JP2021024968A - 熱可塑性材料、及び樹脂シート - Google Patents
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Abstract
【課題】非晶質部中に量子ドットが分散していても、この量子ドットが、外部環境の影響を受けにくくなって、経時的に劣化しにくくできる、熱可塑性材料を提供する。【解決手段】熱可塑性材料1は、ポリオレフィン樹脂2と、石油樹脂3と、量子ドット4と、を含有する。【選択図】図1
Description
本開示は、熱可塑性材料、及び樹脂シートに関する。
特許文献1には、高分子が有する結晶部中に量子ドットを均一に分散させることにより、結晶部中の量子ドットに外部環境の影響を与えにくくして、この量子ドットを安定にすることが開示されている。
しかし、ポリオレフィン等の高分子は、結晶部だけでなく、非晶質部も有することが多い。このため、量子ドットを高分子中に分散させると、量子ドットは結晶部と非晶質部との両方に分散する。この場合、結晶部中の量子ドットは外部環境の影響を受けにくくなっても、非晶質部中の量子ドットは、外部環境の影響を受けやすいままで、経時的に劣化しやすい傾向がある。
本開示の目的は、非晶質部中に量子ドットが分散していても、この量子ドットが、外部環境の影響を受けにくくなって、経時的に劣化しにくくできる、熱可塑性材料、及び樹脂シートを提供することである。
本開示の一態様に係る熱可塑性材料は、ポリオレフィン樹脂と、石油樹脂と、量子ドットと、を含有する。
本開示の一態様に係る樹脂シートは、前記熱可塑性材料の成形品である。
本開示の上記態様によれば、非晶質部中に量子ドットが分散していても、この量子ドットが、外部環境の影響を受けにくくなって、経時的に劣化しにくくできる。
以下、本開示の実施形態を説明する。
<熱可塑性材料>
まず、本実施形態に係る熱可塑性材料1を、図1及び図2を参照して説明する。
まず、本実施形態に係る熱可塑性材料1を、図1及び図2を参照して説明する。
熱可塑性材料1は、図1のように、ポリオレフィン樹脂2と、石油樹脂3と、量子ドット4と、を含有する。
このような熱可塑性材料によれば、非晶質部12中に量子ドット4と石油樹脂3とが存在することで、石油樹脂3は非晶質部12中の量子ドット4を外部環境から保護することができる。このため、非晶質部12中の量子ドット4は、外部環境の影響を受けにくくなって、経時的に劣化しにくくできる。
以下、熱可塑性材料1を、より詳細に説明する。
熱可塑性材料1は、熱可塑性樹脂とも呼ばれ、ガラス転移温度以上の温度で加熱されると軟化する性質を有する。このため、熱可塑性材料1を、任意の成形方法により成形することができる。また、熱可塑性材料1からなる成形品は、バックライトユニット等にカラーフィルターとして搭載される量子ドットフィルム(後述の樹脂シート)に有利である。また、成形される前の熱可塑性材料1の形状として、例えば、ペレット状、ビーズ状、筒状、円柱状が挙げられる。
熱可塑性材料1は、図1のように、結晶部11と、非晶質部12と、有する。
結晶部11は、熱可塑性材料1中の複数の高分子鎖が互いに平行となって並ぶ部分であって、量子ドット4と、ポリオレフィン樹脂2の結晶部21とを含有する。そして、結晶部21中で量子ドット4は分散している。結晶部21は、ポリオレフィン樹脂2中の複数のポリオレフィン鎖が互いに平行となって並ぶ部分である。結晶部21中で量子ドット4が分散することにより、量子ドット4を変性させやすい成分(以下、変性成分という場合がある)が熱可塑性材料1中に入り込んでも、量子ドット4はポリオレフィン鎖に囲まれるため、量子ドット4は変性成分と触れにくくなる。このため、量子ドット4と変性成分との反応が生じにくくなり、量子ドット4は劣化しにくくなる。
非晶質部12は、熱可塑性材料1中の複数の高分子鎖が絡み合う部分であって、石油樹脂3と、量子ドット4と、ポリオレフィン樹脂2の非晶質部22とを含有する。そして、非晶質部22と石油樹脂3と量子ドット4とが混合された状態となって、非晶質部12中でも量子ドット4が分散している。非晶質部22は、ポリオレフィン樹脂2中の複数のポリオレフィン鎖が絡み合う部分である。非晶質部12中で量子ドット4が分散することにより、量子ドット4は非晶質部22と石油樹脂3とで囲まれ、かつ石油樹脂3により変性成分は非晶質部12中に入り込みにくくなるため、量子ドット4は変性成分と触れにくくなる。このため、量子ドット4と変性成分との反応が生じにくくなり、非晶質部12中の量子ドット4も劣化しにくくなる。
変性成分として、例えば、水蒸気、及び酸素が挙げられる。
本明細書において、「平行」とは、厳密に平行である態様だけでなく、実質的に平行(略平行)である態様も含む。
また、熱可塑性材料1が石油樹脂3を含有することにより、熱可塑性材料1のガラス転移温度を高めることができる。このため、熱可塑性材料1からなる樹脂シート10をバックライトユニット等のディスプレイ装置内に設置しても、バックライトの熱により、樹脂シート10が変形しにくくなると共に樹脂シート10中の量子ドット4が劣化しにくくなる。しかも熱可塑性材料1のガラス転移温度が高くなるほど、量子ドット4が2次凝集しにくくなり、量子ドット4の分散性を向上させることもできる。また、石油樹脂3の含有量が大きくなるほど、結晶部11のサイズが小さくなることが考えられる。この場合、結晶部11は石油樹脂3を含有しなくてもよい。結晶部11が石油樹脂3を含有しなくても、結晶部11中の量子ドット4は、上記の通り、劣化しにくくなる。
上記より、熱可塑性材料1が、高温高湿度で、かつ酸素を含む環境下にあったとしても、熱可塑性材料1中の量子ドット4は、変性成分と反応しにくくなる。すなわち、熱可塑性材料1中の量子ドット4を外部環境から保護することができる。このため、熱可塑性材料1中の量子ドット4は、経時的に劣化しにくくなる。
本実施形態において、ポリオレフィン樹脂2:石油樹脂3の質量比は、好ましくは、95:5〜40:60の範囲内である。この場合、変性成分が非晶質部12中に入り込みにくくなるため、熱可塑性材料1中の量子ドット4を劣化させにくくでき、しかも熱可塑性材料1のガラス転移温度をポリオレフィン樹脂2よりも高くすることができる。前記質量比は、好ましくは、90:10〜60:40の範囲内であり、より好ましくは、80:20〜70:30の範囲内である。
熱可塑性材料1のガラス転移温度は、好ましくは、10℃以上である。この場合、熱可塑性材料1からなる成形品をバックライトユニット等に搭載しても、この成形品を変形させにくくでき、しかも熱可塑性材料1を成形する際に前記ガラス転移温度以上の温度で熱可塑性材料1を軟化させても、石油樹脂3により量子ドット4と変性成分との反応が生じにくくなり、量子ドット4は劣化しにくくなる。また、前記ガラス転移温度によっては、成形品のヘイズを低くすることができ、これにより成形品に透光性を付与することもできる。この場合、熱可塑性材料1に含まれる非晶質部12の割合が、石油樹脂3の含有量に応じて大きくなると考えられる。このように非晶質部12の割合が大きくなっても、非晶質部12の量子ドット4を石油樹脂3により劣化させにくくできる。前記ガラス転移温度は、より好ましくは70℃以上である。前記ガラス転移温度の上限は特に限定されないが、前記ガラス転移温度、例えば、300℃以下である。
量子ドット4の量は、好ましくは、ポリオレフィン樹脂2及び石油樹脂3の固形分合計に対して、0.1質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上20%質量以下である。この場合、熱可塑性材料1に含まれる量子ドット4の量を少なくできるため、熱可塑性材料1のコストを減らすことができる。また、量子ドット4の量が少なくても、熱可塑性材料1中の量子ドット4は劣化しにくいため、熱可塑性材料1の品質が保たれやすくなる。
熱可塑性材料1は、上記の通り、量子ドット4を含有する。量子ドット(Quantum dot)4は、図2のように、コア43と、シェル44とを備えるコアシェル構造を有する。コア43は、半導体化合物からなり量子ドット4の核となる部分である。シェル44は、コア43とは異なる半導体化合物からなりコア43を覆って量子ドット4の殻となる部分である。
量子ドット4は、ナノメートルサイズの半導体化合物を含む微粒子であって、ナノ蛍光体、半導体ナノ粒子、又は半導体ナノ結晶とも呼ばれる。
量子ドット4は、電子及び励起子をナノメートルサイズの小さな結晶、特にコア43内に閉じ込めることで生じる量子閉じ込め効果(量子サイズ効果)により、特異的な光学的性質を有する。すなわち、量子ドット4は、量子ドット4に照射された光(照射光)を吸収し、かつ照射光の波長とは異なる波長で光を発する光学的性質を有する。なお、量子ドット4が発する光及び照射光の各々の波長は、任意に選択できる。
また、量子ドット4は、その粒子径によって異なる光を発する。量子ドット4の粒子径は、シェル44の外径であり、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定される。量子ドット4の粒子径が小さくなるほど、量子ドット4中のエネルギーバンドギャップが大きくなり、量子ドット4が発する光は青色側へシフトする。このため、量子ドット4の粒子径に応じて量子ドット4の発光色を調節することができる。
コア43を構成する半導体化合物は、特に限定されないが、例えば、Si系化合物、II−VI族系化合物、II−V族系化合物、III−V族系化合物、I−III−VI族系化合物、I−III−V族系化合物、及びIV−VI族系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
Si系化合物は、Si(ケイ素)を主成分とする半導体である。Si系化合物は、アモルファスSi及びSi結晶からなる群から選択される少なくとも1種を含有する。Si系化合物は、Si以外の任意の元素を更に含有できる。
II−VI族系化合物は、例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、及びHgZnSTeからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
III−V族系化合物は、例えば、GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAs、及びInAlPAsからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
IV−VI族系化合物は、例えば、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、テルル化鉛(PbTe)、硫化スズ(SnS)、セレン化スズ(SnSe)、及びテルル化スズ(SnTe)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
II−V族系化合物は、リン化亜鉛(Zn3P2)、ヒ化亜鉛(Zn3As2)、リン化カドミウム(Cd3P2)、ヒ化カドミウム(Cd3As2)、窒化カドミウム(Cd3N2)、及び窒化亜鉛(Zn3N2)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
I−III−V族系化合物は、例えば、CuInSe2、及びCu(In、Ga)Se2からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
コア43は、上記の化合物に限らず、任意の半導体化合物を含むことができる。
シェル44を構成する半導体化合物は、コアシェル構造を形成できればよく、特に限定されない。シェル44を構成する半導体化合物は、コア43の半導体化合物と異なっていてもよく、同じであってもよい。
例えば、コア43を構成する半導体化合物がCdSeであり、シェル44を構成する半導体化合物がZnSである場合、粒子径が3nmの量子ドット4は緑色の光を発し、粒子径が8nmの量子ドット4は赤色の光を発する。量子ドット4は、その粒子径によって異なる光を発することができればよく、コア43及びシェル44の各々を構成する半導体化合物は、上記の通り、特に限定されない。
量子ドット4の粒子径は、好ましくは、1nm以上10nm以下である。量子ドット4の粒子径分布が狭いほど、より鮮明な発光色を得ることができる。また、熱可塑性材料1が複数種の量子ドット4を含有する場合、各種の量子ドット4の粒子径分布が狭いほど、より鮮明な発光色を得ることができる。
量子ドット4は、シェル44の外表面にある保護部45を更に備えてもよい。保護部45は、シェル44の外表面を表面処理、又は化学修飾することにより形成される。保護部45を形成する際、シランカップリング剤等を用いることができる。
量子ドット4が保護部45を備えると、量子ドット4は、より安定しやすい。また、保護部45がシランカップリング剤を由来とする残基を含む場合、量子ドット4は、安定しやすく、かつ熱可塑性材料1中に分散しやすくなる。
また、量子ドット4は、図1のように、第1量子ドット41と、第2量子ドット42とを含むことができる。第1量子ドット41の粒子径は、第2量子ドット42よりも大きい。この場合、第1量子ドット41と第2量子ドット42とが、粒子径だけ異なっていてもよく、または半導体化合物の種類と粒子径との両方で異なっていてもよい。
第1量子ドット41の量は、好ましくは、ポリオレフィン樹脂2及び石油樹脂3の固形分合計に対して、0.1質量%以上60質量以下であり、より好ましくは0.1質量%以上20質量%以下である。この場合、熱可塑性材料1に含まれる第1量子ドット41の量を少なくできるため、熱可塑性材料1のコストを減らすことができる。また、第1量子ドット41が少なくても、熱可塑性材料1中の第1量子ドット41は劣化しにくいため、熱可塑性材料1の品質が保たれやすくなる。
第2量子ドット42の量は、好ましくは、ポリオレフィン樹脂2及び石油樹脂3の固形分合計に対して、0.1質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上20質量%以下である。この場合、熱可塑性材料1に含まれる第2量子ドット42の量を少なくできるため、熱可塑性材料1のコストを減らすことができる。また、第2量子ドット42が少なくても、熱可塑性材料1中の第2量子ドット42は劣化しにくいため、熱可塑性材料1の品質が保たれやすくなる。
熱可塑性材料1は、上記の通り、石油樹脂3を含有する。石油樹脂3は、C5留分及びC9留分からなる群から選択される少なくとも1つを含有するモノマー組成物(X)の重合体(P)を含有する。
C5留分及びC9留分は、ナフサ等の石油の熱分解物を由来とし、この熱分解物からポリオレフィン樹脂2等の製造に利用される留分を採取した残りの熱分解物から得られる留分である。
C5留分は、炭素数が5つのモノマー(以下、C5モノマー)を含有する組成物である。C5モノマーは、一般的に、1−ペンテン、trans−2−ペンテン、cis−2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、シクロペンテン、trans−1,3−ペンタジエン、cis−1,3−ペンタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、n−ペンタン、イソペンタン、及びシクロペンタン等を含むとされている。また、C5留分は、シクロペンタンの二量体であるジシクロペンタンジエンも含む。さらにC5留分は、C5モノマー以外の化合物も含む。C5モノマー以外の化合物は、例えば、炭素数が4つの化合物である。石油樹脂3を製造する際、C5留分としてジシクロペンタンジエンを用いることができる。
C9留分は、炭素数が9つのモノマー(以下、C9モノマー)を含有する組成物である。C9モノマーは、一般的に、アリルベンゼン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、3−メチルスチレン、インデン、n−プロピルベンゼン、エチルトルエン、及びトリメチルベンゼン等を含むとされている。また、C9留分は、C9モノマー以外の化合物も含む。C9モノマー以外の化合物は、例えば、スチレン、メチルインデン、エチルスチレン、ジビニルベンゼン、シクロペンタジエン、ジメチルスチレン、メチルシクロペンタジエン、エチルベンゼン、キシレン、ブチルベンゼン、シメン、ジエチルベンゼン、デカリン、n−プロピルトルエン、ジメチルエチルベンゼン、メチルインダン、テトラメチルベンゼン、テトラリン、ジヒドロナフタレン、及びナフタレンである。石油樹脂3を製造する際、C9留分として不飽和基を有する芳香族モノマーを少なくとも1種用いることができる。
重合体(P)は、酸性触媒存在下、又は加熱下でモノマー組成物(X)を重合させることで得られる。このような重合体(P)は、例えば、重量平均分子量が200以上2000以下であってもよい。重合体(P)を得るにあたり、C5留分中のジシクロペンタンジエン、及びC9留分中の不飽和基を有する芳香族モノマーのうちのいずれかを用いる場合、モノマー組成物(X)は、ジシクロペンタンジエン、及び不飽和基を有する芳香族モノマーからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有できる。
また、石油樹脂3は、重合体(P)に部分的又は完全に水素添加した水添石油樹脂を含有できる。このような水添石油樹脂は、例えば、重量平均分子量が200以上2000以下であってもよい。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法でポリエチレン換算により測定される。
水添石油樹脂として、市販品を好適に使用することができる。水添石油樹脂の具体例として、東燃ゼネラル石油株式会社製の「T−REZ HA085」[モノマー:ジシクロペンタジエン、水素添加:有、軟化点86.6℃(TSTM 4027に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、「T−REZ HA103」[モノマー:ジシクロペンタジエン、水素添加:有、軟化点103.7℃(TSTM 4027に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、「T−REZ HA105」[モノマー:ジシクロペンタジエン、水素添加:有、軟化点105.4℃(TSTM 4027に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、「T−REZ HA125」[モノマー:ジシクロペンタジエン、水素添加:有、軟化点124.6℃(TSTM 4027に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、「T−REZ HB103」[モノマー:ジシクロペンタジエンと芳香族モノマー、水素添加:有、軟化点102.5℃(TSTM 4027に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、及び「T−REZ HB125」[モノマー:ジシクロペンタジエンと芳香族モノマー、水素添加:有、軟化点123.8℃(TSTM 4027に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満];並びに出光興産株式会社製の「アイマーブS−100」[モノマー:ジシクロペンタジエンと芳香族モノマー、水素添加:有、軟化点100℃(JIS K2207に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、「アイマーブS−110」[モノマー:ジシクロペンタジエンと芳香族モノマー、水素添加:有、軟化点110℃(JIS K2207に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]」、「アイマーブP−100」[モノマー:ジシクロペンタジエンと芳香族モノマー、水素添加:有、軟化点100℃(JIS K2207に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、「アイマーブP−125」[モノマー:ジシクロペンタジエンと芳香族モノマー、水素添加:有、軟化点125℃(JIS K2207に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]、及び「アイマーブP−140」[モノマー:ジシクロペンタジエンと芳香族モノマー、水素添加:有、軟化点140℃(JIS K2207に準拠して測定)、水酸基価、酸価ともに1mgKOH/g未満]等が挙げられる。水添石油樹脂は、上記の成分のうち1種又は2種以上を含むことができる。また、水添石油樹脂は、上記以外の任意の成分を含むことができる。
熱可塑性材料1は、上記の通り、ポリオレフィン樹脂2を含有する。ポリオレフィン樹脂2として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。特にポリオレフィン樹脂2は、ポリプロピレンを含有することが好ましい。
ポリプロピレンとして、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン等が挙げられる。
ホモポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体である。ランダムポリプロピレンは、エチレンとプロピレンのランダム共重合体である。ブロックポリプロピレンは、ホモポリプロピレンとポリエチレンとゴム成分との混合物である。
また、熱可塑性材料1から得られる効果に影響しなければ、熱可塑性材料1は、任意の添加剤を更に含有できる。
添加剤として、例えば、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、滑剤、天然油、合成油、及びワックスが挙げられる。
<樹脂シート>
次に、本実施形態に係る樹脂シート10を、図3を参照して説明する。
次に、本実施形態に係る樹脂シート10を、図3を参照して説明する。
樹脂シート10は、熱可塑性材料1をシート状に成形された成形品である。また、熱可塑性材料1が成形されて樹脂シート10になっても、樹脂シート10は図1のような構造を有すると考えられる。このため、樹脂シート10は、熱可塑性材料1の具体的な説明を参照できる。
このような樹脂シート10は、熱可塑性材料1と同様、ポリオレフィン樹脂2と、石油樹脂3と、量子ドット4と、を含有するため、非晶質部12中に量子ドット4と石油樹脂3とが存在することで、石油樹脂3は非晶質部12中の量子ドット4を外部環境から保護することができる。このため、非晶質部12中の量子ドット4は、外部環境の影響を受けにくくなって、経時的に劣化しにくくできる。また、結晶部11中の量子ドット4も経時的に劣化させにくくできる。
樹脂シート10中の量子ドット4が劣化しにくいことを示す値として、例えば、85℃の温度、85%RHの下、6日間処理された樹脂シート10中の量子ドット4による発光強度の割合は、処理前の樹脂シート10で得られる発光強度に対して、90%以上である。言い換えると、上記の条件で処理された樹脂シート10の発光強度は、処理前の処理前の樹脂シート10で得られる発光強度と比べて10%以下の低下率で低下する。
樹脂シート10の発光強度は、例えば、光源からの光を樹脂シート10で反射するときの光源が発する光の強度に対する樹脂シート10で反射した光の強度の百分率である反射率で示すことができる。その理由として、量子ドット4は、上記の通り、短波長の光を吸収して長波長の光を発する。このため、樹脂シート10で反射した光は、量子ドット4が発した光を含む。
量子ドット4が光源からの光を吸収して発光する際、量子ドット4が発する光の波長域で反射率が大きくなるピークが得られる(図5、及び図6参照)。そして、処理前後のピーク高さを比較することで、上記の処理条件により樹脂シート10中の量子ドット4が劣化して発光強度が低下する程度を求めることができる。処理後のピーク高さが、処理前のピーク高さよりも低いほど(図6参照)、樹脂シート10中の量子ドット4は劣化しやすい。このため、処理後のピーク高さが、処理前のピーク高さと略同じであることが好ましい。
処理前のピーク高さは、反射率が10%となる直線(ベースライン)と、処理前のピーク曲線が極大となる部分との間の距離である。また。処理後のピーク高さは、処理前のピーク曲線が極大となる部分と同じ波長で、かつ処理後のピーク曲線上にある部分と、ベースラインとの間の距離である。
樹脂シート10がシート状であれば、樹脂シート10の具体的な形状は特に限定されない。樹脂シート10は、例えば、平面形状が矩形であってもよく、またはロール状に巻き取られてもよい。
本実施形態では、図3のように、樹脂シート10の表面を任意のバリアフィルムで覆わなくてもよい。すなわち、樹脂シート10の表面は露出していてもよい。この場合、樹脂シート10の製造に要する工程の数を減らすことができ、樹脂シート10の製造に要するコストも減らすことができる。また、樹脂シート10の表面が露出していても、樹脂シート10中に変性成分が入り込みにくいため、樹脂シート10中の量子ドット4を劣化させにくくできる。
樹脂シート10の厚みは、好ましくは、0.1μm以上1mm以下である。この場合、ディスプレイ装置の光変換層として使用することができる。
樹脂シート10の水蒸気透過度は、例えば厚みが100μmである場合に、4.0g/m2・24h以下であり、好ましくは、2.5g/m2・24h以下である。前記水蒸気透過度が4.0g/m2・24h以下であると、樹脂シート10中に水蒸気が入り込みにくくなるため、樹脂シート10中で量子ドット4と水蒸気との反応が生じにくくなり、量子ドット4は劣化しにくくなる。前記水蒸気透過度の下限は、特に限定されないが、例えば、0g/m2・24hよりも大きい。また、前記水蒸気透過度は、JIS Z 0208に準拠したカップ法により測定される。
樹脂シート10が石油樹脂3を含有することにより、樹脂シート10の剛性を大きくすることができる。このため、樹脂シート10をバックライトユニット等のディスプレイ装置内に設置しても、バックライトの熱により、樹脂シート10が変形しにくくなると共に樹脂シート10中の量子ドット4が劣化しにくくなる。しかも樹脂シート10の剛性が大きくなるほど、この樹脂シート10を作製する際に、量子ドット4が2次凝集しにくくなり、量子ドット4の分散性を向上させることもできる。
樹脂シート10の剛性は、ISO527に準拠した引張り弾性率で示すことができる。樹脂シート10の引張り弾性率は、例えば厚みが0.1mmである場合に1.5GPa以上であり、好ましくは2.0GPa以上である。引張り弾性率の上限は特に限定されないが、例えば4.0GPa以下である。
樹脂シート10のヘイズは、樹脂シート10の厚みが1mm以下になるほど、小さくなりやすくなり、量子ドット4が発した光を効率よく利用することができる。樹脂シート10のヘイズは、例えば厚みが0.1mmである場合に、45%以下であり、好ましくは、30%以下である。ヘイズの下限は特に限定されないが、例えば、1%以上である。
樹脂シート10の全光透過率は、樹脂シート10の厚みが1mm以下になるほど、大きくなりやすくなり、量子ドット4が発した光を効率よく利用することができる。樹脂シート10の全光透過率は、例えば厚みが0.1mmである場合に、80%以上であり、好ましくは、90%以上である。ヘイズの上限は特に限定されないが、例えば、93%以下である。
本明細書において、「全光」は、全ての可視光を意味する。この可視光は、人間が光として感じる電磁波であって、一般的に、波長がおおよそ360nm以上830nm以下である。
樹脂シート10を作製する際、熱可塑性材料1を加熱して一旦溶融させ、この溶融物を任意の成形方法によりシート状に成形することができる。この成形方法として、例えば、射出成形法、インフレーション法、及びキャスティング法が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂シート10は、バックライトユニット等にカラーフィルターとして搭載される量子ドットフィルムに有利である。
以下、本開示を実施例によって具体的に説明する。
<実施例1〜11、及び比較例1〜4>
各実施例及び比較例に利用された各成分の詳細は下記の通りである。
・ポリオレフィン樹脂:ホモポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製の「プライムポリプロF−300SP」)、
・石油樹脂:水添石油樹脂(出光興産株式会社製の「アイマーブP−140」)、
・第1量子ドット:(コアはCdSe、シェルはZnS、保護部はシェルの外表面をシランカップリング剤で処理して形成、粒子径は8nm)、
・第2量子ドット:(コアはCdSe、シェルはZnS、保護部はシェルの外表面をシランカップリング剤で処理して形成、粒子径は3nm)。
各実施例及び比較例に利用された各成分の詳細は下記の通りである。
・ポリオレフィン樹脂:ホモポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製の「プライムポリプロF−300SP」)、
・石油樹脂:水添石油樹脂(出光興産株式会社製の「アイマーブP−140」)、
・第1量子ドット:(コアはCdSe、シェルはZnS、保護部はシェルの外表面をシランカップリング剤で処理して形成、粒子径は8nm)、
・第2量子ドット:(コアはCdSe、シェルはZnS、保護部はシェルの外表面をシランカップリング剤で処理して形成、粒子径は3nm)。
{実施例1}
まず、90質量部のポリオレフィン樹脂と、10質量部の石油樹脂との混合物を加熱して液状に軟化させることにより軟化物を作製した。そして、この軟化物に、第1量子ドットと第2量子ドットを主成分とする混合物を添加してから軟化物と混合物とを混合することにより、熱可塑性材料を作製した。次に、成形後の厚みが0.15mmとなるように、熱可塑性材料をTダイ押出成形法で成形して樹脂シートを作製した。
まず、90質量部のポリオレフィン樹脂と、10質量部の石油樹脂との混合物を加熱して液状に軟化させることにより軟化物を作製した。そして、この軟化物に、第1量子ドットと第2量子ドットを主成分とする混合物を添加してから軟化物と混合物とを混合することにより、熱可塑性材料を作製した。次に、成形後の厚みが0.15mmとなるように、熱可塑性材料をTダイ押出成形法で成形して樹脂シートを作製した。
{実施例2}
80質量部のポリオレフィン樹脂と、20質量部の石油樹脂との混合物を作製し、かつ成形後の厚みを0.2mmにしたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂シートを作製した。
80質量部のポリオレフィン樹脂と、20質量部の石油樹脂との混合物を作製し、かつ成形後の厚みを0.2mmにしたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂シートを作製した。
{実施例3}
50質量部のポリオレフィン樹脂と、50質量部の石油樹脂との混合物を作製したこと以外は、実施例2と同様にして樹脂シートを作製した。
50質量部のポリオレフィン樹脂と、50質量部の石油樹脂との混合物を作製したこと以外は、実施例2と同様にして樹脂シートを作製した。
{比較例1}
100質量部のポリオレフィン樹脂を用い、石油樹脂を用いなかったこと以外は、実施例2と同様にして樹脂シートを作製した。
100質量部のポリオレフィン樹脂を用い、石油樹脂を用いなかったこと以外は、実施例2と同様にして樹脂シートを作製した。
{実施例4}
成形後の厚みが0.1mmとなるようにして熱可塑性材料を成形した以外は、実施例1と同様にして樹脂シートを作製した。
成形後の厚みが0.1mmとなるようにして熱可塑性材料を成形した以外は、実施例1と同様にして樹脂シートを作製した。
{実施例5}
成形後の厚みが0.1mmとなるようにして熱可塑性材料を成形した以外は、実施例2と同様にして樹脂シートを作製した。
成形後の厚みが0.1mmとなるようにして熱可塑性材料を成形した以外は、実施例2と同様にして樹脂シートを作製した。
{実施例6}
成形後の厚みが0.1mmとなるようにして熱可塑性材料を成形した以外は、実施例3と同様にして樹脂シートを作製した。
成形後の厚みが0.1mmとなるようにして熱可塑性材料を成形した以外は、実施例3と同様にして樹脂シートを作製した。
{比較例2}
成形後の厚みが0.1mmとなるようにして熱可塑性材料を成形した以外は、比較例1と同様にして樹脂シートを作製した。
成形後の厚みが0.1mmとなるようにして熱可塑性材料を成形した以外は、比較例1と同様にして樹脂シートを作製した。
{実施例7}
成形後の厚みが1.0mmとなるようにして熱可塑性材料を射出成形法で成形した以外は、実施例1と同様にして樹脂シートを作製した。
成形後の厚みが1.0mmとなるようにして熱可塑性材料を射出成形法で成形した以外は、実施例1と同様にして樹脂シートを作製した。
{実施例8}
成形後の厚みが1.0mmとなるようにして熱可塑性材料を射出成形法で成形した以外は、実施例2と同様にして樹脂シートを作製した。
成形後の厚みが1.0mmとなるようにして熱可塑性材料を射出成形法で成形した以外は、実施例2と同様にして樹脂シートを作製した。
{実施例9}
成形後の厚みが1.0mmとなるようにして熱可塑性材料を射出成形法で成形した以外は、実施例3と同様にして樹脂シートを作製した。
成形後の厚みが1.0mmとなるようにして熱可塑性材料を射出成形法で成形した以外は、実施例3と同様にして樹脂シートを作製した。
{比較例3}
成形後の厚みが1.0mmとなるようにして熱可塑性材料を射出成形法で成形した以外は、比較例1と同様にして樹脂シートを作製した。
成形後の厚みが1.0mmとなるようにして熱可塑性材料を射出成形法で成形した以外は、比較例1と同様にして樹脂シートを作製した。
{実施例9}
実施例1の熱可塑性材料を用いて、ISO3167:93A型に準拠した多目的試験片を作製した。
実施例1の熱可塑性材料を用いて、ISO3167:93A型に準拠した多目的試験片を作製した。
{実施例10}
実施例2の熱可塑性材料を用いて、ISO3167:93A型に準拠した多目的試験片を作製した。
実施例2の熱可塑性材料を用いて、ISO3167:93A型に準拠した多目的試験片を作製した。
{実施例11}
実施例3の熱可塑性材料を用いて、ISO3167:93A型に準拠した多目的試験片を作製した。
実施例3の熱可塑性材料を用いて、ISO3167:93A型に準拠した多目的試験片を作製した。
{比較例4}
比較例1の熱可塑性材料を用いて、ISO3167:93A型に準拠した多目的試験片を作製した。
比較例1の熱可塑性材料を用いて、ISO3167:93A型に準拠した多目的試験片を作製した。
[評価]
≪反射率(発光強度)≫
85℃、85%RHの環境である恒温恒湿機の庫内に、実施例1〜3及び比較例1の各々の樹脂シートを配置して合計6日間処理した。その際、この処理が1日経過するごとに樹脂シートを取り出し、樹脂シートの反射率を日本電色工業株式会社製の分光色彩計SD7000(測定条件:SCI(正反射成分を含む)、光源D65、視野角2°)により測定した。また、上記の条件で処理する前の樹脂シートの反射率も同じ分光色彩計により測定した。この測定の際に、処理前後の各々の樹脂シートから得られる反射率曲線を作成した。この曲線を図4〜図6に示す。
≪反射率(発光強度)≫
85℃、85%RHの環境である恒温恒湿機の庫内に、実施例1〜3及び比較例1の各々の樹脂シートを配置して合計6日間処理した。その際、この処理が1日経過するごとに樹脂シートを取り出し、樹脂シートの反射率を日本電色工業株式会社製の分光色彩計SD7000(測定条件:SCI(正反射成分を含む)、光源D65、視野角2°)により測定した。また、上記の条件で処理する前の樹脂シートの反射率も同じ分光色彩計により測定した。この測定の際に、処理前後の各々の樹脂シートから得られる反射率曲線を作成した。この曲線を図4〜図6に示す。
図4は、実施例2の樹脂シートから得られる反射率曲線を示す。図4に示す曲線のうち、4−0は処理前の樹脂シートの反射率曲線、4−1は処理日数が1日の反射率曲線、4−3は処理日数が3日の反射率曲線、及び4−6は処理日数が6日の反射率曲線を示す。
図5は、実施例3の樹脂シートから得られる反射率曲線を示す。図5に示す曲線のうち、5−0は処理前の樹脂シートの反射率曲線、5−1は処理日数が1日の反射率曲線、5−3は処理日数が3日の反射率曲線、及び5−6は処理日数が6日の反射率曲線を示す。
図6は、比較例1の樹脂シートから得られる反射率曲線を示す。図6に示す曲線のうち、6−0は処理前の樹脂シートの反射率曲線、6−1は処理日数が1日の反射率曲線、6−3は処理日数が3日の反射率曲線、及び6−6は処理日数が6日の反射率曲線を示す。
また、処理前の樹脂シートの反射率と、処理前の樹脂シートの反射率とを比較するにあたり、反射率が10%となる位置の直線をベースラインとし、まず、処理前の樹脂シートから得られ反射曲線のうち、ピーク曲線が極大となる部分と、ベースラインとの間の距離を計測し、この距離を処理前のピーク高さとした。次に、処理前の樹脂シートから得られ反射曲線のうち、ピーク曲線上にあり、かつ処理前のピーク曲線が極大となる部分と同じ波長にある部分と、ベースラインとの間の距離を計測し、この距離を処理後のピーク高さとした。
図4〜図6の結果から、実施例2及び実施例3の樹脂シートでは処理日数が6日であっても処理後のピーク高さの割合は、処理前のピーク高さに対して90%以上であった(図5及び図6参照)。一方、比較例1の樹脂シートでは処理日数が増えるに従って処理後のピーク高さが低くなる傾向があり、しかも遅くとも処理日数が3日になると、処理後のピーク高さの割合は、処理前のピーク高さに対して90%未満になっていた。
なお、図4〜図6のいずれの反射率曲線にも、波長が500nm〜550nm周辺に第2量子ドットが発した光のピーク曲線が得られ、波長が600nm〜650nm周辺に第1量子ドットが発した光のピーク曲線が得られた。
≪水蒸気透過度≫
実施例4〜9及び比較例2〜3の各々の樹脂シートを用い、この樹脂シートの水蒸気透過度をJIS Z 0208に準拠して測定した。なお、この測定の際、透過セルが備える低湿度チャンバ及び高湿度チャンバのうち、高湿度チャンバの条件を90%RHとした。また、透過セルの温度を40℃とし、測定時間を24時間とした。
実施例4〜9及び比較例2〜3の各々の樹脂シートを用い、この樹脂シートの水蒸気透過度をJIS Z 0208に準拠して測定した。なお、この測定の際、透過セルが備える低湿度チャンバ及び高湿度チャンバのうち、高湿度チャンバの条件を90%RHとした。また、透過セルの温度を40℃とし、測定時間を24時間とした。
≪ガラス転移温度≫
実施例7〜9及び比較例3の各々の樹脂シートのガラス転移温度を、動的粘弾性測定により測定した。測定装置としてセイコーインスツルメンツ株式会社製の粘弾性スペクトロメータ(DMS100)を用い、曲げモジュールで、周波数:10Hz、昇温速度:5℃/分、温度範囲:−50℃〜120℃の条件でtanδを測定し、tanδが極大を示す温度をガラス転移温度とした。
実施例7〜9及び比較例3の各々の樹脂シートのガラス転移温度を、動的粘弾性測定により測定した。測定装置としてセイコーインスツルメンツ株式会社製の粘弾性スペクトロメータ(DMS100)を用い、曲げモジュールで、周波数:10Hz、昇温速度:5℃/分、温度範囲:−50℃〜120℃の条件でtanδを測定し、tanδが極大を示す温度をガラス転移温度とした。
なお、実施例9のガラス転移温度は「ND」となっているが、これは、実施例1の熱可塑性材料からなる成形品のガラス転移温度が上記粘弾性スペクトロメータの測定上限温度(120℃)以上であることを示す。
≪全光透過率≫
実施例1〜9及び比較例1〜3の各々の樹脂シートの全光透過率を、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製の型番NDH2000)によりASTM D 1003に準拠した測定モードで測定した。
実施例1〜9及び比較例1〜3の各々の樹脂シートの全光透過率を、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製の型番NDH2000)によりASTM D 1003に準拠した測定モードで測定した。
≪ヘイズ≫
実施例1〜9及び比較例1〜3の各々の樹脂シートのヘイズを、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製の型番NDH2000)によりASTM D 1003に準拠した測定モードで測定した。
実施例1〜9及び比較例1〜3の各々の樹脂シートのヘイズを、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製の型番NDH2000)によりASTM D 1003に準拠した測定モードで測定した。
≪引張り弾性率≫
実施例1〜6及び比較例1〜2の各々の樹脂シートを用い、この樹脂シートの引張り弾性率をISO527に準拠して測定した。また、実施例10〜12及び比較例4の各々の多目的試験片も、上記と同様にして引張り弾性率を測定した。
実施例1〜6及び比較例1〜2の各々の樹脂シートを用い、この樹脂シートの引張り弾性率をISO527に準拠して測定した。また、実施例10〜12及び比較例4の各々の多目的試験片も、上記と同様にして引張り弾性率を測定した。
実施例1〜11及び比較例1〜4の各々の評価結果を、後掲の表1〜表4に示す。
表2の結果から、実施例2〜6の水蒸気透過度は比較例2の水蒸気透過度よりも低く、しかも石油樹脂の配合量が多くなるほど水蒸気透過度が小さくなる傾向が得られた。この傾向と、図4〜図6に示す結果とで相関性があると考えられた。すなわち、石油樹脂の配合量が多くなるほど、樹脂シート中の量子ドットは石油樹脂に保護されて劣化しにくいと考えられた。
(変形例)
上記実施形態では、量子ドット4は、第1量子ドット41と、第2量子ドット42との両方を含んでいるが、第1量子ドット41及び第2量子ドット42のうちのいずれか一方を含んでもよい。すなわち、量子ドット4は、第1量子ドット41及び第2量子ドット42からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
上記実施形態では、量子ドット4は、第1量子ドット41と、第2量子ドット42との両方を含んでいるが、第1量子ドット41及び第2量子ドット42のうちのいずれか一方を含んでもよい。すなわち、量子ドット4は、第1量子ドット41及び第2量子ドット42からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
1 熱可塑性材料
2 ポリオレフィン樹脂
3 石油樹脂
4 量子ドット
2 ポリオレフィン樹脂
3 石油樹脂
4 量子ドット
Claims (8)
- ポリオレフィン樹脂と、石油樹脂と、量子ドットと、を含有する、
熱可塑性材料。 - 前記石油樹脂は、石油の熱分解物を由来とする、C5留分及びC9留分からなる群から選択される少なくとも1種の留分を含有するモノマー組成物の重合体を含有する、
請求項1に記載の熱可塑性材料。 - 前記モノマー組成物は、ジシクロペンタンジエン、及び不飽和基を有する芳香族モノマーからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する、
請求項2に記載の熱可塑性材料。 - 前記石油樹脂は、水添石油樹脂を含有する、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性材料。 - 前記ポリオレフィン樹脂:前記石油樹脂の質量比は、95:5〜40:60の範囲内である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性材料。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性材料の成形品である、
樹脂シート。 - 厚みが0.1μm以上1mm以下である、
請求項6に記載の樹脂シート。 - 請求項6又は7に記載の樹脂シートであって、
85℃の温度、85%RHの下、6日間処理された前記樹脂シート中の前記量子ドットによる発光強度の割合は、処理前の前記樹脂シートの発光強度に対して、90%以上である、
樹脂シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019144817A JP2021024968A (ja) | 2019-08-06 | 2019-08-06 | 熱可塑性材料、及び樹脂シート |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2022551095A (ja) * | 2019-10-02 | 2022-12-07 | ハンワ ソリューションズ コーポレイション | 粘接着剤用樹脂組成物およびその製造方法 |
-
2019
- 2019-08-06 JP JP2019144817A patent/JP2021024968A/ja active Pending
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