JP2021024912A - ゴム組成物および成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴム弾性、特に引張永久歪みに優れるゴム組成物およびこれを架橋して得られる成形体を提供すること。【解決手段】液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)とゴム成分(B)とを含有し、前記液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)が、エチレン系ランダム共重合体(a0)に不飽和シラン化合物成分がグラフト共重合された共重合体であって、共重合体(a0)は、エチレンから導かれる構造単位(30〜90モル%)と、C3−C20α−オレフィンから導かれる構造単位とを有し、且つ0.01〜0.50dl/gの極限粘度[η]を有し、前記不飽和シラン化合物成分は、炭素数が2〜20の不飽和シラン化合物であり、そのグラフト割合は共重合体(a0)100質量部に対して0.2〜300質量部である、ゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物、および該ゴム組成物を架橋して得られる成形体に関する。
従来、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの高分子量のオレフィン系重合体に種々の不飽和シラン化合物成分をグラフト共重合した変性オレフィン系重合体が、樹脂の改質剤、接着性付与剤、その他の用途に利用されている。しかし、これらの変性オレフィン系重合体は高分子量体であって固体状であるために、利用分野によっては充分な性能が得られない場合がある。また、ポリブテン、ポリイソブチレンなどのオレフィン系重合体に不飽和シラン化合物成分をグラフト共重合した変性オレフィン系重合体が提案されているが、該変性オレフィン系重合体をゴム状重合体、特に硅素含有ゴム状重合体の改質剤、改質助剤、潤滑油添加剤、樹脂またはゴム状重合体の水性分散液の分散助剤などの分野の用途に利用しても、これらは優れた性能を示さない(例えば特許文献1〜4参照)。特に、ゴム状重合体の配合技術の分野においては、エチレン・α−オレフィン系またはエチレン・α−オレフィン・ジエン系ゴムをシリコーンゴムに配合することにより、耐候性、耐老化性に優れかつ優れたゴム弾性を有するゴム状重合体組成物を提供することが試みられているが、その際単に両者を配合しただけではそれぞれのゴム性状が異なるため、安定な相容性が得られず、得られる組成物の力学物性が低下するという欠点があり、通常はこの欠点を改善するための改質助剤が配合されている。この改質助剤として従来公知の前記変性低分子量オレフィン系重合体を配合しても、その改質効果は著しく小さい。
また、従来、天然ゴムまたはスチレンブタジエンゴム等のゴム成分に対してシリカ系化合物、カーボンブラック等の充填剤を配合することにより機械強度を向上させたゴム組成物が、耐摩耗性または機械強度を必要とするタイヤ用途などに広く使用されている。この充填剤が配合されたゴム組成物の架橋物中の充填剤の分散状態が、その架橋物の物性(例えば、機械物性)に影響している、という可能性が指摘されている。しかし、この充填剤を配合したゴム組成物は、ゴムと充填剤との親和性は必ずしも高くないため、また充填剤同士で相互作用が生じるため、充填剤の分散性が十分でない場合、架橋物の物性の向上のための理想的な分散状態でない場合がある。
ゴム組成物中の充填剤分散性を向上する手段として、官能基を有する液状ゴムを使用する方法が種々検討されている(例えば特許文献5及び6参照)。
また、昨今、環境問題および資源問題などの観点から、自動車用タイヤには低燃費性のさらなる向上が求められ、それに伴い、シリカを含有するタイヤ用ゴム組成物にはシリカの分散性(シリカ分散性)のさらなる向上が求められている。
特開昭53−144995号公報 特開昭54−83089号公報 特開昭54−149741号公報 特開昭54−28386号公報 特開2000−344949号公報 特開2013−249359号公報
本発明は、ゴム弾性、特に引張永久歪みに優れるゴム組成物及びこれを架橋して得られる成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の性状の液状変性エチレン系ランダム共重合体をゴム組成物の改質助剤として配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。本発明としては、具体的には、以下の態様が挙げられる。
[1]
液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)とゴム成分(B)とを含有し、
前記液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)が、エチレン系ランダム共重合体(a0)に不飽和シラン化合物成分がグラフト共重合された共重合体であって、下記の要件(a−1)〜(a−5)を満たす
ゴム組成物。
(a−1)前記エチレン系ランダム共重合体(a0)は、エチレンから導かれる構造単位と、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位とを有する。
(a−2)エチレン系ランダム共重合体(a0)中の全構造単位に対するエチレンから導かれる構造単位の割合が30〜90モル%である。
(a−3)前記エチレン系ランダム共重合体(a0)の135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.50dl/gである。
(a−4)前記不飽和シラン化合物成分は、炭素数が2〜20の不飽和シラン化合物である。
(a−5)前記不飽和シラン化合物成分のグラフト割合が前記エチレン系ランダム共重合体(a0)の100質量部に対して0.2〜300質量部である。
[2]
前記ゴム成分(B)が天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン・α−オレフィン系ゴム、エチレン・α−オレフィン・ジエン系ゴムおよびシリコーンゴムからなる群より選ばれる前記[1]のゴム組成物。
[3]
前記エチレン系ランダム共重合体(a0)の100℃における動粘度が10〜3,500mm2/sである前記[1]または[2]のゴム組成物。
[4]
充填剤(C)としてシリカ系化合物をさらに含む前記[1]〜[3]のいずれかのゴム組成物。
[5]
前記[1]〜[4]のいずれかのゴム組成物を架橋して得られる成形体。
[6]
前記[5]の成形体を構成の一部として含有するタイヤ。
本発明のゴム組成物およびこれを架橋して得られる成形体は、ゴム弾性、特に引張永久歪みに優れている。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係るゴム組成物は、液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)とゴム成分(B)とを含有する。
[液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)]
前記液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)(以下「変性共重合体(A)」ともいう。)は、エチレン系ランダム共重合体(a0)に不飽和シラン化合物成分がグラフト重合された共重合体であって、後述する要件(a−1)〜(a−5)を満たす。
<エチレン系ランダム共重合体(a0)>
要件(a−1):
前記エチレン系ランダム共重合体(a0)は、エチレンから導かれる構造単位と、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位とを有する。
エチレン系ランダム共重合体(a0)(以下「共重合体(a0)」ともいう。)を構成するα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1、ノナデセン−1、エイコセン−1などの炭素数3〜20のα−オレフィンなどを例示することができる。エチレン・α−オレフィン共重合体中には、これらα−オレフィンを2種以上併用してもよい。これらのα−オレフィンの内では、炭素数3〜10のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。
また、極性基含有モノマー、芳香族ビニル化合物、および環状オレフィンから選択される少なくとも1種の他のモノマーを反応系に共存させて重合を進めることもできる。エチレンおよび炭素数が3〜20のα−オレフィンとの合計100質量部に対して、他のモノマーは、例えば20質量部以下、好ましくは10質量部以下の量で用いることができる。
極性基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸などのα,β−不飽和カルボン酸類、およびこれらのナトリウム塩等の金属塩類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどの不飽和グリシジル類などが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、アリルベンゼンなどが挙げられる。
環状オレフィンとしては、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセンなどの炭素数3〜30、好ましくは3〜20の環状オレフィン類が挙げられる。
要件(a−2):
前記エチレン系ランダム共重合体(a0)中の全構造単位に対するエチレンから導かれる構造単位の割合(以下「エチレン含有率」ともいう。)が30〜90モル%である。
前記エチレン含有率は、好ましくは30〜80モル%、より好ましくは40〜75モル%、さらに好ましくは40〜60モル%である。エチレン含有率が多すぎる、または少なすぎると結晶性が高くなり、得られるゴム組成物の力学物性の改善効果が劣るようになる。
共重合体(a0)のエチレン含有率は、13C−NMR法で測定することができ、例えば後述する実施例で採用した方法および「高分子分析ハンドブック」(朝倉書店 発行 P163〜170頁)に記載の方法に従ってピークの同定と定量とを行うことにより求めることができる。
要件(a−3):
前記エチレン系ランダム共重合体(a0)の135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.50dl/gである。
前記極限粘度[η]は、好ましくは0.02〜0.46dl/gである。また、好ましい態様の一つとして、前記極限粘度[η]が好ましくは0.08〜0.43dl/g、特に好ましくは0.10〜0.40dl/gの共重合体(a0)が挙げられる。前記極限粘度[η]がこの範囲にあると、共重合体(A)とゴム成分(B)との混練加工性が良好となることが期待される。
共重合体(a0)の他の物性:
共重合体(a0)の100℃における動粘度は、たとえば10〜5,000mm2/s、好ましくは20〜3,500mm2/s、より好ましくは30〜2,500mm2/s、さらに好ましくは900〜2500mm2/sである。エチレン系ランダム共重合体の100℃における動粘度が上記範囲にあると、好ましい極限粘度[η]を有する液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)が得られる。
共重合体(a0)の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって後述する方法に従い測定し、標準ポリスチレン換算により得られた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)として算出される。このMw/Mnは、たとえば2.5以下、好ましくは2.3以下、より好ましくは2.0以下である。分子量分布がこの範囲を過度に超えると、高温環境での使用において低分子量成分の揮発による成形体の力学物性低下、および/もしくは成形体表面の外観不良が生じる。また、共重合体(a0)の分子量分布は少なくとも1.4以上あることが好ましい。分子量分布がこの範囲にあると、ゴム組成物への分散が優れる。
<共重合体(a0)の製造方法>
共重合体(a0)の製造方法は特に限定されないが、特公平2−1163号公報、特公平2−7998号公報に記載されているようなバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒による方法が挙げられる。また、高い重合活性で共重合体を製造する方法として特開昭61−221207号公報、特公平7−121969号公報、特許第2796376号公報、再表2015−147215号公報等に記載されているようなジルコノセンなどのメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)からなる触媒系を用いる方法等を用いてもよい。
重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに、重合を反応条件の異なる二つ以上の重合器で連続的に行うことも可能である。
得られる共重合体の分子量は、重合系中の水素濃度または重合温度を変化させることによって調節することができる。水素を添加する場合、その量は生成する共重合体1kgあたり0.001〜5,000NL程度が適当である。
共重合体(a0)の100℃における動粘度は重合体の分子量に依存する。すなわち高分子量であれば高粘度となり、低分子量であれば低粘度となるため、上述の分子量調節により100℃における動粘度を調整する。また、減圧蒸留のような従来公知の方法により得られた重合体の低分子量成分を除去することで、得られる重合体の分子量分布(Mw/Mn)を調整することができる。さらに得られた重合体に対して、従来公知の方法により水素添加を行ってもよい。得られた重合体の二重結合が水素添加により低減されれば、酸化安定性および耐熱性が向上する。
得られた共重合体(a0)は、1種単独で用いてもよく、また、異なる分子量のものや異なるモノマー組成のものを2種類以上組み合わせてもよい。
また、共重合体(a0)は、不飽和シラン化合物のグラフト共重合に加えて、これとは別の方法(例えば、特開昭61−126120号公報、または特許第2593264号公報に記載される方法)でさらに官能基をグラフト変性させてもよく、また、これらの方法で変性された共重合体をさらに変性(例えば、特表2008−508402号公報に記載される方法により)してもよい。
<不飽和シラン化合物成分>
要件(a−4):
前記不飽和シラン化合物成分は、炭素数が2〜20の不飽和シラン化合物である。
炭素数が2〜20の不飽和シラン化合物としては、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリメチルビニルシラン、ジエチルメチルビニルシラン、ジアセトキシエチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、エトキシジメチルビニルシラン、トリアセトキシビニルシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、トリフエニルビニルシラン、トリフエノキシビニルシランなどのモノビニルシラン、ジフエニルジビニルシラン、アリロキシジメチルビニルシランなどのようなポリビニルシランなどが挙げられる。
要件(a−5):
前記不飽和シラン化合物成分のグラフト割合が前記エチレン系ランダム共重合体(a0)の100質量部に対して0.2〜300質量部の範囲にある。
この割合は、好ましくは1〜200質量部である。本発明のゴム組成物がシリカ系化合物を含む場合、不飽和シラン化合物成分のグラフト割合が0.2質量部より少なくなっても、また300質量部より多くなっても、ゴム組成物の力学物性の改善効果が劣るようになる。
<液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)の物性>
前記液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)の「液状」とは、標準状態で液状であることを意味する。前記液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)の135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]は、通常0.01〜0.5dl/g、好ましくは0.02〜0.4dl/gの範囲にある。極限粘度[η]がこの範囲にあると、前記変性共重合体(A)をゴム組成物の改質助剤として配合した場合に、ゴム組成物の力学物性の改善効果がある。また、該液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)の数平均分子量は通常300〜10,000、好ましくは500〜8,000の範囲にある。
<変性共重合体(A)の製造>
前記変性共重合体(A)は前記エチレン系ランダム共重合体(a0)と前記不飽和シラン化合物成分とをラジカル開始剤の存在下に反応させることにより製造することができる。反応は溶媒の存在下に実施することもできるし、溶媒の不存在下に実施することもできる。反応方法としては、たとえば加熱した共重合体(a0)撹拌下に不飽和シラン化合物成分およびラジカル開始剤を連続的にまたは間欠的に供給することにより反応させる方法を例示することができる。グラフト反応に供給される不飽和シラン化合物成分の割合は共重合体(a0)100質量部に対して通常は0.2〜300質量部、好ましくは1〜200質量部の範囲であり、ラジカル開始剤の割合は共重合体(a0)100質量部に対して通常は0.04〜15質量部、好ましくは0.1〜10質量部の範囲にある。反応の際の温度は通常は120〜200℃、好ましくは130〜180℃の範囲にあり、反応に要する時間は通常は30分〜80時間、好ましくは1〜50時間である。該グラフト反応に使用されるラジカル開始剤として通常は有機過酸化物が使用され、とくにその半減期が1分となる分解温度が150〜270℃の範囲のものが好ましく、具体的には有機ペルオキシド、有機ペルエステル、例えばベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルフエニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピバレート、クミルペルピパレートおよびtert−ブチルペルジエチルアセテートが挙げられる。
<ゴム成分(B)>
前記ゴム成分(B)としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、エチレン・α−オレフィン系ゴム(ただし、前記液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)を除く。)、エチレン・α−オレフィン・ジエン系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムが挙げられる。これらゴム成分(B)の中でも、液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)との相容性の点から天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン・α−オレフィン系ゴム、エチレン・α−オレフィン・ジエン系ゴム、シリコーンゴムが好ましい。これらゴム成分(B)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に係るゴム組成物は、特にシリコーンゴムを含む場合に、耐熱老化性にも優れる。
本発明のゴム組成物に配合されてもよい、共重合体(A)およびゴム成分(B)以外の成分として具体的には、架橋剤、架橋促進剤、活性剤、分散剤、充填剤(C)、軟化剤、可塑剤、粘着付与剤、着色剤、発泡剤、発泡助剤、滑剤、および耐熱安定剤、酸化安定剤、老化防止剤などの安定剤などが挙げられる。これらの成分の配合割合は、特に断りのない限り任意である。
前記架橋剤としては、具体的には過酸化物、硫黄、一塩化イオウ、二塩化イオウ、モルホリンジスルフイド、アルキルフエノールジスルフイド、テトラメチルチウラムジスルフイド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなどのイオウ化合物、酸化マグネシウム、亜鉛華、鉛丹などの金属化合物を挙げることができる。硫黄は前記液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)およびゴム成分(B)の合計100質量部に対して通常0.05〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で使用される。
また、必要に応じて架橋促進剤を使用できる。架橋促進剤としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾール−スルフエンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾール−スルフエンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾール−スルフエンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフエニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ベンゾチアジル−ジスルフイドなどのチアゾール系化合物;ジフエニルグアニジン、トリフエニルグアニジン、ジ−オルソートリルグアニジン、オルソートリルバイグアナイド、ジフエニルグアニジンフタレートなどのグアニジン系化合物;アセトアルデヒド−アニリン反応物;ブチルアルデヒド−アニリン縮合物;ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニアなどのアルデヒドアミン、又はアルデヒド−アンモニア系化合物;2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系化合物;チオカルバニリド、ジエチルチオユリアジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジ−オルソートリルチオユリアなどのチオユリア系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフイド、テトラメチルチウラムジスルフイド、テトラエチルチウラムジスルフイド、テトラブチルチウラムジスルフイド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフイドなどのチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフエニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフエニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルルなどのジチオ酸塩系化合物;ジブチルキサントゲン酸亜鉛などのザンテート系化合物;などを挙げることができる。
これらの架橋促進剤は前記液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)およびゴム成分(B)の合計100質量部に対して通常0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部の割合で使用される。
ペルオキシド架橋に使用されるペルオキシドとして、ジクミルペルオキシド、1,1’−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシンなどが例示される。
その際の架橋助剤として、硫黄、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフイドのような硫黄化合物、エチレンジメタクレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、メタフエニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミドのような多官能性モノマー、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンオキシムなどのオキシム化合物などを1種単独でもしくは2種以上を混合して用いることができる。
充填剤(C)としては、カーボンブラック、ホワイトカーボン(シリカ系化合物)、炭酸カルシウム、タルク、クレーなどの無機充填剤;ハイスチレン樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、リグニン、変性メラミン樹脂、石油樹脂などの有機充填剤を挙げることができる。このうち特に無機充填剤が好ましく使用される。特にホワイトカーボンのようなシリカ系充填剤を用いると、液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)が相容化剤の効果を発揮し、分散性が優れる。
本発明に係るゴム組成物が充填剤(C)を含む場合、組成物中の充填剤(C)の量は、前記液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)およびゴム成分(B)の合計100質量部に対して通常20〜100質量部、好ましくは30〜80質量部である。
軟化剤としては、液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)がその効果を発揮するが、これに加えて以下の工業的に入手可能な軟化剤を用いても良い。
工業的に入手可能な軟化剤としては、プロセス油、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチなどのコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤;トール油;サブ;密ロウ、カルナウバロウ、ラノリンなどのロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛などの脂肪酸および脂肪酸塩;石油樹脂などの合成高分子物質;を挙げることができる。
可塑剤としては、フタル酸エステル系、アジピン酸エステル系、セバシン酸エステル系またはリン酸系の可塑剤などを、粘着付与剤としては、クマロンインデン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、キシレン・ホルマリン樹脂などを、着色剤としては、無機および有機顔料などを、発泡剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、カルシウムアミド、パラトルエンスルホニルアジドなどを、発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、尿素などを使用することができる。
本発明のゴム組成物の製造には、各成分の混合にオープンロールミル、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いる公知の方法を採用できる。
架橋は、通常100℃〜250℃、好ましくは120℃〜200℃の温度で、架橋時間通常10分〜60分、好ましくは20分〜40分の条件で行うことができる。
特にペルオキシド架橋を行う場合は、架橋時間はペルオキシドの半減期の4倍程度とするのが好ましい。
本発明のゴム組成物またはその架橋物は、シーリング剤組成物、接着剤組成物およびゴム組成物に使用することができる他、例えば、化学、輸送機(例えば、自動車、船舶、航空機または鉄道車輌)、建築・土木関係、医療、電気・電子、機械、食品・化粧品、繊維、パルプの分野で使用される製品に適用できる。
自動車関連製品としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
(1)タイヤのトレッド、カーカス、サイドウォール、インナーライナー、アンダートレッド、ベルト部などのタイヤ各部、
(2)外装のラジエータグリル、サイドモール、ガーニッシュ(ピラー、リア、カウルトップ)、エアロパーツ(エアダム、スポイラー)、ホイールカバー、ウェザーストリップ、カウベルトグリル、エアアウトレット・ルーバー、エアスクープ、フードバルジ、換気口部品、防触対策部品(オーバーフェンダー、サイドシールパネル、モール(ウインドー、フード、ドアベルト))、マーク類;ドア、ライト、ワイパーのウェザーストリップスポンジ(例えば、ドアウェザーストリップ、トランクウェザーストリップ、ラゲージウェザーストリップ、ルーフサイドレールウェザーストリップ、スライドドアウェザーストリップ、ベンチレーターウェザーストリップ、スライディングルーフウェザーストリップ、フロントウィンドゥウェザーストリップ、リアウィンドゥウェザーストリップ、クォーターウィンドゥウェザーストリップ、ロックピラーウェザーストリップ、ドアガラスアウターウェザーストリップ、ドアガラスインナーウェザーストリップ)、グラスラン、グラスランチャンネルなどの内装窓枠用部品、
(3)エアダクトホース、ラジエターホース、ブレーキホース、
(4)クランクシャフトシール、バルブステムシール、ヘッドカバーガスケット、A/Tオイルクーラーホース、ミッションオイルシール、P/Sホース、P/Sオイルシールなどの潤滑油系部品、
(5)燃料ホース、エミッションコントロールホース、インレットフィラーホース、ダイヤフラム類などの燃料系部品;エンジンマウント、インタンクポンプマウントなどの防振用部品、
(6)CVJブーツ、ラック&ピニオンブーツなどのブーツ類、
(7)A/Cホース、A/Cシールなどのエアコンデショニング用部品、
(8)タイミングベルト、補機用ベルトなどのベルト部品、
(9)ウィンドシールドシーラー、ビニルプラスチゾルシーラー、嫌気性シーラー、ボディシーラー、スポットウェルドシーラーなどのシーラー類。
土木建築用製品としては、例えば、商業用ビルのガラススクリーン工法の付き合わせ目地、サッシとの間のガラス周り目地、トイレ、洗面所もしくはショーケース等における内装目地、バスタブ周り目地、プレハブ住宅用の外壁伸縮目地、サイジングボード用目地に使用される建材用シーラント; 複層ガラス用シーリング材;道路の補修に用いられる土木用シーラント;金属、ガラス、石材、スレート、コンクリートもしくは瓦用の塗料・接着剤;粘着シート、防水シートもしくは防振シートが挙げられる。
医療用製品としては、例えば、医薬用ゴム栓、シリンジガスケット、減圧血管用ゴム栓が挙げられる。
電気・電子機器用製品としては、例えば、重電部品、弱電部品、電気・電子機器の回路や基板のシーリング材、ポッティング材、コーティング材もしくは接着材;配線接続分岐箱、電気系統部品もしくは電線用のシーリング材;電線もしくはガラス用の接着剤;電線被覆の補修材;電線ジョイント部品の絶縁シール材;OA機器用ロール(帯電ロール、転写ロール、現像ロール、給紙ロール);振動吸収剤;グロメット;ゲルもしくはコンデンサの封入材が挙げられる。
レジャー用製品としては、例えば、スイミングキャップ、ダイビングマスク、耳栓等のスイミング部材;スポーツシューズ、野球グローブ等のゲル緩衝部材が挙げられる。
本発明のゴム組成物またはその架橋物の用途としては、上述の用途と一部重複するが、さらに防振ゴム、シート、ベルト、シーリング材、ポッティング材、コーティング剤、接着剤が挙げられる。
防振ゴムとしては、例えば、自動車用防振ゴム(エンジンマウント、液封エンジンマウント、ダンパープーリ、チェーンダンパー、キャブレーターマウント、トーショナルダンパー、ストラットマウント、ラバーブッシュ、バンパーゴム、ヘルパーゴム、スプリングシート、ショックアブソーバー、空気バネ、ボディマウント、バンパーガード、マフラーサポート、ゴムカップリング、センターベアリングサポート、クラッチ用ゴム、デフマウント、サスペンションブッシュ、すべりブッシュ、クッションストラットバー、ストッパ、ハンドルダンパー、ラジエーターサポーターまたはマフラーハンガー)、鉄道用防振ゴム(スラブマット、バラスマットまたは軌道マット)、産業機械用防振ゴム(エキスパンションジョイント、フレキシブルジョイント、ブッシュ、マウント)が挙げられる。
シートとしては、例えば、ルーフィングシート、止水シートが挙げられる。
ベルトとしては、例えば、伝動ベルト(Vベルト、平ベルト、歯付きベルト、タイミングベルト)、搬送用ベルト(軽搬送用ベルト、円筒型ベルト、ラフトップベルト、フランジ付き搬送用ベルト、U型ガイド付き搬送用ベルト、V型ガイド付き搬送用ベルト)が挙げられる。
シーリング材としては、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、ガスメーター、電子レンジ、スチームアイロンまたは漏電ブレーカー用のシーリング材が挙げられる。機械、電気、化学等各種工業において、接合部や接触部の水密、気密の目的で使用される材料も広義のシーリング材である。
ポッティング材としては、例えば、トランス高圧回路、プリント基板、可変抵抗部付き高電圧用トランス、電気絶縁部品、半導電部品、導電部品、太陽電池またはテレビ用フライバックトランスをポッティングするためのポッティング材が挙げられる。
コーティング材としては、例えば、高電圧用厚膜抵抗器もしくはハイブリッドIC等の各種回路素子;HIC、電気絶縁部品;半導電部品;導電部品;モジュール;印刷回路;セラミック基板;ダイオード、トランジスタもしくはボンディングワイヤー等のバッファー材;半導電体素子;または光通信用オプティカルファイバーをコーティングするためのコーティング材が挙げられる。
接着剤としては、例えば、ブラウン管ウェッジ、ネック、電気絶縁部品、半導電部品または導電部品を接着するための接着剤が挙げられる。
本発明のゴム組成物またはその架橋物の用途としては、上述の用途と一部重複するが、さらに、自動車用カップ・シール材(マスターシリンダーピストンカップ、ホイールシリンダーピストンカップ、等速ジョイントブーツ、ピンブーツ、ダストカバー、ピストンシール、パッキン、Oリング、ダイヤフラム、ダムウィンドシールド、ドアミラー用ブラケット、シールヘッドランプ、シールカウルトップ)、産業用シール材(コンデンサパッキン、Oリング、パッキン)、発泡体(ホース保護用スポンジ、クッション用スポンジ、断熱スポンジ、インシュレーションパイプ)、被覆電線、電線ジョイント、電気絶縁部品、半導電ゴム部品、工業用ロール(製鉄用ロール、製紙用ロール、印刷用電線ロール)、アノードキャップ、プラグキャップ、イグニッションケーブル、ランプソケットカバー、端子カバー、ワイパーブレード、各種チューブ(バキュームチューブ、タイヤチューブ)、エアスプリング、シューズソール、シューズヒール、タイヤサイドウォール、ファブリックコーティングが挙げられる。
本発明のゴム組成物またはその架橋物の用途としては、上述の用途と一部重複するが、さらに、乗用車用エアコン、バス用エアコン、冷凍機などの空調関係製品、ホース(ラジエターホース、ヒーターホース等)、ローラー、ライニング、ゴム引布、手袋、防舷材、医療用ゴム(シリンジガスケット、チューブ、カテーテル)、ガスケット(家電用、建築用)、アスファルト改質剤、ホットメルト接着剤、ブーツ類、グリップ類、玩具、靴、サンダル、キーパッド、ギア、ペットボトルキャプライナーなどのエラストマー、ゴム履物、ゴムロール、印刷用ブランケット、ゴム・樹脂ライニング、ゴム板(ゴムシート)、導電性ゴム製品、シート防水、ウレタン塗膜防水、土木用遮水シート、密封装置、押出ゴム製品、スポンジゴム製品、防舷材、建築用ガスケット、免震ゴム、舗装用ゴムブロック、非金属チェーン、医療・衛生用ゴム製品、ゴム引布製品、ゴム・ビニール手袋、タッチパネル用耐指紋コーティング、金属表面用潤滑性コート、金属塗装用プライマーなどのコーティング剤が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
下記実施例および比較例等において、エチレン・α−オレフィン共重合体の物性等は以下の方法で測定した。
<エチレン含有率(モル%)>
13C−NMR法により以下の装置および条件を適用して、エチレン・α−オレフィン共重合体のエチレン含有率(モル%)を測定した。
日本電子(株)製ECP500型核磁気共鳴装置を用い、溶媒としてオルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒、試料濃度55mg/0.6mL、測定温度120℃、観測核は13C(125MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅は4.7μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は5.5秒、積算回数は1万回以上、27.50ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。
エチレン含有率は、上記のようにして測定された13C−NMRスペクトルから、G.J.Ray(Macromolecules,10,773(1977))、J.C.Randall(Macro−molecules,15,353(1982))、K.Kimura(Polymer,25,4418(1984))らの報告に基づいて求めた。
<数平均分子量、分子量分布>
数平均分子量および分子量分布は、東ソー(株)製HLC−8320GPCを用いて以下のようにして測定した。分離カラムとして、TSKgel SuperMultiporeHZ−M(4本)を用い、カラム温度を40℃とし、移動相にはテトラヒドロフラン(和光純薬(株)製)を用い、展開速度を0.35ml/分とし、試料濃度を5.5g/Lとし、試料注入量を20マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンとしては、東ソー(株)製(PStQuick MP−M)のものを用いた。汎用校正の手順に従い、ポリスチレン分子量換算として重量平均分子量(Mw)並びに数平均分子量(Mn)を算出し、これらの値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
<100℃における動粘度>
100℃における動粘度〔mm2/s〕は、JIS K2283に記載の方法により測定した。
<極限粘度[η]>
極限粘度[η]〔dl/g〕は、(株)離合社製の全自動極限粘度計を用いて、温度:135℃、測定溶媒:デカリンにて測定した。
<グラフト割合>
グラフト割合については、高速液体クロマトグラフィーにより得られた未反応の共重合体と変性共重合体の面積比率から求めた。
<加硫後初期力学物性>
硬度(Shore A)は、JIS K6253に準拠し、厚さ2mmの架橋シートを2枚重ねあわせ、表面硬度(タイプA)を測定した。
切断時引張強さ(以下「引張破断強度」とも記載する。)〔MPa〕、切断時伸び(以下「引張破断伸び」とも記載する。)〔%〕、200%伸びにおける引張応力(以下「200%弾性率」とも記載する。)〔MPa〕は、JIS K6251に準拠し、老化の前および後のダンベル状3号型試験片について測定した(試験温度:23℃、引張速度:500mm/分)。
また、引張永久歪み〔%〕については、前記のダンベル状3号型試験片を用いて、JIS K6273に準拠し、試験前後の伸び率を測定した。(試験伸び率:300%、試験温度:70℃、試験時間:24時間)
<熱老化後物性>
得られた成形体の試験片(ダンベル状3号型試験片)を、JIS K6257に準拠して、空気で満たされた160℃に設定されたオーブン内で96時間加熱し、加速老化させ、熱老化後の試験片について引張破断強度、および引張破断伸びを測定し、初期物性からの保持率(=熱老化後の物性値/初期物性値)を求めた。また、熱老化後の試験片について、下記基準に基づき外観を評価した。
○:表面外観の変化なし
×:成形体表面にオイル状物の析出あり
[液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)の製造]
[製造例1]
窒素吹込管、水冷コンデンサー、温度計および2つの滴下ロートを装着した攪拌機付ガラス製2L入反応器に、エチレン含有率が40モル%、数平均分子量が3,900、Mw/Mnが1.8、極限粘度[η]が0.11dl/g、100℃における動粘度が300mm2/sのエチレン・プロピレン共重合体800gを入れ、2時間窒素置換を行い、溶存酸素を追い出した。そののち、フラスコ内温を160℃に昇温し、2つの滴下ロートに各々予め装入しておいたトリメトキシビニルシラン320gおよびジ−tert−ブチルペルオキシド60gを4時間かけて滴下した。滴下完了後更に4時間後反応を行ったのちフラスコ内温が180℃になるように昇温し、0.5mmHgの減圧下に未反応トリメトキシビニルシランおよびジ−tert−ブチルペルオキシドの分解物を除去した。
生成物の変性エチレン・プロピレン共重合体(以下「液状変性EPR1」とも記載する。)は、極限粘度[η]が0.41dl/gの無色透明液体であり、トリメトキシビニルシラン成分のグラフト割合は、エチレン・プロピレン共重合体100質量部に対し25質量部であった。
[製造例2]
エチレン・プロピレン共重合体をエチレン含有率が50モル%、数平均分子量が850、Mw/Mnが1.2、極限粘度[η]が0.03dl/g、100℃における動粘度が5mm2/sのエチレン・プロピレン共重合体に変更し、トリメトキシビニルシランをトリエトキシビニルシラン465gに変更し、ジ−tert−ブチルペルオキシドの添加量を90gに変更したした他は製造例1と同様の操作を行った。生成物の変性エチレン・プロピレン共重合体(以下「液状変性EPR2」とも記載する。)は、極限粘度[η]が0.28dl/gの無色透明液体であり、トリエトキシビニルシラン成分のグラフト割合は、エチレン・プロピレン共重合体100質量部に対し34質量部であった。
[製造例3]
エチレン・プロピレン共重合体をエチレン含有率が50モル%、数平均分子量が1,700、Mw/Mnが1.4、極限粘度[η]が0.04dl/g、100℃における動粘度が23mm2/sのエチレン・プロピレン共重合体に変更し、トリメトキシビニルシランおよびジ−tert−ブチルペルオキシドの添加量を各々230gおよび40gに変更した他は製造例1と同様の操作を行った。生成物の変性エチレン・プロピレン共重合体は、極限粘度[η]が0.16dl/gの無色透明液体であり、トリメトキシビニルシラン成分のグラフト割合はエチレン・プロピレン共重合体100質量部に対し25質量部であった。
[製造例4]
エチレン・プロピレン共重合体をエチレン含有率が50モル%、数平均分子量が1,700、極限粘度[η]が0.04dl/gのエチレン・プロピレン共重合体に変更し、トリメトキシビニルシランおよびジ−tert−ブチルペルオキシドの添加量を各々1,200gおよび240gに変更した他は製造例1と同様の操作を行った。生成物の変性エチレン・プロピレン共重合体は、極限粘度[η]が0.32dl/gの無色透明液体であり、トリメトキシビニルシラン成分のグラフト割合はエチレン・プロピレン共重合体100質量部に対し127質量部であった。
[製造例5]
エチレン・プロピレン共重合体をエチレン含有率が52モル%、極限粘度[η]が0.04dl/gのエチレン・1−ヘキセン共重合体に変更し、トリメトキシビニルシランおよびジ−tert−ブチルペルオキシドの添加量を各々230gおよび40gに変更した他は製造例1と同様の操作を行った。生成物の変性エチレン・1−ヘキセン共重合体は、極限粘度[η]が0.15dl/gの無色透明液体であり、トリメトキシビニルシラン成分のグラフト割合は、エチレン・プロピレン共重合体100質量部に対し25質量部であった。
製造例1〜5の原料等の一覧を表1に示す。
Figure 2021024912
[ゴム組成物の成分]
以下の実施例等において、ゴム組成物の成分として、変性共重合体の他に以下の成分を使用した。
(ゴム成分(B))
・エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM、三井化学(株)製、三井EPT3045)
・シリコーンゴム(東レ(株)製、東レシリコンSH410)
(充填剤(C))
・シリカ系化合物(東ソー・シリカ(株)製、ニップシールVN3)
(架橋助剤)
・2−メルカプトベンゾイミダゾール(大内新興化学工業(株)製、ノクラックMB)
・2,6−ジ−tert−ブチル2−メチルフェノール(大内新興化学工業(株)製、ノクラック200)
(未変性エチレン系ランダム共重合体(液状EPR))
・エチレン含有率が40モル%、数平均分子量が3,900、Mw/Mnが1.8、極限粘度[η]が0.11dl/g、100℃における動粘度が300mm2/sであるエチレン・プロピレン共重合体
以下の実施例等においては、上記成分の他、さらにジクミルペルオキシド、硫黄、酸化亜鉛およびステアリン酸が用いられた。
[実施例1]
MIXTRON BB MIXER(神戸製鋼所社製、BB−2型、容積1.7L)を用いて、EPDMを100質量部、シリコーンゴムを20質量部、製造例1で得られた液状変性エチレン系ランダム共重合体(液状変性EPR1)を10質量部、ホワイトカーボン「ニップシールVN3」を50質量部、混練した。混練条件は、ローター回転数を77rpm、混練時間を10分間とした。その後、その混練物を、6インチオープンロール(前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)を用いて、再度混練した。
次いで、ジクミルペルオキシドを5質量部、硫黄を0.2質量部、酸化亜鉛を5質量部、ノクラックMBを2質量部、ノクラック200を1質量部、ステアリン酸を1質量部、先の混練物に添加し、6インチオープンロールを用いて前ロールの表面温度80℃、後ロールの表面温度80℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpmにて混練してゴム組成物を調製した。これを、加熱プレスを用い160℃で20分間加熱し架橋することで、架橋成形体を得た。原料の配合、架橋成形体の評価結果について表2に示す。
[実施例2]
製造例1で得られた液状変性エチレン系ランダム共重合体に代わり製造例2で得られた液状変性エチレン系ランダム共重合体(液状変性EPR2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、架橋成形体を得た。原料の配合、架橋成形体の評価結果について表2に示す。
[実施例3]
シリコーンゴムを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、架橋成形体を得た。原料の配合、架橋成形体の評価結果について表2に示す。
[比較例1]
製造例1で得られた液状変性エチレン系ランダム共重合体に代わり未変性エチレン系ランダム共重合体(液状EPR)を用いた他は実施例1と同様にして、架橋成形体を得た。原料の配合、架橋成形体の評価結果について表2に示す。
[比較例2]
製造例1で得られた液状変性エチレン系ランダム共重合体を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、架橋成形体を得た。原料の配合、評価結果について表2に示す。
[比較例3]
シリコーンゴムを用いなかったこと以外は比較例1と同様にして、架橋成形体を得た。原料の配合、架橋成形体の評価結果について表2に示す。
実施例1および実施例2は、比較例1に対し引張破断強度が改善され、引張永久歪みも低減した。また、熱老化後においても成形体表面上へのオイルの析出は見られず、良好な外観を維持していた。EPDMとシリコーンゴムとが相容し、またシリカ系化合物(ホワイトカーボン)の分散が十分であったことが、原因として考えられる。
また、液状成分を用いなかった比較例2に対しては、実施例1および実施例2は変性液状エチレン系ランダム共重合体の軟化効果により硬度が低減し、さらにはゴム成分との相溶性が高いため組成物の柔軟性が十分に保たれ、引張永久歪みが小さくなっていた。
実施例3は比較例3に対し引張破断強度および引張永久歪みが共に優れていた。実施例3ではシリカ系化合物が十分に分散しており、優れた力学物性を示したと考えられる。
Figure 2021024912

Claims (6)

  1. 液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)とゴム成分(B)とを含有し、
    前記液状変性エチレン系ランダム共重合体(A)が、エチレン系ランダム共重合体(a0)に不飽和シラン化合物成分がグラフト共重合された共重合体であって、下記の要件(a−1)〜(a−5)を満たす
    ゴム組成物。
    (a−1)前記エチレン系ランダム共重合体(a0)は、エチレンから導かれる構造単位と、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位とを有する。
    (a−2)前記エチレン系ランダム共重合体(a0)中の全構造単位に対するエチレンから導かれる構造単位の割合が30〜90モル%である。
    (a−3)前記エチレン系ランダム共重合体(a0)の135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.50dl/gである。
    (a−4)前記不飽和シラン化合物成分は、炭素数が2〜20の不飽和シラン化合物である。
    (a−5)前記不飽和シラン化合物成分のグラフト割合が前記エチレン系ランダム共重合体(a0)の100質量部に対して0.2〜300質量部である。
  2. 前記ゴム成分(B)が天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン・α−オレフィン系ゴム、エチレン・α−オレフィン・ジエン系ゴムおよびシリコーンゴムからなる群より選ばれる請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記エチレン系ランダム共重合体(a0)の100℃における動粘度が、10〜3,500mm2/sである請求項1または2に記載のゴム組成物。
  4. 充填剤(C)としてシリカ系化合物をさらに含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴム組成物を架橋して得られる成形体。
  6. 請求項5に記載の成形体を構成の一部として含有するタイヤ。
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