<概要>
以下、典型的な実施形態の1つについて、図面を参照して説明する。図1〜図11は本実施形態に係る自覚式検眼装置について説明するための図である。なお、以下の<>にて分類された項目は、独立又は関連して利用されうる。
なお、以下の説明においては、自覚式検眼装置の奥行き方向(被検者の測定の際の被検者の前後方向)をZ方向、奥行き方向に垂直(被検者の測定の際の被検者の左右方向)な平面上の水平方向をX方向、鉛直方向(被検者の測定の際の被検者の上下方向)をY方向として説明する。
例えば、本実施形態の自覚式検眼装置(例えば、自覚式検眼装置1)は、視標光束を矯正ユニット(例えば、矯正ユニット50)を介して被検眼に投影し、被検眼の光学特性を自覚的に測定する。例えば、自覚的に測定される被検眼の光学特性としては、眼屈折力、コントラスト感度、両眼視機能(例えば、斜位量、立体視機能等)等の少なくともいずれかであってもよい。例えば、眼屈折力としては、球面情報(例えば、球面度数(S))、乱視情報(例えば、乱視度数(C)と乱視軸角度(A)との少なくともいずれか等)等の少なくともいずれかであってもよい。
例えば、自覚式検眼装置は、視標呈示部(例えば、ディスプレイ11)を備える。例えば、視標呈示部は、視標光束を出射する。また、例えば、自覚式検眼装置は、矯正ユニットを備える。例えば、矯正ユニットは、光学部材(例えば、レンズディスク57の光学部材)を有し、被検眼の眼前に配置される光学部材の光学特性が設定されることで、被検眼を矯正する。
例えば、自覚式検眼装置は、他覚式測定手段(例えば、他覚式測定手段100)を備える。例えば、他覚式測定手段は、フォトレフラクション方式にて被検眼の眼屈折力を他覚的に測定する。例えば、他覚式測定手段は、投光光学系(例えば、投光光学系105)と、受光光学系(例えば、受光光学系120)と、を有する。例えば、投光光学系は、測定光を出射する測定光源(例えば、測定光源130)を有し、測定光源から出射された測定光を被検眼の眼底に照射する。例えば、受光光学系は、被検眼の眼底によって反射された測定光の反射光を検出器(例えば、検出器121)で受光する。
例えば、測定光源としては、複数の測定光源が設けられ、少なくとも3経線方向に関して互いに分離して、それぞれの測定光源が配置される。このように、少なくとも3経線方向に測定光源を配置することによって、眼屈折力(球面度数、乱視度数、乱視軸角度)を測定することができる。
例えば、フォトレフラクション方式の他覚式測定手段とは、被検眼の眼底からの反射光の瞳孔における割合から被検眼の眼屈折力を他覚的に測定するものである(詳細は後述する)。
例えば、自覚式検眼装置は、制御手段(例えば、制御部80)を備える。例えば、制御手段は、自覚式検眼装置の動作を制御する。例えば、制御手段は、1つの制御手段によって、自覚式検眼装置の動作を制御するようにしてもよい。また、例えば、制御手段は、複数の制御手段を有し、複数の制御手段によって、自覚式検眼装置の動作を制御するようにしてもよい。
例えば、制御手段は、他覚式測定手段によって被検眼の第1眼屈折力を取得し、取得した第1眼屈折力に基づいて、被検眼の眼前に配置される光学部材の光学特性を設定する。また、例えば、制御手段は、他覚式測定手段によって、第1眼屈折力に基づいて設定された光学部材を介して測定光を被検眼に照射することで、光学部材によって被検眼が矯正された状態における被検眼の第2眼屈折力を取得する。
上記のように、本実施形態における自覚式検眼装置は、視標光束を出射する視標呈示部と、光学部材を有し、被検眼の眼前に配置される光学部材の光学特性が設定されることで、被検眼を矯正する矯正ユニットと、視標光束を矯正ユニットの光学部材を介して被検眼に投影し、被検眼の光学特性を自覚的に測定する。また、本実施形態における自覚式検眼装置は、自覚式検眼装置の動作を制御する制御手段と、測定光を出射する測定光源を有し、測定光源から出射された測定光を被検眼の眼底に照射する投光光学系と、被検眼の眼底によって反射された測定光の反射光を検出器で受光する受光光学系と、を有し、フォトレフラクション方式にて被検眼の眼屈折力を他覚的に測定する他覚式測定手段と、を備える。また、本実施形態における自覚式検眼装置において、制御手段は、他覚式測定手段によって被検眼の第1眼屈折力を取得し、取得した第1眼屈折力に基づいて、被検眼の眼前に配置される光学部材の光学特性を設定し、他覚式測定手段によって、第1眼屈折力に基づいて設定された光学部材を介して測定光を被検眼に照射することで、光学部材によって被検眼が矯正された状態における被検眼の第2眼屈折力を取得する。このような構成によって、フォトレフラクション方式の他覚式測定手段を用いても、良好な他覚測定結果を取得することができる。また、フォトレフラクション方式の他覚式測定手段を用いることで、より簡易的な構成で自覚測定と他覚測定を実施できる自覚式検眼装置を提供することができる。
例えば、制御手段は、第1眼屈折力を取得する場合に、光学部材によって被検眼が矯正された状態における被検眼の第1眼屈折力を取得するようにしてもよい。この場合、例えば、制御手段は、被検眼が予め設定された矯正量にて矯正されるように眼前に配置される光学部材の光学特性を設定するようにしてもよい。また、この場合、例えば、検者は、問診の結果や被検者が装用している眼鏡等の屈折力等を参考にして、矯正量を入力し、制御手段は、被検眼が入力された矯正量にて矯正されるように眼前に配置される光学部材の光学特性を設定するようにしてもよい。
例えば、制御手段は、第1眼屈折力を取得する場合に、光学部材によって被検眼が矯正されていない状態における被検眼の第1眼屈折力を取得するようにしてもよい。例えば、光学部材によって被検眼が矯正されていない状態における被検眼の第1眼屈折力を取得する場合に、他覚式測定手段の測定光が矯正ユニットの光学部材を介すことなく、第1眼屈折力を測定するようにしてもよい。すなわち、例えば、制御手段は、他覚式測定手段による測定光を、矯正ユニットを経由させることなく、被検眼に照射するようにしてもよい。この場合、例えば、矯正ユニットを被検眼の眼前から退避させる構成としてもよい。つまり、矯正ユニットを退避位置に退避させた状態で、被検眼に測定光を照射し、他覚的に第1眼屈折力を取得するようにしてもよい。
また、例えば、光学部材によって被検眼が矯正されていない状態における被検眼の第1眼屈折力を取得する場合に、他覚式測定手段による測定光が矯正ユニットの光学部材を介して、第1眼屈折力を取得するようにしてもよい。すなわち、例えば、制御手段は、光学部材によって被検眼を矯正しない状態で、他覚式測定手段による測定光を、矯正ユニットを経由させて、被検眼に照射し、第1眼屈折力を取得するようにしてもよい。この場合、例えば、制御手段は、光学部材によって被検眼を矯正しない状態で、光学部材を介して測定光を被検眼に照射し、第1眼屈折力を取得してもよい。次いで、例えば、制御手段は、他覚式測定手段によって、第1眼屈折力に基づいて設定された光学部材を介して測定光を被検眼に照射することで、被検眼の眼前に配置される光学部材によって被検眼が矯正された状態における被検眼の第2眼屈折力を取得するようにしてもよい。
例えば、上記のように、制御手段は、光学部材によって被検眼を矯正しない状態で、光学部材を介して測定光を被検眼に照射し、第1眼屈折力を取得し、他覚式測定手段によって、第1眼屈折力に基づいて設定された光学部材を介して測定光を被検眼に照射することで、光学部材によって被検眼が矯正された状態における被検眼の第2眼屈折力を取得するようにしてもよい。このような構成によって、検眼ユニットを移動させることを抑制し、被検者が姿勢等を大きく変える必要なく、連続して測定を行うことができる。このため、より短い時間で測定を完了することができる。すなわち、矯正ユニットを退避させる場合と比較して、より短い時間で測定を完了することができる。
なお、例えば、光学部材によって被検眼を矯正しない状態とは、眼前に配置された光学部材によって被検眼の眼屈折力を矯正していない状態を示す。例えば、光学部材によって被検眼を矯正しない状態とは、光学部材が屈折力(矯正量)を有さないように、眼前に配置される光学部材の光学特性を設定する構成であってもよい。この場合、例えば、制御手段は、眼前に屈折力を有する光学部材を配置せず、屈折力を有さない光学部材のみが眼前に配置されるように、光学部材を設定することで、光学部材によって被検眼を矯正しない状態とする構成であってもよい。一例として、矯正ユニットの内部における被検眼を矯正するための矯正用の光学部材を眼前に配置せず、矯正ユニットの内部の他の光学部材(例えば、レンズディスク57の光学部材)等を保護するための保護用の光学部材(例えば、保護カバー65)のみが眼前に配置されるような設定であってもよい。なお、本実施形態において、屈折力を有さない光学部材とは、屈折力を有していない光学部材と、被検眼の眼屈折力に影響しない程度の屈折力を有する光学部材と、を含む。
また、この場合、例えば、屈折力が変化する光学部材を用いるようにしてもよい。例えば、制御手段は、眼前に配置された光学部材の屈折力を制御して、光学部材が屈折力を有さないように、光学部材の光学特性を設定することで、光学部材によって被検眼を矯正しない状態とする構成であってもよい。
また、この場合、例えば、制御手段は、複数の光学部材を組み合わせて眼前に配置することによって、光学部材を設定してもよい。例えば、制御手段は、屈折力を有する複数の光学部材が眼前に配置されるように、光学部材を設定することで、光学部材によって被検眼を矯正しない状態とする構成であってもよい。このように、例えば、屈折力を有する複数の光学部材が配置されることで、複数の光学部材間で互いの屈折力を相殺し、複数の光学部材全体の屈折力でみた場合に結果的に屈折力を有さない状態とするようにしてもよい。
例えば、第1眼屈折力に基づいて、被検眼の眼前に配置される光学部材の光学特性を設定する場合、制御手段は、第1眼屈折力を眼前の配置される光学部材の屈折力(矯正量)として設定してもよい。すなわち、例えば、制御手段は、第1眼屈折力を矯正ユニットにおける光学部材の矯正量として設定してもよい。
また、第1眼屈折力に基づいて、被検眼の眼前に配置される光学部材の光学特性を設定する場合、制御手段は、第1眼屈折力を参照して、第1眼屈折力とは異なる眼屈折力(例えば、第1眼屈折力に近い値の眼屈折力等)を眼前の配置される光学部材の屈折力(矯正量)として設定してもよい。すなわち、例えば、制御手段は、第1眼屈折力と近い値の眼屈折力を矯正ユニットにおける光学部材の矯正量として設定してもよい。
なお、例えば、眼前に配置される光学部材の光学特性を設定する(眼前に配置される光学部材の矯正量として設定する)ための第1眼屈折力は、球面情報(球面度数)と乱視情報(例えば、乱視度数と乱視軸角度との少なくともいずれか)との少なくともいずれかを含む構成であってもよい。例えば、第1眼屈折力における球面情報と乱視情報との少なくともいずれかの値に基づいて、矯正量が設定される。また、例えば、第1眼屈折力における乱視情報に基づいて、眼前に配置される光学部材の光学特性(眼前に配置される光学部材の矯正量)が設定される。
なお、例えば、制御手段は、取得した第2眼屈折力を出力するようにしてもよい。例えば、第2眼屈折力を出力する構成として、制御手段は、第2眼屈折力をディスプレイに表示してもよい。また、例えば、第2眼屈折力を出力する構成として、制御手段は、第2眼屈折力を紙等に印刷する構成であってもよい。
また、例えば、第2眼屈折力を出力する構成として、制御手段は、第2眼屈折力を他の装置(他の装置を制御する制御手段)に向けて送信する構成であってもよい。この場合、例えば、他の装置は、第2眼屈折力を受信し、受信した第2眼屈折力に基づいて各種制御が行われるようにしてもよい。例えば、第2眼屈折力に基づく各種制御としては、自覚的な測定時における矯正ユニットの初期値設定であってもよい。この場合、例えば、制御手段は、視標光束を矯正ユニットの光学部材を介して被検眼に投影し、被検眼の光学特性を自覚的に測定する場合に、自覚的に測定を開始する際における被検眼の眼前に配置される光学部材の光学特性の初期値を、第2眼屈折力に基づいて設定するようにしてもよい。すなわち、例えば、制御手段は、矯正ユニットの光学部材の初期値(初期の矯正量)を第2眼屈折力に基づいて設定するようにしてもよい。このような構成によって、検者はより精度のよい他覚測定結果を初期値として使用することできるため、被検眼の矯正状態がより良好な状態から自覚的な測定を開始でき、自覚式検査装置による自覚的な測定を迅速に行うことができる。もちろん、第2眼屈折力に基づく各種制御としては、上記とは異なる制御であってもよい。
なお、例えば、初期値を設定する場合に、制御手段は、第2眼屈折力を初期値として設定してもよい。すなわち、例えば、制御手段は、第2眼屈折力を矯正ユニットにおける光学部材の初期の矯正量として設定してもよい。また、例えば、初期値を設定する場合に、制御手段は、第2眼屈折力を参照して、第2眼屈折力に近い値の眼屈折力を初期値として設定してもよい。すなわち、例えば、制御手段は、第2眼屈折力に近い値の眼屈折力を矯正ユニットにおける光学部材の初期の矯正量として設定してもよい。
例えば、初期値として設定する第2眼屈折力としては、球面情報(球面度数)と乱視情報(例えば、乱視度数と乱視軸との少なくともいずれか)との少なくともいずれかを含む構成であってもよい。
なお、例えば、制御手段は、第1眼屈折力に基づいて設定された光学部材の矯正量に基づいて、第2眼屈折力を補正するようにしてもよい。このような構成によって、例えば、測定光を矯正ユニットを介して被検眼に照射し、他覚的に眼屈折力を得る場合に、矯正ユニットに設定されている光学部材に応じて他覚的に測定した眼屈折力の光学特性が変化してしまった場合であっても、変化を考慮した眼屈折力を取得することができる。すなわち、矯正ユニットに設定された光学部材によらず、良好な眼屈折力を取得することができる。
なお、例えば、自覚式検眼装置は、さらに、筐体(例えば、筐体2)を備えるようにしてもよい。例えば、筐体は、視標呈示部を収納するようにしてもよい。この場合、例えば、矯正ユニットは、筐体の外部に配置され、視標呈示部より出射された視標光束の光学特性を光学部材を用いて変更するようにしてもよい。
例えば、自覚式検眼装置は、矯正ユニットを保持する保持手段(例えば、保持アーム35)を備えていてもよい。例えば、自覚式検眼装置は、筐体と矯正ユニットが一体的に連結されていてもよい。一例として、例えば、保持手段は、筐体と矯正ユニットは一体的に連結する構成であってもよい。このような構成によって、フォトレフラクション方式の他覚を用いる構成において、光学系の多くが筐体内に配置されるとともに、矯正ユニットと筐体とが一体的であるため、外乱光による影響が抑制できる。フォトレフラクション方式の他覚式測定手段を用いる場合には、外乱光によって測定結果に影響が生じやすいため、本技術がより有用となる。
なお、例えば、自覚式検査装置は、検査位置において、矯正ユニットの検査窓と、筐体の呈示窓(例えば、呈示窓3)と、が対向して配置されている構成であってもよい。
なお、例えば、自覚式検眼装置は、筐体と矯正ユニットが一体的に連結された構成でなく、近接する構成であってもよい。例えば、近接して配置されている構成とは、矯正ユニットと筐体との間に、検者の頭が入りこむことができない距離であってもよい。例えば、近接して配置されている構成とは、矯正ユニットと筐体との間の距離が1m以下(例えば、1m、500mm、135mm、70mm等)であってもよい。もちろん、例えば、近接して配置されている構成とは、矯正ユニットと筐体との間の距離が1mよりも離れている構成であってもよい。
なお、本開示においては、本実施形態に記載する装置に限定されない。例えば、上記実施形態の機能を行う端末制御ソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体等を介して、システムあるいは装置に供給する。そして、システムあるいは装置の制御装置(例えば、CPU等)がプログラムを読み出し、実行することも可能である。
例えば、自覚式検眼プログラムとしては、視標光束を出射する視標呈示部と、光学部材を有し、被検眼の眼前に配置される光学部材の光学特性が設定されることで、被検眼を矯正する矯正ユニットと、視標光束を前記矯正ユニットの光学部材を介して被検眼に投影し、被検眼の光学特性を自覚的に測定するための自覚式検眼装置であって、自覚式検眼装置の動作を制御する制御手段と、測定光を出射する測定光源を有し、測定光源から出射された測定光を被検眼の眼底に照射する投光光学系と、被検眼の眼底によって反射された測定光の反射光を検出器で受光する受光光学系と、を有し、フォトレフラクション方式にて被検眼の眼屈折力を他覚的に測定する他覚式測定手段と、を備える自覚式検眼装置において用いられる自覚式検眼プログラムであってもよい。この場合、例えば、自覚式検眼プログラムは、自覚式検眼装置の制御手段によって実行されることで、他覚式測定手段によって被検眼の第1眼屈折力を取得する第1眼屈折力取得ステップと、取得した第1眼屈折力に基づいて、被検眼の眼前に配置される光学部材の光学特性を設定する光学部材設定ステップと、他覚式測定手段によって、第1眼屈折力に基づいて設定された光学部材を介して測定光を被検眼に照射することで、光学部材によって被検眼が矯正された状態における被検眼の第2眼屈折力を取得する第2眼屈折力取得ステップと、を自覚式検眼装置に実行させるようにしてもよい。
以下、本実施形態における自覚式検眼装置の各構成についてより詳細に説明する。
<矯正ユニット>
例えば、矯正ユニットは、光学部材を有し、被検眼の眼前に配置される光学部材の光学特性が設定されることで、被検眼を矯正する。例えば、光学特性とは、(例えば、球面度数、乱視度数(柱面度数)、乱視軸角度、偏光特性、及び収差量、等の少なくともいずれか)であってもよい。
例えば、光学部材としては、被検眼を矯正するための矯正用の光学部材であってもよい。
この場合、例えば、光学部材としては、球面レンズ、円柱レンズ、クロスシリンダレンズ、ロータリープリズム、波面変調素子、可変焦点レンズ等の少なくともいずれかを用いる構成であってもよい。もちろん、例えば、光学部材としては、上記記載の光学部材とは異なる光学部材を用いるようにしてもよい。
また、例えば、光学部材としては、矯正ユニットに設けられた他の光学部材を保護するための保護用光学部材であってもよい。この場合、例えば、光学部材としては、保護カバーであってもよい。例えば、保護カバー(例えば、保護カバー65)は、保護カバーと異なる光学部材を保護するために矯正ユニットの検査窓(例えば、検査窓53)に配置される。
例えば、矯正ユニットとしては、被検眼の眼前に配置される光学部材を切り換えて配置する矯正ユニット(フォロプタ)であってもよい。例えば、矯正ユニットは、検査窓に光学部材を切り換え配置する左右一対のレンズ室ユニットを備える構成であってもよい。例えば、矯正ユニットは、複数の光学部材が同一円周上に配置されたレンズディスクと、レンズディスクを回転させるための駆動手段と、を有し、駆動手段(例えば、モータ)の駆動により光学部材を電気的に切り換える構成であってもよい。もちろん、矯正ユニットの構成は、上記光学部材を切り換え配置する構成とは異なる構成の矯正ユニットが用いられてもよい。
<視標呈示部>
例えば、視標呈示部としては、ディスプレイを用いる構成であってもよい。例えば、ディスプレイとしては、LCD(Liquid Crystal Display)、LCOS(Liquid Crystal On Silicon、有機EL(Electro Luminescence)等の少なくともいずれかであってもよい。例えば、ディスプレイには、ランドルト環視標等の検査視標等が表示される。
また、例えば、視標呈示部としては、DMD(Digital Micromirror Device)であってもよい。一般的にDMDは反射率が高く、明るい。このため、偏光を用いた場合でも液晶ディスプレイと比べ、視標光束の光量を維持できる。
また、例えば、視標呈示部としては、視標呈示用可視光源と、視標板と、を有する構成であってもよい。この場合、例えば、視標板は、回転可能なディスク板であり、複数の視標を持つ。複数の視標は、例えば、自覚測定時に使用される視力検査用視標、等を含んでいる。例えば、視力検査用視標は、視力値毎の視標(視力値0.1、0.3、・・・、1.5)が用意されている。例えば、視標板はモータ等によって回転され、視標は、被検眼に視標光束が導光される光路上で切換え配置される。もちろん、視標光束を投影する視標呈示部としては、上記構成以外の視標呈示部を用いてもよい。
例えば、自覚式検眼装置は、視標呈示部から出射された視標光束を被検眼に投影するための投影光学系(例えば、投影光学系10)を有していてもよい。この場合、例えば、投影光学系は、視標呈示部を有し、視標呈示部から出射された視標光束を被検眼に向けて投影する構成であってもよい。なお、例えば、投影光学系は、視標光束を被検眼に向けて投影する少なくとも1つ以上の光学部材等を有してもよい。例えば、投影光学系は、視標呈示部から出射された視標光束の像を光学的に所定の検査距離となるように被検眼に導光する投影用光学部材(例えば、凹面ミラー13)を有するようにしてもよい。
例えば、投影光学系は、視標呈示部から出射された視標光束を光学部材の光軸に対してずらして入射させて、視標光束を被検眼に向けて投影する。この場合、例えば、視標呈示部の画面に対する法線方向を投影用光学部材の光軸に対して傾斜させて視標呈示部を配置するようにしてもよい。
例えば、投影用光学部材としては、凹面ミラー、レンズ等の少なくともいずれかであってもよい。例えば、投影光学系は、投影用光学部材が凹面ミラーである場合に、視標呈示部によって出射された視標光束を凹面ミラーに向けて反射させ、凹面ミラーによって反射された視標光束を筐体の内部から外部に向けて導光する反射部材(例えば、平面ミラー12)を有するようにしてもよい。このような構成によって、投影光学系の部材をより少なくすることができ、自覚式検眼装置をより省スペース化することができる。もちろん、投影光学系は上記構成に限定されず、視標呈示部から出射された視標光束を投影用光学部材の光軸に対してずらして入射させて、視標光束を被検眼に向けて投影する構成であればよい。
例えば、反射部材としては、ミラー(例えば、全反射ミラー、ハーフミラー等)、プリズム等のいずれかであってもよい。もちろん、反射部材は、これに限定されず、視標光束を被検眼に向けて導光する部材であればよい。
例えば、本実施形態において、投影光学系は、左右一対に設けられた右眼用投影光学系と左眼用投影光学系を有するようにしてもよい。この場合、例えば、左右一対に設けられた視標呈示部を用いるようにしてもよい。例えば、右眼用投影光学系と左眼用投影光学系は、右眼用投影光学系を構成する部材と左眼用投影光学系を構成する部材とが、同一の部材によって構成されていてもよい。また、例えば、右眼用投影光学系と左眼用投影光学系は、右眼用投影光学系を構成する部材と左眼用投影光学系を構成する部材とで少なくとも一部の部材が異なる部材によって構成されていてもよい。例えば、右眼用投影光学系と左眼用投影光学系は、右眼用投影光学系を構成する部材と左眼用投影光学系を構成する部材とで少なくとも一部の部材が兼用されている構成であってもよい。また、例えば、右眼用投影光学系と左眼用投影光学系は、右眼用投影光学系を構成する部材と左眼用投影光学系を構成する部材とが、別途それぞれ設けられている構成であってもよい。
<他覚式測定手段>
例えば、フォトレフラクション方式の他覚式測定手段とは、被検眼の眼底からの反射光の瞳孔における割合から被検眼の眼屈折力を他覚的に測定するものである。例えば、他覚式測定手段は、投光光学系と、受光光学系と、を有する。
例えば、投光光学系は、対物光学系を備えるようにしてもよい。この場合、例えば、対物光学系は、測定光源から出射された測定光を被検眼の眼底に照射する。なお、例えば、対物光学系は、測定光を被検眼に向けて投影する少なくとも1つ以上の光学部材等を有してもよい。なお、例えば、投光光学系は、少なくとも測定光源を有する構成であればよい。
なお、例えば、投光光学系と、受光光学系と、の少なくとも一部の光学部材が兼用される構成としてもよい。もちろん、それぞれ、別の光学部材によって構成されてもよい。
例えば、投光光学系の配置位置としては、任意の位置に配置することができる。また、例えば、受光光学系の配置位置としては、任意の位置に配置することができる。
例えば、自覚式検眼装置が筐体を備える場合に、筐体の内部に投光光学系を配置するようにしてもよい。このとき、例えば、受光光学系は、筐体の内部又は外部のいずれかに配置されるようにしてもよい。
また、例えば、自覚式検眼装置が筐体を備える場合に、筐体の外部に投光光学系を配置するようにしてもよい。この場合、例えば、投光光学系は、矯正ユニットと筐体との間に配置されるようにしてもよい。一例として、投光光学系が、矯正ユニットに配置されるようにしてもよい。すなわち、投光光学系が、矯正ユニットと一体的に配置されるようにしてもよい。このとき、例えば、受光光学系は、筐体の内部又は外部のいずれかに配置されるようにしてもよい。
なお、例えば、自覚式検眼装置が筐体を備える場合に、投光光学系の少なくとも一部の部材が筐体の外部に配置されるようにしてもよい。また、例えば、受光光学系の少なくとも一部の部材が筐体の外部に配置されるようにしてもよい。
<実施例>
以下、本実施例における自覚式検眼装置の構成について説明する。例えば、図1は、自覚式検眼装置1を正面側から示す斜視図である。例えば、図2は、本実施例に係る自覚式検眼装置1を背面側から示す斜視図である。なお、本実施例においては、後述する呈示窓3が位置する側を自覚式検眼装置1の正面、後述する観察窓41が位置する側を自覚式検眼装置1の背面として説明する。例えば、図1(a)は、自覚式検眼装置1を正面の左方側から示す斜視図である。また、例えば、図1(b)は、自覚式検眼装置1を正面の右方側から示す斜視図である。
例えば、自覚式検眼装置1は、筐体2、呈示窓3、保持ユニット4、第1操作部8、第2操作部9、投影光学系10、観察ユニット40、矯正ユニット50、他覚式測定手段100等を備える。
例えば、本実施例においては、被検者が筺体2の正面に対向する。例えば、筐体2は、その内部に投影光学系10を収納する。例えば、呈示窓3は、被検者眼(以下、被検眼と記載)に検査視標を呈示するために用いる。例えば、呈示窓3は、投影光学系10における視標光束を透過する。このため、被検眼には、呈示窓3を介した視標光束が投影される。例えば、呈示窓3は、埃などの侵入を防ぐために透明パネルで塞がれている。例えば、透明パネルとしては、アクリル樹脂やガラス板等の透明な部材を用いることができる。
なお、矯正ユニット50が、呈示窓3と被検眼との間に配置されている場合、被検眼には、呈示窓3及び矯正ユニット50の検査窓53を介した視標光束が投影される。
例えば、保持ユニット4は、矯正ユニット50を保持する。例えば、保持ユニット4によって、矯正ユニット50が、退避位置あるいは検査位置に支持される。例えば、本実施例における退避位置は、図1に示すように、筺体2の上部に矯正ユニット50が上昇した状態である。また、本実施例における検査位置は、図10に示すように、筺体2の正面に矯正ユニット50が下降した状態である。このような退避位置と検査位置の切り換えは、保持ユニット4が有する図示無き移動ユニットによって、保持ユニット4の図示無き保持アームが上下移動されることによって行われる。
<第1操作部及び第2操作部>
以下、第1操作部8及び第2操作部9について説明する。例えば、第1操作部8は、上下移動スイッチ(矯正ユニット50の移動スイッチ)である。また、例えば、第2操作部9は、上下移動スイッチ(矯正ユニット50の移動スイッチ)である。すなわち、本実施例において。第1操作部8と第2操作部9は、同一の操作をするための操作部である。例えば、第1操作部8又は第2操作部9が操作されることによって、矯正ユニット50を被検眼の眼前の検査位置と、退避位置と、の間で移動させることができる。
例えば、第1操作部8は、筐体2の左側面に配置されている。例えば、第2操作部9は、筐体2の右側面に配置されている。例えば、第1操作部と第2操作部は、左右側面における上方に配置されている。なお、本実施例においては、例えば、第1操作部と第2操作部は、筐体2の中心を基準として、左右対称な位置に配置されている。
なお、本実施例において、例えば、第1操作部8と第2操作部9は、同一の形状を有する操作部である。例えば、第1操作部8と第2操作部9とで同一の形状であるため、第1操作部8又は第2操作部9の一方を操作する際に他方と同様の操作で、自覚式検眼装置1を操作することができるため、検者が誤った操作を行う可能性を抑制でき、操作しやすくなる。
なお、本実施例においては、矯正ユニット50を被検眼の眼前の検査位置と、退避位置と、の間で移動させるための操作部として、第1操作部8と第2操作部9が設けられる構成としたがこれに限定されない。例えば、矯正ユニット50を被検眼の眼前の検査位置と、退避位置と、の間で移動させるための操作部としては、少なくとも1つ以上の操作部を有する構成であってもよい。一例として、1つの操作部を用いる場合、操作部は、自覚式検眼装置1の左右側から操作が可能な位置に配置されるようにしてもよい。
<投影光学系>
以下、投影光学系10について説明する。例えば、図3は、投影光学系10を左側面(図1における矢印方向C1)からみた図である。図3(a)は、遠用検査時における光学配置を示している。図3(b)は、近用検査時における光学配置を示している。例えば、投影光学系10は、視標呈示部を有し、視標呈示部から出射された視標光束を被検眼Eに向けて投影する。例えば、本実施例において、視標呈示部として、ディスプレイ(例えば、ディスプレイ11)が用いられる。例えば、投影光学系10は、ディスプレイ11、平面ミラー12、凹面ミラー13、遠近切換部20等を備える。
例えば、ディスプレイ11には、ランドルト環視標や固視標等の検査視標が表示される。例えば、ディスプレイ11の表示は、後述する制御部80によって制御される。例えば、ディスプレイとしては、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)、プラズマディスプレイ等を用いてもよい。
例えば、図3(a)に示す遠用検査時には、ディスプレイ11の画面が筺体2の奥側を向き、視標光束が奥方向に向けて出射される。なお、視標光束は、ディスプレイから水平方向(Z方向)に出射されてもよいし、斜め方向(YZ方向)に出射されてもよい。例えば、図3(b)に示す近用検査時には、ディスプレイ11の画面が上側を向き、視標光束が上方向に向けて出射される。なお、視標光束は、ディスプレイから垂直方向(Y方向)に出射されてもよいし、斜め方向(YZ方向)に出射されてもよい。このようにして、ディスプレイ11からの視標光束は被検眼Eに向けて投影される。
例えば、平面ミラー12は、ディスプレイ11からの視標光束を反射させ、凹面ミラー13に導光する。また、例えば、平面ミラー12は、ディスプレイ11からの視標光束を反射させ、被検眼Eに導光する。例えば、平面ミラー12は、その下部(図3における平面ミラー12の実線部)にのみミラーコートを施しており、上部(図3における平面ミラー12の点線部)にはミラーコートを施していない。
このため、本実施例では平面ミラー12の上部が透明な構成となっている。例えば、近用検査時における平面ミラー12の焦点距離は、ディスプレイから被検眼Eまでの光学距離が40cmとなるように設計されている。なお、本実施例においては、視標光束を反射させることが可能であればよく、平面ミラーを用いる構成に限定されない。例えば、反射部材であればとよい。この場合、例えば、プリズム、ビームスプリッタ、ハーフミラー等を用いる構成であってもよい。
例えば、凹面ミラー13は、ディスプレイ11からの視標光束を平面ミラー12に向けて反射する。例えば、凹面ミラー13は、ディスプレイ11に表示された検査視標の呈示距離を遠用検査距離に設定する。例えば、凹面ミラー13の焦点距離は、ディスプレイ11から被検眼Eまでの光学距離が5mとなるように設計されている。なお、本実施例においては、凹面ミラー13を用いる構成に限定されない。例えば、視標光束を反射することのできる反射部材であってもよい。この場合、例えば、非球面ミラーや自由曲面ミラー等を用いる構成であってもよい。また、例えば、レンズを用いる構成であってもよい。この場合、例えば、ディスプレイ11からレンズを介して、被検眼Eに視標光束が投影されることで、レンズによって、ディスプレイ11から被検眼Eまでの光学距離が5mとなるように設計されている構成であってもよい。
例えば、ビームスプリッタ150は、平面ミラー12によって反射されたディスプレイ11からの視標光束を透過し、被検眼Eに導く。また、例えば、ビームスプリッタ150は、後述する他覚式測定手段100の測定光源130から出射された測定光を反射し、被検眼Eへ導光する。
例えば、図3(a)に示す遠用検査時において、被検者の被検眼Eには、ディスプレイ11から出射し、平面ミラー12、凹面ミラー13、平面ミラー12、ビームスプリッタ150の順に光学部材を経由した視標光束が投影される。すなわち、ディスプレイ11から出射した視標光束は、光軸L1を通って平面ミラー12に入射すると、光軸L2方向に反射されて、凹面ミラー13へと向かう。この視標光束が凹面ミラー13に入射すると、光軸L3方向に反射されて、平面ミラー12へと向かう。さらに、視標光束が平面ミラー12に入射すると、光軸L4方向に反射されて、ビームスプリッタ150を通過して、被検者の被検眼Eに投影される。また、例えば、図3(b)に示す近用検査時において、被検者の被検眼Eには、ディスプレイ11から出射し、平面ミラー12に反射された視標光束がビームスプリッタ150を通過して投影される。すなわち、ディスプレイ11から出射した視標光束は、光軸L3を通って平面ミラー12に入射し、光軸L4方向に反射され、ビームスプリッタ150を介して、被検者の被検眼Eに投影される。例えば、投影光学系10は、このようにして、筺体2の内部から外部へと視標光束を射出する。
例えば、遠近切換部20は、遠用検査時における遠用検査光路と近用検査時における近用検査光路とを切り換えるために用いられる。例えば、遠用検査光路は、ディスプレイ11から出射された視標光束を凹面ミラー13を介して被検眼に向けて投影することで、遠用検査距離にて視標光束を前記被検眼に投影する光路である。また、例えば、近用検査光路は、ディスプレイ11からの視標光束の像が凹面ミラー13を介すことなく近用検査距離にて被検眼に投影する光路である。
例えば、遠近切換部20は、遠用検査時と近用検査時とにおいて、ディスプレイ11の位置を変更する。例えば、遠近切換部20は、保持部21、ギヤ22、モータ23等を備える。例えば、保持部21は、ディスプレイ11を保持する。例えば、ギヤ22は、ウォーム部24とホイール部25を有する。例えば、ウォーム部24とホイール部25は、互いが噛み合うギヤで形成されている。例えば、ウォーム部24にはモータ23が連結されており、ホイール部25には保持部21が連結されている。例えば、モータ23が駆動することでウォーム部24が回転し、これに伴ってホイール部25が矢印方向に回転する。これによって、ディスプレイ11を保持部21とともに一体的に移動させることが可能であり、ディスプレイ11の画面に表示される検査視標の呈示位置を、遠用検査時と近用検査時とで切り換えることができる。なお、ギヤ22及びモータ23は筐体2の側壁に配置されており、ディスプレイ11から被検眼Eに向かう視標光束を妨げない位置に配置されている。
なお、本実施例では、投影光学系10の光軸L3及び光軸L4が、遠用検査時と近用検査時において同軸となる構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、本実施例では、被検眼Eに視標光束を導光することができればよく、遠用検査時と近用検査時で別々の光路を通過する構成であってもよい。
<他覚式測定手段>
図4は、他覚式測定手段100の構成について説明する図である。以下、図3、図4を用いて他覚式測定手段100について説明する。例えば、他覚式測定手段は、フォトレフラクション方式にて被検眼の眼屈折力を他覚的に測定する。例えば、フォトレフラクション方式の他覚式測定手段とは、被検眼の眼底からの反射光の瞳孔における割合から被検眼の眼屈折力を他覚的に測定するものである。
例えば、他覚式測定手段100は、投光光学系105、受光光学系120を備える。なお、本実施形態において、例えば、投光光学系105は、測定光源130を備える。もちろん、例えば、投光光学系105は、測定光源130のみで構成されていてもよい。例えば、受光光学系120は、受光用対物光学系140、CCD等の検出器121を備える。
図5は、測定光源130を正面方向(光軸方向)から見た場合(被検者が測定光源130を見た場合)の図を示している。例えば、測定光源130としては、近赤外光を発光する赤色LED(発光ダイオード)が用いられる。もちろん、異なる種類の光源が用いられてもよい。
例えば、測定光源130としては、複数の測定光源が設けられ、少なくとも3経線方向に関して互いに分離して、それぞれの測定光源が配置されるようにしてもよい。もちろん、測定光源が配置される経線方向は、任意の数の経線方向(例えば、1経線方向、2経線方向、4経線方向等)とすることができる。本実施例においては、4経線方向に測定光源が配置されている場合を例に挙げて説明する。
なお、本実施例においては、1経線方向において、対物レンズ113の光軸中心O1を基準として2組の測定光源が対称に配置されている構成を例に挙げて説明する。もちろん、1経線方向において、対物レンズ113の光軸中心O1を基準として、対照に測定光源を配置しない構成であってもよい。すなわち、1経線方向において、対物レンズ113の光軸中心O1に対して片側のみに測定光源が配置される構成であってもよい。本実施例において、例えば、測定光源130としては、4経線方向に8組の測定光源(測定光源130a、測定光源130b、測定光源130c、測定光源130d、測定光源130e、測定光源130f、測定光源130g、測定光源130h)が配置される。
例えば、測定光源130a〜測定光源130hの8組の測定光源は、対物レンズ113の外周円の外側に同心円上に45°間隔で配置されている。もちろん、各測定光源の配置位置は、任意の位置に配置することができる。例えば、測定光源130は、ベース111に固定されている。また、例えば、対物レンズ113は、ベース111に固定されている。
例えば、測定光源130a〜測定光源130hの8組の測定光源は、それぞれ3つの測定光源を有する。例えば、3つの光源(一例として、測定光源130aにおける3つの光源130a1,130a2,130a3)は、対物レンズ113の光軸中心O1を基準として経線方向(半径方向)に延びる仮想直線上に所定の間隔をあけて順に配置されている。例えば、各測定光源は、それぞれ独立して制御することができる。例えば、各測定光源の点灯、光量の調整、等をそれぞれ独立して制御することができる。
なお、本実施例において、例えば、測定光源130として、8組の測定光源を有する構成としたがこれに限定されない。例えば、測定光源130としては、任意の組(例えば、3組、4組、5組、6組等)の測定光源を有することができる。なお、本実施例においては、測定光源130a〜測定光源130hの8組の測定光源は、それぞれ3つの測定光源を有する構成を例に挙げて説明するがこれに限定されない。各組の測定光源は、任意の数の測定光源(例えば、2つ、4つ、5つ等)を有することができる。
例えば、測定光源130は、上述のように、対物レンズ113の外周円の外側に同心円上に配置されている。例えば、測定光源130は被検眼の瞳孔と光学的に共役な位置関係となっている。
例えば、検出器121は、被検眼眼底と共役な関係となっている。例えば、検出器121からの出力は、制御部80に入力される。本実施例において、例えば、受光光学系120の光軸L6と投光光学系105の光軸L5とが同軸とされている。
上記構成において、測定光源130から出射された測定光は、ビームスプリッタ150に照射される。例えば、ビームスプリッタ150に照射された測定光は、ビームスプリッタ150によって被検眼Eの方向へ反射される。被検眼Eの方向へ反射された測定光は、矯正ユニット50の検眼窓53及び検眼窓に配置される光学部材(例えば、後述するレンズディスク57の光学部材)を介して、被検眼Eの眼底に照射される。すなわち、測定光は、投光光学系105の光軸L5に沿って被検眼Eに照射される。
例えば、被検眼Eの眼底に照射された測定光は反射・散乱されて被検眼Eを射出し、ビームスプリッタ150によって反射され、対物レンズ113によって集光される。対物レンズ113によって集光された反射光は、検出器121によって検出される。
本実施例において、例えば、測定光源130は、各測定光源が順に点灯される。例えば、制御部80は、測定光源130a1を点灯させる。このとき、他の測定光源は、消灯させておく。例えば、測定光源130a1から出射された測定光は、被検眼Eに照射され、被検眼Eによって反射された反射光が検出器121に検出される。例えば、制御部80は、測定光源130a1の点灯による検出結果が取得されると、次の測定光源130a2を点灯させるとともに測定光源130a1を消灯させ、測定光源130a2の点灯による検出結果を取得する。例えば、制御部80は、測定光源130a2の点灯による検出結果が取得されると、次の測定光源130a3を点灯させるとともに測定光源130a2を消灯させ、測定光源130a3の点灯による検出結果を取得する。
例えば、制御部80は、測定光源130aの3つの光源による検出結果が取得されると、次の組の測定光源による測定を実施する。例えば、制御部80は、測定光源130bの3つの光源による検出結果を取得する。この場合、測定光源130b1を点灯させ、他の測定光源を消灯させておく。次いで、上記の測定光源130aの測定と同様に、順次、各測定光源による検出結果を取得していく。例えば、制御部80は、測定光源130aの3つの光源による検出結果が取得されると、次の組の測定光源による測定を実施する。例えば、制御部80は、各組の測定光源による測定を順次実施していく。
なお、本実施例においては、上記ように測定光源を点灯させる構成を例に挙げたが、これに限定されない。各測定光源を点灯させる順序は任意の順序で実施することができる。
なお、他覚式測定手段100の配置位置としては、任意の位置の配置することができる。例えば、他覚式測定手段100は、筐体2の内部の任意の位置に配置するようにしてもよい。この場合、例えば、光軸L4上で、平面ミラー12を透過した位置に他覚式測定手段100が配置されるようにしてもよい。この場合、平面ミラー12の代わりに、他覚式測定手段100からの測定光を透過し、投影光学系10からの視標光束を反射させる光学部材(例えば、ビームスプリッタ等)を配置するようにすればよい。
また、例えば、他覚式測定手段100は、筐体2の外部の任意の位置に配置するようにしてもよい。例えば、他覚式測定手段100は、矯正ユニット50に配置されるようにしてもよい。この場合、例えば、筐体2と矯正ユニット50との間の位置で矯正ユニット50に配置されるようにしてもよい。例えば、矯正ユニット50に配置される場合に、矯正ユニット50の位置調整に合わせて、容易に他覚式測定手段100の位置の調整を行うことができる。一例として、例えば、矯正ユニット50の左右の検査窓53それぞれに他覚式測定手段100が設けられ、矯正ユニット50において、左右の検査窓53の位置を、被検者の瞳孔間距離に応じて変更させた場合に、矯正ユニット50の検査窓53の移動に伴って(移動と一体的に)、他覚式測定手段100も移動されるため、容易に調整を行うことができる。
なお、例えば、本実施例において、投光光学系105の光軸L5(本実施例においては、測定光源130の光軸)と、受光光学系120の光軸L6を光路の途中で同軸となるように配置されているが、これに構成に限定されない。
例えば、投光光学系105と、受光光学系120とが、別途異なる位置に配置されてそれぞれ異なる光軸で測定が行われるようにしてもよい。この場合、例えば、投光光学系105と、受光光学系120とが、筐体2の内部で異なる位置に配置されてもよい。また、この場合、例えば、投光光学系105と、受光光学系120とが、筐体2の外部で異なる位置に配置されてもよい。また、この場合、例えば、投光光学系105と、受光光学系120との一方が、筐体2の内部に配置され、他方が筐体2の外部に配置されてもよい。
次いで、例えば、フォトレフラクション方式について説明する。図6は、フォトレフラクション方式について説明する図である。本実施例において、例えば、制御部80は、瞳孔を通過する眼底からの反射光を検出器121によって検出し、瞳孔における明るいクレッセントの瞳孔半径方向の寸法の瞳孔径に対する割合を検出し、下記の数式1によって眼屈折力を取得する(例えば、特開2006−149501号公報参照)。
ここで、Rは瞳孔直径に対する瞳孔中の明るいクレッセントKの寸法割合(B/2r)を示す。例えば、Bは明るいクレッセントKの瞳孔半径方向の長さである。例えば、rは被検眼の瞳孔の半径である。例えば、Aは被検眼の眼屈折力である。例えば、eは対物レンズ113の端部113aから測定光源130(図6では、測定光源130における測定光源130a1を例示)までの距離である。例えば、Lは被検眼Eと対物レンズ113との離間距離(測定距離)Sの逆数である(L=1/S)。
上記のように、例えば、明るいクレッセントBの割合Rは、その他の条件が一定であるとすると、被検眼の眼屈折力Aによって異なる。すなわち、一定条件下で測定された明るいクレッセントの割合Rから、下記の数式2によって被検眼の眼屈折力Aが算出される。
以上のようにして、フォトレフラクション方式にて被検眼の眼屈折力が算出される。
<観察ユニット>
以下、観察ユニット40について説明する。図7は、観察ユニット40について説明するための図である。例えば、本実施例における観察ユニット40は、呈示窓3を介して、後述する矯正ユニット50と被検眼Eとの位置関係を観察するために用いる。例えば、本実施例において、観察ユニット40は、観察窓41、遮蔽部42、カバー43、検出器(検出手段)45等を備える。なお、観察ユニット40としては、少なくとも観察窓41を備える構成であってもよい。
例えば、観察窓41は、矯正ユニット50と被検眼Eとの位置関係を、筐体2の外部から呈示窓3を介して観察するために用いる。例えば、本実施例における観察窓41は、検者眼OEから被検眼Eの瞳孔位置を確認することが可能な位置に配置されている。
例えば、観察窓41を検者が覗き込んだ場合に、検者の視線を平面ミラー12によって遮らないように、検者の視線が通過する領域において、平面ミラー12が透明に形成されている。 例えば、遮蔽部42は、投影光学系10からの視標光束が観察窓41に入ること抑制する。例えば、本実施例においては、遮蔽部42は、平面ミラー12における透明部とミラー部との境界に配置されている。
例えば、カバー43はヒンジ44によって筺体2に固定されており、観察窓41に対して開閉することができる。例えば、カバー43は、検者が図示なきノブを押し引きすることで開閉可能である。
例えば、検出器45は、観察ユニット40におけるカバー43の開閉を検出する。例えば、検出器45はフォトインタラプタ等の光センサを用いて構成される。すなわち、本実施例における検出器45は、発光素子と受光素子が対向する凸部45aを有し、凹部45bにはカバー43に設けられた突出部46が嵌合する。例えば、検出器45は、凹部45bに突出部46が嵌合することによって発光素子からの光が遮光されると、カバーが閉じた状態であることを検出する。また、例えば、検出器45は、凹部45bから突出部46が離れ、発光素子からの光が受光素子に受光されると、カバーが開いた状態であることを検出する。
<矯正ユニット>
以下、矯正ユニット50について説明する。例えば、矯正ユニット50は、筐体2と近接している(図3参照)。例えば、本実施例においては、矯正ユニット50における検査窓53(図3点線部)から、筐体2に配置された呈示窓3までの距離W(図3参照)が135mm程度に設計されている。なお、検査窓53から呈示窓3までの距離Wは、本実施例に限定されない。例えば、距離Wが検者の頭長よりも短い場合において、矯正ユニット50と筐体2との間に、検者が頭を入り込ませることができなくなるため、矯正ユニット50と被検眼Eとの位置関係を観察することが困難となる。このため、距離Wが検者の頭長よりも短い場合において、観察窓41を効果的に用いることができる。
例えば、検査窓53には、光学部材が配置される。本実施例においては、光学部材として、保護カバー65を有する。例えば、保護カバー65は、検査窓53に配置される他の光学部材を保護するために用いられる。例えば、保護カバー65は、矯正ユニット50の検眼窓53において、被検眼E側と筐体2側とにそれぞれ固定配置される。
例えば、図8は、矯正ユニット50を示す図である。例えば、矯正ユニット50は、額当て51、左右一対のレンズ室ユニット52、検査窓53、駆動部54、駆動部55、移動ユニット56、角膜位置照準光学系60等を備える。例えば、額当て51は被検者の額に当接し、被検眼Eと矯正ユニット50との距離を一定に保つために用いられる。
例えば、レンズ室ユニット52は、検査窓53に光学部材を切り換えて配置する。例えば、レンズ室ユニット52の内部には、レンズディスク57が備えられている。レンズディスク57は、同一円周上に多数の光学部材(球面レンズ、円柱レンズ、分散プリズム等)を配置する。例えば、レンズディスク57は、駆動部54(アクチュエータ等)によって回転制御される。これによって、検者が所望する光学部材が検査窓53に配置される。例えば、検査窓53に配置された光学部材は、駆動部55(モータやソレノイド等)によって回転制御される。これによって、光学部材は検者が所望する回転角度で検査窓53に配置される。
例えば、レンズディスク57は、1枚のレンズディスク、または複数枚のレンズディスクからなる。例えば、複数枚のレンズディスク(レンズディスク群)を備える場合には、各レンズディスクに対応する駆動部がそれぞれ設けられる。例えば、レンズディスク群の各レンズディスクは、開口(または0Dのレンズ)及び複数の光学部材を備える。各レンズディスクの種類としては、度数の異なる複数の球面レンズを有する球面レンズディスク、度数の異なる複数の円柱レンズを有する円柱レンズディスク、補助レンズディスクが代表的である。また、本実施例におけるレンズディスクは、十字線が付された位置合わせ用のレンズを備える。例えば、補助レンズディスクには、赤フィルタ/緑フィルタ、プリズム、クロスシリンダレンズ、偏光板、マドックスレンズ、オートクロスシリンダレンズの少なくともいずれかが配置される。なお、レンズディスクの詳細な構成については、特開2007−68574号公報及び特開2011−72431号公報を参考にされたい。
例えば、移動ユニット56は、レンズ室ユニット52の間隔を調整する。例えば、左右レンズ室ユニットの間隔は、スライド機構を有する駆動部58によって調整される。これによって、検査窓53の間隔を、被検眼のPDに合わせて変更することができる。また、移動ユニット56は、左右レンズ室ユニットの輻輳角(内寄せ角)を調整する。例えば、左右検眼ユニットの輻輳角は、輻輳機構を有する駆動部59によって調整される。なお、移動ユニットの詳細な構成については、特開2004−329345号公報を参考にされたい。
なお、矯正ユニット50は、上記構成に限定されない。例えば、矯正ユニット50は、視標光束の光学特性(例えば、球面度数、円柱度数、円柱軸、偏光特性、及び収差量、等の少なくともいずれか)を変更する構成であればよい。例えば、視標光束の光学特性を変更する構成として、光学部材を制御する構成であってもよい。例えば、波面変調素子、焦点可変レンズ等を用いる構成であってもよい。
例えば、本実施例において、距離変更用光学部材としては、矯正ユニット50のレンズディスク57(レンズディスク57の光学部材)が用いられる。すなわち、例えば、本実施例において、矯正ユニット50の構成が、検査距離を変更するための距離変更用光学部材と、視標光束の光学特性を変化するための矯正手段と、を兼用する。この場合、例えば、駆動部54と駆動部55との少なくとも一方が駆動されることで、レンズディスク57の駆動が行われる。つまり、駆動部54と駆動部55との少なくとも一方が駆動されることで、距離変更用光学部材が駆動される。
なお、本実施例においては、矯正ユニット50の構成が距離変更用光学部材として兼用される構成を例に挙げて説明するがこれに限定されない。別途、専用の距離変更用光学部材が設けられてもよい、投影光学系10における別の光学部材が兼用されるようにしてもよい。なお、本実施例において、例えば、距離変更用光学部材は、平面ミラー12と被検眼との間に配置される構成を例に挙げる。もちろん、距離変更用光学部材の配置位置は、検査距離を光学的に変更できる位置であれば、上記位置に限定されない。
<制御部>
例えば、図9は、自覚式検眼装置1における制御系の概略構成図である。例えば、制御部80には、第1操作部8、第2操作部9、ディスプレイ11、検出器45、コントローラ81、不揮発性メモリ82、光源91、検出器121、測定光源130等が接続されている。また、例えば、制御部80には、図示無き移動ユニットが備えるモータ、遠近切換部20が備えるモータ23、矯正ユニット50の各部材が備える駆動部(駆動部54、55、58、59)等が接続されている。
例えば、制御部80は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM等を備える。例えば、CPUは、自覚式検眼装置1における各部材の制御を司る。例えば、RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。例えば、ROMには、自覚式検眼装置1の動作を制御するための各種プログラムや、検査視標データ等が記憶されている。なお、制御部80は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
例えば、コントローラ81は、投影光学系10におけるディスプレイ11の表示や、矯正ユニット50における光学部材の配置等を切り換える際に用いる。例えば、コントローラ81から入力された信号は、図示なきケーブルを介して制御部80に入力される。なお、本実施例においては、コントローラ81からの信号が、赤外線等の無線通信を介すことによって制御部80へ入力される構成としてもよい。
例えば、不揮発性メモリ82は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、不揮発性メモリ(以下、メモリと記載)82としては、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、自覚式検眼装置、USBメモリ等を使用することができる。例えば、メモリ82には、ランドルト環視標等の検査視標データ(例えば、視力値0.1〜2.0の視標データ)が多数記憶されている。
また、例えば、メモリ82には、設定する検査距離及び被検者の瞳孔間距離に応じて、光路(遠用検査光路又は近用検査光路のいずれかの光路)と、球面屈折力(球面度数)と、プリズム量(プリズム度数とプリズムの基底方向)と、が設定されたテーブルが記憶されている(詳細は後述する)。
例えば、本実施例において、制御部80は、検出器45の検出結果に基づいて自覚式検眼装置1の測定モードを切り換える。例えば、本実施例において、制御部80は、カバー43の開閉に連動して、測定モードの切り換えを自動的に行う。例えば、検出器45によってカバー43が開いたことが検出されると、制御部80は、測定モードを被検者の瞳孔位置を確認するための第2モードに設定する。また、例えば、検出器45によってカバー43が閉じたことが検出されると、制御部80は、測定モードを被検者の検査を行うための第1モードに設定する。なお、本実施例では、カバー43の開閉に連動して、測定モードの切り換えが自動的に行われる構成としたがこれに限定されない。例えば、測定モードの切り換えは、検者によって手動で行われてもよい。この場合には、後述するコントローラ81を用いて、測定モードを切り換えるための信号を制御部80へ入力する構成であってもよい。
例えば、本実施例において、制御部80は、遠用検査距離にて自覚式検査を行うための遠用距離検査モードと、近用検査距離にて自覚式検査を行うための近用距離検査モードと、を切り換える。例えば、検査距離を変更するための検査モードの切り換えは、検者によって手動で行われてもよい。この場合には、後述するコントローラ81を用いて、検査モードを切り換えるための信号を制御部80へ入力する構成であってもよい。もちろん、異なる検査距離にて順に検査をおこなっていく設定されており、自動的に検査モードが切り換えられる構成であってもよい。
<検査動作>
以上のような構成を備える自覚式検眼装置1について、検査動作を説明する。初めに、例えば、検者は、第1操作部8を操作して、矯正ユニット50を図8に示す検査位置に下降させる。例えば、第1操作部8が操作されると、制御部80は、モータ30を駆動する。例えば、図示無きモータの駆動によって、矯正ユニット50が検査位置へ向けて下降する。例えば、図示無きモータが駆動されることによって、矯正ユニット50が検査位置まで移動されると、矯正ユニット50の下降が停止する。これによって、図10に示されるように、眼屈折力測定ユニット50の検査位置への移動が完了されて、矯正ユニット50を用いた自覚式検査及び他覚式測定が可能な状態となる。
上記のようにして、矯正ユニット50が検査位置へ移動される。次いで、例えば、検者は、自覚式検査又は他覚式測定を実施する前に、予め、被検者のPDを測定しておき、自覚式検眼装置1において、測定したPDを入力する。これによって、制御部80は、駆動部58を駆動させ、左右レンズ室ユニット52の間隔を調整し、検査窓53の間隔を被検眼のPDに合わせて変更する。例えば、制御部80は、左右の検査窓53の光軸間の水平方向(X方向)における距離がPDと同一になるように調整をする。なお、本実施例において、同一とは略同一も含む。
次いで、検者は、被検者に検査窓53を覗くように指示する。ここで、例えば、検者は、被検眼Eの瞳孔間距離PDを確認するためにカバー43を開く。このとき、検出器45はカバー43が開いたことを検出し、制御部80が測定モードを被検者の瞳孔位置を確認するための第2モードに切り換える。
例えば、検者は、必要に応じて、コントローラ81を操作して左右レンズ室ユニット52の間隔を調整する。次いで、検者は、被検眼Eの角膜頂点位置を確認するために、角膜位置照準光学系60を用いて、矯正ユニット50に対する被検眼Eの位置合わせを行う。
例えば、矯正ユニット50に対する被検眼Eの位置合わせが終了すると、検者はカバー43を閉じて自覚式検査及び他覚式測定を開始する。このとき、制御部80は、検出器45によって、カバー43が閉じたことを検出し、測定モードを被検者の自覚的な検査を行うための第1モードに切り換える。
例えば、図11は、本実施例における自覚式検査装置の検査フローについて説明するフローチャートを示す。初めに、制御部80は、他覚式測定手段100によって被検眼の第1眼屈折力を取得する(S1)。例えば、検者によって、コントローラ81が操作され、他覚式測定を開始するためのスイッチが選択される。例えば、制御部80は、コントローラ81からの操作信号の出力に基づいて、他覚式測定(他覚測定)を開始するための他覚測定開始トリガ信号(以下、トリガ信号と記載)が発する。例えば、他覚測定を開始するためのトリガ信号が発せられると、制御部80は、投光光学系105の測定光源130から測定光を出射する。この場合、測定光は、ビームスプリッタ150を介して、被検眼Eの眼底に投影される。眼底から反射された測定光の反射光は、ビームスプリッタ150、受光光学系120を介して、受光光学系120の検出器121によって検出される。
例えば、制御部80は、測定光源130の各測定光源を順に点灯させて、各測定光源による被検眼からの反射光を検出器121によって検出していく。例えば、検出器121からの出力信号は、メモリ82に画像データ(測定画像)として記憶される。その後、制御部80は、メモリ82に記憶された画像解析して第1眼屈折力の値を求める。
より詳細に説明する。例えば、制御部80は、測定光源130a(3つに測定光源130a1〜130a3)の点灯によって検出された検出結果に基づいて、測定光源130aが配置されている方向における球面情報(球面度数)を算出する。例えば、制御部80は、測定光源130aが配置された方向における球面情報を算出する際に、3つに測定光源130a1〜130a3の点灯によって取得された測定結果の内、少なくとも1つの測定結果に基づいて、測定光源130aの配置方向における球面情報を取得する。この場合、例えば、制御部80は、3つに測定光源130a1〜130a3からそれぞれ取得された各球面情報の平均値を測定光源130aの配置方向における球面情報として取得してもよい。また、この場合、例えば、制御部80は、3つに測定光源130a1〜130a3から1つの球面情報を選択し、測定光源130aの配置方向における球面情報として取得してもよい。
例えば、上記のようにして、測定光源130aの配置方向における球面情報が取得されると、次いで、上記と同様にして、別の測定光源130b〜130hの各配置方向における球面情報をそれぞれ取得していく。例えば、制御部80は、各方向の球面情報が取得されると、各方向の球面情報に基づいて、第1眼屈折力を取得する。例えば、制御部80は、各方向における球面度数(球面度数分布)に基づいて、第1眼屈折力を取得する。例えば、制御部80は、被検眼のS(球面度数)、C(乱視度数)、A(乱視軸角度)の他覚第1眼屈折力(第1他覚値)を得る。得られた第1眼屈折力はメモリ82に記憶される。
例えば、制御部80は、第1眼屈折力が取得されると、取得した第1眼屈折力に基づいて、被検眼の眼前に配置される矯正ユニット50の光学部材の光学特性を設定する(S2)。なお、例えば、本実施例において、矯正ユニット50の光学部材の光学特性として、少なくとも眼屈折力(例えば、球面度数、乱視度数、乱視軸角度)が設定される。なお、例えば、矯正ユニット50の光学部材の光学特性として用いられる眼屈折力としては、球面度数、乱視度数、及び乱視軸角度の少なくともいずれかを用いるようにしてもよい。
例えば、制御部80は、他覚式測定手段100によって他覚的に測定された被検眼の第1眼屈折力をメモリ82から呼び出し、矯正ユニット50の光学部材の光学特性の設定を行う。例えば、制御部80は、第1眼屈折力に基づいて矯正ユニット50を駆動し、矯正ユニット50の光学部材の光学特性の設定を行う。例えば、制御部80は、第1眼屈折力に基づいて、被検眼の屈折誤差を矯正するように光学部材を検査窓53に配置する。すなわち、例えば、制御部80は、矯正ユニット50の駆動を制御し、他覚式測定手段100の第1眼屈折力に対応する光学部材を、検査窓53に切り換えて配置する。
例えば、矯正ユニット50が制御されて光学部材の光学特性の設定が完了されると、制御部80は、他覚式測定手段100によって被検眼の第2眼屈折力を取得する(S3)。例えば、制御部80は、上記のように第1眼屈折力の取得時と同様にして、第2眼屈折力を測定する。例えば、制御部80は、測定光源130から測定光を出射し、測定光を矯正ユニット50の光学部材を介して被検眼Eの眼底に投影される。例えば、眼底から反射された測定光の反射光は、矯正ユニット50の光学部材を介して検出器121によって検出される。例えば、制御部80は、第1眼屈折力に基づいて設定された光学部材を介して測定光を被検眼に照射することで、光学部材によって被検眼が矯正された状態における被検眼の第2眼屈折力を取得する。例えば、制御部80は、測定光源130の各測定光源を順に点灯させて、各測定光源による被検眼からの反射光を検出器121によって検出していき、検出結果に基づいて第2眼屈折力を取得する。例えば、第2眼屈折力について、上記のように第1眼屈折力と同様の処理によって取得される。例えば、制御部80は、被検眼のS(球面度数)、C(乱視度数)、A(乱視軸角度)の他覚第2眼屈折力(第2他覚値)を得る。得られた第2眼屈折力はメモリ82に記憶される。
例えば、第2眼屈折力の取得が完了すると、制御部80は、自覚式検査を開始する。例えば、制御部80は、第2眼屈折力に基づいて、自覚式検査の初期値の設定を行う(S4)。例えば、制御部80は、取得した第2眼屈折力に基づいて、被検眼の眼前に配置される矯正ユニット50の光学部材の光学特性を設定する。例えば、なお、例えば、本実施例において、初期値設定に用いられる光学特性として、少なくとも眼屈折力(例えば、球面度数、乱視度数、乱視軸角度)が設定される。なお、例えば、初期値設定に用いられる眼屈折力としては、球面度数、乱視度数、及び乱視軸角度の少なくともいずれかを用いるようにしてもよい。
例えば、本実施例において、制御部80は、他覚式測定手段100によって他覚的に測定された被検眼の第2眼屈折力をメモリ82から呼び出し、矯正ユニット50の初期値として設定する。例えば、制御部80は、第2眼屈折力に基づいて矯正ユニット50を駆動し、矯正ユニット50の光学部材の光学特性の設定を行う。例えば、制御部80は、第2眼屈折力に基づいて、被検眼の屈折誤差を矯正するように光学部材を検査窓53に配置する。すなわち、例えば、制御部80は、矯正ユニット50の駆動を制御し、他覚式測定手段100の第2眼屈折力に対応する光学部材を、検査窓53に切り換えて配置する。
例えば、矯正ユニット50が制御され、初期値の設定が完了すると、検者は、矯正ユニット50の検査窓53に配置される光学部材を切り換える(矯正量を変更する)とともに検査視標を変更しながら、被検眼の自覚式検査を行っていく。
なお、本実施例において、検者は、遠用距離検査モード又は近用距離検査モードのいずれかを設定する。例えば、遠用距離検査モードの場合には、遠用検査が行われる。また、例えば、近用距離検査モードの場合には、近用検査が行われる。
例えば、遠用検査を行う場合(図3(a)参照)、制御部80は、ディスプレイ11を点灯する。例えば、保持部21に保持されたディスプレイ11から、平面ミラー12に向けて視標光束が出射される。視標光束は、平面ミラー12と凹面ミラー13にそれぞれ反射され、再び平面ミラー12を経由して被検眼Eに導光される。また、例えば、近用検査を行う場合(図3(b)参照)、ディスプレイ11は保持部21とともに移動し、被検眼Eに対して近距離(例えば、40cm離れた距離)に配置される。ディスプレイ11からは、平面ミラー12に向けて視標光束が出射される。視標光束は平面ミラー12によって反射され、被検眼Eに導光される。
例えば、自覚式検査時において、検者は、コントローラ81を操作してディスプレイ11の画面に検査視標を表示させる。制御部80は、コントローラ81からの入力信号に応じて、メモリ82から該当する検査視標データを呼び出し、ディスプレイ11の表示を制御する。被検者の被検眼Eには、矯正ユニット50における検査窓53と、呈示窓3と、を介して、ディスプレイ11に表示された検査視標が呈示される。例えば、検者は検査視標を切り換えながら、被検者に検査視標の見え具合を問う。一例として、例えば、被検者の回答が正答の場合には、1段階高い視力値の視標に切り換える。また、一例として、例えば、被検者の回答が誤答の場合には、1段階低い視力値の視標に切り換える。また、例えば、検者は、視標の切り換えとともに、画面に表示された検査視標に対して、矯正度数を変更しながら、検査を行っていく。検者は、このようにして、設定した検査距離における被検眼の自覚眼屈折力(例えば、球面度数S、乱視度数C、乱視軸角度A等)等を取得することができる。もちろん、上記と異なる自覚式検査を実施することで、自覚眼屈折力以外の被検眼の光学特性が取得されるようにしてもよい。
例えば、自覚式検査が終了すると、検者は被検眼に対して仮枠検査を実施する。例えば、検者は、第1操作部8の上スイッチ8aを操作して、矯正ユニット50を図1に示す退避位置まで上昇させる。例えば、第1操作部8の上スイッチ8aが操作されると、制御部80は、図示無きモータを駆動する。なお、例えば、矯正ユニット50を退避位置へ移動させる場合に、制御部80は、矯正ユニット50を検査位置へ移動させる場合の図示無きモータの回転方向と反対の回転方向に図示無きモータを回転させる。
例えば、矯正ユニット50の退避位置への移動が完了すると、検者は、被検者に仮枠(トライアルフレームあるいはテストフレーム)を装着させ、様々な度数のレンズ(トライアルレンズ)を取り換えながら、装用感を確認する。
以上のように、本実施例において、自覚式検眼装置は、視標光束を出射する視標呈示部と、光学部材を有し、被検眼の眼前に配置される光学部材の光学特性が設定されることで、被検眼を矯正する矯正ユニットと、視標光束を矯正ユニットの光学部材を介して被検眼に投影し、被検眼の光学特性を自覚的に測定する。また、本実施例における自覚式検眼装置は、自覚式検眼装置の動作を制御する制御手段と、測定光を出射する測定光源を有し、測定光源から出射された測定光を被検眼の眼底に照射する投光光学系と、被検眼の眼底によって反射された測定光の反射光を検出器で受光する受光光学系と、を有し、フォトレフラクション方式にて被検眼の眼屈折力を他覚的に測定する他覚式測定手段と、を備える。また、また、制御手段は、他覚式測定手段によって被検眼の第1眼屈折力を取得し、取得した第1眼屈折力に基づいて、被検眼の眼前に配置される光学部材の光学特性を設定し、他覚式測定手段によって、第1眼屈折力に基づいて設定された光学部材を介して測定光を被検眼に照射することで、光学部材によって被検眼が矯正された状態における被検眼の第2眼屈折力を取得する。このような構成によって、フォトレフラクション方式の他覚式測定手段を用いても、良好な他覚測定結果を取得することができる。また、フォトレフラクション方式の他覚式測定手段を用いることで、より簡易的な構成で自覚測定と他覚測定を実施できる自覚式検眼装置を提供することができる。
また、本実施例において、例えば、制御手段は、光学部材によって被検眼を矯正しない状態で、光学部材を介して測定光を被検眼に照射し、第1眼屈折力を取得し、他覚式測定手段によって、第1眼屈折力に基づいて設定された光学部材を介して測定光を被検眼に照射することで、光学部材によって被検眼が矯正された状態における被検眼の第2眼屈折力を取得する。このような構成によって、検眼ユニットを移動させることを抑制し、被検者が姿勢等を大きく変える必要なく、連続して測定を行うことができる。このため、より短い時間で測定を完了することができる。
また、本実施例において、例えば、制御手段は、視標光束を矯正ユニットの光学部材を介して被検眼に投影し、被検眼の光学特性を自覚的に測定する場合に、自覚的に測定を開始する際における被検眼の眼前に配置される光学部材の光学特性の初期値を、第2眼屈折力に基づいて設定する。このような構成によって、より精度のよい他覚測定結果を初期値として使用することできるため、被検眼の矯正状態がより良好な状態から自覚的な測定を開始できる。これによって、自覚式検査装置による自覚的な測定を迅速に行うことができる。
また、本実施例において、自覚式検眼装置は、視標呈示部を収納する筐体を備え、矯正ユニットは、筐体の外部に配置され、視標呈示部より出射された視標光束の光学特性を光学部材を用いて変更する。また、本実施例において、自覚式検眼装置は、矯正ユニットを保持する保持手段を備え、保持手段は、筐体と矯正ユニットとを一体的に連結する。このような構成によって、フォトレフラクション方式の他覚を用いる構成において、光学系の多くが筐体内に配置されるとともに、矯正ユニットと筐体とが一体的であるため、外乱光による影響が抑制できる。フォトレフラクション方式の他覚式測定手段を用いる場合には、外乱光によって測定結果に影響が生じやすいため、本技術がより有用となる。
なお、例えば、本実施例において、制御部80は、第1眼屈折力に基づいて設定された光学部材の矯正量に基づいて、第2眼屈折力を補正するようにしてもよい。すなわち、例えば、制御部80は、他覚式測定時において、矯正ユニット50に配置されている光学部材を考慮して、第2眼屈折力を取得するようにしてもよい。例えば、矯正ユニット50の検査窓において、光学部材が配置されている場合には、検眼窓53の光学部材を介して受光された測定光の反射光は、光学部材による影響を受けている。例えば、制御部80は、他覚式測定を実施した際に矯正ユニット50に配置されていた光学部材の屈折力(被検眼の矯正量)を取得する。例えば、制御部80は、矯正量に基づいて、被検眼を他覚的に測定して得られた第2眼屈折力を補正することで、他覚式測定を測定するための測定光が矯正ユニット50の光学部材を経由することによって生じる眼屈折力のずれを補正することができる。
より詳細には、例えば、矯正ユニット50の矯正量における球面度数がー1.0D、他覚式測定によって測定された第2眼屈折力における球面度数がー4.0Dであった場合に、球面度数間の差分を取得することによって、他覚式測定によって測定された第2眼屈折力における球面度数が−3.0Dであるとして取得される。なお、上記構成においては、光学特性として、球面度数を例に挙げて説明をしたがこれに限定されない。例えば、光学特性として、球面度数、乱視度数、及び乱視軸角度の少なくともいずれかを用いるようにしてもよい。
上記のように、本実施例において、制御手段は、第1眼屈折力に基づいて設定された光学部材の矯正量に基づいて、第2眼屈折力を補正するようにしてもよい。このような構成によって、例えば、測定光を矯正ユニットを介して被検眼に照射し、他覚的に眼屈折力を得る場合に、矯正ユニットに設定されている光学部材に応じて他覚的に測定した眼屈折力の光学特性が変化してしまった場合であっても、変化を考慮した眼屈折力を取得することができる。すなわち、矯正ユニットに設定された光学部材によらず、良好な眼屈折力を取得することができる。
なお、本実施例にといて、上記の補正に加え、瞳孔の見かけのサイズに基づく眼屈折力の補正を行うようにしてもよい。例えば、矯正ユニット50の検査窓において、光学部材が配置されている場合には、被検眼の瞳孔の見かけのサイズが変化している。例えば、制御部80は、瞳孔サイズに基づいて、眼屈折力の補正を行ってもよい。このような、補正を行うことで、より精度のよい眼屈折力を取得することができる。