる。
以上詳述したように、本発明によれば、サスペンションを構成するバネやダンパー等を過度に硬く設定しなくても、高速走行時やコーナーリング時における操縦安定性が確保され、それにより、操縦安定性と乗車時における快適性とを両立させることが可能なダウンフォース発生装置およびそのダウンフォース発生装置を備えた車両が得られる。
ダウンフォース発生装置のスピンドルの中心軸線方向に沿った縦断面を示す断面図である。 ダウンフォース発生装置が装着されているタイヤ、ホイールおよびダウンフォース発生装置の要部を示す斜視図である。 ダウンフォース発生装置が装着されている部分の図1と同様の一部省略した断面図である。 ダウンフォース発生装置の要部の分解斜視図である。 (a)は、本発明の実施の形態に係るダウンフォース発生装置を構成する角筒状部材に形成されたネジ穴を模式的に示す側面図、(b)は、(a)とは異なる方向に配置固定された角筒状部材のネジ穴を模式的に示す側面図、(c)は、ネジ受部材の構成を模式的に示す斜視図である。 左前タイヤにネガティブのキャンバー角を与えた場合のスピンドル2の中心軸線AーA´の縦断面図である 空力部材の構成を模式的に示す平面図である。 (a)は、一例に係るスパナを示す斜視図、(b)は他例に係るスパナを示す斜視図である。 スパナAの使用例を模式的に示す側面図である。 スパナAの他の使用例を模式的に示す側面図である。 スパナAの他の使用例を模式的に示す側面図である。 さらに他例に係るスパナを示す斜視図である。 さらに別のスパナを示す斜視図である。 角筒状部材に空力部材をヘックスローブ型空力部材固定ネジによって一体化して固定した場合におけるヘックスローブ型空力部材固定ネジ中心軸線の車長前後方向を模式的に示す縦断面図である。 図14に示すヘックスローブ型空力部材固定ネジより短い空力部材固定ネジによって角筒状部材に空力部材を一体化して固定した場合における空力部材固定ネジの中心軸線の車長前後方向を模式的に示す縦断面図である。 ホイールの縦断面図及びホイール中央部に嵌め込む環状キャップを模式的に示す縦断面図である。 ホイールの縦断面図及びホイール側面部に嵌め込むホイールキャップを模式的に示す縦断面図である。 ホイールの縦断面図及び角筒状部材5に嵌め込む空力部材8を模式的に示す縦断面図である。 両翼端板間に、ウイングとその後方にフラップを加えて備えた空力部材における車長前後方向を模式的に示す横断面図である。 車両前方のフロントバンパーにおける左右の両コーナーに形成したダクトの位置を模式的に示す平面図である。 ダウンフォース発生装置におけるスピンドルの中心軸線AーA´を模式的に示す横断面図である。 フレキシブルインナーケーブル一方の端末に固定された端末継ぎ手を模式的に示す構成図である。 引張コイルばねの取り付け位置を模式的に示す構成図である。 フラップ駆動部を模式的に示す側面図である。 フラップ駆動部を、フラップ駆動部を構成する巻取部側から見た模式的に示す平面図である。 フレキシブルインナーケーブル一方の端末に固定されたボールターミナル形の端末継ぎ手を模式的に示す構成図である。 フレキシブルインナーケーブル一方の端末に固定されたロックターミナルフォーク形の端末継ぎ手を模式的に示す構成図である。 フレキシブルインナーケーブルの遊びを調整する調整ネジ支持部と位置調整ネジと固定用ネジによって構成する調整機構をフレキシブルインナーケーブルの中心軸線方向上の断面を模式的に示す断面図である。 フラップ駆動部を巻取部側から見たフラップ駆動部を模式的に示す構成図である。 フラップ駆動部におけるS―S断面部を図29の示す矢印方向から見た模式的に示す断面図である。 空力部材を構成するフラップの支持軸に固定されたホーンと、ホイールカバーの車幅方向内側に設けた突起部間に引張コイルばねが掛けられ、フラップの中央部に固定されたホーンにフレキシブルインナーケーブルが取り付けられた構成を模式的に示す平面図である。 角筒状部材の内スペースにフラップ駆動部を配置固定したダウンフォース発生装置におけるスピンドルの中心軸線AーA´の模式的平面図及び、フラップ支持軸に固定されたホーンとモータの出力軸に固定したホーン間をプッシュプルロッドによって連結した構成を示す段違い模式的平面図である。 ハブキャップ中央部にオイルシールを嵌挿したハブキャップをフロントハブの開口端に被せた模式的な断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るダウンフォース発生装置1は、空力部材8と、車軸装着部115とを有している。ダウンフォース発生装置1が車両(例えば、後述する後輪駆動車の車両100)に装着される際、車軸装着部115が後輪駆動車の非駆動輪としての前輪に装着される。その場合、車軸装着部115が左右の前輪の延設したフロントアクスル(車軸)に装着され、空力部材8の後述するウイング3が車軸の中心軸線上、左右それぞれ設定された同一の位置で同一の迎角を成す所定の位置に配置される。ウイング3で発生させたダウンフォースが左右それぞれのフロントアクスルから、左右の各ホイールに装着した各前タイヤに伝えられる。よって、ダウンフォース発生装置1では、発生させたダウンフォースを、フロントサスペンションを介することなく、車体外側から前タイヤへ直接伝達できる。そのため、ダウンフォース発生装置1は左右の前タイヤの路面rとの接地力を高めることができる。
また、バネやダンパーの硬さが高めに設定される必要がないため、乗り心地が損なわれることがない。その結果、操縦安定性と乗車時における快適性とを両立させることが可能なダウンフォース発生装置1およびそのダウンフォース発生装置を備えた車両100が得られる。
ダウンフォース発生装置1およびそのダウンフォース発生装置を備えた車両100では、路面rに対する前タイヤの接地面圧の均等化を図ることができる。また、前タイヤの路面rに対する接地力の向上とともに、タイヤトレッド全面が効率良く使用されるという効果も得られる。その結果、雪道や凍結した道路、滑りやすい道路等での操縦安定性の向上も図ることができる。また、高速走行中も前タイヤの接地力が確実に確保されるため、高速走行時における操縦安定性も高めることができる。
そして、ダウンフォース発生装置1では、前タイヤの接地力の向上が容易に確保されるが、接地力アップのために車両を四輪駆動車のような複雑な構造にする必要もない。そのため、構造の複雑化に起因した車重増加やコストアップのおそれがない。また、車両の加速及び減速性能の向上、燃費の向上、さらには二酸化炭素の排出量低減といった効果も得られる。
続いて、本発明の第1の実施の形態に係るダウンフォース発生装置1について、図面を参照して説明する。ダウンフォース発生装置1は、運転席より後方でかつ後方の車軸よりも後方のエンジンによって後輪を駆動する後輪駆動車(RR車ともいう)、運転席より後方でかつ運転席と後方の車軸との間のエンジンによって後輪を駆動するフォーミュラカー(タイヤが露出し、屋根がなく、自動車競争専用に製造された単座席のレーシングカー)を含む後輪駆動車(MR車ともいう)、運転席より前方のエンジンによって後輪を駆動する後輪駆動車(FR車ともいう)等で使用される。ダウンフォース発生装置1は、これらの車両に対して、左右の各前タイヤを支持するナックル(ステアリングナックルともいう)2Aの車軸としてのスピンドル2の外側先端部(後述する中心軸線AーA´方向の先端部分であり、「外端部」ともいう)に、後述するウイング3が仰角固定された状態(左右それぞれのウイング3について、ホイールからの張出位置と、路面rに対する迎角とが設定した同一の位置、同一の仰角となって固定されている状態)で装着される。
また、ダウンフォース発生装置1は、運転席より前方のエンジンで前輪を駆動する前輪駆動車(FF車ともいう)では、非駆動輪である左右の各後タイヤを支持する各車軸の外端部(中心軸線AーA´方向の先端部分)に対し、ウイング3が仰角固定された状態で装着される(FF車は図示省略)。
そして、ダウンフォース発生装置1について、後輪駆動の車両100(図20参照)に装着されている場合を例にとって、図面を参照して説明する。ここで、図1は、ダウンフォース発生装置1のスピンドル2の中心軸線方向に沿った縦断面を示す断面図である。図2はダウンフォース発生装置1が装着されているタイヤ130、ホイール129およびダウンフォース発生装置1の要部(主に空力部材8)を示す斜視図である。図3は、ダウンフォース発生装置1が装着されている部分の図1と同様の一部省略した断面図である。図4はダウンフォース発生装置1の要部の分解斜視図である。
なお、車両100では、右前タイヤ(運転席から見て右側の前輪タイヤ)を支持する右のナックル2Aのスピンドル2にもダウンフォース発生装置1が装着される。この場合も、ダウンフォース発生装置1のウイング3が仰角固定された状態で装着される。
ダウンフォース発生装置1は、車軸装着部115と、車軸装着部115と一体的に形成されている空力部材8とを有している。車軸装着部115は、車軸(本実施の形態では、ナックル2Aのスピンドル2が外向きに延設され、そのスピンドル2の延設された外側先端部であり、「外端部」ともいう)に装着される部材であり、後述する整流翼部15、角筒状部材5、ネジ受け部材14、ロックネジ6を有している。空力部材8は、路面rに向かう下向き揚力を生成し得る翼型を有するウイング3と、ウイング3の、車軸の中心軸線AーA´上に沿った車幅方向の両側に固定されている一対の翼端板(内側翼端板16、外側翼端板10)とを有している。ダウンフォース発生装置1は、図2、図3に示すように、車軸装着部115がスピンドル2の外端部に装着されたときに、そのスピンドル2に装着されるホイール129から空力部材8が外向きに張り出すように配置される構造を有している。
車両100では、ダウンフォース発生装置1が装着されるにあたり、スピンドル2が幅方向外側に向かって延設されている。図1,図3に示すように、そのスピンドル2には、センターハブナット4が螺合されており、そのセンターハブナット4よりも外側に突出している部分の一部が外端部になっている。センターハブナット4によって、図示しないハブベアリングがスピンドル2の中心軸線AーA´方向の先端部に留め置かれている。また、そのスピンドル2の外端部に対して角筒状部材5がねじ込まれている。角筒状部材5は、スピンドル2の外側のロックネジ6にもねじ込まれている。角筒状部材5は、断面が多角形であり、スピンドル2の外端部およびロックネジ6の外周面に応じた雌ネジを有するネジ穴が内側に形成されている筒状部材である。図示した角筒状部材5は、断面が正六角形状に形成されているが、断面が正八角形状でもよく、正五角形状、正方形状でもよい。スプライン突出部も考えられる。
角筒状部材5は、スピンドル2の外端部およびロックネジ6の外周面に外側から螺合する。その雌ネジは、車幅方向外側からねじ込むロックネジ6を十分にねじ込むことが可能な部分を有している。角筒状部材5をスピンドル2にねじ込んだ後に、スピンドル2における中心軸線AーA´方向及び周方向の設定した基準の位置に後述するスパナA,スパナB等を用いて図9〜図11に示すように、後述するブレーキキャリパー7に一体化して留め置いておき、あらかじめ角筒状部材5に雌ネジにねじ込んでおいたロックネジ6を締め込む。こうすることによって、スピンドル2の外端部とロックネジ6とが互いに角筒状部材5を引っ張り合う。こうして、角筒状部材5が、スピンドル2における中心軸線AーA´方向及び周方向の設定した基準の位置に堅牢に固定される。
そして、角筒状部材5の六角形をなす各角部間の距離は、タイヤ130やブレーキパッド、ブレーキローター103等の交換時に、タイヤ130を嵌め込んだホイール129の中央開口部が挿通可能な寸法に設定されている。また、角筒状部材5の車幅方向の全長は、車軸装着部115が装着されたときに、ウイング3が設定した所定の位置に固定される長さに形成されている。
また、図5(a)に示すように、角筒状部材5は、車幅方向外側の外先端面9が六角形状に形成されており、図5(c)に示すネジ受部材14がその外先端面9に固定される。外先端面9には、図5(a)に示すように、スピンドル2の中心軸線AーA´方向と平行する方向に6つのネジ穴9a、9b、9c、9d、9e、9fが形成されている。ネジ受部材14は、後述する整流翼部15が角筒状部材5に嵌め込まれた後、空力部材8を固定しておくための部材である。ネジ受部材14は、ナット部13を有している。ナット部13は、後述する空力部材固定ネジ12の先端ネジ部に応じたねじ溝が形成されている。そして、角筒状部材5の所定の位置に整流翼部15が嵌め込まれた後、空力部材8の外側翼端板10から、外側翼端板10、ウイング3、内側翼端板16を貫通する貫通孔11に空力部材固定ネジ12が挿通されたときに、空力部材固定ネジ12がナット部13に螺合して空力部材8が固定される。
そして、本実施の形態では、角筒状部材5について、スピンドル2の周方向に基準の位置(周方向基準の位置)が設定されている。例えば、図5(a)に示すように、角筒状部材5の6つの外側面のうち、相対する一組の二面(図中上面と下面)が、スピンドル2の中心軸線AーA´を含む鉛直面V―V´と直交致する場合を周方向基準の位置に設定している。外先端面9の六カ所のネジ穴9a〜ネジ穴9fは、スピンドル2の中心軸線AーA´を挟む対称の位置にそれぞれ形成されていて、ネジ穴9b、ネジ穴9eが周方向基準の位置に応じたネジ穴になる。
また、周方向基準の位置は上記に限定されるものではない。例えば、図5(b)に示す角筒状部材5における六角の内、スピンドル2の中心軸線AーA´を挟んで相対する一組の二角を結ぶ平面が、スピンドル2の中心軸線AーA´を含む鉛直面V―V´と一致する位置を周方向基準の位置としてもよい。車両100の左右両側に装着されるダウンフォース発生装置1について、双方のウイング3が仰角固定された状態で装着されるように周方向基準の位置が設定され、その設定された周方向基準の位置に角筒状部材5が固定されればよい。
そして、角筒状部材5の雌ネジにロックネジ6がねじ込まれて、角筒状部材5が、スピンドル2の外端部に周方向基準の位置で固定された後に、ネジ受部材14が、外先端面9のネジ穴9b及びネジ穴9eの二カ所にネジ等の固着具によって固定される。又は、鉛直面V―V´と直交する平面P―P´を挟んで上下対称の四カ所に形成されているネジ穴9a、ネジ穴9f、ネジ穴9c、ネジ穴9dにネジ受部材(この場合のネジ受部材は図示省略)が固定されてもよい。ネジ受部材は、特定した数カ所のネジ穴に固定されてもよいし、ネジ穴9aからネジ穴9f までの内、一カ所ずつ空けて三カ所のネジ穴に固定されてもよい(この場合もネジ受部材は図示省略)。ネジ受部材がネジ穴9b及びネジ穴9eの二カ所に固定される場合に、図4に示すネジ受部材14のような二本足状のネジ受部材が固定される。
なお、ネジ受部材14が角筒状部材5の外先端面9に固定されるときに、頭にプラス又はマイナス等の溝が切ってあるネジを採用して固定した場合は、ネジ頭上面と各ネジ穴とネジ穴間の平面とが同一面か、又は、各ネジ穴とネジ穴間の平面がネジ頭上面より高くなるように、各ネジ穴の開口部上面が同一面より凹んで形成されることが好ましい。また、頭付きネジに替えて皿ネジで固定した場合は、固定した後に、皿ネジ上面と各ネジ穴とネジ穴間の平面が同一面に構成するか、または、各ネジ穴とネジ穴間の平面が皿ネジ上面より高くなるように、各ネジ穴の開口部上面が、同一面より凹んで形成される。また、空力部材8を構成する整流翼部15の内部に開口する角穴部17の底部が、同一面に当接して空力部材8における車幅方向の所定の位置に配置固定される。
そして、ネジ受部材14が、角筒状部材5の外先端面9に固定されたときに、ネジ受部材14のナット部13における中心軸線は、前タイヤに付けられたポジティブやネガティブのキャンバー角に関係なく設定される。例えば、車両完成時(静止時)において、人が乗車しない空車状態や、複数名乗車した乗車状態等、何らかの条件を基準に、ウイング3に発生したダウンフォースが路面rに向かう下向き(真下)に作用するように空力部材8(ウイング3)が配置固定された場合に、ウイング3が水平面と平行になるように、ナット部13における中心軸線がネジ受部材14に配置固定される。よって、前タイヤにポジティブ又はネガティブのキャンバー角を与えた場合において、ウイング3に発生したダウンフォースが真下に作用するように空力部材8(ウイング3)が配置固定されたときには、スピンドル2における中心軸線AーA´上と一致することはない。
ただし、例えば、図6に示すように、左前タイヤにネガティブのキャンバー角が与えられている場合において、空力部材8を構成するウイング3で発生したダウンフォースが真下に作用するようにウイング3を配置した場合に、スピンドル2における中心軸線AーA´の延長線上に、ネジ受部材14のナット部13の中心軸線と、空力部材固定ネジ12の中心軸線とを一致させた場合には、この限りではない。
さらに、ネジ受部材14に代えて、ロックネジ6の先端に、車幅方向外側からロックネジ6の中心軸線(スピンドル2おける中心軸線AーA´上)方向に雌ネジを形成し、その雌ネジに空力部材固定ネジ12をねじ込んで空力部材8を固定する方法も考えられる。なお、図1に示す、ネジ受部材14に配置固定されたナット部13における中心軸線は、前輪タイヤにニュートラルキャンバーを付けているために、スピンドル2における中心軸線AーA´上に、ナット部13の中心軸線と、空力部材固定ネジ12の軸中心線とが重なることとなる。
また、空力部材8を固定する構造としては、上記以外に次のような構造も考えられる。後述する図18に示す実施形態と同様に、ウイング3を、スピンドル2における中心軸線AーA´よりも下方(上方も可)に配置し、内側翼端板16におけるウイング3の上方部(下方部も可)に空力部材固定ネジ12の差し込み孔を形成し、その差し込み孔に空力部材固定ネジ12を挿通してナット部13にねじ込み、空力部材8を角筒状部材5に固定する方法も考えられる。この場合、後述する角穴部17の中心軸線は、スピンドル2における中心軸線AーA´上と一致する。また、ウイング3は、前タイヤにネガティブやポジティブのキャンバー角に関係なく、水平面と平行するように、内側翼端板16に一体化されている。
続いて、車軸装着部115の整流翼部15と、空力部材8とについて説明する。図1に示すように、整流翼部15は、空力部材8より車幅方向内側の、角筒状部材5の周囲の空気流を整流するための部材である。整流翼部15は、図4に示すように、車軸の中心軸線AーA´上に沿った車幅方向と交差する車長方向に沿った断面が流線形に形成されている。整流翼部15は、水平方向を向いて角筒状部材5の周囲を覆う対称翼形状(図14、図15参照)を有している。整流翼部15には、後述する角穴部17が形成されている。その角穴部17が角筒状部材5に外側から嵌め合わされることによって、車軸装着部115が車軸に装着される。
また、空力部材8は、内側翼端板16、ウイング3、外側翼端板10を有している。整流翼部15の車幅方向外側に、空気流を仕切って整流する垂直方向を向く内側翼端板16が配置されている。さらに、内側翼端板16の外側に、ウイング3が配置され、ウイング3の車幅方向外側に、空気流を仕切って整流する垂直方向を向く外側翼端板10が配置されている。内側翼端板16、ウイング3、外側翼端板10が一体的に形成されて空力部材8が形成されている。内側翼端板16、外側翼端板10はともに概ね矩形状で、かつ下側から上側に向かうにしたがい後方向rr側に後退している形状(図19参照)を有している。ウイング3は、路面rに向かう下向き揚力を生成し得る翼型を有している。ウイング3は、上面を通過する空気流の速度に対して下面を通過する空気流の速度を速めて両者の速度差によってダウンフォースを発生させるための部材である。ウイング3は、車軸装着部115が仰角固定された状態で車軸に装着されたときに、水平方向を向くように形成されている。
空力部材8は、次のようにして製造することができる。空力部材8を、図7に示す、L―L´線部分で前方部と後方部とに二分割して製造し、製造した前方部と後方部間に、例えば、整流翼部15内部の金属製等の角穴部17を、前方部と後方部間に介して接着剤等によって一体化して空力部材8とする方法がある。また、空力部材8をM―M´線部分で二分割して製造し、整流翼部15と内側翼端板16を一体化するとともに整流翼部15内部に金属製等の角穴部17を接着剤等によって一体化し、さらに、ウイング3と外側翼端板10を一体化して製造し、二分割して製造した両者を接着剤等によってさらに一体化して空力部材8とする方法もある。また、内側翼端板16と外側翼端板10をあらかじめ製造しておき、内側翼端板16と外側翼端板10を、一対の成形型内に設置するとともに、強化基材や必要に応じてインサート材(ウレタンフォーム、ナット部13、金属等の補強材)を設置し、型を閉締した後、樹脂入り口より樹脂を注入して強化基材に浸透させて成形し空力部材8とする方法や、そしてさらに、全てを一体化して製造する方法等、各種製造方法が考えられる。これらの製造方法は、適宜選択することができる。
以上のようなダウンフォース発生装置1は、車両100に対して、スピンドル2の外端部に、周方向基準の位置に仰角固定された状態で装着されることによって使用される。そして、車両100が路上を走行するときは、車両100が図2に示す前方向rfに進行する。そのとき、前方向rfから後方向rrに向かう風圧や、タイヤ130からの振動等による、曲げ、ねじり等の負荷を受けるが、それらに対して、ダウンフォース発生装置1が全体で耐えられる構造を有している。
例えば、一対の成形型内に、強化基材や必要に応じてインサート材(ウレタンフォーム)、金属製の角穴部17や繊維強化プラスチック(FRP)やガラス繊維強化プラスチック(GFRP)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等によってあらかじめ製造された角穴部17と補強材等を設置し、型を閉締した後、樹脂入り口より樹脂を注入して強化基材に浸透させて成形するRTM成形法によって、空力部材8を製造する方法がある。また、成形型に、繊維強化プラスチック(FRP)やガラス繊維強化プラスチック(GFRP)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等を張り込んで、金属製や前記FRP製、GFRP製、CFRP製等の角穴部17や補強材、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂等による母材によって、最終的な形状に成形して空力部材8を製造する方法等も考えられる。成形法により、最終製品の寸法・形状、機械的特性、コスト等が変化する。よって、要求品質を踏まえて適切な成型法を選択してダウンフォース発生装置1を構成する空力部材8が製造される。
そして、整流翼部15には、図1、図4に示すように、角穴部17が形成されている。角穴部17は、角筒状部材5に外側から係合する構造を有し、断面が角筒状部材5に応じた六角形状に形成されている。この角穴部17が車幅方向に沿って外側から角筒状部材5に嵌め込まれることによって、整流翼部15(車軸装着部115)が車軸に装着されるので、車軸装着部115と一体化されている空力部材8が仰角固定された状態で固定される。
なお、整流翼部15における車幅方向内側の端部位置(図1に示すXーX´)は、ホイール側面部及びホイール中央開口部の車幅方向外側に当接せずに、当接する直前までに設定される。角穴部17が角筒状部材5に嵌め込まれてその底部が角筒状部材5の外先端面9に当接し(図1参照)、角穴部17と角筒状部材5の係合状態が得られることによって空力部材8が緊密に保持される。さらに、整流翼部15における車幅方向の全長は、採用するブレーキキャリパー7における車幅方向の全幅によって異なり、車種によって最適な全幅に設定される。
角穴部17は、繊維強化プラスチック(FRP)やガラス繊維強化プラスチック(GFRP)また炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等によって整流翼部15と一体で成形するか、上述したように、一対の成形型内に金属製の角穴部17を設置するか、又は金属製の角穴部17を、空力部材8を構成する整流翼部15の内部に接着剤によって固定する方法等が考えられ、これらの方法が適宜選択される。
次に、組み付け方法の一例について図1を用いて説明する。まず、ウイング3をスピンドル2の中心軸線AーA´方向の外端部に、仰角固定された状態で固定するために、角筒状部材5がスピンドル2の外端部の中心軸線AーA´方向および周方向基準の位置(中心軸線AーA´方向および周方向基準の位置を「設定組付け位置」ともいう)に堅牢に固定される。このとき、角筒状部材5の車幅方向内側の端面がセンターハブナット4の車幅方向外端面に当接するまでねじ込むが、角筒状部材5の雌ネジによっては、角筒状部材5のねじ込みが設定組付け位置で完了しない(特に、ねじ込みが完了した時点で、角筒状部材5が周方向基準の位置からずれる)おそれもある。
そこで、本実施の形態では、製造した全ての角筒状部材5がスピンドル2の設定組付け位置に留め置かれるようにするため、図8(a),(b)に示すスパナAが使用される。この場合、角筒状部材5をスピンドル2にねじ込んだ後に、スパナAを使用して、角筒状部材5を、図9に示す、ブレーキキャリパー7側(ブレーキキャリパー7は、ナックル2Aに固定されているために、スピンドル2との位置関係が変化しない部分である)と一体化させて、スピンドル2の設定組付け位置に留め置いておく。
ここで、スパナAは、図8(a)に示すように、その一方に、角筒状部材5における六角柱に車幅方向外側から嵌め込み可能な角孔部18を備え、また、他方に、ブレーキキャリパー7側に形成した差込孔部19(図9参照)に差し込むための部材であって、車幅方向内側に向けて突出する円柱状突部20を備え、角孔部18と円柱状突部20とが柄によって連結されている。
円柱状突部20は、図8(a),(b)に示すように、その中心軸線が、角孔部18における六角面の内、相対する一組の平行な二面を二分割する分割面と同一面上でスピンドル2の中心軸線AーA´と平行になるように形成されている。よって、スパナAにおいては、左右の各角筒状部材5を、左右それぞれのナックル2Aを構成するスピンドル2の設定組付け位置に留め置くときに共通工具として使用することができる。
そして、スパナAを使用して角筒状部材5をブレーキキャリパー7側と一体化させて、スピンドル2の設定組付け位置に留め置くことができるように、ブレーキキャリパー7側には、左右のブレーキキャリパー7に形成した差込孔部19の中心軸線が、スパナAの角孔部18における相対する二面を二分割する分割線と同一線上に位置するように、左右のナックル2Aにブレーキキャリパー7が固定されている。また、設計する時点で、左右のブレーキキャリパー7側に形成される差込孔部19の形成位置や、左右のブレーキキャリパー7に形成されるブレーキキャリパー固定用ボルトのネジ穴、さらに、左右のナックル2Aに形成されるブレーキキャリパー固定用ボルトの挿通孔の形成位置関係等を、スパナAを使用することができるように、あらかじめ考慮しておくことが好ましい。
また、スパナAは、左右の各角筒状部材5を、左右それぞれのスピンドル2の設定組付け位置に留め置くときに共通工具として使用することができる。左右のブレーキキャリパー7に形成される差込孔部19を、図10及び図11に示すように、何らかの理由により異なる位置に形成しても、スパナA を共通工具として使用可能な位置に差込孔部19が形成された場合には、左右の各角筒状部材5を、左右それぞれのスピンドル2の設定組付け位置に留め置くことができる。なお、左右のブレーキキャリパー7に形成する差込孔部19を、図10又は図11に示す形成位置に統一してもよい。
そして、既にスピンドル2に固定されているセンターハブナット4の車幅方向外側面部に当接するまで角筒状部材5がねじ込まれた後、その角筒状部材5に対してスパナAの角孔部18が嵌め込まれる。このとき、スパナAの円柱状突部20が、ブレーキキャリパー7の差込孔部19と一致するまで戻す角度が最も少ない角筒状部材5の位置に、車幅方向外側からスパナAの角孔部18をわずかに嵌め込む(スパナAの円柱状突部20がブレーキキャリパー7の差込孔部19に入らない程度)。次いで、スパナAの円柱状突部20が、ブレーキキャリパー7の差込孔部19と一致するまでスパナAを戻し、スパナAの円柱状突部20の位置がブレーキキャリパー7の差込孔部19と一致したところで、円柱状突部20をブレーキキャリパー7の差込孔部19に押し込む。すると、スパナAの角孔部18がブレーキキャリパー7の差込孔部19に嵌まり込むとともに、スパナAの角孔部18が角筒状部材5のさらに奥側へ摺動して嵌まり続け、角筒状部材5をスピンドル2の設定組付け位置に留め置くことができる。
スパナAによって、角筒状部材5を、スピンドル2の設定組付け位置に留め置いたら、次いで角筒状部材5の内周面の雌ネジに、車幅方向外側からあらかじめねじ込んでおいた、例えば、頭部に四角柱又は六角柱付きのロックネジ6を規定のトルクで締め付ける。こうすることにより、角筒状部材5は、供回りせずに、スピンドル2の設定組付け位置に堅牢に本固定することができる。
角筒状部材5を、スピンドル2の設定組付け位置に堅牢に固定した後に、ブレーキキャリパー7と角筒状部材5のそれぞれに嵌め込まれたスパナAは取り外しておく。それ以後も、スパナAは、フロントハブを正確かつ滑らかに回転させるためのインナー・アウターのハブベアリング交換時等において、角筒状部材5をスピンドル2から取り外し、再び、角筒状部材5をスピンドル2の設定組付け位置に堅牢に固定するための必要工具として、車載工具として車に携帯しておくか、または、整備工場で特殊工具として用意しておくことが好ましい、整備工場において、角筒状部材5をスピンドル2の設定組付け位置に堅牢に固定するのかどうかは、車両製造メーカーが選択し決定するとよい。
また、車両製造メーカーにおいても、角筒状部材5をスピンドル2の設定組付け位置に堅牢に固定するために、スパナAを使用して作業を行うとよい。
また、スパナAに代えて、図12に示すように、外側が解放されたオープン六角孔21が一方に形成され、他方に車幅方向内側に向けて突出させた角柱状突部22が形成されているスパナBを用いることができる。スパナBの場合、角柱状突部22がブレーキキャリパー7の外側に形成された図示しないコの字型差し込み口に嵌め込まれる。さらに、図13に示すように、スパナCを用いることができる。スパナCでは、角孔部18における六カ所の角の内、スピンドル2の中心軸線AーA´を挟んで相対する一組の二カ所の角を結ぶ平面が、スピンドル2の中心軸線AーA´と、円柱状突部20の中心軸線とを含む平面と直交する。
さらに、前述したスパナA、スパナB、スパナCのように、円柱状突部20や角柱状突部22を設けずに、スパナの他方を、ブレーキキャリパー7における下端部や突出部(ピストンが筒内を摺動するシリンダーの外部)等に当てておいて、スパナの回転を阻止することによって、角筒状部材5を、スピンドル2の設定組付け位置に留め置くこともできる。また、車両を水平面に配置する必要があるが、水平面に配置した車両におけるフロントフェンダーのアーチ部分に、スパナの他方に設けた円柱形状や四角柱形状等、各種突起部を嵌め込むための突起部受けを形成しておき、その突起部受けと角筒状部材5との間にスパナを嵌め込んで、角筒状部材5をその位置に留め置く方法等を採用してもよい。そして、角筒状部材5の内周面に刻んだ雌ネジにあらかじめねじ込んでおいたロックネジ6を規定のトルクで締め付けることにより、角筒状部材5を、供回りさせずに、スピンドル2の設定組付け位置に堅牢に本固定する方法も考えられる。スパナA、スパナB、スパナCや、他の形状のスパナの採用においては適宜選択することとする。
そして、角筒状部材5の外先端面9に形成された六カ所のネジ穴9a〜9f の内、図5(a)に示すネジ穴9b及びネジ穴9eの二カ所か、四カ所のネジ穴9a、ネジ穴9c、ネジ穴9d、ネジ穴9fかまたは複数箇所に、ネジ等の固着具によってネジ受部材14が固定される。なお、角筒状部材5の外先端面9に角筒状部材5における中心軸線と同方向に開設する六カ所のネジ穴9a〜9f は、同一型式の車両においては、六カ所全て開設せずに、角筒状部材5の外先端面9に取り付ける専用のネジ受部材14のネジ穴の数だけを形成してもよい。そして、形成したネジ穴の位置が、角筒状部材5の外先端面9の所定の位置に専用のネジ受部材14が固定される位置に配置されるように、スパナAによって、角筒状部材5がスピンドル2の設定組付け位置に留め置かれる。
次いで、角筒状部材5の外表面の所定の位置に、整流翼部15の角穴部17を嵌め込む。その後、空力部材8を構成する外側翼端板10の貫通孔11から空力部材固定ネジ12を差し込み、ネジ受部材14のナット部13にねじ込むことによって、空力部材8が角筒状部材5側に固定されて一体化される。そして、最終的にウイング3が、ナックル2Aのスピンドル2の外端部に仰角固定状態で配置固定されることによってダウンフォース発生装置1が構成される。
なお、空力部材固定ネジ12は、ねじ頭に特殊な窪みを有す一般的にヘックスローブと呼ばれるネジを採用することが好ましい。こうすると、空力部材固定ネジ12を取り外す工具が特殊形状となるため、盗難等に対処することができる。また、空力部材固定ネジ12のねじ頭がどのような形状かを確認することが不可能なように、空力部材固定ネジ12のねじ頭の位置が、外側翼端板10の貫通孔11から奥側に位置するようにしておくとよい。確認することが困難なために、ねじ頭に特殊な窪みを有す必要も無い。そして、空力部材固定ネジ12の先端部形状は、円錐台形状に成形しておくと、基板に配置固定されたナット部13にねじ込みやすい。
また、貫通孔11に蓋を設けておき、その蓋を外すときに、ねじ頭に、例えば、特殊な窪みを有す一般的にヘックスローブと呼ばれるネジを採用すると、その蓋を外しにくくなる。ただし、特に蓋を設けなくてもよい。
さらに、空力部材8を構成するウイング3の内部には、空力部材固定ネジ12をナット部13に導くための、例えば、パイプ状の案内孔を備えておくとよい。こうすると、ナット部13に空力部材固定ネジ12の先端部をねじ込みやすくなる。
角筒状部材5として、外表面が六角柱状に形成されている場合を例にとって説明した。六角柱状に形成されている場合に替えて、角筒状部材5の外表面を円柱形に成形した円柱突出基部にスプラインを切って、そのスプラインに嵌め合う形状を空力部材8側に切っておくことによって、ウイング3の迎角を細かく微調整することができる。例えば、ウイング3の迎角が強まるように、スプラインを一山又は二山、一定数ずらして嵌め直すと、ダウンフォースを高めることでき、前タイヤの接地力を高めて操縦安定性の向上を図れる。例えば、長期間に渡って降雪又は降雨が続く地域においては、前タイヤの接地力を常に向上させておくことにより、結果的に、操縦安定性を高め、スリップ等による事故を未然に防ぎ、安全運転に寄与することができる。
また、上述した実施形態においては、整流翼部15の角穴部17を、角筒状部材5に嵌め込み、その後、貫通孔11より差し込んだ空力部材固定ネジ12によって空力部材8を角筒状部材5側に固定していた。そのほか、図14に示すように、角筒状部材5に、角穴部17が嵌め込まれた後に、ねじ頭に特殊な窪み(例えば、ねじ頭中央部を円錐台形状の突起部として形成し、その突起部外周面と相対するソケット)を有する一般的にヘックスローブと呼ばれる空力部材固定ネジ123を、角筒状部材5における中心軸線AーA´と直交する方向に開口する貫通孔に差し込み、さらに、その貫通孔の反対側の外先端面に固定したネジ受部材のナット部に空力部材固定ネジ123をねじ込み、角筒状部材5に空力部材8を一体化して固定する方法等も考えられる。このような空力部材固定ネジ123を採用した場合には、空力部材固定ネジ123を取り外す工具が特殊な形状になるため、盗難等に対処することができる。
さらに、ウイング3を後述するフラップ23と組み合わせ、そのフラップ23の迎角を変更することによってダウンフォースを変更し得るダウンフォース発生装置25(詳しくは後述する)がある。このダウンフォース発生装置25では、スピンドル2の中心軸線AーA´方向に形成された貫通孔26に、フラップ23の迎角を可変させるためのフレキシブルインナーケーブル27や図32に示すモータリード線28を貫通させている。そのため、ダウンフォース発生装置25では、図15に示すように、全てねじ込んだ状態において、先端がフレキシブルインナーケーブル27やモータリード線28に達しないように長さが調整された空力部材固定ネジ122が採用される。図14に示すように、角筒状部材5の中心軸線と直交する方向に雌ネジを形成し、その雌ネジに空力部材固定ネジ123を締め込むことによって、角筒状部材5に空力部材8を一体化して固定する方法も考えられる。ネジの頭には、上述した特殊な窪みを有す一般的にヘックスローブと呼ばれるネジを空力部材8の固定用として採用することが好ましい。
そして、ダウンフォース発生装置1では、内側翼端板16における前後方向の横断面が次のような形状に形成されている。ウイング3側(外側翼端板10と対向する側)が平面(若しくは、ウイング3側もウイング3側に湾出した湾曲形状に形成し、対称翼形状に形成されていてもよい)であり、ホイール側(車両側)が、航空機の翼に採用されている揚力を得るための翼断面形状のようなホイール側に湾出した湾曲形状である。よって、走行中、ウイング3と、内側翼端板16のホイール側後方部分とにおいて、速度の増加に伴い、後方に向かって気圧が低下する。その気圧が低下した空気流がウイング3を通過してホイール129の通気孔31に差し掛かると(図2参照)、その空気流に向かって通気孔31からタイヤハウス内の空気が流出する。この空気の流出が、タイヤ130の回転や走向風により気圧の高まったタイヤハウス内の気圧を低下させる。このタイヤハウス内の気圧の低下によって、ダウンフォースが高まる。また、ブレーキが発する熱の外部への放出も進み、ブレーキを効果的に冷却できる。なお、内側翼端板16の両側面を平行な平面としてもよい。
(変形例1)
本実施の形態に係るダウンフォース発生装置は、図16に示すように、空力部材を構成する内側翼端板16と、整流翼部15が設けられていない構造とすることができる。図16では、外側翼端板10の内側面と相対するホイール29について、その車幅方向外側の側面中央部30が中心軸を中心とする円形の曲面形状(概ねドーム状の球面形状であるが、平面でもよい)に成形されている。また、その側面中央部30の外側周囲部30bが側面中央部30よりも高い曲率の円環曲面状のドーム形に成形され(若しくは円錐台形)に成形されている。さらに、その外側(ホイール29のリム側)の周方向に、ホイール29の内側と外側とつなぐ複数の通気孔31が形成されている。この構造の場合、側面中央部30を内側翼端板16に相当する翼端板とすることができる。そして、ホイール29が用いられる場合、車軸装着部35を有する空力部材88と、そのホイール29とによって、ダウンフォース発生装置101が構成される。空力部材88では、ウイング3の車幅方向外側に外側翼端板10が固定され、ウイング3の車幅方向内側に車軸装着部35が固定されている。車軸装着部35は、角筒状部材5(図16には図示せず)に嵌め込むための角穴部が形成されている。その角穴部が角筒状部材5に嵌め込まれることによって、ダウンフォース発生装置101が車軸に装着される。
また、ホイール29が、ナットやボルトといった固着具によってハブ側に固定された後に、別体製造された環状キャップ32が中央開口部33に装着されて固着具が覆われている。そして、その後、その環状キャップ32の表面が、ホイール29とともに円形の曲面形状を形成するように成形されている。次いで、車軸装着部35の角穴部が角筒状部材5(図示せず)に嵌め込まれ、最終的に空力部材固定ネジ12によって空力部材88が固定されることによって、ダウンフォース発生装置101が車軸に装着される。
そして、ホイール29の中央開口部33の内径寸法及び環状キャップ32の中央開口部32bの内径寸法は、次のように設定される。車軸装着部35が中央開口部32bから中央開口部33に差し込まれて、角筒状部材5(図示せず)の外表面に嵌め込まれたときに、回転しない車軸装着部35の外表面に、回転するホイール29の中央開口部33及び中央開口部32bが接触しないように設定されている。
また、ダウンフォース発生装置101では、ウイング3の後縁部が通気孔31の前方に配置される。こうすることによって、ダウンフォースを発生させたウイング3の後方の負圧空気流が通気孔31に差し掛かったときに、タイヤハウス内の空気を通気孔31より車幅方向外側へ排出するように働く。これにより、タイヤハウス内の空気圧が低下し、ダウンフォースを高めることができる。
ウイング3においては、タイヤハウス内の空気が通気孔31より車幅方向外側に積極的に排出されるように、ウイング3の表面を流れる空気流が、車幅方向外側(外側翼端板10の後方)に流れるように、ウイング3の後縁を、外側翼端板10方向に行くに従って前進する形状にしてもよい。
また、ホイールの車幅方向外側の外側面を流れる空気流を整えるとともに、内側翼端板16に相当する翼端板を設けるために、図17に示すように、ホイールカバー34がホイール29bの車幅方向外側の側面部を覆うように装着される構造も考えられる。
ホイールカバー34は、表面中央部が中心軸を中心とする円形の曲面形状(概ねドーム状の球面形状であるが、平面でもよい)に形成されている。また、その外側周囲部が表面中央部よりも高い曲率の曲面形状のドーム形に成形されている。また、ホイールカバー34の直径が複数の通気孔31に差し掛からない大きさに設定されている。ホイール29bの中心部には、ホイール29と同様の中央開口部33が形成されている。なお、図17では、ホイールカバー34と車軸装着部35との間を補強するため、ホイールカバー34と車軸装着部35との間に数枚の補強用リブ36が放射状に設けられている。
そして、ホイール29bがハブ側に固定された後に、その外側面部にホイールカバー34が装着される。車軸装着部35が中央開口部33に差し込まれて貫通させる。その後、その車軸装着部35の角穴部が角筒状部材5(図示せず)に嵌め込まれ、最終的に空力部材固定ネジ12によって空力部材88が固定されることによって、ダウンフォース発生装置101が車軸に装着される。ホイール29bと、ホイールカバー34とが用いられる場合、ホイール29bがホイールカバー34によって覆われるので、ホイール29bにおける車幅方向外側の側面部の形状等の設計の自由度を高めることができる。
上述した実施形態においては、ホイール29,29bの外側面と、内側翼端板16に相当する部分(側面中央部30、ホイールカバー34)との間の僅かな隙間から空気漏れが生じるおそれがある。このような空気漏れを防止するために、図18に示すように、ウイング3と外側翼端板10とが一体化された空力部材におけるウイング3の車幅方向内側にホイールカバー34を一体化したダウンフォース発生装置102を用いることができる。ダウンフォース発生装置102では、ホイールカバー34がウイング3の車幅方向内側に一体化されているため、ホイール29cには固定されずに、ホイール29cの外側面部と僅かな隙間を介して配置される。
そして、図18に示すダウンフォース発生装置102では、ホイールカバー34の裏側の中央部に車軸装着部35が一体化されている。その角穴部の中心軸線は、スピンドル2における中心軸線AーA´上と一致させているが、ウイング3は、図18に示すように、スピンドル2における中心軸線AーA´上よりも下方(又は上方も可)に配置されて、ホイールカバー34と外側翼端板10との間に固定されている。ウイング3がスピンドル2における中心軸線AーA´上よりも下方(又は上方)に配置されることによって、ウイング3を通過した空気流の車体後方への空力特性がコントロールされる。また、ホイールカバー34の直径が複数の通気孔31に差し掛からない大きさとされている。なお、タイヤの前方部分での乱流の影響を排除するために、タイヤ前方におけるサイドウォール頂点部分までホイールカバー(前方のみ)を伸張させてもよい。
また、図1に示すように、内側翼端板16、ウイング3および外側翼端板10が一体化された前述した空力部材8においても、ウイング3をスピンドル2における中心軸線AーA´よりも下方(又は上方)に配置することができる。内側翼端板16のウイング3の上方に空力部材固定ネジ12の差し込み穴が形成され、その差し込み穴から空力部材固定ネジ12が差し込まれて、ネジ受部材14のナット部13に空力部材固定ネジ12をねじ込むことができる。そうすることによって、ウイング3をスピンドル2における中心軸線AーA´上よりも下方(又は上方)に配置した空力部材8が角筒状部材5側に固定されて一体化される。このように、ウイング3がスピンドル2における中心軸線AーA´上よりも上方(又は下方も可)に配置されることによって、車体後方への空力特性をコントロールすることができる。
そして、上述した各空力部材8等を角筒状部材5へ取り付ける場合に、車種によってセンターロックナットの外側面とホイール外側面との間の距離がそれぞれ異なる場合が考えられる。特に、インセット型ホイールは、角筒状部材5の車幅方向における全長を十分に確保することができずに、ウイング3内部へ角筒状部材5が入り込み、ウイング3の翼厚が必要以上に厚くなることも考えられる。その対処策として、角筒状部材5がねじ込まれるスピンドル2に刻まれた雄ネジ部分の径や、角筒状部材5のウイング3側へ入り込む部分における上面と下面間の距離を可能な限り狭めるとともに、六カ所に形成した各ネジ穴の中心を含む円の径も可能な限り小径化を図ることによって、角筒状部材5が入り込むウイング3の翼厚の適正化を図ることができる。
そして、空力部材8を構成するウイング3は、走行速度によってダウンフォース発生量が変化する。速度が速まるに伴いウイング3によるダウンフォースが高まり、前タイヤの接地力を高めることができる。その結果、ダウンフォース発生装置1,101,102を前タイヤが嵌め込まれた前輪外側面部に備えることによって、直進安定性や操縦安定性を高め、安全運転に寄与する効果が得られる。
また、本発明は、図19に示すように、一枚のウイング3と、そのウイング3の後方に配置されたフラップ23とを有する後述するダウンフォース発生装置25にも適用することができる。このダウンフォース発生装置では、フラップ23と、ウイング3の後端部との間にスリット37が形成される。ウイング3に与えられた迎角より強い迎角が形成される。つまり、走行風がスリット37を通過するときに、ウイング3の上面を流れる空気流が、ウイング3より強い迎角のフラップ23の後面(下面)に速い速度で流れ込み、ウイング3の下面の減速された境界層の気流を増速させることによって、ダウンフォース発生装置1よりもさらに高いダウンフォースを発生させことができる。そして、現在のフォーミラF1カー等におけるフロントウイングのように、ウイングの前後方向の長さを短く設定した複数枚のウイングを、前方ウイングの後端部上面に後方ウイングの前端部下方が差掛かる階段状に配置し、階段状に配置した複数枚のウイング3の各両翼端部に内側と外側の各翼端板をそれぞれ一体化して構成された空力部材を有するダウンフォース発生装置(図示せず)にも本発明は、適用することができる。
(変形例2)
続いて、変形例2に係るダウンフォース発生装置について説明する。この変形例2に係るダウンフォース発生装置では、図18に示されている外側翼端板10の上下方向及び前後方向の幅が可能な限り広く設定される。また、その外側翼端板10が車幅方向内側に向かって湾出した湾曲形状に形成される。また、ウイング3の代わりに、ホイールカバー34の上端部と外側翼端板10の上端部との間、ホイールカバー34の下端部と外側翼端板10の下端との間がそれぞれ図示しない整流板で連結される。その上側の整流板が、内側に向かって湾出した湾曲形状に形成されている。そして、変形例2に係るダウンフォース発生装置では、上下2枚の整流板の内面、ホイールカバー34、および外側翼端板10の内面によって形成されたダクトによって負圧を発生させる。そのダクトの出口で流出する負圧流によって、ダクトの出口後方に開口するホイール29cの内側と外側とを連通させる複数の通気孔31から、タイヤハウス内の空気が吸引されて車体下部の気圧が低下する。本発明は、このようにしてダウンフォースを高めるダウンフォース発生装置にも適用される。
このダウンフォース発生装置の場合、ホイールカバー34の後方は、通気孔31に差掛かる直前までとし、ホイールカバー34の前方は、タイヤ前方で生じる乱流による影響をダクトが受けないように、タイヤ側面部を覆うように伸張させる。さらに、外側翼端板10及び上下2枚の整流板それぞれの各後方部分が通気孔31を通過する位置まで伸張される。こうすることで、複数の通気孔31に負圧流がかかったときに、複数の通気孔31以外からの空気が流入しないように構成される。
また、既に実用化されている一枚のウイング3の後端をほぼ鉛直に跳ね上げたような形状を形作るガーニーフラップの採用も考えられる。ウイング3やウイング3とフラップ23の組み合わせ方においては、従来、種々考案されて実用化されているので、車両に最も適したウイング3やウイング3とフラップ23の組み合わせ方が適宜選択されることが好ましい。
上述した空力部材8におけるウイング3やウイング3と組み合わせたフラップ23、さらに、ウイング3に一体化する内側翼端板16及び外側翼端板10等の車長方向の全長は、タイヤ操舵時に、前タイヤを覆う一般的なフロントフェンダーのアーチ部分に接触しない寸法に設定される。空力部材8における車長方向の全長を、タイヤの直径寸法より(特に、後方に)も長く設定することができる。その長く設定した空力部材8(特に、後方)がタイヤ操舵時やフルバンプ状態のときに、(特に、後方の)フロントフェンダー部分に接触しないように、フロントフェンダーを側面から見た前タイヤ後方部分を省略するとともに、省略したフロントフェンダーの内部に、タイヤ操舵時やフルバンプ状態時において位置が変化する空力部材8の後方部が触突しないスペースを確保して、ダウンフォースをさらに高める方法も考えられる。
(変形例3)
次に、設定した所定の位置に配置固定されたウイング3の効率をさらに高めるために、図20に示す車両100のようにすることができる。車両100では、フロントバンパー38において、左右の両コーナーに、走行風を導入し導入した空気流をウイング3へ供給するためのダクト39が形成されている。ダクト39の入口部に開閉弁40が備えられている。また、開閉弁40が開放されているときには、そのダクト39の入口部より流入した空気流により、ウイング3が効率よくダウンフォースを発生するように、ダクト39の内部形状や流出方向を形成しておくとよい。
そして、ダクト39の入口部に備えられた開閉弁40は、その取り付け角度を走行風に対して可変にすることができる。そうすることにより、走行風の導入量が調整可能になり、ダウンフォース量を調整することも可能である。そして、開閉弁40においては、開閉弁40の開き始めから導入された空気流がウイング3の下面に集中的に供給されるように、ヒンジ位置を開閉弁の上端部に備えておくとよい。
開閉弁40の開閉においては、開閉弁40をモータの回転力にとって駆動する方法や、モータの他にソレノイドを採用することも可能である。また、エンジンの負圧や油圧を利用することも可能である。そして、モータによる開閉の場合においては、開状態と閉状態に切り替える二段階式の開閉方式にすることができ、開状態と閉状態間を連続的に可変する方式にすることも可能である。ソレノイドによる開閉の場合においては、ソレノイド可動部の吸引又は押出しを利用し、開閉弁40を開状態又は閉状態の二段階に可変することになる。モータやソレノイドのスイッチのオン/オフは、後述するECU(Electronic Control Unit)によって制御される。
そして、低速走行時等、特にダウンフォースを必要としない状況下においては、ダクト39の入口部の整流とウイング3に生じるドラッグを低減させるために、開閉弁40を閉めた状態に保ち続ける。また、前タイヤへのダウンフォースが必要とされる走行状況に至った場合や、降雨・降雪によって路面状況が悪化した場合等においては、開閉弁40を開けた状態に保ち続ける。こうすることで、ダクト39から導入した走行風を特にウイング3の下面に供給することでダウンフォースを高めて操縦安定性の向上が確保される。さらに、最高速度を向上させるために、開閉弁を閉じてドラッグを低減させることも考えられる。また、開閉弁の開度が可変調整されることによって、走行状況に適合させたダウンフォース量とウイング3に生じるドラッグ量とが調整されて両立するようにすることができる。
そして、図19に示す、ウイング3とフラップ23を組み合わせた場合は、ダクト39の入口部に備えた開閉弁40の開時において、ウイング3の後端部の上面とフラップ23の前端部の下面との間のスリット37を走行風が通過するときに、ウイング3の上面を流れる空気流が、ウイング3より強い迎角のフラップ23の後面に速い速度で流れ込む。すると、ウイング3の下面の減速された境界層の気流を増速させて高いダウンフォースを発生させ、その結果、直進安定性や操縦安定性を高めることができる。そして、ダウンフォースを必要としない状況下においては、開閉弁40を閉めた状態に保ち続けておくことにより、ダクト39の入り口部で走行風が整流され、そのうえ、ウイング3とフラップ23に走行風が供給されないために、ウイング3とフラップ23に生じるドラッグを低減させることができる。
さらに、フロントバンパー38の左右に備えた開閉弁40を個別に開閉するために、例えば、開閉用の専用モータをそれぞれ備えておき、左右の各開閉弁40を、走行状況に合わせて、左右同時に開放または閉鎖し、また、左右別々に開放または閉鎖するように、後述するECUを設定できる。こうすることで、左右の前タイヤへのダウンフォース量を別々に制御することができる。すると、例えば、右方向へのコーナーリング中においては、左のフロントバンパーコーナーに形成した開閉弁40を閉じておき、右のフロントバンパーコーナーの開閉弁40を開いておくことができる。そうすることにより、右側のウイング3とフラップ23へ走行風を供給することによりダウンフォースを発生させ、右前タイヤの接地力を高める。それと同時に、右側のウイング3とフラップ23に生じるドラッグが右前タイヤにブレーキを掛けるように働き、右コーナーリング時の操縦安定性を確保することができる。
そして、高性能車等に採用されているタイヤにおいては、低温時に本来の性能を発揮できないタイプのタイヤもある。タイヤ表面温度を高める対処策として、一定距離又は一定時間左右の各開閉弁40を開けておき、左右の前タイヤへのダウンフォースを高めておくポジションを用意しておくとよい。さらに、急制動時において左右の開閉弁40を開状態にすることにより、左右のウイング3とフラップ23に生じるドラッグは左右の前タイヤにブレーキを掛けるように働くことになり、制動距離の短縮化を図ることができる。
ECUは、パワー・トレーン系や、前後、左右、上下の各方向の車体の動きを感知するGセンサーや、シャーシ系の各部位から収集した情報信号、その他に、例えば、カーナビゲーションに備えたGPSの位置情報やレーダーセンサーとステレオカメラから収集した情報、さらに、雨滴感知式オートワイパーを駆動させるための雨滴量感知センサーなど、各部位から収集した各種情報を組み合わせ学習させておくことができる。その学習させたECUによって、自動的に、又はマニュアル操作によって、一般道路走行時用、高速道路走行時用、また、降雨時用や降雪時用等の各ポジションを選択して、左右の各フロントバンパーコーナーのダクト39の入り口部に備えた各開閉弁をモータによって、開閉駆動することができる。
車両100のように、上述した各ダウンフォース発生装置1や、後述するダウンフォース発生装置25等が装着された車両では、例えば、その車両を真上から見たときに、ダウンフォース発生装置1やダウンフォース発生装置25を構成するウイング3やフラップ23、外側翼端板10等が、各国が定めた保安基準に適合するように、フロントフェンダーによって覆い対処しておく。また、空力部材8を構成する外側翼端板10の外側面には緩衝材を一体化して設けておくこともできる。
また、図20に示すフロントバンパー38は、その左右の両コーナーそれぞれに形成した各ダクト39の入り口部に開閉弁40が備えられ、その開閉弁40が開閉される。しかしながら、ダクト39の入り口部に開閉弁40を設けずに、走行中、常にウイング3を走行風にさらすことによってダウンフォースを発生させる方法も考えられる。この方法では、車両の走行速度によってダウンフォースが変化する。また、開閉弁40がないし、開閉弁40の開閉機構が不要となるため、コストダウンを図ることができる。
上述したダウンフォース発生装置1や後述するダウンフォース発生装置25を構成するウイング3、フラップ23、内側翼端板16、外側翼端板10は、ハンドル操作時に、ハンドル操作に従って左右方向や上下方向にタイヤが異動した場合や、遠心力によって車体が外側に傾斜した場合、ノーズダイブやフルバンプ状態時において位置が変化する空力部材8がフロントフェンダーにおけるホイールアーチ部に接触しない範囲内に設定されていることは勿論である。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係るフラップ可変式のダウンフォース発生装置25について説明する。フラップ可変式のダウンフォース発生装置(以下「ダウンフォース発生装置」と略記する)25は、図19に示すように、ウイング3に前述したフラップ23が組み合わされている。フラップ23は、ウイング23との間にスリット37を形成し得る回動可能状態でウイング3の近傍に配置されている。また、ダウンフォース発生装置25は、フラップ23を回動させるフラップ回動機構(詳しくは後述する)を有している。そして、フラップ23の迎角がモータ等の駆動力によって走行状況に合わせて可変するように構成されている。ダウンフォース発生装置25は、フラップ23の迎角が可変であることによって、ダウンフォース量の増減を図ることができる。以下では、そのダウンフォース発生装置25が、前タイヤを支持する左右のナックルの内、左のナックルを構成するスピンドル2の外端部の設定組付け位置に固定されている場合を例にとって説明する。
なお、右のナックルのスピンドル2の外端部の設定組付け位置にダウンフォース発生装置25が固定される場合については、以下に説明する左のナックルのスピンドル2の外端部にダウンフォース発生装置25が固定される場合が参照される。
ダウンフォース発生装置25は、上述したダウンフォース発生装置1の場合と同様に、角筒状部材5がスピンドル2の外端部に固定された後、上述したスパナA、スパナB等を介してブレーキキャリパー7に一体化して留め置かれる。次いで、角筒状部材5の雌ネジにあらかじめねじ込んでおいたロックネジ6を規定の締め付けトルクで締め込んで、角筒状部材5をスピンドル2の外端部の、設定組付け位置に本固定しておく。
そして、ダウンフォース発生装置25は、フラップ23を回動させて迎角を走行状況に合わせて可変にするため、図24及び図25に示すフラップ駆動部42を有している。フラップ駆動部42は、フラップ回動機構に相当する部材であって、車両100の車体側に配置固定されている。フラップ駆動部42は、モータ24の出力軸に固定されている巻取部43を有し、そのモータ24の動力がフレキシブルインナーケーブル27(図21,図22参照)を介してフラップ23に伝達されるように構成されている。そして、図21に示すように、スピンドル2の中心軸線AーA´方向と、ロックネジ6の中心軸線方向(スピンドル2の中心軸線AーA´と同軸上)とに沿って双方の内側に貫通孔26が形成されている。それらの貫通孔26を通り、その貫通孔26と巻取部43との間に配置されたフレキシブルアウターケーブル44(図25,図28参照)に包囲されてその内側を摺動するフレキシブルインナーケーブル27によって、巻取部43とフラップ23とが接続されている。そして、フラップ駆動部42を構成するモータ24が巻取部43を回転させることによって、フレキシブルインナーケーブル27の巻き上げ・繰り出しが行われ、その巻き上げ・繰り出しに応じてフラップ23が回動し、その迎角が変化する。本実施の形態では、前述した車両100の左側前輪、右側前輪にダウンフォース発生装置25が装着されるが、そのそれぞれのフラップ23を回動するため、フレキシブルインナーケーブル27が2本備えられ、その2本のフレキシブルインナーケーブル27が巻取部43に接続されている(図25参照)。
そして、ダウンフォース発生装置25では、図21に示すように、ダウンフォース発生装置1と同様に、空力部材8の車幅方向内側(センターハブナット4側)に整流翼部15が固定されている。また、整流翼部15の車幅方向外側に垂直方向を向く内側翼端板106が配置され、内側翼端板106のうちの内側翼端板45と、整流翼部15とが一体成形されて奥部品を形成している。内側翼端板106は、車長方向の縦方向(NーN´)に二分割されている内側翼端板45,内側翼端板46によって構成されている。そのうちの内側翼端板45によって、奥部品が形成される。内側翼端板45における車長方向の横翼断面形状が対称翼形状(ホイール側のみに湾出した湾曲形状に形成されてもよい)に形成されている。なお、図21に示す整流翼部15の車幅方向内側の翼端部(SーS´)形状については、ホイールにおける側面断面形状に対応する形状に形成されている。
奥部品には、金属やプラスチックを用いて別体で製造された誘導溝部材49(外側の二点鎖線で示す湾出する想像線で表示)が、ネジや接着材等の固着材により固定一体化されている。誘導溝部材49によって、ロックネジ6に形成されている貫通孔26の開口部から車幅方向外側へ突出したフレキシブルインナーケーブル27の一端部(内側の二点鎖線で示す想像線)が両出しフラップホーン47の上向きホーン48側へ案内される。誘導溝部材49は、図21に示すFーF´断面形状が湾出側を開放するU字形に形成されている。また、誘導溝部材49の端部が容易に差し込めるように、貫通孔26の開口部側の端部において、図31に示すように、拡径加工が施されていることが好ましい。さらに、開口部入り口を大径とした円錐台のような形状に拡径しておくか、誘導溝部材49の端部を先細り状に成形しておいてもよい。貫通孔26の開口部から突出しているフレキシブルインナーケーブル27の一端部には、図22に示す端末継ぎ手50が固定される。
内側翼端板45と内側翼端板46とを堅牢に一体化するために、いずれか一方の複数箇所に、円筒凹部又は円柱凸部(図21においては、内側翼端板45に円筒凹部)が形成されている。また、いずれか他方の複数箇所に、円柱凸部又は円筒凹部(図21においては、内側翼端板46に円筒凸部)が形成され、両者を嵌め合わせることによって、両者の位置決めがなされて両者の堅牢な固定一体化が実現される。
また、内側翼端板106では、内側翼端板45と内側翼端板46とが組み合わされて一体化されたことによって内スペース51が形成されている。その内スペース51に突出するフレキシブルインナーケーブル27や,フラップ内側支持軸53、フラップ内側支持軸53に固定されたホーン、引張コイルばね54等の作動に支障を来たさないように、円筒凹部又は円柱凸部の配置が設定されている。
そして、ダウンフォース発生装置1と同様に、ウイング3が内側翼端板106の車幅方向外側に配置されているが、そのウイング3と内側翼端板46とが一体成形されて中部品が形成されている。さらに、手前部品として位置する外側翼端板10をウイング3の車幅方向外側に嵌め込むために、外側翼端板10の内側に、ウイング3の車幅方向外側端部に応じた凹部が形成されている。その凹部にウイング3の車幅方向外側端部が嵌め込まれて、奥部品、中部品および手前部品が一体的に構成されて、図21に示す空力部材8が構成されている。なお、中部分と手前部品とを別体とした理由は、フラップ23に一体化したフラップ内側支持軸53、フラップ外側支持軸55を、中部品を構成する内側翼端板46に形成した軸受け部と外側翼端板10に形成した軸受け部との間に組み込むためである。
前述のとおり、内側翼端板106の内部に内スペース51が形成されているが、その内スペース51には、図21に示すように、ロックネジ6の貫通孔26を貫通して車幅方向外側へ突出したフレキシブルインナーケーブル27の一端部、誘導溝部材49、フラップ23に一体構成化されたフラップ内側支持軸53、フラップ内側支持軸53に固定された両出しフラップホーン47と、後述する引張コイルばね54、ネジ受部材等が配置されている。
また、内側翼端板106は、内スペース51を有しないモノブロック構造とすることもできる。この場合、車幅方向外側へ突出させたフレキシブルインナーケーブル27の一端部を整流翼部15の外部に突出させ、また、その一端部を上向きホーン48へ案内する部材(誘導溝部材49)を整流翼部15に一体化して設ける。さらに、フラップ内側支持軸53に両出しフラップホーン47を固定し、フレキシブルインナーケーブル27の一端部に圧締された端末継ぎ手50を、両出しフラップホーン47の上向きホーン48側に取り付ける。さらにまた、フレキシブルインナーケーブル27の一端部の端末継ぎ手50と、上向きホーン48とを接続してフラップ23を可変にすることもできる。なお、誘導溝部材49の出口と、フレキシブルインナーケーブル27の一端部の端末継ぎ手50との間の部分をゴム等の弾性体で覆い、誘導溝部材49とその中を摺動するフレキシブルインナーケーブル27との間に水等が侵入しないようにすることが好ましい。
フレキシブルインナーケーブル27の一端部には、図22に示す端末継ぎ手50が圧締されて固定されている。その端末継ぎ手50が両出しフラップホーン47における上向きホーン48側にピン等によって取り付けられて、その端末継ぎ手50と上向きホーン48とが連係されることになる。
端末継ぎ手50は、図22に示すリング型構造に限定はされない。例えば、図26に示すボール型の端末継ぎ手や、図27に示すロックターミナルフォーク型の端末継ぎ手でもよい。また、ネジ等の固着具によって固定する組み立て型の端末継ぎ手といった実用化されている各種端末継ぎ手から選択することができる。また、端末継ぎ手として、ネジ等の固着具によって固定する組み立て型の端末継ぎ手を採用すると、例えば、ナックル部の交換が必要となったときに、フレキシブルインナーケーブル27の一端部より端末継ぎ手を外すことができる。そのため、スピンドル2に形成された貫通孔26を貫通するフレキシブルインナーケーブル27を引き出して、ナックル部を交換することができる。
そして、最終的に、角筒状部材5に嵌め込まれた空力部材8を角筒状部材5側に固定するために、ナット部を備えたネジ受部材114が、角筒状部材5の外先端面9にネジ等の固着具を用いて固定されている。ネジ受部材114を角筒状部材5の外先端面9に固定する場合においては、奥部品に一体化された誘導溝部材49をかわすように、図2に示すネジ穴9a〜9fの内、ネジ穴9a、9c、9eの三カ所に、三本足状のネジ受部材114を固定するか(図21に示す三本足状のネジ受部材114の場合は、前方の一本足がネジ穴9d、9eにネジによって固定)、または、ネジ穴9a、9c、9d、9f の四カ所に四本足状のネジ受部材(図示せず)を固定してもよい。なお、ネジ受部材114を構成するナット部の中心軸線は、誘導溝部材49をかわすためにスピンドル2の中心軸線AーA´と一致させずに、オフセットさせてもよい。
また、フレキシブルインナーケーブル27の一端部に端末継ぎ手50をかしめて固定した場合に、タイヤ交換時等、タイヤが嵌め込まれたホイールを外す必要が生じたときには、貫通孔11から差し込んだ空力部材固定ネジ12を緩めて取り外せばよい。そうすることによって、外側翼端板10と内側翼端板46とに一体成形されたウイング3と、フラップ23とが外れる。次いでフレキシブルインナーケーブル27の一端部に固定された端末継ぎ手50を両出しフラップホーン47における上向きホーン48から取り外すことによって、奥部品が取り外せる。最終的に、前タイヤが嵌め込まれたホイールを取り外すことができる。
フレキシブルインナーケーブル27の全体またはその一端部には、しなやかで強い材料が使用されることが好ましい。
そして、内側翼端板46と、外側翼端板10との間に位置するウイング3の後方上部にフラップ23が配置されている。フラップ23には、図21に示すように、フラップ23を支持するフラップ内側支持軸53と、フラップ外側支持軸55との両フラップ支持軸が一体的に構成されている。さらに、フラップ内側支持軸53を支持するため、内側翼端板46に軸受け部52が形成され、また、フラップ外側支持軸55を支持するため、外側翼端板10に軸受け部56(底あり穴)が形成されている。さらに、フラップ23の前端部は、ウイング3の後端部の上面とでスリット37を形成している。フラップ23の迎角を強めて行くに従い、ウイング3の後端部の上面とフラップ23の前端部の下面との間に形成された狭いスリット37を走行風が通過したときに、ウイング3上面を流れる空気流が、ウイング3より強い迎角のフラップ23の後面に速い速度で流れ込む。すると、ウイング3下面の減速された境界層の気流を増速させて高いダウンフォースが発生する。
フラップ内側支持軸53と、フラップ外側支持軸55の内、フラップ内側支持軸53の長手方向には、平面状の切欠部が設けられている。さらにその切欠部に、フラップ内側支持軸53の軸線と直交する方向にネジ穴が形成されている。すると、両出しフラップホーン47をフラップ内側支持軸53の所定の位置に嵌め込んだ後に、両出しフラップホーン47の中心部に開口する貫通孔に差し込んだネジをネジ穴に締め込むことによって、両出しフラップホーン47をフラップ内側支持軸53の所定の位置に確実に固定することができる。
また、上述したフラップ23は、フラップ23の本体と支持軸とが一体的に構成されているが、フラップ23の本体とその支持軸を別々に製造しておき、フラップ23の本体の所定の位置とその支持軸の所定の位置とを一致させて嵌め込んで一体構成化する実施形態も考えられる。フラップ23の本体とその支持軸を別々に製造した場合には、内側翼端板46、ウイング3および外側翼端板10を一体構成で成形して製造することが可能となる。その組み立ては、次のようにすることができる。内側翼端板46と外側翼端板10との間にフラップ23の本体が配置されて、フラップ23の本体の所定の位置とフラップ23の支持軸の所定の位置とを一致させ、その後、内側翼端板46に形成した軸受け部52から、外側翼端板10に形成した軸受け部56(底あり穴)へ差し込んだ後、フラップ23の本体と、その支持軸(フラップ内側支持軸53、フラップ外側支持軸55)とをネジ等の固着具によって固定して一体化する。次いで、内側翼端板46の軸受け部52から内スペース51部に突出したフラップ内側支持軸23に、両出しフラップホーン47が固定される。
そして、両出しフラップホーン47の下向きホーン側には、図23に示すように、引張コイルばね54の一方が掛けられている。また、引張コイルばね54の他方が、内側翼端板46の裏側に設けた突起部74に掛けられ、引張コイルばね54は、引っ張りの荷重を受けて両者間に配置されている。
次に、フレキシブルインナーケーブル27について、スピンドル2の中心軸線AーA´方向に形成した貫通孔26の車幅方向内側の開口部からフラップ駆動部42の方向へ延出している部分の端部(他端部)に関して説明する。
フレキシブルインナーケーブル27に関し、あらかじめ車体側に配置固定された支持金具57のケーブル支持部58と、スピンドル2の貫通孔26の車幅方向内側の開口部との間に配置されたフレキシブルアウターケーブル44について、その他端部側の開口部から、フレキシブルインナーケーブル27の一端部が差し込まれている。フレキシブルインナーケーブル27がスピンドル2とロックネジ6の貫通孔26を貫通して、ロックネジ6の車幅方向外側へ突出する。一方、フレキシブルインナーケーブル27の他端部に圧締された端末継ぎ手50が巻取部43の端末継ぎ手取り付け孔59に嵌め込まれている。また、ロックネジ6の貫通孔26から突出させたフレキシブルインナーケーブル27の一端部にも、図22に示すように、端末継ぎ手50が圧締されて一体化されている。
そして、巻取部43は、図24及び図25に示すように、フラップ駆動部42を構成するモータ24を配置固定するための支持金具57について、そのモータ取り付け部60にモータ24が固定され、そのモータ24の出力軸に巻取部43が固定されている。また、巻取部43の外周囲に溝部61が形成されている。巻取部43の外周のその中心点を挟んだ同一半径上の相対する位置に、図25に示すように、端末継ぎ手取り付け孔59がそれぞれ形成されている。そして、端末継ぎ手取り付け孔59の内の一方に、フレキシブルインナーケーブル27に圧締された端末継ぎ手50が嵌め込まれてフレキシブルインナーケーブル27が巻取部43に巻かれ、さらに、もう一方の取り付け孔59に、もう一方のフレキシブルインナーケーブル27の端末継ぎ手50が嵌め込まれて巻取部43に巻かれている。
さらに、支持金具57における各ケーブル支持部58とフレキシブルアウターケーブル44の他端部とは、フレキシブルインナーケーブル27の他方の中心線が、巻取部43における接線上と同方向を向いている状態で、フレキシブルインナーケーブル27の巻き上げ及び繰り出しが行われるように配置されて取り付けられている。
また、本実施の形態に係るダウンフォース発生装置25では、車体側に配置固定されているフラップ駆動部42の1つのモータ24によって、左側、右側それぞれのダウンフォース発生装置25のフラップ23が回動される。このフラップ23の駆動方法(回動方法)では、左右の各フラップ23が、同時に駆動されて同一の迎角に可変される。また、車体側に二個のフラップ駆動部42を配置固定して、いずれか一方のモータ24が左のフラップ23を駆動し、もう一方のモータ24が右のフラップ23を駆動する構造、駆動方法(回動方法)を採用することもできる。こうすると、左右の各フラップ23を別々に駆動することができる。そのため、例えば、曲がる方向の前タイヤにおける内側タイヤに対しては、フラップ23の迎角を強めて高いダウンフォースを確保して接地力を高め、旋回能力を高めることもできる。なお、円盤状の巻取部43に形成された取り付け孔59の形成位置は、巻取部43の中心点を挟んだ巻き取り部外周の相対する位置としているが、これには限定はされない。
次に、組み付け方の一例を説明する。
角筒状部材5をスピンドル2にねじ込んで、ねじ込んだ角筒状部材5をスピンドル2の外端部の設定組付け位置に留め置くために、上述したスパナA,スパナB等を用いて角筒状部材5がブレーキキャリパー7に一体的に留め置きされる。次いで、角筒状部材5の雌ネジにあらかじめねじ込んだロックネジ6を規定の締め付けトルクで締め込み、角筒状部材5を、スピンドル2の外端部の設定組付け位置に確実に本固定しておく。
次いで、フレキシブルインナーケーブル27の一端部を、巻取部43側のフレキシブルアウターケーブル44の他方の開口部より差し込んで、スピンドル2と、ロックネジ6の双方の貫通孔26を貫通させて、ロックネジ6の中心部から車幅方向外側へ突出させる。次いで、モータ24の出力軸に固定された巻取部43の端末継ぎ手取り付け孔59に、フレキシブルインナーケーブル27の他端部に圧締された端末継ぎ手50を嵌め込む。
そして、ロックネジ6の中心部から外部に突出させたフレキシブルインナーケーブル27の端部にも、図22に示すように、リング型の端末継ぎ手50を差し込んで圧締して一体化しておく。
また、上述したフレキシブルインナーケーブル27の一端部を、巻取部43側のフレキシブルアウターケーブル44の他方の開口部より差し込まずに、逆に、フレキシブルインナーケーブル27の一端部に、予め図22に示す端末継ぎ手50を差し込んで圧締して一体化しておいてもよい。次いで角筒状部材5の所定の位置に、整流翼部15と内側翼端板45とが一体化された奥部品を嵌め込む。そして、フレキシブルインナーケーブル27の他端部をロックネジ6とスピンドル2の双方の貫通孔26に貫通させ、その貫通孔26の車幅方向内側の開口部に嵌め込まれたフレキシブルアウターケーブル44から巻取部43側へフレキシブルインナーケーブル27の他端部を貫通させる。次にフレキシブルインナーケーブル27の一端部を、整流翼部15と内側翼端板45とが一体構成された奥部品に一体形成化されている(または、別体で製造した後に接着材やネジ等の固着材によって固定されて一体構成化した)誘導溝部材49に嵌め込みながら、フレキシブルインナーケーブル27の一端部に圧締されている端末継ぎ手50を、両出しフラップホーン47の上向きホーン48に掛けて取り付ける。さらに、巻取部43側へ突出させたフレキシブルインナーケーブル27の他端部に端末継ぎ手50を固定して、その端末継ぎ手50を巻取部43の端末継ぎ手取り付け孔59に嵌め込む。フレキシブルインナーケーブル27の差し込み方は適宜選択するとよい。
そして、ロックネジ6の中心部から外部に突出させたフレキシブルインナーケーブル27の一端部に端末継ぎ手50が差し込まれて圧締一体化されているが、その状態で、角筒状部材5の六角柱部における所定の位置に、空力部材8を構成する整流翼部15と内側翼端板45とが一体化された奥部品を嵌め込んでおく。
次いで、最終的に、角筒状部材5に嵌め込まれた空力部材8を角筒状部材5側に固定するために、角筒状部材5の外先端面9にネジ等の固着具によってネジ受部材114を固定する。なお、ネジ受部材114を外先端面9に固定する場合においては、奥部品側に一体化された誘導溝部材49をかわすように、三本足状のネジ受部材114を図2に示すネジ穴9a、9c、9e の三カ所に固定する。または、四本足状の図示しないネジ受部材がネジ穴9a、9c、9d、9fbの四カ所に固定される。
次いでフラップ23を、内側翼端板46と外側翼端板10間に取り付けるために、フラップ内側支持軸53を軸受け部52に差し込み、フラップ外側支持軸55を軸受け部56に差し込みながら外側翼端板10の内側面に凹設した凹部を、ウイング3の車幅方向外側の翼端部に嵌め込んで両者を堅牢に一体化して、フラップ23が外れないようにする。
そして、フラップ23の迎角が強まる方向にフラップ23を引き上げておきながら、フレキシブルインナーケーブル27の一端部を誘導溝部材49に差し込む。次いでフレキシブルインナーケーブル27の一端部に圧締された端末継ぎ手50を、両出しフラップホーン47の上向きホーン48に掛けて取り付ける。さらに、ウイング3と一体化した内側翼端板46と外側翼端板10との間にフラップ23が配置されて取り付けられた中部品と手前部品に関して、内側翼端板45に設けた円筒凹部に内側翼端板46に設けた円柱凸部を嵌め込む。この場合においても、フレキシブルインナーケーブル27の一端部に圧締された端末継ぎ手50を、両出しフラップホーン47における上向きホーン48に掛けて取り付けた後に、フレキシブルインナーケーブル27の他端部に圧締された端末継ぎ手50を、巻取部43の取り付け孔59に嵌め込む方法の採用が考えられる。フレキシブルインナーケーブル27の他端部に圧締された端末継ぎ手50を、取り付け孔59に嵌め込まずにおくと、フレキシブルインナーケーブル27の一端部に圧締された端末継ぎ手50をさらに手前側に引き出すことができる。フレキシブルインナーケーブル27の一端部に圧締された端末継ぎ手50を、両出しフラップホーン47における上向きホーン48に掛けやすくなる。
最後に、外側翼端板10の貫通孔11から空力部材固定ネジ12を差し込んで、その空力部材固定ネジ12をネジ受部材114のナット部13にねじ込みして、空力部材8を角筒状部材5側の所定の位置に固定する。こうすることによって、ダウンフォース発生装置25を構成する空力部材8を、前タイヤを支持する左右のナックルの内、左のナックルを構成するスピンドル2の外端部の設定組付け位置に固定することができる。
また、フラップ23は、引張コイルばね54によって、その迎角が弱まる方向に常に引っ張られている。この場合、内側翼端板46と外側翼端板10との相対するそれぞれの位置に設けられた図示しない両ストッパーによって、ドラッグ・ダウンフォースともに最小となる基準の位置に留め置くか、又は、両出しフラップホーン47における上向きホーン48を、ドラッグ・ダウンフォースともに最小となる基準の位置に留め置くために、二分割されて製造された内側翼端板45と内側翼端板46の内、内側翼端板46の内側にストッパーを設けておくとよい。
(変形例1)
さらに、フラップ23の迎角が変更可能なダウンフォース発生装置25においても、上述した図16に示したような、ホイールの車幅方向外側の側面中央部30を内側翼端板46に相当する翼端板とすることができる。また、図17に示したような、ホイールカバー34がホイール29bの車幅方向外側の側面部を覆うように装着される構造も採用することができる。さらに、図18に示したような、ホイールカバー34、ウイング3、外側翼端板10が一体構成化されたダウンフォース発生装置にすることもできる。
そして、図16に示した空力部材88、図17に示したホイールカバー34が採用された場合には、フラップ内側支持軸53を支持するための軸受け部が形成された図示しない支持板をウイング3の車幅方向内側の翼端部に一体化して設けておく必要がある。
一方、フレキシブルインナーケーブル27の遊びを調整可能にするため、ダウンフォース発生装置25がインナーケーブル調整機構65を有することが好ましい。インナーケーブル調整機構65は、図28に示すように、位置調整ネジ支持部62、位置調整ネジ63、固定用ネジ64によって構成されている。インナーケーブル調整機構65が支持金具57のケーブル支持部58に備えられると、フレキシブルアウターケーブル44の遊びを調整することができる。この場合、ケーブル支持部58の内周面に雌ネジを切った位置調整ネジ支持部62を溶接して一体化しておく。また、固定用ネジ64をねじ込んだ位置調整ネジ63を位置調整ネジ支持部62にねじ込む。そして、必要に応じて位置調整ネジ63を回すことによってフレキシブルアウターケーブル44の長さが調整され、その調整された後に位置調整ネジ63を固定用ネジ64によって固定しておく。
(変形例2)
上述したダウンフォース発生装置25では、フラップ駆動部42が車体側に配置して固定されている。そのほか、フラップ駆動部42がナックル(スピンドル2を有するステアリングナックル)の車幅方向内側の内側面に配置固定されていてもよい。このような構造を有するダウンフォース発生装置25について以下に説明する。
図29(図面下方がナックルの車幅方向内側の内側面)及び図30(図29に示す縦断面部分SーS´を矢印方向から見た図)に示すように、フラップ駆動部42を構成するカバー66(塗装でも可)によって防塵・防水化したモータ24の出力軸に巻取部43が固定されている。また、巻取部43がハウジング67内に収納され、そのハウジング67には、図29,30には図示されていないモータ24が固定されている。ハウジング67がモータ24の支持部を兼用している。そして、巻取部43に巻かれたフレキシブルインナーケーブル27が巻き上げられ、または、送り出されるときに、フレキシブルインナーケーブル27の軸線方向が、スピンドル2の中心軸線AーA´の延長線上と一致するように、ハウジング67が、スピンドル2の車幅方向内側面にネジ等の固着具によって固定されている。
また、モータ24の出力軸に巻取部43が固定される場合に、その出力軸の長手方向に平面状の切欠部68を設け、巻取部43には、その中央部分(フレキシブルインナーケーブル27が巻かれている部分)から半径方向に沿ったネジ穴69が形成されている。ネジ穴69には、切欠部68に向けて雌ネジが形成されている。さらに、ネジ穴69にねじ込まれた四角頭などが付いた止めネジ70を切欠部68に締め付け、モータ24の出力軸に巻取部43を固定すると、ハウジング67を薄くすることができる。
そして、ハウジング67が、ナックルの車幅方向内側面に配置されてネジ等の固着具によって固定されるときに、モータ24のカバー66とハウジング67との間や、ハウジング67とスピンドル2の中心軸線AーA´方向に形成した貫通孔26との間に、ガスケットやOリング71等を介在させる。すると、密閉構造が得られるから、水、埃等の侵入が防止されて防塵・防水性が確保される。
さらに、図29及び図30に示すように、ハウジング67のフレキシブルインナーケーブル27の出入り口と、スピンドル2の中心軸線AーA´方向に形成された貫通孔26の車幅方向内側の開口部との間に、誘導溝部材を介在させたフラップ可変装置(図示せず)も考えられる。例えば、湾曲した誘導溝部材の内側をフレキシブルインナーケーブル27が円滑に摺動することができるように、ナックル側に開口する誘導溝部材における一方の中心軸線がスピンドル2の中心軸線AーA´の延長線上と一致するとともに、ハウジング67のフレキシブルインナーケーブル27の出入り口側の誘導溝部材における他方の中心軸線が、巻取部43に巻かれたフレキシブルインナーケーブル27が、巻き上げ、送り出しのときに、フレキシブルインナーケーブル27の軸線方向と一致するように誘導溝部材が湾曲されて配管されている。また、誘導溝部材の両端部においてもガスケットやOリング等を介すことによって密閉して防塵・防水性を高めている。さらに、誘導溝部材とハウジング67とを一体成形し、誘導溝部材側にフランジを一体成形して、そのフランジに形成したネジ穴に差し込んだネジによって、スピンドル2の中心軸線AーA´方向に形成した貫通孔26の車幅方向内側の開口部に固定してもよい。
そして、ハウジング67をナックルの車幅方向内側に配置固定する場合は、介在させた誘導溝部材の長さや曲率半径等を考慮した上でハウジング67における適切な位置に設けることとする。
曲率半径や長さ等の最適化を図った誘導溝部材を介在させて配置することによって、ナックルに取り付けられた各サスペンションアームなどに、モータ等の駆動力手段を干渉させることなく、ナックルの車幅方向内側面にハウジング67を配置固定することが可能となる。また、誘導溝部材を採用することによって、駆動手段の配置位置の設計自由度が高まり、サスペンションアームの作動範囲から免れた位置に駆動手段を配置固定することができる。
そして、上述した変形例2に係るダウンフォース発生装置25は、ナックルの車幅方向内側の内側面側にフラップ駆動部42が固定されている。そのため、サスペンションが可動した場合やハンドルが切られた場合においても、その固定状態が維持され続けることができる。したがって、モータ24がナックル側に固定されているために、車体側にモータ24が固定されている場合と比べて、フレキシブルインナーケーブル27の全長を短くすることができる。そのうえ、フレキシブルアウターケーブル44を廃止することもできる。さらに、モータ24とナックルとの位置関係が変化しないために、フレキシブルインナーケーブル27にねじりが生じない。したがって、フレキシブルインナーケーブル27の耐久性を高めることができる。
なお、スピンドル2と、ロックネジ6の貫通孔26を貫通し、ロックネジ6の貫通孔26から車幅方向外側へ突出するフレキシブルインナーケーブル27の一端部や、その他端部に差し込んで固定する端末継ぎ手50や、その端末継ぎ手50が取り付けられる両出しフラップホーン47、また、両出しフラップホーン47が固定されるフラップ内側支持軸53、フラップ外側支持軸55、そして、空力部材8等においては、上述した各実施形態が参照される。
(変形例3)
そして、上述したダウンフォース発生装置25、すなわち、車体側にモータ24が配置固定されている構造またはナックルの車幅方向の内側面にモータ24が配置固定されている構造において、フレキシブルインナーケーブル27によってフラップ23の迎角が可変にされる場合、図31に示すようなダウンフォース発生装置120とすることができる。ダウンフォース発生装置120では、フラップ23の上面中央部にホーンを設け、そのホーンにフレキシブルインナーケーブル27の一方を誘導する構造が採用可能である。この場合、ロックネジ6の中心軸線方向(スピンドル2の中心軸線AーA´と同軸上)に形成した貫通孔26の開口部に、フレキシブルアウターケーブル44の他方端部を嵌め込むための嵌め込み口72が形成されている。また、フレキシブルアウターケーブル44の中間部分がウイング3の内部に埋設(図31に点線で示すフレキシブルアウターケーブル44の中間部分)して配置されている。さらに、フレキシブルアウターケーブル44の一端部をウイング3の上面中央部より後方に突出させて、フラップ23の上面中央部のホーン側にその一端部を誘導する。そのフレキシブルアウターケーブル44内を摺動するフレキシブルインナーケーブル27によって、モータ24とフラップ23とが連結されて、そのモータ24によってウイング3を可変とすることができる。
フレキシブルアウターケーブル44は、そのロックネジ6側の中心軸線が嵌め込み口72に嵌め込まれている。また、フレキシブルアウターケーブル44のもう一方の中心軸線が、フラップ23の中央部に設けたホーンの方向(フラップ23の回転支持軸と直交する方向)に向けてフラップ23の内部を湾曲させて埋設されており、ウイング3の上面中央部よりフラップ23の方向へフレキシブルアウターケーブル44が突出している。なお、フレキシブルアウターケーブル44が嵌め込み口72に嵌め込まれるため、フレキシブルアウターケーブル44は硬くて形が変形しにくい金属製や、上述した空力部材8と同様に、繊維強化プラスチック(FRP)やガラス繊維強化プラスチック(GFRP)また炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等によって空力部材8と一体に形成されることが好ましい。
そして、フレキシブルアウターケーブル44の一端部と、そこから突出するフレキシブルインナーケーブル27との間に水や埃等が侵入しないように、フレキシブルアウターケーブル44の一端部と、フレキシブルインナーケーブル27の一端部に固定された端末継ぎ手50との間にラバーブーツ73が配置されることが好ましい。さらに、ウイング3の上面中央部よりフラップ23方向へ突出するフレキシブルアウターケーブル44を走向風の影響から守るためにカバー(図示せず)によって覆っておくとよい。
さらに、嵌め込み口72は、ロックネジ6の中心軸線方向に形成した貫通孔26を拡径して形成されていて、スピンドル2の中心軸線上と一致させて形成されている。そのために、嵌め込み口72に嵌め込んだフレキシブルアウターケーブル44の一定部分がスピンドル2の中心軸線上に重なって配置される。よって、最終的に、角筒状部材5に嵌め込まれた空力部材8を角筒状部材5側に固定するときに、ネジ受部材114のナット部13の中心軸線も、フレキシブルアウターケーブル44を回避するため、ロックネジ6の中心軸線上(スピンドル2の中心軸線上)から前方にオフセットさせてネジ受部材114に配置固定される。なお、ネジ受部材114は三本足形状に形成されていて、角筒状部材5のネジ穴9b、9d、9fに図示しないねじを用いて固定されている。
また、上述した変形例3に係るダウンフォース発生装置120においても、図23に示すように、引張コイルばね54の一方が両出しフラップホーン47に掛けられ、かつ引張コイルばね54の他方が突起部74に掛けられ、引っ張り荷重をかけられた状態で引張コイルばね54が配置されている。そのため、フラップ23が引張コイルばね54等によって迎角が弱まる方向に常に引っ張られている。さらに、内側翼端板46におけるウイング3側の側面部と、外側翼端板10におけるウイング3側の側面部とにそれぞれ設けられたストッパー(図示せず)にフラップ23が当たり、ドラッグ・ダウンフォースともに最小となる基準の位置にフラップ23が留め置きされる。そして、奥部品を構成する内側翼端板45に、内側翼端板46とウイング3とが一体成形された中部品と、外側翼端板10の手前部品とが取り付けられて一体的になった空力部材8が構成される。空力部材固定ネジ12がネジ受部材114のナット部13にねじ込まれ、締め付けられることによって、その空力部材8が角筒状部材5側に固定される。
また、図18に示すホイールカバー34、ウイング3、外側翼端板10を有するダウンフォース発生装置8の場合には、図31に示すように、ホイールカバー34の車幅方向内側へ突出させたフラップ内側支持軸53に両出しフラップホーン47が固定される。また、その両出しフラップホーン47に引張コイルばね54の一方が掛けられ、ホイールカバー34の車幅方向内側の突起部74に引張コイルばね54の他方が掛けられる。この場合も、引張コイルばね54が引っ張りの荷重を受けた状態で両者の間に配置される。そして、車幅方向外側の側面部と外側翼端板10のウイング3側の側面部とにそれぞれ設けられた図示しないストッパーにフラップ23が当たって、ドラッグ・ダウンフォースともに最小となる基準の位置にフラップ23が留め置きされる。
(第3の実施の形態)
続いて、第3の実施の形態に係るダウンフォース発生装置125について説明する。上述したダウンフォース発生装置25では、車体側に配置固定されたモータ24や、フレキシブルインナーケーブル27を用いてフラップ23の迎角が可変とされていた。第3の実施の形態に係るダウンフォース発生装置125は、図32に示すように、角筒状部材5の内部に設けた内スペース85に、フラップ駆動部42を構成するモータ24が収納して固定されている。また、そのモータ24の出力軸に固定されている上向きホーン48と、フラップ23の支持軸に固定あれている上向きホーン48とがプッシュプルロッド76によって連結されることで、フラップ23の迎角が可変となっている。
角筒状部材5の内スペース85にモータ24が収納される場合、トラックやバス等の大型車両のように、スピンドル2の機械的強度や疲労強度等を高めるために、スピンドル2の径が太く設定されている場合、スピンドル2を延設するための角筒状部材5の径も必然的に太くなる。その結果、角筒状部材5の内スペース85内の内径や容積も大きく確保することができる。すると、モータ24として、外形寸法の大きいモータが採用された場合も、そのモータを角筒状部材5の内スペース85に収納することができる。また、小型モータに減速機構を備えてモータの小型化を図りつつモータのトルクを高める方法も考えられる。
そして、上述したダウンフォース発生装置1、ダウンフォース発生装置25の場合と同様に、スピンドル2にねじ込んだ角筒状部材5を、スパナAやスパナB等を介してブレーキキャリパー7側に一体化し、スピンドル2の設定組付け位置に留め置いておく。次いで角筒状部材5の雌ネジにあらかじめねじ込んだロックネジ6を、規定の締め付けトルクで締め込んで、スピンドル2の設定組付け位置に角筒状部材5が本固定される。
また、角筒状部材5は、上述したダウンフォース発生装置1やダウンフォース発生装置25の場合と同様に、スピンドル2の雄ネジにねじ込むための雌ネジ部が角筒状部材5の中心軸線方向に形成されている。その雌ネジ部は、車幅方向外側へ突出させたスピンドル2に十分にねじ込むことが可能な部分と、ロックネジ6がねじ込み可能な部分とを備えている。さらに、角筒状部材5の車幅方向の長さは、ロックネジ6を十分にねじ込んだ後にモータ24を所定の位置に配置固定したモータ支持部77を収納可能な長さを有している。
そして、角筒状部材5の外先端面9に複数のネジ穴9a、9b、9c、9d、9e、9fが形成されている。ダウンフォース可変装置125を構成する空力部材8が角筒状部材5に嵌め込まれて固定されるときに、図32に示すように、ネジ受部材94がモータ支持部77の手前側(車幅方向外側)に重ねて配置される。そして、モータ支持部77とネジ受部材94とが図5(a)に示すネジ穴9c及びネジ穴9dにネジ等の固着具によって固定される。さらに、モータ支持部77の一部とネジ受部材94の一部とが、図5(a)に示すネジ穴9a 及びネジ穴9fに固定される。
また、モータ24の出力軸には、あらかじめホーンを固定しておくとよい。さらに、角筒状部材5の内スペース85内の所定の位置に、モータ24が固定されたモータ支持部77を嵌め込んで、その後、ネジ受部材94を嵌め込み、角筒状部材5の外先端面9に、モータ支持部77とネジ受部材94をネジ等の固着具によって固定する組み立て方も考えられる。モータ24の出力軸に固定するホーンのサイズが、角筒状部材5の外径よりも大きい場合にこの組み立て方を採用するとよい。この組み立て方では、ホーンを固定する前に、内側翼端板45と整流翼部15とが一体成形された奥部品を、角筒状部材5の所定の位置に嵌め込んでおく。
角筒状部材5の中心軸線方向に形成された雌ネジ部に車幅方向外側からねじ込んだロックネジ6のネジ頭(車幅方向外側)が配置される内スペース85に、モータ支持部77が固定される。その前に、モータ24のリード線28を、ロックネジ6及びスピンドル2の貫通孔26を貫通させて配線し、さらに、スピンドル2に形成した貫通孔26の車幅方向内側の開口部から突出させたそのリード線28の端部にソケット又はプラグが取り付けられ、そのソケット又はプラグが、ECU側のプラグ又はソケットに差し込まれて、モータとECU間が結線される。
また、モータ24は、モータ支持部77の所定の位置に配置固定されるモータ24の出力軸中心線がフラップ内側支持軸53の支持軸中心線と平行する方向に沿ってモータ支持部77の所定の位置に配置固定されている。
そして、ナット部13が配置固定されたネジ受部材94の形状は、モータ24の出力軸にホーンが固定され、そのホーンが、モータ24の出力軸を中心に回動したときに、ホーンやプッシュプルロッド76の作動範囲と重複しない形状に成形されている。
次いで、予めプッシュプルロッド76の長さが、モータ24の出力軸に固定されたホーン(上向きホーン48)とフラップ23側に固定されたホーン(上向きホーン48)との間の長さに調節されているが、そのプッシュプルロッド76のモータ24側の取り付け部が、モータ24の出力軸に固定されているホーン(上向きホーン48)に取り付ける。モータ24の出力軸に固定されたホーン(上向きホーン48)に、あらかじめ、プッシュプルロッド76が取り付けられている組み立て方も考えられる。
次いで、巻取部43や、その巻取部43とフラップ23との間のフレキシブルインナーケーブル27を介してフラップ23の迎角が可変とされる前述したダウンフォース発生装置25の空力部材8と同様、車幅方向内側より、対称翼形状を有する整流翼部15が配置され、その車幅方向外側の翼端部に内側翼端板46が配置され、さらにそれらに内側翼端板45が一体成形されて奥部品を形成している。
内側翼端板106は、詳細には、車長方向の横翼断面形状が、対称翼形状(ホイール側のみに湾出した湾曲形状に形成されてもよい)に形成された翼端板であって、車長方向の縦方向に二分割して製造された内側翼端板45、内側翼端板46で構成される。内側翼端板45と整流翼部15とが一体成形されて奥部品を形成している。
そして、内側翼端板46に形成したフラップ内側支持軸53を支持する軸受け部52に、フラップ23と一体化したフラップ内側支持軸53、フラップ外側支持軸55の内のフラップ内側支持軸53を差し込み、また、外側翼端板10に形成したフラップ外側支持軸55を支持する軸受け部56に、フラップ外側支持軸を差し込む。さらに、内側翼端板46と外側翼端板10との間に配置されたフラップ23が組み付け中にずれを発生しないように、外側翼端板10の内側面に設けたウイング3の車幅方向外側の翼端部側面形状凹部をウイング3の車幅方向外側の翼端部に嵌め込んで両者を堅牢に一体化しておく。次いで内側翼端板46に形成した軸受け部52を貫通して突出したフラップ内側支持軸53の所定の位置に、両出しフラップホーン47をネジ等の固着具によって固定しておく。なお、両者を堅牢に一体化しておくために、外側翼端板10の内側面にウイング3の車幅方向外側の翼端部側面形状凹部を設けたが、ウイング3の車幅方向外側の翼端部側面形状は限定されるものではない。例えば、いずれか一方側に設けた複数箇所の円筒凹部又は円柱凸部に相対するいずれか他方側に、複数箇所の円柱凸部又は円筒凹部を設けてもよい。
次いでフラップ23側の上向きホーン48にプッシュプルロッド76の取り付け部を取り付け、内側翼端板46と外側翼端板10との間にフラップ23が配置された中部品と手前部品について、角筒状部材5に嵌め込まれていた奥部品側との位置合わせを行う。また、空力部材8を構成する外側翼端板10の貫通孔11から空力部材固定ネジ12を差し込んで、ネジ受部材94のナット部にねじ込むと、空力部材8が角筒状部材5側に固定されてダウンフォース発生装置125が構成される。
また、奥部品を構成する内側翼端板45に内側翼端板46を位置合わせする場合は、上述したように、内側翼端板45と内側翼端板46との間を堅牢に一体化するために、いずれか一方に、複数箇所の円筒凹部又は円柱凸部を設け(図21においては、内側翼端板45にスピンドル2の中心軸線AーA´を含む平面上に中心軸線が重なる円筒凹部を設け)、また、いずれか一方に設けた複数箇所の円筒凹部又は円柱凸部に相対するいずれか他方に、複数箇所の円柱凸部又は円筒凹部(図21においては、内側翼端板46に、スピンドル2の中心軸線AーA´を含む平面上に中心軸線が重なる円柱凸部)を設けておくと、両者間を嵌め合わせることによって、位置決めとともに両者が堅牢に固定されて一体化することができる。
そして、モータを車体側に配置固定したダウンフォース発生装置25や、フレキシブルインナーケーブル27を介してフラップ23の迎角を可変とするダウンフォース発生装置25では、フラップ23を可変するために、モータ24とフラップ23との間がフレキシブルインナーケーブル27で連結されている構成が採用されている。そのため、そのフレキシブルインナーケーブル27に対し、引張コイルばね54によって常に引っ張り荷重が与えられている。これに対し、モータ24とフラップ23とがプッシュプルロッド76によって連結されているダウンフォース発生装置125では、駆動用のモータ24として、自己保持力を備えたステッピングモータや、変速機構付きのギヤードステッピングモータ、電気式ブレーキや機械式ブレーキを備えたステッピングモータを採用することが好ましい。
次に、フラップ23の駆動方法を説明する。
フラップ23の可変用モータ24を正転・逆転させるために、例えば、半導体スイッチを4個使用したフルブリッジあるいはHブリッジと呼ばれる半導体スイッチが用いられる。これらのスイッチがECU 内や車両に取り付けられて、ECUと接続される。そして、配線によってECUと接続されるモータが半導体スイッチによって正転・逆転を行う。
ECU が、フラップ23の迎角を強める必要が生じたと判断した場合には、フルブリッジあるいはHブリッジと呼ばれる半導体スイッチによって、フラップ23の迎角が強まる方向に、車体側に配置固定したモータ24やモータ収納部内に配置固定したモータ24が回転するように通電する。
モータ24が車体側に配置固定したダウンフォース発生装置25や、モータ24がナックルの車幅方向内側の内側面に配置固定されているダウンフォース発生装置125の場合は、車体側に配置固定したモータ24やナックルの車幅方向内側の内側面に固定したモータ24を、フラップ23の迎角が強まる方向に作動させる。すると、巻取部43が、両出しフラップホーン47における下向きホーン取り付け口と突起部74との間に掛けられた引張コイルばね54の引っ張り荷重に打ち勝って、フレキシブルインナーケーブル27を巻き取る。すると、フレキシブルインナーケーブル27の一端部に連結されている上向きホーン48が引き込まれてフラップ23の迎角が強められる。すると、図19に示すウイング3の後端側上面と、フラップ23前端部の下面との間のスリット37を走行風が通過したときに、ウイング3の上面を流れる空気流が、ウイング3より強い迎角のフラップ23の後面に速い速度で流れ込む。すると、ウイング3の下面の減速された境界層の気流を増速させることで高いダウンフォースが発生する。これによって、ダウンフォース発生装置25,125が装着されている車両100の直進安定性や操縦安定性が向上する。
また、角筒状部材5の内スペース85内にモータ24が配置固定されているダウンフォース発生装置125では、内スペース85内のモータ24を、フラップ23の迎角が強まる方向に回転させたときに、その回転軸に固定したホーンによってプッシュプルロッド76が引き込まれて、フラップ内側支持軸53に固定されたホーンを引き込む。すると、フラップ23の迎角が強められて、上述したダウンフォース発生装置25と同様に、高いダウンフォースを発生させる。このダウンフォース発生装置125が装着されている車両100についても、直進安定性や操縦安定性が向上する。
そして、ECUが、フラップ23の迎角を弱める必要が生じたと判断した場合には、車体側に配置固定されたモータ24や、ナックルの車幅方向内側の内側面に配置固定されたモータ24が、今度は、逆回転する。すると、巻取部43が、両出しフラップホーン47における下向きホーン取り付け口と突起部74等に掛けられた引張コイルばね54の引っ張り荷重に打ち負けて、フレキシブルインナーケーブル27が繰り出される。すると、フレキシブルインナーケーブル27の一端部に連結する上向きホーン48が送り込まれてフラップ23の迎角が弱められる。その結果、ウイング3の後端部の上面とフラップ23の前端部の下面との間に形成されているスリット37が解消されて、ダウンフォース・ドラッグともに最小となる位置に留まる。
また、図32に示したダウンフォース発生装置125のように、角筒状部材5の内スペース85にモータ24が配置固定されている場合には、内スペース85に配置固定したモータ24が逆回転し、その回転軸に固定されているホーン48がプッシュプルロッド76を送り込んで、内側フラップ支持軸53に固定されているホーン48が送り込まれてフラップ23の迎角を弱める。その結果、ウイング3の後端部の上面とフラップ23の前端部の下面との間に形成されたスリット37が解消されて、ダウンフォース・ドラッグともに最小となる位置に留まる。
フラップ23は、フラップ23の迎角を強める必要が生じたとECU が判断した場合には、上述したように、フルブリッジあるいはHブリッジと呼ばれる半導体スイッチによって、フラップ23の迎角が強まる方向にモータ24を作動させて、ウイング3とフラップ23との間にスリット37が形成される。車両で急ブレーキが操作された急制動時においても、それに応じた信号に連動して、フラップ23の前端部が、ウイング3の後端部の上面と接するまでさらに急激に迎角を強めてスリット37が閉鎖されるようにする機能をECUが有することが好ましい。この場合、スリット37が閉鎖され、さらに迎角を強めたフラップ23のドラッグが増大してエアーブレーキとして機能し、フロントブレーキの制動能力と合わせて、車両の制動力を高めることができる。加えて、フロントブレーキへの負担を減じて耐久性の向上を図ることもできる。さらに、運転席より後方でかつ後輪軸より後方にエンジンを配置し後輪を駆動する後輪駆動車においては、前輪よりも後輪に多くの荷重が加わる。そのため、ドライバーがハンドルを切る前に、ブレーキを踏むことによって前タイヤに荷重が加わる。その後、ハンドルが切られることによって車両が方向を変える。そのため、ハンドルが切られた方向のウイング3の迎角を強める機能がECU に備えられていると、ハンドルが切られときに、その切られた方向の前タイヤのダウンフォースが高まってタイヤの接地力が増加する。或いは、車両がカメラでとらえた情報を用いて道路状況を判断し、ドライバーのハンドル操作をアシストする場合(アシスト機能を有する)には、そのアシスト機能が割り出した方向のウイング3の迎角を強める機能が車両に備えられていることが好ましい。これらの車両では、ハンドルが切られた方向(またはアシスト機能が割り出した方向)の走向ラインに沿って的確に進行することができ、操縦安定性を高めることができる。
また、フラップ23の迎角をモータ24の駆動力によって可変するダウンフォース発生装置125においても、フロントバンパーにおける左右の両コーナーそれぞれに各ダクトを形成し、各ダクト入り口部に開閉弁を備えた場合と、ダクト入り口部に開閉弁を備えず、走行中、ダクトより導かれた空気流を常にウイング3とウイング3と組み合わせたフラップ23に供給し続けて空気流中に晒すことによってダウンフォースを発生させる場合が考えられる。
さらに、ウイング3とフラップ23をフロントバンパーによって遮らずに、走行中の走行風に晒すことによってダウンフォースを発生させる場合も考えられる。ただし、この場合のダウンフォース発生装置125は、スピンドル2の外端部の設定組付け位置に配置固定して車両を真上から投影した場合に、フロントフェンダーによって道路運送車両法に準ずるように、フロントフェンダーによって覆われている。
また、フレキシブルインナーケーブル27を巻き取る駆動力源としてモータを採用した場合を例にとって説明した。そのほか、ソレノイドや油圧、また、エンジンが吸気行程時に生じる負圧を利用して、フレキシブルインナーケーブル27の巻き取りと繰り出しを行なう方法も考えられる。
上述した各ダウンフォース発生装置25,120、125における作用効果については次のとおり。ダウンフォース発生装置25,120、125では、車長中心線を挟んだ左右の各フラップ23をそれぞれ専用のモータによって別々に可変することもできる。そうすることによって、各々のフラップ23を同一の迎角に又は異なる迎角に個別に可変することが可能となる。例えば、ハンドルを操作して切った方向の内側前タイヤ(左に切った場合は左の前タイヤ)を支持するスピンドル2に装着されるダウンフォース発生装置25について、そのフラップ23の迎角を、必要なダウンフォースを得られる迎角まで高め、また、ハンドルを操作して切った方向と反対方向の外側の前タイヤ(左に切った場合は右の前輪タイヤ)を支持するスピンドル2に装着されるダウンフォース発生装置25について、そのフラップ23の迎角を、ダウンフォース・ドラッグともに最小となる位置に留めておく。すると、ハンドル操作をして切った方向の前タイヤの接地力が高められて車体左側の不要な浮きが制止される。また、ハンドル操作をして切った方向と反対側の前タイヤのグリップ力が高められずに車体右側の不要な沈み込みが制止される。こうすることによって、過度な荷重移動が制止され、車両の操縦安定性を高めることができる。
また、降雨時や降雪時、横風が強いときなど、左右それぞれのフラップ23の迎角を、必要なダウンフォースを得られる迎角まで同一の割合で強めておくと、左右それぞれの前タイヤの接地力を同等に高めておくことができ、操縦安定性を高めて安全運転に寄与することができる。
さらに、低温時に本来の性能を発揮できないタイプのタイヤに対しては、左右それぞれのフラップ23の迎角を同一の割合で強めておくと、短時間にタイヤ温度を高めることができる。また、車両側で急ブレーキが操作された急制動時においては、その信号に連動して、フラップ23の前端部が、ウイング3の後端部の上面と接するまでフラップ23を下げてスリット37を閉鎖させるように指示する機能をECU が有することが望ましい。こうすると、スリット37が閉鎖されて、左右のウイング3とフラップ23に生じるドラッグは左右の前タイヤにブレーキを掛けるように働くことになり、制動距離の短縮化と、ブレーキの耐久性を高めることもできる。
そして、ダウンフォース発生装置25において、走行状況に合わせて左右のフラップ23の迎角を、同一に、又は別々に、必要なダウンフォースを得ることができる迎角まで連続的に可変させることができる。さらに、直進走行時においては左右の各フラップ23を同一の迎角に揃える機能等をECUに備えておくこととする。
これらのモータには、トルクを高めることができる減速装置を一体化したギヤードモータの採用や、また、正確な位置決めが可能なステッピングモータを採用したサーボ・モータ等の採用が考えられる。また、電磁ブレーキ付きのモータを採用すると、モータを停止したときに、その位置で電磁ブレーキを作動させ、フラップ23の受けた走行風圧による迎角の減少に対処することができるとともに、フラップ23を任意の位置で保持し続けることができる。
上述した各実施形態では、フロントハブを正確かつ滑らかに回転させるためのハブベアリングに、インナー・ベアリングに両側面が開放された開放型ベアリングを採用し、アウター・ベアリングに一方側面が開放され他方側面がシールされた片側面シールド型ベアリングが採用されている。図33に示すように、インナー・ベアリングからの潤滑用グリースの外部への漏出を防止するために、独立したオイルシール80が車幅方向内側に配置され、そのオイルシール80の車幅方向外側にインナー・ベアリングが配置されていることが好ましい。アウター・ベアリング側においては、シールされた一方側面が車幅方向外側を向くように配置されてダウンフォース発生装置1、ダウンフォース発生装置25を備えた場合を例にとって説明した。
次に、アウター・ベアリングに両側面が開放された開放型ベアリングを採用し、アウター・ベアリング側からのハブベアリング潤滑用グリースの外部への漏出を防止するために、フロントハブ開口端にハブキャップ79を被せて構成されるダウンフォース発生装置1やダウンフォース発生装置25について説明する。
ハブベアリング潤滑用グリースの外部への漏出を防止するために、インナー・ベアリングにおいて、両側面が解放された開放型ベアリングが採用される場合は、車幅方向内側(車長前後中心線方向側)にオイルシール80が配置され、オイルシール80の車幅方向外側にインナー・ベアリングが配置される。また、一方側面が開放され、他方側面がシールされた片側面シールド型ベアリングが採用される場合は、インナー・ベアリングのシールされた他方側面を車幅方向内側に向けて配置する。そして、アウター・ベアリング側において、両側面が解放されたベアリングを採用した場合においては、アウター・ベアリング側からのグリースの外部への漏出に対処するために、フロントハブの開口端にハブキャップ79を被せ、ハブキャップ79は、図33に示すように、その中央部にオイルシール80を嵌挿する開口部が形成されていて、その開口部にオイルシール80を嵌挿して備えてグリースの外部への漏出に対処している。
そして、オイルシール80を嵌挿したハブキャップ79をフロントハブ開口端部の所定の位置に嵌挿したときに、オイルシール80のダストリップ先端部(図示せず)が、スピンドル2の中心軸線AーA´方向における先の部分の一部外周面に当接する部分において、滑らかな円筒状に成形した円筒部81とオイルシール80のダストリップ先端部とが緊密に接する同位置構造となって両者の間が密封される。また、ハブキャップ79側からの図示しないハブベアリング潤滑用グリースの外部への漏出が防止される。また、オイルシール80を嵌挿したハブキャップ79に替えて、フロントハブ開口端部に、オイルシール80を嵌挿することも可能である。
円筒部81の外径寸法は、ナックルスピンドルの中心軸線方向の所定の位置にフロントハブ78を留め置くセンターハブナットの内径より小径に設定されている。また、オイルシール80を嵌挿したハブキャップ79をフロントハブ開口部の所定の位置に嵌挿するときに、角筒状部材5をねじ込むためのネジ山部分にダストリップ先端部が当接せずに挿入することができるように、ネジ山部分の外径寸法を円筒部81の外径寸法より小径に設定するか、または、角筒状部材5をスピンドル2のネジ山にねじ込むためのネジ山部分が、図33に示すように、円筒部81の外径寸法と同寸法の外周部に形成されている構造でもよい。
そして、オイルシール80を嵌挿したハブキャップ79をフロントハブ開口部の所定の位置に嵌挿するときに、あらかじめ角筒状部材5をねじ込むためのネジ山部分に、ハブベアリングに充填したグリースを塗布しておく。さらに、オイルシール80のダストリップ先端部がネジ山部分に直接当接して傷が付かないように、耐油性ゴムや耐油性プラスチック等で作られた円筒形のキャップを、角筒状部材5をねじ込むためのネジ山部分に被せた後に、オイルシール80を嵌挿したハブキャップ79を嵌め込む方法でもよい。また、角筒状部材5をねじ込むためのスピンドル2のネジ山部分に薄いシートを巻いてハブベアリングに充填したグリースを塗布しておき、オイルシール80のダストリップ先端部を滑らせながらオイルシール80を嵌挿したハブキャップを嵌め込み、嵌め込んだ後に、前記シートを取り外す方法も考えられる。
そして、上述した、オイルシール80を嵌挿したハブキャップ又はオイルシール80を直接フロントハブ開口部に嵌挿した場合においては、オイルシール80を嵌挿したハブキャップ又はオイルシール80における車幅方向外側面部に、スピンドル2にねじ込んだ角筒状部材5の車幅方向内側の内先端面が当接するまでさらにねじ込み、その位置から角筒状部材5を戻しながら、角筒状部材5を、上述したスパナAやスパナBによってブレーキキャリパー7側に連結しておき、次いでロックナットをねじ込んで規定の締め付けトルクでロックナットを締め込むことによって、角筒状部材5がナックルを構成するスピンドル2の中心軸線AーA´方向及び放射方向における基準の位置に本固定することができる。
オイルシール80を嵌挿したハブキャップ又はオイルシール80を直接フロントハブ開口部に嵌挿する方法は、フロントハブを正確かつ滑らかに回転させるためのインナー・アウターの両ハブベアリングを潤滑するための潤滑用グリースの収容量が多いバスや大型トラックのハブキャップに採用するとよい。
(第4の実施の形態)
そして、ダウンフォース発生装置1やダウンフォース発生装置25が後輪駆動車における非駆動輪である前タイヤに装着されている車両を例にとって説明した。ダウンフォース発生装置1やダウンフォース発生装置25がフロントエンジン・フロントドライブ方式の車両(以下、FF車)における左右の非駆動輪である後タイヤにそれぞれ装着されている車両についても、本願発明は適用可能である。
FF車においては、基本的に、エンジン・トランスミッション・デフ・ラジエーター等の重量物がフロント側に搭載され、車両構造上、重量配分がフロント寄りとなって後タイヤへの重量配分が不足する。そのため、例えば、旋回中にブレーキが掛けられた場合に、荷重がさらにフロント寄りとなって後タイヤの接地力低下へとつながる。最悪の場合、後タイヤの接地力が失われ、前タイヤを軸にスピンモードに至る「タックイン」という現象が生じる。このタックインから回復するためには、運転者に高い技量が求められる。
そこで、タックイン現象の発生時期を可能な限り遅らせるために、FF車において、後タイヤ(非駆動輪としての後輪)を支持する車軸にダウンフォース発生装置1やダウンフォース発生装置25を装着することができる。こうすることにより、後タイヤを路面に対して垂直に近い状態に維持し続けて、後タイヤの路面に対する接地能力や路面追従性能力を向上させることができる。そのうえ、リヤブレーキがその制動能力を発揮し続けるようにすることもできる。
また、近年においては、後タイヤの路面に対する接地能力や路面追従性能力を向上させることを目的に、リヤサスペンションの高機能化を図る傾向が復活している。その場合、リヤサスペンションの構造の簡素化を図った場合においても、路面に対して後タイヤを垂直に近い状態に維持し続けることができる。その結果、直進安定性の向上と、旋回中のブレーキング時に生じるタックイン現象の発生時期を可能な限り遅らせて、旋回中の操縦安定性の向上を図ることができる。
さらに、FF車における左右の各後タイヤを支持する支持軸における中心軸線方向の所定の位置に、ダウンフォース発生装置1,25を構成するウイング3やフラップ23を備えた場合においては、上述したフロントバンパー左右のコーナーに形成したダクトのように、4ドア車両の場合は、左右の各リヤドアの下部に、また、2ドア車両の場合は、左右の各リヤクォーターパネル下部に、走行風を大量に導入して集中的にダウンフォース発生装置1を構成するウイング3やダウンフォース発生装置25を構成するウイング3とフラップ23等へ空気流を供給するダクトをそれぞれ形成しておき、そのダクト入口部に開閉弁を備えて、開閉弁を走行状況に合わせて開閉させることにより、ウイング3やフラップ23の効率向上を図ることができる。また、ダクト入口部に前閉弁を備えずに、ダクトより導入した走行風を常にウイング3やフラップ23へ供給してもよい。
そして、FF車における左右の各後タイヤを支持する支持軸における中心軸線AーA´方向及び周方向基準の位置に、ダウンフォース発生装置1、ダウンフォース発生装置25を採用して備えた場合においては、ダウンフォース発生装置1を構成するウイング3や、ダウンフォース発生装置25を構成するウイング3とフラップ23を上方より見たときに隠れるように後タイヤフェンダー形状を形成しておくこととする。また、4ドア車両における左右の各リヤドア下部や、2ドア車両における左右の各リヤクォーターパネル下部にダクトを設けずに、ウイング3や、フラップ23等を、走行風中に晒すことによってダウンフォースを発生させ、ダウンフォース量を可変する組み合わせ方も可能である。また、ダクトを設けないためにダクトを設けたことによって生じるドラッグが発生しない。
また、ダウンフォース発生装置1、ダウンフォース発生装置25が後輪を操舵しない(〔僅かに操舵する場合も含む〕FF車に採用された場合では、上述した後輪を駆動する略してRR車やMR車、FR車等の後輪駆動車にダウンフォース発生装置1、ダウンフォース発生装置25が採用されている場合に比べて、ウイング3や、フラップ23における車長方向の長さを長く確保することができる。よって、ダウンフォースが発生しやすい。ウイング3やフラップ23は、フェンダーアーチ上部に接触しないように、図18に示すように、可能な限り低い位置に配置するとよい。ただし、旋回時の安定性の向上を図る目的で、後輪を操舵する全輪操舵車の場合においては、操舵時にフェンダーアーチ等に接触しない長さにすることとする。
そして、フォーミュラカー〔タイヤが露出し、屋根がない、自動車競争専用に製造された単座席のレーシングカー〕において、上述した前タイヤを装着した左右の各フロントホイールの車幅方向外側にウイング3を配置固定した実施形態に加えて、前タイヤを装着した左右の各フロントホイールがフロントハブに固定され、フロントハブをハブベアリングを介して支持する左右の各ナックルの裏側〔車幅方向内側〕のアッパーアームとロワーアーム間に、走行中の走向風を導入してダウンフォースを発生させる位置にウイング3が配置固定されている実施形態も考えられる。上述した実施形態と比べて、安定的にダウンフォースを発生させて操縦安定性を高めることができる。
さらに、モーターサイクルにおけるフロントサスペンションである倒立フォークを構成しフロントタイヤを支持する左右の各インナーチューブ〔ボトムケースを含む〕や、正立フォークを構成しフロントタイヤを支持する左右の各アウターチューブ〔ボトムケースを含む〕、アクスル等に、空力部材8を構成するウイング3と前記ウイング3の両翼端部に各翼端板を一体化した空力部材8をそれぞれ配置した実施形態も考えられる。
そして、走行中における車両の前輪がノーズリフト状態に至った場合に、ウイング3の下面に走向風が当たってさらにノーズリフト状態が継続されないように、ウイング3の前端部内部の車幅方向に、ウイング3を回動可能な状態で支持するウイング3の支持軸を貫通させて配置し、ウイング3支持軸が、倒立フォークを構成し前輪タイヤを支持する左右の各インナーチューブ側や、また、正立フォークを構成し前輪タイヤを支持する左右の各アウターチューブ側に固定され、さらに、ウイング3が設定した迎角を維持するように、ウイング3の両翼端部に一体化された各翼端板の内、内側の翼端板の下端部を保持しておく支持台を左右の前記各インナーチューブ側や、左右の前記各アウターチューブ側に備えておくとともに、前輪のノーズリフト状態のときに、空力部材8が走向風を受けて前記ウイング3における内側の翼端板の下端部が支持台を離れ走向風中に晒されたときに、浮き上がる空力部材8を規制する突起部74を左右の前記各インナーチューブ側や、左右の前記各アウターチューブ側に備えて構成されている。また、ウイング3支持軸と左右の両インナーチューブ側や、左右の両アウターチューブ側間に、ゼンマイバネ等の弾性体を備えておき、設定した条件下では、空力部材8が、支持台を離れないように対処しておくとよい。
よって、ウイング3の回動範囲が規制されているために、前輪がノーズリフト状態に至った場合においては、走向風をウイング3下面が受けて設定した条件を上回ったとき、ウイング3が、その支持軸を中心に、ウイング3後端が扇状に移動するが、左右の前記両インナーチューブ側や、左右の前記両アウターチューブ側に備えた突起部74に内側の翼端板の上端部が当たって回動が規制され、それ以上に回動させず、また、前輪のノーズリフト状態が解消されたときに、走向風を受けてウイング3が設定した迎角の状態に戻ってきたときに、左右の前記両インナーチューブ側や、左右の前記両アウターチューブ側に備えた支持台に、内側の翼端板の下端部が当たってその位置に留まり続けて、ウイング3が設定した迎角を維持し続けることができる。
そして、本発明は係る実施形態に限定されず、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。一例を以下に説明する。
例えば、上述した実施形態においては、運転席より前方にエンジンを配置し後輪を駆動する後輪駆動車に、ダウンフォースを発生させるウイング3を、前輪タイヤを装着した左右の各フロントホイールの中央開口部よりさらに車幅方向外側へ突出して延設された左右の各ナックルスピンドルを構成するスピンドル2の中心軸線方向の先の部分に設定した同一の位置で同一の迎角を成す所定の位置に固定した。そのほか、エンジンがモータに変更されて車両について、ウイング3やフラップ23を有するダウンフォース発生装置1,25が、左右の前タイヤについて、各フロントホイールの中央開口部よりさらに車幅方向外側へ突出して延設された各スピンドルの外端部に装着されている実施形態も十分に考えられる。また、前輪駆動車おける前輪を駆動するエンジンがモータに変更されている場合も同様である。
本発明を適用することにより、サスペンションを構成するバネやダンパー等を過度に硬く設定しなくても、高速走行時やコーナーリング時における操縦安定性が確保され、それにより、操縦安定性と乗車時における快適性とを両立させることが可能なダウンフォース発生装置およびそのダウンフォース発生装置を備えた車両が得られる。本発明は、ダウンフォース発生装置および車両の分野で利用することができる。
1…ダウンフォース発生装置、2…スピンドル2、3…ウイング、4…センターハブナット、5…角筒状部材、6…ロックネジ、7…ブレーキキャリパー、8…空力部材、9a、9b、9c、9d、9e、9f…ネジ穴、10…外側翼端板、11…差し込み口、12…空力部材固定ネジ、13…ナット部、14…ネジ受部材、15…整流翼部、16…内側翼端板、17…角穴部、18…角孔部、19…差込孔部19、20…円柱状突部、21…オープン六角孔、22…角柱状突部、23…フラップ23、24…モータ、25…ダウンフォース発生装置、26…貫通孔、27…フレキシブルインナーケーブル、28…モータリード線、29…ホイール、30…外側面中央部、31…通気孔31、32…環状キャップ、33…中央開口部、34…ホイールカバー、35…六角穴付円筒部、36…補強用リブ、37…スリット、38…フロントバンパー、39…ダクト、40…開閉弁、41…ECU、42…フラップ駆動部、43…巻取部、44…フレキシブルアウターケーブル、45…内側翼端板、46…内側翼端板、47…両出しフラップホーン、48…上向きホーン、49…誘導溝部、50…端末継ぎ手、51…内スペース、52…軸受け部、53…フラップ内側支持軸、54…引張コイルばね、55…フラップ外側支持軸、56…軸受け部、57…支持金具、58…ケーブル支持部、59…取り付け孔、60…モータ取付部、61…溝部、62…位置調整ネジ支持部、63…位置調整ネジ、64…固定用ネジ、65…調整機構65、66…カバー、67…ハウジング、68…切欠部、69…ネジ穴、70,71…Oリング、72…嵌め込み口、73…ラバーブーツ、74…突起部、76…プッシュプルロッド、77…モータ支持部、78…フロントハブ、79…ハブキャップ、80…オイルシール、81…円筒部81。

Claims (10)

  1. 車軸に装着される車軸装着部と、該車軸装着部と一体的に形成されている空力部材とを有し、
    該空力部材は、路面に向かう下向き揚力を生成し得る翼型を有するウイングと、該ウイングの前記車軸の中心軸線上に沿った車幅方向外側に固定されている翼端板とを有し、
    前記車軸装着部が前記車軸に装着されたときに、該車軸に装着されるホイールから前記空力部材が外向きに張り出すように配置されるダウンフォース発生装置。
  2. 前記車軸装着部は、前記車幅方向と交差する車長方向に沿った断面が流線形に形成されている整流翼部を有する請求項1記載のダウンフォース発生装置。
  3. 前記車軸装着部は、前記車軸の外端部に外側から螺合し、かつ断面が多角形に形成されている角筒状部材を有し、該角筒状部材に係合する角穴部が前記整流翼部に形成されている請求項2記載のダウンフォース発生装置。
  4. 前記車軸装着部がナット部を備えたネジ受部材を有し、
    前記空力部材は、前記翼端板および前記ウイングを連通している貫通孔が形成され、
    該貫通孔に挿通されて前記ネジ受部材の前記ナット部に螺合する固定部材を更に有し、
    前記ウイングの前記車幅方向内側に固定されている内側翼端板を更に有する請求項1記載のダウンフォース発生装置。
  5. 車軸に装着される車軸装着部と、該車軸装着部と一体的に形成されている空力部材とを有し、
    該空力部材は、路面に向かう下向き揚力を生成し得る翼型を有するウイングと、該ウイングの前記車軸の中心軸線上に沿った車幅方向外側に固定されている翼端板とを有し、
    前記車軸装着部が前記車軸に装着されたときに、該車軸に装着されるホイールから前記空力部材が外向きに張り出すように配置され、
    前記空力部材は、前記ウイングとの間にスリットを形成し得る回動可能状態で前記ウイングの近傍に配置されているフラップを有するダウンフォース発生装置。
  6. 前記フラップを回動させるフラップ回動機構を更に有する請求項5記載のダウンフォース発生装置。
  7. 前記車軸装着部は、前記車幅方向と交差する車長方向に沿った断面が流線形に形成されている整流翼部を有し、
    前記車軸装着部は、前記車軸の外端部に外側から螺合し、かつ断面が多角形に形成されている角筒状部材を有し、該角筒状部材に係合する角穴部が前記整流翼部に形成されている請求項5または6記載のダウンフォース発生装置。
  8. ダウンフォース発生装置が両側の非駆動輪に装着されている車両であって、
    該ダウンフォース発生装置は、
    車軸に装着される車軸装着部と、該車軸装着部と一体的に形成されている空力部材とを有し、
    該空力部材は、路面に向かう下向き揚力を生成し得る翼型を有するウイングと、該ウイングの前記車軸の中心軸線上に沿った車幅方向外側に固定されている翼端板とを有し、
    前記車軸装着部が前記車軸に装着され、かつ、該車軸に装着されるホイールから前記空力部材が外向きに張り出すように配置されている車両。
  9. ダウンフォース発生装置が両側の非駆動輪に装着されている車両であって、
    該ダウンフォース発生装置は、
    車軸に装着される車軸装着部と、該車軸装着部と一体的に形成されている空力部材とを有し、
    該空力部材は、路面に向かう下向き揚力を生成し得る翼型を有するウイングと、該ウイングの前記車軸の中心軸線上に沿った車幅方向外側に固定されている翼端板とを有し、
    前記車軸装着部が前記車軸に装着され、かつ、該車軸に装着されるホイールから前記空力部材が外向きに張り出すように配置され、
    前記空力部材は、前記ウイングとの間にスリットを形成し得る回動可能状態で前記ウイングの近傍に配置されているフラップを有する車両。
  10. 前記ダウンフォース発生装置が両側の前記非駆動輪としての前輪に装着されている請求項8または9記載の車両。
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