JP2021028869A - 固体電解質膜用支持体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、固体電解質粒子が脱落し難い固体電解質膜を実現可能な、固体電解質膜用支持体の提供を目的とする。【解決手段】ポリオレフィン系樹脂繊維を含んだ繊維集合体を備える固体電解質膜用支持体において、当該繊維集合体における目付(単位:g/m2)あたりの引張強度(単位:N/50mm)の値に着目することで、前述の問題を解決できることを見出した。具体的には、前記値が0.5より大きいときに、塊状の固体電解質粒子群が脱落し難い固体電解質膜を実現可能な、固体電解質膜用支持体を提供できることを見出した。【選択図】 なし

Description

本発明は、固体電解質膜用支持体に関する。
近年、正極と負極の間に固体電解質膜を備えてなる固体電池の開発が活発化している。特に、薄型化した固体電池や内部抵抗の低い固体電池を提供できることから、厚さの薄い固体電解質膜が求められている。
このような固体電池における固体電解質膜の構成材料として、硫化物系材料、結晶性酸化物系材料、錯体水素化物系材料などからなる固体電解質粒子が採用されている。また、固体電解質粒子を用いて固体電解質膜を形成する方法として、特開平01−115069号公報(特許文献1)や特開2017−183111号公報(特許文献2)などに開示されているように、ポリオレフィン系樹脂繊維を含んだ繊維集合体(固体電解質膜用支持体)に固体電解質粒子を担持させ、固体電解質膜を形成する方法が知られている。
特開平01−115069号公報 特開2017−183111号公報
本願発明者らは固体電池の固体電解質膜を提供することを目的とした検討の中で、前述した従来技術のような、ポリオレフィン系樹脂繊維を含んだ繊維集合体に固体電解質粒子を担持させてなる固体電解質膜を検討した。
しかし、当該固体電解質膜は、取り扱い時や固体電池の製造過程中、および、当該固体電解質膜を備える固体電池の使用中に、塊状の固体電解質粒子群が脱落し易い(以降、固体電解質粒子が脱落し易いと称することがある)という問題を有していた。特にこの問題は、薄い固体電解質膜であるときに顕著に発生する傾向があった。
そして、このような問題を有する固体電解質膜は、取扱い性や固体電池の製造効率に劣るものであり、更には、固体電池内において固体電解質膜から塊状の固体電解質粒子群が脱落することに起因して、固体電池の性能低下を招く恐れがあった。
本発明は、固体電解質粒子が脱落し難い固体電解質膜を実現可能な、固体電解質膜用支持体の提供を目的とする。
本発明は、「[1]ポリオレフィン系樹脂繊維を含んだ繊維集合体を備える、固体電解質膜用支持体であって、前記繊維集合体における目付(単位:g/m)あたりの引張強度(単位:N/50mm)の値が0.5より大きい、固体電解質膜用支持体。」である。
本願発明者らが検討を続けた結果、ポリオレフィン系樹脂繊維を含んだ繊維集合体を備える固体電解質膜用支持体において、当該繊維集合体における目付(単位:g/m)あたりの引張強度(単位:N/50mm)の値に着目することで、前述の問題を解決できることを見出した。具体的には、前記値が0.5より大きいときに、塊状の固体電解質粒子群が脱落し難い固体電解質膜を実現可能な、固体電解質膜用支持体を提供できることを見出した。
この理由は完全に明らかになっていないが、以下の効果が発揮されるためだと考えられた。
・繊維集合体を備える固体電解質膜用支持体に、固体電解質粒子を担持する際、繊維集合体の主面と平行を成す方向にも力が作用する。繊維集合体の強度が弱い場合には、当該工程において繊維集合体に大きな破損が生じ易くなる。そして、大きな破損が生じた繊維集合体を備える固体電解質膜用支持体に、固体電解質粒子を担持してなる固体電解質膜からは、固体電解質粒子が脱落し易い。そのため、固体電解質膜の製造過程中や固体電解質膜の取り扱い時、および、固体電池の製造過程中や固体電池の使用中に、固体電解質粒子の脱落が発生し易いものとなった。
・繊維集合体を備える固体電解質膜を用いて固体電池を製造する際、固体電解質膜を構成する繊維集合体の主面と平行を成す方向にも力が作用する。繊維集合体の強度が弱い場合には、当該工程において固体電解質膜を構成する繊維集合体に大きな破損が生じ、破損個所から固体電解質粒子が脱落し易い。そのため、固体電池の製造過程中や固体電池の使用中に、固体電解質粒子の脱落が発生し易いものとなった。
一方、本願発明者らは、固体電解質膜用支持体を構成する繊維集合体に必要となる強度について、繊維集合体における目付(単位:g/m)あたりの引張強度(単位:N/50mm)の値により正確に評価できること、更に、当該値が0.5より大きいときに、前述した繊維集合体の破損が発生し難くなるためか、塊状の粒子群の脱落が発生し難い固体電解質膜を実現できること見出した。
そのため、本発明によって塊状の固体電解質粒子群が脱落し難い固体電解質膜を実現できることから、塊状の固体電解質粒子群の脱落が防止された厚さの薄い固体電解質膜、ならびに、当該固体電解質膜を備えた薄型化した固体電池や内部抵抗の低い固体電池を提供できる。
本発明では、例えば以下の構成など、各種構成を適宜選択できる。
なお、本発明で説明する各種測定は特に記載のない限り、常圧のもと25℃温度条件下で測定を行った。また、本発明で説明する各種測定結果は特に記載のない限り、求める値よりも一桁小さな値まで測定で求め、当該値を四捨五入することで求める値を算出した。具体例として、少数第一位までが求める値である場合、測定によって少数第二位まで値を求め、得られた少数第二位の値を四捨五入することで少数第一位までの値を算出し、この値を求める値とした。
本発明の固体電解質膜用支持体は、ポリオレフィン系樹脂繊維を含んだ繊維集合体を備えている。
本発明でいうポリオレフィン系樹脂繊維とは、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)を一種類あるいは複数種類含有した繊維を指す。なお、ポリオレフィン系樹脂繊維中に含まれるポリオレフィン系樹脂の割合は適宜調整できるが、後述するように、より固体電解質粒子の脱落が発生し難い固体電解質膜用支持体を提供できるよう、ポリオレフィン系樹脂繊維を構成する樹脂はポリオレフィン系樹脂のみであるのが好ましい。
一般的な固体電解質膜はその製造工程中に、固体電解質膜用支持体へ固体電解質粒子の分散液を付与する工程を有することがある。また、硫化物系材料のような水と反応し得る材料からなる固体電解質粒子を採用する場合、分散媒にトルエンなどの有機溶媒を採用することがある。そのため、固体電解質膜の製造工程中に、固体電解質膜用支持体へトルエンなどの有機溶媒を付与することがある。
本発明にかかる固体電解質膜用支持体は、ポリオレフィン系樹脂繊維を含んでいるため、トルエンなどの有機溶媒が付与されたとしても溶解し難い。そのため、固体電解質膜の製造過程中や固体電解質膜の取り扱い時、および、固体電池の製造過程中や固体電池の使用中に、固体電解質粒子の脱落が発生し難い固体電解質膜用支持体である。
本発明でいう繊維集合体とは、例えば、繊維ウェブや不織布、あるいは、織物や編み物などの、シート状の布帛である。本発明の固体電解質膜用支持体は、繊維集合体(特に、不織布)を含んでいるため柔軟である。そのため、固体電解質膜の製造過程中や固体電解質膜の取り扱い時、および、固体電池の製造過程中や固体電池の使用中に、固体電解質粒子の脱落が発生し難い。
繊維集合体に含まれるポリオレフィン系樹脂繊維の割合は適宜調整できるが、前述したように、より固体電解質粒子の脱落が発生し難い固体電解質膜用支持体を提供できるよう、固体電解質膜用支持体の構成繊維はポリオレフィン系樹脂繊維のみであるのが好ましい。
繊維集合体は構成繊維として、前述したポリオレフィン系樹脂繊維以外にも、他の有機樹脂を含有した繊維を含んでいても良い。有機樹脂として例えば、スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の有機樹脂を採用できる。
なお、前述したポリオレフィン系樹脂ならびにこれらの有機樹脂は、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また有機樹脂がブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また有機樹脂の立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも、特に限定されるものではない。更には、多成分の有機樹脂を混ぜ合わせたものでも良い。
繊維集合体の構成繊維は、例えば、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法など)、複合繊維から一種類以上の樹脂成分を除去することで繊維径が細い繊維を抽出する方法、繊維を叩解して分割された繊維を得る方法など公知の方法により得ることができる。
構成繊維は、一種類の有機樹脂から構成されてなるものでも、複数種類の有機樹脂から構成されてなるものでも構わない。複数種類の有機樹脂から構成されてなる繊維として、一般的に複合繊維と称される、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、バイメタル型などの態様であることができる。
また、構成繊維は、略円形の繊維や楕円形の繊維以外にも異形断面繊維を含んでいてもよい。なお、異形断面繊維として、中空形状、三角形形状などの多角形形状、Y字形状などのアルファベット文字型形状、不定形形状、多葉形状、アスタリスク形状などの記号型形状、あるいはこれらの形状が複数結合した形状などの繊維断面を有する繊維であってもよい。
繊維集合体が、低融点成分のみからなる熱融着性繊維、あるいは、高融点成分と低融点成分を備えた一部融着型の熱融着性繊維を含み構成されている場合には、低融点成分によって繊維同士を熱融着して繊維集合体に強度を付与でき好ましい。熱融着性繊維においては、高融点成分は繊維の骨格を担うことができ、低融点成分は繊維接着を担うことができる。
また、高融点成分と低融点成分の組合せとして、ポリメチルペンテン/ポリプロピレン、ポリメチルペンテン/プロピレン系共重合体、ポリメチルペンテン/ポリエチレン、ポリメチルペンテン/エチレン系共重合体、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリプロピレン/エチレン系共重合体、高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン、などを挙げることができる。これらの中でも引張り強さが強く、剛性が高いため、不織布の空隙量を確保しやすい、ポリプロピレン/ポリエチレンからなる高強度繊維が好ましく、特に、ポリプロピレン/高密度ポリエチレンからなるのが好ましい。高融点成分と低融点成分の組合せとして、ポリメチルペンテン/ポリプロピレン、ポリメチルペンテン/プロピレン系共重合体、ポリメチルペンテン/ポリエチレン、ポリメチルペンテン/エチレン系共重合体、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリプロピレン/エチレン系共重合体、高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレンなどを採用できる。
特に、熱融着性繊維として、繊維表面に低融点成分としてポリエチレンや低融点ポリプロピレンが露出しており、繊維内部に高融点成分として前記ポリエチレンや低融点ポリプロピレンよりも高い融点のポリプロピレンを有してなる、一部融着型の熱融着性複合繊維であって、かつ、繊維径が20μm以下、かつ引張り強さが4.5cN/dtex以上のポリオレフィン系樹脂繊維を備えているのが好ましい。このような一部融着型の熱融着性複合繊維を含むと共に、当該ポリオレフィン系樹脂繊維により繊維集合体の構成繊維が繊維接着されていることで、圧力によって潰れにくく空隙量を維持可能であると共に破断耐性に優れることで、固体電解質膜の製造過程中や固体電解質膜の取り扱い時、および、固体電池の製造過程中や固体電池の使用中に、固体電解質粒子の脱落が発生し難い固体電解質膜用支持体を調製可能な繊維集合体を実現できる。
当該熱融着性繊維の引張り強さは、高いほど前述した効果が発揮され好ましいことから、4.5cN/dtex以上であることが好ましく5.0cN/dtex以上であることが好ましく、5.5cN/dtex以上であることが更に好ましく、6.0cN/dtex以上であることが更に好ましい。上限は特に限定するものではないが、60cN/dtex以下が適当である。なお、ここでいう「引張り強さ」は、JIS L 1015:2010、8.7.1(標準時試験)に則り、定速緊張形引張試験機を使用し、つかみ間隔20mm、引張り速度300mm/分の条件下での値をいう。
また、当該熱融着性繊維の繊維径は、細いほど前述した効果が発揮され易くなることから、20μm以下であるのが好ましく、17μm以下であるのがより好ましく、15μm以下であるのが更に好ましく、13μm以下であるのが更に好ましい。上限は特に限定するものではないが、0.1μm以上であるのが適当である。なお、ここでいう「繊維径」は、繊維を撮影した電子顕微鏡写真をもとに測定した、繊維の長さ方向に対して直交する方向における長さをいう。
また、繊維集合体は構成繊維として平均繊維径が4μm以下の極細繊維を含んでいてもよい、極細繊維を含んでいることによって、厚さが薄く、孔径が均一で地合いに優れているなど、各種性能に優れる繊維集合体を提供でき好ましい。極細繊維の平均繊維径は適宜調整できるが、3μm以下であるのが好ましく、2μm以下であるのより好ましく、1μm以下であるのがより好ましい。なお、下限値も適宜調整できるが、0.1μm以上であるのが現実的である。
また、繊維集合体の構成繊維の繊維長も本発明の効果が発揮されるよう適宜調整するが、0.1mm以上であることができ、0.5mm以上であることができ、1mm以上であることができる。他方、繊維長が100mmを超えると、繊維集合体の調製時に繊維塊が形成される傾向があり、強度の低下を招くことで本発明の効果が発揮される固体電解質膜用支持体を提供し難くなることから、繊維長は50mm以下であることができ、10mm以下であることができる。なお、「繊維長」は、JIS L1015(2010)、8.4.1c)直接法(C法)に則って測定した値をいう。
繊維集合体を構成する、熱融着性繊維の質量とその他の繊維の質量の比率は適宜調整するが、前述した効果が発揮され易いよう、99質量%:1質量%〜20質量%:80質量%、95質量%:5質量%〜30質量%:70質量%、85質量%:15質量%〜40質量%:60質量%であるのが好ましい。
繊維集合体が繊維ウェブや不織布である場合、例えば、前述の繊維をカード装置やエアレイ装置などに供することで繊維を絡み合わせる乾式法、繊維を溶媒に分散させシート状に抄き繊維を絡み合わせる湿式法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法、紡糸原液と気体流を平行に吐出して紡糸する方法(例えば、特開2009−287138号公報に開示の方法)など)を用いて繊維の紡糸を行うと共にこれを捕集する方法、などによって調製できる。
特に、厚さが薄く構成繊維が均一に分散し均一な孔径を有する繊維集合体を調製可能であることから、湿式法により調製された繊維集合体であるのが好ましい。
調製した繊維ウェブの構成繊維を絡合および/または一体化させて不織布を調製できる。構成繊維同士を絡合および/または一体化させる方法として、例えば、ニードルや水流によって絡合する方法、繊維ウェブを加熱処理へ供するなどしてバインダあるいは熱融着性繊維によって、構成繊維同士を接着一体化あるいは熱融着させる方法などを挙げることができる。特に、空隙率が高い繊維集合体を提供できるように、繊維集合体の構成繊維同士は熱融着性繊維によって熱融着している(具体的には、熱融着性繊維を構成する低融点成分が溶融し構成繊維同士が一体化している)のが好ましい。
加熱処理の方法は適宜選択できるが、例えば、ロールにより加熱または加熱加圧する方法、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機、熱風乾燥機などの加熱機へ供し加熱する方法、無圧下で赤外線を照射する方法などを用いることができる。
使用可能なバインダの種類は適宜選択するが、例えば、ポリオレフィン(変性ポリオレフィンなど)、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリレート共重合体、各種ゴムおよびその誘導体(スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)など)、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF−HFP)、アクリル系樹脂などを使用できる。
繊維集合体が織物や編物である場合、前述のようにして調製した繊維を織るあるいは編むことで、織物や編物を調製できる。
なお、繊維ウェブ以外にも不織布あるいは織物や編物など繊維集合体を、前述した構成繊維同士を絡合および/または一体化させる方法へ供しても良い。
繊維集合体の、例えば、目付、厚さ、空隙率、平均孔径、通気度、伸度、引張強度などの諸物性は、本発明の効果が発揮される固体電解質膜用支持体を提供できるように、適宜調整する。
目付は、0.1〜200g/mであることができ、0.3〜100g/mであることができ、0.5〜20g/mであることができる。この「目付」はJIS P 8124(紙及び板紙−坪量測定法)に規定されている方法に基づいて得られる坪量をいう。
厚さの薄い固体電解質膜用支持体を提供できるよう、繊維集合体の厚さは100μm以下であるのが好ましく、70μm以下であるのがより好ましく、60μm以下であるのが更に好ましい。一方、厚さが薄過ぎる繊維集合体であると強度に劣る恐れがあるため、繊維集合体の厚さは0.5μm以上であるのが好ましく、1μm以上であるのがより好ましく、2μm以上であるのが更に好ましい。この「厚さ」は、JIS B7502:1994に規定されている外側マイクロメータ―(測定可能厚さ:0〜25mm)を用いて測定した値をいう。
繊維集合体の空隙が多い程、多量の固体電解質粒子を担持でき電池性能に優れる固体電池を提供可能な固体電解質膜用支持体を実現できることから、繊維集合体の空隙率は40%以上が好ましく、45%以上であるのが好ましく、50%以上であるのがより好ましく、55%以上であるのが更に好ましい。
なお、繊維集合体の空隙が少ないと、固体電解質粒子が脱落し難い固体電解質膜を実現可能な、固体電解質膜用支持体を提供し難くなる傾向がある。本観点からは、繊維集合体の空隙率は40%よりも高いのが好ましい。
一方、空隙が多過ぎると強度に劣る恐れがあるため、空隙率は99%以下であるのが好ましく、95%以下であるのがより好ましく、90%以下であるのが更に好ましい。
この「空隙率」は次の式により得られる値をいう。
P=[1−M/(T×d)]×100
ここで、Mは繊維集合体の目付(単位:g/m)、Tは繊維集合体の厚さ(単位:μm)、dは繊維集合体を構成する各種有機樹脂の平均密度(単位:g/cm)を、それぞれ意味する。
平均孔径は、担持しようとする固体電解質粒子の平均粒子径以上の大きさとなるよう適宜調整できるが、0.5〜100μmであることができ、1〜70μmであることができ、2〜80μmであることができる。なお、「平均孔径」はポロメータ〔Polometer,コールター(Coulter)社製〕を用いてバブルポイント法により測定される値をいう。
通気度が高い程、電解質粒子の充填性に優れることや、電解質粒子同士の連結性を高めることができるため低抵抗の固体電池を提供可能な固体電解質膜用支持体を実現できることから、繊維集合体の通気度は5cm/s30cm/s以上であるのが好ましく、10cm/s以上であるのがより好ましく、20cm/s以上であるのが更に好ましい。一方、通気度が高すぎると強度に劣る恐れがあるため、1000cm/s以下であるのが好ましく、900cm/s以下であるのがより好ましく、800cm/s以下であるのが更に好ましい。この「通気度」は、JIS L 1096:2010(8.(26).1 A法(フラジール法))に規定されている方法による測定値をいう。
繊維集合体の伸度は5〜100%であることができ、10〜90%であることができ、15〜80%であることができる。この「伸度」は、以下に述べる方法へ繊維集合体を供することで測定できる。
(伸度の測定方法)
(1)測定対象から長方形の試料(短辺:50mm、長辺:200mm)を採取した。このとき、測定対象の生産方向が判明している場合には、当該生産方向と長辺方向が平行を成すようにして、試料を採取した。
(2)引張り試験機(オリエンテック社製、商品名:テンシロン(登録商標)、TM−111−100)を使用し、つかみ間隔100mm、引張り速度300mm/min.の条件で、試料に破断が生じるまで長辺方向へ引張った。
(3)この時、次の式から得られる値を「伸度」とした。
L={(D−100)/100}×100
ここで、Lは伸度(単位:%)、Dは試料が破断した時のつかみ間隔の長さ(単位:mm)をそれぞれ意味する。このようにして、測定対象における試料の長辺方向と平行を成す方向(MD方向)の伸度(%)を測定した。
(4)前記試料の長辺方向と平行を成す方向に対し、短辺方向が平行を成すようにして測定対象から新たに長方形の試料(短辺:50mm、長辺:200mm)を採取した。
(5)前述した(4)の工程で採取した試料を(2)〜(3)の工程へ供することで、測定対象における試料の長辺方向と平行を成す方向(CD方向)の伸度(%)を測定した。
(6)得られたMD方向の伸度(%)とCD方向の伸度(%)の平均値を、当該測定対象の伸度(%)とした。
繊維集合体のMD方向ならびにCD方向における5%モジュラス強度は、固体電解質膜の製造過程中や固体電解質膜の取り扱い時、および、固体電池の製造過程中や固体電池の使用中に、固体電解質粒子の脱落が発生し難い固体電解質膜用支持体を調製可能な繊維集合体を実現できるよう、1N/5cm幅以上である必要があり、2N/5cm幅以上であるのがより好ましく、3N/5cm幅以上であるのがより好ましく、4N/5cm幅以上であるのが更に好ましい。上限値は適宜調整するものであるが、300N/5cm幅以下であるのが現実的である。
この「5%モジュラス強度」は、以下に述べる方法へ繊維集合体を供することで測定できる。
(5%モジュラス強度の測定方法)
(1)測定対象から長方形の試料(短辺:50mm、長辺:200mm)を採取した。このとき、測定対象の生産方向が判明している場合には、当該生産方向と長辺方向が平行を成すようにして、試料を採取した。
(2)引張り試験機(オリエンテック社製、商品名:テンシロン(登録商標)、TM−111−100)を使用し、つかみ間隔100mm、引張り速度300mm/min.の条件で、試料を5mm長辺方向へ引張った際に測定された、強度の値(N/5cm)を求めた。
(3)同様に合計10枚の試料について強度を求め、得られた各値の平均値を、測定対象における試料の長辺方向と平行を成す方向(MD方向)の5%モジュラス強度(N/5cm)とした。
(4)前記試料の長辺方向と平行を成す方向に対し、短辺方向が平行を成すようにして測定対象から新たに長方形の試料(短辺:50mm、長辺:200mm)を採取した。
(5)前述した(4)の工程で採取した試料を(2)〜(3)の工程へ供することで、測定対象における試料の長辺方向と平行を成す方向(CD方向)の5%モジュラス強度(N/5cm)を求めた。
繊維集合体の引張強度が強い程、固体電解質膜の製造過程中や固体電解質膜の取り扱い時、および、固体電池の製造過程中や固体電池の使用中に、固体電解質粒子の脱落が発生し難い固体電解質膜用支持体を調製可能な繊維集合体を実現し易くなることから、繊維集合体の引張強度は2N/50mm以上であるのが好ましく、3N/50mm以上であるのがより好ましく、4N/50mm以上であるのが更に好ましく、5N/50mm以上であるのが更に好ましい。一方、引張強度が過剰に強い場合には固体電池を製造し易い固体電解質膜用支持体を調製可能な繊維集合体を実現し難くなる恐れがあるため、500N/50mm以下が現実的である。
この「引張強度」は、以下に述べる方法へ繊維集合体を供することで測定できる。
(引張強度の測定方法)
(1)測定対象から長方形の試料(短辺:50mm、長辺:200mm)を採取した。このとき、測定対象の生産方向が判明している場合には、当該生産方向と長辺方向が平行を成すようにして、試料を採取した。
(2)引張り試験機(オリエンテック社製、商品名:テンシロン(登録商標)、TM−111−100)を使用し、つかみ間隔100mm、引張り速度300mm/min.の条件で、試料に破断が生じるまで長辺方向へ引張った。
(3)試料が破断するまでに測定される最大応力を「引張強度」とした。このようにして、測定対象における試料の長辺方向と平行を成す方向(MD方向)の強度(N/50mm)を測定した。
(4)前記試料の長辺方向と平行を成す方向に対し、短辺方向が平行を成すようにして測定対象から新たに長方形の試料(短辺:50mm、長辺:200mm)を採取した。
(5)前述した(4)の工程で採取した試料を(2)〜(3)の工程へ供することで、測定対象における試料の長辺方向と平行を成す方向(CD方向)の引張強度(N/50mm)を測定した。
(6)得られたMD方向の引張強度(N/50mm)とCD方向の引張強度(N/50mm)のうち、低い値を当該測定対象の引張強度(N/50mm)とした。
本発明にかかる固体電解質膜用支持体は、目付(単位:g/m)あたりの引張強度(単位:N/50mm)の値が0.5より大きい繊維集合体を備えている。当該値は、繊維集合体の引張強度の数値(単位:N/50mm)を目付(単位:g/m)の数値で除し算出した値(単位なし)である。
本算出値は、固体電解質膜用支持体を構成する繊維集合体に必要となる強度を、正確に評価するため求めるものである。具体的にいえば、同一の繊維組成で構成された繊維集合体同士であっても、各繊維集合体はその厚さや空隙率などの諸構成によって、その強度は変化する。そのため、繊維集合体の引張強度のみでは、固体電解質膜用支持体を構成する繊維集合体に必要とされる物性を、正確に求めることができない。一方、本願発明者らは、繊維集合体の目付は繊維集合体の物性に寄与している諸構成物の量を意味していることから、繊維集合体の引張強度の数値をその目付の数値で除することで、繊維集合体自体が有する本質的な強度を数値として評価できると考えた。
そして、当該値が大きい程、粒子の脱落が発生し難い繊維集合体となること、また、当該値が0.5よりも大きいときに、固体電解質粒子の脱落が発生し難い固体電解質膜を実現できることを見出した。
より固体電解質膜の製造過程中や固体電解質膜の取り扱い時、および、固体電池の製造過程中や固体電池の使用中に、固体電解質粒子の脱落が発生し難い固体電解質膜用支持体を調製可能な繊維集合体となるよう、当該値は0.6以上であるのが好ましく、0.7以上であるのがより好ましく、0.8以上であるのがより好ましく、0.9以上であるのが更に好ましく、1.0以上であるのが更に好ましい。一方、当該値が過剰に大きい場合には固体電池や固体電解質膜用支持体を調製し難くなる恐れがあるため、12.0以下であるのが現実的である。
次いで、本発明にかかる固体電解質膜用支持体の製造方法について、例示し説明する。なお、すでに説明した項目と構成を同じくする点については説明を省略する。
本発明にかかる固体電解質膜用支持体の製造方法は、一例として、
(1)ポリオレフィン系樹脂繊維を含んだスラリーを用いて湿式抄造し、繊維ウェブを調製する工程、
(2)調製した繊維ウェブを加熱装置へ供し、残留している水分を除去し、冷却して繊維集合体を調製する工程、
を備えている。
スラリーを調製する際に使用する分散媒や分散剤(例えば、界面活性剤など)などのスラリー構成成分の濃度や比率は、本発明の繊維集合体を実現できるよう適宜調性する。
また、繊維ウェブ中に熱融着性繊維が存在している場合には、工程(2)の加熱装置へ供した際に、残留している水分の除去を行うと共に熱融着性繊維による、構成繊維同士の熱融着を行っても良い。
加熱装置は適宜選択でき、例えば、ロールにより加熱または加熱加圧する装置、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機、熱風乾燥機、赤外線を照射し加熱できる装置などを用いた方法を採用できる。加熱装置による加熱温度は適宜選択するが、残留している水分を揮発させ除去可能であると共に、構成繊維などの構成成分が意図せず分解や変性しない温度であるように適宜調整する。
以上の製造方法によって、本発明にかかる構成を満足する繊維集合体を製造できる。調製した繊維集合体はそのまま固体電解質膜用支持体として使用してもよいが、表面を平滑化あるいは空隙率などを調整するためカレンダーなどの加圧装置へ供する、親水化処理へ供する、使用態様に合わせて形状を打ち抜くなど、各種の加工工程へ供してもよい。
また、別の多孔体、フィルム、発泡体などの他の構成部材を積層し、固体電解質膜用支持体として使用してもよい。
更に、本発明にかかる固体電解質膜用支持体によって、固体電解質膜や固体電池の製造過程で施され得るプレス処理が施された場合であっても、欠けや割れあるいは破断など大きな破損が発生し難い固体電解質膜を提供できる。また、当該固体電解質膜用支持体および当該固体電解質膜は、切断や打ち抜きならびに他の加工工程においても、欠けや割れあるいは破断など大きな破損が発生し難く、特に固体電解質膜中の電解質が破損し難く好ましい。
本発明にかかる固体電解質膜用支持体を用いて、固体電解質膜を調製する方法は、適宜選択できるが、固体電解質膜用支持体に固体電解質粒子の分散液(分散媒としてトルエンなどの有機溶媒を採用でき、バインダを配合してもよい)を付与し分散媒を除去する方法や、固体電解質膜用支持体に直接固体電解質粒子を付与して担持する方法などを採用できる。固体電解質膜用支持体に固体電解質粒子の分散液を付与する方法は適宜選択でき、ドクターブレードを用いる方法、グラビアロールを用いる方法など周知の方法を採用できる。なお、固体電解質膜用支持体に担持させる固体電解質粒子の量やバインダの量は、求める固体電池の特性によって適宜調整できる。
このようにして調製した固体電解質膜をそのまま用いて固体電池を調製してもよいが、固体電解質膜を前述したような各種の加工工程へ供したり、他の構成部材を積層した後に、固体電池を調製する工程へ供してもよい。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(比較例1)
ポリプロピレン(高融点成分、融点:168℃)を芯成分とし、高密度ポリエチレン(低融点成分、融点:135℃)を鞘成分とする、一部融着型の熱融着性複合繊維A(引張り強さ:3.2cN/dtex、両端部を除いて高密度ポリエチレンが繊維表面を被覆、芯成分と鞘成分の体積比率=60:40、繊度:0.8dtex、繊維径:10μm、繊維長:5mm)を用意した。
さらに、ポリエチレンテレフタレートからなる海成分中に、ポリプロピレンからなる島成分が61個存在する海島型複合未延伸繊維を複合紡糸法により紡糸し、延伸して製造した海島型複合延伸繊維を、アルカリ水溶液中に120分間浸漬し、海成分であるポリエチレンテレフタレートを抽出除去した後、裁断して、長さ方向における繊維径がほぼ同じポリプロピレン極細短繊維(繊維径:2μm、繊維長3mm、融点:168℃、横断面形状:円形)を作製した。このポリプロピレン極細繊維は、フィブリル化しておらず、延伸されており、各繊維が同じ繊維径を有していた。
次いで、熱融着性複合繊維A60質量%と、ポリプロピレン極細短繊維40質量%とをスラリー(分散媒:水)中に分散させ、湿式法により抄造して繊維ウエブを形成した
次いで、この繊維ウエブに対し温度140℃の熱風を10秒間吹きつけ、十分な量の熱風を通過させ繊維ウエブの乾燥と同時に前記熱融着性複合繊維の低融点成分のみを溶融させることで、構成繊維同士を熱融着させて、不織布を形成した。そして、不織布をプラズマ処理へ供することで親水化した後、50℃のカレンダーで厚み調整し、固体電解質膜用支持体を製造した。
(比較例2)
スラリー(分散媒:水)中に分散させる繊維の配合を、熱融着性複合繊維A80質量%と、ポリプロピレン極細短繊維20質量%に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、固体電解質膜用支持体を製造した。
(比較例3)
スラリー(分散媒:水)中に分散させる繊維の配合を、前記熱融着性複合繊維A100質量%に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、固体電解質膜用支持体を製造した。
(実施例1)
ポリプロピレン(高融点成分、融点:168℃)を芯成分とし、高密度ポリエチレン(低融点成分、融点:135℃)を鞘成分とする、一部融着型の熱融着性複合繊維B(引張り強さ:6.5cN/dtex、両端部を除いて高密度ポリエチレンが繊維表面を被覆、芯成分と鞘成分の体積比率=60:40、繊度:0.8dtex、繊維径:10μm、繊維長:5mm)を用意した。
スラリー(分散媒:水)中に分散させる繊維の配合を、熱融着性複合繊維B100質量%に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、固体電解質膜用支持体を製造した。
(実施例2)
カレンダー(線圧力:9.8N/cm、加熱温度:70℃)へ供することで、実施例1で調製した固体電解質膜用支持体に更に圧力を作用させて、固体電解質膜用支持体を製造した。
(実施例3)
カレンダー(線圧力:9.8N/cm、加熱温度:90℃)へ供することで、実施例2で調製した固体電解質膜用支持体に更に圧力を作用させて、固体電解質膜用支持体を製造した。
(実施例4)
スラリー(分散媒:水)中に分散させる繊維の配合を、熱融着性複合繊維B60質量%と、ポリプロピレン極細短繊維40質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、固体電解質膜用支持体を製造した。
(実施例5)
繊維ウエブに対して吹きつける熱風の温度を130℃に変更したこと以外は、実施例4と同様にして、固体電解質膜用支持体を製造した。
前述のようにして調製した固体電解質膜用支持体について、以下の評価結果と各種物性を合わせ表1にまとめた。
(粒子脱落性の評価方法)
(1)シリカ粒子(平均粒子径:0.4μm、粒子形状:球形)を、シリカ粒子の固形分濃度が60質量%となるように水に分散させた。その後、PVA(ポリビニルアルコール)をシリカ粒子の質量に対し1質量%添加し、分散液を調製した。
(2)固体電解質膜用支持体の一方の主面へ、ドクターブレード法を用いて前記分散液を付与した。
(3)分散液を付与した固体電解質膜用支持体を、加熱温度を120℃に調整した熱風循環式熱処理機へ供することで、分散媒を除去して、空隙中にシリカ粒子を担持してなる固体電解質膜用支持体を調製した。
(4)空隙中にシリカ粒子を担持してなる固体電解質膜用支持体から、一辺5cm角の正方形の試料を採取した。
(5)採取した試料を10cm角のアルミ箔同士の間に挟み、更に、試料をアルミ箔ごとポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:125μm)同士の間に挟み込んだ。
(6)ポリエチレンテレフタレートフィルム上からプレス機(圧力:200MPa、温度:25℃)を作用させて、試料へ圧力を作用させた。
(7)プレス機からポリエチレンテレフタレートフィルムおよびアルミ箔ごと試料を取り出し、試料における分散液を付与した側の主面からアルミ箔を剥離した。
(8)剥離したアルミ箔における試料と接触していた部分の状態を目視で観察することで、固体電解質膜用支持体が粒子脱落を発生し易いものであるか否かを評価した。
「〇」・・・アルミ箔に塊状のシリカ粒子は存在していなかった。そのため、固体電解質膜用支持体は粒子の脱落を発生し難いものであると評価できた。
「×」・・・アルミ箔に塊状のシリカ粒子が存在していた。そのため、固体電解質膜用支持体は粒子の脱落を発生し易いものであると評価できた。
「△」・・・アルミ箔に塊状のシリカ粒子が存在していたが、前述した「×」の評価結果ほどではなかった。そのため、固体電解質膜用支持体は粒子の脱落が防止されてなるものであると評価できた。
Figure 2021028869
実施例と比較例とを比較した結果から、目付(単位:g/m)あたりの引張強度(単位:N/50mm)の値が0.5より大きい繊維集合体は、粒子の脱落が発生し難いものであった。そのため、前述の構成を満足する繊維集合体を備えることで、固体電解質粒子が脱落し難い固体電解質膜を実現可能な、固体電解質膜用支持体を提供できると考えられた。
また、実施例1〜2および実施例4と実施例3とを比較した結果から、目付(単位:g/m)あたりの引張強度(単位:N/50mm)の値が本願発明が規定する範囲を満足するにも関わらず(実施例1〜2より高く、実施例4より低い)、実施例3で調製した空隙中にシリカ粒子を担持してなる固体電解質膜用支持体は、実施例1〜2および実施例4よりも粒子脱落性は悪い結果となった。
この理由として、実施例3の固体電解質膜用支持体を構成する繊維集合体の空隙率が、実施例1〜2および実施例4よりも低いためだと考えられた。
以上のことから、空隙率が40%より大きい繊維集合体によって、より固体電池の電池性能が意図せず低下するのを防止できる固体電解質膜を実現可能な、固体電解質膜用支持体を提供できると考えられた。
本発明は、固体電解質粒子を保持して固体電池の固体電解質膜を形成できる、固体電解質膜用支持体として、好適に使用することができる。
なお、本発明に係る固体電解質膜用支持体は、固体電解質膜を構成するという用途以外にも、様々な産業用途(例えば、水処理膜などの液体分離膜や気体分離膜、水など液体の電気分解を行う際に用いる分離膜、医療用材料、イオン交換膜や透析膜、燃料電池の高分子電解質膜などといった様々な産業用途に使用可能な複合膜の支持体として、あるいは、キャパシタや一次/二次電池などの電気化学素子用セパレータ、プリプレグ、気体フィルタや液体フィルタなど)に使用できる。
また、本発明に係る固体電解質膜用支持体に粒子を担持させた構造体は、固体電解質膜以外にも、様々な産業用途(例えば、水処理膜などの液体分離膜や気体分離膜、医療用材料、イオン交換膜や透析膜、燃料電池の高分子電解質膜などといった様々な産業用途に使用可能な複合膜として、あるいは、キャパシタや一次/二次電池などの電気化学素子用セパレータ、プリプレグ、気体フィルタ膜や液体フィルタ膜など)に使用できる。

Claims (1)

  1. ポリオレフィン系樹脂繊維を含んだ繊維集合体を備える、固体電解質膜用支持体であって、前記繊維集合体における目付(単位:g/m)あたりの引張強度(単位:N/50mm)の値が0.5より大きい、固体電解質膜用支持体。
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