JP2021025995A - カンチレバーおよび走査プローブ顕微鏡ならびに走査プローブ顕微鏡による測定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
走査プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)は、走査トンネル顕微鏡や原子間力顕微鏡に代表される顕微鏡の総称である。この走査プローブ顕微鏡は、微小な探針(プローブ)で試料を走査して、試料の形状や性質を観察する顕微鏡である。特に、走査プローブ顕微鏡では、探針の先端を試料の表面に近づけ、試料と探針との間の力学的・電磁気的相互作用を検出しながら走査することにより、試料表面の拡大像や物性情報を得ることができる。例えば、走査プローブ顕微鏡は、試料に対して原子レベルや分子レベルの分解能を有している。ここで、近年では、原子レベルの分解能を有する走査プローブ顕微鏡を使用して試料の光学的性質などの物性情報を調べることが行なわれている。具体的には、光源から探針の先端部に励起光を照射することにより、探針の先端部に近接場光(局所電界集中)を形成して、この近接場光に起因する試料からの散乱光を検出する。そして、この散乱光を解析することにより、試料の物性情報を得ることが行なわれている。
図1は、本実施の形態における走査プローブ顕微鏡の模式的な構成を示す図である。
図2は、本変形例1における走査プローブ顕微鏡の模式的な構成を示す図である。
図3は、本変形例2における走査プローブ顕微鏡の模式的な構成を示す図である。
ラマン散乱光の強度は、レイリー散乱光の強度に比べて極めて微弱である一方、近接場光の強度に応じて強くなるため、ラマン散乱光の検出感度を向上する観点からは、カンチレバーの探針部の先端に形成される近接場光の強度を強くすることが重要である。
次に、本実施の形態における特徴点について説明する。
<<変形例1>>
図6は、本変形例1におけるカンチレバーの模式的な構成を示す斜視図である。
図8は、本変形例2におけるカンチレバーの模式的な構成を示す斜視図である。
図10は、本変形例3におけるカンチレバーの模式的な構成を示す斜視図である。
図12は、本変形例4におけるカンチレバーの模式的な構成を示す斜視図である。
上述したように、本実施の形態における技術的思想が具現化されるカンチレバーの構成は、例えば、図5に示す構成と、図7に示す構成と、図9に示す構成と、図11に示す構成と、図13に示す構成とを包含している。ここで、例えば、図5に示す構成と図7に示す構成と図9に示す構成とを包含する構成を第1構成と呼ぶことにすると、この第1構成は、以下に示す構成として把握することができる。すなわち、第1構成は、図5と図7と図9において、探針部40aが頂点部位2と第一線3と稜線4と上角部位5と第二線6とを含み、かつ、第二線6が梁部40bの上面と直接接続される直線部(直線部6b、傾斜直線部6d)を含むことを前提として、第一線3と第二線6の直線部(直線部6b、傾斜直線部6d)との間隔が頂点部位2に近づくに連れて、同じか、または、狭くなる構成であるということができる。これにより、第1構成は、図5に示す構成と図7に示す構成と図9に示す構成とを包含する上位概念化された構成ということができる。このような第1構成によれば、カンチレバーのy軸回りの剛性を高くすることができる。このことから、第1構成は、カンチレバーの形状に起因する振動を抑制することができる。
本実施の形態によれば、探針部の先端に生成される近接場光の強度を向上できる効果を得ることができるが、以下では、この効果の検証結果について説明する。
次に、稜線の長さに対する考察について説明する。
第1手法は、例えば、走査プローブ顕微鏡において、入射角度θが固定されている場合に有効な手法である。例えば、図23は、頂点部位に励起光のスポット中心を照射する構成を前提として、入射角度θがθ=60°に固定された場合の稜線4の長さLと近接場光の電場強度との関係を示すグラフである。この図23は、例えば、図20に示されるグラフに基づいて算出することができる。図23において、入射角度θをθ=60°に固定した場合、電場強度が最も大きくなる稜線4の長さは、L=1λである。したがって、入射角度θはθ=60°に固定された走査プローブ顕微鏡においては、探針部40aの稜線4の長さLがL=λのカンチレバーを採用すればよいことになる。
第2手法は、例えば、予め稜線4の長さLが決定されているカンチレバーが製造されている場合に有効な手法である。この第2手法を実現するにあたっては、走査プローブ顕微鏡が入射角度θを変更可能なように構成されている必要がある。
本実施の形態における走査プローブ顕微鏡では、例えば、図1に示すように、励起光8をスポット形状に集光してカンチレバー40に照射する集光光学部品として、透過型対物レンズであるレンズ72を使用している。ただし、集光光学部品としては、レンズ72に限らず、例えば、図29(a)に示す反射型対物レンズ72Aや図29(b)に示す放物面鏡72Bや図29(c)に示す積分鏡72Cのいずれかの光学部品を使用してもよい。
2 頂点部位
3 第一線
4 稜線
5 上角部位
6 第二線
6a 傾斜部
6b 直線部
6c 水平直線部
6d 傾斜直線部
6e 第一凹部
6f 第二凹部
7 金属膜
8 励起光
8a 近接場光
8b 表面プラズモン
10 試料
10A 金基板
20 試料ホルダ
30 圧電素子ステージ
40 カンチレバー
40−1 カンチレバー
40−2 カンチレバー
40−3 カンチレバー
40−4 カンチレバー
40a 探針部
40b 梁部
40c 被保持部
50 圧電素子ステージ
51 圧電素子アクチュエータ
52 ヘッド
60 光てこ検出部
61 光源
62 光
63 光検出器
70 入射・検出光学系
71 光源
72 レンズ
72A 反射型対物レンズ
72B 放物面鏡
72C 積分鏡
72D 放物面鏡
73 受光光学系
74 入射光学系
80 分光器
90 制御部
100 走査プローブ顕微鏡
200 走査プローブ顕微鏡
300 走査プローブ顕微鏡
1000 探針部
1001 頂点部位
1002 稜線
1003 上角部位
1004 第一線
1005 金属膜
CL 中心線
HL1 水平線
HL2 水平線
Claims (20)
- 走査プローブ顕微鏡に用いるカンチレバーであって、
断面視において、
前記カンチレバーは、
試料に近づける部位であり、かつ、金属膜で被覆された頂点部位と、
前記頂点部位と接続され、かつ、前記金属膜で被覆された稜線と、
前記稜線と接続された上角部位と、
を有し、
前記稜線の一部と前記上角部位とは、前記走査プローブ顕微鏡の光源より出射される励起光が照射される部位である、カンチレバー。 - 請求項1に記載のカンチレバーにおいて、
前記カンチレバーは、
探針部と、
下面より前記探針部に接続し、かつ、前記探針部を保持するための梁部と、
を有し、
断面視において、前記探針部は、
前記頂点部位と、
前記頂点部位と前記梁部とを接続する第1線と、
前記稜線と、
前記上角部位と、
前記上角部位と前記梁部とを接続する第2線と、
を有し、
前記第1線および前記第2線のそれぞれは、前記梁部と直接接続される直線部を含み、
前記第1線の前記直線部と前記第2線の前記直線部との間隔は、前記頂点部位に近づくに連れて、同じか、または、狭くなる、カンチレバー。 - 請求項1に記載のカンチレバーにおいて、
前記カンチレバーは、
探針部と、
下面より前記探針部に接続し、かつ、前記探針部を保持するための梁部と、
を有し、
断面視において、前記探針部は、
前記頂点部位と、
前記頂点部位と前記梁部とを接続する第1線と、
前記稜線と、
前記上角部位と、
前記上角部位と前記梁部とを接続する第2線と、
を有し、
前記第2線は、
前記稜線の延長上に位置する延長線部と、
前記上角部位と前記延長線部とに接続し、かつ、前記第1線側に凹む凹部と、
を含む、カンチレバー。 - 請求項1に記載のカンチレバーにおいて、
前記金属膜は、金膜、銀膜、白金膜、または、アルミニウム膜のいずれかの金属膜または合金膜または複種金属の多層膜であり、
前記カンチレバーの材質は、シリコン、酸化シリコン、または、窒化シリコンのいずれかである、カンチレバー。
- 請求項1に記載のカンチレバーにおいて、
前記励起光の波長は、近紫外領域の波長から赤外領域の波長の範囲に含まれる、カンチレバー。 - 請求項1に記載のカンチレバーにおいて、
前記励起光の波長をλとする場合、
前記稜線の長さは、λ/2以上5λ以下である、カンチレバー。 - 試料を保持する試料ホルダと、
励起光を出射する光源と、
前記励起光が照射されるカンチレバーと、
を備える、走査プローブ顕微鏡であって、
断面視において、
前記カンチレバーは、
前記試料に近づける部位であり、かつ、金属膜で被覆された頂点部位と、
前記頂点部位と接続され、かつ、前記金属膜で被覆された稜線と、
前記稜線と接続された上角部位と、
を有し、
前記稜線の一部と前記上角部位とは、前記走査プローブ顕微鏡の光源より出射される励起光が照射される部位である、走査プローブ顕微鏡。 - 請求項7に記載の走査プローブ顕微鏡において、
前記励起光は、前記稜線に対して斜め方向から照射される、走査プローブ顕微鏡。 - 請求項7に記載の走査プローブ顕微鏡において、
使用される前記カンチレバーの前記稜線の長さに応じて、前記励起光を前記カンチレバーに照射する方向を調整可能に構成されている、走査プローブ顕微鏡。 - 請求項7に記載の走査プローブ顕微鏡において、
前記励起光の波長をλとする場合、前記稜線の長さは、λ/2以上5λ以下であり、
前記走査プローブ顕微鏡は、前記励起光をスポット形状に集光して前記カンチレバーに照射する入射光学系を有し、
前記入射光学系は、前記スポット形状の中心を前記頂点部位に照射する場合に、前記頂点部位を通る水平線と前記入射光学系の中心線とのなす入射角度を15度以上90度以下に設定可能な角度調整機構を含む、走査プローブ顕微鏡。 - 請求項7に記載の走査プローブ顕微鏡において、
前記励起光の波長をλとする場合、前記稜線の長さは、λ/2以上3λ以下であり、
前記走査プローブ顕微鏡は、前記励起光をスポット形状に集光して前記カンチレバーに照射する入射光学系を有し、
前記入射光学系は、前記スポット形状の中心を前記上角部位に照射する場合に、前記上角部位を通る水平線と前記入射光学系の中心線とのなす入射角度を15度以上135度以下に設定可能な角度調整機構を含む、走査プローブ顕微鏡。 - 請求項7に記載の走査プローブ顕微鏡において、
前記励起光の波長をλとする場合、前記稜線の長さは、λ/2以上5λ以下であり、
前記走査プローブ顕微鏡は、前記励起光をスポット形状に集光して前記カンチレバーに照射する集光レンズを含む入射光学系を有し、
前記入射光学系は、前記励起光の中心が前記集光レンズの中心に一致する第1光路構成と前記励起光の中心が前記集光レンズの中心からずれた位置を通る第2光路構成との間で変更可能な光路調整機構を含む、走査プローブ顕微鏡。 - 請求項12に記載の走査プローブ顕微鏡において、
前記集光レンズを介して前記カンチレバーの梁部に照射された光の前記カンチレバーの前記梁部からの反射光を、前記集光レンズを介して光検出器で検出することにより、前記カンチレバーの変形を検出する光てこ検出部を有する、走査プローブ顕微鏡。 - 請求項7に記載の走査プローブ顕微鏡において、
前記励起光の波長をλとする場合、前記稜線の長さは、λ/2以上5λ以下であり、
前記走査プローブ顕微鏡は、前記カンチレバーに照射される前記励起光の入射角度を変更するように前記カンチレバーの位置を調整する調整部を有する、走査プローブ顕微鏡。 - 請求項7に記載の走査プローブ顕微鏡において、
前記走査プローブ顕微鏡は、前記励起光をスポット形状に集光して前記カンチレバーに照射する集光光学部品を有し、
前記集光光学部品は、透過型対物レンズ、反射型対物レンズ、放物面鏡、または、積分鏡のいずれかの部品から構成されている、走査プローブ顕微鏡。 - 請求項15に記載の走査プローブ顕微鏡において、
前記集光光学部品を介して前記カンチレバーの梁部に照射された光の前記カンチレバーの前記梁部からの反射光を、前記集光光学部品を介して光検出器で検出することにより、前記カンチレバーの変形を検出する光てこ検出部を有する、走査プローブ顕微鏡。 - 請求項7に記載の走査プローブ顕微鏡において、
前記励起光は、赤外領域の波長を有し、
前記走査プローブ顕微鏡は、前記励起光の照射または前記励起光を照射することにより発生する近接場光の照射による試料表面の膨張や反射率の変化や光誘起力のいずれかをナノ分解能レベルで測定する、走査プローブ顕微鏡。 - (a)光源から出射された励起光をカンチレバーに照射する工程、
(b)前記カンチレバーに対して対向配置された試料からの散乱光を検出する工程、
を備える、走査プローブ顕微鏡による測定方法であって、
前記カンチレバーは、
前記試料に近づける部位であり、かつ、金属膜で被覆された頂点部位と、
前記頂点部位と接続され、かつ、前記金属膜で被覆された稜線と、
前記稜線と接続された上角部位と、
を有し、
前記稜線の一部と前記上角部位とは、前記走査プローブ顕微鏡の前記光源より出射される前記励起光が照射される部位である、走査プローブ顕微鏡による測定方法。 - 請求項18に記載の走査プローブ顕微鏡による測定方法において、
前記励起光は、前記稜線に対して斜め方向から照射される、走査プローブ顕微鏡による測定方法。 - 探針部と、
下面より前記探針部に接続し、かつ、前記探針部を保持するための梁部と、
を備える、カンチレバーであって、
断面視において、前記探針部は、
金属膜で被覆された頂点部位と、
前記頂点部位と前記梁部とを接続する第1線と、
前記頂点部位と接続され、かつ、前記金属膜で被覆された稜線と、
前記稜線と接続された上角部位と、
前記上角部位と前記梁部とを接続する第2線と、
を有し、
前記第2線は、第1構成と第2構成のいずれかの構成を有し、
前記第1構成は、
前記第1線および前記第2線のそれぞれが、前記梁部と直接接続される直線部を含み、
前記第1線の前記直線部と前記第2線の前記直線部との間隔が、前記頂点部位に近づくに連れて、同じか、または、狭くなる構成であり、
前記第2構成は、
前記第2線が、
前記稜線の延長上に位置する延長線部と、
前記上角部位と前記延長線部とに接続し、かつ、前記第1線側に凹む凹部と、
を含む構成である、カンチレバー。
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